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▶ パッケージング テクノロジーズ アンド インスペクション、エルエルシイの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】動的真空減衰リーク検出方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/32 20060101AFI20220118BHJP
【FI】
G01M3/32 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019534748
(86)(22)【出願日】2017-12-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-30
(86)【国際出願番号】 US2017068608
(87)【国際公開番号】W WO2018125946
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-12-09
(31)【優先権主張番号】62/439,279
(32)【優先日】2016-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518272382
【氏名又は名称】パッケージング テクノロジーズ アンド インスペクション、エルエルシイ
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100093241
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101801
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 英治
(74)【代理人】
【識別番号】100095496
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 榮二
(72)【発明者】
【氏名】スタウファー、オリバー
(72)【発明者】
【氏名】スタウファー、アントン
【審査官】瓦井 秀憲
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0174060(US,A1)
【文献】特開2000-203539(JP,A)
【文献】特開平11-304633(JP,A)
【文献】特開2011-191203(JP,A)
【文献】米国特許第05513516(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/00- 3/40
B65B 57/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空源、パッケージを試験のために収容する試験チャンバ、および、上記試験チャンバを上記真空源から隔離するバルブを含む試験システムによってパッケージリークを試験する方法において、
パッケージを上記試験チャンバ内に載置するステップと、
上記真空源によって上記試験チャンバから空気を退避させるステップと、
上記試験システムが目標圧力に近づくときにトリガ圧力を検出するステップであって、上記トリガ圧力は上記目標圧力より大きい上記ステップと、
上記トリガ圧力が検出されたことに応じてマイクロコントローラによってタイマを動作開始させるステップと、
上記タイマが動作終了したことに応じて、上記試験チャンバを上記真空源から隔離するステップと、
こののち、上記試験システム内の圧力測定に基づいて、上記パッケージにおけるリークの有無を検出する試験を動作開始させるステップとを有することを特徴とする、上記方法。
【請求項2】
上記圧力測定の値が上記目標圧力より大きいときにリークの存在が検出され、上記圧力測定の値が上記目標圧力より大きくないときにリークがないことが検出される請求項1記載の方法。
【請求項3】
上記試験チャンバは柔軟性試験チャンバである請求項1記載の方法。
【請求項4】
さらに、上記マイクロコントローラに電気的に接続され、上記試験システム内の圧力データを測定するために使用される圧力変換器を有し、圧力データは上記試験システムにおいて収集された上記マイクロコントローラに通信される請求項1記載の装置。
【請求項5】
上記パッケージは柔軟性パッケージである請求項1記載の方法。
【請求項6】
上記トリガ圧力は上記目標圧力と退避圧力との間であり、上記退避圧力は、上記圧力測定の値が減少する前に、上記試験チャンバから空気を退避させるときの平坦状態圧力である請求項1記載の方法。
【請求項7】
