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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】連絡ブリッジの連結構造
(51)【国際特許分類】
   E01D 15/24 20060101AFI20220118BHJP
   B63B 21/02 20060101ALI20220118BHJP
   B63B 27/14 20060101ALI20220118BHJP
   E01D 15/00 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
E01D15/24
B63B21/02
B63B27/14 101Z
E01D15/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020146153
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2020-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】504414215
【氏名又は名称】村田油圧機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】村田 康平
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-328728(JP,A)
【文献】特開平03-243488(JP,A)
【文献】特公昭59-001845(JP,B2)
【文献】特開2014-169932(JP,A)
【文献】特許第6798720(JP,B1)
【文献】特開2003-026083(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0283550(US,A1)
【文献】特開2001-200989(JP,A)
【文献】特開昭57-009903(JP,A)
【文献】実公昭59-014483(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 15/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水上に位置する一側水上物および他側水上物をつなぐ連絡ブリッジの連結構造であって、
前記連絡ブリッジは、前記一側水上物に配設されるとともに、伸縮自在のブリッジ体と、前記ブリッジ体を伸縮させる伸縮アクチュエータと、前記ブリッジ体を垂直方向に回動させる垂直アクチュエータと、前記ブリッジ体を水平方向に回動させる水平アクチュエータと、前記ブリッジ体の先端に配設される先端係合部とを有し、
前記先端係合部は、自在継手を介して前記ブリッジ体の先端に接続され、
前記他側水上物には、前記先端係合部に係合する被係合部が配設されて、
前記連結構造は、前記先端係合部を前記被係合部に対して係脱自在に連結させる構成を有し、
前記連結構造が、磁気的連結構造であることを特徴とする、連絡ブリッジの連結構造。
【請求項2】
前記磁気的連結構造として、前記先端係合部が磁性板を有するとともに、前記被係合部がマグネットチャック台を有することを特徴とする、請求項1に記載の連絡ブリッジの連結構造。
【請求項3】
前記マグネットチャック台が、前記一側水上物の反対側において、フェンスを有することを特徴とする、請求項2に記載の連絡ブリッジの連結構造。
【請求項4】
前記先端係合部が、前記自在継手に接続される支持軸と、前記支持軸を軸支するとともに前記磁性板が接続されるスリーブとを有し、前記支持軸および前記スリーブの間には無給油の摺動部材が配設されることを特徴とする、請求項2または請求項3に記載の連絡ブリッジの連結構造。
【請求項5】
水上に位置する一側水上物および他側水上物をつなぐ連絡ブリッジの連結構造であって、
前記連絡ブリッジは、前記一側水上物に配設されるとともに、伸縮自在のブリッジ体と、前記ブリッジ体を伸縮させる伸縮アクチュエータと、前記ブリッジ体を垂直方向に回動させる垂直アクチュエータと、前記ブリッジ体を水平方向に回動させる水平アクチュエータと、前記ブリッジ体の先端に配設される先端係合部とを有し、
前記先端係合部は、自在継手を介して前記ブリッジ体の先端に接続され、
前記他側水上物には、前記先端係合部に係合する被係合部が配設されて、
前記連結構造は、前記先端係合部を前記被係合部に対して係脱自在に連結させる構成を有し、
前記連結構造が、形状的連結構造であることを特徴とする、連絡ブリッジの連結構造。
【請求項6】
前記形状的連結構造として、前記先端係合部が垂直方向に延在する突出部を有するとともに、前記被係合部が前記突出部と係合する係合凹部を有することを特徴とする、請求項に記載の連絡ブリッジの連結構造。
【請求項7】
前記係合凹部の上部には、前記係合凹部よりも拡径したガイド凹部が形成されることを特徴とする、請求項に記載の連絡ブリッジの連結構造。
【請求項8】
前記伸縮アクチュエータ、前記垂直アクチュエータおよび前記水平アクチュエータが、液圧で駆動されることを特徴とする、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の連絡ブリッジの連結構造。
【請求項9】
前記連絡ブリッジが前記一側水上物および前記他側水上物をつないでいるときには、前記液圧が解除されることを特徴とする、請求項に記載の連絡ブリッジの連結構造。
【請求項10】
前記一側水上物および前記他側水上物の少なくとも一方が、前記水上に浮かぶ浮体物であることを特徴とする、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の連絡ブリッジの連結構造。
