(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】扇風機
(51)【国際特許分類】
F04D 25/16 20060101AFI20220118BHJP
F04D 25/08 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
F04D25/16
F04D25/08 305G
(21)【出願番号】P 2019026782
(22)【出願日】2019-02-18
【審査請求日】2020-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000115773
【氏名又は名称】リズム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】特許業務法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 秀紀
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-133434(JP,A)
【文献】特開昭56-135797(JP,A)
【文献】実公昭38-012581(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0171021(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 25/16
F04D 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一インペラと、
前記第一インペラと回転軸の中心を揃えて配置されて前記第一インペラと逆回転する第二インペラと、
前記第二インペラ側に前記第二インペラと間隙を設けて配置され、前記第二インペラの前記回転軸の中心側から径方向外側へ向かうに従い前記第一インペラ側へ傾斜したグリルと、
を備え、
前記第二インペラにおける羽根の前記グリル側の端縁は、前記回転軸の中心側から径方向外側に向かうに従い前記第一インペラ側へ傾斜して
おり、
前記第一インペラは、第一ハブを有し、
前記第二インペラは、前記第一ハブ側へ突出するボスが設けられた第二ハブを有する、
ことを特徴とする扇風機。
【請求項2】
前記ボスは、前記回転軸を中心として前記第二ハブから円筒状に立設しており、
前記ボスの先端と、前記第一ハブとの間隙は、前記第一インペラと、前記第二インペラとの間隙よりも狭く形成される、
ことを特徴とする
請求項1に記載の扇風機。
【請求項3】
前記第一ハブ及び前記第二ハブは、各々有底筒状に形成され、
前記第二ハブの前記ボスが形成された底部と、前記
第一ハブの底部とは対向して配置される、
ことを特徴とする
請求項1又は
請求項2に記載の扇風機。
【請求項4】
前記羽根の前記グリル側の端縁は、前記グリルと前記第二インペラとの間の間隙が平行となるように形成されることを特徴とする請求項1乃至
請求項3の何れかに記載の扇風機。
【請求項5】
前記第一インペラ
を回転させるモータは、前記第一インペラを収容する第一ケースに固定され、
前記第二インペラ
を回転させるモータは、前記第二インペラを収容して前記グリルを有する第二ケースに固定される、
ことを特徴とする請求項1乃至
請求項4の何れかに記載の扇風機。
【請求項6】
前記第一インペラは上流側へ配置され、
前記第二インペラは下流側へ配置される、
ことを特徴とする請求項1乃至
請求項5の何れかに記載の扇風機。
【請求項7】
前記第二インペラは前記第一インペラよりも小径に形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の扇風機。
【請求項8】
前記第一インペラは、前記回転軸の軸方向の前端縁及び後端縁が平行となるように形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の扇風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重反転式の扇風機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、二重反転式の小型の扇風機が提案されている。例えば、特許文献1には、上流側の第1インペラ及び下流側の第2インペラを備えた二重反転式扇風機が開示されている。第1インペラはモータにより回転駆動され、第2インペラは回転軸に回転可能に設けられる。