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特許7008875アミドメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーを製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】アミドメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 212/08 20060101AFI20220118BHJP
   C08F 8/30 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
C08F212/08
C08F8/30
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021517913
(86)(22)【出願日】2019-06-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 EP2019065115
(87)【国際公開番号】W WO2019238625
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2020-12-09
(31)【優先権主張番号】18177652.7
(32)【優先日】2018-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505422707
【氏名又は名称】ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ベルント・コープ
【審査官】西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-519652(JP,A)
【文献】特表2019-518853(JP,A)
【文献】特表2018-501392(JP,A)
【文献】特表2017-538845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 212/08
C08F 8/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミドメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーを調製するための方法であって、
少なくとも1種のビニル芳香族粒状ポリマーを、式(I):
【化1】
[式中、R=-CH-(C~C-アルキル)若しくは-CH-であり且つR=-CH-(C~C-アルキル)若しくは-CH-であるか、又はRとRとが、任意選択により1個若しくは2個のC~C-アルキル基で置換されていてもよい芳香族C環の2個の炭素原子であるか、又はRとRとがそれぞれ-CH=である]
の少なくとも1種の化合物又はその塩と、
少なくとも1種の縮合ホルムアルデヒドとを、
少なくとも1種のプロトン酸の存在下、及び
少なくとも1種の式(II):
(3-n)C(Br) (II)
[式中、R=C~C-アルキル、Br、H、又はC~C-ブロモアルキルであり、そしてnは、0又は1であってよいが、n=0の場合には、R=C~C-ブロモアルキル又はBrである]
の化合物の存在下に反応させることを特徴とする方法。
【請求項2】
使用される前記式(II)の化合物が、ジブロモメタン、1,3-ジブロモプロパン、又はそれらの混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
使用される前記プロトン酸が硫酸であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
使用される前記縮合ホルムアルデヒドが、パラホルムアルデヒド若しくはトリオキサン、又はそれらの化合物の混合物であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ビニル芳香族粒状ポリマーが、スチレン/ジビニルベンゼンコポリマーであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
使用される前記式(I)の化合物が、フタルイミド又はその塩であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
使用される前記ビニル芳香族粒状ポリマーが、単分散性のビニル芳香族粒状ポリマーであることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
