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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】フィルタモジュール包装ユニット
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/00 20060101AFI20220118BHJP
   B65D 81/20 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
A61J1/00 430
B65D81/20 K
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017016911
(22)【出願日】2017-02-01
(65)【公開番号】P2017164486
(43)【公開日】2017-09-21
【審査請求日】2019-12-06
(31)【優先権主張番号】10 2016 102 087.7
(32)【優先日】2016-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515143739
【氏名又は名称】ビー.ブラウン アビタム アーゲー
【氏名又は名称原語表記】B. BRAUN AVITUM AG
【住所又は居所原語表記】Schwarzenberger Weg 73-79, 34212 Melsungen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン デューリンク
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第98/58842(WO,A1)
【文献】特開2013-13581(JP,A)
【文献】特開2016-2466(JP,A)
【文献】特開2007-30988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/00
B65D 81/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療フィルタモジュールの無菌包装ユニットであって、実質的な円筒中央部(23)と、前記円筒中央部(23)の端部に形成される少なくとも一つのフィルタモジュール接続部(15、16)とを有する、一次包装(1)内に無菌包装される少なくとも1つのフィルタモジュール(好ましくは透析機(2))を備え、
前記一次包装(1)は、前記一次包装(1)内に存在する酸素分子に結合する少なくとも1つのゲッタ(14)を備え、
前記一次包装(1)は、前記フィルタモジュール(2)のための受け区画(5)を形成する硬い下側部分(6)としてのプラスチック成型部と、前記下側部分(6)を用いて前記フィルタモジュール(2)のための前記受け区画(5)を閉鎖する柔らかい上側ホイル(7)とを用いる、ブリスター包装であり、
前記上側ホイル(7)は、前記下側部分(6)上へ密閉シールされるように固定され、且つ、前記フィルタモジュール(2)は、嵌め合いを用いて少なくとも一部が前記上側ホイル(7)に固定され、あるいは嵌め合いを用いて少なくとも一部が前記上側ホイル(7)および前記下側部分(6)に固定され、
前記下側部分(6)は、前記上側ホイル(7)が前記少なくとも1つのフィルタモジュール接続部(15、16)を閉鎖しないよう構成され
前記フィルタモジュール(2)の前記円筒中央部(23)のための、ホルダ又は受け区画であって、前記上側ホイル(7)により包囲されるものを有するトレイ(4)をさらに備え、前記トレイ(4)は、軸方向、及び/又は、接線方向において、前記上側ホイル(7)により包囲される前記円筒中央部(23)との嵌め合いが存在するように構成され、
前記トレイ(4)は、上側板(17)と該上側板の両側部に連結される側面板群(18、19)とを有する、実質的にU字状の横断面を備え、前記上側板(17)は、一方の前記側面板(18)から、その反対側にある他方の前記側面板(19)へ向かう凹部群(22)を備え、該凹部群内には、内部にフィルタモジュール(2)が包装された状態で、各一次包装(1)がそれぞれ嵌め合いにより挿入されることを特徴とする医療フィルタモジュールの無菌包装ユニット。
【請求項2】
