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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】加湿器バイパスを伴う排痰補助システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/16 20060101AFI20220118BHJP
【FI】
A61M16/16 A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018566483
(86)(22)【出願日】2017-06-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-04
(86)【国際出願番号】 US2017037738
(87)【国際公開番号】W WO2017222913
(87)【国際公開日】2017-12-28
【審査請求日】2020-06-12
(31)【優先権主張番号】15/188,722
(32)【優先日】2016-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513285561
【氏名又は名称】ベンテック ライフ システムズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ガウ, シャン
(72)【発明者】
【氏名】シポローン, ジョセフ
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-516537(JP,A)
【文献】特表2000-503885(JP,A)
【文献】特表2004-538057(JP,A)
【文献】特表2008-539904(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0107947(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
送気ガスを患者回路に提供するように構成される第1相と、排気ガスを前記患者回路から引き出すように構成される第2相とを有する排痰補助デバイスと、
前記排痰補助デバイスと前記患者回路の遠位端との間の加湿器アセンブリであって、前記加湿器アセンブリは、
熱された水を含有するように構成されるチャンバと、
前記チャンバおよび前記排痰補助デバイスを流体的に結合する第1の流路と、
前記チャンバおよび前記患者回路の前記遠位端を流体的に結合する第2の流路と、
前記第1の流路および前記第2の流路を接続し、前記第1の流路と前記第2の流路との間に延在する第3の流路であって、前記第3の流路は、前記チャンバをバイパスする、第3の流路と
を備える、加湿器アセンブリと
を備え、前記加湿器アセンブリは、排気ガスが前記チャンバをバイパスするように、前記排気ガスを前記患者回路から前記排痰補助デバイスに前記第3の流路を通して送出するように構成され、システム。
【請求項2】
前記システムは、人工呼吸器を備え、前記人工呼吸器は、前記排痰補助デバイスを含み、前記人工呼吸器は、第1のモードにおける呼吸補助および第2のモードにおける排痰補助を提供するように構成される請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記加湿器アセンブリは、送気ガスが前記チャンバ内で加湿されるように、前記送気ガスを前記排痰補助デバイスから前記患者回路を通して指向するようにさらに構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記加湿器アセンブリは、
(a)前記排痰補助デバイスからの送気ガスが前記チャンバ通過するように、送気ガスの存在下では開放することと、(b)排気ガスが前記チャンバから退出することを防止するように、排気ガスの存在下では閉鎖することとを行うように構成される第1の弁と、
(a)前記患者回路からの排気ガスが、前記チャンバを過せずに、前記排痰補助デバイスに移動するように、前記排気ガスの存在下では開放することと、(b)送気ガスの存在下では閉鎖することとを行うように構成される第2の弁と
さらに備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の流路は、第1の導管を含み、前記第1の導管は、前記チャンバから離れるように延在し、前記排痰補助デバイスを前記チャンバに流体的に結合
前記第2の流路は、第2の導管を含み、前記第2の導管は、前記チャンバから離れるように延在し、前記チャンバを前記患者回路の前記遠位端に流体的に結合
前記第3の流路は、ブリッジを含み、前記ブリッジは、前記第1の導管および前記第2の導管接続し、前記第1の導管と前記第2の導管との間に延在、前記ブリッジは、前記チャンバから離間され
前記加湿器アセンブリは、
前記チャンバと前記ブリッジとの間の位置において前記第1の導管内に配置される第1の弁と、
前記第1の導管と前記第2の導管との間の位置において前記ブリッジ内に配置される第2の弁と
さらに含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の弁は、送気ガスの存在下では前記チャンバに向かって開放するように構成される一方向弁であり、前記第2の弁は、排気ガスの存在下では前記第1の導管に向かって開放するように構成される一方向弁である、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
システムであって、
送気ガス流を患者回路に提供するように構成される送気モジュールと、排気ガス流を前記患者回路から引き出すように構成される排気モジュールとを有する排痰補助デバイスと、
前記排痰補助デバイスおよび前記患者回路に流体的に結合される加湿器アセンブリであって、前記加湿器アセンブリは、
加熱された水を含有するように構成されるチャンバ
バイパスであって、前記バイパスは、前記排痰補助デバイスと前記チャンバとの間の第1の流路と、前記チャンバと前記患者回路との間の第2の流路と、前記第1の流路および第2の流路と間の第3の流路とを有する、バイパスと、
弁システムであって、前記弁システムは、
(a)前記送気ガス流が、前記第1の流路および前記第2の流路を介して、前記チャンバを過するように、送気の間、前記第3の流路を遮断することと、
(b)前記排気ガス流が、前記第3の流路を過し、前記チャンバをバイパスするように、排気の間、前記第3の流路を開放し、前記第1の流路を遮断することと
を行うように構成される、弁システム
を備える加湿器アセンブリと
を備える、システム。
【請求項8】
前記弁システムは、
前記チャンバと前記第1の流路と前記第3の流路との間の交差部との間の前記第1の流路内の第1の受動弁と、
前記第3の流路内の第2の受動弁と
を備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の受動弁は、送気の間、前記チャンバに向かって開放するように構成される第1の逆止弁を備え、前記第2の受動弁は、排気の間、前記第1の流路に向かって開放するように構成される第2の逆止弁を備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記弁システムは、前記第1の流路と前記第3の流路との間の交差部において前記第1の流路内に配置される弁を備え、前記弁は、
