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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】バルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 15/20 20060101AFI20220118BHJP
【FI】
F16K15/20 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020506383
(86)(22)【出願日】2019-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2019012608
(87)【国際公開番号】W WO2020194471
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2020-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000204033
【氏名又は名称】太平洋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】砂山 裕貴
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-160405(JP,U)
【文献】特表平1-501887(JP,A)
【文献】特開昭61-167784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリーブと、
前記スリーブ内に直線運動可能に支持されかつ、一端部が前記スリーブの第1端面の先方に位置するシャフトと、
前記シャフトの前記一端部から側方に張り出す弁体と、
前記スリーブを包囲しかつ前記スリーブの外側面に固着する弾性部材と、
前記弾性部材に設けられ、バルブ取付対象部品のバルブ取付孔に圧入されてそのバルブ取付孔の内側面に密着する圧入シール部と、
前記弾性部材に設けられ、前記スリーブの前記第1端面を覆い、前記弁体が密着及び離間する弁座シール部と、を備えるバルブ。
【請求項2】
前記弾性部材に形成され、前記スリーブの前記第1端面側の端部を包囲する環状溝を有する請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
前記スリーブの前記第1端面側の端部の内側には、前記第1端面から離れる側を段付き状に縮径させてなる第1段差面が備えられ、
前記弁座シール部には、前記第1端面から前記第1段差面までの前記スリーブの内側面を覆う内面被覆部と、前記第1段差面を覆う段差面被覆部とが備えられ、
前記弁体は、前記段差面被覆部に密着及び離間する請求項1又は2に記載のバルブ。
【請求項4】
前記スリーブの前記第1端面側と反対側の第2端面側の部分の内側には、前記第1端面側を段付き状に縮径させてなる第2段差面が備えられ、
前記シャフトには、前記弁体と反対側の端部から側方に張り出すバネ係止突部が備えられ、
前記バネ係止突部と前記第2段差面との間に突っ張り状態に設けられる圧縮コイルバネを備える請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載のバルブ。
【請求項5】
前記圧縮コイルバネは、テーパコイルバネである請求項4に記載のバルブ。
【請求項6】
前記スリーブの前記第1端面側と反対側の第2端面側の端部は、前記弾性部材から露出し、その露出部分の外側面に螺子部が形成されると共に、その螺子部に螺合するキャップを備える請求項1乃至5の何れか1の請求項に記載のバルブ。
【請求項7】
前記弾性部材には、前記第1端面より前記スリーブから離れる側に延びて前記弁体の移動領域を側方から包囲する延長筒部が備えられている請求項1乃至6の何れか1の請求項に記載のバルブ。
【請求項8】
前記圧入シール部は、前記延長筒部に設けられている請求項7に記載のバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、バルブ取付対象部品に設けられたバルブ取付孔に圧入されるバルブが知られている。