前記上側ホイルが前記フィルタモジュール(2)の前記円筒中央部(23)に密着し、前記フィルタモジュール(2)の前記円筒中央部(23)の各端部に形成されるフィルタモジュール接続部群(15、16)に接触せず、しかして特に、該接続部群がオープンとなるように該接続部群を自由にしておく請求項1記載の医療フィルタモジュールの無菌包装ユニット。
【請求項3】
前記上側ホイル(7)が収縮ホイルである請求項1または2記載の医療フィルタモジュールの無菌包装ユニット。
【請求項4】
前記上側ホイル(7)が、前記下側部分(6)の周縁(8)に好ましくは連続的にシールされる請求項1から3のいずれかに記載の医療フィルタモジュールの無菌包装ユニット。
【請求項5】
前記フィルタモジュール(2)の前記円筒中央部(23)の両端群において、前記下側部分(6)は接続部受け構造を形成し、
該構造は、前記フィルタモジュール(2)の外輪郭(特に、前記フィルタモジュール接続部群(15、16))と対向して広げられており、
該構造は、前記フィルタモジュール接続部群(15、16)が、前記下側部分(6)又は前記上側ホイル(7)により閉じられず、各接続部受け構造内においてオープンであり、且つ、前記受け区画(5)(特に、接続部受け構造容積)と流動可能に接続されるように、前記フィルタモジュール接続部(15、16)を保持する請求項1から4のいずれかに記載の医療フィルタモジュールの無菌包装ユニット。
【請求項6】
前記フィルタモジュール(2)のための前記受け区画(5)であって、前記下側部分(6)内に構成されるものの深さは、前記フィルタモジュール(2)の前記円筒中央部の直径未満であり、好ましくは前記直径の半分未満であり、さらに好ましくは前記直径の三分の一未満であり、一層さらに好ましくは前記フィルタモジュール(2)の前記円筒中央部の直径の四分の一未満である請求項1から5のいずれかに記載の医療フィルタモジュールの無菌包装ユニット。
【請求項7】
更に外側包装(3)を備え、少なくとも一部において前記下側部分(6)の前記周縁(8)と前記外側包装(3)との間における嵌め合いが存在する請求項1から6のいずれかの項に記載の医療フィルタモジュールの無菌包装ユニット。
【請求項8】
一つ又は複数の前記トレイ(4)が、前記外側包装(3)内へ、挿入可能であるか、又は、挿入され、それにより少なくとも部分的な嵌め合いを生じる請求項記載の医療フィルタモジュールの無菌包装ユニット。
【請求項9】
前記ゲッタ(14)は、前記一次包装(1)内の酸素分子を吸収することにより、大気圧に対する負圧を引き起こし、前記下側部分(6)は実質的に寸法的に安定しており、しかして前記負圧の結果、前記上側ホイル(7)のみが変形する請求項1からのいずれかに記載の医療フィルタモジュールの無菌包装ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一次包装内に無菌包装されるフィルタモジュール/透析機(血液治療装置等のためのフィルタカートリッジ、浄化フィルタ)を備える無菌フィルタモジュール/透析機包装ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
無菌医療品(特に、フィルタモジュール/透析機)を製造するには、患者に用いられるか又は治療の一部として適用されるまでの間、医療品が無菌のままとなるよう注意を払わねばならない。
【0003】
該目的のため、無菌バリヤが製品自体に適用されるか、又は、現実的な貯蔵条件を想定し、周囲に対し、製品に表示される保存期間において完全性を保つ無菌バリヤを、包装により形成することが、保証されねばならない。
【0004】
フィルタモジュール群/透析機の外形の点については、もっぱら生産要求及び適用技術の点に基づいて設計される。
【0005】
明らかに、この外形からは、フィルタモジュール/透析機の包装に関して、特別の要求が生じる。
特に問題となる包装の特徴は、標準化されておりフィルタモジュール/透析機から突出した鋭いエッジのあるコネクタ群のみならず、フィルタモジュール/透析機のフィルタモジュール/透析機上のエッジ群、及び、フィルタモジュール/透析機の保護キャップ群である。
【0006】
医療品(特に、フィルタモジュール/透析機)用の公知の包装は、第一には、(一次包装としての)プラスチック製バッグ、アルミニウムのチューブ、又は、シールエッジバッグからなり、更には、(二次包装としての)プラスチック製のトレイ、厚紙、成型パルプ、及び、必要とあれば、外箱からなる。
特に、トレイは、一次包装内に包装される製品の形状に概ね対応するものであって、位置的に安定した包装を達成するための、一種の嵌め合いとなる。
