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特許7008723金属部品の部分熱処理用の焼き戻しステーション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】金属部品の部分熱処理用の焼き戻しステーション
(51)【国際特許分類】
   C21D 1/18 20060101AFI20220118BHJP
   C21D 9/00 20060101ALI20220118BHJP
   C21D 1/78 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
C21D1/18 P
C21D9/00 A
C21D1/18 C
C21D1/78
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019554402
(86)(22)【出願日】2018-03-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 EP2018057945
(87)【国際公開番号】W WO2018184947
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2021-01-08
(31)【優先権主張番号】102017107549.6
(32)【優先日】2017-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】315015977
【氏名又は名称】シュヴァルツ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ライナルツ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンケル,ヨルク
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルデン,フランク
【審査官】河野 一夫
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0001308(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第104668326(CN,A)
【文献】特開平06-093342(JP,A)
【文献】特開昭57-203719(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0299817(US,A1)
【文献】国際公開第2013/137308(WO,A1)
【文献】特表2020-501010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21D 1/18
C21D 9/00
C21D 1/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属部品(2)を部分熱処理するための焼き戻しステーション(1)であって、
前記焼き戻しステーション(1)に設けられた加工面(3)であって、その上に前記金属部品(2)を設置可能な1つの加工面(3)と、
前記加工面(3)に向けられた少なくとも1つのノズル(4)であって、前記金属部品(2)の少なくとも第1部分領域(6)を冷却するための流体流(5)を吐出するために設けられているノズル(4)と
を備え、
少なくとも1つの前記少なくとも1つのノズル(4)は、前記金属部品(2)の前記第1部分領域(6)に向かい、前記金属部品(2)の第2部分領域(7)から離れる方向に向けられるノズル出口(9)を有する接線方向ノズル(13)である
ことを特徴とする焼き戻しステーション(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の焼き戻しステーションであって、
前記少なくとも1つのノズル(4)のノズルジオメトリ(8)は、前記流体流(5)の、前記金属部品(2)の前記第2部分領域(7)の方向に向かって流れる少なくとも1つの成分が、前記第1部分領域(6)に向かって向きを変えるように設計されている
ことを特徴とする焼き戻しステーション。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の焼き戻しステーションであって、
前記少なくとも1つのノズル(4)のノズルジオメトリ(8)は、前記流体流(5)の少なくとも1つの成分が、まず、前記金属部品(2)の前記第2部分領域(7)の方向に向かって前記ノズル(4)を通って流れ、その後、前記第1部分領域(6)に向かって方向転換するように設計されている
ことを特徴とする焼き戻しステーション。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1つに記載の焼き戻しステーションであって、
前記少なくとも1つのノズル(4)のノズルジオメトリ(8)は、前記流体流(5)が、まず、前記金属部品(2)の前記第2部分領域(7)の方向に向かって前記ノズル(4)を通って流れ、その後、前記第1部分領域(6)に向けて方向転換するように設計されている
