(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】難燃性被覆赤リン及び難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 75/04 20060101AFI20220118BHJP
C08K 9/04 20060101ALI20220118BHJP
C09K 21/04 20060101ALI20220118BHJP
C09K 21/14 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
C08L75/04
C08K9/04
C09K21/04
C09K21/14
(21)【出願番号】P 2021155870
(22)【出願日】2021-09-24
【審査請求日】2021-09-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507381455
【氏名又は名称】株式会社フェクト
(74)【代理人】
【識別番号】100118393
【氏名又は名称】中西 康裕
(74)【代理人】
【識別番号】100119747
【氏名又は名称】能美 知康
(72)【発明者】
【氏名】新谷 精豊
(72)【発明者】
【氏名】安田 一美
【審査官】長岡 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-208737(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101503526(CN,A)
【文献】特開昭61-098721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 9/12
C08G71/00- 71/04
C01B25/00- 25/46
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤リン粒子又は無機安定化赤リン粒子の表面が含リンポリオール及びポリイソシアネートにより形成され
、前記含リンポリオールに対する前記ポリイソシアネートのモル比が0.2~0.5であり、前記含リンポリオール由来の未反応水酸基が残留している含リンポリウレタンで被覆されていることを特徴とする、難燃性被覆赤リン。
【請求項2】
前記含リンポリウレタンは、前記赤リン粒子又は前記無機安定化赤リン粒子に対する前記含リンポリウレタンの被覆量が0.5~3.0重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の難燃性被覆赤リン。
【請求項3】
ポリオール、難燃剤、整泡剤、三量化触媒、発泡剤、添加剤及びポリイソシアネートを含む難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物であって、
前記難燃剤は、少なくとも請求項1
又は2に記載の難燃性被覆赤リンを含むことを特徴とする、難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物。
【請求項4】
前記難燃性被覆赤リンの含有割合は、前記ポリオール100重量部に対して5~80重量部の範囲であることを特徴とする、請求項
3に記載の難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物。
【請求項5】
前記ポリオールは、ポリエスエルポリオール又はポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールの混合物からなることを特徴とする、請求項
3又は
4に記載の難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物。
【請求項6】
前記ポリイソシアネートと前記ポリオールとの含有割合は、イソシアネートインデックスで表して200~800となる割合であることを特徴とする、請求項
3~
5のいずれかに記載の難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質ポリウレタンフォーム中の分散性が良好で、難燃性の良好な硬質ポリウレタンフォームを形成することができる難燃性被覆赤リン及び該難燃性被覆赤リンを含む難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂発泡成形品は、例えば、建造物、自動車、土木、電気等の産業分野で、緩衝性、断熱性、軽量性等の特長を生かして広く使用されている。これらの樹脂発泡成形品は、単独では可燃性であるため、安全性確保のために難燃剤が添加されている。特に、建造物の外壁には、難燃性付与、断熱性付与、気密性付与、防音ないし結露防止等を目的として、難燃性硬質ポリウレタンフォームを吹き付け塗装することが多く行われている。なお、硬質ポリウレタンフォームは、主としてイソシアネートとポリオールとの反応により形成されているが、難燃剤としては赤リンないし表面被覆赤リンを主として他の難燃剤と共に用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1(国際公開WO2014/112394号公報)には、ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物、三量化触媒、発泡剤、整泡剤及び添加剤を含み、前記添加剤が、赤リンを必須成分とし、前記赤リン以外にリン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤および金属水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一つを組み合わせてなる難燃性ウレタン樹脂組成物の発明が開示されている。ここでは赤リンとして市販の表面被覆赤リンが用いられている。
