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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】乾湿度合測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/02 20060101AFI20220118BHJP
【FI】
G01N27/02 B
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019074416
(22)【出願日】2019-04-09
(65)【公開番号】P2020173142
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2019-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】391016358
【氏名又は名称】東芝情報システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100074147
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 功次
(72)【発明者】
【氏名】近藤 信一
(72)【発明者】
【氏名】中山 亜由美
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特公昭63-019021(JP,B2)
【文献】特開2019-045432(JP,A)
【文献】特開2001-013087(JP,A)
【文献】特開2001-264276(JP,A)
【文献】特開2010-240181(JP,A)
【文献】特開昭61-221640(JP,A)
【文献】特開2003-207474(JP,A)
【文献】登録実用新案第3156521(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0050763(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N27/00-G01N27/24
D06F55/00-D06F55/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物の第1の面側に離間して設けられる第1の電極及び第2の電極と、
記第1の電極に所定電位を印加する一方、前記第2の電極にアース電位を与える電源部と、
前記第1の電極と前記第2の電極間の電圧に基づき前記測定対象物のインピーダンスを測定する測定部と、
前記測定対象物における前記第1の面の裏方向に存在する第2の面側に設けられ、前記所定電位も前記アース電位も与えられず、前記第1の電極及び前記第2の電極とはショートしていない第3の電極と、
を具備し、
前記第2の面側には、前記所定電位を与える電極及び前記アース電位を与える電極が存在せず、
前記測定対象物の前記第1の面側に前記第1の電極及び前記第2の電極を設け、前記測定対象物の前記第2の面側に前記第3の電極を設けて前記測定部において測定を行う第1のモードと、前記測定対象物の前記第1の面側に前記第1の電極及び前記第2の電極を設け、前記測定対象物の前記第2の面側に前記第3の電極を設けずに前記測定部において測定を行う第2のモードと、
を備えることを特徴とする乾湿度合測定装置。
【請求項2】
前記第1の電極と前記第2の電極とを収納する第1の保持部材と、
前記第3の電極を収納する第2の保持部材と
を具備し、
前記電源部と前記測定部とが、前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とのいずれか一方に保持されることを特徴とする請求項1に記載の乾湿度合測定装置。
【請求項3】
前記第3の電極は2つの子電極と、この2つの子電極を電気的に短絡するショート部材とにより構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の乾湿度合測定装置。
【請求項4】
前記第1の電極の先端及び前記第2の電極の先端が尖らされており、測定対象物の内部に前記先端が挿入されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の乾湿度合測定装置。
【請求項5】
前記第3の電極の先端が尖らされており、測定対象物の内部に前記先端が挿入されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の乾湿度合測定装置。
【請求項6】