このようなバルブとして、バルブコアを収容したバルブステムの外周面を筒形弾性部材で覆ってなるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-55695号公報(段落[0017]、図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したバルブに対して、部品点数の削減が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、スリーブと、前記スリーブ内に直線運動可能に支持されかつ、一端部が前記スリーブの第1端面の先方に位置するシャフトと、前記シャフトの前記一端部から側方に張り出す弁体と、前記スリーブを包囲しかつ前記スリーブの外側面に固着する弾性部材と、前記弾性部材に設けられ、バルブ取付対象部品のバルブ取付孔に圧入されてそのバルブ取付孔の内側面に密着する圧入シール部と、前記弾性部材に設けられ、前記スリーブの前記第1端面を覆い、前記弁体が密着及び離間する弁座シール部と、を備えるバルブである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示の第1実施形態に係るバルブの側断面図
図2】弁体が開状態となったときのバルブの側断面図
図3】第2実施形態に係るバルブの側断面図
図4】バルブの弁体周辺の拡大側断面図
図5】(A)他の実施形態に係るバルブの側断面図、(B)他の実施形態に係るバルブの側断面図、(C)他の実施形態に係るバルブの側断面図
図6】(A)他の実施形態に係るバルブの側断面図、(B)他の実施形態に係るバルブの側断面図、(C)他の実施形態に係るバルブの側断面図
図7】(A)他の実施形態に係るバルブの側断面図、(B)他の実施形態に係るバルブの側断面図、(C)他の実施形態に係るバルブの側断面図
図8】(A)他の実施形態に係るバルブの側断面図、(B)他の実施形態に係るバルブの側断面図、(C)他の実施形態に係るバルブの側断面図
図9】(A)他の実施形態に係る弁体の側面図、(B)他の実施形態に係る弁体の側面図、(C)他の実施形態に係る弁体の側面図、(D)他の実施形態に係る弁体の側断面図
図10】(A)他の実施形態に係るバルブの側断面図、(B)他の実施形態に係るバルブの側断面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
[第1実施形態]
図1には、第1実施形態のバルブ10が示されている。本実施形態のバルブ10は、バルブ取付対象部品90(例えば、タイヤホイールのリム)に設けられたバルブ取付孔91に圧入される。バルブ10は、スリーブ20と、スリーブ20の内側に挿通されるシャフト30と、スリーブ20を包囲する弾性部材40と、を有する。
【0008】
スリーブ20は、流体を流通させるための流通路を内側に有する。本実施形態では、スリーブ20のうち軸方向の途中位置よりも一端側部分が、弾性部材40で覆われ、スリーブ20の他端部は、弾性部材40から露出している。その露出部分の外周面には、雄螺子部29Nが形成されている。そして、バルブ10には、雄螺子部29Nと螺合するキャップ29が備えられる。以下では、バルブ10において、スリーブ20の一端側(図1における下側)を先端側、スリーブ20の他端側(図1における上側)を基端側、ということとする。
【0009】
スリーブ20の基端側部分の内側面には、先端側を段付き状に縮径させる基端側段差面27が形成されている。なお、本実施形態では、スリーブ20は、基端側の大径部23と、先端側の小径部25と、それらの間を連絡する段差部24と、を有する。段差部24からは、スリーブ20の径方向外側に環状突部24Tが張り出している。
【0010】
シャフト30は、スリーブ20の軸方向に直線運動可能に支持されている。シャフト30の外径は、スリーブ20の内径よりも一回り小さくなっていて、シャフト30とスリーブ20の間には、流体を流通させるための隙間が設けられている。シャフト30の先端部は、スリーブ20の先端面である第1端面21(即ち、スリーブ20の先端開口の開口縁)よりも先方に位置し(図1において下側に位置し)、スリーブ20からはみ出している。シャフト30の基端部は、スリーブ20の基端側段差面27よりも基端側(図1における上側)に配置される。シャフト30の基端部からは、側方に(径方向外側に)バネ係止突部31が張り出している。詳細には、バネ係止突部31は、基端側に向かって先細りするテーパ状をなしている。
【0011】
本実施形態のバルブ10には、スリーブ20の基端側段差面27とシャフト30のバネ係止突部31との間で、突っ張り状態となった圧縮コイルバネ35が設けられている。圧縮コイルバネ35は、基端側に向かって縮径されるテーパコイルバネとなっている。本実施形態では、圧縮コイルバネ35は、シャフト30をスリーブ20と略同軸上になるように支持している。なお、スリーブ20の内側面のうち周方向の複数位置から突出する突部を設けて、それら突部によって、シャフト30を支持してもよい。
【0012】
