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特許7009074様々な角度及び深さの溝を有する可塑化装置用スクリュ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】様々な角度及び深さの溝を有する可塑化装置用スクリュ
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/60 20060101AFI20220118BHJP
   B29C 48/56 20190101ALI20220118BHJP
   B29C 48/60 20190101ALI20220118BHJP
   B29B 7/42 20060101ALI20220118BHJP
   B29B 7/48 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
B29C45/60
B29C48/56
B29C48/60
B29B7/42
B29B7/48
【請求項の数】 23
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017069588
(22)【出願日】2017-03-31
(65)【公開番号】P2017222156
(43)【公開日】2017-12-21
【審査請求日】2020-03-27
(31)【優先権主張番号】15/091,802
(32)【優先日】2016-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505334086
【氏名又は名称】デイビス - スタンダード、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100137903
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 亨
(72)【発明者】
【氏名】クリスチアーノ ジョン ピー
【審査官】山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06488399(US,B1)
【文献】特開平08-216212(JP,A)
【文献】実開昭57-116427(JP,U)
【文献】実開昭58-036122(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
B29C 48/00-48/96
B29B 7/00- 7/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可塑化装置用のスクリュであって、
前記スクリュはバレルの中で長手方向の軸の周りを回転できるように支持されており、前記スクリュは、コアと前記スクリュの長さに沿って延びる少なくとも一つのらせん状フライトを有し、前記らせん状フライトは第一のねじ方向に延びるとともに、前記長手方向の軸に直交する参考線を基準に計測される90度より小さいらせん角の第一のらせん状経路を定義し、前記らせん状フライトはらせん状通路を定義し、
前記スクリュの一つの長手部分は少なくとも一つの閉端部を有する複数のアドバンシング溝を有し、前記複数のアドバンシング溝は前記スクリュの前記らせん状通路におけるスクリュコアに不連続にらせん状に彫り込まれて配列されており、前記複数のアドバンシング溝の各々は前記らせん状の通路において第二のらせん状経路を形成し、かつ隣接するフライトの間に全体的に配置され、また前記らせん状フライトに実質的に並行に延び、また、前記複数のアドバンシング溝は材料がらせん状通路を通って前方に運搬されるように、前記材料を受け入るのに必要な大きさになっており、
前記長手部分はさらに、少なくとも一つの前記アドバンシング溝を横切る複数の不連続なクロスカット溝を有し、
前記複数のクロスカット溝の少なくとも1つは、前記らせん状フライトと共通の前記第一のねじ方向を向き、かつ、前記長手方向の軸に直交する参考線を基準に計測されかつ前記第一のらせん角より大きく90度より小さい第二のらせん角を有し、
前記材料が逆流でき前記長手部分を循環できるように、各クロスカット溝が前記らせん状フライトを1回又は2回横断する、スクリュ。
【請求項2】
前記複数のアドバンシング溝の少なくとも一つがアドバンシング溝深さテーパを有するか、又は前記複数のクロスカット溝の少なくとも一つがクロスカット溝深さテーパを有する請求項1記載のスクリュ。
【請求項3】
前記複数のアドバンシング溝の少なくとも一つのアドバンシング溝のアドバンシング溝深さテーパは、他の前記複数のアドバンシング溝のアドバンシング溝深さテーパとは異なる請求項2記載のスクリュ。
【請求項4】
前記複数のクロスカット溝の少なくとも一つのクロスカット溝のクロスカット溝深さテーパは、他の前記複数のクロスカット溝のクロスカット溝深さテーパとは異なる請求項2記載のスクリュ。
【請求項5】
前記複数のクロスカット溝の少なくとも一つのクロスカット溝のクロスカット溝深さテーパは、前記複数のアドバンシング溝の少なくとも一つのアドバンシング溝深さテーパとは異なる請求項2記載のスクリュ。
