(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】自動洗浄装置を備えた連続式洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 31/00 20060101AFI20220118BHJP
【FI】
D06F31/00
(21)【出願番号】P 2017143440
(22)【出願日】2017-07-25
【審査請求日】2020-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】517260700
【氏名又は名称】アイナックス稲本株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078673
【氏名又は名称】西 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】東出 暁博
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-239886(JP,A)
【文献】特開2012-239540(JP,A)
【文献】特開2017-093799(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0053425(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102939414(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
すすぎ領域の槽
や脱水機からの排水を洗濯水としてリサイクルして使うために設けられている前記排水である回収水を貯留するタンク、前記すすぎ領域の槽や脱水機と当該タンクとを接続している回収配管、並びに当該タンクの回収水をすすぎ領域の槽に供給するポンプ及び送り配管を含むリサイクル経路を備えた連続式洗濯機において、
前記リサイクル経路に前記ポンプで前記タンク、回収配管及び送り配管を経由して前記洗濯機内の水をすすぎ領域の槽に循環できるようにする洗浄用配管と、当該洗浄用配管ないし前記リサイクル経路又は洗浄対象となるすすぎ領域の槽は設けられた殺菌装置ないし洗浄力付与装置を備え、
洗濯運転が終了して前記すすぎ領域の最終槽から洗濯物が排出された後、前記ポンプで前記殺菌装置ないし洗浄力付与装置を経由した洗浄水を前記リサイクル経路を経由してすすぎ領域の槽に循環させることを特徴とする、自動洗浄装置を備えた連続式洗濯機。
【請求項2】
複数のすすぎ槽と隣接する当該すすぎ槽の間にすすぎ水をカウンタフローで流すための配管を備えている連続式洗濯機において、
前記洗浄用配管が前記複数のすすぎ槽の最終槽に接続されて、前記洗浄水が前記カウンタフローで流すための配管で接続された複数の槽の最終槽から先頭槽へと流れて循環する、請求項1記載の連続式洗濯機。
【請求項3】
すすぎ水をバッチフローで流す複数のすすぎ槽を備えている連続式洗濯機において、
前記洗浄用配管が前記複数のすすぎ槽の各槽毎にそれぞれの電磁弁を介して接続され、当該すすぎ槽の各槽にそれぞれの排水配管を経て循環する、請求項1記載の連続式洗濯機。
【請求項4】
隣接して設置された脱水機を備え、当該脱水機からの排水をすすぎ水としてリサイクルして使うために設けられている前記排水である回収水を貯留するタンク、前記脱水機と当該タンクとを接続している回収配管、並びに当該タンクの回収水をすすぎ領域の槽に供給するポンプ及び送り配管からなるリサイクル経路を備えた連続式洗濯機において、
前記リサイクル経路に前記送り配管から分岐して前記脱水機に接続される洗浄用配管を備え、前記ポンプで前記タンク、回収配管及び送り配管を経由して前記洗濯機内の水を脱水機に循環できるようにする洗浄用配管と、当該洗浄用配管ないし前記リサイクル経路に設けられた殺菌装置ないし洗浄力付与装置を備え、
洗濯運転が終了して前記脱水機から洗濯物が排出された後、前記ポンプで前記殺菌装置ないし洗浄力付与装置を経由した洗浄水を前記リサイクル経路を経由して脱水機に循環させることを特徴とする、自動洗浄装置を備えた連続式洗濯機。