第2インペラは、第1インペラが回転したときに、当該第1インペラの風力によって第1インペラの回転方向とは反対の方向に回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される二重反転式扇風機は、一つのモータで第1インペラと第2インペラとを回転駆動させており、扇風機としての流量を十分得ることができない場合がある。一方、モータを2つ設け、第1インペラと第2インペラとを個別に駆動させて流量を得る方法もあるが、扇風機全体が大きくなることも想定され、扇風機を小型化するための構造的な工夫が必要となる。さらに、扇風機の筐体を小さくして第1インペラと第2インペラとの距離を狭小化していくと、手持ちタイプの二重反転式扇風機を想定した場合では使用中に筐体が撓み、第1インペラと第2インペラ同士が衝突することも想定される。したがって、インペラ同士の衝突を防止する対策も望まれる。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、小型で風量の大きな扇風機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の扇風機は、第一インペラと、前記第一インペラと回転軸の中心を揃えて配置されて前記第一インペラと逆回転する第二インペラと、前記第二インペラ側に前記第二インペラと間隙を設けて配置され、前記第二インペラの前記回転軸の中心側から径方向外側へ向かうに従い前記第一インペラ側へ傾斜したグリルと、を備え、前記第二インペラにおける羽根の前記グリル側の端縁は、前記回転軸の中心側から径方向外側に向かうに従い前記第一インペラ側へ傾斜しており、前記第一インペラは、第一ハブを有し、前記第二インペラは、前記第一ハブ側へ突出するボスが設けられた第二ハブを有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、小型で風量の大きな扇風機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る扇風機及びスタンドの斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る扇風機及びスタンドの正面側から見た分解斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る扇風機及びスタンドの背面側から見た分解斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る扇風機の第一ケースを内側から見た斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る扇風機の第二ケースを内側から見た斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る
図1の扇風機のVI-VI断面における送風ヘッド周辺の拡大図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る繋留部材の正面側から見た分解斜視図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る繋留部材の背面側から見た分解斜視図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る
図1の繋留部材のIX-IX断面におけるゲート周辺の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図を用いて説明する。
図1はスタンド4に支持された扇風機1の斜視図である。本実施形態の扇風機1は、小型の携帯用具として形成される。扇風機1は、把持部11と、送風ヘッド12とを有する。また、扇風機1は、把持部11と接続されたカラビナ部91を有する。扇風機1は、把持部11により把持してスイッチSWを押下することにより、送風ヘッド12内のインペラ5,6を回転させて、風を起こすことができる。また、扇風機1は、スタンド4の溝部421にカラビナ部91を挿入して、倒立状態で支持させることができる。
【0010】
扇風機1及びスタンド4の詳細について説明する。
図2は扇風機1及びスタンド4を正面側から見た分解斜視図であり、
図3は背面側から見た分解斜視図である。また、
図4及び
図5は、夫々第一ケース2及び第二ケース3を内側から見た斜視図であり、
図6は
図1に示した扇風機1のVI-VI断面における送風ヘッド12周辺の拡大図である。なお、以下の説明では、流路の下流側である第二ケース3側を前、その反対側を後とする。
【0011】
