(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】座屈拘束ブレース
(51)【国際特許分類】
E04B 1/58 20060101AFI20220118BHJP
【FI】
E04B1/58 D
(21)【出願番号】P 2020209123
(22)【出願日】2020-12-17
【審査請求日】2020-12-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】倉田 高志
【審査官】松本 隆彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-183701(JP,A)
【文献】特開2020-066924(JP,A)
【文献】特開2017-015220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/58
E04H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の鋼製の芯材と、
前記芯材に対して、前記芯材の板厚方向の第1側に配置され前記芯材に密接する木製の第1拘束材と、
前記芯材に対して、前記板厚方向の第2側に配置され前記芯材に密接する木製の第2拘束材と、
前記芯材に対して前記芯材の板幅方向にずらされた状態で、前記第1拘束材と前記第2拘束材との間に配置され、前記第1拘束材および前記第2拘束材に接着された継ぎ木と、を備えている、座屈拘束ブレース。
【請求項2】
前記芯材に対して、前記芯材の板幅方向の第1側に配置され、厚さが前記芯材の厚さ以下である第1スペーサーと、
前記芯材に対して、前記板幅方向の第2側に配置され、厚さが前記芯材の厚さ以下である第2スペーサーと、を更に備え、
前記継ぎ木は、
前記芯材および前記第1スペーサーに対して前記板幅方向の第1側に配置された第1化粧木と、
前記芯材および前記第2スペーサーに対して前記板幅方向の第2側に配置された第2化粧木と、を備えている、請求項1に記載の座屈拘束ブレース。
【請求項3】
板状の鋼製の芯材と、
前記芯材に対して、前記芯材の板厚方向の第1側に配置され前記芯材に密接する木製の第1拘束材と、
前記芯材に対して、前記板厚方向の第2側に配置され前記芯材に密接する木製の第2拘束材と、
前記芯材に対して、前記芯材の板幅方向の第1側に配置され、厚さが前記芯材の厚さ以下である第1スペーサーと、
前記芯材に対して、前記板幅方向の第2側に配置され、厚さが前記芯材の厚さ以下である第2スペーサーと、
前記第1拘束材と、前記第1スペーサーまたは前記第2スペーサーと、前記第2拘束材と、を前記板厚方向に貫通して締結する締結部材と、を備え、
前記第1拘束材および前記第2拘束材それぞれには、各拘束材を前記板厚方向に貫通する貫通孔が
設けられ、
前記締結部材の前記板厚方向の第1側の端部が、前記第1拘束材の前記貫通孔に配置され、
前記締結部材の前記板厚方向の第2側の端部が、前記第2拘束材の前記貫通孔に配置され、
前記第1拘束材および前記第2拘束材それぞれの前記貫通孔に配置され、前記締結部材を前記板厚方向から覆う木栓を更に備えている、座屈拘束ブレース。
【請求項4】
前記締結部材は、
頭部が前記第1拘束材の表面に配置され、軸部が前記第1拘束材と前記第2拘束材とを前記板厚方向に貫通し、前記軸部の先端が前記第2拘束材の表面から突出するボルトと、
前記先端に嵌め込まれて前記第2拘束材の表面に配置され、前記頭部との間で前記第1拘束材および前記第2拘束材を前記板厚方向に挟むナットと、
前記第1拘束材の表面と前記頭部との間、および、前記第2拘束材の表面と前記ナットとの間にそれぞれ配置された付勢部材と、を備えている、請求項
3に記載の座屈拘束ブレース。
【請求項5】
前記第1スペーサーおよび前記第2スペーサーはいずれも、前記芯材の材軸方向に複数配置されている、請求項
2から4のいずれか1項に記載の座屈拘束ブレース。
【請求項6】
前記第1拘束材および前記第2拘束材のうちの少なくとも一方は、前記芯材の板幅方向に積層された複数の木板を備えている、請求項1から
5のいずれか1項に記載の座屈拘束ブレース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材を用いた座屈拘束ブレースに関する。
【背景技術】
【0002】
座屈拘束ブレースは、圧縮力が作用する際の鋼材(芯材)の曲げ座屈を拘束管で抑制するため、引張と同等の圧縮耐力を有する。座屈拘束ブレースは、鋼材の靭性を最大限に生かせる技術である。
