(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/42 20060101AFI20220118BHJP
A61F 13/514 20060101ALI20220118BHJP
A61F 5/44 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
A61F13/42 F
A61F13/514 400
A61F5/44 S
(21)【出願番号】P 2017185410
(22)【出願日】2017-09-26
【審査請求日】2020-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】592094519
【氏名又は名称】ダイオーエンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】特許業務法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤井 麻子
(72)【発明者】
【氏名】別府 幸紀
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康則
(72)【発明者】
【氏名】海上 尚子
【審査官】原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-161732(JP,A)
【文献】国際公開第2016/147760(WO,A1)
【文献】特開2012-105839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/42
A61F 13/514
A61F 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性のトップシートと、液不透過性シートと、これらの間に設けられた吸収体とを有する吸収性物品であって、
前記トップシートと前記液不透過性シートとの間に位置する内蔵部分を有するセンサ担体を有し、
前記センサ担体は、前記内蔵部分に設けられたパッシブ型のICタグと、前記ICタグが設けられた部分から延びる引き出し部とを有し、
前記ICタグは、外部からの電波を受信すると固有情報を含む電波を発信するとともに、受信電波及び発信電波の少なくとも一方が周囲の排泄液体により遮蔽可能であり、
前記引き出し部は、前記吸収性物品の外部に引き出し可能であ
り、
前記引き出し部は、前記ICタグの前記固有情報に対応する一次元又は二次元コードが印刷されたコード印刷部を備えており、
前記コード印刷部の前記一次元又は二次元コードを光学的に読み取り可能である、
ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記センサ担体は、前記吸収体と前記液不透過性シートとの間に介在されており、
前記センサ担体の引き出し方向は前後方向であるとともに、前記センサ担体の形状は前後方向に延びる帯状体であり、
前記センサ担体の直上に、上方に窪む溝状の移動スペースが前後方向に延びている、
請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記引き出し部は、前記吸収性物品の外部に引き出した部分の一部又は全部を切り離すためのミシン目を有している、
請求項1又は2記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記コード印刷部は、前記引き出し部に剥離可能に貼り付けられた粘着シールに設けられている、
請求項
1~3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記コード印刷部は、前記引き出し部の引き出し方向に間隔を空けて複数設けられており、
各コード印刷部の一次元又は二次元コードは、各コード印刷部と前記ICタグとの離間距離と対応して定められたICタグ設置位置情報を含む、
請求項
1~4
のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記液不透過性シート又はこれよりも裏側の部材に、ICタグ設置位置を表す第1識別表示が、前記引き出し部の引き出し方向に間隔を空けて複数設けられており、
前記第1識別表示は前記吸収性物品の裏側から視認可能であり、
前記引き出し部に、前記第1識別表示と同一の又は対応する第2識別表示が、前記引き出し方向に間隔を空けて複数設けられており、
前記ICタグが前記第1識別表示により表示される各ICタグ設置位置に位置するときに、前記引き出し部における前記引き出し口から突出する部分に、前記第1識別表示と同一の又は対応する第2識別表示が露出するようになっている、
請求項1~
5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排泄検出センサを内蔵した吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつ等の吸収性物品の装着者における排泄の有無は、装着者からの申告や、吸収性物品に設けられた排泄インジケータ(排泄により色等が変化するもの。例えば特許文献1参照)の目視によって確認することが一般的であるが、その確認作業は煩雑である。特に、介護等における排泄の確認は、介護者だけでなく装着者の精神的負担も大きいものとなっている。
【0003】
このような問題を解決するものとして、既存の吸収性物品の表面に貼り付けられるテープ状のセンサと、センサと接続された状態で吸収性物品の外面に貼り付けられ、排泄を検知する無線通信部とからなる吸収性物品の排泄検出システムが提供されている(非特許文献1参照)。この無線通信部は、電源やアンテナ、回路等を備え、排泄を検知すると、予め登録されたスマートフォンに通知を行うものである。この先行技術によれば、管理者は、衣類を脱がしたり、吸収性物品の内部を確認したりすることなく、装着者から離れた場所でも、排泄の有無を知ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-337384号公報
【文献】特開平11-33055号公報
【文献】特開2015-27391号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】三和株式会社、“ブランド紹介”、[online]、[平成29年2月9日検索]、インターネット〈URL:http://sanwajp-group.com/brand.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1記載のものは、吸収性物品に対して後付けするものであるため、吸収性物品の交換の時に、管理者がセンサを適切に設置する必要があり、準備作業が煩雑である。とはいえ、センサ及び無線通信部を個々の製品に予め備え付けることは製造コストや販売価格の観点から現実的ではない。この点、特許文献2,3記載のものも同様である。
【0007】
また、上記非特許文献1記載の無線通信部は、電源等の部品を収容する強固な筐体を備えるため、この筐体が肌に触れたり、この筐体の重さで吸収性物品の形状が変形したりすることにより、装着者に対して異物感や不快感を与えるおそれもある。
【0008】
他方、上記非特許文献1記載のセンサは、吸収性物品に対して後付けするものであるため、吸収性物品における任意の位置に設置できるものであり、例えば使用者の性別による排尿位置の違いや、使用者の主な姿勢(臥位、立位、座位など)による尿の拡散範囲の違いなどによって、センサを適切な位置に配置することができる。しかし、単にセンサ等を個々の製品に内蔵した場合には、センサの位置が固定されてしまう。
【0009】
そこで、本発明の主たる課題は、排泄検出センサを内蔵するものでありながら、低コストで、しかも装着感への影響が少なく、かつ排泄検出位置を調節可能である吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決した吸収性物品は以下のとおりである。
<第1の態様>
液透過性のトップシートと、液不透過性シートと、これらの間に設けられた吸収体とを有する吸収性物品であって、
前記トップシートと前記液不透過性シートとの間に位置する内蔵部分を有するセンサ担体を有し、
前記センサ担体は、前記内蔵部分に設けられたパッシブ型のICタグと、前記ICタグが設けられた部分から延びる引き出し部とを有し、
前記ICタグは、外部からの電波を受信すると固有情報を含む電波を発信するとともに、受信電波及び発信電波の少なくとも一方が周囲の排泄液体により遮蔽可能であり、
前記引き出し部は、前記吸収性物品の外部に引き出し可能である、
ことを特徴とする吸収性物品。
【0011】
(作用効果)
本吸収性物品では、ICタグの周囲の排泄液体の量が多くなると、受信又は発信する少なくとも一方の電波が遮蔽されるため、ICタグとの通信が不能になることを利用して排泄を検出することができる。しかも、パッシブ型のICタグは、バッテリを内蔵せず、薄型かつ安価であるため、吸収性物品の内蔵使用に適しており、装着感への影響も少ないものとなる。
また、本吸収性物品では、トップシートと液不透過性シートとの間に位置する内蔵部分を有するセンサ担体を有しており、ICタグは、このセンサ担体の内蔵部分に設けられている。そして、センサ担体は、ICタグが設けられた部分から延びる引き出し部を有しており、引き出し部は吸収性物品の外部に引き出し可能となっている。よって、使用者は引き出し部を引き出すことにより、センサ担体がICタグとともに移動し、ICタグ、つまり排泄検出位置を調節することができる。
【0012】
<第2の態様>
前記センサ担体は、前記吸収体と前記液不透過性シートとの間に介在されており、
前記センサ担体の引き出し方向は前後方向であるとともに、前記センサ担体の形状は前後方向に延びる帯状体であり、
前記センサ担体の直上に、上方に窪む溝状の移動スペースが前後方向に延びている、
第1の態様の吸収性物品。
【0013】
(作用効果)
ICタグの設置位置を調節するためには、センサ担体の引き出し方向は前後方向であるとともに、前記センサ担体の形状は前後方向に延びる帯状体であることが望ましい。また、ICタグの電波の遮蔽をより確実なものとするため、及び装着時の違和感を防止するために、ICタグの取付け位置は、吸収体と液不透過性シートとの間であることが好ましい。しかし、その場合、センサ担体の移動が困難となるおそれがある。これに対して、センサ担体の直上に、上方に窪む溝状の移動スペースが前後方向に延びていると、センサ担体の移動が容易となるとともに、ICタグに対して排泄液体が供給されやすくなり、検出感度が向上する。
【0014】
<第3の態様>
前記引き出し部は、前記吸収性物品の外部に引き出した部分の一部又は全部を切り離すためのミシン目を有している、
第1又は2の態様の吸収性物品。
【0015】
(作用効果)
このようなミシン目を有していることにより、使用時に、吸収性物品の外部に引き出した部分の一部又は全部を切り離すことができ、不必要な部分が邪魔になりにくいものとなる。
【0016】
<第4の態様>
前記引き出し部は、前記ICタグの前記固有情報に対応する一次元又は二次元コードが印刷されたコード印刷部を備えており、
前記コード印刷部の前記一次元又は二次元コードを光学的に読み取り可能である、
第1~3のいずれかの1つの態様の吸収性物品。
【0017】
(作用効果)
このようなコード印刷部を備えていると、一次元又は二次元コードを読み取り装置で読み取ることにより、ICタグの固有情報との対応に基づいて、ICタグと吸収性物品又はその装着者との対応付けを容易に行うことができ、排泄が検出された吸収性物品又はその装着者を特定できる。このため、例えば、病院等において複数の装着者の誰が排泄したのかを知ることができる。
【0018】
<第5の態様>
前記コード印刷部は、前記引き出し部に剥離可能に貼り付けられた粘着シールに設けられている、
第4の態様の吸収性物品。
【0019】
(作用効果)
この場合、コード印刷部を剥がし、廃棄したり、他の物に貼り付けたりすることができる。例えば病院等では、吸収性物品から剥がしたコード印刷部をカルテ等の記録用紙に貼り付け、使用者とICタグとの紐づけを容易に記録することができる。
【0020】
<第6の態様>
前記コード印刷部は、前記引き出し部の引き出し方向に間隔を空けて複数設けられており、
各コード印刷部の一次元又は二次元コードは、各コード印刷部と前記ICタグとの離間距離と対応して定められたICタグ設置位置情報を含む、
第4又は5の態様の吸収性物品。
【0021】
(作用効果)
