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特許7008722ガスタービンエンジンの燃焼器セクションにおける冷却流体の二重利用のための導管配置を備えたシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】ガスタービンエンジンの燃焼器セクションにおける冷却流体の二重利用のための導管配置を備えたシステム
(51)【国際特許分類】
   F23R 3/18 20060101AFI20220118BHJP
   F23R 3/42 20060101ALI20220118BHJP
   F02C 7/24 20060101ALI20220118BHJP
   F01D 25/04 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
F23R3/18
F23R3/42 A
F02C7/24 C
F01D25/04
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019553332
(86)(22)【出願日】2018-03-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-28
(86)【国際出願番号】 US2018023763
(87)【国際公開番号】W WO2018183078
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2019-12-13
(31)【優先権主張番号】62/478,826
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/478,799
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517298149
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ドメニコ・ガンバコルタ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォイチェフ・ティシュキーエヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・カサー
(72)【発明者】
【氏名】クリフォード・イー・ジョンソン
【審査官】小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-079484(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0198854(US,A1)
【文献】特開平06-221563(JP,A)
【文献】特表2016-525207(JP,A)
【文献】特開2012-077660(JP,A)
【文献】特開2013-140248(JP,A)
【文献】国際公開第2017/006971(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/013585(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/097982(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0283700(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23R 3/00- 3/60
F02C 7/00- 7/36
F01D 25/00-25/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンエンジンにおける冷却流体の二重利用に有効なシステムであって、
冷却環(70)であって、燃焼器バスケットから受け取られて前記冷却環(70)の上流側(26)と下流側(28)との間を通過する高温燃焼流を受け、前記冷却流体を受け取る少なくとも1つの供給チャネル(74、86)を含むライナー(72)を含む、冷却環(70)と、
前記少なくとも1つの供給チャネル(74、86)と流体連通して上流方向に延びる複数の導管(78、88)に前記冷却流体を供給する供給マニホールド(76、84)であって、前記複数の導管(78、88)は、前記冷却環(70)の複数の出口オリフィス(80、90)と流体連通している、供給マニホールド(76、84)と、
前記冷却環(70)の前記出口オリフィス(80、90)のそれぞれと流体連通している複数の共振器(92)であって、前記複数の共振器(92)の少なくともいくつかが、異なる量の前記冷却流体で動作するように構成されている、複数の共振器(92)と、
その間にチャンバ(94)を画定する前記複数の共振器(92)のそれぞれの1つの外面を取り囲むエンクロージャ(96)と、
を含み、
前記冷却環(70)の前記複数の出口オリフィス(80、90)のそれぞれのグループは、前記複数の出口オリフィス(80、90)の前記それぞれのグループを出た後に前記チャンバ(94)内に前記冷却流体を流入させるために、前記複数の共振器(92)の前記それぞれの1つの下流の前記チャンバ(94)内で前記ライナー(72)に配置され、かつ、前記チャンバ(94)は、前記複数の共振器(92)の前記それぞれの1つと流体連通しており、
