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特許7009115巻取りパッケージに巻き上げられた糸の糸端を吸い込むための吸引装置、及び吸引装置の吸引チャネル部分をセンシングによって監視するための方法
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  • 特許-巻取りパッケージに巻き上げられた糸の糸端を吸い込むための吸引装置、及び吸引装置の吸引チャネル部分をセンシングによって監視するための方法 図1
  • 特許-巻取りパッケージに巻き上げられた糸の糸端を吸い込むための吸引装置、及び吸引装置の吸引チャネル部分をセンシングによって監視するための方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】巻取りパッケージに巻き上げられた糸の糸端を吸い込むための吸引装置、及び吸引装置の吸引チャネル部分をセンシングによって監視するための方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 67/08 20060101AFI20220118BHJP
   D01H 15/00 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
B65H67/08 B
D01H15/00 Z
【請求項の数】 6
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017161175
(22)【出願日】2017-08-24
(65)【公開番号】P2018039672
(43)【公開日】2018-03-15
【審査請求日】2020-06-09
(31)【優先権主張番号】10 2016 115 731.7
(32)【優先日】2016-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513209338
【氏名又は名称】ザウラー ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Saurer Germany GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Leverkuser Strasse 65, D-42897 Remscheid, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ウテ ホルト
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-031769(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0217462(US,A1)
【文献】特開2012-157509(JP,A)
【文献】特表2009-532198(JP,A)
【文献】特表2009-531553(JP,A)
【文献】特開2015-148035(JP,A)
【文献】国際公開第2015/029275(WO,A1)
【文献】特開2012-091936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 67/00
D01H 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取りパッケージに巻き上げられた糸(10)の糸端(12)を吸い込むための吸引装置(1)であって、
前記吸引装置(1)は、吸引チャネル(4)を形成しているハウジング(2)を含み、
前記吸引チャネル(4)は、第1のハウジング開口部(6)と第2のハウジング開口部(8)との間に延在しており、
前記第1のハウジング開口部(6)は、前記糸端(12)を前記吸引チャネル(4)内へと吸い込むために使用され、
前記第2のハウジング開口部(8)は、繊維機械の、前記巻取りパッケージを回転可能に保持している作業ユニットの、負圧供給部に結合された吸引箇所に接続されるために使用され、
前記ハウジング(2)は、前記第1のハウジング開口部(6)と前記第2のハウジング開口部(8)との間に、前記吸引チャネル(4)の一部分を露出させるための透明周壁部分(20)又は開口周壁部分(20)を有し、
前記吸引装置(1)は、露出された吸引チャネル部分を監視するためのセンサ装置(22)と協働する、
吸引装置(1)において、
前記センサ装置(22)は、前記露出された吸引チャネル部分における吸い込まれた前記糸(10)の有無を検出するように、前記透明周壁部分の表面に又は前記開口周壁部分(20)の中に配置及び構成されており、