本態様では、複数あるコード印刷部からICタグの設置位置に応じて読み取るコード印刷部を選択することにより、ICタグの固有情報及びICタグ設置位置情報を同時に読み取ることができ、ICタグと吸収性物品又はその装着者との対応付けだけでなく、ICタグの調節後の設置位置と装着者との対応付けまで容易に行うことができる。
特に、前述のように、コード印刷部が粘着シールに設けられている場合、読み取りに利用したコード印刷部のみ剥がしたり、反対に、読み取りに利用しないコード印刷部を剥がしたりすることにより、読み取り間違い等を防止できる。
また、前述のように引き出し部にミシン目を設ける場合、各コード印刷部のICタグ側にミシン目を設けることにより、読み取りに利用したコード印刷部を切り離したり、反対に、読み取りに利用しないコード印刷部を切り離したりすることができ、読み取り間違い等を防止できる。
【0022】
<第7の態様>
前記液不透過性シート又はこれよりも裏側の部材に、ICタグ設置位置を表す第1識別表示が、前記引き出し部の引き出し方向に間隔を空けて複数設けられており、
前記第1識別表示は前記吸収性物品の裏側から視認可能であり、
前記引き出し部に、前記第1識別表示と同一の又は対応する第2識別表示が、前記引き出し方向に間隔を空けて複数設けられており、
前記ICタグが前記第1識別表示により表示される各ICタグ設置位置に位置するときに、前記引き出し部における前記引き出し口から突出する部分に、前記第1識別表示と同一の又は対応する第2識別表示が露出するようになっている、
第1~6のいずれか1つの態様の吸収性物品。
【0023】
(作用効果)
本態様では、第2識別表示を見ることにより、同一の又は対応する第1識別表示により特定される位置又はその付近に、ICタグが位置していることを知ることができ、吸収性物品内部に位置するICタグの位置を容易に把握することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、排泄検出センサを内蔵するものでありながら、低コストで、しかも装着感への影響が少なく、かつ排泄検出位置を調節可能である吸収性物品となる、等の利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】使い捨ておむつの排泄検出システムの構成図である。
【
図2】使い捨ておむつの排泄検出システムの機能ブロック図である。
【
図3】第一電波及び第二電波の通信可能範囲について説明図である。
【
図4】第一電波及び第二電波の通信可能範囲についての説明図である。
【
図5】第一電波及び第二電波の通信可能範囲についての説明図である。
【
図6】アプリケーションの動作の流れを示すフローチャートである。
【
図7】初期画面を示すアプリケーションのイメージ図である。
【
図8】登録者の使い捨ておむつの状態を示すユーザインタフェースのイメージ図である。
【
図9】プッシュ通知による通知状態を示すユーザインタフェースのイメージ図である。
【
図10】使い捨ておむつの排泄検出システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【
図11】使い捨ておむつの排泄検出システムの構成図である。
【
図12】使い捨ておむつの排泄検出システムの構成図である。
【
図13】展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの内面を示す、平面図である。
【
図14】展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、平面図である。
【
図18】パンツタイプ使い捨ておむつの斜視図である。
【
図19】展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、平面図である。
【
図20】展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの内面を示す、平面図である。
【
図23】
センサ担体を示す(a)平面図、及び(b)側面図である。
【
図24】展開状態のテープタイプ使い捨ておむつの内面を示す、平面図である。
【
図25】展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、使い捨ておむつの排泄検出システムの例を引いて、排泄検出センサとしてICタグを内蔵した吸収性物品の各種形態について詳説する。
【0027】
<排泄検出システムの第1の例>
図1は、第1の例の排泄検出システムの構成図を示しており、
図2は、機能ブロック図を示している。この排泄検出システムは、同一病室内の3人の使い捨ておむつ装着者の使い捨ておむつを替えるタイミングを一元管理する場合を想定しているものであるが、管理対象者の人数は3人に限られず、3人以上であっても、3人以下であってもよい。
【0028】
図1及び
図2に示す例の排泄検出システムは、ICタグ120a~120cがそれぞれ取り付けられたセンサ担体170を内蔵する使い捨ておむつ110a~110cと、ICタグ120a~120cと通信する読取装置140と、読取装置140と通信する外部機器としてのスマートフォン150とからなる。
図1中に記載されている矢印は電波を概略的に表したものである。このうち、実線の矢印は、読取装置140から発信され、ICタグ120a~120cに受信され、ICタグ120a~120cの電源として用いられる第一電波RW1を示している。白抜きの矢印は、ICタグ120a~120cから発信され、読取装置140に受信され、ICタグ120a~120cの固有番号の情報を含む第二電波RW2を示している。破線の矢印は、読取装置140から発信され、スマートフォン150に受信され、ICタグ120a~120cの固有番号のうち読取装置140が受信した固有番号の情報を含む第三電波RW3を示している。
【0029】
(ICタグ)
各使い捨ておむつ110a~110cは、トップシート30と液不透過性シート11との間に位置する内蔵部分171(後述する)を有するセンサ担体170を有しており、ICタグ120a~120cは、このセンサ担体170の内蔵部分に設けられている。そして、センサ担体170は、ICタグ120a~120cが設けられた部分から延びる引き出し部172を有しており、引き出し部172は使い捨ておむつ110a~110cの外部に引き出し可能となっている。よって、使用者は引き出し部172を引き出すことにより、センサ担体170がICタグ120a~120cとともに移動し、ICタグ120a~120c、つまり排泄検出位置を調節することができる。
図1中の中段の使い捨ておむつ110bのセンサ担体170は、他の使い捨ておむつ110a,110cのセンサ担体170よりも引き出し部172が引き出されており、その結果として、ICタグ120bの位置がウエストよりとなっている。このセンサ担体170の移動構造については後述する。
【0030】
ICタグ120a~120cは、電池を内蔵しないパッシブ型となっている。ICタグ120a~120cは、
図2に示すように、読取装置140のアンテナ部141から発信される第一電波RW1を受信するアンテナ部121a~121cを有しており、このアンテナ部121a~121cが受信した第一電波RW1を電力に変換し、ICチップ122a~122cに電力供給する。ICチップ122a~122cは、固有情報を記憶する内部メモリを有しており、第一電波RW1を受信すると、ICチップ122a~122cが、アンテナ部121a~121cを制御して、固有情報を含む第二電波RW2を発信する。この第二電波RW2を読取装置140が受信し、読取装置140は受信した固有番号の情報を第三電波RW3として発信する。
【0031】
ICタグ120a~120cは、尿等の排泄液体の吸収後に周囲の大部分が排泄液により覆われ、第一電波RW1及び第二電波RW2の少なくとも一方の通信が困難となるようになっている。液体は、電波を通し難い性質を有するので、読取装置140が第二電波RW2を受信できなくなったとき(遮蔽状態)には、ICタグ120a~120cに向かう第一電波RW1がICタグの周囲の排泄液体により遮蔽され、アンテナ部121a~121cが第一電波RW1を受信できない状態か、又はアンテナ部121a~121cが第一電波RW1を受信しているものの、アンテナ部121a~121cから発信した第二電波RW2が排泄液体によって遮蔽されている状態にある。つまり、読取装置140とICタグ120a~120cとの不通により排泄があったことを知ることができる。このように、液体が電波を通過させ難い性質を利用して排泄を検出すると、別途、湿度センサ等の液体を検知するセンサを設ける必要が無く、使い捨ておむつの製造コストを抑えることができる。また、使い捨ておむつ110a~110cに設けられるのは薄いICタグ120a~120cのみであるので、使い捨ておむつ110a~110cの装着者に対して異物感や不快感を与えるおそれが少ないものとなる。
【0032】
ICタグ120a~120cに記憶される固有情報は、それぞれ異なる番号等の情報であって、ICチップ122a~122cの内部メモリにそれぞれ記憶されている。使い捨ておむつ110a~110cは、製品すべてが、互いに異なる固有情報を有するICタグ120a~120cを備えていることが望ましいが、これに限られず、少なくとも、排泄検出システムで同時に管理する使い捨ておむつの装着者の人数分、異なる固有情報を有した使い捨ておむつがあればよい。言い換えると、ロット管理によって、同じ固有情報が同時に使用されることがなければ、製造品すべてに異なる固有情報を付す必要はない。例えば固有情報が固有番号であり、12bitの内部メモリを採用する場合、4096通りの異なる固有番号を付すことができるが、このように限られた個数であっても、販売形態(場所、地域、時期等)を異にすることで、同じ固有番号の使い捨ておむつが同時に使用される事態を回避できる。
【0033】
(二次元コード)
各使い捨ておむつ110a~110cには、内蔵するICタグ120a~120cの固有番号等の固有情報に対応する二次元コード111a~111cがそれぞれ印刷されている。二次元コード111a~111cは、専用のアプリケーション160を介して、スマートフォン150のカメラ151で読み取ることが可能となっている。二次元コード111a~111cは、図示例のようなQRコード(登録商標)に限定されず、他のタイプの二次元コードであってもよく、また、二次元コードに代えて一次元コード(バーコード)とすることもできる。また、これら二次元コードや一次元コードは、手入力等を可能とするために、対応する固有番号等の固有情報が付加的に印刷されていてもよい。また、二次元コードや一次元コードには、ICタグの固有情報以外にも、後述するようにICタグ設置位置情報等を含むことができる。
【0034】
(読取装置)
図2及び
図3~
図5に示すように、読取装置140は、第一電波RW1の発信と、ICタグ120a~120cが発信する第二電波RW2の受信とを行うアンテナ部141と、第三電波RW3の送信を行う通信部142と、それらを制御する制御部143とを備え、ICタグ120a~120cへの電力供給と、ICタグ120a~120cから発信される固有情報をスマートフォン150が受信できるよう中継する役割を担うものである。
【0035】
読取装置140とICタグ120a~120cとの通信可能範囲181は、病室180内全域をカバーできる程度、例えば
図3に示すように、読取装置140が病室180の略中央に設置される場合、半径約2~6m程度の球状の範囲とすることができる。また、読取装置140とスマートフォン150との通信可能範囲は、病室180内全域をカバーできる程度、例えば半径約15mの球状の範囲内とすることができる。この場合、読取装置140が送信する第三電波RW3は遮蔽状態とならない限り、管理者がスマートフォン150を所持して病室180内に入ると、スマートフォン150で第三電波RW3を受信可能となる。
【0036】
もちろん、読取装置140とICタグ120a~120cとスマートフォン150との通信可能範囲は、これらの例に限定されず、読取装置140、ICタグ120a~120c、スマートフォン150のそれぞれの性能や、使い捨ておむつの排泄検出システムを使用する環境によって適宜定めることができる。また、読取装置140の設置箇所も、図示例に限定されず、適宜定めることができる。
【0037】
例えば、読取装置とICタグとの通信可能範囲が狭く、半径約2~3mの球状の範囲内である場合は、一つの使い捨ておむつに対して一つの読取装置を用いることで対応することができる。具体的には、
図4に示すように、対応する使い捨ておむつ110a~110cに設けられるICタグ120a~120cが通信可能範囲に入るよう、読取装置140a~140cを、対応する使い捨ておむつ110a~110cの使い捨ておむつ装着者が使用するベッドの周辺に設置する。
