(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】ショットブラスト装置
(51)【国際特許分類】
B24C 9/00 20060101AFI20220118BHJP
B24C 5/00 20060101ALI20220118BHJP
B24C 3/20 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
B24C9/00 M
B24C5/00
B24C3/20
(21)【出願番号】P 2020205118
(22)【出願日】2020-12-10
(62)【分割の表示】P 2016232476の分割
【原出願日】2016-11-30
【審査請求日】2020-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】592148155
【氏名又は名称】株式会社サンポー
(74)【代理人】
【識別番号】100183380
【氏名又は名称】山下 裕司
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 幸三
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-207563(JP,A)
【文献】特開2015-51490(JP,A)
【文献】特開昭62-241668(JP,A)
【文献】特開2014-176903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24C 9/00
B24C 5/00
B24C 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのキャビネットと、
前記キャビネットに設けられた複数の区画壁と、
前記キャビネット内において、前記複数の区画壁により形成された複数の区画室と、
第1研掃材を投射可能に設けられた第1投射機と、
前記第1研掃材とは異なる第2研掃材を投射可能に設けられた第2投射機と、を備え、
前記複数の区画室は、
予備室と、
前記予備室の隣に位置する第1研掃室と、
前記第1研掃室の隣に位置する第2研掃室と、
前記第2研掃室の隣に位置する後処理室と、を有し、
各区画壁には、被研掃物を隣接する区画室へ搬送するための開口が形成され、
各開口には、各開口を開閉する開閉部材が設けられ、
前記第1投射機は、前記第1研掃室内に向かって、前記第1研掃材を投射可能に構成され、前記第2投射機は、前記第2研掃室内に向かって、前記第2研掃材を投射可能に構成され、
前記予備室から前記第1研掃室へ被研掃物を搬送する際には、前記予備室および前記第1研掃室を形成する区画室のうち、前記予備室と前記第1研掃室との間に位置する区画壁の開口のみが前記開閉部材により開状態となり、前記第1研掃室から前記第2研掃室へ被研掃物を搬送する際には、前記第1研掃室および前記第2研掃室を形成する区画室のうち、前記第1研掃室と前記第2研掃室との間に位置する区画壁の開口のみが前記開閉部材により開状態となり、前記第2研掃室から前記後処理室へ被研掃物を搬送する際には、前記第2研掃室および前記後処理室を形成する区画室のうち、前記第2研掃室と前記後処理室との間に位置する区画壁の開口のみが前記開閉部材により開状態となるように構成されている、ショットブラスト装置。
【請求項2】
前記開閉部材は、送り部と密閉部とを備え、送り姿勢と密閉姿勢とに回動可能に設けられ、
前記開閉部材が、前記密閉姿勢にあるとき前記密閉部が前記開口を塞ぎ、前記送り姿勢にあるとき前記送り部が被研掃部材を前記第1研掃室から前記第2研掃室へ搬送するように構成されている、請求項1に記載のショットブラスト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研掃材により被研掃物(以下「ワーク」とする)を研掃するショットブラスト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のショットブラスト装置では、ベルトコンベアにより搬送されるワークに対して、研掃エリアにおいて投射機から研掃材を投射し、ワークを研掃するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のショットブラスト装置では、1種類の研掃材しか投射できないため、別の研掃材により研掃処理を行いたい場合には、別のショットブラスト装置を用意する必要があった。このため、装置の設置スペースおよび設備コストの増大してしまう。
