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  • 特許-製品廃材分離装置及び製品廃材分離方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】製品廃材分離装置及び製品廃材分離方法
(51)【国際特許分類】
   B26D 7/18 20060101AFI20220118BHJP
   B26F 1/40 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
B26D7/18 F
B26F1/40 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017186082
(22)【出願日】2017-09-27
(65)【公開番号】P2019058987
(43)【公開日】2019-04-18
【審査請求日】2020-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】312014915
【氏名又は名称】富士商工マシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴之
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-32739(JP,A)
【文献】国際公開第2010/044463(WO,A1)
【文献】特開2011-079083(JP,A)
【文献】特開2005-340773(JP,A)
【文献】特開2013-151054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/18
B26F 1/38 - 1/40
B23K 26/00
G02F 1/1335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数層が積層されたフィルムにおける表面層に対して、複数の打抜き部の輪郭を構成するパターンを形成し、前記表面層から前記打抜き部を除去したフィルム製品を製造する製品廃材分離装置であって、
前記複数の打抜き部を、個別に前記フィルムにおける前記表面層よりも下側の下層にレーザーにより溶着させるレーザー溶接部と、
前記表面層に前記打抜き部を形成するための前記パターンに沿った形状を有する切断刃を有するプレス型と、
前記プレス型を前記フィルムに対して押圧するプレス機と、を備え
前記レーザー溶接部は、前記フィルムが搬送される方向において、前記プレス機よりも下流側に配置されている製品廃材分離装置。
【請求項2】
前記レーザー溶接部は、前記打抜き部の輪郭よりも内側の前記打抜き部の部分に対してレーザー照射することにより前記打抜き部を前記フィルムにおける下層に溶着させる請求項1に記載の製品廃材分離装置。
【請求項3】
複数層が積層されたフィルムにおける表面層に対して、複数の打抜き部の輪郭を構成するパターンを形成し、前記表面層から前記打抜き部を除去したフィルム製品を製造する製品廃材分離方法であって、
前記フィルムにおける表面層に、前記パターンに沿った形状を有する切断刃を有するプレス型を押圧するプレス工程と、
前記プレス工程の後に、各前記打抜き部を、個別に前記フィルムにおける前記表面層よりも下側の下層にレーザーにより溶着させるレーザー溶着工程と、を備える製品廃材分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層された複数のフィルムのうちの表面層に打抜き部を形成する製品廃材分離装置及び製品廃材分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、表面層であるロール状基材を、下層である粘着フィルムに重ね合わせて、ロール状基材から抜きかすを分離して粘着フィルムに付着させた状態として、ロール状基材を製品として巻き取る装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。ロール状基材には、微細模様が打ち抜きで形成され、打ち抜きにより生じる打抜き部である抜きかすは、粘着フィルムに付着した状態とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-151054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記公報記載の装置では、粘着フィルムに抜きかすを付着させてロール状基材から分離していたが、全ての抜きかすを完全に粘着フィルムに付着させて、ロール状基材から分離させることは困難であった。
【0005】