近年のSDGs(Sustainable Development Goals)への取り組みの一環として、木材の利用促進が求められている。座屈拘束ブレースの分野では、拘束管に木材を使用する商品が市場に出始めている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の木材を用いた座屈拘束ブレースにおいて、圧縮耐力についての性能を確保することに改善の余地がある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、木材を用いた座屈拘束ブレースにおいて、圧縮耐力についての性能を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>本発明の一態様に係る座屈拘束ブレースは、板状の鋼製の芯材と、前記芯材に対して、前記芯材の板厚方向の第1側に配置され前記芯材に密接する木製の第1拘束材と、前記芯材に対して、前記板厚方向の第2側に配置され前記芯材に密接する木製の第2拘束材と、を備えている。
【0007】
第1拘束材および第2拘束材が、芯材に板厚方向の両側から密接している。したがって、芯材に圧縮力が作用して芯材が面外座屈しようとしても、第1拘束材および第2拘束材がその面外座屈を拘束することができる。これにより、芯材の圧縮耐力を確保することができる。
なお、第1拘束材および第2拘束材を芯材に単に密接させるだけに留めて、第1拘束材および第2拘束材を芯材に直接的に接合しないことで、前述のように、第1拘束材および第2拘束材が芯材の面外座屈を拘束しつつも、芯材の材軸方向への伸縮(変位)が、第1拘束材および第2拘束材によって拘束されることがない。そのため、座屈拘束ブレースの性能に影響が生じることが抑えられる。
また、芯材の圧縮時にポアソン比に応じて芯材にひずみが生じ、芯材が面外に膨張したとしても、このときの芯材の面外への変位量は、面外座屈時における芯材の面外への変位量に比べて小さい。ここで、第1拘束材および第2拘束材は木製であり、圧縮に伴う面外膨張時における芯材の面外変位程度であれば、第1拘束材や第2拘束材が膨張した芯材に追従することで吸収される。そのため、例えば、拘束材がモルタルなどである場合とは異なり、第1拘束材および第2拘束材が、芯材に板厚方向の両側から密接しても、圧縮に伴う芯材の面外膨張を許容することができる。
【0008】
<2>上記<1>に係る座屈拘束ブレースでは、前記芯材に対して、前記芯材の板幅方向の第1側に配置され、厚さが前記芯材の厚さ以下である第1スペーサーと、前記芯材に対して、前記板幅方向の第2側に配置され、厚さが前記芯材の厚さ以下である第2スペーサーと、を更に備えている、構成を採用してもよい。
【0009】
第1スペーサーおよび第2スペーサーが、芯材に対して、芯材の板幅方向の両側に配置されている。芯材に圧縮力が作用して芯材が面内座屈しようとしても、第1スペーサーおよび第2スペーサーがその面内座屈を拘束することができる。これにより、芯材の圧縮耐力を確保することができる。
第1スペーサーの厚さおよび第2スペーサーの厚さがいずれも、芯材の厚さ以下である。したがって、第1拘束材および第2拘束材が芯材に密接することを、第1スペーサーおよび第2スペーサーが阻害し難い。
【0010】
<3>上記<2>に係る座屈拘束ブレースでは、前記第1スペーサーおよび前記第2スペーサーはいずれも、前記芯材の材軸方向に複数配置されている、構成を採用してもよい。
【0011】
第1スペーサーおよび第2スペーサーがいずれも、芯材の材軸方向に複数配置されている。したがって、例えば、スペーサー1つ1つを小型化することが可能になり、製造性を高めること等ができる。
【0012】
<4>上記<2>または<3>に係る座屈拘束ブレースでは、前記第1拘束材と、前記第1スペーサーまたは前記第2スペーサーと、前記第2拘束材と、を締結する締結部材を更に備えている、構成を採用してもよい。
【0013】
締結部材が、第1拘束材と、第1スペーサーまたは第2スペーサーと、第2拘束材と、を締結する。これにより、芯材の面内座屈を第1スペーサーや第2スペーサーによって効果的に拘束することができる。
【0014】
<5>上記<4>に係る座屈拘束ブレースでは、前記締結部材は、頭部が前記第1拘束材の表面に配置され、軸部が前記第1拘束材と、前記第1スペーサーまたは前記第2スペーサーと、前記第2拘束材と、を前記板厚方向に貫通し、前記軸部の先端が前記第2拘束材の表面から突出するボルトと、前記先端に嵌め込まれて前記第2拘束材の表面に配置され、前記頭部との間で前記第1拘束材および前記第2拘束材を前記板厚方向に挟むナットと、前記第1拘束材の表面と前記頭部との間、および、前記第2拘束材の表面と前記ナットとの間にそれぞれ配置された付勢部材と、を備えている、構成を採用してもよい。
【0015】
ボルトの頭部とナットとが、第1拘束材および第2拘束材を板厚方向に挟む。これにより、第1拘束材および第2拘束材と芯材とが密接し易くなる。
付勢部材が、第1拘束材の表面とボルトの頭部との間、および、第2拘束材の表面とナットとの間にそれぞれ配置されている。したがって、第1拘束材の表面と頭部との間に配置された付勢部材が、第1拘束材を芯材に向けて付勢する。かつ、第2拘束材の表面とナットとの間に配置された付勢部材が、第2拘束材を芯材に向けて付勢する。これにより、第1拘束材および第2拘束材と芯材とが一層密接し易くなる。また、仮に第1拘束材や第2拘束材が乾燥に伴って収縮したとしても、第1拘束材や第2拘束材と、芯材と、の間に隙間が生じるのを抑制することができる。
