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特許7008877ハンドヘルド器具の機能的アタッチメントのための改良されたカップリング構造を備えるハンドヘルド器具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】ハンドヘルド器具の機能的アタッチメントのための改良されたカップリング構造を備えるハンドヘルド器具
(51)【国際特許分類】
   B26B 19/28 20060101AFI20220118BHJP
   B26B 19/14 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
B26B19/28 B
B26B19/14 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021520373
(86)(22)【出願日】2019-10-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2019077675
(87)【国際公開番号】W WO2020083674
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-04-13
(31)【優先権主張番号】18201887.9
(32)【優先日】2018-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ペトレッリ マーカス コーネリス
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-010767(JP,U)
【文献】特表2016-514557(JP,A)
【文献】特開2007-117190(JP,A)
【文献】特開2006-320459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 19/00-19/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と機能的アタッチメントとを有するハンドヘルド器具であって、
前記ハンドヘルド器具が、前記機能的アタッチメントが前記本体に解放可能に装着された装着状態を持ち、
前記本体は、モータと駆動シャフトとを収容し、前記ハンドヘルド器具を手で保持するためのハンドグリップ領域を含み、
前記機能的アタッチメントが、被駆動部と、前記ハンドヘルド器具の機能を実行するための機能的構造とを収容し、
前記ハンドヘルド器具は、相互に共回転するよう前記駆動シャフトと前記被駆動部とを結合するカップリング構造を有し、
前記カップリング構造の結合状態が、前記ハンドヘルド器具が前記装着状態にあり、前記カップリング構造が相互共回転のため前記駆動シャフトと前記被駆動部とを結合する状態として規定され、
前記カップリング構造の非結合状態は、前記カップリング構造が前記駆動シャフトと前記被駆動部とを結合していない状態として規定され、
前記ハンドヘルド器具の動作状態が、前記カップリング構造が前記結合状態にあり、前記モータが前記駆動シャフトを駆動し、前記駆動シャフトが相互に共回転する態様で前記被駆動部を駆動し、前記被駆動部が前記機能的アタッチメントの機能的構造を駆動する状態として規定され、
前記カップリング構造は、結合ブッシュ、結合ヘッド、及び結合スプリングを含み、前記本体が、前記結合ブッシュを収容し、前記機能的アタッチメントは、前記結合ヘッドを収容し、
前記結合ブッシュ及び前記駆動シャフトが、相互に共回転するように結合され、前記結合ヘッド及び前記被駆動部は、相互に共回転するように結合され、
前記ハンドヘルド器具の前記動作状態における前記駆動シャフトと前記被駆動部との前記相互共回転は、前記カップリング構造の前記結合状態において、前記結合ヘッドが、前記結合ブッシュの軸方向端部を介して前記結合ブッシュの内部空間に少なくとも部分的に挿入されるということで実現され、前記内部空間には、前記結合ブッシュと前記結合ヘッドの間に共回転カップリングが存在し、
