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特許7008712太陽起源の熱エネルギーを使用するための高エネルギー効率装置、システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】太陽起源の熱エネルギーを使用するための高エネルギー効率装置、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   F24S 60/00 20180101AFI20220118BHJP
   F24S 23/70 20180101ALI20220118BHJP
   F24S 90/00 20180101ALI20220118BHJP
   F24S 23/79 20180101ALI20220118BHJP
   F24S 10/30 20180101ALI20220118BHJP
【FI】
F24S60/00 010
F24S23/70
F24S90/00 210
F24S90/00 300
F24S23/79
F24S10/30
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019538353
(86)(22)【出願日】2018-01-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 IB2018050590
(87)【国際公開番号】W WO2018142292
(87)【国際公開日】2018-08-09
【審査請求日】2021-01-26
(31)【優先権主張番号】102017000010774
(32)【優先日】2017-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102017000010806
(32)【優先日】2017-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】518019673
【氏名又は名称】マガルディ パワー ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】マガルディ,マリオ
(72)【発明者】
【氏名】ケイローン,リカルド
(72)【発明者】
【氏名】サラティーノ,ピエロ
(72)【発明者】
【氏名】アメンドラ,パオラ
(72)【発明者】
【氏名】ソリメネ,ロベルト
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-517081(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0322089(US,A1)
【文献】特開昭60-004792(JP,A)
【文献】国際公開第2011/027309(WO,A2)
【文献】国際公開第2012/120016(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/038553(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24S 60/00
F24S 23/70
F24S 90/00
F24S 23/79
F24S 10/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽起源の熱エネルギーの蓄積及び交換のための装置(1)であって、
光学システムによって集光された太陽放射を受け取るように構成され、
内部区画(20)を規定し、前記集光された太陽放射の入射を許容するように構成された照射開口部(10;10’)を有するケーシング(2)であって、前記照射開口部(10;10’)は、使用時、閉鎖及び遮蔽手段のない状態で、前記内部区画(20)を外部環境と直接連通した状態に置く、ケーシング(2)と、
前記ケーシング(2)の前記内部区画(20)内に受け入れられた流動化可能な固体粒子の粒子床(3)であって、使用時、前記照射開口部(10;10’)を介して入射する前記集光された太陽放射に直接さらされる動作領域(30)を有し、前記動作領域(30)の前記固体粒子は太陽放射からの熱エネルギーを吸収する、流動化可能な前記固体粒子の前記粒子床(3)と、
少なくとも前記動作領域(30)において流動化ガスを前記内部区画(20)に付加するように構成された前記粒子床(3)の流動化手段(4)と、
前記粒子床(3)の前記固体粒子が前記ケーシング(2)内に保持されるように構成された制限構造(8)であって、前記照射開口部(10’)に、好ましくは少なくとも部分的に前記照射開口部に対して外側に向かって突出して配置された前記制限構造(8)と、を備え
使用時、前記動作領域(30)にある前記固体粒子が太陽放射から熱エネルギーを吸収し、それを他の前記固体粒子に伝達し、
前記照射開口部(10’)が、前記ケーシング(2)の横方向又は非中心位置に、前記動作領域(30)に対して横方向に、好ましくは前記ケーシング(2)の上壁(210)及び/又は横方向スカート(230)に配置される装置(1)。
【請求項2】
前記照射開口部(10’)が、前記ケーシング(2)の横方向スカート(23)の傾斜部分(230)に、特に外側に突出して規定される、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記照射開口部(10’)が、前記ケーシング(2)の上部のスロープのついた傾斜部分(210)に規定され、好ましくは、前記上部の部分(210)が、前記粒子床(3)の自由表面(35)に対して、実質的に吸引-覆い構成を規定する、請求項1又は2のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記流動化手段(4)が、前記装置(1)の外側から、すなわち前記粒子床(3)を取り除く必要なくアクセス可能又は検査可能な前記流動化ガスの1つ又は複数の供給要素(40;401~403)を備える、請求項1~のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記流動化手段(4)が、使用時、前記粒子床(3)内の、特に前記動作領域(30)内の少なくとも2つの異なる流動化速度を決定するように構成される、請求項1~のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記流動化手段(4)が、使用時、前記粒子床(3)内の、特に前記動作領域(30)内の前記固体粒子の循環性の対流運動を決定するように構成される、請求項1~のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記流動化手段(4)が、使用時、前記動作領域(30)の噴出型の流動化レジームを決定するように構成される、請求項1~のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記粒子床(3)が前記動作領域(30)に隣接する、好ましくはそれに外接される熱貯蔵領域(31)を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項9】