本実施形態のバルブ10では、シャフト30の先端部から側方に弁体60が張り出している。具体的には、弁体60は、シャフト30から周方向全体に亘って張り出している。弁体60において基端側を向く弁体基端面61は、基端側に向かって縮径されるテーパ面となっていて、弁体60のうち最も大径となった部分(本実施形態では、弁体60の先端部)は、スリーブ20の内径よりも大径になっている。弁体60は、圧縮コイルバネ35によって、スリーブ20の第1端面21に向かって付勢されている(図1に示す状態に付勢されている)。
【0013】
弾性部材40は、スリーブ20が挿通される貫通孔40Aを有し、その貫通孔40Aとスリーブ20の外側面とが固着している。なお、上述のように、弾性部材40は、スリーブ20の雄螺子部29Nよりも先端側に配置され、本実施形態では、弾性部材40の基端面は、スリーブ20の環状突部24Tのうち基端側を向く環状基端面24Mと略面一になっている。
【0014】
弾性部材40には、スリーブ20の第1端面21よりスリーブ20から離れる側に延びた延長筒部48が備えられている。延長筒部48は、弁体60の移動領域を側方から包囲している。なお、延長筒部48の軸方向の途中位置には、鍔状に膨出した鍔状部48Tが形成され、延長筒部48の先端部には、鍔状部48Tよりも大径の先端大径部48Dが形成されている。
【0015】
弾性部材40の外周面には、バルブ取付対象部品90のバルブ取付孔91に圧入されてバルブ取付孔91の内周面に密着する圧入シール部41が設けられている。詳細には、圧入シール部41は、延長筒部48に設けられていて、スリーブ20の軸方向で鍔状部48Tと先端大径部48Dの間に挟まれた部分となっている。なお、本実施形態では、弾性部材40は、先端側(延長筒部48側)の部分が、スリーブ20の径方向外側に膨らんだ形状となっている。
【0016】
ここで、弾性部材40には、スリーブ20の第1端面21を覆う弁座シール部50が設けられている。具体的には、弁座シール部50は、弾性部材40の貫通孔40Aの内周面のうち、スリーブ20の軸方向でスリーブ20の第1端面21と弁体60との間の部分から内側に突出している。より詳細には、弁座シール部50は、弾性部材40の貫通孔40Aの内周面から周方向全体に亘って内側に突出した環状突部となっていて、スリーブ20の第1端面21に固着している。弁座シール部50の内径は、スリーブ20の内径と略同じであり、弁体60の最大径よりも小径となっている。なお、本実施形態では、弁座シール部50において先端側を向く先端向き面50Mは、スリーブ20の軸方向に対して略直交している。また、本実施形態では、弾性部材40の貫通孔40Aのうち弁座シール部50よりも先端側部分(図1における下側部分)の径は、弁体60に対して径方向で間隔があく大きさになっている。
【0017】
上述のように、弁体60は、圧縮コイルバネ35によって、スリーブ20の第1端面21に向かって付勢されている。従って、通常は、図1に示されるように、弁体60が、弁座シール部50と密着した状態(閉状態)に付勢されている。バルブ10のキャップ29が外され、シャフト30が基端側から押圧されると、図2に示されるように、弁体60が弁座シール部50から先方に離間し(弁体60が開状態となり)、スリーブ20の基端側からバルブ10に流入した流体が、スリーブ20及び弁座シール部50と、シャフト30との間を通って、バルブ10の先端側から流出するようになっている。即ち、本実施形態では、弁座シール部50のうちシャフト30が挿通される挿通孔50Aが、弁体60によって開閉される弁口となっている。
【0018】
本実施形態のバルブ10は、以下のようにして製造される。スリーブ20(例えば、金属製のもの)を成形金型にインサートし、成形金型内に弾性部材40の原料(例えば、熱硬化性エラストマーの原料)を注入する。そして、その原料を成形金型内で反応(加硫)させることで、スリーブ20に固着した弾性部材40を形成する。その後、スリーブ20及び弾性部材40を成形金型から取り外し、スリーブ20に、圧縮コイルバネ35とシャフト30を組み付ける。以上により、バルブ10が完成する。
【0019】
本実施形態のバルブ10の構成、及び、バルブ10の製造方法の説明は、以上である。なお、本実施形態では、スリーブ20の基端面22が、特許請求の範囲に記載の「第2端面」に相当する。また、基端側段差面27が、特許請求の範囲に記載の「第2段差面」に相当する。
【0020】