さらに、上記試験システムを上記試験チャンバに連通するのに先立って上記試験システム内において制御された真空圧力を維持するステップを有する請求項1記載の方法。
【請求項8】
上記リークの存在が、上記圧力測定の値に圧力スパイクが存在するときに検出される請求項1記載の方法。
【請求項9】
上記パッケージは、非多孔性製品パッケージ、パウチ、ブリスターパッケージ、または医薬品パッケージの少なくとも1つである請求項1記載の方法。
【請求項10】
パッケージリークを試験するシステムにおいて、
管を介して試験チャンバに結合された真空源と、
上記真空源および上記試験チャンバの間において上記管の内部に連結された圧力安定化器と、
上記真空源を上記管から選択的に隔離するために上記真空源および上記試験チャンバの間において上記管の内部に連結された第1のバルブと、
上記試験チャンバを上記管から隔離するために上記真空源および上記試験チャンバの間において上記管の内部に連結された第2のバルブと、
上記試験するシステムの内部の圧力を測定するために上記第1のバルブおよび上記第2のバルブの間において上記管に連結された圧力変換器と、
マイクロコントローラと、
タイマであって、上記マイクロコントローラが当該タイマを制御し;上記システムが目標圧力に近づくときに上記圧力変換器がトリガ圧力を検出したときに上記タイマを動作開始させ;かつ上記タイマが動作終了したことに応じて、上記第1のバルブを閉じて上記真空源を上記管から隔離するように構成され、上記トリガ圧力は上記目標圧力より大きい、上記タイマとを有することを特徴とするシステム。
【請求項11】
上記第1のバルブと上記第2のバルブの間において上記管の内部に、上記システムを排気するための第3のバルブをさらに有する請求項10記載のシステム。
【請求項12】
上記真空源と上記試験チャンバとの間において上記の内部に、上記圧力安定化器をバイパスするための第4のバルブをさらに有する請求項10記載のシステム。
【請求項13】
上記試験チャンバから空気を退避させるステップは安定化真空を引くステップを有する請求項1記載の方法。
【請求項14】
上記試験チャンバから空気を退避させるステップは非安定化真空を引くステップを有する請求項1記載の方法。
【請求項15】
上記トリガ圧力は約700ミリバールであり、上記目標圧力は約500ミリバールであり、上記タイマは約1秒に設定される請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2016年12月27日に出願された米国仮特許出願第62/439,279号の利益を主張し、その全体が参照によりここに組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
この発明は、様々なパッケージまたは容器に関連する封止の完全性を試験する技術に関する。とくに、この発明は、パッケージにおけるリークを検出するための動的真空減衰方法および制御システムの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
可撓性のあるパッケージのリーク試験は、真空減衰試験方法を使用して実行されることが多い。試験チャンバ内のパッケージについて真空が引かれ、真空レベルが監視される。可撓性のあるパッケージには、可撓性膜がよく使用される。リークが検出される前に小容量のパッケージ内の空気を排出できてしまうため、小ヘッドスペースのパッケージの試験はしばしば困難である。
【0004】
少容量の柔軟なパッケージのリークを検出するために、試験測定が行われる前にパッケージの内部ボリュームが完全に空にならないように試験を実行しなければならない。試験チャンバの真空が効果的に引かれていない場合、すべての空気がパッケージから抜かれ、かつ、欠陥が検出されない可能性がある。したがって、低ヘッドスペースのパッケージでの大きなリークは検出されない場合がある。
【0005】
図1を参照すると、従来の真空減衰は、タイマがトリガされるか真空レベルに達するまで、真空を引く。特定のタイマを使用する試験方法では、欠陥のあるパッケージは、真空引きサイクル中にすべての空気を排出する可能性があり(図1、コレクト・ポジティブ)、漏れる空気はもうない。リークはないかもしれないが、試験チャンバを真空引きするのにより長い時間を必要とするパッケージは、割り当てられた時間内に真空に達せず、リークとして検出される可能性さえある(図1、フォールス・ネガティブ)。タイマに基づく非動的充填は、真空を目標の真空レベルに引き上げ、良好なサンプルを通過させながら重大なリークを検出する際に信頼できない。
【0006】
目標の真空レベルに到達するまで真空を引く一般的なアプローチも、信頼性がない。なぜならば、大きなリークが排気サイクル中に空気を漏出し、同時に真空引きプロセスを遅くするからである。目標の真空レベルに達すると、欠陥には内部に空気が残っておらず、測定可能なリークがない。