【0016】
<6>上記<4>または<5>に係る座屈拘束ブレースでは、前記第1拘束材および前記第2拘束材それぞれには、各拘束材を前記板厚方向に貫通する貫通孔が設けられ、前記締結部材は、前記第1拘束材と、前記第1スペーサーまたは前記第2スペーサーと、前記第2拘束材と、を前記板厚方向に貫通し、前記板厚方向の第1側の端部が、前記第1拘束材の前記貫通孔に配置され、前記板厚方向の第2側の端部が、前記第2拘束材の前記貫通孔に配置されたドリフトピンを備え、前記第1拘束材および前記第2拘束材それぞれの前記貫通孔に配置され、前記ドリフトピンを前記板厚方向から覆う木栓を更に備えている、構成を採用してもよい。
【0017】
木栓が、ドリフトピンを板厚方向から覆っている。したがって、第1拘束材や第2拘束材からドリフトピンが露出することがなく、座屈拘束ブレースの意匠性を高めることができる。
【0018】
<7>上記<1>から<6>のいずれか1項に係る座屈拘束ブレースでは、前記第1拘束材および前記第2拘束材のうちの少なくとも一方は、前記芯材の板幅方向に積層された複数の木板を備えている、構成を採用してもよい。
【0019】
第1拘束材および第2拘束材のうちの少なくとも一方が、互いに積層された複数の木板を備えている。つまり、第1拘束材および第2拘束材のうちの少なくとも一方が、いわゆるエンジニアードウッドである。このように、拘束材がエンジニアードウッドであっても、例えば、拘束材が無垢材である場合と同様に、拘束材が芯材に密接することに対して実質的な影響は生じない。
ところで、エンジニアードウッドでは、その積層方向に直交する方向である幅方向の大きさ(エンジニアードウッドの幅)について、製作上の都合により制限が生じる。そのため、エンジニアードウッドの幅は一定値(例えば、210mm)以下となる。よって、例えば、エンジニアードウッドの幅方向が、芯材の板幅方向と一致する場合、芯材の幅が前記一定値よりも大きい場合には、複数のエンジニアードウッドを芯材の板幅方向に並べて二次接着させる必要が生じる。
これに対して、この座屈拘束ブレースのように、エンジニアードウッドの幅方向ではなく積層方向が、芯材の板幅方向と一致する場合、芯材の幅に応じて、単に、エンジニアードウッドにおける木板の積層数を変更すればよい。よって、例えば、座屈拘束ブレースの製造コストを抑えること等ができる。
【0020】
<8>上記<1>から<7>のいずれか1項に係る座屈拘束ブレースでは、前記芯材に対して前記芯材の板幅方向にずらされた状態で、前記第1拘束材と前記第2拘束材との間に配置され、前記第1拘束材および前記第2拘束材に接着された継ぎ木を更に備えている、構成を採用してもよい。
【0021】
継ぎ木が、第1拘束材および第2拘束材に接着されている。これにより、第1拘束材および第2拘束材と芯材とが密接し易くなる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、木材を用いた座屈拘束ブレースにおいて、圧縮耐力についての性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る座屈拘束ブレースの斜視図である。
【
図2】
図1に示す座屈拘束ブレースの側面図である。
【
図3】
図1に示す座屈拘束ブレースの上面図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る座屈拘束ブレースの斜視図である。
【
図6】
図5に示す座屈拘束ブレースの側面図である。
【
図7】
図5に示す座屈拘束ブレースの上面図である。
【
図8】
図6に示すVIII-VIII矢視断面図である。
【
図9】本発明の第1実施形態の変形例に係る座屈拘束ブレースの断面図であって、
図4に示す断面図に相当する図である。
【
図10】本発明の第2実施形態の変形例に係る座屈拘束ブレースの断面図であって、
図8に示す断面図に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、
図1から
図4を参照し、本発明の第1実施形態に係る座屈拘束ブレース10を説明する。
図1から
図4に示すように、座屈拘束ブレース10は、芯材20と、拘束材30と、スペーサー40と、化粧木50(継ぎ木)と、締結部材60と、を備えている。
【0025】
(芯材20)
芯材20は、板状である。芯材20は、材軸方向Yに長く、板幅方向Zに短い。以下では、芯材20の材軸方向Yを単に材軸方向Yといい、板幅方向Zを単に板幅方向Zといい、板厚方向Xを単に板厚方向Xという。
【0026】
芯材20は、鋼製である。芯材20は、鋼板(平鋼)から形成されている。なお芯材20は、SN材(建築構造用圧延鋼材)や、LYP材(極低降伏点鋼材)等の降伏点の低い鋼材にて形成されていることが好ましい。この場合、芯材20の降伏による地震エネルギー吸収性が良好になる。
