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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】接続伝送線路共振RFフィルタ
(51)【国際特許分類】
   H01P 11/00 20060101AFI20220118BHJP
   H01P 1/205 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
H01P11/00 200
H01P1/205 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020531649
(86)(22)【出願日】2018-12-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 US2018065520
(87)【国際公開番号】W WO2019118761
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-08-07
(31)【優先権主張番号】16/219,362
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/599,504
(32)【優先日】2017-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516218823
【氏名又は名称】スリーディー グラス ソリューションズ,インク
【氏名又は名称原語表記】3D GLASS SOLUTIONS,INC
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100102255
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 誠次
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100113860
【弁理士】
【氏名又は名称】松橋 泰典
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100198074
【弁理士】
【氏名又は名称】山村 昭裕
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(72)【発明者】
【氏名】フレミング ジェブ エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】マクウェシー カイル
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-516307(JP,A)
【文献】特開平05-206706(JP,A)
【文献】特開平05-160601(JP,A)
【文献】特開平10-022765(JP,A)
【文献】特開2013-048489(JP,A)
【文献】特開平08-213874(JP,A)
【文献】特開2013-141202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/205
H01P 11/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械安定化コンパクト28GHzRF結合交差指形共振デバイスを作製する方法であって、
1又は2以上の構造を備える設計レイアウトをマスキングして、感光性ガラス基板に電気伝導チャネルを伴う1又は2以上の交差指形共振器を形成するステップであって、各交差指形共振器が矩形であり、隣接する交差指形共振器が約28GHzの周波数の信号に結合するように構成され、かつ配置されている、前記ステップと、
前記感光性ガラス基板の少なくとも1つの部分を活性化エネルギー源に露光するステップと、
前記感光性ガラス基板をそのガラス転移温度を超えて少なくとも10分間加熱するステップと、
前記感光性ガラス基板を冷却して、前記露光されたガラスの少なくとも一部を結晶材料に変換してガラス結晶基板を形成するステップと、
前記ガラス結晶基板をエッチング液でエッチングして、機械的支持構造を形成するステップと、
前記1又は2以上の交差指形共振器を形成する前記1又は2以上の構造、接地面及び入出力チャネルを1又は2以上の金属で被覆するステップであって、前記1又は2以上の金属が回路網に接続されるように構成される、前記ステップ
を含
前記方法。
【請求項2】
前記機械安定化コンパクト28GHzRF結合交差指形共振デバイスが、金属または金属媒体で外部電気分離構造の全部又は一部を覆う蓋で覆われており、
前記金属又は金属媒体を接地に接続することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記機械的支持構造が、前記1又は2以上の交差指形共振器の接触面積の50%、40%、35%、30%、25%、20%、10%、5%又は1%未満である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記機械安定化コンパクト28GHzRF結合交差指形共振デバイスが、バンドパスフィルタ、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ又はノッチフィルタである、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記RF伝送線路交差指形共振フィルタ上の金属線路が、チタン、チタン-タングステン、クロム、銅、ニッケル、金、パラジウム又は銀を含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記エッチングするステップが、前記感光性ガラス基板と前記1又は2以上の交差指形共振器との間にエアギャップを形成る、請求項1~3、又は5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
