(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】マルチカラー静的マルチビューディスプレイ及び方法
(51)【国際特許分類】
G02B 30/26 20200101AFI20220118BHJP
G02B 6/00 20060101ALI20220118BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
G02B30/26
G02B6/00 331
G02B5/18
(21)【出願番号】P 2020517483
(86)(22)【出願日】2017-09-27
(86)【国際出願番号】 US2017053824
(87)【国際公開番号】W WO2019066819
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】514274546
【氏名又は名称】レイア、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LEIA INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【氏名又は名称】藤田 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ファタル,デイヴィッド エー.
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-531075(JP,A)
【文献】国際公開第2007/043228(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/024812(WO,A1)
【文献】特開2016-114929(JP,A)
【文献】特開2016-130835(JP,A)
【文献】特開2017-32663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 30/26
G02B 6/00
G02B 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを導波するように構成された光ガイドと、
前記光ガイド上の入力位置にあるマルチカラー光源であって、前記マルチカラー光源が、選択可能色を含み、かつそれぞれの半径方向が互いに異なっている複数の導波光ビームを、前記光ガイド内に供給するように構成されている、マルチカラー光源と、
カラー静的マルチビュー画像を表示する指向性光ビームを出射するように構成された複数の回折格子であって、前記回折格子がそれぞれ、複数の前記導波光ビームのうちの1つの導波光ビームの一部から、前記静的カラー・マルチビュー画像のカラービューピクセルに対応している色、強度及び主要角度方向を有する指向性光ビームを供給するように構成されている、回折格子と
を備える、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
【請求項2】
前記マルチカラー光源の前記入力位置が、前記光ガイドの側部上において、その中心付近にある、請求項1に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
【請求項3】
前記マルチカラー光源が、さまざまな色の光を供給するように構成された複数のカラー発光体を含み、前記さまざまな色の光が有する第1の色を供給するように構成された、複数の前記カラー発光体のうちのカラー発光体それぞれを、前記さまざまな色の光が有する第2の色を供給するように構成された前記複数のカラー発光体のカラー発光体(color optical emitters)と、前記マルチカラー光源の範囲内で交互に配置しており、また、前記選択可能色が、前記さまざまな色の光を組み合わせたものを含む、請求項1
または2に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
【請求項4】
前記複数のカラー発光体が、赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、及び青色発光ダイオードを含み、前記さまざまな色の光を赤色光、緑色光、及び青色光としており、
前記選択可能色が、赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、及び青色発光ダイオードの相対発光強度によって制御される赤色光、緑色光及び青色光を組み合わせたものである、請求項3に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
【請求項5】
前記回折格子の格子特性が、前記指向性光ビームの前記強度及び前記主要角度方向を決定するように構成されており、前記格子特性が、前記光ガイドの表面上における前記回折格子の位置と、前記光ガイドの側部にある前記マルチカラー光源の前記入力位置との両方の関数である、請求項1
から4のいずれか一項に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
【請求項6】
前記格子特性が、前記回折格子の格子ピッチ及び前記回折格子の格子方位の一方若しくは両方を含み、前記回折格子が供給する前記指向性光ビームの前記主要角度方向を決定するように、前記格子特性が構成されている、請求項5に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
【請求項7】
前記格子特性が、前記回折格子が供給する前記指向性光ビームの前記強度を決定するように構成された格子深さを含む、請求項5
または6に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
【請求項8】
前記光ガイドの光ビーム出射面とは反対側の前記光ガイドの表面に、前記複数の回折格子を配置している、請求項1
から7のいずれか一項に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
【請求項9】
前記光源と前記光ガイドとの間にコリメータをさらに備え、前記コリメータが、前記光源が出射する光を平行化するように構成されており、前記複数の導波光ビームが平行光ビームを含む、請求項1
から8のいずれか一項に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
【請求項10】
前記光ガイド上の横方向にオフセットさせた別の入力位置に別のマルチカラー光源をさらに備え、前記別のマルチカラー光源が、複数の別の導波光ビームを供給するように構成されており、前記複数の導波光ビーム及び前記複数の別の導波光ビームの半径方向が互いに異なっており、前記マルチカラー光源及び前記別のマルチカラー光源間で切り替えが、静的カラー・マルチビュー画像をアニメーション表示するように構成されており、前記マルチカラー静的マルチビューディスプレイを、準マルチカラー静的マルチビューディスプレイとしている、請求項1
から9のいずれか一項に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
【請求項11】
前記光ガイドが、前記光ガイド内で前記複数の導波光ビームのうちの1つの導波光ビームの伝搬方向に直交している方向に伝搬する光に対して透過性である、請求項1
から10のいずれか一項に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
【請求項12】
平板光ガイドと、
選択可能色を含み、かつそれぞれの半径方向が互いに異なっている複数の導波光ビームを前記平板光ガイド内に供給するように構成されたマルチカラー光源と、
静的カラー・マルチビュー画像の複数の異なるビューを供給するように構成されたマルチビューピクセルの配列であって、マルチビューピクセルが、前記複数の導波光ビームからの光を回折的に外部に結合させて、前記マルチビューピクセルのカラービューピクセルを表示する指向性光ビームを供給するように構成された複数の回折格子を含む、マルチビューピクセルの配列と
を備え、
前記複数の回折格子のうちの1つの回折格子が供給する指向性光ビームの主要角度方向を、格子特性の関数としており、前記格子特性を、前記回折格子及び前記光源の相対位置の関数としており、また、前記指向性光ビームの色が、前記選択可能色によって決まる、
マルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
【請求項13】
前記マルチカラー光源が、前記マルチカラー光源内で互いに交互に配置された複数の多色発光体を含み、前記選択可能色を、前記複数の多色発光体が供給するさまざまな色の光を組み合わせたものとしている、請求項12に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
【請求項14】
前記格子特性が、前記回折格子の格子ピッチ及び格子方位の一方若しくは両方を含む、請求項12
または13に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
【請求項15】
前記回折格子によってもたらされ、該当するビューピクセルの強度に対応している前記指向性光ビームの強度が、前記回折格子の回折結合効率によって決まる、請求項12
から14のいずれか一項に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
【請求項16】
前記光ガイドが、前記光ガイド内で前記複数の導波光ビームのうちの1つの導波光ビームの伝搬方向に直交している方向に透過性である、請求項12
から15のいずれか一項に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
【請求項17】
マルチカラー静的マルチビューディスプレイの動作方法であって、前記方法が、
選択可能色を含む複数の導波光ビームを光ガイド内に導波するステップであって、前記複数の導波光ビームのうちの導波光ビームそれぞれが共通原点を有し、またそれらの半径方向が互いに異なっている、ステップと、
複数の回折格子を使用して、静的カラー・マルチビュー画像を表示する複数の指向性光ビームを出射するステップであって、前記複数の回折格子のうちの1つの回折格子が、前記複数の導波光ビームからの光を、前記静的カラー・マルチビュー画像の該当するビューピクセルの強度及び主要角度方向を有する、前記複数の指向性光ビームのうちの1つの指向性光ビームとして回折的に外部に結合させている、ステップとを含み、
前記出射された指向性光ビームの前記強度及び主要角度方向を、前記回折格子の格子特性によって制御しており、前記格子特性が、前記共通原点に対する前記回折格子の位置に基づいており、また、前記指向性光ビームの色が、前記選択可能色によって決まる、
方法。
【請求項18】
マルチカラー光源内で互いに交互に配置された、複数の多色発光体を含む前記マルチカラー光源を使用して、前記複数の導波光ビームとして導波される光を供給するステップをさらに含み、前記マルチカラー光源を、前記光ガイドの側部に配置しており、前記マルチカラー光源の位置を、前記複数の導波光ビームの前記共通原点としている、請求項17に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイの動作方法。
【請求項19】
前記選択可能色を生成するために、前記複数の多色発光体が供給する色の光を組み合わせるステップをさらに含み、前記色の光は、赤色光、青色光及び緑色光を含む、請求項18に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイの動作方法。
【請求項20】
第1の時間中に複数の第1の導波光ビームを導波し、第2の時間中に複数の第2の導波光ビームを導波することにより、静的カラー・マルチビュー画像をアニメーション表示するステップをさらに含み、前記複数の第1の導波光ビームにおける共通原点は、前記複数の第2の導波光ビームにおける共通原点とは異なっており、また、前記アニメーション表示は、前記第1及び第2の時間中に、前記静的カラー・マルチビュー画像の見かけ上の位置を変位させることを含む、請求項17
から19のいずれか一項に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイの動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
適用なし
【0002】
連邦政府資金による研究開発の記載
適用なし
【0003】
本発明は、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
ディスプレイ、より具体的には「電子」ディスプレイは、多種多様なデバイス及び製品のユーザに情報を伝達するための、ほぼ至る所にある媒体である。例えば、携帯電話(スマートフォンなど)、時計、タブレットコンピュータ、モバイルコンピュータ(ラップトップコンピュータなど)、パーソナルコンピュータ及びコンピュータモニタ、自動車用ディスプレイコンソール、カメラ用ディスプレイ、並びに他のさまざまなモバイルかつ実質的に非モバイルの表示アプリケーションや表示デバイスを含むが、これらに限定されないさまざまなデバイス及びアプリケーションで、電子ディスプレイを使用している可能性がある。電子ディスプレイでは一般に、ピクセル強度の差分パターンを使用して、通信中の画像又は類似の情報を提示若しくは表示している。パッシブ電子ディスプレイの場合と同じように、ディスプレイに入射する光を反射することにより、差分ピクセル強度パターンをもたらすことができる。又は、電子ディスプレイは光を供給又は出射して、差分ピクセル強度パターンをもたらすことができる。光を出射する電子ディスプレイを、多くの場合アクティブディスプレイと呼んでいる。
