(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】扉制御システム
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20220203BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20220203BHJP
E05B 47/00 20060101ALN20220203BHJP
【FI】
E05B49/00 J
G06K7/10 264
E05B47/00 J
(21)【出願番号】P 2017227017
(22)【出願日】2017-11-27
【審査請求日】2020-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】390037028
【氏名又は名称】美和ロック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】船守 進一
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-203066(JP,A)
【文献】特開2010-257313(JP,A)
【文献】特開2016-66196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 49/00
G06K 7/10
E05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯器から固有の識別情報を認証したときに、扉の施解錠又は開閉を制御する扉制御システムであって、
前記扉に対して部屋の一方側で、前記扉の表面又はその周囲の壁面に設けられ、前記扉の周囲の所定の範囲で無線通信可能に構成されていて、起動状態又はスリープ状態に切り換えられて動作し、前記起動状態の場合には、前記携帯器からの応答信号を受信する一方、前記スリープ状態の場合には、前記応答信号の受信を停止する読取装置と、
前記応答信号の前記識別情報が正当か否かを認証する認証部と、
前記応答信号を認証した場合に前記扉の施解錠又は開閉を制御する制御装置と、
前記扉に対して前記部屋の他方側で、前記扉の表面又はその周囲の壁面に設けられ、前記読取装置に対して無線通信によって起動信号を送信する起動装置と、を備え、
前記読取装置は、通常は前記スリープ状態に設定されていて、前記起動装置からの起動信号に応じて前記スリープ状態から前記起動状態に切り換えられ
、
前記起動装置は、利用者の操作に応じて起動信号の送信を開始する開始部を備えることを特徴とする扉制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯器の固有の識別情報を認証したときに、扉を制御する扉制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ホテルやオフィスビル等の商業施設又は公共施設の出入口や、集合住宅又は一般住宅のエントランスや玄関等では、その部屋又は領域への入退室又は入退場を制限するために、利用者の保持するリモコンやICカード等の携帯器に記憶された識別情報を認証したときに扉の電気錠を制御する電気錠システムや、識別情報を認証したときに扉の開閉を制御する自動ドアシステム等の扉制御システムが採用されている。
【0003】
扉制御システムは、携帯器から識別情報を読み取るリーダを扉又は扉の近傍に備え、リーダは、扉の近傍の携帯器に向けて応答要求信号を常時送信する。携帯器は、この応答要求信号に応答して固有の識別情報を含む応答信号をリーダへと送信する。例えば、扉制御システムとしての電気錠システムは、リーダが携帯器から読み取った識別情報を正当と認証した場合に、電気錠を解錠する。また、電気錠システムにおいて、解錠した電気錠は、所定時間経過後に自動的に、又は扉近傍に設けた施錠操作手段を操作することにより、施錠される。
【0004】