【請求項6】
少なくとも一つの前記クロスカット溝は、前記クロスカット溝における流れの方向において、前記クロスカット溝に沿って長手方向に延びかつ増加する深さテーパを有する請求項2記載のスクリュ。
【請求項7】
少なくとも一つの前記クロスカット溝は、前記クロスカット溝における流れの方向において、前記クロスカット溝に沿って長手方向に延びかつ減少する深さテーパを有する請求項2記載のスクリュ。
【請求項8】
少なくとも一つの前記アドバンシング溝は、前記アドバンシング溝における流れの方向において、前記アドバンシング溝に沿って長手方向に延びかつ増加する深さテーパを有する請求項2記載のスクリュ。
【請求項9】
少なくとも一つの前記アドバンシング溝は、前記アドバンシング溝における流れの方向において、前記アドバンシング溝に沿って長手方向に延びかつ減少する深さテーパを有する請求項2記載のスクリュ。
【請求項10】
可塑化装置用のスクリュであって、
前記スクリュはバレルの中で長手方向の軸の周りを回転できるように支持されており、前記スクリュは、コアと前記スクリュの長さに沿って延びる少なくとも一つのらせん状フライトを有し、前記らせん状フライトは第一のねじ方向に延びるとともに、前記長手方向の軸に直交する参考線を基準に計測される90度より小さい第一のらせん角の第一のらせん状経路を定義し、前記らせん状フライトはらせん状通路を定義し、
前記スクリュの一つの長手部分は少なくとも一つの閉端部を有する複数のアドバンシング溝を有し、前記複数のアドバンシング溝は前記スクリュの前記らせん状通路におけるスクリュコアに不連続にらせん状に彫り込まれて配列されており、前記複数のアドバンシング溝の各々は前記らせん状の通路において第二のらせん状経路を形成し、かつ隣接するフライトの間に全体的に配置されまた前記らせん状フライトに実質的に並行に延び、また、前記複数のアドバンシング溝は材料がらせん状通路を通って前方に運搬されるように、前記材料を受け入るのに必要な大きさになっており、
前記長手部分はさらに、前記複数のアドバンシング溝の内のいくつかを横切りかつ前記らせん状フライトと共通の前記第一のねじ方向を向く複数の不連続なクロスカット溝を有し、
アドバンシング溝深さテーパを有する少なくとも一つの前記複数のアドバンシング溝、及び、
クロスカット溝深さテーパを有する少なくとも一つの前記複数のクロスカット溝、の少なくとも一方を有し
前記材料が逆流でき前記長手部分を循環できるように、各クロスカット溝が前記らせん状フライトを1回又は2回横断し、少なくとも一つのクロスカット溝は前記長手方向の軸に直交する参考線を基準に計測される90度より小さい第二のらせん角を有する、スクリュ。
【請求項11】
前記複数のアドバンシング溝の少なくとも一つのアドバンシング溝のアドバンシング溝深さテーパは、他の前記複数のアドバンシング溝のアドバンシング溝深さテーパとは異なる請求項10記載のスクリュ。
【請求項12】
前記複数のクロスカット溝の少なくとも一つのクロスカット溝のクロスカット溝深さテーパは、他の前記複数のクロスカット溝のクロスカット溝深さテーパとは異なる請求項10記載のスクリュ。
【請求項13】
前記複数のクロスカット溝の少なくとも一つのクロスカット溝のクロスカット溝深さテーパは、前記複数のアドバンシング溝の少なくとも一つのアドバンシング溝深さテーパとは異なる請求項10記載のスクリュ。
【請求項14】
少なくとも一つの前記クロスカット溝は、前記クロスカット溝における流れの方向において、前記クロスカット溝において長手方向に延びかつ増加する深さテーパを有する請求項10記載のスクリュ。
【請求項15】
少なくとも一つの前記クロスカット溝は、前記クロスカット溝における流れの方向において、前記クロスカット溝において長手方向に延びかつ減少する深さテーパを有する請求項10記載のスクリュ。
【請求項16】
少なくとも一つの前記アドバンシング溝は、前記アドバンシング溝における流れの方向において、前記アドバンシング溝において長手方向に延びかつ増加する深さテーパを有する請求項10記載のスクリュ。
【請求項17】
少なくとも一つの前記アドバンシング溝は、前記アドバンシング溝における流れの方向において、前記アドバンシング溝において長手方向に延びかつ減少する深さテーパを有する請求項10記載のスクリュ。
【請求項18】
可塑化装置用のスクリュであって、前記スクリュはバレルの中で長手方向の軸の周りを回転できるように支持されており、前記スクリュは、コアと前記スクリュの長さに沿って延びる少なくとも一つのらせん状フライトを有し、前記らせん状フライトは第一のねじ方向に延びるとともに、前記長手方向の軸に直交する参考線を基準に計測される90度より小さい第一のらせん角の第一のらせん状経路を定義し、前記らせん状フライトはらせん状通路を定義し、
前記スクリュの一つの長手部分は少なくとも一つの閉端部を有する複数のアドバンシング溝を有し、前記複数のアドバンシング溝は前記スクリュの前記らせん状通路におけるスクリュコアに不連続にらせん状に彫り込まれて配列されており、前記複数のアドバンシング溝の各々は前記らせん状の通路において第二のらせん状経路を形成し、かつ隣接するフライトの間に全体的に配置されまた前記らせん状フライトに実質的に並行に延び、また、前記複数のアドバンシング溝は材料がらせん状通路を通って前方に運搬されるように、前記材料を受け入るのに必要な大きさになっており、