使用される前記ビニル芳香族粒状ポリマーが、マクロポーラスな単分散性のビニル芳香族粒状ポリマーであることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記式(II)の化合物の、前記式(I)の化合物に対するモル比が、3.5:1から10:1までであることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ビニル芳香族粒状ポリマー中の芳香族基の、前記式(I)の化合物に対するモル比が、0.5:1から1.8:1までであることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記式(I)の化合物の、縮合ホルムアルデヒドに対するモル比が、0.95:1から1.1:1までであることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記式(I)の化合物の、使用される前記プロトン酸に対するモル比が、10:1から1:10までであることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記ビニル芳香族粒状ポリマーを前記アミドメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーに転化させるための反応温度が、10℃~80℃の間であることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミドメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーを調製するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
アミドメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーの調製は、ずっと以前から公知である。(特許文献1)には、膨潤剤及びフリーデル・クラフツ触媒の存在下に、架橋させたスチレンの粒状ポリマーを、N-ヒドロキシメチルフタルイミドと縮合させることが可能であることが開示されている。このプロセスの欠点は、最初にフタルイミドからN-ヒドロキシメチルフタルイミドを調製しなければならないこと、その反応の際に水を留去しなければならないこと、ハロゲン化水素酸を添加しなければならないこと、並びにアミドメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーの収率が不十分であることである。
【0003】
膨潤剤としての1,2-ジクロロエタンの存在下に、単一工程で、フタルイミド、パラホルムアルデヒド、硫酸を反応させる、アミドメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーを調製するためのさらなるプロセス、及びそのようなビニル芳香族粒状ポリマーは、(特許文献2)から公知である。その中には、1,2-ジクロロエタンの代替物としての、各種の膨潤剤が記述されている。このプロセスにおける同様な欠点は、アミドメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーの収率が不十分であることである。
【0004】
そのプロセスで使用される膨潤剤が1,3-ジクロロプロパンである、アミドメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーを調製するためのさらなる単一工程のプロセスが、(特許文献3)から公知である。この膨潤剤は、工業的には、製品から複雑な方法によってのみ、分離することが可能であり、そのため、コスト的に劣る。この場合もやはり、アミドメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーの収率が、依然として、あまりにも低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国特許出願公開第A2211134号明細書
【文献】米国特許第A4232125号明細書
【文献】欧州特許出願公開第A3012272号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、従来技術の欠点を克服し、それによりアミドメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーを効率的に調製することが可能なプロセスが、依然として必要とされていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことには、選択された臭素化膨潤剤の存在下で、ビニル芳香族粒状ポリマーの、縮合ホルムアルデヒド及びプロトン酸との反応が、適切な反応条件下で進行し、アミドメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーが高収率で得られるということが今や見出された。
【発明を実施するための形態】
【0008】
従って、本発明は、アミドメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーを調製するためのプロセスを提供するが、そこでは、少なくとも1種のビニル芳香族粒状ポリマーを、式(I):
【化1】
[式中、R=-CH-(C~C-アルキル)若しくは-CH-であり且つR=-CH-(C~C-アルキル)若しくは-CH-であるか、又はRとRとが、任意選択により場合によっては1個若しくは2個のC~C-アルキル基で置換された芳香族C環の2個の炭素原子であるか、又はRとRとがそれぞれ-CH=である。]
の少なくとも1種の化合物又はその塩と、
少なくとも1種の縮合ホルムアルデヒドとを、少なくとも1種のプロトン酸の存在下及び式(II):
(3-n)C(Br) (II)