前記第3の電極を用いずに、測定が可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の乾湿度合測定装置。
【請求項7】
前記第1の保持部材と前記第2の保持部材との間に、前記測定対象物を挟む構成を有することを特徴とする請求項2に記載の乾湿度合測定装置。
【請求項8】
前記電源部は、交流電源を用いることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の乾湿度合測定装置。
【請求項9】
前記第1の電極及び前記第2の電極、前記電源部、前記測定部を、前記測定対象物の重力方向の下側の面に設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の乾湿度合測定装置。
【請求項10】
前記第3の電極を用いずに測定が可能であり、装置を、前記測定対象物の内部に設けて測定可能であることを特徴とする請求項1に記載の乾湿度合測定装置。
【請求項11】
前記測定部の測定結果を送信する送信部が備えられていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の乾湿度合測定装置。
【請求項12】
前記第3の電極と略同じ面積の第4の電極を、前記第3の電極に隣接させて設け、
前記第3の電極と略同じ面積の第5の電極を、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けたことを特徴とする請求項1に記載の乾湿度合測定装置。
【請求項13】
前記第1の電極の先端及び前記第2の電極の先端が尖らされており、測定対象物の内部
に前記先端が挿入される構成及びまたは、前記第3の電極、前記第4の電極、前記第5の電極の少なくとも1電極が尖らされており、測定対象物の内部に前記先端が挿入される構成となっていることを特徴とする請求項12に記載の乾湿度合測定装置。
【請求項14】
第1片と第2片とがバネを介して結合された洗濯バサミ型の形状を有し、前記第2片が導体であり、第3の電極として機能することを特徴とする請求項1に記載の乾湿度合測定装置。
【請求項15】
前記第2片と前記バネとが一体化され、前記第2片が導体であり、第3の電極として機能することを特徴とする請求項14に記載の乾湿度合測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乾湿度合測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の布などの洗濯物の乾湿度合を測定するには、赤外線やサーモ装置などにより測定が可能であり、また、電気抵抗により測定が可能であることが知られている。また、電極を付けたハンガーなどに洗濯物をセットして、乾湿度合を測定する手法も知られている。しかしながら、上記のような構成によれば、高価なものとなったり、測定箇所が固定されてしまったり、電力量が大きく小型電池での駆動による頻繁な計測には不向きである、などという問題があった。
【0003】
非特許文献1には、ハンガー等に2個の電極を取り付け、ハンガー等に掛けられた濡れた洗濯物の電気抵抗値を測定して乾き具合を測定することが開示されている。
【0004】
特許文献1には、肌乾湿度を色彩に変換する半導体素子内蔵の画像表示装置で、肌乾湿度を判明させることが開示されている。
【0005】
特許文献2には、洗濯物を吊下げ保持する手段に吊下げ保持された洗濯物の重量変化を検出するセンサーを設け、重量変化により乾燥状態を把握することが開示されている。
【0006】
特許文献3には、電波を洗濯物に向けて射出し、洗濯物を透過した電波強度を検出して、上記洗濯物の乾燥度合を検出することが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】田島奈々美、外2名、" AwareHanger: 洗濯物の乾き具合を通知するハンガーの研究" 、インタラクション論文集、情報処理学会シンポジウムシリーズ、2011年(3 月)、pp.227-230、情報処理学会、〔online〕学術機関リポジトリデータベース(IRDB)、インターネット<http://jairo.nii.ac.jp>
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2011-217987号公報
【文献】特開昭62-253100号公報