前記長手部分はさらに、少なくとも一つの前記アドバンシング溝を横切る複数の不連続なクロスカット溝を有し、
前記複数のクロスカット溝の少なくとも1つの第一のクロスカット溝が前記らせん状フライトと共通の前記第一のねじ方向を向き、かつ、前記長手方向の軸に直交する参考線を基準に計測される90度より小さい第二のらせん角を有し、かつ当該複数のクロスカット溝の各々が、前記材料が逆流でき前記長手部分を循環できるように前記らせん状フライトを1回又は2回横断し、
前記複数のクロスカット溝の少なくとも1つの第二のクロスカット溝が前記長手方向の軸に直交する参考線を基準に計測される第三のらせん角を持ち、
前記第一のらせん角、前記第二のらせん角及び第三のらせん角は互いに異なる大きさである、スクリュ。
【請求項19】
前記第一のらせん角、前記第二のらせん角及び前記第三のらせん角とは異なりかつ前記長手方向の軸に対して直交して計測される第四のらせん角を有する、少なくとも一つの第三のクロスカット溝を有する請求項18記載のスクリュ。
【請求項20】
前記複数のクロスカット溝の少なくとも一つは前記少なくとも一つの第二のクロスカット溝から軸上で下流にある請求項18記載のスクリュ。
【請求項21】
前記アドバンシング溝の少なくとも1つは、前記アドバンシング溝における流れの方向において、前記クロスカット溝に沿って長手方向に延びかつ増加する深さテーパを有する、請求項10記載のスクリュ。
【請求項22】
前記アドバンシング溝の少なくとも1つは、前記アドバンシング溝における流れの方向において、前記クロスカット溝に沿って長手方向に延びかつ減少する深さテーパを有する、請求項10記載のスクリュ。
【請求項23】
前記クロスカット溝の少なくとも一つの他のクロスカット溝は、前記長手方向の軸に並行でニュートラルな方向を向き、かつ、前記長手方向の軸に直交する前記参考線を基準に計測される概ね90度の第三のらせん角を持つ、請求項1、2から7、10、12から15、21、および22のいずれか一項に記載の、可塑化装置用のスクリュ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バレル内で回転可能で、溶融した樹脂材料を押し出す可塑化装置用のスクリュに関する。特に本発明は、様々な角度の溝であって、様々な深さと深さのテーパ(taper)を有する溝によって、材料を完全に混ぜて溶融するために材料を再循環させるように設計されたスクリュの長手部分に関する。
【背景技術】
【0002】
可塑化装置は、通常、ポリマー樹脂又は熱可塑性樹脂のペレット、粒又は粉末を投入口から受け入れ、その後、その樹脂を加熱しかき混ぜて、溶融状態に変化させる。溶融した材料は、加圧下で、狭い放出口又は排出口を通って運搬されて、最終物品を作成する。溶融した材料が装置から排出されるときには、完全に溶けて均一に混ざっており、均一な温度、粘度、色及び組成であることが望ましい。
【0003】
典型的な可塑化装置は、細長い円筒形のバレルを具備し、そのバレルは通常、長手方向に沿った様々な位置で加熱される。軸で支持されて軸を中心に回転するスクリュがバレルの中を長手方向に伸びている。スクリュには、材料が投入口から放出口に進む間に、材料を運搬し、溶融し、加圧し、均一化する役目がある。スクリュは、コア(core)とその上のらせん状のフライトを具備し、フライトはバレルの円筒状の内壁と共に、樹脂を放出口へ向けて運搬するためのらせん状の通路(helical channel)を形成する。
【0004】
典型的な可塑化スクリュは、軸の長手方向に沿って複数の部分に分かれており、各部分は特定の機能のために設計されている。通常、直列に、フィード部、移行部、計量部、及びミキシング部がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
米国特許6,498,399号に開示され、図1に記載されているように、可塑化スクリュ100には、その内部に配置されるらせん状フライト113と加熱されるバレルの内壁(不図示)とにより形成されるメイン通路がある。図1に示すように、従来技術であるスクリュ100は、メイン通路内に配置される、複数の不連続のアドバンシング溝(advancing grooves)130を少しずつずらした列を有する長手部分を具備する。アドバンシング溝130の各列の軸は、長手部分の隣接するらせん状フライト113のらせん状の軸と実質的に平行であり、矢印140で示される方向の流れを促進する。そこに不連続のらせん状通路が、らせん状フライト113の方向とは反対方向に横切るように形成されている。その通路は複数のリトラクティング溝(retracting grooves)137を有する。リトラクティング溝137の目的は、メイン通路において、ポリマー樹脂又は熱可塑性樹脂のペレットの混合を促進することであるが、混合が不十分な場合がある。
【0006】