例えば、特許文献1に開示される錠制御システムでは、動き検出センサを備え、所定の応答要求無線信号を受信した際に動き検出センサからの動きの有無情報を含む応答無線信号を出力する携帯器と、携帯器に応答要求無線信号を出力し、携帯器からの応答無線信号に対する認証成立と動きあり信号の存在を条件に電気錠を解錠制御する錠制御装置とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の扉制御システムでは、リーダは、通常はスリープ状態であって、携帯器との通信が必要な場合のみ、起動状態に切り換えられるように構成されたものがある。携帯器との通信が必要な場合は、扉に対して外側及び内側のそれぞれの利用者の行動に起因して判断されるので、リーダは、同じ機能を有していても、扉に対して外側及び内側のそれぞれに備える必要がある。そのため、リーダの設備コストが上昇するおそれがある。また、扉制御システムでは、リーダは、電気錠や自動ドアの制御ユニットと通信可能に接続される必要がある。そのため、扉に対して外側及び内側のそれぞれにリーダを備えると、制御ユニットに対する配線が複雑化し、システムの構成が複雑化するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、コストを抑制すると共に構成を簡易化した扉制御システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の扉制御システムは、携帯器から固有の識別情報を認証したときに、扉の施解錠又は開閉を制御する扉制御システムであって、前記扉の周囲の所定の範囲で無線通信可能に構成されていて、起動状態又はスリープ状態に切り換えられて動作し、前記起動状態の場合には、応答要求信号を送信し、該応答要求信号に応答した前記携帯器からの応答信号を受信する一方、前記スリープ状態の場合には、前記応答要求信号の送信及び前記応答信号の受信を停止する読取装置と、前記応答信号の前記識別情報が正当か否かを認証する認証部と、前記応答信号を認証した場合に前記扉の施解錠又は開閉を制御する制御装置と、前記読取装置に対して無線通信によって起動信号を送信する起動装置と、を備え、前記読取装置は、通常は前記スリープ状態に設定されていて、前記起動装置からの起動信号に応じて前記スリープ状態から前記起動状態に切り換えられることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第2の扉制御システムは、上述した本発明の第1の扉制御システムにおいて、前記読取装置は、前記扉に対して一方側に配置されていて、前記起動装置は、前記扉に対して他方側に配置されていることを特徴とする。
【0010】
上述した本発明の第1及び第2の扉制御システムによれば、携帯器に対する読取装置を扉に対して両側に設ける必要がなく、読取装置を扉に対して片側のみに設けるだけで、扉に対して一方側及び他方側の携帯器の両方と応答要求信号及び応答信号の送受信を行うことができる。これにより、読取装置の設備コストを抑制することが可能となる。
【0011】
なお、他方側から一方側の読取装置を起動する起動装置は、起動信号を無線で送信する簡易な構成で実現することができる。また、他方側の起動装置から起動信号が送信されても、他方側で携帯器を所持していなければ扉の施解錠や開閉を制御することができないので、不正な施解錠や開閉を防ぐことができる。
【0012】
また、扉制御システムでは、他方側では、制御装置と通信可能に接続される読取装置を設ける必要がなく、制御装置と通信可能に接続される読取装置を一方側のみに設けている。なお、起動装置は、無線通信によって読取装置と接続されるが、制御装置と接続する必要がないので、他方側では起動装置に対する配線の手間を省くことができる。そのため、制御装置に対する配線の複雑化や、システムの構成の複雑化を抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コストを抑制すると共に構成を簡易化した扉制御システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る扉制御システムの概略を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る扉制御システムを模式的に示す上面図である。
【