【0004】
また、特許文献2(特許第6273889号公報)には、赤リン、ウレア誘導体、ポリオール、イソシアネートを用いて得られる難燃性ポリウレタンフォームであって、該難燃性ポリウレタンフォームが、ポリオール100重量部に対して0.5~20重量部の範囲の赤リン及び0.001~15重量部の範囲のウレア誘導体が 用いられ、前記ウレア誘導体が脂肪酸変性ウレア、変性ウレア、高分子ウレア誘導体から選択される少なくとも1種である難燃性ポリウレタンフォームの発明が開示されており、赤リンとしては未処理の赤リンや、市販の無機化合物ないし熱硬化性樹脂により被覆処理した赤リンが用いられている。
【0005】
これらの特許文献1及び2に開示されている難燃性ウレタン樹脂組成物ないし難燃性ポリウレタンフォームの発明によれば、難燃性に優れたウレタン樹脂組成物ないしポリウレタンフォームを得ることができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開WO2014/112394号公報
【文献】特許第6273889号公報
【文献】特開2002-201012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ポリウレタンフォームに対する難燃性付与の主要成分である赤リンは、単独では消防法上第二類に分類され、混合作業には爆発の危険性を伴う。そのため、難燃剤としての赤リンは、単独で使用される場合もあるが、赤リンを安定化させるために赤リン粒子の表面を樹脂や金属水酸化物で被覆した表面被覆赤リン粒子が多く用いられている。しかしながら、特許文献2にも示唆されているように、赤リン単独の粒子や表面被覆赤リン粒子は、ともにポリウレタン形成材料であるポリエステルポリオールやポリイソシアネートに不溶で、比重の大きな粉末であるため、ポリウレタン形成材料に分散させた際に沈降や凝集によって不均一化が生じるため、形成されたポリウレタンフォームに安定した難燃性を付与することが困難であるという課題が存在していた。
【0008】
このような合成樹脂中に難燃性付与成分として添加された赤リン粒子や無機化合物で被覆した赤リン粒子の分散性を良好にするために、多様な方法が採用されている。例えば特許文献3(特開2002-201012号公報)には、金属水酸化物の薄い層で被覆された赤リンを熱硬化性樹脂でマイクロカプセル化する方法が開示されている。その他にカーボンブラック、微粉シリカ、水系ひまし油ワックス、脂肪酸アミドワックス等の沈降防止剤との組み合わせによる分散も試みられているが、使用されている熱硬化性樹脂や沈降防止剤成分に積極的な燃焼抑制効果がないため、ポリウレタンフォーム中のこれらの成分の添加量が多くなるとポリウレタンフォームの難燃性が低下する等の課題がある。
【0009】
発明者等は上記課題を解決すべく種々検討を重ねてきた結果、硬質ポリウレタンフォーム形成用組成物に添加する難燃剤として、赤リン粒子や無機化合物で被覆した赤リン粒子の表面を含リンポリオール及びポリイソシアネートにより形成された含リンポリウレタンで被覆したものを用いると、これらの被覆成分はポリウレタンの構成成分であるので硬質ポリウレタンフォームの形成中に均一に分散でき、しかも含リンポリオール自体が難燃性を備えているので、難燃性が非常に良好な硬質ポリウレタンフォームが得られることを見出し、本発明を完成するに到ったのである。
【0010】
すなわち、本発明は、硬質ポリウレタンフォーム中の分散性が良好で、難燃性の良好な硬質ポリウレタンフォームを形成することができる難燃性被覆赤リン及び該難燃性被覆赤リンを含む難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様の難燃性被覆赤リンは、赤リン粒子又は無機安定化赤リン粒子の表面が含リンポリオール及びポリイソシアネートにより形成された含リンポリウレタンで被覆されていることを特徴とする。
【0012】
係る態様の難燃性被覆赤リンの表面被覆を形成する含リンポリウレタンは、リンを含んでいる以外は実質的にリンを含んでいないポリウレタンと同一の構成を備えている。そのため、係る態様の難燃性被覆赤リンが硬質ポリウレタンフォーム形成材料中に添加された際、たとえ硬質ポリウレタンフォーム形成材料中で比重差によって沈降ないし凝集することがあっても、硬質ポリウレタンフォーム形成前に撹拌することにより容易に硬質ポリウレタンフォーム形成材料中に均質に分散させることができる。加えて、含リンポリオール自体も難燃性を備えているため、係る態様の難燃性被覆赤リンを用いて形成された硬質ポリウレタンフォームは、赤リン粒子単独ないし無機安定化赤リン粒子を用いた場合、さらには上述した公知の熱硬化性樹脂でマイクロカプセル化したもの等を用いた場合よりも難燃性が良好となる。
