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特許7008932通信端末制御システム、コンピュータ、プログラムおよび自動運転車乗車中の通信端末の操作制限システム
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  • 特許-通信端末制御システム、コンピュータ、プログラムおよび自動運転車乗車中の通信端末の操作制限システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】通信端末制御システム、コンピュータ、プログラムおよび自動運転車乗車中の通信端末の操作制限システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20220118BHJP
   A63F 13/55 20140101ALI20220118BHJP
   A63F 13/75 20140101ALI20220118BHJP
   A63F 13/422 20140101ALI20220118BHJP
   A63F 13/30 20140101ALI20220118BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20220118BHJP
   B60W 50/08 20200101ALI20220118BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20220118BHJP
【FI】
G08G1/16 A
A63F13/55
A63F13/75
A63F13/422
A63F13/30
H04M1/00 V
B60W50/08
B60W60/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020046189
(22)【出願日】2020-03-17
(65)【公開番号】P2021149252
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2020-07-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【弁理士】
【氏名又は名称】加島 広基
(72)【発明者】
【氏名】奥山 幹樹
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-502718(JP,A)
【文献】特開2019-128828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
A63F 13/55
A63F 13/75
A63F 13/422
A63F 13/30
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転システムを搭載する車両の運転ユーザの通信端末を特定するための情報を受け付ける運転ユーザ特定情報受付手段と、
自動運転条件を満たしているか否かの情報を受け付ける運転状況受付手段と、
前記運転ユーザ特定情報受付手段により受け付けられた情報に基づいて特定される前記運転ユーザの前記通信端末に対して、前記運転状況受付手段により前記自動運転条件を満たしている旨の情報が受け付けられている自動運転状態時に、実行中のアプリケーションへの前記運転ユーザの操作入力を反映させ、前記運転状況受付手段により前記自動運転条件を満たしていない旨の情報が受け付けられている非自動運転状態時に、少なくとも前記アプリケーションへの前記運転ユーザの前記操作入力を反映させないよう制御する通信端末制御手段と、
前記非自動運転状態時に入力された前記運転ユーザの前記操作入力を反映させずに前記アプリケーションを自動制御する自動制御手段と、
を備えた、通信端末制御システム。
【請求項2】
自動運転システムを搭載する車両の運転ユーザの通信端末を特定するための情報を受け付ける運転ユーザ特定情報受付手段と、
自動運転条件を満たしているか否かの情報を受け付ける運転状況受付手段と、
前記運転ユーザ特定情報受付手段により受け付けられた情報に基づいて特定される前記運転ユーザの前記通信端末に対して、前記運転状況受付手段により前記自動運転条件を満たしている旨の情報が受け付けられている自動運転状態時に、実行中のアプリケーションへの前記運転ユーザの操作入力を反映させ、前記運転状況受付手段により前記自動運転条件を満たしていない旨の情報が受け付けられている非自動運転状態時に、少なくとも前記アプリケーションへの前記運転ユーザの前記操作入力を反映させないよう制御する通信端末制御手段と、
前記車両における前記運転ユーザ以外の同乗ユーザの通信端末を特定するための情報を受け付ける同乗ユーザ特定情報受付手段と、
を備え
前記通信端末制御手段は、前記同乗ユーザ特定情報受付手段により受け付けられた情報に基づいて特定される前記同乗ユーザの前記通信端末に対して、前記自動運転状態時および前記非自動運転状態時の両方において、前記アプリケーションへの前記同乗ユーザの操作入力を反映させるよう制御する、通信端末制御システム。
【請求項3】
前記アプリケーションはゲームである、請求項1または2記載の通信端末制御システム。
【請求項4】
プログラムを実行することにより、
自動運転システムを搭載する車両の運転ユーザの通信端末を特定するための情報を受け付ける運転ユーザ特定情報受付手段と、
自動運転条件を満たしているか否かの情報を受け付ける運転状況受付手段と、
前記運転ユーザ特定情報受付手段により受け付けられた情報に基づいて特定される前記運転ユーザの前記通信端末に対して、前記運転状況受付手段により前記自動運転条件を満たしている旨の情報が受け付けられている自動運転状態時に、実行中のアプリケーションへの前記運転ユーザの操作入力を反映させ、前記運転状況受付手段により前記自動運転条件を満たしていない旨の情報が受け付けられている非自動運転状態時に、少なくとも前記アプリケーションへの前記運転ユーザの前記操作入力を反映させないよう制御する通信端末制御手段と、