【文献】特開2007-195745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、洗濯物などの測定対象物について、内部に含まれている水分など含有量に対応する乾湿度合を、従来以上に広い範囲に亘って適切に正確に把握することが可能な乾湿度合測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本実施形態に係る乾湿度合測定装置は、測定対象物の第1の面側に離間して設けられる第1の電極及び第2の電極と、前記第1の電極に所定電位を印加する一方、前記第2の電極にアース電位を与える電源部と、前記第1の電極と前記第2の電極間の電圧に基づき前記測定対象物のインピーダンスを測定する測定部と、前記測定対象物における前記第1の面の裏方向に存在する第2の面側に設けられ、前記所定電位も前記アース電位も与えられず、前記第1の電極及び前記第2の電極とはショートしていない第3の電極と、を具備し、前記第2の面側には、前記所定電位を与える電極及び前記アース電位を与える電極が存在せず、前記測定対象物の前記第1の面側に前記第1の電極及び前記第2の電極を設け、前記測定対象物の前記第2の面側に前記第3の電極を設けて前記測定部において測定を行う第1のモードと、前記測定対象物の前記第1の面側に前記第1の電極及び前記第2の電極を設け、前記測定対象物の前記第2の面側に前記第3の電極を設けずに前記測定部において測定を行う第2のモードと、を備えることを特徴とする。

【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る乾湿度合測定装置の構成図。
図2】第2の実施形態に係る乾湿度合測定装置の構成図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のI-I断面図。
図3】第3の実施形態に係る乾湿度合測定装置の要部である電極部分の側面図。
図4】第4の実施形態に係る乾湿度合測定装置の要部である電極部分の側面図。
図5】第5の実施形態に係る乾湿度合測定装置の要部である電極部分の側面図及び電極の斜視図。
図6】第6の実施形態に係る乾湿度合測定装置の要部である電極部分の側面図及び電極の斜視図。
図7】第7の実施形態に係る乾湿度合測定装置の要部である電極部分の側面図。
図8】第8の実施形態に係る乾湿度合測定装置の要部である電極部分の側面図。
図9】第9の実施形態に係る乾湿度合測定装置の要部である電極部分の側面図。
図10】第10の実施形態に係る乾湿度合測定装置の要部である電極部分の側面図。
図11】第11の実施形態に係る乾湿度合測定装置の構成図。
図12】第12の実施形態に係る乾湿度合測定装置の要部である電極部分の側面図。
図13】第13の実施形態に係る乾湿度合測定装置の構成図。
図14】第14の実施形態に係る乾湿度合測定装置の要部構成図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下添付図面を参照して、本発明に係る乾湿度合測定装置の実施形態を説明する。各図において、同一の構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1には、第1の実施形態に係る乾湿度合測定装置の構成図が示されている。この乾湿度合測定装置は、第1の電極11、第2の電極12、第3の電極13を備える。第1の電極11、第2の電極12、第3の電極13は、例えば、数ミリ程度の厚さと平面形状が正方形あるいは長方形形状である。平面面積は、特に限定されないが、通常は10mm×10mm~20mm×20mm程度が用いられる。
【0013】
第1の電極11と第2の電極12は、測定対象物21の第1の面22側に離間して設けられる。第3の電極13は、上記測定対象物21における上記第1の面22の裏方向に存在する第2の面23側に設けられる。
【0014】
更に、本実施形態に係る乾湿度合測定装置は、電源部30と測定部40とを備えている。電源部30は、上記第1の電極11に所定電位を印加し、上記第2の電極12にアース電位を与えるもので、電池31と電源スイッチ32とを備えている。電池31によって発生される電圧VDDが抵抗33を介して第1の電極11へ与えられる。
【0015】
また、測定部40は、上記第1の電極11と上記第2の電極12間の電圧に基づき上記測定対象物21のインピーダンスを測定するものである。測定部40は、抵抗33と第1の電極11との間からアンプ41を介して電圧を取り出し、AD変換部42へ送る。AD変換部42は、アンプ41から到来するアナログ電圧をディジタル化して主演算処理回路部43へ送出する。
【0016】