【発明の概要】
【0005】
本開示は以下の[1]から[20]を含む。
[1]光ビームを導波するように構成された光ガイドと、
上記光ガイド上の入力位置にあるマルチカラー光源であって、上記マルチカラー光源が、選択可能色を含み、かつそれぞれの半径方向が互いに異なっている複数の導波光ビームを、上記光ガイド内に供給するように構成されている、マルチカラー光源と、
カラー静的マルチビュー画像を表示する指向性光ビームを出射するように構成された複数の回折格子であって、上記回折格子がそれぞれ、複数の上記導波光ビームのうちの1つの導波光ビームの一部から、上記静的カラー・マルチビュー画像のカラービューピクセルに対応している色、強度及び主要角度方向を有する指向性光ビームを供給するように構成されている、回折格子と
を備える、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
[2]上記マルチカラー光源の上記入力位置が、上記光ガイドの側部上において、その中心付近にある、上記[1]に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
[3]上記マルチカラー光源が、さまざまな色の光を供給するように構成された複数のカラー発光体を含み、上記さまざまな色の光が有する第1の色を供給するように構成された、複数の上記カラー発光体のうちのカラー発光体それぞれを、上記さまざまな色の光が有する第2の色を供給するように構成された上記複数のカラー発光体のカラー発光体(color optical emitters)と、上記マルチカラー光源の範囲内で交互に配置しており、また、上記選択可能色が、上記さまざまな色の光を組み合わせたものを含む、上記[1]に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
[4]上記複数のカラー発光体が、赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、及び青色発光ダイオードを含み、上記さまざまな色の光を赤色光、緑色光、及び青色光としており、
上記選択可能色が、赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、及び青色発光ダイオードの相対発光強度によって制御される赤色光、緑色光及び青色光を組み合わせたものである、上記[3]に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
[5]上記回折格子の格子特性が、上記指向性光ビームの上記強度及び上記主要角度方向を決定するように構成されており、上記格子特性が、上記光ガイドの表面上における上記回折格子の位置と、上記光ガイドの側部にある上記マルチカラー光源の上記入力位置との両方の関数である、上記[1]に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
[6]上記格子特性が、上記回折格子の格子ピッチ及び上記回折格子の格子方位の一方若しくは両方を含み、上記回折格子が供給する上記指向性光ビームの上記主要角度方向を決定するように、上記格子特性が構成されている、上記[5]に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
[7]上記格子特性が、上記回折格子が供給する上記指向性光ビームの上記強度を決定するように構成された格子深さを含む、上記[5]に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
[8]上記光ガイドの光ビーム出射面とは反対側の上記光ガイドの表面に、上記複数の回折格子を配置している、上記[1]に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
[9]上記光源と上記光ガイドとの間にコリメータをさらに備え、上記コリメータが、上記光源が出射する光を平行化するように構成されており、上記複数の導波光ビームが平行光ビームを含む、上記[1]に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
[10]上記光ガイド上の横方向にオフセットさせた別の入力位置に別のマルチカラー光源をさらに備え、上記別のマルチカラー光源が、複数の別の導波光ビームを供給するように構成されており、上記複数の導波光ビーム及び上記複数の別の導波光ビームの半径方向が互いに異なっており、上記マルチカラー光源及び上記別のマルチカラー光源間で切り替えが、静的カラー・マルチビュー画像をアニメーション表示するように構成されており、上記マルチカラー静的マルチビューディスプレイを、準マルチカラー静的マルチビューディスプレイとしている、上記[1]に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
[11]上記光ガイドが、上記光ガイド内で上記複数の導波光ビームのうちの1つの導波光ビームの伝搬方向に直交している方向に伝搬する光に対して透過性である、上記[1]に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
[12]平板光ガイドと、
選択可能色を含み、かつそれぞれの半径方向が互いに異なっている複数の導波光ビームを上記平板光ガイド内に供給するように構成されたマルチカラー光源と、
静的カラー・マルチビュー画像の複数の異なるビューを供給するように構成されたマルチビューピクセルの配列であって、マルチビューピクセルが、上記複数の導波光ビームからの光を回折的に外部に結合させて、上記マルチビューピクセルのカラービューピクセルを表示する指向性光ビームを供給するように構成された複数の回折格子を含む、マルチビューピクセルの配列と
を備え、
上記複数の回折格子のうちの1つの回折格子が供給する指向性光ビームの主要角度方向を、格子特性の関数としており、上記格子特性を、上記回折格子及び上記光源の相対位置の関数としており、また、上記指向性光ビームの色が、上記選択可能色によって決まる、
マルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
[13]上記マルチカラー光源が、上記マルチカラー光源内で互いに交互に配置された複数の多色発光体を含み、上記選択可能色を、上記複数の多色発光体が供給するさまざまな色の光を組み合わせたものとしている、上記[12]に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
[14]上記格子特性が、上記回折格子の格子ピッチ及び格子方位の一方若しくは両方を含む、上記[12]に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
[15]上記回折格子によってもたらされ、該当するビューピクセルの強度に対応している上記指向性光ビームの強度が、上記回折格子の回折結合効率によって決まる、上記[12]に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
[16]上記光ガイドが、上記光ガイド内で上記複数の導波光ビームのうちの1つの導波光ビームの伝搬方向に直交している方向に透過性である、上記[12]に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ。
[17]マルチカラー静的マルチビューディスプレイの動作方法であって、上記方法が、
選択可能色を含む複数の導波光ビームを光ガイド内に導波するステップであって、上記複数の導波光ビームのうちの導波光ビームそれぞれが共通原点を有し、またそれらの半径方向が互いに異なっている、ステップと、
複数の回折格子を使用して、静的カラー・マルチビュー画像を表示する複数の指向性光ビームを出射するステップであって、上記複数の回折格子のうちの1つの回折格子が、上記複数の導波光ビームからの光を、上記静的カラー・マルチビュー画像の該当するビューピクセルの強度及び主要角度方向を有する、上記複数の指向性光ビームのうちの1つの指向性光ビームとして回折的に外部に結合させている、ステップとを含み、
上記出射された指向性光ビームの上記強度及び主要角度方向を、上記回折格子の格子特性によって制御しており、上記格子特性が、上記共通原点に対する上記回折格子の位置に基づいており、また、上記指向性光ビームの色が、上記選択可能色によって決まる、
方法。
[18]マルチカラー光源内で互いに交互に配置された、複数の多色発光体を含む上記マルチカラー光源を使用して、上記複数の導波光ビームとして導波される光を供給するステップをさらに含み、上記マルチカラー光源を、上記光ガイドの側部に配置しており、上記マルチカラー光源の位置を、上記複数の導波光ビームの上記共通原点としている、上記[17]に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイの動作方法。
[19]上記選択可能色を生成するために、上記複数の多色発光体が供給する色の光を組み合わせるステップをさらに含み、上記色の光は、赤色光、青色光及び緑色光を含む、上記[18]に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイの動作方法。
[20]第1の時間中に複数の第1の導波光ビームを導波し、第2の時間中に複数の第2の導波光ビームを導波することにより、静的カラー・マルチビュー画像をアニメーション表示するステップをさらに含み、上記複数の第1の導波光ビームにおける共通原点は、上記複数の第2の導波光ビームにおける共通原点とは異なっており、また、上記アニメーション表示は、上記第1及び第2の時間中に、上記静的カラー・マルチビュー画像の見かけ上の位置を変位させることを含む、上記[17]に記載のマルチカラー静的マルチビューディスプレイの動作方法。
本明細書に記載の原理による実施例及び実施形態のさまざまな特徴は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解することができ、ここで同一の参照番号が同一の構造要素を示している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイの斜視図を示す。
【
図1B】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイの視線方向に対応する特定の主要角度方向を有する、光ビームの角度成分を表すグラフ表示を示す。
【
図2】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における回折格子の断面図を示す。
【
図3A】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチカラー静的マルチビューディスプレイの平面図を示す。
【
図3B】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチカラー静的マルチビューディスプレイの一部を表す断面図を示す。
【
図3C】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチカラー静的マルチビューディスプレイの斜視図を示す。
【
図4A】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチカラー光源を備えるマルチカラー静的マルチビューディスプレイの一部を表す平面図を示す。
【
図4B】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチカラー光源の断面図を示す。
【
図5】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチカラー静的マルチビューディスプレイの平面図を示す。
【
図6A】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイの平面図を示す。
【
図6B】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、別の例における
図6Aのマルチカラー静的マルチビューディスプレイを表す平面図を示す。
【
図7A】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイの回折格子の平面図を示す。
【
図7B】本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例においてマルチビューピクセルとして編成された回折格子のセットの平面図を示す。
【
図8】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチカラー静的マルチビューディスプレイのブロック図を示す。
【
図9】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチカラー静的マルチビューディスプレイの動作方法を表すフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
特定の実施例及び実施形態は、上記の図に示した特徴に加えて、またその代わりとなる1つである他の特徴を有する。これら及び他の特徴については、上記の図を参照しながら以下で詳述する。
【0008】