前記ハンドヘルド器具の前記装着状態では、前記モータが前記駆動シャフトを駆動するときに前記非結合状態から前記結合状態に移行し、前記モータが前記駆動シャフトを駆動するときに前記結合状態を維持するよう、前記結合スプリングは、前記結合ヘッドと前記結合ブッシュの一方を前記結合ヘッドと前記結合ブッシュの他方に向かって相対的に変位させ、
前記機能的アタッチメント内で、前記結合ヘッドは、前記被駆動部の回転軸に沿って見られるとき、前記被駆動部に対して軸方向に固定された位置を持ち、
前記本体内で、前記結合ブッシュは、前記駆動シャフトの回転軸に沿って見られるとき、前記駆動シャフトに対して軸方向に変位可能であり、
前記本体は、前記結合スプリングを収容し、前記ハンドヘルド器具の前記装着状態で前記モータが前記駆動シャフトを駆動するとき、前記結合スプリングは、前記カップリング構造の前記結合状態を実行し維持するために、前記駆動シャフトに対する前記結合ブッシュの変位をもたらす、ハンドヘルド器具。
【請求項2】
前記駆動シャフトに対する前記結合ブッシュの軸方向への位が、前記結合ブッシュ及び前記駆動シャフトが相互に伸縮係合する態様で相互接続されることで実現される、請求項1に記載のハンドヘルド器具。
【請求項3】
前記駆動シャフトの前記回転軸に対して横方向の断面で見られるとき、
-前記結合ブッシュの内側の第1の周囲が、第1の非円形状を持ち、
-前記駆動シャフトの外側の第2の周囲は、第2の非円形状を持ち、前記第2の非円形形状が、前記第1の非円形形状と嵌合し、前記結合ブッシュと前記駆動シャフトとの間の前記共回転カップリングが実現され、
-前記結合ヘッドの外側の第3の周囲は、第3の非円形状を持ち、前記第3の非円形形状が、前記第1の非円形形状と嵌合し、前記結合ブッシュと前記結合ヘッドとの間の前記共回転カップリングが実現される、請求項2に記載のハンドヘルド器具。
【請求項4】
前記第2の非円形状の形状が、前記第3の非円形状の形状と同じである、請求項3に記載のハンドヘルド器具。
【請求項5】
前記結合ヘッドが、前記被駆動部の一体的に製造された部分である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のハンドヘルド器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電動工具装置又はパーソナルケア装置のようなハンドヘルド器具に関する。
【0002】
従って、本発明は、本体及び機能的アタッチメントを有するハンドヘルド器具に関し、
上記ハンドヘルド器具が、上記機能的アタッチメントが上記本体に解放可能に装着された装着状態を持ち、
本体は、モータ及び駆動シャフトを収容し、ハンドヘルド器具を手で保持するためのハンドグリップ領域を含み、
機能的アタッチメントは、被駆動部と、ハンドヘルド器具の機能を実行するための機能的構造とを収容し、
ハンドヘルド器具は、相互に共回転させるため駆動シャフト及び被駆動部を結合するカップリング構造を有し、
上記カップリング構造の結合状態は、上記ハンドヘルド器具が上記装着状態にあり、上記カップリング構造が、相互に共回転するよう駆動シャフト及び被駆動部を結合した状態として規定され、
上記カップリング構造の非結合状態は、上記カップリング構造が、駆動シャフト及び被駆動部を結合していない状態として規定され、
ハンドヘルド器具の動作状態は、上記カップリング構造が上記結合状態にあり、上記モータが上記駆動シャフトを駆動し、上記駆動シャフトが相互に共回転するよう上記被駆動部を駆動し、上記被駆動部が上記機能的アタッチメントの機能的構造を駆動する状態として規定され、
上記カップリング構造は、結合ブッシュ、結合ヘッド及び結合スプリングを有し、上記本体は、上記結合ブッシュを収容し、機能的アタッチメントは、結合ヘッドを収容し、
結合ブッシュ及び駆動シャフトは相互に共回転するよう結合され、結合ヘッド及び被駆動部は相互に共回転するよう結合され、