ことを特徴とする焼き戻しステーション。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1つに記載の焼き戻しステーションであって、
前記少なくとも1つのノズル(4)の前記ノズル出口(9)は、前記金属部品(2)の前記第2部分領域(7)の方向に向かう流れの衝撃を、前記ノズル出口(9)において妨げるように設計されている
ことを特徴とする焼き戻しステーション。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1つに記載の焼き戻しステーションであって、
前記少なくとも1つのノズル(4)は、方向転換領域(10)を有し、
前記方向転換領域(10)は、前記金属部品(2)の前記第2部分領域(7)から前記第1部分領域(6)を区分する隔壁(11)に向けて及び/又は少なくとも部分的に前記隔壁(11)の下に拡がる
ことを特徴とする焼き戻しステーション。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1つに記載の焼き戻しステーションであって、
前記少なくとも1つのノズル(4)は、前記加工面(3)を向いている側において及び/又は前記金属部品(2)の前記第2部分領域(7)に向けられた前記ノズル(4)の領域において、前記流体流(5)によって負圧エリア(12)を生成するように設計されている
ことを特徴とする焼き戻しステーション。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1つに記載の焼き戻しステーションであって、
前記加工面(3)と前記少なくとも1つのノズル(4)との間の距離は、前記少なくとも1つのノズル(4)が前記金属部品(2)に接触しないように調整可能である
ことを特徴とする焼き戻しステーション。
【請求項9】
金属部品(2)を部分熱処理するための装置(14)であって、少なくとも
加熱可能な第1炉(15)と、
請求項1乃至8の何れか1つに従って設計され、且つ、前記第1炉(15)の下流側に位置する、焼き戻しステーション(1)と
を備える
ことを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置であって、少なくとも
前記焼き戻しステーション(1)の下流側に位置する加熱可能な第2炉(16)、又は、
前記焼き戻しステーション(1)の下流側、又は、前記第2炉(16)の下流側、前記焼き戻しステーション(1)及び前記第2炉(16)の下流側に位置するプレス焼入れツール(17)、又は、
前記第2炉(16)及び前記プレス焼入れツール(17)の両方を
を更に備えることを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属部品の部分熱処理用の焼き戻しステーションと、金属部品の熱処理用の装置と、金属部品の部分熱処理用の焼き戻しステーションにおいて少なくとも1つの接線方向ノズルを使用することに関する。特に、本発明は、連続加熱炉の下流、特にローラーハース炉の下流にプレス焼入れツールが配置されたプレス焼入れラインに接続して使用可能である。
【背景技術】
【0002】
安全性に関わる鋼板製車体部品の製造には、通常、車体部品へと成形中又は成形後に該鋼板を硬化させる必要がある。このため、「プレス焼入れ(Pressharten)」と呼ばれる熱処理プロセスが確立されている。この場合、通常は板状で提供される鋼板は、まず炉内で加熱され、その後成形加工時にプレス機(Presse)にて冷却され硬化する。
【0003】
近年では、Aピラー、Bピラー、ドア部の側面衝突保護梁、根太、枠部、バンパー、屋根部・床部用のクロスメンバ、フロント側部、リヤ側部等の自動車の車体部品、つまり、異なる機能を部分毎に満たせるように部分領域毎に強度が異なる車体部品をプレス焼入れによって製造することが望まれてきた。例えば、車両のBピラーの中央領域は、側面衝突時に乗員を保護するため高い強度を有する必要がある。同時に、該Bピラーの上端領域及び下端領域では、側面衝突の際に変形エネルギーを吸収するために、且つ、Bピラーの組立の際に他の車体部品に容易に接続可能なように、強度を比較的低くする必要がある。
【0004】
このような部分硬化された車体部品を形成するには、この部分硬化された部品が各部分領域において異なる強度特性を持つ必要がある。そのためには、例えば、1つ又は複数の焼き戻しステーションを、炉とプレス焼入れツールとの間に配置することも可能である。この場合、初めは均一に加熱されていた金属部品の各部分領域において温度が異なるように焼き戻しステーションが設けられ設定されており、これによりこの後に行われるプレス焼入れにおいて各部分領域で異なる強度特性が得られる。この場合、自動車業界では特に重要な役割を果たす最適サイクルタイム(Optimale Taktzeiten)が実現可能であり、特に、前述の炉と、焼き戻しステーションと、プレス焼入れツールとを順に配置した場合に、実現可能である。
【0005】
