(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】リン酸一アンモニウム及びリン酸二アンモニウムの併産方法
(51)【国際特許分類】
C01B 25/28 20060101AFI20220203BHJP
B01D 53/58 20060101ALI20220203BHJP
B01D 53/78 20060101ALI20220203BHJP
C05B 7/00 20060101ALN20220203BHJP
【FI】
C01B25/28 D
B01D53/58 ZAB
B01D53/78
C05B7/00
(21)【出願番号】P 2020125550
(22)【出願日】2020-07-22
【審査請求日】2020-07-22
(31)【優先権主張番号】201911294763.0
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520274426
【氏名又は名称】ウォンフー ダジョウ ケミカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100117400
【氏名又は名称】北川 政徳
(74)【代理人】
【識別番号】100161746
【氏名又は名称】地代 信幸
(72)【発明者】
【氏名】ラン ルイチュアン
(72)【発明者】
【氏名】シ ジア
(72)【発明者】
【氏名】リウ リホン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】リウ フェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ チアン
【審査官】青木 千歌子
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-527960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B25/00-25/46
C05B1/00-21/00;C05C1/00-13/00;C05D1/00-11/00;C05F1/00-17/993;C05G1/00-5/40
B01D53/34-53/73;53/74-53/85;53/92;53/96
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)リン酸一アンモニウム飽和溶液、液体アンモニア及びリン酸を中和装置Aで混合し、リン酸一アンモニウムの中和反応を行い、固液分離し、リン酸一アンモニウム製品及び母液Iを得、
リン酸二アンモニウム飽和溶液、液体アンモニア及びリン酸を中和装置Bで混合し、リン酸二アンモニウムの中和反応を行い、固液分離し、リン酸二アンモニウム製品及び母液IIを得るステップと、
(2)母液I、母液II、液体アンモニア及びリン酸を中和装置Aで混合し、リン酸一アンモニウムの中和反応を行い、固液分離し、リン酸一アンモニウム製品及び母液I’を得、
母液II、液体アンモニア及びリン酸を中和装置Bで混合し、リン酸二アンモニウムの中和反応を行い、固液分離し、リン酸二アンモニウム製品及び母液II’を得るステップと、
(3)ステップ(2)で得られた母液I’及び母液II’に対して、ステップ(2)を繰り返すステップと、を含む、リン酸一アンモニウム及びリン酸二アンモニウムの併産方法において、
前記ステップ(1)、(2)では、リン酸二アンモニウムの中和反応で発生する排ガスをリン酸で洗浄し吸収し、吸収したスラリーを中和装置Bに送り、
前記ステップ(1)及び(2)では、前記リン酸一アンモニウムの中和反応において前記液体アンモニアの添加量は、流量1300~1500KG/hであり、前記リン酸の添加量は、反応pH値が3.5~4.0になるように制御し、前記リン酸二アンモニウムの中和反応において、前記液体アンモニアの添加量は、流量800~900KG/hであり、前記リン酸の添加量は、反応pH値が6.5~8.0になるように制御し、
前記ステップ(1)及び(2)では、前記リン酸一アンモニウムの中和反応において、反応温度は、108℃~113℃であり、前記リン酸二アンモニウムの中和反応において、反応温度は、90℃~95℃であり、前記リン酸一アンモニウム飽和溶液の添加量は、10~11m
3であり、前記リン酸二アンモニウム飽和溶液の添加量は、10~11m
3であり、