前記冷却環(70)の前記複数の出口オリフィス(80、90)の前記それぞれのグループが、前記冷却環(70)の前記複数の出口オリフィス(80、90)の前記それぞれのグループと流体連通している前記複数の共振器(92)のそれぞれの1つに適切な量の前記冷却流体を供給するようにそれぞれ構成されており、
前記冷却環(70)の前記複数の出口オリフィス(80、90)の前記それぞれのグループは、前記冷却環(70)の前記複数の出口オリフィス(80、90)の前記それぞれのグループと流体連通している前記複数の共振器(92)の前記それぞれの1つに適切な量の前記冷却流体を供給する異なる数の出口オリフィス(80、90)および/または異なるオリフィス形状を含む、システム。
【請求項2】
前記供給マニホールド(76、84)は、前記冷却環(70)の前記下流側(28)に近接して配置され、前記冷却環(70)の前記複数の出口オリフィス(80、90)は、前記冷却環(70)の前記上流側に配置され、前記供給チャネル(74、86)の入口が、前記冷却環(70)の前記上流側(26)と前記下流側(28)との間に配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記供給マニホールド(76、84)と、前記冷却環(70)の前記複数の出口オリフィス(80、90)と流体連通している前記複数の導管(78、88) とは、前記冷却環(70)の円周セクター上に配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の導管(78、88)は、前記冷却環(70)における共平面の軸に沿って延びている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記冷却環(70)の前記ライナー(72)は、積み重ねられたマルチパネル配置を含み、前記複数の導管(78、88)の少なくともいくつかが、前記冷却環(70)における非共平面の軸に沿って延びている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
ガスタービンエンジンにおける冷却流体の二重利用に有効なシステムであって、
冷却環(22)であって、燃焼器バスケットから受け取られて前記冷却環(22)の上流側(26)と下流側(28)との間を通過する高温燃焼流を受け、複数の入口オリフィス(34)で受け取られた冷却流体を複数の出口オリフィス(36)に運搬するように配置された複数の導管(32)を含むライナー(30)を含む、冷却環(22)と、
前記冷却環(22)の前記複数の出口オリフィス(36)と流体連通して前記導管(32)によって運搬される前記冷却流体を受け取る複数のマニホールドセクター(40)を含む分配器マニホールド(38)と、
前記分配器マニホールド(38)と流体連通している複数の共振器(42)であって、前記複数の共振器(42)の少なくともいくつかが、異なる量の前記冷却流体で動作するように構成され、前記分配器マニホールド(38)の前記複数のマニホールドセクター(40)のそれぞれの1つが、前記分配器マニホールド(38)の前記複数のマニホールドセクター(40)の前記それぞれの1つと流体連通している前記複数の共振器(42)のそれぞれの1つに適切な量の前記冷却流体を供給するように構成されている、複数の共振器(42)と
その間にチャンバを画定する前記複数の共振器(42)のそれぞれの1つの外面を取り囲むエンクロージャと、
を含み、
前記冷却環(22)の前記複数の出口オリフィス(36)のそれぞれのグループは、前記複数の出口オリフィス(36)の前記それぞれのグループを出た後に前記チャンバ内に前記冷却流体を流入させるために、前記複数の共振器(42)の前記それぞれの1つの下流の前記チャンバ内で前記ライナー(30)に配置され、かつ、前記チャンバは、前記複数の共振器(42)の前記それぞれの1つと流体連通しており、
前記分配器マニホールド(38)の前記複数のマニホールドセクター(40)の前記それぞれの1つは、前記分配器マニホールド(38)の前記複数のマニホールドセクター(40)の前記それぞれの1つと流体連通している前記複数の共振器(42)の前記それぞれの1つに適切な量の前記冷却流体を供給する異なる数の出口オリフィス(36)および/または異なるオリフィス形状を含む、システム。
【請求項7】
前記分配器マニホールド(38)は、前記冷却環(22)の前記上流側(26)に近接して配置されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数の共振器(42)は、前記分配器マニホールド(38)と流体連通して前記冷却流体を受け取る壁オリフィス(46)を含む、共通の円周方向に延びる壁(44)を含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数の導管(32)のそれぞれの1つが、それぞれの入口オリフィス(34)から、下流方向から上流方向に向かう第2の導管セグメント(50)の出発点まで前記下流方向に延びる第1の導管セグメント(48)を含み、前記複数の導管(32)の前記それぞれの1つは、前記第2の導管セグメント(50)の端部から前記分配器マニホールド(38)と流体連通しているそれぞれの出口オリフィス(36)まで前記上流方向に延びる第3の導管セグメント(52)をさらに含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数の導管(32)のさらなる1つが、前記第1の導管セグメント(48)の前記それぞれの入口オリフィス(34)から上流に間隔を空けて配置されているそれぞれの入口オリフィス(56)から、前記分配器マニホールド(38)と流体連通しているそれぞれの出口オリフィス(58)まで前記上流方向に延びる導管セグメント(54)を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の導管セグメント(48)および前記第3の導管セグメント(52)は直線導管セグメントを含み、前記第2の導管セグメント(50)は曲線導管セグメントを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の導管セグメント(48)、前記第2の導管セグメント(50)および前記第3の導管セグメント(52)は、組み合わさってJ字型の導管を画定する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の導管セグメント(48)、前記第2の導管セグメント(50)および前記第3の導管セグメント(52)は、前記冷却環(22)における共平面の軸に沿って延びる、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記冷却環(22)の前記ライナー(30)は積み重ねられたマルチパネル配置(60)を含み、前記第1の導管セグメント(48)、前記第2の導管セグメント(50)および前記第3の導管セグメント(52)は、前記冷却環(22)における非共平面の軸に沿って延びる、請求項9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2017年3月30日という同じ出願日の米国仮出願第62/478,826号および第62/478,799号の利益を主張するものであり、これらの両出願を、参照により本明細書に組み込む。
【0002】
開示される実施形態は、一般に、燃焼タービンエンジンに関し、より詳細には、ガスタービンエンジンの燃焼器セクションにおける冷却流体の二重利用に有効な導管配置を備えたシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
ガスタービンエンジンなどの燃焼タービンエンジンは、たとえば、圧縮器セクション、燃焼器セクションおよびタービンセクションを含む。圧縮器セクションにおいて吸入空気が圧縮されて燃料と混合され、結果として生じる空気と燃料との混合物が燃焼器セクションにおいて点火されて高温高圧の燃焼流が生成され、これがエンジンのタービンセクションに運搬され、ここで熱エネルギーが機械エネルギーに変換される。
【0004】
タービンエンジンの動作中、燃焼器セクションにおいて望ましくない周波数で音圧振動が発生することがある。このような圧力振動は、燃焼器セクションにおけるコンポーネントを損傷することがある。このような損傷を回避するため、タービンエンジンの燃焼器セクションに1つまたは複数の音響減衰装置を配置することができる。1つの一般的に用いられる音響減衰装置は、ヘルムホルツ共振器などの共振器である。エンジン動作中、冷却流体、たとえば、燃焼器セクションにおいて圧縮された空気の一部を、たとえば、共振器ボックスの上部の穴を通して共振器の内部キャビティに運搬することができる。冷却流体は、燃焼ゾーンと流体連通しているライナーオリフィスを通って共振器を出ることができ、燃焼ゾーンでこの冷却流体を、燃焼器セクションにおいて点火される燃料と空気との混合物と混合することができる。共振器配置の例が、特許文献1および特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第8,720,204号明細書
【文献】米国特許第9,410,484号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
図面を参照して以下の記述において本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】先行技術の燃焼器セクションの一部の部分断面図を示す。
図2】ガスタービンエンジンにおける冷却流体の二重利用に有効な開示されたシステムの非限定的な一実施形態の部分断面図を示す。
図3】開示された冷却環の斜視図を示し、冷却流体を運搬するための導管配置の非限定的な一実施形態を示す。
図4図3に示した開示された冷却環に配置することができる導管の非限定的な実施形態の概略的な詳細を示す。
図5】開示されたシステムから利益を得ることができる共振器の非限定的な一実施形態の斜視図を示す。
図6】開示されたシステムから利益を得ることができる共振器の非限定的な一実施形態の斜視図を示す。
図7図2に示した開示されたシステムの部分斜視図である。
図8】開示されたシステムから利益を得ることができる共振器の他の非限定的な一実施形態の部分断面図を示す。
図9】開示された冷却環の斜視図を示し、冷却流体を運搬するための、供給マニホールドを含む導管配置の他の非限定的な一実施形態を示す。