【発明の開示】
【0007】
この発明の実施例は、真空減衰制御システムおよび試験チャンバを使用して作動される真空リーク試験に関する。この発明は、これに限定するものではないが、化学物質および/または医薬品を内包するバイアル、ポーチ、ブリスターパック、アンプル、シリンジ、注入カートリッジおよび眼科用パッケージを含む、非多孔質容器における目に見えないリークを検出するための方法および試験装置に関する。この発明の方法においては、部分的または完全に満たされた容器が、リーク止めされ密封された試験チャンバ内に配置される。容器を試験チャンバ内に配置し、チャンバを密閉した後、真空ポンプによってシステムとチャンバ内を真空引きして、圧力変換器を使用して一連の連続試験期間を通して真空レベルを監視する。リーク検出を改善し、不正確な試験結果を最小限に抑えるために、この発明の方法は、動的な真空減衰試験方法を実現し、ここでは、圧力フィードバック制御システムと協働するタイマを使用して試験チャンバ内の真空減衰が動的に制御され、もって、予め定められた圧力レベルの検出に基づいて、タイマと関連して、試験チャンバの真空源からの隔離を遅延させる。
【0008】
この発明の1実施例において、真空源、パッケージを試験のために収容する試験チャンバ、および、上記試験チャンバを上記真空源から隔離するバルブを含む試験システムによってパッケージリークを試験する方法は、パッケージを上記試験チャンバ内に載置するステップと、上記真空源によって上記試験チャンバの真空を引くステップと、上記試験システムにおいて予め定められた圧力レベルを検出するステップと、上記予め定められた圧力レベルの検出に基づいて、上記試験チャンバの上記真空を引くことを停止するときを決定するステップと、上記決定に基づいて、上記試験チャンバを上記真空源から隔離するステップと、こののち、上記試験チャンバ内の圧力測定に基づいて、上記パッケージにおけるリークの有無を検出するステップとを有する。
【0009】
この方法は、さらに、タイマを始動させることによって、上記真空を引くことを停止するときを決定するステップを有して良く、上記タイマの期間満了ののちに上記試験チャンバが上記真空源から隔離される。これに限定されないけれども、一例として、上記タイマは1秒後に期間満了する。上記試験システムは、さらに、上記圧力レベルを監視し、上記タイマを始動させるマイクロコントローラを含んで良く、上記マイクロコントローラは上記測定圧力レベルに基づいて上記タイマを始動させるときを動的に決定して良い。いくつかの実施例において、上記予め定められた圧力レベルは700ミリバール(mbar)であって良い。
【0010】
いくつかの実施例において、上記試験チャンバは、例えば、1つの堅固な試験チャンバおよび1つの可撓性の試験チャンバであって良く、上記容器は、例えば、可撓性パッケージ、非多孔性バイアル、アンプル、注入カートリッジ、眼科用製品パッケージ、シリンジ、パウチ、ブリスターパッケージ、および医薬品パッケージであって良い。
【0011】
この発明の他の実施例によれば、パッケージ内容物から誘導されるヘッドスペースの気体リークおよび/または蒸気リークを含む、完全に、または部分的に、液体製品が充填された、または、乾燥製品が充填された、堅固または準堅固な非多孔性容器に関して、真空源を含む試験システム中における少なくとも1つの圧力変換器を用いて、リークを試験する方法において、上記試験システムは、試験のために容器を収容する試験チャンバから選択的に隔離されてよく、上記方法は、(A)気密性試験チャンバ内に容器を配置し、上記チャンバをシールするステップと、(B)上記試験システムを上記試験チャンバに通信させる前に、上記試験システム内を制御した真空圧力に維持するステップと、(C)上記試験システムを上記試験チャンバに通信させて上記試験チャンバを上記真空源を利用して真空引きすることによって試験を開始させるステップと、(D)目標の第1の決定された圧力に到達した時点で、上記試験システム中の遅延タイマを開始させるステップと、(E)上記遅延タイマが期間満了した時点で、上記試験チャンバから上記真空源を閉止するステップと、そののち、(F)上記圧力検出器を用いて上記試験チャンバ内の形成される上記真空の遅延を監視して、圧力の増加が上記容器内のリークを反映するように上記試験チャンバ内の圧力の任意の増加を検出する監視するステップとを有する。
【0012】
