(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】電動機、密閉型圧縮機および冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
H02K 3/46 20060101AFI20220118BHJP
H02K 3/34 20060101ALI20220118BHJP
F04B 39/00 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
H02K3/46 B
H02K3/34 C
F04B39/00 106C
(21)【出願番号】P 2017233527
(22)【出願日】2017-12-05
【審査請求日】2020-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 裕太郎
(72)【発明者】
【氏名】井川 宏之
(72)【発明者】
【氏名】安西 史弥
(72)【発明者】
【氏名】深谷 篤義
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀明
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-247789(JP,A)
【文献】特開2001-095188(JP,A)
【文献】特開2001-268835(JP,A)
【文献】特開2011-120315(JP,A)
【文献】国際公開第2015/029603(WO,A1)
【文献】特開2015-052309(JP,A)
【文献】特開2007-325331(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0169173(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1780118(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/46
H02K 3/34
F04B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子と、
前記回転子を同軸状に取り囲む筒状のコア部と、前記コア部の内周面から突出するとともに、前記コア部の周方向に間隔を存して配列された複数の磁極歯と、隣り合う磁極歯の間に形成された複数のスロットと、を含む固定子鉄心を有する固定子と、
前記固定子鉄心の軸方向に沿う両端面に配置され、前記磁極歯を覆う複数の絶縁歯部を有する環状の絶縁端板と、
前記絶縁端板の前記絶縁歯部を介して前記固定子鉄心の前記磁極歯に巻き付けられた巻線と、を具備し、
少なくとも一方の前記絶縁端板の前記絶縁歯部は、前記固定子鉄心の反対側に位置された基部と、
前記基部と交差する方向に延びた一対の側面と、前記絶縁歯部の幅方向に沿う前記基部の中央部から盛り上がり、前記絶縁端板の径方向に延びるとともに、前記巻線が巻き付けられるリブ状の凸部と、を有し、
前記基部は、前記凸部によって前記絶縁歯部の幅方向に区画された一対の平坦面を有し、前記側面と前記平坦面とで規定される一対のコーナ部に前記巻線が接するとともに、前記コーナ部が円弧上に湾曲するように面取りされた形状を有し、
前記凸部と前記基部とを結ぶ一対の湾曲面は円弧上に湾曲するように面取りされた形状を有し、
前記凸部は、
その突出端が平坦で、前記絶縁端板の外周部から内周部に進むに従い前記固定子鉄心から遠ざかる方向に傾斜され、前記巻線を前記絶縁歯部に巻き付けた状態では、前記巻線が前記基部の幅方向に沿う両側部と前記凸部の突出端との間に跨るように直線状に架け渡された電動機。
【請求項2】
前記絶縁歯部に前記巻線を巻き付けた状態では、前記巻線が前記平坦面から離れている請求項
1に記載の電動機。
【請求項3】
前記絶縁端板の隣り合う前記絶縁歯部の間から前記固定子鉄心の前記スロットに挿入された絶縁シートをさらに備え、
前記絶縁端板の前記絶縁歯部は、前記絶縁端板の外周部に連続する箇所に前記基部よりも前記固定子鉄心の反対側に突出されたシート保護面を有し、前記基部と前記シート保護面との間に前記固定子鉄心の軸方向に沿う段差が形成されているとともに、
前記絶縁シートは、前記絶縁端板の側に位置された縁が前記シート保護面よりも前記固定子鉄心の側に位置された請求項1
又は請求項
2に記載の電動機。
【請求項4】
潤滑油が蓄えられた筒状の密閉容器と、
前記密閉容器の内部で冷媒を圧縮するとともに、圧縮された冷媒を前記密閉容器の内部に吐出する圧縮機構部と、
前記密閉容器に収容され、前記圧縮機構部を駆動する請求項1ないし請求項
3のいずれか一項に記載の電動機と、を備えた密閉型圧縮機。
【請求項5】
前記圧縮機構部から前記密閉容器の内部に吐出された冷媒中に含まれる潤滑油を前記密閉容器の内部で分離する油分離器をさらに備え、
前記油分離器は、
前記電動機の前記回転子に同軸状に連結され、前記回転子に追従して回転する円筒状の第1の回転体と、
前記第1の回転体と一体に回転するように前記第1の回転体に同軸状に嵌合され、前記冷媒中に含まれる潤滑油を受け止めるフランジ部を有する筒状の第2の回転体と、
前記第1の回転体と前記第2の回転体との間に介在され、前記第1の回転体および前記第2の回転体を前記回転子に保持する弾性体と、を含み、
前記第1の回転体又は前記第2の回転体のいずれか一方に複数の嵌合凹部が設けられ、他方に前記嵌合凹部に嵌り込む複数の嵌合凸部が設けられ、前記嵌合凹部と前記嵌合凸部との嵌合により、前記第1の回転体および前記第2の回転体の周方向に沿う相対的な位置決めがなされるとともに、
前記嵌合凹部および前記嵌合凸部は、前記第1の回転体および前記第2の回転体の周方向に不等間隔を存して配置されている請求項
4に記載の密閉型圧縮機。
【請求項6】
冷媒が循環するとともに、放熱器、膨張装置および吸熱器が接続された循環回路と、
前記
放熱器と前記
吸熱器との間で前記循環回路に接続された請求項
4又は請求項
5に記載の密閉型圧縮機と、を備えた冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、固定子鉄心の端部に絶縁端板を有する固定子を備えた電動機、密閉型圧縮機および冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、密閉型圧縮機に用いられる電動機は、回転子を同軸状に取り囲む固定子を備えている。固定子の固定子鉄心は、筒状のコア部と、コア部の内周面からコア部の中心に向けて突出する複数の磁極歯と、隣り合う磁極歯の間に形成された複数のスロットと、を有している。スロットは、磁極歯に直接巻き付けられる巻線が収容される領域であって、コア部の中心部から外周部に向けて拡開された形状となっている。
【0003】
さらに、固定子鉄心の軸方向に沿う両端面には、環状をなす一対の絶縁端板が配置されている。絶縁端板は、磁極歯の端面を覆う複数の絶縁歯部を有し、当該絶縁歯部の間に巻線を通す絶縁スロットが形成されている。
【0004】
絶縁端板の絶縁スロットは、固定子鉄心のスロットと同様に絶縁端板の中心から外周部に向けて拡開された形状を有している。そのめ、固定子鉄心にニードルを用いて巻線を巻き付けていくと、絶縁端板の内周部から外周部の方向に進む従い絶縁歯部に巻き付けられる巻線の量が増大する。
