(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】機能性マイクロカプセルを含有する吸汗速乾組成物及び吸汗速乾性生地
(51)【国際特許分類】
D06M 23/12 20060101AFI20220118BHJP
D06M 15/277 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
D06M23/12
D06M15/277
(21)【出願番号】P 2020557223
(86)(22)【出願日】2018-05-30
(86)【国際出願番号】 KR2018006118
(87)【国際公開番号】W WO2019225792
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2020-10-16
(31)【優先権主張番号】10-2018-0057595
(32)【優先日】2018-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518059956
【氏名又は名称】ラシュバン・コーリア・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、シ-ヨン
【審査官】小石 真弓
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107938363(CN,A)
【文献】中国実用新案第208896596(CN,U)
【文献】登録実用新案第3212453(JP,U)
【文献】特開平10-298014(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103876242(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105248444(CN,A)
【文献】特開昭62-104978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06M 23/00-23/18
D06M 13/00-15/715
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維用撥水剤を含む吸汗速乾組成物であって、
繊維用撥水剤とわさびオイルをそれぞれマイクロカプセル化処理して得られる撥水剤マイクロカプセルとわさび抗菌マイクロカプセルをさらに含む
ことを特徴とする吸汗速乾組成物。
【請求項2】
水性浸透剤をさらに含む
請求項1に記載の吸汗速乾組成物。
【請求項3】
前記繊維用撥水剤は5~20重量%、前記撥水剤マイクロカプセルは10~40重量%、前記わさび抗菌マイクロカプセルは2~5重量%を含み、
繊維生地加工用水性バインダー40~50重量%、残部としての水をさらに含む
請求項1に記載の吸汗速乾組成物。
【請求項4】
前記繊維用撥水剤は5~20重量%、前記撥水剤マイクロカプセルは0~40重量%、前記わさび抗菌マイクロカプセルは2~5重量%、前記水性浸透剤は0.1~1重量%を含み、
繊維生地加工用水性バインダー40~50重量%、残部としての水をさらに含む
請求項2に記載の吸汗速乾組成物。
【請求項5】
請求項3に記載の吸汗速乾組成物を繊維生地にコーティングおよび乾燥処理して得られる
ことを特徴とする吸汗速乾性生地。
【請求項6】
請求項4に記載の吸汗速乾組成物を繊維生地にコーティングおよび乾燥処理して得られる
ことを特徴とする吸汗速乾性生地。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性マイクロカプセルを含有する吸汗速乾組成物及びこれを含む吸汗速乾性生地に関する。
【背景技術】
【0002】
吸汗速乾繊維とは、皮膚から排出される汗などの水分を速やかに外部に排出して乾燥させる機能性繊維をいう。つまり、皮膚接触面の水分を迅速に吸収して外部に排出させることにより、着用時に清涼感を維持するようにする機能を与えることができる繊維である。
【0003】
この種の吸汗速乾機能の繊維を製造するために、さまざまな方式で製造された吸汗速乾繊維が開発され、市販されている。この中でも、特許文献1に開示された発明の場合は、皮膚接触面(裏面層)と表面層の繊維組織が互いに異なる成分を持つようにして、皮膚接触部位の水分吸収性能と表面層繊維の水分吸収性能との差を利用している。また、これとともに、前記裏面層上に撥水層を一部面積に一定の間隔で形成して水分の排出が容易に行われるように処理することにより、吸汗速乾性能を与えた技術である。
【0004】