扇風機1は、流路の上流側に設けられる第一ケース2と、下流側に設けられる第二ケース3とを備える。第一ケース2及び第二ケース3は、内部に第一インペラ5、第二インペラ6、モータ71,72、回路基板82、電池83、及び繋留部材9を備える。
【0012】
第一ケース2及び第二ケース3は、
図2~
図5に示すように、回路基板82や電池83を収容する収容部21,31と、収容部21,31の上端に接続された略円形のインペラカバー部22,32とを有する。収容部21,31の下端側には、繋留部材9が収容される。繋留部材9は、複数の螺子等の固定部材312により収容部31側に固定される。収容部21,31の下端からは切欠部213,313を介して繋留部材9の一部が外出しており、扇風機1に被繋留物を繋留支持可能なカラビナ部91が形成される。
【0013】
図4に示す収容部21の開口側の縁部には複数の係合爪20aが形成され、インペラカバー部22の開口側の縁部には複数の被係合孔20bが形成される。また、
図5に示す収容部31の開口側の縁部には複数の被係合孔30aが形成され、インペラカバー部32の開口側の縁部には複数の係合爪30bが形成される。第一ケース2と第二ケース3とによる扇風機1の筐体は、係合爪20aと被係合孔30aとを係合させ、被係合孔20bと係合爪30bとを係合させることで形成することができる。
【0014】
図4において、インペラカバー部22は、流路方向の上流側を有底とした略短円筒状に形成される。インペラカバー部22には、グリル221,222が設けられる。グリル221は、インペラカバー部22の有底部分の略全体に形成される。グリル221は、第一インペラ5及び第二インペラ6の回転軸P方向と略直交するように形成される。また、グリル222は、インペラカバー部22の円筒側面に相当するグリル221の外周側において円環状に配置される。
【0015】
グリル221の中央側には、円環状の周壁を有する略円形状のモータ収容部23が配置される。モータ収容部23の中央には、円筒状の軸受231が前方側へ立設している。軸受231の内部は前後に貫通している。なお軸受231の一端側であるインペラカバー部22の外側は、円板状のカバー24により閉塞されている(
図6も参照)。
【0016】
各グリル221,222には、モータ収容部23から径方向外側に向かって放射状に延設された長尺棒状の枠体221a,222aが形成される。また、グリル221には、モータ収容部23の下方に延設されるガイド枠221bが形成される。ガイド枠221bは、枠体221aと同様に長尺棒状に形成される。収容部21とインペラカバー部22との間には、天板部211が形成される。ガイド枠221bは、モータ収容部23と天板部211に亘って設けられる。ガイド枠221bの内側には溝部221cが形成されており、この溝部221c内にはモータ71と回路基板82とを接続する配線ケーブル811が収容される(
図6も参照)。なお、
図6では配線ケーブル811(812)と、回路基板82又はモータ71(72)とを直結する接続部の図示は省略している。
【0017】
モータ収容部23とガイド枠221bとの接続部には、配線ケーブル811を支持する係合部232が形成される。係合部232には、溝部221cの上端から上方へ立設する突起部232aが形成される。突起部232aは、溝部221cの左右両側に設けられる。
【0018】
また、溝部221cを形成する壁部の一部には、略矩形状の切欠部221dが形成される。天板部211には、溝部221cの下端から前方に延設された切欠部211aが形成される。また、天板部211には、切欠部211aの両前端に段部211bが形成され、この段部211bには前方へ突出した係合突起211cが形成される。
【0019】
また、第二ケース3側も同様に、
図5において、インペラカバー部32も流路方向の下流側を有底とした略短円筒状に形成される。インペラカバー部32には、インペラカバー部32の有底部分の略全体に形成されたグリル321が設けられる。グリル321は、回転軸P方向と略直交するようにグリル221と対向して形成される(
図6も参照)。グリル321の略中央側には、円環状の周壁を有する略円形状のモータ収容部33が配置される。モータ収容部33の中央には、円筒状の軸受231が後方側へ立設している。軸受331の内部は前後に貫通している。なお軸受331の一端側であるインペラカバー部32の外側は、円板状のカバー34により閉塞されている(
図6も参照)。
【0020】
