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特許7009072指機構およびこの指機構を組み込んだ人間型ハンド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】指機構およびこの指機構を組み込んだ人間型ハンド
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20220118BHJP
   A61F 2/56 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
B25J15/08 J
A61F2/56
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2017068020
(22)【出願日】2017-03-30
(65)【公開番号】P2018167374
(43)【公開日】2018-11-01
【審査請求日】2020-03-25
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代人工知能・ロボット中核技術開発」の委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】593058190
【氏名又は名称】ダブル技研株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】515130201
【氏名又は名称】株式会社Preferred Networks
(74)【代理人】
【識別番号】100085257
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 有
(72)【発明者】
【氏名】深谷 直樹
【審査官】木原 裕二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/141266(WO,A1)
【文献】特開2011-062788(JP,A)
【文献】特開平04-046787(JP,A)
【文献】特開2015-054354(JP,A)
【文献】特開2009-101453(JP,A)
【文献】特開2013-240863(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0230941(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
A61F 2/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指機構において、
前記指機構の骨部材のうち末節骨に相当する第4骨部材は支持部と爪先部からなり、前記支持部は中節骨に相当する第3骨部材に連結され、前記爪先部は前記支持部に対し前記第3骨部材との回動自在となる回転軸に対して直角ないしは直角に近い軸にて回動自在に取付けられ、更に、前記支持部と前記爪先部との間には回動した前記爪先部を基準位置に戻す復帰部材が設けられていることを特徴とする指機構。
【請求項2】
請求項1に記載の指機構において、前記第3骨部材と基節骨に相当する第2骨部材との連結軸(g3)に第3リンク部材の基端部が枢着され、前記第3リンク部材の先端部は前記第3骨部材と前記支持部との連結軸(g5)からオフセットされた位置の前記支持部上の軸(g6)に枢着されていることを特徴とする指機構。
【請求項3】
請求項2に記載の指機構において、前記第4骨部材の前記爪先部が前記支持部に対し長さ方向の軸(g7)を中心として回動可能に支持されていることを特徴とする指機構。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の指機構において、前記支持部と前記爪先部の一方には前記爪先部の回動範囲を規制するストッパが設けられていることを特徴とする指機構。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の指機構において、前記復帰部材は板バネ、コイルスプリングまたはゴムなどの弾性体であることを特徴とする指機構。
【請求項6】
前記爪先部は、対象物との接触によって生じる接触圧に応じて、前記直角ないしは直角に近い軸で前記支持部に対して回動する、
請求項1乃至請求項5の何れかに記載の指機構。
【請求項7】
前記爪先部は、前記接触圧が高まるにつれて前記対象物との接触面積が大きくなるように回動する、
請求項6に記載の指機構。
【請求項8】
前記支持部と第3骨部材の回動軸に対する前記爪先部の回動軸の角度は、80°から100°の範囲に含まれる、