ハンドヘルド器具の上記動作状態における上記駆動シャフト及び被駆動部の上記相互共回転は、上記カップリング構造の上記結合状態において、上記結合ヘッドが、上記結合ブッシュの軸方向端部を介して上記結合ブッシュの内部空間に少なくとも部分的に挿入されることで実現され、上記内部空間内には、上記結合ブッシュと上記結合ヘッドとの間の共回転カップリングが存在し;及び
上記ハンドヘルド器具の上記装着状態では、上記結合スプリングは、上記モータが上記駆動シャフトを駆動するときに上記非結合状態から上記結合状態に移行するように、かつ上記モータが上記駆動シャフトを駆動するときに上記結合状態を維持するように、上記結合ヘッド及び上記結合ブッシュの一方を上記結合ヘッド及び上記結合ブッシュの他方に向かって相対的に変位させる。
【背景技術】
【0003】
上記したタイプのハンドヘルド器具は、実務上知られる。図2図3A~3B、図4A~4Bは、従来技術から知られる斯かるハンドヘルド器具を説明する。
【0004】
図2図3A~3B、図4A~4Bで使用される参照符号は、従来技術から知られるハンドヘルド器具の上述の部分及び側面、並びに関連する部分及び側面を、以下の態様で参照している。
101 ハンドヘルド器具
102 ハンドヘルド器具101の本体
103 ハンドヘルド器具101の機能的アタッチメント
104 本体102のハンドグリップ領域
105 機能的アタッチメント103の機能的構造
106 駆動シャフト
107 被駆動部
107A 被駆動部107の接続カラー
107B 接続カラー107Aの軸方向スロット
108 結合ブッシュ
108A 結合ブッシュ108の接続カラー
109 結合ヘッド
109A 結合ヘッド109の径方向突出部
110 駆動シャフト106の結合スプリング
116 駆動シャフト106の回転軸
117 被駆動部107の回転軸
127 被駆動部107用ピボットピン
【0005】
以上の導入的な説明と、以上に説明した参照符号とに基づき、図2図3A~3B、図4A~4Bの例は、大部分が容易に自明である。以下に更なる説明が与えられる。
【0006】
図2の断面透視図において、既知のハンドヘルド器具101は、ハンドヘルド器具101の本体102から機能的アタッチメント103が解放された状態で示される。図示されたハンドヘルド器具101は、シェービング装置である。そこでは、機能的アタッチメント103の機能的構造105が2つのヘアカットユニット105を有し、その1つのみが図2に示される。図2の断面図は更に、少なくとも駆動シャフト106、結合ブッシュ108、結合ヘッド109、結合スプリング110、被駆動部107、及び被駆動部107のピボットピン127を明らかにする。図2において、カップリング構造108、109、110は、その非結合状態にある。
【0007】
図3A~3Bはそれぞれ、被駆動部107と共にカップリング構造108、109、110を示す側面図及び断面図を示す。被駆動部107は、ギアホイールであり、そこでは、接続カラー107aがギアホイールの一体的に製造された部分である。
【0008】
図4A~4Bは、図3Bと比較して、カップリング構造108、109、110を、比較可能に、しかしより概略的な断面図で示す。図4A~4Bは更に、駆動シャフト106を示す。結合ブッシュ108は、その接続カラー108aを介して、回転軸116の周りで共回転可能な態様で駆動シャフト106に固定的に取り付けられることに留意されたい。
【0009】
結合スプリング110は、被駆動部107と結合ヘッド109との間に保持される。結合ヘッド109及び結合スプリング110の両方が、回転軸117の周りで共回転可能な態様で被駆動部107に結合される。これらの共回転性は、結合ヘッド109の径方向突起部109Aが被駆動部107の接続カラー107Aの軸方向スロット107B内に延在していることで実現される。
【0010】
接続カラー107Aの上記軸方向スロット107B、及び結合ヘッド109の上記径方向突起部109Aは、結合ヘッド109が被駆動部分107に対して軸方向に変位することを可能にする付加的な機能を持つ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