上記に鑑み、本発明の目的は、ポリマー樹脂又は熱可塑性樹脂のペレットの混合を促進するスクリュを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、可塑化装置用のスクリュの一形態に関する。可塑化装置は、投入口から放出口までの軸の長さを有するバレルを具備する。バレルには内壁がある。スクリュには長手方向の軸があり、スクリュはその長手方向の軸の周りを回転するようバレル内で回転可能に支持されている。スクリュにはコアとスクリュの長さに沿って延びる一つ以上のらせん状フライトがある。らせん状フライトは第一のねじ方向に延びるとともに長手方向の軸に直交する参照線に対する第一のらせんの角度を規定し、90度より小さい第一のらせん角の方向を向く第一のらせん状経路(helical path)を規定する。らせん状フライトはらせん状通路(helical channel)を規定する。スクリュは、投入口を有するフィード部、中間溶融部、及び/又は、放出口を有する計量部を具備する。スクリュの長手部分(例えば、フィード部、中間溶融部、及び/又は計量部)には、そこに形成された複数のアドバンシング溝がある。各アドバンシング溝の一端又は両端は閉じている。アドバンシング溝は、スクリュのらせん状通路におけるスクリュコアに不連続にらせん状に彫り込まれて配列されている。複数のアドバンシング溝は、材料がらせん状通路を通って放出口へ運搬されるように、材料を受け入るのに必要な大きさになっている。長手部分にはさらに、一つ以上のアドバンシング溝を横断する、複数の不連続なクロスカット溝(cross-cut grooves)がある。一つ以上のクロスカット溝は、第一のらせん角より大きく90度より小さい第二のらせん角(長手方向の軸に直交する参考線を基準として計測される)を有し、及び/又は、一つ以上の他のクロスカット溝は概ね90度の第三のらせん角(長手方向の軸に直交する参考線を基準として計測される)を有する。
【0008】
一実施例においては、各クロスカット溝が、らせん状フライトを1回又は2回横断し、その結果、材料が逆流でき、長手部分内を再循環できる。
【0009】
一実施例においては、複数のアドバンシング溝の内の一つ以上は、アドバンシング溝の深さにテーパがあり、及び/又は、複数のクロスカット溝の内の一つ以上は、クロスカット溝の深さにテーパがある。
【0010】
本発明は、可塑化装置用のスクリュの他の一形態にも関連する。可塑化装置は、投入口から放出口までの軸の長さを有するバレルを具備する。バレルには内壁がある。スクリュには長手方向の軸があり、スクリュはその長手方向の軸の周りを回転するようバレル内で回転可能に支持されている。スクリュにはコアとスクリュの長さに沿って延びる一つ以上のらせん状フライトがある。らせん状フライトは長手方向の軸に直交する参考線に対する第一のらせんの角度を規定し、90度より小さい第一のらせん角の方向を向く第一のらせん状経路を規定する。らせん状フライトはらせん状通路(チャネル)を規定する。スクリュは、投入口を有するフィード部、中間溶融部、及び/又は、放出口を有する計量部を具備する。スクリュの長手部分(例えば、フィード部、中間溶融部、及び/又は計量部)には、そこに形成された複数のアドバンシング溝がある。各アドバンシング溝の一端又は両端は閉じている。アドバンシング溝は、スクリュのらせん状通路におけるスクリュコアに不連続にらせん状に彫り込まれて配列されている。複数のアドバンシング溝は、材料がらせん状通路を通って放出口へ運搬されるように、材料を受け入るのに必要な大きさになっている。長手部分にはさらに、いくつかのアドバンシング溝を横断する、複数の不連続なクロスカット溝がある。複数のアドバンシング溝の内の一つ以上は、アドバンシング溝の深さにテーパがあり、及び/又は、複数のクロスカット溝の内の一つ以上は、クロスカット溝の深さにテーパがある。
【0011】
本発明は、可塑化装置用のスクリュの他の一形態に関する。可塑化装置は、投入口から放出口までの軸の長さを有するバレルを具備する。バレルには内壁がある。スクリュには長手方向の軸があり、スクリュはその長手方向の軸の周りを回転するようバレル内で回転可能に支持されている。スクリュにはコアとスクリュの長さに沿って延びる一つ以上のらせん状フライトがある。らせん状フライトは長手方向の軸に直交する参考線に対する第一のらせんの角度を規定し、90度より小さい第一のらせん角の方向を向く第一のらせん状経路を規定する。らせん状フライトはらせん状通路(チャネル)を規定する。スクリュは、投入口を有するフィード部、中間溶融部、及び/又は、放出口を有する計量部を具備する。スクリュの長手部分(例えば、フィード部、中間溶融部、及び/又は計量部)には、そこに形成された複数のアドバンシング溝がある。各アドバンシング溝の一端又は両端は閉じている。アドバンシング溝は、スクリュのらせん状通路におけるスクリュコアに不連続にらせん状に彫り込まれて配列されている。複数のアドバンシング溝は、材料がらせん状通路を通って放出口へ運搬されるように、材料を受け入るのに必要な大きさになっている。長手部分にはさらに、一つ以上のアドバンシング溝を横断する、複数の不連続なクロスカット溝がある。複数のクロスカット溝の中には、第二のらせん角(長手方向の軸に直交する参考線を基準として計測される)を有する一つ以上の第一のクロスカット溝と、第三のらせん角(長手方向の軸に直交する参考線を基準として計測される)を有する一つ以上の第二のクロスカット溝がある。第一のらせん角と、第二のらせん角と、第三のらせん角とは、異なっている。