本明細書に記載する原理による実施例及び実施形態は、選択可能色を有する静的又は準静的三次元(3D)若しくはマルチビュー画像(即ち、「カラー」マルチビュー画像)のディスプレイを提供する。具体的には、記載している原理と一致する実施形態において、複数の指向性光ビームを使用して静的又は準静的カラー・マルチビュー画像を表示している。複数の指向性光ビームのうちの指向性光ビームそれぞれが有する色並びに個々の強度及び方向は、ここでは、表示しているマルチカラー・マルチビュー画像のビューにおいてさまざまなカラービューピクセルに対応している。さまざまな実施形態によれば、指向性光ビームの個々の強度と、いくつかの実施形態ではそれらの個々の方向とをあらかじめ設定又は「固定」している。そのため、表示されるカラー・マルチビュー画像を、静的又は準静的カラー・マルチビュー画像と呼ぶ場合がある。また、いくつかの実施形態によれば、カラー・マルチビュー画像の色を、時間の関数として選択可能とすることができる。
【0009】
本明細書に記載しているように、静的又は準静的カラー・マルチビュー画像を表示するように構成された、マルチカラー静的マルチビューディスプレイは、個々の指向性光ビームの強度及び方向を有する指向性光ビームを供給する光ガイドに光学的に接続された、回折格子を備える。複数の導波光ビームとして導波される、光ガイド内から導波される光の回折結合又は回折散乱により、又はこれに応じて指向性光ビームを出射又は供給するように、回折格子が構成されている。さらに、複数の導波光ビームのうちの導波光ビームそれぞれは、互いに異なる半径方向に光ガイド内へと導波されている。そのため、複数の回折格子のうちの1つの回折格子は、回折格子に入射する導波光ビームの特定の半径方向を考慮するか、又はその半径方向の関数である格子特性を含む。具体的には格子特性を、回折格子と、導波光ビームを供給するように構成された光源との相対位置の関数とすることができる。さまざまな実施形態によれば、回折格子が供給する指向性出射光ビームを、表示中の静的又は準静的カラー・マルチビュー画像のさまざまなビューにおいて関連ビューピクセルと確実に対応させるために、導波光ビームの半径方向を考慮するように、格子特性が構成されている。
【0010】
本明細書では、「マルチビューディスプレイ」を、さまざまな視線方向でさまざまなマルチビュー画像のビューを供給するように構成された、電子ディスプレイ又は電子ディスプレイシステムと定義している。「静的マルチビューディスプレイ」を、複数の異なるビューであっても、所定の又は固定の(すなわち、静的)マルチビュー画像を表示するように構成されたマルチビューディスプレイと定義している。本明細書では、「準静的マルチビューディスプレイ」を、通常は時間の関数として、異なる固定マルチビュー画像間又は複数のマルチビュー画像の状態間で切り替えることができる静的マルチビューディスプレイと定義している。異なる固定マルチビュー画像又はマルチビュー画像の状態間で切り替えると、例えば初歩的なアニメーションが得られる。さらに、本明細書で定義しているように、準静的マルチビューディスプレイは、静的マルチビューディスプレイの一種である。したがって、適切に理解するためにそのような区別をする必要がない限り、純粋な静的マルチビューディスプレイ又は画像と準静的マルチビューディスプレイ又は画像とを全く区別していない。
【0011】
また、本明細書では「カラー」マルチビュー画像を、特定の又は所定の色を有するマルチビュー画像と定義している。いくつかの実施形態では、所定の色を選択可能とすることができる。即ち、所定の色を動作中に選択してもよく、さらにこれを、時間の関数として変更可能とすることができる。例えば、第1の時間間隔中に、カラー・マルチビュー画像の色を第1の色として、又はこれが含まれるように選択してもよく、その一方で第2の時間間隔中に、カラー・マルチビュー画像の色を第2の色として、又はこれが含まれるように選択してもよい。色選択を、例えば色選択可能な又は色制御可能なマルチカラー光源(即ち、供給される光の色が制御可能なカラー光源である)によって実現してもよい。
【0012】
図1Aは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイ10の斜視図を示す。
図1Aに示すように、マルチビューディスプレイ10は、マルチビュー画像16内又はこれのビュー14(又は等価的にマルチビューディスプレイ10のビュー14)にビューピクセルを表示するように構成された画面12上に、回折格子を備える。マルチビュー画像16は、選択可能色を有していてもよく、したがってこれを、例えばカラー・マルチビュー画像とすることができる。画面12を、例えば自動車、電話(例えば、携帯電話、スマートフォンなど)、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータのコンピュータモニタ、カメラ用ディスプレイ、又は実質的に他のあらゆる装置の電子ディスプレイのディスプレイ画面とすることができる。
【0013】
マルチビューディスプレイ10は、画面12に対してさまざまな視線方向18(即ち、さまざまな主要角度方向)で、マルチビュー画像16のさまざまなビュー14を供給している。これらの視線方向18を、画面12からさまざまな異なる主要角度方向に延在する矢印として示している。これらさまざまなビュー14を、矢印の終端にある影付きの多角形状のボックスとして示している(即ち、視線方向18を図示している)。したがって、マルチビューディスプレイ10を(例えば、
図1Aに示すような)、y軸を中心に回転させると、視認者はさまざまなビュー14を視認することになる。一方、(図のように)
図1Aのマルチビューディスプレイ10を、x軸を中心に回転させると、(図のように)視認者の目に光が届かない状態になるまで表示画像が変化することはない。
【0014】
さまざまなビュー14が画面12の上にあるように示しているが、マルチビュー画像16をマルチビューディスプレイ10に表示し、これを視認者が視認するとき、ビュー14は実際は画面12上又はその近傍に出現する。
図1Aのように画面12の上方にマルチビュー画像16のビュー14を図示しているのは、説明を簡単にするためのみであり、また特定のビュー14に対応する視線方向18のそれぞれの方向からマルチビューディスプレイ10を視認していることを表す意図がある。また、
図1Aでは、3つのビュー14及び3つの視線方向18のみを示しているが、これらはすべて例示であり、限定するものではない。
【0015】
視線方向又はマルチビューディスプレイの視線方向に対応している方向を有する光ビームは、通常、本明細書の定義により、角度成分{θ、φ}が示す主要角度方向を有する。本明細書では、角度成分θを、光ビームの「仰角成分」又は「仰角」と呼んでいる。角度成分φを、光ビームの「方位角成分」又は「方位角」と呼んでいる。定義により、仰角θを垂直面内の角度(例えば、マルチビューディスプレイ画面の平面に垂直)とする一方、方位角φを水平面内の角度(例えば、マルチビューディスプレイ画面の平面に平行)としている。
【0016】
図1Bは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイの視線方向(例えば、
図1Aの視線方向18)に対応する特定の主要角度方向を有する、光ビーム20の角度成分{θ、φ}を表すグラフ表示を示す。
【0017】
加えて、光ビーム20を、本明細書の定義により、特定の地点から出射させるか、又は放射させている。即ち、定義により、光ビーム20は、マルチビューディスプレイ内の特定の原点に関連付けられた中心光線を有する。
図1Bは、光ビーム(又は視線方向)の原点Oをさらに示す。
【0018】
また、本明細書では、「マルチビュー画像」や「マルチビューディスプレイ」という用語で使用している「マルチビュー」という用語を、さまざまな視野を表示するか、又は複数のビューのビュー間における角度視差を含む複数のビューと定義している。さらに、本明細書では、「マルチビュー」という用語は、本明細書の定義により、明示的に3つ以上の異なるビュー(即ち、最低3つのビュー、ひいては概ね4つ以上のビュー)を明示的に含む。したがって、本明細書で使用している「マルチビューディスプレイ」を、シーン又は画像を表示するために異なるビューを2つのみ含む立体ディスプレイと明確に区別している。ただし、マルチビュー画像及びマルチビューディスプレイは3つ以上のビューを含んでいる場合があるが、本明細書の定義により、一度に表示するマルチビュー表示を2つのみ選択して(例えば、片眼ごとに1つのビュー)、立体画像のペアとしてマルチビュー画像を表示してもよい(例えば、マルチビューディスプレイで)。
【0019】
マルチビューディスプレイにおいて「マルチビューピクセル」を、本明細書では、マルチビューディスプレイにおける複数の同様のビューに個別にそれぞれピクセルを表示するビューピクセルのセット、又は複数のビューピクセルと定義している。同様に、マルチビューピクセルは、マルチビューディスプレイが表示するマルチビュー画像のさまざまなビューそれぞれにおいてピクセルに対応しているか、又は表示している個々のビューピクセルを有していてもよい。加えて、マルチビューピクセルのビューピクセルは、本明細書の定義により、ビューピクセルのそれぞれが、個々のビューにおいて対応する1つの所定の視線方向と関連付けられているということから、いわゆる「指向性ピクセル」である。さらに、さまざまな実施例及び実施形態によれば、マルチビューピクセルのビューピクセルが表示する個々のビューピクセルは、さまざまなビューそれぞれにおいて同等、又は少なくとも実質的に同様の位置若しくは座標を有していてもよい。例えば、第1のマルチビューピクセルは、マルチビュー画像のさまざまなビューそれぞれにおいて{x1、y1}に位置するビューピクセルに対応する個々のビューピクセルを有する一方、第2のマルチビューピクセルは、さまざまなビューそれぞれにおいて{x2、y2}に位置するビューピクセルに対応する個々のビューピクセルを有する、などとしていてもよい。特定の又は所定の(例えば、選択可能な)色を有するか、若しくは含むビューピクセルを、本明細書の定義により「カラー」ビューピクセルとしている。
【0020】
いくつかの実施形態では、マルチビューピクセル内のビューピクセル(又はカラービューピクセル)の数は、マルチビューディスプレイのビューの数と等しくてもよい。例えば、マルチビューピクセルは、8つの異なるビューを有するマルチビューディスプレイと関連付けられた、8つのビューピクセルを供給してもよい。又は、マルチビューピクセルは、64個の異なるビューを有するマルチビューディスプレイと関連付けられた、64個のビューピクセルを供給してもよい。別の実施例では、マルチビューディスプレイは8×4のビューの配列(array)(即ち、32ビュー)を供給することができ、その際、マルチビューピクセルは32個のビューピクセル(即ち、各ビューに1つ)を含んでもよい。さらに、いくつかの実施形態によれば、マルチビューディスプレイのマルチビューピクセルの数は、マルチビューディスプレイにおいて選択されたビューを構成するピクセルの数と実質的に等しくてもよい。
【0021】
本明細書では、「光ガイド」を、内部全反射を使用して構造体内の光を導波している、1つの構造体と定義している。具体的には、光ガイドは、光ガイドの動作波長において実質的に透過性であるコアを含んでいてもよい。さまざまな実施例では、「光ガイド」という用語は通常、内部全反射を使用して、光ガイドの誘電体材料と光ガイドを包囲している材料又は媒体との間の境界面において光を導波する、誘電体光導波路を指す。定義により、内部全反射の条件を、光ガイドの屈折率が、光ガイド材料の表面に隣接する周囲の媒体の屈折率よりも高いこととしている。いくつかの実施形態では、光ガイドは上記の屈折率差に加えて、又はその代わりにコーティングを含み、これにより内部全反射をさらに促進していてもよい。コーティングを、例えば反射コーティングとすることができる。光ガイドを、いくつかの光ガイド、例えば平板ガイド又はスラブガイド及びストリップガイドのうちの一方若しくは両方を含むが、これらに限定されないいくつかの光ガイドの任意のものとすることができる。
【0022】
また、本明細書では、「平板光ガイド」のように光ガイドに適用する場合の「平板」という用語を、区分的又は個別的に平坦な層又はシートと定義しており、これを「スラブ」ガイドと呼ぶ場合もある。具体的には、平板光ガイドを、光ガイドの上面及び底面(即ち、対向面)が境界を示す、実質的に直交している2つの方向に光を導波するように構成された光ガイドと定義している。さらに、本明細書の定義により、これらの上面及び底面を両方とも互いから離隔しており、少なくとも個別的な意味で、これらを実質的に互いに対して平行とすることができる。即ち、平板光ガイドの個別的に小さな領域でも、これらの上面と底面とは実質的に平行であるか、又は同一平面上にある。
【0023】
いくつかの実施形態では、平板光ガイドは実質的に平坦(即ち、平面の範囲内にある)であってもよく、したがって、平板光ガイドは平面光ガイドである。他の実施形態では、平板光ガイドは、1つ又は2つの直交次元で湾曲していてもよい。例えば、平板光ガイドを一次元で湾曲させて、円筒形状の平板光ガイドを形成してもよい。ただし、光を導波する平板光ガイド内で確実に内部全反射が維持されるのに十分な大きさとなるように、あらゆる湾曲の曲率半径を設定している。
【0024】