前記非自動運転状態時に入力された前記運転ユーザの前記操作入力を反映させずに前記アプリケーションを自動制御する自動制御手段と、
として機能する、コンピュータ。
【請求項5】
プログラムを実行することにより、
自動運転システムを搭載する車両の運転ユーザの通信端末を特定するための情報を受け付ける運転ユーザ特定情報受付手段と、
自動運転条件を満たしているか否かの情報を受け付ける運転状況受付手段と、
前記運転ユーザ特定情報受付手段により受け付けられた情報に基づいて特定される前記運転ユーザの前記通信端末に対して、前記運転状況受付手段により前記自動運転条件を満たしている旨の情報が受け付けられている自動運転状態時に、実行中のアプリケーションへの前記運転ユーザの操作入力を反映させ、前記運転状況受付手段により前記自動運転条件を満たしていない旨の情報が受け付けられている非自動運転状態時に、少なくとも前記アプリケーションへの前記運転ユーザの前記操作入力を反映させないよう制御する通信端末制御手段と、
前記車両における前記運転ユーザ以外の同乗ユーザの通信端末を特定するための情報を受け付ける同乗ユーザ特定情報受付手段と、
として機能し、
前記通信端末制御手段は、前記同乗ユーザ特定情報受付手段により受け付けられた情報に基づいて特定される前記同乗ユーザの前記通信端末に対して、前記自動運転状態時および前記非自動運転状態時の両方において、前記アプリケーションへの前記同乗ユーザの操作入力を反映させるよう制御する、コンピュータ。
【請求項6】
前記アプリケーションはゲームである、請求項4または5記載のコンピュータ。
【請求項7】
コンピュータを、
自動運転システムを搭載する車両の運転ユーザの通信端末を特定するための情報を受け付ける運転ユーザ特定情報受付手段と、
自動運転条件を満たしているか否かの情報を受け付ける運転状況受付手段と、
前記運転ユーザ特定情報受付手段により受け付けられた情報に基づいて特定される前記運転ユーザの前記通信端末に対して、前記運転状況受付手段により前記自動運転条件を満たしている旨の情報が受け付けられている自動運転状態時に、実行中のアプリケーションへの前記運転ユーザの操作入力を反映させ、前記運転状況受付手段により前記自動運転条件を満たしていない旨の情報が受け付けられている非自動運転状態時に、少なくとも前記アプリケーションへの前記運転ユーザの前記操作入力を反映させないよう制御する通信端末制御手段と、
前記非自動運転状態時に入力された前記運転ユーザの前記操作入力を反映させずに前記アプリケーションを自動制御する自動制御手段と、
として機能させることを特徴とする、プログラム。
【請求項8】
コンピュータを、
自動運転システムを搭載する車両の運転ユーザの通信端末を特定するための情報を受け付ける運転ユーザ特定情報受付手段と、
自動運転条件を満たしているか否かの情報を受け付ける運転状況受付手段と、
前記運転ユーザ特定情報受付手段により受け付けられた情報に基づいて特定される前記運転ユーザの前記通信端末に対して、前記運転状況受付手段により前記自動運転条件を満たしている旨の情報が受け付けられている自動運転状態時に、実行中のアプリケーションへの前記運転ユーザの操作入力を反映させ、前記運転状況受付手段により前記自動運転条件を満たしていない旨の情報が受け付けられている非自動運転状態時に、少なくとも前記アプリケーションへの前記運転ユーザの前記操作入力を反映させないよう制御する通信端末制御手段と、
前記車両における前記運転ユーザ以外の同乗ユーザの通信端末を特定するための情報を受け付ける同乗ユーザ特定情報受付手段と、
として機能させ
前記通信端末制御手段は、前記同乗ユーザ特定情報受付手段により受け付けられた情報に基づいて特定される前記同乗ユーザの前記通信端末に対して、前記自動運転状態時および前記非自動運転状態時の両方において、前記アプリケーションへの前記同乗ユーザの操作入力を反映させるよう制御する、プログラム。
【請求項9】
前記アプリケーションはゲームである、請求項7または8記載のプログラム。
【請求項10】
自動運転システムを搭載する車両の運転ユーザの通信端末を特定するための情報を受け付ける運転ユーザ特定情報受付手段と、
自動運転条件を満たしているか否かの情報を受け付ける運転状況受付手段と、
前記運転ユーザ特定情報受付手段により受け付けられた情報に基づいて特定される前記運転ユーザの前記通信端末に対して、前記運転状況受付手段により前記自動運転条件を満たしている旨の情報が受け付けられている自動運転状態時に、実行中のアプリケーションへの前記運転ユーザの操作入力を反映させ、前記運転状況受付手段により前記自動運転条件を満たしていない旨の情報が受け付けられている非自動運転状態時に、少なくとも前記アプリケーションへの前記運転ユーザの前記操作入力を反映させないよう制御する通信端末制御手段と、
前記非自動運転状態時に入力された前記運転ユーザの前記操作入力を反映させずに前記アプリケーションを自動制御する自動制御手段と、
を備えた、自動運転車乗車中の通信端末の操作制限システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信端末制御システム、コンピュータプログラムおよび自動運転車乗車中の通信端末の操作制限システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の自動運転技術が急速に発展しており、自動運転が完全に行われるようになると車両の走行中に運転者はスマートフォン等の通信端末で様々なアプリケーションを実行することができる。しかしながら、自動運転が解除されると、運転者の通信端末のアプリケーションの実行を中断させる必要がある。
【0003】
この点について、特許文献1には、自動運転の解除に伴って機器の操作が制限されることを機器の操作が制限される前に報知する報知制御装置が開示されている。また、特許文献2には自動運転に関連する重要な通知の発生を検知した場合にはハンズフリー通話を自動的に制限する車載システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】WO2018/105074