前記センサ装置(22)の検出範囲(26)は、前記センサ装置(22)のセンサ手段(24)から、前記吸引チャネル(4)の長手延在軸線を横断する方向に円錐形状に、前記吸引チャネル(4)の対向する内壁の方向に向かって延在しており
前記ハウジング(2)は、前記第1のハウジング開口部(6)を含む別個の吸引ノズル(14)と、前記第2のハウジング開口部(8)を含む別個の吸引管(16)とによって少なくとも2つの部分から構成されており、
前記吸引管(16)と前記吸引ノズル(14)とは、接続箇所(18)を介して前記吸引チャネル(4)を形成するように互いに直接接続可能であり、
前記透明周壁部分又は前記開口周壁部分(20)は、前記吸引管(16)によって形成されており、
前記透明周壁部分又は前記開口周壁部分(20)は、前記接続箇所(18)の近傍に形成されている、
ことを特徴とする吸引装置(1)。
【請求項2】
前記透明周壁部分又は前記開口周壁部分(20)は、当該透明周壁部分又は当該開口周壁部分(20)の領域中心点を起点にして、前記吸引チャネル(4)の長手延在軸線に沿って、前記第1のハウジング開口部(6)に対する間隔が、前記第2のハウジング開口部(8)に対する間隔よりも短くなっている、
請求項1記載の吸引装置(1)。
【請求項3】
前記センサ装置(22)は、センサデータを無線伝送するように構成されている、
又は、
前記センサ装置(22)は、前記吸引装置(1)に配置された、センサデータを無線伝送するための無線伝送装置に結合されている、
請求項1又は2記載の吸引装置(1)。
【請求項4】
前記センサ装置(22)は、前記センサデータを無線伝送するために、かつ、特に前記センサ装置(22)に影響を与える制御信号を受信するために、Bluetoothインタフェース及び/又はWLANインタフェースを有する反射センサを含む、
請求項記載の吸引装置(1)。
【請求項5】
前記無線伝送装置は、前記センサデータを無線伝送するために、かつ、特に前記センサ装置(22)に影響を与える制御信号を受信するために、Bluetoothインタフェース及び/又はWLANインタフェースを含む、
請求項記載の吸引装置(1)。
【請求項6】
前記ハウジング(2)は、前記センサ装置(22)を配置するために、又は、特に前記センサ装置(22)と同種の別のセンサ装置を配置するために、前記透明周壁部分又は前記開口周壁部分(20)から離れて位置する少なくとも1つの別の透明周壁部分又は開口周壁部分(20)を含む、
請求項1からまでのいずれか1項記載の吸引装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取りパッケージに巻き上げられた糸の糸端を吸い込むための吸引装置と、巻取りパッケージを製造する繊維機械の旋回可能な吸引装置の、負圧を印加可能な吸引チャネルの一部分をセンシングによって監視するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
このような吸引装置と、これに付随する、負圧を印加可能な吸引チャネル部分をセンシングによって監視するための方法とは、パッケージ、すなわち例えば綾巻きパッケージのようないわゆる巻取りパッケージを巻き取るために構成された繊維機械において使用されている。この関連において、例えば巻取り機及びオープンエンド精紡機が挙げられる。
【0003】
このような巻取り機は、例えば独国特許出願公開第19640184号明細書(DE 196 40 184 A1)から公知である。巻取り機は、複数の巻取りユニットを有しており、これらの巻取りユニットは、紡績コップから到来した糸を巻取りパッケージにそれぞれ巻き上げるために使用される。糸切れ又は糸切断が発生すると、糸側の端部が巻取りパッケージの周面に巻き上げられる。切断した糸、又は切断した糸の両糸端を継ぎ合わせるため、いわゆるスプライシングするために、巻取りパッケージ側の糸端が、巻取りパッケージの周面から所定の長さで引き出され、巻取りユニットに対応付けられたスプライシング装置に挿入され、処理されて、紡績コップ側の糸端と共にスプライシングされる。巻取りパッケージ側の糸端を引き出すために、吸引ノズルを有する旋回可能な吸引装置が使用され、この吸引装置を旋回させることによって、吸引装置の開口オリフィスが、巻取りパッケージの表面に接近させられる。吸引ノズルは、負圧が印加されるように構成されており、これによって吸引ノズルの吸引チャネルに吸引流が形成される。負圧が印加されると、巻取りパッケージは、巻取り方向又は巻上げ方向とは反対の方向に回転され、これによって巻取りパッケージ側の糸端を巻取りパッケージの表面から取り上げ、これによって糸を捕捉して吸引ノズルの旋回運動と一緒に連行することができる。吸引装置は、吸引ノズルオリフィスで終端する吸引チャネルの内部において、捕捉された糸の存在を検出するためのセンサ装置を含む。センサ装置は、吸引チャネルの内部において、吸引ノズルオリフィスに対して所定の糸長さを吸い込むことができるような間隔を置いて配置されている。所定の糸長さに達するとセンサ信号が発信され、所定の糸長さが吸い込まれた、捕捉された糸のクランプが、制御装置によって引き起こされる。
