(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】LED光源ユニット、LED発光装置及びLED光源ユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/54 20100101AFI20220118BHJP
【FI】
H01L33/54
(21)【出願番号】P 2017253240
(22)【出願日】2017-12-28
【審査請求日】2020-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】596099446
【氏名又は名称】シーシーエス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【氏名又は名称】中村 惇志
(72)【発明者】
【氏名】岡島 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 顕治
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-288457(JP,A)
【文献】登録実用新案第3156826(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0009700(US,A1)
【文献】特開2017-175052(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1317952(KR,B1)
【文献】特開2009-252793(JP,A)
【文献】登録実用新案第3138582(JP,U)
【文献】特開平11-067799(JP,A)
【文献】特開2006-278205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDチップが搭載された複数のLED光源ユニットを所定の方向に沿って互いに隣接するように並べて構成したLED発光装置であって、
前記複数のLED光源ユニットがいずれも、
矩形状のユニット基板と、
前記ユニット基板の表面に設定された所定のLEDチップ搭載領域に搭載されている複数の
前記LEDチップと、
前記複数のLEDチップを覆うように前記LEDチップ搭載領域に亘って充填された封止部材と、
前記LEDチップ搭載領域の縁部に沿って設けられたダムとを備え、
前記ダムが、前記ユニット基板が有する一対の対辺の一方から他方に向かう方向に沿ってのみ設けられ、かつ前記一対の対辺の一方から他方に亘って設けられたものであり、
前記ダムの本数が1本又は複数本であ
り、
前記複数のLED光源ユニットは、隣接する一方のLED光源ユニットの前記一対の対辺の一方と、他方のLED光源ユニットの前記一対の対辺の他方とが隣接するように配置されているLED発光装置。
【請求項2】
前記一対の対辺と垂直な方向を横方向とした場合に、前記複数のLEDチップが、横方向に同一ピッチで並べられており、前記一対の対辺から最も近くにある前記LEDチップまでの距離が、前記横方向のピッチの半分の長さである、請求項1記載のLED
発光装置。
【請求項3】
前記一対の対辺と平行な方向を縦方向とした場合に、前記複数のLEDチップが縦方向に同一ピッチで並べられている、請求項1又は2記載のLED
発光装置。
【請求項4】
前記ユニット基板における前記LEDチップ搭載領域の縦方向外側に、前記LEDチップに電力を供給するためのコネクタが搭載されており、
前記ダムが、LEDチップ搭載領域におけるコネクタ側の縁部に沿って設けられている、請求項1~3のいずれか記載のLED
発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED光源ユニット、LED発光装置及びLED光源ユニットの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板の表面にLEDチップを多数実装した所謂チップオンボード型のLED光源ユニットとしては、例えば特許文献1に示すように、封止樹脂を堰き止めるためのダムが、基板上の複数のLEDチップを取り囲むようにして設けられているものが知られている。このようなLED光源ユニットを、それぞれの基板の辺(隣接辺ともいう)が隣接するようにして並べて連結することで、所望のサイズの発光面を有するLED発光装置を得ることができる。
【0003】