主処理回路部43は、マイクロコンピュータと送信部を主な構成要素としており、AD変換部42から到来するディジタル電圧を用いて測定対象物21のインピーダンスを求める。つまり、電源部30によって一定の電流値が測定対象物21へ流されており、この一定の電流値をマイクロコンピュータが予め保持していることにより、上記ディジタル電圧を用いて測定対象物21のインピーダンスを求めるものである。インピーダンスを乾湿度合値とすることも可能である。
【0017】
インピーダンスまたは乾湿度合値のデータは送信部から、測定対象物21の乾湿度合を監視している例えばユーザの携帯電子端末等へ送られる。携帯電子端末等は、スマートフォン、携帯電話機、PDA(パーソナル・ディジタル・アシスタント)、PC(パーソナル・コンピュータ)等とすることができる。
【0018】
また、測定対象物21は、主に洗濯物であるが、これに限らず、干物などの食べ物、土壌などであっても良い。また、湿り気を与える液体は主に水であるが、油などのような導電性を有する液体であっても良い。
【0019】
図1では、ペアの電極間のインピーダンスを1つの抵抗シンボルで示しているが、これは、斜め方向や直線ではなく曲線的な経路のインピーダンスを含んでいるものを示したシンボルである。本実施形態の乾湿度合測定装置では、図1に示されるように、第1の電極11と第2の電極12間のインピーダンスRh1、第1の電極11と第3の電極13間のインピーダンスRv1、第2の電極12と第3の電極13間のインピーダンスRv2を合わせたインピーダンスを適切に捉えることができると予測される。
【0020】
図2には、第2の実施形態に係る乾湿度合測定装置を示す。この第2の実施形態では、乾湿度合測定装置が第1片51と第2片52とにより構成される洗濯バサミ型の形状を有している。第1片51は、手をかける把持部53を有し、第2片52は、手をかける把持部54を有している。把持部53より他端側は第1の保持部材55となっており、把持部54より他端側は第2の保持部材56となっている。把持部53と第1の保持部材55の間は傾斜した連絡部57により結合されており、把持部54と第2の保持部材56の間は傾斜した連絡部58により結合されている。連絡部57の内側斜面と連絡部58の内側斜面には、バネ59が埋設されており、第1片51はと第2片52を結合している。第1片51はと第2片52はバネ59を中心に回動し、第1の保持部材55と第2の保持部材56の間が閉じたり開いたりする。バネ59は、第1の保持部材55と第2の保持部材56の間が閉じるように付勢している。これにより、上記第1の保持部材55と上記第2の保持部材56との間に、上記測定対象物21を挟む構成を有することになる。
【0021】
第1の保持部材55と第2の保持部材56の対向する面には、窪んだ収納室55A、56Aが形成されており、収納室55Aに第1の電極11と第2の電極12とが収納されることにより、第1の保持部材55が第1の電極11と第2の電極12とを収納している。収納室56Aに第3の電極13が収納されることにより、第2の保持部材56が第3の電極13を収納している。
【0022】
上記電源部30と上記測定部40とが、上記第1の保持部材55と前記第2の保持部材56とのいずれか一方に保持される。本実施形態では、上記電源部30と上記測定部40とが収納室55Aに収納固定されて、上記第1の保持部材55に保持された状態となる。
【0023】
勿論、上記第1の保持部材55と上記第2の保持部材56との間に、上記測定対象物21を挟むときには、第1の電極11と第2の電極12とが上記測定対象物21の第1の面22側と電気的接続を得るようになり、第3の電極13と上記測定対象物21の第2の面23側と電気的接続を得るようになる。
【0024】
第1の実施形態と第2の実施形態では、上記第3の電極13を用いずに、測定が可能である。第1の実施形態では、上記第3の電極13に対し、第1の電極11と第2の電極12とは、接続されるなどしていないために、上記第3の電極13を除外して、第1の電極11と第2の電極12のみを測定対象物21の第1の面22側に離間して設ける。この場合の模型的な回路図は、図3に示すようになり、これが第3の実施形態である。つまり、第1の電極11と第2の電極12との間の合成抵抗RLは、RL=R1となる。係る態様によって薄い生地の洗濯物などに対して乾湿度合測定を、第3の電極13を用いることなく可能である。
【0025】
第4の実施形態による乾湿度合測定を行った場合の模型的な回路図を、図4に示す。第3の電極13を、2つの子電極13s、13sと、この2つの子電極13s、13sを電気的に短絡するショート部材16と、によって構成したものである。子電極13sと子電極13sとの間には電極が存在しないために、子電極13sと子電極13sとの間から、第1の電極11と第2の電極12までの領域に存在する測定対象物21の組成物によるインピーダンスが測定されない可能性があるが、この測定されない可能性があるインピーダンスが無視できる程度であれば、本実施形態によっても実用上問題のない測定が可能である。