本明細書では通常、「回折格子」を、自身に入射する光の回折をもたらすように配置された、複数の特徴部(即ち、回折特徴部)と定義している。いくつかの実施例では、これら複数の特徴部を、特徴部のペア間に1つ又はそれ以上の格子間隔を有するような、周期的若しくは準周期的な形式で配置してもよい。例えば、回折格子は、一次元(1D)配列に配置された複数の特徴部(例えば、材料表面上にある複数の溝又はリッジ)を含んでいてもよい。他の実施例では、回折格子を特徴部の二次元(2D)配列とすることができる。回折格子を、例えば材料表面上の隆起又は穴の2D配列とすることもできる。さまざまな実施形態及び実施例によれば、回折格子を、隣り合う回折特徴部間にあり、回折格子によって回折される光の約一波長分よりも短くなる格子間隔又は格子距離を有する、サブ波長格子とすることもできる。
【0025】
したがって、本明細書の定義により、「回折格子」を、自身に入射する光の回折をもたらす構造体としている。光が光ガイドから回折格子へと入射する場合、そこでもたらされる回折又は回折散乱は、回折により、回折格子が光ガイドから光を外部に結合させることができるということから、その結果これを「回折結合」と呼ぶことがある。回折格子はまた、回折によって光の角度を転換又は変更している(即ち、回折角で)。具体的には、回折の結果として、回折格子から出射する光の伝搬方向は、通常、回折格子に入射する光(即ち、入射光)の伝搬方向とは異なるものとなる。回折によって光の伝搬方向が変化することを、本明細書では「回折的方向変更」と呼んでいる。したがって、回折格子を、自身に入射する光を回折的に方向変更する回折特徴部を含む構造体であると理解することができ、光が光ガイドから入射する場合、回折格子は、光ガイドからの光を回折的に外部に結合させることもできる。
【0026】
また、本明細書の定義により、回折格子の特徴部を「回折特徴部」と呼んでおり、これらを材料表面(即ち、2つの材料間の境界)にあり、その内部にあり、かつその上にある特徴部のうちの1つ又はそれ以上とすることができる。表面を、例えば光ガイドの表面とすることができる。回折特徴部は、光を回折するさまざまな構造体、例えば当該表面にあるか、その内部にあるか、又はその上にある溝、リッジ、穴又は突起のうちの1つ又はそれ以上を含むが、これらに限定されない構造体のいずれかを含んでいてもよい。例えば、回折格子は、材料表面に複数の実質的に平行な溝を含んでいてもよい。別の実施例では、回折格子は、材料表面から隆起している複数の平行なリッジを含んでいてもよい。回折特徴部(例えば、溝、リッジ、穴、突起など)は、回折をもたらすさまざまな断面形状又はプロファイル、例えば正弦波プロファイル、長方形プロファイル(バイナリ回折格子など)、三角形プロファイル又は鋸歯状プロファイル(ブレーズド格子など)のうちの1つ又はそれ以上を含むが、これらに限定されない断面形状又はプロファイルのいずれかを有していてもよい。
【0027】
以下にさらに記載しているように、本明細書の回折格子は、特徴部間隔又はピッチ、方位又はサイズ(回折格子の幅又は長さなど)のうちの1つ又はそれ以上を含む格子特性を有していてもよい。さらに、格子特性を、回折格子に対する光ビームの入射角、又は光源(例えば、マルチカラー光源)から回折格子までの距離、若しくはその両方の関数となるように選出又は選択してもよい。具体的には、いくつかの実施形態によれば、回折格子の格子特性を、光源の相対位置及び回折格子の位置に依存するように選択してもよい。回折格子の格子特性を適切に変更することにより、回折格子によって回折される(例えば、光ガイドから回折的に外部に結合される)光ビーム(即ち、「指向性光ビーム」)の強度及び主要角度方向の両方が、マルチビュー画像のビューピクセルの強度及び視線方向に対応するようにしている。
【0028】
本明細書に記載のさまざまな実施例によれば、回折格子(例えば、以下に記載しているような、マルチビューピクセルの回折格子)を使用して、光ガイド(例えば、平板光ガイド)からの光を、光ビームとして回折的に外部に散乱又は結合させてもよい。具体的には、局所的に周期的な回折格子の回折角θm、又はこれによってもたらされる回折角θmを、式(1)で次のように得ることができる。
【0029】
【0030】
ここで、λは光の波長であり、mは回折次数であり、nは光ガイドの屈折率であり、dは回折格子の特徴部間の距離又は間隔であり、θiは回折格子に対する光の入射角である。説明を簡単にするために、式(1)は、回折格子が光ガイドの表面に隣接しており、光ガイドの外側の材料が有する屈折率が1に等しい(即ち、n外側=1)と仮定している。通常、回折次数mは整数で得られる。回折格子によって形成される光ビームの回折角θmは、回折次数が正である式(1)(例えば、m>0)によって得ることができる。例えば、回折次数mが1に等しい(即ち、m=1)場合、一次回折がもたらされる。
【0031】
図2は、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における回折格子30の断面図を示す。例えば、回折格子30を、光ガイド40の表面に配置してもよい。加えて、
図2は、入射角θ
iで回折格子30に入射する光ビーム(又は光ビームの集合体)50を示している。光ビーム50は、光ガイド40内にある導波光ビームである。また、
図2では、入射光ビーム20を回折させた結果として、回折格子30によって回折的に生成されて外部に結合される、外部結合光ビーム(又は光ビームの集合体)60を示している。外部結合光ビーム60は、式(1)によって得られる回折角θ
m(又は本明細書では「主要角度方向」)を有する。外部結合光ビーム60は、例えば回折格子30の回折次数「m」に対応していてもよい。
【0032】
さまざまな実施形態によれば、さまざまな光ビームの主要角度方向は、格子特性、例えば回折格子のサイズ(例えば、長さ、幅、面積など)、方位、及び特徴部間隔のうちの1つ又はそれ以上を含むが、これらに限定されない格子特性によって決まる。また、回折格子が生成する光ビームは、本明細書の定義により、
図1Bに関連して上述したように、角度成分{θ、φ}によって得られる主要角度方向を有する。
【0033】
本明細書では、「平行光」又は「平行光ビーム」を通常、光ビームの光線が光ビーム内で実質的に互いに平行である光ビーム(例えば、光ガイド内の導波光ビーム)と定義している。なお、平行光ビームから発散又は散乱する光線を、本明細書の定義により、平行光ビームの一部とは見なしていない。また、本明細書では「コリメータ」を、光を平行化するように構成された、実質的に任意の光学デバイス又は光学装置と定義している。
【0034】
本明細書では「コリメーション係数」を、光の平行化の程度と定義している。具体的には、コリメーション係数は、本明細書の定義により、平行化された光ビーム内の光線の角度広がりを定義している。例えば、コリメーション係数σは、平行光のビーム内にある光線の大部分が、特定の角度広がり内にあること(例えば、平行光ビームの中心又は主要角度方向を中心に+/-σ度)を示し得る。いくつかの実施例によれば、平行光ビームの光線は角度に関してガウス分布を有していてもよく、また角度広がりは、平行光ビームのピーク強度の2分の1によって求められる角度であってもよい。
【0035】
本明細書では、「光源」を、光供給源(例えば、光を発生させて出射するように構成された発光体)と定義している。「マルチカラー光源」とは、選択可能色の出射光を有するか、又は含む光供給源である。例えば、光源は、作動させるか又はオンにすると光を出射する、発光ダイオード(LED)などの発光体を備えていてもよい。同様に、マルチカラー光源は、さまざまな色の出射光を選択可能なように供給する、色選択可能な、若しくは色可変の発光体又は複数の多色発光体を含んでいてもよい。例えば、マルチカラー光源は、作動させるとさまざまな色の光を出射する複数の多色LEDなどの、複数の多色発光体を含んでいてもよい。
【0036】
具体的には本明細書では、マルチカラー光源は、実質的に任意の光供給源であるか、又は実質的に任意の発光体、例えば発光ダイオード(LED)、レーザ、有機発光ダイオード(OLED)、ポリマー発光ダイオード、プラズマ式発光体、蛍光灯、白熱灯、又は色選択可能な状態にするか、又はそのように構成できる実質的に任意の他の光源のうちの1つ又はそれ以上を含むが、これらに限定されない実質的に任意の発光体を含んでいてもよい。マルチカラー光源が発生させる光は、複数の異なる色を有していてもよい(即ち、複数の異なる特定の光波長を含んでいてもよい)。いくつかの実施形態では、光源は、複数の多色発光体を含んでいてもよい。例えば、光源は、ある色又は等価的には波長を有する光を発光体の少なくとも1つが発生させる形態の、発光体のセット又はグループを含んでいてもよく、その色又は波長は、当該セット又はグループにおける少なくとも1つの他の発光体が発生させる光の色若しくは波長とは異なっている。これらの異なる色は、例えば原色(例えば、赤、緑、青)を含んでいてもよい。さらに、さまざまな実施形態によれば、さまざまな発光体が発生させるさまざまな色の光を組み合わせることにより、選択可能色を供給してもよい。
【0037】
また、本明細書で使用する場合、冠詞「a(1つの)」は、当特許分野においてその通常の意味、即ち「1つ又はそれ以上」という意味を有することが意図される。例えば「回折格子」とは、1つ又はそれ以上の回折格子を意味し、したがって、「その回折格子」とは、本明細書では「1つ又はそれ以上の回折格子」を意味する。また、「上面(top)」、「底面(bottom)」、「上部の(upper)」、「下部の(lower)」、「上に(up)」、「下に(down)」、「前(front)」、「後(back)」、「第1の(first)」、「第2の(second)」、「左(left)」又は「「右(right)」へのいずれの言及も、本明細書における限定を意図するものではない。本明細書では、「約(about)」という用語は、値に適用される場合、通常その値を生成するために使用される機器の許容誤差範囲内を意味するか、又は別段の明示的な指定がない限り、プラスマイナス10%、プラスマイナス5%、若しくはプラスマイナス1%を意味してもよい。また、本明細書で使用する「実質的に(substantially)」という用語は、過半数、又はほぼすべて、若しくはすべて、又は約51%~約100%の範囲内の量を意味する。さらに、本明細書における実施例は、例示を意図するものにすぎず、解説の目的で示したもので、限定するものではない。
【0038】
本明細書に記載の原理によるいくつかの実施形態によれば、マルチビュー画像、より具体的には静的カラー・マルチビュー画像を供給するように構成された、マルチビューディスプレイを提供する。
図3Aは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチカラー静的マルチビューディスプレイ100の平面図を示す。
図3Bは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチカラー静的マルチビューディスプレイ100の一部を表す断面図を示す。具体的には、
図3Bは、
図3Aのマルチカラー静的マルチビューディスプレイ100の一部を通る断面を示しており、断面はx-z平面にある。
図3Cは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチカラー静的マルチビューディスプレイ100の斜視図を示す。いくつかの実施形態によれば、単一カラーの静的マルチビュー画像を供給するように、図示しているマルチカラー静的マルチビューディスプレイ100が構成されている一方、他の実施形態では、複数の静的カラー・マルチビュー画像を供給するように、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ100が構成されていてもよく、その結果、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ100は、カラー準静的マルチビューディスプレイ100として機能している(又は、カラー準静的マルチビューディスプレイ100である)。例えば、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ100は、以下に記載しているように、異なる固定カラー・マルチビュー画像間、又は等価的に複数のカラー・マルチビュー画像の状態間で、切り替え可能であってもよい。
【0039】
複数の指向性光ビーム102を供給するように、
図3A~
図3Cに示すマルチカラー静的マルチビューディスプレイ100が構成されており、これら複数の指向性光ビーム102のうちの指向性光ビーム102それぞれは、ある強度及び主要角度方向を有する。また、複数の指向性光ビーム102は選択可能色を有し、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ100が供給又は表示するように構成されているカラー・マルチビュー画像のビューのセットにおいて、さまざまなカラービューピクセルを表示している。いくつかの実施形態では、これらのカラービューピクセルをマルチビューピクセルに編成して、カラー・マルチビュー画像のさまざまな異なるビューを表示してもよい。さらに、これらのカラービューピクセルは色、より具体的にはマルチカラー静的マルチビューディスプレイ100の選択可能色を含む。
【0040】
図示のように、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ100は光ガイド110を備える。光ガイドを、例えば平板光ガイド(図示のような)とすることができる。光ガイド110の長さに沿って、光を導波光として、又はより具体的には導波光ビーム112として導波するように、光ガイド110が構成されている。例えば、光ガイド110は、光導波路として構成された誘電体材料を含んでいてもよい。誘電体材料は、誘電体光導波路を包囲している媒体の第2の屈折率よりも高い、第1の屈折率を有していてもよい。例えば、光ガイド110の1つ又はそれ以上の導波モードに従って、導波光ビーム112の内部全反射を促進するように、屈折率差が構成されている。