【請求項5】
前記洗浄力付与装置が、前記すすぎ領域に設けられた槽内の水を殺菌可能な温度まで加温できる加熱装置である、請求項2
又は3記載の連続式洗濯機。
【請求項6】
前記連続式洗濯機が、
洗い領域とすすぎ領域とを個別に運転停止可能な回転駆動装置を備えている、請求項2又は3記載の連続式洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、連続式洗濯機に関し、特に洗濯運転の終了後に洗濯槽内及び当該洗濯機に接続されているタンクや配管内を自動で洗浄する装置を備えた連続式洗濯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように連続式洗濯機は、直列に配置された複数の洗濯槽を内部に備えたドラムを搖動させることによって各槽での洗濯を同時並行的に行い、所定の時間間隔でドラムを1回転させることにより各槽の洗濯物を次槽に送るという動作を繰り返すことによって、ドラムの一端から投入された洗濯物を洗濯して反対側の端部から機外に排出する洗濯機で、大量の洗濯物を処理するのに用いられている。連続式洗濯機には、洗濯物の排出口に隣接して一般的には圧搾式の脱水機が設けられており、多量のすすぎ水を含んだ洗濯物の脱水が行われる。
【0003】
連続式洗濯機の槽は、洗い領域とすすぎ領域とに大別される。洗い領域には、先頭(洗濯物が送入される側)の予洗槽と、その後に続く複数の本洗槽とを備え、すすぎ領域には、複数のすすぎ槽と最終の仕上げ槽(加工槽とも呼ばれる。)とが設けられるのが一般的である。予洗槽では、水洗いによって洗濯物に付着している異物を除去し、その後段の複数の本洗槽で洗剤を含む加温された洗濯水で汚れの除去が行われる。本洗槽を通過した洗濯物は、すすぎ槽内のすすぎ水で本洗で使用した洗剤その他の薬剤が除去され、仕上げ槽でサイジング剤などの仕上げ用の薬剤を添加した水で仕上げ加工が行われて脱水機へと排出される。
【0004】
なお、洗い領域ではバッチフロー、すなわち洗濯物を次槽へ送るときに洗濯水も同時に送るという形式で洗濯されることが多く、すすぎ領域ではカウンターフロー、すなわちすすぎ水を洗濯物の移送方向と逆方向に流す形式ですすぎが行われることが多い。
【0005】
洗濯に使用する水を節約するために、すすぎ領域で使用したすすぎ水や脱水機の排水を予洗に使用する予洗水や本洗で使用する本洗水として再利用(リサイクル)することが従来から行われている。この場合には、すすぎ水や脱水機の排水のタイミングと予洗槽や本洗槽への給水のタイミングとに時間差があるため、回収水を一時的に貯留するタンクが設けられ、当該タンクにすすぎ領域の槽や脱水機からの水を流す回収配管と、当該タンクから予洗槽や本洗槽に回収水を送るための送り配管とポンプが設けられる。
【0006】
連続式洗濯機は、槽内のすべての槽に洗濯物が存在している状態で、大量の洗濯物を効率よく洗濯することができる。しかし、洗濯機を運転しない夜間は、洗濯槽内を空(空槽)にしておくことが望ましい。ドラム内の全槽が空の状態で運転を開始してから洗濯物が全槽に行き渡るまで、及び洗濯物の投入をやめてからドラム内の全槽が空になるまでには、各槽での洗濯時間×槽数の経過時間が必要であり、この経過時間の間は、一部の槽にしか洗濯物が入っていないので効率が悪く、運転時間の管理も面倒になる。
【0007】
この問題を解決する手段として、特許文献2は、夜間の洗濯機の停止時に槽内に洗濯途中の洗濯物を入れたままにしておくと、すすぎ領域の槽内では雑菌が増殖して洗濯物を汚染するのに対し、本洗槽では洗濯水に薬剤が含まれておりかつ加熱されているため雑菌の増殖が抑えられることに着目して、ドラムを洗い領域のドラムとすすぎ領域のドラムとに2分割して、それぞれに回転駆動装置を設けることにより、上述した経過時間を短縮する提案がなされている。
【0008】