図3】本発明の他の実施形態に係る扉制御システムの概略を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係る扉制御システム1について、添付の図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る扉制御システム1の構成の概略を示すブロック図、
図2は、本発明の一実施形態に係る扉制御システム1の模式的な上面図である。
【0016】
扉制御システム1は、例えば、部屋の入退室を制限する扉を電動で施解錠する電気錠装置2(電気錠)と、固有のIDである識別情報を記憶した非接触キー等の携帯器3a、3bと、携帯器3a、3bから識別情報を読み取る室外リーダ4(読取装置)と、起動装置5とを備える。また、扉制御システム1は、室外リーダ4で受信した識別情報の認証結果に応じて電気錠装置2を制御する制御ユニット6(制御装置)を備える。即ち、本実施形態の扉制御システム1は、電気錠システムである。
【0017】
電気錠装置2は、例えば、デッドボルト(図示せず)及び該デッドボルトを移動させる電動アクチュエータ(図示せず)からなる施解錠機構7と、電動アクチュエータを駆動するためのモータ等の駆動部8とを備えて構成される。デッドボルトは、扉から突出するように移動して扉枠のストライク内に固定されることにより扉を施錠して開扉不能にし、他方、ストライクから抜脱するように移動して扉内に引き込まれることにより扉を解錠して開扉可能にする。電気錠装置2は、制御ユニット6に接続されていて、制御ユニット6から施錠又は解錠を指示する制御信号を受けて、この制御信号に応じて駆動部8が電動アクチュエータを駆動する。
【0018】
携帯器3a及び3bは、各種情報を読み出し/書き込み可能に記憶する記憶領域を有するICチップ等の電子部品を設けていて、特に、扉の施解錠許可の認証に必要な情報として、利用者情報等の固有の識別情報を記憶領域に記憶している。また、携帯器3a及び3bは、電磁波や磁界結合又は電界結合によって室外リーダ4と非接触通信(近距離無線通信)可能であって、所定の通信半径(通信範囲)内で通信信号を送受信することができる。
【0019】
携帯器3a及び3bは、通常はスリープ状態(携帯器スリープ状態)であって、室外リーダ4から送信された応答要求信号に応じて起動して起動状態(携帯器起動状態)となり、識別情報を含む応答信号を室外リーダ4へと無線で送信する。換言すれば、携帯器3a及び3bは、応答要求信号を正常に受信できなければ、起動や応答信号の送信ができない。なお、携帯器3a及び3bは、応答信号の送信後に再びスリープ状態に切り換えられてよい。
【0020】
携帯器3a及び3bは、例えば、室外リーダ4からの電磁波や磁界結合又は電界結合に応じて電力を発生させるパッシブタグを備えたICカード等のカード状記憶媒体や、内蔵した電池等の電源より電力が供給されるアクティブタグを備えたリモコンキーでよい。なお、携帯器3a及び3bは、室外リーダ4と非接触通信可能で利用者が携帯可能な機器であればこれらに限定されない。
【0021】
室外リーダ4は、扉に対して一方側、例えば、部屋の外側(室外側)で、扉の表面又はその周囲の壁面等に設けられる。室外リーダ4は、制御ユニット6を介して又は直接的に外部電源(図示せず)に接続されて電力供給を受けてもよく、電池を内蔵して構成されてその電池から電力供給を受けてもよい。室外リーダ4は、電磁波や磁界結合又は電界結合によって携帯器3a及び3bと非接触通信(近距離無線通信)可能なリーダ又は送受信装置であって、所定の通信半径(通信範囲)内で通信することができる。
【0022】
室外リーダ4は、例えば、携帯器3a及び3bを起動させるための応答要求信号を無線で送信すると共に、この応答要求信号に応じた携帯器3a及び3bからの応答信号を受信可能になっている。例えば、室外リーダ4は、所定の周波数帯(例えば、134kHz)の電磁波や磁界結合又は電界結合による応答要求信号を、扉に対して室外側で携帯器3aに対応するために、1~2mの通信半径で送信する。室外リーダ4は、制御ユニット6と有線通信可能又は無線通信可能に接続されていて、携帯器3a又は3bから受信した応答信号から識別情報を読み取り、制御ユニット6へと送信する。
