(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】車線の部分の位置を判定するように動作可能な装置
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20220118BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20220118BHJP
G06T 7/70 20170101ALI20220118BHJP
【FI】
G06T7/00 650B
G08G1/16 C
G06T7/70 A
(21)【出願番号】P 2019536022
(86)(22)【出願日】2018-02-12
(86)【国際出願番号】 EP2018053462
(87)【国際公開番号】W WO2018146315
(87)【国際公開日】2018-08-16
【審査請求日】2019-07-03
(32)【優先日】2017-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518238850
【氏名又は名称】ヴィオニア スウェーデン エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】ピーチ、シルヴィア
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー、オウゲン
【審査官】藤原 敬利
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0358321(US,A1)
【文献】特開2015-022759(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0291276(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G06T 7/00- 7/90
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車ドライバ支援システム
において、車両が走行している道路の少なくとも1つの車線位置を判定する装置であって、
車線標識を映像として検出し、入力車線部分を形成するセンサを備え、
前記入力車線部分が、前記車両から最大入力車線距離まで前方に延在し、
複数の物体の各々についての物体位置シーケンスを判定することと、
前記物体位置シーケンス
の各々に近似させるように物体軌道を生成することと、
前記物体軌道の
各々のパラメータに従って、前記物体軌道を少なくとも1つの物体グループに分類することと、
前記物体グループの
各々について、
当該物体グループのメンバーである前記物体軌道の前記物体位置シーケンスを近似させるように、スワーム関数を生成することと、
前記スワーム関数に従って、車線の部分を表すスワーム車線部分を生成することと、を含み、
前記スワーム車線部分が、前記センサによる前記最大入力車線距離を超えて延在し、
前記センサによる前記入力車線部分が形成できない場合には、前記スワーム車線部分によって車線を判定し、
前記センサによる前記入力車線部分が形成可能な場合には、当該入力車線部分と前記スワーム車線部分とを結合して車線を判定することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記装置が、各物体位置シーケンスを前記車両の静止座標に変換するように更に構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記車両が走行している道路に対して静止している物体を破棄するように更に構成されている、請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのスワーム関数の各々が、前記対応するスワーム車線の中心線を画定する、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記中心線から左側方のオフセットを有する左車線ラインと、前記中心線から右側方のオフセットを有する右車線ラインと、を生成するように構成されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記右側方のオフセットが、車線幅の半分に等しい前記左側方のオフセットに等しい、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記スワーム車線部分が、前記車両から最大スワーム車線距離まで前方に延在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
各物体軌道が、第1の多項式関数及び第2の多項式関数を含む二重多項式形態を有し、前記第1及び第2の多項式関数が、多項式等価点で等しい、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記多項式等価点で評価された各物体軌道関数の一次導関数が、前記多項式等価点で評価された前記第2の多項式関数の一次導関数に等しい、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記多項式等価点で評価された各物体軌道関数の二次導関数が、前記多項式等価点で評価された前記第2の多項式関数の二次導関数に等しい、請求項8又は9に記載の装置。
【請求項11】