その全体構成は、使用時、前記動作領域(30)の前記固体粒子が太陽放射からの熱エネルギーを吸収し、それを前記貯蔵領域(31)の前記固体粒子に移すようなものである、請求項に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記ケーシング(2)が、前記粒子床(3)の自由表面(35)の上に配置され、前記照射開口部(10’)に又はその近くに底縁部(211)を有する傾斜面、又はスロープ状(210)を有し、その構成は、好ましくは、前記傾斜面(210)が例えば前記粒子床(3)から現れる前記流動化ガスの吸引効果を促進するようなものである、請求項1~のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記粒子床(3)の自由表面(35)の上で前記ケーシング(2)内に配置された、前記流動化ガスの吸引手段(6)を備える、請求項1~10のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記吸引手段(6)によって吸引された前記流動化ガスを前記流動化手段(4)に導入するように移送する移送手段を備える、請求項11に記載の装置(1)。
【請求項13】
前記流動化手段(4)による前記ケーシング(2)への入力としての前記流動化ガスと、前記吸引手段(6)を介して前記ケーシング(2)から出る前記流動化ガスとの間の熱交換手段を備える、請求項11に記載の装置(1)。
【請求項14】
前記吸引手段(6)が、前記流動化手段(4)によって前記粒子床(3)に供給される前記流動化ガスの流量以上の前記流動化ガスの流れを前記装置(1)から抽出するように構成される、請求項1113のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項15】
前記吸引手段(6)が、前記粒子床(3)の自由表面(35)と前記ケーシング(2)の上部(21;210)との間に置かれた空きスペース(22)に減圧を生じさせるように構成される、請求項1114のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項16】
使用時、太陽放射によって直接照射されるように配置され、好ましくは前記照射開口部(10)に又はその近くに配置された補助熱交換手段(9)を備える、請求項1~15のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項17】
前記粒子床(10)が、前記動作領域(30)に隣接し、前記動作領域(30)と前記固体粒子が動的に連通する熱貯蔵領域(131)を有する、請求項1~16のいずれか1項に記載の装置(101)であって、
前記動作領域(130)の流動化手段(104)であって、前記粒子床(103)内で縦方向に配置されかつ少なくとも前記床の自由表面(135)まで延びる上昇導管(140)を含み、前記上昇導管(140)が前記動作領域(130)の前記固体粒子を前記自由表面(135)の上及び前記照射開口部(200)での泡立ち又は噴出まで案内するように構成される、前記流動化手段(104)と、
前記ケーシング(2)と固定され、前記照射開口部(200)に配置された制限構造(105)であって、前記制限構造(105)は、前記上昇導管(140)に外接されて配置され、前記熱貯蔵領域(131)への再流入の動きにおいて、前記泡立ち又は噴出の下流で、前記動作領域(130)の前記固体粒子を案内するために前記粒子床(103)内を延びる下降導管(150)を有する、前記制限構造(105)と、を備える装置(101)。
【請求項18】
前記制限構造(105)が、前記粒子床(103)の前記自由表面(135)より上で、前記熱貯蔵領域(13)の前記固体粒子の流動化運動のプレナムチャンバ(124)を規定する、請求項17に記載の装置(101)。
【請求項19】
前記流動化手段(4、400)が、使用時、前記粒子床(103)又はその領域(130、131)の沸騰床のレジームを決定するように構成される、請求項17又は18に記載の装置(101)。
【請求項20】
前記粒子床(103)の前記自由表面(135)より上で、好ましくは前記制限構造(105)において、前記ケーシング(102)内に配置された前記流動化ガスの吸引手段(106)を備える、請求項1719のいずれか1項に記載の装置(101)。
【請求項21】
前記粒子床(103)の前記自由表面(135)より上で、好ましくは前記制限構造(105)において、前記ケーシング(102)内に配置された閉じ込めガスの入口手段(107)を備え、前記入口手段(107)は外側への前記固体粒子の逃げに対する障壁を生成するのに適した層化ガス流を供給するように構成される、請求項1720のいずれか1項に記載の装置(101)。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか1項に記載の装置を使用することを特徴とする太陽起源の熱エネルギーの貯蔵及び交換の方法であって、前記粒子床(3)を光学システムによって集光された太陽放射で照射することを含み、
前記粒子床(3)は、前記集光された太陽放射の入射を可能にするように構成された前記照射開口部(10;10’)を備えた前記ケーシング(2)に収容され、前記照射開口部(10;10’)は閉鎖及び遮蔽手段のない状態で前記粒子床(3)を外部環境と直接連通した状態に置き、
前記粒子床(3)は、前記照射開口部(10;10’)を介して入射する集光された太陽放射に直接さらされる動作領域(30)を有し、前記動作領域(30)の前記固体粒子は前記太陽放射からの熱エネルギーを吸収する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集光された太陽放射によって直接照射される粒子の流動化可能な床に基づく太陽起源の熱エネルギーの蓄積及び交換のための装置に関する。
【0002】
本発明はまた、そのような装置を含むエネルギー生産システム及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
反射鏡に放射を集光させるヘリオスタットを使用して太陽エネルギーを収集する方法が知られている。次に反射鏡は、粒子の流動床に基づく熱の蓄積と交換のための装置に放射を伝える。
【0004】
得られる熱出力に応じて1つ又は複数のユニットを含む熱/電気エネルギー生産のためのシステムは、太陽起源の熱エネルギーの蓄積及び交換のための前記装置に基づくことができる。