既知のカップリング構造108、109、110の結合状態が、図3A~3Bに示される。カップリング構造108、109、110の結合状態は、機能的アタッチメント102(図2参照)が本体103(図2参照)に装着されることを必要とする。カップリング構造108、109、110の結合状態は更に、結合ヘッド109が結合ブッシュ108の軸方向端部を介して結合ブッシュ108の内部空間に少なくとも部分的に挿入されることを必要とする。上記内部空間には、結合ブッシュ108と結合ヘッド109との間に共回転カップリングが存在する。カップリング構造108、109、110において、上記内部空間における上記共回転カップリングは、上記結合ヘッド109の外側の周囲が、多角形形状を持つことで実現される。この多角形形状は、回転軸116、117に対して横方向の断面で見て、上記結合ブッシュ108の内側の周囲の多角形形状と嵌合する。
【0012】
図4A及び図4Bはいずれも、機能的アタッチメント102が本体103に取り付けられた状態に関する。しかしながら、2つの図の違いは、図4Aではカップリング構造108、109、110が非結合状態にあるのに対し、図4Bでは結合状態にあることである。即ち、図4Aでは、結合ヘッド109と結合ブッシュ108の上述の嵌合多角形形状のずれにより、結合ヘッド109は、結合ブッシュ108と結合ヘッド109との間の共回転カップリングに関して、結合ブッシュ108の内部空間内にまだ延在していない。実際には、図4Aは、ユーザが機能的アタッチメント102を本体103に装着した直後であって、まだモータが駆動シャフト106の駆動を開始していない状況に関する。ユーザがモータを起動するとすぐに、結合ヘッド109を結合ブッシュ108の内部空間に変位させる結合スプリング110の影響で、このずれは自動的に解消され、これにより図4Bに示されるような結合状態が得られる。
【0013】
図2図3A~3B、図4A~4Bから、既知のハンドヘルド器具101が以下の特徴を持つことが明らかになるであろう。
【0014】
-機能的アタッチメント103内では、結合ヘッド109が、被駆動部107の回転軸117に沿って見られるとき、被駆動部107に対して軸方向に変位可能である。
【0015】
-本体102内で、結合ブッシュ108は、駆動シャフト106の回転軸116に沿って見られるとき、駆動シャフト106に対して軸方向に固定された位置を持つ。
【0016】
-機能的アタッチメント103は、結合スプリング110を収容し、ここで、結合スプリング110は、ハンドヘルド器具の装着状態でモータが駆動シャフト106を駆動するときに、カップリング構造108、109、110の結合状態を実行かつ維持するために、被駆動シャフト107に対する結合ヘッド109の変位を促している。
【0017】
この既知のハンドヘルド器具101の欠点は、特にカップリング構造108、109、110の比較的大きな軸方向長さから見て、カップリング構造が比較的余裕のあるものである点にある。
【0018】
WO2008/062339A1号は、上述した既知のハンドヘルド器具101と多かれ少なかれ類似したハンドヘルド器具を開示することに留意されたい。WO2008/062339A1の図5Aを参照すると、参照数字4、2、22は、上述したように、本体102、機能的アタッチメント103、及び結合ヘッド109とそれぞれ類似する部分を示す。WO2008/062339A1の図5Aは更に、上述した結合スプリング110と同様の結合スプリングを示す。しかしながら、対応する結合ブッシュは、WO2008/062339A1号には明示的に示されていない。
【0019】
本発明の目的は、ハンドヘルド器具の本体の駆動シャフトとハンドヘルド器具の機能的アタッチメントの被駆動部とを結合するための信頼性の高いカップリング構造を提供することであり、特にカップリング構造の軸方向、特にハンドヘルド器具の機能的アタッチメント内において、カップリング構造がよりコンパクトに設計されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