【0027】
図2に示すように、芯材20は、狭幅部21と、広幅部22と、幅変化部23と、を備えている。狭幅部21は、芯材20における材軸方向Yの中央に位置している。広幅部22は、芯材20における材軸方向Yの両端に位置している。広幅部22は、狭幅部21よりも板幅方向Zに広い。広幅部22は、狭幅部21よりも材軸方向Yに短い。
芯材20における材軸方向Yの中央が狭幅部21であり、材軸方向Yの端部が広幅部22であることで、芯材20における材軸方向Yの中央(狭幅部21)が塑性化し易い領域となり、塑性化領域が前記中央に限定される。
【0028】
図1に示すように、広幅部22には、補強リブ24が接合されている。補強リブ24は、広幅部22における表裏面(板厚方向Xを向く面)に設けられている。芯材20および補強リブ24は、断面十字状を呈している。
広幅部22と補強リブ24にはそれぞれ、ボルト孔が開設されている。座屈拘束ブレース10は、ボルト孔に差し込まれる図示しないボルトによって、構造物(建物)に取り付けられる。
【0029】
図2に示すように、幅変化部23は、広幅部22と狭幅部21との境界領域である。幅変化部23の幅は、材軸方向Yに沿って変化する。幅変化部23の幅は、狭幅部21側から広幅部22側に向けて広くなる。幅変化部23は、例えば、芯材20に作用する付加曲げモーメントを吸収する。
【0030】
(拘束材30)
図1に示すように、拘束材30は、第1拘束材31と、第2拘束材32と、を備えている。第1拘束材31および第2拘束材32は、芯材20を板厚方向Xに拘束し、芯材20の面外変位(板厚方向Xへの変位)を規制する。第1拘束材31は、芯材20に対して、板厚方向Xの第1側に配置されている。第2拘束材32は、芯材20に対して、芯材20の板厚方向Xの第2側に配置されている。
【0031】
第1拘束材31および第2拘束材32はいずれも、木製である。第1拘束材31および第2拘束材32はいずれも、いわゆるエンジニアードウッドであってもよく、無垢材であってもよい。エンジニアードウッドとは、木を原材料に工場で二次加工された木質部材のうち、特に強度特性が計算・評価・保証された木材製品である。エンジニアードウッドは、互いに積層された複数の木板を備える。エンジニアードウッドとしては、例えば、集成材やLVLなどが挙げられる。図示の例では、第1拘束材31および第2拘束材32は、集成材である。
図4に示すように、第1拘束材31および第2拘束材32は、複数層のラミナ33(木板)を備えている。複数層のラミナ33は、互いに接着(一次接着)されている。
【0032】
図1から
図3に示すように、第1拘束材31および第2拘束材32は、材軸方向Yに長い角材である。第1拘束材31および第2拘束材32はいずれも、材軸方向Yに連続して延びる。第1拘束材31および第2拘束材32はいずれも、材軸方向Yに複数並んでいない。
第1拘束材31および第2拘束材32はいずれも、芯材20の狭幅部21よりも材軸方向Yに長く、かつ、芯材20の全長よりも材軸方向Yに短い。芯材20の広幅部22は、第1拘束材31および第2拘束材32から材軸方向Yに張り出している。
【0033】
第1拘束材31および第2拘束材32の各端部において補強リブ24に対応する位置には、スリット34が設けられている。スリット34には、補強リブ24が配置される。スリット34の底面は、補強リブ24における板厚方向Xの端面に対して、密接していてもよく、離れていてもよい。
【0034】
図4に示すように、材軸方向Yに直交する断面視において、第1拘束材31および第2拘束材32はいずれも、板幅方向Zよりも板厚方向Xに長い矩形状である。
第1拘束材31および第2拘束材32はいずれも、芯材20に密接(面接触)している。第1拘束材31において板厚方向Xの第2側を向く面が、芯材20において板厚方向Xの第1側を向く面に密接している。第2拘束材32において板厚方向Xの第1側を向く面が、芯材20において板厚方向Xの第2側を向く面に密接している。
【0035】
第1拘束材31および第2拘束材32はいずれも、芯材20よりも板幅方向Zに広い。芯材20は、第1拘束材31における板幅方向Zの中央部と、第2拘束材32における板幅方向Zの中央部と、の間に配置されている。第1拘束材31における板幅方向Zの端部と、第2拘束材32における板幅方向Zの端部と、の間には、空間35が設けられている。空間35には、芯材20が位置していない。
【0036】
各拘束材30には、第1貫通孔36が設けられている。第1貫通孔36は、各拘束材30を板厚方向Xに貫通する。第1貫通孔36は、各拘束材30に、材軸方向Yに間隔をあけて複数配置されている。第1貫通孔36は、各拘束材30において、芯材20に対して板幅方向Zにずらされた位置に配置されている。
【0037】
(スペーサー40)
