(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】心臓壁の運動をスコアリングするための画像分析
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20220118BHJP
G06T 7/246 20170101ALI20220118BHJP
G06T 7/60 20170101ALI20220118BHJP
A61B 8/08 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
G06T7/00 614
G06T7/246
G06T7/60 150
A61B8/08
(21)【出願番号】P 2020552119
(86)(22)【出願日】2018-12-12
(86)【国際出願番号】 EP2018084640
(87)【国際公開番号】W WO2019115650
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-08-31
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520210240
【氏名又は名称】オックスフォード ユニバーシティー イノベーション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】アプトン,ロス
(72)【発明者】
【氏名】リーソン,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ウィルキース,エドムント
(72)【発明者】
【氏名】マーカム,デボラ
【審査官】粕谷 満成
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-061581(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0074315(US,A1)
【文献】Sarina Mansor, Nicholas P. Hughes, J. Alison Noble,"Wall Motion Classification of Stress Echocardiography Based on Combined Rest-and-Stress Data",International Conference on Medical Image Computing and Computer-Assisted Intervention 2008,Medical Image Computing and Computer-Assisted Intervention,2008年,LNCS 5242,pp.139-146,https://link.springer.com/content/pdf/10.1007%2F978-3-540-85990-1_17.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G06T 7/246
G06T 7/60
A61B 8/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓壁の運動をスコアリングするシステム
(100)であって、
1回目に前記心臓壁の第1の画像
(230)を取得し、2回目に前記心臓壁の第2の画像
(240)を取得するように動作可能な撮像システム
(102)と、
プロセッサ
(106)であって:
前記第1の画像
(230)の輪郭データ
(234)の第1のセットを識別し、
前記第2の画像
(240)の輪郭データ
(244)の第2のセットを識別し、
輪郭データ
(234,244)の前記第1および前記第2のセットに依存して、前記心臓壁のセクションにおける心臓の周期的変化を表す少なくとも1つの要素
(E
i
)を定義し、
前記要素(E
i
)または各要素
(E
i
)を分析して、
2つ以上のメトリックを生成
する
ように構成された前記プロセッサ(106)と、
を備え、前記システム(100)は、前記プロセッサ(106)が、
前記要素(E
i
)または各要素(E
i
)に対して生成された前記
2つ以上のメトリックを
、第1主成分を含む参照データモデルと比較して、前記心臓壁の対応する前記セクションの前記運動をスコアリングするように
さらに構成され
、
前記スコアリングは、前記要素(E
i
)に対して生成された前記2つ以上のメトリックの二変量解析または多変量解析に応じて、前記要素(E
i
)または各要素(E
i
)のスコアを計算することを含み、前記スコアは、前記参照データモデルの前記第1主成分上の前記2つ以上のメトリックの値を表す、システム
(100)。
【請求項2】
前記プロセッサ
(106)は、輪郭点
(232-n,242-n)の複数の対を識別するように構成され、前記輪郭点の各対は、輪郭データ
(234,244)の前記第1および前記第2のセット内の対応する特徴に関連する、請求項1に記載のシステム
(100)。
【請求項3】
各要素
(E
i
)が輪郭点
(232-n,242-n)の少なくとも第1および第2の対を含み、各対の前記輪郭点が前記要素
(E
i
)の頂点を定義する、請求項2に記載のシステム
(100)。
【請求項4】
各要素
(E
i
)の前記分析が、各対の前記輪郭点間の距離を決定することと、各要素
(E
i
)の前記輪郭点間の平均距離を計算することとを含む、請求項3に記載のシステム
(100)。
【請求項5】
各要素
(E
i
)が、前記輪郭点の運動の軌跡に対応する対向する第1および第2の側面を含む、請求項2、3または4のいずれか一項に記載のシステム
(100)。
【請求項6】
各要素
(E
i
)の前記分析が、
前記要素
(E
i
)の面積
(A
i
)を決定すること
と、
各要素
(E
i
)の矩形度
であって、同矩形度は、各要素(E
i
)の前記面積(A
i
)とその最小外接矩形の面積(R
i
)との間の比率として計算される、矩形度を決定すること
と、
各要素
(E
i
)の硬度
であって、同硬度は、前記要素の面積(A
i
)とその凸包の面積(H
i
)との間の比率として計算される、硬度を決定すること
と、
のうちの少なくともいずれかを含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記撮像システム
(102)が二次元画像を生成し、前記第1及び第2の画像
(230,240)は前記心臓壁の二次元画像を含むように構成されている
ことと、
各要素
(E
i
)が多角形を含む
ことと、
前記プロセッサ
(106)が、安静状態中およびストレス状態中の前記心臓壁の前記運動をスコアリングするように構成されている
ことと、
前記第1の画像
(230)が収縮末期画像を含み、前記第2の画像
(240)が拡張末期画像を含み、輪郭データの前記第1セットが収縮末期輪郭データを含み、輪郭データの前記第2セットが拡張末期データを含む
ことと、
のうちの少なくともいずれかを含む、請求項1乃至
6のいずれか一項に記載のシステム
(100)。
【請求項8】
心臓壁の運動をスコアリングする方法であって、
1回目の前記心臓壁の第1の画像
(230)および2回目の前記心臓壁の第2の画像
(240)を取得するステップと、
前記第1の画像
(230)の輪郭データ
(234)の第1のセットを識別するステップと、
前記第2の画像
(240)の輪郭データ
(244)の第2のセットを識別するステップと、
輪郭データ
(234,244)の前記第1および前記第2のセットに依存して、前記心臓壁のセクションにおける心臓の周期的変化を表す少なくとも1つの要素
(E
i
)を定義するステップと、
前記要素(E
i
)または各要素
(E
i
)を分析して、
2つ以上のメトリックを生成するステップと、
を含み、前記方法は、
前記要素(E
i
)または各要素(E
i
)に対して生成された前記
2つ
以上のメトリックを参照データモデルと比較して、前記心臓壁の対応する前記セクションの前記運動をスコアリングするステップと
、
を含み、前記スコアリングするステップは、前記要素(E
i
)に対して生成された前記2つ以上のメトリックの二変量解析または多変量解析に応じて、前記要素(E
i
)または各要素(E
i
)のスコアを計算するステップを含み、前記スコアは、前記参照データモデルの第1主成分上の前記2つ以上のメトリックの値を表す、方法。
【請求項9】
輪郭点
(232-n,242-n)の複数の対を識別することを含み、輪郭点の各対は、輪郭データの前記第1および前記第2のセットにおける対応する画像要素に関連
し、
各要素(E
i
)は、前記輪郭点の運動の軌跡に対応する対向する第1および第2の側面を任意に含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
各要素
(E
i
)は、輪郭点
(232-n,242-n)の少なくとも第1および第2の対を含み、各対の前記輪郭点が前記要素
(E
i
)の頂点を定義
し、
各要素
(E
i
)の前記分析が、各対の前記輪郭点間の距離を決定することと、各要素
(E
i
)の前記輪郭点間の平均距離を計算することとを
任意に含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
各要素
(E
i
)の前記分析が、
前記要素
(E
i
)の面積
(A
i
)を決定すること
と、
各要素
(E
i
)の矩形度
であって、同矩形度は、各要素(E
i
)の前記面積(A
i
)とその最小外接矩形の面積(R
i
)との間の比率として計算される、矩形度を決定すること
と、
各要素
(E
i
)の硬度
であって、同硬度は、前記要素の面積(A
i
)とその凸包の面積(H
i
)との間の比率として計算される、硬度を決定することと、
のうちの少なくともいずれかを含む、請求項
8乃至
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1および第2の画像
(230,240)が、前記心臓壁の二次元画像を含む
か、各要素が多角形を含む
かのうちの少なくともいずれかである、請求項
8乃至
11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
安静状態中およびストレス状態中の前記心臓壁の前記運動をスコアリングすることを含む、請求項