(a)前記送気ガス流が、前記第1の流路を介して、前記チャンバの中に移動するように、送気の間、前記第3の流路を遮断することと、
(b)前記排気ガス流が、前記第3の流路を過し、前記チャンバをバイパスするように、排気の間、前記第3の流路を開放し、前記第1の流路を遮断することと
を行うように構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
加湿器アセンブリであって、
液体をその中に保持するように構成されるチャンバと、
熱を前記チャンバ内の液体に送達するように構成される加熱器と、
送気ガスを排痰補助デバイスから受容し、前記送気ガスを前記チャンバを通して患者回路に指向するように構成される送気流路と、
排気ガスを前記患者回路から受容し、前記チャンバを過せずに、前記排気ガスを前記排痰補助デバイスに指向するように構成される排気流路と
を備える、加湿器アセンブリ。
【請求項12】
前記チャンバから離れるように延在し、前記排痰補助デバイスを前記チャンバに流体的に結合するように構成される第1の導管と、
前記チャンバから離れるように延在し、前記チャンバを前記患者回路に流体的に結合するように構成される第2の導管と、
前記第1の導管および前記第2の導管接続し、前記第1の導管と前記第2の導管との間に延在するブリッジであって、前記ブリッジは、前記チャンバから離間される、ブリッジと
をさらに備える、請求項11に記載の加湿器アセンブリ。
【請求項13】
前記チャンバと前記ブリッジとの間の位置において前記第1の導管内に配置される第1の弁をさらに備え、
前記送気流路は、前記第1の弁を過する、請求項12に記載の加湿器アセンブリ。
【請求項14】
前記排気流路は、前記第1の弁を過しない、請求項13に記載の加湿器アセンブリ。
【請求項15】
前記第1の導管と前記第2の導管との間の位置において前記ブリッジ内に配置される第2の弁をさらに備え、
前記排気流路は、前記第2の弁を過する、請求項12に記載の加湿器アセンブリ。
【請求項16】
前記送気流路は、前記第2の弁を過しない、請求項15に記載の加湿器アセンブリ。
【請求項17】
排痰補助を患者に提供するためのシステムであって、前記システムは、
排痰補助デバイスと、
前記排痰補助デバイスと流体接続するように構成される第1の導管部分と、患者および/または患者接続部と流体接続するように構成される第2の導管部分とを有する患者回路と、
加熱された水を含有するように構成されるチャンバを有する加湿器アセンブリであって、前記加湿器アセンブリは、前記第1の導管部分と前記第2の導管部分との間で前記患者回路に流体的に結合されるように構成される加湿器アセンブリ
を備え、
前記加湿器アセンブリは、
送気ガスを前記排痰補助デバイスから前記患者に前記患者回路を介して前記チャンバを通して送達することと、
排気ガスを前記患者から前記患者回路を介して前記排痰補助デバイスに引き出すことであって、前記排気ガスは、前記排痰補助デバイスに到達する前に、前記チャンバをバイパスすることと
を行うようにさらに構成される、システム。
【請求項18】
前記システムは、-30~70cmHOの圧力を前記患者回路内に提供し、前記患者から前記排気ガスを引き出すようにさらに構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記加湿器アセンブリは、バイパスをさらに備え、前記加湿器アセンブリは、前記バイパスを通して前記排気ガスを送出するようにさらに構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記バイパスは、
(a)前記排痰補助デバイスからの送気ガスが前記ャンバを過するように、前記送気ガスを送達する間、開放することと、(b)排気ガスの存在下では、排気ガスが前記チャンバを退出することを防止するように閉鎖することとを行うように構成される第1の弁と、
(a)前記排気ガスが、前記チャンバを過せずに、前記排痰補助デバイスに移動するように、前記排気ガスを前記患者回路から引き出す間、開放することと、(b)送気ガスの存在下では閉鎖することとを行うように構成される第2の弁と
を備える、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2016年6月21日に出願された米国特許出願第15/188,722号の優先権の利益を主張するものであり、該出願は、全体が参照により本明細書中に援用される。
【0002】
本技術は、概して、換気および排痰補助システムのための加湿器に関する。
【背景技術】
【0003】
機械的人工呼吸器が、呼吸を補助するために使用される。従来の人工呼吸器は、典型的には、酸素を含む吸気ガスを患者の肺の中に駆動する。人工呼吸器を使用する多くの患者はまた、排痰補助等、その気道および肺を治療および維持することに関連する他の種類の補助を必要とする。現在、排痰補助を受けるために、患者は、機械的人工呼吸器から接続解除され、別個の排痰補助デバイスに接続されなければならない。排痰補助が実施された後、患者は、排痰補助デバイスから接続解除され、機械的人工呼吸器に再接続されなければならない。多くの場合、患者気道もまた、患者が排痰補助デバイスから切断解除され、機械的人工呼吸器に再接続された後、排痰補助後に患者気道内に残っている分泌物を除去するために吸引される。本プロセスは、冗漫であり得るため、多くの場合、患者に最も有利な様式で行われない。
【0004】
したがって、排痰補助および加湿等、吸気ガスを患者の肺の中に送達する以外の付加的機能を提供するための人工呼吸器の必要性が存在する。本技術は、以下の発明を実施するための形態および付随の図から明白となるであろう、これらおよび他の利点を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
人工呼吸器上の患者は、多くの場合、患者に提供される吸気ガスと補助付き排痰療法(機械的送気-排気とも称される)のための送気ガスの両方の加湿を必要とする。人工呼吸器に排痰補助能力を装備させることは、換気と排痰療法との間で遷移するために、患者回路を変更する必要性を排除する。しかしながら、本発明者らは、加湿器チャンバを通して通過する排痰補助の間の高排気流量が、水分を人工呼吸器に戻させることに気付いた。本問題を緩和するために、本技術は、送気ガスを加湿器チャンバを通して患者に通過させ、加湿器チャンバを通して通過せずに、排気ガスを人工呼吸器に戻るように送出する、加湿器バイパスを対象とする。
【0006】
人工呼吸器バイパスの目的は、排気流を加湿器チャンバの周囲に再指向し、排気流が、チャンバ内の水分が人工呼吸器に戻るように吹送することを防止することである。バイパスは、標準的な市販の加湿器チャンバに接続する、受動的付属品であることができる。バイパスは、排痰療法後も人工呼吸器と患者との間のライン内に留まることができる。換気が再開すると、吸気されたガスは、バイパスが存在しないかのように、加湿器チャンバを通して送達される。