請求項1乃至請求項7の何れかに記載の指機構。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8の何れかに記載の指機構を、拇指に対向する示指機構の指機構としたことを特徴とする人間型ハンド。
【請求項10】
骨部材に連結される支持部と、
前記支持部に対して回動可能に取付けられる爪先部と、
回動した前記爪先部を基準位置に戻す復帰部材と、を備え、
前記爪先部は、前記支持部が前記骨部材に対して回動する際の軸に対して直角ないしは直角に近い軸で前記支持部に対して回動可能である、
指機構。
【請求項11】
前記爪先部は、対象物との接触によって生じる接触圧に応じて、前記直角ないしは直角に近い軸で前記支持部に対して回動する、
請求項10に記載の指機構。
【請求項12】
前記爪先部は、前記接触圧が高まるにつれて前記対象物との接触面積が大きくなるように回動する、
請求項11に記載の指機構。
【請求項13】
前記対象物は、他の指機構の爪先部である、
請求項11又は請求項12に記載の指機構。
【請求項14】
前記復帰部材は弾性体であり、弾性力によって前記爪先部を前記基準位置に戻す、
請求項10乃至請求項13の何れか一項に記載の指機構。
【請求項15】
前記爪先部の回動範囲を規制するストッパ、を更に備える、
請求項10乃至請求項14の何れか一項に記載の指機構。
【請求項16】
前記爪先部が回動際の軸と前記支持部が前記骨部材に対して回動する際の軸の角度は、80°から100°の範囲に含まれる、
請求項10乃至請求項15の何れか一項に記載の指機構。
【請求項17】
請求項10乃至請求項16の何れか一項に記載の指機構を備えるハンド。
【請求項18】
前記指機構に駆動力を伝達する駆動源、を更に備える、
請求項17に記載のハンド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットのアーム先端に装着したり、身障者用の義手などとして使用する指機構と、これを組み込んだ人間型ハンド(Humanoid Hand)のうち、特に指先での繊細な仕事が可能な人間型ハンドに関する。
【背景技術】
【0002】
人間の手は拇指の先端と他の指の先端を突き合わせることができる。この動作を可能とした人間型ハンドは特許文献1及び特許文献2に開示されている。
【0003】
特許文献1は本発明者らが提案したものであり、その構造は、人間の基節骨、中節骨及び末節骨のそれぞれに相当する3本の指プレートを端部を回動自在に連結し、またこれら指プレートに沿って回転プレート及び駆動ロッドを含むリンク機構を配置し、前記回転プレート及び駆動ロッドと指プレートを回動可能に枢着した構成としている。
【0004】
この特許文献1にあっては1つのステッピングモータに複数のリンクプレートを逆トーナメント状に配置したリンク群を連結し、ステッピングモータを駆動することで前記リンク群の末端に連結された駆動ロッドに牽引動作を行わせ、この牽引動作に連動するリンク機構を介して各指プレートに回動動作を行わせるものであり、リンク機構を最適に設定することで、拇指の先端と他の指の先端を合わせることが可能である。
【0005】
また、特許文献2には、人間の中節骨及び末節骨に相当する部分に回動動作を行わせるために、基節骨及び中節骨に相当する箇所に、従動流体圧シリンダをそれぞれ配設した人間型ハンドが開示され、更に指先部に作用する力を検出する力センサをIP関節の部分に配置している。
【0006】
この特許文献2にあっては拇指を含め各指に従動流体圧シリンダを2ヶ所配設しており、拇指の先端と他の指の先端を合わせられるように設計することは可能と思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第4462742号公報
【文献】特開2010-264548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
指先に力を入れずに軽く接触させた状態では、指先同士が平行でなく点接触に近い片当たりになっており、人間が極めて細かい作業、例えば紙縒りを作ったり、軽く壊れやすいものを掴んだり、針穴に糸を通すときなどにはこの状態になっている。また重く硬いものなどを掴むなどある程度強く押し付けた状態では指先が回動して接触面積が大きくなり、この傾向が強く表れるのは、拇指と示指(人さし指)との接触であることを、本発明者は人間型ハンドを開発する過程で知見した。
【0009】
特に人間が繊細で複雑な作業を行う場合には、図8の状態と図9の状態の切替を繰り返して行っており、このような動きを行える人間型ハンドは今までに提案されていない。