トレンチに隣接した前記ガラス結晶基板がセラミック相に変換されてもよい、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記1又は2以上の金属が、Fe、Cu、Au、Ni、In、Ag、Pt及びPdから選択される、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記1又は2以上の金属が、表面コンタクト、埋込コンタクト、ブラインドバイア、ガラスバイア、直線コンタクト、矩形コンタクト、多角形コンタクト又は円形コンタクトを通して前記回路網に接続されるように構成される、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記感光性ガラス基板が、シリカ、酸化リチウム、酸化アルミニウム又は酸化セリウムの少なくとも1つを含む感光性ガラスセラミック複合基板であり、又は前記感光性ガラス基板が、60~76重量%のシリカ;少なくとも3重量%のKOであって、KO及びNaOの組合せが6重量%~16重量%である;0.003~1重量%の、AgO及びAuOからなる群から選択される少なくとも1つの酸化物;0.003~2重量%のCuO;0.75重量%~7重量%のB及び6~7重量%のAlであって、B及びAlの組合せが13重量%を超えない;8~15重量%のLiO;並びに0.001~0.1重量%のCeOの組成を備えるか;又は前記感光性ガラス基板が、35~76重量%のシリカ、3~16重量%のKO、0.003~1重量%のAgO、8~15重量%のLiO及び0.001~0.1重量%のCeOの組成を備えるガラス基板であるか;又は前記感光性ガラス基板が、光画定可能なガラス基板が少なくとも0.1重量%のSb又はAsを含む;光画定可能なガラス基板が0.003~1重量%のAuOを含む;光画定可能なガラス基板が、1~18重量%の、CaO、ZnO、PbO、MgO、SrO及びBaOからなる群から選択される酸化物を含む;並びに
露光部分と未露光部分の異方性エッチング比が10~20:1;21~29:1;30~45:1;20~40:1;41~45:1;及び30~50:1の少なくとも1つであってもよい;のうち少なくとも1つである、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記機械安定化コンパクト28GHzRF結合交差指形共振デバイスが、信号入力対信号出力の50、40、30、25、20、15又は10%未満の損失を有する、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記1又は2以上の交差指形共振器が、バンドパスフィルタ、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ又はノッチフィルタ形成する、請求項1~3、又は5~11のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本非仮特許出願は、2017年12月15日出願の米国仮特許出願第62/599,504号の優先権を主張するものであり、その内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
なし
【0003】
本発明は、同じ基板上のRFデバイス間のインピーダンス整合をとることに関する。接続伝送線路共振フィルタ。
【背景技術】
【0004】
本発明の範囲を限定することなく、その背景をインピーダンス整合に関して記載する。
【0005】
そのような一例が、Rajagopalan, et al.に発行された、"Adaptive impedance matching interface"という名称の、米国特許第9,819,991号明細書に教示されている。これらの発明者らは、データインタフェースコネクタ、アプリケーションプロセッサ及びインタフェース回路網を含む、装置を教示すると書かれている。インタフェース回路網は、アプリケーションプロセッサとデータインタフェースコネクタとの間に接続されると書かれており、そこでデータインタフェース回路網は、信号のうち1つの信号性質の変化であって、データインタフェースコネクタとメディア消費デバイスとの間のインピーダンス不整合によって生じる変化を測定する。アプリケーションプロセッサは、インタフェース回路網からの信号性質設定に応じて、信号のうち次の1つの信号性質を調整して調整済み信号を得ると書かれている、又はメディア消費デバイスに調整済み信号を送ることができる。
【0006】
別のそのような例が、Desclos, et al.に発行された"Active antenna adapted for impedance matching and band switching using a shared component"という名称の、米国特許第9,755,305号明細書に教示されている。簡潔には、これらの発明者らは、共用同調型部品を使用して、例えば、同調型コンデンサ又は他の同調型部品などの共用同調型部品を使用して、アンテナのアクティブインピーダンス整合及び帯域切替を提供するように適合されるアクティブアンテナ及び関連回路トポロジを教示すると書かれている。アンテナは、低コスト且つ効果的なアクティブアンテナソリューションを提供すると書かれており、例えば、1又は2以上の受動部品がさらに活用されて、第1の周波数から第2の所望の周波数へのアンテナの帯域切替を設計することができる。
【0007】
しかしながら、これらの進歩にもかかわらず、コンパクトな低損失RFデバイスの必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第9,819,991号明細書
【文献】米国特許第9,755,305号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態において、本発明は、機械安定化RF結合交差指形共振デバイスを作製する方法であって、1又は2以上の構造を備える設計レイアウトをマスキングして、感光性ガラス基板に電気伝導チャネルを伴う1又は2以上の交差指形構造を形成するステップと、感光性ガラス基板の少なくとも1つの部分を活性化エネルギー源に露光するステップと、感光性ガラス基板をそのガラス転移温度を超えて少なくとも10分間加熱するステップと、感光性ガラス基板を冷却して、露光されたガラスの少なくとも一部を結晶材料に変換してガラス結晶基板を形成するステップと、ガラス結晶基板をエッチング液でエッチングして、機械的支持デバイスを形成するステップと、1又は2以上の導電性交差指形伝送線路、接地面及び入出力チャネルを1又は2以上の金属で被覆するステップであり、金属が回路網に接続されるステップとを含む方法を含む。一態様では、デバイスは、金属又は金属媒体で外部電気分離構造の全部又は一部を覆う蓋で覆われており、金属又は金属媒体を接地に接続することをさらに含む。別の態様では、RFフィルタ線路は、RF交差指形共振構造の接触面積の50%、40%、35%、30%、25%、20%、10%、5%又は1%未満の機械的及び熱安定化構造を有する。