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特許70089982層駆動干渉コーディネーションに基づく映像実況放送システム及びその実現方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】2層駆動干渉コーディネーションに基づく映像実況放送システム及びその実現方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/16 20090101AFI20220118BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20220118BHJP
   H04W 72/08 20090101ALI20220118BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20220118BHJP
【FI】
H04W16/16
H04W24/10
H04W72/08 110
H04W72/04 132
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020523813
(86)(22)【出願日】2018-10-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-07
(86)【国際出願番号】 CN2018111789
(87)【国際公開番号】W WO2020024459
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2020-04-27
(31)【優先権主張番号】201810860186.6
(32)【優先日】2018-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518371489
【氏名又は名称】南京郵電大学
【氏名又は名称原語表記】NANJING UNIVERSITY OF POSTS AND TELECOMMUNICATIONS
【住所又は居所原語表記】No.66 Xin Mofan Road, Gulou Nanjing, Jiangsu 210003 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】田 峰
(72)【発明者】
【氏名】凌 海涛
(72)【発明者】
【氏名】李 大鵬
(72)【発明者】
【氏名】黄 波
(72)【発明者】
【氏名】陳 建新
(72)【発明者】
【氏名】周 亮
(72)【発明者】
【氏名】楊 震
【審査官】齋藤 浩兵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/161281(WO,A1)
【文献】特開2007-300419(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103763043(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102739325(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2層駆動干渉コーディネーションに基づく映像実況放送実現方法であって、
感知ノードが付近の無線環境のスペクトル情報を周期的に収集して、最新のデータ情報を情報融合センターFCに送信するステップであって、情報を送信する前に、送信データを該当のデータフォーマットに従ってカプセル化するステップ1と、
情報融合センターFCが感知データを受け取った後、融合戦略を用いて、使用可能スペクトルリソースリストを得て、アクセスをリクエストしたユーザが有ると、情報融合センターFCが、該当のスペクトルリソースを割り当ててユーザ及びホーム基地局FAPによる使用に供し、もし適切な使用可能リソースがなければ、その旨のメッセージをホーム基地局FAPに返して該ユーザのリクエストをサービス待ちキューに入れ、空きリソースが出たら、サービス待ちキュー内のユーザに優先的にリソースを割り当て、リソースの割当と同時に、情報融合センターFCがスペクトル使用状況を記録し、ユーザが次回にアクセスをリクエストした際、ユーザの重複したネットワークアクセス又はスペクトルリソースの重複した使用が回避されるように使用記録を対比するステップ2と、
ユーザがスペクトルリソースを占有すると同時に該当のユーザ体感品質パラメータをフィードバックする必要があり、その後、ユーザ体感品質QoEを監視及び分析することで、スペクトルリソースを再割当するかを決定し、もしユーザ体感品質QoEがサービス需要よりも低ければ、情報融合センターFCが、使用可能なスペクトルリソースをユーザ及び該当のホーム基地局FAPに再割当するステップ3と、
サービス終了後、情報融合センターFCが該当のスペクトルリソースを解放するステップ4と、を含む
ことを特徴とする2層駆動干渉コーディネーションに基づく映像実況放送実現方法。
【請求項2】
上記ステップ2における融合戦略の具体的な過程としては、情報融合センターFCが各感知ノードから送られたデータを受け取ると、まず全てのデータに対してサンプリング処理を行い、サンプリングレートをMとし、サンプリング処理が完了した後、異なる感知ノードの同一周波数帯域の能力検出データについて平均Kを取り、iは、異なる感知ノードを表し、下記の硬判定式によってスペクトルが空いているかを判断し、

Nは、感知ノードの数であり、H及びHは、それぞれ空きリソース及び非空きリソースを判断する硬判定閾値であり、Fは、判定結果を表し、
判定結果F=0の場合、該スペクトルリソースは、空きリソースであり、判定結果F=1の場合、該スペクトルリソースは、非空きリソースであり、判定結果F=2の場合、該スペクトルリソースは、正確に判断できないリソースとなり、二次判定を行い、