【0007】
加えて、バイパスはまた、独立型排痰補助機械を用いて、人工呼吸器患者によって使用されてもよい。典型的には、患者回路は、排痰療法を実施するために患者において接続解除される。排痰機械上の専用患者管類が、次いで、患者に接続される。侵襲的換気を用いる場合、患者は、管類を気管切開部位に非常に近接して操作するとき、不快感を被り得、偶発的抜管のある程度のリスクがある。また、本シナリオでは、加湿されたガスは、換気が再開し、加湿器がラインに戻るまで、それ以上患者に送達されない。本技術の実施形態による加湿器バイパスシステムは、患者回路が、患者において接続解除するのではなく、人工呼吸器と加湿器との間の任意の場所で接続解除されることを可能にする。加湿されたガスは、故に、吸気の間に送達されるが、バイパスは、排気の間、加湿器から排痰補助機械の中への水分の侵入を防止する。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
システムであって、
送気ガスを患者回路に提供するように構成される第1相と、排気ガスを前記患者回路から引き出すように構成される第2相とを有する、排痰補助デバイスと、
前記排痰補助デバイスと前記患者回路の遠位端との間の加湿器であって、前記加湿器は、チャンバを備え、前記チャンバは、加熱された水を含有し、前記排痰補助デバイスおよび前記患者回路に流体的に結合されるように構成される、加湿器と、
前記排気ガスが前記チャンバをバイパスするように、排気ガスを前記患者回路から前記人工呼吸器に送出するように構成される、バイパスと
を備える、システム。
(項目2)
前記排痰補助デバイスは、第1のモードにおける呼吸補助および第2のモードにおける排痰補助を提供するように構成される、人工呼吸器を備える、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記バイパスはさらに、送気ガスが前記チャンバ内で加湿されるように、送気ガスを前記人工呼吸器から前記患者回路を通して指向するように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目4)
前記バイパスは、
(a)前記排痰補助デバイスからの送気ガスが前記チャンバを通して通過するように、送気ガスの存在下では開放することと、(b)排気ガスが前記チャンバから退出することを防止するように、排気ガスの存在下では閉鎖することとを行うように構成される、第1の弁と、
(a)前記排気ガスが、前記チャンバを通して通過せずに、前記人工呼吸器に通過するように、前記患者回路からの排気ガスの存在下では開放することと、(b)送気ガスの存在下では閉鎖することとを行うように構成される、第2の弁と
を備える、項目3に記載のシステム。
(項目5)
前記バイパスは、
前記チャンバから離れるように延在し、前記人工呼吸器を前記チャンバに流体的に結合する、第1の導管と、
前記チャンバから離れるように延在し、前記チャンバを前記患者回路の遠位端に流体的に結合する、第2の導管と、
前記第1の導管および前記第2の導管に接続し、それらの間に延在する、ブリッジであって、前記ブリッジは、前記チャンバから離間される、ブリッジと、
前記チャンバと前記ブリッジとの間の位置において前記第1の導管内に配置される第1の弁と、
前記第1の導管と前記第2の導管との間の位置において前記ブリッジ内に配置される第2の弁と
を備える、項目3に記載のシステム。
(項目6)
前記第1の弁は、送気ガスの存在下では前記チャンバに向かって開放するように構成される一方向弁であり、前記第2の弁は、排気ガスの存在下では前記第1の導管に向かって開放するように構成される一方向弁である、項目5に記載のシステム。
(項目7)
システムであって、
送気ガス流を患者回路に提供するように構成される送気モジュールと、排気ガス流を前記患者回路から引き出すように構成される排気モジュールとを有する、排痰補助デバイスと、
前記排痰補助デバイスおよび前記患者回路に流体的に結合される加湿器であって、前記加湿器は、加熱された水を含有するように構成されるチャンバを有する、加湿器と、
バイパスであって、前記バイパスは、前記排痰補助デバイスと前記チャンバとの間の第1の流路と、前記チャンバと前記患者回路との間の第2の流路と、前記第1の流路および第2の流路と弁システムとの間の第3の流路とを有し、前記弁システムは、
(a)前記送気ガス流が、前記第1および第2の流路を介して、前記チャンバを通して通過するように、送気の間、前記第3の流路を遮断することと、
(b)前記排気ガス流が、前記第3の流路を通して通過し、前記チャンバをバイパスするように、排気の間、前記第3の流路を開放し、前記第1の流路を遮断することと
を行うように構成される、バイパスと
を備える、システム。
(項目8)
前記弁システムは、
前記チャンバと前記第1の流路と前記第3の流路との間の交差部との間の前記第1の流路内の第1の受動弁と、
前記第3の流路内の第2の受動弁と
を備える、項目7に記載のシステム。
(項目9)
前記第1の受動弁は、送気の間、前記チャンバに向かって開放するように構成される第1の逆止弁を備え、前記第2の受動弁は、排気の間、前記第1の流路に向かって開放するように構成される第2の逆止弁を備える、項目8に記載のシステム。
(項目10)
前記弁システムは、前記第1の流路と前記第3の流路との間の交差部において前記第1の流路内に配置される弁を備え、前記弁は、
(a)前記送気ガス流が、前記第1の流路を介して、前記チャンバの中に通過するように、送気の間、前記第3の流路を遮断することと、
(b)前記排気ガス流が、前記第3の流路を通して通過し、前記チャンバをバイパスするように、排気の間、前記第3の流路を開放し、前記第1の流路を遮断することと
を行うように構成される、項目7に記載のシステム。
(項目11)
加湿器アセンブリであって、
液体をその中に保持するように構成されるチャンバと、
熱を前記チャンバ内の液体に送達するように構成される加熱器と、
送気ガスを排痰補助デバイスから受容し、前記送気ガスを前記チャンバを通して患者回路に指向するように構成される送気流路と、
排気ガスを患者回路から受容し、前記チャンバを通して通過せずに、前記排気ガスを前記排痰補助デバイスに指向するように構成される、排気流路と
を備える、加湿器アセンブリ。
(項目12)
前記チャンバから離れるように延在し、前記排痰補助デバイスを前記チャンバに流体的に結合するように構成される、第1の導管と、
前記チャンバから離れるように延在し、前記チャンバを前記患者回路に流体的に結合するように構成される、第2の導管と、
前記第1の導管および前記第2の導管に接続し、それらの間に延在する、ブリッジであって、前記ブリッジは、前記チャンバから離間される、ブリッジと
をさらに備える、項目11に記載の加湿器アセンブリ。
(項目13)
前記チャンバと前記ブリッジとの間の位置において前記第1の導管内に配置される第1の弁をさらに備え、
前記送気流路は、前記第1の弁を通して通過する、項目12に記載の加湿器アセンブリ。
(項目14)