別の態様では、金属被覆は伝送線路を形成する。別の態様では、RF伝送線路交差指形共振フィルタは、バンドパス、ローパス、ハイパス又はノッチである。別の態様では、RF伝送線路交差指形共振フィルタ上の金属線路が、チタン、チタン-タングステン、クロム、銅、ニッケル、金、パラジウム又は銀から構成される。別の態様では、エッチングするステップは、基板とRF交差指形共振構造との間にエアギャップを形成しており、交差指形共振構造は他のRF電子素子に接続される。別の態様では、トレンチに隣接したガラス結晶基板はセラミック相に変換されてもよい。別の態様では、1又は2以上の金属は、Fe、Cu、Au、Ni、In、Ag、Pt又はPdから選択される。別の態様では、金属は、表面、埋込コンタクト、ブラインドバイア、ガラスバイア、直線コンタクト、矩形コンタクト、多角形コンタクト又は円形コンタクトを通して回路網に接続される。別の態様では、感光性ガラス基板は、60~76重量%のシリカ;少なくとも3重量%のKOで、KO及びNaOの組合せが6重量%~16重量%;0.003~1重量%の、AgO及びAuOからなる群から選択される少なくとも1つの酸化物;0.003~2重量%のCuO;0.75重量%~7重量%のB及び6~7重量%のAlで、B及びAlの組合せが13重量%を超えない;8~15重量%のLiO;並びに0.001~0.1重量%のCeOの組成を備えるガラス基板である。別の態様では、感光性ガラス基板は、35~76重量%のシリカ、3~16重量%のKO、0.003~1重量%のAgO、8~15重量%のLiO及び0.001~0.1重量%のCeOの組成を備えるガラス基板である。別の態様では、感光性ガラス基板は、光画定可能なガラス基板が少なくとも0.1重量%のSb又はAsを含む;光画定可能なガラス基板が0.003~1重量%のAuOを含む;光画定可能なガラス基板が、1~18重量%の、CaO、ZnO、PbO、MgO、SrO及びBaOからなる群から選択される酸化物を含む;並びに露光部分と上記未露光部分の異方性エッチング比が10~20:1;21~29:1;30~45:1;20~40:1;41~45:1;及び30~50:1の少なくとも1つであってもよい、の少なくとも1つである。別の態様では、感光性ガラス基板は、シリカ、酸化リチウム、酸化アルミニウム又は酸化セリウムの少なくとも1つを含む感光性ガラスセラミック複合基板である。別の態様では、RF伝送は、信号入力対信号出力の50、40、30、25、20、15又は10%未満の損失を有する。別の態様では、本方法は、RF機械的及び熱安定化交差指形共振構造を、バンドパス、ローパス、ハイパス又はノッチフィルタのうち少なくとも1つの特徴に形成するステップをさらに含む。
【0010】
別の実施形態において、本発明は、1又は2以上の構造を備える設計レイアウトをマスキングして、感光性ガラス基板に電気伝導チャネルを伴う1又は2以上の交差指形構造を形成するステップと、感光性ガラス基板の少なくとも1つの部分を活性化エネルギー源に露光するステップと、感光性ガラス基板をそのガラス転移温度を超えて少なくとも10分間加熱するステップと、感光性ガラス基板を冷却して、露光されたガラスの少なくとも一部を結晶材料に変換してガラス結晶基板を形成するステップと、ガラス結晶基板をエッチング液でエッチングして、機械的支持デバイスを形成するステップと、1又は2以上の導電性交差指形伝送線路、接地面及び入出力チャネルを1又は2以上の金属で被覆するステップと、1又は2以上の導電性交差指形伝送線路の全部又は一部を金属媒体で被覆するステップであって、金属が回路網に接続されるステップとを含む方法によって作製される機械安定化RF結合交差指形共振デバイスを含む。一態様では、デバイスは、金属又は金属媒体で外部電気分離構造の全部又は一部を覆う蓋で覆われており、金属又は金属媒体を接地に接続することをさらに含む。別の態様では、RFフィルタ線路は、RF交差指形共振構造の接触面積の50%、40%、35%、30%、25%、20%、10%、5%又は1%未満の機械的及び熱安定化構造を有する。別の態様では、金属被覆は伝送線路を形成する。別の態様では、RF伝送線路交差指形共振フィルタは、バンドパス、ローパス、ハイパス又はノッチである。別の態様では、RF伝送線路交差指形共振フィルタ上の金属線路が、チタン、チタン-タングステン、クロム、銅、ニッケル、金、パラジウム又は銀から構成される。別の態様では、エッチングするステップは、基板とRF交差指形共振構造との間にエアギャップを形成しており、交差指形共振構造は他のRF電子素子に接続される。別の態様では、トレンチに隣接したガラス結晶基板はセラミック相に変換されてもよい。別の態様では、1又は2以上の金属は、Fe、Cu、Au、Ni、In、Ag、Pt及びPdから選択される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の特徴及び利点のより完全な理解のために、ここで添付の図と共に本発明の詳細な説明を参照する。
図1A-1C】図1A及び1Cは、コンパクトな共振28GHzバンドパスフィルタの蓋及び下面図を示す。図1Aは、共振交差指形28GHzバンドパスフィルタを図示する。図1Bは、共振交差指形28GHzバンドパスフィルタのための蓋を図示する。図1Cは、組み立てられた共振交差指形28GHzバンドパスフィルタを図示する。6.6(l)×3.0(w)×0.7(h)mmの外寸。
図2】28Ghz共振交差指形バンドパスフィルタのシミュレートされた性能を示す。
図3A-3B】コンパクトな共振バンドパスフィルタプロトタイプの理論構造を図示する。図3Aは、対称共振交差指形接続伝送線路共振器フィルタを図示する。図3Bは、非対称共振交差指形接続伝送線路共振器(ICTLR,Interdigitated Coupled Transmission Line Resonator)フィルタを図示する。
図4】接地面及びI/Oバイアを伴うICTLRフィルタの下面を図示する。
図5】被覆ステップ前のICLTRフィルタの構造を図示する。
図6】交差指形RFフィルタのための蓋/上面の下面図を示す。
図7】28GHzの交差指形RFフィルタの蓋を図示する。
図8】本発明の方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の様々な実施形態の作製及び使用を以下に詳細に説明するが、本発明が、多種多様な具体的な局面で具現化されることができる多くの応用可能な発明概念を提供することが認められるべきである。本明細書で説明する具体的な実施形態は単に本発明を作製及び使用する具体的な方法の例示であり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0013】