【0007】
ある種の医療品群(特にフィルタモジュール/透析機)は、該当する場合、無酸素の状態において滅菌されねばならない。この点は、滅菌時に、一次包装の内部が絶対的に無酸素でなければならぬことを意味する。
【0008】
これは通常、適切な媒体(いわゆる「ゲッタ(getter)」)を用いて、酸素を吸収することにより、実現される。該媒体の材料は、例えば、鉄粉又はポリマーであっても良い。
【0009】
この吸収器は、いわゆる「サシェ(sachet)」として一次包装に付加されるか、あるいは、包装材料の構造(ホイル)内に一体化され得る。
一次包装の閉鎖システム中において、酸素分子が結合することにより、(形状が変わらない環境下において)容積が減少すること或いは負圧となることは、極めて不利である。
【0010】
公知の包装システム群は寸法において不安定であるため、包装閉鎖後、それらの容積は、酸素結合に該当する程度まで制御不能に減少する。
このように一次包装の容積が減少すると、次のような相対的な動きが生じうる。即ち、二次包装の内部において、包装されたフィルタモジュール/透析機群の間における相対的な動き、それのみならず、包装されたフィルタモジュール/透析機と二次包装との間における相対的な動きが生じ、しかして、該相対的な動きによって、次々に無菌バリヤを損傷するに至り得る。
【0011】
フィルタモジュール/透析機に係る公知の包装においては、滅菌における容積減少による該相対的な動き、及び結果として生ずる無菌バリヤへの潜在的損傷という上述した問題は、包装プロセス中において、適当に厚いホイル群、及び/又は、酸素減殺雰囲気を用いることで対処できる。
しかし、いずれの方法によっても、不利なことに、材料及び製造コストが高くなる結果を招く。
【0012】
他の不利益は次のとおりである。即ち、この種の包装、特に、フィルタモジュール/透析機の包装においては、100%無酸素の雰囲気が保証されることが必要となるため、包装プロセスにおいて酸素が減少された雰囲気を提供することによっては、容積減少を完全には排除できないのである。
その結果、吸収器を使用しても、結果として生じる容積減少は不可避となる。
【0013】
より厚く、機械的弾性に富む、一次包装用の包装材料は、製造コストを増加させるし、依然として、無菌バリヤが損傷されない100%の保証を未だ提供し得ないのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来技術の上記既述に基づき、本発明の目的は、上述の不利益群を取り除くことを目的とし、特に、無菌フィルタモジュール/透析機包装ユニットであって、それを用いることで、制御できない容積減少により起こり得る包装群間の相対的な動きに起因する無菌バリヤへの損傷を最小限にするか、或いは好ましくは防ぐことが可能なものを提供する。
【0015】
好ましくは、包装自体が容積減少に耐え、それと同時に、低コストであり寸法的に安定しているべきである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、該目的は、次の無菌フィルタモジュール/透析機包装ユニットを用いることにより、達成される。
即ち、このものは、実質的な円筒中央部と、この円筒中央部の端部(好ましくは各端部)に形成されるフィルタモジュール接続部とを有する、一次包装内に無菌包装されるフィルタモジュール/透析機を備えている。
一次包装は、フィルタモジュール/透析機のための受け区画を形成する下側部分としてのプラスチック成型部と、下側部分と結合して、フィルタモジュール/透析機のための受け空間形成する上側ホイルとを用いる、ブリスター包装である。
該上側ホイルは、該下側部分上へ密閉シール(溶接、接合等)されるように固定され、且つ、該フィルタモジュール/透析機は、嵌め合いを用いて少なくとも一部が前記上側ホイルにされる。
これは特に、下側部分に対向するか、又は、それ自身と下側部分との間において行われる。
【0017】
本発明は、硬軟ブリスターを、フィルタモジュール/透析機のための(一次)包装として提供するものと言うこともできる。
【0018】
一次包装の上側ホイルは、少なくともフィルタモジュール/透析機の円筒中央部に対してしっかりと(緊密に)密着する。
【0019】
しかして、下側部分と上側ホイルとの間には、空気、即ち酸素分子が少量のみ存在するものであり、この点は、一次包装内に包装されるフィルタモジュール/透析機の滅菌において有利となる。