【0041】
いくつかの実施形態では、光ガイド110を、光学的に透過性の誘電体材料からなる、延長された実質的に平面のシートを含む、スラブ又は平板光導波路とすることができる。内部全反射を使用して導波光ビーム112を導波するように、誘電体材料からなる実質的に平面のシートが構成されている。さまざま実施例によれば、光ガイド110の光学的に透過性の材料は、さまざまな誘電体材料、例えば、さまざまなタイプのガラス(例えば、石英ガラス、アルミノケイ酸アルカリガラス、ホウケイ酸ガラスなど)又は実質的に光学的に透過性のプラスチック若しくはポリマー(例えば、ポリ(メチルメタクリレート)又は「アクリルガラス」、ポリカーボネートなど)のうちの1つ又はそれ以上を含むが、これらに限定されないさまざまな誘電体材料のいずれかを含むか、又はそのいずれかで構成されていてもよい。いくつかの実施例では、光ガイド110は、光ガイド110の表面の少なくとも一部(例えば、上面及び底面の一方若しくは両方)に、クラッド層(図示せず)をさらに含んでいてもよい。いくつかの実施例によれば、クラッド層を使用して、内部全反射をさらに促進することができる。
【0042】
さまざまな実施形態によれば、光ガイド110の第1の表面110’(例えば、「前」面)と第2の表面110’’「(例えば、「後」面又は「下」面)との間において、非ゼロの伝搬角度で内部全反射に従って導波光ビーム112を導波するように、光ガイド110が構成されている。具体的には、導波光ビーム112は非ゼロの伝搬角度で、光ガイド110の第1の表面110’と第2の表面110’’との間で反射するか、又は「跳ね返る」ことによって伝搬している。なお、図示を簡単にするために、
図3Bでは非ゼロの伝搬角度を明示的に図示していない。ただし、
図3Bでは、光ガイド長さに沿った導波光ビーム112の一般的伝搬方向103を示す図の平面を指している、1つの矢印を示している。
【0043】
本明細書で定義しているように、「非ゼロの伝搬角度」とは、光ガイド110の表面(例えば、第1の表面110’又は第2の表面110’’)に対する角度のことである。また、さまざま実施形態によれば、非ゼロの伝搬角度はゼロよりも大きく、かつ光ガイド110内の内部全反射の臨界角よりも小さい。例えば、導波光ビーム112における非ゼロの伝搬角度を、約10度~約50度、又はいくつかの実施例では約20度~約40度、若しくは約25度~約35度とすることができる。例えば、非ゼロの伝搬角度を約30度とすることができる。他の実施例では、非ゼロの伝搬角度を約20度、又は約25度、若しくは約35度とすることができる。さらに、特定の非ゼロの伝搬角度を、光ガイド110内の内部全反射の臨界角よりも小さくなるように選択する限り、特定の実装に対して特定の非ゼロの伝搬角度を選択してもよい(例えば、任意に)。
【0044】
図3A及び
図3Cに示すように、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ100は、マルチカラー光源120をさらに備える。光ガイド110上の入力位置116に、マルチカラー光源120を配置している。例えば、図示しているように、マルチカラー光源120を、光ガイド110の端部又は側部114に隣接配置してもよい。複数の導波光ビーム112として光を光ガイド110内に供給するように、マルチカラー光源120が構成されている。これら複数の導波光ビーム112は、選択可能色の光、又は単に「選択可能色」を含む。さらに、マルチカラー光源120は、複数の導波光ビームにおける個々の導波光ビーム112の半径方向118が互いに異なったものとなるように、光を供給している。
【0045】
具体的には、マルチカラー光源120が出射する光が光ガイド110に進入し、また入力位置116から離隔し、かつ光ガイド110の長さにわたって、又はその長さに沿って、放射状に複数の導波光ビーム112として伝搬するように、構成されている。また、複数の導波光ビームにおける個々の導波光ビーム112の半径方向は、入力位置116から離隔して放射状に伝搬することから、互いに異なったものとなる。例えば、マルチカラー光源120を、側部114に突き合わせ結合してもよい。マルチカラー光源120がように突き合わせ結合されていることにより、光が扇状に導入されるように促進することができ、その結果、例えば個々の導波光ビーム112の半径方向がそれぞれ異なったものとなる。いくつかの実施形態によれば、さまざまな半径方向118に沿って導波光ビーム112が伝搬するように(即ち、複数の導波光ビーム112として)、マルチカラー光源120を入力位置116における「点」光源とすることができるし、少なくともこれに近似させることもできる。
【0046】
いくつかの実施形態では、マルチカラー光源120の入力位置116は、光ガイド110の側部114上において、その中心又は中央近傍若しくは付近にある。具体的には、
図3A及び
図3Cにおいて、光ガイド110の側部114(即ち「入力側」)のほぼ中心(例えば、その中央)にある入力位置116に、マルチカラー光源120を図示している。代替として(図示せず)、入力位置116を、光ガイド110の側部114の中央から離隔させてもよい。例えば、入力位置116を光ガイド110の角部に設定してもよい。例えば、光ガイド110の形状を長方形(例えば、図示のような)とすることができ、また、マルチカラー光源120の入力位置116を、長方形の光ガイド110の角部(例えば、入力側114の角部)に設定してもよい。
【0047】
さまざまな実施形態では、マルチカラー光源120は、選択可能色の光、例えば1つ又はそれ以上の発光ダイオード(LED)若しくはレーザ(例えば、レーザダイオード)を含むが、これらに限定されない選択可能色の光を供給するように構成された、実質的に任意の光源(例えば、発光体)を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、マルチカラー光源120は、特定の色(例えば、第1の色)が示す狭帯域スペクトルを有する、実質的に単色の光を発生させるように構成された発光体を含んでいてもよい。具体的には、単色の光が有する色を、特定の色空間又はカラーモデル(例えば、RGBカラーモデル)の原色とすることができる。したがって、マルチカラー光源120は、異なる色の、実質的に単色の光を発生させ、その結果、例えば選択可能色の光が出射されるように促進することができる、複数の多色発光体を含んでいてもよい。他の実施例では、マルチカラー光源120を、選択可能な出力色を含む、実質的に広帯域又は多色の光を供給するように構成された、実質的に広帯域の光源とすることができる。例えば、マルチカラー光源120は白色光を供給してもよく、その白色光の帯域を、選択可能色の光(又は選択可能色)が供給されるように選択してもよい。例えばマルチカラー光源120に制御入力することによって、選択可能色を選択してもよい。別の実施例では、マルチカラー光源120の出力部にある可変カラーフィルタによって、色選択を行ってもよい。
【0048】
上述のように、マルチカラー光源120は、さまざまな色の光を供給するように構成された、複数のカラー発光体を含んでいてもよい。さまざまな色の光のそれぞれに対応する導波光において、それぞれ異なる、色別かつ非ゼロの伝搬角度を有する光を供給するように、個々の発光体が構成されていてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、さまざまな色の光が有する第1の色(例えば、赤)を供給するように構成された、複数の発光体のうちの発光体それぞれを、さまざまな色の光が有する第2の又は別の色(例えば、緑又は青)を供給するように構成された発光体と、マルチカラー光源120内で交互に配置するか、若しくは点在させてもよい。例えば、これら複数のカラー発光体は、赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、及び青色発光ダイオードを含んでいてもよい。したがって、選択可能色が赤色光、緑色光及び青色光を選択可能に組み合わせたものとして供給されるように、さまざまな色の光を赤色光、緑色光、及び青色光とすることができる。選択可能に色を組み合わせる場合、例えば赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、及び青色発光ダイオードの相対発光強度によってこれを制御してもよい。さらに、本実施例では、赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、及び青色発光ダイオードを、マルチカラー光源120の範囲又は幅にわたって互いに交互に配置するか、又は互いに点在させてもよい。
【0049】
図4Aは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチカラー光源120を備えるマルチカラー静的マルチビューディスプレイ100の一部を表す平面図を示す。
図4Bは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチカラー光源120の断面図を示す。具体的には、
図4Aは、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ100の光ガイド110の側部114に突き合わせ結合された、マルチカラー光源120を示す。さまざまなタイプの矢印(実線、長破線、及び破線)は、マルチカラー光源120が発生させる導波光ビーム112内のさまざまな色の光を表す。図示のように、さまざまな色が組み合わさって、選択可能色の導波光ビーム112を供給している。
【0050】
図4Bに示すマルチカラー光源120は、さまざまな色の光を供給するように構成された、複数のカラー発光体122を含む。図示のように、カラー発光体122はさらに、第1の色の光(例えば、赤色光)を供給するように構成された第1の発光体122’、第2の色の光(例えば、緑色光)を供給するように構成された第2の発光体122’’、及び第3の色の光(例えば、青色光)を供給するように構成された第3の発光体122’’’を含む。例えば、複数のカラー発光体122は、複数の多色発光ダイオード(LED)を含んでいてもよい。例えば、第1の発光体122’を赤色LEDとし、第2の発光体122’’を緑色LEDとし、また第3の発光体122’’’を青色LEDとすることができる。さらに、図示のように、第1の発光体122’、第2の発光体122’’、及び第3の発光体122’’’を、マルチカラー光源120の範囲W内で交互に配置している。即ち、図示のように、第1、第2及び第3の発光体122’、122’’、122’’’は、マルチカラー光源の範囲W内に収まるほど小さく、さらに範囲Wにわたって互いと交互になっている。さまざまな色を有するカラー発光体122を交互に配置することにより、例えば、発生するさまざまな色の光を組み合わせるか、又は「融合する」ことが容易になり得る。また、交互に配置することにより、実質的に同じ伝搬方向(即ち、
図4Aに示すように、導波光ビーム112の共通の方向)を有する導波光ビーム112内に、さまざまな色の光線が発生する結果ともなり得る。なお、いくつかの実施形態によれば、範囲Wを選択して、カラービューピクセルの角度広がりを求めるか、又はこれを制御するために使用してもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、マルチカラー光源120からの光を光ガイド110内に結合することにより発生する選択可能色を含む、又は有する導波光ビーム112を平行化せず、若しくは少なくとも実質的に平行化しなくてもよい。他の実施形態では、導波光ビーム112を平行化してもよい(即ち、導波光ビーム112を平行光ビームとすることができる)。そのため、いくつかの実施形態では、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ100は、マルチカラー光源120と光ガイド110との間にコリメータ(図示せず)を備えていてもよい。又は、マルチカラー光源120がコリメータをさらに備えていてもよい。平行化される導波光ビーム112を光ガイド110内に供給するように、コリメータが構成されている。具体的には、マルチカラー光源120の1つ又はそれ以上の発光体から実質的に平行化されていない光を受け取り、実質的に平行化されていない光を平行光へと変換するように、コリメータが構成されている。いくつかの実施例では、導波光ビーム112の伝搬方向に実質的に垂直な平面(例えば、「垂直」平面)に平行化をもたらすように、コリメータが構成されていてもよい。即ち、平行化は、例えば光ガイド110の表面(例えば、第1又は第2の表面110’、110’’)に垂直な平面内に、比較的狭い角度広がりを有する平行化された導波光ビーム112をもたらし得る。さまざまな実施形態によれば、コリメータはさまざまなコリメータ、一例としてレンズ、反射体若しくはミラー(例えば、傾斜平行反射体)、又は例えば、マルチカラー光源120からの光を平行化するように構成された回折格子(例えば、回折格子ベースの筒状コリメータ)を含むが、これらに限定されないさまざまなコリメータのいずれかを含んでいてもよい。
【0052】