本発明の理解を容易にするために、幾つかの用語を以下に定義する。本明細書で定義する用語は、本発明に関する当業者によって通例理解される意味を有する。「a」、「an」及び「the」などの用語は、単数の実体だけを指すのでなく、例示のために使用され得る具体例の一般分類を含むと意図される。本明細書における技術用語は、本発明の具体的な実施形態を記載するために使用されるが、それらの使用法は、請求項において概説される場合を除いて、本発明を限定しない。
【0014】
本発明は、コンパクトな50オーム共振フィルタRFを作成することに関する。コンパクトな低損失RFフィルタは、コンパクトな高効率RF通信システムのための重要な素子である。コンパクトな低損失RFデバイスは、特にポータブルシステムのための将来のRFシステムの基礎となる技術要件である。
【0015】
感光性ガラス構造が、他の素子、システム又はサブシステムと併せて集積電子素子などの幾つかの微細加工及び微細製作プロセスのために提案されてきた。半導体、絶縁又は導電性基板への薄膜アディティブ法を使用する半導体微細製作は、低歩留り及び性能の高変動性により高価である。付加マイクロ伝送の一例を論文Semiconductor Microfabrication Processes by Tian et al.に見ることができるが、高価な資本設備、一般に各々100万ドル以上を要するフォトリソグラフィ及び反応性イオンエッチング又はイオンビームミリングツールに依存し、且つさらに数100万~数10億を要するウルトラクリーンな高生産シリコン製作施設を必要とする。本発明は、費用効果的なガラスセラミック電子個別デバイスを、又は低損失でRF周波数に対する均一な応答のための受動デバイスのアレイとして提供する。
【0016】
図1A及び図1Bは、或る例証的であり限定的でない寸法を示すコンパクトな28GHz RFバンドパスフィルタの接続伝送線路共振フィルタの蓋及び下面図を示す。図1Aは、開口部14a~14gによって分離された交差指金属部分12a~12eを含むRFバンドパスフィルタ10の等角下面図を示す。電気的コンタクト又は出力16a、16bも描かれる。バンドパスフィルタの外寸は6.6(l)×3.0(w)×0.7(h)mmである。図1Bは、RFバンドパスフィルタ10が挿入される、蓋に形成された開口部を含む蓋20の等角図を示す。図1Cは、コンタクト16A及び16Bを含む完成したアセンブリ30を図示する。図2は、本発明の28Ghz共振交差指形バンドパスフィルタのシミュレートされた性能を示す。
【0017】
図3A及び図3Bは、コンパクトな共振バンドパスフィルタの理論構造を図示する。図3Aは、共振器構造1、2、3、5、6が、同じ幅を有し、長さLを有して、空間又は開口部42a~42e及び出力44a、44bによって分離されるのを図示される対称共振交差指形接続伝送線路共振器フィルタ(ICTLRF,Interdigitated Coupled Transmission Line Resonator Filter)40を図示する。図3Bは、共振器構造1、2、3、5、6が、様々な幅を有し、長さLを有して、空間又は開口部42a~42e及び出力44a、44bによって分離されるのを図示される非対称共振交差指形接続伝送線路共振器フィルタ50を図示する。
【0018】
交差指形共振RFフィルタは、最もコンパクトなフィルタ構造の1つである。これは、共振器構造が辺長Lであり、Lがλを中心周波数フィルタとして1/4λに等しいからである。図3A及び図3Bに図示されるフィルタ構成は、n本のTEMモード又は準TEMモード共振伝送線路のアレイを含む。図3A及び図3Bでは、各素子は、その隣接素子に対して中心周波数で電気長90°を有する。一般に、線路素子又は共振器の物理的寸法は同じであることができる、又は設計の意図に応じて異なってもよい。本明細書で設計及び製造されるバンドパスフィルタの場合、同じ間隔を使用する。信号の結合は、隣接共振器線路と相互作用するフリンジング場により達成される。線路/共振器間の分離は、i=0…n-1に対してSi+1によって与えられる。フィルタのための極数はSi+1素子によって与えられる。図1Aに図示されるバンドパスフィルタの設計は6極フィルタであるが、当業者は、極数が具体的な設計の必要性に応じて2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13極以上のフィルタであることができることを理解するであろう。極数を増やすことは、フィルタの立上り及び立下り率を上げることになるが、挿入損失も増えることになる。挿入損失は、フィルタに追加される追加極ごとに約0.2dB増えることになる。図1Aに図示されるフィルタ設計及び図2に図示されるその関連設計性能は、約2dBの挿入損失並びに2.5GHzで60dBの阻止帯域及び遮断率を有する。これらの性能属性は、フィルタ設計を変更することによって簡単に修正されることができる。この種類のフィルタに関して変更されることができないことは、共振素子を包囲する低損失誘電材料(空気又は真空など)を有し、且つ共振素子が平滑面で機械的に尾根形にされるという要件である。共振素子が熱、振動又は他の要因から動作中に曲がる又は歪めば、フィルタの性能は著しく劣化する。
【0019】
従来の交差指形バンドパスフィルタは、共振器素子間の比較的大きな間隔のため従来の加工及び仕上技術を使用して公差を緩和しつつ他の形態のRFフィルタに対してコンパクトである。金属を精密加工して表面仕上のために電解研磨したことで、支持誘電材料を有しない自立共振素子を容易に生産する。従来の薄膜又は付加製造技術を使用することで、機械的又は寸法的に安定しない共振素子を生産する。この機械的又は寸法不安定は、フィルタのための共振素子を生産するために、石英などの固体誘電体基板の使用を強いて、10dBをかなり上回る大挿入損失を生じさせた。このレベルの損失は、商用市場における共振交差指形伝送線路バンドパスフィルタの使用を妨げた。
【0020】
Woは特性インピーダンスの幅であり、Wは共振器の幅であり、Kiは結合効率であり、Si-1は共振器間の空間であり、そしてLは共振器の長さである。
【0021】