【0012】
一実施例において、可塑化装置は第四のらせん角を有する一以上の第三のクロスカット溝を具備し、その第四のらせん角は、第一のらせん角、第二のらせん角及び第三のらせん角と、異なっている。
【0013】
本発明は、可塑化装置用のスクリュの他の一形態にも関連する。可塑化装置は、投入口から放出口までの軸の長さを有するバレルを具備する。バレルには内壁がある。スクリュには長手方向の軸があり、スクリュはその長手方向の軸の周りを回転するようバレル内で回転可能に支持されている。スクリュにはコアとスクリュの長さに沿って延びる一つ以上のらせん状フライトがある。らせん状フライトは第一のねじ方向に延びるとともに長手方向の軸に直交する参考線に対する第一のらせんの角度を規定し、90度より小さい第一のらせん角の方向を向く第一のらせん状経路を規定する。らせん状フライトはらせん状通路(チャネル)を規定する。スクリュは、投入口を有するフィード部、中間溶融部、及び/又は、放出口を有する計量部を具備する。スクリュの長手部分(例えば、フィード部、中間溶融部、及び/又は計量部)には、そこに形成された複数のアドバンシング溝がある。各アドバンシング溝の一端又は両端は閉じている。アドバンシング溝は、スクリュのらせん状通路におけるスクリュコアに不連続にらせん状に彫り込まれて配列されている。複数のアドバンシング溝は、材料がらせん状通路を通って放出口へ運搬されるように、材料を受け入るのに必要な大きさになっている。長手部分にはさらに、フライト表面から半径方向内側に位置する一つ以上のアンダーカット表面がある。アンダーカット表面の深さは、アドバンシング溝と平行な長手方向において、及び/又は、長手方向を横切る方向において、変化する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】従来の可塑化装置用スクリュの表面の一部の概略図を示す。
図2】本発明に係る可塑化装置用のスクリュのバレルの断面図を示す。
図3】本発明に係る可塑化装置用スクリュの表面の一部の概略図であって、スクリュ上のクロスカット溝がニュートラル(neutral)な方向を向いている例を示す。
図4A】本発明に係る可塑化装置用スクリュの表面の一部の概略図であって、スクリュ上の複数のクロスカット溝がフライトに対して共通の方向を向いており、各クロスカット溝が一つのフライトを横断する例を示す。
図4B】本発明に係る可塑化装置用スクリュの表面の一部の概略図であって、スクリュ上の複数のクロスカット溝がフライトに対して共通の方向を向いており、各クロスカット溝が二つのフライトを横断する例を示す。
図5】本発明に係る可塑化装置用スクリュの表面の一部の概略図であって、ニュートラルな方向を向いているクロスカット溝と複数の方向を向いているクロスカット溝との組合せの例を示す。
図6】本発明に係る可塑化装置用スクリュの表面の一部の概略図であって、アドバンシング溝が様々な深さ及び深さテーパを有する例を示す。
図7A図6に示すスクリュの表面の一部の7A-7A断面の断面図を示す。
図7B図6に示すスクリュの表面の一部の7B-7B断面の断面図を示す。
図7C図6に示すスクリュの表面の一部の7C-7C断面の断面図を示す。
図7D図6に示すスクリュの表面の一部の7D-7D断面の断面図を示す。
図7E図6に示すスクリュの表面の一部の7E-7E断面の断面図を示す。
図8A図6に示すアドバンシング溝の8A-8A断面の断面図であって、減少している深さテーパを示す。
図8B図6に示すアドバンシング溝の8B-8B断面の断面図であって、一定の深さテーパを示す。
図8C図6に示すアドバンシング溝の8C-8C断面の断面図であって、増加している深さテーパを示す。
図8D図6に示すアドバンシング溝の8D-8D断面の断面図であって、変化している深さテーパを示す。
図8E図6に示すアドバンシング溝の8E-8E断面の断面図であって、変化している深さテーパを示す。
図8F図6に示すアドバンシング溝の8F-8F断面の断面図であって、変化している深さテーパを示す。
図9】本発明に係る可塑化装置用スクリュの表面の一部の概略図であって、クロスカット溝が様々な深さ及び深さテーパを有する例を示す。
図10A図9に示すスクリュの表面の一部の10A-10A断面の断面図を示す。
図10B図9に示すスクリュの表面の一部の10B-10B断面の断面図を示す。
図10C図9に示すスクリュの表面の一部の10C-10C断面の断面図を示す。
図11A図9に示すスクリュの表面の一部の11A-11A断面の断面図を示す。
図11B図9に示すスクリュの表面の一部の11B-11B断面の断面図を示す。
図11C図9に示すスクリュの表面の一部の11C-11C断面の断面図を示す。
図11D図9に示すスクリュの表面の一部の11D-11D断面の断面図を示す。
図11E図9に示すスクリュの表面の一部の11E-11E断面の断面図を示す。