【請求項11】
前記連絡ブリッジがアクセス不可の高さに配置されることを特徴とする、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の連絡ブリッジの連結構造。
【請求項12】
前記一側水上物が海洋上に位置する風力発電施設であり、前記他側水上物が海洋上に位置する作業船であることを特徴とする、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の連絡ブリッジの連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、連絡ブリッジの連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、桟橋と着桟した船舶との間で架け渡される連絡ブリッジにおいて、ステップ装置での一対の挟持片をシリンダで駆動することにより、船舶のデッキに固設された固定台を挟み込む機械的な連結構造を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-026083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の連結構造では、挟持片の駆動構造が機械的に作動するシリンダであるので、屋外において長期間にわたって曝露されることによって発生する腐食や錆によって、機械的な連結構造の作動不良が発生する。
【0005】
そこで、この発明の課題は、水上に位置する一側水上物および他側水上物の間をつなぐ連絡ブリッジにおいて、長期間にわたって安定して作動する連結構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この発明の一態様に係る連絡ブリッジの連結構造は、
水上に位置する一側水上物および他側水上物をつなぐ連絡ブリッジの連結構造であって、
前記連絡ブリッジは、前記一側水上物に配設されるとともに、伸縮自在のブリッジ体と、前記ブリッジ体を伸縮させる伸縮アクチュエータと、前記ブリッジ体を垂直方向に回動させる垂直アクチュエータと、前記ブリッジ体を水平方向に回動させる水平アクチュエータと、前記ブリッジ体の先端において自在継手を介して接続される先端係合部とを有し、
前記他側水上物には、前記先端係合部に係合する被係合部が配設されて、
前記連結構造は、前記先端係合部を前記被係合部に対して係脱自在に連結させる構成を有し、
前記連結構造が、磁気的連結構造または形状的連結構造であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、連絡ブリッジの連結構造が、機械的連結構造を有さないので、長期間にわたる安定した作動が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明に係る、一側水上物および他側水上物をつなぐ連絡ブリッジを説明する図である。
図2図1に示した連絡ブリッジの伸縮と垂直方向の回動とを説明する図である。
図3図1に示した連絡ブリッジの水平方向の回動を説明する図である。
図4図1に示した連絡ブリッジの延伸状態を示す図である。
図5図1に示した連絡ブリッジの短縮状態を示す図である。
図6】第1実施形態に係る、連絡ブリッジの連結構造を説明する図である。
図7】連絡ブリッジの連結構造における被係合部を示す側面図である。
図8図7に示した被係合部の平面図である。
図9】連絡ブリッジの連結構造における先端係合部を示す平面図である。
図10図9に示した先端係合部の側面図である。
図11図10において○で囲った部分の断面図である。
図12】第2実施形態に係る、連絡ブリッジの連結構造を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、この発明に係る、水上に位置する一側水上物7および他側水上物2をつなぐ連絡ブリッジ1の連結構造4の実施の形態を説明する。
【0010】
〔全体構造〕
図1から図5を参照しながら、一側水上物7、他側水上物2および連絡ブリッジ1の全体構造を説明する。図1は、この発明に係る、一側水上物7および他側水上物2をつなぐ連絡ブリッジ1を説明する図である。図2は、図1に示した連絡ブリッジ1の伸縮と垂直方向の回動とを説明する図である。図3は、図1に示した連絡ブリッジ1の水平方向の回動を説明する図である。図4は、図1に示した連絡ブリッジ1の延伸状態を示す図である。図5は、図1に示した連絡ブリッジ1の短縮状態を示す図である。
【0011】
図1において、一側水上物7は、水上に位置する構造物であり、例えば、海洋上に位置する風力発電施設7である。風力発電施設7は、海底SBに着床した基礎支持体8と、基礎支持体の上部に取り付けられたナセル(図示せず)と、ナセルに取り付けられたブレード(図示せず)と、プラットホーム9とを備えるタワー型の構造物である。プラットホーム9は、点検やメンテナンスの作業などを行う作業員が一時的に利用する踊り場などである。風力発電施設7は、図1に示すような、杭基礎を用いて海底SBに固定する固定式に加えて、海底SBに固定せずに海洋上に浮かせてアンカーで係留する浮体式の浮体物であってもよい。
【0012】
図1において、他側水上物2は、水上に位置する浮体物であり、例えば、海洋上に位置する作業船2である。作業船2は、点検やメンテナンスの作業などを行う作業員が乗船している船である。
【0013】
風力発電施設7および作業船2をつなぐ連絡ブリッジ1は、風力発電施設7の側に配設されて、例えば、プラットホーム9に配設される。プラットホーム9は、海面SLから大きく離間した高さに位置する。プラットホーム9は、例えば、海面SLから約15mの高さに位置する。これにより、風力発電施設7の点検やメンテナンスに関係の無い人がアクセスすることを防止できる。連絡ブリッジ1を水平方向および垂直方向に回動させるためのステージ10がプラットホーム9に配設される。