8乃至
12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の画像
(230)が収縮末期画像を含み、前記第2の画像
(240)が拡張末期画像を含み、輪郭データの前記第1セットが収縮末期輪郭データ
(232-n)を含み、輪郭データの前記第2セットが拡張末期輪郭データ
(242-n)を含む、請求項
8乃至
13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
プロセッサ(106)上で実行時に
前記プロセッサ
(106)に請求項
8乃至
14のいずれか一項に記載の方法を実行させる一連の命令が格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像を分析するための方法および装置に関する。より具体的には、限定ではないが、本開示は、心臓壁の運動をスコアリングするためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2次元(2D)心臓超音波検査は、心臓の運動を様々な条件下、例えば、安静時やストレス時において評価できる画像処理技術である。分析は、例えば、中間ストレス段階及び/又は回復段階を含む他の条件下で実行されてもよい。これは、機能低下または機能不全の心臓の領域を強調することができ、従って、医療介入が必要となる可能性のある患者を識別することができる。左心室の典型的なモデルは、心臓の異なる2D画像を使用して表示できる16個のセグメントを含む。左心室の他のモデルは、例えば、17個のセグメントを含んでもよい。心尖部下壁セグメント、中部下壁セグメント、基部下壁セグメント、心尖部前壁セグメント、中部前壁セグメント、及び基部前壁セグメントは、心尖部二腔画像で見ることができる。心尖部中隔セグメント、中部中隔セグメント、基部中隔セグメント、心尖部側壁セグメント、中部側壁セグメント、及び基部側壁セグメントは、心尖部四腔画像で見ることができる。前壁中隔セグメント、下壁中隔セグメント、中部下壁セグメント、中部前壁セグメント、前側側壁セグメント、及び下側壁セグメントは、傍胸骨短軸像で見ることができる。心尖部側壁セグメント、中部下側壁セグメント、基部下側壁セグメント、心尖部側壁セグメント、中部中隔セグメント、及び基部中隔セグメントは、心尖部三腔画像(または傍胸骨長軸像)で見ることができる。各セグメントの動作は、左心室のさまざまなセクションで見ることができる。(安静時やストレス時など)さまざまな条件下での心筋の各セグメントの運動は、現在、熟練の心臓専門医による2D心臓超音波検査データの判読によって決定される。これは、カテゴリ化するという方法に基づいて実行される。例えば、心筋壁の各セクションは、以下の基準壁運動スコアのうちの1つを有するものとして分類され得る:正常(「1」)、運動低下(「2」)、無動(「3」)、運動異常(「4」)、及びスコアリング不能(「X」)。例えば、各セグメントに5つまたは7つの離散スコアを定義するといった他の分類を使用してもよい。既知の手法は主観的な分類に依存しており、多大な時間を要する作業となり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
画像定量化ツールは、以下を可能にする必要があることが認識されている:(i)基礎疾患の病態生理学の経時的な変化、(ii)地理的位置および患者集団の性質の変化に伴う疾患病理の変動、(iii)何が病気と定義されているか、何が病気を引き起こしているのかについての理解の変化。
【0004】
少なくとも特定の実施形態では、本発明は、画像を分析するための改善された方法および装置を提供しようと試みるものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様は、添付の特許請求の範囲に記載の、心臓壁の運動をスコアリングするためのシステム、心臓壁の運動をスコアリングする方法、および非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。
【0006】
本発明の一態様によれば、心臓壁の運動をスコアリングするためのシステムが提供され、このシステムは、1回目に心臓壁の第1の画像を取得し、2回目に心臓壁の第2の画像を取得するように動作可能な撮像システムと、プロセッサであって、第1の画像の輪郭データの第1のセットを識別し、第2の画像の輪郭データの第2のセットを識別し、輪郭データの第1および第2のセットに依存して心臓壁のセクションにおける心臓の周期的変化を表す少なくとも1つの要素を定義し、各要素を分析して、少なくとも1つのメトリックを生成し、少なくとも1つのメトリックを参照データモデルと比較して、心臓壁の対応するセクションの運動をスコアリングする、プロセッサとを含む。少なくとも特定の実施形態では、本明細書に記載のシステムは、第1および第2の画像に応じて、壁運動のスコアリングを部分的または完全に自動化することができる。さらに、本明細書に記載されているシステムは、カテゴリーモデルではなく、連続的なスコアリングシステムを実装することができる。少なくとも特定の実施形態では、心臓壁の運動を、実質的に連続的なスケールでスコアリングすることができる。スコアリングは、1つのメトリックに依存して、または複数のメトリックに依存して実行され得る。
【0007】
各要素は、心臓壁のセクションの心臓周期パラメータの変化を表す。要素はそれぞれ少なくとも2つの次元で定義される。変形例では、要素はそれぞれ3次元で定義できる。
【0008】
少なくとも1つの要素は、心臓壁のセクションの心臓の周期的変化を表す。心臓壁は、複数のセグメントによってモデル化されてもよい。各要素は、セグメントの1つにおける心臓の周期的変化を表してもよい。あるいは、各要素は、セグメントのうちの1つの一部(すなわち、サブセグメント)における心臓の周期的変化を表してもよい。要素は、従来のモデルのセグメントと無関係である場合があることが理解されよう。例えば、要素は心臓壁を8個の領域に細分してもよい。
【0009】
システムは、心臓の心室の運動をスコアリングしてもよい。例えば、システムは、心臓の左心室の運動をスコアリングしてもよい。本明細書で説明するように、心臓の左心室は、16個のセグメントによってモデル化されてもよい。各要素は、左心室の内壁のセグメントの1つにおける心臓の周期的変化を表してもよい。あるいは、各要素は、左心室の内壁のセグメントのうちの1つの部分(すなわち、サブセグメント)の心臓の周期的変化を表してもよい。
【0010】
参照データモデルは事前定義されてもよい。参照データモデルは、例えば、複数の個人に対して取得された複数の画像の分析から導出された、履歴データの分析に依存して生成されてもよい。各要素に対して生成された少なくとも1つのメトリックは、心臓壁の対応するセクションの参照データモデルと比較されてもよい。参照データモデルは、心臓壁のモデルの各セグメントについて生成されてもよい。少なくとも1つのメトリックは、心臓壁の対応するセグメントの参照データモデルと比較されてもよい。
【0011】
輪郭データの第1のセットは、複数の第1の輪郭点を含んでもよい。第1の輪郭点は、第1の輪郭を形成するために互いに接続されてもよい。第1の輪郭点は、直線及び/又は曲線によって互いに接続されてもよい。第1の輪郭は、第1の連続的な曲線を含んでもよい。
【0012】
輪郭データの第2のセットは、複数の第2の輪郭点を含んでもよい。第2の輪郭点は、第2の輪郭を形成するために互いに接続されてもよい。第2の輪郭点は、直線及び/又は曲線によって互いに接続されてもよい。第2の輪郭は、第2の連続的な曲線を含んでもよい。
【0013】
輪郭データの第1のセットは、ユーザ入力、例えば第1および第2の画像内の輪郭点を指定するためのユーザ入力に応じて識別されてもよい。あるいは、プロセッサは、第1および第2の画像を分析して、輪郭データの第1および第2のセットを識別するように構成されてもよい。プロセッサは、例えば、画像処理技術を利用して、輪郭データの第1および第2のセットを識別してもよい。画像処理技術は、例えば、第1および第2の輪郭点を識別するための動作セグメンテーションおよび/または第1および第2の輪郭点および/または第1および第2の輪郭を識別するための境界検出技術を含んでもよい。
【0014】
プロセッサは、輪郭点の複数の対を識別するように構成されてもよい。輪郭点の各対は、輪郭データの第1および第1のセット内の対応する特徴に関連付けられてもよい。各対は、対応する第1および第2の輪郭点で構成されてもよい。第1および第2の輪郭点は、第1および第2の輪郭データセットに存在する単一の特徴に関連してもよい。
【0015】
各要素は、輪郭点の少なくとも第1および第2の対を含んでもよい。各対を構成する輪郭点は、要素の頂点を定義してもよい。
【0016】
各要素の分析には、各対の輪郭点間の距離を決定することと、各要素の輪郭点間の平均距離を計算することが含まれる。各要素の平均距離は、輪郭データの第1又は第2のセットの全周に正規化されてもよい。
【0017】
各要素は、輪郭点の運動の軌跡に対応する対向する第1および第2の側面を含んでもよい。
【0018】
各要素の分析は、要素の面積を決定することを含んでもよい。面積は、輪郭データの第1及び第2のセットによって囲まれた面積に対応してもよい。この面積は、例えば、拡張末期の輪郭と収縮末期の輪郭との間の面積に対応してもよい。決定された面積は正規化されてもよい。例えば、各要素の面積は、拡張末期データ点の総面積に正規化されてもよい。
【0019】
各要素の分析は、各要素の矩形度を決定することを含んでもよい。各要素の矩形度は、各要素の面積とその最小外接矩形の面積との比率として計算されてもよい。
【0020】
各要素の分析は、各要素の硬度を決定することを含んでもよい。各要素の硬度は、要素の面積と凸包の面積の比率として計算されてもよい。
【0021】
プロセッサは、連続的なスケールでスコアリングを実行するように構成されてもよい。プロセッサは、スコアを出力して心臓壁運動を分類または等級付けするように構成されてもよい。あるいは、又はさらに、プロセッサは、記録を色として表すためにRGB値を出力するように構成されてもよい。
【0022】