そのために、本発明は、添付の独立請求項1によるハンドヘルド器具を提供する。本発明の好ましい実施形態は、添付の従属請求項2~5により提供される。
【0021】
こうして、本発明は、本体と機能的アタッチメントとを有するハンドヘルド器具を提供し、
上記ハンドヘルド器具が、上記機能的アタッチメントが上記本体に解放可能に装着された装着状態を持ち、
本体は、モータ及び駆動シャフトを収容し、ハンドヘルド器具を手で保持するためのハンドグリップ領域を有し、
機能的アタッチメントは、被駆動部と、ハンドヘルド器具の機能を実行するための機能的構造とを収容し、
ハンドヘルド器具は、相互に共回転するよう駆動シャフト及び被駆動部を結合するカップリング構造を有し、
上記カップリング構造の結合状態は、上記ハンドヘルド器具が上記装着状態にあり、上記カップリング構造が、相互に共回転するよう駆動シャフト及び被駆動部を結合した状態として規定され、
上記カップリング構造の非結合状態は、上記カップリング構造が、駆動シャフト及び被駆動部を結合していない状態として規定され、
ハンドヘルド器具の動作状態は、上記カップリング構造が上記結合状態にあり、上記モータが上記駆動シャフトを駆動し、上記駆動シャフトが相互に共回転するよう上記被駆動部を駆動し、上記被駆動部が上記機能的アタッチメントの機能的構造を駆動する状態として規定され、
上記カップリング構造は、結合ブッシュ、結合ヘッド及び結合スプリングを有し、上記本体は上記結合ブッシュを収容し、機能的アタッチメントは、結合ヘッドを収容し、
結合ブッシュ及び駆動シャフトは相互に共回転するよう結合され、結合ヘッド及び被駆動部は相互に共回転するよう結合され、
ハンドヘルド器具の上記動作状態における上記駆動シャフト及び被駆動部の上記相互共回転は、上記カップリング構造の上記結合状態において、上記結合ヘッドが、上記結合ブッシュの軸方向端部を介して上記結合ブッシュの内部空間に少なくとも部分的に挿入されることで実現され、上記内部空間内には、上記結合ブッシュと上記結合ヘッドとの間の共回転カップリングが存在し;及び
上記ハンドヘルド器具の上記装着状態では、上記結合スプリングは、上記モータが上記駆動シャフトを駆動するときに上記非結合状態から上記結合状態に移行するように、かつ上記モータが上記駆動シャフトを駆動するときに上記結合状態を維持するように、上記結合ヘッド及び上記結合ブッシュの一方を上記結合ヘッド及び上記結合ブッシュの他方に向かって相対的に変位させ、
機能的アタッチメント内で、結合ヘッドは、被駆動部の回転軸に沿って見られるとき、被駆動部に対して軸方向に固定された位置を持ち、
上記本体内で、上記結合ブッシュは、上記駆動シャフトの回転軸に沿って見られるとき、上記駆動シャフトに対して軸方向に変位可能であり、
本体は、結合スプリングを収容し、結合スプリングは、ハンドヘルド器具の装着状態でモータが駆動シャフトを駆動するとき、カップリング構造の結合状態を実行し維持するために、駆動シャフトに対する結合ブッシュの変位をもたらす。
【0022】
従って、本発明によるハンドヘルド器具は、図2図3A~3B、図4A~4Bの既知のハンドヘルド器具とは、以下の点で異なる。
【0023】
-上記結合ヘッドは、上記機能的アタッチメント内に軸方向に固定される(上記既知のハンドヘルド器具の場合のように、上記機能的アタッチメント内で軸方向に変位可能であるのではなく)。
【0024】
-上記結合ブッシュは、上記本体内で軸方向に変位可能である(上記既知のハンドヘルド器具の場合のように、上記本体内で軸方向に固定されるのではなく)。
【0025】
-結合スプリングが本体内に収容される(上記既知のハンドヘルド器具の場合のように、機能的アタッチメント内に収容されるのではなく)。
【0026】
結合ヘッドが機能的アタッチメント内で軸方向に固定され、結合スプリングが本体内に収容されるおかげで、カップリング構造は、特にカップリング構造の軸方向において、特にハンドヘルド器具の機能的アタッチメント内において、よりコンパクトである。
【0027】