二次判定が投票メカニズムによって行われ、即ち、全てのK<H又はK>Hの数を統計し、感知ノードの投票数が半分を超えると、それを空き又は非空きリソースであると判定し、二次判定を経ても結果となるリソースが得られない場合、当意思決定ラウンドでそれを破棄し、次の新しい意思決定ラウンドの開始まで待って判定を再び行う
ことを特徴とする請求項に記載の2層駆動干渉コーディネーションに基づく映像実況放送実現方法。
【請求項3】
上記ステップ2における融合戦略がシステム内にて該当の周期で実行され、融合戦略の実行周期が、調整可能なパラメータとして設定され、後続のデバッグ及び使用中に、リアルタイムに変更され、融合戦略の理論的な時間オーバーヘッドは、O(n)である
ことを特徴とする請求項に記載の2層駆動干渉コーディネーションに基づく映像実況放送実現方法。
【請求項4】
上記ステップ3におけるスペクトルリソースを再割当する過程は、リソース最適化段階となり、具体的な操作方式として、
まずユーザ体感品質QoEの検出を監視及び分析し、もしユーザ体感品質がプリセット閾値よりも低ければ、情報融合センターFCが、リソースの割当時に保存したユーザリソース対応表を参照して、Aタイプのイベント又はBタイプのイベントが発生したかを判別し、Aタイプのイベントが発生した場合、ホーム基地局FAPのサービス範囲内で、2つの通信リンクが互に干渉して、ユーザ体感品質QoEが低下していることを示すため、情報融合センターFCが、チャネル占有時間が短い方のユーザにリソースを再割当し、Bタイプのイベントが発生した場合、このユーザに占有されるチャネルが、マクロセル基地局、マクロセルユーザ又は他の干渉を受けて、ユーザ体感品質QoEが低下していることを示すため、情報融合センターFCが、ユーザにスペクトルリソースを再割当し、
上述したAタイプのイベント及びBタイプのイベントは、それぞれ、異なる干渉状況を表しており、Aタイプのイベントは、異なるホーム基地局FAPとユーザとの間の通信による相互の干渉を指し、Bタイプのイベントは、マクロ基地局及びマクロ基地局のユーザの通信によるチャネル占有又は強い干渉に起因して、ホーム基地局FAPのユーザが干渉を受ける状況を指す
ことを特徴とする請求項に記載の2層駆動干渉コーディネーションに基づく映像実況放送実現方法。
【請求項5】
請求項1-4のいずれか一項に記載の2層駆動干渉コーディネーションに基づく映像実況放送実現方法を用いる2層駆動干渉コーディネーションに基づく映像実況放送システムであって、いくつかのユーザモジュール、ホーム基地局FAP、情報融合センターFC、及び、ユーザに対応する感知ノードを含み、
上記ユーザモジュールは、具体的には、ユーザに使用されるスマートモバイルデバイスを指し、且つデータ送受信機能を持ち、
上記ホーム基地局FAPは、ネットワークアクセスを提供するものであり、ユーザは、ホーム基地局FAPを通じてネットワークにアクセスし、ホーム基地局FAPとユーザとの間は、無線通信を採用し、ホーム基地局FAPと情報融合センターFCとの間は、有線通信を採用し、
上記感知ノードは、付近の無線環境情報を感知して、感知された情報を保存すると同時に、データを情報融合センターFCに送信する機能ノードであり、感知ノードと情報融合センターFCとの間は、有線接続方式を採用してデータ交換し、
上記情報融合センターFCは、サービス範囲内の全てのホーム基地局、感知ノード、及び、感知ノードにより収集された無線環境情報を統合管理するものであり、無線環境データ情報を分析することで、サービスを提供可能なスペクトルリソース、及び、サービスを提供不能なスペクトルリソースを得て、もしスペクトルリソースの使用が必要となるユーザが有ると、情報融合センターFCは、サービスを提供可能なスペクトルリソースの中から、該当のリソースを選別して割り当ててホーム基地局FAP及びユーザによる使用に供する
ことを特徴とする2層駆動干渉コーディネーションに基づく映像実況放送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトウェア無線情報伝送技術に属し、具体的に、2層駆動干渉コーディネーションに基づく映像実況放送システム及びその実現方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映像実況放送は、最も流行っているマルチメディア形式である。映像実況放送と従来の映像伝送との区別として、映像実況放送には、高いリアルタイム性が必要とされており、完全な映像リソースをダウンロードし終えてから後(オフラインで)再生するのではなく、ダウンロードしながら再生する(ダウンロードすると同時に再生する)オンラインマルチメディア伝送になっている。そのため、映像実況放送では、高速度、低遅延及び低ビット誤り率のブロードバンド伝送環境を伝送ネットワークによって提供できることが必要となる。しかし、携帯電話等のモバイルクライアントで映像実況放送を視聴する若者がますます多くなっている中、様々な干渉による影響を受けることがよくある。このような伝送環境では、多くの場合、映像実況放送に必要な高性能伝送要求を満たすことが困難である。したがって、伝送干渉の問題は、有効に解決しなければならない。
【0003】
コグニティブ無線技術は、時間及び空間的に空きスペクトルを十分に活用して、干渉コーディネーションを実現することにより、伝送中に干渉が発生する可能性を低減する。コグニティブ無線は、スマートなスペクトル共有技術であり、周囲の無線環境を感知し、環境データに対する分析を通じて、要求を満たすスペクトルを得ることができ、更に、スペクトルリソースの合理的な利用を実現している。そのため、複雑な伝送環境では、コグニティブ無線技術を用いて、映像実況放送のための空きスペクトルを選択すれば、伝送干渉の問題を有効に解決することができる。