連続式洗濯機及び脱水機は、汚れやリント(繊維屑)を含んだ水を扱う機械であるため、機械内部に汚れが付着したり雑菌が繁殖しやすい。洗濯物を清潔に洗濯するためには、機械内部の汚れや雑菌を日常的に洗浄することが望ましい。特許文献1には、脱水機の機内や脱水済の洗濯物を搬送するコンベヤを日常的に洗浄する装置が提案されている。
【0009】
一方、長大なドラム内に複数の洗濯槽を区画形成した連続式洗濯機の槽内を洗浄する作業は、非常に手間や時間がかかるため、日常的に洗浄を行なうことは困難であり、半年に1回程度の頻度でしか洗浄は行なわれていないのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2008-149120号公報
【文献】特開2011-239886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
洗濯物を清潔に洗濯するためには、機械内部の特にすすぎ領域の槽や脱水機の汚れや雑菌を頻繁に洗浄することが望ましい。半年に1回程度の洗浄では、槽や配管内部に汚れが固着し、汚れが固着してしまった状態では、汚れを完全には除去しきれない。また、配管内に蓄積した汚れまでは除去できないという問題がある。
【0012】
また、脱水機の排水を回収水として再利用するときは、脱水機で回収された水が連続式洗濯機のタンクへ送水され、洗濯水、すすぎ水として再利用されるため、脱水機側のリサイクル配管内も清潔な状態を維持する必要がある。
【0013】
この発明は、連続式洗濯機における洗濯において、洗濯工場の作業者に負担をかけることなく、より清潔な洗濯済み商品を得ることができるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
連続式洗濯機の本洗槽12~16は、汚れの蓄積はあるが、加熱されており、洗剤が供給されるため、雑菌の繁殖は起こり難い。また洗い領域Wで汚れが付着しても、すすぎ領域Rで洗い流されることが多く、洗濯済製品の品質を低下させる可能性は少ない。これに対してすすぎ領域の槽17~20は通常、加熱されないため、槽内に汚れや雑菌が繁殖しやすく、洗濯済製品の品質を低下させる。
【0015】
また、すすぎ領域Rの槽からの回収水を貯留するタンク3、4内部にも汚れや菌が蓄積し、タンク3、4に貯留された水は、洗濯水やすすぎ水として、再利用されるため、タンク3、4やこれらのタンクに繋がる回収配管31、41や送り配管33、43内に汚れや菌の蓄積が起こると、回収水へ混入して洗濯物へ付着するおそれがある。
【0016】
この発明は、上記の知見に基づき、連続式洗濯機に元々備わっているすすぎ水や脱水機の排水を洗濯水としてリサイクルして使うためのリサイクル経路に、機器内の水を循環できるようにするための経路を追加し、途中に殺菌装置その他の洗浄力付与装置53(53a、53b)を配置することで、循環経路全体の洗浄(殺菌を含む、以下同じ。)を行うことができるようにした。洗浄対象は、菌や汚れの蓄積が問題となる、すすぎ槽と回収水を貯留するためのタンク3、4とそれらタンクに接続されている回収配管31、41及び送り配管33、43である。
【0017】
この発明の連続式洗濯機の制御器は、洗濯運転が終了して前記すすぎ領域のすべての槽から洗濯物が排出された後、前記ポンプで前記すすぎ領域の槽に洗浄水、好ましくは殺菌作用を備えた洗浄水を循環させる。
【0018】
また、この発明の連続式洗濯機は、すすぎ領域の槽17~20や洗い領域の層に回収水を送る送り配管33、43及びポンプ32、42と、洗濯運転並びに送り配管33、43の電磁弁38、48の開閉及びポンプ32、42の運転停止を制御する制御器とを備えた連続式洗濯機において、送り配管33、43又は当該配管に設けたタンク3、4から分岐する洗浄用配管51と、洗浄用配管51と分岐した送り配管とに送水を切り替える電磁弁54、48とを備えたものとすることができる。前記制御器は、洗濯運転が終了して前記すすぎ領域から洗濯物が排出された後、洗浄用配管側の電磁弁54を開き送り配管43側の電磁弁48を閉じて前記ポンプを運転する。
【0019】
隣接して脱水機が設置されている連続式洗濯機では、洗浄水をすすぎ槽に送る洗浄用配管51と、脱水機に送る脱水機洗浄用配管61と、送水をこれらの配管に選択的に送る電磁弁58、68を設ける。