前記ステップ(2)では、前記リン酸一アンモニウムの中和反応において、母液Iの添加量は、30m
3/hであり、母液IIの添加量は、30m
3/hであり、前記リン酸二アンモニウムの中和反応において、母液IIの添加量は、30m
3/hである、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ステップ(1)、(2)では、リン酸二アンモニウムの中和反応で発生する排ガスをリン酸で洗浄し吸収し、残りのガスを煙突に排出する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップ(1)、(2)では、リン酸一アンモニウムの中和反応で発生する排ガスを煙突に排出する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
液体アンモニア輸送管、リン酸貯蔵タンク、リン酸一アンモニウム製造セクション、
リン酸二アンモニウム製造セクション及び排ガス洗浄装置を含む、リン酸によるリン酸一アンモニウム及びリン酸二アンモニウムの併産システムであって、
前記リン酸一アンモニウム製造セクションは、順次に接続されている、中和装置A、固液分離装置A、母液回収装置Aを含み、前記リン酸二アンモニウム製造セクションは、順次に接続されている、中和装置B、固液分離装置B、母液回収装置Bを含み、前記母液回収装置Aは、母液I輸送管を介して中和装置Aに接続され、前記母液回収装置Bは、母液II輸送管を介して前記中和装置B及び前記母液回収装置Aに接続され、
前記液体アンモニア輸送管は、それぞれ前記中和装置A及び前記中和装置Bに接続され、前記リン酸貯蔵タンクは、それぞれ前記中和装置A及び前記中和装置Bに接続され、
前記排ガス洗浄装置は、前記中和装置Bに接続され、前記排ガス洗浄装置は、循環管路を介してリン酸貯蔵タンクに接続され、
前記中和装置A及び前記排ガス洗浄装置は、煙突に接続され、
前記中和装置Aと前記煙突との間、及び、前記中和装置Bと前記排ガス洗浄装置との間には、排ガスファンが設けられている、ことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年12月16日に中国特許庁へ提出された、出願番号が201911294763.0、発明の名称が「湿式リン酸による工業用リン酸一アンモニウム及びリン酸二アンモニウムの製造方法並びにシステム」である中国特許出願に基づき優先権を主張し、その全内容は、援用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、化学工業の技術分野に関し、具体的には、リン酸一アンモニウム及びリン酸二アンモニウムの併産方法に関する。
【背景技術】
【0003】
リン酸一アンモニウム及びリン酸二アンモニウムは、消防、点滴灌漑肥料、医薬品及び食品などに広く使用されている。現在、リン酸一アンモニウム及びリン酸二アンモニウムの製造は、一般的に熱法リン酸又は精製リン酸プロセスを採用し、その欠点は、生産コストが高く、プロセスが複雑で、エネルギー消費量が多く、汚染が大きいことである。しかしながら、現在のリン酸による製造プロセス、製造装置及び製造プロセスは、比較的に単一であり、それらのほとんどは、リン酸一アンモニウム又はリン酸二アンモニウムしか製造できなく、リン酸一アンモニウムとリン酸二アンモニウムの併産を達成することは困難となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、リン酸一アンモニウム及びリン酸二アンモニウムの併産方法を提供し、母液のバランス、リン酸一アンモニウムとリン酸二アンモニウムの併産を実現している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題を解決するために、本願で提供される技術態様は、
(1)リン酸一アンモニウム飽和溶液、液体アンモニア及びリン酸を中和装置Aで混合し、リン酸一アンモニウムの中和反応を行い、固液分離し、リン酸一アンモニウム製品及び母液Iを得、
リン酸二アンモニウム飽和溶液、液体アンモニア及びリン酸を中和装置Bで混合し、リン酸二アンモニウムの中和反応を行い、固液分離し、リン酸二アンモニウム製品及び母液IIを得るステップと、
(2)母液I、母液II、液体アンモニア及びリン酸を中和装置Aで混合し、リン酸一アンモニウムの中和反応を行い、固液分離し、リン酸一アンモニウム製品及び母液I’を得、