【0026】
第1の電極11と第2の電極12と子電極13s(第3の電極13も同じ)の電極形状の変形例を図5図6に示す。図5は、第5の実施形態に係る乾湿度合測定装置の要部を示し、図6は、第6の実施形態に係る乾湿度合測定装置の要部を示す。図5(a)に示した電極の形状は、球心を含む円に平行な円の平面により、当該球をカットした場合の部分球形状とでも称する形状である(図5(b))。図6に示した各電極の形状は、図6(b)に示す四角錐形状や図6(c)に示す台形を積層した台形柱形状と呼ぶことができるものである。電極の先端が尖らされ(鋭角でなく、なだらかな形状も含む)ており、測定対象物21の内部に上記先端が挿入されることを特徴とする。この電極の形状によれば、測定対象物21の表面から内部までの範囲で、または測定対象物21の表面から内部方向へ押し下げた位置までの範囲で、のインピーダンスが測定できることが期待され、測定部位を広くとる必要がある場合などに好適である。
【0027】
図7図10には、測定対象物21の内部方向へ棒状に延びる形状の電極または、測定対象物21の内部方向へ棒状に延びる形状部分を有する電極を採用した乾湿度合測定装置の要部が、模型的な回路図によって示されている。棒状の形状は、いずれも細い(例えば10mm以下)の円柱、角柱であり、ここでは図に現れないが、測定対象物21の内部方向へ尖っていても良い。図7の例は第7の実施形態に係る乾湿度合測定装置の要部であり、第1の実施形態における第1電極11と第2電極12に上記形状の電極を採用したものである。この実施形態では、第1電極11と第2電極12間において、測定対象物21の内部のインピーダンスを計測して乾湿度合測定を行うことが求められる場合に好適である。
【0028】
図8は第8の実施形態に係る乾湿度合測定装置の要部を示す。図8の例は、図7の例において、第3の電極13の両先端13e、13eが測定対象物21の内部方向へ棒状に延びる形状部分となっている。この実施形態では、図7の実施形態に加えて、第3の電極13の両先端13e、13eの部分において、測定対象物21の内部のインピーダンスを計測して乾湿度合測定を行うことが求められる場合に好適である。
【0029】
図9は第9の実施形態に係る乾湿度合測定装置の要部を示す。図9の例は、第1の実施形態において、第3の電極13の両先端13e、13eが測定対象物21の内部方向へ棒状に延びる形状部分となっている。この実施形態では、第1電極11と第2電極12の側における測定対象物21の内部のインピーダンスはあまり問題とせず、第3の電極13の両先端13e、13eの部分において、測定対象物21の内部のインピーダンスを計測して乾湿度合測定を行うことが求められる場合に好適である。
【0030】
図10は第10の実施形態に係る乾湿度合測定装置の要部を示す。図10の例は、図3の例において、第1電極11と第2電極12に上記形状の電極を採用したものである。この実施形態では、第1電極11と第2電極12間において、測定対象物21の内部のインピーダンスを計測して乾湿度合測定を行うことが求められる場合に好適である。
【0031】
図11は第11の実施形態に係る乾湿度合測定装置の要部を示す。図11の例は、第3の電極13を用いずに測定が可能であり、装置を、上記測定対象物21の内部に設けて測定可能である。即ち、電源部30と測定部40とを絶縁モジュール50内に閉じ込め、電源部30と測定部40から絶縁被膜を有するリード線61、62を電極に接続したものである。リード線61を第1の電極11に接続し、リード線62を第2の電極12に接続している。測定対象物21の内部における第1電極11が配置された位置と第2電極12が配置された位置の間のインピーダンスを計測して乾湿度合測定を行うことが求められる場合に好適である。
【0032】
図12は第12の実施形態に係る乾湿度合測定装置の要部を示す。図12の例は、第3の電極13と同じく、第1の電極に対しては第2の電極の如くに対向する電極の機能を有し、第2の電極に対しては第1の電極の如くに対向する電極の機能を有する電極を複数設けて測定範囲の拡大を図ったものである。具体的には、図1の実施形態における電極配置状態から、第1の電極11と第2の電極12との距離を長くする。例えば、図1の第3の電極13の長さの1.5倍程度の距離を設けることができる。更に、第1の電極11と上記第3の電極13と略同じ面積の第4の電極14を、上記第3の電極13に隣接させて設け、上記第3の電極と略同じ面積の第5の電極15を、上記第1の電極11と上記第2の電極12との間に設けたものである。