前記スワーム関数が、第1のクロソイド関数及び第2のクロソイド関数を含む二重クロソイド形態を有し、前記第1及び第2のクロソイド関数が、多項式等価点で等しい、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記スワーム関数の生成の間に、中間多項式関数が、前記それぞれの物体スワームのメンバーである前記物体軌道の前記物体位置シーケンスを近似するように生成され、前記スワーム関数が、前記中間多項式関数に関して判定される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記物体軌道が、各物体軌道の定数項の値に従って分類される、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
自動車ドライバ支援システム
において、自己車両が走行している道路の少なくとも1つの車線の部分の位置を判定する方法であって、
車線標識を映像として検出し、前記車両から最大入力車線距離まで前方に延在する入力車線部分を形成する工程と、
複数の物体の各々についての物体位置シーケンスを判定する工程と、
前記物体位置シーケンスの
各々に近似させるように物体軌道を生成する工程と、
前記物体軌道の
各々のパラメータに従って、前記物体軌道を少なくとも1つの物体グループに分類する工程と、
前記物体グループの
各々について、
当該物体グループのメンバーである前記物体軌道の前記物体位置シーケンスを近似させるように、スワーム関数を生成する工程と、
前記スワーム関数に従って、前記センサによる前記最大入力車線距離を超えて延在する車線の部分を表すスワーム車線部分を生成する工程と、
前記センサによる前記入力車線部分が形成できない場合に、前記スワーム車線部分によって車線を判定する工程と、
前記センサによる前記入力車線部分が形成可能な場合には、当該入力車線部分と前記スワーム車線部分とを結合して車線を判定する工程とを含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバ支援システム、より具体的には、車線を判定するためのドライバ支援システムのための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
事故が回避され、運転に関する法律が遵守されるために、車両の運転は、しばしば長期間にわたって、ドライバに集中を求める。このドライバの集中の経過は、事故の危険性及び/又は法律の非遵守の増加につながる。支援機能を行うことができるドライバ支援システムは、ドライバの車両(以下、「自己車両」と称する)に増々装着されている。例えば、支援機能は、ドライバの運転義務のいくつかをドライバから解放することを含むことができるか、又は、間違いが予想及び/若しくは回避され得るように、ドライバの動作を監視することを含むことができる。
【0003】
代替的に、支援機能は、ドライバが通常利用可能ではないいくつかの追加の機能を導入することができる。例えば、そのような追加の機能は、ドライバが運転タスクをより容易に行うことができるように、ドライバが通常有するよりも多くの情報を有することができるようにすることができる。例えば、バックする時にドライバにビデオ画像を提供することができる後部に面したカメラは、そのような追加の機能の一例を構成する。この例では、ビデオ画像は、ドライバがより容易かつ安全に後ろ向き駐車できるようにするが、実際は、必ずしも、ドライバの動作を監視しておらず、又は、彼らのためのいくつかのタスクを行っていない。
【0004】
したがって、ドライバ支援システムは、自己車両のドライバ、彼/彼女の乗客、及び他の道路使用者の危険性を低減させる。最終的には、ドライバ支援機能は、それらが自己車両を運転する態様の全てではなくてもほとんどを制御することができる程度に開発されるであろうと考えられている。この場合、ドライバ支援システムは、自律した運転システムになるであろう。
【0005】
ドライバ支援システムは、例えば、自己車両の速度を変えることにより自己車両の動作に積極的に関与することができる能動装置を含むことができる。ドライバ支援システムは、代替的に、又は、追加的に、例えば、ユーザが通知に反応することができるようにドライバに特別な運転状況を知らせる受動装置を含むことができる。例えば、ドライバ支援システムは、自己車両が不意に道路標識を横切って逸れる場合、音響信号を出すことができる。所与の自己車両は、受動システム及び能動システムの両方を含むことができる。
【0006】
一般に、ドライバ支援システムは、少なくとも1つのセンサを含むことができる。特定のセンサは、車両又はその周囲のパラメータを測定することができる。このようなセンサからのデータは、センサ測定値に基づいて結論を引き出すために処理される。その後、ドライバ支援システムは、結論の結果に基づいて、自己車両、又はドライバとのいくつかの相互作用をもたらすことができる。
【0007】
ドライバ支援システムで使用される潜在的なセンサの例としては、レーダシステム、ライダシステム、カメラ、車両間通信、及び車両対インフラストラクチャ通信が挙げられる。
【0008】
ドライバ支援システムは、運転の安全性又はドライバ監視の様々な異なる態様を制御するために使用され得る。例えば、ACC(「Adaptive Cruise Control:適応的クルーズ制御」)は、自己車両と道路上の直前の車両との間の距離を監視するためにRADARシステム又はLIDARシステムを使用することができる。センサは、前方の車両までの距離を判定することができる。ドライバ支援システムはまた、自己車両の速度を知り、かつ制御することができる。ドライバ支援システムは、前方の車両に対する予め規定された安全条件を維持するために自己車両の速度を制御する。例えば、ドライバ支援システムは、自己車両と前方の車両との間にある一定の距離を維持するために速度を制御することができる。代替的に、ドライバ支援システムは、ある地点を通過する前方の車両と同じ地点を通過する自己車両との間で予め定められた時間周期を維持するために速度を制御することができる。