撮像システムは、3次元画像を生成するように構成されてもよい。第1および第2の画像は、3次元画像であってもよい。少なくとも1つの要素は、3次元で定義されてもよい。撮像システムは、2次元画像を生成するように構成されてもよい。第1および第2の画像は、心臓壁の2次元画像を含んでもよい。少なくとも1つの要素は、2次元で定義されてもよい。
【0023】
各要素は、例えば1つ以上の湾曲した側面を含む、不規則な形状を含んでもよい。あるいは、各要素は多角形を含んでもよい。
【0024】
プロセッサは、少なくとも1つの状態の間に心臓壁の運動をスコアリングするように構成されてもよい。プロセッサは、複数の状態の間に心臓壁の運動をスコアリングするように構成されてもよい。スコアリングは、次のセットの1つ以上の間に実行されてもよい:安静状態、ストレス状態、中程度のストレス状態、回復状態など。撮像システムは、ストレス条件下で心臓壁の第1および第2の画像を取得するように動作可能であってよい。撮像システムは、安静条件下で心臓壁の第1および第2の画像を取得するように動作可能であってよい。スコアリングは、様々な条件下、例えばストレスおよび休息条件下で取得された画像に関して実行されてもよい。
【0025】
第1の画像は収縮末期画像を含んでもよく、第2の画像は拡張末期画像を含んでもよい。輪郭データの第1のセットは収縮末期輪郭データを含んでもよく、輪郭データの第2のセットは拡張末期データを含んでもよい。
【0026】
本発明のさらなる態様によれば、心臓壁の運動をスコアリングする方法が提供され、この方法は、1回目に心臓壁の第1の画像を取得し、2回目に心臓壁の第2の画像を取得するステップと、第1の画像の輪郭データの第1のセットを識別するステップと、第2の画像の輪郭データの第2のセットを識別するステップと、輪郭データの第1と第2のセットに依存して心臓壁のセクションにおける心臓の周期的変化を表す少なくとも1つの要素を定義するステップと、各要素を分析して、少なくとも1つのメトリックを生成するステップと、少なくとも1つのメトリックを参照データモデルと比較して、心臓壁の対応するセクションの運動をスコアリングするステップとを含む。
【0027】
この方法は、輪郭点の複数の対を識別することを含んでもよい。輪郭点の各対は、輪郭データの第1および第2のセットの対応する特徴に関連してもよい。
【0028】
各要素は、輪郭点の少なくとも第1及び第2の対を含んでもよい。各対の輪郭点は、要素の頂点を定義してもよい。
【0029】
各要素の分析は、各対の輪郭点間の距離を決定することと、各要素の輪郭点間の平均距離を計算することを含んでもよい。
【0030】
この方法は、各輪郭点の運動の軌跡を決定することを含んでもよい。運動の軌跡は、例えば、各対の輪郭点の位置を比較することにより、第1および第2の画像を参照して決定してもよい。あるいは、またはさらに、運動の軌跡は、第1と第2の時間の間に取得された1つまたは複数の中間画像に応じて生成されてもよい。各要素は、画像要素の運動の軌跡に対応する対向する第1および第2の側面を含んでもよい。
【0031】
各要素の分析は、要素の面積を決定することを含んでもよい。面積は、輪郭データの第1及び第2のセットによって囲まれた面積に対応してもよい。この面積は、例えば、拡張末期の輪郭と収縮末期の輪郭との間の面積に対応してもよい。決定された面積は正規化されてもよい。例えば、各要素の面積は、拡張末期データ点の総面積に正規化されてもよい。
【0032】
各要素の分析は、各要素の矩形度を決定することを含んでもよい。各要素の矩形度は、各要素の面積とその最小外接矩形の面積との比率として計算されてもよい。
【0033】
各要素の分析は、各要素の硬度を決定することを含んでもよい。各要素の硬度は、要素の面積と凸包の面積の比率として計算されてもよい。
【0034】
記録は、連続的なスケールで実行され得る。
【0035】
第1および第2の画像は、心臓壁の3次元画像を含み得る。第1および第2の画像は、心臓壁の2次元画像を含み得る。
【0036】
各要素は多角形を含んでもよい。多角形は2次元または3次元で定義してもよい。
【0037】
この方法は、安静状態中およびストレス状態中の心臓壁の運動をスコアリングすることを含んでもよい。
【0038】
第1の画像は収縮末期画像を含み得、第2の画像は拡張末期画像を含んでもよい。輪郭データの第1のセットは収縮末期輪郭データを含んでもよく、輪郭データの第2のセットは拡張末期データを含んでもよい。
【0039】
本発明のさらなる態様によれば、参照データモデルを生成するためのシステムが提供され、このシステムは、以下のように構成されたプロセッサを備える:複数セットの心臓超音波検査画像を分析し、各セットは少なくとも第1及び第2の心臓超音波検査画像を含み、分析は各セット内の収縮末期画像および拡張末期画像を識別することを含み、各セットの収縮末期の画像と拡張末期の画像を比較して、心臓の周期的変化を特定し、各セットに関して識別された心臓の周期的変化に応じて少なくとも1つのメトリックを計算し、心臓超音波検査画像のセットの少なくともいくつかに関連する結果データを取得し、計算されたメトリックと関連する結果データに応じて参照データモデルをコンパイルする。
【0040】
本発明のさらなる態様によれば、参照データモデルを生成する方法が提供され、この方法は、複数セットの心臓超音波検査画像を分析するステップであって、各セットは少なくとも第1及び第2の心臓超音波検査画像を含み、分析は各セット内の収縮末期画像および拡張末期画像を識別することを含む、ステップと、各セットの収縮末期の画像と拡張末期の画像を比較して、心臓の周期的変化を特定するステップと、各セットに関して識別された心臓の周期的変化に応じて少なくとも1つのメトリックを計算するステップと、心臓超音波検査画像のセットの少なくともいくつかに関連する結果データを取得するステップと、計算されたメトリックと関連する結果データに応じて参照データモデルをコンパイルするステップとを含む。
【0041】
本発明のさらなる態様によれば、実行時にプロセッサに本明細書に記載された方法を実行させる一連の命令が格納された非一時的なコンピュータ可読媒体が提供される。
【0042】
本明細書で説明される任意の制御ユニットまたはコントローラは、1つまたは複数の電子プロセッサを有する計算デバイスを適切に含んでもよい。システムは、単一の制御ユニットまたは電子コントローラを備えることができ、あるいは、コントローラの異なる機能を、異なる制御ユニットまたはコントローラに具体化またはホストすることができる。本明細書で使用する場合、「コントローラ」または「制御ユニット」という用語は、単一の制御ユニットまたはコントローラと、述べられた制御機能を提供するために集合的に動作する複数の制御ユニットまたはコントローラの両方を含むと理解される。コントローラまたは制御ユニットを構成するために、実行されると、制御ユニットまたは計算デバイスに本明細書で指定された制御技術を実施させる適切な命令のセットが提供されてもよい。命令のセットは1つまたは複数の電子プロセッサに適切に埋め込まれてもよい。あるいは、命令のセットは、計算装置で実行される前記コントローラに関連する1つまたは複数のメモリに保存されたソフトウェアとして提供されてもよい。制御ユニットまたはコントローラは、1つまたは複数のプロセッサ上で実行されるソフトウェアで実装され得る。1つまたは複数の他の制御ユニットまたはコントローラは、1つまたは複数のプロセッサ、任意選択で第1のコントローラと同じ1つまたは複数のプロセッサ上で実行されるソフトウェアで実装することができる。他の適切な配置も使用できる
【0043】
本出願の範囲内で、前の段落、特許請求の範囲および/または以下の説明および図面、ならびに特にそれらの個々の特徴に記載されたさまざまな態様、実施形態、例および代替案が、単独で、または任意の組み合わせで撮影され得る。すなわち、すべての実施形態および/または任意の実施形態の特徴は、そのような特徴に互換性がない限り、任意の方法および/または組み合わせで組み合わせることができる。申請者は、最初に提出された特許請求の範囲を変更するか、または新しい特許請求の範囲を提出する権利を留保する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
次に、本発明の1つまたは複数の実施形態を、例としてのみ、添付の図面を参照して説明する。
【
図1】
図1は、本発明の実施形態による心臓超音波検査システムの概略図である。
【
図2】
図2は、心臓の四腔断層像を概略的に示す図である。
【
図3】
図3は、
図1のシステムによって実行される診断方法の主なステップを示すフロー図である。
【
図4】
図4Aは、
図1に示されている心臓超音波検査システムによって取得された収縮末期の画像を示し、
図4Bは、
図1に示す心臓超音波検査システムによって取得された拡張末期の画像を示す。
【
図5】
図5Aは、収縮末期の輪郭点と拡張末期の輪郭点で構成される輪郭データセットを示し、
図5Bは、
図5Aに示される等高線データセットから生成された複数の要素を示す。
【
図6】
図6Aは、
図5Bに示されている各要素の面積メトリックの生成を示し、
図6Bは、
図5Bに示されている各要素の平均距離メトリックの生成を示し、
図6Cは、
図5Bに示されている各要素の矩形度メトリックの生成を示し、
図6Dは、
図5Bに示されている各要素の硬度メトリックの生成を示しています。
【
図7】
図7Aは、安静状態の面積メトリックの分析を示し、
図7Bは、安静状態の平均距離メトリックの分析を示し、
図7Cは、安静状態の矩形度メトリックの分析を示し、
図7Dは、安静状態の硬度メトリックの分析を示す。
【
図8】
図8Aは、ストレス状態の面積メトリックの分析を示し、
図8Bは、ストレス状態の距離メトリックの分析を示し、
図8Cは、ストレス状態の矩形度メトリックの分析を示し、
図8Dは、ストレス条件の硬度メトリックの分析を示す。
【
図9】
図9Aは、正規化された面積および平均距離メトリックの二変量解析に基づく参照データモデルを示し、
図9Bは、
図9Aに示されている参照データモデルに適用された正規分布データセットを示す。
【
図10】
図10Aは、二腔心尖部画像における第1の安静状態の各メトリックの多変量解析を示し、
図10Bは、四腔心尖部画像における第2の安静状態の各メトリックの多変量解析を示す。
【
図11】
図11Aは、二腔心尖部画像における第1のストレス状態の各メトリックの多変量解析を示し、
図11Bは、四腔心尖部画像における第2のストレス状態の各メトリックの多変量解析を示す。