【0005】
従来技術の流動床装置は、2つの主要な構造に従って作られている。
【0006】
国際公開第2013/150347A1号パンフレットに開示されている第1の構造によれば、太陽放射は、装置の金属キャビティの壁で受け取られる。そのようなキャビティは、粒子の床のケーシングの一部を規定し、粒子の床内に広がる。粒子の流動床は、キャビティの壁から、そこに集光した太陽放射に由来する熱エネルギーを受け取る。
【0007】
高い入射放射流が存在する場合、今述べた構造には、キャビティの表面を高温及び熱勾配にさらすという不便さがあり、その結果、使用される金属合金の質に由来する熱機械抵抗と耐久性に関して危険性が生じる。キャビティ壁が均一にさらされる熱流を分散させるために、装置の周囲に配置された複数のサブセクションにおいてヘリオスタット場を編成することができる。しかしながら、この構成では、最高の照射方向に位置する単一のヘリオスタット場と比較した場合、各太陽光発電ユニットのための土地をより多く使用する必要がある。
【0008】
第2の既知の構造では、前述のキャビティは設けられず、蓄積交換装置の粒子床は、装置のケーシングに得られる透明な材料、典型的には石英の窓を通して集光された太陽放射を受け取る。
【0009】
しかしながら、このような第2の構造の危険性は、透明な窓と流動化された固体との直接接触を回避し、それにより、受け取りの効率を低減する透明な表面の汚れ、塵の堆積、及び/又は不透明化の現象(これにより、とりわけ、温度が上昇し、窓に熱勾配が生じる)の経時的な発生を抑制しなければならないという事実にある。
【0010】
今述べたタイプの受取器の使用に関するさらなる欠点は、工業用サイズのシステムの要件に適したサイズの石英窓を製造することの難しさに関する。特に、窓の計画サイズの増加に対しては、構造的支持を確保するために、その厚さの増加で対応する必要があり、これは放射線透過特性の対応する減少を伴う。
【0011】
さらに、既知の装置は、熱吸収及び伝達プロセスの維持及び有効性及び効率の点で危険性を示す可能性があることが強調される。さらに、既知の装置は、外部環境への放射線の再放射により、重大な熱損失を生じる可能性もある。
【0012】
上述したことの結果として、当技術分野で知られている太陽起源の熱エネルギーの蓄積及び放出のための装置は、特定の場合において、競争力のある産業的使用を可能にしない非効率の総和を有する。
【0013】
エネルギー又は熱の生産プラントは、上記の既知の装置に基づく可能性がある。そのような装置は、熱エネルギーの蓄積及び/又は交換のためのユニットの一部であり得る。そのようなユニットの数、従って装置の数は、達成される熱出力に依存する。上記の不便さのために、そのようなユニット及び関連するプラントは、いわゆる「パリティグリッド」とはかけ離れた高いエネルギー生産コストを伴う可能性がある。
【発明の概要】
【0014】
従って、本発明によって提起され解決される技術的問題は、従来技術の前述の不都合を克服することを可能にする太陽起源の熱エネルギーの蓄積及び供給のための装置を提供することである。
【0015】
この問題は、請求項1に記載の装置によって解決される。
【0016】
本発明はまた、請求項28に記載のシステム及び請求項31に記載の方法も提供する。
【0017】
本発明の好ましい特徴は、従属項の主題である。
【0018】
本発明は、粒子の流動床に基づいて太陽起源の熱エネルギーを受け取り、蓄積し、供給するための装置を提供する。粒子の流動床は、例えば、キャビティ又は透明な窓などの受取手段を介在させることなく、集光された太陽放射によって直接的な方法で照射される、すなわち衝突される。言い換えれば、流動床は、装置のケーシング、好ましくはケーシングの上部、さらにより好ましくは横位置で得られる照射開口部によって外部環境と直接連通している。
【0019】
従って、本発明の装置は、使用中、外部環境/入射太陽放射と粒子床との間に配置される透明窓も他の構造も提供しない。
【0020】
従来技術の間接照射装置と比較すると、本発明の装置は、壁も他の障壁も介在させることなく、流動化した固体への入射放射パワーの直接伝達を可能にする。従って、この装置により、照射開口部からの熱漏れを制限することができる。その結果、流動化した固体の特性によってのみ制限される最高到達温度は、間接照射による既知のシステムで許容できる温度よりも高く、装置の熱性能/収量が顕著に増加する。
【0021】
窓、壁のキャビティ及び他の障壁がないことは、本発明の装置に、より高い頑丈性及び耐久性を提供することに寄与する。
【0022】
有利には、装置は、特に一次ヘリオスタット及び二次反射器、例えば鏡を含む光学システムに関連付けられる。この光学システムは、太陽放射を装置上に、照射開口部を通して、粒子床の動作領域又は照射領域に集光させる。
【0023】
好ましい構成において、装置の照射は、地面に対して(又は垂直に対して)斜め方向に上から行われ、それは、その焦点が前述の照射開口部に対応する、高所に配置された二次反射器に関連付けられる、より優れた照射の方向に配置されたヘリオスタット場から作られた光学システムによって得られる。
【0024】
本発明の装置は、典型的には、粒状床に浸漬された熱交換要素を含む、又はそれに関連付けられる。これらの要素は、管束又は膜壁を含むことができ、好ましくは、作動流体が少なくとも装置の選択された作動段階で流れる。
【0025】
好ましい実施形態では、粒子床内の交換要素は、床粒子を除去する必要なく容易に交換可能である。熱交換要素の交換は、異なる種類の作動流体(例えば、超臨界状態のCO)を受け入れるようにそれらを維持又は調整するために必要になる場合がある。
【0026】
本発明の一態様によれば、入射太陽放射によって直接照射される粒子床の動作領域又は照射領域は、流動化システム、特に付加及び分配システム、典型的に空気によって好ましくは得られる特定の流体力学的レジームに従って流動化することができる。前記システムは、好ましくは、粒子床の基部に配置される。
【0027】
上述のように、流動化は、入射放射に直接さらされる床の動作領域、又は粒子床全体又はその選択された部分に影響を及ぼす可能性がある。
【0028】
特定の実施形態では、好ましい流動化レジメンは沸騰床タイプのものである。粒子床全体の流動化により、床の温度を効果的に均一化することができ、これは、照射領域に対応する領域に集められる太陽放射によって打たれた粒子を、隣接領域からの他の粒子で連続的に置き換え、より多くの内部領域と直接照射された領域との間で床粒子が連続的に再循環することにより起こる。
【0029】
従って、照射開口部での床粒子の交換、すなわち太陽放射に直接さらされる粒子の交換、及び床の残りの部分への熱エネルギーの供給と分配は、流動化システムによって確立された流体力学的レジメンのおかげで許容される。