【0023】
室外リーダ4は、通常はスリープ状態(リーダスリープ状態)であって、起動指示(リーダ起動指示)に応じて起動状態(リーダ起動状態)に切り換えられる。なお、室外リーダ4は、スリープ状態から起動状態に切り換えられた場合、所定の起動期間(リーダ起動期間)経過後に、又は停止指示(リーダ停止指示)に応じて、起動状態からスリープ状態に切り換えられる。例えば、室外リーダ4は、起動装置5からの起動信号を起動指示として受信し、この起動信号に応じてスリープ状態から起動状態に切り換えられる。
【0024】
また、室外リーダ4は、起動状態の間は、常時、応答要求信号を送信してもよく、あるいは、送信開始指示に応じて応答要求信号を送信してもよい。なお、室外リーダ4は、応答要求信号を所定の送信間隔毎に周期的に送信してよい。
【0025】
室外リーダ4は、例えば、応答要求信号の送信を開始するための開始部として、開始ボタン4a及び開始センサ4bの少なくとも一方を備える。開始ボタン4a及び開始センサ4bは、室外リーダ4と一体に構成されてもよく、あるいは、別個に設けられていてもよい。開始ボタン4aの操作に応じて、室外リーダ4に送信開始指示が入力される。開始センサ4bは、扉又は室外リーダ4に対する利用者の接近を検知する検知部であり、例えば、赤外線センサ、動きセンサ等の何れのセンサで構成されてもよい。開始センサ4bによる利用者の接近の検知に応じて、室外リーダ4に送信開始指示が入力される。また、室外リーダ4は、開始ボタン4aの操作や開始センサ4bによる利用者の検知に基づいて、室外リーダ4の起動指示(リーダ起動指示)を発信してもよい。
【0026】
また、室外リーダ4は、携帯器3a及び3bから応答要求信号に対する応答信号を受信した後、制御ユニット6によって電気錠装置2が解錠されると、制御ユニット6から解錠完了信号を受信する。このとき、室外リーダ4は、送信開始指示に応じて応答要求信号を送信している場合、解錠完了信号に応じて、応答要求信号の送信を停止してよく、更に室外リーダ4の停止指示を発信してもよい。なお、室外リーダ4は、開始ボタン4aの再操作若しくは停止ボタン(図示せず)の操作に応じて応答要求信号の送信を停止してもよく、更に室外リーダ4の停止指示を発信してもよい。また、室外リーダ4は、応答要求信号の送信を開始してから所定の送信期間経過後に、応答要求信号の送信を停止してもよい。
【0027】
例えば、応答要求信号は、所定の周期のパルスで生成され、この所定の周期の範囲内で、携帯器3a及び3bへの起動指示(携帯器起動指示)を示す先頭部分と、携帯器3a及び3bへの動作指示を示す後方部分とを含む。室外リーダ4は、先頭部分の送信に連続して後方部分の送信を行う。
【0028】
起動装置5は、扉に対して室外リーダ4とは反対側、即ち、部屋の内側(室内側)で、扉の表面又はその周囲の壁面等に設けられ、例えば、据え置き型の装置で構成される。起動装置5は、電池を内蔵して構成されてその電池から電力供給を受ける。起動装置5は、電磁波や磁界結合又は電界結合によって室外リーダ4と非接触通信(近距離無線通信)可能な送受信装置であって、所定の通信半径(通信範囲)内で通信することができる。
【0029】
起動装置5は、例えば、315MHzのRF信号を起動信号として生成すると共に室外リーダ4に向けて無線で送信するように構成され、室外リーダ4及び起動装置5は、互いの通信範囲内に設置される。なお、応答要求信号、応答信号及び起動信号は、室外側及び室内側の一方側で送受信されるだけでなく、扉や壁、窓等を介して室外側と室内側との間で送受信されるように指向性や周波数特性を有する。
【0030】
起動装置5は、常時、起動状態(起動装置起動状態)であってもよく、あるいは、通常はスリープ状態(起動装置スリープ状態)であって、起動指示(起動装置起動指示)に応じて起動状態に切り換えられてもよい。なお、起動装置5は、スリープ状態から起動状態に切り換えられた場合、所定の起動期間(起動装置起動期間)経過後に、又は停止指示(起動装置停止指示)に応じて、起動状態からスリープ状態に切り換えられるとよい。
【0031】