【0014】
図1に示すように、連絡ブリッジ1は、ブリッジ体20と、伸縮アクチュエータ30と、先端係合部26とを備える。ブリッジ体20は、軽量であり且つ高い強度を有する材質からなり、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金などの材質からなる。ブリッジ体20は、ステージ10に回動可能に取り付けられた基端ブリッジ体21と、基端ブリッジ体21に対して伸縮自在の可動ブリッジ体22,23とを備える。可動ブリッジ体22,23は、基端側の第1可動ブリッジ体22と、先端側の第2可動ブリッジ体23とを備える。第1可動ブリッジ体22は、基端ブリッジ体21に対して伸縮自在に構成されている。第2可動ブリッジ体23は、第1可動ブリッジ体22に対して伸縮自在に構成されている。
【0015】
基端ブリッジ体21と第1可動ブリッジ体22と第2可動ブリッジ体23とは、それぞれ、作業員などが通行するための歩道部と、通行する作業員などの転落を防止するための柵部とを有する。なお、例示として、基端ブリッジ体21の長さは、約10mであり、第1可動ブリッジ体22および第2可動ブリッジ体23の長さは、それぞれ約7.5mであり、ブリッジ体20は約10mから約25mの範囲で伸縮できる。
【0016】
ステージ10の上面には、2つのロックシリンダ35,35が設けられる。基端ブリッジ体21の一方および他方の側面には、ストッパ受け凹部36が設けられる。ロックシリンダ35のロックピンが対応するストッパ受け凹部36のそれぞれに係合する。これにより、ブリッジ体20の基端ブリッジ体21がロック固定されて、ブリッジ体20の水平方向の回動および垂直方向の回動が規制される。
【0017】
可動ブリッジ体の最も先端側に位置する第2可動ブリッジ体23の下部であって先端寄りの部分には、シリンダ先端支持部28が配設されている。第2可動ブリッジ体23の下部であって先端側には、先端係合部26が配設されている。先端係合部26の詳細は、後述する。
【0018】
基端ブリッジ体21に対して可動ブリッジ体22,23を伸縮自在にするために、伸縮シリンダ30が設けられている。伸縮シリンダ30は、伸縮アクチュエータとして働き、液圧発生装置からの液圧(例えば油圧)によって駆動される。伸縮シリンダ30は、伸縮シリンダ支持部25によって支持されている。伸縮シリンダ30の先端部は、シリンダ先端支持部28に接続されている。したがって、伸縮シリンダ30が突出すると、可動ブリッジ体22,23が伸長状態になり、ブリッジ体20の長さが長くなる。他方、伸縮シリンダ30が収縮すると、可動ブリッジ体22,23が没入状態になり、ブリッジ体20の長さが短くなる。
【0019】
図5に示すように、伸縮シリンダ30は、伸縮シリンダチューブ31と、該伸縮シリンダチューブ31の内部に同心状に設けられた複数のピストンロッド32,33,34とを備えるテレスコ形である。伸縮シリンダ30は、例えば、第1ピストンロッド32と、第2ピストンロッド33と、第3ピストンロッド34とを備える。
【0020】
伸縮シリンダチューブ31の内側には、二重円筒状の第1ピストンロッド32がシリンダ軸方向に移動可能に挿入されている。第1ピストンロッド32の内側には、二重円筒状の第2ピストンロッド33がシリンダ軸方向に移動可能に挿入されている。第2ピストンロッド33の内側には、円柱状の第3ピストンロッド34がシリンダ軸方向に移動可能に挿入されている。したがって、伸縮シリンダ30は、第1ピストンロッド32、第2ピストンロッド33および第3ピストンロッド34が、伸縮シリンダチューブ31内に同心状に組み込まれたテレスコ形の多段シリンダである。当該構成によれば、伸縮シリンダチューブ31の長さを抑えながらピストンロッド32,33,34の段数を増やすことが容易であり、伸縮シリンダ30を容易に長尺化できる。伸縮シリンダ30は、各ピストンロッド32,33,34の突出により、図3において実線で示す短縮状態から二点鎖線で示す伸長状態になる。
【0021】
伸縮シリンダチューブ31、第1ピストンロッド32、第2ピストンロッド33および第3ピストンロッド34は、例えば、鋼製である。例示として、第1ピストンロッド32、第2ピストンロッド33および第3ピストンロッド34の各シリンダストロークは、約5mであり、伸縮シリンダ30の伸縮長さは、約15mである。また、例示として、伸縮シリンダチューブ31の内径は約170mmであり、第1ピストンロッド32の外径は約150mmであり、第1シリンダチューブ32bの内径は約100mmであり、第2ピストンロッド33の外径は約85mmであり、第2シリンダチューブ33bの内径は約50mmであり、第3ピストンロッド34の外径は約35mmである。
【0022】
伸縮シリンダ30には、図示しない液圧回路が接続されている。液圧回路は、ヘッド側配管、ロッド側配管、制御弁としての方向切換弁、ポンプおよびタンクなどを有する。方向切換弁にはポンプとタンクとが接続されて、ヘッド側配管とロッド側配管とが方向切換弁を介してポンプまたはタンクに選択的に接続される。すなわち、方向切換弁は、中立位置と、ヘッド側の切換位置と、ロッド側の切換位置とに切り換え可能となっている。中立位置では、ヘッド側配管およびロッド側配管を、ポンプにも接続せず、またタンクにも接続しない。ヘッド側の切換位置では、ヘッド側配管をポンプに接続するとともにロッド側配管をタンクに接続して、伸縮シリンダ30が延伸状態になる。ロッド側の切換位置では、ヘッド側配管をタンクに接続するとともにロッド側配管をポンプに接続して、伸縮シリンダ30が短縮状態になる。
【0023】