例えばγ線を用いた滅菌の場合、閉鎖且つ封止された包装から酸素分子を除去する目的のためには、滅菌の結果として容積の減少が僅かであることは、有利となり得るであろう。
フィルタモジュール/透析機の包装は、その製造費の大部分を占めている。
【0020】
本発明を用いると、有利なことにコスト面での削減を達成できる。これは、各構成要素群が特に簡易に構成可能であるが、(例えば酸素吸収の結果)容積減少の事象を生じた際においても、依然として(一次)包装の十分な安定性が保証されるためである。
【0021】
本発明による硬軟ブリスター包装(一次包装)は、包装されたフィルタモジュール/透析機の外形に、特にシンプル且つ効果的に適合または近接させることができる。
フィルタモジュール/透析機と一次包装との間の相対的な動きは、最小にまで減少するか、あるいは除去される。これは、一次包装内に包装されるフィルタモジュール/透析機が、嵌め合いを用いて上側ホイルに(又は、嵌め合いを用いて上側ホイル及び下側部分に)安全・確実に固定されるためである。
【0022】
包装されたフィルタモジュール/透析機は、主として上側ホイルによって保持されるため、下側部分はシンプルに構成することが可能であり、しかして、シンプル且つローコストの包装が可能となる。
【0023】
加えて、この点により、様々な直径を有する様々なフィルタモジュール/透析機のサイズに対して、標準化された下側部分を使用することも可能となる。
更には、包装容積がより少なくなるため、酸素吸収器/ゲッタの容量を低減することができ、それにより、製造コストの更なる削減が達成可能となる。
【0024】
本発明によれば、硬軟ブリスターを用いたフィルタモジュール/透析機(あるいは他の医療品)のための包装を使用することができる。
これは、フィルタモジュール/透析機が、一次包装内の適所に、しっかりと保持及び固定されるよう、構成されるものである。
【0025】
一実施の形態によれば、この点(即ち、位置決め)は、容積減少の結果、該包装の全体的安定性及び基本的形状を損なうことなく該包装(特に、成型部)が変形し得る該包装内部の領域を画定することにより、達成可能である。
この「該包装の基本的形状を損なうことなく」というのは、該包装の或る外部領域-例えば、それが他の一次包装群又は外部包装に載る領域-は、変形しない(所定の変形領域が生じない)ことを意味する。
【0026】
同様に、該包装の内部群は変形への抵抗性を有しており、透析機/フィルタモジュールが、-それを用いて又はその上に、保持され、位置決めされ、或いは支持されるところの-成型部においては、特にそうである。
【0027】
本発明の好ましい実施の形態群は、従属項群で記述されており、且つ、以下説明される。
【0028】
本発明による包装内に包装されるフィルタモジュール/透析機の放射線(γ線)を滅菌可能とすべく、該フィルタモジュール/透析機の包装に係る一実施の形態は、一次包装内(特に、受け空間内)において酸素分子に結合するゲッタを備える。
該ゲッタにより酸素を結合する結果、該受け空間内において容積減少或いは負圧が発生しても、個別に包装されたフィルタモジュール群/透析機群間における相対的な動きが引き起されることはない。これは、本発明によれば、該一次包装(特に、該上側ホイル)が、酸素吸収に先だって、該包装されたフィルタモジュール/透析機に既にしっかりと密着しているためである。
【0029】
しかして、該酸素結合の結果、更なる容積減少が発生すれば、特に有利なことには、該包装を該フィルタモジュール/透析機に更にきつく密着させる結果となる。
したがって、次のように言うことができる。即ち、酸素分子結合の結果としての容積減少-これは通常、従来技術では包装の問題となるのだが-は、有利なことに、本発明では、一次包装内でのフィルタモジュール/透析機の更に良好な位置決め/装着を達成するために利用されるものである。
【0030】
このように、本発明は、フィルタモジュール/透析機の(一次)包装間の相対的な動きを成功裡に抑制するのみならず、さらには、該包装されたフィルタモジュール/透析機を特に効果的に適所に保持するものである。
本発明の特徴は、好ましくは、下側部分がしっかりとフィルタモジュール/透析機を保持するように、設計されている点である。
【0031】
好ましくは、該下側部分は、フィルタモジュール/透析機のための凹部を有するトレイの態様で構成され、該凹部の高さは、しかしながら、その軸方向を横切る、フィルタモジュール/透析機の寸法を(著しく)下回る。