【0033】
各電極間のインピーダンスを図12に示す如く、Rh1、Rh2、Rh3、Rv1、Rv2、Rv3、Rv4とするとき、第1の電極11と第2の電極12との間の合成抵抗RLは、或る関数fを用いて、RL=f(Rh1、Rh3、Rh3、Rv1、Rv2、Rv3、Rv4)と表すことができる。測定範囲を拡大してインピーダンスを計測して乾湿度合測定を行うことが求められる場合に好適である。第4の電極14や第5の電極15に相当する電極を更に増やすことにより、より広範囲の計測が可能である。
【0034】
以上の実施形態において上記電源部30は、直流として説明を行ってきたが、交流電源を用いることも可能である。これにより、抵抗成分だけでなく、容量成分も測定することができるようになり、繊維に含んだ水分のみではなく、細胞などの内部に含まれている水分量などを測定することが可能となる。また、測定対象物21をその第2の面23が重力に近い側として用いるようにし、測定対象物21の第2の面に第1の電極11と第2の電極12が電気的接続を得るように取り付け、第3の電極13を第1の面22と電気的接続を得る構造にした測定装置とすることも可能である。この構成により、布などの下側につけることになり、水分などが重力により下に落ちるため、第1の電極11と第2の電極12のみを用いる構成であっても、より正確に乾湿度合測定することができる。第1の電極11と第2の電極12の電極だけでなく、電源部30と測定部40を測定対象物21の第2の面23側に設けるようにすることも可能である。この構成では、電極が上になり、重量が大きな基板等を含む電源部30と測定部40を絶縁モジュール内に閉じ込めて下にぶら下げられる構造とすると好適である。
【0035】
図13には、第13の実施形態に係る乾湿度合測定装置を示す。この第13の実施形態では、乾湿度合測定装置が第1片71と第2片72とにより構成される変形の洗濯バサミ型の形状を有している。第1片71は、一面が湾曲した面とされ、概ね直方体の形状の基部73を有し、この基部73の1つの側壁面から2条の棒状体74、74が伸びて形成されている。棒状体74、74の先端部には、第1の電極11と第2の電極12が露出して設けられている。一方の棒状体74の先端部には、第1の電極11が設けられ、他方の棒状体74の先端部には、第2の電極12が設けられている。本実施形態では、上記電源部30と上記測定部40とが基部73内に収納固定されている。棒状体74、74において、基部73の湾曲面と同じ側が湾曲面となっており、この湾曲面の裏面側に第1の電極11と第2の電極12が露出して設けられている。棒状体74、74の付根付近の基部73の湾曲していない平らな面には、一対の軸受75、75が突設されている。
【0036】
第2片72は、一方側が2条のアーム部76、76とされた平板に構成され、全体が導体であり、第3の電極13として機能する。アーム部76、76の反対側は2条のアーム部76、76を結合した面積を有し、手をかける把持部77となっている。アーム部76、76の付根付近の把持部77における第1片71と対向する面には、軸受78が突設されている。この軸受78は、第1片71の一対の軸受75、75の間隙に挿嵌され得る幅を有し、軸受75、75の穴と軸受78の穴とに嵌合される図示しない軸により、第2片72は、第1片71と結合される。軸受75、75と軸受78とに嵌合される図示しない軸には、図示しないバネが挿嵌される、このバネは第2片72と第1片71とが結合した状態で、第2片72のアーム部76、76を第1片71方向へ付勢する。アーム部76、76は先端部において小面積の平坦部76A、76Aを有し、アーム部76、76の平坦部76A、76Aよりも付根側において外側(第1片71と逆側)へ凸状に湾曲した湾曲部76B、76Bを有する。把持部77は、アーム部76、76との境界部付近から先端部へ向かって、外側(第1片71と逆側)へ反って形成されている。このため、前述のようにバネによって、第2片72のアーム部76、76が第1片71方向へ付勢された状態では、把持部77の先端側が大きく第1片71の平面から離間した状態を呈する。即ち、第13の実施形態に係る乾湿度合測定装置は、変形の洗濯バサミ型の形状を有している。
【0037】