本発明は、全ての打抜き部を下層に付着させて、表面層から分離させることが可能な製品廃材分離装置、及び、製品廃材分離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数層が積層されたフィルム(例えば、後述のフィルム9)における表面層(例えば、後述の表面層91)に対して、複数の打抜き部(例えば、後述の打抜き部911)の輪郭を構成するパターン(例えば、後述のパターン912)を形成し、前記表面層から前記打抜き部を除去したフィルム製品を製造する製品廃材分離装置(例えば、後述の製品廃材分離装置1)であって、前記複数の打抜き部を、個別に前記フィルムにおける前記表面層よりも下側の下層にレーザーにより溶着させるレーザー溶接部(例えば、後述のレーザー溶接部40)と、前記表面層に前記打抜き部を形成するための前記パターンに沿った形状を有する切断刃(例えば、後述の切断刃22)を有するプレス型(例えば、後述のプレス型21)と、前記プレス型を前記フィルムに対して押圧するプレス機(例えば、後述のプレス機20)と、を備える製品廃材分離装置に関する。
【0007】
前記レーザー溶接部は、前記フィルムが搬送される方向において、前記プレス機よりも下流側に配置されていることが好ましい。また、前記レーザー溶接部は、前記フィルムが搬送される方向において、前記プレス機よりも上流側に配置されていることが好ましい。また、前記レーザー溶接部は、前記打抜き部の輪郭よりも内側の前記打抜き部の部分に対してレーザー照射することにより前記打抜き部を前記フィルムにおける下層に溶着させることが好ましい。
【0008】
また、本発明は、複数層が積層されたフィルム(例えば、後述のフィルム9)における表面層(例えば、後述の表面層91)に対して、複数の打抜き部(例えば、後述の打抜き部911)の輪郭を構成するパターン(例えば、後述のパターン912)を形成し、前記表面層から前記打抜き部を除去したフィルム製品を製造する製品廃材分離方法であって、前記フィルムにおける表面層に、前記パターンに沿った形状を有する切断刃(例えば、後述の切断刃22)を有するプレス型(例えば、後述のプレス型21)を押圧するプレス工程と、前記プレス工程の後に、各前記打抜き部を、個別に前記フィルムにおける前記表面層よりも下側の下層にレーザーにより溶着させるレーザー溶着工程と、を備える製品廃材分離方法に関する。
【0009】
また、本発明は、複数層が積層されたフィルム(例えば、後述のフィルム9)における表面層(例えば、後述の表面層91)に対して、複数の打抜き部(例えば、後述の打抜き部911)の輪郭を構成するパターン(例えば、後述のパターン912)を形成し、前記表面層から前記打抜き部を除去したフィルム製品を製造する製品廃材分離方法であって、各前記打抜き部となる部分を、個別に前記フィルムにおける前記表面層よりも下側の下層にレーザーにより溶着させるレーザー溶着工程と、前記フィルムにおける表面層に、前記パターンに沿った形状を有する切断刃を有するプレス型(例えば、後述のプレス型21)を押圧するプレス工程と、を備える製品廃材分離方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、全ての打抜き部を下層に付着させて、表面層から分離させることが可能な製品廃材分離装置、及び、製品廃材分離方法を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態による製品廃材分離装置1を示す模式図である。
図2】本発明の第1実施形態による製品廃材分離方法においてプレス工程及びレーザー溶着工程を経た後のフィルム9を示す説明図である。
図3】本発明の第1実施形態による製品廃材分離方法において表面層91から分離された下層92を示す説明図である。
図4】本発明の第1実施形態による製品廃材分離方法において下層92から分離された表面層91を示す説明図である。
図5】本発明の第2実施形態による製品廃材分離装置1Aを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態による製品廃材分離装置1を示す模式図である。
製品廃材分離装置1は、フレキシブル基板等の電子部品を製造するためのものであり、より具体的には、複数層が積層されたフィルム9における表面層91に対して、複数の打抜き部911の輪郭を構成するパターン912を形成し、表面層91から打抜き部911を除去したフィルム製品を製造するためのものである。
【0013】
図1に示すように製品廃材分離装置1は、上流側搬送ロール10と、プレス機20と、CCDカメラ30と、レーザー溶接部40と、下流側搬送ロール50と、制御部60と、を含むように構成される。
【0014】
上流側搬送ロール10は、回転軸が平行な位置関係を有する一対のローラ11により構成されている。上流側搬送ロール10は、一対のローラ11の間において、巻かれた状態から繰り出された基材であるポリイミドのフィルムを表面層91(上層)とし、PETに粘着剤が塗布された粘着フィルムを下層92として貼り合わせられて積層された状態のフィルム9を搬送する。
【0015】