ところで、上記した複数のLEDチップを取り囲むようにダムが設けられているLED光源ユニットでは、基板の連結辺とLEDチップとの間に所定幅長さを有するダムが存在するため、基板の連結辺とLEDチップとの間の距離は、LEDチップのピッチに比べて大きくなっている。そのため、このようなLED光源ユニットを隣接するように並べると、隣接するLED光源ユニットのそれぞれのLEDチップ間の距離が大きくなり、連結辺近傍で照度が低下する照度ムラが生じてしまう。
【0004】
隣接するLED光源ユニットの連結辺近傍で照度ムラが生じないようにするには、連結された複数のLED光源ユニットの連結方向へのLEDチップのピッチを一定にする必要がある。具体的には、LED光源ユニットの基板の連結辺から最も近いLEDチップまでの距離を、LED光源ユニットのLEDチップの連結方向へのピッチ長さの半分にする必要がある。
しかしながら、上述したLED光源ユニットは、基板の連結辺とLEDチップとの間に所定幅長さを有するダムが存在するので、連結しても照度ムラを生じさせないためには、この基板の連結辺からLEDチップまでの距離に合わせて各LED光源ユニットのLEDチップのピッチを広げる必要がある。すると、LEDチップの実装密度が低下して光量が低下してしまう。また、隣り合うLEDチップ間の距離が長くなるので、この間の照度が低下して、照度ムラが生じてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、複数個連結しても、所定の光量を担保することができ、しかも照度ムラを低減できるLED光源ユニット及びこのようなLED光源ユニットを用いたLED発光装置を提供することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係るLED光源ユニットは、矩形状のユニット基板と、前記ユニット基板の表面に設定された所定のLEDチップ搭載領域に搭載されている複数のLEDチップと、前記複数のLEDチップを覆うように前記LEDチップ搭載領域に亘って充填された封止部材と、前記LEDチップ搭載領域の縁部に沿って設けられたダムとを備え、前記ダムが、前記ユニット基板が有する一対の対辺の一方から他方に向かう方向に沿ってのみ設けられ、かつ前記一対の対辺の一方から他方に亘って設けられたものであり、前記ダムの本数が1本又は複数本であることを特徴とする。
【0008】
このような構成であれば、ユニット基板の一対の対辺の一方から他方に向かう方向にのみダムが設けられており、ユニット基板の一対の対辺のそれぞれとLEDチップとの間にダムを有さないので、ユニット基板の一対の対辺のそれぞれから最も近いLEDチップまでの距離を、ダムに制限されることなく調節することができる。そのため、ユニット基板の一対の対辺のそれぞれからLEDチップまでの距離を、LEDチップのピッチに合わせて、照度ムラを低減できるように設定することができるようになる。これにより、対辺が隣接するように複数のLED光源ユニットを並べて配置させても、連結部近傍における照度の低下を抑制でき、照度ムラを低減することができる。
また、連結部近傍における照度ムラを低減するためにLEDチップのピッチを広げる必要がないので、LEDチップの実装密度が低下せず、所定の光量を担保することができる。また、LEDチップのピッチを広げないので、各ユニット基板における隣り合うLEDチップ間における照度ムラを低減できる。
【0009】
また、ダムが一対の対辺の一方から他方に亘って設けられているので、対辺が隣接するように複数のLED光源ユニットを配置する場合に、それぞれのユニット基板の辺上のダムの位置を合わせることによって、それぞれのユニット基板の位置を合わせることができる。そのため、LED光源ユニットの位置合わせにかかる作業をより容易にすることができる。
【0010】
前記LED光源ユニットは、前記一対の対辺と垂直な方向を横方向とした場合に、前記複数のLEDチップが、横方向に同一ピッチで並べられており、前記一対の対辺から最も近くにある前記LEDチップまでの距離が、前記横方向のピッチの半分の長さであることが好ましい。
このような構成であれば、対辺が隣接するように複数のLED光源ユニットを配置する場合に、各LED光源ユニットのLEDチップの横方向のピッチと、互いに隣接するLED光源ユニットのLEDチップ間の距離とを等しくすることができる。すなわち、隣接する複数のLED光源ユニットに亘ってLEDチップの横方向のピッチを一定にすることができるので、LED光源ユニットの連結部近傍における横方向の照度ムラを可及的に低減することができる。
【0011】