【0005】
この結果、絶縁歯部の固定子鉄心とは反対側の基部が固定子鉄心の軸線と直交するフラットな面である場合、絶縁歯部の全長に亘ってバランスよく巻線を巻き付けることが困難となり、絶縁端板の外周部の側に位置する巻線が絶縁端板の内周部の側に崩れて巻線の占績率が悪化することがある。
この対策として、絶縁歯部の基部を絶縁端板の外周部から内周部に進むに従い固定子鉄心から遠ざかる方向に傾斜させるとともに、当該基部を円弧状に湾曲させた絶縁端板が知られている。この構成を採用することで、巻線の崩れを防止することができ、巻線の品質・占績率を高めることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-247789号公報
【文献】特許第5460271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の絶縁端板では、絶縁歯部の基部が円弧状に湾曲するように全面的に盛り上がっているので、巻線は、基部の曲率に沿うような形態で絶縁歯部に巻き付けられている。
【0008】
しかしながら、絶縁歯部の基部が全面的に盛り上がっていると、絶縁歯部に巻き付けられた巻線が固定子鉄心の軸方向に沿う外側に向けて大きく張り出すのを避けられない。この結果、巻線の周長が長くなり、その分、巻線抵抗が増大して電動機の特性の低下を招く一つの要因となる。
【0009】
本発明の目的は、絶縁歯部に巻き付けられた巻線の崩れを防止しつつ、巻線の周長を短くできる電動機を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態によれば、電動機は、回転子と固定子とを含んでいる。固定子は、固定子鉄心、環状の絶縁端板および巻線を主要な要素として備えている。前記固定子鉄心は、前記回転子を同軸状に取り囲む筒状のコア部と、前記コア部の内周面から突出するとともに、前記コア部の周方向に間隔を存して配列された複数の磁極歯と、隣り合う磁極歯の間に形成された複数のスロットと、を有する。前記絶縁端板は、前記固定子鉄心の軸方向に沿う両端面に配置され、前記磁極歯を覆う複数の絶縁歯部を有する。前記巻線は、前記絶縁端板の前記絶縁歯部を介して前記固定子鉄心の前記磁極歯に巻き付けられる。
【0011】
少なくとも一方の前記絶縁端板の前記絶縁歯部は、前記固定子鉄心の反対側に位置された基部と、前記基部と交差する方向に延びた一対の側面と、前記絶縁歯部の幅方向に沿う前記基部の中央部から盛り上がり、前記絶縁端板の径方向に延びるとともに、前記巻線が巻き付けられるリブ状の凸部と、を有する。前記基部は、前記凸部によって前記絶縁歯部の幅方向に区画された一対の平坦面を有し、前記側面と前記平坦面とで規定される一対のコーナ部に前記巻線が接するとともに、前記コーナ部が円弧上に湾曲するように面取りされた形状を有する。前記凸部と前記基部とを結ぶ一対の湾曲面は円弧上に湾曲するように面取りされた形状を有する。前記凸部は、その突出端が平坦で、前記絶縁端板の外周部から内周部に進むに従い前記固定子鉄心から遠ざかる方向に傾斜されており、前記巻線を前記絶縁歯部に巻き付けた状態では、前記巻線が前記基部の幅方向に沿う両側部と前記凸部の突出端との間に跨るように直線状に架け渡されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る冷凍サイクル装置の構成を概略的に示す回路図である。
【
図2】実施形態に係る密閉型圧縮機の断面図である。
【
図3】磁極歯に巻線を巻き付けた状態を示す固定子の断面図である。
【
図4】実施形態の電動機で用いる絶縁端板の平面図である。
【
図8】固定子鉄心のスロットにプッシャーロッドを用いて絶縁シートを挿入する状態を示す斜視図である。
【
図9】絶縁端板の絶縁歯部と絶縁シートとの位置関係を示す平面図である。
【
図10】固定子鉄心のスロットに絶縁端板の絶縁歯部の間から絶縁シートを挿入する過程を示す側面図である。
【
図11】固定子鉄心のスロットにプッシャーロッドを用いて絶縁シートを挿入した状態において、絶縁シートの上端縁と絶縁端板の絶縁歯部との位置関係を示す側面図である。
【
図12】絶縁シートの上端縁と絶縁歯部のシート保護面との位置関係を示す断面図である。
【
図13】絶縁シートの上端縁と絶縁歯部の基部との位置関係を示す平面図である。
【
図14】絶縁歯部に巻線を巻き付けた状態を示す断面図である。
【
図15】絶縁歯部の凸部、絶縁シートおよび巻線の位置関係を示す断面図である。
【
図16】回転子の上端部に油分離器を取り付けた状態を示す断面図である。
【
図18】第1の回転体、第2の回転体および波形ワッシャを互いに分離した状態を示す油分離器の側面図である。
【
図20】油分離器を構成する第1の回転体の平面図である。
【
図21】油分離器を構成する第2の回転体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、例えば冷凍サイクル装置の一例である空気調和機1の冷凍サイクル回路図である。空気調和機1は、密閉型圧縮機2、四方弁3、室外熱交換器4、膨張装置5および室内熱交換器6を主要な要素として備えている。空気調和機1を構成する前記複数の要素は、冷媒が循環する循環回路7を介して接続されている。
【0015】
具体的に述べると、
図1に示すように、密閉型圧縮機2の吐出側は、四方弁3の第1ポート3aに接続されている。四方弁3の第2ポート3bは、室外熱交換器4に接続されている。室外熱交換器4は、膨張装置5を介して室内熱交換器6に接続されている。室内熱交換器6は、四方弁3の第3ポート3cに接続されている。四方弁3の第4ポート3dは、アキュームレータ8を介して密閉型圧縮機2の吸入側に接続されている。
【0016】
空気調和機1が冷房モードで運転を行う場合、四方弁3は、第1ポート3aが第2ポート3bに連通し、第3ポート3cが第4ポート3dに連通するように切り替わる。冷房モードで空気調和機1の運転が開始されると、密閉型圧縮機2で圧縮された高温・高圧の気相冷媒が循環回路7に吐出される。吐出された気相冷媒は、四方弁3を経由して放熱器(凝縮器)として機能する室外熱交換器4に導かれる。
【0017】
室外熱交換器4に導かれた気相冷媒は、空気との熱交換により凝縮し、高圧の液相冷媒に変化する。高圧の液相冷媒は、膨張装置5を通過する過程で減圧されて低圧の気液二相冷媒に変化する。気液二相冷媒は、吸熱器(蒸発器)として機能する室内熱交換器6に導かれるとともに、室内熱交換器6を通過する過程で空気と熱交換する。
【0018】
この結果、気液二相冷媒は、空気から熱を奪って蒸発し、低温・低圧の気相冷媒に変化する。室内熱交換器6を通過する空気は、液相冷媒の蒸発潜熱により冷やされ、冷風となって空調(冷房)すべき場所に送られる。
【0019】
室内熱交換器6を通過した低温・低圧の気相冷媒は、四方弁3を経由してアキュームレータ8に導かれる。冷媒中に蒸発しきれなかった液相冷媒が混入している場合は、ここで液相冷媒と気相冷媒とに分離される。液相冷媒から分離された低温・低圧の気相冷媒は、アキュームレータ8から密閉型圧縮機2に吸い込まれるとともに、当該密閉型圧縮機2で再び高温・高圧の気相冷媒に圧縮されて循環回路7に吐出される。