【0009】
自己車両の周囲を監視して自己車両が走行している道路上又はそのまわりの他の車両及び実体の位置を特定する既存の運転支援システムが存在する。このようなドライバ支援システムは、周囲を監視することによって、自己車両の状況認識を維持することができる。この状況認識は、潜在的な危険をユーザに通知するために使用することができる。例えば、第2の車両が見えない地点にいる時に車線変更しているか、又は、自己車両の進路に割り込む第2の車両を検出している自己車両は、ドライバに通知され得る。例えば、状況認識もまた、ACCシステムへの入力として使用することができる。
【0010】
詳細かつ信頼できる状況認識を提供することは、多くの異なるドライバ支援機能にとって重要である。
【0011】
大多数の運転状況では、車両は、車線を走行している。すなわち、道路は、略平行ないくつかの車線に分割され、その各々は、車両がそれに沿って走行するべき回廊を形成する。時には、車線は、道路表面の道路標識で示され、これは、車線の境界がどこかをドライバに視覚的に示す。時には、道路標識がなく、ドライバは、対向交通の車線に逸れないように絶対に注意しなければならない。時には、車線標識は、道路の特別な区画に沿って変わる。例えば、道路に作業が行われている場合、車線はそれらの正常な構成に対して狭くなるかもしれない。
【0012】
例えば、車線標識が(例えば、雪によって)視界から不明瞭になる状況、又は、道路標識が存在しない状況では、ドライバ支援システムがカメラからの出力データを処理して車線の位置及び範囲を識別することはできない。車線標識は、また、他の車両又は物体によって見えなくなることもあり、又は、単に、カメラが、自己車両からある距離から先の車線標識を視覚的に識別することができないこともある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、ドライバ支援システムのための改良された装置、及びドライバ支援システムのための装置を動作させる方法を提供することであって、これらの問題の一部又は全てに対処しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、車両ドライバ支援システムのための装置が提供され、本装置は、車両が走行している道路の少なくとも1つの車線の部分の位置を判定するように動作可能であり、本装置は、複数の物体の各々についての物体位置シーケンスを判定することと、各それぞれの物体位置シーケンスを近似させるように物体軌道を生成することと、物体軌道の各々の少なくとも1つのパラメータの値に従って、物体軌道を少なくとも1つの物体グループに分類することと、各物体グループについて、それぞれの物体グループのメンバーである物体軌道の物体位置シーケンスを近似させるように、スワーム関数を生成することと、各当該スワーム関数に従って、スワーム車線部分を生成することであって、当該スワーム車線部分が、車線の部分を表す、生成することと、を行うように構成されている。
【0015】
有利なことに、本装置は、各物体位置シーケンスを車両の静止座標に変換するように更に構成されている。
【0016】
便利なことに、本装置は、車両が走行している道路に対して静止している物体を破棄するように更に構成されている。
【0017】
任意選択的に、少なくとも1つのスワーム関数の各々は、対応するスワーム車線部の中心線を画定する。
【0018】
有利なことに、本装置は、中心線から左側方のオフセットを有する左車線ラインと、中心線から右側方のオフセットを有する右車線ラインと、を生成するように構成されている。
【0019】
便利なことに、右側方のオフセットは、車線幅の半分に等しい左側方のオフセットに等しい。
【0020】
任意選択的に、スワーム車線部分は、車両から最大スワーム車線距離まで前方に延在する。
【0021】
有利なことに、本装置は、車両に装着されたセンサによる道路標識の検出を使用して導出される入力車線部分を受信するように構成され、入力車線部分は、車両から最大入力車線距離まで前方に延在し、スワーム車線部分は、最大入力車線距離を超えて延在する。
【0022】
便利なことに、各物体軌道は、第1の多項式関数及び第2の多項式関数を含む二重多項式形態を有し、第1の多項式関数及び第2の多項式関数は、多項式等価点で等しい。
【0023】
任意選択的に、多項式等価点で評価された各物体軌道関数の一次導関数は、多項式等価点で評価された第2の多項式関数の一次導関数に等しい。
【0024】
有利なことに、多項式等価点で評価された各物体軌道関数の二次導関数は、多項式等価点で評価された第2の多項式関数の二次導関数に等しい。
【0025】
便利なことに、スワーム関数は、第1のクロソイド関数及び第2のクロソイド関数を含む二重クロソイド形態を有し、第1及び第2のクロソイド関数は、多項式等価点で等しい。
【0026】
任意選択的に、スワーム関数の生成の間に、中間の多項式関数は、それぞれの物体スワームのメンバーである物体軌道の物体位置シーケンスを近似するように生成され、スワーム関数は、中間の多項式関数に関して判定される。
【0027】
有利なことに、物体軌道は、各物体軌道の定数項の値に従って分類される。
【0028】