いくつかの実施例において、上記ステップ(C)は、第1の時間間隔の間に、第1の予め定められた圧力が実現されない場合に上記試験を失敗終了させ、実現された場合、上記試験を続けてステップ(D)に継続させて良い。さらに、例えば、上記ステップ(C)は、上記第1の予め定められたた圧力が実現された場合に、上記試験が第2の時間間隔の間続けられ、かつ、第2の予め定められた圧力が実現されない場合に上記試験を失敗終了させ、そうでない場合、上記試験を続けてステップ(D)に継続させて良い。
【0013】
他の実施例において、上記ステップ(C)は少なくとも2つのステップにおいて実行され、もって、第1の時間間隔の間に、上記制御された状態の上記試験システムが上記真空源から隔離されて、つぎに、上記試験システムが上記試験チャンバに結合されて、上記圧力変換器を用いて上記試験チャンバ内の圧力を監視し、第1の予め定められた圧力が上記試験の開始から、第1の予め定められた時間間隔の間に上回られる場合に上記試験を失敗終了させ、そうでない場合、上記真空源を上記試験システムに対して開にし、上記真空源が上記試験チャンバ内の圧力を、上記真空源を利用して、予め定められた真空まで低下させ、上記圧力変換器を利用して上記試験チャンバ内の上記圧力を監視することによって、上記試験を継続させて良い。例えば、上記ステップ(C)において、第2の予め定められた圧力が、上記試験の上記開始からの上記第1の機関に続く、第2の予め定められた時間間隔の間に実現されない場合に、上記試験が失敗終了させられて良い。
【0014】
この発明の方法のいくつかの実施例は、上記試験システム内の真空圧力を維持しつつ上記試験システムを上記試験チャンバに対して閉止するステップと、上記第1の予め定められた圧力が上記第1の時間間隔の間に実現されない場合に上記試験チャンバを排気するステップとをさらに含んで良い。さらに、この方法は、上記試験システム内の真空圧力を維持しつつ上記試験システムを上記試験チャンバに対して閉止するステップと、上記ステップ(F)の監視ののちに、上記試験チャンバを排気するステップとをさらに含んで良い。
【0015】
いくつかの実施例において、例えば、上記予め定められた圧力レベルは700ミリバールであって良く、また、上記タイマは1秒後に期間満了して良い。さらに、上記試験システムは、上記圧力変換器によって測定される上記圧力レベルを監視して上記タイマを始動させるマイクロコントローラを含んで良い。例えば、上記マイクロコントローラは上記測定圧力レベルに基づいて上記タイマを始動させるときを動的に決定して良い。
【0016】
いくつかの実施例において、上記試験チャンバは、1つの堅固な試験チャンバおよび1つの可撓性の試験チャンバであって良く、上記容器は、例えば、可撓性パッケージ、非多孔性バイアル、アンプル、注入カートリッジ、眼科用製品パッケージ、シリンジ、パウチ、ブリスターパッケージ、および医薬品パッケージであって良い。
【0017】
さらに、この発明の他の実施例は、パッケージリークを試験する試験システムを含む。このシステムは、管を介して試験チャンバに結合された真空源と、上記真空源および上記試験チャンバの間において上記管の内部に連結された圧力安定化器と、上記真空源を上記管から選択的に隔離するために上記真空源および上記試験チャンバの間において上記管の内部に連結された第1のバルブと、上記試験チャンバを上記管から隔離するために上記真空源および上記試験チャンバの間において上記管の内部に連結された第2のバルブと、上記試験システムの内部の圧力を測定するために上記第1のバルブおよび上記第2のバルブの間において上記管に連結された圧力変換器と、上記圧力変換器が目標真空レベルを検出したときに始動されるタイマであって、当該タイマが期間満了したときに上記第1のバルブを閉じて上記真空源を上記管から隔離する上記タイマとを有して良い。
【0018】
この発明の目的は、真空減衰制御システムおよび試験チャンバを使用して作動させられる真空リーク試験を実現することである。リーク試験方法は、試験コントローラシステムによって実装されて良い。試験コントローラは、堅固な試験チャンバまたは可撓性の試験チャンバで動作できるけれども、可撓性試験チャンバの使用が有利である。試験に関連する、目標真空レベル、トリガ真空レベル、およびタイマは変更して良いけれども、インテリジェントな動的真空システムのため、通常は変更する必要はない。この発明と整合すリーク試験方法の実施例は、他の真空試験ソリューションと併せて実現されて良い。
【0019】
この発明の目的は、多種多様な容器の真空崩壊リーク検出に顕著な利点を実現することであり、より具体的には、非多孔性バイアル、アンプル、注入カートリッジ、眼科用製品パッケージ、シリンジ、パウチ、ブリスターパッケージのような、乾燥製品または液体製品で満たされた容器、および重要な医薬品や化学製品を内包する、その他のパッケージの試験に顕著な利点を実現することである。この発明のインテリジェント動的真空リーク検出方法の使用は、試験される容器が密閉され、真空が引かれている試験チャンバ内の真空減衰を動的に制御および測定する方法を使用する容器の試験に適用される。試験チャンバでは、圧力レベルが継続的に監視され、一定期間にわたる試験チャンバ内の圧力状態を使用して、試験中の容器の良品または不良品を示す。