【0010】
したがって、拇指と他の指(例えば示指)の先端との接触圧が小さい場合には片当たりさせて接触面積を小さくし、接触圧が大きくなるにしたがって接触面同士が平行になって接触面積も大きくなる構造が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明に係る指機構は、連結する複数の骨部材をリンク機構によって前記連結部を中心として回動せしめる指機構であって、前記複数の骨部材のうち末節骨に相当する第4骨部材を支持部と爪先部と分割し、前記支持部は中節骨に相当する第3骨部材に連結され、前記爪先部は前記支持部(第4骨部材)と第3骨部材との回動自在となる回転軸に対して直角ないしは直角に近い軸にて回動自在に取付けられ、更に、前記支持部と爪先部との間には回動した爪先部を基準位置に戻す復帰部材が設けられた構成である。
【0012】
前記支持部と第3骨部材の回動軸に対する前記爪先部の回動軸の角度としては、90±10°が好ましい範囲である。
【0013】
前記末節骨に相当する第4骨部材と第3骨部材との連結部に2自由度を与えることで、前記第4骨部材(または爪先部)が前記支持部材に対し第3骨部材との回動自在となる回転軸に対して直角ないしは直角に近い軸にて回転自在になる効果を得られるようにしてもよい。
このように指のDIP関節に相当する部分を2自由化(2軸自由度)することでも、爪先部を第3骨部材と第4骨部材との回動軸に対して直角ないしは直角に近い軸にて回動自在とすることが可能である。
【0014】
また、対象物と接触する前記第4骨部材の指先部のみが前記支持部材に対し第3骨部材との回動自在となる回転軸に対して直角ないしは直角に近い軸にて回転自在になる効果を得られるようにしてもよい。
【0015】
また、第4骨部材と第3骨部材との回動自在となる回転軸を省略ないしは前記第4骨部材と第3骨部材とを一体で構築し、第4骨部材と第3骨部材との長軸に対し直角ないしは直角に近い軸にて第4骨部材の一部が回転自在になる効果を得られるようにしてもよい。

【0016】
復帰部材としては例えば、板バネ、コイルスプリングまたはゴムなどの弾性を与えて弾性力を使って復帰させてもよい。また回動範囲を規制するために前記支持部または爪先部にストッパを設けてもよいし、回転軸部分に回動を規制する突起を設けてもよい。
【0017】
前記指機構の適用例としは、5本指の人間型ハンドの場合は、示指が最も好ましいが、例えば2本の指機構で構成されるハンド(マニピュレータ)など、5指以外のハンドも考えられる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る指機構によれば、指の先端を突き当てた際の接触圧に応じて指同士の接触面積が変化するという人間の繊細な指の動きに近づいた動作をすることができる。
【0019】
従って、軽くて壊れやすい物を掴んだり、人間でなければできなかった作業、例えば習字や絵筆の強弱など微妙な感覚に対応した動作が可能であり、AIなどとの組み合わせも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る人間型ハンドの全体図。
図2】同人間型ハンドを構成する示指機構の斜視図。
図3】同指機構の分解斜視図。
図4】示指機構の末節骨に相当する第4骨部材の分解斜視図
図5】同末節骨に相当する第4骨部材を後方から見た斜視図
図6】同人間型ハンドを構成する拇指機構の斜視図。
図7】同指機構の分解斜視図。
図8】示指機構の末節骨に相当する第4骨部材と拇指機構の末節骨に相当する第4骨部材とが軽く接触した状態を前側から見た図。
図9】示指機構の末節骨に相当する第4骨部材と拇指機構の末節骨に相当する第4骨部材とが強く接触した状態を前側から見た図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る指機構を適用した例として人間型ハンドが挙げられる。この人間型ハンドは掌基板1、拇指機構2、示指機構3、中指機構4、環指機構5及び小指機構6を備え、各指機構はモータ(ステッピングモータ)7によって動作せしめられる。動作はここではモータ7としているが、拇指機構2から小指機構6までに駆動力を伝達できるのであればモータ以外の駆動源を用いてもよい。
【0022】
示指機構3、中指機構4、環指機構5及び小指機構6については、モータ7による牽引動作が逆トーナメント状リンク群8を介して各指機構に伝達され、またリンク群8から枝分かれしたリンク群9を介して拇指機構2に伝達される。各指機構に動力を伝達する手段の一例として逆トーナメント状リンク群8を示しているが、各指機構に動力を伝達できるのであれば他の手段でもよい。