【0038】
また、読取装置とICタグとの通信可能範囲がさらに狭い場合には、
図5に示すように、読取装置140a~140cのアンテナ部141a~141cをシート状に構成し、ベッドのマットレスの下に敷くように配置することで通信可能範囲の狭さをカバーすることができる。
【0039】
これらの例のように、読取装置の配置や構成を適宜変更することで、通信可能範囲の狭い低廉なICタグを用いることができるので、製造コストや、販売価格をさらに抑えることができる。
【0040】
また、第三電波RW3が有する情報、すなわちICタグ120a~120cの固有情報のうち読取装置140が受信した固有情報は、読取装置140からインターネットを介してスマートフォン150に送信することもできる。これによれば、読取装置140とスマートフォン150とがどんなに離れた位置にあっても、スマートフォン150を所持する、管理者は通知を受けることができる。あるいは、インターネットのクラウドストレージ上に、使い捨ておむつ110a~110cの排泄検出に関する情報が例えば読取装置140から定期的にアップロードされ、当該情報がアップデートされるようにしておき、スマートフォン150やパソコン等からクラウドストレージにアクセスすることで、使い捨ておむつ110a~110cの排泄検出に関する情報をどこからでも読み出せるようにしてもよい。
【0041】
(スマートフォン)
スマートフォン150は、
図2に示すように、カメラ151、読取装置の通信部142からの第三電波RW3を受信できる通信部152、スピーカー153、タッチパネル式液晶画面154、及びこれら部品の動作を制御する制御部155を備えており、撮影機能、無線通信機能、音声再生機能、動画像再生機能を有する。使い捨ておむつの排泄検出システムの使用時には、スマートフォン150のカメラ151、通信部152、スピーカー153、タッチパネル式液晶画面154は、後述するアプリケーション160を実行する制御部155により制御される。
【0042】
スマートフォン150は、主に、使い捨ておむつ110a~110cと装着者とを対応付ける役割や、第三電波RW3に含まれていない固有情報の使い捨ておむつ110a~110c又はその装着者を、排泄のあった使い捨ておむつ110a~110c又はその装着者として管理者に通知する役割等を担うものである。なお、スマートフォン150の代わりに、同様の機能を有するタブレット端末、その他の情報処理端末を用いてもよい。また、スマートフォンやタブレットの代わりにパソコンを用いて、排泄検出を一元管理してもよいし、ナースコールと連動させ、ナースコールによって排泄検出の通知を行うようにしてもよい。また、前述のICタグ120a~120cの固有情報のうち読取装置140が受信した固有情報は、電波による無線通信に代えて、又はこれとともに、電気信号による有線通信にて送信してもよい。さらにまた、無線通信は、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)に限定されない。
【0043】
(アプリケーション)
スマートフォン150にインストールされるアプリケーション160は、主に、固有情報と使い捨ておむつ装着者との対応付けと、排泄検知と、排泄通知を行うためのものである。以下、アプリケーション160について、
図6に示す動作フローチャートと、
図7~
図9に示すユーザインタフェース画面のイメージ図に基づいて説明する。
【0044】
まず、ステップST101にて、アプリケーション160が起動されると、アプリケーション160は、ステップST102において、
図7に示すような初期画面161をタッチパネル式液晶画面154に表示する。
【0045】
初期画面161には、使い捨ておむつ装着者登録ボタン1611と、登録者管理ボタン1612と、設定変更ボタン1613と、検出開始/終了ボタン1614とが設けられ、使い捨ておむつ装着者登録ボタン1611がタップされると使い捨ておむつ装着者登録モードに、登録者管理ボタン1612がタップされると登録者管理モードに、設定変更ボタン1613がタップされると設定変更モードに移行する。また、検出開始/終了ボタン1614は、タップされる度に、排泄の検出の開始/終了を交互に切り換える。
【0046】
アプリケーション160は、ステップST103では、タップされたボタンを確認し、それに応じた動作をステップST103-1~ステップST103-4にて実行する。また、ボタンがタップされなかった場合には、ステップST103-5(何もしない)に進み、入力の待機状態となる。
【0047】
アプリケーション160は、ステップST102、ステップST103のステップを終了するまで繰り返す。以下では、ステップST103-1~ステップST103-4での動作について詳述する。
【0048】
(ステップST103-1:使い捨ておむつ装着者登録モード)
ステップST103-1では、アプリケーション160は、使い捨ておむつ装着者登録モードのプログラムを実行する。使い捨ておむつ装着者登録モードは、ICタグの固有情報と使い捨ておむつ装着者とを対応付けるためのモードであって、初期画面161の使い捨ておむつ装着者登録ボタン1611がタップされることで開始する。
【0049】
使い捨ておむつ装着者登録モードにおいて、アプリケーション160は、まず、二次元コード111a~111cの読み取りを行い、次に、読み取った二次元コードが印刷された使い捨ておむつの装着者名を入力するよう、管理者を誘導する。アプリケーション160は、二次元コードを読み取って入手した固有番号と、入力された使い捨ておむつ装着者の名前とを一組にして保存し、ICタグの固有番号と使い捨ておむつ装着者とを対応付ける。したがって、管理者は、簡単な作業で、ICタグの固有番号と使い捨ておむつ装着者とを対応付けることができる。また、二次元コードが後述するICタグ設置位置情報を含む場合、ICタグの固有情報及びICタグ設置位置情報に基づいて、ICタグと吸収性物品又はその装着者との対応付けだけでなく、ICタグの調節後の設置位置と装着者との対応付けまで容易に行うことができる。
【0050】
なお、使い捨ておむつ装着者登録モードはこの形態に限定されない。例えば、固有情報の取得方法は、二次元コード等のコードの読み取りに限られず、パスワード等の文字列や記号等を使い捨ておむつに印刷しておき、これらの読み取りや入力によって、固有情報を取得できるよう構成してもよい。また、固有情報と使い捨ておむつ装着者との対応付けは、使い捨ておむつ装着者の名前による対応付けに限定されず、病室やベッドの番号、使い捨ておむつ装着者の顔写真等によって対応付けてもよい。また、ICタグ設置位置情報を二次元コード等のコードの読み取りで行わず、スマートフォンの入力機能により入力してもよい。
【0051】
(ステップST103-2:登録者管理モード)
ステップST103-2では、アプリケーション160は、登録者管理モードのプログラムを実行する。登録者管理モードは、使い捨ておむつ装着者登録モードで固有番号と対応付けた使い捨ておむつ装着者(以下、登録者と称す。)の登録内容の確認や修正、削除を行うためのモードであって、初期画面161の登録者管理ボタン1612がタップされることで開始する。
【0052】
(ステップST103-3:設定変更モード)
ステップST103-3では、アプリケーション160は、設定変更モードのプログラムを実行する。設定変更モードは、管理者への通知方法や、アプリケーション内の文字サイズ、画面の明るさ、通知音の音量の設定を行うモードであって、初期画面161の設定変更ボタン1613がタップされることで開始する。なお、設定内容はこの形態に限定されず、例えば、後述するように、一つの使い捨ておむつに複数のICタグを設ける態様を採択した際には、使い捨ておむつの排泄検出システムの検出内容の設定を本モードにて行えるようにしてもよい。
【0053】
(ステップST103-4:排泄の検出開始/終了の切り換え)
ステップST103-4では、アプリケーション160は、使い捨ておむつの排泄検出の開始/終了を交互に切り換える。アプリケーション160は、排泄を検出すると、
図8に示すユーザインタフェース画面162のように、登録者の一欄と、排泄の有無とをそれぞれを対応付けてタッチパネル式液晶画面154に表示する。例えば、排泄が検出された使い捨ておむつの装着者については、排泄の有無の表示を「無」から「有」に切り替えるとともに、通知音をスピーカー153から再生し、管理者へ通知を行う。また、例えば、スマートフォン150のタッチパネル式液晶画面154の電源が切られた待機状態において排泄を検出した際は、
図9に示すようなプッシュ通知163(例えば「ユーザCのおむつ交換が必要です」等)と、通知音とによって、管理者への通知を行う。
【0054】
なお、前述のアプリケーション160のユーザインタフェース画面の例において、各ボタンの配置、形状、表示の仕方、サイズ、配色、模様等は適宜変更でき、また、通知の方法も特に限定されない。
【0055】
(全体の動作の流れ)
検出システムの動作の流れについて
図10に示す動作フローチャートに基づいて説明する。ここでは、管理者によって、ICタグ120a~120cが組み込まれた使い捨ておむつ110a~110cが装着者に装着された後のシステム全体としての動作の流れに重きをおいており、スマートフォン150のアプリケーション160にて実行する動作の流れの詳細についてはアプリケーション160の項目を参照されたい。
【0056】
まず、各使い捨ておむつ110a~110cは、使用に際し、必要に応じてセンサ担体170の引き出し部172を引き出して、ICタグ120a~120cの設置位置を調節しておく。そして、ステップST201にて、管理者が、使い捨ておむつの排泄検出システムを起動させ、第一電波RW1~第三電波RW3の発信/受信を行う。各電波の発信/受信については、前述のとおりである(
図1参照)。なお、ここでの使い捨ておむつの排泄検出システムの起動とは、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の通信機器の設定や、スマートフォン150におけるアプリケーション160の起動をも含む、使い捨ておむつの排泄検出を開始できる状態にすることを意味する。
【0057】
次に、ステップST202において、管理者が、スマートフォン150のアプリケーション160の使い捨ておむつ装着者登録モードにて、使い捨ておむつ110a~110cの二次元コード111a~111cを読み取り、ICタグ120a~120cの固有番号(二次元コード111a~111cがICタグ設置位置情報を含む場合にはICタグ設置位置情報も)と、使い捨ておむつ装着者との対応付けと登録を行い、検出開始/終了ボタン1614をタップして排泄検出を開始する。
【0058】
次いで、ステップST203にて、スマートフォン150のアプリケーション160が、ステップST202において登録されたすべての固有情報が第三電波RW3の送信情報に含まれているかを照合し、照合の結果に応じて、ステップST203-1~ステップST203-3のいずれかを実行する。アプリケーション160は、ステップST203からステップST203-3までのステップを排泄が検出されるまで繰り返す。
【0059】
読取装置140は、ICタグ120a~120cから発信される第二電波RW2を受信し、受信できたすべての第二電波RW2に含まれる固有情報を第三電波RW3に含めて送信するから、例えばスマートフォン150が第三電波RW3を受信して、第三電波RW3に含まれる固有情報と、スマートフォン150側で登録された固有情報とを照合し、第三電波RW3に含まれていない固有情報があれば、その固有情報に対応するICタグからは第二電波RW2を受信できず、そのICタグを内蔵する使い捨ておむつにおいて排泄があったものと判断できる。本例では、使い捨ておむつの使用態様や、読取装置140の設置の仕方によっては、ICタグ120a~120cから第二電波RW2が発信されているのにもかかわらず、読取装置140が受信できないこともあり得るため、ICタグ毎に例えば4回受信できなかった場合に排泄ありと判断することとなっているが、これに限定されるものではない。
【0060】
アプリケーション160は、ステップST203での照合の結果、両者が一致していた場合、ステップST203-1に進み、何もせずに排泄検出を待つ待機状態となる。
【0061】
また、アプリケーション160は、照合の結果、第三電波RW3に含まれていない固有情報があった場合、ステップST203-2に進む。ステップST203-2に進んだ場合、アプリケーション160は、第三電波RW3に含まれていない固有情報に割り振ったカウンターのカウントを1つ増やす。このカウンターは、初期状態では0であり、4になった場合には、ステップST203-3に進む。ステップST203-3に進んだ場合、管理者へ通知を行う。すなわち、誤動作を防止するために、カウンターが3になるまでは、排泄ありとはみなさない。