グリル321には、モータ収容部33から径方向外側へ向かって放射状に延設された長尺棒状の枠体321aが形成される。また、グリル321には、モータ収容部33の下方に延設されるガイド枠321bが形成される。ガイド枠321bは、枠体321aと同様に長尺棒状に形成される。収容部31とインペラカバー部32との間には、天板部311が形成される。ガイド枠321bは、モータ収容部33と天板部311に亘って設けられる。ガイド枠321bの内側には溝部321cが形成されており、この溝部321c内にはモータ72と回路基板82とを接続する配線ケーブル812が収容される(
図6も参照)。
【0021】
第二ケース3側についても、モータ収容部33とガイド枠321bとの接続部には、配線ケーブル812を支持する係合部332が形成される。係合部332には、溝部321cの上端において前方から上方へ立設する突起部332aが形成される。また、
図3に示す天板部311にも、溝部321cの下端から後方に延設された切欠部311aが形成される。天板部311には、天板部211と同様に、切欠部311aの両後端に段部311bが形成され、この段部311bには後方へ突出した係合突起311cが形成される。
【0022】
配線ケーブル811及び配線ケーブル812は、略同様の形状に形成され、対向して配置される。
図2及び
図3に示すように、配線ケーブル811,812は、上下方向の長尺状に形成されており、モータ71,72側の一端側に形成されたT字状のジャック部811a,812aと、他端側に形成されたT字板状の係合部811b,812bとを有する。係合部811b,812bの左右端側には、前後に貫通する係合孔811c,812cが形成される。また、配線ケーブル811,812のジャック部811a,812aと係合部811b,812bとの間には、左右に矩形状に拡幅した拡幅部811d,812dが形成される。
【0023】
T字状のジャック部811aの左右両端は、係合部232における突起部232aにより係合支持される。また、係合部811bは、係合突起211cを係合孔811cに挿通することで、段部211bに収容支持させることができる。第二ケース3側についても、ジャック部812aの左右両端は、係合部332における突起部332aにより係合支持される。係合部812bは、係合突起311cを係合孔812cに挿通することで、段部311bに収容支持させることができる。
【0024】
各モータ71,72は、全体が略短円柱状に形成されており、配線ケーブル811,812を介して回路基板82から駆動電力を供給される。モータ71はモータ収容部23に収容され、モータ72はモータ収容部33に収容される。
【0025】
第一インペラ5は、有底円筒状の第一ハブ51と、第一ハブ51の外周壁から放射状に設けられた複数の第一羽根52とを有する。第一ハブ51は、前方側に円形平板状の底部511を有する。
図3に示すように、第一ハブ51の内部には、後方へ突出した円筒状の軸受部511aが形成される。
図6に示すように、第一ハブ51内にはモータ71が収容され、軸受部511aにはモータ71の回転軸711が固定される。
【0026】
また、本実施形態では、第一インペラ5に5枚の第一羽根52が形成される。第一羽根52は、正面視反時計回りに回転して扇風機1の後方から前方方向へ送風することができる。第一羽根52は、
図6のVI-VI断面図に示すように、前端縁521が底部511よりもやや後方に位置するように形成される。第一羽根52の後端縁522は、第一ハブ51の後端縁512よりやや前方に位置するように形成される。また、前端縁521と後端縁522は、回転軸Pの略直交平面上であって、互いが略平行となるように形成される。第一インペラ5は、第一インペラ5の後端縁522と、グリル221との間隙がグリル221の外径縁側へ亘って略平行となるように形成されており、第一インペラ5の外径を大きくすることができる。したがって、第一インペラ5が吸気して前方へ送る空気の流量を大きくすることができる。
【0027】
第二インペラ6は、有底円筒状の第二ハブ61と、第二ハブ61の外周壁から放射状に設けられた複数の第二羽根62とを有する。第二ハブ61は、後方側に円形平板状の底部611を有する。
図2に示すように、第二ハブ61の内部には、前方へ突出した円筒状の軸受部611aが形成される。
図6に示すように、第二ハブ61内にはモータ72が収容され、軸受部611aにはモータ72の回転軸721が固定される。
【0028】
また、本実施形態では、第二インペラ6に7枚の第二羽根62が形成される。第二羽根62は、正面視時計回りに回転して扇風機1の後方から前方方向へ送風することができる。第二羽根62の前端縁621は、回転軸P側である第二ハブ61側から径方向外側へ向かって放射状に第一インペラ5側へ緩やかに湾曲傾斜している。第二羽根62の基端側における前端縁621は、第二ハブ61の前端縁612と接続される(