【0023】
この実施例では、モータ7の駆動でリンクに牽引動作を行わせることで各指は内側に屈曲し、リターンスプリング等によって開状態に戻るようにしている。
【0024】
上記示指機構3、中指機構4、環指機構5及び小指機構6は同じのため、示指機構3を図2乃至図5で説明し、拇指機構2を図6及び図7で説明する。
【0025】
示指機構3は、基端部が掌基板1にユニバーサルジョイントを介して連結される中手骨に相当する第1骨部材11と、基端部が前記第1部材11の先端に回動自在に連結される基節骨に相当する第2骨部材12と、基端部が前記第2骨部材の先端に回動自在に連結される中節骨に相当する第3骨部材13と、基端部が前記第3部材の先端に回動自在に連結される末節骨に相当する第4骨部材14とを備えている。
【0026】
前記第2骨部材12、第3骨部材13及び第4骨部材14は前記モータ7の駆動で引っ張り動作を行うワイヤ(チェーンやロッドなども可)などの駆動部材19と連結するリンク機構20によって回動せしめられる。
【0027】
リンク機構20は、基端部が前記第1骨部材と第2骨部材の連結軸g1に回動自在に枢着される第1リンク部材21と、基端部が前記第1リンク部材21の先端部の軸g2に回動自在に枢着される第2リンク部材22と、基端部が前記第2骨部材12と第3骨部材13の連結軸g3に回動自在に枢着される第3リンク部材23とからなる。
【0028】
前記第1リンク部材21は伸ばした位置、即ち掌を開いた状態で第2骨部材12と側方視で略重なる板状をなしている。このような構成とすることで従来の三角形状の回転プレートを廃止して余分な出っ張りをなくし、より実際の人の手の形に近づけている。
【0029】
前記第2リンク部材22は先端部が前記第3リンク部材23の中間部の軸g4に枢着され、またその形状は伸び方向の強い力が作用した場合に全体形状が伸びるように幅方向(図では上方向)に湾曲した形状になっている。
【0030】
このように第2リンク部材22の形状を湾曲形状とすることで、第4骨部材14に反り方向の強い力が作用した場合であっても、第2リンク部材22が若干伸びることで特異点(軸g1、軸g2及び軸g4が同一線上となる点)を乗り越え、第3骨部材13及び第4骨部材14が反対方向に回動可能(脱臼状態)となる。
【0031】
従来であれば、特異点を乗り越えることができないため、一部を破損してしまう事態となっていたが、このように第2リンク部材22の形状に工夫を凝らす頃で、破損を免れることができる。
【0032】
前記第3リンク部材23は前記第3骨部材13と第4骨部材14との連結軸g5からオフセットされた位置の軸g6に枢着されている。これら軸5、6の位置関係は第3リンク部材23が反時計方向に回動した際に指を閉じる方向に回動する位置関係になっている。
【0033】
以上において、図2に示す状態(指を伸ばした状態)を基準とし、この状態でモータ7を駆動し、ワイヤなどの駆動部材19に牽引動作(図2において右方向)を行う。
【0034】
すると、第1リンク部材21に軸g1を中心として反時計方向の力が作用し、第2リンク部材22が引かれる。すると第2リンク部材22の先端は第3リンク部材23の中間部に連結されているため、第3リング部材23の基端部が枢着している第2骨部材12が軸g1を中心に反時計方向に回動する。
【0035】
そして第2骨部材12が回動して把持対象物に当接すると、第2骨部材12はそれ以上回動できなくなり、その状態で更に駆動部材15を引くと第3リンク部材23が軸g3を中心として反時計方向に回動する。
【0036】
第3リンク部材23が反時計方向に回動すると第3骨部材13も同方向に回動し、更に軸g5と軸g6の位置関係から、第4骨部材14も反時計方向に回動し、その結果、把持対象物を第2骨部材12、第3骨部材及び第4骨部材14で包みこむように把持する。
【0037】
図4図5に示すように、前記末節骨に相当する第4骨部材14は支持部15と爪先部16からなり、支持部15には軸g5、g6が挿通される穴15a、15bの他に爪先部16を長さ方向の軸g7を中心として回動可能に支持する軸穴15cが形成され、更に爪先部16の背面には上記回動の範囲を規制するストッパ16a、16bが形成されている。
【0038】
また、支持部15の上面には爪先部16の上面まで伸びる復帰部材としての板バネ17の基端部が止着され、図5の状態から、爪先部16がストッパ16bが支持部15の側面に当接するまで板バネ17を捩じりつつ時計方向に回動した後、板バネ17の復元力で元の水平位置まで戻す構成になっている。