【
図12】
図12Aは、安静状態の要素に適用された記録を示し、
図12Bは、ストレス状態の要素に適用された記録を示す。
【
図13】
図13は、しきい値を定義する一連の決定点で構成される決定木を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
次に、本発明の実施形態による心臓超音波検査システム100を、添付の図面を参照して説明する。心臓超音波検査システム100は、心臓200の画像を分析し、心臓の周期運動をスコアリングするように動作可能である。
【0046】
図1に示されるように、心臓超音波検査システム100は、患者104の身体の近くに、典型的には可能な限り心臓の近くとなるように配置されたトランスデューサアレイ102、デジタル電子プロセッサであり得るプロセッサ108とハードディスクなどのメモリ110とを含む処理ユニット106、およびフラットスクリーンモニタまたはLEDディスプレイなどのディスプレイ112を備える。システムはさらに、ユーザ入力装置、例えば、ディスプレイ112に統合されたタッチスクリーン114を含んでもよく、これは、ユーザが心臓超音波検査システム100に入力を提供することを可能にするユーザ入力を提供する。マウス、タッチパッドまたはキーボードなどの他のユーザ入力は、言うまでもなく使用可能である。処理ユニット106は、トランスデューサアレイ102に接続され、トランスデューサアレイがフェーズドアレイとして一連のパルスが患者を透過してスキャンする超音波ビームを放射し、各パルスによって心臓からの反射超音波を検出するようにトランスデューサアレイを制御するように構成される。心臓の1回のスキャンで単一の画像が作成され、スキャンは通常1秒あたり25~50枚の画像で繰り返され、心臓周期中の運動を示す心臓のリアルタイムビデオ画像が作成される。各画像は、例えば、画像を構成する各ピクセルの輝度値を含み得る画像データセットとしてメモリ110に記憶されてもよい。本明細書ではシステムを一般的な用語で説明しているが、適切な心臓超音波検査システムには、例えば、フィリップスエピックiE33、GEビビッドe9、またはフィリップスCX50などのポータブルシステム、またはハンドヘルドシステムが含まれる。
【0047】
心臓超音波検査のプロセスはよく知られており、本明細書では詳細に説明しない。いくつかの異なる撮像方法があるが、本実施形態による心臓超音波検査システム100は、2次元撮像を使用する。心臓から複数の異なる平面に画像が提供されることが知られており、この画像は、心臓の4つの主な心室である、左心室(LV)、右心室(RV)、左心房(LA)および右心房(RA)のさまざまな側面を示す。そのような画像には、例えば、心尖部四腔画像、心尖部二腔画像、心尖部三腔画像、および胸骨傍の長軸および短軸画像が含まれる。いずれの場合も、単一の静止画像を取得できるが、通常、心臓の周期にわたって一連の画像が取得されるため、その動作を記録して分析することができる。心臓超音波検査システム100は、前述の画像の1つまたは複数を利用して、心臓200の心臓周期運動を記録することができる。
【0048】
例として、心臓200の四腔心尖部画像が
図2に示されている。画像は、心臓200の2D平面を含む。画像は、左心室(LV)202、右心室(RV)204、左心房206、右心房208、および中隔210を示す。心尖部212、側方左心室202の側壁214、基部216、および内壁218もまた、四腔心尖部画像で見ることができる。左心室202の長手方向軸220は、心尖部212を通って延びる。左心室202は、長手方向軸220の対向する側に配置された第1および第2の側面222、224を有する。
【0049】
処理ユニット106は、本明細書に記載されているスコアリング技術を実施するために四腔心尖部画像を分析する。あるいは、またはさらに、処理ユニット106は、以下の1つ以上を利用してもよい:二腔心尖部画像、胸骨傍短軸画像および三腔心尖部画像。本明細書に記載されたスコアリング技術を実施するために、他の心臓超音波検査画像が処理ユニット106によって使用されてもよい。処理ユニット106は、心臓超音波検査画像の様々な組み合わせを使用して、左心室の16のセグメントに対する記録を提供することができる。処理ユニット106は、複数の画像を分析し、複数の画像の測定基準に応じて心臓周期運動にスコア付けすることができる。処理ユニット106は、有効な画像を定性的に評価し、心臓壁の特定のセクションの心臓周期運動のより明確な表現を提供すると決定された画像に優先順位を付けることができる。直交座標系は、左心室202の心尖部212を通って伸び、その縦軸に沿って伸びる垂直軸(ここではy軸と呼ばれる)と、心尖部212と基部216の中間の左心室202の中点を通る水平軸(ここではx軸と呼ばれる)を含むと定義される。
【0050】
心臓超音波検査システム100の動作を表すブロック図を
図3に示す。心臓超音波検査システム100は、一連の2D画像を取得し、それらをメモリ110(ブロック300)に記憶するように構成される。画像は、単一の心臓周期にわたって取得されてもよく、例えば、1つの周期をカバーする10から50の画像を含んでもよい。心臓超音波検査システム100は、単一のスキャンまたは複数のスキャンを実行することができる。例えば、心臓超音波検査システム100は、第1および第2のスキャンを実行することができる。第1のスキャンは、患者が安静状態にあるときに実行されてもよく、第2のスキャンは、患者がストレス状態にあるときに実行されてもよい。心臓超音波検査システム100は、例えば、心拍数がストレスを受けた後、心拍数が正常に戻るときの回復段階の間に、休止状態とストレス状態との間で1つ以上の中間スキャンを任意に実行してもよい。画像の取得は、従来の心臓超音波検査システムで実行できる。画像のその後の分析は、
図1に示すように心臓超音波検査システムの一部を形成する同じ処理ユニット106を使用して実行することができる。ここで、画像は、プロセッサ、メモリ、ユーザ入力、およびディスプレイを有し、この目的のために処理ユニット106と同様に動作するラップトップまたはPCなどのコンピュータにダウンロードすることができ、画像のさらなる分析は、専用ソフトウェアの制御下でそのコンピュータ上で実行することができる。画像はPACS(画像アーカイブおよび通信システム)から検索されてもよいことが理解されよう。あるいは、またはさらに、画像は、処理のために外部サーバーに送信されてもよい。画像は送信前に匿名化されてもよい。
【0051】
左心室202について、収縮末期に最も近い画像、すなわち心臓周期中の最大収縮、および拡張末期に最も近い画像、すなわち心臓周期中の最大容積が識別される(ブロック302)。これは、ユーザがディスプレイ112上の画像を見て、収縮末期に最も近いものとして第1の画像230(ここでは収縮末期画像230と呼ぶ)、および拡張末期に最も近いものとして第2の画像240(ここでは拡張末期画像240と呼ぶ)を選択することによって実施される。収縮末期画像230および拡張末期画像240は、それぞれ心臓周期の最初および2回目に取得される。例示的な収縮末期画像230が
図4Aに示され、例示的な拡張末期画像240が
図4Bに示されている。収縮末期画像230および拡張末期画像240の選択は、目視により判断した各画像における左心室202の容積の評価および比較に基づいて、または僧帽弁の開閉点に注意することにより、又はECGプロット上のQRS複合体の使用により、又はこれらの任意の組み合わせによりユーザが行うことができる。あるいは、プロセッサ108は、収縮末期画像230および拡張末期画像240を識別するために画像処理技術を使用するように構成されてもよい。画像処理技術は、例えば、画像のそれぞれにおける左心室202の容積を決定してもよい。プロセッサは、左心室容積が最小の画像を収縮末期画像230として、及び左心室容積が最大の画像を拡張末期画像240として識別してもよい。あるいは、画像処理技術は、複数の画像にわたって持続する画像要素の動きを識別および追跡して、収縮末期画像230および拡張末期画像240を識別してもよい。例えば、持続性画像要素の移動方向の反転を使用して収縮末期および拡張末期を識別することができる。収縮末期画像230および拡張末期画像240は、例えば、適切なフラグでマークされてメモリ110内で識別され、それにより、ユーザによって選択および閲覧されてもよい。
【0052】
左心室202の内壁218は、収縮末期画像230では収縮末期で、拡張末期画像240では拡張末期で識別される(ブロック304)。左心室202は、収縮末期画像230の拡張末期および拡張末期画像240の収縮末期で輪郭が描かれる(またはマッピングされる)(ブロック306)。左心室202の輪郭を描くことは、収縮末期画像230の内壁218の周りの複数の収縮末期輪郭点232-n、及び拡張末期画像240の内壁218の周囲の複数の拡張末期輪郭点242-nを識別することを含む。第1の連続曲線が収縮末期輪郭点232-nの点の間に描かれて収縮末期輪郭線233が形成され、第2の連続曲線が拡張末期輪郭点242-nの点の間に描かれて拡張末期輪郭線243が形成される。収縮末期輪郭線233および拡張末期輪郭線243は、直線および/または曲線を含んでもよい。収縮末期輪郭線233および拡張末期輪郭線243は、例えば、収縮末期画像230および拡張末期画像240でそれぞれ識別された境界と一致するように描かれてもよい。
【0053】
収縮末期輪郭点232-nおよび収縮末期輪郭線233は、収縮末期輪郭データセット234を形成し、拡張末期輪郭点242-nおよび拡張末期輪郭線243は、拡張末期輪郭データセット244を形成する。収縮末期輪郭データセット234における各収縮末期輪郭点232-nは、拡張末期輪郭データセット244における拡張末期輪郭点242-nのうちの対応する点と対になっている。結果として生じる収縮末期および拡張末期輪郭点232-n、242-nの対は、心臓周期中の心臓200の壁の運動の変化を表す。収縮末期および拡張末期の輪郭点232-n、242-nの対は、心臓周期中の壁運動により収縮末期画像230および拡張末期画像240の異なる位置ではあるが、左心室202の同じ特徴に対応してもよい。本実施形態では、13個の収縮末期および拡張末期の輪郭点が、収縮末期画像230および拡張末期画像240において識別される。拡張末期輪郭点および収縮末期輪郭点は、心臓内膜に沿った位置(すなわち、n=1,2,3...13)。に応じて1~13とラベル付けされる。