プレス機20は、プレス型21を備えている。プレス型21は、表面層91に打抜き部911を形成するためのパターン912に沿った形状を有する切断刃22を有している。具体的には、パターン912は、図2に示すように、楕円形状を有しており、このようなパターン912に沿った形状である楕円形状の切断刃22を有している。プレス型21は、プレス機20によってフィルム9に対して、フィルム9の上側から接近し、フィルム9の上側へ離間するように構成されている。プレス機20によってプレス型21がフィルム9に接近してゆき、フィルム9を押圧することにより、フィルム9における表面層91にパターン912が形成され打抜き部911が形成される。
【0016】
CCDカメラ30は、フィルム9が搬送される方向において、フィルム9における表面層91に一定の間隔で予め形成されたアラインメントマークを読み取る。アラインメントマークは、複数のパターン912に対して一対一対応で形成されており、CCDカメラ30によりアラインメントマークが読み取られ、アラインメントマークとレーザー溶接部40との位置関係が適切な位置関係となることが認識されることにより、レーザー溶接部40は、後述のように、レーザーを打抜き部911に対して照射する。
【0017】
レーザー溶接部40は、フィルム9が搬送される方向において、プレス機20よりも下流側に配置されている。レーザー溶接部40は、YAGレーザー又はCOレーザーを照射可能なレーザー照射器を備えている。レーザー溶接部40は、レーザーを打抜き部911に対して照射する。レーザーが照射される位置は、打抜き部911の輪郭よりも内側の打抜き部911の部分である。具体的には、レーザーが照射される位置は、打抜き部911の中央又は、その近傍である。レーザーは、点(ドット)で照射される。これにより打抜き部911は、フィルム9における下層92に溶着される。
【0018】
下流側搬送ロール50は、回転軸が平行な位置関係を有する一対のローラ51により構成されている。下流側搬送ロール50は、パターン912が形成され打抜き部911が形成され、且つ、レーザーにより打抜き部911が下層92に溶着した状態のフィルム9を、一対のローラ51の間において搬送する。フィルム9が搬送される方向における下流側搬送ロール50の下流側では、表面層91が下層92から分離され、巻き取られて製品とされる。
【0019】
制御部60は、製品廃材分離装置1の各種の制御を行うコンピュータである。制御部60によってフィルム9の搬送速度の調整、搬送中のフィルム9に付与される張力管理、レーザー溶接部40によるレーザー照射、プレス機20によるパターン912の形成等が実行される。また、制御部60は、CCDカメラ30によりアラインメントマークを読み取ることにより、レーザー溶接部40によりレーザー照射する適切な位置にフィルム9が配置されたことを認識し、フィルム9に対してレーザー照射を行うように、レーザー溶接部40に対して制御を行う。
【0020】
次に、製品廃材分離装置1を用いて行われる製品廃材分離方法による、表面層91からの打抜き部911の分離の動作について説明する。図2は、本発明の第1実施形態による製品廃材分離方法においてプレス工程及びレーザー溶着工程を経た後のフィルム9を示す説明図である。図3は、本発明の第1実施形態による製品廃材分離方法において表面層91から分離された下層92を示す説明図である。図4は、本発明の第1実施形態による製品廃材分離方法において下層92から分離された表面層91を示す説明図である。
【0021】
先ず、巻かれた状態から繰り出された基材であるポリイミドのフィルム9を表面層91とし、PETに粘着剤が塗布された粘着フィルム9を下層92として、積層された状態のフィルム9が、一対の上流側搬送ロール10の間を通される。
【0022】
次に、プレス工程を行う。プレス工程では、プレス機20の切断刃22によって、表面層91に対してパターン912を形成することにより、表面層91において打抜き部911を形成する。具体的には、プレス機20のプレス型21をフィルム9に接近させてゆき、プレス型21の切断刃22によってフィルム9を押圧することにより、フィルム9における表面層91にパターン912が形成され打抜き部911が形成される。フィルム9の表面層91においては、フィルム9が搬送される方向において、一定の間隔でパターン912が形成され打抜き部911が形成される。そしてパターン912が形成された後には、プレス機20によってプレス型21がフィルム9に対して離間する。
【0023】
次に、レーザー溶着工程を行う。レーザー溶着工程では、各打抜き部911を、個別にフィルム9における表面層91よりも下側の下層92に、レーザーにより溶着させる。具体的には、CCDカメラ30により、フィルム9の表面層91に、フィルム9が搬送される方向において、一定の間隔で予め形成されたアラインメントマークを読み取る。これにより、制御部60は、レーザー溶接部40に対してアラインメントマークが所定の位置にあること,即ち、レーザー溶接部40が、打抜き部911の輪郭よりも内側の打抜き部911の部分の所定の位置に対向していることを認識する。
【0024】