しかし、このように単純に撥水成分とバインダーとの組み合わせによる撥水層のコーティングだけでは、画一的な撥水能力による吸汗速乾の機能のみを発揮する。また、親水性と疎水性の二つの特性を持つ機能性生地を加工することにより、期待される効果に比べてその加工性に相当な困難とコストが発生するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国特許第10-0653757号(登録日:2006年11月28日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、このような吸汗速乾特性を発揮する上でインテリジェントであり、外部環境に応答的特性を持つスマート型吸汗速乾組成物及び生地を提供することにある。特に、従来の撥水加工剤の特性に加えて、撥水剤のマイクロカプセル化による機能性を活用することにより、外部環境に応答的に対応する吸汗速乾組成物及び生地を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、基本的な吸汗速乾機能と共に持続可能な抗菌特性を発揮することができる機能性マイクロカプセルを一緒に加工処理することにより、抗菌・消臭機能を同時に持つことができる機能性吸汗速乾組成物及び生地を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
吸汗速乾繊維は、衣類、特に下着類及び皮膚との直接接触が多い使用目的の用途に主に使用されている。このような使用上の特性により、皮膚から排出される汗を素早く吸収し、迅速に乾燥させる機能、及び汗などの水分保持状態に起因する細菌繁殖の抑制機能が同時に必要であるといえる。
【0009】
このような要求に応えて、本発明による機能性マイクロカプセルを含有する吸汗速乾性生地の加工方法では、徐放型マイクロカプセルを用いることにより、内部の芯物質が外部環境、すなわち温度や外部衝撃などの環境に応じてインテリジェントに放出できる特性を与えることができる。また、このような徐放型マイクロカプセルを従来の繊維コーティング用バインダーなどと一緒に混合して繊維にコーティング及び印刷処理する場合には、一緒に使用されたバインダーの繊維固着後にバインダー高分子の内部から徐々に放出される特性を持つ。
【0010】
徐放型撥水マイクロカプセルを用いて、持続的で外部環境に応答するインテリジェントな撥水機能を与え、わさびオイルなどの天然抗菌成分を含有する機能性抗菌マイクロカプセルを一緒に使用することにより、抗菌・消臭機能を同時に持つことができる繊維生地加工方法を提供することができる。
【0011】
これにより、上記目的を達成するために、本発明は、繊維用撥水剤を含む吸汗速乾組成物であって、繊維用撥水剤とわさびオイルをそれぞれマイクロカプセル化処理して得られる撥水剤マイクロカプセルとわさび抗菌マイクロカプセルをさらに含むことをを特徴とする、吸汗速乾組成物を提供する。
【0012】
ここで、前記繊維用撥水剤は5~20重量%、前記撥水剤マイクロカプセルは10~40重量%、前記わさび抗菌マイクロカプセルは2~5重量%を含み、前記吸汗速乾組成物は、繊維生地加工用水性バインダー40~50重量%、残部としての水をさらに含んでもよい。
【0013】
一方、前記吸汗速乾組成物は、水性浸透剤をさらに含んでもよい。
【0014】
この場合、前記繊維用撥水剤は5~20重量%、前記撥水剤マイクロカプセルは0~40重量%、前記わさび抗菌マイクロカプセルは2~5重量%、前記水性浸透剤は0.1~1重量%を含み、前記吸汗速乾組成物は、繊維生地加工用水性バインダー40~50重量%、残部としての水をさらに含んでもよい。
【0015】
また、上記目的を達成するために、本発明は、上述したような吸汗速乾組成物を繊維生地にコーティングおよび乾燥処理して得られる吸汗速乾性生地を提供する。
【発明の効果】
【0016】
上述した本発明による機能性マイクロカプセルを含有する吸汗速乾組成物及び生地によれば、従来の吸汗速乾処理繊維とは異なり、マイクロカプセル化処理された撥水機能性加工剤を使用することにより、撥水機能を非常に安定的に発揮することができる。
【0017】
また、pHや洗濯などの外部条件に関係なく非常に安定した機能を発揮し、同時に外部環境及び外部衝撃に能動的に応答するインテリジェント型吸汗速乾機能を発揮することができる。すなわち、外部の衝撃(摩擦)や温度などに感応する吸汗速乾機能性が与えられた吸汗速乾繊維を加工することができる。また、一般に使用される商用化生地の種類に関係なく、非常に多様な生地に吸汗速乾機能を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態によって加工処理された吸汗速乾繊維生地の断面図である。
【
図2】本発明の実施形態によって吸汗速乾処理された繊維の試験結果(裏面から表面方向に)である。
【
図3】本発明の実施形態によって吸汗速乾処理された繊維の試験結果(表面から裏面方向に)である。
【