【0062】
管理者は、通知によって、排泄が検出された使い捨ておむつ装着者を特定することができるので、ステップST204において、使い捨ておむつの交換を行う。この際、必要に応じてセンサ担体170の引き出し部172を引き出して、ICタグ120a~120cの設置位置を調節する。その後、再度、ステップST202で、新しい使い捨ておむつの固有番号と使い捨ておむつ装着者との対応付けと登録を行えば、排泄検出が可能な状態となる。
【0063】
<排泄検出システムの第2の例>
第2の例の排泄検出システムは、
図11に示すように、ICタグ120a~120cがそれぞれ設けられたセンサ担体170を内蔵する使い捨ておむつ210a~210cと、通知機能付読取装置240a~240cとを有するものである。
【0064】
また、通知機能付読取装置240a~240cは、一種類の電波の発信、及びICタグ120a~120cが発信する電波の受信を行うアンテナ部241a~241cと、スピーカー242a~242cと、LED等による発光部243a~243cとを備え、ICタグの読み取り及び排泄検出時の管理者に対する通知を行うものである。通知機能付読取装置240a~240cとICタグ120a~120cとの通信可能範囲は適宜定めることができるが、例えば半径約2~3mの球状の範囲とすることができる。
【0065】
図11中に記載されている矢印は電波を概略的に表したものであり、実線の矢印は通知機能付読取装置240a~240cから発信され、それぞれ対応するICタグ120a~120cに受信され、ICタグ120a~120cの電源として用いられる第一電波RW1を示している。また、白抜きの矢印はICタグ120a~120cから発信され、それぞれ対応する通知機能付読取装置240a~240cに受信される第二電波RW2を示している。本第2の例は、前述の第1の例とは異なり、第三電波RW3を必要としないものとなっている。
【0066】
また、本第2の例の排泄検出システムでは、前述の第1の例とは異なり、使い捨ておむつに内蔵するICタグ120a~120cの固有番号等の固有情報に対応する二次元コード111a~111c等は印刷されていない。
【0067】
本第2の例の排泄検出システムでは、通知機能付読取装置240a~240cは、対応する使い捨ておむつ210a~210cに設けられるICタグ120a~120cのみが通信可能範囲(半径約2~3mの球状の範囲内)に入るよう、使い捨ておむつ210a~210cの使い捨ておむつ装着者が使用するベッドの周辺に設置される。また、各使い捨ておむつ210a~210cは、使用に際し、必要に応じてセンサ担体170の引き出し部172を引き出して、ICタグ120a~120cの設置位置を調節する。そして、ICタグ120a~120cからの第二電波RW2を受信できなかった場合、そのICタグ120a~120cと対応する通知機能付読取装置240a~240cにおけるスピーカー242a~242cで通知音が鳴ったり、発光部243a~243cが発光したり、あるいはこれらの組み合わせにより、管理者は、当該通知機能付読取装置240a~240cと対応する使い捨ておむつに排泄があったことを知ることができる。このように、対応するICタグが発信する第二電波RW2を通知機能付読取装置240a~240cが受信できるか否かのみによって(換言すると、ICタグ120a~120cと通知機能付読取装置240a~240cとの一対一の対応のみによって)、排泄の有無を検出すると、第1の例の使い捨ておむつの排泄検出システムにおける第三電波RW3やこれに関連するシステム要素を必要とせず、ICタグの各々の固有情報と使い捨ておむつ装着者又は使い捨ておむつとを対応付ける作業を行うことなく使用できる。
【0068】
なお、図示例では、複数の装着者を想定したものとなっているが、後述する第3の例と同様に、1人の使い捨ておむつ装着者の管理に適用できることはいうまでもない。その他は、第1の例の排泄検出システムと同様であるため、説明を省略する。
【0069】
<排泄検出システムの第3の例>
第3の例の排泄検出システムは、第1の例の排泄検出システムを一人の使い捨ておむつ装着者の管理に適用した場合、例えば、自宅介護に用いた場合に関するものである。したがって、第3の例の排泄検出システムの基本構成は第1の例と同様であり、
図12に示すように、ICタグ120a~120tが取り付けられたセンサ担体170を内蔵する使い捨ておむつ110a~110t(図中の使い捨ておむつ110aは装着中を想定している)と、読取装置140と、スマートフォン150とを含んでいる。例えば、20着の使い捨ておむつ110a~110tは1セットで販売され、各々が備えるICタグ120a~120tの固有情報に対応する二次元コード111a~111tを備える。各使い捨ておむつ110a~110tは、使用に際し、必要に応じてセンサ担体170の引き出し部172を引き出して、ICタグ120a~120tの設置位置を調節する。また、スマートフォン150には、アプリケーション160がインストールされ、装着中の使い捨ておむつ110aの固有情報の登録と、排泄検出と、排泄の通知が行われる。
【0070】
図12中に記載されている矢印は電波を概略的に表したものであり、実線の矢印は読取装置140から発信され、ICタグ120aに受信され、ICタグ120aの電源として用いられる第一電波RW1を示している。また、白抜きの矢印はICタグ120aから発信され、読取装置140に受信され、ICタグ120aの固有情報を含む第二電波RW2を示している。さらに、破線の矢印は読取装置140が第二電波RW2を受信した場合に読取装置140から発信されるとともに、スマートフォン150により受信され、ICタグ120aの固有情報を含む第三電波RW3を示している。
【0071】
なお、第1の例の排泄検出システムは、アプリケーション160において、固有情報と、入力された使い捨ておむつ装着者の名前とを一組にして保存するが、本第3の例の排泄検出システムは、1人の使い捨ておむつ装着者の管理に適用するため、使い捨ておむつ装着者の名前を必ずしも保存する必要はない。その他のアプリケーション160の態様や、固有情報と使い捨ておむつ装着者との対応付けの方法、通信可能範囲、通知方法等については第1の例と同じであるので説明を省略する。
【0072】
本第3の例の排泄検出システムでは、第1の例と同様に、使い捨ておむつ110aに対応付けされた固有情報を含む第三電波RW3をスマートフォン150が受信できるか否かで排泄の有無を検出するため、例えば、使い捨ておむつ装着者が横になるベッドの側に他の使い捨ておむつ110b~110tが置かれている場合等、他の使い捨ておむつ110b~110tが読取装置140の通信可能範囲内にあったとしても、第2の例と異なり、装着中の使い捨ておむつ110aにおける排泄を適切に検出することができる。
【0073】
<排泄検出システムの他の例>
上述の使い捨ておむつの排泄検出システムは、使い捨ておむつの排泄検出システムは、一元管理する人数や使用する場所・環境等に適するよう、その感度や、検出内容、各構成要素の配置・性能、ユーザインタフェース等を柔軟に変更することができる。
【0074】
一つの例としては、後述するように、第1の例の排泄検出システムを応用し、1つの使い捨ておむつに複数のICタグを異なる位置に設け、排泄の有無の検出に加え、吸収の程度や吸収位置を検出することができる。この場合、複数のICタグをすべてセンサ担体に設ける他、一部のICタグをセンサ担体以外の移動しない部材に取り付けることもできる。具体的には、排泄量が多ければ多いほど、吸収体の吸収範囲が広くなり、電波遮蔽状態となるICタグの数が増える。この特性を利用し、アプリケーション160は、例えば、遮蔽状態のICタグの数が2個以下の時は、吸収量(排泄量)が少ないと判断し、遮蔽状態のICタグの数が3個以下の時は、吸収量(排泄量)が多いと判断する、つまり吸収の程度を検出することができる。また、複数のICタグを前後方向に間隔を空けて(又は空けないで)設けることにより、背側のICタグが遮蔽状態であれば背側が吸収しており、腹側のICタグが遮蔽状態であれば腹側が吸収していると判断できる。つまり、使い捨ておむつ内の吸収位置を検出することができる。このように、第1の例の排泄検出システムは、ICタグの配置又は個数あるいはその両方を変更することで、使い捨ておむつの排泄検出システムの検出内容を変更することができる。
【0075】
また、上述の使い捨ておむつの排泄検出システムでは、使い捨ておむつを装着する使い捨ておむつ装着者と、使い捨ておむつを交換する管理者とを別人として説明しているが、同一人であってもよい。例えば、上述の排泄検出システムは、下半身麻痺の障害を有する人が、自己の使い捨ておむつを排泄の有無を知るために利用してもよい。
【0076】
次に、パンツタイプ使い捨ておむつ及びテープタイプ使い捨ておむつの例を引いて、吸収性物品の形態について詳説する。
【0077】
<パンツタイプ使い捨ておむつの例>
図13~
図18は、前述の排泄検出システムの使い捨ておむつ110a~110c,210a~210cとして用いることができるパンツタイプ使い捨ておむつの一例を示している。断面図における点模様部分はその表側及び裏側に位置する各構成部材を接合する接合手段としての接着剤を示しており、ホットメルト接着剤のベタ、ビード、カーテン、サミット若しくはスパイラル塗布、又はパターンコート(凸版方式でのホットメルト接着剤の転写)などにより、あるいは弾性部材の固定部分はこれに代えて又はこれとともにコームガンやシュアラップ塗布などの弾性部材の外周面への塗布により形成されるものである。ホットメルト接着剤としては、例えばEVA系、粘着ゴム系(エラストマー系)、オレフィン系、ポリエステル・ポリアミド系などの種類のものが存在するが、特に限定無く使用できる。各構成部材を接合する接合手段としてはヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段を用いることもできる。
【0078】
本パンツタイプ使い捨ておむつは、前身頃Fの少なくとも胴周り部を構成する前側外装体12F及び後身頃Bの少なくとも胴周り部を構成する後側外装体12Bと、前側外装体12Fから股間部を経て後側外装体12Bまで延在するように外装体12F,12Bに設けられた内装体200とを備えており、前側外装体12Fの両側部と後側外装体12Bの両側部とが接合されてサイドシール部12Aが形成されることにより、外装体12F,12Bの前後端部により形成される開口が装着者の胴を通すウエスト開口WOとなり、内装体200の幅方向両側において外装体12F,12Bの下縁及び内装体200の側縁によりそれぞれ囲まれる部分が脚を通す脚開口LOとなる。内装体200は、尿等の排泄物等を吸収保持する部分であり、外装体12F,12Bは着用者の身体に対して内装体200を支えるための部分である。また、符号Yは展開状態におけるおむつの全長(前身頃Fのウエスト開口WOの縁から後身頃Bのウエスト開口WOの縁までの前後方向長さ)を示しており、符号Xは展開状態におけるおむつの全幅を示している。
【0079】
本形態のパンツタイプ使い捨ておむつは、サイドシール部12Aを有する前後方向範囲(ウエスト開口WOから脚開口LOの上端に至る前後方向範囲)として定まる胴周り領域Tと、脚開口LOを形成する部分の前後方向範囲(前身頃Fのサイドシール部12Aを有する前後方向領域と後身頃Bのサイドシール部12Aを有する前後方向領域との間)として定まる中間領域Lとを有する。胴周り領域Tは、概念的にウエスト開口の縁部を形成する「ウエスト部」Wと、これよりも下側の部分である「ウエスト下方部」Uとに分けることができる。通常、胴周り領域T内に幅方向WDの伸縮応力が変化する境界(例えば弾性部材の太さや伸長率が変化する)を有する場合は、最もウエスト開口WO側の境界よりもウエスト開口WO側がウエスト部Wとなり、このような境界が無い場合は吸収体56又は内装体200よりもウエスト開口WO側に延び出たウエスト延出部分12Eがウエスト部Wとなる。これらの前後方向長さは、製品のサイズによって異なり、適宜定めることができるが、一例を挙げると、ウエスト部Wは15~40mm、ウエスト下方部Uは65~120mmとすることができる。一方、中間領域Lの両側縁は被着者の脚周りに沿うようにコ字状又は曲線状に括れており、ここが装着者の脚周りに沿う部位となる。
【0080】
(内装体)
内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、
図15~