本発明は、機械安定化RF結合交差指形共振デバイスを作製する方法であって、1又は2以上の構造を備える設計レイアウトをマスキングして、感光性ガラス基板に電気伝導チャネルを伴う1又は2以上の交差指形構造を形成するステップと、感光性ガラス基板の少なくとも1つの部分を活性化エネルギー源に露光するステップと、感光性ガラス基板をそのガラス転移温度を超えて少なくとも10分間加熱するステップと、感光性ガラス基板を冷却して、露光されたガラスの少なくとも一部を結晶材料に変換してガラス結晶基板を形成するステップと、ガラス結晶基板をエッチング液でエッチングして、機械的支持デバイスを形成するステップと、1又は2以上の導電性交差指形伝送線路、接地面及び入出力チャネルを1又は2以上の金属で被覆するステップであり、金属が回路網に接続されるステップとを含む方法を含む。デバイスは、金属又は金属媒体で外部電気分離構造の全部又は一部を覆う蓋で覆われることができ、金属又は金属媒体を接地に接続することをさらに含む。RFフィルタ線路は、RF交差指形共振構造の接触面積の50%、40%、35%、30%、25%、20%、10%、5%又は1%未満の機械的及び熱安定化構造を有する。金属被覆は伝送線路を形成し、例えば、交差指形共振フィルタであるRF伝送線路は、バンドパス、ローパス、ハイパス又はノッチである。RF伝送線路交差指形共振フィルタ上の金属線路が、チタン、チタン-タングステン、クロム、銅、ニッケル、金、パラジウム又は銀から構成される。別の態様では、エッチングするステップは、基板とRF交差指形共振構造との間にエアギャップを形成しており、交差指形共振構造は他のRF電子素子に接続される。トレンチに隣接したガラス結晶基板はセラミック相に変換されてもよい。1又は2以上の金属は、Fe、Cu、Au、Ni、In、Ag、Pt及びPdから選択される。金属は、表面、埋込コンタクト、ブラインドバイア、ガラスバイア、直線コンタクト、矩形コンタクト、多角形コンタクト又は円形コンタクトを通して回路網に接続されることができる。感光性ガラス基板は、60~76重量%のシリカ;少なくとも3重量%のKOで、KO及びNaOの組合せが6重量%~16重量%;0.003~1重量%の、AgO及びAuOからなる群から選択される少なくとも1つの酸化物;0.003~2重量%のCuO;0.75重量%~7重量%のB及び6~7重量%のAlで、B及びAlの組合せが13重量%を超えない;8~15重量%のLiO;並びに0.001~0.1重量%のCeOの組成を備えるガラス基板である。感光性ガラス基板は、35~76重量%のシリカ、3~16重量%のKO、0.003~1重量%のAgO、8~15重量%のLiO及び0.001~0.1重量%のCeOの組成を備えるガラス基板である。感光性ガラス基板は、光画定可能なガラス基板が少なくとも0.1重量%のSb又はAsを含む;光画定可能なガラス基板が0.003~1重量%のAuOを含む;光画定可能なガラス基板が、1~18重量%の、CaO、ZnO、PbO、MgO、SrO及びBaOからなる群から選択される酸化物を含む;並びに露光部分と上記未露光部分の異方性エッチング比が10~20:1;21~29:1;30~45:1;20~40:1;41~45:1;及び30~50:1の少なくとも1つであってもよい、の少なくとも1つである。感光性ガラス基板は、シリカ、酸化リチウム、酸化アルミニウム又は酸化セリウムの少なくとも1つを含む感光性ガラスセラミック複合基板である。RF伝送は、信号入力対信号出力の50、40、30、25、20、15又は10%未満の損失を有する。本方法は、RF機械的及び熱安定化交差指形共振構造を、バンドパス、ローパス、ハイパス又はノッチフィルタのうち少なくとも1つの特徴に形成するステップをさらに含む。
【0022】
本発明は、光画定可能なガラスセラミック基板にコンパクトなRF交差指形共振バンドパスフィルタを製作する方法を含む。本発明を生産するために、本発明者らは、半導体、RFエレクトロニクス、マイクロ波エレクトロニクス及び光学イメージングのための新規なパッケージング及び基板材料としてガラスセラミック(APEX(登録商標)ガラスセラミック)を開発した。APEX(登録商標)ガラスセラミックは単純な3ステッププロセスで第一世代半導体機器を使用して加工され、そして最終材料は、ガラスかセラミックに仕上げられる又はガラスとセラミックの両方の領域を含むことができる。フォトエッチング可能なガラスは、多種多様なマイクロシステム部品の製作に対する幾つかの利点を有する。
【0023】
これらのガラスにより、従来の半導体処理機器を使用して微細構造が比較的安価に生産されてきた。一般に、ガラスは、高温度安定性、良好な機械的及び電気的性質を有し、且つプラスチック及び多くの金属より良好な耐薬品性を有する。フォトエッチング可能なガラスが、微量の銀イオンを含有するリチウム-アルミニウム-シリケートガラスから構成される。酸化セリウムの吸収帯内のUV光に露光されると、酸化セリウムは増感剤として作用して、光子を吸収し且つ電子を失って、例えば、隣接する酸化銀を還元して銀原子を形成させる。例えば、
Ce3++Ag=Ce4++Ag
【0024】
銀原子は、焼成プロセス中に銀ナノクラスタに凝集して、周囲のガラスの結晶化のための核形成部位を誘発する。マスクを通してUV光に露光された場合、ガラスの露光領域だけが続く熱処理中に結晶化することになる。
【0025】
この熱処理は、ガラス転移温度に近い温度(例えば空気中で465°Cより高い)で実施されなければならない。結晶相は、未露光のガラス質の非晶領域より、フッ化水素酸(HF,hydrofluoric acid)などのエッチング液に溶解する。結晶領域は、10%HF中で非晶領域より20倍を超えて速くエッチングして、露光領域が除去されるときに約20:1の壁傾斜比の微細構造を可能にした。参照により本明細書に組み込まれる、T.R. Dietrich, et al., "Fabrication Technologies for Microsystems utilizing Photoetchable Glass", Microelectronic Engineering 30,497 (1996)を参照されたい。
【0026】
一般に、フォトエッチング可能なガラスは、75~85重量%の酸化ケイ素(SiO)、7~11重量%の酸化リチウム(LiO)、3~6重量%の酸化アルミニウム(Al)、1~2重量%の酸化ナトリウム(NaO)、0.2~0.5重量%の三酸化アンチモン(Sb)又は酸化ヒ素(As)、0.05~0.15重量%の酸化銀(AgO)及び0.01~0.04重量%の酸化セリウム(CeO)から構成される。本明細書で使用する場合、用語「APEX(登録商標)ガラスセラミック」、「APEXガラス」又は単に「APEX」は、本発明のガラスセラミック組成物の一実施形態を表すために使用される。