図2も参照)。第二羽根62の後端縁622は、第二ハブ61の底部611よりもやや前方側において第二ハブ61と接続される。後端縁622は、第二ハブ61側から径方向外側へ向かって放射状に第一インペラ5側へ緩やかに傾斜している。したがって、
図6の側面視において、第二羽根62の後端縁622と、第一羽根52の前端縁521との間隙は、回転軸P側から各インペラ5,6の径方向外側へ向かうに従い徐々に狭くなるように形成される。また、第二羽根62のグリル321側の前端縁621は、グリル321と第二インペラ6との間の間隙が略平行となるように形成される(
図6参照)。
【0029】
また、第二インペラ6は、第一インペラ5よりも小径に形成される。第一ケース2と第一インペラ5との間に形成される間隙(第一インペラ5の径方向外側の間隙)は、第二ケース3と第二インペラ6との間に形成される間隙(第二インペラ6の径方向外側の間隙)よりも狭く形成される。
【0030】
図3のB部拡大図及び
図6に示すように、第二ハブ61の底部611の後面には、略円環状に突出したボス611bが形成される。ボス611bは、第二インペラ6の回転軸P上に設けられる。
【0031】
第二ケース3は、左側面に開口部314を有する。また、第二ケース3は、正面にスイッチSWが露出される円形の開口部315を有する。
【0032】
回路基板82は、左右方向に長尺の矩形板状に形成される。回路基板82の後方側の左側縁には、実装部品であるUSB端子用のレセプタクル821が設けられている。レセプタクル821には開口部314を介して外部からジャックを挿入させることができる。また、回路基板82の前面側にはプッシュブタン式のスイッチSWが設けられる。
【0033】
図7は繋留部材9の正面側から見た分解斜視図であり、
図8は繋留部材9の背面側から見た分解斜視図である。また、
図9は、
図1の扇風機1のゲート94周辺のIX-IX断面図である。
【0034】
繋留部材9は、カラビナ部91と、扇風機1のケース2,3に対して固定される本体部92とを有する。繋留部材9は、繊維強化プラスチックにより形成することができる。繊維材料としては、例えばガラス繊維、炭素繊維或いは母材と異なる樹脂繊維を用いることができる。
【0035】
カラビナ部91は、背面視略J字状に形成されたフレーム911と、ヒンジ部912とを有する。カラビナ部91は、フレーム911内に形成される収容空間S内に、図示しない紐状体等の任意の被繋留物を掛けて、ゲート94を閉じることにより被繋留物を繋留させることができる。
【0036】
フレーム911は断面視略円形に形成される。フレーム911の先端に形成されるノーズ部913は、ヒンジ部912と対向して配置される。
図8に示すように、フレーム911の湾曲部911bには、突起部911aが形成される。突起部911aは、湾曲部911bの後方面側から略山型板状に突出している。
【0037】
ノーズ部913の先端における前方側及び後方側には、切欠部913a,913bが形成される。ノーズ部913は、切欠部913a,913bにより、先端側の前面及び後面を互いに略平行面とした略厚板状に形成される。また、一方の切欠部913aには後側方に突出した突出部913cが形成される。突出部913cは、収容空間Sよりも外方の一部に形成される。突出部913cの外周面の一部は、ノーズ部913の湾曲した外周面と連続して形成される。また、ノーズ部913の先端面913dは、カラビナ部91の外側から内側(収容空間S側)へ向かって下方(すなわちヒンジ部912から遠ざかる方向)へ傾斜している。
【0038】
ヒンジ部912の基端側は略円柱状に形成されており、本体部92と接続される。ヒンジ部912の先端側は厚板状に形成される。ヒンジ部912の先端面912aは、前述の先端面913dとは逆に、カラビナ部91の外側から内側(収容空間S側)へ向かって上方(すなわちノーズ部913から遠ざかる方向)へ傾斜している。先端面912aの左右の両端にはヒンジ部912の軸方向に対して略垂直な端面である縁部912b,912cが形成される(
図8参照)。また、先端面912aの縁部912c側には凹湾曲状の切欠部912dが形成される。切欠部912dは、前後に亘って切り欠かれている。さらに、ヒンジ部912の先端面912a側における前面及び後面には、短円柱状に前後に立設した回動軸部912eが形成される。
【0039】
本体部92は、全体が略板状に形成される。本体部92の下方には、カラビナ部91のフレーム911の基端側と、ヒンジ部912の基端側とが接続される。本体部92の中央側には