【文献】特開2019-161407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1、2には、自動運転が解除されるとアプリケーションへの運転ユーザの操作入力を反映させないような技術は開示されていない。
【0006】
本開示は、運転ユーザを運転に集中させることができる通信端末制御システム、コンピュータプログラムおよび自動運転車乗車中の通信端末の操作制限システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の側面は、
自動運転システムを搭載する車両の運転ユーザの通信端末を特定するための情報を受け付ける運転ユーザ特定情報受付手段と、
自動運転条件を満たしているか否かの情報を受け付ける運転状況受付手段と、
前記運転ユーザ特定情報受付手段により受け付けられた情報に基づいて特定される前記運転ユーザの前記通信端末に対して、前記運転状況受付手段により前記自動運転条件を満たしている旨の情報が受け付けられている自動運転状態時に、実行中のアプリケーションへの前記運転ユーザの操作入力を反映させ、前記運転状況受付手段により前記自動運転条件を満たしていない旨の情報が受け付けられている非自動運転状態時に、少なくとも前記アプリケーションへの前記運転ユーザの前記操作入力を反映させないよう制御する通信端末制御手段と、
を備えた、通信端末制御システムである。
【0008】
また、第1の側面において、
前記通信端末制御手段は、前記非自動運転状態時に入力された前記アプリケーションへの前記運転ユーザの前記操作入力を反映させないよう制御することができる。
【0009】
また、第1の側面において、
前記通信端末制御手段は、前記運転ユーザ特定情報受付手段により受け付けられた情報に基づいて特定される前記運転ユーザの前記通信端末に対して、前記非自動運転状態時に少なくとも前記アプリケーションの画面を表示させないよう制御することができる。
【0010】
また、第1の側面において、
前記非自動運転状態時に入力された前記運転ユーザの前記操作入力を反映させずに前記アプリケーションを自動制御する自動制御手段を更に備えることができる。
【0011】
また、第1の側面において、
前記車両における前記運転ユーザ以外の同乗ユーザの通信端末を特定するための情報を受け付ける同乗ユーザ特定情報受付手段を更に備え、
前記通信端末制御手段は、前記同乗ユーザ特定情報受付手段により受け付けられた情報に基づいて特定される前記同乗ユーザの前記通信端末に対して、前記自動運転状態時および前記非自動運転状態時の両方において、前記アプリケーションへの前記同乗ユーザの操作入力を反映させるよう制御することができる。
【0012】
また、第1の側面において、
前記アプリケーションはゲームであり、
前記通信端末制御手段は、前記運転ユーザ特定情報受付手段により受け付けられた情報に基づいて特定される前記運転ユーザの前記通信端末に対して、前記自動運転状態時に、実行中の前記ゲームへの前記運転ユーザの操作入力を反映させ、前記非自動運転状態時に、前記ゲームへの前記運転ユーザの操作入力を反映させないよう制御することができる。
【0013】
また、第1の側面において、
前記通信端末制御手段は、前記非自動運転状態時に入力された前記ゲームへの前記運転ユーザの前記操作入力を反映させないよう制御することができる。
【0014】
また、第1の側面において、
前記ゲームは、複数のユーザの前記通信端末で実行するマルチプレイゲームであってもよい。
【0015】
また、第1の側面において、
前記非自動運転状態時に入力された前記運転ユーザの前記操作入力を反映させずに前記ゲームを自動制御する自動制御手段を更に備えた、請求項6乃至8のいずれか一項に記載の通信端末制御システム。
【0016】
また、第1の側面において、
前記ゲームは、前記運転ユーザによる前記通信端末に対する操作入力に基づいて制御するプレイヤキャラクタを仮想空間に配置するものであり、前記自動制御手段は、前記非自動運転状態時に入力された前記運転ユーザの操作を反映させずに前記プレイヤキャラクタを仮想空間内で制御することができる。
【0017】
また、第1の側面において、
前記車両の前記運転ユーザの前記通信端末および前記運転ユーザ以外の同乗ユーザの通信端末により前記ゲームをマルチプレイで行うことができるようになっており、
前記車両における前記運転ユーザ以外の前記同乗ユーザの前記通信端末を特定するための情報を受け付ける同乗ユーザ特定情報受付手段を更に備え、
前記通信端末制御手段は、前記同乗ユーザ特定情報受付手段により受け付けられた情報に基づいて特定される前記同乗ユーザの前記通信端末に対して、前記自動運転状態時および前記非自動運転状態時の両方において、前記ゲームへの前記同乗ユーザの操作入力を反映させるよう制御することができる。
【0018】
第2の側面は、
プログラムを実行することにより、
自動運転システムを搭載する車両の運転ユーザの通信端末を特定するための情報を受け付ける運転ユーザ特定情報受付手段と、
自動運転条件を満たしているか否かの情報を受け付ける運転状況受付手段と、
前記運転ユーザ特定情報受付手段により受け付けられた情報に基づいて特定される前記運転ユーザの前記通信端末に対して、前記運転状況受付手段により前記自動運転条件を満たしている旨の情報が受け付けられている自動運転状態時に、実行中のアプリケーションへの前記運転ユーザの操作入力を反映させ、前記運転状況受付手段により前記自動運転条件を満たしていない旨の情報が受け付けられている非自動運転状態時に、少なくとも前記アプリケーションへの前記運転ユーザの前記操作入力を反映させないよう制御する通信端末制御手段と、
として機能する、コンピュータである。
【0019】
第3の側面は、
コンピュータを、
自動運転システムを搭載する車両の運転ユーザの通信端末を特定するための情報を受け付ける運転ユーザ特定情報受付手段と、
自動運転条件を満たしているか否かの情報を受け付ける運転状況受付手段と、
前記運転ユーザ特定情報受付手段により受け付けられた情報に基づいて特定される前記運転ユーザの前記通信端末に対して、前記運転状況受付手段により前記自動運転条件を満たしている旨の情報が受け付けられている自動運転状態時に、実行中のアプリケーションへの前記運転ユーザの操作入力を反映させ、前記運転状況受付手段により前記自動運転条件を満たしていない旨の情報が受け付けられている非自動運転状態時に、少なくとも前記アプリケーションへの前記運転ユーザの前記操作入力を反映させないよう制御する通信端末制御手段と、
として機能させることを特徴とする、プログラムである。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、運転ユーザを運転に集中させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態における通信端末制御システムの構成を示すブロック図である。
図2】自動運転システムを搭載する車両の内部の構成を概略的に示す図である。
図3】本実施形態における通信端末制御システムの一連の動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔実施形態〕
本開示の実施形態にかかる通信端末制御システム1について、図面を参照して説明する。
【0023】
<通信端末制御システム1の説明>
図1に示す通信端末制御システム1では、サーバ装置2(コンピュータ)、自動運転システム3および複数の通信端末5が通信ネットワーク6を介して互いに通信可能に接続されている。図2に示すように、自動運転システム3は車両10に搭載され、当該車両10の自動運転を行う。
【0024】
通信端末5は例えばスマートフォン、タブレット端末、携帯電話等である。以下では、通信端末5がスマートフォンである場合を例示する。
【0025】
<通信端末制御システム1の概要>
サーバ装置2(コンピュータ)は、ゲームプログラムおよびゲームデータを記憶しており、複数の通信端末5の各々に対してゲームに関する制御信号の送受信を行うことにより各通信端末5でゲームをマルチプレイで行わせる。なお、マルチプレイで行われるゲームは、対戦型ゲームおよび協調型ゲームの両方のタイプが含まれる。
【0026】
通信端末5は、ユーザの操作に基づいて所定のゲームを実行する。そのために、通信端末5は、通信ネットワーク6を介して、サーバ装置2からゲームプログラムおよびゲームデータを受信(具体的には、ダウンロードおよびインストール)する。
【0027】
各ユーザには、通信端末5に対応づけて、識別情報およびパスワードを含むアカウント情報が、ユーザごとに割り当てられている。このアカウント情報は、ログイン時、通信端末5からサーバ装置2に送信され、サーバ装置2におけるユーザ認証に利用される。
【0028】
ユーザ認証を経て、サーバ装置2と通信端末5との相互通信が可能となる。ログイン後、通信端末5は、ゲーム進行に必要なデータ(ゲーム進行状況に関するデータ)をサーバ装置2から受信すると、ユーザの操作に基づいてゲーム画像や音声をタッチパネル57およびスピーカ58に出力しながら、ゲームを進行させる。
【0029】
本実施形態では、自動運転システム3が車両10の自動運転を行う間は、車両10に乗っている運転ユーザ7および同乗ユーザ8の両者が自分の通信端末5によりアプリケーションとしてのゲームをマルチプレイで行うことができる。具体的には、運転ユーザ7と、同乗ユーザ8(または、車外のユーザや他の車両に乗っているユーザ等の他のユーザ)との操作に基づいて、各通信端末5からサーバ装置2にマルチプレイ参加要求が送信されると、サーバ装置2は受信したマルチプレイ参加要求に基づいてマッチング処理を実行する。そして、マッチングされた通信端末5間によるマルチプレイを実行する。
【0030】
一方、自動運転システム3が車両10の自動運転を行わなくなり、運転ユーザ7が車両10の運転を行う必要が生じたときに、通信端末5への運転ユーザ7の操作入力をゲームに反映させなくすることにより、運転ユーザ7がゲームを行うことができないようにする。このため運転ユーザ7は運転に集中することができる。
【0031】
<通信端末制御システム1の構成>
以下、図1を参照して、サーバ装置2、自動運転システム3および通信端末5の各ハードウェア構成について説明する。なお、複数の通信端末5の各々は、互いに同じ構成を有する。
【0032】
<サーバ装置2の構成>
図1に示すように、サーバ装置2は、ネットワークインターフェース21、制御部22および記憶部23を有する。ネットワークインターフェース21および記憶部23は、バス24を介して制御部22と電気的に接続されている。
【0033】
ネットワークインターフェース21は、インターネットおよびLANなどの通信ネットワーク6を介して自動運転システム3および各通信端末5と通信可能に接続されている。
【0034】
制御部22は、CPUおよび半導体メモリを含むマイクロコンピュータで構成され、サーバ装置2の動作を制御する。
【0035】
制御部22は、後述する記憶部23に記憶されている各種プログラムを実行することにより、運転ユーザ特定情報受付手段221、同乗ユーザ特定情報受付手段222、運転状況受付手段223、通信端末制御手段224および自動制御手段225として機能する。
【0036】
運転ユーザ特定情報受付手段221は、自動運転システム3を搭載する車両10の運転ユーザ7の通信端末5を特定するための情報を受け付ける。
【0037】
同乗ユーザ特定情報受付手段222は、自動運転システム3を搭載する車両10の同乗ユーザ8の通信端末5を特定するための情報を受け付ける。
【0038】
運転状況受付手段223は、自動運転条件を満たしているか否かの情報を受け付ける。自動運転条件を満たしているか否かの情報は、自動運転システム3から通信ネットワーク6を介してサーバ装置2に送信される。
【0039】
本実施形態では、運転状況受付手段223により自動運転条件を満たしている旨の情報が受け付けられているときを自動運転状態時という。また、運転状況受付手段223により自動運転条件を満たしていない旨の情報が受け付けられているときを非自動運転状態時という。