図10図9に示した導管配置の一部に関連する概略的な詳細を示す。
図11】積み重ねられたマルチパネル配置を含む冷却環のライナーに配置することができる導管の部分断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、ガスタービンエンジンなどの燃焼タービンエンジンにおける先行技術の燃焼器セクション10の部分断面図を示している。燃焼器セクション10は、ばねクリップアセンブリ12と、空気などの冷却流体(矢印17によって概略的に表している)が冷却リング14の上流側で入るとともに冷却リング14の下流側で出ることを可能にする冷却チャネル16を有する冷却リング14と、を含むことができ、下流側で、冷却流体は、燃焼器セクションにおける燃焼ゾーンから下流の場所で放出される。
【0009】
本発明者らは、冷却流体が実際の燃焼プロセスが発生する場所の下流にある場所で放出されるため、この冷却流体は燃焼プロセスに実際に参加することができず、このことがNOxの排出の増加およびエンジン効率の低下につながることがあることを認識した。
【0010】
少なくとも前述の考察に鑑みて、本発明者らは、開示された実施形態において、ガスタービンエンジンの燃焼器セクションにおける冷却流体の二重利用に有効な革新的なシステムを提案する。すなわち、以前は冷却リングを冷却するためだけに用いられていた冷却流体を再生的に用いて、共振器の流体冷却およびパージングの要件を満たすために付加的に用いるシステムである。限定することなく、これは、冷却リングの下流端で以前は放出された冷却流体の再利用を伴うことができる。たとえば、このような冷却流体が冷却リングの下流端で放出される代わりに、開示された実施形態において、この冷却流体は、たとえば、共振器の冷却という目的のために共振器セクションに向かって上流に再送することができる。
【0011】
冷却リングの出口で以前は放出され、以前は燃焼プロセスに参加することができなかった冷却流体が今や、共振器の冷却という目的のために効果的に再利用され、燃焼器セクションにおいて燃料と空気との混合物と混合することができ、ここでこのような冷却流体が今や効果的に燃焼プロセスに参加することができることが理解されるであろう。したがって、提案されたシステムは、図1に示した配置と比較して、NOxの排出の低減およびエンジン効率の向上を有利にもたらすことが期待される。
【0012】
本発明者らは、共振器配置の実際の実装において、共振器の少なくともいくつかは、異なる量の冷却流体を必要とすることがある異なる共振器構成を伴うことがあることをさらに認識した。したがって、米国特許第8,720,204号に記載されているように、このような共振器の実際の冷却流体要件に関係なく、異なる共振器構成に等しい量の冷却流体を提供すれば、冷却流体の必要性が低い共振器に不必要に大量の冷却流体が供給されることがある。逆に、流体冷却の必要性が高い共振器が、少なくともいくらかの冷却流体不足を経験する可能性がある。
【0013】
このようなさらなる認識に鑑みて、開示された実施形態は、それぞれの共振器の特定の冷却流体の必要性を満たすために適切な量の冷却流体を供給するように構成することができるシステムをさらに提案する。
【0014】
以下の詳細な説明において、このような実施形態の完全な理解を提供するために様々な具体的な詳細を述べている。しかしながら、当業者は、本発明の実施形態はこれらの具体的な詳細なしで実施することができること、本発明は図示した実施形態に限定されないこと、および本発明は様々な代替実施形態において実施することができることを理解するであろう。他の例において、不必要で重荷な説明を避けるため、当業者であればよく理解されるであろう方法、手順、および構成要素は詳細に説明していない。
【0015】
さらに、本発明の実施形態を理解するために役立つ方法で実行される複数の別個のステップとして様々な動作を説明することができる。しかしながら、説明の順序は、特に指定しない限り、これらの動作が提示された順序で実行される必要があること、またこれらが順序に依存しさえすることを暗示するものとして解釈されるべきではない。また、繰り返し用いている「一実施形態において」という句は、同じ実施形態を指すこともあるが、必ずしもそうではない。このような開示された実施形態の態様は、所与の用途の必要性に応じて当業者によって適切に組み合わせることができるため、開示された実施形態は相互に排他的な実施形態として解釈される必要はないことが留意される。
【0016】
本願で用いている「comprising(含む)」、「including(含む)」、「having(有する)」などの用語は、特に指定しない限り同義であることが意図されている。最後に、本明細書で用いているような、「configured to(ように構成された)」または「arranged to(ように配置された)」という句は、「configured to(ように構成された)」または「arranged to(ように配置された)」という句が付く特徴が特定の方法で作用または機能するように意図的かつ具体的に設計または作成されているという概念を包含しており、特に指定しない限り、その特徴は特定の方法で作用または機能する能力または適性のみを有することを意味するものと解釈されるべきではない。