前記排気流路は、前記第1の弁を通して通過しない、項目13に記載の加湿器アセンブリ。
(項目15)
前記第1の導管と前記第2の導管との間の位置において前記ブリッジ内に配置される、第2の弁をさらに備え、
前記排気流路は、前記第2の弁を通して通過する、項目12に記載の加湿器アセンブリ。
(項目16)
前記送気流路は、前記第2の弁を通して通過しない、項目15に記載の加湿器アセンブリ。
(項目17)
排痰補助を患者に提供するための方法であって、前記方法は、
送気ガスを排痰補助デバイスから患者に患者回路を介して送達することと、
排気ガスを前記患者から前記患者回路を介して引き出すことであって、前記排気ガスは、前記排痰補助デバイスに到達する前に、加湿器をバイパスすることと
を含む、方法。
(項目18)
前記排気ガスを引き出すことは、-30~70cmH Oの圧力を前記患者回路内に提供することを含む、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記送気ガスを送達することは、前記送気ガスを前記加湿器内のチャンバを通して通過させ、それによって、前記患者に到達する前に、前記送気ガスを加湿することを含む、項目17に記載の方法。
(項目20)
前記排気ガスを引き出すことは、前記排気ガスを前記加湿器に結合されるバイパスを通して通過させることを含む、項目17に記載の方法。
(項目21)
前記バイパスは、
(a)前記排痰補助デバイスからの送気ガスが前記加湿器内のチャンバを通して通過するように、前記送気ガスを送達する間、開放することと、(b)排気ガスの存在下では、前記チャンバからの排気ガスが退出することを防止するように閉鎖することとを行うように構成される、第1の弁と、
(a)前記排気ガスが、前記チャンバを通して通過せずに、前記人工呼吸器を通過するように、前記排気ガスを前記患者回路から引き出す間、開放することと、(b)送気ガスの存在下では閉鎖することとを行うように構成される、第2の弁と
を備える、項目20に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、ヒト患者によって使用するための人工呼吸器を含むシステムを図示する、ブロック図である。
【0009】
図2A図2Aは、第1の構成に描写される人工呼吸器アセンブリの排痰補助弁を伴う、図1の人工呼吸器の人工呼吸器アセンブリの構成要素を図示する、概略図である。
【0010】
図2B図2Bは、第2の構成における人工呼吸器アセンブリの排痰補助弁を図示する、概略図である。
【0011】
図3図3は、統合された排痰補助機能性、患者回路、加湿器、および加湿器バイパスシステムを伴う、人工呼吸器を含む、換気システムを図示する。
【0012】
図4A図4A-4Dは、加湿器バイパスシステムの種々の図を図示する。
図4B図4A-4Dは、加湿器バイパスシステムの種々の図を図示する。
図4C図4A-4Dは、加湿器バイパスシステムの種々の図を図示する。
図4D図4A-4Dは、加湿器バイパスシステムの種々の図を図示する。
【0013】
図5A図5Aおよび5Bは、加湿器バイパスシステムの別の実施形態の断面図を図示する。
図5B図5Aおよび5Bは、加湿器バイパスシステムの別の実施形態の断面図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本技術のいくつかの実施形態のさらなる具体的詳細は、図1-5Bを参照して以下に説明される。実施形態の多くは、加湿された排痰補助を伴う換気のためのデバイス、システム、および方法に関して以下に説明されるが、他の実施形態も、本技術の範囲内である。加えて、本技術の他の実施形態は、本明細書に説明されるものと異なる構成、構成要素、および/または手技を有することができる。例えば、他の実施形態は、本明細書に説明されるもの以外の付加的要素および特徴を含むことができる、または他の実施形態は、本明細書に図示および説明される要素および特徴のいくつかを含まなくてもよい。
【0015】
参照を容易にするために、本開示全体を通して、同じ参照番号は、類似または同様の構成要素または特徴を識別するために使用されるが、同一参照番号によって識別される構成要素は、必ずしも、同じではない。実際、本明細書に説明される多くの実施例では、同じように付番された部品は、構造および/または機能が明確に異なる。
【0016】
図1は、本技術の実施形態による、統合された加湿排痰補助を伴う人工呼吸器100を含む、システム10を図示する、ブロック図である。システム10のいくつかの一般的側面が、最初に、本技術の加湿バイパスデバイスの実施形態に関連する構成要素の理解を提供するために説明されるであろう。人工呼吸器100は、従来の従量式換気と圧力制御式換気の両方を提供するように構成されてもよい。人工呼吸器100は、随意の多腔型管接続部103と、主要人工呼吸器接続部104と、患者酸素出口105とを有する。システム100はまた、患者接続部106(例えば、気管用管、鼻腔マスク、マウスピース、および同等物)と、患者接続部106と主要人工呼吸器接続部104および/または患者酸素出口105を流体的に結合する、患者回路110とを有する。
【0017】
患者回路110は、能動的患者回路または受動的患者回路であってもよい。随意に、患者回路110が、能動的患者回路であるとき、患者回路110は、随意の多腔型管接続部103に接続されるように構成される、1つ以上のポート111を含んでもよい。ポート111は、1つ以上の圧力信号109が、随意の多腔型管接続部103と患者回路110との間を流れることを可能にする。圧力信号109は、圧力が測定されることになる、流体(および/またはガス)源から取得されたガスであってもよい。取得されたガスは、流体(および/またはガス)源と同一圧力である。
【0018】
システム100はさらに、患者回路110および主要人工呼吸器接続部104と整列して加湿器141を含む。いくつかの実施形態では、患者回路110は、加湿器141と患者接続部106との間に延在する、管または導管に加えて、加湿器141と主要人工呼吸器接続部104との間に延在する、管または導管を含む。システム100、より具体的には、加湿器141は、以下により詳細に説明されるように、バイパス142を装備することができる。
【0019】
主要人工呼吸器接続部104は、随意に酸素と混合される空気114を含む、ガス112を提供するように構成される。「空気」として識別されるが、当業者は、空気114が人工呼吸器100の外部の任意の源から取得される周囲空気または加圧空気を含んでもよいことを理解する。ガス112は、呼吸の吸気相のための吸気ガスまたは排痰補助の吸気相のための吸気ガスであってもよい。主要人工呼吸器接続部104は、排痰補助の排気相の間、患者102によって呼気される排気ガスを含み得る、ガス113を受容するように構成される。
【0020】