[式中、R=C~C-アルキル、Br、H、又はC~C-ブロモアルキルであり、そしてnは、0又は1であってよいが、n=0の場合には、R=C~C-ブロモアルキル又はBrである]
の少なくとも1種の化合物の存在下に反応させる。
【0009】
とRとが結合されて、任意にC~C-アルキル-置換されていてもよい芳香族C環を形成しているのが好ましい。RとRとが結合されて、場合によってはC~C-アルキルで置換されているベンゼン環を形成しているのが、より好ましい。式(I)の化合物が、フタルイミド、スクシンイミド、又はマレイミドであれば、極めて特に好ましい。式(I)の化合物がフタルイミドであれば、さらにより好ましい。フタルイミドを使用した場合には、本発明では、フタルイミドメチル化粒状ポリマーが得られる。式(I)の化合物の塩は、有機又は無機の酸又はアルカリと式(I)の化合物との付加生成物、たとえば、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の塩、塩化物、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、ギ酸遠、又はクエン酸塩を意味していると理解するのが好ましい。使用される各種の塩としては、式(I)の化合物の塩化物又は硫酸塩が、より好ましい。
【0010】
式(II)において、C~C-ブロモアルキルは、臭素原子によって一置換されたC~C-アルキル基である。たとえば且つ好ましくは、C~C-ブロモアルキルが、ブロモメチル、1-ブロモエチル、2-ブロモエチル、1-ブロモプロピル、2-ブロモプロピル、ブロモシクロプロピル、1-ブロモブチル、2-ブロモブチル、又は3-ブロモブチルである。
【0011】
より好ましくは、C~C-ブロモアルキルが、1-ブロモエチル及び2-ブロモエチルである。
【0012】
は、好ましくは、C~C-ブロモアルキルである。
【0013】
好ましくは、n=1である。
【0014】
本発明との関連においては、C~C-アルキルは、1~6個の炭素原子を有する、直鎖状、環状、分岐状、又は非分岐状のアルキル基である。たとえば且つ好ましくは、C~C-アルキルが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n-プロピル、n-、i-、s-若しくはt-ブチル、ペンチル、又はヘキシルである。
【0015】
本発明との関連においては、C~C-アルキルは、1~4個の炭素原子を有する、直鎖状、環状、分岐状、又は非分岐状のアルキル基である。たとえば且つ好ましくは、C~C-アルキルが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n-プロピル、n-、i-、s-若しくはt-ブチルである。
【0016】
~C-アルキルは、好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、及びイソプロピルである。
【0017】
縮合ホルムアルデヒドは、ホルムアルデヒドの縮合物を意味していると理解されたい。このタイプの化合物は、当業者には公知の慣用される方法で調製される。縮合ホルムアルデヒドとして使用される化合物としては、たとえば、式(III)のものが挙げられる
【化2】
[式中、n=8~100である]。n=8~15である式(III)の化合物を使用するのが好ましい。n=8~30である式(III)の化合物を使用するのが特に好ましい。
【0018】
しかしながら、環状の縮合物、たとえばトリオキサンを使用することもまた可能である。使用される縮合ホルムアルデヒドが、パラホルムアルデヒド若しくはトリオキサン、又はそれらの化合物の混合物であれば、より好ましい。使用される縮合ホルムアルデヒドが、パラホルムアルデヒドであれば、最も好ましい。
【0019】
式(II)の化合物は、特には、粒状ポリマーのための膨潤剤であるが、アミドアルキル化反応においては、さらなる反応物のための溶媒としても同様に機能する。本発明との関連において使用される式(II)の化合物は、好ましくは以下のものである:ブロモメタン、ブロモエタン、1-ブロモプロパン、2-ブロモプロパン、1-ブロモブタン、2-ブロモブタン、ジブロモメタン、1,2-ジブロモエタン、1,1-ジブロモエタン、1,3-ジブロモプロパン、1,2-ジブロモプロパン、1,1-ジブロモプロパン、1,4-ジブロモブタン、若しくは1,2-ジブロモブタン、又はそれらの化合物の混合物。使用される式(II)の化合物は、より好ましくは、ジブロモメタン若しくは1,3-ジブロモプロパン、又はそれらの化合物の混合物である。使用される式(II)の化合物は、最も好ましくは、ジブロモメタンである。
【0020】
使用されるプロトン酸は、たとえば、無機又は有機のプロトン酸であってよい。使用される無機プロトン酸は、たとえば、塩酸、硫酸、発煙硫酸、硝酸、亜硝酸、亜硫酸、脂肪族若しくは芳香族のメタン-、ベンゼン-若しくはトルエン-スルホン酸、又はリン酸である。有用な有機プロトン酸としては、たとえば、シュウ酸、酢酸、又はギ酸が挙げられる。無機プロトン酸を使用するのが好ましい。使用されるプロトン酸が硫酸又は発煙硫酸であれば、より好ましい。
【0021】