硬化済みの金属部品において、該金属部品の1つ又は複数のある部分領域であって且つ該金属部品の硬化済みの他の部分領域よりも延性が高い又は強度が低い部分領域を、焼き戻しステーション内で選択的に冷却すること、特に当該金属部品における硬化対象の他の部分領域が高温に維持されている状態で冷却する場合に優位性があることはすでに分かっている。ここでは、前述の強度がより低い1つ又は複数のある部分領域を冷却するには、各ノズルを通して、空気が高速で該金属部品の1つ又は複数の目当ての部分領域上に吹き付けられる場合に特に優位性があることはすでに分かっている。
【0006】
しかしながら、前述のように空気で冷却を行う場合、金属部品内に形成される、強度が異なる部分領域同士の間の境界(遷移領域とも呼ぶ)が、明確ではない及び/又は正確に調整することができないという問題が大抵はある。この遷移領域の調整の正確さを最大とするために、隔壁(仕切り壁とも呼ぶ)が通常は使用される。この隔壁は、焼き戻しステーション内の各ノズルの隣に配置され、強度が異なる部分領域それぞれを(熱的に)区分するように設置される。このため、該隔壁は金属部品に接触してもよいが、通常は、各隔壁の下端と金属部品との間の隙間できる限り小さく維持するものである。
【0007】
金属部品の熱い部分領域に又は熱く保たなければならない部分領域に冷たい空気が漏れることを確実に防ぐのに十分なほど、隔壁と金属部品との間の隙間が小さくはないということも起こりうる。この場合、遷移領域があいまいになるという望ましくないことが生じ、通常は遷移領域が必要以上に又は望ましい範囲以上に大きくなる。さらに、例えば、熱い金属部品が歪むことにより又は金属部品の位置決めの正確さが不十分であることにより、この隙間が望ましくないほど広がることも起こり得る。しかし、自動車業界では、新たなクラッシュワージネスを、既存の設計に一層取り入れようとしており、特にクラッシュワージネスの既存のシミュレーションに取り入れようとしているので、この遷移領域を可能な限り小さくすることを重視している。そのため、遷移領域をできる限り正確に且つできる限り小さくするよう調整可能とすることへの要求は高まっているが、既存の焼き戻しステーションでは隔壁と金属部品との間に漏れが生じるため、容易なことではない。
【0008】
上記に基づき、本実施形態は、先行技術に関して述べた前記問題の少なくとも一部を解決することを目的とする。特に、金属部品の熱処理用の焼き戻しステーション及び装置を提供するものであり、これらは、異なる熱処理を受けた金属部品の部分領域同士の間に、遷移領域をできる限り確実に及び/又はできる限り正確に設けること、特に該遷移領域をできる限り小さくすることを可能にする。さらに、当該焼き戻しステーション及び装置により、特に、金属部品の異なる焼き戻しをされた各部分領域を(熱的に)区分するための隔壁に、当該金属部品が接触しないようにすることが可能となるものとする。
【0009】
これらの目的は、独立請求項の特徴によって実現される。本明細書において提案される解決策の更に有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。なお、従属請求項に個別に列記されている特徴については、技術的に有意な態様で互いを組み合わせることができ、本発明の更なる実施形態を定義することができる。また、請求項に記載した特徴は明細書により詳細に記載され説明されており、本発明の更に好適な実施形態が提示される。
【0010】
本発明の、金属部品の部分熱処理用焼き戻しステーションは、前記焼き戻しステーションに設けられた(水平な)加工面であって、その上に前記金属部品を設置可能な少なくとも1つの加工面と、前記加工面に向けられた少なくとも1つのノズルであって、前記金属部品の少なくとも第1部分領域を冷却するための流体流を吐出するために設けられているノズルとを備える。前記少なくとも1つのノズルは、接線方向ノズルである。
【0011】
前記接線方向ノズルは、少なくとも1つのノズル出口で、流体流を生成すること及び/又は放出することを特に特徴とし、このノズル出口は、前記加工面及び/又は前記金属部品の表面に対し実質的に接線方向に沿って配置されている及び/又は前記金属部品の表面と実質的に平行に配置されている、少なくとも1つの方向成分又は流れを有する。ここで、「実質的に接線方向に沿って」及び「実質的に平行」とは、理想的な位置関係(「接線方向に沿った状態」又は「平行な状態」)から-10°~+20°[度]の範囲内、好ましくは0°~20°の範囲内の偏差を特に含む。前記接線方向ノズルは、そのノズル出口の下流に向かう水平な流れを生成することが好ましい。
【0012】
このため、前記接線方向ノズルのノズル出口の断面又は開口部が存在する平面は、(水平な)加工面に対し、0°~135°[度]の角度、好ましくは0°~75°の角度、特に20°~75°の角度をなしている。特に、前記接線方向ノズルは、前記金属部品の第2部分領域の方向に沿った空気の衝撃が前記ノズル出口で止められるように空気ダクトを誘導することに寄与している。前記接線方向ノズルのノズル出口又は該ノズル出口の開口部は、前記金属部品の第1部分領域に面している又は該第1部分領域に向いている、及び/又は、前記金属部品の第2部分領域から離れる方向に面している又は該第2部分領域から離れる方向に向いているのであれば特に好ましい。