【0004】
巻取り機及びオープンエンド精紡機のためのさらなる吸引装置が、欧州特許出願公開第3040299号明細書(EP 3 040 299 A1)から公知である。この吸引装置は、透明周壁部分を有しており、透明周壁部分は、吸引装置の吸引チャネルの隣接部分の内部をセンシングによって観察可能にする。センサ又はセンサ装置は、作業ユニットに位置固定的に配置されており、これによってこのセンサ又はセンサ装置は、吸引装置が透明周壁部分に対向する糸捕捉位置へと旋回されたときに、透明周壁部分を介した吸引チャネル部分の監視が実施可能となるように配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国特許出願公開第19640184号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3040299号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した従来技術を起点として、第1の態様による本発明によれば、巻取りパッケージに巻き上げられた糸の糸端を吸い込むための吸引装置が提案される。巻取りパッケージは、例えば巻取り機又はオープンエンド精紡機のような繊維機械のパッケージフレームに回転可能に保持された巻管とすることができ、この巻管に糸が巻き上げられるか、又は巻き取られる。
【0007】
前記吸引装置は、通常、吸引チャネルを形成しているハウジングを含み、前記吸引チャネルは、第1のハウジング開口部と第2のハウジング開口部との間に延在しており、前記第1のハウジング開口部は、前記糸端を前記吸引チャネル内へと吸い込むために使用され、前記第2のハウジング開口部は、巻取り機又はオープンエンド精紡機のような繊維機械の、前記巻取りパッケージを回転可能に保持している作業ユニットの、負圧供給部に結合された吸引箇所に接続されるために使用される。
【0008】
前記ハウジングは、前記第1のハウジング開口部と前記第2のハウジング開口部との間に、前記吸引チャネルの一部分を露出させるための透明周壁部分又は開口周壁部分を有する。このようなハウジングの極めて多様な実施形態が、特に材料、形状、及び寸法に関して十分に公知であり、したがって、以下では実質的に、これらの通常の実施形態とは異なる本発明の態様に関してのみ説明される。
【0009】
例えば吸引装置は、いわゆる吸引ノズルとすることができる。吸引ノズルは、吸引管と、この吸引管に結合された、第1のハウジング開口部を構成している吸引ノズルオリフィスを有する吸引ヘッドと、から組み合わされている。吸引装置又は吸引ノズルは、好ましくは1つの部品で、又は複数の部品から構成することができる。特に吸引管及び吸引ヘッドは、個々の要素とすることができ、糸端の吸込み又は捕捉を可能にするために、吸引管と吸引ヘッドとが第1のハウジング開口部又は吸引ノズルオリフィスから、吸引管に対応付けられた第2のハウジング開口部への1つの共通の通路を形成するように、対応する結合箇所を介してこれらの個々の要素を互いに接続することが可能である。周壁部分は、好ましくは吸引管又は吸引ヘッドに選択的に形成することができる。
【0010】
前記吸引装置はさらに、露出された吸引チャネル部分を監視するためのセンサ装置と協働するように形成及び構成されている。
【0011】
これまで公知の実施形態とは異なり、第1の択一的形態による本センサ装置は、前記露出された吸引チャネル部分における吸い込まれた前記糸の有無を検出するように、又は前記露出された吸引チャネル部分における前記糸の有無に関して、前記周壁部分を介して前記露出された吸引チャネル部分を監視するように、前記透明周壁部分の表面に配置及び構成されている。この場合、前記センサ装置は、前記透明周壁部分の、前記露出された吸引チャネル部分に対向する側に配置されている。したがって、前記透明周壁部分は、前記露出された吸引チャネル部分の内部をセンシングによって観察することが可能となるように構成されている。
【0012】