図17に示されるように、身体側となるトップシート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えているものであり、吸収機能を担う本体部である。符号40は、トップシート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、トップシート30と吸収要素50との間に設けられた中間シート(セカンドシート)を示しており、符号60は、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側部から装着者の脚周りに接するように延び出た起き上がりギャザー60を示している。
【0081】
(トップシート)
トップシート30は、液透過性を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
【0082】
また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
【0083】
トップシート30の両側部は、吸収要素50の側縁で裏側に折り返しても良く、また折り返さずに吸収要素50の側縁より側方にはみ出させても良い。
【0084】
トップシート30は、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により裏側に隣接する部材に固定することが望ましい。
【0085】
(中間シート)
トップシート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、トップシート30より液の透過速度が速い、中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高め、吸収した液の吸収体からの「逆戻り」現象を防止するためのものである。中間シート40は省略することもできる。
【0086】
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材や、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、SMS不織布、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド不織布又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは17~80g/m2が好ましく、25~60g/m2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.0~10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
【0087】
図示例の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の前後方向長さは、おむつの全長と同一でもよいし、吸収要素50の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
【0088】
中間シート40は、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により表側又は裏側に隣接する部材に固定することが望ましい。
【0089】
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて接合した積層シートなどを例示することができる。液不透過性シート11には、ムレ防止の観点から好まれて使用されている液不透過性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性プラスチックフィルムが広く用いられている。この他にも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂又は疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、プラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができるが、後述するカバー不織布13とのホットメルト接着剤を介した接着時に十分な接着強度を得るため、樹脂フィルムを用いるのが望ましい。
【0090】
液不透過性シート11は、図示のように吸収要素50の裏側に収まる幅とする他、防漏性を高めるために、吸収要素50の両側を回り込ませて吸収要素50のトップシート30側面の両側部まで延在させることもできる。この延在部の幅は、左右それぞれ5~20mm程度が適当である。
【0091】
(起き上がりギャザー)
起き上がりギャザー60は、横漏れを防止するためのものであり、内装体200の両側部に沿って前後方向LDの全体にわたり延在し、内装体200の側部から表側に起立するものである。
【0092】
図13、
図15及び
図16に示される起き上がりギャザー60は、付け根側部分60Bが幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側部分60Aが幅方向外側に向かって斜めに起立するものであるが、これに限定されるものではなく、全体として幅方向中央側に起立する形態等、適宜の変更が可能である。
【0093】
より詳細に説明すると、図示例の起き上がりギャザー60は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のギャザー不織布62を、先端となる部分で幅方向WDに折り返して二つに折り重ねるとともに、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状のギャザー弾性部材63を長手方向に沿って伸長状態で、幅方向WDに間隔を空けて複数本固定してなるものである。起き上がりギャザー60のうち先端部と反対側に位置する基端部(幅方向WDにおいてシート折り返し部分と反対側の端部)は、内装体200における液不透過性シート11より裏側の側部に固定された付根部分65とされ、この付根部分65以外の部分は付根部分65から延び出る本体部分66(折り返し部分側の部分)とされている。また、本体部分66は、幅方向中央側に延びる付け根側部分60Bと、この付け根側部分60Bの先端で折り返され、幅方向外側に延びる先端側部分60Aとを有している。この形態は面接触タイプの起き上がりギャザー60であるが、幅方向外側に折り返されない線接触タイプの起き上がりギャザー60も採用することができる。そして、本体部分66のうち前後方向両端部が倒伏状態でトップシート30の側部表面に対して固定された倒伏部分67とされる一方で、これらの間に位置する前後方向中間部は非固定の自由部分68とされ、この自由部分68の少なくとも先端部に前後方向LDに沿うギャザー弾性部材63が伸長状態で固定されている。
【0094】
以上のように構成された起き上がりギャザー60では、ギャザー弾性部材63の収縮力が前後方向両端部を近づけるように作用するが、本体部分66のうち前後方向両端部が起立しないように固定されるのに対して、それらの間は非固定の自由部分68とされているため、自由部分68のみが
図15に矢印で示すように身体側に当接するように起立する。特に、付根部分65が内装体200の裏側に位置していると、股間部及びその近傍において自由部分68が幅方向外側に開くように起立するため、起き上がりギャザー60が脚周りに面で当接するようになり、フィット性が向上するようになる。
【0095】
図示例の起き上がりギャザー60のように、本体部分66が、幅方向中央側に延びる付け根側部分60Bと、この付け根側部分60Bの先端で折り返され幅方向外側に延びる先端側部分60Aとからなる屈曲形態では、倒伏部分67で、先端側部分60Aと付け根側部分60Bとが倒伏状態で接合されるとともに、付け根側部分60Bが倒伏状態でトップシート30に接合される。倒伏部分67における対向面の接合には、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤、及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段の少なくとも一方を用いることができる。この場合において、付け根側部分60B及びトップシート30の接合と、先端側部分60A及び付け根側部分60Bの接合とを同じ手段により行っても、また異なる手段により行っても良い。例えば、付け根側部分60B及びトップシート30の接合をホットメルト接着剤により行い、先端側部分60A及び付け根側部分60Bの接合を素材溶着により行うのは一つの好ましい形態である。
【0096】
ギャザー不織布62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコーンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10~30g/m2程度とするのが好ましい。ギャザー弾性部材63としては糸ゴム等を用いることができる。スパンデックス糸ゴムを用いる場合は、太さは470~1240dtexが好ましく、620~940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150~350%が好ましく、200~300%がより好ましい。なお、用語「伸長率」は自然長を100%としたときの値を意味する。また、図示のように、二つに折り重ねたギャザー不織布62の間に防水フィルム64を介在させることもでき、この場合には防水フィルム64の存在部分においてギャザー不織布62を部分的に省略することもできるが、製品の外観及び肌触りを布のようにするためには、図示例のように、少なくとも起き上がりギャザー60の基端から先端までの外面がギャザー不織布62で形成されていることが必要である。
【0097】
ギャザー弾性部材63の本数は2~6本が好ましく、3~5本がより好ましい。配置間隔60dは3~10mmが適当である。このように構成すると、ギャザー弾性部材63を配置した範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。先端側だけでなく付け根側にもギャザー弾性部材63を配置しても良い。
【0098】
起き上がりギャザー60の自由部分68では、ギャザー不織布62の内側層及び外側層の貼り合わせや、その間に挟まれるギャザー弾性部材63の固定に、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による固定手段の少なくとも一方を用いることができる。ギャザー不織布62の内側層及び外側層の全面を貼り合わせると柔軟性を損ねるため、ギャザー弾性部材63の接着部以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。図示例では、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段によりギャザー弾性部材63の外周面にのみホットメルト接着剤を塗布してギャザー不織布62の内側層及び外側層間に挟むことにより、当該ギャザー弾性部材63の外周面に塗布したホットメルト接着剤のみで、ギャザー不織布62の内側層及び外側層へのギャザー弾性部材63の固定と、ギャザー不織布62の内側層及び外側層間の固定とを行う構造となっている。
【0099】
同様に、起き上がりギャザー60に組み込まれる防水フィルム64とギャザー不織布62との固定や、倒伏部分67の固定についても、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤、及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段の少なくとも一方を用いることができる。
【0100】
図示例の起き上がりギャザー60の寸法は適宜定めることができるが、乳幼児用紙おむつの場合は、例えば
図15に示すように、起き上がりギャザー60の起立高さ(展開状態における本体部分66の幅方向長さ)W2は15~60mm、特に20~40mmであるのが好ましい。また、起き上がりギャザー60をトップシート30表面と平行になるように、平坦に折り畳んだ状態において最も内側に位置する折り目間の離間距離W1は60~190mm、特に70~140mmであるのが好ましい。
【0101】
(吸収要素)
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有する。包装シート58は省略することもできる。
【0102】