空気114は、人工呼吸器100によって、患者空気取込口116を介して受容される。空気114と随意に混合される、酸素は、人工呼吸器100によって内部で発生される、および/または随意の低圧酸素源118(例えば、酸素濃縮器)および/または随意の高圧酸素源120から受容されてもよい。酸素が内部で発生されるとき、人工呼吸器100は、出口通気口124を介して、排ガス(例えば、窒素豊富ガス122)を出力してもよい。随意に、人工呼吸器100は、随意の低圧酸素源118に結合され、随意の低圧酸素128をそこから受容するように構成される、低圧酸素入口126を含んでもよい。人工呼吸器100は、随意の高圧酸素源120に結合され、随意の高圧酸素132をそこから受容するように構成される、随意の高圧酸素入口130を含んでもよい。
【0021】
患者酸素出口105は、患者回路110を介して、患者の呼吸と同期される、酸素140の用量またはパルスを患者接続部106に提供するように構成される。主要人工呼吸器接続部104によって提供されるガス112と異なり、酸素140のパルスは、空気114を含まない。
【0022】
加湿器141および患者回路110に送達される酸素140のガス112および/またはパルスは、それによって、吸気または送気ガス108として、患者接続部106に伝導され、これは、少なくとも部分的に、それらのガスを患者の肺143の中に伝導させる。患者が、呼吸の呼気相の間、呼気する、または排痰補助の排気相の間、排気する度に、呼気されたガス107は、患者接続部106を介して、患者回路110に進入する。したがって、患者回路110は、以下のガス、すなわち、人工呼吸器100によって提供されるガス112、酸素140のパルス、および呼気されたガス107のうちの1つ以上のものを含有してもよい。例証を容易にするために、患者回路110の内側のガスは、以降、「患者ガス」と称されるであろう。
【0023】
人工呼吸器100は、随意に、随意の吸入アセンブリ152に結合されるように構成される、吸入接続部150を含むことができる。人工呼吸器100は、随意の吸入接続部150を介して、吸入力154を随意の吸入アセンブリ152に提供してもよい。吸入アセンブリ152は、患者接続部106、患者接続部106の内側に位置付け可能な吸入カテーテル(図示せず)、および/またはドレイン(図示せず)に接続されるように構成されてもよい。
【0024】
人工呼吸器100は、加えて、随意のネブライザアセンブリ162に結合されるように構成される、随意のネブライザ接続部160を含むことができる。人工呼吸器100は、随意のネブライザ接続部160を介して、ガス164(例えば、空気114)を随意のネブライザアセンブリ162に提供してもよい。随意のネブライザアセンブリ162は、患者回路110に接続されるように構成されてもよい。しかしながら、これは、要件ではない。随意に、人工呼吸器100は、出口ポート166を含んでもよく、それを通して排ガス167が、人工呼吸器100から退出し得る。
【0025】
人工呼吸器100は、ポータブルであって、内部バッテリ(図示せず)および/または従来の壁コンセント等の外部電源(図示せず)によって給電されるように構成されてもよい。人工呼吸器100はさらに、換気アセンブリ190と、ユーザインターフェース170と、酸素アセンブリ172と、制御システム174と、従来の監視およびアラームシステム176とを含む。制御システム174は、入力情報196(例えば、設定、パラメータ値、および同等物)をユーザインターフェース170から受信し、出力情報198(例えば、性能情報、ステータス情報、および同等物)をユーザインターフェース170に提供する。ユーザインターフェース170は、入力をユーザ(例えば、介護者、臨床医、および患者102と関連付けられた同等人物)から受信し、その入力を制御システム174に入力情報196内において提供するように構成される。ユーザインターフェース170はまた、出力情報198をユーザに表示するように構成される。
【0026】
換気アセンブリ190は、1つ以上の制御信号192を制御システム174から受信してもよく、換気アセンブリ190は、1つ以上のデータ信号194を制御システム174に提供してもよい。換気アセンブリ190はまた、圧力信号109を患者回路110から多腔型接続部103を介して受信してもよい。酸素アセンブリ172は、1つ以上の制御信号178を制御システム174から受信してもよく、酸素アセンブリ172は、1つ以上のデータ信号180を制御システム174に提供してもよい。制御信号192および178およびデータ信号194および180は、制御システム174によって使用され、人工呼吸器100の内部動作を監視および/または制御してもよい。
【0027】
図2Aおよび2Bは、換気アセンブリ190、加湿器141、およびバイパスシステム242の実施形態を図示する、概略図である。図2Aおよび2Bを参照すると、換気アセンブリ190は、排痰補助弁204と、アキュムレータ202と、内部細菌フィルタ230とを含む。排痰補助弁204は、(a)導管または流動ライン214によって、アキュムレータ202に、(b)導管または流動ライン215によって、出口ポート166に、そして(c)導管または流動ライン273によって、主要人工呼吸器接続部104に接続される。図2Aは、通常呼吸および排痰補助の送気相のための第1の構成における排痰補助弁204を描写し、図2Bは、排痰補助の排気相のための第2の構成における排痰補助弁204を描写する。
【0028】
図2Aを参照すると、第1の構成では、排痰補助弁204は、ガス252をアキュムレータ202から受容し(流動ライン214を介して)、ガス252を主要人工呼吸器接続部104に出力する(流動ライン273を介して)。ガス252は、呼吸の吸気相または人工呼吸器100(図1参照)によって実施される排痰補助操作の送気相の間、吹送機222および排痰補助弁204の両方を通して流動する。通常呼吸/換気および排痰補助の送気相の間、排痰補助弁204は、第1の構成のままである。通常呼吸および換気を支援するために使用される典型的圧力範囲は、吸気の間、約10~40cmHO、呼気の間、約0~10cmHOであり得る。排痰補助の間、排痰補助弁204は、送気相の間、第1の構成(図2A)にあって、排気相の間、第2の構成(図2B)にある。排痰補助機能性を提供するために使用される典型的圧力範囲は、概して、送気の間、約30~70cmHO、排気の間、約-30~70cmHO等、通常呼吸/換気より高い。
【0029】
排痰補助弁204は、弁/吹送機出口206と、吹送機/弁入口208と、空気取込口210と、排ガス出口212と、開口213とを有する。開口213は、流動ライン273によって、主要人工呼吸器接続部104に接続される。図2Aに示されるように、排痰補助弁204が第1の構成にあるとき、空気取込口210は、弁/吹送機出口206と流体連通し、吹送機/弁入口208は、開口213と流体連通する。さらに、排ガス出口212は、弁/吹送機出口206および空気取込口210の両方が、吹送機222のみを介して開口213と流体連通するように、閉鎖される。したがって、ガス252は、空気取込口210の中に、排痰補助弁204の一部を通して、弁/吹送機出口206へ、そして吹送機222の中に流動し得る。吹送機222から退出するガス252は、吹送機/弁入口208の中に、排痰補助弁204の別の部分を通して、そして開口213の中に流動する。開口213は、流動ライン273に接続され、これは、ガス252を主要人工呼吸器接続部104に伝導する。