なお本発明でいう「横方向のピッチ」とは、LED光源ユニットを平面視して、横方向に隣り合う2つのLEDチップのそれぞれの中心間の距離である。「対辺から最も近くにあるLEDチップまでの距離」とは、LED光源ユニットを平面視して、対辺の一方の辺と、最も近くにあるLEDチップの中心との間の最短距離である。
【0012】
前記LED光源ユニットは、前記一対の対辺と平行な方向を縦方向とした場合に、前記複数のLEDチップが縦方向に同一ピッチで並べられていることが好ましい。
このようなものであれば、LED光源ユニットの縦方向の照度ムラを可及的に低減することができる。なお、本発明でいう「縦方向のピッチ」とは、LED光源ユニットを平面視して、縦方向に隣り合う2つのLEDチップのそれぞれの中心間の距離である。
【0013】
前記LED光源ユニットの具体的な構成としては、前記ユニット基板における前記LEDチップ搭載領域の縦方向外側に、前記LEDチップに電力を供給するためのコネクタが搭載されており、前記ダムが、LEDチップ搭載領域におけるコネクタ側の縁部に沿って設けられているものを挙げることができる。
【0014】
本発明のLED発光装置は、前記LED光源ユニットを複数備え、隣接する一方のLED光源ユニットの前記一対の対辺の一方と、他方のLED光源ユニットの前記一対の対辺の他方とが隣接するように、前記複数のLED光源ユニットが配置されていることを特徴とする。
このようなLED発光装置であれば、上述したLED光源ユニットにより得られる作用効果と同様の作用効果を奏し得る。
【0015】
本発明はまた、上記LED光源ユニットを製造する方法であって、矩形状の基礎基板の表面に設定された所定のLEDチップ配設領域に、複数のLEDチップを搭載する搭載工程と、前記LEDチップ配設領域の周縁にダムを形成するダム形成工程と、前記ダムの内側に樹脂を流し込み、前記複数のLEDチップを封止する樹脂封止工程と、前記基礎基板が有する一対の対辺に平行な方向を第1方向とし、前記一対の対辺と垂直な方向を第2方向とした場合に、前記ダムにおける第2方向に向かい合う部分を、その下の前記基礎基板と共に第1方向に沿って切断して除去する除去工程とを有することを特徴とする。
【0016】
このような方法であれば、ユニット基板の表面に複数のLEDチップが搭載されたものであり、一対の対辺の一方から他方に向かう方向に沿ってのみダムが設けられているLED光源ユニットを得ることができる。
また、基礎基板として大きなものを使用し、この基礎基板に複数個のLED光源ユニットに対応する数のLEDチップを搭載して、これらのLEDチップをダムにより取り囲むようにしておけば、一回の樹脂封止工程により、複数個のLED光源ユニットに対応するLEDチップをまとめて樹脂封止することができるので、製造作業を効率化できる。
【0017】
このLED光源ユニットの製造方法は、樹脂封止工程後の基礎基板を、第1方向に沿って切断して分割する分割工程を更に有することが好ましい。
このようなものであれば、基礎基板に複数個のLED光源ユニットに対応する数のLEDチップを搭載させておけば、この基礎基板を任意の位置で切断して分割することで、任意の大きさのLED光源ユニットを最終的に得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
このように構成した本発明によれば、複数個連結しても、所定の光量を担保することができ、しかも照度ムラを低減できるLED光源ユニット及びこのようなLED光源ユニットを用いたLED発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態のLED発光装置の全体構成を模式的に示す平面図。
【
図2】本実施形態のLED光源ユニットの構成を模式的に示す平面図。
【
図4】本実施形態のLED光源ユニットの構成を模式的に示す斜視図。
【
図5】本実施形態のLED光源ユニットの製造工程を模式的に示す図。
【
図6】他の実施形態のLED発光装置の構成を模式的に示す平面図。
【
図7】他の実施形態のLED光源ユニットの構成を模式的に示す平面図。
【
図8】他の実施形態のLED光源ユニットの製造工程を模式的に示す図。
【
図9】他の実施形態のLED光源ユニットの構成を模式的に示す平面図。
【