さらに、いくつかの実施形態では、コリメータは、非ゼロの伝搬角度を有するか、及び所定のコリメーション係数に従って平行化されるかの一方若しくは両方の状態となる、平行光を供給してもよい。さらに、多色発光体を使用する場合、それぞれ異なる、色別かつ非ゼロの伝搬角度を有するか、及びそれぞれ異なる色別コリメーション係数を有するかの一方若しくは両方の状態となる平行光を供給するように、コリメータが構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、平行光を光ガイド110に伝達し、これを導波光ビーム112として伝搬させるように、コリメータが構成されている。
【0053】
いくつかの実施形態では、平行光又は非平行光を使用することにより、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ100が供給し得るカラー・マルチビュー画像に影響が及ぶ可能性がある。例えば、選択可能色を含むか、又は有する導波光ビーム112が光ガイド110内で平行化される場合、選択可能色を含むか、又は有する出射された指向性光ビーム102は、直交している少なくとも2つの方向において、比較的狭いか、又は非常に小さい角度広がりを有し得る。したがって、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ100は、2つの異なる方向(例えば、x方向及びy方向)を有する配列で複数の異なるビューを有する、カラー・マルチビュー画像を供給することができる。ただし、導波光ビーム112が実質的に平行化されていない場合、カラー・マルチビュー画像は視差をもたらし得るが、異なるビューによる完全な二次元配列をもたらさない可能性がある。具体的には、導波光ビーム112が平行化されていない場合(例えば、z軸に沿って)、カラー・マルチビュー画像は、y軸を中心に回転したときに「視差3D」を呈する多色マルチビュー画像を供給し得る(例えば、
図1Aに示すように)。一方、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ100が、例えばx軸を中心に回転するとき、複数の指向性光ビームにおける指向性光ビーム102それぞれがy-z平面内に広い角度広がりを有することから、カラー・マルチビュー画像及びビューは実質的に不変のままとなるか、又は同じままとなり得る。したがって、供給されるカラー・マルチビュー画像は、2方向ではなく1方向のみのビューの配列をもたらす「視差のみ」である可能性がある。
【0054】
再度
図3A~
図3Cを参照すると、図示しているマルチカラー静的マルチビューディスプレイ100は、複数の指向性光ビームのうちの指向性光ビーム102それぞれを出射するように構成された、複数の回折格子130をさらに備える。上述のように、かつさまざまな実施形態によれば、複数の回折格子130が出射する指向性光ビーム102は、カラー・マルチビュー画像を表示することができる。具体的には、情報、例えば3Dコンテンツを有する情報を表示するカラー・マルチビュー画像を作成するように、複数の回折格子130が出射する指向性光ビーム102が構成されていてもよい。また、回折格子130は、以下にさらに記載しているように、マルチカラー光源120が光ガイド110を側部114から照明するとき、選択可能色を含む指向性光ビーム102を出射することができる。
【0055】
さまざまな実施形態によれば、複数の導波光ビームのうちの1つの導波光ビーム112の一部から、複数の指向性光ビームのうちの1つの指向性光ビーム102を供給するように、複数の回折格子のうちの1つの回折格子130が構成されている。さらに、カラー・マルチビュー画像のカラービューピクセルが有する強度及び視線方向に対応する強度及び主要角度方向の両方を有する、指向性光ビーム102を供給するように、回折格子130が構成されている。いくつかの実施形態では、複数の回折格子のうちの回折格子130それぞれは通常、いくつかの実施形態によれば、互いに交差せず、重なり合わず、また互いに接触しない。即ち、さまざまな実施形態によれば、複数の回折格子のうちの回折格子130それぞれは、通常別個であり、回折格子130のうちの他の格子から離隔されている。
【0056】
図3Bに示すように、指向性光ビーム102は少なくとも部分的に、光ガイド110内における導波光ビーム112の平均又は一般的伝搬方向103とは異なる方向であり、いくつかの実施形態では伝搬方向に直交している方向に伝搬してもよい。いくつかの実施形態によれば、例えば
図3Bに示すように、回折格子130からの指向性光ビーム102は、実質的にx-z平面の範囲内にあり得る。
【0057】
さまざまな実施形態によれば、複数の回折格子のうちの回折格子130それぞれは、関連する格子特性を有する。回折格子それぞれが有する関連する格子特性は、マルチカラー光源120から回折格子に入射する導波光ビーム112の半径方向118に依存するか、これによって定義されるか、又はその関数である。また、いくつかの実施形態では、関連する格子特性は、回折格子130とマルチカラー光源120の入力位置116との間の距離によってさらに決まるか、又は定義されている。例えば、
図3Aに示すように、関連する特性を、回折格子130aと入力位置116との間の距離Dと、回折格子130aに入射する導波光ビーム112の半径方向118aとの関数とすることができる。換言すれば、複数の回折格子130のうちの1つの回折格子130が有する関連する格子特性は、光源の入力位置116と、入力位置116に対する光ガイド110表面上における回折格子130の特定の位置とに依存している。
【0058】
図3Aは、異なる空間座標(x
1、y
1)及び(x
2、y
2)を有する2つの異なる回折格子130a並びに130bを示し、これらの回折格子は、回折格子130に入射するマルチカラー光源120からの複数の導波光ビーム112が有する、半径方向118a及び118bの差を補償するか、又はこれに対応する個々の格子特性をさらに有する。同様に、これら2つの異なる回折格子130a及び130bの個々の格子特性は、異なる空間座標(x
1、y
1)及び(x
2、y
2)によって決まる光源入力位置116からそれぞれの回折格子130a、130bまでの距離の差に対応している。
【0059】
図3Cは、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ100が供給し得る複数の指向性光ビーム102の例を示す。具体的には、図示のように、複数の回折格子のうちの回折格子130の個々のセットが、互いに異なる主要角度方向を有する指向性光ビーム102を出射している様子を示している。さまざまな実施形態によれば、個々の主要角度方向は、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ100の個々の視線方向に対応していてもよい。例えば、回折格子130の第1のセットは、入射導波光ビーム112(破線で図示)の一部を回折的に外部に結合させて、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ100の第1の視線方向(又は第1のビュー)に対応する第1の主要角度方向を有する、指向性光ビーム102の第1のセットを供給してもよい。同様に、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ100における第2の視線方向(又は第2のビュー)及び第3の視線方向(又は第3のビュー)それぞれに対応する主要角度方向を有する、指向性光ビーム102’’の第2のセット並びに指向性光ビーム102’’’の第3のセットを、図示のように、回折格子130の第2のセット及び第3のセットなどのそれぞれが、入射導波光ビーム112の一部を回折的に外部に結合させることによって供給してもよい。
図3Cには、マルチビューディスプレイ100が供給し得るカラー・マルチビュー画像16の第1のビュー14’、第2のビュー14’’、及び第3のビュー14’’’も示してある。図示している第1、第2、及び第3のビュー14’、14’’、14’’’は、オブジェクトのさまざまな斜視図を表し、また、集合的には表示しているカラー・マルチビュー画像16である(例えば、
図1Aに示すカラー・マルチビュー画像16に相当する)。
【0060】
通常、回折格子130の格子特性は、回折格子の回折特徴部間隔又はピッチ、格子方位及び格子サイズ(若しくは範囲)のうちの1つ又はそれ以上を含み得る。また、いくつかの実施形態では、回折格子の結合効率(回折格子面積、溝の深さ、又はリッジの高さなど)を、入力位置116から回折格子までの距離の関数とすることができる。例えば、放射状広がり及び他の損失係数に関連している導波光ビーム112の強度の全般的な低下を補正又は補償するために、部分的に距離の関数として増加するように、回折格子の結合効率が構成されていてもよい。したがって、いくつかの実施形態によれば、回折格子130によってもたらされ、該当するビューピクセルの強度に対応している指向性光ビーム102の強度は、回折格子130の回折結合効率によって部分的に決まる可能性がある。
【0061】
図5は、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチカラー静的マルチビューディスプレイ100の平面図を示す。
図5には、光ガイド110の側部114にあるマルチカラー光源120の入力位置116からの距離Dである、角度間隔内の照明体積134を示している。なお、複数の
導波光ビーム112による伝搬の半径方向角度がy軸から離隔してx軸に向かって変化するにつれて、照明体積の角度サイズは拡大していく。例えば、図示のように、照明体積134bは照明体積134aよりも広い。
【0062】
再度
図3Bを参照すると、図示のように、光ガイド110の光ビーム出射面である光ガイド110の第1の表面110’に、複数の回折格子130を配置してもよいし、隣接配置してもよい。例えば、回折格子130を、第1の表面110’を介して、導波光部分を指向性光ビーム102として回折的に外部に結合させるように構成された、透過モードの回折格子とすることができる。又は、光ガイド110の光ビーム出射面(即ち、第1の表面110’)とは反対側の第2の表面110’’に、複数の回折格子130を配置してもよいし、隣接配置してもよい。具体的には、回折格子130を反射モードの回折格子とすることができる。反射モードの回折格子として、導波光部分を回折し、かつ回折された導波光部分を第1の表面110’に向かって反射させることで、導波光部分が回折的に外部に散乱するか、又は外部に結合される指向性光ビーム102として、第1の表面110’から退出するように、回折格子130が構成されている。他の実施形態(図示せず)では、回折格子130を、例えば透過モードの回折格子及び反射モードの回折格子の一方若しくは両方として、光ガイド110の表面間に配置していてもよい。
【0063】
本明細書に記載のいくつかの実施形態では、指向性光ビーム102の主要角度方向は、指向性光ビーム102が光ガイド表面において光ガイド110を退出することから生じる屈折効果を含み得る。例えば、一例として示すのであって、限定するものではないが、回折格子130を第2の表面110’’に配置するか、又は隣接配置する場合、指向性光ビーム102が第1の表面110’を横切るときの屈折率に変化が生じるため、指向性光ビーム102は屈折(即ち、屈曲する)し得る。
【0064】
いくつかの実施形態によれば、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ100は、互いから横方向にオフセットさせた複数のマルチカラー光源120を備えていてもよい。これら複数の光源のうちのマルチカラー光源120それぞれを横方向にオフセットさせることにより、個々の回折格子130で、又は個々の回折格子130の間で、さまざまな導波光ビーム102の半径方向に差が生じ得る。いくつかの実施形態によれば、この差により、今度は表示されるカラー・マルチビュー画像のアニメーション表示が容易になり得る。したがって、いくつかの実施形態では、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ100を、準マルチカラー静的マルチビューディスプレイ100とすることができる。
【0065】
図6Aは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチカラー静的マルチビューディスプレイ100の平面図を示す。
図6Bは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、別の例における
図6Aのマルチカラー静的マルチビューディスプレイ100を表す平面図を示す。
図6A及び
図6Bに示すマルチカラー静的マルチビューディスプレイ100は、複数の回折格子130を含む光ガイド110を備える。加えて、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ100は、図示のように、互いから横方向にオフセットされ、かつそれらの半径方向118が互いに異なっている導波光ビーム112を別々に供給するように構成された、複数のマルチカラー光源120をさらに備える。
【0066】
具体的には、
図6A及び
図6Bは、光ガイド110の側部114の第1の入力位置116aにある第1のマルチカラー光源120aと、第2の入力位置116bにある第2のマルチカラー光源120bとを示している。これら第1及び第2の入力位置116a、116bを、側部114に沿って(即ち、x方向に)互いから横方向にオフセット又は変位させることにより、第1及び第2のマルチカラー光源120a、120bをそれぞれ横方向にオフセットさせている。また、複数のマルチカラー光源120のうちの第1及び第2のマルチカラー光源120a、120bはそれぞれ、選択可能色を含み、かつそれぞれの半径方向が互いに異なっている複数の異なる導波光ビーム112を供給している。例えば、