母液II、液体アンモニア及びリン酸を中和装置Bで混合し、リン酸二アンモニウムの中和反応を行い、固液分離し、リン酸二アンモニウム製品及び母液II’を得るステップと、
(3)ステップ(2)で得られた母液I’及び母液II’に対して、ステップ(2)を繰り返すステップと、を含む、リン酸一アンモニウム及びリン酸二アンモニウムの併産方法において、
前記ステップ(1)、(2)では、リン酸二アンモニウムの中和反応で発生する排ガスをリン酸で洗浄し吸収し、吸収したスラリーを中和装置Bに送る方法である。
【0006】
好ましくは、前記ステップ(1)、(2)では、リン酸二アンモニウムの中和反応で発生する排ガスをリン酸で洗浄し吸収し、残りのガスを煙突に排出する。
好ましくは、前記ステップ(1)、(2)では、リン酸一アンモニウムの中和反応で発生する排ガスを煙突に排出する。
好ましくは、前記ステップ(1)及び(2)では、前記リン酸一アンモニウムの中和反応において前記液体アンモニアの添加量は、流量1300~1500KG/hであり、前記リン酸の添加量は、反応pH値が3.5~4.0になるように制御し、前記リン酸二アンモニウムの中和反応において、前記液体アンモニアの添加量は、流量800~900KG/hであり、前記リン酸の添加量は、反応pH値が6.5~8.0になるように制御する。
【0007】
好ましくは、前記ステップ(1)及び(2)では、前記リン酸一アンモニウムの中和反応において、反応温度は、108℃~113℃であり、前記リン酸二アンモニウムの中和反応において、反応温度は、90℃~95℃である。
好ましくは、前記ステップ(1)では、前記リン酸一アンモニウム飽和溶液の添加量は、10~11m3であり、前記リン酸二アンモニウム飽和溶液の添加量は、10~11m3である。
好ましくは、前記ステップ(2)では、前記リン酸一アンモニウムの中和反応において、母液Iの添加量は、30m3/hであり、母液IIの添加量は、30m3/hであり、前記リン酸二アンモニウムの中和反応において、母液IIの添加量は、30m3/hである。
好ましくは、前記ステップ(1)及び(2)では、前記リン酸一アンモニウムの中和反応において撹拌し、撹拌の回転速度は、32r/minであり、前記リン酸二アンモニウムの中和反応において撹拌し、撹拌の回転速度は、32r/minである。
【0008】
本発明は、さらに、液体アンモニア輸送管、リン酸貯蔵タンク、リン酸一アンモニウム製造セクション、リン酸二水素カリウム製造セクション及び排ガス洗浄装置を含む、リン酸によるリン酸一アンモニウム及びリン酸二アンモニウムの併産システムを提供し、
前記リン酸一アンモニウム製造セクションは、順次に接続されている、中和装置A、固液分離装置A、母液回収装置Aを含み、前記リン酸二アンモニウム製造セクションは、順次に接続されている、中和装置B、固液分離装置B、母液回収装置Bを含み、前記母液回収装置Aは、母液I輸送管を介して中和装置Aに接続され、前記母液回収装置Bは、母液II輸送管を介して前記中和装置B及び前記母液回収装置Aに接続されている。
前記液体アンモニア輸送管は、それぞれ前記中和装置A及び前記中和装置Bに接続され、前記リン酸貯蔵タンクは、それぞれ前記中和装置A及び前記中和装置Bに接続されている。
前記排ガス洗浄装置は、前記中和装置Bに接続され、前記排ガス洗浄装置は循環管路を介してリン酸貯蔵タンクに接続されている。
【0009】
好ましくは、前記中和装置A及び前記排ガス洗浄装置は、煙突に接続されている。
好ましくは、前記中和装置Aと前記煙突との間、及び、前記中和装置Bと前記排ガス洗浄装置との間には、排ガスファンが設けられている。
好ましくは、前記中和装置A及び前記中和装置Bは反応釜である。
好ましくは、前記排ガス洗浄装置の液体導入口及び液体排出口が前記リン酸貯蔵タンクに接続されている。
【0010】
従来技術と比較すると、本願の詳しい説明は、以下の通りである。