【0005】
そこで、本発明は、装置のスペースおよび設備コストの増加を抑制可能なショットブラスト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態におけるショットブラスト装置は、区画壁により形成された複数の区画室と、第1研掃材を投射可能に設けられた第1投射機と、前記第1研掃材とは異なる第2研掃材を投射可能に設けられた第2投射機と、を備え、前記第1投射機は、それに対向する区画室に対して前記第1研掃材を投射し、前記第2投射機は、それに対向する区画室に対して前記第2研掃材を投射するように構成されている。
【0007】
また、前記複数の区画室は、第1研掃室および前記第1研掃室の隣に位置する第2研掃室を有し、前記第1研掃室と前記第2研掃室の間に位置する区画壁には、被研掃物を前記第1研掃室から前記第2研掃室へ搬送するための開口が形成され、前記第1投射機は、前記第1研掃室内に向かって、前記第1研掃材を投射可能に構成され、前記第2投射機は、前記第2研掃室内に向かって、前記第2研掃材を投射可能に構成され、前記開口を開閉する開閉部材をさらに備えてもよい。
【0008】
また、前記開閉部材は、送り部と密閉部とを備え、送り姿勢と密閉姿勢とに回動可能に設けられ、前記開閉部材が、前記密閉姿勢にあるとき前記密閉部が前記開口を塞ぎ、前記送り姿勢にあるとき前記送り部が被研掃部材を前記第1研掃室から前記第2研掃室へ搬送するように構成されていてもよい。
【0009】
また、キャビネットと、回転シャフトとをさらに備え、前記区画壁は、前記キャビネットの側壁と、前記キャビネット内に設けられた上板と、前記キャビネット内に設けられた下板と、前記上板および前記下板の間に位置し前記回転シャフトの軸を中心に放射状に延びる複数の仕切板を有して、前記複数の区画室を形成し、前記仕切板は、前記回転シャフトの軸を中心に回転可能に設けられ、前記第1投射機および前記第2投射機は、前記仕切板の回転方向に沿って異なる位置に設けられていてもよい。
【0010】
また、各仕切板の外縁には、前記側壁、前記上板、および前記下板に当接する可撓性部材が取り付けられていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、装置のスペースおよび設備コストの増加を抑制可能なショットブラスト装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施形態に係るショットブラスト装置の全体構成図を示す。
【
図2】第1の実施形態に係るショットブラスト装置の研掃部の上部の内部構成図を示す。
【
図3】第2の実施形態に係るショットブラスト装置の全体構成図を示す。
【
図4】第2の実施形態に係るショットブラスト装置の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1の実施形態に係るショットブラスト装置1について図面を参照して説明する。
【0014】
<全体構成>
はじめに本実施形態に係るショットブラスト装置1の全体構成について説明する。本実施形態のショットブラスト装置1は、パイプ形状のワークWを研掃処理する装置である。
【0015】
図1は、ショットブラスト装置1の全体構成図を示している。
図2は、ショットブラスト装置1の研掃部10の上部の内部構成図を示している。
【0016】
図1に示すように、ショットブラスト装置1は、研掃前載置部2と、研掃部10と、研掃後載置部3と、第1研掃材循環部4と、第2研掃材循環部5とを備える。
【0017】
研掃前載置部2には、研掃前の複数のワークWが載置され、搬送機構2Aにより、ワークWを一本ずつ研掃部10に搬送するように構成されている。
【0018】
研掃後載置部3には、研掃後の複数のワークWが載置される。
【0019】
研掃部10は、キャビネット11と、搬送部12と、投射部13と、回収部14とを備える。
【0020】