【0030】
吸気または送気の間、ガス252は、主要人工呼吸器接続部104を通して、細菌フィルタ230を横断して、バイパスシステム242へと通過する。図2Aに示される実施形態では、バイパスシステム242は、加湿器141に結合される、第1の弁244と、第2の弁246とを有する。通常呼吸/換気および送気の間、ガス252は、第1の弁244を通して、加湿器141の中に流動し、そこで、加湿される。ガス252は、次いで、バイパスシステム242の出力を通して、患者回路110へと通過される。バイパスシステム242の第2の弁246は、ガス252が、最初に、加湿器141を通して進むことなく、直接、患者回路110に通過することを防止する。バイパスシステム242の動作は、図3-5Bに関して以下により詳細に説明される。
【0031】
図2Bを参照すると、第2の構成では、排痰補助弁204は、流動ライン273を介して、排気ガス253を受容し、排気ガス253(排ガス167として)を出口ポート166に流動ライン215を介して出力する。排気ガス253は、人工呼吸器100(図1参照)によって実施される排痰補助の排気相の間、吹送機222および排痰補助弁204の両方を通して流動する。
【0032】
図2Bに示されるように、排痰補助弁204が、第2の構成にあるとき、空気取込口210は、閉鎖され、吹送機/弁入口208および排ガス出口212は、吹送機222のみを介して、開口213と流体連通する。さらに、開口213は、弁/吹送機出口206と流体連通し、および吹送機/弁入口208は、排ガス出口212と流体連通する。したがって、排気ガス253は、開口213の中に、排痰補助弁204の一部を横断して、弁/吹送機出口206に、そして吹送機222の中に流動する。吹送機222から退出する排気ガス253は、吹送機/弁入口208の中に、排痰補助弁204の一部を通して流動し、排痰補助弁204から排ガス出口212を通して退出する。排ガス出口212は、流動ライン215に接続され、これは、排気ガス253を出口ポート166に伝導する。
【0033】
排気の間、ガス253は、主要人工呼吸器接続部104に到達する前に、患者回路110を通して、バイパスシステム242の第2の弁246を通して、かつ細菌フィルタ230を横断して通過する。バイパスシステム242の第2の弁246は、ガス253が、主要人工呼吸器接続部104に通過することを可能にする一方、バイパスシステム242の第1の弁244は、ガス253が加湿器141を通して戻ることを防止する。例えば、第1の弁244は、排気流の間、閉鎖し、ガス253が加湿器141を通して主要人工呼吸器接続部144に戻らないように阻止する。その結果、高速排気ガス253は、加湿器141からの液体を人工呼吸器100の中に戻るガス253の流動の中に同伴させることができない。バイパスシステム242の動作は、図3-5Bに関して以下により詳細に説明される。
【0034】
図3は、患者回路110と、バイパスシステム242の実施形態を装備する加湿器141とに結合される、統合された排痰補助機能性を伴う、人工呼吸器100を含む、システム300を図示する。図示されるように、加湿器141およびバイパスシステム242の本実施形態は、患者回路110と整列される。患者回路110は、細菌フィルタ230およびバイパスシステム242の片側に接続される、第1の管301と、バイパスシステム242の別の側に接続される、第2の管303とを含む。第2の管303の遠位端305は、患者接続部106(図1)に接続されることができる。
【0035】
加湿器141は、統合された加熱器を有する、基部307と、水を保持するように構成されるチャンバ309とを含む。動作時、基部307は、チャンバ309内の水を加熱し、水蒸気を生産する。その結果、チャンバ309を通して通過する吸気および送気ガスは、患者に送達される前に加湿される。
【0036】
バイパスシステム242は、チャンバ309および患者回路110の第1の管301および第2の管303と流体連通する。特に、バイパスシステム242は、加湿器141のチャンバ309と患者回路110の第1の管301との間に延在する、第1の導管311を含む。バイパスシステム242は、加えて、加湿器141のチャンバ309と患者回路110の第2の管303との間に延在する、第2の導管313を含む。バイパスシステム242はまた、チャンバ309から離間された位置において、第1の導管311と第2の導管313に流体的に結合され、その間に延在する、ブリッジ315を含むことができる。
【0037】
第1の弁244は、ブリッジ315と第1の導管311の交差部の下方の位置において、第1の導管311内に配置される。第1の弁244は、圧力がチャンバ309内で第1の管301より高いとき、開放するが、チャンバ309内の圧力が第1の管301より高いとき、閉鎖するように構成される、一方向弁であることができる。したがって、吸気または送気の間、ガスは、人工呼吸器100から、患者回路110の第1の管301から、第1の導管311を通して、そして第1の弁244を通して、加湿器141のチャンバ309の中に流動する。しかしながら、呼気または排気の間、ガスは、チャンバ309を通して第1の導管311まで逆流することを防止される。
【0038】
第2の弁246は、バイパスシステム242のブリッジ315内に配置される。第2の弁246は、排気の間、患者からのガスが、患者回路110の第2の管303から、第2の導管313を通して、ブリッジ315を通して、かつ第2の弁246を通して、人工呼吸器100に向かって流動するように、第1の導管311に向かって開放するように構成される、一方向弁であることができる。したがって、第1および第2の弁244および246の対向する一方向および位置は、高速排気ガス流を、加湿器141を通して通過せずに、人工呼吸器100に指向する。
【0039】
第1および第2の弁244、246は、多くの異なるタイプの弁であることができる。例えば、弁244、246の一方または両方は、1つの方向に流動を可能にする一方、反対方向に流動を可能にしない、ボール逆止弁、ダイヤフラム逆止弁、リーフ弁、スイング逆止弁、傾斜式ディスク逆止弁、クラッパ弁、または任意の他の好適な弁であることができる。第1および第2の弁244、246は、作動の必要なく、1つの方向における流動の存在下では、開放するように構成される、受動弁であることができる。他の実施形態では、弁の一方または両方は、コントローラ(図5参照)から通信される信号に応答して開閉するように電子的に制御される、能動的弁であることができる。
【0040】
システム300は、バイパスシステム242を通して、第1の流路317を提供する。第1の流路317は、人工呼吸器100から、患者回路110の第1の管301を通して、バイパスシステム242の第1の導管の中に流動する、ガスを受容する。第1の弁244は、第1の流路317の方向に流動するガスの存在下では開放する一方、第2の弁246は、閉鎖される。第1の流路317は、したがって、第1の弁244を通して、かつ加湿器141のチャンバ309を通して、バイパスシステム242の第2の導管313の中に継続する。第1の流路317は、ガスを患者回路110の第2の管303の中に送達し、次いで、患者回路110の遠位端305を通して、患者へと通過する。本第1の流路317では、ガス(例えば、呼吸補助(吸気)または排痰補助(送気)モードのいずれかにおいて人工呼吸器100によって提供されるガス)は、患者回路110の遠位端305に到達し、患者に送達される前に、加湿される。