また、起動装置5は、起動状態の間は、常時、起動信号を送信してもよく、あるいは、起動開始指示に応じて起動信号を送信してもよい。なお、起動装置5は、起動信号を所定の送信間隔毎に周期的に送信してよい。
【0032】
起動装置5は、例えば、起動信号の送信を開始するための開始部として、起動ボタン5a及び起動センサ5bの少なくとも一方を備える。起動ボタン5a及び起動センサ5bは、起動装置5と一体に構成されてもよく、あるいは、別個に設けられていてもよい。起動ボタン5aの操作に応じて、起動装置5に起動開始指示が入力される。起動センサ5bは、扉又は起動装置5に対する利用者の接近を検知する検知部であり、例えば、赤外線センサ、動きセンサ等の何れのセンサで構成されてもよい。起動センサ5bによる利用者の接近の検知に応じて、起動装置5に起動開始指示が入力される。また、起動装置5は、起動ボタン5aの操作や起動センサ5bによる利用者の検知に基づいて、起動装置5の起動指示を発信してもよい。
【0033】
また、起動装置5は、起動ボタン5aの再操作若しくは停止ボタン(図示せず)の操作に応じて起動信号の送信を停止してもよく、更に起動装置5の停止指示を発信してもよい。また、起動装置5は、起動信号の送信を開始してから所定の送信期間経過後に、起動信号の送信を停止してもよい。
【0034】
制御ユニット6について説明する。制御ユニット6は、扉制御システム1の全体の動作を統括制御するCPU(Central Processing Unit)等の制御部10と、この制御部10による制御に必要な情報を記憶するROMやRAM等の記憶媒体からなる記憶部11とを備える。
【0035】
制御部10は、例えば、認証部12と、電気錠制御部13(扉制御部)とを備えて構成される。なお、認証部12及び電気錠制御部13は、記憶部11に記憶されて制御部10によって実行されるプログラムで構成されてよい。また、記憶部11は、例えば、携帯器3a及び3bの識別情報の認証に用いられる一つ以上の認証情報14を記憶する。
【0036】
認証部12は、制御部10が室外リーダ4から受信した携帯器3a又は3bの識別情報を、記憶部11に記憶された認証情報14と比較して、識別情報が正当と認証できるか否かを判定する。
【0037】
電気錠制御部13は、認証部12による判定結果に応じて電気錠装置2を制御し、例えば、識別情報が正当であると認証されたときに、電気錠装置2を解錠する制御信号を電気錠装置2へと送信する。また、電気錠制御部13は、解錠する制御信号を電気錠装置2へと送信してから所定時間が経過したときに、電気錠装置2を施錠する制御信号を電気錠装置2へと送信する。
【0038】
扉制御システム1の動作例について、
図2を参照しながら説明する。室内側において、起動装置5は、起動ボタン5aの操作や起動センサ5bによる利用者の検知に起因して起動し、所定の送信範囲R2で起動信号を送信する。起動信号は、室内側だけでなく、室外側へも伝達される。
【0039】
このとき、室外側では、室外リーダ4が、起動装置5から起動信号を受信して、スリープ状態から起動状態へと切り換えられる。そして、起動状態の室外リーダ4は、室外側の携帯器3a及び室内側の携帯器3bに対応するために所定の送信範囲R1で応答要求信号を送信する。応答要求信号は、室外側だけでなく、室内側へも伝達される。
【0040】
室外リーダ4による応答要求信号の送信範囲R1内において、室外側の携帯器3aや室内側の携帯器3bが存在する場合、携帯器3a、3bは、室外リーダ4から応答要求信号を受信して、スリープ状態から起動状態へと切り換えられる。そして、起動状態の携帯器3a、3bは、所定の送信範囲R3で応答信号を送信する。例えば、室内側の携帯器3bからの応答信号は、室内側だけでなく、室外側へも伝達される。
【0041】
このとき、室外側では、室外リーダ4が、携帯器3a、3bから応答信号を受信して、応答信号から識別情報を読み取り、制御ユニット6へと送信する。そして、制御ユニット6では、認証部12によって識別情報が正当と認証されると、電気錠制御部13によって電気錠装置2が解錠される。なお、室外側や室内側には、室外リーダ4のように携帯器3a、3bと通信可能なリーダや送受信装置に代えて、手動で電気錠装置2の施解錠機構7を施解錠可能なサムターンやキーシリンダー等の機構を備えてもよい。