本発明に係るリン酸によりリン酸一アンモニウム及びリン酸二アンモニウムを製造するシステムは、母液回収装置Aが母液I輸送管を介して中和装置Aに接続され、母液回収装置Bが母液II輸送管を介して中和装置B及び母液回収装置Aに接続され、液体アンモニア輸送管がそれぞれ中和装置A及び中和装置Bに接続され、リン酸貯蔵タンクがそれぞれ中和装置A及び中和装置Bに接続されており、製造方法は、リン酸一アンモニウムの中和反応後、固液分離し、リン酸一アンモニウム製品及び母液I’を得、母液I’をリン酸一アンモニウムの中和反応原料として再利用し、本発明では、リン酸二アンモニウムの中和反応後、固液分離し、リン酸二アンモニウム製品及び母液II’を得、母液II’をリン酸二アンモニウムの中和反応原料及びリン酸一アンモニウムの中和反応原料として再利用し、母液の循環を実現し、母液の回収利用を実現するとともに、リン酸二アンモニウムの中和反応で発生する排ガスにおいてオーバーフローしたアンモニアガスがあり、リン酸を使用して洗浄し吸収し、吸収したスラリーを中和装置Bに送り、リン酸二アンモニウム製造セクションに入る液体量が多くなり、液体が正の平衡状態にある。本発明のリン酸一アンモニウム及びリン酸二アンモニウムの中和反応過程は、発熱反応であり、水蒸气の蒸発量が多く、リン酸一アンモニウム製造セクションに入る液体量が少なくなり、液体が正の平衡状態にある。本発明では、リン酸二アンモニウムの中和反応後に固液分離して得られた母液IIを使用し、リン酸二アンモニウムの中和反応の原料として、リン酸一アンモニウムの中和反応の原料とともに再利用し、リン酸一アンモニウム製造セクションへの液体導入量及びリン酸二アンモニウム製造セクションからの液体排出量を増加させ、母液のバランス、リン酸一アンモニウムとリン酸二アンモニウムの併産を実現している。
【0011】
さらに、リン酸一アンモニウム飽和溶液、リン酸二アンモニウム飽和溶液、液体アンモニア、リン酸、母液I、母液IIの添加量を制御することにより、第一、液体アンモニアの大量のガス化を回避し、過度の結晶によるパイプラインの閉塞を回避し、中和の連続性を向上させ、連続的結晶化を実現し、生産効率及び安全性を向上させ、第二、母液I、母液IIを加えることにより、中和液の濃度が高すぎることを回避し、撹拌及びpH値の制御の正確性に不利であり、液体アンモニアとリン酸の反応が激しすぎることを回避し、結晶化に影響を与え、第三、リン酸一アンモニウム飽和溶液、リン酸二アンモニウム飽和溶液、液体アンモニア、リン酸、母液I、母液IIの添加量を制御することにより、母液のバランス、リン酸一アンモニウムとリン酸二アンモニウムの併産を保証している。
さらに、撹拌の回転速度及び温度条件を限定し、適切な撹拌速率及び温度条件下にあることを保証し、リン酸一アンモニウムのリン酸二アンモニウムの結晶化を保証している。
【0012】
本発明に係る実施例又は係る技術案をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に紹介する。下記の図面は本発明の幾つかの実施例ただであり、当業者によれば、創造的な労力を払うことなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることが明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明に係るリン酸によるリン酸一アンモニウム及びリン酸二アンモニウムの併産システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
当業者が本発明に係る技術案をよりよく理解できるようにするために、以下、具体的な実施例と組み合わせて本発明をさらに詳しく説明する。
本発明において、「母液I」および「母液I'」は同じ組成を有し、異なる反応段階におけるリン酸一アンモニウム飽和溶液であり、「母液II」および「母液II'」は同じ組成を有し、異なる反応段階におけるリン酸二アンモニウム飽和溶液であり、上記の命名は、当業者が本発明をよりよく理解するためだけのものである。
【実施例】
【0015】
実施例1
リン酸によるリン酸一アンモニウム及びリン酸二アンモニウムの併産方法であって、
(1)リン酸一アンモニウム飽和溶液、液体アンモニア及びリン酸を中和装置A31で混合し、リン酸一アンモニウムの中和反応を行い、固液分離し、リン酸一アンモニウム製品及び母液Iを得;
リン酸二アンモニウム飽和溶液、液体アンモニア及びリン酸を中和装置B32で混合し、リン酸二アンモニウムの中和反応を行い、固液分離し、リン酸二アンモニウム製品及び母液IIを得るステップと;
(2)母液I、母液II、液体アンモニア及びリン酸を中和装置A31で混合し、リン酸一アンモニウムの中和反応を行い、固液分離し、リン酸一アンモニウム製品及び母液I’を得;
母液II、液体アンモニア及びリン酸を中和装置B32で混合し、リン酸二アンモニウムの中和反応を行い、固液分離し、リン酸二アンモニウム製品及び母液II’を得るステップ;