【0013】
ここに示す解決方法によれば、有利な態様で、前記金属部品の前記第2部分領域の方向に沿ってある種の「空気力学的な密封部分(aerodynamische Abdichtung)」を設けることが可能となる。これは、前記第2部分領域が、前記焼き戻しステーション内で前記第1部分領域を冷却する間、前記第2部分領域を焼き戻すために部品の高温を維持しなければならないか温度をほとんど変えてはならない場合に、前記流体流の漏れが前記金属部品の前記第2部分領域まで到達してしまうことを実質的になくすことに寄与する。これにより、有利な態様で、非常にはっきりと区切られた遷移領域を形成することが可能となる。特に、ここに示す解決方法により達成される遷移領域は、約1mm~60mm[ミリメートル]の範囲である。ここに示す解決方法の有利な用途においては、前記遷移領域の大きさ、特に幅は、主として、前記金属部品内の物理的に不可避な熱伝導(のみ)により決まる。ここに示す解決方法により、硬い部品の外側に軟らかい周辺部を形成すること等が容易になる。
【0014】
前記金属部品(前記焼き戻しステーションで処理する対象であるもの)は、金属板、鋼板、又は、少なくとも部分的にプリフォームされた半製品であることが好ましい。前記金属部品は、例えば22MnB5の(マンガン)ボロン鋼等の、(硬化可能な)鋼を含むもの又は鋼製であることが好ましい。前記金属部品は、少なくともその大部分に、(金属)コーティング(Beschichtung)をするか又はプレコートされていることが、さらに好ましい。前記金属コーティングは、例えば、(主に)亜鉛含有のコーティング、又は、(主に)アルミニウム及び/又はシリコン含有のコーティング、特に、いわゆるアルミニウム/シリコン(Al/Si)コーティングであってもよい。しかしながら、前記金属部品は、(上記の代わりに)アルミニウム又はアルミニウム合金よりなる又はより構成されてもよい。
【0015】
前記焼き戻しステーションは、第1炉の下流及び/又は第2炉の上流に設置されることが好ましい。前記焼き戻しステーションには加工面が設けられており、ここに前記金属部品が設置可能であるか又は設置されている。この場合、前記加工面は、特に、前記焼き戻しステーション内で前記金属部品を処理するためにその上を前記金属部品が移動することが可能な面、及び/又は、前記金属部品を前記焼き戻しステーション内で処理する際に前記金属部品が設置される及び/又は前記金属部品を固定できる面を指す。前記加工面は、実質的に水平であることが好ましい。
【0016】
前記焼き戻しステーションは、少なくとも1つのノズルを備える。前記ノズルは、前記加工面に向けられている。また、前記ノズルは、前記金属部品の少なくとも第1部分領域を冷却するための流体流を吐出するために設けられている。この冷却は、特に、前記金属部品の前記少なくとも1つの第1部分領域(処理済み金属部品のうち延性がある)と少なくとも第2部分領域(処理済み金属部品のうち比較的硬い)との間の温度差を調整するように行われる。ノズルは複数設けられていることが好ましく、前記複数のノズルはノズル列として設置されることが特に好ましい。ノズルが複数設けられている場合、前記複数のノズルのうち少なくとも1つは、接線方向ノズルである。
【0017】
前記流体流は、冷却用流体より構成されることが好ましい。前記冷却用流体は、窒素等の気体又は混合気体(特に空気)であってもよい。さらに、前記冷却用流体は、空気と水の混合物等の気体と液体の混合物であってもよい。
【0018】
前記焼き戻しステーションは、接線方向ノズルとして設計された前記少なくとも1つのノズルに加えて、(特に単純な構造の)異なるノズルジオメトリ(Geometrie)を有する1つ又は複数の追加ノズルを備えることができる。すなわち、前記少なくとも1つの(接線方向)ノズルに加えて、前記加工面に実質的に垂直に延びる少なくとも1つのノズル流路(Dusenkanal)を有するか又は形成する(特に囲む)少なくとも1つの追加ノズルを備えてもよい。前記追加ノズルは、前記焼き戻しステーション内において前記(接線方向)ノズルの隣に設けられることが好ましい。しかし、前記(接線方向)ノズルと隔壁との間ではない所に設けられることが特に好ましい。この場合、前記追加ノズル及び前記(接線方向)ノズルは、前記焼き戻しステーション内において及び/又は前記加工面の上方において、同じ高さにされる。前記少なくとも1つの追加ノズルは、スプレー方式であることが好ましい。言い換えると、これは、前記少なくとも1つの追加ノズルが前記加工面に向けられた下側にノズル出口の開口部を複数備えることを、特に意味する。
【0019】