第2の択一的形態によれば、本センサ装置は、前記露出された吸引チャネル部分における吸い込まれた前記糸の有無を検出するように、又は前記露出された吸引チャネル部分における前記糸の有無に関して、前記周壁部分を介して前記露出された吸引チャネル部分を監視するように、前記開口周壁部分の中に配置及び構成されている。この場合、前記センサ装置は、少なくとも前記開口周壁部分によって画定された平面内に突出している。この場合、前記センサ装置は、好ましくは、前記平面の周りを巡っている前記開口周壁部分の縁部に直接的又は間接的に当接することによって、前記画定された平面を充填している。この関連において間接的な当接とは、少なくとも1つの別の要素、例えばシーリング効果を改善するためのシーリング要素及び/又は種々異なる寸法のセンサ装置を収容するためのアダプタとすることができる要素を、間に挟んだ状態での当接のことであると理解すべきである。このようなアダプタを用いることにより、例えば市販のセンサ装置の選択に関して自由度を高めることができる。直接的な当接の場合には、センサ装置は、別の介在要素なしに開口周壁部分の縁部に当接する。
【0013】
上述した好ましい実施形態では、負圧の印加時に前記吸引チャネル部分において発生する吸引作用方向に対して横断方向に、特に垂直方向に検出が実施されるように、前記糸の有無を検出するための、前記センサ装置に対応付けられたセンサ手段が、好ましくは前記開口周壁部分によって画定された前記平面に、若しくは、前記平面に隣接して、又は、前記透明周壁部分に隣接して配置されている。したがって、前記周壁部分は、前記センサ装置を所期の配置位置で担持するように、又は前記周壁部分に対して相対的に位置固定的に保持するように構成されている。
【0014】
これに代わる形態では、さらに好ましくは、前記センサ装置が、前記開口周壁部分によって画定された前記平面を貫通するように突出することによって、前記センサ装置に対応付けられたセンサ手段が、前記露出された吸引チャネル部分の中に配置されるように、前記センサ装置を、前記開口周壁部分の中に配置することができる。これにより、前記吸引作用方向に沿って、前記吸引チャネルの、前記露出された吸引チャネル部分に隣接する部分を、より良好に一緒に監視することが可能となるように検出範囲を拡大することができる。前記露出された吸引チャネル部分における前記センサ手段の侵入深さ又は配置に応じて、前記検出範囲の大きさを変化させることができる。
【0015】
本発明によって提案される解決方法は、一方では、センサ装置をより簡単な構造でより柔軟に構成及び配置することを可能にする。繊維機械の作業ユニットの、吸引装置の糸捕捉位置における吸引チャネルとは反対側の領域は、センサ装置の配置の必要性にかかわらず自由に構成することができる。他方では、吸引チャネル部分における監視対象の領域と、センサ装置との間の間隔を、最小限に短縮することができる。さらには、必要に応じてセンサ装置を、吸引装置の表面に配置することができる。これによって例えばセンサ装置を、吸引ノズルのオリフィス領域の非常に近傍に配置することが可能となり、これによって糸捕捉時間を格段に短縮することができ、ひいては繊維機械の生産性を格段に向上させることができる。さらには、最小スイッチング時間、最小エネルギ消費量、及び最小糸廃棄量を保証することができる。
【0016】
上述した利点又はさらなる利点を達成するためのさらなる有利な実施形態は、それぞれ従属請求項の対象である。
【0017】
好ましい1つの実施形態によれば、前記透明周壁部分又は前記開口周壁部分は、当該透明周壁部分又は当該開口周壁部分の領域中心点を起点にして、前記吸引チャネルの長手延在軸線に沿って、前記第1のハウジング開口部に対する間隔が、前記第2のハウジング開口部に対する間隔よりも短くなっている。これによってセンサ装置を、非常に簡単な方法でオリフィスの近傍に配置することが可能となる。
【0018】
好ましくは、前記ハウジングは、前記第1のハウジング開口部を含む別個の吸引ノズルと、前記第2のハウジング開口部を含む別個の吸引管とによって少なくとも2つの部分から構成されており、前記吸引管と前記吸引ノズルとは、接続箇所を介して前記吸引チャネルを形成するように互いに接続可能であり、前記透明周壁部分又は前記開口周壁部分は、前記吸引管及び/又は前記吸引ノズルによって形成されている。したがって、周壁部分又はセンサ装置の配置位置を、必要に応じて別個の吸引管及び/又は別個の吸引ノズルを交換することによって後から定めることも可能となる。
【0019】
好ましい1つの実施形態によれば、前記センサ装置は、センサデータを無線伝送するように構成されている、又は前記センサ装置は、前記吸引装置に配置された、センサデータを無線伝送するための無線伝送装置に結合されている。好ましくは、前記センサ装置は、少なくとも前記センサデータを無線伝送するために、Bluetoothインタフェース及び/又はWLANインタフェースを有する反射センサを含む。これにより、そうでなければ必要であった配線コストを、節約することが可能になる。センサデータは少なくとも、監視対象の吸引チャネル部分における糸の有無に関する、センサ装置によって検出された情報である。センサデータはさらに、センサ装置に関する情報とすることもできる。