本発明に従って、自動車ドライバ支援システムのための方法が提供され、本方法は、車両が走行する道路の少なくとも1つの実在の車線の部分の位置を判定するためのものであり、本方法は、複数の物体の各々についての物体位置シーケンスを判定する工程と、各それぞれの物体位置シーケンスを近似させるように物体軌道を生成する工程と、物体軌道の各々の少なくとも1つのパラメータの値に従って、物体軌道を少なくとも1つの物体グループに分類する工程と、各物体グループについて、それぞれの物体グループのメンバーである物体軌道の物体位置シーケンスを近似させるように、スワーム関数を生成する工程と、各当該スワーム関数に従って、スワーム車線部分を生成する工程であって、当該スワーム車線部分は、実在の車線の部分を表す、工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明がより容易に理解され得、その更なる特徴が理解され得るように、本発明の実施形態は、添付図面を参照して例として説明される。
【
図1】本発明と共に使用するのに好適なタイプのドライバ支援システムを有する車両を示す。
【
図5】本発明の一実施形態に係るシステムを装着した車両の概略俯瞰図を示す。
【
図6】本発明の一実施形態に係るシステムを装着した車両の別の概略俯瞰図を示す。
【
図7】物体位置シーケンス及び位置軌道の概略プロットを示す。
【
図8】物体位置シーケンス及び位置軌道の概略プロットを示す。
【
図9】
図8に示されるようなxtを判定するための方法の概要を示す。
【
図10】
図9の方法の工程を示す概略プロットを示す。
【
図11】
図9の方法の別の工程を示す概略プロットを示す。
【
図12】2つの物体グループを示す概略プロットを示す。
【
図14】本発明を介して生成される2つのスワーム関数を示す概略プロットを示す。
【
図16】本発明によるシステムのシミュレーションを示すプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
ここで
図1をより詳細に考察すると、自己車両2に設置された例示的なドライバ支援システム1の概略図(車両の配向を示すために
図1に示されている1つのサイドパネルのみ)が示されている。安全システム1は、自己車両2上の適切な位置に装着された多数の異なるタイプのセンサを備える。具体的には、図示されるシステム1は、車両2のそれぞれの前角部に装着された、一対の発散性及び外向きの中距離レーダ(mid-range radar、「MRR」)センサ3と、車両のそれぞれの後角部に装着された同様の一対の発散性及び外向きの多機能レーダセンサ4と、車両2の前方で中央に装着された前向の長距離レーダ(longrange radar、「LRR」)センサ5と、立体視システム(stereo
vision system、「SVS」)7の一部を形成する一対の、一般に、前向の、例えば、車両のフロントガラスの上縁部の領域に装着され得る光学センサ6と、を含む。これらの様々なセンサ3~6は、典型的には、車両内の便利な位置に装着された統合電子制御ユニット8の形態で提供される中央電子制御システムに動作可能に接続される。図示した特定の構成では、前側及び後側MRRセンサ3、4は、従来のコントローラエリアネットワーク(Controller Area Network、「CAN」)バス9を介して中央制御ユニット8に接続され、LRRセンサ5及びSVS7のセンサは、やはりそれ自体が知られたタイプのより速いFlexRayシリアルバス9を介して、中央制御ユニット8に接続される。
【0031】
集合的にかつ制御ユニット8の制御下で、様々なセンサ3~6は、例えば、見えない地点の監視、適応走行制御、衝突予防支援、車線離脱防止、後部衝突緩和などの様々な異なるタイプのドライバ支援機能を提供するために使用され得る。
【0032】
図2は、道路15上の典型的な運転状況の俯瞰眼の概略図を示す。道路15は、3つの車線(中央交通車線16、左車線17、右車線18)を有し、これらの車線に沿って交通が移動することができる。左車線17は、車線標識19によって中央車線16から分離され、同様に、右車線18は、別の車線標識19によって中央車線16から分離される。右車線18の外境界は、実線の車線標識20によって指定され、同様に、左車線17の外境界は、別の実線の車線標識20によって指定される。
【0033】
自己車両21が、中央車線16に沿って走行して示されている。自己車両21の走行方向は、矢印21Aで示されている。3台の他の車両22、23、及び24もまた、道路15に沿って走行して示されている。他の車両22、23、24の各々の走行方向22A、23A、24Aもまた、
図2に示されている。
【0034】
明らかに、
図2に示される車両の全ては、略同じ方向(上方)に走行している。したがって、
図2の道路15は、例えば、高速道路又は自動車道路の半分に相当する。高速道路又は自動車道路の対応する第2の半分は図示されていないが、道路15の一方の側(
図2に見られるように右側又は左側のいずれか)に位置するだろう(どちらの側かは、道路が位置している国に明確に依存する)。高速道路又は自動車道路の対応する第2の半分の車両は、道路15の車両に対して、略反対方向に走行するだろう。
【0035】
図3は、
図2に示されるシナリオとはわずかに異なるシナリオでの道路15の同様な断面を示す。
図3では、自己車両21は、中央車線16を道路15に沿って走行して示されている。自己車両21には、カメラを含むドライバ支援システムが装備されている。カメラは、前向きカメラであり、一般に、自己車両21の前方の道路を見る。ドライバ支援システムは、カメラからの視覚情報を使用して自己車両21の前方の
車線標識19の部分を検出する。ドライバ支援システムによって検出される各