【0041】
システム300はまた、バイパスシステム242を通して、第2の流路319を提供する。第2の流路319は、患者回路110の遠位端305から、患者回路の第2の管303を通して、バイパスシステム242の第2の導管313の中に流動する、ガスを受容する。第1の弁244は、第2の流路319の方向に流動するガスの存在下では閉鎖されたままである一方、第2の弁246は、開放される。その結果、第2の流路319は、ブリッジ315を通して、そしてバイパスシステム242の第1の導管311を通して継続する。第2の流路319は、ガスを患者回路110の第1の管301の中に送達し、次いで、細菌フィルタ230を通して、人工呼吸器100の中に通過する。本第2の流路319では、ガス(例えば、排痰補助の間、患者から引き出される排気ガス)は、加湿器141のチャンバ309を通して通過しない。その結果、チャンバ309からの液体が、患者回路110の第1の管301を通して細菌フィルタ230および/または人工呼吸器100の中に通過されるリスクは、低減される。
【0042】
図4A-4Dは、加湿器のチャンバ309に結合される、バイパスシステム242の実施形態の種々の図を図示する。図4Aは、斜視図であって、図4Bは、部分的分解図であって、図4Cは、側面図であって、図4Dは、図4Cにおける線4D-4Dに沿って得られた断面図である。図4A-4Dをともに参照すると、バイパスシステム242は、チャンバ309と係合され、チャンバ309は、標準的な市販の加湿器基部に結合されるように構成されることができる。いったん加湿器基部に結合されると、チャンバ309内の液体は、加熱されることができる。チャンバ309は、図4A-4Dに示される実施形態では、本体401から突出する第1のステム403および第2のステム405を伴う、本体401を含む。バイパスシステム242の第1の導管311は、チャンバ309の第1のステム403に係合し、第1の弁244は、第1の導管311を通り、第1のステム403を通ってチャンバ309の本体401の中に通過するガスが、第1の弁244を通して通過しなければならないように、第1の導管311内にある。図3に関して上記に説明されるように、バイパスシステム242の第1の導管311は、患者回路110の第1の管301に接続し、これは、ガスを人工呼吸器100へおよびから送達する。
【0043】
バイパスシステム242の第2の導管313は、チャンバ309の第2のステム405に結合する。前述のように、バイパスシステム242の第2の導管313は、患者回路110の第2の管303に接続し、これは、患者コネクタに接続し、ガスを患者へおよびから送達する。ブリッジ315は、バイパスシステム242の第1の導管311と第2の導管313との間に延在し、第2の弁246は、ブリッジ315内にある。
【0044】
バイパスシステム242はまた、チャンバ309の第2のステム405に結合される、再充填ポート407を有することができる。再充填ポート407は、液体がチャンバ309に再充填ポート407を通して提供され得るように、管類の一部を第2の導管313と共有することができる。他の実施形態では、チャンバ309は、別個のポートを通して充填されることができる。
【0045】
図5Aおよび5Bは、本技術による、加湿器バイパスシステム501の別の実施形態の断面図を図示する。バイパスシステム501は、概して、図4A-4Dに図示されるシステムである、バイパスシステム242に類似し得るが、バイパスシステム501は、図1に関して上記に説明される制御システム174内に統合されるコントローラ505に結合される、単一制御可能弁503を含む。弁503は、コントローラ505から受信された信号に応答して、第1の位置(図5A)と第2の位置(図5B)との間で移動されることができる。第1の位置(図5A)では、弁503は、吸気または送気ガスが、第1の導管311を通して、かつ第1のステム403を通して、チャンバ309の中に通過することを可能にし、そこで、ガスは、第2のステム405および第2の導管313を介して患者に退出する前に、加湿される。第2の位置(図5B)では、弁503は、排気ガスが、チャンバ309を通して通過せずに、第2の導管313を通して、ブリッジ315を横断して、そして第1の導管311を通して通過することを可能にする。弁503が、第2の位置にあるとき、チャンバ309内の液体は、人工呼吸器に逆流しないように遮断される。単一制御可能弁503は、したがって、図3-4Dに関して上記に説明される2弁システムと類似機能性を提供する。
付加的実施例
1.システムであって、
送気ガスを患者回路に提供するように構成される第1相と、排気ガスを患者回路から引き出すように構成される第2相とを有する、排痰補助デバイスと、
排痰補助デバイスと患者回路の遠位端との間の加湿器であって、加湿器は、チャンバを備え、チャンバは、加熱された水を含有し、排痰補助デバイスおよび患者回路に流体的に結合されるように構成される、加湿器と、
排気ガスがチャンバをバイパスするように、排気ガスを患者回路から人工呼吸器に送出するように構成される、バイパスと
を備える、システム。
2.排痰補助デバイスは、第1のモードにおける呼吸補助および第2のモードにおける排痰補助を提供するように構成される、人工呼吸器を備える、実施例1に記載のシステム。
3.バイパスはさらに、送気ガスがチャンバ内で加湿されるように、送気ガスを人工呼吸器から患者回路を通して指向するように構成される、実施例1-2のうちの任意の1つに記載のシステム。
4.バイパスは、
(a)排痰補助デバイスからの送気ガスがチャンバを通して通過するように、送気ガスの存在下では開放することと、(b)排気ガスがチャンバから退出することを防止するように、排気ガスの存在下では閉鎖することとを行う構成される、第1の弁と、
(a)排気ガスが、チャンバを通して通過せずに、人工呼吸器に通過するように、患者回路からの排気ガスの存在下では開放することと、(b)送気ガスの存在下では閉鎖することとを行うように構成される、第2の弁と
を備える、実施例3に記載のシステム。
5.バイパスは、
チャンバから離れるように延在し、人工呼吸器をチャンバに流体的に結合する、第1の導管と、
チャンバから離れるように延在し、チャンバを患者回路の遠位端に流体的に結合する、第2の導管と、
第1の導管および第2の導管に接続し、それらの間に延在する、ブリッジであって、ブリッジは、チャンバから離間される、ブリッジと、
チャンバとブリッジとの間の位置において第1の導管内に配置される第1の弁と、
第1の導管と第2の導管との間の位置においてブリッジ内に配置される第2の弁と
を備える、実施例3に記載のシステム。
6.第1の弁は、送気ガスの存在下ではチャンバに向かって開放するように構成される一方向弁であり、第2の弁は、排気ガスの存在下では第1の導管に向かって開放するように構成される一方向弁である、実施例5に記載のシステム。