【0020】
センサ装置は、例えばバッテリによって動作させることができる。この場合、好ましくは、バッテリの適時の交換を可能にするために、Bluetoothインタフェース及び/又はWLANインタフェースを介してセンサ装置のエネルギ状態を伝送することができる。
【0021】
これに代えて又はこれに加えて、センサ装置を、好ましくは非接触エネルギ伝達装置によって動作させてもよい。非接触エネルギ伝達装置は、センサ装置と共に、又はセンサ装置から離れて、吸引装置に配置することができる。後者の配置は、その性質上ある程度の、しかしながら管理可能な程度の配線コストを必要とする。
【0022】
さらに好ましくは、前記Bluetoothインタフェース及び/又は前記WLANインタフェースは、前記センサ装置に影響を与える信号を受信するように構成されている。これによって例えば、センサ装置のコントロール及び/又は調整を、開始又はトリガして、実行することができる。
【0023】
これに代えて又はこれに加えて、前記無線伝送装置は、上述したように構成されたBluetoothインタフェース及び/又はWLANインタフェースを含むことができる。これによって、比較的多数の一般的なセンサ装置の中から1つの一般的なセンサ装置を選択することができる。例えば、ケーブル接続されたセンサ装置を無線伝送装置に結合するだけでよい。さらには、センサ装置のBluetoothインタフェース及び/又はWLANインタフェースの伝送機能の故障時にデータの送信及び/又は受信を引き受けることができる冗長的な伝送システムを、無線伝送装置に設けることができる。
【0024】
さらに好ましい実施形態によれば、前記ハウジングは、前記センサ装置を配置するために、又は特に前記センサ装置と同種の別のセンサ装置を配置するために、前記周壁部分から離れて位置する少なくとも1つの別の透明周壁部分又は開口周壁部分を含む。これによって1つ又は複数のセンサ装置のために、複数の配置位置を吸引装置に設けることが可能になる。
【0025】
第2の態様によれば、本発明によってさらに、巻取りパッケージを製造する繊維機械、特に巻取り機又はオープンエンド精紡機の旋回可能な吸引装置の、負圧を印加可能な吸引チャネルの一部分をセンシングによって監視するための方法が提案される。前記吸引チャネル部分は、前記吸引チャネルを形成しているハウジングの透明周壁部分又は開口周壁部分によって画定されている。巻取りパッケージに巻き上げられた糸は、前記吸引装置の到着可能な糸捕捉位置において、前記糸の糸端を前記吸引チャネル内へと吸い込むことによって捕捉可能である。
【0026】
前記方法は、前記糸捕捉位置の到着前若しくは到着時、又は、前記糸捕捉位置において、前記吸引チャネルに負圧を印加するステップを有する。前記吸引装置の旋回運動に関する前記負圧の印加は、要求に応じて選択的に開始することができる。重要なのは、糸端の吸込みを保証するために、糸が捕捉された時点で吸引チャネルに負圧が印加されることである。
【0027】
前記方法は、前記透明周壁部分の表面に又は前記開口周壁部分の中に配置されたセンサ装置を用いて、前記透明周壁部分又は前記開口周壁部分によって露出された前記吸引チャネル部分における前記糸の有無を検出するステップを特徴とする。これにより、冒頭で説明した利点を同様に達成することが可能である。旋回可能な吸引装置は、好ましくは第1の態様による上述した吸引装置の好ましい実施形態の1つとすることができ、これによって、これに付随する利点を保証することができる。
【0028】
好ましい1つの実施形態によれば、前記方法は、前記センサ装置を用いて、又は前記センサ装置に対応付けられ、前記吸引装置の前記ハウジングに配置された無線伝送装置を用いて、少なくとも前記センサ装置によって検出された前記糸の有無に関する情報を無線伝送するステップを含む。これにより、センサ装置によって検出された情報、さらには好ましくはセンサ装置に関連する情報を、センサ装置又は無線伝達装置の送信射程範囲内で、位置とはほぼ関係なく、直接的に作業ユニットに関連して呼び出すことが可能となる。
【0029】
さらに好ましくは、さらなるステップにおいて、例えば制御命令のようなデータを、特に無線伝送装置を用いてセンサ装置に無線伝送することができる。これにより、例として上述したセンサ装置のコントロール機能又は調整を、開始及び実行することができる。
【0030】