【0039】
拇指機構2は、掌基板1の裏面側にブラケット40が取付けられ、このブラケット40に中手骨に相当する第1骨部材41が設けられている。拇指機構2は、前記第1骨部材41と、基端部が前記第1部材41に回動自在に連結される基節骨に相当する第2骨部材42と、基端部が前記第2骨部材42の先端に回動自在に連結される中節骨に相当する第3骨部材43と、基端部が前記第3部材43の先端に回動自在に連結される末節骨に相当する第4骨部材44からなる。
【0040】
リンク機構50は、前記第1骨部材41の基端部の連結軸g8に回動自在に枢着される第1リンク部材51と、基端部が前記第1リンク部材51の先端部の軸g9に回動自在に枢着される第2リンク部材52と、基端部が前記第2リンク部材52と第3骨部材43の連結軸g10に回動自在に枢着される第3リンク部材53とからなる。
【0041】
軸10は第2骨部材42と第3骨部材43との枢着軸12からオフセットされ、軸10に基端部が支持された前記第3リンク部材53は前記第3骨部材43と第4骨部材44との連結軸g12からオフセットされた軸g13に枢着されている。これら軸13、14の位置関係は第3リンク部材53が押し方向に移動した際に指を閉じる方向に回動する位置関係になっている。
【0042】
以上において、図2に示す状態(指を伸ばした状態)を基準とし、この状態でモータ7を駆動し、ワイヤなどの駆動部材19に牽引動作(図2において右方向)を行う。すると、第1リンク部材21に軸g1を中心として反時計方向の力が作用し、第2リンク部材22が引かれ、第2リンク部材22の先端は第3リンク部材23の中間部に連結されているため、第3リング部材23の基端部が枢着している第2骨部材12が軸g1を中心に反時計方向に回動し、第2リング部材22が牽引動作することで、第3骨部材13が反時計方向に回動し、第3リング部材23が回動することで、第4骨部材14が反時計方向に回動する。
【0043】
また拇指機構2についても、モータ7を駆動し第1リンク部材51に軸g8を中心として反時計方向に回動させると、第2リンク部材52が押し動作を行い、この押し動作によって第3リンク部材53も押し動作を行う。この押し動作によって拇指機構2は閉じ動作を行う。
【0044】
拇指機構2と示指機構3が閉じ動作を行うと、拇指機構2の第4骨部材44と示指機構3の第4骨部材14とが軽く接触する。この場合、拇指機構2と示指機構3の基端部は水平方向にずれているため、図8に示すように指先に相当する部分同士は片当たりする。
【0045】
拇指機構2と示指機構3の第4骨部材の表面には例えばウレタンなど弾性を有する部材で被覆している場合には、若干潰れるため、点接触とはならないが接触面積は小さい。
【0046】
上記の状態から更にモータ7を駆動して第4骨部材14と第4骨部材44との接触圧を高めると、第4骨部材14を構成している爪先部16が第4骨部材44に倣うように軸8を中心として板バネ17を変形させつつ回動し、図9に示すように爪先部16と第4骨部材44とが平行に近付き、接触面積が大きくなる。
【0047】
モータ7(ステッピングモータ)の回転を正逆反転することで、図8図9の状態を繰り返すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
実施例にあっては、5本指の人間型ハンドを説明したが、本発明は2本の指先の接触圧に応じて接触面積が変化することを特徴としているため、2本以上の指を持つハンドに適用することができる。
【0049】
本発明に係る人間型ハンドは産業用としても、また義手としても使用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1…掌基板、2…拇指機構、3…示指機構、4…中指機構、5…環指機構、6…小指機構、7…モータ(ステッピングモータ)、8、9…リンク群、11…第1骨部材、12…第2骨部材、13…第3骨部材、14…第4骨部材、15…支持部、15a、15b、15c…軸穴、16…爪先部、16a、16b…ストッパ、17…板バネ、19…駆動部材、20…リンク機構、21…第1リンク部材、22…第2リンク部材、23…第3リンク部材、40…ブラケット、41…第1骨部材、42…第2骨部材、43…第3骨部材、44…第4骨部材、50…リンク機構、51…第1リンク部材、52…第2リンク部材、53…第3リンク部材、g1、g2、g3、g4、g5、g6、g7、g8、g9、g10、g11、g12、g13…軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9