図5Aに示すように、収縮末期および拡張末期の等高線データセット234、244が組み合わされる。
【0054】
図5Bに示されるように、収縮末期輪郭点232-nおよび拡張末期輪郭点242-nは、内壁の心臓周期運動を表す複数の要素Ei(iは整数)を形成する(ブロック308)。本明細書で説明されるように、要素Eiは、左心室202の内壁218の対応するセクションの心臓周期運動を等級付けするために分析およびスコアリングされる。図示の構成では、収縮末期輪郭点232-nと拡張末期輪郭点242-nとの3個の対(すなわち、収縮末期および拡張末期輪郭データセット234、244のそれぞれからの3つの収縮末期輪郭点232-nおよび3つの拡張末期輪郭点242-n)がそれぞれの要素Eiを定義する。図示の例では、収縮末期画像230および拡張末期画像240は、二腔心尖部画像である。内壁の心臓周期運動の変化は、6個の要素E
1-6で表される。要素E
1-6のそれぞれは、平面(2次元)多角形の形状をなす。要素E
1-6は、左心室のモデルのそれぞれのセグメントに対応する。具体的には、最初の要素E
1は、基底の下位セグメントに対応し、第2の要素E
2は、中間下位セグメントに対応し、第3の要素E
3は、頂端下部セグメントに対応し、第4の要素E
4は、頂端前部に対応し、第5の要素E
5は、中間前部に対応し、第6の要素E
6は、前部基底部に対応する。心周期変化は、例えば6つ未満の要素または6つを超える要素など、異なる数の要素Eiによって表すことができることが理解されよう。
【0055】
要素Eiを分析して、心臓200の対応するセクションの心臓周期運動をスコアリング(すなわち、分類または格付け)するための少なくとも1つの壁運動メトリックを生成する(ブロック310)。要素Eiの分析は、本明細書でより詳細に説明される。生成されたメトリックは、事前定義された参照データモデルと比較され、壁の運動をスコアリングする(ブロック312)。次に、スコアリングの結果が、例えば画面またはディスプレイに出力される(ブロック314)。スコアリングは臨床医によって見直されてもよい。
【0056】
次に、左心室202の輪郭をより詳細に説明する。輪郭付けは心臓超音波検査技師によって実行されてもよく、または適切な画像処理技術を使用して実行されてもよい。造影剤で取得された左心室202の超音波画像が
図4Aおよび
図4Bに示されている。収縮末期画像230が
図4Aに示されており、拡張末期画像240が
図4Bに示されている。左心室202の心尖部212は、左心室202の上部として配置することができ、各側面222、224の基部216は、内壁218の形状から配置することができる。縦(Y)軸は、心尖部212と2つの側面222、224の基部の間の中点を通る参照線として定義される。x軸は、心尖部と基部216の2つの辺の間の中点の間のy軸に垂直な線として定義できる。各側面222、224の中点は、x軸がその側面222、224の側壁と交差する点として識別できる。中間の収縮末期輪郭点232-nおよび拡張末期輪郭点242-nは、心尖部212と各側面222、224の中間点との間の領域を細分することによって識別されてもよく、各側面222、224の中間点と基部との間の領域を細分することによって識別されてもよい。
【0057】
上述したように、これらの収縮末期輪郭点232-nおよび拡張末期輪郭点242-nのそれぞれは、ユーザによって識別されてもよい。あるいは、画像処理を使用して、収縮末期輪郭点232-nおよび拡張末期輪郭点242-nを識別してもよい。画像処理が使用される場合、左心室202の輪郭は、最初に左心室202内の明るい領域とその周囲の壁を形成する心筋の暗い領域との間の境界として識別される(または、造影剤を使用せずに取得した画像においては逆となる)。そのような境界を識別するための適切なアルゴリズムはよく知られている。境界が識別されると、アルゴリズムは、次に、境界の最高点(最大y値)を心尖部212として識別し、境界が下端で方向を変える点を基部216として識別するように構成されてもよい。曲率の半径と方向、およびそれが境界の周りでどのように変化するかを分析するためのアルゴリズムを使用して、これらの点、および心尖部212の下端の点を識別できる。収縮末期輪郭点232-nおよび拡張末期輪郭点242-nのそれぞれの座標は、座標系を参照して決定される。心臓超音波検査システム100によって取得された画像のスケールは既知である。したがって、収縮末期輪郭点232-nおよび拡張末期輪郭点242-nのそれぞれの座標は、対応する画像の平面内の点の位置を定義する。各対の輪郭点間の距離は、収縮末期と拡張末期の間の心臓200の対応するセクションによって移動された距離を示す。
【0058】
次に、
図6Aから
図6Dを参照して、壁運動メトリックを生成するための要素Eiの分析について説明する。
図6Aに示すように、各要素Eiは、n個の辺を有する多角形の形状をなす。
図6Aに示すように、各要素Eiの要素面積Aは、座標法を用いて、輪郭データ234、244の第1および第2のセットから計算される。
【0059】
【数1】
(式1)
ここで、nは多角形の辺の数であり、(xi,yi)は多角形の頂点である(i=1,2,...,6)。
【0060】
次に、各要素Eiの計算された面積Aは、拡張末期の輪郭点の総面積によって表される総面積の割合として正規化される。
【0061】
図6Bに示すように、拡張末期および収縮末期の収縮末期輪郭点232-nおよび拡張末期輪郭点242-nの各対間のユークリッド距離(d)は、次の式を使用して計算される:
【0062】
【数2】
(式2)
ここで、nは次元の数であり、pは拡張末期輪郭点の座標であり、qは収縮末期輪郭点の座標である。
【0063】
次に、各要素Eiの平均距離(d)(すなわち、最初の要素E1では
【0064】
【0065】
【数4】
など)が計算される。その後、平均距離は、拡張末期輪郭点の全周囲距離の割合として正規化される。
【0066】
図6Cに示すように、各要素Eiの矩形度は、各要素の面積(Ai)とその最小外接矩形の面積(Ri)の間の比率として計算され:
【0067】
【数5】
(式3)
ここで、Aiは各要素Eiの面積であり、Riは最小外接矩形の面積である。
【0068】
図6Dに示すように、各要素Eiの硬度Siは、要素の面積(Ai)とその凸包の面積(Hi)の間の比率として計算され:
【0069】
【数6】
(式4)
ここで、Aiは各要素Eiの面積であり、Hiは対応する凸包の面積である。
【0070】
計算されたメトリクスと参照壁運動スコアの間の相関を評価するために、生の(すなわち、未処理の)二次元心臓超音波検査データを含む参照データセットが分析された。参照データセットは、患者グループの拡張末期画像と収縮末期画像を含む履歴データで構成された。拡張末期画像および収縮末期画像は、本明細書に記載の技法に従って分析され、収縮末期輪郭点232-nおよび拡張末期輪郭点242-nが識別された。これにより、左心室202の標準モデルの各セグメントに対応する要素Eiが特定された。要素Eiは、以下に示すメトリックを計算するために、本明細書に記載されている手法を使用して分析された:正規化された面積A、正規化された平均距離d、矩形度、および硬度Siである。メトリックは、各要素Eiの休息およびストレス状態について生成された。要素Eiは、参照壁運動スコアからなる標準スコアリングシステムを使用して、2人の心臓専門医によって互いに干渉することなくスコアリングされた:正常(「1」)、運動低下(「2」)、無動(「3」)、運動異常(「4」)、及びスコアリング不能(「X」)。2つの参照データセット間で不一致だったスコアは再調査され、一致するに至った。壁運動スコアが「X」の要素は、参照データセット(n=2)から削除された。壁運動スコアが「4」(n=2)である有効な参照データセット内の要素の数が少ないため、これらも分析から削除された。したがって、本実施形態では、参照データセットからの各要素Eiは、正常(「1」)、運動低下(「2」)、無動(「3」)としてスコアリングされた。各患者の安静状態とストレス状態について分析が繰り返された。本明細書で説明されるように、生の参照データセットの分析を通じて計算されたメトリックは、計算されたメトリックが比較され得る参照データモデルを生成するために使用される。参照データモデルは、要素Eiごとに生成される。参照データモデルは、単変量モデルまたは多変量モデルである。参照データモデルは、心臓超音波検査システム100のメモリ110に格納され得る。あるいは、参照データセットは、メモリ110に格納され得、参照データモデルは処理ユニット106によって生成される。このアプローチは、例えば、特定のメトリックまたはメトリックの組み合わせに関して、動的比較を可能にし得る。
【0071】
各要素Eiの計算されたメトリックと、安静状態に対して心臓専門医によって割り当てられた壁運動スコア(つまり、正常(「1」)、運動低下(「2」)、無動(「3」))のプロットを
図7Aから7Dに示す。メトリックの第2四分位数は、各参照壁運動スコアについて、そのメトリックのセットの中央線を含む箱ひげ図によって表される。各参照壁運動スコアの正規化された要素面積Aを
図7Aに示す。各参照壁運動スコアの正規化された平均距離dを
図7Bに示す。各参照壁運動スコアの計算された硬度を
図7Cに示す。各参照壁運動スコアの計算された矩形度を
図7Dに示す。P<0.05のWilks-Lambdaノンパラメトリック多変量テスト統計が、各壁運動スコアグループで決定される。計算されたメトリックと割り当てられた壁運動スコアとの間に統計的に有意な相関関係が特定される。
【0072】
各要素Eiの計算されたメトリックと、ストレス状態に対して心臓専門医によって割り当てられた壁運動スコア(つまり、正常(「1」)、運動低下(「2」)、無動(「3」))のプロットを
図8Aから8Dに示す。メトリックの第2四分位数は、各参照壁運動スコアについて、そのメトリックのセットの中央線を含む箱ひげ図によって表される。各参照壁運動スコアの正規化された要素面積Aを
図8Aに示す。各参照壁運動スコアの正規化された平均距離dを
図8Bに示す。各参照壁運動スコアの計算された硬度を
図8Cに示す。各参照壁運動スコアの計算された矩形度を