【0013】
係る態様の難燃性被覆赤リンを形成するための赤リンとしては、難燃剤用として市販されている赤リン粒子ないし表面被覆赤リン粒子、例えばノーバレッド120、ノーバエクセル140(商品名、リン化学工業(株)製)、をそのまま使用することができるが、特に硫酸第一スズ被覆赤リンが好ましい。同じく、含リンポリオールにはリン酸エステルポリオールも含まれるが、それぞれ単独で、又は両者を組み合わせて使用することもできる。市販の含リンポリオールの例としては、Exolit OP550、OP560(商品名、クラリアントケミカルズ(株)製)が上げられ、リン酸エステルポリオールの例としてはダイガード580(商品名、大八化学工業(株))が挙げられる。
【0014】
係る態様の難燃性被覆赤リンを形成するためには、例えば赤リン粒子ないし無機安定化赤リン粒子を含リンポリオール及びポリイソシアネートをアセトン等の溶媒に溶解させた溶液中に分散させ、撹拌混合した後、乾燥させることにより調製することができる。この撹拌混合及び乾燥工程時に含リンポリオールとポリイソシアネートとが反応して含リンポリウレタンが形成され、赤リン粒子ないし無機安定化赤リン粒子の表面に含リンポリウレタン被膜が形成される。なお、赤リン粒子及び無機安定化赤リン粒子は、それぞれ単独で用いても、あるいは両者を混合して用いてもよい。
【0015】
係る態様の難燃性被覆赤リンにおいては、前記含リンポリオールに対する前記ポリイソシアネートのモル比が0.2~0.5であることが好ましい。前記含リンポリオール及び前記ポリイソシアネートのモル比が0.2~0.5であると、得られる難燃性被覆赤リン表面に含リンポリオール由来の未反応水酸基が残留しているので、ポリオール中への分散安定性が改善される。また、難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物形成時にこの水酸基と新たに供給されたポリイソシアネートとが反応して硬化するので、難燃剤添加によるポリウレタンフォームの物性低下が軽減でき、難燃剤添加量を増やすことも可能となる。以上の理由から難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物の難燃性向上に繋がる。このモル比が0.2未満であると、形成される含リンポリウレタンの割合が少ないので、被覆量が減少し、ポリオール中への分散安定性が悪化する。このモル比が0.5を越えた場合、未反応水酸基が減少し、分散安定性の悪化、イソシアネートとの架橋点の減少によるウレタンフォーム物性低下を招く。なお、係る態様の難燃性被覆赤リンにおいては、前記含リンポリオールは、リン酸エステルポリオールを含んでいてもよい。
【0016】
係る態様の難燃性被覆赤リンにおいては、前記赤リン粒子又は前記無機安定化赤リン粒子に対する前記含リンポリオール及び前記ポリイソシアネートの添加量は0.5~3.0重量%であることが好ましい。前記赤リン粒子又は前記無機安定化赤リン粒子に対する前記含リンポリウレタンの被覆量が0.5重量%未満であると、赤リン粒子又は無機安定化赤リン粒子の表面の一部が露出するようになるので、その被覆量の減少に比例して所定の効果が奏されなくなる。また、前記赤リン粒子又は前記無機安定化赤リン粒子に対する前記含リンポリウレタンの被覆量が3.0重量%を超えても、含リンポリウレタン被覆形成による効果が飽和してしまうため、無駄となる。
【0017】
同じく、係る態様の難燃性被覆赤リンを形成するためのポリイソシアネートとしては、市販のジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートあるいはこれらのポリイソシアネートをポリオールと反応させたり、カルボジイミド化した変性体及びこれらの混合物などを用いることができる。これらのポリイソシアネートは、硬質ポリウレタンフォーム形成用材料として広く知られているものであり、市販のものの中から適宜に選択して使用すればよいが、好ましくは、ジフェニルメタンジイソシアネート(クルードMDI、C-MDI、ポリメリックMDI等、何れも商品名、BASF INOACポリウレタン(株)製)である。
【0018】
また、本発明の別の態様の難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物は、ポリオール、難燃剤、整泡剤、三量化触媒、発泡剤、添加剤及びポリイソシアネートを含み、前記難燃剤は、少なくとも前記のいずれかに記載の難燃性被覆赤リンを含むことを特徴とする。
【0019】