スペーサー40は、第1スペーサー41と、第2スペーサー42と、を備えている。第1スペーサー41および第2スペーサー42は、芯材20を板幅方向Zに拘束し、芯材20の面内変位(板幅方向Zへの変位)を規制する。第1スペーサー41は、芯材20に対して、板幅方向Zの第1側に配置されている。第2スペーサー42は、芯材20に対して、芯材20の板幅方向Zの第2側に配置されている。
【0038】
第1スペーサー41および第2スペーサー42はいずれも、空間35に配置されている。第1スペーサー41および第2スペーサー42はいずれも、空間35から板幅方向Zにはみ出てはいない。第1スペーサー41および第2スペーサー42はいずれも、芯材20との間に板幅方向Zの隙間Sをあけて対向している。
材軸方向Yに直交する断面視において、第1スペーサー41および第2スペーサー42はいずれも、板厚方向Xよりも板幅方向Zに長い矩形状である。第1スペーサー41および第2スペーサー42はいずれも、芯材20の狭幅部21よりも板幅方向Zに狭い。
【0039】
図2に示すように、第1スペーサー41および第2スペーサー42は、材軸方向Yに長い平鋼である。第1スペーサー41および第2スペーサー42はいずれも、材軸方向Yに複数配置されている。図示の例では、第1スペーサー41および第2スペーサー42はいずれも、材軸方向Yに間隔をあけて6つずつ配置されている。第1スペーサー41および第2スペーサー42の材軸方向Yの大きさ(長さ)は、互いに同等である。
【0040】
なおこのように、第1スペーサー41および第2スペーサー42がいずれも、芯材20の材軸方向Yに複数配置されていることで、例えば、スペーサー40の1つ1つを小型化することが可能になり、製造性を高めること等ができる。
【0041】
第1スペーサー41および第2スペーサー42それぞれにおいて、幅方向の最も外側に位置するスペーサー40(以下、端のスペーサー40aという)以外のスペーサー40(以下、中央のスペーサー40bという)は、芯材20の狭幅部21に、板幅方向Zの外側から対向している。中央のスペーサー40bの板幅方向Zの大きさ(幅)は、材軸方向Yによらず同等である。
【0042】
端のスペーサー40aは、芯材20の狭幅部21および広幅部22の両方に、板幅方向Zの外側から対向している。端のスペーサー40aにおける材軸方向Yの外側の端縁は、第1拘束材31および第2拘束材32の材軸方向Yの外側の端縁と、材軸方向Yに同等である。
図1に示すように、端のスペーサー40aの端面は、第1拘束材31および第2拘束材32から材軸方向Yに露出している。
【0043】
図2に示すように、端のスペーサー40aの板幅方向Zの大きさ(幅)は、材軸方向Yの位置によって異なる。端のスペーサー40aは、第1幅部43と、第2幅部44と、を備えている。第1幅部43は、第2幅部44よりも材軸方向Yの外側に位置する。第1幅部43は、第2幅部44よりも板幅方向Zの大きさが小さい。第2幅部44の幅は、中央のスペーサー40bの幅と同等である。
【0044】
図4に示すように、各スペーサー40には、第2貫通孔45が設けられている。第2貫通孔45は、各スペーサー40を板厚方向Xに貫通する。第2貫通孔45は、各スペーサー40に、材軸方向Yに間隔をあけて複数配置されている。第2貫通孔45は、第1貫通孔36と同軸に配置される。
【0045】
第1スペーサー41および第2スペーサー42はいずれも、鋼製である。第1スペーサー41の厚さおよび第2スペーサー42の厚さがいずれも、芯材20の厚さ以下である。本実施形態では、第1スペーサー41の厚さおよび第2スペーサー42の厚さはいずれも、芯材20の厚さと同等である。第1スペーサー41および第2スペーサー42はいずれも、第1拘束材31および第2拘束材32に密接している。
【0046】
なお本実施形態では、第1スペーサー41および第2スペーサー42はいずれも、芯材20と同一の鋼板(平鋼)から形成されている。すなわち、芯材20とスペーサー40とは、1枚の鋼板のうちの異なる部位によって形成されている。
【0047】
(化粧木50)
化粧木50は、第1化粧木51と、第2化粧木52と、を備えている。第1化粧木51および第2化粧木52は、芯材20(スペーサー40)を板幅方向Zから覆う。第1化粧木51および第2化粧木52は、芯材20に対して板幅方向Zにずらされた状態で、第1拘束材31と第2拘束材32との間に配置されている。
【0048】
第1化粧木51は、芯材20および第1スペーサー41に対して、板幅方向Zの第1側に配置されている。第2化粧木52は、芯材20および第2スペーサー42に対して、芯材20の板幅方向Zの第2側に配置されている。第1化粧木51および第2化粧木52はいずれも、空間35に配置されている。第1化粧木51および第2化粧木52はいずれも、空間35から板幅方向Zにはみ出てはいない。第1化粧木51および第2化粧木52はいずれも、第1拘束材31および第2拘束材32それぞれにおける板幅方向Zの端面と面一である。
【0049】
