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  • 特許-靴の洗浄方法 図1
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  • 特許-靴の洗浄方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】靴の洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   A47L 23/02 20060101AFI20220118BHJP
   B08B 3/04 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
A47L23/02 A
B08B3/04 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020022897
(22)【出願日】2020-02-13
(65)【公開番号】P2021126333
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2020-02-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502164509
【氏名又は名称】ラクナ油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090158
【弁理士】
【氏名又は名称】藤巻 正憲
(72)【発明者】
【氏名】藤井 一
【審査官】柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3224122(JP,U)
【文献】特開2003-038891(JP,A)
【文献】実開昭56-176689(JP,U)
【文献】特開2002-001000(JP,A)
【文献】特開2002-049677(JP,A)
【文献】特開平05-228094(JP,A)
【文献】登録実用新案第3209912(JP,U)
【文献】特表2018-530678(JP,A)
【文献】特開昭62-027497(JP,A)
【文献】実開昭60-064787(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 23/02
B08B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄槽内に複数対の靴を洗浄液と共に装入して、これらの靴を一括して洗浄する靴の洗浄方法において、
前記靴を各対ごとにメッシュ状の袋に入れて前記袋の出入口を閉じ、この袋入り靴の状態で、複数個の袋入り靴を前記洗浄槽内に装入して、前記洗浄液中で撹拌させることにより、前記靴を洗浄し、
前記袋入り靴の状態で、前記靴の履き口部を、乾燥機の乾燥棒内に差し込むことにより、前記袋入り靴を適長間隔に配置して乾燥することを特徴とする靴の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スニーカー等の靴を洗浄する洗浄方法に関し、特に、複数個の靴を一括してまとめて洗浄するのに有益な靴の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病院及び工場等においては、その業務に付随する処理として、シーツ及び従業員の制服又は作業着等を、自社で又は外部に委託して一括して洗浄(洗濯)することが行われることがある。この場合、靴を1足ずつ人手で洗浄していたのでは大量の靴を洗浄処理することができず、洗浄装置を使用する必要がある。従来の靴洗浄装置として、特許文献1及び特許文献2に開示されたものがある。しかし、これらの特許文献1,2に開示された靴洗浄装置は、靴を1足ずつ収納室に配置して洗浄するものであり、病院及び工場等から出てくる大量の靴の洗浄には有効でない。また、特許文献3には、キャビネット内に複数個の長靴を装入し、各靴をキャビネット内の複数個の靴掛けに掛けて整然と配置する靴洗浄装置が開示されている。この特許文献3は複数個の靴を一括して洗浄・消毒するものであるが、各靴を夫々靴掛けに掛けて配置する必要があり、大量の靴の迅速な洗浄処理には向いていない。
【0003】
更に、特許文献4には、洗濯機における靴の位置付け方法及び洗濯機における靴の整列装置が開示されている。特許文献4の発明は、洗浄工程中、靴の損傷を防ぎ、洗浄工程後の靴の乾燥に必要とされる時間を大幅に削減することを目的として(特許文献4の段落0008)、複数足の靴を可撓性の1個の収納袋に装入した上で、洗濯槽内に配置する(特許文献4の図1)。収納袋は、摩擦から靴を保護すると共に、収納袋は回転せずに靴の位置付けの変化がないように整列させておく機能を有する(特許文献4の段落0022)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-80599号公報