本発明の目的のための粒状ポリマーは、球状の架橋されたポリマーである。本発明の文脈においては、「ビニル芳香族」という用語には、ポリビニル芳香族及びモノビニル芳香族のモノマーが含まれる。ビニル芳香族粒状ポリマーは、たとえば、少なくとも1種のモノビニル芳香族化合物と少なくとも1種のポリビニル芳香族化合物とを使用して調製される。しかしながら、2種以上のモノビニル芳香族化合物の混合物、及び2種以上のポリビニル芳香族化合物の混合物を使用することもまた可能である。少なくとも1種のモノビニル芳香族化合物と少なくとも1種のポリビニル芳香族化合物を使用することによりビニル芳香族粒状ポリマーを調製するのが好ましい。
【0022】
本発明との関連において使用されるモノビニル芳香族化合物は、好ましくは、スチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン、及びクロロメチルスチレンである。
【0023】
スチレン、又はスチレンと上述のモノマーとの混合物を使用するのが、特に好ましい。
【0024】
本発明との関連において好ましいポリビニル芳香族化合物は、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、又はトリビニルナフタレンである。
【0025】
ポリビニル芳香族化合物は、モノマー、又はさらなるモノマーとそれとの混合物を基準にして、好ましくは1~20重量%の量、より好ましくは2~12重量%、最も好ましくは4~10重量%の量で使用する。ポリビニル芳香族化合物(架橋剤)のタイプは、粒状ポリマーの以後の用途を考慮に入れて選択する。多くの場合、ジビニルベンゼンが好適である。ほとんどの用途では、ジビニルベンゼンの異性体に加えてさらにエチルビニルベンゼンを含んでいるような、市販されているジビニルベンゼンのグレードで充分である。
【0026】
好ましい実施態様においては、ビニル芳香族粒状ポリマーが、スチレン/ジビニルベンゼン-架橋コポリマーである。
【0027】
本発明の好ましい実施態様においては、マイクロカプセル化されたモノマーの液滴が使用される。
【0028】
モノマーの微少液滴をマイクロカプセル化するために使用することが可能な物質は、複合コアセルベートとしての使用で公知のもの、特にポリエステル、天然及び合成のポリアミド、ポリウレタン、ポリウレアである。
【0029】
天然のポリアミド、たとえばゼラチンであれば、特に良好な適合性を有している。後者は、特に、コアセルベート及び複合コアセルベートの形態で採用される。ゼラチン含有複合コアセルベートは、本発明との関連においては、特に、ゼラチンと合成高分子電解質との組合せを意味していると理解されたい。好適な合成高分子電解質は、たとえば、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド及びメタクリルアミドの単位を組み込んだコポリマーである。アクリル酸及びアクリルアミドを使用するのが、特に好ましい。ゼラチン含有カプセルは、慣用される硬化剤、たとえばホルムアルデヒド又はグルタルアルデヒドを使用して硬化させることができる。ゼラチン、ゼラチン含有コアセルベート及びゼラチン含有複合コアセルベートを用いてモノマーの微小液滴をカプセル化させることについては、欧州特許出願公開第A0046535号明細書に詳しい記述がある。合成ポリマーを使用してカプセル化するための方法は公知である。極めて有用な方法の一例は、相界面縮合の方法であって、その場合、モノマーの微少液滴の中に溶解させた反応性成分たとえば、イソシアネート又は塩化アシルを、水相の中に溶解させた第二の反応性成分たとえばアミンと反応させる。
【0030】
場合によってマイクロカプセル化されたモノマーの微小液滴には、場合によっては、重合を誘導するための、重合開始剤、又は重合開始剤の混合物が含まれる。本発明の方法に有用な重合開始剤が、以下のものであるのが好ましい:ペルオキシ化合物、たとえばジベンゾイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ビス(p-クロロベンゾイル)ペルオキシド、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、tert-ブチルペルオクトエート、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、又はtert-アミルペルオキシ-2-エチルヘキサン、及びアゾ化合物たとえば、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)又は2,2’-アゾビス(2-メチルイソブチロニトリル)。
【0031】
重合開始剤は、モノマー混合物を基準にして、好ましくは重量で0.05%~2.5%の量、より好ましくは重量で0.1%~1.5%の量で使用する。
【0032】
粒状ポリマーの中にマクロポーラスな構造を発生させる目的で、場合によってはマイクロカプセル化されたモノマーの微少液滴の中で、場合によっては、ポロゲンをさらに使用してもよい。好適なポロゲンとしては、形成されるポリマーにとって、貧溶媒であるか及び/又は膨潤剤である有機溶媒が挙げられる。好ましいのは、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、イソドデカン、メチルエチルケトン、ブタノール、又はオクタノール、及びそれらの異性体である。特に好ましいのは、イソドデカンのポロゲンとしての使用である。本発明のアミドメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーの調製において、ポロゲンを使用するのが好ましい。