【0004】
ユーザ体感品質(Quality of Experience、QoE)とは、デバイス、ネットワーク及びシステム、アプリケーションや業務の品質及び性能に対するユーザの主観的な体験を指し、ユーザが感じた過程全体の完了難易度である。映像実況放送のリアルタイム性のため、測定されたパラメータの一部は、ユーザが映像実況放送を利用する際のQoE、及び、映像実況放送が強い干渉を受けているかを、ある程度で反映することができる。
【0005】
ソフトウェア無線技術(Software Defined Radio、SDR)は、コグニティブ無線等の通信技術の研究及びテストによく使用される技術手段の1つである。ソフトウェア無線技術とは、汎用、標準及びモジュール化で且つ固定不変のハードウェアプラットフォームを採用して、様々な無線通信機能(例えば、動作周波数帯域、変復調タイプ、データフォーマット、通信プロトコル等)をソフトウェアプログラミング方式で実現すること、及び、柔軟で多様な通信体制及び通信機能の無線システムをソフトウェアのリファクタリングで実現することを指す。USRP RIOは、近年の比較的に成熟したソフトウェア無線プラットフォームの1つであり、同じタイプの他の機器に比べて、良好なハードウェア処理能力、便利な操作、可視化グラフィック言語といった利点を持つとともに、その調整可能なハードウェアパラメータがより広く、数値がより精確である。
【0006】
ホーム基地局は、小型基地局に似た物理デバイスであり、モバイル通信信号のカバレッジを拡張するために用いられることが多い。ホーム基地局を屋内に置いて有効にすれば、ユーザは、屋内でも高品質の信号を受信することができる。しかし、ホーム基地局の導入後、ホーム基地局と基地局の動作環境には、マクロセル基地局とホーム基地局との間の干渉、マクロセル基地局とホーム基地局のユーザとの間の干渉、マクロセルユーザとホーム基地局との間の干渉、マクロセルのユーザとホーム基地局のユーザとの間の干渉、及び、ホーム基地局とホーム基地局との間の干渉といった新しい干渉が現れている。これらの干渉は、正常に動作しているホーム基地局に深刻な影響を与えてしまう。
【0007】
つまり、コグニティブ無線技術を使用した後の従来の干渉コーディネーションは、通常、感知精確度及び感知正確率を如何に向上させる研究に限られている。しかし、エラーの発生を感知して意図しないチャネルスペクトルリソースを使用することに起因して、通信サービスの品質が低下してしまうと、従来の方法では、エラーをタイムリーに修正することができない。映像実況放送といったサービスにとっては、このようのエラーが発生すると、映像実況放送が影響を受け、最悪の場合、映像実況放送のデータストリームが中断されてしまう。
【0008】
従って、本発明者らは、USRP RIOソフトウェア無線プラットフォームに基づいて構築したホーム基地局システム用のテスト環境を通じて、2層駆動干渉コーディネーションに基づく映像実況放送の技術性能を検証すると考えている。
【発明の概要】
【0009】
発明の目的:本発明の目的は、従来技術に存在している欠点を解決した2層駆動干渉コーディネーションに基づく映像実況放送システム及びその実現方法を提供することにあり、本発明は、USRP RIOソフトウェア無線プラットフォームを実験プラットフォームとして使用し、ホーム基地局を構築して2層駆動干渉コーディネーションの映像実況放送の技術性能をテスト及び検証するものであり、映像実況放送の前に、コグニティブ無線技術を用いて物理層でスペクトルエネルギーを検出し、異なる感知ノードから提供された同一スペクトルのデータを分析してスペクトル状態を識別し、干渉を避け、次に、映像実況放送中に、QoE性能により判別してスペクトルリソースの再割当を決定し、クロスレイヤー干渉コーディネーションを通じて、無干渉及び低ビット誤り率の効果を達成し、最終的に、低遅延、高速度の映像実況放送を得る。
【0010】
技術案:本発明に係る2層駆動干渉コーディネーションに基づく映像実況放送システムは、いくつかのユーザモジュール、ホーム基地局FAP、情報融合センターFC、及び、ユーザに対応する感知ノードを含み、上記ユーザモジュールは、具体的には、ユーザに使用されるスマートモバイルデバイス(例えば携帯電話及びIPad等)を指し、且つデータ送受信機能を持ち、上記ホーム基地局FAPは、限られた範囲内で、ネットワークアクセス機能を提供するものであり、ユーザは、FAPを通じてネットワークにアクセスし、低遅延、高速度の無線ネットワークサービスを得て、ホーム基地局FAPとユーザとの間は、無線通信を採用し、ホーム基地局FAPと情報融合センターFCとの間は、有線通信を採用し、有線通信は、両者の間の通信の高効率及び無干渉を保証可能であり、上記感知ノードは、付近の無線環境情報を感知して、感知された情報を保存する機能ノードであり、データを送信する機能も持ち、感知ノードと情報融合センターFCとの間は、有線接続方式を採用してデータ交換し、上記情報融合センターFCは、サービス範囲内の全てのホーム基地局、感知ノード、及び、感知ノードにより収集された無線環境情報を統合管理するものであり、無線環境データ情報を分析することで、サービスを提供可能なスペクトルリソース、及び、サービスを提供不能なスペクトルリソースを得て、もしスペクトルリソースの使用が必要となるユーザが有ると、情報融合センターFCは、サービスを提供可能なスペクトルリソースの中から、該当のリソースを選別して割り当ててホーム基地局FAP及びユーザによる使用に供する。上記のように無線リソースを集中管理することで、干渉コーディネーションが有効に行われる。
【0011】