本発明の好ましい実施形態では、駆動シャフトに対する結合ブッシュの軸方向変位可能性は、結合ブッシュと駆動シャフトとが相互に伸縮係合状態で相互接続されることで実現される。
【0028】
結合ヘッドではなく結合ブッシュがカップリング構造の軸方向に変位可能な部分であるという事実、及び結合ブッシュが駆動シャフトと上記伸縮係合状態にあるという事実は、結合ヘッドが被駆動部と上記伸縮係合状態にある場合と比較して、非結合状態と結合状態との間の移行及びその逆の移行を実現するための上記軸方向変位可能性がよりコンパクトな構造で実現されることを可能にする。特に、駆動シャフトと結合ブッシュとが伸縮可能な係合をすること、及び結合ブッシュがカップリング構造の上記結合状態で結合ヘッドを受けるための内部空間を有するという事実は、駆動シャフト及び被駆動部の回転軸に平行な軸方向で見られるとき、上記結合状態でのカップリング構造の全体的な寸法を減少させる結果をもたらす。同時に、軸方向に変位可能な結合ブッシュは、一方では駆動シャフトと結合ブッシュとの間の信頼性の高い共回転カップリングを可能にし、他方では結合ブッシュと結合ヘッドとの間の信頼性の高い共回転カップリングを可能にする。言い換えれば、結合ブッシュと駆動シャフトとの間の伸縮係合は、カップリング構造の高い信頼性と組み合わせて、カップリング構造のコンパクトな全体寸法を得ることに更に寄与する。
【0029】
本発明の別の好ましい実施形態では、駆動シャフトの回転軸に対して横方向の断面で見られるとき:
結合ブッシュの内側の第1の周囲は、例えば第1の多角形のような第1の非円形状を持ち、
駆動シャフトの外側の第2の周囲は、例えば第2の多角形のような第2の非円形状を持ち、上記第2の非円形形状が、上記結合ブッシュと上記駆動シャフトとの間の上記共回転カップリングを実現するために上記第1の非円形形状と嵌合し、及び
結合ヘッドの外側の第3の周囲は、例えば第3の多角形のような第3の非円形状を持ち、上記第3の非円形形状が、上記結合ブッシュと上記結合ヘッドとの間の上記共回転カップリングを実現するため、上記第1の非円形形状と嵌合する。
【0030】
結合ブッシュと駆動シャフトとの間の伸縮係合において、結合ブッシュの内側の第1の周囲の同じ第1の非円形形状が、駆動シャフト及び結合ヘッドの外側の第2及び第3の周囲の第2及び第3の非円形形状とそれぞれ嵌合するという事実のおかげで、図2図3A~3B、図4A~4Bの既知のハンドヘルド器具と比較して、かなりの省スペース化が図られており、このかなりの省スペース化は、ハンドヘルド器具の装着状態で、即ち本体及び機能的アタッチメントの両方に沿って、完全なカップリング構造の軸方向の全体長さに対して発生する。軸方向の省スペース化の利点の一つは、それが、機能的アタッチメントの機能的構造を本体のハンドグリップ領域にかなり近づけることを可能にし、これは、ハンドヘルド器具のユーザにより多くの制御を与える。
【0031】
本発明の別の好ましい実施形態では、上記第2の非円形形状は、上記第3の非円形形状と同じである。
【0032】
本発明の別の好ましい実施形態では、結合ヘッドは、被駆動部の一体的に製造された部分である。
【0033】
これは、機能的アタッチメントの部品数を減らし、機能的アタッチメントの信頼性及び耐久性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明によるハンドヘルド器具の実施形態の一例を透視表示で示す図である。
図2】(従来技術)従来技術から知られるハンドヘルド器具を、断面透視表示で示す図であり、この既知のハンドヘルド器具の機能的アタッチメントがこの既知のハンドヘルド器具の本体から解放された状態を示す図である。
図3A】(従来技術)図2の既知のハンドヘルド器具のカップリング構造を別個に側面表示で示す図であり、カップリング構造がその結合状態にある図である。
図3B】(従来技術)再び図3Aの状況を示すが、今回は、部分的にゴースト表示である断面表示で示す図である。
図4A】(従来技術)再び図2の既知のハンドヘルド器具のカップリング構造を、図3Bの表示に類似した断面部分ゴースト表示で示す図であるが、今回は、図3Bよりも表示が概略的であり、カップリング構造が結合状態ではなく、非結合状態である、図である。