【0020】
一方、空気調和機1が暖房モードで運転を行う場合、四方弁3は、第1ポート3aが第3ポート3cに連通し、第2ポード3bが第4ポート3dに連通するように切り替わる。暖房モードで空気調和機1の運転が開始されると、密閉型圧縮機2から吐出された高温・高圧の気相冷媒は、四方弁3を経由して室内熱交換器6に導かれ、当該室内熱交換器6を通過する空気と熱交換される。すなわち、室内熱交換器6が凝縮器として機能する。
【0021】
この結果、室内熱交換器6を通過する気相冷媒は、空気と熱交換することにより凝縮し、高圧の液相冷媒に変化する。室内熱交換器6を通過する空気は、気相冷媒との熱交換により加熱され、温風となって空調(暖房)すべき場所に送られる。
【0022】
室内熱交換器6を通過した高温の液相冷媒は、膨張装置5に導かれるとともに、当該膨張装置5を通過する過程で減圧されて低圧の気液二相冷媒に変化する。気液二相冷媒は、蒸発器として機能する室外熱交換器4に導かれるとともに、ここで空気と熱交換することにより蒸発し、低温・低圧の気相冷媒に変化する。室外熱交換器4を通過した低温・低圧の気相冷媒は、四方弁3およびアキュームレータ8を経由して密閉型圧縮機2に吸い込まれる。
【0023】
次に、空気調和機1に用いられる密閉型圧縮機2の具体的な構成について、
図2ないし
図21を参照して説明する。
図2に示すように、密閉型圧縮機2は、いわゆる縦形のロータリーコンプレッサであって、密閉容器10、圧縮機構部11および電動機12を主要な要素として備えている。
【0024】
密閉容器10は、円筒状の周壁10aを有するとともに、鉛直方向に沿うように起立されている。密閉容器10の上端には、吐出管10bが設けられている。吐出管10bは、循環回路7を介して四方弁3の第1ポート3aに接続されている。さらに、密閉容器10の下部には、潤滑油Iを蓄える油溜まり部10cが設けられている。
【0025】
圧縮機構部11は、潤滑油Iに浸かるように密閉容器10の下部に収容されている。圧縮機構部11は、第1のシリンダ13、第2のシリンダ14、回転軸15、第1のローラ16および第2のローラ17を主要な要素として備えている。
【0026】
第1のシリンダ13は、密閉容器10の周壁10aの内周面に固定されている。第2のシリンダ14は、第1のシリンダ13の下面に中間仕切り板18を介して固定されている。
【0027】
第1の軸受20が第1のシリンダ13の上面に固定されている。第1の軸受20は、第1のシリンダ13の内径部を上方から覆うとともに、第1のシリンダ13の上方に向けて突出されている。第1のシリンダ13の内径部、中間仕切り板18および第1の軸受20で囲まれた空間は、第1のシリンダ室21を構成している。
【0028】
第2の軸受22が第2のシリンダ14の下面に固定されている。第2の軸受22は、第2のシリンダ14の内径部を下方から覆うとともに、第2のシリンダ14の下方に向けて突出されている。第2のシリンダ14の内径部、中間仕切り板18および第2の軸受22で囲まれた空間は、第2のシリンダ室23を構成している。第1のシリンダ室21および第2のシリンダ室23は、密閉容器10の中心軸線O1に対し同軸状に位置されている。
【0029】
図2に示すように、第1のシリンダ室21および第2のシリンダ室23は、循環回路7の一部である吸込管25a,25bを介してアキュームレータ8に接続されている。アキュームレータ8で液相冷媒から分離された気相冷媒は、吸込管25a,25bを通って第1のシリンダ室21および第2のシリンダ室23に導かれる。
【0030】
回転軸15は、密閉容器10の中心軸線O1の上に同軸状に位置され、第1のシリンダ室21、第2のシリンダ室23および中間仕切り板18を貫通している。回転軸15は、第1のジャーナル部27a、第2のジャーナル部27bおよび一対のクランクピン部28a,28bを有している。第1のジャーナル部27aは、第1の軸受20によって回転自在に支持されている。第2のジャーナル部27bは、第2の軸受22によって回転自在に支持されている。
【0031】
さらに、回転軸15は、第2のジャーナル部27bから同軸状に延長された連結部27cを有している。連結部27cは、第1の軸受20を貫通して圧縮機構部11の上方に突出されている。
【0032】
クランクピン部28a,28bは、第1のジャーナル部27aと第2のジャーナル部27bとの間に位置されている。クランクピン部28a,28bは、例えば180度の位相差を有するとともに、密閉容器10の中心軸線O1に対する偏心量が互いに同一となっている。一方のクランクピン部28aは、第1のシリンダ室21に収容されている。他方のクランクピン部28bは、第2のシリンダ室23に収容されている。
【0033】
リング状の第1のローラ16は、一方のクランクピン部28aの外周面に嵌合されている。第1のローラ16は、回転軸15が回転した時に、第1のシリンダ室21内で偏心回転するとともに、第1のローラ16の外周面の一部が第1のシリンダ室21の内周面に摺動可能に線接触する。
【0034】
リング状の第2のローラ17は、他方のクランクピン部28bの外周面に嵌合されている。第2のローラ17は、回転軸15が回転した時に、第2のシリンダ室23内で偏心回転するとともに、第2のローラ17の外周面の一部が第2のシリンダ室23の内周面に摺動可能に線接触する。
【0035】
図2に示すように、ベーン30が第2のシリンダ14に支持されている。ベーン30の先端部は、第2のローラ17の外周面に摺動可能に押し付けられている。ベーン30は、第2のローラ17と協働して第2のシリンダ室23を吸入領域と圧縮領域とに区画するとともに、第2のローラ17の偏心運動に追従して第2のシリンダ室23に突出したり、第2のシリンダ室23から退去する方向に移動するようになっている。これにより、第2のシリンダ室23の吸入領域および圧縮領域の容積が変化し、吸込管25bから第2のシリンダ室23に吸い込まれた気相冷媒が圧縮される。
【0036】
同様のベーン30は、図示を省略するが第1のシリンダ13にも組み込まれている。そのため、第1のローラ16が第1のシリンダ室21内で偏心運動すると、第1のシリンダ室21の吸入領域および圧縮領域の容積が変化し、吸込管25aから第1のシリンダ室21に吸い込まれた気相冷媒が圧縮される。
【0037】
第1のシリンダ室21および第2のシリンダ室23で圧縮された高温・高圧の気相冷媒は、図示しない吐出弁機構を介して密閉容器10の内部に吐出される。吐出された気相冷媒は、密閉容器10の内部を上昇する。
【0038】
図2に示すように、電動機12は、圧縮機構部11と吐出管10bとの間に位置するように密閉容器10の軸方向に沿う中間部に収容されている。電動機12は、いわゆるインナーロータ型のモータであって、回転子33および固定子34を備えている。
【0039】
回転子33は、円柱状のコア部35を備えている。コア部35は、例えば複数の円形の磁性鋼板を回転軸15の軸方向に互いに積層することで構成されている。コア部35の中心部には、回転軸15の連結部27cが挿入される挿通孔36が形成されている。回転軸15の連結部27cは、挿通孔36に面するコア部35の中心部に例えば圧入等の手段により同軸状に固定されている。