図2に示すように、キャビネット11は、区画壁11Aを有し、区画壁11Aにより、搬入室11bと、予備室11cと、第1研掃室11dと、第2研掃室11eと、後処理室11fとが形成され、それぞれは区画室に相当する。各区画壁11Aには、開口11gが形成されている。区画壁11Aには、開口11gの上側を塞ぐように、上密閉部材11Hが設けられている。
【0021】
搬送部12は、複数の開閉部材12Aと、複数の保持ローラ12Bと、複数の押上機構12Cとを備える。
【0022】
各開閉部材12Aは、送り部あてと下密閉部12Eとを備え、各室11b~11fを密閉状態にするための密閉姿勢(
図2における実線の状態)と、ワークWを一方の室から他方の室へ送るための送り姿勢(
図2における破線の状態)とに、軸部12Fを中心に回動可能に設けられている。送り部12Dは、凹部を有し、凹部においてワークWを保持可能に構成されている。下密閉部12Eは、密閉姿勢にあるときに、上密閉部材11Hに当接し、上密閉部材11Hとともに開口11gを密閉するように構成されている。
【0023】
保持ローラ12Bは、第1研掃室11dと、第2研掃室11eとに設けられ、一対の保持ローラ12Bの間にワークWが保持される。押上機構12Cの回動により、一対の保持ローラ12Bに保持されたワークWが押し上げられ搬送されるように構成されている。
【0024】
投射部13は、第1投射機13Aと、第2投射機13Bとを備える。第1投射機13Aは、ロータ等からなり、例えば、0.3mmのスチールショットからなる研掃材(第1研掃材)をワークWに対し投射するように構成され、第1研掃室11dに対応してワークWの長手方向に沿って複数設けられている。第2投射機13Bは、噴射ノズル等からなり、例えば、0.1mmのジルコニアからなる研掃材(第2研掃材)をワークWに対しエアーブラストするように構成され、第2研掃室11eに対応してワークWの長手方向に沿って複数設けられている。第1研掃材により大きな箇所を加工し、第2研掃材により細かな箇所まで加工するようにしている。
【0025】
回収部14は、第1回収部14Aと、第2回収部14Bとを備える。第1回収部14Aは、
図1の紙面に垂直方向に延びる図示せぬスクリュを備え、予備室11cおよび第1研掃室11dから落下してくる研掃材等を第1研掃材循環部4まで搬送するように構成されている。第2回収部14Bは、
図1の紙面に垂直方向に延びる図示せぬスクリュを備え、第2研掃室11e及び後処理室11fから落下してくる研掃材等を第2研掃材循環部5まで搬送するように構成されている。
【0026】
第1研掃材循環部4は、第1回収部14Aにより回収された研掃材等を、図示せぬエレベータにより上方に搬送し、磁選機、篩、風選機等のセパレータにより、研掃材(スチールショット)を分離し、図示せぬ研掃材タンクに研掃材を戻すように構成されている。第2研掃材循環部5は、第2回収部14Bにより回収された研掃材等を、図示せぬエレベータにより上方に搬送し、磁選機、篩、風選機等のセパレータにより、研掃材(アルミナ)を分離し、図示せぬ研掃材タンクに研掃材を戻すように構成されている。
【0027】
また、ショットブラスト装置1は、研掃処理により発生する埃等を集塵する図示せぬ集塵機を備える。
【0028】
<研掃動作>
次に、ショットブラスト装置1における研掃動作について図面を参照して説明する。
【0029】
研掃前載置部2に載置されているワークWを搬送機構2Aにより、搬入室11bの開閉部材12Aに載せる。搬送室11bの開閉部材12Aを回動させ密閉姿勢から送り姿勢にすることにより、ワークWを転動させて、開口11gを介して予備室11cの開閉部材12AへワークWを搬送し、搬入室11bの開閉部材12Aを密閉姿勢に戻し開口11gを閉じる。次に、予備室11cの開閉部材12Aを回動させ密閉姿勢から送り姿勢にすることにより、ワークWを転動させて、開口11gを介して第1研掃室11dのローラ12BへワークWを搬送し、予備室11cの開閉部材12Aを密閉姿勢に戻し開口11gを閉じる。
【0030】
第1研掃室11dに面する開口11gを開閉部材12Aにより密閉した状態において、第1投射機13Aから研掃材を投射し、ワークWを研掃する。研掃後、第2研掃室11eの開閉部材12Aを回動させ密閉姿勢から送り姿勢にし、第1研掃室11dの押上機構12Cを駆動させて、ワークWを押し上げて、第2研掃室11eの開閉部材12Aに載せる。第2研掃室11eの開閉部材12Aを回動させ密閉姿勢に戻し、ワークWを第2研掃室11eのローラ12Bへ送る。