【0030】
有利には、流動化は、床内の対流運動に関連し、対流運動により、集光太陽放射の影響を受ける粒子がベッドの隣接する粒子領域に向かって移動し、新しい粒子が照射領域に対応する領域に引き付けられる。
【0031】
有利には、前記流動化システムを構成する流動化ガスの付加及び/又は分配の手段は、床粒子を除去する必要なく装置の外側から検査することができ、必要に応じてメンテナンス/清掃を外側から行うことができる。このように、装置の検査又はメンテナンスのために、特に前述の付加/分配の手段が床の基部に配置されている場合、装置の動作を停止し、床粒子(通常は何トン分もの材料に達する)の冷却を待ち、装置を空にすることは必ずしも必要でない。
【0032】
装置の特定の動作モードによれば、流動化空気は、装置のケーシングの内側にある上部領域において粒子床から出現し、この領域はフリーボードと呼ばれる。
【0033】
好ましい実施形態では、前述のフリーボードで装置の内部環境に接続される専用の換気、又は吸引システムが提供される。この換気システムは、出現する流動化空気の連続吸引を行い、外部環境と比較した場合に(わずかな)減圧をもたらすことが好ましい。
【0034】
考えられる除塵段階の下流で、この空気は、通常は装置の外側にある熱交換器を通過し、その熱量を、例えば別の作動流体に放出することができる。従って、この熱量は、例えば専用システムでの水の脱塩プロセスなど、さまざまな目的に使用可能になる。より好ましくは、装置から出る流動化空気は、特定の交換器によって、周囲空気を予熱することができ、周囲空気はその後、前述の流動化システムによって粒子床に導入される。さらなる変形例に基づいて、換気システムは、同じ床の流動化の目的のために、特にその底部で、フリーボードから粒子床に直接引き込まれる空気の再導入をもたらし得る。
【0035】
床の熱流体の動的特性により、特に流動化空気流によって誘発されるように、粒子の速度が高まるほど、床自体の内部で生じる熱交換係数が高まる。この理由のため、及び塵及び熱気が装置から照射開口部を通って逃げることを回避するために、装置の特に好ましい構成は、前記開口部の位置の間に相乗効果を、フリーボード及び/又はフリーボード内の圧力の境界を定めるその領域におけるケーシングの構造を提供する。
【0036】
好ましい構成に基づいて、照射開口部は、典型的にはその頂上又はその付近で、装置のケーシング上に横方向に配置される。特に、開口部の位置は、粒子床の主な流動化方向及び/又は床の主延長方向に対して横向きである。好ましくは、フリーボードの境界を定めるケーシングの部分は、典型的にはケーシング自体の上壁であるが、照射開口部に下縁又は下部を備えた傾斜した、又は覆い付きの構成を有する。有利には、前記傾斜構成の上縁部又は上部に、又はその近くに、フリーボードに現れる流動化空気を引き込む換気システムへの接続部が配置される。このようにして、ケーシングの関連部分は覆いとして機能し、換気システムへの接続部に向けて粒子床から現れる高温流動化空気の対流運動に有利に働き、前記空気は、前記システムの吸引作用によって生じる減圧によって好ましくは引かれる。従って、熱気は照射開口部から遠ざけられる。
【0037】
好ましい構成において、照射開口部の位置の選択は、集光された太陽放射によって直接照射される床部分の形態係数を最小限に制限するようなものである。特に、好ましくは、粒子床のどの部分も、垂直方向又は縦方向に従って照射開口部と直接対応していない、すなわち、開口部自体に関して単一の形態係数を示さない。この構成により、粒子床の表層部で発生する再照射による熱の損失を最小限に抑えることができ、空気や塵が逃げるリスクも低減する。
【0038】
好ましい実施形態に基づいて、換気システムは、粒子床の温度が上昇するにつれて吸引速度を増加させるように構成される。この自動化により、フリーボード領域で一定の、又はとにかく制御された減圧を維持することが可能になる。
【0039】
いずれにせよ、上記のように、換気システムは、装置の内部圧力を周囲環境の圧力以下にすることができ、それにより装置の外部環境への熱気及び最終的な塵埃の逃げを低減又は排除する。
【0040】
外部環境に対するフリーボード領域の減圧の場合、外気が照射開口部から装置に入ることができる。このような外気の侵入は、同じ開口部からの流動化空気と塵埃の逃げに対抗することができる。
【0041】
本発明の別の態様によれば、照射開口部において、補助熱交換器を完全に又は部分的にケーシングの外側に配置することができる。そのような補助熱交換器は、特にそれを通過する作動流体で、集光太陽放射を直接受け取ることができる。補助熱交換器は、粒子床に挿入される熱交換器から独立することができ、太陽放射によって取得されたエンタルピー量をさまざまな目的で、例えば装置に関連付けられる脱塩システムに連続的に動力を供給するために、すぐに利用できるようにすることができる。他の用途では、補助交換器を粒子床内の交換器に接続し、関連する作動流体の予熱を実行することができる。
【0042】
熱交換器は、照射開口部に配置された案内手段(例えば、外側に向かってテーパ状にされた円錐台の形状を有する)内に収容することができる。そのような変形例は、照射開口部から装置に入ることができる周囲空気の予熱に寄与する。
【0043】
追加の実施形態は、それぞれが上述の特徴を有する複数の照射開口部を提供してもよい。
【0044】
本発明の装置は、太陽エネルギーによる熱エネルギーの生産のためのモジュール式システムの一部であり得る。
【0045】
本発明の他の利点、特徴及び使用様式は、例として提示されるが限定的な効果のない特定の実施形態の以下の詳細な記載から明らかになるであろう。
【0046】
添付された図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】いわゆる「ビームダウン」タイプの光学システムに関連付けられた、本発明の第1の好ましい実施形態による、太陽起源の熱エネルギーの蓄積及び交換のための装置の概略図を縦方向断面で示す。
図2】熱交換システムの特定の構成要素に関連した、図1の装置の拡大された概略実施形態を示す。
図3】エネルギー生産システムの特定の構成要素との関連を含む、図1の装置の別の拡大された概略図を示す。
図4】先行する図のシステム構成要素及び要素と組み合わせることができる、本発明の別のより好ましい実施形態による、太陽起源の熱エネルギーの蓄積及び交換のための装置の概略縦方向断面図を示す。
図5】本発明の別の好ましい実施形態による太陽起源の熱エネルギーの蓄積及び交換のための装置の概略図を縦方向断面で示す。
図6】流動化ガスの代替の分配モードに関する本発明の別の好ましい実施形態による太陽起源の熱エネルギーの蓄積及び交換のための装置の概略図を縦方向断面で示す。