図4】本発明の実施形態によってマイクロカプセル加工された撥水剤マイクロカプセル(わさび抗菌マイクロカプセル)の1000倍拡大写真である。
【
図5】本発明の実施形態によってマイクロカプセル加工された撥水剤マイクロカプセル(わさび抗菌マイクロカプセル)が繊維生地にコーティングされた様子の1000倍拡大写真である。
【
図6a】本発明の実施形態によって吸汗速乾加工処理された生地(裏面)の水分スプレー前、後の表面写真である。
【
図6b】本発明の実施形態によって吸汗速乾加工処理された生地(裏面)の水分スプレー前、後の表面写真である。
【
図7】本発明の実施形態によって加工処理された生地の抗菌力試験成績書である。
【
図8】本発明の実施形態によって加工処理された生地の消臭力試験成績書である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ワサビ(wasabi)は、アブラナ科ワサビ属の植物であって、刺激性の強い香りと味を持っている。普段私達が食べている、寿司に入れる或いは刺身についてくるワサビは、根茎で作った香辛料である。
【0020】
ワサビを刺身や寿司などと共に使用する主な理由は、魚類に寄生する寄生虫などに対するワサビの強力な殺菌・殺虫効果のためであり、特に辛味の主成分であるアリル芥子油に対しては、さまざまな種類の細菌だけでなく、カビ、酵母、水棲菌、寄生虫に対する殺菌・殺虫効果が報告されている。また、優れた消臭機能を持っている。
【0021】
ワサビの辛味は、シニグリン成分のためである。ワサビのシニグリン成分が化学反応して出てきた辛味成分であるイソチオシアン酸アルキル(Alkyl isothiocyanate)成分は、抗菌効果と殺菌効果がある。しかし、このようなワサビの特徴と共に、温度による揮発特性のために、一般な環境で長時間同じ薬効を発揮することが難しいという問題点がある。また、過量の使用時に特有の香りにより使用上の注意事項と共に、個人的な好みによる不快感を誘発することもある。つまり、このような天然ワサビオイルは、オイル状態のまま配合して使用する場合、抗菌力には非常に優れるものの、ワサビオイル特有の香りにより不快感を誘発するので、天然のオイル状態では繊維及び生地に直接的な加工が難しい。
【0022】
したがって、本発明では、このような天然ワサビの使用による欠点を改善し、優れた機能は向上させるために、ワサビオイルを徐放型マイクロカプセル化技術でマイクロカプセル化処理して、一般な繊維用撥水剤及び徐放型マイクロカプセルで処理された機能性撥水剤と一緒に使用することにより、上述した使用上の限界を克服しようとする。
一方、繊維を対象に処理されるシリコン系、フッ素系、界面活性剤などの撥水剤は、水に対する接触角を大きくして水の吸収を制御する材料である。
【0023】
フッ素系撥水剤は、最も一般的に多く使われている撥水剤である。特に、このようなフッ素系撥水剤は、撥水・撥油性を同時に得ることができるという特徴がある。シリコン系撥水剤は、フッ素系撥水剤に比べて、機能的な面では劣るが、柔らかな風合いなどにより綿ポリ、混紡などに広く使われる。しかし、このような撥水剤は、pHに非常に敏感な特性がある。一般的に、pH9以上、pH4以下では、撥水機能が急激に低下する特性がある。
【0024】
上述したような撥水剤の中で、例えばフッ素系撥水剤としてフルオロアルキルアクリル化リン酸エステルコポリマー(Fluoro alkylacrylated phosphorous ester co-polymer)を用いた撥水処理は、従来からも広く使用されてきた。本発明は、このようなシリコンまたはフッ素系撥水剤を1次的にマイクロカプセル化処理加工し、その後、マイクロカプセル化加工処理された撥水剤と従来の撥水剤を併用混合して使用することにより、機能的効果を最大限に発揮するようにしようとする。
【0025】
つまり、このような徐放型マイクロカプセルを含む撥水加工コーティング液を、一般な繊維生地に一定のパターンでコーティング加工することにより、インテリジェント吸汗速乾繊維を加工するのである。このように加工された撥水剤マイクロカプセルとワサビ抗菌マイクロカプセルを繊維加工用水性バインダーと混合して市販の繊維生地にコーティング及び印刷処理して加工することができる。
【0026】
このとき、撥水剤マイクロカプセルは、全体配合の50%以内に使用するのが良い。より好ましくは、10~40%程度が適する。10%以下では、マイクロカプセルの機能が正常に発揮されることを期待することが難しく、40%以上では、マイクロカプセルの含有量があまり高いため、繊維付着性の低下とカプセルの外部衝撃に対する脆弱化による性能低下現象が発揮されるおそれがある。
【0027】
