IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アイ・ライティング・システムの特許一覧

<>
  • 特許-設定変更器 図1
  • 特許-設定変更器 図2
  • 特許-設定変更器 図3
  • 特許-設定変更器 図4
  • 特許-設定変更器 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】設定変更器
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20220118BHJP
   H03B 17/00 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
H02J50/10
H03B17/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018029273
(22)【出願日】2018-02-22
(65)【公開番号】P2019146391
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2021-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000126274
【氏名又は名称】株式会社アイ・ライティング・システム
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(74)【代理人】
【識別番号】100188260
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 愼二
(72)【発明者】
【氏名】松本 稔
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03086624(EP,A1)
【文献】特開2011-101524(JP,A)
【文献】特開2016-025460(JP,A)
【文献】特開2014-093250(JP,A)
【文献】特表2018-517240(JP,A)
【文献】特開2013-045518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/10
H03B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明ランプに対応するように照明用電源装置のパラメータ設定を非接触で変更する設定変更器であって、
当該設定変更器は、外部からの入力信号に応じたパラメータ設定信号を出力する入力信号変調回路と、直流電源からの直流電圧を一定の繰り返し振動電圧に変換する発振回路と、該発振回路からの振動電圧を増幅させるとともに前記入力信号変調回路からのパラメータ設定信号を受けて該パラメータ設定信号と増幅された振動電圧とを合成して得られる合成変調電力を出力する増幅変調回路と、該増幅変調回路からの合成変調電力を利用して前記照明用電源装置のパラメータ設定変更に必要な電力およびパラメータ設定信号を該照明用電源装置へ伝送する磁場アンテナと、を備え、
前記磁場アンテナは、補助コンデンサおよび磁場コイルが前記振動電圧の周波数に対して誘導性になるように並列接続して構成されたLC並列回路と主コンデンサとが直列接続して構成された直列共振回路を含み、
前記直列共振回路は、該直列共振回路の共振周波数が前記振動電圧の周波数になるように構成され、前記直列共振回路の共振周波数は、前記LC並列回路の共振周波数よりも低い周波数であることを特徴とする設定変更器。
【請求項2】
請求項1に記載の設定変更器であって、
前記直列共振回路の共振周波数はISMバンドであり、該ISMバンドの周波数は13.553MHzから13.567MHzであることを特徴とする設定変更器。
【請求項3】
請求項1および請求項2のいずれかに記載の設定変更器であって、
前記入力信号変調回路は、ASK変調を利用してパラメータ設定信号を作成することを特徴とする設定変更器。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の設定変更器であって、
当該設定変更器は、前記LC並列回路の誘導性リアクタンスを利用して前記磁場コイルに前記磁場アンテナへ入力される電圧に対して5倍から20倍の電圧を発生させることを特徴とする設定変更器。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の設定変更器であって、
当該設定変更器は、前記磁場アンテナから伝送された合成変調電力を受信する受信回路を備えた照明用電源装置に利用されることを特徴とする設定変更器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明用電源装置のパラメータ設定変更において、特に量産後の照明用電源装置に対して電力供給が困難な場面であっても容易に設定変更ができる機器の開発に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から照明ランプを安定して点灯させるために照明用電源装置が利用されている。例えばHIDランプや蛍光ランプ等の動作電圧は、所定の規格によりその数値が定められているため、各社が独自の定格電圧を有するランプを製作することは少なかった。そのため、どこのメーカーのランプを点灯させる場合でも定格電圧が等しいことが一般的であった。つまり、ランプに安定した電圧を供給する照明用電源装置は、所定の規格で定められた定格電圧に合わせて製造し量産すれば良かった。