このように、本実施形態は、第1片と第2片とがバネを介して結合された洗濯バサミ型の形状を有し、前記第2片が導体であり、第3の電極として機能するものである。これにより、上記棒状体74、74の第1の電極11と第2の電極12が設けられた面、アーム部76、76の間に、上記測定対象物21を挟む構成を有することになる。この場合に、前記第2片72が導体であるから、第2片72のいずれの部分においても測定対象物21との電気的コンタクトを得ることができ、適切な測定が可能であるという利点がある。また、アーム部76、76の反った形状によって、布団などの厚手の測定対象物21を的確に挟むことができる利点もある。
【0038】
図14に、第14の実施形態に係る乾湿度合測定装置の要部構成斜視図を示す。図14には、図13の実施形態の第2片72に変えて用いることができる第2片82が示されている。この第2片82は、コイルバネ81と、コイルバネ81の一方の巻端に接続する脚部83と、コイルバネ81の他方の巻端に接続する把持部84と、枠状の押当部85とを備えている。コイルバネ81、脚部83、把持部84、押当部85は、1本の導体線により構成されていて一体化されていても良く、また、個々の導体の部材であって一体化されていても良い。コイルバネ81、脚部83、把持部84、押当部85が、個々の導体の部材によって構成される場合には、個々の導体の部材が溶着や溶接などにより結合される。
【0039】
コイルバネ81は、図13の第1片71に設けられた一対の軸受75、75間に嵌合される寸法を有している。また、コイルバネ81の内径は軸受75、75に配置される軸の外径より僅かに大きく、当該軸が貫通されて、上記第2片82が第1片71に取り付けられる。若しくは、コイルバネ81の内径は軸受75、75に配置される軸の外径より遥かに大きく、コイルバネ81の中空部には、上記軸を貫通する軸穴を有する円筒状のスペーサが嵌合される。
【0040】
脚部83は、コイルバネ81の一方の巻端からコイルバネ81の軸に平行に外側へ延び、その後概ね直角にコイルバネ81の径方向に折り曲げられてコイルバネ81の径と同じ程度進んだ後に、コイルバネ81のラジアル方向へ所要寸法延びた位置で終端している。この終端位置から直線の部分が、第1片71に押し当てられる押当部83Aとなっている。
【0041】
把持部84は、コイルバネ81の他方の巻端からコイルバネ81の円における接線方向に延びる直線部84Aを有し、直線部84Aが適当な長さとなると、手を掛けやすいように適当な位置で折り曲げられループさせられて吊り輪型に形成されている。
【0042】
押当部85は、把持部84がコイルバネ81と結合する位置を始点とする概ね四角形の枠状をなしている。四角形の枠は、コイルバネ81の軸に平行な上辺枠86U及び下辺枠86Dと、上辺枠86Uの端部と下辺枠86Dの端部とを結ぶ2つの側辺枠87N、87Fとにより構成される、凸に湾曲している。
【0043】
コイルバネ81を軸受75、75間に配置して軸により第2片82を第1片71に取り付けたときに、コイルバネ81の付勢力で押当部85の上辺枠86Uが第1片71の第1の電極11と第2の電極12に当接し、把持部84のループの部位が第1片71から離間した状態となる。コイルバネ81が円として見える方向から第2片82を見たときに、押当部83Aと直線部84Aとがなす角度は、把持部84を第1片71まで近付けたときに、押当部85が第1片71から離間する寸法を考慮して適宜設計される。
【0044】
このように、図13の実施形態の第2片72に変えて第2片82を用いた乾湿度合測定装置の本実施形態は、第1片と第2片とがバネを介して結合された洗濯バサミ型の形状を有し、前記第2片が導体であり、第3の電極として機能するものである。これにより、上記棒状体74、74の第1の電極11と第2の電極12が設けられた面、押当部85の間に、上記測定対象物21を挟む構成を有することになる。この場合に、前記第2片82が導体であるから、第2片82のいずれの部分においても測定対象物21との電気的コンタクトを得ることができ、適切な測定が可能であるという利点がある。また、押当部85の反った形状によって、布団などの厚手の測定対象物21を的確に挟むことができる利点もある。
【符号の説明】
【0045】
11 第1の電極
12 第2の電極
13 第3の電極
13e 先端
13s 子電極
14 第4の電極
15 第5の電極
16 ショート部材
21 測定対象物
30 電源部
40 測定部
41 アンプ
42 変換部
43 主演算処理回路部
50 絶縁モジュール
51、71 第1片
52、72、7282 第2片
53、54、77、84 把持部
55、56 保持部材
55A、56A 収納室
57、58 連絡部
59 バネ
61、62 リード線
74 棒状体
76 アーム部
83 脚部
85 押当部
図1
図2
図3
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