【文献】実用新案登録第3148846号公報
【文献】特開平5-192291号公報
【文献】特表2004-509676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この特許文献4に記載された洗浄方法においても、洗浄装置内に、複数足の靴を整列した状態で配置する必要があり、大量の靴を迅速に洗浄することができるものではない。
【0006】
スニーカー及び運動靴の他、厨房で使用した厨房靴、工場の安全靴及び種々の長靴等の業務上使用されている靴は、使用している個人が自分で洗浄するよりも、業者により洗浄装置を使用して大量に洗浄処理することに対する需要が多い。しかし、特許文献1乃至4にみるように、従来の複数足の洗浄装置は、洗浄槽内に靴を整列配置する必要があり、手間がかかるものであった。また、仮に、これを、衣服の洗浄装置にて洗浄されているように、洗浄槽内に複数足の靴を放り込んで大量処理しようとすると、洗浄装置の洗浄槽内で、靴が乱れてしまい、洗浄後には、靴の対がバラバラになってしまうという問題点がある。このように、靴の対がバラバラになると、その対を見つけるために、多くの時間が必要になる。
【0007】
また、洗浄が仕上がってきたときには、靴の持ち主(洗浄依頼者)が不明となり、依頼者に靴を返却する際に極めて面倒な処理が必要になる。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、スニーカー等の大量の靴を一括して迅速に洗浄することができる靴の洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る靴の洗浄方法は、
洗浄槽内に複数対の靴を洗浄液と共に装入して、これらの靴を一括して洗浄する靴の洗浄方法において、
前記靴を各対ごとにメッシュ状の袋に入れて前記袋の出入口を閉じ、この袋入り靴の状態で、複数個の袋入り靴を前記洗浄槽内に装入して、前記洗浄液中で撹拌させることにより、前記靴を洗浄し、
前記袋入り靴の状態で、前記靴の履き口部を、乾燥機の乾燥棒内に差し込むことにより、前記袋入り靴を適長間隔に配置して乾燥することを特徴とする。
【0010】
本発明においては、例えば、
前記メッシュ状の袋には、相互に識別するためID表示が付されているように構成することができる。この場合に、前記ID表示には、靴の持ち主を示す表示がされているように構成することができる。
【0011】
また、本発明においては、例えば、
前記複数個の袋入り靴を前記洗浄槽内に装入し、更に、複数個のシリコン製の補助材を前記洗浄槽内に装入して、前記洗浄液中で撹拌させることができる。
【0012】
また、この靴の洗浄方法において、例えば、前記靴の洗浄後、前記洗浄槽内に水を導入して前記袋状靴を水洗し、その後、前記袋状靴を前記洗浄槽から取り出して、乾燥することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、靴を1足ごとにメッシュ状の袋内に入れ、その上で、複数足の靴をまとめて洗浄槽内に装入し、複数足の靴を一括して洗浄する。この場合に、メッシュ状袋内に納まっている靴は、洗浄槽内で洗浄液と十分接触し、洗浄液と共に撹拌されて洗浄される。そして、洗浄後の靴は、対の状態で洗浄槽から出てくるので、バラバラになることはない。また、メッシュ状の袋にID表示を取り付ければ、その靴の持ち主又は洗浄依頼主を容易に識別することができる。このため、複数足の靴の迅速な大量洗浄処理が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態の靴の洗浄方法を示す図であり、袋入り靴10を示す図である。
図2】洗浄槽12に挿入する前の袋入り靴10を示す図である。
図3】洗浄装置11における洗浄槽12内の状態を示す図である。
図4】洗浄に使用するシリコン補助材13を示す図である。
図5】靴の乾燥工程を示す図である。
図6】靴の他の乾燥工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。図1乃至図5は、本発明の実施形態に係る靴の洗浄方法を示す図である。本実施形態においては、靴の洗浄ショップに持ち込まれたスニーカー及び運動靴をまとめて一括して洗浄する場合、並びに、厨房で使用した厨房靴、工場の安全靴及び種々の業務上使用されている長靴等のように、使用者が従事している会社等から依頼されてまとめて一括して洗浄する場合、ホテルのシーツ等と同様に、大型の洗浄装置の洗浄槽内に、靴を入れ、洗浄液と適量の水を加えた上で、洗浄槽内で撹拌し、靴を洗浄処理する。また、洗浄液による洗浄後は、水のみを洗浄槽内に入れて、靴を水洗する。