感知ノードは、付近の無線環境情報を感知して、感知された情報を保存する機能ノードを指す。
【0012】
本発明は、2層駆動干渉コーディネーションに基づく映像実況放送実現方法を更に開示しており、この映像実況放送実現方法は、ステップ1~4を含む。
ステップ1は、感知ノードが付近の無線環境のスペクトル情報を周期的に収集して、最新のデータ情報を情報融合センターFCに送信するステップであり、感知ノードの数が多く、スペクトル情報の感知のスパンが大きいため、情報を送信する前に、送信データを該当のデータフォーマットに従ってカプセル化する必要がある。
ステップ2は、情報融合センターFCが感知データを受け取った後、融合戦略を用いて、使用可能スペクトルリソースリストを得て、アクセスをリクエストしたユーザが有ると、情報融合センターFCが、該当のスペクトルリソース(例えば空きスペクトル、即ち良好な通信品質を提供可能なスペクトル)を割り当ててユーザ及びホーム基地局FAPによる使用に供し、もし適切な使用可能リソースがなければ、その旨のメッセージをホーム基地局FAPに返して該ユーザのリクエストをサービス待ちキューに入れ、空きリソースが出たら、サービス待ちキュー内のユーザに優先的にリソースを割り当て、リソースの割当と同時に、情報融合センターFCがスペクトル使用状況を記録し、ユーザが次回にアクセスをリクエストした時に、ユーザの重複したネットワークアクセス又はスペクトルリソースの重複した使用が回避されるように使用記録を対比するステップである。
ステップ3は、ユーザがスペクトルリソースを占有すると同時に、一連のユーザ体感品質パラメータ(例えば、ビット誤り率や速度等)をフィードバックする必要があり、その後、これらのユーザ体感品質QoEを監視及び分析することで、スペクトルリソースを再割当するかを決定し、もしユーザ体感品質QoEがサービス需要よりも低ければ、情報融合センターFCが、使用可能なスペクトルリソースをユーザ及び該当のホーム基地局FAPに再割当するステップである。
ステップ4は、サービス終了後、情報融合センターFCが該当のリソースを解放するステップである。
【0013】
上記の2層駆動干渉コーディネーションに基づく映像実況放送実現方法では、映像実況放送を行う前に、物理層でコグニティブ無線技術を用いて空きチャネルを選択してデータ伝送を行い、周囲の無線環境を感知することで無線環境内のスペクトルデータを収集し、同一スペクトルの異なる感知ノードにより感知されたスペクトルエネルギーデータを分析して、空きチャネルを選択して映像実況放送のデータ伝送を行い、映像実況放送中に、アプリケーション層でQoE性能を周期的に検出し、QoE性能がプリセット値よりも低くなったら、新しいスペクトルリソースを再割当して、ユーザが通信サービスの使用中に干渉の影響を受けないことを保証し、情報伝送の安定性を向上させ、映像の品質及び映像実況放送のスムーズさを保証する。
【0014】
従って、ステップ3において、QoE性能を周期的に検出して判別する必要があり、こうすれば、類似な感知エラーをタイムリーに見つけ、候補となる残りの空きチャネルを選択してデータ通信を行うことができる。
【0015】
さらに、上記ステップ2における融合戦略の具体的な過程としては、
情報融合センターFCが各感知ノードから送られたデータを受け取ると、まず全てのデータに対してサンプリング処理を行い、サンプリングレートをMとし(Mの大小は、システム性能によって決まる)、サンプリング処理が完了した後、異なる感知ノードの同一周波数帯域の能力検出データについて平均Kを取り、iは、異なる感知ノードを表し、下記の硬判定式によってスペクトルが空いているかを判断し、
Nは、感知ノードの数であり、H及びHは、それぞれ空きリソース及び非空きリソースを判断する硬判定閾値であり、Fは、判定結果を表し、
判定結果F=0の場合、該スペクトルリソースは、空きリソースであり、判定結果F=1の場合、該スペクトルリソースは、非空きリソースであり、判定結果F=2の場合、該スペクトルリソースは、正確に判断できないリソースとなり、二次判定を行い、
二次判定方式について、投票メカニズムが採用され、即ち、全てのK<H又はK>Hの数を統計し、感知ノードの投票数が半分を超える(即ち、全ての感知ノードから提交されたデータのうち、半分以上のノードデータが空き又は非空きとされる)と、それを空き又は非空きリソースであると判定し、二次判定を経ても結果となるリソースが得られない場合、当意思決定ラウンドでそれを破棄し、次の新しい意思決定ラウンドの開始まで待って判定を再び行う。
【0016】
さらに、上記ステップ2における融合戦略がシステム内dにて一定の時間周期で実行され、且つ該時間周期がシステム感知機能の優劣と密接に関連しており、融合戦略の実行周期が、調整可能なパラメータとして設定され、後続のデバッグ及び使用中に、リアルタイムに変更され、融合戦略の理論的な時間オーバーヘッドは、O(n)であり、そのため、サイクル周期の設定は、融合過程が完了できることを保証すればよい。
【0017】
さらに、上記ステップ3におけるスペクトルリソースを再割当する過程は、リソース最適化段階となり、具体的な操作方式として、まずユーザ体感品質QoEの検出を監視及び分析し、もしユーザ体感品質がプリセット閾値よりも低ければ(ここで、閾値は、ユーザが使用する具体的サービスによって決まり、例えば、閾値を0に設定してもよく、即ち、ビット誤りが有ったら、スペクトルリソースが不良であるとし、新しいスペクトルリソースに取り換える必要がある)、情報融合センターFCが、リソースの割当時に保存したユーザリソース対応表を参照して、Aタイプのイベント又はBタイプのイベントが発生したかを判別し、Aタイプのイベントが発生した場合、ホーム基地局FAPのサービス範囲内で、2つの通信リンクが互に干渉して、ユーザ体感品質QoEが低下していることを示すため、情報融合センターFCが、チャネル占有時間が短い方のユーザにリソースを再割当し、Bタイプのイベントが発生した場合、このユーザに占有されるチャネルが、マクロセル基地局、マクロセルユーザ又は他の干渉を受けて、ユーザ体感品質QoEが低下していることを示すため、情報融合センターFCが、ユーザにスペクトルリソースを再割当し、上述したAタイプのイベント及びBタイプのイベントは、それぞれ、異なる干渉状況を表しており、Aタイプのイベントは、異なるホーム基地局FAPとユーザとの間の通信による相互の干渉を指し、Bタイプのイベントは、マクロ基地局及びマクロ基地局のユーザの通信によるチャネル占有又は強い干渉に起因して、ホーム基地局FAPのユーザが干渉を受ける状況を指す。