図10】他の実施形態のLED光源ユニットの製造工程を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明に係るLED発光装置の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明するLED発光装置は本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。また、一の実施形態において説明する内容は、他の実施形態にも適用可能である。また、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
【0021】
本実施形態のLED発光装置100は、
図1に示すように、複数のLEDチップ20を実装した所謂チップオンボード型のLED光源ユニット1を複数個有するライン光照射装置である。このLED発光装置100は、紫外線硬化性樹脂等の対象物に紫外光を照射して、対象物を硬化させるのに使用される。
【0022】
このLED光源ユニット1は、
図2及び
図3に示すように、金属基板10(本発明の「ユニット基板」に相当する)と、金属基板10の表面に設定された所定のLEDチップ搭載領域に搭載された複数のLEDチップ20と、複数のLEDチップ20を覆うモールド材40(本発明の「封止部材」に相当する)と、金属基板10の表面であって、LEDチップ搭載領域の縁部に設けられたダム50とを具備している。
【0023】
金属基板10は、アルミニウム等の熱伝導率が高い金属からなるものであり、平行な一対の辺12a及び12b(本発明の「一対の対辺」に相当)と、この辺12a及び12bに垂直な一対の辺14a及び14bとを有する平面視概略矩形板状のものである。
以下のLED発光装置10についての説明では、一対の辺12a及び12bに平行な方向を縦方向、一対の辺12a及び12bに垂直な方向を横方向という。
【0024】
前記金属基板10の表面には、LEDチップ20を搭載するためのLEDチップ搭載領域と、後述するコネクタCを搭載するためのコネクタ搭載領域が設定されている。コネクタ搭載領域は、LEDチップ搭載領域の縦方向外側の一方に設定されている。
【0025】
LEDチップ20は、ここでは紫外光を発するものである。具体的には、上面視して外縁形状が概略矩形状のものであり、上面には図示しないn側電極及びp側電極がそれぞれ設けられている。このLEDチップ20は、金属基板10の上面に、絶縁膜Xを介して搭載されている。この絶縁膜Xとしては、例えばエポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂及びそれらの共重合体を用いてよい。また、それらの樹脂には適宜、高い放熱性を有する無機フィラーや硬化剤、その他添加材などが混入されてもよい。
図2に示すように、この複数のLEDチップ20は、LEDチップ搭載領域内で、縦ピッチP
Vと横ピッチP
Hのそれぞれが一定である縦横マトリックス状に配置されている。すなわち、一定の間隔P
Vをあけて縦方向に一列に配置された複数のLEDチップ20が、一定の間隔P
Hをあけて横方向に複数列設けられている。縦方向に一列に配置された複数のLEDチップ20は、ここではワイヤボンディング(不図示)により直列に接続されている。
なお、縦ピッチP
V及び横ピッチP
Hの長さや、縦方向及び横方向のLEDチップ20の数は、LED発光装置100の用途に応じて適宜変更されてよい。
【0026】
この実施形態では、辺12a及び12bと、辺12a及び12bから最も近くにあるLEDチップ20までの距離Dは、横ピッチPHの半分の長さになるように構成されている。
【0027】
金属基板10の表面には、金属配線層30がさらに設けられている。金属配線層30は、絶縁膜Xを介して前記金属基板10の上面に設けられている。この金属配線層30の上面には、縦方向に一列に配置されたLEDチップ20のうち最も近くに位置するLEDチップ20がワイヤボンディングにより接続されている。
なお本実施形態では、この金属配線層30を覆うように図示しない絶縁膜が設けられている。
【0028】
金属基板10の表面のコネクタ搭載領域には、絶縁膜Xを介してコネクタCが搭載されている。このコネクタCには図示しない電力供給ケーブルが接続されており、コネクタCは、金属配線層30を介して、複数のLEDチップ20に電力を供給することができるように構成されている。
【0029】
モールド材40は、紫外光を透過させる樹脂からなるものであり、例えば、シリコーン系樹脂やエポキシ系樹脂やフッ素系樹脂である。このモールド材40は、金属基板10上に、LEDチップ搭載領域に亘って複数のLEDチップ20を覆うようにして充填されている。そしてその上面41が、LED発光装置100の発光面として機能するように構成されている。
【0030】