【0040】
回転軸15の連結部27cの上部は、コア部35の挿通孔36よりも径が小さく形成されている。連結部27cの上部は、コア部35の上方に突出されている。連結部27cの上部の外周面と挿通孔36に臨むコア部35の中心部の内周面との間には、
図16に示すような隙間gが確保されている。隙間gは、コア部35の周方向に連続している。
【0041】
図16および
図17に示すように、三つの係合部37a,37b,37cが挿通孔36に臨むコア部35の上端部の内周面に形成されている。係合部37a,37b,37cは、コア部35の内周面を部分的に切り欠いた要素であって、挿通孔36の周方向に等間隔で並んでいる。各係合部37a,37b,37cは、挿通孔36の周方向に沿うように円弧状に湾曲されているとともに、コア部35の上端面に開口されている。
【0042】
図2に示すように、コア部35の内部に複数の板状の永久磁石38が一体的に埋め込まれている。永久磁石38は、挿通孔36を取り囲むように配置されている。さらに、複数の第1の流通路39がコア部35の内周部に形成されている。第1の流通路39は、コア部35を軸方向に貫通するとともに、挿通孔36を取り囲むようにコア部35の周方向に互いに間隔を存して配置されている。
【0043】
図2に示すように、回転子33は、第1のバランスウエイト40および第2のバランスウエイト41を備えている。第1のバランスウエイト40および第2のバランスウエイト41は、第1のローラ16および第2のローラ17の偏心運動に伴う回転軸15の回転アンバランス量を打ち消すための要素である。
【0044】
第1のバランスウエイト40は、環状の第1の端板42と、第1の端板42に積層された複数の錘板43と、で構成されている。第1の端板42は、コア部35の上端面に固定されている。
図16に示すように、第1の端板42は、回転子33の挿通孔36と合致する連通孔42aを有するとともに、連通孔42aに臨む内周部で係合部37a,37b,37cの開口端を閉じている。
【0045】
第2のバランスウエイト41は、環状の第2の端板44と、第2の端板44に積層された複数の錘板45と、で構成されている。第2の端板44は、コア部35の下端面に固定されている。
【0046】
図2および
図3に示すように、固定子34の固定子鉄心34aは、円筒状のコア部50を備えている。コア部50は、複数の磁性鋼板を回転軸15の軸方向に積層することで構成され、回転子33を全長に亘って同軸状に取り囲んでいる。
複数の磁極歯51がコア部50の内周面に形成されている。磁極歯51は、コア部50の内周面から回転子33の外周面に向けて突出されている。磁極歯51は、コア部50の周方向に間隔を存して配列されているとともに、コア部50の全長に亘っている。
本実施形態によると、各磁極歯51は、回転子33の外周面と向かい合う先端部がコア部50の周方向に拡開された形状を有している。磁極歯51の先端部と回転子33の外周面との間には、狭小のエアギャップGが形成されている。
【0047】
図3に示すように、隣り合う磁極歯51の間にスロット52が形成されている。スロット52は、磁極歯51に直接巻きされる巻線53を収容するための要素であって、コア部50の中心部から外周部に向けて拡開された形状を有している。スロット52は、コア部50の周方向に間隔を存して配列されているとともに、コア部50の全長に亘っている。
【0048】
さらに、コア部50は、複数の第2の流通路54を有している。すなわち、
図9に示すように、コア部50の外周面に複数の直線状の切欠き部54aが設けられ、当該切欠き部54aと密閉容器10の内周面との間の隙間が第2の流通路54を規定している。第2の流通路54は、コア部50の軸方向に延びているとともに、コア部50の周方向に互いに間隔を存して配置されている。
【0049】
図2に示すように、固定子鉄心34aの軸方向に沿う両端に夫々絶縁端板55,56が配置されている。一方の絶縁端板55は、固定子鉄心34aの上端面に同軸状に取り付けられている。他方の絶縁端板56は、固定子鉄心34aの下端面に同軸状に取り付けられている。
【0050】
本実施形態では、固定子鉄心34aの上端面に取り付けられた絶縁端板55を代表して説明する。
図4は、一方の絶縁端板55の平面図、
図8は、固定子鉄心34aのコア部50の上端面に絶縁端板55を取り付けた状態を示す斜視図である。絶縁端板55は、例えばポリブチレンテレフタレート樹脂、液晶ポリマー樹脂あるいはポリフェニレンサルファイド樹脂のような電気絶縁性を有する合成樹脂材料で一体成形されている。
【0051】
図4、
図8および
図9に示すように、絶縁端板55は、円環状の外周壁部57と、複数の絶縁歯部58と、を備えている。外周壁部57は、固定子鉄心34aのコア部50よりも小さな外径を有するとともに、コア部50から起立するようにコア部50の上端面に同軸状に重ね合わされている。
【0052】
絶縁歯部58は、外周壁部57の内周面の下端部から回転子33の外周面に向けて突出されている。絶縁歯部58は、固定子鉄心34aの磁極歯51に対応するように外周壁部57の周方向に間隔を存して配列されている。各絶縁歯部58の突出端部は、磁極歯51の先端部の形状に対応するように、外周壁部57の周方向に拡開されている。
【0053】
さらに、
図5および
図6に示すように、各絶縁歯部58の突出端部に内周壁部59が形成されている。内周壁部59は、外周壁部57と向かい合うように絶縁歯部58の突出端部から起立されている。
【0054】
絶縁歯部58は、磁極歯51を上方から覆うように磁極歯51の上面に重ねられている。隣り合う絶縁歯部58の間には、巻線53を通す絶縁スロット60が形成されている。絶縁スロット60は、固定子鉄心34aのスロット52に合致するように、絶縁端板55の中心部から外周部に向けて拡開された形状を有している。
【0055】
図4ないし
図8に示すように、各絶縁歯部58は、固定子鉄心34aの反対側に位置する基部62と、絶縁スロット60に面する一対の側面63a,63bと、を有している。基部62は、絶縁端板55の径方向に沿うフラットな面であり、外周壁部57の下端部と内周壁部59の下端部との間に跨っている。基部62と側面63a,63bとで規定されるコーナ部は、円弧状に湾曲するように面取りされた曲面64となっている。
【0056】
さらに、
図6に示すように、絶縁歯部58と外周壁部57との境界部分に、絶縁歯部58の基部62から盛り上がった肉厚部65が形成されている。肉厚部65は、外周壁部57の周方向に延びているとともに、固定子鉄心34aの反対側に位置されたシート保護面66を有している。
【0057】
シート保護面66は、基部62よりも固定子鉄心34aの反対側に突出されている。そのため、
図6に示すように、基部62とシート保護面66との間には、固定子鉄心34aの軸方向に沿う段差Bが形成されている。言い換えると、絶縁端板55の外周側の絶縁歯部58の厚さT1は、段差Bの分だけ絶縁端板55の内周側の絶縁歯部58の厚さT2よりも厚くなっている。
【0058】