【0003】
そして昨今では、各種照明分野においてLEDランプが主流となりつつある。このLEDランプにおける基本素子の動作電圧は3V程度であり、用途に合わせて当該基本素子の直並列を繰り返すことにより任意の電圧(または電流)で点灯可能な多様な定格電圧(または定格電流)を有するLEDランプが販売されるようになってきた。つまり、照明用電源装置をLEDランプに利用するためにはLEDランプの定格特性に合わせる必要があるため量産化が困難となり、また、すでに量産化された照明用電源装置は個々のランプ特性に合わないために使用できないという問題が生じている。
【0004】
このような問題を解決するために例えば照明用電源装置の定格電圧を適宜変更できるように該照明用電源装置の内部基板等に切り替えスイッチを設けることも考えられるが、この場合は照明用電源装置の電源ケースを開けて作業する必要があり、実際の現場では思った以上に手間と時間を要してしまうという問題が生じていた。
【0005】
そこで特許文献1には、演算回路を利用して外部接続された抵抗R1の抵抗値に応じて設定される出力電流指令値の上限値を超えないような出力電流指令値を求めることで、出力電流の調整が可能な前照灯点灯装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-45518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら特許文献1の技術を利用して照明用電源装置に演算回路および外部抵抗R1等を備えることで、従来よりも簡単に出力電流の調整が可能となるが、設定値を変更する場合には外部抵抗を取り換える必要があり、そのため、この方法でも実際の現場では外部抵抗を取り換える手間がかかってしまい、上記問題を根本的に解決するに至っているとはいえない。
【0008】
また、量産化された照明用電源装置は一般的には倉庫等に保管されているが、この場合はそもそも設定値を変更するために必要な電力を確保することが困難であり、そのため電力供給が可能な場所へ照明用電源装置を移動させてから設定変更をしなければならず、多大な手間がかかってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記従来技術の課題に鑑みて行われたものであって、その目的は、量産された照明用電源装置に対して電源供給が困難な場所(例えば在庫品が保管されている電源のない倉庫内等)であっても照明用電源装置の各種設定値を誰でも簡単に変更できる機器を提供することである。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る設定変更器は、
照明ランプに対応するように照明用電源装置のパラメータ設定を非接触で変更する設定変更器であって、
当該設定変更器は、外部からの入力信号に応じたパラメータ設定信号を出力する入力信号変調回路と、直流電源からの直流電圧を一定の繰り返し振動電圧に変換する発振回路と、該発振回路からの振動電圧を増幅させるとともに前記入力信号変調回路からのパラメータ設定信号を受けて該パラメータ設定信号と増幅された振動電圧とを合成して得られる合成変調電力を出力する増幅変調回路と、該増幅変調回路からの合成変調電力を利用して前記照明用電源装置のパラメータ設定変更に必要な電力およびパラメータ設定信号を該照明用電源装置へ伝送する磁場アンテナと、を備え、
前記磁場アンテナは、補助コンデンサおよび磁場コイルが前記振動電圧の周波数に対して誘導性になるように並列接続して構成されたLC並列回路と主コンデンサとが直列接続して構成された直列共振回路を含み、
前記直列共振回路は、該直列共振回路の共振周波数が前記振動電圧の周波数になるように構成され、前記直列共振回路の共振周波数は、前記LC並列回路の共振周波数よりも低い周波数であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る設定変更器は、
前記直列共振回路の共振周波数はISMバンドであり、該ISMバンドの周波数は13.553MHzから13.567MHzであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る設定変更器は、
前記入力信号変調回路は、ASK変調を利用してパラメータ設定信号を作成することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る設定変更器は、
当該設定変更器は、前記LC並列回路の誘導性リアクタンスを利用して前記磁場コイルには前記磁場アンテナに入力される電圧に対して5倍から20倍の電圧を発生させることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る設定変更器は、