本発明のさらなる特徴及び利点は、図面及び図示に基づいて、特許請求の範囲から、本発明の好ましい実施例についての以下の説明から明らかである。個々の特徴は、本発明の好ましい実施形態においてそれぞれ個別に、又は複数の任意の組み合わせで実現することができる。
【0031】
本発明の好ましい実施例を、以下、添付の図面に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】1つの実施例による吸引装置の概略側断面図である。
図2】さらなる実施例による吸引装置の概略背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明による実施例に関する以下の説明では、それぞれ異なる図面に図示されている同様の機能を有する要素に対して同一又は類似の参照符号を使用し、これらの要素について説明を繰り返すことは省略する。
【0034】
図1は、1つの実施例による吸引装置1の概略側断面図を示す。
【0035】
吸引装置1は、吸引チャネル4を有するハウジング2を含む。吸引チャネル4は、第1のハウジング開口部6と第2のハウジング開口部8との間に延在しており、第1のハウジング開口部6は、巻取りパッケージ(図示せず)に巻き上げられた糸10の糸端12を吸引チャネル4内へと吸い込むために使用され、第2のハウジング開口部8は、繊維機械の、巻取りパッケージを回転可能に保持している作業ユニットの、負圧供給部(図示せず)に結合された吸引箇所に接続されるために使用される。繊維機械は、例えば巻取り機又はオープンエンド精紡機とすることができる。
【0036】
ハウジング2は、第1のハウジング開口部6を含む別個の吸引ノズル14と、第2のハウジング開口部8を含む別個の吸引管16とによって2つの部分から構成されている。吸引管16と吸引ノズル14とは、接続箇所18を介して吸引チャネル4を形成するように互いに接続されている。好ましい本実施例では、吸引ノズル14の自由端は、吸引ノズル16の開口自由端の中にぴったりと挿入されており、接続箇所18は、吸引ノズル14を吸引管16に取り付けるためのねじ接続部19を有する(図2)。これに代えて、これらの自由端を、例えば圧入又は係止接続によって特に解離可能に互いに接続させてもよい。
【0037】
吸引装置1は、開口周壁部分20を有し、この開口周壁部分20によって吸引チャネル4の一部分が露出される。開口周壁部分20は、当該開口周壁部分20の領域中心点を起点にして、吸引チャネル4の長手延在軸線に沿って、第1のハウジング開口部6に対する間隔が、第2のハウジング開口部8に対する間隔よりも短くなっている。この場合、吸引チャネル4の長手延在軸線は、第1のハウジング開口部6と第2のハウジング開口部8との間に延びている、吸引チャネル4の中心長手軸線によって画定される。図1に示された実施例では、開口周壁部分20は、接続箇所18の近傍に形成されている。
【0038】
開口周壁部分20には、センサ装置22のセンサ手段24が開口周壁部分20の中に配置されるように、センサ装置22が配置されている。センサ手段24は、開口周壁部分20によって画定された平面内に突出している。センサ装置22は、露出された吸引チャネル部分における吸い込まれた糸10の有無を検出するように構成されている。センサ装置22の検出範囲26は、長手延在軸線を横断する方向にセンサ手段24から特に円錐形状に、吸引チャネル4の対向する内壁の方向に向かって延在している。
【0039】
開口周壁部分20は、センサ装置22によって完全に覆われている。この場合、センサ装置22は、吸引チャネル4における負圧又は吸引作用の漏れ、ひいては損失作用を回避するために、開口周壁部分20によって形成された通路を密閉している。センサ装置22は、接着、係止、ねじ留めなどのような通常の取り付け方法によってハウジング2に取り付けることができる。特にセンサ装置22は、ハウジング2に解離可能に取り付けられている。
【0040】
好ましい本実施例では、センサ装置22は、センサデータを無線伝送するように構成されている。センサデータを無線伝送するために、センサ装置22は、例えば通常の反射センサ又は光センサと、通常のBluetoothインタフェース及び/又はWLANインタフェースとを含む。さらに好ましくは、センサ装置22は、これらのインタフェースを介して、センサ装置22に影響を与える制御信号を受信及び処理するように構成することができる。これによって例えば、センサ装置22などのコントロールや調整を、トリガ及び実行することが可能である。センサ装置22はさらに、センサ装置22に関する状態情報を、インタフェースを介して伝送するように構成することができる。
【0041】