【0020】
洗浄水に殺菌作用を付与する殺菌装置53aとしては、流水型紫外線殺菌装置やオゾン殺菌装置などを用いることができる。また、配管途中に殺菌装置を設ける代わりに、タンク3、4やすすぎ領域の槽17~20内や配管33、43の途中に、次亜塩素酸ナトリウム、過酢酸など消毒剤あるいは微酸性次亜塩素酸水などの殺菌効果のある水を注入する装置を設けることもできる。また、すすぎ槽内の水を殺菌可能な温度(概ね60度)以上に加熱する加熱装置を設けて洗浄水を加熱殺菌することもできる。
【0021】
また、洗浄水に洗浄力を付与する洗浄力付与装置53bとしては、循環する水を加熱する加熱装置8、9、59や、循環途中の水に洗剤を供給する洗剤供給装置、微小気泡を混入して洗浄力を付与するエジェクタなどの気泡発生装置などを用いることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によって、日常的かつ自動的に、連続式洗濯機の槽内の洗浄を行なえるようになり、連続式洗濯機の特に雑菌が増殖しやすいすすぎ槽内部への汚れの蓄積が軽減し、常に清潔な状態を維持することができるため、常に清潔な洗濯済製品を提供することができ、清掃作業に必要な作業者の負担を軽減することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図示実施例を参照して、この発明の実施形態を説明する。図の連続式洗濯機5は、全部で10個の槽を備えており、第1槽11~第6槽16が洗い領域Wの槽、第7槽17~第10槽20がすすぎ領域Rの槽となっている。洗い領域Wの槽は、第1槽11が予洗槽、第2槽12~第6槽16が本洗槽とされ、すすぎ領域Rの槽は、第7槽17~第9槽19がすすぎ槽、第10槽20が仕上げ槽とされている。
【0025】
洗濯水及びすすぎ水は、複数の槽間をカウンタフロー又はバッチフローで流れる。
図1、2の連続式洗濯機は、本洗がバッチフロー、すすぎがカウンターフローのもので、すすぎ水は第9槽19に供給されて第7槽17から排出される。
図1、2には、すすぎ水をカウンタフローで流すための逆止弁配管28、29が示されている。すすぎがバッチフローの
図3の場合は、各すすぎ槽毎にすすぎ水の給排水が行われる。
【0026】
図示実施例の連続式洗濯機は、ドラムが洗いドラム1とすすぎドラム2とに分割され、定常状態では洗いドラム1とすすぎドラム2とが同期運転されるが、定常運転の開始時及び終了時には個別に運転可能で、洗い領域の槽に洗濯物を残したまま、すすぎ領域の槽をすべて空槽にできる構造となっている。
【0027】
ドラム1、2を収容する外胴21の一端には、洗濯物投入用のホッパ22が設けられ、他端には洗濯物を排出するシュータ23が設けられている。図では脱水機6を連続式洗濯機5から離れた位置に記載しているが、実際には連続式洗濯機5に隣接して配置され、シュータ23から排出された洗濯物が脱水機6内に滑り落ちる構造となっている。
【0028】
連続式洗濯機の各槽には給水配管とドレン配管が接続されている。洗濯水を加温する蒸気配管は、通常、本洗槽12~16には電磁弁を介して接続され、すすぎ槽17~19には手動弁を介して接続されている。これらの一般的な配管は、図では省略されている。図には第2槽(本洗先頭槽)に洗剤や漂白剤などの薬剤を投入する薬剤投入装置24が図示されており、本洗先頭槽12、すすぎ先頭槽17及び仕上げ槽20にオーバーフロー管25、26及び27が設けられている。すすぎがバッチフローの
図3の装置では、すすぎ中間槽18、19にもオーバーフロー管26が設けられている。
【0029】
図に示す連続洗濯装置では、脱水機6及び仕上げ槽20から回収した回収水とすすぎ槽17~19から回収した回収水とを区分して再利用するために、第1タンク3と第2タンク4とを設けている。これらのタンクには、新水供給管7から新水が供給できるようになっている。第1タンク3には、ポンプ62及び脱水回収配管63で脱水機6からの回収水が流入し、回収配管31で仕上げ槽20からの回収水が流入して、貯留される。第2タンク4には、回収配管41ですすぎ槽17~19からの回収水が流入する。すすぎがカウンターフローの