図4B】(従来技術)再び図4Aの状況を示すが、今回は、カップリング構造の結合状態である、図である。
図5A図1に示される本発明によるハンドヘルド器具のカップリング構造を側面表示で別個に示す図であり、カップリング構造が、その結合状態にある、図である。
図5B】再び図5Aの状況を示すが、今回は部分的にゴースト表示である断面表示で示す図である。
図6A】再び図1のハンドヘルド器具のカップリング構造を、図5Bの表示と同様の断面部分ゴースト表示で示すが、今回は、表示が図5Bの表示よりも概略的であり、カップリング構造は結合状態ではなく、非結合状態である、図である。
図6B】再び図6Aの状況を示すが、今回はカップリング構造の結合状態である、図である。
図7A図5Bにおいて視野方向矢印VII-Aで示される断面平面上の部分的なゴースト表示である。
図7B図5Bにおいて視野方向矢印VII-Bで示される断面平面上の部分的なゴースト表示である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の上述した側面及び他の側面が、非限定的な例示を用いて、及び図面における概略図を参照して、以下に説明される実施形態から明らかになり、実施形態を参照して説明されるであろう。
【0036】
図1図5A~5B、図6A~6B、図7A~7Bに示すハンドヘルド器具は、上述した本発明の主な実施形態及び好ましい実施形態の全ての特徴を有する。
【0037】
図1図5A~5B、図6A~6B、図7A~7Bで使用される参照符号は、本発明の上述した部分及び側面、並びに関連する部分及び側面を以下の態様で参照している。
1 ハンドヘルド器具
2 本体
3 機能的アタッチメント
4 ハンドグリップ領域
5 機能的構造
6 駆動シャフト
6A 駆動シャフト本体
6B 駆動シャフトアダプタ
7 被駆動部
8 結合ブッシュ
9 結合ヘッド
10 結合スプリング
16 駆動シャフト6の回転軸
17 被駆動部7の回転軸
27 被駆動部7用ピボットピン
【0038】
図面の簡単な説明を含む上記導入的な説明と、図1図5A~5B、図6A~6B、図7A~7Bで使用される上記説明された参照符号とに基づき、図1図5A~5B、図6A~6B、図7A~7Bに示される実施例は、大部分が容易に自明である。以下に更なる説明が与えられる。
【0039】
図1は、機能的アタッチメント3が本体2に解放可能に取り付けられた装着状態のハンドヘルド器具1を示す。示されたハンドヘルド器具1は、機能的アタッチメント3の機能的構造が2つのヘアカットユニット5を有するシェービング装置である。ハンドヘルド器具1のカップリング構造は、結合ブッシュ8、結合ヘッド9、及び結合スプリング10を有する。
【0040】
図5A~5B、図6A~6B、図7A~7Bが参照される。図6A~6Bは、図5Bと比較して、カップリング構造8、9、10を、比較可能な、しかしより概略的な断面図で示すことに留意されたい。
【0041】
被駆動部7はギアホイールであり、ここで結合ヘッド9はギアホイールと一体的に製造された部分である。被駆動部7は、ピボットピン27(図6A~6Bに示す)の周りで回転可能であるという点で、回転軸17の周りで回転可能である。ピボットピンの中心線は、回転軸17として機能する。
【0042】
駆動シャフト6は、駆動シャフト本体6Aと駆動シャフトアダプタ6Bとを有し、後者は、回転軸16の周りで共回転可能な態様で駆動シャフト本体6Aに固定的に付けられる。
【0043】
駆動シャフト6に対する結合ブッシュ8の軸方向変位可能性は、結合ブッシュ8と駆動シャフト6とが相互に伸縮係合する態様で相互接続されることで実現される。
【0044】
結合スプリング10は、駆動シャフトアダプタ6Bのフランジと結合ブッシュ8のフランジとの間に保持される。結合ブッシュ8及び結合スプリング10の両方が、回転軸16の周りで共回転可能な態様で駆動シャフト6に結合される。これらの共回転性は、駆動シャフトアダプタ6Bの外側の周囲が、回転軸16に対して横方向の断面で見られるとき、結合ブッシュ8の内側の周囲の多角形状と嵌合する多角形状を持つことで実現される(図5B図7Bとを合わせて参照)。