【0027】
APEX組成物は、その拡張性能として3つの主要なメカニズムを提供する:(1)より多量の銀が、粒界でより速くエッチングされる、より小さなセラミック結晶の形成に至る、(2)シリカ含有量(HF酸によってエッチングされる主体)の減少が未露光材料の不所望のエッチングを減少させる、並びに(3)アルカリ金属及び酸化ホウ素のより高い総重量パーセントが製造時に一層均質なガラスを生産する。
【0028】
本発明は、使用されるガラスセラミック材料に機械的安定化及び電気分離を伴う交差指形構造を形成する際に使用するためのAPEXガラス構造の低損失RFフィルタ構造を製作するための方法を含む。本発明は、ガラスセラミック基板の複数の平面に作成する交差指形構造を含んでおり、そのようなプロセスは、(a)基板の向きかエネルギー源の向きかを変えることによって暴露が様々な角度で発生するような励起エネルギーへの暴露、(b)焼成ステップ及び(c)エッチングステップを利用する。交差指は対称でも非対称でもあり得る。機械安定化交差指形構造は、大抵のガラス、セラミック又はシリコン基板に作成するのが、実行不可能でなくとも、困難である。本発明は、ガラスセラミック基板に対して垂直面にも水平面にもそのような構造を作成する能力を創出した。
【0029】
ガラスのセラミック化は、APEXガラス基板の領域を310nm光のおおよそ20J/cmに露光することによって達成される。一実施形態において、本発明は、異径を持つ各種の同心円を含む石英/クロムマスクを提供する。
【0030】
本発明は、感光性ガラスに製作又は接続される異なる電子デバイスを接続する機械安定化交差指形共振構造を使用してコンパクトで効率的なRFフィルタを製作するための方法を含む。感光性ガラス基板は、60~76重量%のシリカ;少なくとも3重量%のKOで、KO及びNaOの組合せが6重量%~16重量%;0.003~1重量%の、AgO及びAuOからなる群から選択される少なくとも1つの酸化物;0.003~2重量%のCuO;0.75重量%~7重量%のB及び6~7重量%のAlで、B及びAlの組合せが13重量%を超えない;8~15重量%のLiO;並びに0.001~0.1重量%のCeOを含むがこれに限定されない多数の組成変動を有することができる。この及び他の種々の組成物は一般にAPEXガラスと称される。
【0031】
露光部分は、ガラス基板をガラス転移温度に近い温度に加熱することによって結晶材料に変換されてもよい。フッ化水素(HF)酸などのエッチング液中でガラス基板をエッチングするとき、ガラスが広域スペクトル中間紫外線(約308~312nm)投光ランプに露光されて、少なくとも30:1のアスペクト比を有する成形ガラス構造を提供する、及びレンズ形状のガラス構造を提供すると、露光部分と未露光部分の異方性エッチング比は少なくとも30:1である。露光されたガラスは次いで、典型的には2ステッププロセス、すなわち銀イオンの銀ナノ粒子への凝集のため、10分~2時間の間にわたって420°C~520°C間に加熱される温度範囲、及び銀ナノ粒子の周辺に酸化リチウムが形成することを許容する、10分と2時間との間にわたって520°C~620°C間に加熱される温度範囲で焼成される。ガラス板は次いでエッチングされる。ガラス基板は、典型的には5容量%~10容量%の、HF液の、エッチング液中でエッチングされており、未露光部分に対する露光部分のエッチング比は少なくとも30:1である。薄膜アディティブ及びサブトラクティブ法を通じて機械的及び熱安定化交差指形共振構造を作成することは、一般の処理手法を必要とする。
【0032】
図4は、接地面バイア64並びにI/Oバイア62a及び62bを伴う交差指形接続伝送線路共振器フィルタ(ICTLRF)の下面60を図示する。ICTLRFを作製する方法は、ラップ及びポリッシュ加工された光画定可能なガラスから始まる。単一ウエハ上に多くのRFフィルタダイがあり、ダイの具体数はウエハ径の関数である。基板は直径が6”であり、310nm光のおおよそ20J/cmで露光される。フォトマスクは、直径が50μm、中心間で500μm離れ且つウエハ上のダイの外側から内に300μmであるスルーホールバイアのパターンを有する。
【0033】
ウエハは次いで、銀イオンの銀ナノ粒子への凝集のため、10分~2時間の間にわたって420℃~520℃間に加熱される温度範囲、及び銀ナノ粒子の周辺に酸化リチウムが形成することを許容する、10分と2時間との間にわたって520℃~620℃間に加熱される温度範囲で焼鈍される。ウエハは次いで冷却されてHF槽に入れられ、ウエハのセラミック部分をエッチングする。ウエハは次いで、200Åと10,000Åとの間の厚さのチタンの堆積のためにCVD堆積システムに入れられる。ウエハは次いでフォトレジストで被覆され、そしてバイアパターンが露光及び現像される。ウエハは次いで銅電気めっき槽に入れられて、25μmと35μmとの間の銅が成膜される。次いでフォトレジストが除去されて、銅の大部分を剥離し、銅充填バイアを残す。ウエハは次いでラップ及びポリッシュ加工されて、過剰な銅を除去し且つガラス及び銅充填バイアの表面を平坦化する。
【0034】
ウエハは次いで、矩形パターン縁からおおよそ200μmである未露光ガラスの2本の平行線72(150μm幅)で分離される露光ガラス74の約5.3mm×2.2mmの矩形パターンからなるフォトマスクへの310nm光のおおよそ20J/cmで露光される。150μm幅のガラス構造は、交差指形共振構造のための機械的及び熱安定化素子である。交差指形共振及びガラス安定化構造間の接触面積は、最終的な金属交差指形共振構造への表面積接触の約2%を表す。安定化構造が大きいほど、RF損失は高い。そのため、我々は、交差指形共振構造の接触面積の50%より大きい安定化構造を作製しないことに、好ましくは1%未満に決める。1%未満は、我々が400μmを超える高さである7μm径受けを例証して、図3に例証される6極バンドパスフィルタに対して挿入損失を2.2dBからさらに低減させたように、3DGS’技術で達成可能である。
【0035】
ウエハは次いで不活性ガス(例えば、アルゴン)下で、銀イオンの銀ナノ粒子への凝集のため、10分~2時間の間にわたって420°C~520°C間に加熱される温度範囲、及び銀ナノ粒子の周辺に酸化リチウムが形成することを許容する、10分と2時間との間にわたって520°C~620°C間に加熱される温度範囲で焼鈍される。ウエハは次いで冷却され、フォトレジストで被覆され、そして交差指形共振及び接地面パターンに露光される。次いで、交差指形伝送線路共振パターン及び接地面(スルーガラスバイアによって接続される表面及び裏面金属化)並びにフォトレジストにパターン化された電気接触パッドを伴うウエハが、CVDを使用して200Å及び10,000Å厚のチタンで被覆される。ウエハは次いで銅電気めっき槽に入れられ、銅が0.5μmと10μmとの間の厚さに堆積される。フォトレジストは次いで除去されて、銅被覆チタン交差指形伝送線路共振構造及び接地面を残し、そしていかなる不要な残りのシード層も任意の数の確立した技術を使用して除去される。