図6A及び
図6Bにそれぞれ示すように、第1のマルチカラー光源120aは、さまざまな半径方向118aの第1のセットを有する複数の第1の導波光ビーム112aを供給し、第2のマルチカラー光源120bは、さまざまな半径方向118bの第2のセットを有する複数の第2の導波光ビーム112bを供給してもよい。さらに、図示のように、第1及び第2の複数の導波光ビーム112a、112bは通常、さまざまな半径方向118a、118bのセットを有しており、これらの半径方向118a、118bのセットはまた、第1及び第2のマルチカラー光源120a、120bを横方向にオフセットさせていることから、セットとして互いに異なっている。
【0067】
そのため、複数の回折格子130は、視空間内で互いから変位される(例えば、視空間内で角度変位される)、多色マルチビュー画像を表示する指向性光ビームを出射している。したがって、第1及び第2のマルチカラー光源120a、120b間で切り替えることにより、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ100は、時系列アニメーションなどのカラー・マルチビュー画像による「アニメーション」を供給することができる。具体的には、さまざまな連続時間間隔又は連続時間中に第1及び第2のマルチカラー光源120a、120bを連続的に照明することにより、例えば、異なる時間中にカラー・マルチビュー画像の見かけ上の位置を変位させるように、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ100が構成されていてもよい。いくつかの実施形態によれば、このようなアニメーションによって見かけ上の位置を変位させることにより、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ100を準マルチカラー静的マルチビューディスプレイ100として動作させ、その結果、複数のカラー・マルチビュー画像の状態を表示する例を示すことができる。
【0068】
また、さまざま実施形態によれば、第1のマルチカラー光源120aが供給し得る選択可能色を、第2のマルチカラー光源120bが供給し得る選択可能色と同じ色又は異なる色とすることができる。そのため、「アニメーション」は、時間の関数として(例えば、特定のカラー・マルチビュー画像で)、又はカラー・マルチビュー画像の状態の関数として、カラー・マルチビュー画像に生じる色の変化を含み得る。
【0069】
さまざまな実施形態によれば、
図3A~
図3Cに関して上述したように、回折を使用して(例えば、回折散乱又は回折結合によって)、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ100の指向性光ビーム102を出射させている。いくつかの実施形態では、複数の回折格子130をマルチビューピクセルとして編成していてもよく、これらのマルチビューピクセルはそれぞれ、複数の回折格子からの1つ又はそれ以上の回折格子130を含む、回折格子130のセットを備える。また、上述したように、1又はそれ以上の回折格子130は、光ガイド110上の半径方向位置の関数であるとともに、1又はそれ以上の回折格子130が出射する指向性光ビーム102の強度及び方向の関数である回折特性を有する。
【0070】
図7Aは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイの回折格子130の平面図を示す。
図7Bは、本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例においてマルチビューピクセル140として編成された回折格子130のセットの平面図を示す。
図7A及び
図7Bに示すように、回折格子130はそれぞれ、回折特徴部間隔(「格子間隔」と呼ばれることもある)又は格子ピッチに従って互いから離隔した、複数の回折特徴部を含む。光ガイド内から導波光部分を回折的に外部に結合又は散乱させるように、回折特徴部間隔又は格子ピッチが構成されている。
図7A~
図7Bでは、マルチビューディスプレイ(例えば、
図3A~
図3Cに示すマルチカラー静的マルチビューディスプレイ100)の光ガイド110の表面上に、回折格子130を配置している。
【0071】
さまざまな実施形態によれば、回折格子130内の回折特徴部の間隔又は格子ピッチを、サブ波長(即ち、導波光ビーム112の波長未満)とすることができる。なお、
図7A及び
図7Bでは、図示を簡単にするために、単一又は均一の格子間隔(即ち、一定の格子ピッチ)を有する回折格子130を示している。さまざまな実施形態では、回折格子130は、以下に記載しているように、複数の異なる格子間隔(例えば、2つ又はそれ以上の格子間隔)又は可変の回折特徴部間隔若しくは格子ピッチを含み、これにより、例えば
図3A~
図6Bに多様に示すそのままの状態で、指向性光ビーム102を供給することができる。したがって、
図7A及び
図7Bには、単一の格子ピッチが回折格子130の唯一の実施形態であることを示唆する意図はない。
【0072】
いくつかの実施形態によれば、回折格子130の回折特徴部は、互いから離隔した溝及びリッジの一方若しくは両方を含んでいてもよい。これらの溝又はリッジは光ガイド110の材料を含んでいてもよく、例えば、これらの溝又はリッジを、光ガイド110の表面に形成してもよい。別の実施例では、これらの溝又はリッジを、光ガイドの材料以外の材料、例えば、光ガイド110の表面上にある別の材料のフィルム又は層から形成してもよい。
【0073】
上述したように、また
図7Aに示すように、回折特徴部の構成は、回折格子130の格子特性を含む。例えば、回折格子130が供給する指向性光ビーム102の強度を決定するように、回折格子の格子深さが構成されていてもよい。代替的に又は付加的に、また上述し、かつ
図7A~
図7Bに示したように、格子特性は、回折格子130の格子ピッチ及び格子方位(例えば、
図7Aに示す格子方位γ)の一方若しくは両方を含む。導波光ビームの入射角とともに、これらの格子特性により、回折格子130が供給する指向性光ビーム102の主要角度方向が決まる。
【0074】
いくつかの実施形態(図示せず)では、指向性光ビームを供給するように構成された回折格子130は、格子特性として可変回折格子又はチャープ回折格子を含む。定義により、「チャープ」回折格子は、自身の範囲又は長さにわたって変化する、回折特徴部の回折間隔(即ち、格子ピッチ)を呈するか、又は有する回折格子である。いくつかの実施形態では、チャープ回折格子は、距離とともに線形に変化する回折特徴部間隔のチャープを有するか、又は呈する場合がある。したがって、チャープ回折格子は、定義により「線形チャープ」回折格子となる。他の実施形態では、マルチビューピクセルのチャープ回折格子は、回折特徴部間隔の非線形チャープを呈する場合がある。さまざまな非線形チャープ、例えば指数チャープ、対数チャープ、又は別の、実質的に不均一又はランダムであるにもかかわらず、依然として単調に変化するチャープを含むが、これらに限定されない、さまざまな非線形チャープを使用してもよい。非単調チャープ、例えば正弦波チャープ又は三角チャープ若しくは鋸歯状チャープなどの非単調チャープも使用することができるが、これらに限定されない。このようなタイプのチャープのいずれかを組み合わせたものを、同様に使用することができる。
【0075】
他の実施形態では、指向性光ビーム102を供給するように構成された回折格子130は、複数の回折格子(例えば、サブ格子)であるか、又はこれを含む。例えば、回折格子130のうちの複数の回折格子は、指向性光ビーム102の赤色部分を供給するように構成された、第1の回折格子を含んでいてもよい。さらに、回折格子130のうちの複数の回折格子は、指向性光ビーム102の緑色部分を供給するように構成された、第2の回折格子を含んでいてもよい。またさらに、回折格子130のうちの複数の回折格子は、指向性光ビーム102の青色部分を供給するように構成された、第3の回折格子を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、複数の回折格子のうちの個々の回折格子を、互いに重ね合わせていてもよい。他の実施形態では、これらの回折格子を、例えば1つの配列として互いに隣接配置された、別個の回折格子とすることができる。
【0076】
マルチカラー静的マルチビューディスプレイ100は、より全般的には、それぞれが複数の回折格子130からの回折格子130のセットを含む、マルチビューピクセル140の1つ又はそれ以上のインスタンスを備えていてもよい。
図7Bに示すように、マルチビューピクセル140を構成している当該セットのうちの回折格子130は、個々の格子特性を有していてもよい。マルチビューピクセルの回折格子130は、例えば個々の格子方位を有していてもよい。具体的には、マルチビューピクセル140の回折格子130は、カラー・マルチビュー画像において対応するビューのセットによって決まるか、又は決定付けられる、個々の格子特性を有していてもよい。例えば、マルチビューピクセル140は、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ100の8つの異なるビューに順に対応している、8つの回折格子130のセットを含んでいてもよい。さらに、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ100は、複数のマルチビューピクセル140を備えていてもよい。例えば、回折格子130のセットを含む複数のマルチビューピクセル140を設けていてもよく、これらのマルチビューピクセル140はそれぞれ、8つの異なるビューそれぞれにおける2048×1024ピクセルの個々のものに対応している。
【0077】
いくつかの実施形態では、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ100を透過性とするか、又は実質的に透過性とすることができる。具体的には、いくつかの実施形態では、光ガイド110及びそれぞれから離隔された複数の回折格子130により、第1の表面110’及び第2の表面110’’の両方に直交している方向に、光が光ガイド110を通過することができる。したがって、複数の導波光ビームのうちの導波光ビーム112それぞれの一般的伝搬方向103に直交している方向に伝搬する光を、光ガイド110、より全般的にはマルチカラー静的マルチビューディスプレイ100に透過させることができる。さらに、回折格子130が実質的に透過性であることにより、少なくとも部分的にこうした透過を促進することができる。
【0078】
本明細書に記載の原理によるいくつかの実施形態によれば、マルチビューディスプレイを提供する。自身が供給する複数の指向性光ビームを出射するように、マルチビューディスプレイが構成されている。また、こうして出射された指向性光ビームを、マルチビューディスプレイの1つ又はそれ以上のマルチビューピクセルに含まれる複数の回折格子の格子特性に基づいて、マルチビューディスプレイの複数の視線領域に優先的に指向させてもよい。さらに、これらの回折格子は、指向性光ビームのさまざまな主要角度方向を形成してもよく、これらの主要角度方向は、本マルチカラー・マルチビューディスプレイのカラー・マルチビュー画像のビューのセットにおいて、さまざまなビューの個々の視線方向に対応している。いくつかの実施例では、カラー3D画像又はマルチビュー画像を供給若しくは「表示」するように、本マルチカラー・マルチビューディスプレイが構成されている。さまざまな実施例によれば、指向性光ビームの個々のビームは、カラー・マルチビュー画像と関連付けられたさまざまな「ビュー」の個々のビューピクセルに対応していてもよい。これらのさまざまなビューは、例えば本マルチカラー・マルチビューディスプレイが表示するカラー・マルチビュー画像において、情報の「メガネなし」(例えば、自動立体)表示を実現することができる。
【0079】
図8は、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチカラー静的マルチビューディスプレイ200のブロック図を示す。さまざまな実施形態によれば、さまざまな視線方向の個々のビューに従って、カラー・マルチビュー画像を表示するように、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ200が構成されている。具体的には、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ200が出射する複数の指向性光ビーム202を使用して、カラー・マルチビュー画像を表示しており、これらの指向性光ビーム202は、さまざまなビューのカラーピクセル(即ち、カラービューピクセル)に対応していてもよい。指向性光ビーム202を、
図8の1つ又はそれ以上のマルチビューピクセル210から発する矢印として示している。
図8には、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ200が供給し得るカラー・マルチビュー画像16の第1のビュー14’、第2のビュー14’’、及び第3のビュー14’’’をさらに示している。
【0080】