(3)ステップ(2)で得られた母液I’及び母液II’に対して、ステップ(2)を繰り返すステップと、を含む方法において、
【0016】
前記ステップ(1)、(2)では、リン酸二アンモニウムの中和反応で発生する排ガスをリン酸で洗浄し吸収し、吸収したスラリーを中和装置B32に送り、
前記ステップ(1)、(2)では、リン酸二アンモニウムの中和反応で発生する排ガスをリン酸で洗浄し吸収し、残りのガスを煙突8に排出し、
前記ステップ(1)、(2)では、リン酸一アンモニウムの中和反応で発生する排ガスガスを煙突8に排出し、
前記ステップ(1)及び(2)では、前記リン酸一アンモニウムの中和反応において前記液体アンモニアの添加量は、流量1300~1500KG/hであり、前記リン酸の添加量は、反応pH値が3.5~4.0になるように制御し、前記リン酸二アンモニウムの中和反応において、前記液体アンモニアの添加量は、流量800~900KG/hであり、前記リン酸の添加量は、反応pH値が6.5~8.0になるように制御する。
【0017】
前記ステップ(1)及び(2)では、前記リン酸一アンモニウムの中和反応において、反応温度は、108℃~113℃であり、前記リン酸二アンモニウムの中和反応において、反応温度は、90℃~95℃である。
好ましくは、前記ステップ(1)では、前記リン酸一アンモニウム飽和溶液の添加量は、10~11m3であり、前記リン酸二アンモニウム飽和溶液の添加量は、10~11m3であり、
前記ステップ(2)では、前記リン酸一アンモニウムの中和反応において、母液Iの添加量は、30m3/hであり、母液IIの添加量は、30m3/hであり、前記リン酸二アンモニウムの中和反応において、母液IIの添加量は、30m3/hであり、
前記ステップ(1)及び(2)では、前記リン酸一アンモニウムの中和反応において、撹拌の回転速度は、32r/minであり、前記リン酸二アンモニウムの中和反応において、撹拌の回転速度は、32r/minである。
【0018】
図1に示すように、本発明は、さらに、液体アンモニア輸送管1、リン酸貯蔵タンク2、リン酸一アンモニウム製造セクション、リン酸二水素カリウム製造セクション及び排ガス洗浄装置7を含む、上記のリン酸によるリン酸一アンモニウム及びリン酸二アンモニウムの併産システムを提供し、
前記リン酸一アンモニウム製造セクションは、順次に接続されている、中和装置A31、固液分離装置A41、母液回収装置A51を含み;前記リン酸二アンモニウム製造セクションは、順次に接続されている、中和装置B32、固液分離装置B42、母液回収装置B52を含み、前記母液回収装置A51は、母液I輸送管61を介して中和装置A31に接続され、前記母液回収装置B52は、母液II輸送管62を介して前記中和装置B32及び前記母液回収装置A51に接続されている。
【0019】
前記液体アンモニア輸送管1は、それぞれ前記中和装置A31及び前記中和装置B32に接続され、前記リン酸貯蔵タンク2は、それぞれ前記中和装置A31及び前記中和装置B32に接続されている。
前記排ガス洗浄装置7は、前記中和装置B32に接続され、前記排ガス洗浄装置7は、循環管路10を介してリン酸貯蔵タンク2に接続されている。
前記中和装置A31及び前記排ガス洗浄装置7は、煙突8に接続されている。
前記中和装置A31と前記煙突8との間、前記中和装置B32と前記排ガス洗浄装置7との間には、排ガスファン9が設けられている。
【0020】
前記中和装置A31は、反応釜Aであり、前記中和装置B32は、反応釜Bであり、前記排ガス洗浄装置7は、吸収塔であり、前記固液分離装置A41及び前記固液分離装置B42は、遠心分離装置であり、前記母液回収装置A51及び前記母液回収装置B52は、母液回収槽である。
前記排ガス洗浄装置7の液体導入口及び液体排出口は、前記リン酸貯蔵タンク2に接続されている。
【0021】
得られた母液I及び母液IIを検出した結果は、以下の通りである。
ステップ(2)で得られた前記母液I’の比重は、1.4~1.42であり、五酸化二リンの含有量は、31~32wt%であり、全窒素(N換算で)含有量は、6~7wt%であり、ステップ(2)で発生する母液I’の液体量は、8~9m3/hであり、ステップ(2)で得られた前記母液II’の比重は、1.35~1.38であり、五酸化二リンの含有量は、31~32wt%であり、全窒素(N換算で)の含有量は、11~12.5wt%であり、ステップ(2)で発生する母液II’の液体量は、9~10m3/hである。