そして、制御部60は、レーザー溶接部40に対して、レーザー溶接部40が当該所定の位置に対してレーザー照射を行うように制御を行う。このレーザー溶着工程により、図2に示すように、複数層が積層されたフィルム9における表面層91に、複数の打抜き部911の輪郭を構成するパターン912が形成され、且つ、打抜き部911の中央には、点(ドット)で照射されたレーザーによる、下層92と表面層91とが溶着された点状の溶着部913が生成される。
【0025】
次に、パターン912が形成され、且つ、溶着部913が生成されたフィルム9が、一対の下流側搬送ロール50の間を通される。その後、表面層91から下層92が引き剥がされて分離し、打抜き部911が下層92に溶着していることにより表面層91から1つ残らず除去された図4に示すような製品として、表面層91が巻き取られる。下層92においては、図3に示すように、打抜き部911が下層92に溶着した状態となっており、下層92は、廃材として廃棄される。
【0026】
上記構成の実施形態による、製品廃材分離装置1によれば、以下のような効果を得ることができる。
上述のように、本実施形態における製品廃材分離装置1は、複数層が積層されたフィルム9における表面層91に対して、複数の打抜き部911の輪郭を構成するパターン912を形成し、表面層91から打抜き部911を除去したフィルム製品を製造する製品廃材分離装置1であって、複数の打抜き部911を、個別にフィルム9における表面層91よりも下側の下層92にレーザーにより溶着させるレーザー溶接部40と、表面層91に打抜き部911を形成するためのパターン912に沿った形状を有する切断刃22を有するプレス型21と、プレス型21をフィルム9に対して押圧するプレス機20と、を備える。
【0027】
この構成により、複数の打抜き部911を、個別にフィルム9における表面層91よりも下側の下層92にレーザーにより溶着させるため、打抜き部911を確実にフィルム9の下層92に固着させることが可能となる。この結果、打抜き部911が、製品となる表面層91の側に残ってしまうことを、確実に防止することが可能となる。
【0028】
また、レーザー溶接部40は、フィルム9が搬送される方向において、プレス機20よりも下流側に配置されている。また、本実施形態における製品廃材分離方法では、フィルム9における表面層91に、パターン912に沿った形状を有する切断刃22を有するプレス型21を押圧するプレス工程の後に、各打抜き部911を、個別にフィルム9における表面層91よりも下側の下層92にレーザーにより溶着させるレーザー溶着工程を行う。
【0029】
この構成により、レーザー溶接部40によるレーザー照射によってフィルム9が熱により歪む前に、プレス機20によりパターン912を形成することが可能となる。このため、表面層91により構成される製品の精度を高く維持することが容易となる。
【0030】
また、レーザー溶接部40は、打抜き部911の輪郭よりも内側の打抜き部911の部分に対してレーザー照射することにより打抜き部911をフィルム9における下層92に溶着させる。この構成により、打抜き部911を確実に下層92に溶着させることが可能となる。
【0031】
次に、本発明の他の実施形態である第2実施形態について、図5を参照しながら説明する。図5は、本発明の第2実施形態による製品廃材分離装置1Aを示す模式図である。
第2実施形態においては、フィルム9が搬送される方向におけるプレス機20及び上流側搬送ロール10の上流側に、レーザー溶接部40が配置されている点と、CCDカメラ30Aは、プレス機20とアラインメントマークとの位置関係を認識するために、アラインメントマークを読み取る点と、において、第1実施形態における製品廃材分離装置1とは異なる。このため、レーザー溶着工程を行った後にプレス工程を行う点で、第1実施形態における製品廃材分離方法とは異なる。第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を用いて図示し、説明を省略する。
【0032】
製品廃材分離装置1Aにおいては、図5に示すように、上流側搬送ロール10の上流側に、レーザー溶接部40が配置されている。
【0033】
レーザー溶接部40は、打抜き部911となる部分に対してレーザー照射する。レーザーが照射される位置は、上流側搬送ロール10の下流側に配置されたプレス機20により形成される打抜き部911となる部分の輪郭よりも内側の打抜き部911の部分である。より具体的には、レーザーが照射される位置は、打抜き部911となる部分の中央又は、その近傍である。
【0034】
CCDカメラ30Aは、フィルム9における表面層91に予め形成されたアラインメントマークを読み取る。アラインメントマークは、複数のパターン912に対して一対一対応で形成されており、CCDカメラ30Aによりアラインメントマークが読み取られ、アラインメントマークとプレス機20との位置関係が適切な位置関係となったことを制御部60Aが認識することにより、プレス機20がプレス型21を下降させて、切断刃22によりパターン912を形成するように、制御部60Aはプレス機20に対して制御を行う。