図8Dに示す。P<0.05のWilks-Lambdaノンパラメトリック多変量テスト統計が、各壁運動スコアグループで決定される。計算されたメトリックと割り当てられた壁運動スコアとの間に統計的に有意な相関関係が特定される。
【0073】
各要素Eiのスコアリングは、計算されたメトリックの1つに基づいて計算できる。処理ユニット106は、一変量分布、例えば、一変量正規分布を定義するように構成されてもよい。例として、スコアリングは、計算されたメトリックのうちの1つに対するZスコア(標準スコア)に対応できる。Zスコアは、計算されたメトリックの母平均からの標準偏差の数を標準偏差の単位で示す。処理ユニット106は、決定されたZスコアに対応する各要素Eiにスコアを割り当てるように構成されてもよい。ただし、各要素Eiに対して計算されたスコアの精度は、計算されたメトリックの2つ以上を参照することで改善される場合がある。処理ユニット106は、多変量分布、例えば、多変量正規分布を定義するように構成されてもよい。処理ユニット106は、二変量分布またはより高次元の分布を定義するように構成されてもよい。処理ユニット106は、参照母集団から計算されたメトリックの「距離」を計算するように構成されてもよい。この手法により、より高い次元で分析を実行できる。1つのアプローチは、データPC1の最初の主成分からの距離を使用することである。あるいは、またはさらに、Mahalanobis距離は、処理ユニット106によって計算されてもよい。他の統計分析技法も適切である。
【0074】
平均距離と各要素Eiの面積の間の相関を決定することにより、各要素Eiに対応する壁セクションのスコアを決定できる。本実施形態では、スコアリングは、離散値に依存する従来のスコアリングシステムではなく、連続スケールを含む。
図9Aに、Zでスケーリングされた要素の面積と平均距離の間の相関の模式的な表現を示す。左下象限Q3は、潜在的に異常な壁運動があると特定された要素Eiを表す。3つの楕円E1からE3は、データポイントの分布の信頼区間(CI)を表す:内側の楕円E1はCI=68%を表し、中央の楕円E2はCI=95%を表し、外側の楕円E3はCI=99%を表す。データの重心0が表示され、線PC1は、データ(すなわち、データPC1の第1主成分)を通る直交回帰線を表す。マーカーM1~M3は、スコアリングされているデータポイントを表す。ランダムに生成された、0.56(n=1,000)の共分散を有する正規分布データを
図9Bに示す。各データポイントは、ここで説明する分析手法に従って決定された連続スコアリングに従って色分けされる。
【0075】
本実施形態による処理ユニット106は、各要素Eiをスコアリングするための連続的アプローチを実施する。本明細書で説明するように、主成分モデルは、各要素EiのZでスケーリングされたメトリックに応じて構築される。これは、収縮末期画像230および拡張末期画像240から導出される各要素Eiに対して実行される。ここでの説明は、二腔心尖部画像の標準モデルで見えるセグメントに対応する6つの要素Eiに焦点を合わせる。左心室202の他のセグメントに対応する追加の要素Eiに関して、例えば三腔心尖部画像および/または四腔心尖部画像の分析によって、同じ技法を実施できることが理解されよう。分析は、安静状態およびストレス状態について取得された収縮末期および拡張末期の画像230、240に関して独立して行われる。処理ユニット106は、安静状態およびストレス状態に関して分析の結果を比較することができる。
【0076】
2つの計算されたメトリックに基づく二変量分析に基づく要素Eiのスコアリングは、
図9Aおよび9Bに視覚化されている。この場合のメトリックは、各要素Eiの正規化された面積と平均距離である。参照データモデルは、参照データセットの分析を通じて特定された要素Eiの正規化された領域と平均距離に応じて生成される。この場合、割り当てられた壁運動スコアが「1」である要素のみが、参照データモデルの生成に含まれていた。所与の要素Eiのスコアを生成するために、処理ユニット106は、その要素Eiの対応するメトリックを計算する。処理ユニット106は、患者の収縮末期画像230および拡張末期画像240の分析を通じて識別された要素Eiの正規化された面積および平均距離を計算する。
図9Aおよび9Bを参照して本明細書で説明されている実装は、各要素Eiの正規化された面積および平均距離に基づく二変量分析を利用する。メトリックの他の組み合わせを使用して、各要素Eiをスコアリングすることができることが理解されよう。たとえば、二変量分析では、平均距離と硬度メトリック、または、正規化された面積と矩形度のメトリックを組み合わせることができる。
【0077】
処理ユニット106は、多変量分析を実行するように構成されてもよい。処理ユニット106は、本明細書に記載される各メトリック、すなわち、正規化された面積A、正規化された平均距離d、矩形度、および硬度Siを組み合わせるように構成されてもよい。各要素Eiのスコアは、4つの計算されたメトリックの多変量解析に基づいて計算されてもよい。第1主成分PC1および割り当てられた壁運動スコア(すなわち、正常な「1」、運動低下「2」、無動「3」)に応じて計算されたスコアのプロットを
図10、10B、11Aおよび11Bに示す。二腔心尖部画像における安静状態の多変量解析の第1主成分PC1に応じて計算されたスコアのプロットを
図10Aに示す。四腔心尖部画像における安静状態の多変量解析の第1主成分PC1に応じて計算されたスコアのプロットを
図10Bに示す。二腔心尖部画像におけるストレス状態の多変量解析の第1主成分PC1に応じて計算されたスコアのプロットを
図11Aに示す。四腔心尖部画像におけるストレス状態の多変量解析の第1主成分PC1に応じて計算されたスコアのプロットを
図11Bに示す。
【0078】
各要素Eiの計算されたメトリックは、対応する要素Eiの参照データモデルと比較される。各要素Eiのスコアは、この比較に基づいて計算される。スコアは、新しいデータの最初の主成分の値、すなわち、計算されたメトリックがデータの重心からどれだけ離れているか、したがって、それらが参照データとどれほど異なっているかを表す。スコアは連続的なスケールで計算できる。この例は、
図12Aと12Bに示されており、各要素には、ここで説明する連続スコアリングスケールに従って陰影が付けられている。
図12Aに示すスコア付けされた画像は、安静状態の二腔データを表しており、
図12Bに示すスコア付けされた画像は、ストレス状態の二腔データを表している。
【0079】
処理ユニット106は、各要素Eiをスコアリングするための異なるメトリックを計算するように構成されてもよい。これらのメトリックは、単変量および多変量解析のために本明細書に記載されているメトリックに加えて、またはその代わりに使用されてもよい。処理ユニット106は、例えば、以下のメトリックのうちの1つ以上を計算してもよい:剪断;ひずみ;要素内の距離の変動係数;アスペクト比。処理ユニット106はまた、本明細書で説明される点の対間の距離以外の距離メトリックを計算してもよい。例えば、処理ユニット106は、同じ要素内の正反対の点の間の距離、または、異なる要素の対応する点間の距離(すなわち、EiとEi+jの間)を計算してもよい。
【0080】
処理ユニット106は、メトリックを計算するための1つの画像における要素Eiの分析に特に重点を置いて説明されてきた。処理ユニット106は複数の画像を分析し得ることが理解されるであろう。異なる画像に同じ要素Eiが含まれてもよい。処理ユニット106は、異なる画像の分析に応じて、特定の要素Eiに対して生成されたスコアを比較するように構成されてもよい。スコア間に不一致が検出された場合、これは画質などの潜在的な問題として報告されることが出来る。これにより、さまざまな画像の品質をチェックできる。同様に、特にきめの細かい要素Eiでは、互いに近接して配置された要素Eiについて計算されたスコアは通常、関連している。予想される関係が特定された場合、これは潜在的な画質の問題としてフラグを立てることができる。これらの技法は、より正確である可能性が高い要素Eiの1つまたは複数の画像の識別を可能にし得る。
【0081】
処理ユニット106は、1つまたは複数の画像内に見ることが出来る要素Eiを分析して、見ることが出来ない要素Eiの挙動を推測することができる。例えば、スコアは、見えない要素Eiに隣接してまたは近位に配置された少なくとも1つの要素Eiについての計算されたスコアに応じて、見えない要素Eiについて推定されてもよい。有効な表示に基づいて左心室202の完全なモデルを構築するために、さらなる分析が実行されてもよい。結果として得られるモデルにより、1つまたは複数の近くの要素Eiからスコアリングを推測することができる。
【0082】
ここで説明する統計分析は、ggplot2、dplyr、ggbeeswarm、Momocs、pathmapping、およびggpubrパッケージを使用して、R統計的計算環境(v3.4.1)内で実行された。各比較におけるグループ間の観測数の不均衡のため、多変量ノンパラメトリック仮説検定を採用し、npmvパッケージを使用してグループ平均を比較した。タイプIのエラー率(α)0.05がすべての比較に使用された。
【0083】
処理ユニット106は、左心室102の標準モデルのセグメントに対応する要素Eiのメトリックを計算するものとして本明細書で説明されている。本明細書で説明される技法は、要素Eiがセグメントに対応することを必要としないことが理解されよう。たとえば、要素Eiは標準モデルのセグメントよりも小さい場合がある。要素Eiは、標準モデルのサブセグメントに対応し得る。要素Eiのサイズを小さくすることにより、スコアリングは、心臓の周期運動の異常の位置をより正確に示すことができる。例えば、スコアリングは、例えば、セグメントの境界の近くの位置または中央の場所を強調して、標準モデルのセグメントの1つ内の異常な機能の場所を示すことが想定される。
【0084】
本明細書で説明されるように、参照データモデルは、生の2次元心臓超音波検査データを含む参照データセットを分析することによって生成される。上記の実施形態では、参照データセットは、患者のグループの拡張末期画像および収縮末期画像を含む履歴データを含む。さらなる発展において、参照データモデルを生成するために使用される参照データセットは、繰り返し更新されてもよい。たとえば、新しい心臓超音波検査の分析を参照データセットに組み込んで、有効なデータ母集団を増やすことができる。したがって、追加のデータが有効になると、参照データモデルは引き続き改良される。参照データモデルの反復的な発展が、病理学的変化と患者の進展を可能にし得る。