車線標識19の部分は、それぞれの車線表示検出エリア25によって指定される。ドライバ支援システムによって車線標識19を検出することができる、自己車両からの最大距離が存在することが留意されるであろう。ドライバ支援システムはまた、外側車線標識20の部分を、それらがカメラに視認可能であるなら、検出することができる。このような外側車線標識の検出は、
図3には示されていない。
【0036】
車線標識19の検出された部分25の間で、ドライバ支援システムは車線26を指定する。
【0037】
図4Aは、
図3に関して記載された種類のカメラからの視界を示す。視界に重ねられているのは、車線エリア26及び
車線標識19の検出された部分である。車線標識19及び外側車線標識20の検出された部分は、自己車両から最大距離だけ延在することは明らかであろう。
【0038】
図4Bは、
車線標識が他の車両によってカメラの視界から部分的又は完全に不明瞭であるため、システムが
車線標識を検出するのが困難又は不可能であるシナリオを示す。このような状況は、例えば、非常に激しい交通量又は交通渋滞で発生し得る。
【0039】
図4Cは、
車線標識が、雪によってカメラの視界から不明瞭になるので、
車線標識を検出することが困難又は不可能である第2の例示的なシナリオを示す。
図4B及び4Cによって示されるものと同様にカメラが
車線標識を検出することができなくなり得る他の理由があることは理解されるであろう。
【0040】
図5は、本発明の第1の実施形態による装置を含むドライバ支援システムを装備した自己車両30を示す。簡潔にするために、
図5のシナリオと
図2及び
図3のシナリオとの間で共通した要素は、
図5に関して別個に説明されていない。あえていえば、自己車両30が道路15の中央車線16に沿って走行しているということである。
【0041】
第1の物体31(車両)が、左車線17で、一般に、自己車両31と同じ方向に運転されている。第2の物体32(車両)が、左車線17で、自己車両30と略同じ方向に運転されている。
【0042】
自己車両30には、少なくとも1つのセンサが装着される。センサのうちの1つは、例えば、車両レーダ又はライダであってよい。ドライバ支援システムは、センサからのデータを使用して自己車両30の近傍に位置するセンサ(単数又は複数)の視野内の物体の位置を測定し判断する。
図5に示すシナリオでは、ドライバ支援システムは、2つの物体(第1及び第2の物体31、32)を検出している。第1及び第2の物体31、32の各々について、ドライバ支援システムは、順次、それぞれの物体31、32の位置を測定し判断する。測定は周期的に行われるが、これは本発明の要件ではない。重要なことは、一連の位置測定がなされることである。第1の物体31の物体位置シーケンスは、第1の物体位置シーケンス33によって示される。第2の物体32の物体位置シーケンスは、第2の物体位置シーケンス34によって示される。
【0043】
第1の物体31が左車線17を走行する場合は、第1の物体位置シーケンスは、左車線17のコースに、一般に、追従することが理解されるであろう。同様に、第2の物体32が右車線18を走行する場合は、第2の物体位置シーケンス34は、右車線18のコースに、一般に、追従することが理解されるであろう。第1及び第2の物体31、32は、道路15に対して各々移動している。第1及び第2の物体が、ほとんどの時間のそれぞれの車線の中心を下って各々走行している可能性が高いことに基づいて、第1及び第2の物体の移動は、一般に、それらのそれぞれの車線経路をマッピングする。
【0044】
図6は、自己車両30のより複雑なシナリオを示す。
図6のシナリオでは、自己車両30は、6つの物体:第1~第6の物体35、36、37、38、39、40を検出している。ドライバ支援システムは、6つの物体35、36、37、38、39、40の各々の位置を順次判定して、
図6に以下のように示された6つの別個の物体位置シーケンスを形成する。
・第1の物体35-白の五角形で示される物体位置シーケンス、
・第2の物体36-白の正方形で示される物体位置シーケンス、
・第3の物体37-黒の円で示される物体位置シーケンス、
・第4の物体38-白のダイヤモンドで示される物体位置シーケンス、
・第5の物体39-白の円で示される物体位置シーケンス、
・第6の物体40-四点が尖った星で示される物体位置シーケンス。
【0045】
各測定位置は、自己車両30の静止座標に変換され得る。したがって、自己車両の動きに対する補償が達成され得る。疑いを回避するために、車両の静止座標は、自己車両が静止している、すなわち、移動していない座標系を意味する。自己車両は、静止座標系の原点であってよい。静止座標への変換は、各時間工程毎に(すなわち、関数が評価されるたびに)測定された物体位置の各シーケンスにつき実行されて、自己車両の動きを補償する。
【0046】
道路に対して移動していない物体、すなわち、樹木、道路標識、又は他の道路備品などの静止物体は、破棄され得る。破棄された物体は、いかなる更なる処理においても使用されず、したがって、物体のグループにグループ化され得ない。したがって、破棄された物体は、スワーム関数に寄与することができない。
【0047】
図7は、物体42についての単一の物体位置シーケンス41を示す。物体位置シーケンス41は、自己車両
30の静止座標のx、y座標系上に示される。座標の原点43は、自己車両
30の位置である。物体42の現在位置は、概略的な車両として示される。物体位置シーケンス41は、原点43に対してプロットされる。換言すれば、自己車両上のセンサが物体42の位置を測定し判定する基準系にかかわらず、位置が自己車両の静止座標に変換される。本発明による装置は、多数の物体位置シーケンスを捕捉する。