【0022】
本発明に係る液体アンモニア輸送管1は、それぞれ前記中和装置A31及び前記中和装置B32へ液体アンモニアを輸送し、リン酸貯蔵タンク2はそれぞれ前記中和装置A31及び前記中和装置B32へリン酸を輸送する。
リン酸一アンモニウム飽和溶液、液体アンモニア及びリン酸を中和装置A31で混合し、リン酸一アンモニウムの中和反応を行い、固液分離装置A41にて固液分離し、リン酸一アンモニウム製品及び母液Iを得、母液Iは、母液回収装置A51に導入される。
リン酸二アンモニウム飽和溶液、液体アンモニア及びリン酸を中和装置B32で混合し、リン酸二アンモニウムの中和反応を行い、固液分離装置B42にて固液分離し、リン酸二アンモニウム製品及び母液IIを得、母液IIは、母液回収装置B52に導入される。
【0023】
母液I、母液II、液体アンモニア及びリン酸を中和装置A31で混合し、リン酸一アンモニウムの中和反応を行い、固液分離し、リン酸一アンモニウム製品及び母液I’を得る。
前記母液回収装置A51での母液Iは、母液I輸送管61を介して中和装置A31に輸送され、前記母液回収装置B52での母液IIは、母液II輸送管62を介して前記中和装置B32及び前記母液回収装置A51に輸送される。
【0024】
リン酸貯蔵タンク2は、洗浄するために循環管路10を介してリン酸を排ガス洗浄装置7へ輸送し、中和装置B32では、リン酸二アンモニウムの中和反応による排ガスはファンによって排ガス洗浄装置7に輸送され、リン酸により洗浄吸収を行い、吸収後のスラリーは、循環管路10を介してリン酸貯蔵タンク2に戻される。
上記吸収後のスラリーは、中和装置B32に送られ、具体的には、前記吸収後のスラリーは、リン酸貯蔵タンク2に送られ、リン酸貯蔵タンク2でのリン酸は、前記中和装置B32に輸送される。
【0025】
本発明に係るリン酸によるリン酸一アンモニウム及びリン酸二アンモニウムの併産システムは、母液回収装置A51が母液I輸送管61を介して中和装置A31に接続され、母液回収装置B52が母液II輸送管62を介して中和装置B32及び母液回収装置A51に接続され、液体アンモニア輸送管1がそれぞれ中和装置A31及び中和装置B32に接続され、リン酸貯蔵タンク2がそれぞれ中和装置A31及び中和装置B32に接続されている。製造方法は、リン酸一アンモニウムの中和反応後に固液分離してリン酸一アンモニウム製品及び母液Iを得、母液Iをリン酸一アンモニウムの中和反応の原料として再利用し、本発明のリン酸二アンモニウムの中和反応後に固液分離してリン酸二アンモニウム製品及び母液IIを得、晶析母液IIをリン酸二アンモニウムの中和反応の原料及びリン酸一アンモニウムの中和反応の原料として再利用し、母液の循環を実現し、晶析母液の再利用を実現するとともに、リン酸二アンモニウムの中和反応で発生した排ガスにおいてオーバーフローしたアンモニアガスがあり、リン酸により洗浄し吸収し、吸収後のスラリーを中和装置B32に送り、リン酸二アンモニウム製造セクションに入る液体量が多くなり、液体が正の平衡状態になり、本発明のリン酸一アンモニウム及びリン酸二アンモニウムの中和反応過程は、発熱反応であり、水蒸气の蒸発量が多く、リン酸一アンモニウム製造セクションに入る液体量が少なく、液体が正の平衡状態になり、本発明では、リン酸二アンモニウムの中和反応後に固液分離して得られた晶析母液Iを使用し、リン酸二アンモニウムの中和反応の原料及びリン酸一アンモニウムの中和反応の原料として再利用し、リン酸一アンモニウム製造セクションへの液体の導入量及びリン酸二アンモニウム製造セクションからの液体の排出量を増加し、母液のバランスを実現する。
【0026】
さらに、リン酸一アンモニウム母液リン酸一アンモニウム飽和溶液、リン酸二アンモニウム飽和溶液、液体アンモニア、リン酸、母液I、母液IIの添加量を制御することにより、第一、液体アンモニアの大量のガス化を回避し、過度の結晶によるパイプラインの閉塞を回避し、中和の連続性を向上させ、連続的結晶化を実現し、生産効率及び安全性を向上させ、第二、母液I、母液IIを加えることにより、中和液の濃度が高すぎることを回避し、撹拌及びpH値の制御の正確性に不利であり、液体アンモニアとリン酸の反応が激しすぐることを回避し、結晶化に影響を与え、第三、リン酸一アンモニウム飽和溶液、リン酸二アンモニウム飽和溶液、液体アンモニア、リン酸、母液I、母液IIの添加量を制御することにより、、母液のバランスを保証している。