なお、マルチビューピクセル210のうちの1つと関連付けられた指向性光ビーム202は、静的又は準静的(即ち、能動的に変調されていない)のいずれかである。一方で、マルチビューピクセル210は、照明されているときに指向性光ビーム202を供給し、照明されていないときは指向性光ビーム202を供給しない。また、さまざまな実施形態によれば、このように供給される指向性光ビーム202の強度は、これらの指向性光ビーム202の方向とともに、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ200が表示するカラー・マルチビュー画像16のピクセルを定義している一方、指向性光ビーム202の色は、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ200の選択可能色によって決まる。さまざまな実施形態によれば、カラー・マルチビュー画像16内で表示されるビュー14’、14’’、14’’’を、静的又は準静的とすることができる。
【0081】
図8に示すマルチカラー静的マルチビューディスプレイ200は、マルチビューピクセル210の配列を備える。マルチカラー静的マルチビューディスプレイ200の複数の異なるビューを供給するように、当該配列のマルチビューピクセル210が構成されている。さまざまな実施形態によれば、当該配列のマルチビューピクセル210は、複数の指向性光ビーム202を回折的に外部に結合させるか、又は出射するように構成された、複数の回折格子212を含む。複数の指向性光ビーム202は、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ200のビューのセットにおいて、さまざまなビューの個々の視線方向に対応している主要角度方向を有していてもよい。さらに、回折格子212に対する入射光ビームの半径方向、又は入射光ビームを供給している光源までの距離、若しくはその両方に基づいて、回折格子212の格子特性を変更又は選択してもよい。いくつかの実施形態では、回折格子212及びマルチビューピクセル210をそれぞれ、上述のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ100の回折格子130及びマルチビューピクセル140と、それぞれ実質的に同様とすることができる。
【0082】
図8に示すように、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ200は、光を導波するように構成された光ガイド220をさらに備える。いくつかの実施形態では、光ガイド220を、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ100に関連して上述した光ガイド110と実質的に同様とすることができる。さまざまな実施形態によれば、マルチビューピクセル210、又はより具体的には、さまざまなマルチビューピクセル210の回折格子212が、光ガイド220からの導波光(又は図示のように、等価的には「導波光ビーム204」)の一部を、複数の指向性光ビーム202として外部に散乱又は結合させるように(即ち、導波光を、上述の入射光ビームとすることができる)、構成されている。具体的には、マルチビューピクセル210を光ガイド220に光学的に接続して、回折散乱又は回折結合により、導波光(即ち、導波光ビーム204)の一部を外部に散乱又は結合させている。
【0083】
さまざまな実施形態では、回折格子212に対する入射導波光ビーム204の半径方向、又は導波光ビーム204を供給している光源との距離、若しくはその両方に基づいて、回折格子212の格子特性を変更している。このようにして、マルチビューピクセル内の個々の回折格子212からの指向性光ビーム202を、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ200が供給するカラー・マルチビュー画像のビューのピクセルに対応させていてもよい。
【0084】
図8に示すマルチカラー静的マルチビューディスプレイ200は、マルチカラー光源230をさらに備える。光ガイド110に光を供給するように、マルチカラー光源230が構成されていてもよい。具体的には、このように供給される光(例えば、
図8のマルチカラー光源230から発する矢印で示している)は、複数の導波光ビーム204として光ガイド110によって導波されている。さまざまな実施形態によれば、複数の導波光ビームのうちの導波光ビーム204それぞれは、選択可能色(即ち、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ200の選択可能色)を含み、またそれらの半径方向は、光ガイド220内で互いに異なっている。いくつかの実施形態では、導波光ビーム204は非ゼロの伝搬角度を備え、またいくつかの実施形態では、例えば光ガイド220内に導波光ビーム204の所定の角度広がりをもたらす、コリメーション係数を有する。いくつかの実施形態によれば、マルチカラー光源230を、上述のようなマルチカラー静的マルチビューディスプレイ100の1つ又はそれ以上のマルチカラー光源120の1つと実質的に同様とすることができる。例えば、マルチカラー光源230を、光ガイド220の入力端部に突き合わせ結合してもよい。マルチカラー光源230は扇状又は放射状に光を放射し、これによって半径方向が異なる複数の導波光ビーム204を供給することができる。さらに、マルチカラー光源230は、マルチカラー光源内で互いに交互に配置された、複数の多色発光体を含んでいてもよい。ここでの選択可能色を、例えば、複数の多色発光体が供給するさまざまな色の光を組み合わせたものとすることができる。
【0085】
本明細書に記載の原理による他の実施形態によれば、マルチカラー静的マルチビューディスプレイの動作方法を提供する。
図9は、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチカラー静的マルチビューディスプレイの動作方法300を表すフローチャートを示す。さまざまな実施形態によれば、マルチカラー静的マルチビューディスプレイの動作方法300を使用して、静的カラー・マルチビュー画像の表示及び準静的カラー・マルチビュー画像の表示の一方若しくは両方を実現することができる。
【0086】
図9に示すように、マルチカラー静的マルチビューディスプレイの動作方法300は、選択可能色を含む複数の導波光ビームとして、光ガイドに沿って光を導波するステップ310を含み、これら複数の導波光ビームのうちの導波光ビームそれぞれは共通原点を有し、またそれらの半径方向は互いに異なっている。具体的には、複数の導波光ビームのうちの導波光ビームそれぞれは、定義により、選択可能色を有する。加えて、導波光ビームによる伝搬の半径方向は、定義により、複数の導波光ビームにおける別の導波光ビームによる伝搬の半径方向とは異なっている。また、複数の導波光ビームのうちの導波光ビームそれぞれは、定義により、共通原点を有する。いくつかの実施形態では、原点を、仮想原点(例えば、導波光ビームにおける実際の原点の外側にある点)とすることができる。例えば、原点を光ガイドの外側に設け、これにより仮想原点としてもよい。いくつかの実施形態によれば、ステップ310で光が導波される際に沿う光ガイドと、内部に導波される選択可能色を含む導波光ビームとを、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ100に関連して上述した、光ガイド110及び導波光ビーム112と実質的に同様とすることができる。
【0087】
図9に示すマルチカラー静的マルチビューディスプレイの動作方法300は、複数の回折格子を使用して、カラー・マルチビュー画像を表示する複数の指向性光ビームを出射するステップ320をさらに含む。さまざまな実施形態によれば、複数の回折格子のうちの1つの回折格子は、複数の導波光ビームからの光を、複数の指向性光ビームのうちの1つの指向性光ビームとして回折的に外部に結合又は散乱させている。また、結合又は散乱される指向性光ビームは、カラー・マルチビュー画像において対応するビューピクセルの強度及び主要角度方向の両方を有する。具体的には、出射するステップ320によって発生する複数の指向性光ビームは、カラー・マルチビュー画像のビューのセットにおいて、さまざまなビューピクセルに対応している主要角度方向を有していてもよい。さらに、複数の指向性光ビームのうちの指向性光ビームそれぞれの強度を、カラー・マルチビュー画像のさまざまなビューピクセルの強度に対応させていてもよい。いくつかの実施形態では、回折格子のそれぞれは、単一の主要角度方向に単一の指向性光ビームを発生させ、またカラー・マルチビュー画像の1つのビューにおいて、特定のビューピクセルに対応している単一の強度を有する。指向性光ビームの色は、選択可能色によって決まる。いくつかの実施形態では、回折格子は複数の回折格子(例えば、サブ格子)を含む。さらにいくつかの実施形態では、回折格子のセットを、マルチカラー静的マルチビューディスプレイのマルチビューピクセルとして配置していてもよい。
【0088】
さまざまな実施形態では、ステップ320で出射された指向性光ビームの強度及び主要角度方向を、回折格子の格子特性によって制御しており、格子特性は、共通原点に対する回折格子の位置(即ち、これの関数とする)に基づいている。具体的には、回折格子に対する入射導波光ビームの半径方向、又は回折格子から、導波光ビームを供給しているマルチカラー光源までの距離、若しくはその両方に基づいて複数の回折格子の格子特性を変更してもよいし、又は等価的にこれらをその関数としてもよい。
【0089】
いくつかの実施形態によれば、これら複数の回折格子を、上述のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ100における複数の回折格子130と実質的に同様とすることができる。また、いくつかの実施形態では、ステップ320で出射された複数の指向性光ビームを、やはり上述した複数の指向性光ビーム102と実質的に同様とすることができる。例えば、主要角度方向を制御している格子特性は、回折格子の格子ピッチ及び格子方位の一方若しくは両方を含んでいてもよい。さらに、回折格子によってもたらされ、該当するビューピクセルの強度に対応している指向性光ビームの強度は、回折格子の回折結合効率によって決まる可能性がある。即ち、強度を制御している格子特性は、いくつかの実施例では、回折格子の格子深さ、又は格子サイズなどを含んでいてもよい。
【0090】
図示のように、マルチカラー静的マルチビューディスプレイの動作方法300は、マルチカラー光源を使用して、複数の導波光ビームとして導波される光を供給するステップ330をさらに含む。具体的には、マルチカラー光源を使用して、選択可能色を含み、かつ複数の異なる伝搬の半径方向を有する導波光ビームとして、光を光ガイドに供給している。さまざまな実施形態によれば、光を供給するステップ330で使用するマルチカラー光源を、光ガイドの側部に配置しており、マルチカラー光源の位置を、複数の導波光ビームの共通原点としている。いくつかの実施形態では、マルチカラー光源を、上述のマルチカラー静的マルチビューディスプレイ100の1つ又はそれ以上のマルチカラー光源120と実質的に同様とすることができる。
【0091】
具体的には、マルチカラー光源を、光ガイドの端部又は側部に突き合わせ結合してもよい。また、いくつかの実施形態では、マルチカラー光源を、共通原点を表す点光源に近似させていてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、マルチカラー光源を使用して、複数の導波光ビームとして光を導波供給するステップ330は、マルチカラー光源内で互いに交互に配置された、複数の多色発光体を含む。
【0092】
いくつかの実施形態(図示せず)では、マルチカラー静的マルチビューディスプレイの動作方法300は、選択可能色を生成するために、複数の多色発光体がステップ330で供給する色の光を組み合わせるステップをさらに含む。このような色の光は、赤色光、青色光及び緑色光を含んでいてもよい。このように色を組み合わせることで生成される選択可能色を、実質的に任意の色(例えば、RGBカラーモデルによる)とすることができる。
【0093】
いくつかの実施形態(図示せず)では、マルチカラー静的マルチビューディスプレイの動作方法300は、第1の時間中に複数の第1の導波光ビームを導波し、第2の期間における第2の時間中に複数の第2の導波光ビームを導波することにより、カラー・マルチビュー画像をアニメーション表示するステップをさらに含む。複数の第1の導波光ビームにおける共通原点は、複数の第2の導波光ビームにおける共通原点とは異なっていてもよい。例えば光源は、一例として、上述のようにアニメーション表示するように構成された、横方向にオフセットさせた複数の光源を含んでいてもよい。いくつかの実施形態によれば、こうしたアニメーション表示は、第1及び第2の時間中に、カラー・マルチビュー画像の見かけ上の位置を変位させることを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、アニメーション表示の一部又はすべてを表示中に、所定のさまざまな色の間で選択可能色を変更してもよい。
【0094】
よって、ここまで半径方向が互いに異なる導波光ビームから、静的カラー又は準静的カラー・マルチビュー画像を表示する複数の指向性光ビームを供給するように構成された回折格子を有する、マルチカラー静的マルチビューディスプレイ及びマルチカラー静的マルチビューディスプレイの動作方法に関する実施例並びに実施形態について説明した。上記の例は、本明細書に記載の原理を表す多くの特定の実施例のうちのいくつかを、単に例示するものであることを理解すべきである。当業者であれば、添付の特許請求の範囲によって定義されている範囲から逸脱することなく、他の数多くの構成を容易に考案できることは明らかである。