特に、前記金属部品の第1部分領域の大部分を冷却する場合、各(接線方向)ノズルとその他の各ノズルを、それぞれスプレーの(「シャワーヘッド」としても周知の)態様で、組み合わせることは優位性がある。この場合、隔壁の領域に設けられた前記各(接線方向)ノズルと前記各追加ノズルが、前記金属部品のうち冷却対象の前記第1部分領域の中央に(比較的)より向けた状態で設けられている場合は、特に優位性がある。立ち上がり部の背後の(前記各接線方向ノズルからの)流れが水平方向のみである場合に流速が遅い滞留気味のゾーン(Totgebiete)が発生可能となるように、広い面上での内部応力起因の前記金属部品の変形が大きくなれば、これにより各所がゆっくりと冷却されることになる。そのため、広い面上での流れは(同様に)、鉛直方向を向くものとする。前記鉛直方向の流れは、前記少なくとも1つの(接線方向)ノズルに加えて、それぞれスプレーの態様で1つ又は複数の追加ノズルを設けることにより、特に有利な態様で実現可能である。
【0020】
有利な実施形態では、前記少なくとも1つのノズルのノズルジオメトリは、(前記ノズル内の)前記流体流の、前記金属部品の第2部分領域の方向に流れる少なくとも1つの成分が、前記金属部品の前記第1部分領域に向けて方向転換するように設計されていることを提案する。好ましくは、前記ノズル内及び/又はノズル出口の開口部のすぐ上流側における前記流体流の前記成分は、前記第1部分領域に向けて方向転換される。
【0021】
より有利な実施形態では、前記少なくとも1つのノズルの前記ノズルジオメトリは、前記流体流の少なくとも1つの成分が、まず、前記金属部品の第2部分領域の方向に向かって該ノズルを通って流れ、その後、前記第1部分領域に向けて方向転換するように設計されていることを提案する。好ましくは、前記流体流は、前記ノズルの方向転換領域から前記第1部分領域に向けて方向転換され、前記方向転換領域は、ノズル出口及び/又はノズル出口の開口部の(すぐ)上流側に通常は配置される。
【0022】
有利な実施形態では、前記少なくとも1つのノズルの前記ノズルジオメトリは、前記流体流(それぞれのノズルを通って流れる流れ全体)が、まず、前記金属部品の第2部分領域の方向に向かって該ノズルを通って流れ、その後、前記第1部分領域に向かって方向転換するように設計されることを提案する。前記流体流が前記第1部分領域に向けて前記方向転換した後(直後)、前記流体流は、前記加工面及び/又は前記金属部品の前記第1部分領域の表面に対し実質的に接線方向に沿って及び/又は実質的に平行に、前記少なくとも1つのノズルから離脱可能である。
【0023】
前記流体流の成分、前記流体流の少なくとも1つ(中央)の流れ又は前記各ノズルを通して流れる前記流体流全体は、前記ノズルを通って(まず)第1方向に流れ、その後、方向転換され、前記ノズルを通って第2方向に流れるように、前記少なくとも1つのノズルの前記ノズルジオメトリが設計されていることが好ましい。この場合、前記第1方向は、(主として)半径方向外向き方向の成分を有し、前記第2方向は、(主として)半径方向内向き方向の成分を有する。前述の「半径方向外向き」及び「半径方向内向き」の記載については、ノズル入口部又は前記加工面に実質的に垂直に伸びるノズル入口流路(Duseneinlasskanal)に関して定義される。前記流体流は、定期的に初期段階で又は最初に、ノズル入口部を通り、又は、前記ノズルを通過する途上では前記加工面に実質的に垂直に伸びるノズル入口流路を通り、その後、半径方向外向きとなり、さらにその後、ノズル出口の前記領域において半径方向内向きとなるように又は前記ノズル出口を向くように方向転換される。
【0024】
前記少なくとも1つのノズルは、方向転換領域を有することが好ましい。前記方向転換領域は、少なくとも部分的に屈曲又は湾曲していることが、特に好ましい。前記方向転換領域は、ノズル出口のすぐ上流側に設けることができる。
【0025】
有利な実施形態では、前記少なくとも1つのノズルのノズル出口は、前記ノズル出口において、前記金属部品の第2部分領域の方向の流れの衝撃(それぞれ)を妨げるように、前記ノズルの方向転換領域に対して配置される及び/又は設けられるように設計されていることを提案する。前記ノズル出口は、前記ノズルジオメトリが曲がった部分の下流側及び/又は曲がった部分の後の位置、又は、前記ノズルの曲部の下流側及び/又はその後の位置、又は、前記ノズルの方向転換領域の下流側及び/又はその後の位置、又は、これらの全てに該当する位置に設けられることが好ましい。前記曲がった部分の又は前記曲部の又は前記方向転換領域の内に凹んだ側は、前記金属部品の前記第1部分領域に向けられることが好ましい。また、前記曲がった部分の又は前記曲部の又は前記方向転換領域の外に突き出た側は、前記金属部品の第2部分領域に向けられることが好ましい。前記ノズル出口は、(直接)前記第1部分領域に向けて配置されるか及び/又は前記第1部分領域の方向に沿って配置されることが特に好ましい。
【0026】
