特許 7008852 印刷アタッチメント

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B1)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2022-01-13

(45)【発行日】2022-01-25

(54)【発明の名称】印刷アタッチメント

(51)【国際特許分類】

   B41J 2/01 20060101AFI20220118BHJP

   B41J 11/02 20060101ALI20220118BHJP

   B41J 13/10 20060101ALI20220118BHJP

【ＦＩ】

B41J2/01 301

B41J11/02

B41J13/10

【請求項の数】 8

(21)【出願番号】P 2021036730

(22)【出願日】2021-03-08

【審査請求日】2021-03-12

(73)【特許権者】

【識別番号】518228013

【氏名又は名称】長屋印刷株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100153268

【弁理士】

【氏名又は名称】吉原 朋重

(72)【発明者】

【氏名】中川 剛

【審査官】上田 正樹

(56)【参考文献】

【文献】特開２０１３－２２７０８９（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１６－１１３７１８（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００９－２４１３７０（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開平０３－１５２０４６（ＪＰ，Ａ）

【文献】中国特許出願公開第１０９５１５０１１（ＣＮ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｂ４１Ｊ ２／０１

Ｂ４１Ｊ １１／０２

Ｂ４１Ｊ １３／１０

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

印刷対象物を載置するための第１板状体と、前記第１板状体上に載置される前記印刷対象物に画像を形成する印刷手段と、を備える印刷装置に取り外し自在に装着可能な印刷アタッチメントであって、
当該印刷アタッチメントを使用しない前記印刷装置の通常使用を妨げない程度の厚みを備え、前記第１板状体上に複数個設置され、かつ、当該印刷アタッチメントを設置する面において、前記複数個のうち少なくとも一つの磁極が異なるように設置される第１磁石と、
第２板状体と、前記第２板状体の裏面において、前記第１板状体上の正位置に設置するとき、前記第１磁石と相対する位置に、前記第１磁石側の磁極が該第１磁石の磁極と反対になるように設置される第２磁石と、を備えるアタッチメント本体と、を有し、
前記アタッチメント本体の表面が覆われるように前記印刷対象物を設置し、全ての前記第１磁石と前記第２磁石とが引き付けあう前記正位置に前記アタッチメント本体を設置した状態で、前記印刷対象物に対する前記印刷手段による画像形成処理が行われることを特徴とする印刷アタッチメント。

【請求項2】

前記第２板状体が、前記印刷手段による印刷処理の後工程で行う加熱プレス処理に耐えられるように耐熱性及び前記印刷対象物の設置容易性を向上させるように弾力性を備えることを特徴とする請求項１に記載の印刷アタッチメント。

【請求項3】

前記第２磁石の高さが、全て同じであることを特徴とする請求項１又は２に記載の印刷アタッチメント。

【請求項4】

前記第１磁石の高さが、３ｍｍ以下であることを特徴とする請求項１乃至３の何れか一に記載の印刷アタッチメント。

【請求項5】

前記第２磁石の高さが、１０ｍｍ程度であることを特徴とする請求項１乃至４の何れか一に記載の印刷アタッチメント。

【請求項6】

前記第２板状体の表面において、前記アタッチメント本体を前記正位置に設置したときの前記印刷手段による印刷方向に基づく前記印刷対象物の適切な設置方向を知らせる案内表示が備えられることを特徴とする請求項１乃至５の何れか一に記載の印刷アタッチメント。

【請求項7】

前記印刷対象物が、マスクであることを特徴とする請求項１乃至６の何れか一に記載の印刷アタッチメント。

【請求項8】

請求項１乃至７の何れか一に記載の前記印刷アタッチメントを備える印刷装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

印刷装置に後付け可能な付属器具の技術に関する。

【背景技術】

【0002】

印刷装置には、印刷対象物の性質に応じ、様々な画像形成の方法や印刷対象物の搬送の方法があり、各印刷装置に適した印刷対象物の性質がある。従って、一の印刷装置が推奨する印刷対象物の範疇から外れるものに対する印刷品質を向上させるために、アタッチメント（付属器具）を利用する場合がある。

【0003】

例えば、特許文献１では、大型かつ高価な熱プレス機を必要とせず、簡単かつ安価に熱転写印刷を実施することが可能な熱転写装置のアタッチメントの技術が提案されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【文献】特開２０１９－０５９０８６号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

しかしながら、上記の従来技術では、印刷装置において、大きさ・形状など印刷対象物が非定型の場合、印刷対象物上の希望位置に正確に画像を形成することができないという問題点があった。

【0006】

さらに、上記の従来技術では、市販の印刷装置を活用し、かつ、アタッチメント装着前の印刷装置の機能を損なわずに、必要なときのみ期待する機能を発揮させるということができないという問題点があった。

【0007】

そこで本発明では、上記問題点に鑑み、市販の印刷装置に後付け可能であると共に、装着前の印刷装置の機能を損なわずに、特定の印刷対象物に印刷するときに装着して、希望位置への正確な画像形成を可能にする印刷アタッチメントを提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0008】