【0035】
次に、製品廃材分離装置1Aを用いて行われる製品廃材分離方法による、表面層91からの打抜き部911の分離の動作について説明する。
【0036】
先ず、巻かれた状態から繰り出された基材であるポリイミドのフィルム9を表面層91とし、PETに粘着剤が塗布された粘着フィルム9を下層92として、積層された状態のフィルム9が、搬送される。そして、レーザー溶着工程を行う。
【0037】
レーザー溶着工程では、上流側搬送ロール10の下流側におけるプレス機20によるプレス工程により各打抜き部911となる表面層91の部分を、個別にフィルム9における表面層91よりも下側の下層92にレーザーにより溶着させる。具体的には、レーザー溶接部40は、フィルム9の表面層91において、フィルム9が搬送される方向において、一定の間隔で溶着部913を形成する。このレーザー溶着工程により、複数層が積層されたフィルム9における表面層91の、複数の打抜き部911となる部分の中央には、点(ドット)で照射されたレーザーによる、下層92と表面層91とが溶着された点状の溶着部913が生成される。そして、溶着部913が生成されたフィルム9が、上流側搬送ロール10に通される。
【0038】
次に、プレス工程を行う。プレス工程では、プレス機20の切断刃22によって、表面層91に対してパターン912を形成することにより、表面層91において打抜き部911を形成する。具体的には、CCDカメラ30Aにより、フィルム9の表面層91に予め形成されたアラインメントマークを読み取る。これにより、制御部60Aは、プレス機20に対してアラインメントマークが所定の位置にあること,即ち、プレス機20の切断刃22で囲まれる領域が、レーザー溶接部40によって下層92と表面層91とが溶着された点状の溶着部913に対向していることを認識し、プレス機20に対して制御を行うことにより、プレス機20のプレス型21をフィルム9に接近させてゆき、プレス型21の切断刃22によって、フィルム9における溶着部913の周囲の部分を押圧することにより、フィルム9の表面層91にパターン912を形成して打抜き部911を形成する。
【0039】
そして、溶着部913及びパターン912が形成されたフィルム9が、下流側搬送ロール50を通され、表面層91が下層92から剥離されて製品とされる工程については、第1実施形態における製品廃材分離方法と同様である。
【0040】
上記構成の実施形態による、製品廃材分離装置1A、製品廃材分離方法によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0041】
上述のように、本実施形態における製品廃材分離装置1Aにおいては、レーザー溶接部40は、フィルム9が搬送される方向において、プレス機20よりも上流側に配置されている。
また、本実施形態における製品廃材分離方法においては、各打抜き部911となる部分を、個別にフィルム9における表面層91よりも下側の下層92にレーザーにより溶着させるレーザー溶着工程と、フィルム9における表面層91に、パターン912に沿った形状を有する切断刃22を有するプレス型21を押圧するプレス工程と、を備える。
【0042】
この構成により、プレス機20によってパターン912が形成される前にレーザー溶接部が生成され、プレス機20によってパターン912を形成する際に、確実に表面層91を下層92に溶着させることができるため、プレス機20によってフィルム9の表面層91にパターン912を形成した後にプレス型21及び切断刃22がフィルム9に対して離間する際に、打抜き部911が下層92から外れて飛散することを確実に抑えることが可能となる。
【0043】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、製品廃材分離装置、製品廃材分離方法における各構成は、本実施形態における製品廃材分離装置1、1A、製品廃材分離方法における各構成に限定されない。即ち、レーザー溶接部、プレス機の構成や、レーザー溶着工程、プレス工程の構成は、本実施形態におけるレーザー溶接部40、プレス機20の構成や、レーザー溶着工程、プレス工程の構成に限定されない。例えば、レーザー溶接部40は、YAGレーザー又はCO2レーザーを照射可能なレーザー照射器を備えていたが、これらに限定されない。ロール基材構成によってレーザー照射を下層面より行うこともある。いわゆるポリイミドのようなスーパーエンジニアリングプラスチックは、融点が高いため、融点が低い下層面からレーザー照射する場合のほうが有効であるためである。
また、レーザーが照射される位置は、打抜き部911の中央又は、その近傍であったが、これに限定されない。レーザー溶接部は、打抜き部の輪郭よりも内側の打抜き部の部分に対してレーザー照射すればよい。
【符号の説明】
【0044】
1、1A 製品廃材分離装置
9 フィルム
20 プレス機
21 プレス型
22 切断刃
40 レーザー溶接部
91 表面層
911 打抜き部
912 パターン
図1
図2
図3
図4
図5