【0040】
通信端末制御手段224は、運転ユーザ7の通信端末5に対して、自動運転状態時に、実行中のゲームへの運転ユーザ7の操作入力を反映させるよう制御信号を送る(反映させるよう制御する)。また、通信端末制御手段224は、運転ユーザ7の通信端末5に対して、非自動運転状態時に、実行中のゲームへの運転ユーザ7の操作入力を反映させないよう、制御信号を送る(反映させないよう制御する)。より詳細には、通信端末制御手段224は、非自動運転状態時に入力されたゲームへの運転ユーザ7の操作入力を反映させないよう、制御信号を送る。
【0041】
また、通信端末制御手段224は、運転ユーザ7の通信端末5に対して、非自動運転状態時に通信端末5のタッチパネル57にゲームの画面を表示させないよう制御信号を送る。
【0042】
また、通信端末制御手段224は、同乗ユーザ8の通信端末5に対して、自動運転状態時および非自動運転状態時の両方において、実行中のゲームへの運転ユーザ7の操作入力を反映させるよう制御信号を送る。
【0043】
自動制御手段225は、非自動運転状態時に入力された運転ユーザ7の操作入力を反映させずにゲームを自動制御する。
【0044】
記憶部23は、HDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)およびSSD(Solid State Drive)などで構成されている。記憶部23には、本実施形態にかかるゲームプログラムの一部を含む各種プログラムの他、ゲームデータなどの各種データなどが記憶されている。
【0045】
<自動運転システム3の構成>
図1に示すように、自動運転システム3は、ネットワークインターフェース31、制御部32および記憶部33を有する。ネットワークインターフェース31および記憶部33は、バス34を介して制御部32と電気的に接続されている。
【0046】
ネットワークインターフェース31は、インターネットおよびLANなどの通信ネットワーク6を介してサーバ装置2および各通信端末5と通信可能に接続されている。
【0047】
制御部32は、CPUおよび半導体メモリを含むマイクロコンピュータで構成され、自動運転システム3の動作を制御する。
【0048】
制御部32は、後述する記憶部33に記憶されている各種プログラムを実行することにより、自動運転制御手段321および運転状況送信手段322として機能する。
【0049】
自動運転制御手段321は車両10の自動運転を行う。なお、自動運転制御手段321により行われる車両10の自動運転は、下記のレベルが日本政府や米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)等によって定義されている。
【0050】
レベル3(条件付き自動運転)では、限定的な環境下もしくは交通状況においてのみ、自動運転制御手段321が車両10の加速、操縦、制動を行い、自動運転システム3が要請したときには運転ユーザ7が対応しなければならない状態となる。通常時は運転ユーザ7は運転から解放されるが、緊急時や自動運転システム3が車両10の自動運転を維持できない状況下では、自動運転システム3からの運転操作切り替え要請に運転ユーザ7は適切に応じる必要がある。
【0051】
レベル4(高度自動運転)では、特定の状況下においてのみ、自動運転制御手段321が車両10の加速、操縦、制動を行い、その状況が続く限りは運転ユーザ7は全く関与しない状態となる。なお、特定の状況下とは、例えば車両10が高速道路上にあったり、または自動運転システム3の正常な動作を阻害するような極限環境(例えば、大雨や大雪等)以外であったりすることをいう。基本的には運転ユーザ7が操作をオーバーライドする必要はないが、特定の状況下を離れると運転ユーザ7による運転が必要となる。
【0052】
運転状況送信手段322は、車両10の運転状況にかかる情報をサーバ装置2に送信する。具体的には、運転状況送信手段322は、自動運転制御手段321により車両10の自動運転が行われている場合に、自動運転条件を満たしているという情報を、通信ネットワーク6を介してサーバ装置2に送信する。また、運転状況送信手段322は、自動運転制御手段321により車両10の自動運転が行われていない場合に、自動運転条件を満たしていないという情報を、通信ネットワーク6を介してサーバ装置2に送信する。
【0053】
記憶部33は、HDD、RAM、ROMおよびSSDなどで構成されている。記憶部33には、車両10の自動運転に必要な各種プログラムの他、マップデータなどの各種データなどが記憶されている。
【0054】
<通信端末5の構成>
図1に示すように、通信端末5は、タッチパネル57およびスピーカ58を有する。また、通信端末5は、ネットワークインターフェース51、制御部52、グラフィック処理部53、操作部54、オーディオ処理部55および記憶部56を有する。ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部53、操作部54、オーディオ処理部55および記憶部56は、バス59を介して制御部52と電気的に接続されている。
【0055】
ネットワークインターフェース51は、通信端末5とサーバ装置2との間で各種データを送受信するために、通信ネットワーク6に通信可能に接続される。また、運転ユーザ7の通信端末5と自動運転システム3とはBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信により通信可能に接続される。
【0056】
制御部52は、CPUおよび半導体メモリを含むマイクロコンピュータで構成され、通信端末5の動作を制御する。
【0057】
制御部52は、後述する記憶部56に記憶されている各種プログラムを実行することにより、通信手段521、ゲーム実行手段522および報知制御手段523として機能する。
【0058】
通信手段521は、ネットワークインターフェース51を介してサーバ装置2との通信を行う機能である。
【0059】