【0017】
図2は、ガスタービンエンジンの燃焼器セクションにおける冷却流体の二重利用に有効な開示されたシステム20の部分断面図を示している。非限定的な一実施形態において、システム20は、燃焼器バスケット(図示せず)から受け取られる高温燃焼流(矢印24によって概略的に表している)を受ける冷却環22(たとえば、冷却リング)を含む。
【0018】
図3に見られるように、高温燃焼流は、冷却環22の上流側26と下流側28との間を通過する。図3にさらに見られるように、非限定的な一実施形態において、冷却環22は、複数の入口オリフィス34で受け取った冷却流体を複数の出口オリフィス36に運搬するように配置された複数の導管32を含むライナー30を含む。
【0019】
図2に戻ると、非限定的な一実施形態において、システム20は、非限定的な一実施形態において冷却環22の上流端26に近接して配置することができる分配器マニホールド38をさらに含む。非限定的な一実施形態において、分配器マニホールド38は、冷却環22の複数の出口オリフィス36と流体連通して導管32によって運搬される冷却流体を受け取る複数の円周方向に延びるマニホールドセクター(2つのこのようなマニホールドセクターを図7の双頭矢印40によって概略的に表している)を画定するものとして概念化することができる。分配器マニホールド38は、単一部品または複数部品構造であってもよいことが理解されるであろう。
【0020】
複数の共振器42(1つのこのような共振器の断片図が図2に見られる)が分配器マニホールド38と流体連通している。上述のように、実際の実施形態において、図5および図6において理解することができるように、複数の共振器42(これらのそれぞれのカバー蓋の断片図で示している)の少なくともいくつかは、異なる量の冷却流体を必要とすることがある異なる共振器構成を伴うことがある。図5および図6においてさらに理解することができるように、非限定的な一実施形態において、複数の共振器は、分配器マニホールド38(図5および図6には示していない)と流体連通して冷却流体を受け取る壁オリフィス46を含む、共通の円周方向に延びる壁44(たとえば、下流端壁)を含むことができる。非限定的な一実施形態において、複数の共振器42は、たとえば機械加工、レーザ切断などの適切な製造技術を用いて燃焼器バスケットのライナーに構築することができる。
【0021】
非限定的な一実施形態において、分配器マニホールド38の複数のマニホールドセクター40(図7)のそれぞれの1つを、分配器マニホールド38の複数のマニホールドセクター40のそれぞれの1つと流体連通している複数の共振器42のそれぞれの1つに適切な量の冷却流体を供給するように構成することができる。たとえば、分配器マニホールド38の複数のマニホールドセクター40のそれぞれの1つは、分配器マニホールドの複数のマニホールドセクター40のそれぞれの1つと流体連通している複数の共振器42のそれぞれの1つに適切な量の冷却流体を供給する異なる数の壁オリフィスおよび/または異なるオリフィス形状を伴うことができる。たとえば、多量の冷却流体を必要とする共振器に流体的に結合されたマニホールドセクターは、少量の冷却流体を必要とする共振器に流体的に結合されたマニホールドセクターに対して多数のオリフィスを含むことができる。
【0022】
図4に示すように、非限定的な一実施形態において、複数の導管32のそれぞれの1つは、それぞれの入口オリフィス34から、下流方向から上流方向に向かう第2の導管セグメント50(たとえば、曲線セグメント)の出発点まで下流方向に延びる第1の導管セグメント48(たとえば、直線導管セグメント)を含むことができる。導管32は、第2の導管セグメント50の端部から分配器マニホールド38と流体連通しているそれぞれの出口オリフィス36まで上流方向に延びる第3の導管セグメント52(たとえば、直線導管セグメント)をさらに含むことができる。限定することなく、第1の導管セグメント48、第2の導管セグメント50および第3の導管セグメント52を組み合わせて、J字型の導管を画定するものとして概念化することができる。非限定的な一実施形態において、第1の導管セグメント48、第2の導管セグメント50および第3の導管セグメント52は、冷却環における共平面の軸に沿って延びることができる。
【0023】
他の非限定的な一実施形態において、図11に示すように、ここでは冷却環のライナーは積み重ねられたマルチパネル配置60を含むことができ、図4の文脈で議論した導管セグメント(たとえば、第1の導管セグメント48、第2の導管セグメント50および第3の導管セグメント52)は、図11における矢印62によって概略的に表されるように、冷却環における非共平面の軸に沿って延びることができる。すなわち、このような導管は共平面である必要はない。
【0024】
図4にさらに示すように、非限定的な一実施形態において、複数の導管のさらなる1つ54が、第1の導管セグメント48のそれぞれの入口オリフィス34から上流に間隔を空けて配置することができるような、それぞれの入口オリフィス56から、分配器マニホールド38と流体連通しているそれぞれの出口オリフィス58まで上流方向に延びる導管セグメント(たとえば、直線導管セグメント)を含むことができる。
【0025】