配線コストを完全に回避するために、センサ装置22への電流供給は、例えばバッテリ又は非接触エネルギ伝達装置のような、センサ装置22に設けられたエネルギ供給ユニットによって実施される。これに代えて又はこれに加えて、センサ装置22から離れた位置に配置されたエネルギ供給ユニットにつながる接続線路を介して、センサ装置22に少なくとも所要の動作エネルギを供給してもよい。
【0042】
図2は、さらなる実施例による吸引装置1の概略背面図を示す。吸引装置1は、図1に示された実施例とほぼ同一に構成されているが、開口周壁部分20の配置、ひいてはセンサ装置22の配置だけが唯一異なっている。本実施例では、開口周壁部分20は、吸引ノズル14の曲がり領域に配置されており、したがって第1のハウジング開口部6のより近傍に配置されている。
【0043】
図1及び図2に示された吸引装置1は、特に給糸ボビンから巻取りパッケージへと糸を巻き返すための巻取り機のために設計されている。本発明を構成する特徴を除いたこのような吸引装置の構造及び構成は、通常通りであり、したがってさらなる説明を必要としない。
【0044】
例えばロータ式オープンエンド精紡機のようなオープンエンド精紡機の分野では、吸引装置は、図1及び図2に示された吸引装置1と同様の原理によって設計されており、オープンエンド精紡機の状況に単に適合されている。図1及び図2に示されているような開口周壁部分及びセンサ装置の配置は、このような吸引装置の場合には、適切な方法で容易に実現することができる。
【0045】
図示されていないさらなる実施例によれば、開口周壁部分の代わりに透明周壁部分を、吸引管16及び/又は吸引ノズル14に設けることができる。このような透明周壁部分は、開口周壁部分と比較して、漏れに対する対策が不要であるという利点を有する。透明周壁部分は、当該透明周壁部分に配置されたセンサ装置が、透明周壁部分によって露出された吸引チャネル4の一部分を、糸10の有無に関して監視することができるように構成されている。このために、透明周壁部分は、反射センサ又は光センサの使用時に例えば光信号のような所要の検出信号を検出するために透過性となっている。したがって、透明周壁部分は、吸引チャネル4の内部をセンシングによって観察可能となるような配置位置に、窓を形成している。
【0046】
図示されていないさらなる実施例によれば、Bluetoothインタフェース及び/又はWLANインタフェースを有する無線伝送装置が設けられており、これらのインタフェースは、センサ装置のセンサデータを無線伝送するためにセンサ装置に結合されている。配線コストをできるだけ低く抑えるために、無線伝送装置は、吸引管又は吸引ノズルにおける、センサ装置に近傍した位置、又はセンサ装置に隣接した位置に配置することができる。
【0047】
図示されていないさらなる実施例では、吸引管及び/又は吸引ノズルを形成しているハウジング部分に、複数の開口周壁部分及び/又は透明周壁部分が設けられている。これらを介して、開口周壁部分又は透明周壁部分に配置可能なセンサ装置を用いて、それぞれ1つの対応する露出された吸引チャネル部分を、糸の有無に関して監視することが可能となる。
【0048】
例えば巻取り機又はオープンエンド精紡機のような、巻取りパッケージを製造する繊維機械において上述した実施例の1つを使用することにより、1つの実施例による旋回可能な吸引装置の、負圧を印加可能な吸引チャネルをセンシングによって監視するための方法を実施することができる。本方法は、糸捕捉位置の到着前若しくは到着時、又は、糸捕捉位置において、吸引チャネルに負圧を印加するステップを有する。糸捕捉位置は、吸引装置の所定の位置であって、巻取りパッケージに巻き上げられた糸を、この糸の糸端を吸引チャネル内へと吸い込むことによって捕捉可能であるような位置に相当する。本方法はさらに、透明周壁部分の表面に又は開口周壁部分の中に配置されたセンサ装置を用いて、透明周壁部分又は開口周壁部分によって露出された吸引チャネル部分における糸の有無を検出するステップを有する。本方法はさらに、センサ装置を用いて、又はセンサ装置に対応付けられ、吸引装置のハウジングに配置された無線伝送装置を用いて、センサ装置によって検出された糸の有無に関する情報を無線伝送するステップを含む。
【0049】
図面に図示された上述の実施例は、一例として選択されたに過ぎない。複数の異なる実施例を、全体として又は個々の特徴に関して互いに組み合わせることが可能である。1つの実施例を、別の実施例の特徴によって補うことも可能である。
【0050】
ある実施例に、第1の特徴と第2の特徴との間の「及び/又は」の接続詞が含まれている場合には、この実施例は、1つの実施形態によれば第1の特徴及び第2の特徴の両方を有し、また別の実施形態によれば第1の特徴又は第2の特徴のいずれかのみを有すると読み取ることができる。
図1
図2