また、前記少なくとも1つのノズルは、前記第1部分領域を前記金属部品の第2部分領域から(熱的に)区分する隔壁の領域の隣に及び/又はこの領域内に(直接)設けることが好ましい。この場合、前記隔壁は、前記焼き戻しステーションの一部であってもよく、及び/又は、(方法を問わず)前記金属部品の上方に設けられてもよい。さらに、前記少なくとも1つのノズルが曲がっているように設計されているのであれば好ましい。前記少なくとも1つのノズルについては、前記少なくとも1つのノズルのノズル出口から前記隔壁までの(水平)距離が、前記少なくとも1つのノズルのノズル入口から前記隔壁までの(水平)距離よりも短いように曲げられていることが特に好ましい。このようなノズルを曲げた設計により、特に、以下のような構成が実現可能である。前記ノズル出口が前記隔壁に非常に近い又はさらに少なくとも部分的に前記隔壁の下方に存在し、該ノズル出口が生成予定の前記遷移領域に非常に近づけて設けられることができ、前記隔壁における熱的な遮蔽として前記ノズル入口と前記隔壁との間に十分な空間を維持することが可能である。
【0027】
有利な実施形態では、前記少なくとも1つのノズルは、方向転換領域を有し、前記方向転換領域は、前記第1部分領域を前記金属部品の第2部分領域から区分する隔壁に向けて及び/又は少なくとも部分的に前記隔壁の下に拡がることを提案する。前記隔壁は、前記焼き戻しステーションの一部であり、且つ、(方法を問わず)前記金属部品の上方に規則的に設けられることが好ましい。前記方向転換領域の外に突き出た側は、前記隔壁に向けて配置されるか及び/又は前記金属部品の第2部分領域に向けて配置されることが好ましい。
【0028】
有利な実施形態では、前記少なくとも1つのノズルは、特に前記少なくとも1つのノズルの方向転換領域は、前記加工面に向いている側において及び/又は前記金属部品の第2部分領域に向けられた前記ノズルの領域において、前記流体流によって負圧エリアを生成するように設計されていることを提案する。ここでは、前記負圧エリアとは、大気圧よりも減圧された領域である。前記金属部品の前記第1部分領域の方向に向かう流れの衝撃は、前記ノズルの下側に(軽度の)負圧が生成されるように、前記方向転換領域のジオメトリにより調整される又は設定されることが好ましい。この結果として起きるエジェクター効果により、前記焼き戻しステーションの高温の領域から、言い換えると、前記金属部品の第2部分領域よりも上又は下の領域から少量の暖かい空気が引き出されることが可能となる。前記暖かい空気は密度が低く且つ少量であるため、冷たい側、例えば、前記金属部品の前記第1部分領域の上又は下における効果は、通常は無視できる。このように、特に有利な態様で、非常にはっきりと区切られた遷移領域を形成することが可能となる。
【0029】
有利な実施形態では、前記少なくとも1つのノズルが前記金属部品に接触しないように、前記加工面と前記少なくとも1つのノズルとの間の距離を調整可能である又は調整されることを提案する。この距離は、0.01mm~6mm(ミリメートル)の範囲内であることが好ましく、0.5mm~5mmの範囲内がより好ましく、さらには、1mm~3.5mmの範囲内であることが好ましい。
【0030】
前記ノズルジオメトリ及び/又は前記ノズルの外郭は、前記ノズルが前記金属部品に接触しない場合に、上述の負圧エリア自体が又は特に上述の負圧エリアが生じるように設計されていることが好ましい。このように、ここに示す解決方法は、前記金属部品の位置決めエラー及び/又は前記金属部品温度関連の又は残存応力関連のジオメトリエラーに関して、非常に耐障害性を高くすることが可能である。
【0031】
前記焼き戻しステーション内の前記少なくとも1つのノズルは、移動可能であることがさらに好ましく、特に移動可能に保持又は設置されていることがさらに好ましい。前記ノズルを移動可能に取り付けることにより、前記遷移領域の水平方向における正確な位置は、有利な態様で、容易に再調整可能である。
【0032】
好ましくは、少なくとも1つ熱源が、前記焼き戻しステーション内に設けられており、前記熱源は、前記焼き戻しステーション内で前記少なくとも1つのノズルから(熱的に)分離した状態で保持されている。ここで、前記熱源と前記ノズルは、隔壁によって、互いに(熱的に)分離され及び/又は遮蔽されている。前記少なくとも1つの熱源は、少なくとも1つの放射熱源であることが好ましい。前記熱源は、活発に動作可能な熱源であることが好ましく、特に、電気的に動作可能又は電力で起動可能な熱源であることが好ましい。特に、前記熱源は、電動加熱素子により構成される(物理的にも電気的にも前記金属部品に接続しない)ことが好ましい。前記加熱素子は、加熱ループ、フルセラミック加熱素子、及び/又は、加熱線でもよい。これの代わりに又はこれに加えて、前記熱源は、(ガス加熱式)放射管で構成されてもよい。前記熱源及び前記ノズルは、前記焼き戻しステーションに設けられたノズルボックス内に保持され、前記ノズルボックスは、前記熱源と前記ノズルとの間に少なくとも1つの隔壁を有する点で優位性がある。特に、前記接線方向ノズルのノズル出口又はノズル出口開口部は、前記熱源から離れる方向に面して又は前記熱源から離れる方向に向いていることが特に好ましい。
【0033】
更なる態様では、金属部品を(部分的に)熱処理するための装置であって、
加熱可能な第1炉であって、特に、放射及び/又は対流により加熱される第1炉と、
前記第1炉の下流に設けられた焼き戻しステーションと
を少なくとも備える装置を提案する。
【0034】
有利な実施形態では、前記装置は、