【0031】
第2研掃室11eに面する開口11gを開閉部材12Aにより密閉した状態において、第2投射機13Bから研掃材を投射し、ワークWを研掃する、研掃後、後処理室11fの一方の開閉部材12Aを回動させ密閉姿勢から送り姿勢にし、第2研掃室11eの押上機構12Cを駆動させて、ワークWを押し上げて、後処理室11fの開閉部材12Aに載せる。第2研掃室11eの一方の開閉部材12Aを回動させ密閉姿勢に戻し、ワークWを第2研掃室11eの他方の開閉部材12Aへ送る。
【0032】
後処理室11fにおいて、エアブロー等により、ワークWに付着する研掃材等を除去し、処理後、第2研掃室11eの他方の開閉部材12Aを回動させ送り姿勢にして、ワークWを研掃後載置部3へ送る。
【0033】
<作用効果>
以上に記載したようなショットブラスト装置1によれば、スチールショットからなる研掃材(第1研掃材)を投射可能に設けられた第1投射機13Aと、第1研掃材とは異なる(第2研掃材)を投射可能に設けられた第2投射機13Bと、を備え、第1投射機13Aは、それに対向する第1研掃室11dに対して第1研掃材を投射し、第2投射機13Bは、それに対向する第2研掃室11eに対して第2研掃材を投射するように構成されている。よって、一台のショットブラスト装置1において、複数の研掃材をワークWに対して投射することができるので、研掃材の種類(材質、大きさ等)ごとに、装置を用意する必要がない。よって、装置を設置するスペースを大幅に縮小することができ、ショットブラスト装置に必要なコストを大幅に低減することができる。
【0034】
また、第1研掃室11dと第2研掃室11eの間に位置する区画壁11Aには、ワークWを第1研掃室11dから第2研掃室11eへ搬送するための開口11gが形成され、第1投射機13Aは、第1研掃室11d内に向かって第1研掃材を投射可能に構成され、第2投射機13Bは、第2研掃室11e内に向かって第2研掃材を投射可能に構成され、開口11gを開閉する開閉部材12Aをさらに備える。かかる構成により、第1研掃材と第2研掃材とが混ざるのを抑制することができ、効率よく複数の研掃材による研掃処理を行うことができる。
【0035】
また、開閉部材12Aは、送り部12Dと下密閉部12Eとを備え、送り姿勢と密閉姿勢とに回動可能に設けられ、開閉部材12Aが、密閉姿勢にあるとき下密閉部12Eが開口11gを塞ぎ、送り姿勢にあるとき送り部12DがワークWを第1研掃室11dから第2研掃室11eへ搬送するように構成されている。かかる構成によれば、開閉部材12Aは、ワークWの送り機能および開口11gの開閉機能の両方の機能を有するので、ショットブラスト装置1の構造を大幅に簡略化することができる。
【0036】
次に、本発明の第2の実施形態に係るショットブラスト装置21について図面を参照して説明する。
【0037】
<全体構成>
はじめに本実施形態に係るショットブラスト装置21の全体構成について説明する。本実施形態のショットブラスト装置21は、円柱状のワークWを研掃処理する装置である。
【0038】
図3は、ショットブラスト装置21の全体構成図を示している。
図4は、ショットブラスト装置21の平面図を示している。
【0039】
図3に示すように、ショットブラスト装置21は、研掃前搬送部22と、研掃後搬送部23と、投入・排出部24と、研掃部30と、第1研掃材循環部25と、第2研掃材循環部26とを備える。
【0040】
研掃前搬送部22は、コンベア等により構成され、研掃前のワークWを研掃部30の投入・排出口まで搬送する。研掃後搬送部23は、コンベア等により構成され、研掃部30の投入・排出口から排出された研掃後のワークWを搬送する。投入・排出部24は、研掃前搬送部22上の研掃前のワークWを研掃部30に投入し、および、研掃後のワークWを研掃部30から研掃後搬送部23に排出するように構成されている。
【0041】
研掃部30は、キャビネット31と、回転搬送部32と、投射部33と、回収部34とを備える。
【0042】
図4に示すように、キャビネット31は、平面視において矩形部31A(
図4において上側に位置する)と半円部31B(
図4において下側に位置する)とが合わさった形状をなし、