【0048】
図7に示されるもののような各物体位置シーケンスについて、物体位置シーケンスを近似する物体軌道が判定される。物体軌道は、物体位置シーケンスに最もよく適合する数学関数であり、すなわち、
図7の用語で、y(x)が判定され、y(x)は、データyに最もよく適合するxの関数である。y(x)は、対応する物体の物体軌道に対応する。
【0049】
道路上の車線の経路についての数学的形態は、典型的に、二重クロソイド関数でうまくモデル化される。二重クロソイド関数は、次の形態の数学関数である。
【0050】
【数1】
式中、αは、ヘッディング角(x=0での第1のクロソイド関数の角度)、
【0051】
【0052】
【数3】
は、第1のクロソイド関数の一定の曲率変動、
【0053】
【数4】
は、第2のクロソイド関数の一定の曲率変動、x
tは、共に二重クロソイド関数を形成する第1のクロソイド関数と第2のクロソイド関数との間の遷移でのxの値である。
【0054】
しかしながら、クロソイド関数を適合させることは、計算が集中する。本発明者らは、二重多項式関数を各物体軌道に適合させるのが計算上より簡単であることを見出した。三次の二重多項式関数の例は、以下のとおりである。
【0055】
【数5】
式中、y1は二重多項式の第1のセグメントを構成し、y2は二重多項式の第2のセグメントを構成し、a
0、a
1、a
2、及びa
3は、第1の多項式の係数であり、b
0、b
1、b
2、及びb
3は、第2の多項式の係数である。第1の多項式及び第2の多項式の係数は、物体軌道を判定する時に適合されたパラメータである。このような適合された二重多項式関数の一例が
図8に示される。二重多項式の第1のセグメント44は、x<xtである第1の領域45に示されており、二重多項式の第2のセグメント46は、x≧xtである第2の領域47に示されている。
【0056】
多項式関数を一連のデータに適合させることは、周知のプロセスであり、詳細には記載されない。しかしながら、例示的な方法は、最小二乗適合である。しかしながら、物体軌跡適合の際に、具体的に多くの制約が使用される。
【0057】
最初に、xtの値が判定され、xtは、各物体軌道の二重多項式44、46の第1のセグメントと第2のセグメントとの間で二重多項式関数が変化するxの値である(
図8を参照)。
【0058】
図9は、遷移値xtを判定する方法の概要を示す。この方法は、xtを見つけるための反復プロセスである。
【0059】
第1の反復に関する第1の工程S1は、1つの物体軌道に対応する単一の物体位置シーケンス41の全ての点に基づいて、格子点行列を作成することである。第1の反復に関する第1の工程では、物体位置シーケンスから選択された点はない-全ての点が使用される。
【0060】
第2の工程S2は、格子点行列に基づいて単一の多項式を適合することである。このような単一多項式の例が
図10に示される。単一の多項式46は、物体位置シーケンス41に適合されている。
【0061】
第3の工程S3は、
図11に示されるように、物体位置シーケンス内の各物体位置と単一の多項式48との間の差49を計算することである。
【0062】
第4の工程S4は、物体位置シーケンス内の各物体位置と単一の多項式48との間の差49の最大値を判定することを伴う。差の最大値が所定の閾値以上である場合は、低減された履歴点のセットが生成される(これは、
図9に示される偽の決定経路である)。差の最大値が所定の閾値未満である場合(
図9に示す真の決定経路)は、xtは、適合された単一多項式から最も離れた測定物体位置に等しい(
図9の工程S5)。
【0063】
差の最大値が所定の閾値以上であるかどうかをテストすることを伴う、第4の工程S4に簡潔に戻る。第4の工程S4でテストされた条件が偽である場合、低減された物体位置セットが生成される。具体的には、単一の多項式から最も遠いものとして特定された物体位置は、物体位置シーケンスから除去され、それによって、低減された物体位置セットが形成される。次に、第1~第4の工程S1~S4が、低減された物体位置セット上で繰り返される。この処理は、工程S4のテストが真になるまで繰り返され、その後、xtが判定される。
【0064】
各オブジェクト位置シーケンスについて、二重多項式がシーケンスを構成する点に適合される。この適合された二重多項式関数は、物体軌道に対応する。適合プロセスの際に、点xTでの二重多項式の第1の多項式と第2の多項式との間の移行部を利用する追加の制約(xTはxtに等しい、どちらもxの遷移値である)が使用されてよい。制約の例は、以下のとおりである。
【0065】
【0066】
理解されるように、これらの3つの制約は、遷移値xTで各々評価された2つの多項式(y1,y2)、2つの多項式のxに対する一次導関数、及び2つの多項式のxに対する二次導関数が等しいことに対応する。
【0067】
図12は、上記の方法に従ってそれぞれの物体位置シーケンスに各々適合された6つの対応する物体軌道50、51、52、53、54、55を有する6つの物体位置シーケンスを示す。各物体軌道50、51、52、53、54、55は、以下の形態の二重多項式によって記述される。
【0068】
【0069】
6つの物体軌道は、一般に、物体軌道の2つのグループ56、57に対応する。したがって、物体軌道は、共に、以後「スワーム」と称される2つの物体グループに分類され、グループ分けされ得る。
【0070】
上記の物体軌道の二重多項式記述で、a
0は、二重多項式関数における定数項であることが注目されるであろう。
図12では、a
0は対応する物体軌道のy切片に対応する。第1の物体スワーム56にグループ化された3つの物体軌道は、類似したy切片(すなわち、a