前記焼き戻しステーションの下流に設けられた加熱可能な第2炉であって、特に、放射及び/又は対流により加熱される第2炉、又は、
前記焼き戻しステーション及び/又は前記第2炉の下流に設けられたプレス焼入れツール、又は、
その両方
を少なくとも備えることを提案する。
【0035】
前記プレス焼入れツールは、並行して前記金属部品を、同時に又は少なくとも部分的に再成形し、(少なくとも部分的に)急冷するために、特に設けられ配置されている。前記プレス焼入れツールは、プレス機の一部であってもよく、又は、プレス機から構成されてもよい。前記第1炉、前記焼き戻しステーション、前記第2炉、前記プレス焼入れツールは、(この順序で)特に直接隣り合って配置されることが好ましい。しかしながら、前記第1炉と前記焼き戻しステーションとの間に、及び/又は、前記焼き戻しステーションと前記第2炉との間に、及び/又は、前記第2炉と前記プレス焼入れツールとの間に、少なくとも1つの処理装置によって掛け渡される距離が与えられてもよく、この距離は少なくとも0.5m[メートル]であることが好ましい。
【0036】
少なくとも前記第1炉又は前記第2炉が連続加熱炉又はチャンバー炉である場合は、特に優位性を有することとなる。前記第1炉については、連続加熱炉、特に、ローラーハース炉であることが好ましい。前記第2炉については、連続加熱炉、特に、ローラーハース炉又はチャンバー炉、特に、上下に重ねて設けられたチャンバーを少なくとも2つ有する多段炉であることが特に好ましい。前記第2炉は、炉内部が、特に放射熱(のみ)によって加熱可能となっていることが好ましく、内部温度を(仮想的に)均一に設定又は調整可能であることが好ましい。特に、前記第2炉が多段チャンバー炉として設計されている場合、前述のような炉内空間が、チャンバーの数に対応させて複数あってもよい。
【0037】
第1炉及び/又は第2炉内には、放射熱源(のみ)を設置することが好ましい。これは、少なくとも1つの電気的に動作する加熱ループ、フルセラミック加熱素子、少なくとも1つの電気的に動作する加熱線等の少なくとも1つの電気的に動作する(部品と接触しない)加熱素子を、第1炉の炉内及び/又は第2炉の炉内に設置する場合に特に好ましい。これの代わりに又はこれに加えて、少なくとも1つの、特にガス加熱式の放射管を、第1炉の炉内及び/又は第2炉の炉内に設置可能である。また、第1炉の炉内及び第2炉の炉内では少なくとも1つのガスバーナーが燃焼するが、複数の放射管ガスバーナー又は複数の放射管を、第1炉の炉内及び/又は第2炉の炉内に設置することが好ましい。このとき、これらのガスバーナーが内部で燃焼する鋼管の内部領域と炉内とが空気に関して分離している場合は、燃焼ガス及び排気ガスのいずれも前記炉内には侵入できず、その結果、炉内空気に影響を与えることがないため、特に優位性を有することとなる。そのような配置は「間接ガス加熱」とも呼ばれる。
【0038】
前記焼き戻しステーションに関連して記載されている詳細、特徴、有利な実施形態については、ここに示す前記装置においても適宜適用可能であり、その逆も可能である。これについて、特徴を更に特徴付けるように提供される記載の全てが、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0039】
更なる態様では、金属部品の部分熱処理用焼き戻しステーションにおいて、特に、前記金属部品の第1部分領域を部分的に冷却するための焼き戻しステーションにおいて、少なくとも1つの接線方向ノズルを使用することを提案する。好ましくは、前記熱処理(プレス焼き入れ等の)を受けた金属部品の仕上がり状態において(第2部分領域よりも第1部分領域が)強度が下がるように前記第1部分領域を冷却するために 前記金属部品の第1部分領域の表面に沿って実質的に水平方向に流れる空気流を、前記接線方向ノズルを使用して吐出する。この場合、前記空気流が、前記第1部分領域の(調整可能な)縁又は外郭から前記第1部分領域の中央へ流れるように、及び/又は、隔壁から前記第1部分領域の中央へ流れるように、前記接線方向ノズルを配置可能である。
【0040】
前記焼き戻しステーション及び/又は前記装置に関連して記載されている詳細、特徴、有利な実施形態については、ここに示す使い方でも適宜適用可能であり、その逆も可能である。これについて、特徴を更に特徴付けるように提供される記載の全てが、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0041】
本発明及び技術的な環境を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、ここに示す例示的な実施形態によって限定されないものとする。特に、特段の記載がない限り、図面により説明された事項の部分的な態様を抽出し、他の構成要素、及び/又は、他の図面及び/又は本明細書からの知見と、これを組み合わせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明に従う焼き戻しステーションの概略図である。