【0085】
ここで説明する分析は、要素Eiごとに独立して実行される。ここで、分析は、複数の要素Ei間の関係を考慮するように修正されてもよいことが理解されるであろう。例えば、分析は、例えば、左心室202の反対側に、互いに隣接して、または互いに反対に配置された第1および第2の要素Eiの運動を同時にスコア付けすることができる。
【0086】
本明細書で説明される参照データモデルは、参照データセットの一部またはすべてに関して有効な結果データに応じて変更することもできる。本明細書では、「結果データ」という用語は、診断情報を指すために使用される。結果データは、参照データセット内の対応する記録またはデータセットに関連付けられる。診断情報は、例えば、患者の血管造影データおよび/または心臓事象に関連してもよい。結果データは、経過時間中に、患者が心臓状態、例えば冠状動脈疾患の有無の陽性または陰性の診断を下したかどうかを示してもよい。結果データは、例えば、心臓超音波検査データの取得の1年後、2年後、または3年後に生成されてもよい。参照データセット内のデータの重み付けは、結果データに応じて調整されてもよい。例えば、結果データが有効である参照データセット内のデータに適用される重み付けは、その統計的有意性を変更するために増加または減少されてもよい。重み付けは、心臓超音波画像の取得とその後の診断イベントとの間の経過時間に応じて調整することができる。変形例では、参照データモデルは、結果データが有効なデータにのみ依存して生成されてもよい。参照データモデルは、結果データが冠動脈疾患などの特定の状態の有無を示すデータにのみ依存して生成されてもよい。結果データを使用して、参照データセットをフィルター処理し、異なる参照データモデルを生成してもよい。
【0087】
処理ユニット106はまた、診断出力を生成する診断機能を提供するように構成されてもよい。診断システムは、出願人の国際特許出願PCT/GB2017/051720に開示されており、その内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる。診断機能は、本明細書に記載されている結果データを利用できることが認識されている。診断機能は、壁運動スコアに対して生成された1つ以上のメトリックに依存する場合もある。例として、各要素Eiの矩形度は、診断モデルにおける特徴として使用されてもよい。診断モデルを生成する際の結果データの使用は、さまざまな疾患の割合と特性を経時的に、および/またはさまざまな医療現場で考慮するのに役立つことがある。たとえば、異なる現場では、ポジティブ(「疾患」)とネガティブ(「正常」)の結果の比率が異なる場合がある。診断モデルを生成する際に結果データを利用することにより、これらのタイプのバリエーションを考慮に入れることができる。ストレスエコーテストの結果(テスト中/直後に心臓専門医が決定)は、常に正確であるとは限らない。出願人が行った1年の結果の正確さの分析は、複数のデータセットにわたるストレスエコー結果の平均7.2%の不正確さを示している。一定期間にわたる結果データを参照することにより、診断モデルの精度が向上し、個人が冠動脈疾患などの疾患を発症するかどうかをモードで正確に予測できるようになる。結果データの使用は、単独で特許を受けることができると考えられる。この強化された診断機能は、前の実施形態の発展として説明される。同様の参照番号は、同様のコンポーネントに使用される。
【0088】
本明細書で説明するように、各収縮末期輪郭点232-nは、拡張末期輪郭データセット244の拡張末期輪郭点242-nの対応する1つと対になっている。収縮末期と拡張末期輪郭点232-nと242-nの結果の対は、心臓周期中の心臓200の壁の運動の変化を表す。収縮末期および拡張末期の輪郭点232-n、242-nが識別されると、デカルト座標系におけるそれらのxおよびy座標は、例えば、収縮末期画像上の点の座標を含む収縮末期座標セットと拡張末期画像上の点の座標を含む拡張末期座標セットとしてメモリ110に格納されてもよい。プロセッサは、2つの座標セットから、収縮末期と拡張末期との間の左心室202の形状の変形を計算するように構成されてもよい。
【0089】
処理ユニット106は、収縮末期と拡張末期の間の左心室202の動きを定量化する様々なパラメータの値を計算するように構成されている。計算には、x軸とy軸の両方に沿った位置の変化(拡張末期―収縮末期)を計算することにより、各点がx方向とy方向のそれぞれにどれだけ移動したかを計算することが含まれてもよい。これにより、収縮末期と拡張末期の輪郭点232-n、242-nの対応する対のそれぞれについて、x軸の移動Δxのセットとy軸の移動Δyのセットが得られる。これらの各値は、方向を示さない単純な距離であってよい。次に、x軸(ΔX)とy軸(ΔY)の両方のすべての点の変化量の平均値を別々に計算して、左心室202全体に対して、平均のΔx値またはx方向の移動ΔX、および平均のΔy値またはy方向の移動ΔYを提供してもよい。個々の移動値のそれぞれが純粋な距離であり、正または負のxまたはy方向にあるかどうかの表示がない場合、これらの平均値は総移動量を示すが、LV壁の異なる部分が同じ方向に移動しているか、反対の方向に移動しているかは示されていない。
【0090】
収縮末期と拡張末期の輪郭点232-n、242-nの各対に対して計算できる別のパラメータは、xおよびy方向の移動ΔxおよびΔyの平均であって、各点の平均値Δxy=(Δx+Δy)/2である。次に、すべての点についてのΔxyのすべての値の平均を計算して、心室全体の値ΔXYを計算できる。この計算は、せん断ひずみの計算に似ているため、ここではせん断変形と呼ぶ。所与の移動距離の場合、このパラメータは、x軸とy軸の両方に対して45度の移動で最大になり、軸の1つに沿った移動で最小になることが理解されよう。
【0091】
計算できる別のパラメータは、xとyのひずみ成分から計算できる主変形に似ているため、ここでは主変形と呼び、
主変形=C1(ΔX+ΔY-√(ΔX+ΔY)^2+C2ΔXY^2)
で与えられる。ここで、C1とC2は定数である。定数C1は、例えば、1/2であってよく、定数C2は、4であってよい。これらの値は、以下に記載される例において使用される。
【0092】
この変換は、せん断変形と密接に関連しているため、そのパラメータと同様に変化する傾向があるが、心臓の収縮を示す負の値を有する。ただし、以下のテスト結果で示されているように、主な変形値は、一部のケース、特に冠動脈疾患(CAD)で、より信頼できる診断を提供できる。
【0093】
これらのパラメータのそれぞれは、単一の冠状動脈周期における収縮末期と拡張末期の間の変化に関連していることが理解されよう。ただし、ストレス心臓超音波検査(または他のイメージング方法で実行される対応するテスト)では、安静時の心臓に対し各パラメータに1つの値とストレス時の心臓に対し1つの値がある。それらの値を比較すること、たとえば、それらの値の違いを判断することで、診断に使用できる心臓機能についてのさらなる情報を得ることができる。
【0094】
xとyの移動、せん断と主変形の値が計算されると、プロセッサは、これらをメモリ110に格納されている参照値と比較して、1つまたは複数の特定の心臓の状態の診断を行い、診断の出力を生成するように構成される。出力は、陽性または陰性の診断を示す単純なバイナリ出力であってもよい。処理ユニット106は、ディスプレイ112上に出力を表示するように構成されてもよい。あるいは、またはそれに加えて、例えば出力データを追加することにより、出力が基づいた画像に関連するデータとして、診断を示す出力を画像が保存されているファイルへ格納するように構成されてもよい。
【0095】
基準値は、例えば、処理ユニット106上で実行することができ、従来の方法によって決定された関連診断を伴うストレスエコー画像のデータベースを使用する学習アルゴリズムによって決定することができ、これは、メモリ110に格納されてもよい。具体的には、データベースは、多数の画像のセットを含んでもよく、各セットは、安静状態およびストレス状態の両方についての収縮末期画像および拡張末期画像を、各画像セットについて、冠動脈疾患(CAD)の陽性または陰性の診断などといった関連する診断とともに含む。学習アルゴリズムは、画像を分析して上記の様々なパラメータの値を計算し、次いで診断と様々なパラメータのそれぞれの値との間の相関を決定するように構成されてもよい。
【0096】
分析は70人の被験者からのサンプル画像で行われた。生成されたすべての結果は、心尖部四腔画像によるものである。最初に、DSEの結果から決定された正と負の結果について値を比較した。次に、DSE結果で確認された偽陽性を修正するためにDSE結果を修正して、比較を繰り返した。
【0097】
表1に、心尖部四腔画像でのDSEの結果(1=Pos、2=Neg)の安静状態およびストレス状態の主変形(mm)、せん断変形値(mm)、平均ΔX(mm)の値を示す。
【0098】
【0099】
表2に、調整後のDSEの結果(1=Pos、2=Neg)の安静状態およびストレス状態の主変形値(mm)、せん断変形(mm)およびX変形(mm)の平均を示す。
【0100】
【0101】
表3に、変数対調整後のDSEの独立標本T検定を示す。
【0102】
【0103】
サンプルデータから取得したさまざまなパラメータの値から、機械学習を使用して、調整されたドブタミン負荷心エコー(DSE)の結果の指標として各パラメータの精度を決定してもよい。上記のデータを用い、10分割交差検証法を備えたJ48剪定決定木を使用してデータが分類された。診断結果の指標としての各パラメータの精度は、以下の表に要約されており、ここでは、次の略語が使用されている:TP=真陽性、FP=偽陽性、FN=偽陰性、TN=真陰性、PPV=陽性的中率、およびNPV=陰性的中率。
【0104】
表4、コンサルタントの解釈の精度。
【0105】
【0106】
表5、調整されたDSEの結果に対するストレス状態の主変形の精度。
【0107】
【0108】
表6、調整されたDSEの結果に対する安静状態の主変形の精度。
【0109】
【0110】
表7、調整されたDSEの結果に対するストレス状態のせん断変形の精度。