先端係合部26が被係合部60に係合するときに、伸縮シリンダ30が延伸状態にあるブリッジ体20が、大きな外力(例えば風力)を受けることによって、揺動したり、ねじれたりすることがある。このようなとき、伸縮シリンダ30への過大な負荷が作用することを防止するため、方向切換弁を中立位置にすることにより、ヘッド側配管およびロッド側配管がポンプ及びタンクから遮断される。したがって、液圧が解除された状態で、伸縮シリンダ30およびブリッジ体20の位置が維持される。これにより、大きな外力が作用しても、外力が緩衝されることによって、伸縮シリンダ30の破損を防止できる。
【0024】
図2において、ステージ10は、垂直軸支部13と、水平軸支部80と、垂直アクチュエータ17と、水平アクチュエータ70とを備える。
【0025】
ステージ10の下部に設けられた垂直軸支部13および垂直回動軸14によって、基端ブリッジ体21の基端部が垂直方向に回動可能に支持されている。基端ブリッジ体21の下部であって基端寄りの部分には、垂直支持部18が設けられている。基端ブリッジ体21の下部であって先端寄りの部分には、伸縮シリンダ支持部25(図1に図示)が設けられている。
【0026】
ステージ10の下部には、収納ボックス11が連設されている。収納ボックス11の中には、重量物である水平アクチュエータ70や液圧発生装置や電源などが収納されている。液圧発生装置は、垂直アクチュエータ17および伸縮アクチュエータ30を液圧で駆動するための制御弁やポンプやタンクを備える。重量物である液圧発生装置は、ステージ10における連絡ブリッジ1の反対側に配設されている。当該構成によれば、ブリッジ体20との重量バランスを取ることができ、ブリッジ体20の回動の安定化に寄与する。電源からは、伸縮アクチュエータ30、垂直アクチュエータ17および水平アクチュエータ70の各液圧発生装置や制御装置やリモコン受信部やセンサなどに対して電力が供給される。
【0027】
ステージ10には、連絡ブリッジ1の各種動作を制御する制御装置が、電気的に接続されている。制御装置を電気的に制御するためのボタン類を有する無線のリモコンが別途設けられている。作業員は、作業船2から連絡ブリッジ1に対面した状態で、無線のリモコンを操作することにより、連絡ブリッジ1の各種動作を制御できる。
【0028】
ステージ10における連絡ブリッジ1の反対側には、ステージ10の上り下りを行うための階段12が取り付けられている。当該構成によれば、ブリッジ体20との重量バランスを取ることができ、ブリッジ体20の回動の安定化に寄与する。階段12は、ステージ10と一体的に取り付けられているものの、プラットホーム9からは切り離されている。したがって、ステージ10は、階段12および収納ボックス11と一体的に水平方向に回動する。
【0029】
収納ボックス11の下部には、垂直回動シリンダ支持部15が設けられている。垂直回動シリンダ支持部15に挿通された垂直回動シリンダ支持軸16によって、垂直回動シリンダ17が、回動自在に支持されている。垂直回動シリンダ17の先端部は、垂直支持部18に接続されている。
【0030】
垂直回動シリンダ17は、垂直アクチュエータとして働き、液圧発生装置からの液圧(例えば油圧)によって駆動される。垂直回動シリンダ17により、ブリッジ体20は、例えば、水平方向に対して上方に約20度の角度で回動するとともに、水平方向に対して下方に約20度の角度で回動するように構成されている。
【0031】
垂直回動シリンダ17には、図示しない液圧回路が接続されている。液圧回路は、ヘッド側配管、ロッド側配管、制御弁としての方向切換弁、ポンプおよびタンクなどを有する。方向切換弁にはポンプとタンクとが接続されて、ヘッド側配管とロッド側配管とが方向切換弁を介してポンプまたはタンクに選択的に接続される。すなわち、方向切換弁は、中立位置と、ヘッド側の切換位置と、ロッド側の切換位置とに切り換え可能となっている。中立位置では、ヘッド側配管およびロッド側配管を、ポンプにも接続せず、またタンクにも接続しない。ヘッド側の切換位置では、ヘッド側配管をポンプに接続するとともにロッド側配管をタンクに接続して、垂直回動シリンダ17が延伸状態になる。ロッド側の切換位置では、ヘッド側配管をタンクに接続するとともにロッド側配管をポンプに接続して、垂直回動シリンダ17が短縮状態になる。
【0032】
先端係合部26が被係合部60に係合するときに、垂直回動シリンダ17が延伸状態にあるブリッジ体20が、大きな外力(例えば風力)を受けることによって、揺動したり、ねじれたりすることがある。このようなとき、垂直回動シリンダ17への過大な負荷が作用することを防止するため、方向切換弁を中立位置にすることにより、ヘッド側配管およびロッド側配管がポンプ及びタンクから遮断される。したがって、液圧が解除された状態で、垂直回動シリンダ17およびブリッジ体20の位置が維持される。これにより、大きな外力が作用しても、外力が緩衝されることによって、垂直回動シリンダ17の破損を防止できる。
【0033】
図2および図3を参照しながら、連絡ブリッジ1における水平アクチュエータ70を説明する。
【0034】
ブリッジ体20が連結されたステージ10を水平方向に回動させるために、水平アクチュエータ70が設けられている。水平アクチュエータ70は、複動式の水平回動シリンダ71と、水平軸支部80に取り付けられたピニオン86と、水平回動シリンダ71の水平回動シリンダチューブ74に設けられたラック85とを備える。当該構成によれば、水平回動シリンダ71の大きな駆動力を利用して、大きな負荷である連絡ブリッジ1を回動させることができる。
【0035】