【0045】
カップリング構造8、9、10の結合状態は、機能的アタッチメント2が本体3に取り付けられることを必要とする。カップリング構造体8、9、10の結合状態は、結合ヘッド9が結合ブッシュ8の軸方向端部を介して結合ブッシュ8の内部空間に少なくとも部分的に挿入されることを追加的に必要とする。上記内部空間には、結合ブッシュ8と結合ヘッド9との間に共回転カップリングが存在する。上記カップリング構造体8、9、10において、上記内部空間における上記共回転カップリングは、上記結合ヘッド9の外側の周囲が、回転軸17に対して横方向の断面で見られるとき、上記結合ブッシュ8の内側の周囲の多角形状と嵌合する多角形状を持つことで実現される(図5B図7Aとを合わせて参照)。
【0046】
図5A~5Bでは、カップリング構造8、9、10はその結合状態にある。図6A及び図6Bの両方において、機能的アタッチメント2は本体3に取り付けられる。しかしながら、図6A図6Bとの違いは、図6Aではカップリング構造体8、9、10が非結合状態であるのに対し、図6Bでは結合状態であることである。即ち、図6Aでは、結合ヘッド9及び結合ブッシュ8の上記嵌合多角形形状の位置ずれにより、結合ヘッド9は、結合ブッシュ8と結合ヘッド9との共回転結合のための結合ブッシュ8の内部空間内にまだ伸びていない。実際、図6Aは、ユーザが機能的アタッチメント2を本体3に装着した直後であって、まだモータが駆動シャフト6の駆動を開始していない状態に関する。ユーザがモータを起動するとすぐに、結合スプリング10の影響で上記の位置ずれが自動的にキャンセルされ、これは、結合ブッシュ8が結合ヘッド9に向かって変位することを促し、その結果、結合ヘッド9が、結合ブッシュ8の内部空間に少なくとも部分的に伸びるようになり、これにより図6Bに示された結合状態が得られる。
【0047】
こうして、本発明によるハンドヘルド器具1は、図2図3A~3B、図4A~4Bの既知のハンドヘルド器具101とは、以下の点で異なることが今明らかになった。
【0048】
-結合ヘッド9は、機能的アタッチメント3内で軸方向に固定される(既知のハンドヘルド器具101の結合ヘッド109の場合のように、機能的アタッチメント内で軸方向に変位可能であるのではなく)。
【0049】
-結合ブッシュ8は、本体2内で軸方向に変位可能である(既知のハンドヘルド器具101の結合ブッシュ108の場合のように、本体内で軸方向に固定されるのではなく)。
【0050】
-結合スプリング10は、本体2内に収容される(既知のハンドヘルド器具101の結合スプリング110の場合のように、機能的アタッチメント内に収容されるのではなく)。
【0051】
本発明が、上述の説明及び図面において詳細に図示及び説明されたが、斯かる図示及び説明は、例示的及び/又は説明的であり、限定的と見なされるべきではない。本発明は開示された実施形態に限定されるものではない。
【0052】
開示された実施形態に対する他の変形は、図面、開示、及び添付の請求項の研究から、請求項に記載された発明を実施する当業者により理解及び達成され得る。請求項において、「有する」という語は他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数性を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項に記載されたいくつかのアイテムの機能を果たし得る。明快さのため及び簡潔な説明とするために、本書において、特徴は、同一又は別個の実施形態の一部として開示されるが、本発明の範囲は、開示された特徴のすべて又は一部の組み合わせを持つ実施形態を含むことができる点を理解されたい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。請求項における参照符号は、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B