図7】本発明の別の好ましい実施形態による太陽起源の熱エネルギーの蓄積及び交換のための装置の概略図を縦方向断面で示し、これは流動床のフリーボードからの粒子の逃げを回避するための遮蔽方法を強調する。
図8図7の装置の概略上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
上で紹介した図に示されている直線及び角度寸法又は引用は、単なる例として理解されるべきであり、必ずしも比例して表されているわけではない。
【0049】
本発明の様々な実施形態及び変形例を、上で紹介した図を参照して以下に記載する。
【0050】
総じて言えば、類似の構成要素は、同じ参照番号を使用して、すべてのさまざまな図に示されている。
【0051】
記載で既に取り扱われた実施形態及び変形以外の実施形態及びさらなる変形は、既に記載されたものとの違いに関してのみ説明される。
【0052】
さらに、以下で記載される様々な実施形態及び変形の特徴は、並び立つ場合、組み合わせ可能であると理解されるべきである。
【0053】
図1を参照すると、本発明の第1の好ましい実施形態による、太陽起源の熱エネルギーの蓄積及び交換のための装置、又は受取器が、全体として参照番号1で示される。
【0054】
本実施形態の装置1は、エネルギー生産システム500に挿入されると考えられ、システムは最終的にはここで検討されるようなものなどの装置を複数含む。
【0055】
システム500は、入射太陽放射を装置1に集光させるように構成された光学システムを含むことができる。各装置1は、それ自体の光学システムに関連付けることができる。有利なことに、そのような光学システムは「ビームダウン」構成を有する。特に、光学システムは、地面に配置され、太陽放射を収集して1つ又は複数の二次反射器502又は同等の二次光学要素に偏向/集光させるのに適した複数の一次ヘリオスタット501又は同等の一次光学要素を含むことができる。二次反射器は、地面に配置された1つ又は複数の装置1より上の上昇した高さに配置されているため、装置自体に太陽放射を伝送する。図1では、光学要素の共通の焦点はF1で示され、表される2次光学要素の焦点はF2で示されている。
【0056】
一次ヘリオスタット501は、例えば基本ポイントに従って配置されたサブフィールドに編成することができる。
【0057】
図2により詳細に示すように、装置1は、内部区画20を規定する格納ケーシング2を備え、内部区画20は、手短に記載される流動化可能な粒子床3を収容するのに適している。ケーシング2は、多角形の形状、例えば立方体、平行六面体又は円筒形の形状を有することができる。この例では、ケーシング2は、上壁21、横方向スカート23、及び下壁又はベース24を含む。
【0058】
装置1の形状に関して、この例では垂直方向に縦方向L、及び縦方向Lに直交する、従ってこの例では水平である横断方向Tを定義することができる。
【0059】
ケーシング2は照射開口部10を有する。上述の二次反射器502は、入射太陽放射を特に開口部10に、又は開口部又はその近傍(焦点F2)に及び区画20内に集光させる。
【0060】
開口部10は、内部区画20、ひいてはそれが収容する粒子床3を外部環境と直接連通する状態に置く。特に、開口部10は、使用中、例えば透明窓又はそれに類するものなどの閉鎖手段又は遮蔽手段を有さない。言い換えれば、装置1は、閉鎖手段も遮蔽手段もなく動作するように構成される。非動作期間中は、システムを保護し、外部環境への熱エネルギーの外への分散を排除又は削減するための取り外し可能な手段を使用して、開口部を閉じることができる。
【0061】
この例では、開口部10は、ケーシング2の上壁21に配置され、それに対して縦方向に概ね中央に配置されているように示されている。しかしながら、そのような表現は、純粋に例示的なものとして理解されるべきであり、前記開口部10の特に好ましい配置は、図4を参照して後述される。
【0062】
流動化可能粒子の床3は、粒状タイプのものである、すなわち、固体粒子により形成される。装置1の粒子床に好ましい粒状材料の種類は、高い伝導性と拡散性の熱特性を有するものである。好ましい粒状材料の例は川砂であり、これは、適切な熱特性を有することを超えて、粒子間の相互摩耗の現象を最小限に抑える自然に丸い形状の粒子を特徴とする。
【0063】
床3は、使用中にも、それ自体の自由表面35の上に空いている空間22又はフリーボードを残すように内部区画20を占有する。特に、空間22は、底部で自由表面35によって、上部でケーシング2の壁21によって、及び横でケーシング自体のスカート23によって境界を定められる。
【0064】
床3は、第1の床領域30を規定し、その自由表面は、照射開口部10を通って入る太陽放射によって直接照射される、すなわち、衝突される/打たれるように配置される。前記第1の領域30は、動作可能、又は照射領域と呼ばれる。動作領域30を取り囲んで隣接する床の残りの部分は、蓄熱領域31を規定する。
【0065】
総じて言えば、ここで考慮される例では、動作領域30は床3の縦方向中央に配置され、蓄熱領域31はそれを囲み、横でそれに隣接している。
【0066】
実施形態の変形形態は、動作領域、すなわち直接照射される領域が床3の広がり全体を占めることを提供することができる。
【0067】
粒子床3は、区画20内に流動化ガス、特に空気を付加及び分配するように構成された流動化手段4によって活性化される。この実施形態では、流動化手段4は、ケーシング2の又は粒子床3の下側ベース24に配置された流動化空気の複数の付加又は入口要素を備える。従って、粒子床3内の流動化空気の経路は、下から上、特に垂直又は実質的に垂直である。より一般的な用語では、流動化ガスの導入は、縦方向Lに従って行われる。
【0068】
この例では、このような付加要素は、蓄積領域31の底部と動作領域30の底部の両方に配置され、従って空気を付加する。図2では、動作領域30に配置された付加要素は参照番号40で示されている。
【0069】
この例では、粒子床3、すなわちその2つの領域30及び31の均一又は実質的に均一な流動化が提供される。
【0070】
床3の流体力学的レジメンは、その様々な部分の粒子間、特に動作領域30の粒子と蓄積領域31の粒子との間の効果的な熱交換を可能にする。このプロセスは、床粒子、特に2つの領域に属する粒子が、連続的な交換と再循環を経験するという事実によって促進される。使用中、動作領域30の粒子、特に自由表面35上又はその近傍に配置された粒子は、太陽放射から熱エネルギーを吸収し、他の床粒子、特に蓄積領域31の粒子に熱エネルギーを伝達する。
【0071】
前述のように、粒子間の熱交換は、流動化レジメンによって決定される対流運動によって促進される。これらの動きは、床の隣接するサブ領域の上部で、より速い流動化速度を有するサブ領域の粒子を、より低い流動化速度を有する隣接するサブ領域に移し、又は注ぎ込み、より速い速度を有するサブ領域内のこの後者のサブ領域の粒子を隣接するサブ領域の下部に引き込む。