開示する印刷アタッチメントの一形態は、印刷対象物を載置するための第１板状体と、前記第１板状体上に載置される前記印刷対象物に画像を形成する印刷手段と、を備える印刷装置に取り外し自在に装着可能な印刷アタッチメントであって、当該印刷アタッチメントを使用しない前記印刷装置の通常使用を妨げない程度の厚みを備え、前記第１板状体上に複数個設置され、かつ、当該印刷アタッチメントを設置する面において、前記複数個のうち少なくとも一つの磁極が異なるように設置される第１磁石と、第２板状体と、前記第２板状体の裏面において、前記第１板状体上の正位置に設置するとき、前記第１磁石と相対する位置に、前記第１磁石側の磁極が該第１磁石の磁極と反対になるように設置される第２磁石と、を備えるアタッチメント本体と、を有し、前記アタッチメント本体の表面が覆われるように前記印刷対象物を設置し、全ての前記第１磁石と前記第２磁石とが引き付けあう前記正位置に前記アタッチメント本体を設置した状態で、前記印刷対象物に対する前記印刷手段による画像形成処理が行われることを特徴とする。

【発明の効果】

【0009】

開示する印刷アタッチメントは、市販の印刷装置に後付け可能であると共に、装着前の印刷装置の機能を損なわずに、特定の印刷対象物に印刷するときに装着して、希望位置への正確な画像形成を可能にする。

【図面の簡単な説明】

【0010】

【図1】本実施の形態に係る印刷装置の一例を示す図である。

【図2】本実施の形態に係る第１板状体及び第１磁石の設置例を示す図である。

【図3】本実施の形態に係る第１板状体及び第１磁石の設置例を示す図である。

【図4】本実施の形態に係るアタッチメント本体の構造を示す図である。（ａ）は表面、（ｂ）は裏面を表している。

【図5】本実施の形態に係る印刷アタッチメントの使用方法を示す図である。

【図6】本実施の形態に係る印刷アタッチメントの使用方法を示す図である。

【図7】本実施の形態に係る印刷アタッチメントの使用方法を示す図である。

【図8】本実施の形態に係る印刷アタッチメントの使用方法を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0011】

図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について説明する。
（本実施の形態に係る印刷アタッチメントの構造）

【0012】

図１乃至４を用いて、本実施の形態の印刷アタッチメント１の構造について説明する。印刷アタッチメント１は、市販の印刷装置１２に後付けすることによって、大きさ・形状などが非定型の印刷対象物２０に対し、印刷対象物２０上の希望位置に正確に画像を形成することを可能とする。なお、非定型の印刷対象物２０とは、マスクであることが好適であるが、マスク以外のものであっても良い。

【0013】

また、印刷アタッチメント１は、印刷装置１２によって特定の印刷対象物２０に印刷するときのみ使用（装着）し、印刷アタッチメント１を使用しないとき、印刷装置１２は、元来の機能を損なうことなく印刷処理を行うことができる。

【0014】

図１で示すように、印刷装置１２は、一般的な機能を備える市販の印刷装置であって、印刷対象物２０を載置するための第１板状体１４と、第１板状体１４上に載置される印刷対象物２０に画像を形成する印刷手段１８と、を備える。印刷装置１２は、布用印刷装置であることが好適であるが、印刷の対象とする媒体は、布に限定されるものではない。また、第１板状体１４は、例えば、プラテンと呼ばれる部位であり、印刷手段１８は、例えば、印刷ヘッドと呼ばれる部位である。
印刷アタッチメント１は、印刷装置２０に対し取り付け・取り外し自在に装着可能であり、第１磁石２、アタッチメント本体４を有する。

【0015】

図２及び３で示すように、第１磁石２は、第１板状体１４上に複数個設置される磁石である。第１磁石２は、印刷アタッチメント１を設置する面において、設置される複数個のうち少なくとも一つの磁極（上向き又は下向きの磁極）が異なるように設置される。第１磁石２は、印刷アタッチメント１を使用（装着）しないとき、印刷装置１２の通常使用を妨げない程度の高さである。第１磁石２の高さ（厚さ）は、３ｍｍ以下であることが好適である。

【0016】

図４で示すように、アタッチメント本体４は、第２板状体６、第２磁石８を有する。第２板状体６は、印刷手段１８による印刷処理の後工程で行う加熱プレス処理に耐えられるように耐熱性を備え、また、印刷対象物２０の設置容易性を向上させるように弾力性を備える。

【0017】

図４（ａ）で示すように、第２板状体６は、表面に、アタッチメント本体４を第１板状体１４上の正位置１６に設置したときの印刷手段１８による印刷方向に基づく印刷対象物２０の適切な設置方向を知らせる案内表示１０を備える。案内表示１０があることによって、第２板状体１４上に印刷対象物２０を正しい向きに設置することができる。