【0042】
なお、上記した実施形態では、扉制御システム1が、電気錠装置2の施解錠のために携帯器3a、3bに対応する読取装置として室外リーダ4を室外側に備える一方、室内側から室外側の室外リーダ4を起動するために起動装置5を室内側に備える構成を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、他の実施形態では、扉制御システム1が、電気錠装置2の施解錠のために携帯器3a、3bに対応する読取装置として室内リーダを室内側に備える一方、室外側から室内側の室内リーダを起動するために起動装置5を室外側に備えてもよい。
【0043】
また、上記した実施形態では、扉制御システム1は、起動装置5を、扉に対して、読取装置としての室外リーダ4や室内リーダとは反対側に備える構成を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、他の実施形態では、起動装置5は、扉に対して、読取装置としての室外リーダ4や室内リーダと同じ側に備えられてもよい。
【0044】
上記したように、本実施形態に係る電気錠システムとしての扉制御システム1は、携帯器3a、3bから固有の識別情報を認証したときに、扉(電気錠装置2)の施解錠を制御するように構成される。扉制御システム1は、扉の周囲の所定の範囲で無線通信可能に構成される室外リーダ4(読取装置)を備えていて、室外リーダ4は、起動状態(リーダ起動状態)又はスリープ状態(リーダスリープ状態)に切り換えられて動作し、起動状態の場合には、応答要求信号を送信し、応答要求信号に応答した携帯器3a、3bからの応答信号を受信する一方、スリープ状態の場合には、応答要求信号の送信及び応答信号の受信を停止する。また、扉制御システム1は、応答信号の識別情報が正当か否かを認証する認証部12と、応答信号を認証した場合に扉(電気錠装置2)の施解錠を制御する制御ユニット6(制御装置)の電気錠制御部13と、を備えている。更に、扉制御システム1は、室外リーダ4に対して無線通信によって起動信号を送信する起動装置5を備えている。そして、室外リーダ4は、通常はスリープ状態に設定されていて、起動装置5からの起動信号に応じてスリープ状態から起動状態に切り換えられる。
【0045】
例えば、室外リーダ4は、扉に対して室外側(一方側)に配置されていて、起動装置5は、扉に対して室内側(他方側)に配置されている。
【0046】
このような構成により、本発明によれば、扉制御システム1では、携帯器3a、3bに対する読取装置としての室外リーダ4や室内リーダを扉に対して両側に設ける必要がなく、室外リーダ4又は室内リーダを片側(室外側又は室内側)のみに設けるだけで、室外側の携帯器3a及び室内側の携帯器3bの両方と応答要求信号及び応答信号の送受信を行うことができる。これにより、リーダの設備コストを抑制することが可能となる。
【0047】
なお、扉制御システム1において、室内側(又は室外側)から室外側(又は室内側)の室外リーダ4(又は室内リーダ)を起動する起動装置5は、起動信号を無線で送信する簡易な構成で実現することができる。また、例えば、室内側の起動装置5から起動信号が送信されても、室内側で携帯器3bを所持していなければ扉の制御、例えば、電気錠装置2の施解錠を制御することができないので、不正な施解錠を防ぐことができる。
【0048】
また、扉制御システム1では、室外リーダ4や室内リーダ等の読取装置と反対側では制御ユニット6と通信可能に接続される読取装置としてのリーダを設ける必要がなく、制御ユニット6と通信可能に接続される読取装置としての室外リーダ4又は室内リーダを室外側又は室内側のみに設けている。なお、起動装置5は、無線通信によって室外リーダ4又は室内リーダと接続されるが、制御ユニット6と接続する必要がないので、室内側又は室外側では起動装置5に対する配線の手間を省くことができる。そのため、制御ユニット6に対する配線の複雑化や、システムの構成の複雑化を抑制することが可能となる。
【0049】
このようにして、コストを抑制すると共に構成を簡易化した扉制御システム1を提供することが可能となる。
【0050】