図4における左右方向の内形寸法と上下方向の内形寸法とが等しく構成されている。
図3に示すように、キャビネット31内には、それぞれ円形をなす上板31Cと下板31Dとが、キャビネット31に対し回転不能に固定されている。上板31Cおよび下板31Dは、それぞれ後述の仕切板32Cの上側および下側において、仕切板32Cの水平方向における全体を覆うように構成されている。なお、下板31Dには、回収部34に対向する部分に、図示せぬ回収孔が形成されている。
【0043】
回転搬送部32は、回転シャフト32Aと、駆動部32Bと、仕切板32Cと、保持部材32Dと、保護板32Eと、押さえ冶具32Fとを備える。
【0044】
回転シャフト32Aは、上下方向に延び、回転可能に設けられている。駆動部32Bは、回転シャフト32Aを所定角度ずつ間欠的に回転させる。
【0045】
仕切板32Cは、回転シャフト32Aの周りに等間隔に5枚設けられ、それぞれ回転シャフト32Aに固定され、放射状に延びている。各仕切板32Cは、その外縁が、上板31C、下板31D、および半円部31Bを形成する側壁31Eに隣接する形状をなしている。各仕切板32Cの外縁には、図示せぬシート状のゴム(可撓性部材)が取り付けられており、上板31C、下板31D、および半円部31Bを形成する側壁31Eに当接して、それらの間に形成される隙間を塞いでいる。また、各仕切板32Cに取り付けられたシート状のゴムは、矩形部31Aを形成する側壁31Fの
図4の左右方向における中央部分に当接可能に構成されている。このように、側壁31E、31F、仕切板32C、上板31C、および下板31Dにより、複数の区画室35が形成される。
【0046】
各仕切板32Cは、駆動部32Bの駆動力により回転方向Rに所定角度ずつ間欠的に回転され、これにより、各区画室35も所定角度ずつ回転する。各区画室35の位置は、
図4における最も下側に位置する区画室35が投入・排出領域に相当し、回転方向Rの順に、準備領域、第1研掃領域、第2研掃領域、後処理領域に相当する。
【0047】
保持部材32Dは、各区画室35に設けられ、回転シャフト32Aの回転とともにその軸の周りを回転(公転)し、かつ図示せぬモータにより自転可能に構成されている。
【0048】
保護板32Eは、各区画室35に設けられ、研掃材が仕切板32Cに衝突するのを抑制する。
【0049】
押さえ冶具32Fは、各区画室35に設けられ、ワークWを上側から押さえ、ワークWが倒れるのを防止する。
【0050】
投射部33は、第1投射機33Aと、第2投射機33Bとを備え、キャビネット31の矩形部31A側に設けられている。第1投射機33Aは、第1研掃領域に対向して設けられ、第2投射機33Bは、第2研掃領域に対向して設けられている。第1投射機33Aは、ロータ等からなり、例えば、0.3mmのスチールショットからなる研掃材(第1研掃材)をワークWに対し投射するように構成され、複数設けられている。第2投射機13Bは、噴射ノズル等からなり、例えば、0.1mmのジルコニアからなる研掃材(第2研掃材)をワークWに対しエアーブラストするように構成され、噴射ノズルは上下方向に沿って複数設けられている。
【0051】
回収部34は、第1回収部34Aと図示せぬ第2回収部とを備える。第1回収部34Aは、
図1の紙面に垂直方向に延びる図示せぬスクリュを備え、第1投射機33Aから投射され下板31Dに形成された図示せぬ回収孔から落下してくる研掃材等を第1研掃材循環部25まで搬送するように構成されている。第2回収部34Bは、
図1の紙面に垂直方向に延びる図示せぬスクリュを備え、第2投射機33Bから投射され下板31Dに形成された図示せぬ回収孔から落下してくる研掃材等を第2研掃材循環部26まで搬送するように構成されている。
【0052】
第1研掃材循環部25は、第1回収部34Aにより回収された研掃材等を、図示せぬエレベータにより上方に搬送し、磁選機、篩、風選機等のセパレータにより、研掃材(スチールショット)を分離し、研掃材タンクに研掃材を戻すように構成されている。第2研掃材循環部5は、第2回収部34Bにより回収された研掃材等を、図示せぬエレベータにより上方に搬送し、磁選機、篩、風選機等のセパレータにより、研掃材(アルミナ)を分離し、研掃材タンクに研掃材を戻すように構成されている。
【0053】