具体的にこのモールド材40は、縦方向においてダム50に挟まれるようにして設けられている。また横方向において、金属基板10の一対の辺の一方12aから他方12bに亘って設けられている。
図4に示すように、このモールド材40の横方向の端面42は、金属基板10の側面16と面一となるように構成されている。
【0031】
ダム50は、製造過程において充填されたモールド材40を堰き止めるためのものであり、ここではシリコーン系樹脂から形成されている。このダム50は、LEDチップ搭載領域の外縁に沿って設けられたものであり、金属配線層30上にシリコーン系樹脂を盛り上げていくことで形成される、半円状の断面をなす直線状のものである。
【0032】
しかして本実施形態のLED光源ユニット1では、ダム50は、LEDチップ搭載領域における縦方向に向かい合う縁部の両方に沿ってのみ設けられている。すなわち、ダム50は横方向に沿ってのみ設けられており、縦方向に沿っては設けられていない。
【0033】
より具体的には、ダム50は、横方向に沿って設けられた2本の平行な直線状のダム51及び52を有している。そして、この2本のダム51及び52は、一対の辺12a及び12bに垂直な方向に沿って延びるように設けられている。ダム51及び52は、金属基板10の一方の辺12aから他方の辺12bに亘って設けられている。
【0034】
ダム51は、LEDチップ搭載領域におけるコネクタC側の縁部に沿って設けられている。一方、ダム52は、LEDチップ搭載領域におけるコネクタCと反対側の縁部に沿って設けられている。
本実施形態では、
図4に示すように、ダム51(及び52)の横方向の端面511(及び521)は、金属基板10の側面16及びモールド材40の端面42と面一となるように構成されている。
【0035】
本実施形態のLED発光装置100では、複数のこのようなLED光源ユニット1が、横方向に互いに隣接するように配置されている。具体的には、一方のLED光源ユニット1の一方の辺12aと、他方のLED光源ユニット1の他方の辺12bとが隣接するように、複数のLED光源ユニット1が配置されている。また、一方のLED光源ユニット1のダム51及び52と、これに隣接する他方のLED光源ユニット1のダム51及び52とが、横方向に沿って直線状となるように構成されている。
【0036】
次に、本実施形態のLED光源ユニット1の製造方法について、
図5を参照しながら説明する。
【0037】
まず、平行な一対の辺62a及び62bと、この一対の辺62a及び62bに垂直な一対の辺64a及び64bを有する概略視矩形板状の基礎基板60を準備する。なお以下のLED光源ユニットの製造方法についての説明では、一対の辺62a及び62bと平行な方向を第1方向、一対の辺62a及び62bと垂直な方向を第2方向という。
この基礎基板60は、後に第1方向に切断することで前記した金属基板10になるものであり、金属基板10を横方向に伸ばしたような形状をなしている。
図5の(a)に示すように、この基礎基板60の表面に設定したLEDチップ配設領域に、複数のLEDチップ20をマトリクス状に搭載し、基礎基板60の表面であってLEDチップ配設領域の外側に設定したコネクタ配設領域に複数のコネクタCを搭載し、LEDチップ20と金属配線層30(不図示)や、LEDチップ20同士をワイヤボンディング(不図示)により接続した状態にする(搭載工程)。
なおここでは、複数のLEDチップ20は、5個のLEDチップ20を所定のピッチP
Vで第1方向に沿って一列に配置し、これを所定のピッチP
Hで第2方向に沿って24列配置している(すなわち、基礎基板60上に120個のLEDチップ20が搭載されている)。
【0038】
次に、
図5の(b)に示すように、前記基礎基板60上において、前記LEDチップ配設領域の周縁に、白色シリコーンを盛り上げて、平面視ロ字状(矩形枠状)のダム50を形成する(ダム形成工程)。ここで、ダム50は、基礎基板60の第1方向及び第2方向の辺のそれぞれと平行になるように形成される。ダム50を形成した後、矩形枠状のダム50の内側にモールド材40を流し込んで、複数のLEDチップ20を封止する(樹脂封止工程)。このモールド材40は、必要に応じて蛍光体を含有してもよい。
【0039】
そして、
図5の(c)に示すように、モールド材40を硬化した後、ダム50における第2方向に向かい合う部分を、その下の基礎基板60と共に第1方向に沿って切断して除去する(除去工程)。具体的には、基礎基板60の、第2方向におけるLEDチップ配設領域の両端側に設定された捨て基板62部分を、その上に設けられたダム50及びモールド材40と共に、第1方向と平行な切断線L0に沿って切断して除去する。