さらに、撹拌の回転速度及び温度条件を限定し、適切な撹拌速率及び温度条件下にあることを保証し、リン酸一アンモニウムのリン酸二アンモニウムの結晶化を保証している。
【0027】
比較例1 リン酸二アンモニウムの生産
(1)リン酸二アンモニウムの中和工程:反応釜内にリン酸二アンモニウム飽和溶液10m3をポンプで送り、アンモニアガス及びリン酸を導入した。反応液のpH値を6.5~7.8に調整しながら、反応釜内の中和液面が0.5メートル高くなると、単一反応釜の中和反応を完了した。
単一反応釜の中和反応において、リン酸二アンモニウムの中和により発生した排ガスがアンモニアで洗浄され(ベンチュリ管によるアンモニアの吸収)、その後、アンモニアがリン酸を吸収してアンモニアによるリン酸吸収タンクに戻し、アンモニアによるリン酸吸収の循環及びアンモニアによる吸収洗浄を実現した。
(2)ステップ(1)で得られた反応液を遠心分離し、母液III及びリン酸二アンモニウム固体を得た。
(3)ステップ(1)でのリン酸二アンモニウム飽和溶液の代わりに母液IIIを使用し、ステップ(1)を繰り返した。
上記反応において、リン酸二アンモニウムの生産ラインにアンモニアによるリン酸吸収タンク及びポンプによる酸供給システムを独立して使用し、リン酸二アンモニウムの中和、及びアンモニアの吸収洗浄にリン酸を供給し、反応釜でリン酸二アンモニウムを中和する場合には、生産用アンモニア流量の必要に応じて、流量計を観察して分岐バルブを調整し、リン酸の間欠供給及びアンモニアの連続導入で中和した。遠心分離により得られた母液は、リン酸二アンモニウム母液収集タンクに導入され、リン酸二アンモニウムを乾燥させた。
比較例2 リン酸一アンモニウムの生産
(1)リン酸一アンモニウムの中和工程:反応釜にリン酸一アンモニウム飽和溶液10m3をポンプで送り、アンモニアガス及びリン酸を導入した。反応液のpH値を2.5~4.5に調整し、反応釜内の中和液面が0.5メートル高くなると、単一反応釜の中和反応を完了した。
単一反応釜の中和反応において、リン酸一アンモニウムの中和により発生した排ガスが洗浄塔を通過して排ガスにおける蒸気水を洗浄した後、凝縮水が外部に排出され、生産システムに入らなかった。
(2)ステップ(1)で得られた反応液を遠心分離し、母液IV及びリン酸一アンモニウム固体を得た。
(3)ステップ(1)でのリン酸一アンモニウム飽和溶液の代わりに母液IVを使用し、ステップ(1)を繰り返した。
上記反応では、リン酸一アンモニウムの生産ラインに、リン酸一アンモニウムの中和に酸供給するようにポンプによる酸供給システムを独立して使用し、反応釜でリン酸一アンモニウムを中和する場合には、生産用アンモニア流量の必要に応じて流量計を観察して分岐バルブを調整し、リン酸の間欠供給及びアンモニアの連続導入で中和した。遠心分離により得られた母液は、リン酸一アンモニウム母液収集タンクに導入され、リン酸一アンモニウムを乾燥させた。
【0028】
【0029】
本発明では、液体アンモニアの流量を御製するために、液体アンモニアについて流量計に従って分岐バルブを調節した。単一反応釜で発生した母液量は、単一反応釜への原料投入前後に母液収集タンクの液面の高さの差により計算され、具体的には、単一反応釜で発生した母液量=3.14*2*2*液面の高さの差である。液体アンモニアの流量計による全量を1日あたりの生産量で割ることにより液体アンモニアの消費量を計算した。脱塩用水流量計に従って1日あたりの脱塩用水消費量を計算した。
表1により分かるように、併産後、アンモニアで洗浄されたリン酸がリン酸一アンモニウムのラインで消費され、アンモニアで洗浄されたリン酸の濃度を低減させ、アンモニアの洗浄効果を向上させ、リン酸二アンモニウムのラインで液体アンモニアの消費指標を低減させているとともに、アンモニアで洗浄されたリン酸によるパイプ閉塞などの二次的事故が回避され、母液の移送による事故を回避している。
【0030】
以上、本発明の好ましい実施形態にすぎず、上記の好ましい実施形態は、本発明を限定するものと見なされるべきではなく、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって定義される範囲を基準とすることを理解すべきである。当業者によっては、本発明の精神および範囲を逸脱しない場合、いくつかの改良及び修飾がさらに行われ、これらの改良及び修飾も本発明の保護範囲と見なされるべきである。