通信手段521は、操作部54がタッチパネル57から受信した各種操作信号に応じて、サーバ装置2が把握可能な情報を生成して送信する。例えば、通信手段521は、アカウント情報、新たなゲームデータのダウンロード要求情報、クエスト実行要求などを、サーバ装置2に送信する。また、通信手段521は、ダウンロード要求情報に応じてサーバ装置2から送られてきた新たなゲームデータなどを受信する。
【0060】
ゲーム実行手段522は、通信端末5のユーザによるタッチパネル57の操作に従って、ゲームデータに含まれる仮想ゲーム空間オブジェクトおよびテクスチャなどのデータを後述する記憶部56から読み出すかまたはサーバ装置2から受信したデータを用いて、ゲームプログラムを実行しつつ、2次元または3次元のゲーム画像情報を生成する。ゲーム画像情報がグラフィック処理部53によって処理されることにより、タッチパネル57には処理後のゲーム画像が逐次表示される。
【0061】
そして、ゲーム実行手段522は、ゲーム画像上に、通信端末5のユーザの操作に従ってキャラクタを配置させ、そのユーザの操作およびゲームの進行状況に応じて仮想ゲーム空間におけるキャラクタの行動を制御する。例えば、ゲーム実行手段522は、タッチパネル57を介したユーザの操作に応じて、ゲームにおいてクエストを実行させる。
【0062】
報知制御手段523は、ゲームの実行にあたり、通信端末5のユーザの操作などに応じてタッチパネル57の表示制御およびスピーカ58の音声出力制御を行う。
【0063】
グラフィック処理部53は、制御部52から出力されるゲーム画像情報に従って、キャラクタおよび仮想ゲーム空間に関する各種オブジェクトを含むゲーム画像を、動画形式で描写する。グラフィック処理部53は、例えばタッチパネル57と接続されており、動画形式に描写されたゲーム画像は、ゲーム画面としてタッチパネル57上に表示される。
【0064】
操作部54は、タッチパネル57と接続され、タッチパネル57への操作入力に関するデータをタッチパネル57との間で送受信する。ユーザは、タッチパネル57をタッチすることで、通信端末5に操作信号を入力する。
【0065】
オーディオ処理部55は、スピーカ58と接続され、制御部52の指示に従ってゲーム音声を再生および合成すると、これをスピーカ58から出力させる。
【0066】
記憶部56は、HDD、RAM、ROMおよびSSDなどで構成されている。記憶部56には、サーバ装置2からダウンロードしたゲームデータ、ゲームプログラムの一部を含む各種プログラム、通信端末5のアカウント情報などが格納されている。
【0067】
<通信端末制御システム1の動作の流れ>
図3は、本実施形態における通信端末制御システム1の一連の動作の流れを示すフローチャートである。
【0068】
まず、サーバ装置2の運転ユーザ特定情報受付手段221は、車両10に乗っている運転ユーザ7の通信端末5を特定するための情報を受け付ける。また、サーバ装置2の同乗ユーザ特定情報受付手段222は、車両10に乗っている同乗ユーザ8の通信端末5を特定するための情報を受け付ける。
【0069】
具体的には、自動運転システム3の制御部32は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信により通信可能に接続された通信端末5にかかる情報をネットワークインターフェース31によりサーバ装置2に送信する。そして、運転ユーザ特定情報受付手段221は、自動運転システム3の制御部32から送信された情報を、車両10に乗っている運転ユーザ7の通信端末5を特定するための情報として受け付ける。
【0070】
また、運転ユーザ7および同乗ユーザ8がそれぞれの通信端末5でゲームをマルチプレイで行っている場合には、サーバ装置2の制御部22によりこの運転ユーザ7の通信端末5と同乗ユーザ8の通信端末5とが関連付けられる。このことにより、サーバ装置2の同乗ユーザ特定情報受付手段222は、車両10に乗っている同乗ユーザ8の通信端末5を特定するための情報を受け付ける。
【0071】
自動運転システム3の運転状況送信手段322は、車両10の運転状況にかかる情報をサーバ装置2に送信する。サーバ装置2の運転状況受付手段223は、自動運転条件を満たしているか否かの情報を受け付ける(ステップst1)。
【0072】
自動運転条件を満たしている場合には(ステップst1のYES)、自動運転システム3が車両10を自動制御している(ステップst2)。この場合には、運転ユーザ7が車両10を運転する必要はない。このため、サーバ装置2の通信端末制御手段224は、運転ユーザ7および同乗ユーザ8の通信端末5に対して、実行中のゲームへの運転ユーザ7および同乗ユーザ8の操作入力を反映させるよう、制御信号を送る。
【0073】
このことにより、運転ユーザ7および同乗ユーザ8ともに自分の通信端末5において手動でゲームをプレイ可能となる(ステップst3)。
【0074】
一方、自動運転制御手段321により行われる車両10の自動運転がレベル3(条件付き自動運転)である場合に、緊急時や自動運転システム3が車両10の自動運転を維持できない状況下において自動運転システム3が運転ユーザ7による運転を要請したときには自動運転条件を満たさなくなる。また、自動運転制御手段321により行われる車両10の自動運転がレベル4(高度自動運転)である場合に、特定の状況下を離れると自動運転条件を満たさなくなる。
【0075】
自動運転システム3の運転状況送信手段322は、自動運転条件を満たさなくなると、この情報をサーバ装置2に送信する。そして、サーバ装置2の運転状況受付手段223は、自動運転条件を満たしていないという情報を受け付ける。自動運転条件を満たしていない場合には(ステップst1のNO)、自動運転システム3が車両10を自動制御していない。この場合には、運転ユーザ7が車両10を運転する必要がある(ステップst4)。
【0076】
具体的には、自動運転条件を満たしていない場合には(ステップst1のNO)、車両10の運転操作を自動運転システム3から運転ユーザ7に移譲する旨のメッセージが運転ユーザ7および同乗ユーザ8の通信端末5のタッチパネル57に表示される。このことにより、運転ユーザ7が車両10を運転する必要があることを運転ユーザ7および同乗ユーザ8が認識することができる。