【0040】
そして、
図5の(d)に示すように、捨て基板62を除去した後の基礎基板60を、第1方向に平行にさらに切断して分割することで、任意の大きさのLED光源ユニット1を得る(分割工程)。なお、基礎基板60を切断する際には、第2方向に沿って隣り合うLEDチップ20の列の真ん中を切断するようにする。
ここでは、(
図5の(c))に示す切断線L1及びL2で基礎基板60を切断することで、1列5個×4列のLEDチップマトリクスを有するLED光源ユニット1と、1列5個×8列のLEDチップマトリクスを有するLED光源ユニット1と、1列5個×12列のLEDチップマトリクスを有するLED光源ユニット1と、を得ることができる。
【0041】
このように構成された本実施形態のLED発光装置100では、各LED光源ユニット1が、金属基板10の一対の辺12a及び12bとLEDチップ20との間にダムを有さないので、金属基板10の対向する辺12a及び12bから最も近いLEDチップ20までの距離Dを、ダムに制限されることなく調節することができる。本実施形態では、金属基板10の対向する辺12a及び12bからLEDチップ20までの距離Dを、LEDチップ20の横方向のピッチPHに合わせて、照度ムラを低減するように設定しているので、隣接する複数のLED光源ユニット1の連結部近傍における照度の低下を抑制し、照度ムラを低減できる。
また、連結部近傍における照度ムラを低減するためにLEDチップ20の横方向のピッチPHを広げる必要がないので、LEDチップ20の実装密度が低下せず、所定の光量を担保することができる。また、LEDチップ20の横方向のピッチPHを広げないので、各金属基板10における隣り合うLEDチップ20間における照度ムラを低減できる。
【0042】
また、ダム51及び52が、辺12aから他方の辺12bに亘って設けられているので、隣り合う金属基板10の辺上のダム51及び52のそれぞれの位置を合わせることによって、隣り合う金属基板10の位置を合わせることができる。そのため、LED光源ユニット1の位置合わせにかかる作業が容易である。
【0043】
また、複数のLEDチップ20が、横方向に同一ピッチPHで並べられており、一対の辺12a及び12bから最も近くにあるLEDチップ20までの距離が、横方向のピッチPHの半分の長さであるので、隣接する複数のLED光源ユニット1に亘ってLEDチップ20の横方向のピッチを一定にすることができる。そのため、隣接するLED光源ユニット1の連結部近傍における横方向の照度ムラを可及的に低減することができる。
また、複数のLEDチップ20が縦方向にも同一ピッチPVで並べ設けられているので、縦方向の照度ムラを可及的に低減することができる。
【0044】
<その他の実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0045】
前記実施形態のLED発光装置100は、互いに分離している複数のLED光源ユニット1が隣接して連結したものであったがこれに限定されない。他の実施形態では、
図6に示すように複数のLED光源ユニット1が一体的に連結されたものであってもよい。すなわち、各LED光源ユニット1の、金属基板10、2本のダム51及び52、モールド材40が、途切れることなく横方向に連続的につながっているものであってもよい。
【0046】
前記実施形態のLED発光装置100の製造方法では、捨て基板62を除去した後、基礎基板60を第1方向に沿って切断して分割していたが、これに限定されない。他の実施形態では、ダム50の内側にモールド材40を流し込んだ後であって、捨て基板62を除去する前に、基礎基板60を第1方向に沿って切断して分割してもよい。
【0047】
前記実施形態では、LED光源ユニット1のダム50は、LEDチップ搭載領域における縦方向に向かい合う縁部の両方に沿って設けられた2本の平行なダム51及び52を有するものであったが、これに限定されない。他の実施形態では、LEDチップ搭載領域における縦方向に向かい合う縁部の一方のみにダムが設けられていてもよい。より具体的には、
図7に示すように、LEDチップ搭載領域のコネクタC側の縁部に沿って横方向に設けられた1本のダム51のみを有するものであってもよい。
【0048】
LEDチップ搭載領域における縦方向に向かい合う縁部の一方のみにダムが設けられているLED光源ユニット1の製造工程を、
図8に示す。この実施形態では、