水平軸支部80は、ステージ10に対向するプラットホーム9に対して一体的に(固定して)立設されている。水平軸支部80は、ステージ10の下部に取り付けられた収納ボックス11内に収容されるが、収納ボックス11とは別体である。水平軸支部80の軸方向中央部には、ラック85と噛合する小歯車であるピニオン86が、一体的に(固定して)取り付けられる。
【0036】
ステージ10および収納ボックス11は、上方の軸受部82および下方の軸受部83を介して、水平軸支部80に対して回動可能に支持される。上方の軸受部82は、例えば、アキシャル荷重を支持するスラスト軸受である。下方の軸受部83は、例えば、ラジアル玉軸受である。液圧発生装置は、収納ボックス11の内部において収納ボックス11の台部に固定される。ステージ10の底部すなわち収納ボックス11の下部には、コロ88が設けられる。当該構成によれば、ステージ10および収納ボックス11の水平方向の回動を円滑に行うことができる。コロ88は、水平回動軸81を挟んで、基端ブリッジ体21の側と基端ブリッジ体21の反対側にそれぞれ設けられる。
【0037】
水平回動シリンダ71は、2つの水平回動ピストンロッド72,72と、ラック85と、一側および他側の水平回動用液圧発生装置73,73とを備える。
【0038】
一側および他側の水平回動用液圧発生装置73,73は、収納ボックス11の内部に設けられた台部に固定されている。ラック85は、水平回動シリンダ71の側面において、一体的に(固定して)取り付けられる。ラック85は、直線状の歯車であり、ピニオン86と噛合する。
【0039】
ステージ10および収納ボックス11の側に設けられるラック85が、水平軸支部80の側に設けられるピニオン86に噛合するとともに、ステージ10および収納ボックス11が、水平軸支部80で回動可能に支持される。ラック85の直線運動は、ピニオン86の回転運動に変換されるが、ラック85の側が回動可能であり、ピニオン86の側が回動不可であるので、ラック85の側が回動する。したがって、ラック85の側であるステージ10および収納ボックス11が、水平回動軸81を中心にして回動する。
【0040】
水平回動シリンダ71、水平軸支部80、ピニオン86およびラック85は、水平アクチュエータ70として働く。ラック85は、水平回動用液圧発生装置73からの液圧(例えば油圧)によって直線駆動される。水平アクチュエータ70により、ステージ10およびブリッジ体20は、回動して、例えば、水平方向において約140度の角度で回動する。
【0041】
上記構成によれば、液圧で駆動される伸縮アクチュエータ30、垂直アクチュエータ17および水平アクチュエータ70により、重量があり長尺である連絡ブリッジ1を、素早く正確に動かすことができるので、作業員などを効率良く輸送できる。
【0042】
先端係合部26が被係合部60に係合するときに、水平回動シリンダ71が、大きな外力(例えば風力)を受けることによって、揺動したり、ねじれたりすることがある。このようなとき、水平回動シリンダ71への過大な負荷が作用することを防止するため、方向切換弁を中立位置にすることができる。したがって、水平回動シリンダ71における作動液の供給または排出が行われず、液圧が解除された状態で、水平回動シリンダ71およびブリッジ体20の位置が維持される。これにより、大きな外力が作用しても、外力が緩衝されることによって、水平回動シリンダ71の破損を防止できる。
【0043】
したがって、連絡ブリッジ1が一側水上物7および他側水上物2をつないでいるときには、伸縮シリンダ30、垂直回動シリンダ17および水平回動シリンダ71の各液圧が解除される。これにより、連絡ブリッジ1に作用する外力が緩衝されるので、伸縮シリンダ30、垂直回動シリンダ17および水平回動シリンダ71の破損を防止できる。
【0044】
〔第1実施形態に係る連結構造〕
図6から図11を参照しながら、第1実施形態に係る、連絡ブリッジ1の連結構造4を説明する。図6は、第1実施形態に係る連絡ブリッジ1の連結構造4を説明する図である。図7は、連絡ブリッジ1の連結構造4における被係合部60を示す側面図である。図8は、図7に示した被係合部60の平面図である。図9は、連絡ブリッジ1の連結構造4における先端係合部26を示す平面図である。図10は、図9に示した先端係合部26の側面図である。図11は、図10において○で囲った部分の断面図である。
【0045】
図6に示すように、連絡ブリッジ1の連結構造4は、先端係合部26と、被係合部60とを備える。先端係合部26は、第2可動ブリッジ体23の下部であって先端に配設される先端アーム41に対して、自在継手42を介して接続される。
【0046】
図9および図10に示すように、自在継手42は、互いに直交する第1軸43および第2軸44を有する。第1軸43は、先端アーム41に支持される。第2軸44には、垂直方向に延在する支持軸45が接続されている。したがって、先端アーム41に対する支持軸45の角度が自由に変化するので、先端係合部26が先端アーム41に対して揺動しながら支持される。これにより、先端係合部26は、水平方向および垂直方向における様々な角度での係合に対応できる。
【0047】
先端係合部26は、支持軸45と、スリーブ46と、磁性板50とを有する。支持軸45は、自在継手42に接続される。スリーブ46は、支持軸45を軸支する。磁性板50は、スリーブ46に接続される。磁性板50は、磁石にくっつく金属板、すなわち強磁性体の金属板であり、例えば、鉄や鉄を含む合金からなる円板である。磁性板50の径は、例えば、約0.5mである。
【0048】
図11に示すように、支持軸45およびスリーブ46の間には、無給油の摺動部材が配設される。ラジアルブッシュ47およびスラストブッシュ48が、無給油の摺動部材として働く。ラジアルブッシュ47およびスラストブッシュ48は、例えば、非磁性の黄銅に潤滑剤を含浸させたブッシュである。無給油の摺動部材として、オイレス工業のオイレスブッシュが例示される。これにより、磁性板50が支持軸45を中心にして円滑に回動する。上述した自在継手42と組み合わせることにより、先端係合部26は、水平方向、垂直方向および軸方向における様々な角度での係合に対応できる。