当該設定変更器は、前記磁場アンテナから伝送された合成変調電力を受信する受信回路を備えた照明用電源装置に利用されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、設定変更器が備える磁場アンテナをLC並列回路と主コンデンサとの直列共振回路として構成し、直列共振回路の共振周波数をLC並列回路の共振周波数よりも低い周波数とすることで磁場アンテナに強磁界が得られるので、照明用電源装置に対して非接触で電力伝送(パラメータ設定に必要な電力の伝送)および信号伝送(パラメータ設定信号の伝送)を同時に行うことができる効果を奏する。その結果、照明用電源装置に電力が供給できない環境においても、照明ランプに適合させたパラメータ設定変更が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る設定変更器の概略構成図(ブロック図)を示す。
図2】本発明の実施形態に係る磁場アンテナの概略構成図を示す。
図3】並列共振回路の位相特性を示す。
図4】本実施形態の磁場アンテナにおける直列共振回路の共振電圧特性を示す。
図5】本発明の実施形態に係る設定変更器の具体的な構成についての概略説明図(回路図)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の設定変更器について図面を用いて説明するが、本発明の趣旨を越えない限り何ら以下の例に限定されるものではない。
【0018】
図1に本発明の実施形態に係る設定変更器の概略構成図(ブロック図)を示す。同図に示す設定変更器10は、外部からの入力信号を照明用電源装置100のパラメータ設定信号に変換(変調)する入力信号変調回路12と、直流電圧(直流電力)を供給する直流電源Eと、該直流電源Eからの直流電圧を一定の繰り返し振動電圧に変換する発振回路14と、該発振回路14からの振動電圧を増幅させるとともに前記入力信号変調回路12からのパラメータ設定信号を入力し該パラメータ設定信号と増幅された振動電圧とを合成して得られる合成変調電力を出力する増幅変調回路16と、前記合成変調電力が入力されるとともに当該設定変更器10の出力端に設けられて送信部としての役割を果たす磁場アンテナ18と、を含んで構成されている。
【0019】
本実施形態における直流電源Eは当該設定変更器10に含んで構成されているが、設定変更器10に直流電源Eを設けずに例えば持ち運び可能な(ハンディータイプ)直流電源装置等を利用して当該設定変更器10へ電力供給をしても良い。
【0020】
そして本実施形態の設定変更器10は、非接触で照明用電源装置100のパラメータ設定変更を行うものであり、照明用電源装置100のパラメータ設定に必要な電力およびパラメータ設定信号を同時に照明用電源装置100に伝送できることを特徴とするものである。
【0021】
はじめに電力伝送について説明する。直流電源Eから直流電圧(および直流電力)が出力されると、該直流電圧は発振回路14に到達する。発振回路14は水晶振動子Xと水晶発振回路とで構成されており、一定の繰り返し周波数(具体的にはSin波)を有する振動電圧を発振させて出力する。振動電圧の周波数は、例えば短波帯であることが好ましく、その周波数は10MHzから20MHzであることが好適である。この周波数が低すぎると電力伝送距離が短くなる恐れがあり、また、周波数が高すぎると、回路の配線で反射が起こり易くなり回路基板の設計が困難になる恐れがある。この短波帯(HF)の中で、出力制限のない13.56MHzのISMバンドは特に最適である。
【0022】
さらにISMバンドの周波数帯を利用することで発振回路14を専用品ではなく一般的な素子で構成することができるためいつでも入手可能であり、且つ専用の素子を利用する場合に比べてコストダウンを図ることができる。本実施形態では発振回路14で発振される周波数は13.56MHzである。そして発振回路14による振動電圧は、増幅変調回路16へ入力する。
【0023】
増幅変調回路16は前段に設けられた電流増幅回路と後段に設けられた電力増幅回路とを含んで構成されており、前記発振回路14から出力された一定の周波数を有する振動電圧(一定の周波数を有する振動電力)は前段の電流増幅回路で13.56MHzの周波数を維持しながら増幅されて後段の電力増幅回路へと進む。
【0024】
そして、増幅された振動電圧は後段の電力増幅回路で13.56MHzの周波数を維持しながらさらに電力増幅されて磁場アンテナ18へ出力される。磁場アンテナ18は強磁界を利用して増幅変調回路16で増幅された電力を非接触で照明用電源装置100へと伝送する。
【0025】
なお、図1に示されるように照明用電源装置100には受信アンテナ(受信コイル)等を含む受信回路が設けられており、この受信回路によって照明用電源装置100はパラメータ設定に必要な電力を受け取ることができる。この受信回路の構成は特に限定されることはなく、本実施形態における設定変更器10からの出力を受け取れればどのような構成でも構わない。