また、ショットブラスト装置21は、研掃処理により発生する埃等を集塵する図示せぬ集塵機を備える。
【0054】
<研掃動作>
次に、ショットブラスト装置21における研掃動作について図面を参照して説明する。
【0055】
研掃前搬送部22により搬送されてきたワークWを投入・排出部24により、キャビネット31の投入・排出口から投入・排出領域に位置する保持部材32D上に載せる。投入・排出部24は、投入・排出領域に位置する保持部材32DにワークWを順次投入する。保持部材32Dに研掃処理後のワークWが載っている場合には、当該ワークWを排出した後に未加工のワークWを投入する。駆動部32Bにより、仕切板32Cおよび保持部材32Dを間欠的に回転(公転)させ、保持部材32D上のワークWを、準備領域を介して第1研掃領域まで移動させる。第1研掃領域において、保持部材32DによりワークWを自転させながら、第1投射機33Aから研掃材を投射し、ワークWを研掃する。第1研掃領域では、第1投射機33Aは、順次搬送されてくるワークWに対し、研掃材を投射する。
【0056】
研掃後、駆動部32Bにより、仕切板32Cおよび保持部材32Dを間欠的に回転(公転)させ、保持部材32D上のワークWを第2研掃領域まで移動させる。第2研掃領域において、保持部材32DによりワークWを自転させながら、第2投射機33Bから研掃材を投射し、ワークWを研掃する。第2研掃領域では、第2投射機33Bは、順次搬送されてくるワークWに対し、研掃材を投射する。
【0057】
研掃後、駆動部32Bにより、仕切板32Cおよび保持部材32Dを間欠的に回転(公転)させ、保持部材32D上のワークWを後処理領域を介して投入・排出領域まで移動させる。投入・排出領域において、投入・排出部24により研掃後のワークWを排出し、研掃後搬送部23に載せ、研掃前搬送部22により搬送されてきたワークWを保持部材32D上に載せる。
【0058】
<作用効果>
以上に記載したようなショットブラスト装置21によれば、第1実施形態のショットブラスト装置1と同様に、一台のショットブラスト装置21において、複数の研掃材をワークWに対して投射することができるので、研掃材の種類(材質、大きさ等)ごとに、装置を用意する必要がない。よって、装置を設置するスペースを大幅に縮小することができ、ショットブラスト装置に必要なコストを大幅に低減することができる。
【0059】
また、側壁31E、31F、仕切板32C、上板31C、および下板31Dにより、複数の区画室35を形成し、各仕切板32Cの外縁には、上板31C、下板31D、および半円部31Bを形成する側壁31E、31Fに当接する図示せぬシート状のゴム(可撓性部材)が取り付けられている。かかる構成により、第1研掃材と第2研掃材とが混ざるのを抑制することができ、効率よく複数の研掃材による研掃処理を行うことができる。
【0060】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形は可能である。
【0061】
上記の実施形態では、研掃材は第1研掃材および第2研掃材は、材質および粒径の両方が異なるものを用いたが、材質が同じで、粒径のみが異なるものを用いてもよい。また、ショットブラスト装置1、21は、2台の投射機により2種類の研掃材を用いる構成であったが、3台以上の投射機により3種類以上の研掃材を用いる構成であってもよい。
【0062】
また、区画室の数は、上記の実施形態の数に限らず、必要に応じて増減させてもよい。また、上記の実施形態では、可撓性部材はシート状のゴムであったが、これに限らない。また、第1の実施形態では、開閉部材12Aは、一つの部材で、開口11gの密閉する機能とワークWの搬送する機能の2つの機能を備えていたが、開口11gの密閉する機能を備える部材と、ワークWの搬送する機能を備える部材をそれぞれ設ける構成にしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1、21:ショットブラスト装置、 11b~11f、35:区画室、 11g:開口、12A:開閉部材、 12D:送り部、 12E:下密閉部、 13A、33A:第1投射機、 13B、33B:第2投射機、 31:キャビネット 、31C:上板、 31D:下板、 31E、31F:側壁、 32A:回転シャフト、 32C:仕切板