本実施形態のバルブ10には、バルブ取付対象部品90のバルブ取付孔91に圧入されて、バルブ取付孔91の内側面と密着する圧入シール部41が設けられる。また、バルブ10には、弁体60と密着する弁座シール部50が設けられる。ここで、圧入シール部41と弁座シール部50とが、別々の部材に設けられていると、バルブの部品点数が増え、組み付け工数が増加する。これに対し、本実施形態のバルブ10では、バルブ10とバルブ取付孔91の内側面との間をシールする圧入シール部41と、スリーブ20と弁体60との間をシールする弁座シール部50との両方が、1つの弾性部材40に設けられる。これにより、バルブ10の部品点数を削減することができ、バルブ10の組み付け工数を低減することが可能となる。また、スリーブ20の第1端面21を覆う弁座シール部50に、弁体60によって開閉される弁口が設けられるので、スリーブ20内にバルブコアを有する従来のバルブに比べて、バルブの部品点数を削減することができ、バルブの組み付け工数の低減が可能となる。
【0021】
[第2実施形態]
本実施形態のバルブ10Vでは、スリーブ20と弁座シール部50Vの構成が上記第1実施形態と異なる。図3及び図4に示されるように、本実施形態では、スリーブ20の先端部の内側面には、基端側を段付き状に縮径させてなる先端側段差面28が形成されている。そして、弁座シール部50Vには、第1端面21から先端側段差面28までのスリーブ20の内側面を覆う内面被覆部52と、先端側段差面28を覆う段差面被覆部53と、が備えられている。本実施形態では、圧縮コイルバネ35の付勢力によって、弁体60と、弁座シール部50Vの段差面被覆部53とが密着する。本実施形態では、段差面被覆部53のうちシャフト30が挿通される挿通孔53Aが、弁体60によって開閉される弁口となっている。なお、本実施形態では、段差面被覆部53のうち先端側を向く面(即ち、弁体60との密着面)は、先端側に向かうにつれて徐々に拡径する形状となっていて、弁体60のテーパ状の弁体基端面61と密着し易くなっている。本実施形態のバルブ10Vのその他の構成は、上記第1実施形態のバルブ10と同様である。なお、本実施形態では、先端側段差面28が、特許請求の範囲に記載の「第1段差面」に相当する。
【0022】
本実施形態のバルブ10Vによっても、上記第1実施形態のバルブ10と同様の効果を奏することができる。また、本実施形態では、弁座シール部50Vにおいて、弁体60との密着部分である段差面被覆部53が、スリーブ20の内側に設けられる。従って、弾性部材40がバルブ取付対象部品90のバルブ取付孔91に圧入されたときに、その圧力によって、弁座シール部50Vの挿通孔53Aが、小さくなることが抑えられる。これにより、弁座シール部50Vが、シャフト30の直線運動の摺動抵抗となることが抑えられると共に、弁体60が弁座シール部50Vと離間したときに(開状態となったときに)、シャフト30と弁座シール部50Vとの間を流体が流通し難くなることが防がれる。
【0023】
[他の実施形態]
(1)バルブ10が取り付けられるバルブ取付対象部品90は、例えば、配管等であってもよい。
【0024】
(2)上記実施形態では、バルブ10のうちバルブ取付対象部品90のバルブ取付孔91の内側面とのシール部分(即ち、圧入シール部41)が、スリーブ20の第1端面21よりも先方(即ち、延長筒部48)に配置されていたが、スリーブ20の第1端面21よりも基端側に配置されていてもよい。
【0025】
(3)図5(A)に示されるように、スリーブ20の先端部の外側面が、先端に向かって縮径されるテーパ面20Mとなっていてもよい。また、同図に示されるように、スリーブ20の先端部の内面に、先端側が縮径されてなる(例えば、段付き状に縮径されてなる)縮径部20Sが設けられていてもよい。
【0026】
(4)図5(B)、図5(C)、図6(A)に示されるように、弾性部材40の弁座シール部50の先端向き面50Mが、先方に向かうにつれて徐々に拡径するように形成されていてもよい。この場合、例えば、先端向き面50Mは、テーパ面であってもよいし(図5(B)参照)、貫通孔40Aの内側に膨出する膨出面であってもよいし(図5(C)参照)、凹面であってもよい(図6(A)参照)。
【0027】
(5)図6(B)に示されるように、弾性部材40に、スリーブ20の先端部(第1端面21側の端部)を包囲する環状溝43が形成されていてもよい。同図の例では、環状溝43は、弁座シール部50の先端向き面50Mに開口する。この構成では、スリーブ20の第1端面21を覆う弁座シール部50と、弾性部材40の圧入シール部41(図1参照)との間に、環状溝43が設けられるので、圧入シール部41がスリーブ20の径方向外側から押圧されても、弁座シール部50が径方向外側からの力を受け難くなり、弁座シール部50の挿通孔50Aが小さくなることが抑えられる。これにより、弁座シール部50がシャフト30の直線運動の摺動抵抗となることが抑えられると共に、弁体60が弁座シール部50と離間したときに(開状態となったときに)、シャフト30と弁座シール部50との間を流体が流通し難くなることが抑えられる。
【0028】