【0033】
「マイクロポーラス(microporous)」又は「ゲルの形態(in gel form)」/「マクロポーラス(macroporous)」という用語はすでに、技術文献に詳しく記載されている。
【0034】
本発明の目的のために好ましい粒状ポリマーは、マクロポーラスな構造を有している。
【0035】
本発明との関連において好ましいのは、「マクロポーラス」が意味しているのが、粒状ポリマーの中の細孔が50nm以下であるということである。
【0036】
場合によってマイクロカプセル化されたモノマーの微小液滴には、場合によってはさらに、(モノマーを基準にして)30重量%までの架橋又は非架橋のポリマーが含まれていてもよい。好ましいポリマーは、上述のモノマーから、より好ましくはスチレンから、誘導されたものである。
【0037】
粒状ポリマーは、ヘテロ分散性又は単分散性の形態で調製することができる。ヘテロ分散性粒状ポリマーの調製は、当業者に公知の一般的なプロセス、たとえば懸濁重合を用いて実施される。
【0038】
本発明のプロセスにおいては、単分散性のビニル芳香族粒状ポリマーを調製するのが好ましい。
【0039】
本出願においては、単分散の物質とは、その粒子の少なくとも90体積%又は90質量%が、最多直径(most common diameter)から±10%に入る直径を有しているようなものである。
【0040】
たとえば、0.5mmの最多直径を有する物質の場合なら、少なくとも90体積%又は90質量%が、0.45mm~0.55mmの範囲のサイズの中にあり;0.7mmの最多直径を有する物質の場合なら、少なくとも90体積%又は90質量%が、0.77mm~0.63mmの範囲のサイズの中にある。
【0041】
単分散性の粒状ポリマーは、文献から公知の方法で得ることができる。単分散性のビニル芳香族粒状ポリマーの調製において含まれる水相には、場合によっては、溶解された重合禁止剤が含まれていてもよい。水相に、溶解された重合禁止剤が含まれているのが好ましい。本発明の目的においては、有機及び無機両方の禁止剤が有用である。無機禁止剤の例は、窒素化合物、たとえばヒドロキシルアミン、ヒドラジン、亜硝酸ナトリウム及び亜硝酸カリウム、亜リン酸の塩、たとえば亜リン酸水素ナトリウム、さらには、硫黄化合物、たとえば亜ジチオン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、並びにチオシアン酸アンモニウムである。有機重合禁止剤の例は、フェノール系化合物たとえば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、レソルシノール、カテコール、tert-ブチルカテコール、ピロガロール、及びフェノールとアルデヒドとの縮合反応生成物である。有用な有機禁止剤としてはさらに、窒素化合物も挙げられる。そのようなものとしては、たとえば以下のものが挙げられる:ヒドロキシルアミン誘導体たとえば、N,N-ジエチルヒドロキシルアミン、N-イソプロピルヒドロキシルアミン、及びスルホン化又はカルボキシル化されたN-アルキルヒドロキシルアミン、又はN,N-ジアルキルヒドロキシルアミン誘導体、ヒドラジン誘導体たとえばN,N-ヒドラジノ二酢酸、ニトロソ化合物たとえばN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、又はN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩。禁止剤の濃度は、水相を基準にして、好ましくは5~1000ppm、より好ましくは10~500ppm、さらにより好ましくは10~250ppmである。
【0042】
単分散性のビニル芳香族粒状ポリマーを形成させるための、場合によってはマイクロカプセル化されたモノマーの微少液滴の重合は、場合によっては、先に説明したように、水相の中に1種又は複数種の保護コロイドを存在させて、実施する。有用な保護コロイドとしては、天然若しくは合成の水溶性ポリマー、たとえば、ゼラチン、デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、又は(メタ)アクリル酸から、及び(メタ)アクリレートエステルから形成されるコポリマーが挙げられる。極めて有用な保護コロイドとしてはさらに、セルロース誘導体、特にセルロースエステル及びセルロースエーテル、たとえばカルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。ゼラチンが特に有用である。使用される保護コロイドの量は、水相を基準にして、好ましくは重量で0.05%~1%、よし好ましくは重量で0.05%~0.5%である。
【0043】