【0016】
この場合に、本実施形態においては、図1に示すように、靴1は対の状態でメッシュ状の袋2内に入れ、袋2の出入口4を締めて、1足の靴1を1個のメッシュ状袋2内に閉じ込める。但し、袋2には、靴1の履き口部5に対応する位置に、開口部3が設けられている。また、袋2には、ID表示のための矩形状の布6が貼り付けられ又は縫い付けられている。この布6は、筆記具等で靴の持ち主等を示すIDを記載し、また、このID表示を消したりすることができる材質で構成されている。なお、IDとしては、名前の他、相互に識別できる単なる数字等、種々の識別可能な文字又は符号がある。このようにして、1足の靴1が1個の袋2内に収納されて、袋入り靴10が得られる。
【0017】
図2に示すように、複数個の袋入り靴10が集められ、これらの複数個(例えば、30~70足)の袋入り靴10は、図3に示すように、洗浄装置11の洗浄槽12内に一括して装入する。洗浄槽12内には、袋入り靴10の他に、シリコン製の補助材13も装入されている。この補助材13は、シリコン製であり、図4に示すように、立方体状又は球状等、種々の形状とすることができる。
【0018】
このようにして、洗浄槽12内において、袋入り靴10が補助材13と共に洗浄液中で撹拌されて、靴1が袋2共々洗浄される。このとき、洗浄槽12内に導入された洗浄補助材13が袋入り靴10の洗浄効果を増進する。また、この補助材13は、洗浄効果を増進させると共に、袋入り靴10間の緩衝材として機能する。
【0019】
洗浄液による洗浄後の袋入り靴10は、洗浄液を排水した後、水のみを供給した状態で撹拌し、水洗(すすぎ)する。そして、水洗後のすすぎ液は、排水し、洗浄槽12から袋入り靴10を取り出す。その後、図5に示すように、袋入り靴10を乾燥機20の乾燥棒21に設置して、乾燥させる。乾燥機20は、垂直支柱22に対し、複数本の乾燥棒21が水平方向の若干上方に向けて延びるように固定されていて、垂直支柱22の周囲に乾燥棒21が放射状に配置されている。
【0020】
水洗後の袋入り靴10は、袋2の開口部3を介して乾燥棒21の先端部を1足の靴1の履き口部5内に挿入することにより、靴1が乾燥棒21に係止され、乾燥機20に適宜の間隔をおいて3次元的に配置される。この状態で、例えば、熱風の通風を受けて袋入り靴10が乾燥処理され、靴1が袋2と共に乾燥される。
【0021】
その後、メッシュ状袋2から靴1を取り出し、布6のID表示に従って、靴1を袋又は箱に詰めし、この袋又は箱に、その持ち主又は依頼主を表示する。そして、この表示を基に靴を持ち主又は依頼者に返却する。
【0022】
このように構成された靴の洗浄方法においては、左右対となる1足の靴1をこの対の関係を維持したまま、洗浄することができ、洗浄及び水洗工程において、靴がバラバラになることがない。このため、大量の靴を一括して洗浄した後に、対となる靴を探し出す手間と時間を節約することができる。また、本実施形態においては、布6にその靴1の持ち主又は洗浄依頼主等を識別するための表示を付しておくことができるので、袋2から靴1を取り出した後、直ちに、洗浄の依頼主にその靴を返却することができる。又は、袋2から靴1を取り出した後、直ちに、搬送用の袋又は箱に入れて、持ち主のIDを付して、依頼主に向けて搬出することができる。よって、大量の靴を、迅速に洗浄することができる。
【0023】
なお、上記実施形態では、乾燥工程においても、靴1を袋2にいれた袋入り靴10の状態で乾燥処理している。しかし、乾燥工程においては、図6に示すように、靴1を袋2から取り出した状態で、靴乾燥機20の乾燥棒21に靴1の履き口部を個別に挿入して、靴1を整然と配置して乾燥することもできる。洗浄工程においては、靴1は洗浄槽12内でバラバラになるが、靴乾燥機20においては、靴1は乾燥棒21に係止させるので、バラバラになることはない。各乾燥棒21に数字等のIDを付しておき、袋入り靴10の布6に表示したIDと乾燥棒21のIDとの対応をとっておけば、図1乃至図5に示す実施形態と同様に、乾燥後の返却処理等を容易に行うことができる。


【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明においては、靴の迅速な大量洗浄処理ができるので、スニーカー等の靴を、衣服と同様に洗浄依頼を引き受けて、大量に洗浄処理することが可能となり、また,厨房及び工場・建築現場等の事業所からでた厨房靴及び安全靴等の大量処理を引き受けることが可能となる。
【符号の説明】
【0025】
1:靴
2:メッシュ状袋
3:開口部
4:出入口
5:履き口部
6:布
10:袋入り靴
11:洗浄装置
12:洗浄槽
13:補助材
20:乾燥機
21:乾燥棒
22:垂直支柱
図1
図2
図3
図4
図5
図6