図11F図9に示すスクリュの表面の一部の11F-11F断面の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図2において、可塑化装置は200で示されている。可塑化装置は円筒状のバレル2を具備しており、バレル2は内部表面3を規定する。バレル2は投入口4を具備しており、投入口4にはフィードホッパー7が接続されている。フィードホッパー7と投入口4から、一つ以上の固体微粒子からなる樹脂材料及び添加物又は薬剤がバレル2に供給される。バレル2は、可塑化され溶解した押出成形物を鋳型又は金型(不図示)に排出するための放出口6を具備している。加熱素子11がバレル2の外側に配置され、バレル2を加熱する。
【0016】
図2に示すように、スクリュ10が、バレル2の中で長手方向の軸A1に沿って回転できるよう支持されている。スクリュ10は、投入口4から放出口6まで延びている。スクリュ10は、コア(core)12から半径方向に拡がり、コア12に第一の方向(例えば右ねじの方向)で巻き付いている、らせん状フライト13を具備している。らせん状フライト13には半径方向で最も外側のフライト表面14(例えば、フライトランドとも呼ばれる)があり、それはバレル2の内側表面3と密接に連携して動く。らせん状フライト13は、フライト13、バレル2の内側表面3及びコア12の表面で仕切られているらせん状通路(チャネル)18を規定する。らせん状通路18の深さは、コア12の表面からバレル2の内側表面3までの半径方向の長さで測定され、ルート深さRDとして参照される。スクリュ10の回転と共に、らせん状通路18が樹脂材料の流れを矢印40の方向における前方に押し進める。
【0017】
図2に示すように、スクリュ10には、ルート深さが比較的深く、固体樹脂を受け入れ、加熱し、かき混ぜるためのフィード部Bと、溶融して固体粒子の間の空気が除去されることで減少する樹脂の体積に適合するためにルート深さを減らしていく移行部Cと、ルート深さが比較的浅い計量部とがあり、ここにおいて樹脂は、溶融した材料と溶融していない材料との組合せである。計量部Dには、長手部分Aが含まれている。典型的には、投入口4が上流にあるフィード部Bの最も後方部分に位置し、放出口6が下流にある計量部Dの最も前方部分に位置している。
【0018】
図3に示すように、コア12の表面の長手部分Aには、複数の不連続なアドバンシング溝30がある。アドバンシング溝30は、前方へのらせん状の小道(pathway)をらせん状通路18に形成するよう配置されている。アドバンシング溝30は、コア12の表面に彫り込まれている。通路毎に複数の隣接する溝30があり、図に示す通り3つが好ましいが、これに限定されない。アドバンシング溝30は楕円状に先細りになっている。アドバンシング溝30は、らせん状フライト13と平行で、同じらせんピッチと第一のらせん角H1を有する。第一のらせん角H1は、長手方向の軸A1に直交する参考線を基準に計測される。アドバンシング溝30は、放出口6への樹脂材料の流れを促進する。
【0019】
図3に示すように、コア12の表面の長手部分Aには、少しずつずらして配列された複数の不連続なクロスカット溝37Nがあり、それらはコア12の表面に彫り込まれ、一つのフライト13を横断している。各クロスカット溝37Nの軸は、他のクロスカット溝37Nと平行(すなわち、長手方向の軸に直交する参考線に対して約90度にある)になっている。クロスカット溝37Nは、長手方向の軸A1と平行であって、ニュートラルな方向を向いている。クロスカット溝37Nは、樹脂材料が放出口6に向かって運ばれる間に、樹脂材料の混合を促進する。ここで、クロスカット溝37Nが一つのフライト13を横断することを図示し述べたが、本発明はこれに限定されず、クロスカット溝37Nは一以上のフライト13を横断してもよい。例えば、図4Bに示すように二つのフライト13(例えば、通路18の前方のフライト及び後方のフライト)を横断してもよい。
【0020】
図4Aに示すように、コア12の表面の長手部分Aには、少しずつずらして配列された複数の不連続なクロスカット溝37Cがあり、それらはコア12の表面に彫り込まれ、一つのフライト13を横断している。各クロスカット溝37Cの軸は、他のクロスカット溝37Cと平行になっている。クロスカット溝37Cは他のクロスカット溝37Cと平行であると図示し述べたが、他と異なる角度であってもよい。複数のクロスカット溝37Cは、らせん状フライトに対して共通の方向である第一の方向を向いている(すなわち右ねじの方向)。クロスカット溝37Cは、アドバンシング溝30とらせん状フライト13の向きである第一のらせん角H1とは異なる第二のらせん角H2の方向を向いている。第二のらせん角H2は、図4に示すように、第一のらせん角H1より大きいが、一実施例においては、第二のらせん角H2は第一のらせん角H1より大きく、かつ90度より小さくてもよい。クロスカット溝37Cは、樹脂材料が放出口6に向かって運ばれる間に、樹脂材料の混合を促進する。ここで、クロスカット溝37Cが一つのフライト13を横断することを図示し述べたが、本発明はこれに限定されず、クロスカット溝37Cは一以上のフライト13を横断してもよい。例えば、図4Bに示すように二つのフライト13(例えば、通路18の前方のフライト及び後方のフライト)を横断してもよい。