【0036】
露光/変換されたガラスのセラミック部分が次いで、10%HF液を使用してエッチング除去されて、交差指形、接地面及び入出力構造を残す。ウエハは次いで、DI水及びIPAを使用して洗浄及び乾燥される。
【0037】
図5は、接地面バイア64並びにI/Oバイア62a及び62bを伴う交差指形接続伝送線路共振器フィルタ(ICTLRF)の下面60を図示し、また未露光ガラス72及び露光ガラス74であるガラスの部分も描く。
【0038】
図6は、接地面バイア64並びにI/Oバイア62a及び62b、金属接地板82(例えば、銅、金、銀、アルミニウム又は合金であり得る)、交差指構造84を伴う最終的な交差指形接続伝送線路共振器フィルタ80(蓋を追加する前)を図示し、また交差指構造84間の開口部に加えて、交差指構造84に構造的支持を提供するガラスの部分も描く。
【0039】
図7は、開口部92を含み且つ裏側金属接地面94も表側金属接地面96も含むことができる交差指形RFフィルタのための蓋/上面90の下面図を示す。交差指形RFフィルタを作製する方法は、ラップ及びポリッシュ加工された光画定可能なガラスから始まる。単一ウエハ上に多くのRFフィルタダイがあり、ダイの具体数はウエハ径の関数である。基板は直径が6”であり、310nm光のおおよそ20J/cmで露光される。フォトマスクは、直径が50μm、中心間で500μm離れ且つウエハ上のダイの外側から内に300μmであるスルーホールバイアのパターンを有する。
【0040】
ウエハは次いで、銀イオンの銀ナノ粒子への凝集のため、10分~2時間の間にわたって420℃~520℃間に加熱される温度範囲、及び銀ナノ粒子の周辺に酸化リチウムが形成することを許容する、10分と2時間との間にわたって520℃~620℃間に加熱される温度範囲で焼鈍される。ウエハは次いで冷却されて10%HF槽に入れられ、ウエハのセラミック部分をエッチングする。ウエハは次いで、200Åと10,000Åとの間の厚さのチタンの堆積のためにCVD堆積システムに入れられる。ウエハは次いでフォトレジストで被覆され、そしてバイアパターンが露光及び現像される。ウエハは次いで銅電気めっき槽に入れられて、25μmと35μmとの間の銅が成膜される。次いでフォトレジストが除去されて、銅の大部分を剥離し、銅充填バイアを残す。ウエハは次いでラップ及びポリッシュ加工されて、過剰な銅を除去し且つガラス及び銅充填バイアの表面を平坦化する。
【0041】
ウエハは次いで、図7に見られることができるように、約5.3mm×約2.2mmの矩形パターンからなるフォトマスクへの310nm光のおおよそ20J/cmで露光される。ウエハは次いで、アルゴン中で、銀イオンの銀ナノ粒子への凝集のため、10分~2時間の間にわたって420℃~520℃間に加熱される温度範囲、及び銀ナノ粒子の周辺に酸化リチウムが形成することを許容する、10分と2時間との間にわたって520℃~620℃間に加熱される温度範囲で焼鈍される。ウエハは次いで冷却される。次いでウエハの表面にフォトレジストが被覆され、そして蓋パターンが露光及び現像される。残ったフォトレジストは露光及び変換されたセラミックを覆う。ウエハの両側が、CVDプロセスを使用して200Å及び10,000Å厚のチタンで被覆される。ウエハは次いで銅電気めっき槽に入れられて、銅が0.5μmと20μmとの間の厚さに成膜される。次いでフォトレジストが除去されて、銅の大部分を剥離し、露光された変換されたセラミックを残し、そしていかなる不要な残りのシード層も任意の数の確立した技術を使用して除去される。露光/変換されたガラスのセラミック部分が次いで、10%HF液を使用してエッチング除去されて、接地面構造を残す。ウエハは次いで、DI水及びIPAを使用して洗浄及び乾燥される。或る実施形態において、RFフィルタ線路は、RF交差指形共振構造の接触面積の50%、40%、35%、30%、25%、20%、10%、5%又は1%未満の機械的及び熱安定化構造を有する。
【0042】
28GHz交差指形RFフィルタの蓋及び基部はウエハから切り出されることができる。蓋は、外縁がはんだ、例えば、金錫はんだで被覆されることができる。蓋は、次いで基部上に置かれて、ヒートシーラを使用して封止される。このように、本発明は、誘電材料として空気及びガラスを使用して接続伝送線路共振フィルタを構築及びシミュレートした。
【0043】
本発明者らは、半導体、RFエレクトロニクス、マイクロ波エレクトロニクス、電子部品及び/又は光学素子のための新規な基板材料として、光画定可能なガラスセラミック(APEX(登録商標))ガラスセラミック又は他の光画定可能なガラスを使用した。一般に、光画定可能なガラスは単純な3ステッププロセスで第一世代半導体機器を使用して加工され、そして最終材料は、ガラスかセラミックに仕上げられる又はガラスとセラミックの両方の領域を含むことができる。接続伝送線路共振構造は、MHz~THzデバイスの周波数でRF回路に使用される多数のフィルタ、例えば、バンドパス、ノッチ、ローパス及びハイパスを可能にする一方、大きさ、費用及び消費電力を低減させる。
【0044】
図8は、本発明の方法のフローチャート100を図示し、ステップ102は、1又は2以上の構造を備える設計レイアウトをマスキングして、感光性ガラス基板に電気伝導チャネルを伴う1又は2以上の交差指形構造を形成することを含む。次に、ステップ104で、感光性ガラス基板の少なくとも1つの部分を活性化エネルギー源に露光する。ステップ106で、感光性ガラス基板をそのガラス転移温度を超えて少なくとも10分間加熱する。ステップ108で、感光性ガラス基板を冷却して、露光されたガラスの少なくとも一部を結晶材料に変換してガラス結晶基板を形成する。ステップ110で、ガラス結晶基板をエッチング液でエッチングして、機械的支持デバイスを形成する。最後に、ステップ112で、1又は2以上の導電性交差指形伝送線路、接地面及び入出力チャネルを1又は2以上の金属で被覆する。このようにして形成されたデバイスは次いで、接地に接続される接地板を含む蓋で覆われることができる。
【0045】