該フィルタモジュール/透析機のための受け区画であって、下側部分内に構成されるものの深さは、好ましくは、フィルタモジュール/透析機の直径の半分未満であり、さらに好ましくはフィルタモジュール/透析機の直径の三分の一未満であり、一層さらに好ましくはフィルタモジュール/透析機の直径の四分の一未満である。
【0032】
これは、該フィルタモジュール/透析機が、上側ホイルにより、大部分において包囲され、適所に固定されることを保証するための、簡単な方法である。
更には、該下側部分は、上側ホイルによるフィルタモジュール/透析機の接続部群の閉鎖が防止されるか又は不可能となるように、設計され得る。
【0033】
放射線(γ線)滅菌の場合において、該接続部群は、該フィルタモジュール/透析機の繊維束からの酸素分子の動きを可能とするよう、必然的に妨害されない状態に維持されなければならない。
特に、該上側ホイルは、フィルタモジュール/透析機の円筒中央部に(しっかりと)密着しつつ、フィルタモジュール/透析機の各端部に形成されるフィルタモジュール/透析機の接続部群とは接触してはならない。
該上側ホイルには、収縮ホイルが好適である。
ブリスター結合の硬い該下側部分は、エッジの呈をなし得る。
【0034】
好ましくは、該上側ホイルは、該下側部分の周縁上と連続的にシールされる。
特に、該エッジと外箱との間に嵌め合いが存在し得るものであり、しかして、一次包装と二次包装/外箱との間における相対的な動きを制限するか又は防止するものである。
下側部分は、接続部受け構造を形成しており、該構造は、フィルタモジュール/透析機の外側輪郭(特に、フィルタモジュール/透析機の接続部群)に対向して、好ましくは、フィルタモジュール/透析機の円筒中央部の各端部において、広げられている。
【0035】
フィルタモジュール/透析機の接続部群は、この受け構造内に保持され得るものであり、それにより、該接続部群は、有利なことに、下側部分又は上側ホイルのいずれによっても閉鎖されることはなく、同時に、各接続部受け構造内においてオープンの状態に維持され、且つ、該受け空間(特に、接続部受け構造の容積内)へ流動可能に接続されるものである。
本発明による硬軟ブリスターの利点は、二次包装内に対応して形成されるトレイと結合して、作用し始めるものである。
しかして、本発明の一実施の形態では、フィルタモジュール/透析機包装ユニットは、トレイを備える。
【0036】
好ましくは、該トレイは、上側ホイルにより包囲される、フィルタモジュール/透析機の円筒中央部のための、ホルダ又は受け区画となる。
好ましくは、該トレイは、(フィルタモジュール/透析機の)軸方向、及び/又は、接線方向において、上側ホイルにより包囲される円筒中央部との嵌め合いが存在するように、構成される。
【0037】
また、フィルタモジュール/透析機の幾何学的な重要領域群(いわゆる「フィルタモジュール/透析機の頭部群」)は接触しないところ、該トレイは、該フィルタモジュール/透析機の円筒部のホルダとしてのみ役立つと言うこともできる。
好ましくは、該トレイは、実質的にU字状の横断面を有する。
特に、該トレイは、上側板と、この上側板の両側部に連結され支持脚群として役立つ側面板群との呈をなし得る。
特に、該上側板は、凹部群(好ましくは、部分的な円筒凹部群)を呈し得るものであり、該凹部群は、一方の側面板からその反対側の他方の側面板へ(即ち、一次包装内に位置決めされるフィルタモジュール/透析機の軸方向を横切って)向かう。
【0038】
内部にフィルタモジュール/透析機が包装される1つの一次包装は、各凹部に挿入され得るか又は挿入されるものであり、それにより、凹部と嵌め合いを生じる。
該一次包装内に包装されるフィルタモジュール/透析機は、「問題ゾーン」が自由に突出しそれより相対的な動きが排除されるよう、トレイの円筒部内に位置決めされると言うこともできる。
充填されたトレイは、従来の外箱(二次包装)内に包装され得る。
【0039】
更には、他の実施の形態によれば、フィルタモジュール/透析機の包装は、内部に複数の一次包装群が配置される、外側包装又は二次包装を備え得るものであり、外側包装又は二次包装のそれぞれの内部には、少なくとも1つのフィルタモジュール/透析機が挿入された状態にある。
好ましくは、該外側包装は、次のように構成される。即ち、その内部に配置された一次包装の下側部分の周縁と外側包装との間において、少なくとも一部で嵌め合いが存在するように構成されるものである。
【0040】