本実施形態では、シート保護面66は、外周壁部57と隣り合った位置で絶縁歯部58の側面63a,63bに連続するとともに、シート保護面66と側面63a,63bとで規定される角部は、円弧状に湾曲するように面取りされた曲面67となっている。加えて、シート保護面66と基部62との境界部分は、シート保護面66から基部62に向けて滑らかに傾斜された斜面68となっている。
【0059】
図4ないし
図7に示すように、絶縁歯部58は、リブ状の凸部70を有している。凸部70は、絶縁歯部58の幅方向に沿う基部62の中央部から盛り上がるとともに、絶縁歯部58の内周壁部59と肉厚部65との間を結ぶように絶縁端板55の径方向に直線的に延びている。さらに、凸部70は、絶縁端板55の外周壁部57から内周壁部59に進むに従い固定子鉄心34aから遠ざかる方向に所定の角度αで連続的に傾斜されている。
【0060】
図7に最もよく示されるように、凸部70の外表面は、その突出端に位置された平面71aと、平面71aと基部62との間を結ぶ一対の湾曲面71b,71cと、で規定されている。平面71aは、シート保護面66に連続するように絶縁端板55の径方向に沿って延びる細長い形状を有している。湾曲面71b,71cは、基部62から平面71aに向けて突出されているとともに、円弧状に湾曲するように面取りされた形状を有している。
【0061】
さらに、凸部70の存在により、絶縁歯部58の基部62は、一対の平坦面72a,72bに区画されている。平坦面72a,72bは、夫々曲面64を介して絶縁歯部58の側面63a,63bに連なっている。
【0062】
図8および
図9に示すように、固定子鉄心34aのスロット52は、絶縁シート75で覆われている。絶縁シート75は、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂あるいはNOMEX(商品名)のような電気絶縁性を有する材料で構成されている。絶縁シート75は、スロット52および絶縁スロット60の内面に沿うような形状に折り曲げられている。
【0063】
具体的に述べると、絶縁シート75は、コア部50の内周面に沿う第1のシート部75aと、隣り合う磁極歯51の互いに向かい合う側面に沿う一対の第2のシート部75b,75cと、を含んでいる。第1のシート部75aと第2のシート部75b,75cとの境界部分には、夫々折り曲げに伴う筋目75dが形成されている。筋目75dは、絶縁シート75の上縁と下縁との間を結ぶように固定子鉄心34aの軸方向に一直線状に延びている。
【0064】
図8ないし
図11に示すように、絶縁シート75は、一対のプッシャーロッド76a,76bを用いて絶縁端板55の絶縁スロット60から固定子鉄心34aのスロット52に押し込まれる。プッシャーロッド76a,76bは、夫々フラットな下端面77を有し、当該下端面77が第2のシート部75b,75cの上縁の中間部に突き当てられている。
【0065】
したがって、絶縁シート75を絶縁スロット60からスロット52の上端部に導いた後、プッシャーロッド76a,76bを降下させると、当該プッシャーロッド76a,76bにより絶縁シート75がスロット52に押し込まれる。
【0066】
プッシャーロッド76a,76bが所定の位置まで降下すると、プッシャーロッド76a,76bの下端面77が隣り合う絶縁歯部58の平坦面72a,72bに突き当たる。これにより、プッシャーロッド76a,76bの降下が停止し、スロット52に対する絶縁シート75の押し込み作業が完了する。
【0067】
絶縁シート75がスロット52に押し込まれた状態では、絶縁シート75の上端部が固定子鉄心34aのコア部50の上端面よりも僅かに上向きに突出されて、絶縁スロット60に入り込んでいる。
【0068】
絶縁シート75の上端部では、第1のシート部75aが絶縁端板55の外周壁部57の内周面に沿うとともに、第2のシート部75b,75cが隣り合う絶縁歯部58の互いに向かい合う側面63a,63bに沿うように配置されている。
図12に示すように、第2のシート部75b,75cの上縁は、絶縁歯部58の平坦面72a,72bの上に飛び出すことがないように曲面64にかかる位置に保持されている。
【0069】
さらに、
図12および
図13に示すように、絶縁シート75のうち第1のシート部75aと第2のシート部75b,75cとの境界部分の上縁は、曲面64から外れた位置でシート保護面66よりも下方に押し下げられている。
【0070】
固定子34の巻線53は、固定子鉄心34aの磁極歯51毎に絶縁端板55,56の絶縁歯部58の間に跨るように、所定の張力で集中的に巻き付けられている。巻線53が磁極歯51に巻き付けられた状態では、絶縁シート75が磁極歯51の側面に押し付けられる。さらに、
図3に示すように、隣り合う磁極歯51に巻き付けられた巻線53の間には、図示しない巻線装置のニードルが通るスペースSが確保されている。
【0071】
巻線53は、シート保護面66から基部62の上に亘るように層状に巻回される。この際、基部62に最も近い最下層に位置する巻線53は、
図15に一つの巻線53を代表して示すように、絶縁歯部58の曲面64と凸部70の平面71aとに接した状態で巻回され、当該最下層の巻線53の上にさらに巻線53が層状に巻回されていく。
【0072】
すなわち、リブ状の凸部70を設けたことで、巻線53が絶縁歯部58の曲面64と凸部70の平面71aとの間に跨る箇所では、巻線53は最短距離を通って直線状に引き回されており、凸部70の高さの分だけ巻線53が絶縁歯部58の基部62から離れている。
【0073】
本実施形態によると、絶縁歯部58に対する巻線53の巻き始め端は、基部62に対する凸部70の盛り上がり高さが最も大きい内周壁部59の側に位置される。凸部70は、絶縁端板55の外周壁部57から内周壁部59に進むに従い固定子鉄心34aから遠ざかる方向に傾斜されているので、巻線53は凸部70の傾斜に沿って内周壁部59から外周壁部57に向けて滑落する。
【0074】
巻き付け動作を繰り返すことで、巻線53が外周壁部57に向けて押し込まれながら絶縁歯部58に巻回され、最終的には、
図14に示すように絶縁歯部58に巻き付けられた巻線53の巻き掛け径が絶縁歯部58の全長に亘って一様となる。
【0075】
さらに、
図15に示すように、巻線53が絶縁歯部58に巻かれた状態では、絶縁シート73の第2のシート部75b,75cの上端部は、絶縁歯部58のシート保護面66よりも下方に押し込まれた位置で、巻線53を介して絶縁歯部58の曲面64に押し付けられる。このため、第2のシート部75b,75cの上端部は、急激に折れ曲がることなく曲面64に倣うような滑らかな形状に湾曲されている。
【0076】
一方、絶縁シート75のうち、筋目75dを有する第1のシート部75aと第2のシート部75b,75cとの境界部分は、絶縁歯部58の曲面64から外れている。このため、絶縁シート75の筋面75dの箇所は、変形を伴うことなく単に絶縁スロット60に押し込まれているに止まっている。
【0077】
実施形態に係る電動機12によると、絶縁歯部58の基部62の中央部から盛り上がるリブ状の凸部70は、絶縁端板55の外周壁部57から内周壁部59に進むに従い固定子鉄心34aから遠ざかる方向に連続的に傾斜されている。
【0078】