【0021】
図5に示すように、コア12の表面の長手部分Aには、複数のクロスカット溝37Nと複数のクロスカット溝37Cとが、コア12の表面に彫り込まれてあってもよい。複数のクロスカット溝37Nのそれぞれ及び複数のクロスカット溝37Cのそれぞれは一つまたは両方のフライト13を横断している。複数のクロスカット溝37Nのそれぞれは、約90度の第三のらせん角Hの方向を向いている。複数のクロスカット溝37Cには、第二のらせん角H2’の方向のものと、他の第二のらせん角H2’’のものがある。ここで、第二のらせん角H2’と他の第二のらせん角H2’’とは異なる。第二のらせん角H2’と他の第二のらせん角H2’’は、フライト13の第一のらせん角H1よりも大きい。クロスカット溝37N及びクロスカット溝37Cは、樹脂材料が放出口6に向かって運ばれる間に、樹脂材料の混合を促進する。
【0022】
図6に示すように、アドバンシング溝30は、流れの方向Q1において、アドバンシング溝30の長手方向の軸に沿って異なる深さ及び異なる深さテーパを有している。深さは、バレル2の内側表面3からアドバンシング溝30の最も半径方法内側のポイントまでを測定する。アドバンシング溝30の異なる深さ及び異なる深さテーパは樹脂材料の混合を、例えばアドバンシング溝30に渡って速度分布を異ならせることにより、促進する。図2および図4Aから図6に示されるように、アドバンシング溝30は、矢印40の方向の流れを促進する。
【0023】
例えば図7Aに示すように、三つの隣接するアドバンシング溝30はそれぞれ異なる深さであって、それぞれ均一の深さD1、D2及びD3を有する。一実施例において、D1及びD3の値はD2より大きく、浅い深さD2を有するアドバンシング溝30は、より深い深さD1及びD3を有する二つのアドバンシング溝30の間に配置されている。図7A、7B、7Cに示すように、ランド深さLDよりも大きい値の深さD66に形成される(例えば機械により削られる)アンダーカット表面がある。すなわちアンダーカット表面66は、フライト表面14から半径方向内側に位置している。図7A、7B、7Cに示すアンダーカット表面は、一定の深さD66を有する。
【0024】
図7Bに示すように、三つの隣接するアドバンシング溝30はそれぞれ異なる深さであって、それぞれ均一の深さD4、D5及びD6を有する。一実施例において、D5及びD6の値はD4より大きく、浅い深さD4を有するアドバンシング溝30は、より深い深さD5及びD6を有する二つの隣接するアドバンシング溝30に隣接して配置されている。
【0025】
図7Cに示すように、三つの隣接するアドバンシング溝30はそれぞれ異なる深さであって、それぞれ均一の深さD7、D8及びD9を有する。一実施例において、D7及びD8の値はD9より大きく、浅い深さD9を有するアドバンシング溝30は、より深い深さD7及びD8を有する二つの隣接するアドバンシング溝30に隣接して配置されている。
【0026】
図7A、7B及び7Cには、アンダーカット表面が一定の深さD66を有するように示されているが、本発明はこれに限定されない。例えば図7Dに示すように、アンダーカット表面は、流れの方向Q1に沿った長手方向を横切る方向において変化するアンダーカット溝深さを有しており、1)フライト13に隣接するアンダーカット表面66はそれぞれ深さD66を有し、2)アンダーカット表面66’は深さD66よりも小さくランド深さLDよりも大きい値の深さD66’を有し、3)アンダーカット表面66’’は深さD66’よりも大きい値の深さD66’’を有する。アンダーカット表面66、66’及び66’’の深さが長手方向を横切る方向で異なることは、樹脂材料の混合を、例えばアドバンシング溝30に渡って速度分布を異ならせることにより、促進する。
【0027】
一実施例において、図6及び7Eに示すように、アンダーカット表面は、流れの方向Q1に沿った長手方向において変化する深さを有しており、例えば、1)アンダーカット表面66の部分は、一定の深さD66を有し、2)他のアンダーカット表面66Iの部分は、アドバンシング溝30において流れの方向Q1の長手方向に沿って増加する深さテーパを有し、ここで増加する深さテーパはD66より大きい値の深さD66Iを有し、3)他のアンダーカット表面66’’の部分は、深さD66及び深さD66Iよりも大きい値の、一定の深さD66’’を有し、4)他のアンダーカット表面66Dの部分は、アドバンシング溝30において流れの方向Q1の長手方向に沿って減少する深さテーパを有し、ここで減少する深さテーパはD66’’より小さい値の深さD66Dを有し、5)他のアンダーカット表面66’の部分は、深さD66’’より小さい値の深さD66’を有する。
【0028】
図8Aに示すように、アドバンシング溝30は矢印Q1で示される第一の方向において(すなわち、アドバンシング溝を通る流れの方向におけるアドバンシング溝に沿った長手方向)減少する深さテーパを有する。例えば、減少する深さテーパは、深さD10より大きい値の深さD11により定義される。図8Bに示すように、アドバンシング溝30は矢印Q1で示される第一の方向において一定の深さテーパを有する。例えば、一定の深さテーパは不変の深さD12で定義される。