【0049】
図7および図8に示すように、被係合部60は、マグネットチャック台61と、フェンス63と、基台64と、切替レバー65と、切替軸66とを有する。図6に示すように、基台64は、作業船2の甲板3に取り付けられる。
【0050】
マグネットチャック台61は、円形平板のマグネットチャック面62を有し、マグネットチャック面62の径は、例えば約10mである。マグネットチャック台61は、磁極を逆向きにした複数の永久磁石をサンドイッチ状に並べるとともに、複数の永久磁石を同じ間隔で並んだ継鉄板を配置した構成を有する。継鉄板を横方向にスライド移動させると、磁力線の経路が変わる。
【0051】
磁力線が継鉄板から大回りになる経路を取る位置に継鉄板を移動させると、磁性板50が吸着可能になる吸着ON状態になる。このとき、磁性板50が、マグネットチャック台61のマグネットチャック面62に対して磁気的に吸着・固定される。すなわち、先端係合部26の磁性板50と、被係合部60のマグネットチャック台61とが、磁気的に連結される。
【0052】
磁力線が継鉄板のみの近道になる経路を取る位置に継鉄板を移動させると、磁性板50が吸着不可になる吸着OFF状態になる。切替レバー65は、切替軸66を介して、継鉄板をスライド移動させる。したがって、切替レバー65の操作により、磁性板50がマグネットチャック台61に吸着・固定するか否か(吸着ON状態または吸着OFF状態)をワンタッチで切替できる。切替レバー65の操作は、作業員による手動で、または、作業員のリモコン操作による遠隔動作で行われる。このような磁気的連結構造は、先端係合部26の磁性板50を被係合部60のマグネットチャック台61に対して係脱自在に連結させる。これにより、磁気的連結構造を係合状態と非係合状態とに簡単に切り替えることができる。
【0053】
上記磁気的連結構造は、マグネットチャック台61に永久磁石を用いているが、電磁石を用いることができる。電磁石への通電をON/OFFに切り替える操作により、磁性板50がマグネットチャック台61に吸着・固定するか否か(吸着ON状態または吸着OFF状態)をワンタッチで切替できる。
【0054】
被係合部60は、風力発電施設7(連絡ブリッジ1)の反対側において、フェンス63を有する。フェンス63は、マグネットチャック台61の外周部の約半分に設けられている。フェンス63は、切替レバー65の高さとほぼ等しい高さを有する。これにより、磁性板50をマグネットチャック台61に対して位置決めするとき、揺動する磁性板50が、周囲のもの(例えば、切替レバー65)に対して不用意に衝突することを防止できる。
【0055】
上記構成によれば、連絡ブリッジ1の連結構造4が、磁気的連結構造であって、機械的連結構造を有さないので、長期間にわたる安定した作動が可能になる。
【0056】
〔第2実施形態に係る連結構造〕
図12を参照しながら、第2実施形態に係る、連絡ブリッジ1の連結構造4を説明する。図12は、第2実施形態に係る、連絡ブリッジ1の連結構造4を説明する図である。
【0057】
図12に示すように、連絡ブリッジ1の連結構造4は、先端係合部26と、被係合部60とを備える。先端係合部26は、第2可動ブリッジ体23の下部であって先端側に位置する先端アーム41に対して、自在継手42を介して接続される。
【0058】
先端係合部26は、当接板55と、突出部57と、センサ58とを有する。当接板55は、自在継手42に接続され、例えば円板である。当接板55は、剛性を有する金属材料、例えば、鉄や鉄を含む合金からなる。突出部57は、当接板55に接続される。突出部57は、当接板55に対して直交するように垂直方向の下向きに延在する。突出部57の突出長さは、後述する被係合部60の係合凹部69に対して安定して係合するように寸法構成されており、例えば、約0.5mである。突出部57は、円柱状またはパイプ形状を有する。突出部57は、自在継手42によって鉛直方向下向きに延在するように支持される。突出部57の外径は、例えば、約0.1mである。突出部57は、剛性を有する金属材料、例えば、鉄や鉄を含む合金からなる。
【0059】
被係合部60は、係合台67と、ガイド凹部68と、係合凹部69とを有する。係合台67は、作業船2の甲板3に取り付けられる。係合台67は、剛性を有する金属材料、例えば、鉄や鉄を含む合金からなる。
【0060】
係合凹部69は、係合台67に形成された円筒状の凹部である。係合凹部69は、突出部57の外径よりも大きい内径と、突出部57の突出長さよりも大きな深さを有する。すなわち、係合凹部69は、突出部57を係脱自在とする内径および深さを有して、例えば、突出部57よりも約1cm大きく寸法構成されている。
【0061】
突出部57が鉛直方向下向きに位置すると突出部57が係合凹部69から容易に抜け出るが、突出部57が鉛直方向からずれた位置にあると係合凹部69から容易に抜け出ることができないように、係合凹部69が構成されている。突出部57を鉛直方向下向きに動かすと、突出部57が係合凹部69に挿入され、突出部57が係合凹部69に対して形状的に係合する。これにより、突出部57および係合凹部69の間には、形状的連結構造が形成される。突出部57を鉛直方向上向きに動かすと、突出部57が係合凹部69から容易に抜け出て、係合が解除される。当該形状的連結構造は、先端係合部26の突出部57を被係合部60の係合凹部69に対して係脱自在に連結させる。これにより、形状的連結構造を係合状態と非係合状態とに簡単に切り替えることができる。
【0062】