0の値)を有し、第2の物体スワーム57にグループ化された3つの物体軌道も、類似したy切片(すなわち、a
0の値)を有するが、第1のスワーム56のa
0の値とは異なる。
【0071】
図13は、値a0、a1、a2、及びa3を時間の関数として示す。各プロットは、対応する多項式係数(a0、a1、a2、及びa3)の値を時間の関数として示す。任意の所与のサンプル時間で、a0、a1、a2、及びa3の値は、もちろん、所与の軌道に対して定数である。プロットは、係数a0は所与の時間でだけ物体軌道をグループ化するために採用され得るのではなく、a0の値はある期間にわたってグループ化されたままでもあるので、異なる車線に対応する物体スワームの形成が可能になることを示している。a0の値を示す
図13の最上部プロットから、a0は物体スワーム間の優れた識別子であることが明らかである。測定が行われている物体は道路の車線を走行する車両に対応することを思い出すと、物体スワーム内の物体が沿って走行する経路は、一般に、車線に対応する。各スワームの複数の物体を使用することによって、ノイズを低減させることでより正確に車線位置を判定することが可能である(例えば、車線内の運転経路の小さな逸脱及び時折の車線変更は、物体スワーム内の物体軌道のうちの1つの内側にある)。
【0072】
物体スワームの各々は、複数の物体軌道に対応し、各物体軌道は、物体位置シーケンスに対応する。次の段階は、特定の物体スワーム内の全ての物体に対応する物体位置に二重多項式関数(以後、「スワーム関数」と称する)を適合させることである。換言すれば、1つの二重多項式関数が、各物体スワームについて判定される。二重多項式は、以下の形態を有する。
【0073】
【0074】
スワーム関数を適合させるためのプロセスは、個々の物体について上述したものと同じであるが、異なるデータを使用する。
図14は、物体スワームに各々対応する2つのスワーム関数58、59を示す。各スワーム関数58、59は、道路上の車線の中心線に対応する。2つの隣接する車線の各々の中心線が特定されている(左車線及び右車線)ため、中心線間の距離60は車線幅に対応する。したがって、車線幅は、次式によって判定することができる。
LW=min(LANE_WIDTH_MAX_VALUE,(a
0,L-a
0,R))
式中、LWは車線幅であり、min(n,m)は、mとnのうちより小さい方を返す関数であり、a
0,Lは、左車線スワーム関数58のa
0値であり、a
0,Rは、右車線スワーム関数59のa
0値である。したがって、車線幅LWは、(a
0,L-a
0,R)が(上記の関数例で)LANE_WIDTH_MAX_VALUEより大きい(この場合、車線幅はLANE_WIDTH_MAX_VALUEに設定される)ことが判明しない限り、2つの車線のスワーム関数間の距離に等しい。このように、2つのスワーム関数が実際に2つの隣接する車線に対応しない場合は、上記のmin関数は、非現実的に大きい車線幅LWが導出されることを防止する(そうでなければ、現実的な車線幅よりも大きい幅で分離された2つの隣接した車線に対応するかもしれない)。LANE_WIDTH_MAX_VALUEは、どんな妥当な値も受け入れさせる。LANE_WIDTH_MAX_VALUEは、標準的な実在の車線幅とほぼ等しくなることができる。LANE_WIDTH_MAX_VALUEに対する値の例としては、3.5メートル又は3.75メートルが挙げられる。
【0075】
各スワーム車線関数は、車線の中心線に対応する。通常、車線の中心に標識を書く実在の交通車線はないことは理解されるであろう。しかしながら、車線の境界もスワーム関数及び車線幅を使用して導出され得る。
【0076】
図15は、左車線のスワーム関数58及び右車線のスワーム関数59を示す。それぞれの左車線部分及び右車線部分が画定される。左車線部分及び右車線部分の各々は、スワーム車線部分に対応している。各車線部分は、一対の車線境界を含む。左車線部分は、左車線境界61及び中央車線境界62を含む。右車線部分は、右車線境界63及び中央車線境界62を含む。
【0077】
左車線境界は、車線幅の半分だけの第1のスワーム関数58からのオフセット58Aである。中央車線境界は、車線幅の半分だけの第1のスワーム関数58からのオフセット58Bである。中央車線境界は、車線幅の半分だけの第2のスワーム関数59からのオフセット59Bである。右車線境界63は、車線幅の半分だけの第2のスワーム関数59からのオフセット59Aである。したがって、左車線境界、右車線境界、及び中央境界の関数形態は、それらの対応するスワーム関数プラス/マイナス車線幅の半分に等しい。
【0078】
したがって、特定の車線は、その対応する車線境界の関数によって定義され得る。例えば、
図15のシナリオでは、左車線は、左車線61の境界及び中央車線境界62によって画定することができ、右車線は、右車線63の境界及び中央車線境界62によって画定することができる。この段階では、右車線境界、左車線境界、及び中央車線境界は、二重多項式形態を有する。
【0079】
車線境界の各々の二重多項式形態は、中間多項式形態と考えることができる。二重クロソイド形態への変換の後続の段階は、以下のように、可能である。
【0080】
上記のように、スワーム関数の各々についての二重多項式形態(したがって、車線境界に関して画定された車線部分の画定)は、以下のとおりである。
【0081】
【0082】
二重クロソイドは、以下の形態を有する。
【0083】
【0084】
二重クロソイドの係数は、二重多項式の係数と以下のように関係している。
【0085】