【0018】

図４（ｂ）で示すように、第２磁石８は、第２板状体６の裏面に設置される磁石である。第２磁石８は、第２板状体６の裏面に、アタッチメント本体４（第２磁石８）を第１板状体１４上の正位置１６に設置するとき、第１磁石２と相対する位置に、第１磁石２側の磁極が第１磁石２の磁極と反対になるように設置される。

【0019】

上記構成によって、アタッチメント本体４（第２磁石８）は、第１板状体１４上の正位置１６に配置させたときのみ、安定的に動き難い状態（印刷に適した状態）となる。それに加えて、第１磁石２と第２磁石８とが安定的にくっ付かないことによって、アタッチメント本体４（第２磁石８）が正位置１６に配置されていないことを検出し易い。

【0020】

なお、第２磁石８の数は、第１磁石２の数と同数である。また、第２磁石８の高さは、全て同じく１０ｍｍ程度であることが好適である。このように、第２磁石８にある程度の高さが有った方が印刷対象物２０と印刷手段１８との距離を近くし印刷品質を向上させたり、印刷対象物２０の中でも印刷をしない部位を第２板状体６の側面や裏面に潜り込ませることによって印刷部位の印刷品質を向上させたりすることができる。

【0021】

印刷手段１８は、指定した位置に正確に画像を形成する。従って、上記した第１磁石２及び第２磁石８の構成に基づいて、非定型の印刷対象物２０であっても、印刷対象物２０は、第１板状体１４上の所望の位置に正確に配置されるため、印刷手段１８による印刷は、印刷対象物２０上の所望の位置に正確に行われる。
（本実施の形態に係る印刷アタッチメントの使用方法）

【0022】

図５乃至８を用いて、印刷アタッチメント１の使用方法について説明する。ここでは、印刷対象物２０は、マスクとして説明する。図５乃至７で示すように、アタッチメント本体４の表面（第２磁石８が無い方の面）を覆うように、印刷対象物２０の印刷する面を外側に向けて印刷対象物２０をアタッチメント本体４に設置する。

【0023】

このとき、印刷対象物２０の印刷をしない部位は第２板状体６の側面や裏面に潜り込ませ、また、印刷対象物２０の印刷をする部位がなるべく平らになるように印刷対象物２０をアタッチメント本体４に設置する。

【0024】

その後、全ての第１磁石２と第２磁石８とが引き付けあう正位置１６にアタッチメント本体４を設置した状態で、印刷手段１８による印刷対象物２０に対する画像形成処理を実行させる。このように、印刷対象物２０の中でも印刷が行われる部位のみ高くし、印刷手段１８に近付けることによって、印刷手段１８による印刷品質を向上させている。また、印刷対象物２０の中でも印刷が行われる部位のみ平らにすることによっても、印刷手段１８による印刷品質の向上に寄与している。

【0025】

印刷手段１８による画像形成処理が終わった後、印刷対象物２０をアタッチメント本体４ごと加熱処理用プレス機に設置して、印刷対象物２０に施された印刷物（インク等）を定着させるために加熱・加圧処理を行う。

【0026】

なお、アタッチメント本体４は、力を入れれば第１磁石２から容易に引き離すことができ、かつ、第１磁石２は非常に薄いため、印刷装置１２は、印刷アタッチメント１を使用しない、通常の印刷処理を難なく行うことができる。

【0027】

上記のように、印刷アタッチメント１は、市販の印刷装置１２に後付け可能であると共に、装着前の印刷装置１２の機能を損なわずに、特定の印刷対象物２０に印刷するときに装着して、希望位置への正確な画像形成を可能にする。

【0028】

以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲において、種々の変形・変更が可能である。

【符号の説明】

【0029】

１ 印刷アタッチメント
２ 第１磁石
４ アタッチメント本体
６ 第２板状体
８ 第２磁石
１０ 案内表示
１２ 印刷装置
１４ 第１板状体
１６ （第１板状体上の）正位置
１８ 印刷手段
２０ 印刷対象物
２２ マスク

【要約】      （修正有）

【課題】市販の印刷装置に後付け可能であると共に、装着前の印刷装置の機能を損なわずに、特定の印刷対象物に印刷するときに装着して、希望位置への正確な画像形成を可能にする。
【解決手段】印刷対象物を載置する第１板状体と、印刷対象物に画像を形成する印刷手段と、を備える印刷装置に取り外し自在に装着可能であって、印刷装置の通常使用を妨げない程度の厚みを備え、第１板状体上に複数個設置され、かつ、そのうち少なくとも一つの磁極が異なるように設置される第１磁石と、第２板状体と、第２板状体の裏面において、第１板状体上の正位置に設置するとき、第１磁石と相対する位置に、第１磁石側の磁極が第１磁石の磁極と反対になるように設置される第２磁石と、を備えるアタッチメント本体と、を有し、表面を印刷対象物で覆ったアタッチメント本体を正位置に設置し、画像形成が行われることを特徴とする。
【選択図】図１

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】