好ましくは、該トレイは、外側包装との嵌め合いが生じるように挿入できるか、又はそのように挿入される。
要するに、本発明の基礎的な考え方は、硬軟ブリスターを、フィルタモジュール/透析機の無菌包装に用いることであると言うことができる。
【0041】
少なくとも、上記の定義に基づくフィルタモジュール/透析機の円筒部内において、該一次包装は、包装されたフィルタモジュール/透析機にしっかりと密着する。
同様の形状を有する対応トレイは、該箱内のまさにこの箇所でフィルタモジュール/透析機を嵌合且つ支持するのであって、その結果、フィルタモジュール/透析機の構造上影響を受けやすい箇所(保護キャップ群及びコネクタ群)はカバーされない(つまり、一次包装、二次包装、又は近隣の包装ユニットに接触することはない)。
【0042】
上側ホイルがフィルタモジュール/透析機にしっかりと密着することから、(一次)包装中において空気量が減少し、放射線(γ線)滅菌の場合に要求される吸収器容量が減るものである。
加えて、しっかりと密着するホイルは、フィルタモジュール/透析機とホイルとの間の相対的な動きを制限し、対応するトレイを用いる嵌め合いを可能とする。
【0043】
したがって、一次包装群間、又は、一次包装群及び二次包装群間の、相対的な動きが排除されるものであり、それにより、無菌バリヤへの如何なる損傷にも効果的に対抗するものである。
【発明の効果】
【0044】
本発明は、とりわけ次の利益群を達成するために使用され得る。
-自動化(操作)を改善すること。特に、製造費を削減する結果となり、しかして、包装コストを削減すること。
-多数のフィルタモジュール群/透析機群を外箱内に配置可能とすること。特に、物流コストを削減する結果となること。
-包装内の削減された空気量のために、一次包装内の酸素分子結合の結果生ずる、形状変化を減らすこと。
-個々の一次包装群と二次包装との間の、真っ直ぐな「連絡面群」を用いた新しい設計オプションを提供すること。
-一般に包装及び包装及び無菌バリヤへの損傷という結果になる相対的な動きの範囲を、フィルタモジュール/透析機にしっかりと密着する上側ホイルにより、制限すること。
-要求される吸収器容量を削減すること。
-上側ホイルが、フィルタモジュール/透析機に、最早しっかりとは密着しなくなった際における、漏れを明白に認識し得るようにすることにより、製品セキュリティを増進させること。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】第1の実施の形態における無菌透析機一次包装の概要斜視図である。
図2】軸方向を横切る断面視による図1の透析機一次包装を示す。
図3】本発明の部分として使用されるトレイの斜視図である。
図4】本発明の部分として使用される外側包装を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明は、添付図群中に示される次の典型的で非制限的な実施の形態群に基づいて、詳細に記述される。
【0047】
「透析機」なる用語は、主にこの用語が任意のタイプのフィルタモジュールとしても理解され得るということに注目して以下に使用される。
【0048】
無菌透析機一次包装1(以下では、「一次包装1」とも言う。)は、図1中に、その内部に無菌包装された透析機2を伴って示されている。
一次包装1は、更なる一次包装群1と結合する。
該更なる一次包装群1は、二次包装、又は、外側包装/外箱3、及び、1つ又はそれ以上のトレイ群2を用いて、透析機群をその内部に包装するものであり、しかして、パッケージユニットを形成する。
【0049】
図4に示すように、二次包装3は、例えば、折畳箱である。
本発明によれば、一次包装1は、透析機2のための、受け区画又は受けトラフ5を形成する下側部分6を備える、硬軟ブリスター包装として実現される。
【0050】
その内部に透析機2を適切に位置決めした後、下側部分6は、その頂上に配置され上側ホイル7の形態をなす、蓋部7を用いて密封される。
上側ホイル7は、プラスチックホイル(好ましくは収縮ホイル)であり、下側部分6の周縁8上に配置されると共に密封される。
【0051】
下側部分6は、(例えば、モールディングを用いた)プラスチック製であり、互いに対面する2つの安定した側壁群9、10とそれらの間に配置されるトラフ11とを備えた所定の形態を有する。
下側部分の前面群12及び13は、側壁群9、10及びトラフ11と共に、透析機2のための受け区画5を形成し、後者の開放側で周縁8と合流する。