【0029】
図8Cに示すように、アドバンシング溝30は矢印Q1で示される第一の方向において増加する深さテーパを有する。例えば、増加する深さテーパは、深さD14より小さい値の深さD13により定義される。
【0030】
図8Dに示すように、アドバンシング溝30は矢印Q1で示される第一の方向において変化する深さテーパを有する。例えば、変化する深さテーパは、1)深さD15’の値が深さD15より小さいような減少する深さテーパの部分と、2)一定の深さD16の部分と、3)深さD17’の値が深さD17より大きいような増加する深さテーパの部分と、により定義される。
【0031】
図8Eに示すように、アドバンシング溝30は矢印Q1で示される第一の方向において変化する深さテーパを有する。例えば、変化する深さテーパは、1)一定の深さD18の部分と、2)深さD19’の値が深さD19より大きいような増加する深さテーパの部分と、3)一定の深さD20の部分と、4)深さD21の値が深さD21’より小さいような減少する深さテーパの部分と、5)一定の深さD18の部分と、により定義される。
【0032】
図8Fに示すように、アドバンシング溝30は波形パターン又は正弦曲線パターンのように継続して変化する深さD22とD24を有する。
【0033】
異なる深さ及び異なる深さテーパを有するアドバンシング溝30を図示し述べてきたが、本発明はこれに限定されない。クロスカット溝も、異なる深さ及び異なる深さテーパを有してもよい。例えば、図9、10A、10B、10C、11A、11B、11C、11D、11E及び11Fに示すように、クロスカット溝37N及び37Cは、クロスカット溝37Cにおける流れの方向Q3及びクロスカット溝37Nにおける流れの方向Q2において、クロスカット溝の長手方向軸にそって異なる深さ及び異なる深さテーパを有する。深さは、バレル2の内側表面3からクロスカット溝37N又は37Cの最も半径方法内側のポイントまでを測定する。クロスカット溝37N又は37Cの異なる深さ及び異なる深さテーパは樹脂材料の混合を、例えばクロスカット溝37N又は37Cに渡って速度分布を異ならせることにより、促進する。
【0034】
図9、10A及び11Aに示すように、クロスカット溝37Cは、流れの方向Q3におけるクロスカット溝の長手方向軸に沿って、一定の深さD30を有する。図9、10B及び11Bに示すように、クロスカット溝37Cは、流れの方向Q3におけるクロスカット溝37Cの長手方向軸に沿って、一定の深さD32を有する。図9、10C及び11Cに示すように、クロスカット溝37Nは、流れの方向Q3におけるクロスカット溝の長手方向軸に沿って、一定の深さD33を有する。深さD30の値は深さD32より大きく、深さD32の値は深さD33より大きい。従って、クロスカット溝37C及びクロスカット溝37Nは、他のクロスカット溝37C及びクロスカット溝37Nの深さと比べて異なる深さを有する。クロスカット溝37C及びクロスカット溝37Nは異なる深さを有することを図示し述べてきたが、本発明はこれに限定されず、クロスカット溝37C及びクロスカット溝37Nは等しい深さでもよく、又は一部のクロスカット溝37C及びクロスカット溝37Nが等しい深さで、他のクロスカット溝37C及びクロスカット溝37Nが異なる深さであってもよい。
【0035】
図9、11D、11E及び11Fに示すように、クロスカット溝37C及びクロスカット溝37Nは異なる深さテーパを有する。図9、11Dに示すように、クロスカット溝37Cは、流れの方向Q3におけるクロスカット溝37Cの長手方向軸に沿って、増加する深さテーパを有する(例えば、クロスカット溝37Cはその一端の近傍が深さD40で、他端の近傍が深さD41であり、深さD41の値は深さD40より大きい。)。図9、11Eに示すように、クロスカット溝37Cは、流れの方向Q3におけるクロスカット溝37Cの長手方向軸に沿って、減少する深さテーパを有する(例えば、クロスカット溝37Cはその一端の近傍が深さD44で、他端の近傍が深さD43であり、深さD44の値は深さD43より大きい。)。図9、11Fに示すように、クロスカット溝37Nは、流れの方向Q3におけるクロスカット溝37Cの長手方向軸に沿って、変化する深さテーパを有する。例えば、1)クロスカット溝37Nはその一端の近傍が深さD50で、そこに隣接する部分は深さD53であり、深さD53の値は深さD50より大きく、増加する深さテーパとなっており、2)クロスカット溝37Nはその中心部分においては一定の深さD55を有しており、深さD55の値は深さD53より大きく、3)クロスカット溝37Nは他端の近傍が深さD52で、そこに隣接する部分は深さD53であり、深さD53の値は深さD52より大きく、減少する深さテーパとなっている。
【0036】
ここまで、本発明を特定の実施例を参照して述べたが、当業者であれば、本明細書を読み理解すれば、開示された実施例の数多くのバリエーションと改変が本発明の範囲及び特許請求の範囲内になることを理解するであろう。

図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F