係る態様の難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物によれば、難燃性被覆赤リンの表面被覆を形成する含リンポリウレタンは、リンを含んでいる以外は実質的にリンを含んでいないポリウレタンと同一の構成を備えているので、たとえ硬質ポリウレタンフォーム形成材料中で比重差によって難燃性被覆赤リンが沈降ないし凝集することがあっても、硬質ポリウレタンフォーム形成前に撹拌することにより容易に硬質ポリウレタンフォーム形成材料中に均質に分散させることができる。しかも、この難燃性被覆赤リン中には含リンポリオール由来の未反応水酸基が残留しており、ポリオール中への分散安定性が改善される。また、難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物形成時にこの水酸基と新たに供給されたポリイソシアネートとが反応して硬化するので、難燃剤添加によるポリウレタンフォームの物性低下が軽減でき、難燃剤添加量を増やすことも可能となる。加えて、難燃性被覆赤リンの表面被覆を形成する含リンポリウレタン自体も難燃性を備えているため、係る態様の難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物は、難燃性が非常に良好となる。
【0020】
なお、係る態様の難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物は、ポリオールとポリイソシアネートとが反応してポリウレタンを形成することにより硬化するため、その粘度は時間の経過と共に大きくなる。そのため、難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物を形成する前は、ポリオールとポリイソシアネートとが同時に含まれないように少なくとも二分割し、少なくともポリオールを含有する側に前記のいずれかに記載の難燃性被覆赤リンを添加しておけばよい。そして、使用直前に全てを混合し、所定の発泡処理を行うことにより、所定の難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物が得られる。
【0021】
係る態様の難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物においては、前記難燃性被覆赤リンの含有割合は、前記ポリオール100重量部に対して5~80重量部の範囲であることが好ましい。その難燃剤含有量がポリオール100重量部に対して5重量部未満であると難燃剤の含有割合が少なすぎて難燃性が低下してしまうし、また、その難燃剤含有量がポリオール100重量部に対して80重量部を越えると、得られる難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物の強度が低下し、もろくなる。
【0022】
なお、係る態様の難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物においては、難燃剤として、前記の難燃性被覆赤リン以外に難燃性硬質ポリウレタン用難燃剤として周知の成分を適宜に選択して追加添加してもよい。
【0023】
係る態様の難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物においては、前記ポリイソシアネートとして、前記の含リンポリウレタンを形成するためのポリイソシアネートと同一のもの、すなわち、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートあるいはこれらのポリイソシアネートをポリオールと反応又はカルボジイミド化した変性体及びこれらの混合物から選択された少なくとも一種を用いることができる。
【0024】
また、係る態様の難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物においては、前記ポリオールは、ポリエスエルポリオール又はポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールの混合物からなることが好ましい。
【0025】
ポリエステルポリオールとしては、多価アルコール-多価カルボン酸縮合体のポリエステル系ポリオールや環状エステル開環重合体のポリエステル系ポリオール等が挙げられ、その際、多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、メチルプロパンジオール等が挙げられ、カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が挙げられ、開環系としてはグリコールにε-カプロラクトンを開環付加重合させたポリエステル系ポリオールが挙げられる。
【0026】
また、ポリエーテルポリオールとしては、エチレンジアミン、トリレンジアミン、ジアミノトルエンなどの多官能性アミノ基含有化合物に、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドを付加した2~8個の水酸基を含有し、平均水酸基価が20~4000程度のポリエーテルポリオールあるいはこれらのポリエーテルポリオールにビニル基含有化合物を重合したポリマーポリオールも用いることができる。難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物は、主として現場発泡で使用することからすれば、瞬時に発泡・硬化することが望まれるため、前記のポリエステル系ポリオールに加えて、エチレンジアミン等の自己活性の高い化合物を開始剤としたポリエーテル系ポリオールを含めることも可能である。これらのポリエステルポリオールやポリエーテルポリオールは、硬質ポリウレタンフォーム形成用材料として広く知られているものであり、市販のものの中から適宜に選択して使用すればよい。