【0018】
有益な効果:本発明は、屋内環境に好適に使用され、USRP RIOプラットフォーム及びLabViewを用いて一連のシステム設計及び実験を行い、本技術案が屋内環境で無損失の映像実況放送を実現するとともにスペクトルリソースを活用し、スペクトル利用率を向上させ、干渉コーディネーションを最適化することができることを有効に検証した。具体的には、以下の利点がある。
【0019】
(1)無干渉、低ビット誤り率の映像実況放送を実現した。2層駆動干渉コーディネーション技術は、物理層及びアプリケーション層の両方にクロスレイヤーの干渉コーディネーションを実現している。映像実況放送を行う前に、スペクトルチャネルを選別して、無干渉のチャネルを選んでデータ通信を行い、映像実況放送中に、QoE性能を周期的に検出し、QoEが深刻に低下した場合、スペクトルリソースを再割当する。従って、映像実況放送前に選ばれた伝送チャネルであっても、映像実況放送中に使用された伝送チャネルであっても、無干渉、低ビット誤り率の効果を保証することができる。
【0020】
(2)伝送速度が高い。無干渉のチャネルでデータ通信を行うため、伝送速度が高く、且つ、実際のシステムでテストにより得られたデータと、理論的に計算したデータとが非常に近い。
【0021】
(3)システムリスポンスが速く、遅延が低い。テストシステムでは、ユーザ及びホーム基地局がサービスチャネルリソースを切り替える必要がある場合、この過程を完了するのに一定の時間オーバーヘッドが必要となる。ユーザ体感品質QoE性能が深刻に低下したことを発見してから、チャネルの取り換えが完了するまで、過程全体の時間オーバーヘッドは、主に、システムの固有時間オーバーヘッドと、スペクトルリソース情報の選択及び配布とに分類される。実際のシステムの測定によれば、再配置して新しい無線周波数(RF)情報を使用するには、システムの固有時間オーバーヘッドは約30msである。この時間オーバーヘッドは、実際に使用されるハードウェアに関連している。スペクトルリソース情報の選択及び配布といった過程の理論的な時間複雑度は、O(1)であり、システム内で必要な時間が1msよりも遥かに小さい。従って、リスポンス過程全体の時間オーバーヘッドが30msであり、且つこの時間がハードウェアの性能に関連していることが分かり、システムリスポンスが速いと言える。一方で、映像の伝送時は、ユーザ体感品質の低下に起因して映像のカクつき又は画面崩れが発生するため、この場合、サービスチャネルリソース切替の30msとなる時間オーバーヘッドは、許容できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明のシステムアーキテクチャ図である。
図2】本発明の実現フローチャートである。
図3】本発明におけるデータカプセル化の図である。
図4】本発明のリソース最適化段階の図である。
図5】実施例における実験展開図である。
図6】本発明の感知ノードの機能概略図である。
図7】本発明のユーザ側の機能概略図である。
図8】本発明のホーム基地局の機能概略図である。
図9】本発明の情報融合センターの機能概略図である。
図10】実施例におけるユーザ側のRFパラメータ設定図である。
図11】実施例におけるホーム基地局のRFパラメータ設定図である。
図12】実施例における送信側の映像再生のスクリーンショットである。
図13】実施例における受信側の映像再生のスクリーンショットである。
図14】実施例における映像データの正常伝送のコンスタレーション図である。
図15】実施例における正常伝送のビット誤り率である。
図16】実施例における映像データ伝送時のエネルギースペクトルである。
図17】実施例における調整後のユーザ側のRFパラメータ図である。
図18】実施例における調整後のホーム基地局のRFパラメータ図である。
図19】実施例における調整後のコンスタレーション図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の技術案を詳しく説明するが、本発明の保護範囲は、下記の実施例に限定されない。
【0024】
図1に示すように、本発明に係る2層駆動干渉コーディネーションに基づく映像実況放送システムは、いくつかのユーザモジュール、ホーム基地局FAP、情報融合センターFC、及び、ユーザに対応する感知ノードを含み、ユーザモジュールは、具体的には、ユーザ使用のスマートモバイルデバイス(例えばスマートモバイル携帯電話及びIPad等)を指し、且つデータ送受信機能を持ち、上記ホーム基地局FAPは、限られた範囲内で、ネットワークアクセス機能を提供するものである。ユーザは、FAPを通じてネットワークにアクセスし、低遅延、高速度の無線ネットワークサービスを得て、ホーム基地局FAPとユーザとの間は、無線通信を採用し、ホーム基地局FAPと情報融合センターFCとの間は、有線通信を採用し、有線通信は、両者の間の通信の高効率及び無干渉を保証可能であり、感知ノードは、付近の無線環境情報を感知して保存する機能ノードであり、データを送信する機能も持ち、感知ノードと情報融合センターFCとの間は、有線接続方式を採用してデータ交換し、情報融合センターFCは、サービス範囲内の全てのホーム基地局、感知ノード、及び、感知ノードにより収集された無線環境情報を統合管理するものであり、無線環境データ情報を分析することで、サービスを提供可能なスペクトルリソース、及び、サービスを提供不能なスペクトルリソースを得て、もしスペクトルリソースの使用が必要となるユーザが有ると、情報融合センターFCは、サービスを提供可能なスペクトルリソースの中から、該当のリソースを選別して割り当ててホーム基地局FAP及びユーザによる使用に供する。上記のように無線リソースを集中管理することで、干渉コーディネーションが有効に行われる。