図2等に示した電池83の下端側の一部を収容する電池収容部921が形成される。電池収容部921は、前方側へ突出した湾曲板状に形成される。本体部92の前面側には、電池収容部921の左右に亘ってリブ部921aが延設されている。
【0040】
電池収容部921の左右両側には複数の固定孔922が形成される。各固定孔922には、
図3に示した固定部材312が挿通されて、本体部92を第二ケース3側へ固定することができる。
【0041】
本体部92の左上端からは上方へ向かって延設された収容部923が形成される。収容部923は、扇風機1の前方左側へ開口した略矩形枠状に形成される。収容部923には、天板部923a及び底板部923bの内面に亘って延設された略L字状のリブ部923cが形成される。リブ部923cは、互いに平行となるように上下の2箇所に設けられる。
【0042】
また、本体部92のカラビナ部91側であって、電池収容部921の左右の両側には、カラビナ部91の収容空間S側へ向かうように窪んだ溝部924が形成される。溝部924は、第二ケース3の下端縁に設けられた係合突起316(
図5参照)と係合して、繋留部材9を第二ケース3に対して位置決めさせることができる。
【0043】
繋留部材9は、ヒンジ部912と、本体部92との間に、後方へ突出した当接部93を有する(
図8参照)。当接部93は、回動軸部912eよりもヒンジ部912の基端側である本体部92側に配置される。当接部93はヒンジ部912と隣接している。
【0044】
ゲート94は、下方を有底とした円筒状に形成され、フレーム911と略同径の外周径を有する。ゲート94は、上方の一端側に回動部941を有し、下方の他端側に先端部942を有する。回動部941には二股の板状部943,944(第一板状部)が形成され、先端部942にも二股の板状部945,946(第二板状部)が形成される。
【0045】
回動部941における板状部943,944には、回動軸部912eが挿通される軸受部943a,944aが形成される。板状部943,944の内面には、軸受部943a,944aから上方へ向かって延設された溝部943b,944bが形成される。各溝部943b,944bは、板状部943,944の上端側へ向かうに従って徐々に深くなるように形成される。したがって、回動軸部912eを溝部943b,944bを介して軸受部943a,944aにガイドさせ、ゲート94をヒンジ部912に対して容易に組み付けることができる。
【0046】
また、一方の板状部943の収容空間S側には、上方へ突出した被当接部943cが形成される。被当接部943cは、ゲート94をヒンジ部912に組み付けた際に、軸受部943a,944aよりもヒンジ部912の基端側に配置される。被当接部943cの上端面は、収容空間S側へ向かうに従って徐々に高くなるように傾斜している。
【0047】
図9に示すように、ゲート94内には、上方を開口させた中空部947が形成される。中空部947は、底部へ向かって内経が徐々に縮径するように形成される。中空部947の底部には、上方へ突出した係合突起947aが形成される。中空部947の開口部は、板状部943と板状部944との間に形成される。
【0048】
図8及び
図9に示されるように、ゲート94の下端側の板状部945,946の間には、略平坦な傾斜端面942aが形成される。傾斜端面942aは、カラビナ部91の収容空間S側へ向かって下方へ傾斜している。また、一方側の板状部945の収容空間Sとは反対の外側には、切欠部945aが形成される。ゲート94の閉状態において切欠部945aと突出部913cとは当接して(
図9の破線部参照)、ゲート94がノーズ部913に対して収容空間Sよりも外側(
図9の右方側)へ開き過ぎないよう規制することができる。
【0049】
また、ゲート94は、ヒンジ部912に対して弾発部材95により閉方向に付勢されている。
図9に示すように、弾発部材95は、長尺板状のガイド板951と、ガイド板951の下端の一部を巻回するコイルばね952とを含む。ガイド板951の上端は、切欠部912dに係合し、ガイド板951の下端側は、中空部947内に配置される。また、ガイド板951は、中央側の屈曲部951aにおいて収容空間S側へ屈曲している。
【0050】
コイルばね952の下端は、係合突起947aに係合される。コイルばね952の上端は、屈曲部951aと当接してガイド板951を上方へ付勢している。したがって、ガイド板951は、中空部947内へ落下することなく、ガイド板951の一端側を切欠部912dへ係合させている。コイルばね952が中空部947の内周面947b又は係合突起947aを弾発力により閉方向へ押すことにより、ゲート94を閉状態に付勢することができる。