ワサビ抗菌マイクロカプセルの場合、全体配合の10%以内が適する。より効果的には、2~5%程度が適するといえる。2%以下の場合には、抗菌特性の低下が懸念され、5%以上の場合には、ワサビオイル特有の香りにより不快感を誘発することがある。この範囲内の使用でも十分な抗菌特性を発揮することができる。
マイクロカプセル加工処理していない従来のシリコン系またはフッ素系撥水剤は、5~20%程度の使用が適する。
【0028】
上述した化合物の配合と共に、水性の繊維生地加工用アクリル系またはウレタンバインダーを用いて、繊維付着を増進させる。マイクロカプセルの場合、粒子状の加工形状を持っている。このような粒子状のマイクロカプセルは、物理的にバインダーを用いて繊維生地に付着処理すればこそ耐久性を期待することができる。このとき、一緒に使用することが可能なバインダーは、水性のアクリル系またはウレタンなどの様々なバインダーを使用することができる。繊維生地への処理加工の後に繊維との十分な付着力を維持することができ、耐洗濯性に優れたバインダーを選定して使用することができる。
【0029】
配合の際に、必要に応じて配合物の繊維浸透性、繊維付着性及び耐久性を増加させるために、水性浸透剤を添加して使用することができる。本実施形態では、エアプロダクト社製のDYNOL960を使用した。このような浸透剤は、必要不可欠な添加成分ではなく、繊維表面と加工工程に応じて使用有無及び使用薬剤を調節することができる。一般に、全体配合の0.1%~1%で使用する。
【0030】
上述したような成分を含有する吸汗速乾組成物の製造方法は、以下の通りである。
[マイクロカプセル化工程]
フッ素系撥水剤の乳化工程
【0031】
Scripset 520(Solenis社製)50gを水950gに分散させる。苛性ソーダ8gを投入し、徐々に加熱して90度まで加熱する。その後、約30分間温度を維持して完全溶解させる。次に、冷却して常温に保管する。
【0032】
上記で製造された Scripset 520溶解液500gを2Lの容器ビーカーに投入する。この時、高速ホモミキサーを用いて回転速度800rpm程度を維持する。ここにフッ素系撥水剤フルオロアルキルアクリル化リン酸エステルコポリマー(Fluoro alkylacrylated phosphorous ester co-polymer)250gを約10分間徐々に投入する。完全投入完了後、ホモミキサーの攪拌速度を1200~1700rpmに上昇させて乳化を行う。
【0033】
ワサビオイルの乳化工程
【0034】
Scripset 520(Solenis社製)50gを水950gに分散させる。苛性ソーダ8gを投入し、徐々に加熱して90度まで加熱する。その後、約30分間温度を維持して完全溶解させる。次に、冷却して常温に保管する。
【0035】
上記で製造されたScripset 520溶解液500gを2Lの容器ビーカーに投入する。この時、高速ホモミキサーを用いて回転速度800rpm程度を維持する。ここに天然ワサビオイル25gと大豆油225g(オイル量:250g)を約10分間徐々に投入する。完全投入完了後、ホモミキサーの攪拌速度を1200~1700rpmに上昇させて乳化を行う。
【0036】
メラミン初期縮合ポリマーの組成及び準備
【0037】
水125gを500mlのビーカーに投入する。ここにホルマリン35%50g、メラミン粉末70g及び尿素7gを投入する。配合物を十分に撹拌しながら温度を徐々に上げる。約10~15分間加熱して、温度が60度程度に達するまで撹拌しながら加熱する。
【0038】
撥水剤マイクロカプセル化の進行
【0039】
用意されたフッ素系撥水剤の乳化反応器に、用意されたメラミン初期縮合ポリマーを投入する。その後、1200rpm以上を維持して温度を70度まで上昇させる。
【0040】
この時、反応進行に伴う粘度上昇に注意しながら、十分な攪拌状態となるように維持する。約1時間後にホモミキサーを除去し、一般な攪拌機を用いて温度を維持し、500~1000rpmを維持して5時間以上撹拌し続ける。
その後、加熱を停止し、5%クエン酸溶液30gを徐々に投入する。常温に冷却されるまで攪拌を行い続ける。
こうして得られる撥水剤マイクロカプセル(
図4参照)を保管して使用する。
【0041】
ワサビオイルマイクロカプセル化の進行
【0042】
用意されたワサビオイルの乳化反応器に、用意されたメラミン初期縮合ポリマーを投入する。その後、1200rpm以上を維持し、温度を70度まで上昇させる。
【0043】
この時、反応の進行に伴う粘度上昇に注意しながら、十分な攪拌状態となるように維持する。約1時間後にホモミキサーを除去し、一般な攪拌機を用いて温度を維持し、500~1000rpmを維持して5時間以上撹拌し続ける。
その後、加熱を停止し、5%クエン酸溶液30gを徐々に投入する。常温に冷却されるまで攪拌を行い続ける。
こうして得られるワサビ抗菌マイクロカプセル(
図4参照)を保管して使用する。
【0044】
[配合工程]
配合1.