係合凹部69の上部には、係合凹部69よりも拡径した凹状のガイド凹部68が形成される。ガイド凹部68は、上から見て円形のガイド開口68aを有する。ガイド凹部68の径は、係合凹部69からガイド開口68aに向けて徐々に大きくなっている。したがって、係合台67に形成されたガイド凹部68および係合凹部69により、ロート形状の凹部が形成される。これにより、係合凹部69に対する突出部57の位置ズレが発生しても、突出部57が、ガイド凹部68によって係合凹部69にガイドされて、係合凹部69の中に適切に挿入される。そして、突出部57が、係合凹部69と係合する。
【0063】
係合台67の上面に位置する被当接面67aに対して当接板55が当接すると、突出部57が係合凹部69に係合するように構成されている。当接板55の下面には、センサ58が配設されている。センサ58によって、当接板55が係合台67に当接したか否かが検知される。センサ58として、リミットスイッチやマイクロスイッチなどの接触型のセンサに加えて、誘導式や静電容量式や磁気式の近接センサや反射式のマイクロフォトセンサなどの非接触型のセンサが例示される。
【0064】
上記構成によれば、連絡ブリッジ1の連結構造4が、形状的連結構造であって、機械的連結構造を有さないので、長期間にわたる安定した作動が可能になる。
【0065】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【0066】
上記実施形態では、例示として、一側水上物7が海洋上に位置する風力発電施設7であり、前記他側水上物2が海洋上に位置する作業船2である。これにより、連絡ブリッジ1の連結構造4は、腐食や錆が発生する過酷な環境下でも、確実に作動できる。
【0067】
また、この発明は、海洋上での離島、大きな河川や湖での中の島に固設される風力発電施設7や灯台や送電鉄塔、原油や天然ガスを掘削するために海底SBに立設される掘削リグ、海洋や大きな河川や湖で浮遊する浮体式の灯台などのタワー型の水上構造物にも適用できる。したがって、一側水上物が固定式または浮体式の構造物であるとともに他側水上物が浮体物であるので、一側水上物および他側水上物の少なくとも一方が、水上に浮かぶ浮体物である。これにより、連絡ブリッジ1の連結構造4は、不安定な浮体物を含む場合でも確実に作動できる。
【0068】
点検やメンテナンスに関係の無い人が一側水上物7に容易にアクセスできないように、連絡ブリッジ1は、海面SLから非常に高い位置(例えば、約15mの高さ)にあるプラットホーム9に設置されることが好ましいが、人間の背丈の数倍程度の高さに設置してもよい。
【0069】
突出部57は、大略円錐台形状をしているテーパー形状にすることができる。すなわち、突出部57は、正面視で円形状をしているとともに、断面視で係合凹部69に向けて先細の台形状にすることができる。また、係合凹部69は、正面視で円形状をしているとともに、断面視で甲板3に向けて先細で有底のテーパー形状(台形状)にすることができる。
【0070】
テーパー形状をした突出部57が、鉛直方向下向きに動かされると、テーパー形状の係合凹部69と容易に係合する。このとき、突出部57の外周面が、係合凹部69の内周面に対して周面状に密着して係合する。したがって、係合凹部69に挿入された突出部57が係合凹部69に対して形状的に係合することにより、突出部57および係合凹部69の間には、形状的連結構造が形成される。テーパー形状の突出部57が、鉛直方向上向きに動かされると、テーパー形状の係合凹部69との係合が容易に解除される。当該形状的連結構造は、先端係合部26の突出部57を被係合部60の係合凹部69に対して係脱自在に連結させる。これにより、形状的連結構造を係合状態と非係合状態とに簡単に切り替えることができる。
【0071】
第2可動ブリッジ体23の先端側には、作業員が上り下りを行うための階段を着脱可能に取り付けることもできる。
【0072】
連絡ブリッジ1が作業船2(他側水上物)の側に配設されるとともに、連絡ブリッジ1の先端係合部26と係合する被係合部60が、風力発電施設7(一側水上物)の側に配設される態様であってもよい。
【0073】
この発明および実施形態をまとめると、次のようになる。
【0074】
この発明の一態様に係る連絡ブリッジ1の連結構造4は、
水上に位置する一側水上物7および他側水上物2をつなぐ連絡ブリッジ1の連結構造4であって、
前記連絡ブリッジ1は、前記一側水上物7に配設されるとともに、伸縮自在のブリッジ体20と、前記ブリッジ体20を伸縮させる伸縮アクチュエータ30と、前記ブリッジ体20を垂直方向に回動させる垂直アクチュエータ17と、前記ブリッジ体20を水平方向に回動させる水平アクチュエータ70と、前記ブリッジ体20の先端に配設される先端係合部26とを有し、
前記他側水上物2には、前記先端係合部26に係合する被係合部60が配設されて、
前記連結構造4は、前記先端係合部26を前記被係合部60に対して係脱自在に連結させる構成を有し、
前記連結構造4が、磁気的連結構造または形状的連結構造であることを特徴とする。
【0075】
上記構成によれば、連絡ブリッジ1の連結構造4が、機械的連結構造を有さないので、長期間にわたる安定した作動が可能になる。
【0076】
また、一実施形態の連絡ブリッジ1の連結構造4では、
前記磁気的連結構造として、前記先端係合部26が磁性板50を有するとともに、前記被係合部60がマグネットチャック台61を有する。
【0077】
上記実施形態によれば、磁気的連結構造を係合状態と非係合状態とに簡単に切り替えることができる。
【0078】
また、一実施形態の連絡ブリッジ1の連結構造4では、
前記マグネットチャック台61が、前記一側水上物7の反対側において、フェンス63を有する。
【0079】