図9は、開示された冷却環70の斜視図を示し、冷却流体を運搬するための導管配置の他の非限定的な一実施形態を示している。図10は、図9に示した導管配置の一部に関連して拡大された詳細を示している。この実施形態において、冷却環70は、少なくとも1つの供給チャネル74を含むライナー72を含み、供給チャネル74は、冷却環の上流側26と下流側28との間に配置されて冷却流体を受け取る入口75を有することができるようなものである。
【0026】
冷却環70は、供給チャネル74と流体連通して上流方向に延びる複数の導管78に冷却流体を供給する供給マニホールド76をさらに含み、複数の導管78は冷却環の複数の出口オリフィス80と流体連通している。非限定的な一実施形態において、冷却環70の下流側28に近接して供給マニホールド76を配置することができ、冷却環の上流側26に冷却環の複数の出口オリフィス80を配置することができる。供給マニホールド76および冷却環の複数の出口オリフィスと流体連通している複数の導管は、冷却環70の円周セクター(たとえば、図9における矢印82によって概略的に表している)上に配置することができる。
【0027】
さらなる供給マニホールド84が、それぞれのさらなる供給チャネル86と流体連通して配置されてさらなる冷却流体を受け取ることができる。たとえば、さらなる供給マニホールド84は、冷却環のそれぞれのさらなる複数の出口オリフィス90と流体連通しているそれぞれのさらなる複数の導管88にさらなる冷却流体を供給するように配置することができる。
【0028】
複数の共振器92(図の簡素化のため、ライナーに溶接または他の方法で取り付けることができるような1つのこのような共振器を図8に示している)が、冷却環70の出口オリフィス80、90のそれぞれと流体連通している。上述のように、実際の実施形態において、複数の共振器92の少なくともいくつかは、異なる量の冷却流体を必要とすることがある異なる共振器構成を伴うことがある。非限定的な一実施形態において、冷却環70の複数の出口オリフィス80、90のそれぞれのグループを、冷却環の複数の出口オリフィスのそれぞれのグループと流体連通している複数の共振器92のそれぞれの1つに適切な量の冷却流体を供給するようにそれぞれ構成することができる。たとえば、冷却環の複数の出口オリフィス80、90のそれぞれのグループは、冷却環の複数の出口オリフィスのそれぞれのグループと流体連通している複数の共振器のそれぞれの1つに適切な量の冷却流体を供給する異なる数の壁オリフィスおよび/または異なるオリフィス形状を含むことができる。たとえば、多量の冷却流体を必要とする共振器に流体的に結合された出口オリフィスのグループは、少量の冷却流体を必要とする共振器に流体的に結合された出口オリフィスのグループに対して多数のオリフィスを含むことができる。
【0029】
非限定的な一実施形態において、図8に示すように、冷却環の複数の出口オリフィス80、90のそれぞれのグループは、複数の共振器92のそれぞれの1つのエンクロージャ96によって画定されるチャンバ94と流体連通することができる。チャンバ94は次いで、複数の共振器のそれぞれの1つのキャビティ98と流体連通することができる。ガスタービンエンジンの燃焼器セクションにおける冷却流体の二重利用に有効な開示されたシステムの実施形態は、いずれの特定のタイプの共振器または共振器構造様式にも限定されないことが理解されるであろう。したがって、特定の共振器を実装した図に示した開示されたシステムの実施形態は、限定的な意味ではなく一例の意味で解釈されるべきである。
【0030】
実施中、開示された実施形態は、ガスタービンエンジンの燃焼器セクションにおける冷却流体の二重利用に有効な堅牢で信頼できるシステムを費用効果の高い方法で提供することが期待される。開示された実施形態は、関連する構成要素に効率的な冷却性能を提供しながら、NOx排出の低減およびエンジン効率の向上を有利に提供することが期待される。
【0031】
本発明の様々な実施形態を本明細書に示して説明したが、このような実施形態は例としてのみ提供されていることは明らかであろう。本明細書の発明から逸脱することなく、多数の変形、変更および置換を行うことができる。したがって、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図されている。
【符号の説明】
【0032】
20 システム
22 冷却環
24 高温燃焼流
26 上流側
28 下流側
30 ライナー
32 導管
34 入口オリフィス
36 出口オリフィス
38 分配器マニホールド
40 マニホールドセクター
42 共振器
44 下流端壁
46 壁オリフィス
48 第1の導管セグメント
50 第2の導管セグメント
52 第3の導管セグメント
54 導管
56 入口オリフィス
58 出口オリフィス
60 マルチパネル配置
70 冷却環
72 ライナー
74 供給チャネル
75 入口
76 供給マニホールド
78 導管
80 出口オリフィス
84 供給マニホールド
86 供給チャネル
88 導管
90 出口オリフィス
92 共振器
94 チャンバ
96 エンクロージャ
98 キャビティ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11