このため、絶縁歯部58に巻線53を巻き付けていくと、巻線53は、巻き付け動作に進展に伴って外周壁部57の方向に押し込まれながら絶縁歯部58に巻回される。したがって、巻線53を絶縁歯部58の全長に亘ってバランスよく巻き付けることができる。これにより、絶縁歯部58に巻き付けられた巻線53の崩れを低減することができ、巻線53の占積率が向上する。
【0079】
しかも、絶縁端板55の絶縁歯部58に巻回される巻線53は、絶縁歯部58の曲面64と凸部70の平面71aとの間に跨る箇所では、直線状に最短距離を通して引き回されている。さらに、凸部70の突出端に平面71aを設けたことで、凸部70が全体的に半円状に湾曲されている場合との比較において、基部62に対する凸部70の突出高さを極力低くすることができる。
【0080】
この結果、絶縁歯部58が基部62から盛り上がる凸部70を有するにも拘らず、絶縁歯部58を介して磁極歯51に巻回される巻線53の周長を短く抑えることができる。したがって、巻線53の抵抗によって失われるエネルギーが減少し、電動機12の効率を高める上で好都合となる。
【0081】
加えて、
図15に示すように、最下層の巻線53は、絶縁歯部58の基部62と側面63a,63bとで規定される一対のコーナ部および凸部70の突出端に位置する平面71aの三ヶ所に接した状態で絶縁歯部58に巻き付けられている。
【0082】
これに対し、例えば絶縁歯部58の基部62が円弧状に湾曲するように全面的に盛り上がった形状を有し、当該基部62に巻線53が沿うような形態で巻き付けられている場合には、巻線53は基部62をガイドとして円弧状に連続して曲げられることになる。
【0083】
巻線53が連続的に曲げられると、基部62に沿う巻線53の曲げ内側の箇所に大きな圧縮力が加わるとともに、巻線53の曲げ外側の箇所に大きな引っ張り力が作用するのを避けられない。このため、巻線53の表面の絶縁被膜が剥離したり、巻線53が断線することがあり、巻線53に加わるストレスが過大となる。
【0084】
しかるに、本実施形態の絶縁歯部58によれば、巻線53との接触箇所が三ヶ所となるので、絶縁歯部58に巻き付けられた巻線53に加わる圧縮力および引っ張り力が三ヶ所に分散され、巻線53に対する攻撃性を低く抑えることができる。
【0085】
特に、絶縁歯部58の基部62と側面63a,63bとで規定される一対のコーナ部は、円弧状に湾曲するように面取りされた曲面64となっているので、巻線53に大きなダメージを与えることはない。
【0086】
したがって、巻線53の損傷を未然に防止することができ、電動機12の品質の向上に寄与する。
【0087】
さらに、本実施形態の絶縁歯部58によると、絶縁シート75のうち第1のシート部75aと第2のシート部75b,75cとの境界部分では、絶縁シート75に変形が生じないので、当該境界部分に亀裂が入りやすい筋目75dが存在するにも拘らず、絶縁シート75が破損し難くなる。
【0088】
この結果、絶縁シート75として、耐熱性に優れるものの柔軟性に乏しいポリエチレンナフタレート樹脂を採用することができ、絶縁シート75を構成する材料を選択する上での自由度が増大する。
【0089】
本実施形態において、絶縁歯部58の凸部70は、連続して傾斜させる必要はなく、例えば凸部70の長手方向に沿う中間部に少なくとも一つの平坦部を設け、凸部70を階段状に形成してもよい。
【0090】
なお、凸部70は、両方の絶縁端板55,56の絶縁歯部58に設けることが好ましいが、一方のみに凸部70を設けてもよい。
【0091】
さらに、凸部70の傾斜角度αにしても一定に限らず、例えば外周壁部57から内周壁部59の方向に進むに従い傾斜角度αを大きくしたり、あるいは外周壁部57から内周壁部59の方向に進むに従い傾斜角度αを小さくしてもよい。
【0092】
一方、本実施形態に係る密閉型圧縮機2によると、圧縮機構部11から密閉容器10の内部に吐出された気相冷媒の多くは、回転子33の第1の流通路39、回転子33と固定子34との間のエアギャップGおよび固定子34の第2の流通路54を通じて密閉容器10の上端に接続された吐出管10bに導かれる。
さらに、圧縮機構部11の動作中は、密閉容器10の油溜まり部10cに貯溜された潤滑油Iが攪拌される。攪拌された潤滑油Iは、ミスト状となるとともに、気相冷媒の流れに乗じて密閉容器10の内部を吐出管10bに向けて上昇する。
本実施形態の密閉型圧縮機2では、電動機12の回転子33の上端に気相冷媒に含まれる潤滑油Iを密閉容器10の内部で分離する遠心式の油分離器100が組み込まれている。
図2および
図16に示すように、油分離器100は、第1の回転体101、第2の回転体102および波形ワッシャ103を主要な要素として備えている。第1の回転体101は、例えばばね性を有する炭素工具鋼で円筒状に一体成型されている。第2の回転体102は、例えば冷間圧延鋼板で円筒状に一体成型されている。
【0093】
図16ないし
図18に示すように、第1の回転体101は、小径部105、フランジ部106および大径部107を備えている。小径部105は、内径D1が回転軸15の連結部27cの上部の直径よりも大きな円筒状に形成されている。小径部105の下端には、回転軸15の連結部27cの上部が貫通する貫通孔108が形成されている。
【0094】
フランジ部106は、小径部105の周方向に連続する円環状の要素であって、小径部105の上端縁から小径部105の径方向外側に向けて水平に張り出している。
【0095】
大径部107は、フランジ部106の外周縁から小径部105の反対側に突出する円筒状に形成されている。大径部107は、小径部105と同軸状をなすとともに、小径部105の反対側に向けて開口された開口端109を有している。
【0096】
さらに、三つの係合片111a,111b,111cが小径部105の下端部に形成されている。係合片111a,111b,111cは、小径部105の周方向に沿う三ヶ所を径方向に沿う外側に向けて切り起こした弾性変形が可能な矩形状の要素であって、係合片111a,111b,111cの上端縁が小径部105の外側に張り出している。
【0097】
図17に最もよく示されるように、係合片111a,111b,111cは、小径部105の周方向に等間隔で並んでいる。それとともに、小径部105の周方向に沿う係合片111a,111b,111cの長さは、コア部35の周方向に沿う係合部37a,37b,37cの長さよりも短くなっている。
【0098】
図16および
図18に示すように、第2の回転体102は、小径部112、第1のフランジ部113、大径部114および第2のフランジ部115を備えている。小径部112は、内径D2が第1の回転体101の小径部105の外径よりも大きな円筒状に形成されている。小径部112の下端部は、小径部112の径方向に沿う内側に向けて僅かに折り曲げられているとともに、当該折り曲げ部分の内側に第1の回転体101の小径部105が貫通する貫通孔116が形成されている。
【0099】
第1のフランジ部113は、小径部112の周方向に連続する円環状の要素であって、小径部112の上端縁から小径部112の径方向外側に向けて水平に張り出している。
【0100】