【0027】
係る態様の難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物においては、前記ポリイソシアネートと前記ポリオールとの含有割合は、イソシアネートインデックスで表して200~800、好ましくは300~600、より好ましくは450~600となる割合とすることが望ましい。
【0028】
なお、ウレタン形成反応は以下の反応式(I)のように進行するが、イソシアネートインデックスとはイソシアネートにおけるイソシアネート基のモル数をポリオールの水酸基などの活性水素基の合計モル数で割った値に100を掛けた値である。
【0029】
イソシアネートインデックスが大きいほど得られるウレタンフォームの難燃性が良好となるが、同時に脆くなって強度が低下すため、ポリイソシアネートとポリオールとの含有割合は、イソシアネートインデックスで表して200~800の範囲とすることで一応良好な特性を備えた難燃性硬質ポリウレタンフォームが得られ、好ましくは300~600、より好ましくは450~600とすることにより、得られるウレタンフォームの難燃性と強度のバランスが取れた難燃性硬質ポリウレタンフォームが得られる。
【0030】
係る態様の難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物においては、前記整泡剤はオルガノポリシロキサン、オルガノポリシロキサン・ポリアルキレン共重合体及びポリアルキレン側鎖を有するポリアルケニルシロキサンからなるシリコーン系界面活性剤からなる群より選択される少なくとも一種であり、前記整泡剤の含有割合は、前記ポリオール100重量部に対して0.3~5重量部の範囲であることが好ましい。整泡剤の含有割合がポリオール100重量部に対して0.3重量部未満であると、形成される泡の大きさが不均一となるため、均質な難燃性硬質ポリウレタンフォームが得られなくなる。また、整泡剤の含有割合がポリオール100重量部に対して5重量部を越えても、得られる効果が飽和するので、無駄となる。
【0031】
係る態様の難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物においては、前記触媒は三量化触媒単独又は三量化触媒とウレタン化触媒との混合物からなり、前記触媒の含有割合は、前記ポリオール100重量部に対して2~10重量部の範囲であることが好ましい。これらの触媒の含有量は、ポリオール100重量部に対して2重量%未満であると触媒添加の硬化が良好に発揮されず、また、10重量部を越えても触媒添加の効果が飽和してしまう。
【0032】
なお、三量化触媒は、ポリイソシアネートのイソシアネート基を反応させて三量体化し、イソシアヌレート間の生成を促進するためのものであり、周知のトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4-ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン等の窒素含有芳香族化合物、2-エチルヘキサン酸カリウム、オクチル酸カリウム等のカルボン酸アルカリ金属塩、トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリフェニルアンモニウム塩等の3級アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム、テトラフェニルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩、酢酸カリウム等を使用することができる。
【0033】
また、ウレタン化触媒としては、周知のトリエチレンジアミン・ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル・N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン等のアミン化合物、ジブチルチンジラウレート・スタナスオクトエート等の金属系触媒等を使用することができる。
【0034】
係る態様の難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物においては、発泡剤としては水を用いる。水は市水でも良く、好適にはイオン交換水や蒸留水を用いる。ただし、水のみでは所望の性能発現が難しい場合があるため、発泡剤として水以外の発泡剤を併用する事が好ましい。併用する発泡剤としてHFO-1233zd(Z)やHFO-1336mzz(Z)(米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE)名)などのフッ素系化合物や、ペンタン、ヘキサン等の炭化水素や二酸化炭素(液化炭酸ガス)等が挙げられる。発泡剤の添加割合は、ポリオール100重量部に対して20重量部未満であると形成される難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物の密度が所望の値よりも高くなり、また、60重量部を越えると同じく所望の密度よりも低くなり、強度が小さくなって所望の物理強度が得られなくなる。