【0026】
例えば、照明用電源装置100にはじめから含まれている素子が結果的に磁場アンテナ18からの電力を受信できて電力供給(および後述するパラメータ設定信号の受信)の目的を果たせるような場合には、照明用電源装置100に新たな受信回路(受信コイル等)を設ける必要はない。
【0027】
また、本実施形態における設定変更器10から照明用電源装置100への非接触での伝送距離は、0.1cmから20cmの距離で行われることが好ましく、特に好ましくは1cmから5cmの伝送距離であることが好ましい。
【0028】
次にパラメータ設定信号の伝送について説明する。パラメータ設定に必要な情報は、外部から入力信号として入力信号変調回路12へ入力され、該入力信号は入力信号変調回路12の内部でパラメータ設定信号に変換(変調)される。そして変換されたパラメータ設定信号は前記増幅変調回路16が備える電力増幅回路へ入力される。この外部からの入力信号は例えばシリアル信号であり、このシリアル信号を入力信号変調回路12によってASK変調(amplitude shift keying)することでパラメータ設定信号に変換している。本実施形態におけるASK変調としては、例えばシンプルな変調方式であるOOK(on-off-keying)を利用することができる。
【0029】
増幅変調回路16に設けられた電力増幅回路には、電流増幅回路から出力された振動電圧と入力信号変調回路12から出力されたパラメータ設定信号が入力されることとなる。そして電力増幅回路では、入力された振動電圧とパラメータ設定信号とを合成することで合成変調電力が得られ、該合成変調電力は磁場アンテナ18によって非接触で照明用電源装置100(受信回路)へと伝送される。すなわち、当該設定変更器10から照明用電源装置100には、パラメータ設定変更に必要な電力およびパラメータ設定信号が非接触で同時に伝送されることとなる。
【0030】
磁場アンテナについて
ここで、本実施形態における磁場アンテナについて詳しく説明する。図2には本実施形態に係る磁場アンテナの概略構成図を示す。同図に示すように磁場アンテナ18は、補助コンデンサC2と該補助コンデンサよりも出力側に位置する磁場コイルL1が並列接続されて構成されるLC並列回路と、主コンデンサC1と、で構成されている。すわなち、本実施形態ではLC並列回路と主コンデンサC1とが直列共振回路として構成されている。また、本実施形態の補助コンデンサC2はキャパシタンス値を可変できる可変コンデンサである。
【0031】
LC並列回路においては、当然のことながらそのL値(インダクタンス値)とC値(キャパシタンス値)とによって定まる共振周波数が存在する。図3には並列共振回路の位相特性を示す。図3においてf0はLC並列回路の共振周波数である。同図によると並列共振回路は、共振周波数f0に対して左側(f0よりも低い周波数側)では誘導性の特性を有しており、共振周波数f0に対して右側(f0よりも高い周波数側)では容量性の特性を有していることが分かる。
【0032】
つまり図3に示されるようにa点の周波数(f0よりも低い周波数)においては、図2の補助コンデンサC2および磁場コイルL1で構成されるLC並列回路(並列共振回路)では磁場コイルL1のインダクタンス値をはるかに超える誘導性の特性を有することになる。また、このような特性を利用することで、抵抗成分の少ない誘導性のリアクタンスを得ることが出来る。本実施形態では、この誘導性の特性を利用して直列共振回路(誘導性のLC並列回路および主コンデンサC1の直列接続)としての磁場アンテナ18が構成されている。
【0033】
図4には本実施形態の磁場アンテナにおける直列共振回路の共振電圧特性を示す。本実施形態に係る磁場アンテナ18では、図2の電圧V2は当該磁場アンテナ18への入力電圧V1のQ倍の電圧値となる(式で表すとQ=ωL/R)。ここで、ωLは図3におけるa点のリアクタンスのことであり、図3に示されるようにωLは非常に大きな数値となっている。また、Rは磁場コイルL1に高周波電流が流れることによる表皮効果や磁場コイルL1周辺に存在する振動する電磁場の損失要素により変化する。
【0034】
例えば、本実施形態における磁場アンテナ18では、磁場コイルL1のインダクタンス値を4μH、主コンデンサC1のキャパシタンス値を10pF、補助コンデンサC2のキャパシタンス値を30pFとした場合、電圧V1が24Vであれば電圧V2は数百ボルトとなる。本実施形態では、電圧V2は電圧V1に対して5倍から20倍程度の電圧値となることが好ましい。
【0035】
すなわち、本実施形態の構成では、直列共振回路(LC並列回路と主コンデンサC1)の共振周波数をLC並列回路の共振周波数よりも低く調整できれば磁場コイルL1の周辺には高周波による強力な電磁界が構成され、その結果、非接触による電力伝送および信号伝送を同時に実現することができる。
【0036】
図5には、本発明の実施形態に係る設定変更器の具体的な構成についての回路図を示す。同図に示す設定変更器10は、図1のブロック図で示した構成と同様に入力信号変調回路12と、直流電源Eと、発振回路14と、増幅変調回路16と、磁場アンテナ18と、で構成されている。