図8の(c)及び(d)に示すように、基礎基板60を切断して捨て基板62部分を除去した後、この基礎基板60の、LEDチップ搭載領域におけるコネクタCと反対側の捨て基板63部分を、その上に設けられたダム50及びモールド材40と共に、第2方向に平行な切断線L0’に沿って切断して除去する。
なお、当該捨て基板63部分を切断して除去する工程以外の工程は、
図5に示す工程と同様である。
捨て基板63部分を切断して除去する工程は、ダム50の内側にモールド材40を流し込んだ後であればよく、例えば捨て基板62部分を切断して除去する工程の前に行われてもよい。
【0049】
前記実施形態の製造方法では、捨て基板62を除去した後の基礎基板60を更に第1方向に切断して分割していたがこれに限定されない。他の実施形態では、捨て基板62を除去した後の基礎基板60をそれ以上第1方向に切断して分割することなく、サイズの大きいLED光源ユニット1として使用してよい。
【0050】
他の実施形態のLED光源ユニット1は、
図9に示すように、LEDチップ搭載領域内に、横方向に沿って設けられたインナーダム70を更に有してもよい。より具体的には、インナーダム70は、横方向に沿って設けられた2本の平行な直線状のダム71及び72を有している。この2本のインナーダム71及び72は、横方向において一方の辺12aから他方の辺12bに亘って設けられている。縦方向において、一方のインナーダム71と他方のインナーダム72との間にはLEDチップ20が設けられており、一方のインナーダム71(又は他方のインナーダム72)と一方のダム51(又は他方のダム52)との間にも、LEDチップ20が設けられている。
この実施形態では、一方のインナーダム71と他方のインナーダム72との間には、一方のインナーダム71(又は他方のインナーダム72)と一方のダム51(又は他方のダム52)との間に充填されるモールド材とは異なる種類のモールド材が充填されている。
このような構成であれば、LED光源ユニット1に複数種類のモールド材が充填されているので、1つのLED光源ユニット1は複数の色温度の光を照射することができる。
【0051】
インナーダム71及び72を有するLED光源ユニット1の製造工程を、
図10に示す。この実施形態では、
図10の(b)に示すように、ダム形成工程において、LEDチップ配設領域の周縁に白色シリコーンを盛り上げて、矩形枠状のダム50を形成するとともに、ダム50の内側(すなわちLEDチップ配設領域内)に白色シリコーンを盛り上げて、矩形枠状のインナーダム70を形成する。ここで第1方向において、インナーダム70の内側に1つ以上のLEDチップ20が含まれ、かつインナーダム70とダム50との間に1つ以上のLEDチップ20が含まれるとともに、第2方向において、インナーダム70とダム50との間にLEDチップ20が含まれないようにインナーダム70が形成される。
【0052】
ダム50及びインナーダム70を形成した後、インナーダム70の内側にモールド材を流し込み、さらに、ダム50とインナーダム70の間に、インナーダム70の内側に流し込まれたモールド材とは異なる種類のモールド材を流し込む。
【0053】
そして、
図10の(c)に示すように、モールド材を硬化した後、インナーダム70における第2方向に向かい合う部分を、その下の基礎基板60と共に第1方向に沿って切断して除去する。具体的には、基礎基板60の、第2方向に沿って両端にあるLEDチップ20よりも外側の捨て基板62部分を、その上に設けられたダム50、インナーダム70及びモールド材と共に、第1方向と平行な切断線L0に沿って切断して除去する。
その他の工程は、
図5に示す工程と同様である。
【0054】
前記実施形態のLEDチップ20は紫外光を射出するものであったが、これに限らず赤外光や可視光を射出するものであってもよい。
【0055】
前記実施形態のダム51及び52は白色シリコーンであったが、これに限らず例えば透明のシリコーンであってもよい。
【0056】
前記実施形態のLED光源ユニット1は、金属基板10を備えるものであったが、基板は金属に限らず、例えば、セラミック基板であってもよい。
【0057】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0058】
100・・・LED発光装置
1 ・・・LED光源ユニット
10 ・・・金属基板(ユニット基板)
12a、12b ・・・一対の対辺
20 ・・・LEDチップ
40 ・・・モールド材(封止部材)
50(51、52)・・・ダム