【0035】
係る態様の難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物においては、前記添加剤として、非ハロゲンリン酸エステル、非ハロゲン縮合リン酸エステル、含ハロゲンリン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル、臭素含有化合物、ホウ素含有化合物、アンチモン含有化合物、亜鉛含有化合物、スズ含有化合物、金属水酸化物、ケイ酸塩鉱物、リン酸塩含有化合物からなる群より選択される少なくとも一種を用いることができ、また、前記添加剤の含有割合は、前記ポリオール100重量部に対して20~150重量部の範囲とすることが好ましい。
【0036】
これらの添加剤は、難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物の構造材として作用すると共に、粘度調整剤、難燃剤としても作用するので、用途に応じて前記の添加剤成分及び添加量を適宜に選択することにより、所望の物理強度及び所望の難燃性を備えた硬質ポリウレタンフォームを形成することができる。なお、これらの添加剤の添加量には臨界的限度はないが、作業性、強度、難燃性の程度等も考慮し、ポリオール100重量部に対して20~150重量部の範囲とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0037】
以上述べたように、本発明によれば、難燃性被覆赤リンが硬質ポリウレタンフォーム形成材料中に添加された際、たとえ硬質ポリウレタンフォーム形成材料中で比重差によって沈降ないし凝集することがあっても、硬質ポリウレタンフォーム形成前に撹拌することにより容易に硬質ポリウレタンフォーム形成材料中に均質に分散させることができ、加えて、含リンポリオール自体も難燃性を備えているため、難燃性に優れた難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物を形成することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1Aは赤リン粒子の表面に含リンポリウレタン被覆を形成した難燃剤の模式断面図であり、
図1Bは無機安定化赤リン粒子の表面に含リンポリウレタン被覆を形成した難燃剤の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明に係る難燃性被覆赤リン及び難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物について、各種実施例及び比較例を用いて詳細に説明する。ただし、以下に示す各種実施例は、本発明の技術思想を具体化するための例を示すものであって、本発明をこれらの実施例に示したものに特定することを意図するものではない。本発明は特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。
【0040】
[調製例1]
まず、本発明の一態様の難燃性被覆赤リンを調製するための被覆形成溶液を用意した。この被覆形成溶液は、50%濃度のリン酸エステルポリオール(ダイガード580、商品名、大八化学工業(株)製)アセトン溶液が100重量部、ポリメリックMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)(ミリオネート MR-200、東ソー(株)製)4重量部及びアセトン50重量部からなる。これら成分を容器内で充分に撹拌・混合して、被覆形成用溶液とした。得られた被覆形成用溶液中のリン酸エステルポリオールとポリメリックMDIとのモル比は約0.2である。
【0041】
次いで、赤リン粒子として難燃剤用として市販されている赤リン(富士フィルム和光純薬(株)製)100gを用い、上述のようにして調製した被覆形成用溶液15.4gを加え、チルトヘッドミキサーを用いて30分間撹拌混合した。得られたスラリーを乾燥し、赤リン粒子の表面が含リンポリオール及びポリイソシアネートにより形成された含リンポリウレタンで被覆された実施例1で使用する難燃性被覆赤リン(以下、「被覆赤リン」ということがある。)を得た。
【0042】
この被覆赤リンの模式断面図を
図1Aに示した。すなわち、被覆赤リン10Aは、赤リン11の表面に直接含リンポリウレタンの被膜12が形成された構成を備えている。
【0043】
[調製例2]
また、実施例1で用いた赤リンに変えて市販の硫酸第一スズ安定化赤リンRP-607(商品名、クラリアントジャパン(株)製)を用いた以外は実施例1の被覆赤リンの場合と同様にして、実施例2~4で使用する硫酸第一スズ安定化赤リンの表面が含リンポリオール及びポリイソシアネートにより形成された含リンポリウレタンで被覆された難燃性被覆赤リン(以下、「被覆硫酸第一スズ安定化赤リン」ということがある。)を調製した。