【0020】
前述の概要は例示にすぎず、決して限定することを意図するものではない。上述の例示的な側面、実施例、および特徴に加えて、その他の側面、実施例、および特徴が、図面および以下の詳細な説明を参照することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
上述および他の側面および特徴は、以下の図面を参照した以下の説明から明らかになるであろう。ここで、特に指定しない限り、様々な図を通して同様の参照番号は同様の部分を指す。
図1】慣用的な非動的真空リーク検出試験方法を用いた事例的なパッケージリーク検出試験のグラフを示す。
図2】この発明と整合する動的真空リーク検出試験方法を使用した、数秒間にわたる試験チャンバ内の圧力のグラフである。
図3】この発明と整合する動的真空リーク検出試験システムを示す図である。
図4】この発明と整合する動的真空リーク検出試験方法を示す図である。
図5】この発明と整合する代替的な動的真空リーク検出試験システムを示す図である。
図6】この発明と整合する代替的な動的真空リーク検出試験方法を示す図である。
図7】この発明と整合する動的真空リーク検出試験を使用した例示的なパッケージリーク検出試験のグラフである。
図8】この発明と整合する動的真空減衰リーク検出方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
試験システムは、大気圧または制御された圧力の下であって良い。図2に示す例において、試験システムは500ミリバールの制御された真空の下にある(1)。試験チャンバは閉じられている。試験が開始されると、試験チャンバが真空引きされる。チャンバが最初に真空引きされるとき、真空測定値は目標真空レベルと大気圧の間で安定したままである(2)。チャンバが真空引きされるため、試験システムは最初に空気ボリュームを除去し、真空レベルを構築せず、空気が排出されるまで真空は平坦域に留まる。空気ボリュームが全体として排出されると、真空レベルが急速に構築される(3)。目標の真空レベルに近づくと、試験システムは真空トリガを動作させ、特定の圧力閾値を通過すると、真空引きタイマを始動させる。このケースでは、トリガ圧力は700ミリバールで、タイマは1秒に設定される。真空レベルがトリガポイントを通過すると、タイマはチャンバの真空引きを停止するタイミングを決定する。
【0023】
図3を参照すると、この発明の実施例に従う試験システム300は、真空源310と、真空導管350により接続された試験チャンバ340とを含む。真空安定化器330は、真空源310と第1バルブ301との間の真空導管350に配置される。第2バルブ302は、第1バルブ301と試験チャンバ340との間の真空導管350に配置される。圧力変換器320は、第1バルブ301と第2バルブ302との間の真空導管と連通して配置される。試験システム300を排気するための第3バルブ303は、第1バルブ301と第2バルブ302との間の真空導管350と連通して配置される。
【0024】
タイマー(図示せず)を含むコンピュータは、真空源310、真空安定化器330、第1バルブ301、第2バルブ302、および第3バルブ303に制御信号を供給し、圧力変換器320から圧力信号を受信し、この圧力信号は、試験チャンバ340内の圧力状態を示す。
【0025】
図3および図4を参照すると、試験システム300の例示的な動作が説明される。時間T0において、試験システムは500ミリバールの制御された真空にあり、第1バルブ301は開いており、第2バルブ302は閉じており、第3バルブ303は閉じている。時間T1で試験が開始されると、第2バルブ302が開かれ、真空導管350を介して真空安定化器330を介して真空源310から調整された真空が試験チャンバ340に引き込まれ始める。チャンバ340では、目標の真空レベルと大気圧の間で真空の読みは安定したままである。真空レベルが試験チャンバ340に引かれているので、試験システム300は最初に空気量を除去し、真空レベルを構築せず、空気が排出されるまで真空は真空平坦域のままである。空気ボリュームが全般的に排出されると、真空レベルが急速に上昇する。試験システム300が目標真空レベルに近づくと、真空トリガと呼ばれる特定の圧力閾値が時間T2で圧力変換器320によって検出され、この時点で制御コンピュータで遅延タイマが始動される。たとえば、この例では、トリガ圧力は700ミリバールであり、タイマは1秒に設定されている。真空レベルがトリガポイントを通過すると、タイマは時間T3で第1バルブ301を閉じて真空源310を試験チャンバ340から隔離し、もってチャンバの真空引きを停止するタイミングを決定する。次に、圧力変換器320は、試験システム内の圧力を監視して、試験中のパッケージ内のリークの存在を判定する。試験が完了するか、そうでない場合には試験を中止し、第3バルブ303が開かれて、時間T4で試験システム300を排気する。