【0051】
図9に示すように、ゲート94が閉状態のとき、傾斜端面942aは先端面913dと当接し、切欠部945aは突出部913cと当接する。また、ゲート94が閉状態のとき、被当接部943cは当接部93に当接する。これにより、ゲート94が収容空間Sの外側方向へ回動し過ぎることを規制することができる。また、ゲート94が閉状態のとき、ゲート94は、ヒンジ部912及びノーズ部913と略同軸となる。
【0052】
使用者がゲート94を収容空間S側へ付勢すると、ゲート94は、弾発部材95の弾発力に抗して回動軸部912eを中心に回動し、
図9の二点鎖線に示す開状態とすることができる。ゲート94を開状態とすることで、使用者は被繋留物を収容空間S内に繋留させたり、収容空間S内から外したりすることができる。また、本実施形態の繋留部材9は、ノーズ部913の先端面913dを平坦に傾斜させており、被繋留物を収容空間Sから外す際にノーズ部913に引っ掛かることなくカラビナ部91から容易に外すことができる。
【0053】
次にスタンド4について説明する。
図2等に示すスタンド4は、側面視において略L字板状に形成され、載置面と接地する接地部41と、扇風機1を支持する支持部42とを有する。
【0054】
接地部41は略矩形板状に形成される。接地部41の外周縁側は平板状に形成され、接地部41の中央側は載置面から離間する上方へ窪むように湾曲している。
図3に示すように、接地部41の下面には緩衝部材等により形成された接地突起411が形成される。
【0055】
支持部42は、接地部41の前端に、後方にやや傾斜して接続される。支持部42は、正面視において上方に開口した略U字枠状に形成される。支持部42の対向する内縁側にはU字状の溝部421が形成される。溝部421の下端側には、スタンド4を上下に貫通させる開口部422が形成される(
図3参照)。
【0056】
図2のA部拡大図に示すように、溝部421の下端側における内面421aには、カラビナ部91の突起部911aと係合する係合部423が形成される。係合部423は、上下に延設された二個の傾斜突起423aと、傾斜突起423aとの間に形成される係合溝423bとを有する。傾斜突起423aは、溝部421の縁部から開口部422側へ亘って上下に形成される。また、傾斜突起423aは、下方へ向かって溝部421の内面421aから徐々に突出するように傾斜している。
【0057】
係合溝423bは、溝部421の上方側へ開口している。係合溝423bの底部は、溝部421の内面421aよりも低く窪んでいる。また、係合溝423b内の下方の端部423b1は、係合溝423bに係合させた突起部911aの一部を当接させてカラビナ部91を支持することができる。
【0058】
このように、スタンド4を構成すると、カラビナ部91を溝部421内に挿入した
図1の状態において、カラビナ部91の突起部911aを係合溝423b内に係合(不図示)させることができる。このとき、傾斜突起423aは下方へ向かって突出するように傾斜しているため、カラビナ部91のフレーム911は溝部421内に挿入することで傾斜突起423aにより挟圧される。したがって、扇風機1をスタンド4に支持させると、突起部911a及び係合溝423bにより左右へ搖動することを防ぐとともに、傾斜突起423aの狭圧力により扇風機1を確実に挟持させることができる。
【0059】
以上、本実施形態で説明した扇風機1は、第一インペラ5及び第二インペラ6を備え、第二インペラ6側に第二インペラ6と間隙を設けて配置され、第二インペラ6の回転軸Pの中心側から径方向外側へ向かうに従い第一インペラ5側へ傾斜したグリル321を備える。また、第二インペラ6における羽根のグリル321側の端縁は、回転軸Pの中心側から径方向外側に向かうに従い第一インペラ5側へ傾斜させた。
【0060】
扇風機1は、互いに逆回転する第一インペラ5及び第二インペラ6を有しており、少ない消費電力と空間で力強い送風を実現することができる。また、第二インペラ6の第二ハブ61には、第一インペラ5の第一ハブ51と対向するようにボス611bを設けたため、扇風機1を使用している最中に第一ケース2や第二ケース3を撓むような負荷があっても第一インペラ5と第二インペラ6の羽根(第一羽根52,第二羽根62)同士が接触してしまうことを防止することができる。したがって、扇風機1は、屋外において持ち歩いて使用する等の場面においても携帯性と実用性の両方を備えることができる。
【0061】