【0072】
このサブ領域粒子の再混合により、太陽スポットの影響を受ける床の動作領域の全容積内での質量及び熱エネルギーの移動が可能になり、集光化太陽放射にさらされた粒子の表面が最大化される。
【0073】
実施形態の変形形態は、差別化された流動化、最終的には領域30及び31の一方のみの流動化、及び/又は領域の時間的に差別化された流動化を提供することができる。床の異なる領域又は部分の流動化、又はそれらに対して選択できる流動化レジメンは、粒子床3に入る流動化空気流の速度、最終的には容量又は流量が異なる場合がある。
【0074】
流動化要素は、この例に示されるように、粒子床3の底部に均一に配置することができ、又は差別化された方法で配置することができる。
【0075】
さらに、互いに構造的に類似しており、最終的には、例えば速度及び/又は容量/流量の点でさまざまな方法で制御される流動化要素を提供することができる。
【0076】
流動化レジメンはまた、沸騰型及び/又は一般に、床3又はその領域もしくは部分内の粒子の対流運動を促進するレジメンであり得る。
【0077】
特定の実施形態の変形例では、床全体又はその領域又は部分の1つに対して選択される流動化レジメンは、いわゆる「噴出」型、例えば噴流、噴水又は衝撃でもあり得る。噴出型の流動床は、一般に、床自体の基部における中央ガス流動化噴流を特徴とする流体力学レジメンを有し、それは、噴流に直接さらされる粒子と周囲の粒子との速度の強い違いにより、噴流自体ならびに直面(円柱)領域を主張する床カラムの一部によって引かれた動きを確立し、前述のように、噴流の横部分に引かれた固体によって供給された噴水効果を中央部に生じさせる。
【0078】
有利には、流動化ガスの前述の付加要素は、床粒子を除去する必要なく、装置の外側から検査でき、必要な場合、外側からメンテナンス/クリーニング作業を行うことができる。
【0079】
ここで考慮される例では、流動化システムは、装置1の基部に水平に配置され、好ましくはその横方向スカート又は壁23で装置を通過するように配置された流動化空気の1つ又は複数の分配導管45を含む。装置1の外側で、各導管45に、例えば、取り外し可能なフランジ46を設けることができる。このようにして、必要であれば、導管45の内部を検査及びアクセスできるように、前述のフランジ46を単に取り外すだけで十分である。
【0080】
熱交換要素5、特に管束は、床3内、特に蓄積領域31内に収容することができる。前記管束は、選択された動作条件下、すなわち特定の使用条件下で、作動流体、例えば、液体及び/又は蒸気状態の水が横切ることができる。
【0081】
特に、熱交換段階、すなわち、保持された熱エネルギーの使用段階において、作動流体は管束5内に流され、蓄積領域31の粒子から熱を受けることができる。対照的に、蓄積のみの段階では、管束5は乾燥状態で、つまり作動流体なしで動作できる。
【0082】
好ましい適用様式では、蓄積段階は日光の存在下で作動させることができる。熱交換、すなわち、熱エネルギーの作動流体への伝達は、太陽光がない場合でも作動させることができる。
【0083】
粒子床3、又はその(サブ)領域又は部分の1つの流動化は、蓄積段階中にのみ起こり得る。
【0084】
熱交換要素5は、床粒子を除去する必要なく容易に交換できるように構成することができる。
【0085】
図3に示すように、公称温度及び圧力条件下で装置1から出る作動流体は、電気エネルギーの生産用の発電機に結合されたタービン510内で膨張させるか、他の産業目的、例えば、温水の生産、空調システム又は脱塩システムで使用することができる。言い換えれば、管束5は、システム500のさらなる構成要素、例えば1つ又は複数のタービン510、凝縮器511、熱交換器521、ポンプ520などに連結されており、そのそれぞれはそれ自体既知である。
【0086】
さらに図2及び3を参照すると、装置1はさらに、粒子床3内でそれ自体の経路を終了し、フリーボード22でそこから出る流動化空気の吸引のための手段6を備える。そのような吸引手段6は、従って、粒子床3の自由表面35の上でケーシング2内の空気を吸引するように構成される。この例では、吸引手段6は、ケーシング2の横方向スカート23の上部に配置された空の空間22からの空気の出口要素60を含む。
【0087】
好ましくは、吸引手段6はまた、流動化空気及び/又はそれによって開口部10を通して外部環境に運ばれる粒子の導入又は大量導入を回避するように構成される。
【0088】
有利には、吸引手段6は、制御手段(図示せず)、好ましくは流量センサを有し、これは、流動化手段4に関連するさらなる制御手段(図示せず)と相乗作用して、粒子床3に導入される流動化空気の流量以上の空気流量を装置1から抽出する。
【0089】
好ましくは、吸引手段6の構成は、空間22の減圧を決定するようなものである。この場合、吸引手段6は、入口開口部10を通る環境から装置への空気の戻りを決定する。この空気は、入口開口部10を通過する間に温まり、装置1から抽出される空気に提供される熱含量をそれ自体で強化する。
【0090】
有利には、装置1は、粒子床3の自由表面35で粒子床3から出て手段6により吸引された(加熱された)流動化空気と、流動化手段4によって粒子床3に入る流動化空気との間の熱交換を提供する。換言すれば、熱交換手段を介して得られる熱の再生が提供される。これは、熱交換構成要素512、流動化空気塵埃除去構成要素513、換気構成要素514、装置515から流動化空気を吸引するための、及び周囲空気を流動化システムに導入するための構成要素によって、図に概略的に表される。
【0091】
実施形態の変形例では、装置1は、粒子床3の自由表面35にプレナムチャンバを有する。このプレナムチャンバは、床粒子の速度が低いか速度がないゾーンとして理解され、この例では、空きスペース22によって規定される。
【0092】
プレナムチャンバ22でさえも、開口部10を通る空気及び/又は粒子の逃げ、又は大規模な逃げを回避することに寄与する。
【0093】
実施形態の変形例では、装置1は、層流の形態の閉じ込めガス、特に空気を導入する手段をさらに含むことができる。層流は、粒子の外部への逃げに対する(さらなる)障壁を生成するのに適している。
【0094】
前記手段は、粒子床3の自由表面35の上方、特に照射開口部10に配置することができる。好ましくは、その構成は、層流が、開口部10が展開する横断方向Tに平行に、開口部10に沿って特に放出され、開口部のクロージャの一種のガス状窓を形成するようなものである。
【0095】
さらに、この実施形態では、装置1は、照射開口部10の口に配置された成形制限構造8又はガイドを含む。制限構造8は、装置1の外側に完全に又は主に展開することができる、すなわち、空きスペース22内に突出することができる、又は部分的に空きスペース22内に突出することができない。