【0077】
また、運転ユーザ7の通信端末5に対しては(ステップst5のYES)、サーバ装置2の通信端末制御手段224は、実行中のゲームへの運転ユーザ7の操作入力を反映させないよう、制御信号を送る(ステップst7)。より詳細には、通信端末制御手段224は、非自動運転状態時に入力されたゲームへの運転ユーザ7の操作入力を反映させないよう、制御信号を送る。
【0078】
このことにより、運転ユーザ7は自分の通信端末5でゲームを行うことができなくなる。このため、運転ユーザ7は車両10の運転に集中することができる。
【0079】
また、通信端末制御手段224は、運転ユーザ7の通信端末5に対して、非自動運転状態時にゲーム画面を通信端末5(タッチパネル57)に表示させないよう、制御信号を送る(ステップst8)。このことにより、運転ユーザ7はゲーム画面を見ることがなくなる。なお、車両10に搭載されているカーナビゲーションシステム等、運転ユーザ7の通信端末5以外のモニタにゲーム画面が表示されるようにしてもよい。また、通信端末制御手段224は、運転ユーザ7の通信端末5に対して、ゲームの音声は引き続きスピーカ58により出力させるよう、制御信号を送ってもよい。
【0080】
また、自動制御手段225は、非自動運転状態時に入力された運転ユーザ7の操作入力を反映させずにゲームを自動制御する(ステップst9)。より詳細には、自動制御手段225は、非自動運転状態時に入力された運転ユーザ7の操作入力を反映させずにプレイヤキャラクタを仮想空間内で自動制御する(ノンプレイヤキャラクタとして制御される)。この場合は、ゲームをマルチプレイで行う場合でも、運転ユーザ7が操作していたプレイヤキャラクタがノンプレイヤキャラクタとして制御され、同乗ユーザ8が操作するプレイヤキャラクタとマルチプレイを継続する。
【0081】
また、自動運転条件を満たしていない場合でも(ステップst1のNO)、同乗ユーザ8の通信端末5に対しては(ステップst5のNO)、サーバ装置2の通信端末制御手段224は、実行中のゲームへの同乗ユーザ8の操作入力を反映させるよう、制御信号を送る(ステップst6)。このことにより、運転ユーザ7が車両10を運転している間も、同乗ユーザ8は引き続き通信端末5でゲームを行うことができる。
【0082】
なお、非自動運転状態時から自動運転状態時に戻ると、運転ユーザ7の通信端末5において、運転ユーザ7からの操作に基づくゲームの実行を復帰させる旨のメッセージがタッチパネル57に表示される。具体的には、運転ユーザ7の通信端末5のタッチパネル57には復帰ボタンが表示される。そして、運転ユーザ7の操作によってその表示に対してゲームの実行の復帰を許可する旨の入力を行うと、運転ユーザ7は通信端末5で再びゲームを行うことができるようになる。
【0083】
以上をまとめると、通信端末制御システム1は、自動運転システム3を搭載する車両10の運転ユーザ7の通信端末5を特定するための情報を受け付ける運転ユーザ特定情報受付手段221と、自動運転条件を満たしているか否かの情報を受け付ける運転状況受付手段223と、運転ユーザ特定情報受付手段221により受け付けられた情報に基づいて特定される運転ユーザ7の通信端末5に対して、運転状況受付手段223により自動運転条件を満たしている旨の情報が受け付けられている自動運転状態時に、実行中のゲーム(アプリケーション)への運転ユーザ7の操作入力を反映させ、運転状況受付手段223により自動運転条件を満たしていない旨の情報が受け付けられている非自動運転状態時に、少なくともゲーム(アプリケーション)への運転ユーザ7の操作入力を反映させないよう制御する通信端末制御手段224と、を備えるものである。
【0084】
<効果>
本実施形態によれば、非自動運転状態時には少なくともゲームへの運転ユーザ7の操作入力を反映させないため、運転ユーザ7は自分の通信端末5でゲームを行うことができなくなる。
【0085】
〔他の実施形態〕
前記実施形態において説明した各種制御手段および処理手順は一例であり、本発明、その適用物またはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。各種制御手段および処理手順は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0086】
前記実施形態には、運転ユーザ7等が通信端末5によりアプリケーションとしてゲームを実行する例として説明した。しかしながら、本発明の実施形態はこれには限られない。運転ユーザ7等が通信端末5によりアプリケーションとしてゲーム以外のものを実行してもよい。ゲーム以外のアプリケーションとしては、例えば複数の通信端末5をつなげてビデオ会議を行うためのソフトや、教師用の通信端末5と生徒用の通信端末5とで信号の送受信を行う教育用ソフト等が考えられる。
【0087】
また、アプリケーションがゲームである場合、前記実施形態には、車両10に乗っている運転ユーザ7および同乗ユーザ8が自分の通信端末5でマルチプレイを行う例として説明した。しかしながら、本発明の実施形態はこれには限られない。車両10に乗っている運転ユーザ7と、車両10の外にいるユーザまたは他の車両10に乗っているユーザとがそれぞれの通信端末5によりマルチプレイでゲームを行ってもよい。
【0088】
また、本発明の更に他の実施形態において、車両10に乗っている運転ユーザ7が単独で自分の通信端末5によりゲームを行ってもよい。この場合、ゲームはマルチプレイで行われるのではなく、シングルプレイとなる。
【0089】
また、運転ユーザ7の通信端末5の特定は、前記実施形態において説明した方法に限定されることはない。例えば車両10の内部における運転ユーザ7の座席の近くにある通信端末5の位置情報を検知し、この通信端末5の位置情報をサーバ装置2に送信することによって、運転ユーザ7の通信端末5を特定するための情報を運転ユーザ特定情報受付手段221が受け付けてもよい。