【0045】
上述したように製造された撥水剤マイクロカプセル30%、ワサビ抗菌マイクカプセル5%、フッ素系撥水剤10%、水性アクリルバインダー50%、浸透剤0.2%及び水を添加し、十分に混合する。
【0046】
配合2.
【0047】
前記配合1と同様であり、撥水剤マイクロカプセル40%、ワサビ抗菌マイクロカプセル5%、フッ素系撥水剤10%、水性アクリルバインダー40%、浸透剤0.5%を使用した。
【0048】
配合3.
前記配合1と同様であり、撥水剤マイクロカプセルを10%使用した。
【0049】
配合4.
撥水剤マイクロカプセルを5%に減少させて配合した。
【0050】
配合5.
撥水剤マイクロカプセルを使用せずに、フッ素系撥水剤のみを下記表のとおりに配合した。
【0051】
前記配合1~5の成分別組成比は、下記[表1]のとおりである。
【0052】
【0053】
[繊維処理工程]
先立って配合された吸汗速乾組成物を繊維生地に加工処理する工程である。
【0054】
コーティングする方法は、スクリーン印刷(Screen Printing)やグラビアコーティングなどの方法を使用することができる。繊維に一定のパターンを形成することができる印刷方法であれば、特定のコーティング方法に限られない。この時、できる限り、パターンとパターンの間隔を0.5~1mm程度の一定間隔にして、区画ごとにコーティング処理することが好ましい。コーティング処理後、テンターあるいは乾燥装置を用いて十分に乾燥処理して完成する。
上述したように繊維処理工程を経た生地の吸汗速乾関連性能は、下記[表2]に示す。
【0055】
【0056】
前記表2より、配合1~5の初期吸汗速乾性能がすべて同様に5級であったが、洗濯が繰り返し行われるにつれて、配合1~3の吸汗速乾性能はほぼそのまま維持されるものの、配合4~5の吸汗速乾性能は大幅に低下していることを確認することができる。
【0057】
図1は吸汗速乾性生地1を示すものであって、繊維生地2の表面に吸汗速乾組成物3が前記繊維処理工程によってコーティング及び乾燥されたものである。
【0058】
図2は上述したように吸汗速乾処理された繊維の試験結果であって、生地の裏面(
図1の上面)から表面(
図1の下面)方向に撥水性能が5級(Grade 5)と優れることを確認することができ(添付書類1を参照)、これに対し、
図3に示すように、表面(
図1の下面)から裏面(
図1の上面)方向への撥水性能は2級(Grade 2)と低調であることを確認することができる(添付書類2を参照)。つまり、吸汗速乾性生地1は、一方向性吸汗速乾性能を有することを確認することができる。
【0059】
このような吸汗速乾性生地1の裏面(
図1の上面に該当)に、
図6aに示すように水(着用時の汗に対応)を撒いた場合、
図6bに示すように、コーティング面3同士の間の空間4(
図1を参照)を介して排水、すなわち撥水が行われて表面(
図1の下面に該当)側への水分移動がスムーズに行われる。
【0060】
図7は上述のように製造される吸汗速乾性生地1の抗菌力試験成績書の主要内容であり、(添付書類3を参照)、
図8は前記吸汗速乾性生地1の消臭力試験成績書の主要内容である(添付書類4を参照)。
図7及び
図8に示すように、本発明に係る吸汗速乾性生地1の抗菌力及び消臭力が著しく優れることを確認することができる。
【0061】
一方、以上で説明された吸汗速乾組成物及び吸汗速乾性生地は、本発明の理解を助けるための一実施形態に過ぎないので、本発明の権利範囲ないし技術的範囲が上述の説明に限定されるものと理解されてはならない。
本発明の権利範囲ないし技術的範囲は、後述する特許請求の範囲及びその均等範囲によって定められる。