【0025】
図2に示すように、本発明に係る2層駆動干渉コーディネーションに基づく映像実況放送実現方法は、ステップ1~4を含む。
ステップ1は、感知ノードが付近の無線環境のスペクトル情報を周期的に収集して、最新のデータ情報を情報融合センターFCに送信するステップであり、感知ノードの数が多く、スペクトル情報の感知のスパンが大きいため、情報を送信する前に、送信データを一定のデータフォーマットに従ってカプセル化する必要があり、カプセル化用のフォーマットは、例えば説明図3に示すようなものである。
ステップ2は、情報融合センターFCが感知データを受け取った後、融合戦略を用いて、使用可能スペクトルリソースリストを得て、アクセスをリクエストしたユーザが有ると、情報融合センターFCが、適切なスペクトルリソースを割り当ててユーザ及びホーム基地局FAPによる使用に供し、もし適切な使用可能リソースがなければ、その旨のメッセージをホーム基地局FAPに返して該ユーザのリクエストをサービス待ちキューに入れ、空きリソースが出たら、サービス待ちキュー内のユーザに優先的にリソースを割り当て、リソースの割当と同時に、情報融合センターFCがスペクトル使用状況を記録し、ユーザが次回にアクセスをリクエストした時に、ユーザの重複したネットワークアクセス又はスペクトルリソースの重複した使用が回避されるように使用記録を対比するステップである。
ステップ3は、ユーザスペクトルリソースを占有すると同時に、一連のユーザ体感品質パラメータ(例えばビット誤り率や速度等)をフィードバックする必要があり、その後、これらのユーザ体感品質QoEを監視及び分析することで、スペクトルリソースを再割当するかを決定し、もしユーザ体感品質QoEがサービス需要よりも低ければ、情報融合センターFCが、使用可能なスペクトルリソースをユーザ及び該当のホーム基地局FAPに再割当するステップである。
図4に示すように、まずユーザ体感品質QoEの検出を監視及び分析し、もしユーザ体感品質がプリセット閾値よりも低ければ、情報融合センターFCが、リソースの割当時に保存したユーザリソース対応表を参照して、Aタイプのイベント又はBタイプのイベントが発生したかを判別し、Aタイプのイベントが発生した場合、ホーム基地局FAPのサービス範囲内で、2つの通信リンクが互に干渉して、ユーザ体感品質QoEが低下していることを示すため、情報融合センターFCが、チャネル占有時間が短い方のユーザにリソースを再割当し、Bタイプのイベントが発生した場合、このユーザに占有されるチャネルが、マクロセル基地局、マクロセルユーザ又は他の干渉を受けて、ユーザ体感品質QoEが低下していることを示すため、情報融合センターFCが、ユーザにスペクトルリソースを再割当し、上述したAタイプのイベント及びBタイプのイベントは、それぞれ、異なる干渉状況を表しており、Aタイプのイベントは、異なるホーム基地局FAPとユーザとの間の通信による相互の干渉を指し、Bタイプのイベントは、マクロ基地局及びマクロ基地局のユーザの通信によるチャネル占有又は強い干渉に起因して、ホーム基地局FAPのユーザが干渉を受ける状況を指す。
ステップ4は、サービス終了後、情報融合センターFCが該当のリソースを解放するステップである。
【0026】
上記の実現方法は、主に、融合戦略とスケジューリング戦略との2つの過程を含む。
【0027】
A、融合戦略
情報融合センターが各感知ノードから送られたデータを受け取ると、まず全てのデータに対してサンプリング処理を行い、サンプリングレートをMとする(Mの大小は、システム性能によって決まる)。サンプリング処理が完了した後、異なる感知ノードの同一周波数帯域の能力検出データについて平均Kを取り、iは、異なる感知ノードを表し、下記の硬判定式によって、スペクトルが空いているかを判断する。
Nは、感知ノードの数であり、H及びHは、それぞれ空きリソース及び非空きリソースを判断する硬判定閾値であり、Fは、判定結果を表す。
判定結果F=0の場合、該スペクトルリソースは、空きリソースであり、判定結果F=1の場合、該スペクトルリソースは、非空きリソースであり、判定結果F=2の場合、該スペクトルリソースは、正確に判断できないリソースとなり、二次判定を行い、二次判定方式について、投票メカニズムが採用され、即ち、全てのK<H又はK>Hの数を統計し、投票数が半分を超えると、それを空き又は非空きリソースであると判定し、二次判定を経ても結果となるリソースが得られない場合、当意思決定ラウンドでそれを破棄し、次の新しい意思決定ラウンドの開始まで待って判定を再び行う。
融合戦略は、システム内で一定の時間周期が実行される。該時間周期は、システム感知機能の優劣と密接に関連している。融合戦略の実行周期が、調整可能なパラメータとして設定され、後続のデバッグ及び使用中に、リアルタイムに変更可能である。融合戦略の理論的な時間オーバーヘッドは、O(n)であり、そのため、サイクル周期の設定は、融合過程が完了できることを保証すればよい。
【0028】
B、スケジューリング戦略