更に、本実施形態では、起動装置5は、起動ボタン5aを備え、起動ボタン5aの操作に応じて起動信号を送信するとよい。また、起動装置5は、扉に接近する利用者を検知する起動センサ5bを備え、起動センサ5bによる利用者の検知に応じて起動信号を送信するとよい。
【0051】
これらのような構成により、起動装置5における起動信号の送信開始の構成を簡易化することができる。
【0052】
また、本実施形態では、起動装置5は、起動信号の送信を開始してから所定の送信期間経過後、起動信号の送信を停止するとよい。
【0053】
このような構成により、起動装置5は、起動信号の送信を最小限に抑制することができ、消費電力を最小限に削減することが可能となり、省エネルギー化及び低コスト化を実現することもできる。
【0054】
更に、本実施形態では、室外リーダ4又は室内リーダは、起動状態の場合に認証部12が応答信号の識別情報を正当と認証すると共に電気錠制御部13が電気錠装置2を解錠した後、起動状態からスリープ状態に切り換えられるとよい。また、室外リーダ4又は室内リーダは、起動状態の場合に応答要求信号の送信を開始してから所定の起動期間経過後、起動状態からスリープ状態に切り換えられるとよい。
【0055】
これらのような構成により、室外リーダ4又は室内リーダは、応答要求信号の送信及び応答信号の受信を行う起動状態を最小限に抑制することができ、消費電力を最小限に削減することが可能となり、省エネルギー化及び低コスト化を実現することもできる。
【0056】
なお、上記した実施形態では、起動装置5は、室内側又は室外側に配置される据え置き型の装置で構成される例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、他の実施形態では、起動ボタン5aを備える起動装置5が、携帯器3a、3bや他の携帯機器(例えば、利用者の所持する携帯電話端末等)に内蔵されてもよい。これにより、室内側又は室外側に機器を設置することなく、室内側(又は室外側)から室外側(又は室内側)の室外リーダ4(又は室内リーダ)を起動することが可能となる。
【0057】
また、本実施形態では、認証部12が携帯器3a又は3bの識別情報を認証したときに、電気錠制御部13が電気錠装置2を直接、制御して施解錠する扉制御システム1の構成を説明したが、扉制御システム1の構成はこれに限定されない。例えば、扉制御システム1は、電気錠装置2の解錠や施錠を操作するための解錠ボタンや施錠ボタンを扉付近に備え、認証部12が携帯器3a又は3bの識別情報を認証した場合には解錠ボタンや施錠ボタンの操作を有効にし、それ以外の場合には解錠ボタンや施錠ボタンの操作を無効にするように構成してもよい。あるいは、扉制御システム1は、扉を開けるための操作ハンドルを備えて、認証部12が携帯器3a又は3bの識別情報を認証した場合のみ、操作ハンドルの操作を有効にするように構成してもよい。
【0058】
本実施形態では、本発明の扉制御システム1が電気錠装置2及び電気錠制御部13を備える電気錠システムに適用される例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、本発明は、
図3に示す他の実施形態によれば、エントランス等に備わる扉(自動ドア)の開閉を制御する自動ドアシステムとしての扉制御システム30に適用することもできる。以下の説明において、
図1及び
図2に示す上記の実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
【0059】
図3に示すように、扉制御システム30は、例えば、携帯器3a、3b及び室外リーダ4に加えて、扉開閉装置31を備える。制御ユニット6は、制御部10、記憶部11及び認証部12に加えて、扉開閉装置31を制御する扉開閉制御部32(扉制御部)を備える。扉開閉制御部32は、記憶部11に記憶されて制御部10によって実行されるプログラムで構成されてよい。
【0060】
扉開閉装置31は、制御ユニット6(扉開閉制御部32)によって制御されて自動ドアを開閉する機構である。自動ドアは、スライドドアや開き戸の何れで構成されてもよい。なお、開き戸の場合には、自動ドアの開閉に対する障害物を検知する障害物センサ(図示せず)を備え、扉開閉装置31は、障害物がない場合に自動ドアを開閉させる。