【0044】
この被覆硫酸第一スズ安定化赤リンの模式断面図を
図1Bに示した。すなわち、被覆硫酸第一スズ安定化赤リン10Bは、赤リン11の表面が硫酸第一スズの被膜13で被覆され、この硫酸第一スズの被膜13の被膜の表面に含リンポリウレタンの被膜12が形成された構成を備えている。
【0045】
[実施例1]
実施例1の難燃性硬質ウレタンフォーム組成物は、以下のようにして調製した。
ポリオールとして市販のマキシモールRFK-509(商品名、川崎化成工業(株)製)を100重量部、触媒としてオクチル酸カリウム(エポニックDABCO K-15、エボニックインダストリーズAG製)を4重量部、発泡剤としてイオン交換水を0.5重量部及びオプテオン(登録商標名)1100(組成:HFO-1366mzz(Z)、三井・ケマーズフロロプロダクツ(株)製)を50重量部、シリコーン系整泡剤SH-193(小分名、ダウ・東レ(株)製)を3重量部、添加剤として塩素化リン酸エステルTMCPP(商品名、大八化学工業(株)製)を40重量部含有する第1の組成物を調製した。
【0046】
次いで、第2の組成物として市販のポリイソシアネートMR-200(商品名、東ソー(株)製)を110重量部となるように用意した。この第2の組成物中のポリイソシアネートの量は、第1の組成物中のポリオールに対するイソシアネートインデックス値が450となる量である。
【0047】
まず、別に用意した第1の組成物に被覆赤リンをポリオール100重量部に対して40重量部となるように添加して良く混合し、これを静置して被覆赤リンの分離開始時間を目視によって調べた。そして、分離した沈降物の再分散性は薬さじを用いた手撹拌で調べた。分離開始時間は約5時間であり、1か月間静置した場合の再分散は容易であった。
【0048】
また、上述のように調製した第1の組成物に被覆赤リンをポリオール100重量部に対して40重量部となるように添加混合し、さらに第2の組成物を添加混合して難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物を作成した。所定時間乾燥後に得られた難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物から所定の大きさに試料を切り出し、コンカロリメータを用いた発熱試験に供した。なお、コンカロリメータは、燃焼において発生する熱量は、消費する酸素の量との関係が有機材料の種類に関係なく、酸素1Kg当たり13.1MJとなるという原理に基づいて燃焼中の酸素消費量から材料の燃焼パラメーターである発熱速度、総発熱量等を計算して求める装置である。実施例1では、得られた硬質ポリウレタンフォーム組成物の最大発熱速度は37kW/m2、総発熱量は6.8MJ/m2という結果が得られた。結果を組成と共に纏めて表1に示した。
【0049】
[実施例2]
実施例2では、難燃剤として実施例1で用いた被覆赤リンに換えて被覆硫酸第一スズ安定化赤リンを同量用いた以外は全て実施例1の場合と同様にし、被覆硫酸第一スズ安定化赤リンの分離開始時間及び再分散性と、得られた硬質ポリウレタンフォーム組成物の最大発熱速度及び総発熱量を測定した。その結果、分離開始時間は約5時間であり、1か月間静置した場合の再分散は容易であり、また、最大発熱速度は39kW/m2、総発熱量は6.7MJ/m2という結果が得られた。結果を組成と共に纏めて表1に示した。
【0050】
[比較例1、比較例2]
比較例1では難燃剤として実施例1で用いた被覆赤リンに換えて難燃剤用として市販されている赤リン(富士フィルム和光純薬(株)製)を、同じく比較例2では市販の硫酸第一スズ安定化赤リンRP-607(商品名、クラリアントジャパン(株)製)そのものを、それぞれ実施例1の場合と同量用いた以外は全て実施例1の場合と同様にし、赤リンないし硫酸第一スズ安定化赤リンの分離開始時間及び再分散性、それぞれの得られた硬質ポリウレタンフォーム組成物の最大発熱速度及び総発熱量を測定した。
【0051】
その結果、比較例1では分離開始時間は約2時間であり、1か月間静置した場合の再分散は非常に困難であり、また、最大発熱速度は53kW/m2、総発熱量は7.3MJ/m2という結果が得られた。さらに、比較例2では分離開始時間は約2時間であり、1か月間静置した場合の分散は非常に困難であり、また、得られた硬質ポリウレタンフォーム組成物の最大発熱速度65kW/m2、総発熱量7.0MJ/m2という結果が得られた。比較例1及び比較例2の結果をそれぞれの組成と共に纏めて表1に示した。
【0052】
[実施例3及び実施例4]
実施例2ではポリオールとイソシアネートの混合割合をポリオール100重量部に対してイソシアネート110重量部、イソシアネートインデックスで表して450となるようにして硬質ポリウレタンフォーム組成物を形成した例を示したが、実施例3ではポリオール100重量部に対してイソシアネート80重量部、イソシアネートインデックスで表して300、実施例4ではポリオール100重量部に対してイソシアネート140重量部、イソシアネートインデックスで表して600となるようにした以外は全て実施例2の場合と同様にして硬質ポリウレタンフォーム組成物を調製した。そして、それぞれの得られた硬質ポリウレタンフォーム組成物の最大発熱速度及び総発熱量を測定した。その結果、実施例3では最大発熱速度は43kW/m2、総発熱量は7.7MJ/m2という結果が得られ、実施例4では最大発熱速度は28kW/m2、総発熱量は4.5MJ/m2という結果が得られた。実施例3及び実施例4の結果をそれぞれの組成と共に纏めて表1に示した。