【0090】
他の例として、運転ユーザ7の通信端末5の特定は、通信端末5の識別番号またはゲームのログイン時のユーザの識別番号等に基づいて行われてもよい。具体的には、運転ユーザ7が通信端末5によりゲームにログインする時に、この通信端末5のタッチパネル57には「運転ユーザであるか否か」の確認メッセージが表示される。そして、運転ユーザであることを運転ユーザ7が通信端末5でタッチパネル57に入力すると、通信端末5の識別番号または運転ユーザ7の識別番号が通信端末5からサーバ装置2に送信される。
【0091】
更に他の例として、車両10には当該車両10の内部を撮影するためのカメラ等が設置されており、このカメラ等によって運転ユーザ7の顔画像が撮像されてもよい。そして、撮像された顔画像に基づいて運転ユーザ7の顔認証を行うことにより、運転ユーザ7の通信端末5が特定されてもよい。この場合には、運転ユーザ7の顔認証の結果にかかる情報をサーバ装置2に送信することによって、運転ユーザ7の通信端末5を特定するための情報を運転ユーザ特定情報受付手段221が受け付ける。
【0092】
また、非自動運転状態時に、運転ユーザ7に関してゲームを自動制御手段225により自動制御したあと、自動運転状態時に切り替わって運転ユーザ7が通信端末5でゲームを実行可能となったときに、自動制御の結果が通信端末5に表示されてもよい。具体的には、運転ユーザ7に関してゲームが自動制御手段225により自動制御されたときのログ情報やリプレイ動画が、自動運転状態時に切り替わったときに運転ユーザ7の通信端末5に表示されてもよい。
【0093】
また、非自動運転状態時の運転ユーザ7による運転のスキルが車両10に搭載された自動運転システム3や他のナビゲーションシステム等によって数値化されてもよい。この場合には、非自動運転状態時の運転ユーザ7による運転のスキル(例えば、アクセル操作の評価(急加速または速度超過の有無)、ブレーキ操作の評価(急減速)、ハンドル操作の評価(急ハンドルまたは車線内走行の維持)およびドライブレコーダーの映像解析による評価のうち少なくとも一つ)に基づいて、報酬が運転ユーザ7に付与されてもよい。
【0094】
報酬は、仮想ゲーム空間内で適用されるパラメータの変化、キャラクタの付与、複数の付与候補キャラクタの中から抽選により所定数のキャラクタが選択される(付与される)イベントを実行する権利(所謂ガチャチケット)、またはアイテム等を含む。具体的には、報酬としてパラメータの変化が付与される場合は、運転のスキルに基づいて、運転ユーザ7に関してゲームが自動制御手段225により自動制御されているときのプレイヤキャラクタ(ノンプレイヤキャラクタ)のパラメータ(例えば、攻撃力、防御力、体力値)等が変化する。また、報酬としてガチャチケット付与する場合は、運転のスキルに基づいて、ガチャの権利の内容が変化してもよい。例えば、運転のスキルに基づいて高レアリティのキャラクタの当選確率が選択される確率が高くなったり、高レアリティのキャラクタが必ず選択される権利を付与したりする。
【0095】
また、ゲームの課題(例えば、敵を倒すこと、他のプレイヤとの対戦に勝利すること)をクリアした場合に、運転ユーザ7による運転のスキルに基づいて、仮想ゲーム空間内で使用される報酬が運転ユーザ7に付与されてもよい。また、運転ユーザ7による運転のスキルだけではなく、運転ユーザ7が運転していた時間(非自動運転状態となってから自動運転状態に遷移するまでの時間)に応じて、運転ユーザ7に付与される報酬が変わったりしてもよい。例えば、運転ユーザ7が運転していた時間が長くなると、運転ユーザ7に付与される報酬がより良くなってもよい。
【0096】
また、ゲーム中に非自動運転状態となり、運転ユーザ7が操作するプレイヤキャラクタがノンプレイヤキャラクタに変化した場合、その運転ユーザ7と一緒にマルチプレイしている同乗ユーザ8についてもプレイヤキャラクタのパラメータ等が変化する等の報酬が付与されたりしてもよい。
【0097】
前記実施形態では、サーバ装置2がプログラムを機能させる場合を例示したが、これに限定されない。プログラムの全ての手段、すなわち、運転ユーザ特定情報受付手段221、同乗ユーザ特定情報受付手段222、運転状況受付手段223、通信端末制御手段224、自動制御手段225などが、自動運転システム3単体、通信端末5単体、サーバ装置2および通信端末5とは別の通信端末単体に備えられていてもよい。
【0098】
例えば、運転ユーザ7の通信端末5がホストとなって、この運転ユーザ7の通信端末5の制御部52がプログラムを実行することにより、運転ユーザ特定情報受付手段221、同乗ユーザ特定情報受付手段222、運転状況受付手段223、通信端末制御手段224および自動制御手段225として機能してもよい。この場合には、サーバ装置2の設置を省略することができる。
【0099】
また、サーバ装置2、自動運転システム3および通信端末5のうち複数の装置が一体となってプログラムを機能させてもよい。すなわち、運転ユーザ特定情報受付手段221、同乗ユーザ特定情報受付手段222、運転状況受付手段223、通信端末制御手段224、自動制御手段225などが、サーバ装置2、自動運転システム3および通信端末5のうち複数の装置にて分散して機能してもよい。この場合に、どの手段をどの装置にて機能させるかも、適宜変更が可能である。
【0100】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本実施形態の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、および他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 通信端末制御システム
2 サーバ装置(コンピュータ)
3 自動運転システム
5 通信端末
7 運転ユーザ
8 同乗ユーザ
10 車両
221 運転ユーザ特定情報受付手段
222 同乗ユーザ特定情報受付手段
223 運転状況受付手段
224 通信端末制御手段
225 自動制御手段
図1
図2
図3