トラフ11、側壁群9、10、前面群12、13は、適切な安定性を以て構成される。
【0052】
この「安定である」というのは、酸素結合により一次包装に負圧を生じる事象において、下側部分が実質的に変形しないという意味に取られるものである。
下側部分6と異なり、上側ホイルの寸法安定性は、より減少している。
この場合、「減少した寸法安定性」とは、酸素分子結合により受け区画5に負圧を生じる事象において、それが少なくとも断面視で変形し、圧力の均等化を引き起こすことを意味する。
【0053】
該事象において、後述するように、上側ホイルは、透析機2に、よりきつく、又は、より密に、密着することになる。
一次包装1を閉じた後、その中に包囲される雰囲気中に存在する酸素分子を結合し、且つ、包装された透析機を放射線(γ線)滅菌する目的で該雰囲気から酸素分子を除去すべく、ゲッタ14が、受け区画5内に配置される。
【0054】
受け区画5の内部輪郭は、透析機2の領域がその内部に挿入されるように、構成される。
受け空間5の安定した側部群9、10、12、13は、それに挿入される透析機2の断面容積より大きい容積を形成し、その結果、透析機の半径方向の透析機接続部15及び軸方向の透析機接続部16は、下側部分6や上側ホイル7によって、塞がれることはない(特に、図2参照)。
【0055】
かくして、透析機2の内部は、受け区画5の雰囲気と流動可能に接続され、それにより、ゲッタ14を用いて、透析機2の内部に存在する酸素分子もが結合され得ることになる。
端部にある透析機接続部群15、16間の透析機2の中央円筒部23は、上側ホイル7によりしっかりと包囲される(特に、図2参照)。
【0056】
このように、透析機2は適所に固定され、受け区画の中で(しかして、下側部分6上に)保持される。
これは、円筒部23にしっかりと密着する上側ホイル7のためである。
下側部分5は、透析機の形状に適合する硬い要素と、透析機2をしっかり包囲するが閉鎖しない柔らかい上側ホイル7とからなるとも言い得るものであり、しかして、酸素吸収器14が効果を現わし得るものであり、また、透析機2内部からも酸素分子を結合することができるのである。
【0057】
図3は、図1図2によるいくつかの一次包装群1と共に、図4による外側包装3内に包装されるトレイ4を示す。
トレイ4は、実質的にU字状をなす、透析機2の軸方向を横切って進む横断面を有する。
【0058】
このトレイは、上側板17と、この上側板に連結され且つ互いに対面する側面板群18、19とを備える。
脚部群20、21が、各側面板群18、19の側部において、上側板17から離反する方向に向いて形成されている。
複数の凹部群22が上側板17内に形成される。
【0059】
好ましくは、これらの部材群は、互いと平行になるように指向する。
図3にクリアに示されるように、これらの部材群は、形状において、実質的な部分円筒(ここでは、半円筒状)をなす。
【0060】
凹部群22の各々は、一次包装1内に包囲される1つの透析機2のための受け区画を形成する。
上側ホイル7がトレイ4の方向を向くようにして、透析機2が内部に密封された状態の一次包装1は、トレイ4内へ挿入される。
各凹部22と、上側ホイル7がしっかりと密着する状態にある円筒部23との間には、嵌め合いが存在する。
【0061】
図1に見得るように、透析機2の2つの端部群24、25は、中央円筒部23よりも大きい直径を有する。
側面板群18、19のそれぞれ及びその側部に位置決めされる透析機2の側面部24、25が、互いに当接するように、トレイ4の幅(即ち、2つの側面板群18、19間の距離)が調整されている。
【0062】
したがって、一次包装1に包装された透析機2は、接線方向に関してそれぞれの凹部22により、且つ、軸方向に関して側面板群18、19により、適所に固定されるものである。
複数の一次包装群1が安定して外側包装3内に位置決めされ得るように、下側部分6の周縁8及び外側包装3群の寸法群の調和がとられている。
【符号の説明】
【0063】
1 透析機一次包装/一次包装
2 透析機
3 二次包装/外包装/外箱
4 トレイ
5 受け区画
6 下側部分
7 上側ホイル
8 周縁
9 側壁
10 側壁
11 トラフ
12 前面
13 前面
14 ゲッタ
15 透析機接続部
16 透析機接続部
17 上側板
18 側面板
19 側面板
20 脚部
21 脚部
22 凹部
23 円筒部
24 側面部
25 側面部
図1
図2
図3
図4