上記実施形態によれば、磁性板50をマグネットチャック台61に対して位置決めするとき、揺動する磁性板50が、周囲のものに対して不用意に衝突することを防止できる。
【0080】
また、一実施形態の連絡ブリッジ1の連結構造4では、
前記先端係合部26が、前記ブリッジ体20の前記先端に設けられる自在継手42に接続される支持軸45と、前記支持軸45を軸支するとともに前記磁性板50が接続されるスリーブ46とを有し、前記支持軸45および前記スリーブ46の間には無給油の摺動部材47,48が配設される。
【0081】
上記実施形態によれば、先端係合部26は、水平方向、垂直方向および軸方向における様々な角度での係合に対応できる。
【0082】
また、一実施形態の連絡ブリッジ1の連結構造4では、
前記形状的連結構造として、前記先端係合部26が垂直方向に延在する突出部57を有するとともに、前記被係合部60が前記突出部57と係合する係合凹部69を有する。
【0083】
上記実施形態によれば、形状的連結構造を係合状態と非係合状態とに簡単に切り替えることができる。
【0084】
また、一実施形態の連絡ブリッジ1の連結構造4では、
前記係合凹部69の上部には、前記係合凹部69よりも拡径したガイド凹部68が形成される。
【0085】
上記実施形態によれば、係合凹部69に対する突出部57の位置ズレが発生しても、突出部57が、ガイド凹部68によって係合凹部69にガイドされて、係合凹部69の中に適切に挿入される。
【0086】
また、一実施形態の連絡ブリッジ1の連結構造4では、
前記伸縮アクチュエータ30、前記垂直アクチュエータ17および前記水平アクチュエータ70が、液圧で駆動される。
【0087】
上記実施形態によれば、重量があり長尺である連絡ブリッジ1を、素早く正確に動かすことができるので、作業員などを効率良く輸送できる。
【0088】
また、一実施形態の連絡ブリッジ1の連結構造4では、
前記連絡ブリッジ1が前記一側水上物7および前記他側水上物2をつないでいるときには、前記液圧が解除される。
【0089】
上記実施形態によれば、連絡ブリッジ1に作用する外力が緩衝されるので、伸縮シリンダ30、垂直回動シリンダ17および水平回動シリンダ71の破損を防止できる。
【0090】
また、一実施形態の連絡ブリッジ1の連結構造4では、
前記一側水上物7および前記他側水上物2の少なくとも一方が、前記水上に浮かぶ浮体物である。
【0091】
上記実施形態によれば、連絡ブリッジ1の連結構造4は、不安定な浮体物を含む場合でも確実に作動できる。
【0092】
また、一実施形態の連絡ブリッジ1の連結構造4では、
前記連絡ブリッジ1がアクセス不可の高さに配置される。
【0093】
上記実施形態によれば、一側水上物7の点検やメンテナンスに関係の無い人がアクセスすることを防止できる。
【0094】
また、一実施形態の連絡ブリッジ1の連結構造4では、
前記一側水上物7が海洋上に位置する風力発電施設7であり、前記他側水上物2が海洋上に位置する作業船2である。
【0095】
上記実施形態によれば、連絡ブリッジ1の連結構造4は、腐食や錆が発生する過酷な環境下でも、確実に作動できる。
【符号の説明】
【0096】
1…連絡ブリッジ
2…作業船(他側水上物)
3…甲板
4…連結構造
7…風力発電施設(一側水上物)
8…基礎支持体
9…プラットホーム
10…ステージ
11…収納ボックス
12…階段
13…垂直軸支部
14…垂直回動軸
15…垂直回動シリンダ支持部
16…垂直回動シリンダ支持軸
17…垂直回動シリンダ(垂直アクチュエータ)
18…垂直支持部
20…ブリッジ体
21…基端ブリッジ体
22…第1可動ブリッジ体(可動ブリッジ体)
23…第2可動ブリッジ体(可動ブリッジ体)
25…伸縮シリンダ支持部
26…先端係合部
28…シリンダ先端支持部
30…伸縮シリンダ(伸縮アクチュエータ)
31…伸縮シリンダチューブ
32…第1ピストンロッド
33…第2ピストンロッド
34…第3ピストンロッド
35…ロックシリンダ
36…ストッパ受け凹部
41…先端アーム
42…自在継手
43…第1軸
44…第2軸
45…支持軸
46…スリーブ
47…ラジアルブッシュ(無給油の摺動部材)
48…スラストブッシュ(無給油の摺動部材)
50…磁性板
51…係着面
55…当接板
57…突出部
58…センサ
60…被係合部
61…マグネットチャック台
62…マグネットチャック面
63…フェンス
64…基台
65…切替レバー
66…切替軸
67…係合台
67a…被当接面
68…ガイド凹部
68a…ガイド開口
69…係合凹部(被係合部)
70…水平アクチュエータ
71…水平回動シリンダ
72…水平回動ピストンロッド
73…水平回動用液圧発生装置
80…水平軸支部
81…水平回動軸
82…軸受部
83…軸受部
85…ラック
86…ピニオン
88…コロ
SB…海底
SL…海面
【要約】
【課題】水上に位置する一側水上物および他側水上物の間をつなぐ連絡ブリッジにおいて、長期間にわたって安定して作動する連結構造を提供する。
【解決手段】水上に位置する一側水上物7および他側水上物2をつなぐ連絡ブリッジ1の連結構造4であって、連絡ブリッジは、一側水上物に配設されるとともに、伸縮自在のブリッジ体20と、ブリッジ体を伸縮させる伸縮アクチュエータ30と、ブリッジ体を垂直方向に回動させる垂直アクチュエータ17と、ブリッジ体を水平方向に回動させる水平アクチュエータ70と、ブリッジ体の先端に配設される先端係合部26とを有し、他側水上物には、先端係合部に係合する被係合部60が配設されて、連結構造は、先端係合部を被係合部に対して係脱自在に連結させる構成を有し、連結構造が、磁気的連結構造または形状的連結構造である。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12