本明細書で説明するいかなる実施形態も本発明のいかなる方法、キット、試薬又は組成物に関しても実装されることができ、逆も同じであることが企図される。さらには、本発明の組成物は、本発明の方法を達成するために使用されることができる。
【0046】
本明細書に記載する特定の実施形態が本発明の限定としてではなく例示として示されることが理解されるであろう。本発明の主要な特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく様々な実施形態に利用されることができる。当業者は、ルーチン的な実験さえ使用すれば、本明細書に記載する具体的な手順の多くの等価物を認識する又は確認することができるであろう。そのような等価物は本発明の範囲内であると考えられ且つ請求項によって包含される。
【0047】
本明細書に挙げた全ての刊行物及び特許出願は、本発明が関連する当業者の技術水準を示すものである。全ての刊行物及び特許出願は、各個別の刊行物又は特許出願が具体的且つ個別に参照により組み込まれると示される場合と同程度に参照により本明細書に組み込まれる。
【0048】
単語「a」又は「an」の使用は、請求項及び/又は本明細書において用語「~を備える(comprising)」と併用されると、「1つ」を意味し得るが、それは「1又は2以上(one or more)」、「少なくとも1つ(at least one)」及び「1又は2以上(one or more than one)」の意味とも一貫している。請求項における用語「又は(or)」の使用は、代替だけを指すと明示されない限り又は代替が相互排除でない限り、「及び/又は(and/or)」を意味するために使用されるが、本開示は、代替だけ及び「及び/又は」を指す定義を支持する。本出願を通して、用語「約」は、値がデバイスに対する誤差の固有の変動を含むことを示すために使用され、本方法は、値又は研究主題の中に存在する変動を測定するために利用されている。
【0049】
本明細書及び請求項で使用する場合、単語「~を備える(comprising)」(並びに「comprise」及び「comprises」など、「comprising」の任意の形態)、「~を有する(having)」(並びに「have」及び「has」など、「having」の任意の形態)、「~を含む(including)」(並びに「includes」及び「include」など、「including」の任意の形態)又は「~を含む(containing)」(並びに「contains」及び「contain」など、「containing」の任意の形態)は包括的又はオープンエンドであり、追加の、列記されていない要素又は方法ステップを除外しない。本明細書で提供される組成物及び方法のいずれかの実施形態において、「~を備える(comprising)」は「~から基本的になる(consisting essentially of)」又は「~からなる(consisting of)」と置き換えられてもよい。本明細書で使用する場合、句「~から基本的になる(consisting essentially of)」は、指定の完全体又はステップの他に特許請求された発明の性状又は機能に著しく影響を及ぼさないものを必要とする。本明細書で使用する場合、用語「なる(consisting)」は、列記した完全体(例えば、特徴、要素、特性、性質、方法/プロセスステップ又は限定)又は完全体の群(例えば、特徴、要素、特性、性質、方法/プロセスステップ又は限定)だけの存在を示すために使用される。
【0050】
用語「又はその組合せ」は、本明細書で使用する場合、同用語に先行する列記された項目の全ての順列及び組合せを指す。例えば、「A、B、C又はその組合せ」は、A、B、C、AB、AC、BC又はABCの、及び特定の局面において順序が重要であれば、さらにBA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC又はCABの少なくとも1つを含むと意図される。この例を続けると、明らかに含まれるのは、BB、AAA、AB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABB等といった、1又は2以上の項目又は用語の繰返しを含む組合せである。当業者は、特に状況から明白でない限り、いかなる組合せでも項目又は用語の数に制限はないことを理解するであろう。
【0051】
本明細書で使用する場合、限定することなく、「約」、「相当な」又は「実質的に」などの近似の語は、それで修飾されると、必ずしも絶対又は完全であるわけでないと理解されるが、状態が存在すると指摘することを保証するのに、当業者にとって十分に近いと考えられ得る状態を指す。記載が変動し得る範囲は、変化がどれくらい大きく引き起こされ得るか、且つ修飾されていない特徴の必要とされる特性及び能力を修飾された特徴がまだ有していると当業者に認識させるかに依存することになる。一般には、上記の説明を前提として、「約」などの近似の語によって修正される本明細書における数値は、言及した値から少なくとも±1、2、3、4、5、6、7、10、12又は15%変動し得る。
【0052】
本明細書に開示及び特許請求される組成物及び/又は方法の全てが、本開示に鑑みて不当な実験なしで作製及び実行されることができる。本発明の組成物及び方法を好適な実施形態に関して記載したが、本発明の概念、趣旨及び範囲から逸脱することなく、組成物及び/又は方法に並びに本明細書に記載される方法のステップに又は一連のステップに変形が適用されてもよいことが当業者にとって明らかであろう。当業者にとって明らかな全てのそのような類似の代替及び変更は、添付の請求項によって定められる本発明の趣旨、範囲及び概念内であるとみなされる。
【0053】
特許局、及び本出願で発行される任意の特許の任意の読者が本明細書に添付される請求項を解釈するのを援助するため、出願人らは、米国特許法第112条第6段落、米国特許法第112条(f)又は等価物が本明細書の出願日に存在する以上、単語「~ための手段(means for)」又は「~ためのステップ(step for)」が特定の請求項に明示的に使用されない限り、添付の請求項のいずれもそれを行使するとは意図しないことを注記することを望む。
【0054】
請求項の各々に関して、各従属請求項は、先行請求項が請求項用語又は要素に適当な先行詞を提供する限り独立請求項からも、各請求項に対する先行従属請求項の各々からも従属することができる。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8