【0111】
【0112】
表8、調整されたDSEの結果に対する安静状態のせん断変形の精度。
【0113】
【0114】
次に、すべての変数から、機械学習を使用して、データから正確な診断を提供するために、
図13に示す決定木が導き出された。決定木は一連の決定点を定義し、各決定点はパラメータの参照値またはしきい値を定義する。決定木は、次のように動作する単純なアルゴリズムの概要を示す。最初に、上記のような左心室202の主変形が心臓のストレス状態について決定される。変形が-5.95mm未満(つまり、大きさが5.95mmより大きい負の値)の場合、診断は陰性である。値が-5.95mmより大きい場合(つまり、大きさが5.95mmより大きい負の値)、安静状態とストレス状態の間の主変形の差は12.278053mmより大きい場合、診断は負になるが、その距離より短い場合、診断は陽性となる。決定木の構造、および決定木内の各決定点における参照またはしきい値は、行われる診断に依存することが理解されよう。
【0115】
上述の処理ユニット106は、冠状動脈疾患を診断するための固定(静的)診断モデルを実装する。
図13に示すように、決定木は一連の決定点を定義し、各決定点はパラメータの参照値またはしきい値を定義する。処理ユニット106は、動的診断モデルを実装してもよい。決定木の各決定点における参照値または閾値は、例えば、新しい心臓超音波検査データおよび/または結果データを反映するように動的に修正されてもよい。少なくとも特定の実施形態では、これは、改善された診断機能を提供することができる。
【0116】
新しい心臓超音波検査データは、既存の参照データのセットに段階的に追加されてもよい。新しいデータはデータ母集団を拡大するために使用され、診断モデルを徐々に変更する可能性がある。決定木で使用される参照値またはしきい値は、有効な心臓超音波検査データを反映するように更新されてもよい。参照データの反復的な発展により、診断モデルを時間の経過とともに変化させることができる。本明細書で説明される決定木は、監視された機械学習モデルなどの他の分析ツールで置き換えられてもよいことが理解されよう。
【0117】
結果データは、例えば血管造影データおよび/または心臓事象に関する、各患者の診断情報を含む。本実施形態における結果データは、参照データセットで使用される収縮末期画像および拡張末期画像の取得後の経過時間中に冠動脈疾患の有無が検出されたかどうかを示す。結果データは、例えば、心臓超音波検査データの取得の1年、2年、3年、またはそれより長期間後に生成されてもよい。本実施形態における結果データは、心エコー検査データを取得してから1年後に生成される。結果データは、経過時間中に発生した血管造影データおよび心臓事象を考慮することによって編集される。結果データは時間とともに進化し続けることが理解されよう。したがって、結果データは継続的に、たとえば年次ベースで、または分類が変更されたときに更新され得る。結果データを更新することにより、参照データに基づいて生成された診断ツールと診断モデルを動的に調整して、病理学的変化と患者の進展を表すことができる。
【0118】
動的診断モデルを実装するために、教師付き機械学習アルゴリズムを使用して分類モデルが構築される。結果データは、機械学習アルゴリズムによってアクセスされる参照データにラベルを付けるために使用される。機械学習アルゴリズムは、ラベルを使用して異なる分類を区別する。本実施形態では、分類は、冠動脈疾患の有無に対応する。あるいは、またはさらに、分類は、例えば、特定された狭窄レベルまたは割合に依存して、特定の状態を等級付けし得る。分類は他の条件を区別し得ることが理解されよう。診断モデルを生成するとき、機械学習アルゴリズムは、結果データから導出されたラベルに応じて参照データの相対的重み付けを調整することができる。少なくとも特定の実施形態では、結果データに応じて参照データを更新することにより、ストレスエコー図に基づいて診断精度を向上させることができる。
【0119】
診断モデルを構築するために、輪郭データから一連の特徴が計算される。特徴は、セグメントごとに(たとえば、本明細書で説明する要素Eiの1つまたは複数を分析することによって)、任意選択で左心室202全体に関して計算される。有効な特徴セットを分析して、最も関連性のある特徴を識別する。これにより、最も適切な特徴を識別して、診断モデルを構築できる。(複数の決定木で構成される)ランダムフォレストの場合、識別された特徴が決定ノードを形成する。最も関連性の高い特徴は、地域によって異なる場合や、疾患の進展に伴って変化する場合があり、モデルで使用するために識別された特徴は変更される場合がある。特徴が同じであっても、しきい値と重み付けは変更される場合がある。本明細書の表1および2に示されるように、ピークストレスでの駆出率として、最重要の特徴は変化しない。ただし、次に重要な特徴は、さまざまな条件によって異なる。最初のデータセット(表1)では、収縮末期と拡張末期の間の体積変化が次に最も関連している。ただし、結合されたデータセットでは、二腔画像で安静時の特定のセグメントの領域が次に最も関連している。モデルをトレーニングするには、参照データにラベルを付ける必要がある。潜在的な不正確さを考慮して、ラベルとして(心臓専門医によって決定された)ストレスエコーの結果を使用しても、必ずしも正確なモデルが導出されるとは限らない。参照データの取得後一定期間(たとえば、心臓超音波画像の取得後1年)に収集された結果データを使用すると、これらの欠陥の少なくとも一部を克服または改善できる。
【0120】
結果データは、さまざまな期間にわたって収集できる。結果データは、少なくとも特定の実施形態では、冠状動脈疾患の影響をどれだけ前もって特定できるかを示す指標を提供することができる。さらに、複数のクラスのラベルを使用して、さまざまな疾患の重症度を予測できる。疾患が進展したり人口が変化する可能性があるため、より多くの結果データが蓄積されると、診断モデルが更新され、分類が可能な限り正確に保たれるようになる。これは、新しい結果データが受信されるたびにモデル全体を再トレーニングすることで実行できる。実際には、これには時間がかかる場合がある。別の方法として、診断モデルを継続的に更新するために、プロセッサによって増分機械学習技術を実装することができる。
【0121】
次に、分類モデルの実装について、第1の参照データセットおよび第2の参照データセットを参照して説明する。最初のデータセットは、124のストレス心エコー図の最初のセット(2011年5月から2013年8月の間にオックスフォードで収集)で構成される。2番目のデータセットは、個別の研究(2015年3月から2016年8月の間にテムズバレー全体の6つの異なる病院で収集)から得られた339のストレス心エコー図のセットで構成されている。結果データは、ストレス心エコー図を取得してから1年後に編集される。結果データは、バイナリの結果値を生成する。特に、経過した1年の間に次のイベントのいずれかが識別された場合、結果は肯定的であると見なされる:
(i)心臓事象(例、心筋梗塞);
(ii)70%を超える狭窄を示した血管造影。
経過した1年の間に前述の事象(i)または(ii)のいずれも発生しなかった場合、結果は否定的と見なされる。最初のデータセットでは、10の肯定的な結果が識別され、2番目のデータセットでは、13の肯定的な結果が識別された。
【0122】
結果を予測するための最も関連性の高い特徴を評価するR統計的計算環境のBorutaパッケージ。Borutaパッケージは、属性の重要性を可能なものとランダムに比較することにより、特徴の選択を実行する。500本の木を持つランダムフォレストを含む標準実装が実装された。表9は、最初のデータセットの最も重要な特徴とその平均重要度スコアを示す。2番目のデータセットが最初のデータセットに追加された。表10は、1番目と2番目のデータセットを組み合わせた場合の最も重要な特徴とその平均重要度スコアを示す。処理に使用できるデータが増えると、最も関連する特徴が変化する。これは、参照データが追加されると分類モデルが変わる可能性があることを示している。これらの変更は、追加の参照データが後日取得された場合、および/またはより広範囲の地理的領域にわたって取得された場合に、より顕著になると考えられる。本明細書ではランダムフォレストモデルの使用について説明したが、別のモデル、または実際にはモデルの組み合わせを使用できることは理解されよう。
【0123】
表9、最初のデータセットを使用する最も関連性の高い特徴。
【0124】
【0125】
表10、1番目と2番目のデータセットの結合データを使用した最も関連性の高い特徴。
【0126】
【0127】
新しい参照データを組み込むことができる継続的な学習戦略の実装により、より堅牢で正確な診断モデルを実現できる。新しい参照データを段階的に組み込むことにより、新しいデータが有効になるたびに、(特に参照データセットのサイズが大きくなるにつれて時間のかかるプロセスであることを示す)モデル全体を再トレーニングする必要性を減らすか回避することができる。さらに、診断モデルは、時間とともに変化する疾患の特徴に適応できる。人々の環境やライフスタイルの変化により、最も関連性の高いバイオマーカーが時間とともに変化する可能性があり、モデルはこれらに対応する必要があるため、これは特に重要である。動的診断モデルは、心血管疾患の様相と特性の変化に適応できるため、堅牢で正確な予測モデルを提供できる。
【0128】
ここで説明する動的診断モデルは、1年間にわたって取得された結果データを利用する。結果データは、異なる期間にわたって蓄積されてもよいことが理解されよう。より長い期間にわたる結果データを組み合わせることにより、より長い期間にわたる動的診断モデルの予測力を評価することができる。
【0129】
本出願は、心血管疾患を参照して説明されてきた。しかしながら、本明細書に記載される方法および装置は他の用途を有し得ることが理解されるであろう。例えば、環境が変化して腫瘍のサイズ、外観、または石灰化が変化した場合に、変化する腫瘍のイメージングバイオマーカーに適応する診断ツールを開発できる。さらに、この技法は心臓超音波検査以外の画像システムにも適用し得る。
【0130】
添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された実施形態に様々な変更を加えることができることが理解されよう。