図1、2では、すすぎ中間槽18、19の水は、すすぎ先頭槽17を経由して回収されるので、回収配管41はすすぎ先頭槽17にのみ設けられている。それらの回収水は、リントスクリーン37、47でリントを除去して貯留される。
【0030】
第1タンク3に貯留された水は、ポンプ35及び予洗水配管36で予洗槽11に送ることができる。更に、ポンプ32及び送り配管33で第9槽(すすぎ最終槽)19に送ることもできるようになっている。すすぎ最終槽19に回収水を供給することにより、新水のみを供給する場合よりすすぎ性が向上することができ、より少ない新水使用量ですすぐことが可能になり、節水になる。
【0031】
第2タンク4に貯留された回収水は、ポンプ45及び予洗水配管46で予洗槽11に送ることができる。更に、ポンプ42及び送り配管43で第2槽(洗い先頭槽)12に送ることもできるようになっている。回収水を本洗水として再利用する場合は、ポンプ42を運転すると共に、電磁弁48を開き電磁弁54を閉じて回収水を送り配管43を通して第2槽12に送る。
【0032】
以上に説明したタンク3、4を含む配管系は、一例である。このような配管系を備えた連続式洗濯機に、以下に説明する洗浄用配管51を追加することにより、本願の発明に係る連続式洗濯機を得ることができる。
図1に示す第1実施例の連続式洗濯機では、回収水を本洗槽12に送る送り配管43の途中から分岐して、電磁弁54、フィルター52及び殺菌装置53aを経由して仕上げ槽20に連通する洗浄用配管51が設けられている。
【0033】
図2に示す第2実施例では、第1実施例と同様にして設けた洗浄用配管51から分岐して脱水機6の機内に洗浄水を散布するための脱水機洗浄
用配管61と、当該配管の先端の散布ノズル65とが設けられている。この第2実施例では、脱水機洗浄
用配管61が分岐した後の洗浄用配管51と脱水機洗浄
用配管61とに電磁弁58、68が設けられている。
【0034】
図3に示す第3実施例では、第1タンク3の回収水をすすぎ槽17~19の各槽に個別に送ることができるように、送り配管33がそれぞれの電磁弁55・・・を介して各槽17~19に接続されており、各槽17~19からの回収水を第2タンク4に回収する回収配管41が各槽17~19のオーバーフロー管26・・・に接続されている。
【0035】
次に、実施例の連続式洗濯機のすすぎ領域洗浄動作について説明する。以下の動作は、洗濯機に付設されている制御器に登録したプログラムにより自動的に行われる。
【0036】
準備工程:終業停止操作によりすすぎ槽の品物を排出し、槽内を空の状態にする。洗いドラム1とすすぎドラム2が分割されている洗濯機では、終業停止スイッチの操作信号を受けたとき、直ちに又はドラムの次の1回の送り回転を行った後、洗いドラム1を停止させる。すすぎドラム2は、洗いドラムが停止した後も、通常の洗い動作と送り動作を繰り返す運転を継続する。制御器は、すすぎドラム2内の総ての槽が空槽になった時点ですすぎドラムを停止させる。その後、すすぎ領域の槽17~20及びタンク3、4の水を排水し、新水に入替える。
【0037】
洗浄工程:すすぎドラムを揺動させた状態で、すすぎ槽17~20及びタンク3、4に洗浄水を循環させる。すなわち、電磁弁48を閉じて電磁弁54を開き、ポンプ32、42を運転する。ポンプ42で送り出された第2タンク4からの水は、送り配管43、洗浄用配管51及び殺菌装置53aを通して第10槽20に送られる。第2タンク4の水は、殺菌装置53aを通過することにより、洗浄水となる。第10槽20に送られた洗浄水は、第10槽20内を洗浄してオーバーフロー管27及び回収配管31を通って第1タンク3に流入する。
【0038】
カウンターフローですすぎを行う第1及び第2実施例では、第1タンク3に流入した洗浄水は、ポンプ32により第9槽19に送られ、第9槽→第8槽→第7槽へとカウンターフローで流れ、第7槽17のオーバーフロー管26から回収配管41を通って第2タンク4へと流入する。
【0039】