単分散性のビニル芳香族粒状ポリマーを形成させるための重合は、場合によっては、緩衝システムの存在下で実施してもよい。好適な緩衝システムでは、重合開始時の水相のpHを14~6の間、好ましくは12~8の間の値とする。それらの条件下では、カルボン酸基を有する保護コロイドが、全面的又は部分的に塩として存在する。このことが、保護コロイドの作用に好ましい効果を有している。特に好適な緩衝システムとしては、リン酸塩又はホウ酸塩が挙げられる。本発明との関連においては、「リン酸塩」及び「ホウ酸塩」という用語には、対応する塩及び酸のオルトの形態の縮合反応生成物も含まれる。水相中のリン酸塩/ホウ酸塩の濃度は、好ましくは0.5~500mmol/L、より好ましくは2.5~100mmol/Lである。
【0044】
重合の際の攪拌機の速度は、通常のビーズ重合の場合とは異なって、あまり重要ではなく、粒径に影響を与えることはない。懸濁されたモノマー微小液滴を懸濁液中に保持し、重合熱の除去を促進するのに十分である、低い攪拌機速度が採用される。この作業には、各種のタイプの攪拌機を使用することができる。特に好適な攪拌機は、軸作用性のゲート攪拌機である。
【0045】
カプセル化されたモノマーの微小液滴の水相に対する体積比は、好ましくは1:0.75から1:20まで、より好ましくは1:1から1:6までである。
【0046】
重合温度は、使用した重合開始剤の分解温度に左右される。それは、好ましくは50~180℃の間、より好ましくは55~130℃の間である。好ましくは、重合は、0.5時間~数時間続ける。重合を低温、たとえば60℃で開始させ、重合転化率が上がるにつれて反応温度も上げていくという温度プログラムを採用するのが有用であるということが見出された。このようにすると、たとえば信頼のおける反応の進行や高い重合転化率といった要件を、極めて効果的に達成することが可能となる。重合反応の後、慣用される方法、好ましくは濾過又はデカンテーション法によってポリマーを単離し、場合によっては洗浄する。
【0047】
さらなる工程において、ビニル芳香族粒状ポリマーを、少なくとも1種の式(I)の化合物、少なくとも1種の縮合ホルムアルデヒドと、少なくとも1種の式(II)の化合物の存在下そして少なくとも1種のプロトン酸の存在下に、反応させて、アミドメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーを形成させる。
【0048】
たとえば、ビニル芳香族粒状ポリマーを最初に膨潤させ、その状態で、式(I)の化合物から、縮合ホルムアルデヒドから、そしてプロトン酸から形成される混合物と混合してもよい。しかしながら、最初に、式(II)の化合物の存在下に、架橋させる粒状ポリマーに式(I)の化合物を添加し、次いで、縮合ホルムアルデヒドを、さらに次いで、プロトン酸を添加するということも同様に可能であろう。或いは、式(I)、(II)及び(III)の化合物の初期仕込みに対してプロトン酸を添加し、それに続けてビニル芳香族粒状ポリマーを添加する。最初に、式(II)の化合物の存在下に架橋された粒状ポリマーを膨潤させ、次いで、式(I)の化合物又は縮合ホルムアルデヒドを添加し、その後でプロトン酸を添加するのが好ましい。式(II)の化合物は、蒸留によって分離除去するのが好ましい。反応生成物を、当業者公知のプロセスによって仕上げ処理する。反応混合物を加熱するのが好ましい。反応は、好ましくは、ワンポット反応として実施する。反応は、生成する中間体を反応溶液から分離することなく実施するのが好ましい。
【0049】
式(II)の化合物の、式(I)の化合物に対するモル比は、好ましくは、2:1から15:1までである。式(II)の化合物の、式(I)の化合物に対するモル比が、3.5:1から10:1までであれば、より好ましい。
【0050】
ビニル芳香族粒状ポリマー中の芳香族基の、式(I)の化合物に対するモル比は、たとえば0.2:1から2.5:1までである。ビニル芳香族粒状ポリマー中の芳香族基の、式(I)の化合物に対するモル比は、好ましくは、0.5:1から1.8:1までの範囲である。
【0051】
式(I)の化合物の、縮合ホルムアルデヒドに対するモル比は、たとえば、0.7:1から1.3:1までである。式(I)の化合物の、縮合ホルムアルデヒドに対するモル比は、好ましくは、0.95:1から1.1:1までである。
【0052】
式(I)の化合物の、使用されるプロトン酸に対するモル比は、好ましくは、10:1から1:10までの間である。式(I)の化合物の、使用されるプロトン酸に対するモル比は、より好ましくは、1:1から1:10までの間である。
【0053】
使用されるプロトン酸が硫酸である場合には、使用される酸の濃度が70%~100%であるのが好ましい。
【0054】
ビニル芳香族粒状ポリマーをアミドメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーに転化させるための反応温度は、好ましくは、0℃から、膨潤剤の(標準条件下1barで測定した)沸点までの間である。より好ましくは、ビニル芳香族粒状ポリマーをアミドメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーに転化させるための反応温度が10℃~80℃の間である。
【0055】
反応は、一般的には、標準圧力下で実施される。別な方法として、反応を昇圧下又は減圧下で実施してもよい。
【0056】
アミドメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーは、特に、イオン交換体及びキレート樹脂を製造するための重要な中間体である。従って、本発明のプロセスにより調製されたアミドメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーから、たとえば、イオン交換体、特にアニオン交換体、及びキレート樹脂を調製することも可能である。
【0057】
次いで、アミドメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーを、さらなる工程において、アミノメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーに転化させることも可能である。アミドメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーを、さらにアミノメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーに転化させるのが好ましい。転化反応は、好ましくは、アミドメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーを、100℃~250℃の間の温度、好ましくは120℃~190℃の間の温度で、アルカリ金属水酸化物、たとえば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの水性若しくはアルコール性溶液を用いて処理することによって実施する。アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物又はそれらの混合物、より好ましくはアルカリ金属の水酸化物、特には水酸化ナトリウムを用いて、転化反応を実施するのが好ましい。転化反応を、アルカリ金属水酸化物の水性若しくはアルコール性溶液の存在下に実施するのが好ましい。水酸化ナトリウム溶液の濃度は、10重量%~50重量%、好ましくは20重量%~40重量%の範囲内である。
【0058】
ここで生成したアミノメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーは、完全に脱イオン化させた水を用いて洗浄することにより、それからアルカリを除去することも可能である。
【0059】
アミノメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーをさらにアルキル化剤と反応させて、アニオン交換体又はキレート樹脂を得ることもできるし、或いは、イオン交換体として使用することもできる。
【0060】
さらに、本発明のアミノメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーを、ハロメチル窒素複素環化合物、たとえば、2-クロロメチルピリジン、3-クロロメチルピリジン又は4-クロロメチルピリジンと反応させ、それによりキレート樹脂を調製することも可能である。
【0061】
従って、本発明はさらに、アニオン交換体及びキレート樹脂を製造するためのプロセスも提供するが、それには、以下の工程が含まれる:
a)少なくとも1種のモノビニル芳香族化合物から及び少なくとも1種のポリビニル芳香族化合物及びさらには場合によってはポロゲン及び少なくとも1種の重合開始剤から形成されるモノマーの微少液滴を反応させて、ビニル芳香族粒状ポリマーを形成させる工程、
b)式(II)の化合物の存在下、そして式(I)の化合物及び少なくとも1種の縮合ホルムアルデヒドの存在下、そして少なくとも1種のプロトン酸の存在下に、このビニル芳香族粒状ポリマーをアミドメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーに転化する工程、及び
c)アミドメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーをアミノメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーに転化する工程、及び
d)最後に、アミノメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーをアルキル化剤と反応させて、アニオン交換体及びキレート樹脂を形成させる工程。
【0062】
本発明の目的のために好適なアルキル化剤は、アルキルハライド、ハロアルコール、アルキルサルフェート、ジアルキルサルフェート、アルキルオキシド、Leuckart-Wallach試薬、又はそれらの互いの及び/又は連続しての組合せである。
【0063】
クロロメタン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、さらにはLeuckart-Wallach試薬、又はそれらの組合せを使用するのが特に好ましい。Leuckart-Wallach試薬は、たとえば、Organikum,VEB Deutscher Verlag der Wissenschaften,Berlin 1968,8th edition,page 479に記載されている。
【0064】