また、本実施形態では、第一インペラ5の第一羽根52と、第二インペラ6の第二羽根62は、奇数枚設けたため、回転のバランスを良好に保ちモータ71,72への負荷を低減等することができる。また、第一インペラ5のモータ71は第一ケース2側に固定し、第二インペラ6のモータ72は第二ケース3に固定したため、配線ケーブル811,812を前後の外側へ配置することができ、各インペラ5,6やモータ71,72同士の距離を縮めて扇風機1全体を小型にすることができる。
【0062】
また、繋留部材9の本体部92の一部は、回路基板82の実装面側の一部を覆うように配置され、回路基板82に実装されたレセプタクル821を支持する収容部923を形成した。そのため、USBケーブルの抜き差しで生じるレセプタクル821に対する負荷が、収容部923にも分散されて回路基板82の実装面への負荷を低減することができる。
【0063】
また、カラビナ部91は、ゲート94の閉状態のときに、ゲート94の切欠部945aとノーズ部913の突出部913cとが当接するとともに、ゲート94の被当接部943cとヒンジ部912側の当接部93とが当接する構成とした。携帯可能な様々な用具にカラビナ構造を設けようとする場合、金属等の強固な材料により形成することもできるが重量やコストの増加が想定される。一方、カラビナ構造を安価な材料で作ろうとすると、例えばプラスチック等ではヒンジ部912とノーズ部913との離間方向の応力歪みによってノーズ部913とゲート94の係合状態が外れ、ゲート94が意図せず収容空間Sと反対側へ回動してしまうことも想定される。しかし、本実施形態のカラビナ部91は、被当接部943cと当接部93を設けて、ヒンジ部912側においてもゲート94の回動を規制したため、ゲート94が意図せず開くことを防止できる。
【0064】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1 扇風機 2 第一ケース
3 第二ケース 4 スタンド
5 第一インペラ 6 第二インペラ
9 繋留部材 11 把持部
12 送風ヘッド 20a 係合爪
20b 被係合孔 21 収容部
22 インペラカバー部 23 モータ収容部
24 カバー 30a 被係合孔
30b 係合爪 31 収容部
32 インペラカバー部 33 モータ収容部
34 カバー 41 接地部
42 支持部 51 第一ハブ
52 第一羽根 61 第二ハブ
62 第二羽根 71,72 モータ
82 回路基板 83 電池
91 カラビナ部 92 本体部
93 当接部 94 ゲート
95 弾発部材 211 天板部
211a 切欠部 211b 段部
211c 係合突起 213 切欠部
221 グリル 221a 枠体
221b ガイド枠 221c 溝部
221d 切欠部 222 グリル
222a 枠体 231 軸受
232 係合部 232a 突起部
311 天板部 311a 切欠部
311b 段部 311c 係合突起
312 固定部材 313 切欠部
314 開口部 315 開口部
316 係合突起 321 グリル
321a 枠体 321b ガイド枠
321c 溝部 331 軸受
332 係合部 332a 突起部
411 接地突起 421 溝部
421a 内面 422 開口部
423 係合部 423a 傾斜突起
423b 係合溝 423b1 端部
511 底部 511a 軸受部
512 後端縁 521 前端縁
522 後端縁 611 底部
611a 軸受部 611b ボス
612 前端縁 621 前端縁
622 後端縁 711 回転軸
721 回転軸 811 配線ケーブル
811a ジャック部 811b 係合部
811c 係合孔 811d 拡幅部
812 配線ケーブル 812a ジャック部
812b 係合部 812c 係合孔
812d 拡幅部 821 レセプタクル
911 フレーム 911a 突起部
911b 湾曲部 912 ヒンジ部
912a 先端面 912b 縁部
912c 縁部 912d 切欠部
912e 回動軸部 913 ノーズ部
913a 切欠部 913b 切欠部
913c 突出部 913d 先端面
921 電池収容部 921a リブ部
922 固定孔 923 収容部
923a 天板部 923b 底板部
923c リブ部 924 溝部
941 回動部 942 先端部
942a 傾斜端面 943 板状部
943a 軸受部 943b 溝部
943c 被当接部 944 板状部
944a 軸受部 944b 溝部
945 板状部 945a 切欠部
946 板状部 947 中空部
947a 係合突起 947b 内周面
951 ガイド板 951a 屈曲部
952 コイルばね
P 回転軸 S 収容空間
SW スイッチ