大径部114は、第1のフランジ部113の外周縁から小径部112の反対側に突出する円筒状に形成されている。大径部114は、第1の回転体101の大径部107の外側にきっちりと嵌り込むような形状を有している。
【0101】
さらに、大径部114は、小径部112と同軸状をなすとともに、小径部112の反対側に向けて開口された開口端117を有している。第1の回転体101の大径部107と第2の回転体102の大径部114とが嵌合することで、第1の回転体101と第2の回転体102とが同軸状に位置合わせされる。
【0102】
第2のフランジ部115は、大径部114の周方向に連続する円環状の要素であって、大径部114の上端縁から大径部114の径方向外側に向けて水平に張り出している。第2のフランジ部115の外径D3は、例えば回転子33の直径と同程度に設定されている。第2のフランジ115の外周縁には、下向きに折り返された外周壁118が形成されている。外周壁118は、大径部114を同軸状に取り囲むように第2のフランジ部115の周方向に連続している。
【0103】
第1の回転体101の小径部105は、第2の回転体102の大径部114の開口端117から大径部114を貫通して小径部112に挿入される。この際、第1の回転体101の係合片111a,111b,111cが小径部112の貫通孔116の開口縁に摺動可能に接触するとともに、貫通孔116の開口縁に押されて小径部105の内側に向けて弾性的に変形する。
【0104】
係合片111a,111b,111cが貫通孔116を通り抜けると、係合片111a,111b,111cが元の形状に弾性的に復帰し、小径部105の外側に張り出す。そのため、第1の回転体101の小径部105の下端部が第2の回転体102の小径部112の貫通孔116から下向きに突出する。
【0105】
小径部105の下端部が貫通孔116から突出した状態では、係合片111a,111b,111cの上端縁が貫通孔116の開口縁よりも小径部112の径方向外側に張り出している。
【0106】
そのため、第1の回転体101の小径部105を第2の回転体102の貫通孔116から上方に引き抜こうとすると、係合片111a,111b,111cの上端縁が小径部112の下端に引っ掛かる。これにより、第1の回転体101および第2の回転体102は、互いに同軸状に連結された状態に維持される。
【0107】
図19および
図20に示すように、第1の回転体101の大径部107に一対の嵌合凸部120a,120bが形成されている。嵌合凸部120a,120bは、大径部107の外周壁を径方向外側に向けて部分的に膨出させることで構成されている。嵌合凸部120a,120bは、大径部107の外周面から突出するとともに、大径部107の内側から見た場合には、径方向外側に向けて凹んだ形状を有している。
【0108】
さらに、嵌合凸部120a,120bは、大径部107の中心に対し線対称・点対称とならない位置関係を満たすように、大径部107の周方向に互いに離れている。言い換えると、嵌合凸部120a,120bは、大径部107の周方向に不等間隔を存して配置されている。
【0109】
第2の回転体102の大径部114に一対の嵌合凹部121a,121bが形成されている。嵌合凹部121a,121bは、大径部114の外周壁を径方向外側に向けて部分的に膨出させることで構成されている。嵌合凹部121a,121bは、大径部114の外周面から突出するとともに、大径部114を内側から見た場合には、径方向外側に向けて凹んだ形状を有している。さらに、嵌合凹部121a,121bは、嵌合凸部120a,120bに対応するように、大径部114の周方向に不等間隔を存して配置されている。
【0110】
第1の回転体101および第2の回転体102を同軸状に連結した状態では、第1の回転体101の大径部107が第2の回転体102の大径部114の内側に嵌り込むとともに、嵌合凸部120a,120bが嵌合凹部121a,121bにきっちりと嵌合する。この嵌合により、嵌合凸部120a,120bが嵌合凹部121a,121bに対し第1の回転体101および第2の回転体102の周方向に移動不能に引っ掛かり、第1の回転体101および第2の回転体102の周方向に沿う位置決めがなされる。
【0111】
さらに、嵌合凸部120a,120bおよび嵌合凹部121a,121bは、点対称・線対称とならない位置に設けられているので、第1の回転体101と第2の回転体102との周方向に沿う組み付け位置が一つに限定される。そのため、第1の回転体101と第2の回転体102との間の相互の位置決めを確実に行うことができ、油分離器100の誤った組み立てを防止できる。
【0112】
波形ワッシャ103は、弾性体の一例であって、第1の回転体101のフランジ部106と第2の回転体102の第1のフランジ部113との間に圧縮状態で介在されている。波形ワッシャ103は、第1の回転体101の小径部105を第2の回転体102の小径部112に挿通する際に、予め第2の回転体102の第1のフランジ部113の上に載置されている。
【0113】
波形ワッシャ103は、第1の回転体101が第2の回転体102の開口端117から飛び出す方向に弾性的に付勢している。これにより、第1の回転体101の係合片111a,111b,111cの上端縁が小径部112の下端に引っ掛かり、第1の回転体101および第2の回転体102が一体構造物として組み立てられる。係合片111a,111b,111cの上端縁が小径部112の下端に引っ掛かった状態では、第1の回転体101の大径部107の上端が第2の回転体102の開口端117から僅かに飛び出ている。
【0114】
次に、油分離器100を回転子33の上端部に取り付ける手順について説明する。
【0115】
まず、第2の回転体102の貫通孔116から突出された第1の回転体101の小径部105の下端部を、第1の端板42の連通孔42aを通じて回転子33の挿通孔36に挿入する。
【0116】
小径部105を挿通孔36に挿入するに際しては、第1の回転体101の係止片111a,111b,111cを回転子33の係合部37a,37b,37cに合致させる。すなわち、第1の回転体101の小径部105は、係止片111a,111b,111cを係合部37a,37b,37cの位置に合わせた状態で、回転子33の挿通孔36に挿入する。
【0117】
第1の回転体101の小径部105を回転子33の挿通孔36に挿入すると、第1の回転体101の係合片111a,111b,111cが第1の端板42の連通孔42aの開口縁に摺動可能に接触する。さらに、係合片111a,111b,111cは、連通孔42aの開口縁に押されて小径部105の内側に向けて弾性的に変形する。
【0118】
小径部105が波形ワッシャ103の付勢力に抗して連通孔42aにさらに押し込まれると、係合片111a,111b,111cの上端縁が小径部112の下端から離脱する。係合片111a,111b,111cは、連通孔42aを通り抜けた時に係合部37a,37b,37cの内側で元の形状に復帰するように弾性的に拡開する。
【0119】