【0086】
これらの関係を使用することにより、各スワーム車線部分は、二重クロソイド形態で生成し記述することができ、二重クロソイドの係数の正確な値は、上記の関係を使用してグループ化された物体軌道から最終的に導出された二重多項式からマッピングされている。
【0087】
図16は、上述のドライバ支援システム用の装置を使用して、スワーム車線部分を生成するシミュレーションの結果を示す。スワーム車線部分の生成結果は、自己車両上のカメラを使用して識別された外挿車線標識と比較される。
【0088】
図16では、自己車両70は、座標系上の(0,0)(すなわち、自己車両の静止座標の原点)に位置している。6つの物体位置シーケンスが示されている。実際、物体位置シーケンスは異なる長さであってもよく、現実は、異なる長さが存在する可能性が高いことが理解されるであろう。スワーム車線部分は、対応する車線境界線の対71、72、73の間の領域である。
図16に示される例で実証されるように、スワーム車線部分は、自己車両70の前方100メートルを超えて物体(車両)のルートに追従する。物体(車両)は、実在の車線に沿って走行する。したがって、スワーム車線部分は、自己車両70の前方100メートル以上の実在の車線に追従する。
【0089】
自己車両70に装着されたカメラから導出された車線標識は、破線の道路標識73、74、75によって指定されている。カメラから導出された車線標識は、自己車両から約50メートルでスワーム車線部分から逸脱し始める。自己車両から50メートルを超えると、カメラから導出された車線は物体軌道に追従せず、したがって、道路上の実在の車線に追従しない。したがって、運転支援にカメラから導出された車線を利用することは、運転状況の現実を反映しないはずである。
【0090】
スワーム車線部分は、車線の位置を判定する唯一の方法として使用することができる。例えば、道路標識が、視界から不明瞭になるため(例えば、道路上の雪又は交通によって)車両のセンサによって検出できない場合、ワーム車線部分を判定することは依然として可能である。スワーム車線部分は、車線標識が自己車両のセンサによって検出可能であるかどうかにかかわらず、導出することができる。
【0091】
スワーム車線部分は、カメラからのデータを使用して導出される車線に対する延長部として使用されてもよい。カメラデータを使用して導出される車線のパラメータは、上述のスワーム車線部分生成を使用して導出される車線のパラメータと融合されてもよい。このデータ融合は、車線位置を判定するために車両のセンサを使用して導出された車線より自己車両から更に延在する車線の生成を可能にすることができる。スワーム車線は、車線標識が視認できない場合であっても、車両が自己車両からより長い距離移動する道路上の車線の真の位置をより正確に反映する。
【0092】
システムへの入力は、カメラセンサからのデータを使用して導出される車線部分であってもよい。装置は、カメラセンサからのデータを使用する車線部分をスワーム車線部分に結合することができる。同時に、より正確な車線を生成することができる。
【0093】
一般に、複数の物体の位置シーケンスを測定することによって、本発明によるドライバ支援システム用の装置は、交通車線の位置を導出する。このように、任意の道路標識を観察又は検出するどんな要件もなしに、交通車線の位置がセンサを使用して生成される。センサを使用して道路標識が検出された場合は、それから導出される車線情報は、スワーム車線情報と結合されてもよい。
【0094】
スワーム車線は、交通車線の位置が役立ついくつかのドライバ支援機能によって使用され得る。
【0095】
本発明の装置は、スワーム車線を少なくとも1つのドライバ支援機能による使用に利用可能にするように構成されてもよい。当該少なくとも1つのドライバ支援機能は、その意思決定処理への入力として、スワーム車線情報を使用するように構成されてもよい。ドライバ支援機能は、例えば、スワーム車線部分に位置する車両に基づいて危険をユーザに通知するように構成されてもよい。別の実施例として、AACシステムは、スワーム車線内に位置する車両に基づいて車両の速度を制御するように構成されてもよい。
【0096】
本発明は、交通車線の位置を遠距離まで判定することができるため、ドライバ支援システムの機能は、システムの状況認識が改善されるので、改善される。例えば、交通車線位置が、自己車両からより遠距離まで判定されるからである。
【0097】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、用語「含む(comprise)」及び「含む(comprising)」及びその変形は、指定された特徴、工程、又は整数が含まれることを意味する。用語は、他の特徴、工程、又は整数の存在を除外するように解釈されるべきではない。
【0098】
前述の説明に開示される特徴、又は以下の特許請求の範囲において、又は添付図面において、それらの特定の形態で、又は開示された機能を実行するための手段の観点から表現され、又は、開示された結果を得るための方法又はプロセスは、適宜、別々に、又はそのような特徴の任意の組み合わせで、本発明を多様な形態で再利用するために利用することができる。
【0099】
本発明を上記の例示的な実施形態と併せて説明してきたが、本開示を考慮すると、当業者には多くの等価な修正及び変形が明らかとなるであろう。したがって、上述の本発明の例示的な実施形態は、例示的であり、限定的ではないと考えられる。説明される実施形態に対する様々な変更は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく行われてもよい。