図2】本発明に従う装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、金属部品2を部分熱処理するための焼き戻しステーション1の概略図を示す。焼き戻しステーション1には、加工面3が設置されており、ここに金属部品2が配置される。さらに、例えば、焼き戻しステーション1は、加工面3に向けられたノズル4を備え、このノズル4は、金属部品2の第1部分領域6を冷却するための流体流5(図1の破線)を吐出するために設けられている。
【0044】
さらに、図1には、前述のノズル4が接線方向ノズル13であることが示されている。この接線方向ノズル13は、前述のノズル4のノズル出口9において、流体流5を生成することを特徴とし、このノズル出口9は、金属部品2の表面に(この場合は、金属部品2の第1部分領域6の表面に対し)実質的に接線方向に沿って又は該表面と実質的に平行に向けられていることを特徴とする。この方向は、流体流5の端にある破線で示された矢印により示してある。
【0045】
また、前記ノズル4のノズルジオメトリ8(図1に破断して示す)は、流体流5の、金属部品2の第2部分領域7の方向に流れる少なくとも1つの成分が、第1部分領域6に向けて方向転換するように設計されている。図1に記載されているように、ノズル4を流れる流体流5全体が、まず、金属部品2の第2部分領域7に向かう方向に該ノズル4を通って流れ、その後、同金属部品2の第1部分領域6に向かって方向転換するように、ノズルジオメトリは設計されている。流体流5を第1部分領域6に向けて方向転換するために、図1におけるノズル4は方向転換領域10を有する。ノズル4のノズル出口9は、下流側において、この方向転換領域10に沿っている。ノズル出口9は、同ノズル出口9において金属部品2の第2部分領域7の方向への流れの衝撃を全て妨げるように構成され、位置付けされ、且つ、方向転換領域10に対して配置されている。
【0046】
また、図1は、ノズル4の方向転換領域10が、金属部品2の第2部分領域7から金属部品2の第1部分領域6を(熱的に)区分する隔壁11に向けて且つ少なくとも部分的にこの隔壁11の下に拡がることを示している。例として、隔壁11は、ここでは、ノズルボックス19の一部として形成されており、ノズルボックス19内では、熱源20がノズル4から(熱的に)区分又は隔離された状態となっている。隔壁11は、ノズル4と金属部品2の第1部分領域6を熱源20から(熱的に)遮蔽することに寄与する。また、これにより、ノズル4により冷却される第1部分領域6は、熱源20により加熱される第2部分領域7から(熱的に)区分される。この結果、金属部品の部分領域6、7それぞれが異なる温度となることを可能とし、金属部品の部分領域6、7それぞれで構造及び/又は強度特性を異ならせることができる。
【0047】
さらに、図1では、図1におけるノズル4は、ノズル4の、加工面3を向いている側において且つ金属部品2の第2部分領域7に向けられたノズル4の領域において、流体流5によって負圧エリア(Unterdruckgebiet)12を生成するように設計されていることを示している。さらに、図1では、加工面3とノズル4との間の距離は、ノズル4が金属部品2に接触しないように設定されることが分かる。
【0048】
接線方向ノズル13として設計されたノズル4に加えて、焼き戻しステーション1は、追加ノズル18を備える。この追加ノズル18は、スプレー方式のものを例示することができ、焼き戻しステーション1内の接線方向ノズル13の隣に保持される。
【0049】
図2は、金属部品2を熱処理するための、本発明による装置14の概略図を示す。この装置14は、加熱可能な第1炉15と、前記第1炉15の下流に(隣接して)設置された焼き戻しステーション1と、前記焼き戻しステーション1の下流に(隣接して)設置された加熱可能な第2炉16と、前記第2炉16の下流に(隣接して)設置されたプレス焼き入れツール17とを備える。ここでは、装置14は、(部分的な)プレス焼入れ用の熱成形ライン(Warmformlinie)を示す。プレス焼き入れツール17は、プレス機の一部であるか、又は、プレス機より構成される。
【0050】
先行技術に記載された諸問題を少なくとも部分的に解決する、金属部品の熱処理用の焼き戻しステーション及び装置をここに開示した。特に、この焼き戻しステーション及び装置により、異なる熱処理を受けた金属部品の部分領域同士の間に、遷移領域をできる限り確実に及び/又はできる限り正確に設けること、特に該遷移領域をできる限り小さくすることを可能にする。さらに、焼き戻しステーション及び装置により、特に、金属部品の異なる焼き戻しをされた各部分領域を(熱的に)区分するための隔壁に、当該金属部品が接触しないようにすることが可能となる。
【符号の説明】
【0051】
1 焼き戻しステーション
2 部品
3 加工面
4 ノズル
5 流体流
6 第1部分領域
7 第2部分領域
8 ノズルジオメトリ
9 ノズル出口
10 方向転換領域
11 隔壁
12 負圧エリア
13 接線方向ノズル
14 装置
15 第1炉
16 第2炉
17 プレス焼入れツール
18 追加ノズル
19 ノズルボックス
20 熱源
図1
図2