第1化粧木51および第2化粧木52はいずれも、木製である。第1化粧木51の厚さおよび第2化粧木52の厚さはいずれも、芯材20の厚さと同等か、芯材20の厚さよりわずかに薄い。第1化粧木51および第2化粧木52はいずれも、第1拘束材31および第2拘束材32それぞれに接着されていてもよい。第1化粧木51および第2化粧木52はいずれも、空間35に単に嵌め込まれているだけでもよい。第1化粧木51および第2化粧木52はいずれも、拘束材30にビス止めされていてもよい。さらに、化粧木50がなくてもよい。
【0050】
(締結部材60)
締結部材60は、第1拘束材31と、第1スペーサー41または第2スペーサー42と、第2拘束材32と、を締結する。本実施形態では、締結部材60は、ボルト61と、ナット62と、付勢部材63と、を備えている。ボルト61およびナット62は、第1貫通孔36および第2貫通孔45の数に応じて複数設けられている。
ボルト61は、頭部64と、軸部65と、を備えている。頭部64は、第1拘束材31の表面に配置される。図示の例では、頭部64と第1拘束材31の表面との間には、付勢部材63が配置されている。
【0051】
軸部65は、第1拘束材31および第2拘束材32を板厚方向Xに貫通する。本実施形態では、軸部65は、第1拘束材31、第2拘束材32およびスペーサー40を板厚方向Xに貫通する。軸部65は、第1貫通孔36内および第2貫通孔45内に配置されている。これにより、スペーサー40と拘束材30とが材軸方向Yおよび板厚方向Xに位置決めされる。軸部65の先端は、第2拘束材32の表面から突出している。
【0052】
ナット62は、軸部65の先端に嵌め込まれている。ナット62は、第2拘束材32の表面に配置されている。図示の例では、ナット62と第2拘束材32の表面との間には、付勢部材63が配置されている。ナット62は、頭部64との間で第1拘束材31および第2拘束材32を板厚方向Xに挟む。本実施形態では、頭部64とナット62とは、第1拘束材31、スペーサー40(第1スペーサー41または第2スペーサー42)および第2拘束材32を板厚方向Xに挟む。
【0053】
付勢部材63は、例えば、スプリングワッシャーや皿ばね等である。付勢部材63のうち、第1拘束材31とボルト61の頭部64との間に配置された付勢部材63は、頭部64から反力を受けて、第1拘束材31を芯材20に向けて付勢(押圧)する。付勢部材63のうち、第2拘束材32とナット62との間に配置された付勢部材63は、ナット62から反力を受けて、第2拘束材32を芯材20に向けて付勢(押圧)する。
【0054】
ここで本実施形態では、締結部材60は、第1拘束材31と第2拘束材32とを板厚方向Xに固定する。締結部材60は、第1拘束材31と第2拘束材32とが板厚方向Xに離間することを規制する。締結部材60は、芯材20と第1拘束材31とを密接させ、芯材20と第2拘束材32とを密接させる。締結部材60は、スペーサー40と第1拘束材31とを密接させ、スペーサー40と第2拘束材32とを密接させる。
【0055】
なお本実施形態では、各スペーサー40の厚さが芯材20の厚さと同等である。そのため、頭部64とナット62とが、第1拘束材31、スペーサー40および第2拘束材32を板厚方向Xに挟むことで、スペーサー40と、第1拘束材31および第2拘束材32と、が密接し、更に、芯材20と、第1拘束材31および第2拘束材32と、が密接する。これにより、第1拘束材31と第2拘束材32とが板厚方向Xに強く固定される。
【0056】
ここで本実施形態と異なり、各スペーサー40の厚さが芯材20の厚さ未満である場合、頭部64とナット62とが、第1拘束材31および第2拘束材32を板厚方向Xに挟んでも、スペーサー40と各拘束材30との間に板厚方向Xの隙間が生じるおそれがある。この場合、この隙間に図示しないワッシャープレートを配置し、ワッシャープレートに、スペーサー40と拘束材30との間の隙間を埋めさせることが好ましい。
【0057】
ところで、各スペーサー40の厚さを芯材20の厚さと同等とする場合、各スペーサー40を、芯材20を形成する鋼板と同一の鋼板(1枚の鋼板)ではないものの、同一サイズの鋼板から形成する方法が考えられる。しかしながら、この場合、鋼板の公差の影響により、芯材20の厚さとスペーサー40の厚さとの間に意図しない差が生じるおそれがある。
【0058】
このような観点から、あえて、各スペーサー40の厚さを芯材20の厚さ未満とし、各スペーサー40を、芯材20を形成する鋼板よりも薄い鋼板(例えば、1サイズ下の鋼板等)から形成する方法が考えられる。この場合、前述したように、スペーサー40と各拘束材30との板厚方向Xの隙間が生じるものの、ワッシャープレートを配置することでこの隙間を埋めることができる。もっとも、ワッシャープレートはなくてもよい。