【0096】
制限構造8は、照射開口部10によるケーシング2の内側と外側との間の直接連通を維持するように、貫通開口部を有する、すなわちそれは管状構造を有する。
【0097】
実施形態の変形例では、制限構造8は、(さらなる)プレナムチャンバをもたらし、従って、空気及び/又は粒子が外部に逃げるのを回避又は低減することに寄与する。
【0098】
この実施形態では、制限構造8は、ケーシング2の内側に向かって減少する断面を有する、特に円錐形のテーパ形状を有する。制限構造の前記断面は、専用の光学システムによって集光される太陽放射の方向との干渉の回避を可能にする。
【0099】
さらに、構造8の壁に、フリーボード22の環境と連通するか、専用の吸引システムに関連付けることができる空気吸引ノズル又は同等の吸引要素を作ることができる。フリーボード22と連通すると、これらのノズルは、吸引された空気を自由表面35とケーシング2の上壁21との間に含まれる空間に注ぐ。ここから、この空気流は、既に紹介した吸引手段6によってさらに吸引される。
【0100】
実施形態の変形例では、装置1は、非作動期間中のシステムの保護のため、及び外部環境への熱エネルギーの分散を排除又は減少させるために、開口部10で取り外し可能な手段を支持する外部フレーム80をさらに備える。
【0101】
好ましい実施形態によれば、装置1は、制限構造8に、又は一般的な用語では、照射開口部10に配置された補助熱交換器9を備える。補助交換器9は、例えば流体ベクトルによって熱を吸収するために、入射太陽放射に直接さらされるように構成される。
【0102】
補助交換器9は、粒子床に導入された熱交換要素5から独立していてもよいし、それらに接続されてもよい。
【0103】
図4は、本発明の装置の特に好ましい実施形態を示し、それはここでも1で示されている。それは概略的に示されているが、ケーシング2に横方向に配置された、ここでは参照符号10’で示される照射開口部の位置を除いて、上記と同じ記載がこの実施形態に当てはまる。特に、開口部10’は、ケーシング2の上部に沿って作られ、この例では、ケーシングの横方向スカート23の一部230と、ケーシング2自体の上部壁、特に傾斜した壁210との間に規定される。この例では、部分230は、スカート23の残りの部分と比較すると、特に横断方向及び縦方向T及びLと比較すると傾斜を有し、前記残りのスカート部分と比較すると外側に突出する。好ましくは、粒子床3の自由表面35は、流動化動作条件において、部分230の下縁部、又はその近傍、特にその下に配置される。
【0104】
傾斜又は覆い付き上壁210は、部分230とともに開口部10’をもたらす下縁211と、上述の吸引又は換気手段6の要素又は出口ポート600に接続される上縁212とを有する。
【0105】
図1を参照して言及した二次光学要素502の焦点F2は、開口部10’の口にある。
【0106】
すでに上で強調したように、開口部10’の横方向位置、ケーシング2の傾斜構成210、及び/又は吸引手段6によって(同じく)得られるフリーボード22の圧力レジメンは、粒子床3内の熱交換を改善するために、及び装置1からのほこりや熱気の逃げを回避するために相乗的である。
【0107】
図4には、1つ又は複数の横方向要素402及び403から独立することができる1つ又は複数の中央付加要素401で作られた、上述のものに類似した流動化手段4が示されている。これらの要素は、例えば、前述のものと類似した1つ又は複数の取り外し可能なフランジ46によって、外側から検査及び/又は整備することができる。
【0108】
図4は、ケーシング2の多層構造をさらに強調している。
【0109】
図5は、全体として101で示される太陽起源の熱エネルギーの貯蔵及び/又は交換のための装置の別の好ましい実施形態を示す。装置101は、エネルギー生産プラント、特に電気プラントでの使用に適しており、光学システムにより集光された太陽放射を受けるように構成されている。
【0110】
装置101は、下部ベース121、上部壁122、及び横方向スカート123を有する外部ケーシング102を含む。ケーシングは、照射開口部200で外部環境と直接連通する内部区画120を有する。照射開口部200は、この例では、上壁122の中央に配置される。またこの場合、開口部200は、集光化太陽放射の入射を可能にするように構成され、前述のように、使用中に閉鎖手段も遮蔽手段もなく内部区画120を外部環境と直接連通した状態に置く。
【0111】
流動化可能な固体粒子の床は、全体が番号103で示され、他の実施形態に関連して上述したものと類似する区画120内に収容される。
【0112】
使用中の粒子床103内の-先行実施形態に類似する-装置101の動作様式を参照すると、開口部200を通って入射する集光太陽放射に直接さらされる照射部分又は動作部分130と、照射部分130に外接して配置された、熱貯蔵及び/又は交換部分131とを識別することができる。この実施形態では、照射部分130は、貯蔵及び/又は交換部分131に対して中心に配置される。2つの部分130及び131はそれぞれ粒子床内で縦方向Lに、すなわち基部121と上壁122との間に延びる。135で示される床103の自由表面(フリーボード)は、一般に、ケーシング102の上壁122より下に配置され、自由空間136によって上壁122から隔てられている。
【0113】
2つの床部分130及び131は、使用中に2つの部分の粒子が交換され、連続的な混合を経験するという意味で、粒子が動的に連通している。フリーボード136の延長部でさえ、特定の用途に応じて可変であり得る。
【0114】
粒子床103又はケーシング102の基部には、全体として番号104及び400で示され、床103の、特にそのそれぞれの部分130及び131の流動化を決定するように構成された第1及び第2の流動化手段が提供される。
【0115】
より詳細には、第1の流動化手段104は、照射部分130の基部に対応するように中央に配置された、空気又は他の流動化ガスを運ぶための要素141を含む。
【0116】
次に、第1の流動化手段104は、床103の内部に縦方向に延びる上昇導管(「立ち上がり管」)140を含み、それは特に、床の基部の近くの第1の部分142と、自由表面135の上方に配置される第2の部分143とを示す。上昇導管140は、その内部に照射部分130の粒子を受け入れ、それらを自由表面135の上方及び照射開口部200での泡立ち又は噴出まで案内するように構成される。
【0117】
第2の流動化手段400はまた、ケーシング102の基部に対して横方向に配置された空気又は他の流動化ガスの搬送用の要素401を含む。この要素401は、ガスを貯蔵及び/又は交換部分131の基部に分配するウインドボックス402内にガスを搬送する。
【0118】