スケジューリング戦略は、リソース割当段階と、リソース最適化段階との2部分に分けられる。リソース割当段階では、システムは、ネットワークに新規アクセスしたユーザに使用可能リソースを速やかに割り当て、このユーザがなるべく短い時間内で使用可能リソースを得ることを可能にする。リソース最適化段階では、システムは、得られたリソースの使用後にユーザからフィードバックされた一連のユーザ体感品質パラメータに基づいて分析を行い、ユーザ体感品質がよくない場合、システムは、割り当てられたリソースを調整して、ユーザ体感品質を改善させる。
【0029】
スケジューリング戦略の完全な手順は、次の通りである。
【0030】
(a)ユーザがネットワークにアクセスした際、初めてリソースを割り当てるようシステムにリクエストすると、リソース割当段階に入る。該段階では、システムは、候補となる使用可能スペクトルリソースの中から、使用可能なスペクトルリソースをランダムに1つ選び取ってユーザに割り当て、ユーザが最短時間内で使用可能リソースを得られることを保証し、データ伝送を開始する。それと同時に、情報融合センターは、割り当てられたリソース情報と該当のユーザ情報とをユーザリソース対応表に保存して、スペクトルリソースの管理を容易にする。
【0031】
(b)ユーザが使用可能スペクトルリソースを得ると、リソース割当段階が完了し、リソース最適化段階に入る。最適化段階の継続範囲は、ユーザがリソースを使用する過程全体に亘り、ユーザがネットワークから離脱すると、最適化段階が終わり、サービスから離脱する。リソース最適化段階全体において、ユーザ体感品質QoEを元に、一定の時間周期(実際の環境及び需要に応じて調整される)に従ってサービスに対する検出を行う。ユーザ体感品質QoEの指標がプリセット閾値(サービスの需要に応じて設定される)よりも低い場合、システムは、該ユーザ及びその使用するスペクトルリソースを調整し、他の使用可能なスペクトルリソースを該ユーザに割り当てる。
【0032】
実施例:
1、実験プラットフォーム
【0033】
ソフトウェア無線では、基本的な周波数変換、A/D変換、D/A変換及びRF駆動がハードウェアプラットフォームであるUSRP RIO 2943Rによって実現される以外、残りの機能がすべてソフトウェア的な設計によって遂行される。通信過程全体において、基本的な送受信機能を除き、ほぼ全ての拡張機能は、自主設計及びプログラミングが必要となる。
【0034】
NI USRP RIO 2943Rの一連の物理パラメータについて、調整可能な周波数範囲が1.2GHz~6GHzで、リアルタイム帯域幅が40MHzで、PCIex4バス速度が800MB/sで、チップがKintex7 FPGAである。
【0035】
実験のソフトウェア部分としては、Labview2015を用いて設計及びプログラムのデバッグを行う。ソフトウェア自身によって提供されるRF送受信駆動に加え、本発明が必要とする一連の機能を拡張することで、発明全体が実現される。
【0036】
2、実験環境の設定
実験のアレンジメントについて、図5に示すように、テストシステム内で具体的に展開する。実験環境には、2つのユーザ及び該当のホーム基地局と、1つの情報融合センターと、いくつかの感知ノードとを設置している。実験中に、2つのユーザは、互に干渉源となることが可能であるため、余計な人為的干渉項を設置する必要がない。
【0037】
ユーザとホーム基地局との間の通信方式は、無線通信であり、ホーム基地局と情報融合センターとの間の通信方式は、有線通信であり、光ファイバー接続を使用し、感知ノードと情報融合センターとの間も、同様に、光ファイバーによって接続される。このような設定方式によれば、システム側の全ての通信の信頼性を確保しながら、ユーザによる使用時の実際の効果を有効にテストすることができる。
【0038】
本実施例は、主に、情報融合センター、ユーザとホーム基地局、及び、感知ノードの3部分を含む。
【0039】
感知ノードの展開の難易度を下げるために、感知ノード部分のプログラムの設定は、比較的簡単であり、その理由として、周囲の無線環境データを感知して、データをパッケージ化して情報融合センターに送信すればよいからである。USRPプラットフォームは、同一時刻で狭い帯域幅内のデータしか感知できないため、周波数掃引機能をそれに追加して、設定された帯域幅範囲内で、各セクションのスペクトル上のデータを順次に走査する必要がある。具体的な感知ノード機能プログラムの概略図を図6に示す。設定されたRF送受信データのパラメータを入力した後に、プログラムを起動すると、データを感知し始め、その後、感知されたデータを図3のデータフォーマットに従ってカプセル化してから、UDP方式で情報融合センターに送る。周波数掃引機能モジュールの制御下で、上記の感知フローが、隙間なく異なる周波数帯域で行われる。プリセット感知範囲のタスクを完了したら、次の感知タスクが再開される。1.2GHz~6GHzの範囲が多すぎて、実験時にデバッグ及び結果の観測が容易ではないため、本実施例では、テストの際、2.2GHz~2.8GHzの範囲内のいくつかの周波数帯域を選び取ってテストを行い、実験速度を加速しながら、実験結果の信頼性を保証している。
【0040】
ユーザとホーム基地局の実験設定:
ユーザとホーム基地局は、実験中に、主にデータ通信、映像の伝送と伝送結果表示、及び、データの統計を担当するため、1台のUSRP RIOデバイスに2つのシングルアンテナユーザを配置可能であるという特性を利用して、ユーザとホーム基地局を同一USRP RIOデバイスに配置する。両者は、物理的に同一デバイスに位置するが、両者の間のデータ通信が無線チャネルによって遂行され、こうして、映像を無線伝送する機能を有効にテストすることができる。ユーザがデータをホーム基地局に送信する場合を例にすると、図7は、ユーザ側の機能概略図であり、図8は、ホーム基地局の機能概略図である。