これにより、係合片111a,111b,111cが係合部37a,37b,37cの内面に引っ掛かり、第1の回転体101が回転子33に連結される。それとともに、係合片111a,111b,111cの上端縁が波形ワッシャ103の付勢力により連通孔42aの周囲で第1の端板42の下面に突き当たる。さらに、第2の回転体102の小径部112の下端部が波形ワッシャ103の付勢力により連通孔42aの周囲で第1の端板42の上面に押し付けられる。
【0120】
言い換えると、波形ワッシャ103の付勢力により第1の回転体101が上向きに押圧され、第2の回転体102が下向きに押圧されるので、第1の端板42が係合片111a,111b,111cの上端縁と小径部112の下端部との間で強固に挟み込まれる。
【0121】
この結果、
図16に示すように、油分離器100が回転子33の上端部に固定され、第2の回転体102の第1のフランジ部113および第2のフランジ部115が回転子33の上端面と向かい合う。
【0122】
さらに、油分離器100が回転子33の上端部に固定された状態では、第1の回転体101が第2の回転体102に対し第1の端板42の厚み分だけ押し下げられる。これにより、第1の回転体101の大径部107の上端が第2の回転体102の第2のフランジ部115の上面と同一面上に位置するか、あるいは第2の回転体102の開口端117の内側に入り込む。
【0123】
したがって、第1の回転体101の大径部107の上端と第2の回転体102の第2のフランジ部115との位置関係を目視することで、油分離器100が回転子33の上端部に正確に取り付けられたか否かを電動機12の外から容易に認識することができる。
【0124】
電動機12の回転子33が回転すると、回転子33のトルクが油分離器100の第1の回転体101を介して第2の回転体102に伝わり、第1の回転体101および第2の回転体102が回転子33に追従して一体的に回転する。
【0125】
圧縮機構部11から密閉容器10の内部に吐出された気相冷媒は、ミスト状となった潤滑油Iとともに回転子33の第1の流通路39およびエアギャップGを通って電動機12の上方に向けて流れる。
【0126】
本実施形態によると、電動機12の回転子33の上端面は、油分離器100の第1のフランジ部113および第2のフランジ部115と向かい合っている。このため、電動機12の上方に向かう気相冷媒の主流は、第1のフランジ部113の下面および第2のフランジ部115の下面に衝突することで流れ方向が変わり、
図16に矢印で示すように、第1のフランジ部113の下面および第2のフランジ部115の下面に沿って密閉容器10の内周面の方向に向かう。
【0127】
この際、第1のフランジ部113および第2のフランジ部115が気相冷媒に混入している潤滑油Iを受け止める。この結果、潤滑油Iは、気相冷媒の流れに追従できずに気相冷媒から分離されるとともに、油分離器100の回転に伴う遠心力により密閉容器10の内周面に向けて吹き飛ばされる。吹き飛ばされた潤滑油Iは、密閉容器10の内周面に沿って垂れ落ちるとともに、固定子34の第2の流通路54に流入する。
【0128】
第2の流通路54に流入した潤滑油Iは、第2の流通路54を通って密閉容器10の底部の油溜まり部10cに戻る。したがって、気相冷媒に混入した潤滑油Iを油分離器100で分離して密閉容器10の油溜まり部10cに戻すことができ、吐出管10bから循環回路7に流出する潤滑油Iの量を減らすことができる。
【0129】
本実施形態によると、
図17に示すように、小径部105の周方向に沿う係合片111a,111b,111cの長さがコア部35の周方向に沿う係合部37a,37b,37cの長さよりも短いので、係合片111a,111b,111cと係合部37a,37b,37cとの間には、回転子33の回転方向に沿う遊びが存在する。
【0130】
このため、回転子33の上端部に対する油分離器100の固定が不完全であると、例えば電動機12の始動時および停止時に生じる慣性力により、油分離器100が回転子33の周方向に単独で振れ回ることがあり得る。油分離器100に振れ回りが生じると、電動機12の運転時間の経過に伴い係合片111a,111b,111cと係合部37a,37b,37cとの接触箇所が次第に摩耗し、油分離器100にがたつきや脱落を招く要因となる。
したがって、係合片111a,111b,111cの上端縁と小径部112の下端部との間で第1の端板42を挟み込んだ状態において、回転子33を固定して油分離器100を強制的に回転させた時の油分離器100の保持力を測定する試験が行われる。
【0131】
本実施形態の油分離器100では、第1の回転体101の大径部107に一対の嵌合凸部120a,120bが形成され、当該嵌合凸部120a,120bは、大径部107の内側から見た時に、大径部107の周方向に離れた位置で大径部107の径方向外側に向けて凹んだ形状を有している。
【0132】
そのため、本実施形態では、
図19に示すように、大径部107の内側から嵌合凸部120a,120bにきっちりと嵌り込む一対の検査用治具123a,123bが準備されている。嵌合凸部120a,120bに嵌合された検査用治具123a,123bを第1の回転体101を周方向に回転させると、第1の回転体101から第2の回転体102にトルクが伝わり、油分離器100が固定状態にある回転子33に対して回転しようとする。
したがって、油分離器100を回転させるに至ったトルクを測定することで、回転子33に対する油分離器100の保持力を検出することが可能となる。
【0133】
検査用治具123a,123bは、大径部107の周方向に離れた二か所で第1の回転体101に引っ掛かるので、第1の回転体101を確実に回すことができ、実際の油分離器100の保持力を精度よく検出することができる。よって、油分離器100の保持力を検出する際の作業を効率よく行えるとともに、検出結果の信頼性が向上する。
【0134】
さらに、本実施形態では、第1の回転体101と第2の回転体102との周方向に沿う位置決めをなす嵌合凸部120a,120bを利用して検査用治具123a,123bを引っ掛けている。このため、油分離器100に検査用治具123a,123bを引っ掛けるための専用の構成を付加する必要はなく、油分離器100の構成を簡略化することができる。
【0135】
実施形態において、嵌合凹部および嵌合凸部の数は二つに限らず、例えば三つ以上としてもよい。この場合、三つの嵌合凹部および嵌合凸部は、第1の回転体および第2の回転体の周方向に沿って不等間隔に設けることが必要である。
【0136】
さらに、第1の回転体の大径部に、当該大径部の内側に凹む一対の嵌合凹部を設けるとともに、第2の回転体の大径部に嵌合凹部に嵌合するように大径部の内側に突出する一対の嵌合凸部を設けてもよい。
【0137】
加えて、検査用治具にしても前記実施形態に限らず、複数の嵌合凹部又は嵌合凸部に引っ掛けることができれば、その形状および構成に特に制約はない。
【0138】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0139】
2…密閉型圧縮機、4…放熱器(室外熱交換器)、5…膨張装置、6…吸熱器(室内熱交換器)、7…循環回路、10…密閉容器、11…圧縮機構部、12…電動機、33…回転子34…固定子、34a…固定子鉄心、50…コア部、51…磁極歯、52…スロット、53…巻線、55,56…絶縁端板、58…絶縁歯部、62…基部、70…凸部。