いずれにしても、第1スペーサー41の厚さおよび第2スペーサー42の厚さがいずれも、芯材20の厚さ以下であることで、第1拘束材31および第2拘束材32が芯材20に密接することを、第1スペーサー41および第2スペーサー42が阻害し難い。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係る座屈拘束ブレース10によれば、第1拘束材31および第2拘束材32が、芯材20に板厚方向Xの両側から密接している。したがって、芯材20に圧縮力が作用して芯材20が面外座屈しようとしても、第1拘束材31および第2拘束材32がその面外座屈を拘束することができる。これにより、芯材20の圧縮耐力を確保することができる。
【0060】
なお、第1拘束材31および第2拘束材32を芯材20に単に密接させるだけに留めて、第1拘束材31および第2拘束材32を芯材20に直接的に接合しないことで、前述のように、第1拘束材31および第2拘束材32が芯材20の面外座屈を拘束しつつも、芯材20の材軸方向Yへの伸縮(変位)が、第1拘束材31および第2拘束材32によって拘束されることがない。そのため、座屈拘束ブレース10の性能に影響が生じることが抑えられる。
【0061】
また、芯材20の圧縮時にポアソン比に応じて芯材20にひずみが生じ、芯材20が面外に膨張したとしても、このときの芯材20の面外への変位量は、面外座屈時における芯材20の面外への変位量に比べて小さい。ここで、第1拘束材31および第2拘束材32は木製であり、圧縮に伴う面外膨張時における芯材20の面外変位程度であれば、第1拘束材31や第2拘束材32が膨張した芯材に追従することで吸収される。そのため、例えば、拘束材30がモルタルなどである場合とは異なり、第1拘束材31および第2拘束材32が、芯材20に板厚方向Xの両側から密接しても、圧縮に伴う芯材20の面外膨張を許容することができる。
【0062】
ボルト61の頭部64とナット62とが、第1拘束材31および第2拘束材32を板厚方向Xに挟む。これにより、第1拘束材31および第2拘束材32と芯材20とが密接し易くなる。
付勢部材63が、第1拘束材31の表面とボルト61の頭部64との間、および、第2拘束材32の表面とナット62との間にそれぞれ配置されている。したがって、第1拘束材31の表面と頭部64との間に配置された付勢部材63が、第1拘束材31を芯材20に向けて付勢する。かつ、第2拘束材32の表面とナット62との間に配置された付勢部材63が、第2拘束材32を芯材20に向けて付勢する。これにより、第1拘束材31および第2拘束材32と芯材20とが一層密接し易くなる。また、仮に第1拘束材31や第2拘束材32が乾燥に伴って収縮したとしても、第1拘束材31や第2拘束材32と、芯材20と、の間に隙間が生じるのを抑制することができる。
【0063】
第1拘束材31および第2拘束材32のうちの少なくとも一方が、互いに積層された複数の木板(ラミナ33)を備えている。つまり、第1拘束材31および第2拘束材32のうちの少なくとも一方が、いわゆるエンジニアードウッドである。このように、拘束材30がエンジニアードウッドであっても、例えば、拘束材30が無垢材である場合と同様に、拘束材30が芯材20に密接することに対して実質的な影響は生じない。
ところで、エンジニアードウッドでは、その積層方向に直交する方向である幅方向の大きさ(エンジニアードウッドの幅)について、製作上の都合により制限が生じる。そのため、エンジニアードウッドの幅は一定値(例えば、210mm)以下となる。よって、例えば、エンジニアードウッドの幅方向が、芯材20の板幅方向Zと一致する場合、芯材20の幅が前記一定値よりも大きい場合には、複数のエンジニアードウッドを芯材20の板幅方向Zに並べて二次接着させる必要が生じる。
これに対して、この座屈拘束ブレース10のように、エンジニアードウッドの幅方向ではなく積層方向が、芯材20の板幅方向Zと一致する場合、芯材20の幅に応じて、単に、エンジニアードウッドにおける木板(ラミナ33)の積層数を変更すればよい。よって、例えば、座屈拘束ブレース10の製造コストを抑えること等ができる。
【0064】
第1スペーサー41および第2スペーサー42が、芯材20に対して、芯材20の板幅方向Zの両側に配置されている。芯材20に圧縮力が作用して芯材20が面内座屈しようとしても、第1スペーサー41および第2スペーサー42がその面内座屈を拘束することができる。これにより、芯材20の圧縮耐力を確保することができる。
本実施形態では、締結部材60が、第1拘束材31と、第1スペーサー41または第2スペーサー42と、第2拘束材32と、を締結する。これにより、芯材20の面内座屈を第1スペーサー41や第2スペーサー42によって効果的に拘束することができる。
【0065】
なお、芯材20の圧縮時にポアソン比に応じて芯材20にひずみが生じ、芯材20が面内に膨張したとしても、このときの芯材20の面内への変位量は、面内座屈時における芯材20の面内への変位量に比べて小さい。ここで、芯材20と、第1スペーサー41や第2スペーサー42と、の間には、板幅方向Zの隙間Sが設けられている。そのため、圧縮に伴う芯材20の面外膨張を、この隙間によって許容することができる。