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100~300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30~120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1~16dtex、好ましくは1~10dtex、さらに好ましくは1~5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
【0103】
吸収体56は長方形形状でも良いが、
図19等にも示すように、前後方向中間に、その前後両側よりも幅が狭い括れ部56Nとを有する砂時計形状をなしていると、吸収体56自体と起き上がりギャザー60の、脚周りへのフィット性が向上するため好ましい。
【0104】
また、吸収体56の寸法は排尿口位置の前後左右にわたる限り適宜定めることができるが、前後方向LD及び幅方向WDにおいて、内装体200の周縁部又はその近傍まで延在しているのが好ましい。なお、符号56Xは吸収体56の全幅を示している。
【0105】
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子54としては、この種の使い捨ておむつに使用されるものをそのまま使用でき、例えば500μmの標準ふるい(JIS Z8801-1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が30重量%以下のものが望ましく、また、180μmの標準ふるい(JIS Z8801-1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が60重量%以上のものが望ましい。
【0106】
高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん-アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん-アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
【0107】
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が70秒以下、特に40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が遅すぎると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
【0108】
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
【0109】
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50~350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和する。
【0110】
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の平面方向で散布密度あるいは散布量を調整できる。例えば、液の排泄部位を他の部位より散布量を多くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の散布密度(量)を高め、女用は中央部の散布密度(量)を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。
【0111】
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、5~40g/m2、特に10~30g/m2のものが望ましい。
【0112】
包装シート58の包装形態は適宜定めることができるが、製造容易性や前後端縁からの高吸収性ポリマー粒子の漏れ防止等の観点から、吸収体56の表裏面及び両側面を取り囲むように筒状に巻き付け、かつその前後縁部を吸収体56の前後からはみ出させ、巻き重なる部分及び前後はみ出し部分の重なり部分をホットメルト接着剤、素材溶着等の接合手段により接合する形態が好ましい。
【0113】
(外装体)
外装体12F,12Bは、前身頃Fから後身頃Bにかけて股間を通り連続する一体的なものとする等、特に限定されるものではないが、図示例では前身頃Fの少なくとも胴周り部を構成する部分である長方形の前側外装体12Fと、後身頃Bの少なくとも胴周り部を構成する部分である長方形の後側外装体12Bとからなり、前側外装体12F及び後側外装体12Bは股間側で連続しておらず、前後方向LDに離間されたものとなっている。この離間距離12dは例えば150~250mm程度とすることができる。
【0114】
外装体12F,12Bは、胴周り領域Tと対応する前後方向範囲である胴周り部を有する。また、本形態では、前側外装体12Fよりも後側外装体12Bの方が前後方向寸法が長くなっており、前側外装体12Fには中間領域Lと対応する部分を有していないが、後側外装体12Bは胴周り領域Tから中間領域L側に延び出た臀部カバー部Cを有している。図示しないが、前側外装体12Fにも胴周り領域Tから中間領域L側に延び出る鼠蹊カバー部を設けても良い。
【0115】
外装体12F,12Bは、
図14、
図16及び
図17に示されるように、後述する弾性部材15~19の外側及び内側にそれぞれ位置する外側シート層12S及び内側シート層12Hがホットメルト接着剤や溶着等の接合手段により接合されたものである。外側シート層12Sを形成するシート材及び内側シート層12Hを形成するシート材は、図示例のように共通の一枚のシート材とする他、個別のシート材とすることもできる。すなわち、前者の場合、外装体の一部又は全部において、ウエスト開口WOの縁(股間側の縁としても良い)で折り返された一枚のシート材の内側の部分及び外側の部分により内側シート層12H及び外側シート層12Sがそれぞれ形成される。
【0116】
外側シート層12S及び内側シート層12Hに用いるシート材としては、特に限定無く使用できるが不織布が好ましく、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維や、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などからなる不織布を使用することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。不織布を用いる場合、その目付けは10~30g/m2程度とするのが好ましい。
【0117】
(伸縮領域・非伸縮領域)
外装体12F,12Bには、装着者の胴周りに対するフィット性を高めるために、外側シート層12S及び内側シート層12H間に弾性部材15~19が設けられ、弾性部材の伸縮を伴って幅方向WDに弾性伸縮する伸縮領域A2が形成されている。この伸縮領域A2では、自然長の状態では外側シート層12S及び内側シート層12Hが弾性部材の収縮に伴って収縮し、皺又は襞が形成されており、弾性部材の長手方向に伸長すると、外側シート層12S及び内側シート層12Hが皺なく伸び切る所定の伸長率まで伸長が可能である。弾性部材15~19としては、糸ゴム等の細長状の弾性部材(図示例)のほか、帯状、網状、フィルム状等、公知の弾性部材を特に限定なく用いることができる。弾性部材15~19としては合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。
【0118】
外装体12F,12Bにおける外側シート層12S及び内側シート層12Hの貼り合わせや、その間に挟まれる弾性部材15~19の固定には、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による固定手段の少なくとも一方を用いることができる。外装体12F,12B全面を強固に固定すると柔軟性を損ねるため、弾性部材15~19の接着部以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。図示例では、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段により弾性部材15~19の外周面にのみホットメルト接着剤を塗布して両シート層12S,12H間に挟むことにより、当該弾性部材15~19の外周面に塗布したホットメルト接着剤のみで、両シート層12S,12Hへの弾性部材15~19の固定と、両シート層12S,12H間の固定とを行う構造となっている。弾性部材15~19は伸縮領域における伸縮方向の両端部のみ、外側シート層12S及び内側シート層12Hに固定することができる。
【0119】
図示例の弾性部材15~19についてより詳細に説明すると、外装体12F,12Bのウエスト部Wにおける外側シート層12S及び内側シート層12H間には、幅方向WDの全体にわたり連続するように、複数のウエスト部弾性部材17が前後方向に間隔を空けて取り付けられている。また、ウエスト部弾性部材17のうち、ウエスト下方部Uに隣接する領域に配設される1本又は複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。このウエスト部弾性部材17としては、太さ155~1880dtex、特に470~1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05~1.5mm2、特に0.1~1.0mm2程度)の糸ゴムを、4~12mmの間隔で3~22本程度設けるのが好ましく、これによるウエスト部Wの幅方向WDの伸長率は150~400%、特に220~320%程度であるのが好ましい。
【0120】
また、外装体12F,12Bのウエスト下方部Uにおける外側シート層12S及び内側シート層12H間には、細長状の弾性部材からなるウエスト下方部弾性部材15,19が複数本、前後方向に間隔を空けて取り付けられている。
【0121】
ウエスト下方部弾性部材15,19としては、太さ155~1880dtex、特に470~1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05~1.5mm2、特に0.1~1.0mm2程度)の糸ゴムを、1~15mm、特に3~8mmの間隔で5~30本程度設けるのが好ましく、これによるウエスト下方部Uの幅方向WDの伸長率は200~350%、特に240~300%程度であるのが好ましい。
【0122】
また、後側外装体12Bの臀部カバー部Cにおける外側シート層12S及び内側シート層12H間には、細長状の弾性部材からなるカバー部弾性部材16が取り付けられている。臀部カバー部Cはカバー部弾性部材16により幅方向WD中央側に収縮している。
【0123】
カバー部弾性部材16としては、太さ155~1880dtex、特に470~1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05~1.5mm2、特に0.1~1.0mm2程度)の糸ゴムを設けるのが好ましく、これによる臀部カバー部Cの幅方向WDの伸長率は150~400%、特に250~350%であるのが好ましい。カバー部弾性部材16の本数は適宜定めることができ、3~10本が好ましく、3~5本がより好ましく、3又は4本が特に好ましい。
【0124】
他方、前側外装体12Fに鼠径カバー部を設ける場合には、臀部カバー部Cと同様にカバー部弾性部材を設けることができる。
【0125】
図示例のウエスト下方部Uや臀部カバー部Cのように、吸収体56を有する前後方向範囲に弾性部材15,16,19を設ける場合には、その一部又は全部において吸収体56の幅方向WDの収縮を防止するために、吸収体56と幅方向WDに重なる部分の一部又は全部を含む幅方向中間(好ましくは内外接合部201,202の全体を含む)が非伸縮領域A1とされ、その幅方向両側が伸縮領域A2とされる。ウエスト部Wは幅方向WDの全体にわたり伸縮領域A2とされるのが好ましいが、ウエスト下方部Uと同様に、幅方向中間に非伸縮領域A1を設けても良い。
【0126】
このような伸縮領域A2及び非伸縮領域A1は、内側シート層12Hと、外側シート層12Sとの間に、弾性部材15~17,19を供給し、弾性部材15,16,19を伸縮領域A2における少なくとも伸縮方向の両端部でホットメルト接着剤を介して固定し、非伸縮領域A1となる領域では固定せず、非伸縮領域A1となる領域において、弾性部材15,16,19を加圧及び加熱により幅方向中間の1か所で切断するか、又は多数個所で細かく切断し、伸縮領域A2に伸縮性を残しつつ非伸縮領域A1では伸縮性を殺すことにより構築することができる。前者の場合、