バッチフローですすぎを行う第3実施例では、第1タンク3に流入した洗浄水は、ポンプ32の運転と電磁弁55・・・の切り換え動作により、第9槽19、第8槽18及び第7槽17へ所定時間ずつ個別に送られ、それぞれの槽に設けたオーバーフロー管26から回収配管41を通って第2タンク4へと流入する。
【0040】
すなわち、洗濯運転が終了してすすぎ領域の槽が空になった後、電磁弁48を閉じ、電磁弁54を開いてポンプ32、42を運転することにより、第2タンク4から出た水が洗浄水となって、仕上げ槽20、回収配管31、第1タンク3、送り配管33、すすぎ槽19~17、回収配管41、第2タンク4と循環することにより、すすぎ領域の槽、タンク及び配管が洗浄される。その後、要すればポンプ35、45を運転することにより、タンク3、4に溜まった洗浄水を予洗水配管36、46を通して予洗槽11に送り、予洗槽11からドレン配管に排出することにより、予洗水配管36、46を洗浄することができる。
【0041】
図3に例示した連続式洗濯機のように、すすぎ槽17~19のすべてにオーバーフロー管26・・・を備えている洗濯機であれば、各槽に供給した洗浄水をオーバーフロー管26・・・を通して第2タンク4に戻すことにより、各槽に一定量の洗浄水を溜めた状態で各槽の洗浄を行うことができる。すすぎ槽にオーバーフロー管を備えていないときは、第1タンク3から各すすぎ槽17~19に洗浄水を供給する送り配管33に設けた電磁弁55・・・を間欠的に開閉するなどして、洗浄工程中のすすぎ槽に所定量の洗浄水が溜まった状態を維持して洗浄工程を行えば良い。
【0042】
図2に示す第2実施例では、第1実施例の殺菌装置53aに代えて洗浄水に気泡を注入して洗浄力を付与するエジェクタ53bを設け、更に、本洗槽12~16の洗濯水を加熱するために設けられている蒸気配管8をすすぎドラム2に連通する電磁弁59付の分岐配管9を設けて、洗浄時に電磁弁59を開くことにより、洗浄水を加温して洗浄力を高めるようにしている。
【0043】
更にこの第2実施例では、洗浄水を第2タンク4→洗浄力付与装置53b→第10槽20→第1タンク3→第9槽19→第7槽17→第2タンク4と循環させて、第10槽(最終槽)の洗浄を所定時間行った後、電磁弁68を開き電磁弁58を閉じて、第10槽20を通る経路を脱水機6を通る経路に切り替えて、脱水機洗浄用配管61、脱水機6及び脱水回収配管63の洗浄を行うことができるようにしている。
【0044】
第2実施例のように、連続式洗濯機5の洗浄を行う洗浄用配管51から分岐して洗浄水を脱水機6に送る配管61と流路を切り替えるための電磁弁58、68を設けることにより、連続式洗濯機5を洗浄する装置で脱水機6の洗浄も行うことが可能になり、脱水機を個別に洗浄する装置を設けるのに比べて、装置の構造や洗浄時の制御手順を単純化することができる。
【0045】
なお、上記実施例では、洗浄対象をすすぎ領域の槽や脱水機及びそれらの配管系としたが、必要に応じて洗浄水を循環する配管と流路を切り換える電磁弁を追加することにより、本洗領域槽や付属設備も同じように循環洗浄することができる。例えば、オーバーフロー管を備えた本洗槽からのオーバーフロー水をタンクに回収する配管を追加し、予洗槽11に送った洗浄水を循環するようにする。この場合、予洗槽に直接供給される洗剤や蒸気で洗浄水に洗浄力を付与することもできる。
【0046】
また、本洗とすすぎが共にカウンターフローの連続式洗濯機であれば、第1タンク3から洗浄水を第9槽19に送り、第2槽12のオーバーフロー管25から第2タンク4に回収するようにすれば、すすぎから本洗までのすべての槽を同時に循環洗浄することができる。
【符号の説明】
【0047】
5 連続式洗濯機
6 脱水機
3、4 タンク
8 蒸気配管
11 予洗槽
12~16 本洗槽
17~19 すすぎ槽
20 仕上げ槽
31、41 回収配管
33、43 送り配管
32、42 ポンプ
38、48 電磁弁
51 洗浄用配管
53a 殺菌装置
53b 洗浄力付与装置
54、48 電磁弁
58、68 電磁弁
59 電磁弁
R すすぎ領域
W 洗い領域