7.システムであって、
送気ガス流を患者回路に提供するように構成される送気モジュールと、排気ガス流を患者回路から引き出すように構成される排気モジュールとを有する、排痰補助デバイスと、
排痰補助デバイスおよび患者回路に流体的に結合される加湿器であって、加湿器は、加熱された水を含有するように構成されるチャンバを有する、加湿器と、
バイパスであって、バイパスは、排痰補助デバイスとチャンバとの間の第1の流路と、チャンバと患者回路との間の第2の流路と、第1の流路および第2の流路と弁システムとの間の第3の流路とを有し、弁システムは、
(a)送気ガス流が、第1および第2の流路を介して、チャンバを通して通過するように、送気の間、第3の流路を遮断することと、
(b)排気ガス流が、第3の流路を通して通過し、チャンバをバイパスするように、排気の間、第3の流路を開放し、第1の流路を遮断することと
を行うように構成される、バイパスと、
を備える、システム。
8.弁システムは、
チャンバと第1の流路と第3の流路との間の交差部との間の第1の流路内の第1の受動弁と、
第3の流路内の第2の受動弁と、
を備える、実施例7に記載のシステム。
9.第1の受動弁は、送気の間、チャンバに向かって開放するように構成される第1の逆止弁を備え、第2の受動弁は、排気の間、第1の流路に向かって開放するように構成される第2の逆止弁を備える、実施例8に記載のシステム。
10.弁システムは、第1の流路と第3の流路との間の交差部において第1の流路内に配置される弁を備え、弁は、
(a)送気ガス流が、第1の流路を介して、チャンバの中に通過するように、送気の間、第3の流路を遮断することと、
(b)排気ガス流が、第3の流路を通して通過し、チャンバをバイパスするように、排気の間、第3の流路を開放し、第1の流路を遮断することと
を行うように構成される、実施例7-9のうちの任意の1つに記載のシステム。
11.加湿器アセンブリであって、
液体をその中に保持するように構成されるチャンバと、
熱をチャンバ内の液体に送達するように構成される加熱器と、
送気ガスを排痰補助デバイスから受容し、送気ガスをチャンバを通して患者回路に指向するように構成される送気流路と、
排気ガスを患者回路から受容し、チャンバを通して通過せずに、排気ガスを排痰補助デバイスに指向するように構成される、排気流路と
を備える、加湿器アセンブリ。
12.チャンバから離れるように延在し、排痰補助デバイスをチャンバに流体的に結合するように構成される、第1の導管と、
チャンバから離れるように延在し、チャンバを患者回路に流体的に結合するように構成される、第2の導管と、
第1の導管および第2の導管に接続し、それらの間に延在する、ブリッジであって、ブリッジは、チャンバから離間される、ブリッジと
をさらに備える、実施例11に記載の加湿器アセンブリ。
13.チャンバとブリッジとの間の位置において第1の導管内に配置される第1の弁をさらに備え、
送気流路は、第1の弁を通して通過する、実施例12に記載の加湿器アセンブリ。
14.排気流路は、第1の弁を通して通過しない、実施例13に記載の加湿器アセンブリ。
15.第1の導管と第2の導管との間の位置においてブリッジ内に配置される第2の弁をさらに備え、
排気流路は、第2の弁を通して通過する、実施例12-14のうちの任意の1つに記載の加湿器アセンブリ。
16.送気流路は、第2の弁を通して通過しない、実施例15に記載の加湿器アセンブリ。
17.排痰補助を患者に提供するための方法であって、方法は、
送気ガスを排痰補助デバイスから患者に患者回路を介して送達することと、
排気ガスを患者から患者回路を介して引き出すことであって、排気ガスは、排痰補助デバイスに到達する前に、加湿器をバイパスすることと、
を含む、方法。
18.排気ガスを引き出すことは、-30~70cmHOの圧力を患者回路内に提供することを含む、実施例17に記載の方法。
19.送気ガスを送達することは、送気ガスを加湿器内のチャンバを通して通過させ、それによって、患者に到達する前に、送気ガスを加湿することを含む、実施例17-18のいずれか1項に記載の方法。
20.排気ガスを引き出すことは、排気ガスを加湿器に結合されるバイパスを通して通過させることを含む、実施例17-19のいずれか1項に記載の方法。
21.バイパスは、
(a)排痰補助デバイスからの送気ガスが加湿器内のチャンバを通して通過するように、送気ガスを送達する間、開放することと、(b)排気ガスの存在下では、チャンバからの排気ガスが退出することを防止するように閉鎖することとを行うように構成される、第1の弁と、
(a)排気ガスが、チャンバを通して通過せずに、人工呼吸器を通過するように、排気ガスを患者回路から引き出す間、開放することと、(b)送気ガスの存在下では閉鎖することとを行うように構成される、第2の弁と、
を備える、実施例20に記載の方法。
【0046】
本技術の前述の発明を実施するための形態は、包括的であること、または本技術を上記に開示される精密な形態に限定することを意図するものではない。本技術の具体的実施形態および実施例は、例証目的のために上記に説明されるが、種々の均等物修正が、当業者が認識するであろう本技術の範囲内で可能性として考えられる。例えば、ステップは、所与の順序で提示されるが、代替実施形態は、ステップを異なる順序で実施してもよい。本明細書に説明される種々の実施形態はまた、組み合わせられ、さらなる実施形態を提供してもよい。
【0047】
前述から、本技術の具体的実施形態が例証目的のために本明細書に説明されるが、周知の構造および機能は、本技術の実施形態の説明を不必要に曖昧にすることを回避するために、詳細に図示または説明されていないことを理解されたい。文脈によって可能である場合、単数形または複数形用語はまた、それぞれ、複数形または単数形用語を含んでもよい。
【0048】
さらに、単語「または」が、2つ以上のアイテムのリストを参照して、他のアイテムから排他的である単一アイテムのみを意味するように明示的に限定されない限り、そのようなリスト内の「または」の使用は、(a)リスト内の任意の単一アイテム、(b)リスト内のアイテムの全て、または(c)リスト内のアイテムの任意の組み合わせを含むように解釈されるべきである。加えて、用語「~を備える」は、全体を通して、任意のより多い数の同一特徴および/または付加的タイプの他の特徴が除外されないように、少なくとも列挙される特徴を含むことを意味するために使用される。また、具体的実施形態が例証目的のために本明細書に説明されたが、種々の修正が、本技術から逸脱することなく行われてもよいことを理解されたい。さらに、本技術のある実施形態と関連付けられた利点が、それらの実施形態の文脈において説明されたが、他の実施形態もまた、そのような利点を呈し得、全ての実施形態が、必ずしも、本技術の範囲内であるためにそのような利点を呈する必要があるわけではない。故に、本開示および関連付けられた技術は、本明細書に明示的に図示または説明されない他の実施形態も包含することができる。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B