【0026】
図5を参照すると、この発明の代替的な実施例に従う試験システム500は、真空源510と、真空導管550によって接続された試験チャンバ540とを含む。真空安定化器530は、真空源510と第1バルブ501との間で真空導管550に配置される。第2バルブ502は、第1バルブ501と試験チャンバ540との間で真空導管550に配置される。圧力変換器520は、第1バルブ501と第2バルブ502との間で真空導管に連通されて配置されている。試験システム500を排気するための第3バルブ503は、第1バルブ501と第2バルブ502との間で真空導管550と連通して配置される。この代替的な実施例において、第4バルブ504が真空安定化器530をバイパスして真空の流れを増強するために導入される。
【0027】
図5をさらに参照すると、この代替的な実施例は、付加的な非安定化真空供給を実現する点で、図3に示される実施と区別される。バイパス導管560は、真空導管550の点Aから真空導管550の点Bまでを真空源510に連結して真空安定化器530および第1バルブ501を通過させることがないようにして、もって、真空安定化器530および第1バルブ501をバイパスさせるために設けられる。点Aから点Bへのバイパス真空供給を制御するために、第4バルブ504がバイパス導管560に配置される。したがって、バイパス導管560は、第4バルブ504が開いたときに点Aから点Bへの非安定な真空の供給を実現する。
【0028】
タイマ(図示せず)を含むマイクロコンピュータは、真空源510、真空安定化器530、第1バルブ501、第2バルブ502、第3バルブ503、および第4バルブ504に制御信号を供給し、また、試験チャンバ540内の圧力状態を示す圧力信号を、圧力変換器520から受信する。
【0029】
図5および図6を参照して、試験システム500の例示的な動作が説明される。時間T0では、試験システムは500ミリバールの制御された真空状態にあり、第1バルブ501および第4バルブ504は開いており、第2バルブ502および第3バルブ503は閉じている。時間T1で試験が開始されると、第2バルブ502が開かれ、真空源510により試験チャンバ540に真空が引き込まれ始める。安定化された真空は、真空安定化器530を介して第1バルブ501を通して引き込まれ、安定化されていない真空は、第4バルブ504を通して引き込まれる。真空が試験チャンバ540に最初に引き込まれると、真空の読みは、目標真空レベルと大気圧の間で安定したままである。真空レベルが試験チャンバ540に引かれているので、試験システム500は最初に空気ボリュームを除去し、真空レベルを構築せず、空気が排出されるまで真空は真空平坦域のままである。空気ボリュームが全体として排出されると、真空レベルが急速に上昇する。試験システム500が目標真空レベルに近づくと、真空トリガと指定された特定の圧力閾値が時間T2で圧力変換器520によって検出され、その時点で制御コンピュータにおいて遅延タイマが始動され、非安定化状態の真空を供給していた第4バルブ504が閉じされる。たとえば、これに限定されないけれども、この例では、トリガ圧力は700ミリバールであり、タイマは1秒に設定される。真空レベルがトリガポイントを通過すると、安定化された真空を供給する第1バルブ501が開いたままになり、タイマは時間T3で第1バルブ501を閉と決定し、真空源510を試験チャンバ540から隔離し、それによってチャンバからの真空引きを中止する。次に、圧力変換器520は、試験システム内の圧力を監視して、試験中のパッケージ内のリークの存在を判定する。試験が完了するか、そうでない場合には試験を中止し、第3バルブ501が開かれて試験システム500を排気する。
【0030】
図7を参照すると、動的真空モードで大きなリークがあるパッケージを試験する場合、試験チャンバ内の真空レベルはトリガポイントを通過し、タイマが試験チャンバの排気を停止すると、試験対象のパッケージの大きなリークは圧力の急上昇を引き起こす(図7、コレクト・ポジティブ)。この方法は、試験チャンバの全体的な容積を排気するのにかかる時間に関係なく、ポーチを確実に真空にする。リークはないかもしれないが、試験チャンバを真空引きするのにより長い時間を必要とするパッケージは、リークとして検出されないだろう(図7、コレクト・ネガティブ)。