図16に示すように、非伸縮領域A1には、伸縮領域A2の弾性部材15,16,19から連続する切断残部が不要弾性部材18として単独で自然長まで収縮した状態で、外側シート層12S及び内側シート層12H間に残ることとなり、後者の場合、図示しないが、伸縮領域A2の弾性部材15,16,19から連続する切断残部、及び両方の伸縮領域A2の弾性部材15,16,19と連続しない弾性部材の切断片が不要弾性部材として単独で自然長まで収縮した状態で、外側シート層12S及び内側シート層12H間に残ることになる。
【0127】
(カバー不織布)
外装二分割タイプのパンツタイプ使い捨ておむつでは、前側外装体12F及び後側外装体12Bとの間に内装体200が露出するため、内装体200の裏面に液不透過性シート11が露出しないように、前側外装体12Fと内装体200との間から、後側外装体12Bと内装体200との間にかけて、内装体200の裏面を覆うカバー不織布13を備えていることが好ましい。
【0128】
カバー不織布13に用いる不織布は、例えば外装体12F,12Bの素材と同様のものを適宜選択することができる等、繊維の種類や、繊維の結合(交絡)方法により特に限定されるものではないが、エアスルー不織布を用いることが望ましく、その場合の目付けは20~40g/m2、厚みは0.3~1.0mmであると好ましい。カバー不織布13としては、表裏に貫通する孔を有しない無孔不織布を用いても、また表裏に貫通する孔が間隔を空けて多数設けられた有孔不織布を用いてもよい。
【0129】
カバー不織布13の前後方向範囲は特に限定されず、
図14及び
図17に示すように、内装体200の前端から後端までの全体にわたり前後方向LDに延在していてもよく、
図8に示すように、前側外装体12Fと内装体200とが重なる領域の前後方向中間位置から後側外装体12Bと内装体200とが重なる領域の前後方向中間位置まで前後方向LDに延在していてもよい。また、
図19に示す例の場合、カバー不織布13と前側外装体12Fとの重なり部分の前後方向長さ13y、及びカバー不織布13と後側外装体12Bとの重なり部分の前後方向長さ13yは適宜定めることができるが、通常の場合それぞれ20~40mm程度とすることができる。
【0130】
カバー不織布13の幅方向範囲は、液不透過性シート11の裏面露出部分を隠しうる範囲とされる。このため、図示例では、左右の起き上がりギャザー60の基端の間に液不透過性シート11が露出するため、少なくとも一方の起き上がりギャザー60の基端部の裏側から他方の起き上がりギャザー60の基端部の裏側までの幅方向範囲を覆うようにカバー不織布13が設けられている。これにより、液不透過性シート11をカバー不織布13と起き上がりギャザー60のギャザー不織布62とで隠蔽することができる。また、カバー不織布13の幅方向両端部が起き上がりギャザー60の基端部の裏側を覆うのではなく、ギャザー不織布62がカバー不織布13の幅方向両端部の裏側を覆うようにしても、カバー不織布13とギャザー不織布62とで液不透過性シート11を隠蔽することは可能である。この場合、カバー不織布13の両側部がギャザー不織布62により覆われるため、カバー不織布13の両側部が液不透過性シート11から剥がれにくくなるという利点がある。
【0131】
カバー不織布13の内面及び外面は、それぞれ対向面にホットメルト接着剤を介して接着することができる。カバー不織布13の固定領域は、カバー不織布13の前後方向全体及び幅方向全体とするほか、一部を非固定とすることもできる。例えばカバー不織布13の幅方向両端部が非固定であると、起き上がりギャザー60の影響で吸収体56の側部がいくらか収縮した状態でもその影響を受けにくくなり、カバー不織布13に皺や折れが形成されにくいという利点がもたらされる。この場合におけるカバー不織布13の幅方向両端部の非固定部分の幅は適宜定めればよいが、例えば3~10mm、好ましくは5~8mmとすることができる。
【0132】
(内外接合部)
内装体200の外装体12F,12Bに対する固定は、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により行うことができる。図示例では、内装体200の裏面、つまりこの場合は液不透過性シート11の裏面及び起き上がりギャザー60の付根部分65に塗布されたホットメルト接着剤を介して外装体12F,12Bの内面に対して固定されている。この内装体200と外装体12F,12Bとを固定する内外接合部201,202は、
図14に示すように、両者が重なる領域のほぼ全体に設けることができ、例えば内装体200の幅方向両端部を除いた部分に設けることもできる。
【0133】
(ICタグ・センサ担体)
前述した排泄検出システムに用いるために、本パンツタイプ使い捨ておむつにはICタグ120が設けられる。ICタグ120は前述の排泄検出システムのICタグ120a~120cに相当するものであり、その詳細は前述したとおりである。
【0134】
特徴的には、本パンツタイプ使い捨ておむつでは、トップシート30と液不透過性シート11との間に位置する内蔵部分171を有するセンサ担体170を有しており、ICタグ120は、このセンサ担体170の内蔵部分171に設けられている。ICタグ120の電波の遮蔽をより確実なものとするため、及び装着時の違和感を防止するためには、センサ担体及びICタグは、図示例のように、吸収要素50の裏面と液不透過性シート11との間に配置されていると好ましいが、これに限定されるものではない。よって、図示しないが、センサ担体170及びICタグ120はトップシート30と中間シート40との間や、中間シート40と吸収要素50との間、吸収体56と包装シート58との間に設けたり、吸収体56又は吸収要素50を複数積層するとともに、その層間にセンサ担体170及びICタグ120を配置することもできる。
【0135】
さらに、センサ担体170は、
図23に示すようにICタグ120が設けられた部分から延びる引き出し部172を有しており、
図20に示すように引き出し部172はおむつ外部に引き出し可能となっている。よって、使用者は引き出し部172を引き出すことにより、センサ担体170がICタグ120とともに移動し、ICタグ120の位置、つまり排泄検出位置を調節することができる。ICタグ120の位置調節範囲は特に限定されないが、
図20に示す例のように、腹側、股間部、背側等のように前後方向LDに異なる個所に段階的又は無段階に調節可能であることが望ましい。
【0136】
引き出し部172をおむつ外部に引き出すための引き出し口173は、トップシート30及び液不透過性シート11の間に通じる限り、どこに設けられていてもよいが、吸収体56を有する領域よりも外側に設けられていることが望ましい。また、この場合、
図24に示すように、トップシート30等に切れ目を入れて引き出し口173を形成してもよいが、
図17及び
図20に示す示例の内装体200の前後端部のように、センサ担体170の上下に隣接する部材(図示例では包装シート58と液不透過性シート11)の縁が外部に露出する場合には、この縁部に非接着部を設けて引き出し口173を形成してもよい。なお、
図24に示す例は、後身頃Bの両側部に設けられた連結テープ14を前身頃Fの外面に連結することにより装着するテープタイプ使い捨ておむつへの適用例である。
【0137】
また、センサ担体170の上下に隣接する部材(図示例では包装シート58と液不透過性シート11)は、センサ担体170及びICタグ120の通過部分では接合されておらず、この非接合部分が引き出し口173まで続く通路となっている。特に、センサ担体170が吸収体56と液不透過性シート11との間に介在されている場合、
図21及び
図22に示すように、センサ担体170の直上に、上方に窪む溝状の移動スペース174が前後方向LDに延びていると、センサ担体170の移動が容易となるとともに、ICタグ120に対して排泄液体が供給されやすくなり、検出感度が向上するため好ましい。このような溝状の移動スペース174は、
図21に示すように、吸収体56に厚み方向に貫通するスリット56Sを設け、包装シート58における吸収体56の裏側に位置する部分をスリット56S内に押し上げ、包装シート58における吸収体56の表側に位置する部分にホットメルト接着剤等で接合することによって形成することができる。また、このような溝状の移動スペース174は、
図22に示すように、エンボス加工により吸収要素50裏側から加圧して凹部50Uを形成することにより設けることもできる。移動スペース174の形状・寸法は、センサ担体170及びICタグ120が通過しうる限り特に限定されるものではないが、通常の場合、断面形状は横長のほぼ長方形であることが好ましく、また移動スペース174の全長(例えば吸収体56の全長)にわたり同一の断面形状であることが好ましい。具体的な寸法としては、移動スペース174の幅方向寸法は5~20mm程度、移動スペース174の厚み方向寸法は4~10mm程度とすることができる。
【0138】
引き出し部172の引き出し方向、つまりICタグ120の移動方向は、排泄検出位置の調節範囲を考慮して適宜定めればよい。前述のように、ICタグ120は腹側、股間部、背側等のように前後方向LDに異なる複数個所に調節可能であることが望ましいため、引き出し方向は図示例のように前後方向LDとすることが好ましい。
【0139】
引き出し部172は、
図13及び
図17に示すようにその全体が内蔵部分171となっていると製造が容易である。特に、引き出し部172の引き出し方向が前後方向LDである場合、センサ担体170の前後方向寸法を内装体200の前後方向寸法と同一とすることにより、内装体200となる部分が前後方向LDに繰り返す連続体を製造した後、個々の内装体200に切断する一般的な製造方法を採用しやすい。しかしこの場合、引き出し部172の全体が内蔵部分171となるため、引き出し部172を摘まみにくい問題がある。よって、
図24に示す例のように、引き出し部172における引き出し方向の端部(図示例のように後述するコード印刷部112を有する場合にはコード印刷部112全体)が予めおむつ外部に露出していると、引き出し時に摘まみやすいため好ましい。
【0140】
センサ担体170の引き出し方向の寸法170Lは、ICタグ120の寸法と、引き出し部172の寸法とを考慮して定めることができる。また、引き出し部172の引き出し方向の寸法は、排泄検出位置の調節範囲以上であれば、適宜定めることができる。図示例のようにセンサ担体170を前後方向LDに移動させる場合、センサ担体170の前後方向の寸法170Lは、内装体200の全長の2/3~1倍程度とすることにより、
図20に示す例のように臀部から腹部までICタグ120を移動させることができる。
【0141】
センサ担体170の素材、形状は特に限定されない。センサ担体170の素材は、プラスチックフィルム、不織布、織布などからなり、可撓性に富むとともに、伸縮性が低く、引き出し時に破断しないある程度の引張強度を備えたものが好ましい。また、センサ担体170の形状は、引き出し抵抗や、製造容易性等を総合的に考慮すると、長手方向が引き出し方向となる等幅の帯状体であると好ましい。
【0142】
センサ担体170の幅170W(引き出し方向と直交する方向の寸法)は、特に限定されないが、通常の場合5~20mm程度とすることができる。また、センサ担体170の引張強度としては、15N/50mm以上であることが望ましい。このため、センサ担体170に用いる不織布としては、例えば目付けが10~60g/m2のものを用いることができる。一方、センサ担体170に用いるフィルムとしては、例えば厚みが30~80μmのものを用いることができる。
【0143】
センサ担体170の引き出し部172は、使い捨ておむつの外部に引き出した部分の一部又は全部を切り離すためのミシン目175を有していると好ましい。このようなミシン目175を有していることにより、使用時に、使い捨ておむつの外部に引き出した部分の一部又は全部を切り離すことができ、不必要な部分が邪魔になりにくいものとなる。ミシン目175は、一か所でもよいが、引き出し方向に2~5cm程度の間隔を空けて複数個所設けると、より好ましい。
【0144】
ICタグ120は、センサ担体170の内蔵部分171上に接着剤等により固定するほか、センサ担体170をICタグ120の基材として利用することにより、センサ担体170に設けることもできる。
【0145】
ICタグ120の寸法は特に限定されないが、例えば幅10~20mm程度、長さ35~80mm程度、厚み、60~1000μm程度のものを用いることができる。
【0146】
(コード印刷部)
前述した排泄検出システムの第1の例や第3の例で用いる使い捨ておむつ110a~110c,210a~210cとして、本パンツタイプ使い捨ておむつを用いる場合、ICタグ120の固有情報を含む一次元又は二次元コードが印刷されたコード印刷部112~114を有することが望ましい。このコード印刷部112~114の一次元又は二次元コードは光学的に読み取り可能とされる。