【0041】
図7から分かるように、ユーザ側では、ソースから始まり、QAM変調、ガードインターバルの挿入、フレーミング等の操作を経てから、RF送信モジュールによって無線チャネルに送信される。RF送信モジュールには、送信パラメータ変更モジュールから呼び出すための外部拡張インタフェースが備えられており、例えば送信の中心周波数、局部発振やゲイン等の送信のRFパラメータをリアルタイムに変更することができる。システムテスト時に使用されるのが映像データであるため、ソースでは、VLCソフトウェアによって処理されたデータパケットとなる。
【0042】
図8から分かるように、ホーム基地局内で、機能的には、主に、ユーザとのデータ交換、及び、情報融合センターとのデータ交換の2部分に分けられる。ユーザとの交換データ部分については、データの受信を例とする。アンテナから無線情報を受信し、RF受信モジュールを経てから、フレーム同期、フレーム解析、チャネル均衡化、及びQAM復調を行い、最終的には、シンクに到達する。シンクは、VLCソフトウェアであり、データを得た後、VLCは、内部デコードを通じて、映像を再生しながら再生品質を観測することが可能である。
【0043】
情報融合センターの実験設定:
情報融合センターについて、遂行する必要のある機能としては、融合戦略と、ユーザ体感品質の監視及び調整と、スペクトルリソースの管理及び割当とが含まれる。実験テストでは、独立した情報融合センターを設置してテストを行った。
【0044】
図9は、情報融合センターの簡略化された機能図である。情報融合センターのUDP受信モジュールは、ホーム基地局から送られたデータと、感知ノードから送られたデータとの2部分のデータを受信する必要がある。従って、受信されたデータの送信元が異なれば、データ処理のモジュールも異なる。ホーム基地局からのデータを受け取った場合、データは、ユーザ体感品質監視モジュールに入り、サービス品質要求を満たしているかを判定され、要求を満たしていなければ、ストレージモジュールから新しい使用可能スペクトルリソースを選び取って、UDP送信モジュールを介してホーム基地局にスペクトルリソースを変えるよう通知する。感知ノードからのデータを受け取った場合、データは、融合戦略モジュールに入り、データ処理をされた後、使用可能スペクトルリソース群が得られ、ストレージモジュールに格納されて使用に供する。異なるデータソースについて、UDP通信時に、異なるUDPポート番号が使用されるため、異なるデータソースを容易に識別できる。
【0045】
3、実験フロー
ステップ1)プリセットパラメータを設定する。全てのプログラムを起動する前に、一連のプリセットパラメータを設定する必要がある。ユーザ、ホーム基地局の初期RFパラメータ、及び、感知ノードのRFパラメータ設定を説明図10及び説明図11に示す。図10は、ユーザ側のRFパラメータの設定状況であり、初期中心周波数が2.4GHz、局部発振周波数が-1Hz、送信ゲインが0dBmである。図11は、対応するホーム基地局側のRFパラメータの設定であり、受信周波数の中心周波数が2.4GHzであり、局部発振周波数が-1Hz、受信ゲインが0dBmである。
【0046】
ステップ2)プログラムを実行して、データ通信を開始する。次に、VLCスクリプトファイルを開いて、映像ソースデータの生成、及び、受信された映像ソースデータの再生を開始する。送受信される映像の画像を図12及び図13に示す。図14は、受信側のコンスタレーション図であり、BPSKの変調方式を使用しており、且つコンスタレーション図が鮮明であることが分かる。図15は、平均ビット誤り率と時間の図であり、安定した伝送中は、ビット誤り率がほぼゼロである。図16は映像データ伝送時の周波数エネルギースペクトルであり、中心周波数を中点として、両側が帯域幅を半分ずつ占有し、合計で3MHzの伝送帯域幅になっていることがはっきりと分かる。
【0047】
ステップ3)一方のユーザが使用する周波数帯域を手動で変え、2つのユーザが同一周波数帯域でデータを伝送するようにして、干渉現象を引き起こす。システム内のスケジューリング戦略が本来の機能を果たしているかをテストする。
【0048】
ステップ4)システムは、干渉の発生したユーザに新しいリソースを再割当して、映像伝送が正常に戻る。図17及び図18は、人為的に干渉を付加した後、一方のユーザとホーム基地局が、スケジューリング戦略の制御下で、使用する周波数を調整した場合であり、調整後、その占有する中心周波数が2.7GHzとなる。図19は、2.7GHzの周波数を占有するユーザとホーム基地局のコンスタレーション図である。
【0049】
実験中において、理論的な分析及び計算により、以下の計算がある。1フレームのデータ長は、(1+1+706)×(16+64)=56640Samplesであり、LTFシーケンス、SIGシーケンス及びデータを含み、インターバル長が16、データ長が64である。実際のデータが706×64=45184bit、速度が45184bit÷16ms/1s=2.824M/s、伝送速度が56640÷16ms/1s=3.54M/sである。無干渉のチャネルでデータ通信を行うため、本発明の伝送速度が高い。上記実施例からさらに分かるように、本発明は、映像実況放送を行う前に、スペクトルチャネルを選別して、無干渉のチャネルを選んでデータ通信を行い、映像実況放送中に、QoE性能を周期的に検出し、QoEが深刻に低下した場合、スペクトルリソースを再割当する。従って、映像実況放送前に選ばれた伝送チャネルであっても、映像実況放送中に使用された伝送チャネルであっても、無干渉、低ビット誤り率の効果を保証することができ、且つ伝送速度が高い。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図19