【0066】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る座屈拘束ブレース10を、
図5から
図8を参照して説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0067】
図6に示すように、本実施形態に係る座屈拘束ブレース10Aでは、スペーサー40が、材軸方向Yに沿って、芯材20の狭幅部21に板幅方向Zから対向する位置に配置されているものの、芯材20の広幅部22に板幅方向Zから対向する位置には配置されていない。端のスペーサー40aの材軸方向Yにおける端面は、第1拘束材31および第2拘束材32から材軸方向Yに露出していない。
図8に示すように、スペーサー40と化粧木50との間には、板幅方向Zの隙間S2が設けられている。
【0068】
更に本実施形態では、第1拘束材31と第2拘束材32とが、化粧木50に接着(二次接着)されることにより、第1拘束材31と第2拘束材32とが、板厚方向Xに固定される。化粧木50の表裏面(板厚方向Xを向く面)には、接着層70が配置されている。
【0069】
以上のような座屈拘束ブレース10Aにおいて、拘束材30と化粧木50との接着は、例えば、拘束材30、芯材20、スペーサー40、化粧木50を組み合わせた後、拘束材30と化粧木50との間に接着層70を配置した状態で、第1拘束材31と第2拘束材32とを、板厚方向Xの外側から板厚方向Xに押し込むことで実現される。これにより、拘束材30と化粧木50とが板厚方向Xに圧着される。
【0070】
なお図示の例では、締結部材60が、ボルト61およびナット62に代えて、ドリフトピン80を備えている。ドリフトピン80は、ボルト61に代わって、第1貫通孔36内および第2貫通孔45内に配置されている。ドリフトピン80は、第1拘束材31と、第1スペーサー41または第2スペーサー42と、第2拘束材32と、を板厚方向Xに貫通している。ドリフトピン80は、スペーサー40と拘束材30とを材軸方向Yおよび板厚方向Xに位置決めする。ドリフトピン80は、例えば、前述の圧着作業の後に、第1貫通孔36内および第2貫通孔45内に打ち込まれる。
【0071】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0072】
例えば、
図9に示す第1実施形態の変形例に係る座屈拘束ブレース10Bや、
図10に示す第2実施形態の変形例に係る座屈拘束ブレース10Cのように、締結部材60が木栓90によって覆われていてもよい。
図9に示す座屈拘束ブレース10Bでは、第1貫通孔36に座繰り36a(大径部)が設けられている。ボルト61は、
図1から
図4に示す座屈拘束ブレース10におけるボルト61よりも、板厚方向Xに短い。ボルト61の頭部64、ナット62および付勢部材63は、座繰り36aに収容されている。木栓90は、座繰り36aに嵌め込まれている。
図10に示す座屈拘束ブレース10Cでは、ドリフトピン80における板厚方向Xの第1側の端部が、第1拘束材31の第1貫通孔36に配置されている。ドリフトピン80における板厚方向Xの第2側の端部が、第2拘束材32の第1貫通孔36に配置されている。そして木栓90が、第1拘束材31および第2拘束材32それぞれの第1貫通孔36に配置されている。木栓90は、ドリフトピン80を板厚方向Xから覆っている。
これらの変形例に係る座屈拘束ブレース10B、10Cによれば、木栓90が、締結部材60を板厚方向Xから覆っている。したがって、第1拘束材31や第2拘束材32から締結部材60が露出することがなく、座屈拘束ブレース10B、10Cの意匠性を高めることができる。
なお締結部材60が、ボルト61、ナット62および付勢部材63を含む第1締結部材と、ドリフトピン80を含む第2締結部材と、を複数ずつ混合して備えていてもよい。
【0073】
スペーサー40がなくてもよい。補強リブ24がなくてもよい。
【0074】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0075】
10、10A、10B、10C 座屈拘束ブレース
20 芯材
31 第1拘束材
32 第2拘束材
41 第1スペーサー
42 第2スペーサー
50 化粧木(継ぎ木)
61 ボルト
62 ナット
64 頭部
65 軸部
80 ドリフトピン
90 木栓
X 板厚方向
Y 材軸方向
Z 板幅方向
【要約】
【課題】木材を用いた座屈拘束ブレースにおいて、圧縮耐力についての性能を確保する。
【解決手段】座屈拘束ブレース10は、板状の鋼製の芯材20と、芯材20に対して、芯材20の板厚方向Xの第1側に配置され芯材20に密接する木製の第1拘束材31と、芯材20に対して、板厚方向Xの第2側に配置され芯材20に密接する木製の第2拘束材32と、を備えている。
【選択図】
図1