【0147】
二次元コードとしては、正方形や円形のモジュール(単位セル)を二次元方向に配列したマトリックス型のもの、例えばQRコード(登録商標)等と、バーとスペースからなるモジュールの一次元配列からなる一次元コードを複数配列したスタック型ものとがあるが、いずれを用いても良く、コードの種類は特に限定されない。二次元コードに代えて又はこれとともに一次元コードを用いることもできる。一次元又は二次元コードのモジュール配列方向(一次元コードの場合は一方向、二次元コードの場合は直交二方向)の寸法は適宜定めることができるが、0.2mm以上、特に0.20~0.25mmであることが好ましい。これら一次元又は二次元コードは、当該おむつが内蔵するICタグの固有情報を含む限り、付加的に、製品情報(仕様、価格、使用期限、取扱説明、製造ロット番号等)や、その商品又は他の商品に関する広告情報(広告メッセージそのもの、広告ウェブサイトのURL等)、あるいは音楽再生、動画再生、ゲーム実行等のためのURL情報等、他の情報を含んでいてもよい。
【0148】
コード印刷部112~114は、使用者が読取装置140を用いて読取可能である限り、使い捨ておむつのどこに設けてもよいが、センサ担体170の引き出し部172に設けるのは一つの好ましい形態である。センサ担体170の引き出し部172は、おむつ外部に露出することが可能な部分であり、コード印刷部112~114のコード読み取りが容易である。
【0149】
コード印刷部112~114は、センサ担体170に直接印刷されていてもよいが、
図23に示すようにセンサ担体170の引き出し部172に剥離可能に貼り付けられた粘着シール176に印刷されていると、コード印刷部112~114を剥がし、廃棄したり、他の物に貼り付けたりすることができるため好ましい。例えば病院等では、使い捨ておむつから剥がした、コード印刷部112~114を有する粘着シール176を、カルテ等の記録用紙に貼り付け、使用者とICタグ120との紐づけを容易に記録することができる。
【0150】
コード印刷部112~114は1か所に設けてもよいが、複数個所に設けることができる。特に、
図13、
図17、
図20、
図23に示すように、コード印刷部112~114は、引き出し部172の引き出し方向に間隔を空けて複数設けられており、各コード印刷部112~114の一次元又は二次元コードは、各コード印刷部112~114とICタグ120との離間距離と対応して定められたICタグ設置位置情報を含むものは好ましい。この場合、複数あるコード印刷部112~114からICタグ120の設置位置に応じて読み取るコード印刷部112~114を選択することにより、前述の排泄検出システムにおいて、ICタグ120と吸収性物品又はその装着者との対応付けだけでなく、ICタグ120の調節後の設置位置と装着者との対応付けまで容易に行うことができる。
【0151】
特に、前述のように、コード印刷部112~114が粘着シール176に設けられている場合、読み取りに利用したコード印刷部112~114のみ剥がしたり、反対に、読み取りに利用しないコード印刷部112~114を剥がしたりすることにより、読み取り間違い等を防止できる。
【0152】
また、前述のように引き出し部172にミシン目175を設ける場合、各コード印刷部112~114のICタグ120側にミシン目175を設けることにより、読み取りに利用したコード印刷部112~114を切り離したり、反対に、読み取りに利用しないコード印刷部112~114を切り離したりすることができ、読み取り間違い等を防止できる。
【0153】
ICタグ設置位置情報は、引き出し口173等の基準位置からの距離としたり、背側、腹側、股間部等の大まかな身体部位としたりすることができる。つまり、センサ担体170の引き出し部172を引き出し、ICタグ120の位置を調節したとき、引き出し口173等の基準位置に最も近いコード印刷部112~114の一次元又は二次元コードが、そのICタグ120の位置に関する距離や身体部位の名称等の情報を含むように、センサ担体170における各コード印刷部112~114の位置と、そこに印刷される一次元又は二次元コードを定めることができる。例えば、
図20の例において、コード印刷部112のコードは「背側」というICタグ設置位置情報、コード印刷部113のコードは「股間部」というICタグ設置位置情報、コード印刷部114のコードは「腹側」というICタグ設置位置情報をそれぞれ含むものとすることができる。これにより、使用者は、センサ担体170の引き出し部172を引き出した後、引き出し口173等の基準位置に最も近いコード印刷部112~114の読み取りを行うだけで、内蔵するICタグ120の固有番号等の固有情報だけでなく、ICタグ120の設置位置情報を読み取ることができる。
【0154】
また、
図25に示すように、液不透過性シート11又はこれよりも裏側の部材(図示例では外装体12F,12B)に、ICタグ設置位置を表す第1識別表示177が、引き出し部172の引き出し方向に間隔を空けて複数設けられており、これら第1識別表示177は使い捨ておむつの裏側から視認可能であり、一方、引き出し部172にも、第1識別表示177と同一の又は対応する第2識別表示178が、引き出し方向に間隔を空けて複数設けられており、ICタグ120が第1識別表示177により表示される各ICタグ設置位置に位置するときに、引き出し部172における引き出し口173から突出する部分に、第1識別表示177と同一の又は対応する第2識別表示178が露出するようになっているのは好ましい。これにより、第2識別表示178を見ることにより、同一の又は対応する第1識別表示177により特定される位置又はその付近に、ICタグ120が位置していることを知ることができ、使い捨ておむつの内部に位置するICタグ120の位置を容易に把握することができる。また、第2識別表示178は、各コード印刷部112~114と同一又は対応する位置に設けられているのも好ましい。これにより、使い捨ておむつにおけるICタグ設置位置と、読み取るべきコード印刷部112~114との対応関係を視覚的に把握することができ、コード印刷部112~114が複数ある場合にもコードの読み取りが容易となる。使い捨ておむつ側に設ける第1識別表示177、及びセンサ担体170に設ける第2識別表示178は、互いの対応が視覚的に理解であるものであれば特に限定されず、両識別表示として同じ文字や同じ数字を用いたり、これとともに又はこれに代えて同じ色や同じ図形(図示例)を付したりすることができる。
【0155】
他方、ICタグ120は、1つの使い捨ておむつに一つ設ける他、1つの使い捨ておむつに、異なる固有情報を有する複数のICタグ120を、前後方向LDに間隔を空けて(又は空けないで)配置したり、これに代えて又はこれとともに、幅方向WDに間隔を空けて(又は空けないで)配置したりすることもできる。この場合、前述の排泄検出システムにより、排泄の有無の検出に加え、吸収の程度や吸収位置を検出可能となる。また、この場合、この場合、複数のICタグ120をすべてセンサ担体170に設ける他、一部のICタグ120をセンサ担体170以外の、移動しない部材に取り付けることもできる
【0156】
<明細書中の用語の説明>
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
【0157】
・「前後(縦)方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味する。
【0158】
・「表側」とはパンツタイプ使い捨ておむつを着用した際に着用者の肌に近い方を意味し、「裏側」とはパンツタイプ使い捨ておむつを着用した際に着用者の肌から遠い方を意味する。
【0159】
・「表面」とは部材の、パンツタイプ使い捨ておむつを着用した際に着用者の肌に近い方の面を意味し、「裏面」とはパンツタイプ使い捨ておむつを着用した際に着用者の肌から遠い方の面を意味する。
【0160】
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。
【0161】
・「ゲル強度」は次のようにして測定されるものである。人工尿(尿素:2wt%、塩化ナトリウム:0.8wt%、塩化カルシウム二水和物:0.03wt%、硫酸マグネシウム七水和物:0.08wt%、及びイオン交換水:97.09wt%を混合したもの)49.0gに、高吸収性ポリマーを1.0g加え、スターラーで攪拌させる。生成したゲルを40℃×60%RHの恒温恒湿槽内に3時間放置したあと常温にもどし、カードメーター(I.techno Engineering社製:Curdmeter-MAX ME-500)でゲル強度を測定する。
【0162】
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を温度100℃の環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から、試料採取用の型板(100mm×100mm)を使用し、100mm×100mmの寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、100倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
【0163】
・「厚み」は、自動厚み測定器(KES-G5 ハンディ圧縮計測プログラム)を用い、荷重:0.098N/cm2、及び加圧面積:2cm2の条件下で自動測定する。
【0164】
・吸水量は、JIS K7223-1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」によって測定する。
【0165】
・吸水速度は、2gの高吸収性ポリマー及び50gの生理食塩水を使用して、JIS K7224‐1996「高吸水性樹脂の吸水速度試験法」を行ったときの「終点までの時間」とする。
【0166】
・「展開状態」とは、収縮や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
【0167】
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
【0168】
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内で行うものとする。
【産業上の利用可能性】
【0169】
本発明は、上記例のようなパンツタイプ使い捨ておむつや、テープタイプ使い捨ておむつの他、パッドタイプ使い捨ておむつ等、使い捨ておむつ全般に適用できるものであり、また、生理用ナプキン等の他の吸収性物品にも適用できることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0170】
11…液不透過性シート、12A…サイドシール部、12B…後側外装体、12E…ウエスト延出部分、12F…前側外装体、12H…内側シート層、12S…外側シート層、13…カバー不織布、16…カバー部弾性部材、17…ウエスト部弾性部材、18…不要弾性部材、200…内装体、201,202…内外接合部、30…トップシート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…起き上がりギャザー、60A…先端側部分、60B…付け根側部分、62…ギャザー不織布、67…倒伏部分、68…自由部分、A1…非伸縮領域、A2…伸縮領域、C…臀部カバー部、L…中間領域、LD…前後方向、T…胴周り領域、U…ウエスト下方部、W…ウエスト部、WD…幅方向、WO…ウエスト開口、LO…脚開口、110a~110c,210a~210c…使い捨ておむつ、111a~111c…二次元コード、112~114…コード印刷部、120,120a~120c…ICタグ、121a~121C…アンテナ部、122a~122c…ICチップ、140…読取装置、141a~141c…アンテナ部、142…通信部、143…制御部、150…スマートフォン、151…カメラ、152…通信部、153…スピーカー、154…タッチパネル式液晶画面、155…制御部、160…アプリケーション、161…初期画面、170…センサ担体、171…内蔵部分、172…引き出し部、173…引き出し口、174…移動スペース、175…ミシン目、176…粘着シール、177…第1識別表示、178…第2識別表示、240a~240c…通知機能付読取装置、241a~241c…アンテナ部、242a~242c…スピーカー、243a~243c…LED点灯部、1611…使い捨ておむつ装着者登録ボタン、1612…登録者管理ボタン、1613…設定変更ボタン、1614…検出開始/終了ボタン、RW1…第一電波、RW2…第二電波、RW3…第三電波。