【0031】
図8を参照すると、この発明と整合する動的真空減衰リーク検出方法を説明するためのフロー図が示されている。図8図3、および図5を参照すると、試験システムを試験チャンバに連通させる前に、ステップ810で、試験システムに制御真空レベルが確立される。ここで、試験チャンバが試験システムから隔離されるように、真空源を選択的に隔離する第1バルブが開いており、試験チャンバを試験システムから選択的に隔離する第2バルブが閉じている。ステップ820で、試験システムの真空源が試験チャンバと連通するように第2バルブが開かれ、試験システムは試験チャンバの真空を引き始める。ステップ830で、圧力変換器によって測定される、試験チャンバ内の真空が構築され始め、所定の真空トリガが検出され、この真空トリガの検出が制御システムにフィードバックされる。検出された真空トリガに基づいて、制御システムはタイマを開始する。これに限定されないが、一例において、タイマは1秒後に時間満了するように設される。ステップ840でタイマが切れると、第1バルブが閉じられて真空源が試験チャンバから隔離される。ステップ850で、試験システムと試験チャンバとの間の圧力が等しくなり、試験システム内の圧力が圧力変換器によって監視され、試験中のパッケージ内のリークの存在が判定される。ステップ860では、第3バルブが開かれて試験システムを排気する。
【0032】
この発明は、様々なパッケージ形状およびサイズを同じ試験パラメータで試験チャンバに配置することを可能にし、パッケージを囲む試験チャンバ体積に関係なく、正確な真空引きを実現することができる。そうすることで、ヘッドスペースが小さく、パッケージを取り巻く容積が少ないパッケージで大きなリークを検出できる。同時に、真空引きにより長い時間を必要とするより大きなパッケージ形式を試験することができ、システムは適切な真空レベルに動的に到達することができる。
【0033】
この発明の実施例は、真空減衰制御システムおよび試験チャンバを使用して動作する真空リーク試験に関する。リーク試験方法は、試験コントローラシステムによって実現できる。試験コントローラは、剛性試験チャンバまたは可撓性試験チャンバで動作できるけれども、可撓性試験チャンバの使用が有利である。目標真空レベル、トリガ真空レベル、および試験に関連するタイマは異ならせることができるけれども、インテリジェントな動的真空システムのため、通常は変更する必要はない。この発明と整合するリーク試験方法の実施例は、他の真空試験ソリューションと併せて実現できる。
【0034】
この発明は、多種多様な容器の真空崩壊リーク検出に顕著な利点を実現し、より具体的には、非多孔性バイアル、アンプル、注入カートリッジ、眼科用製品パッケージ、シリンジ、パウチ、ブリスターパッケージのような、乾燥製品または液体製品で満たされた容器、および重要な医薬品や化学製品を内包する、その他のパッケージの試験に顕著な利点を実現する。この発明のインテリジェント動的真空リーク検出方法の使用は、試験される容器が密閉され、真空が引かれている試験チャンバ内の真空減衰を動的に制御および測定する方法を使用する容器の試験に適用される。試験チャンバでは、圧力レベルが継続的に監視され、一定期間にわたる試験チャンバ内の圧力状態を使用して、試験中の容器の良品または不良品を示す。
【0035】
この発明の好ましい実施例の前述の説明は、この発明の原理を例示するために提示されたものであり、この発明を例示された特定の実施例に限定するものではない。当業者であれば、この発明の概念から逸脱することなく、上記の実施例に変更を加えることができることを理解するであろう。したがって、この発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物に含まれる実施例のすべてによって定義されることが意図されている。例示的な実施例を参照してこの発明の概念を説明したが、この発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な変更および修正を行うことができることは当業者には明らかであろう。したがって、上記の実施例は限定的ではなく、例示的であることを理解されたい。
【符号の説明】
【0036】
300 試験システム
310 真空源
320 圧力変換器
330 真空安定化器
340 試験チャンバ
350 真空導管
500 試験システム
510 真空源
520 圧力変換器
530 真空安定化器
540 試験チャンバ
550 真空導管
560 バイパス導管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8