使用される懸濁媒体は、好ましくは、水又は鉱酸である。場合によってはそれに代えて、所望の反応生成物に応じて、塩基を添加することも可能である。水を使用するのが好ましい。有用な塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び塩基性であるが非求核性のアミンが挙げられる。
【0065】
プロセス工程d)は、好ましくは20~150℃、より好ましくは40℃~110℃の温度で実施する。プロセス工程d)は、好ましくは標準圧力から6barまで、より好ましくは標準圧力から4barまでの圧力で実施する。
【0066】
本発明は、アミドメチル化ビニル芳香族粒状ポリマーを調製するための新規なプロセスを提供し、それにより、特定のフタルイミドメチル化粒状ポリマー及びアミノメチル化粒状ポリマーを、効率的に、環境面に配慮し、且つ高い収率で得ることが可能である。
【実施例
【0067】
例1
1.1 スチレン、ジビニルベンゼン及びエチルスチレンをベースとする単分散のマクロポーラス粒状ポリマーの調製
10Lのガラス製反応器に、3000gの脱イオン水、並びに320gの脱イオン水中に10gのゼラチン、16gのリン酸水素二ナトリウム・十二水和物、及び0.73gのレゾルシノールを溶解させた溶液を加え、混合する。混合物を、25℃で平衡に到達させる。次いで、撹拌しながら、3.1重量%のジビニルベンゼン及び0.6重量%のエチルスチレン(市販されている、ジビニルベンゼン及びエチルスチレンの異性体混合物(80%ジビニルベンゼン)の形で使用)、0.4重量%のジベンゾイルペルオキシド、58.4重量%のスチレン、及び37.5重量%のイソドデカン(ペンタメチルヘプタンの含量が高い工業グレードの異性体混合物)からなる、狭い粒径分布を有するからなるマイクロカプセル化されたモノマーの微少液滴の混合物3200gを添加するが、そのマイクロカプセルは、ゼラチン及びアクリルアミド及びアクリル酸のコポリマーからなるホルムアルデヒドで硬化させた複合コアセルベートからなっており、そして3200gの、pH12を有する水相を添加する。
【0068】
混合物を撹拌し、25℃から始まり95℃で終わる温度プログラムに従って昇温させることによって重合を完結させる。混合物を冷却し、32μmの篩を通して洗浄してから、減圧下80℃で乾燥させる。
【0069】
これにより、1893gの、狭い粒径分布を有する粒状ポリマーが得られる。
【0070】
1.2 膨潤剤のジブロモメタンを用いた、フタルイミドメチル化単分散性マクロポーラス粒状ポリマーの調製
丸底フラスコに1522gのジブロモメタンを仕込む。これに対して、105.7gの例1.1からの粒状ポリマー、150.1gのフタルイミド、及び31.9gのパラホルムアルデヒドを添加し、次いでその混合物を、室温で30分間撹拌する。375.1gの硫酸(96%)を、30分以内で添加する。これに続けて、室温で24時間撹拌し、その後で、篩上で粒状物を分離し、水、アセトン、及び水を用いて洗浄する。
体積収量:670mL
窒素含量(乾燥後):5.3%
【0071】
1.3 膨潤剤である1,3-ジブロモプロパンを用いた、フタルイミドメチル化単分散性マクロポーラス粒状ポリマーの調製
丸底フラスコに1206gの1,3-ジブロモプロパンを仕込む。これに対して、105.7gの例1.1からの粒状ポリマー、150.1gのフタルイミド、及び31.9gのパラホルムアルデヒドを添加し、次いで混合物を、室温で30分間撹拌する。375.1gの硫酸(96%)を、30分以内で添加する。これに続けて、室温で24時間撹拌し、その後で、篩上で粒状物を分離し、水、アセトン、及び水を用いて洗浄する。
体積収量:690mL
窒素含量(乾燥後):5.2%
【0072】
例2
比較例(本発明ではない)
2.1 膨潤剤であるジクロロエタンを用いた、フタルイミドメチル化単分散性マクロポーラス粒状ポリマーの調製
丸底フラスコに625gの1,2-ジクロロエタンを仕込む。これに対して、103.6gの例1.1からの粒状ポリマー、147.1gのフタルイミド、及び31.3gのパラホルムアルデヒドを添加し、次いでその混合物を、室温で30分間撹拌する。363.3gの硫酸(96%)を30分以内で添加し、次いで混合物を、室温で24時間撹拌する。その後で、篩上で粒状物を分離し、水、アセトン、及び水を用いて洗浄する。
体積収量:605mL
窒素含量(乾燥後):5.1%
【0073】
例3
比較例(本発明ではない)
3.1 膨潤剤であるブロモトリクロロメタンを用いた、フタルイミドメチル化単分散性マクロポーラス粒状ポリマーの調製
丸底フラスコに1209gのブロモトリクロロメタンを仕込む。これに対して、105.7gの例1.1からの粒状ポリマー、150.1gのフタルイミド、及び31.9gのパラホルムアルデヒドを添加し、次いでその混合物を、室温で30分間撹拌する。375.1gの硫酸(96%)を、30分以内で添加する。これに続けて、室温で24時間撹拌し、その後で、篩上で粒状物を分離し、水、アセトン、及び水を用いて洗浄する。
体積収量:540mL
窒素含量(乾燥後):3.5%
【0074】
例1は、膨潤剤としてジブロモメタン及び1,3-ジブロモプロパンを使用すると、従来技術から公知の膨潤剤を用いた場合に比較して、粒状ポリマーの中でのアミドメチル基による置換度をより高くすることができるということを示している(窒素含量を参照されたい)。