【0061】
扉開閉制御部32は、認証部12による判定結果に応じて扉開閉装置31を制御し、例えば、識別情報が正当であると認証されたときに、扉開閉装置31を開扉する制御信号を扉開閉装置31へと送信する。また、扉開閉制御部32は、扉開閉装置31を開扉してから所定時間が経過したときに、扉開閉装置31を閉扉する制御信号を扉開閉装置31へと送信する。
【0062】
上記のような構成によれば、扉制御システム30は、扉制御システム1と同様の効果を発揮することができる。例えば、扉制御システム30では、起動装置5が起動信号を送信すると、室外リーダ4は、この起動信号を受信して起動状態になり、応答要求信号を送信する。携帯器3a、3bは、室外リーダ4から応答要求信号を受信して起動状態になると、応答信号を送信する。室外リーダ4は、携帯器3a、3bから応答信号を受信して識別情報を制御ユニット6へと送信する。そして、制御ユニット6では、認証部12によって識別情報を正当と認証した場合に、扉開閉制御部32によって扉開閉装置31の開閉が制御され、例えば、閉扉された扉を自動的に開扉する。
【0063】
なお、上記した実施形態では、扉制御システム30が、扉開閉装置31の開閉のために携帯器3a、3bに対応する読取装置として室外リーダ4を室外側に備える一方、室内側から室外側の室外リーダ4を起動するために起動装置5を室内側に備える構成を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、他の実施形態では、扉制御システム30が、扉開閉装置31の開閉のために携帯器3a、3bに対応する読取装置として室内リーダを室内側に備える一方、室外側から室内側の室内リーダを起動するために起動装置5を室外側に備えてもよい。
【0064】
また、上記した実施形態では、扉制御システム30は、起動装置5を、扉に対して、読取装置としての室外リーダ4や室内リーダとは反対側に備える構成を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、他の実施形態では、起動装置5は、扉に対して、読取装置としての室外リーダ4や室内リーダと同じ側に備えられてもよい。
【0065】
このように、扉制御システム30においても、扉制御システム1と同様に、携帯器3a、3bに対する読取装置としての室外リーダ4や室内リーダを扉に対して両側に設ける必要がなく、室外リーダ4又は室内リーダを室外側又は室内側のみに設けるだけで、室外側の携帯器3a及び室内側の携帯器3bの両方と応答要求信号及び応答信号の送受信を行うことができる。これにより、リーダの設備コストを抑制することが可能となる。
【0066】
また、扉制御システム30では、例えば、室内側の起動装置5から起動信号が送信されても、室内側で携帯器3bを所持していなければ扉開閉装置31の開閉を制御することができないので、不正な開閉を防ぐことができる。
【0067】
本発明の扉制御システム1、30は、複数の扉のそれぞれに認証機能を有する制御ユニット6を設けて、携帯器3a、3bを各扉に共通に使用して施解錠できるように構成することもできる。また、本発明の扉制御システム1、30は、ホテルやオフィスビル等の商業施設又は公共施設の出入口や、集合住宅又は一般住宅のエントランスや玄関等だけでなく、病院、リクリエーション施設、店舗、ショッピングセンター、学校等、様々な建物に適用することが可能である。
【0068】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う扉制御システムもまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
1、30 扉制御システム
2 電気錠装置
3a、3b 携帯器
4 室外リーダ(読取装置)
4a 開始ボタン
4b 開始センサ
5 起動装置
5a 起動ボタン
5b 起動センサ
6 制御ユニット(制御装置)
10 制御部
11 記憶部
12 認証部
13 電気錠制御部(扉制御部)
14 認証情報
31 扉開閉装置
32 扉開閉制御部(扉制御部)