【0053】
【0054】
表1に示した結果から、以下のことが分かる。すなわち、実施例1及び比較例1の結果を対比すると、難燃剤として市販されている赤リン(比較例1)と、この赤リンの表面を含リンポリウレタンで被覆した被覆赤リン(実施例1)とでは、実施例1の方が沈降を開始するまでの時間(分離開始時間)が比較例1の方の倍以上も長くなるとともに、分離・沈降した比較例1の赤リンはハードケーキ状となっていて再分散が困難であったのに対し、実施例1の被覆赤リンは撹拌することにより容易に再分散することができた。
【0055】
そのため、赤リンの表面を含リンポリウレタンで被覆した実施例1の被覆赤リンは、赤リンの表面が含リンポリウレタンで被覆されていない比較例1の赤リンに比すると、硬質ポリウレタンフォーム形成用組成物中で長時間安定した状態に分散できるとともに、具体的な測定結果は示していないが、形成された硬質ポリウレタンフォーム組成物中でも均質に分散していることが推定される。
【0056】
このような傾向は、比較例2と実施例2の測定結果からも確認できる。すなわち、難燃剤として比較例2は硫酸第一スズ安定化赤リンそのものを、実施例2は硫酸第一スズ安定化赤リンの表面を含リンポリウレタンで被覆した被覆硫酸第一スズ安定化赤リンをそれぞれ用いた例であるが、実施例2の方が分離開始時間が比較例2の方の倍以上も長くなるとともに、分離・沈降した被覆赤リンは撹拌することにより容易に再分散することができることがわかる。なお、難燃剤として赤リンの表面が含リンポリウレタンで被覆されている実施例1のものを用いた場合と硫酸第一スズ安定化赤リンの表面が含リンポリウレタンで被覆されている実施例2のものを用いた場合とでは、分離開始時間及び分離・沈降した成分の再分散の程度はほぼ同等であった。
【0057】
加えて、得られた硬質ポリウレタンフォーム組成物の最大発熱速度及び総発熱量は、両方共に硫酸第一スズ安定化赤リンの表面を含リンポリウレタンで被覆した実施例2の方が、表面が含リンポリウレタンで被覆されていない硫酸第一スズ安定化赤リンそのものである比較例2の場合よりも小さくなっており、難燃性が非常に良好になっていることが確認できた。なお、難燃剤として赤リンの表面が含リンポリウレタンで被覆されている実施例1のものを用いた場合と硫酸第一スズ安定化赤リンの表面が含リンポリウレタンで被覆されている実施例2のものを用いた場合とでは、最大発熱速度及び総発熱量は、実質的な差異は認められず、ほぼ同等であった。
【0058】
また、実施例2~4の硬質ポリウレタンフォーム組成物は、ポリオール100重量部に対するイソシアネート添加量がそれぞれ110重量部(実施例2)、80重量部(実施例3)、140重量部(実施例4)、イソシアネートインデックで表すとそれぞれ450(実施例2)、300(実施例3)、600(実施例4)と異なる例であるが、イソシアネートインデックスが大きくなればなるほど最大発熱速度及び総発熱量が小さくなっている。このことは、硬質ポリウレタンフォームの難燃性を向上させるためには、ポリオールに対するイソシアネートの添加量を多くしてイソシアネートインデックスを大きくすれば良いことを示すものであるが、イソシアネートインデックスが大きくなると、形成された硬質ポリウレタンフォームが脆くなり、低強度となるため、実用的ではなくなる。好ましいポリオールに対するイソシアネートの添加量は、イソシアネートインデックスで表して200~800となる割合であり、より好ましくは300~600、さらに好ましくは450~600であると認められる。
【符号の説明】
【0059】
10A…被覆赤リン
10B…被覆硫酸第一スズ安定化赤リン
11…赤リン
12…含リンポリウレタンの被膜
13…硫酸第一スズの被膜
【要約】
【課題】質ポリウレタンフォーム中の分散性が良好で、難燃性の良好な硬質ポリウレタンフォームを形成することができる難燃性被覆赤リン及び該難燃性被覆赤リンを含む難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物を提供する。
【解決手段】本発明の一態様の難燃性被覆赤リン10A、10Bは、赤リン粒子11又は硫酸第一スズの被膜13等を有する無機安定化赤リン粒子の表面が含リンポリオール及びポリイソシアネートにより形成された含リンポリウレタンの被膜12で被覆されていることを特徴とする。また本発明の別の態様の難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物は、ポリオール、難燃剤、整泡剤、三量化触媒、発泡剤、添加剤及びポリイソシアネートを含む難燃性硬質ポリウレタンフォーム組成物であって、前記難燃剤として少なくとも前記難燃性被覆赤リンを含むことを特徴とする。
【選択図】
図1