(6)図6(C)に示されるように、弾性部材40の弁座シール部50の先端向き面50Mに環状凹部44が形成されていてもよい。具体的には、環状凹部44は、スリーブ20に対して径方向外側に配置され、環状凹部44の底面44Mは、スリーブ20の第1端面21よりも先方に配置されている。なお、同図の例では、弁座シール部50の先端向き面50Mのうち環状凹部44よりも径方向内側には、基端側に向かって縮径されるテーパ面が形成され、このテーパ面が閉状態の弁体60と密着する。
【0029】
(7)図7(A)に示されるように、段差面被覆部53のうち先端側を向く面、即ち、弁体60との密着面53Mが、スリーブ20の軸方向と略垂直であってもよい。
【0030】
(8)図7(B)に示されるように、弁座シール部50において、内面被覆部52の内周面52Aが、基端側に向かって縮径されるテーパ面となっていてもよい。この場合、内面被覆部52の内周面52Aが、弁体60によって開閉される弁口を構成する。
【0031】
(9)図7(C)に示されるように、スリーブ20の第1端面21と弁座シール部50との間に隙間が設けられていてもよい。
【0032】
(10)図8(A)に示されるように、スリーブ20を内外に貫通するスリーブ貫通孔20Hが形成されていてもよい。この場合、弾性部材40には、弾性部材40の貫通孔40Aの内面からスリーブ貫通孔20H内を通ってスリーブ20の内側に延びる内側延出部45が形成されていてもよい。なお、貫通孔20Hは、1つ設けられていてもよいし、複数設けられていてもよい。図8(A)の例では、貫通孔20Hは、スリーブ20において径方向で対向する2箇所に配置されている。
【0033】
(11)図8(B)に示されるように、スリーブ20Vが軸方向に並ぶ複数の筒体26で構成されていてもよい。この場合、それら複数の筒体26のうち、最も先端側に配置される筒体26の先端面が、第1端面21を構成する。なお、この場合、弾性部材40の貫通孔40Aの内面には、複数の筒体26同士の間に挟まれる環状張出部46が、設けられていてもよい。
【0034】
(12)図8(C)に示されるように、弾性部材40の貫通孔40Aの内面のうちスリーブ20よりも先端側の部分に、弁体60Vを囲む筒体70が固定されていてもよい。同図の例では、筒体70がスリーブ20と同軸に配置されると共に、筒体70の内径がスリーブ20の内径よりも大きくなっていて、筒体70と弁体60Vの間には、流体が通過可能な隙間が設けられる。また、弁座シール部50は、弾性部材40の貫通孔40Aの内面からスリーブ20と筒体70の間に突出している。この構成では、筒体70が設けられるので、弾性部材40がバルブ取付孔91に圧入されたときに、その圧力によって、弾性部材40の貫通孔40Aが小さくなることが抑えられる。これにより、弾性部材40の貫通孔40Aの内面と弁体60Vとの間の隙間が小さくなること防がれ、弁体60Vが開状態になったときに流体が流通し難くなることが防がれる。
【0035】
(13)弁体の形状は、図9に示される形状であってもよい。図9(A)に示されるように、弁体60Vがシャフト30と略直交する円盤状をなしていていもよい。この場合、図9(D)に示される弁体60Yのように、弁体基端面61に、シャフト30を囲む環状溝61Uが形成されていてもよい。これら弁体60V及び弁体60Yは、は、図5(A)の構成等に好適である。また、弁体基端面61が、基端側に向かうにつれて徐々に縮径される形状であってもよい。この場合、図9(B)に示される弁体60Wのように、弁体基端面61が凹面となっていてもよいし、図9(C)に示されるように、膨出面となっていてもよい。前者の弁体60Wは、図5(C)の構成等に好適であり、後者の弁体60Xは、図6(A)の構成等に好適である。
【0036】
(14)図10(A)に示されるように、シャフト30のバネ係止突部31Zが、シャフト30の径方向外側に膨出した形状となっていてもよい。
【0037】
(15)図10(B)に示されるように、バネ係止突部31Rは、スリーブ20の基端側段差面27よりも基端側に配置されていれば、シャフト30の途中位置に設けられていてもよい。
【0038】
(16)図10(B)に示されるように、圧縮コイルバネ35Rは、基端側に向かって縮径するテーパ部35Tと、テーパ部35Tの基端からスリーブ20の径方向外側に向かって渦を巻く渦巻部35Uとから構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10 バルブ
20 スリーブ
30 シャフト
40 弾性部材
41 圧入シール部
50 弁座シール部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10