好ましくは、流動化手段104及び/又は400は、使用中に、粒子床103全体又はその部分又は下位部分における沸騰床のレジームを決定するように構成される。
【0119】
図6に示される実施形態の変形例では、第2の流動化手段は複数の分配要素(「スパージャー」)を含み、そのうちの1つは例として403で示される。
【0120】
再び、図5を参照すると、装置101はさらに、ケーシング102と一体であり、照射開口部200に完全に外接するように配置された制限構造105を含む。
【0121】
制限構造105は、2つの床部分130と131の間の粒子の動的交換を決定するために、第1の流動化手段104と協働する。この目的のために、構造105は、上昇導管140に外接して配置される。
【0122】
この実施形態では、制限構造105は、底部から頂部まで変化する、すなわちテーパ状である形状を示し、その断面はケーシング102の内側に向かってサイズが減少する、特に逆円錐台形状である。前記円錐台の下部基部は、上昇導管140に外接して配置され、粒子床の内側に延びる下降導管150によって連続する。好ましくは、制限構造105は、前記照射開口部200に対して少なくとも部分的に外側に突出して配置される。
【0123】
全体的な構成は、前記泡立ち又は噴出の下流の照射部分130の粒子が上昇導管140と制限構造105との間で落下し、再流入の動きで下降導管150によって熱貯蔵及び/又は交換の部分131へ案内されるようなものである。
【0124】
2つの導管140と150の間で床103内に規定された縦方向区画は、粒子及び開口部200を通って装置101の外側に向かう第2の手段400によって付加される流動化ガスの流出に関して液圧シールを確立する。
【0125】
従って、使用中、照射部分130の粒子は、泡立ち又は噴出の間、太陽放射から熱エネルギーを吸収し、下降導管150を通って案内されると、それを貯蔵及び/又は交換の前記部分131の粒子に伝達する。
【0126】
好ましくは、制限構造105は、床103の自由表面135の上に、照射部分130の粒子の流動化運動のプレナムチャンバ124を規定する。
【0127】
従って、有利には、第1及び第2の流動化手段104及び400は、好ましくは異なる粒子流動化速度に基づいて、部分131と比較したときに照射部分130の異なる流体力学的レジメンを決定するように構成される。
【0128】
図6に示される装置は、第2の流動化手段における前述の変形を除いて、図5の装置に完全に類似している。
【0129】
図7及び8に関して、それらは、粒子床103の自由表面135より上でケーシング102内に配置され、特に500で示された制限構造に関連する、流動化ガスの吸引手段106を提供するさらなる実施形態を示す。
【0130】
そのような手段106は、この例では、構造500の横方向スカートに沿って配置された1つ又は複数の吸引バルブ又はノズルを含む。具体化された構成では、構造500は前述の下降導管を提供せず、床103の自由表面135の上で終端する。ノズルの存在は、第2の流動化手段400を通して搬送される流動化ガスが開口部200を通って漏れるのを防ぐ。
【0131】
図7はまた、熱交換要素110、特に使用中に作動流体と交差し、流動化可能粒子の床の貯蔵及び/又は交換の前記部分131に配置された管束を示す。明らかに、前記要素110は、上記の他の実施形態及び変形例でも提供される。
【0132】
同じく前に説明したように、上で考慮されるすべての図を考慮するときに記載される装置101は、粒子の外部への逃げに対する障壁を形成するのに適した層化ガス流を供給するように構成された、自由表面135の上の閉じ込めガス、好ましくは空気の入口手段も含み得る。前記手段は、図7で考慮されたのと同じバルブ又はノズルによって実施されてもよい。
【0133】
上述のように、本発明の装置は、光学システムと連動するのに適しており、光学システムは、地面に配置された1つ又は複数の一次光学要素と、高所に配置された1つ又は複数の二次反射光学要素とを提供する「ビームダウン」構成を有することが好ましい。光学システムは、前述の照射開口部に沿って太陽放射を集光させるように構成される。
【0134】
本発明の装置は、モジュール式の性質を特徴とし、これは、熱交換に関して直列又は並列の1つ又は複数の類似の装置にリンクされることによく適合するということである。
【0135】
さらに、記載された様々な実施形態及び実施形態の変形例による装置のタイプは、産業システムの生産性及び/又は操業の柔軟性を高めるために有利に関連付けられ得る。
【0136】
図3に例として示すエネルギー生産システムの管理は、ユーザの要求及び/又は気象条件に基づいてその動作を最適化する制御ソフトウェアによって実行することが好ましく、その結果、システムの完全に柔軟な操業が得られる。
【0137】
繰り返しになるが、好ましい構成では、本発明の1つ又は複数の装置に基づくシステムは、日中に電気エネルギーの生産を提供し、システム補助機器の消費を補償する太陽光発電システムに有利に関連付けることができる。この構成では、蓄積及び移送装置は、太陽光の時間中に太陽起源の熱エネルギーを蓄積するレジメンの下で管理され、次に、夜明け以降の電気エネルギーの生産のために、内部交換器を通過し粒子床へ移動する作動流体に熱エネルギーを移しながら、熱エネルギー供給のレジームの下で管理されることができる。
【0138】
さらに、同じ構成において、システムは脱塩システム又は太陽起源の熱エネルギーを利用するための別のシステムに関連付けることができる。このような場合、装置は混合レジームの下で管理することができる、すなわち、電気エネルギーの夜間生産のために蓄積を使用し、及びシステムの、例えば脱塩のシステムの連続運転に熱エネルギーの関連供給を捧げる同時供給を使用する。
【0139】
本発明の装置は、他の再生可能(例えば、太陽光、風力、地熱)又は非再生可能エネルギー源によって動力を供給されるシステムによって補完されることができ、非再生可能エネルギーから生成されたエネルギーの生産を低減又は排除するためにエネルギー生産の継続を確実にする。
【0140】
上記のすべての実施形態及び変形例では、集められた放射から流動床へのエネルギーの伝達は、集められたエネルギーと相関熱ベクトルとの間にそれ自体を置くことで物理的な分離をもたらす膜又は透明な窓による従来の受取手段とは異なり、熱エネルギーの主ベクトルとなる粒状材料を介して得られる。
【0141】
本発明はまた、本発明の装置及びシステムに関連して上述した機能に基づいて、太陽起源の熱エネルギーを蓄積及び交換する方法を提供する。
【0142】
本発明を好ましい実施形態を参照して記載してきた。以下に報告される特許請求の範囲の保護の範囲によって定義されるように、同じ発明概念に言及する他の実施形態が存在し得ることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8