【0037】
図5における水晶発振回路20は図1における水晶発振回路と対応している。また図5における電流増幅回路22は図1の電流増幅回路と対応しており、図5における電力増幅回路24は図1の電力増幅回路と対応している。そして、図5における設定変更器10の基本的な動作は、図1のブロック図で説明したとおりである。
【0038】
直流電源Eと発振回路14との間には一端が電源ライン(B+)に接続され他端がグランドライン(GND)に接続されたコンデンサC10が設けられている。コンデンサC10は、グランドライン(GND)と電源ライン(B+)とを高周波的に同電位にするために設けられている。
【0039】
発振回路14は水晶振動子Xと水晶発振回路20とで構成されており、水晶振動子Xを使用したコルピッツ型の発振回路である。水晶振動子Xは誘導性素子として作用している。水晶発振回路20(コルピッツ型)は、スイッチング素子としてのトランジスタQ1と、一端が電源ライン(B+)に接続され他端がトランジスタQ1のベースに接続された抵抗器R10と、高圧側がトランジスタQ1のベースに接続されたコンデンサC11と、一端がコンデンサC11に接続され他端がグランドライン(GND)に接続されたコンデンサC12と、一端がトランジスタQ1のコレクタに接続され他端がグランドライン(GND)に接続されたインダクタL10とで構成されている。
【0040】
抵抗器R10は当該水晶発振回路20の起動用のベース電流を供給する役割を果たしている。直流電圧が発振回路14に入力されることで、インダクタL10とトランジスタQ1におけるエミッタとの接点に高周波電圧が発生し、該高周波電圧はコンデンサC11を通して正帰還されことで水晶振動子Xの振動が継続される。
【0041】
増幅変調回路16は、コンデンサC20と電流増幅回路22とコンデンサC30と電力増幅回路24とが直列接続して構成されている。電流増幅回路22は、スイッチング素子としてのトランジスタQ2と、一端が電源ライン(B+)に接続され他端がトランジスタQ2のベースに接続された抵抗器R20と、一端が電源ライン(B+)に接続され他端がトランジスタQ2のコレクタに接続されたインダクタL20と、で構成されている。インダクタL20は直流成分と高周波成分とを分ける役割を果たしている。そしてコンデンサC30は、電流増幅回路22からの電力を低インピーダンス信号として電力増幅回路24に電力供給する。
【0042】
電力増幅回路24は、スイッチング素子としてのFETQ3と、一端が電源ライン(B+)に接続され他端がFETQ3のドレインに接続されたインダクタL30と、一端がFETQ3のゲートに接続され他端は入力信号変調回路12が有するFETQ4のソースと接続された抵抗器R30と、で構成されている。
【0043】
抵抗器R30は、FETQ3の動作を安定化させるために設けられている。インダクタL30は直流成分と高周波成分とを分ける役割を果たしている。また、FETQ3のドレインとインダクタL30との間に発生した高周波電力は、磁場アンテナ18へと供給される。
【0044】
入力信号変調回路12は、スイッチング素子としてのFETQ4と、該FETQ4のゲートに直列接続された抵抗器R60と、一端が抵抗器R60とFETQ4におけるゲートの間に接続され他端がグランドライン(GND)に接続された抵抗器R61と、で構成されている。抵抗器R60はFETQ4のゲート・ソース間の静電容量による短絡電流のピーク値を抑える役割を果たしている。抵抗器R61はFETQ4のゲート・ソース間の静電容量に蓄えられた電荷を放出させる役割を果たしている。
【0045】
FETQ4のドレインは、FETQ3のベースと抵抗器R30との間に接続されている(FETQ4のソースと抵抗器R30とはグランドラインに接続されている)。そしてFETQ4をオンして抵抗器R30とFETQ3のベースとの接続点を短絡させることでFETQ3をオンオフ動作させる。これにより、増幅された電力にパラメータ設定信号を合成させて合成変調電力を作成し、該合成変調電力は磁場アンテナ18へ出力される。
【0046】
磁場アンテナ18は、補助コンデンサC2(C2aおよびキャパシタンス値が可変できる可変コンデンサC2b)と当該設定変更器10の出力端に位置する磁場コイルL1が並列接続されて構成されるLC並列回路と、主コンデンサC1と、で構成されている。すわなち、本実施形態ではLC並列回路と主コンデンサC1とが直列共振回路として構成されている。
【0047】
直流電源Eから直流電圧(および直流電力)が出力されると、該直流電圧は発振回路14に到達し、該発振回路14は一定の繰り返し周波数(具体的にはSin波)を有する振動電圧を発振させて出力する。発振回路14による振動電圧は増幅変調回路16の電流増幅回路22へ入力され、該振動電圧は電流増幅回路22で13.56MHzの周波数を維持しながら増幅されて後段の電力増幅回路24へと進む。
【0048】
増幅された振動電圧は後段の電力増幅回路24で13.56MHzの周波数を維持しながらさらに電力増幅される。この時、同時に入力信号変調回路12からのパラメータ設定信号も電力増幅回路24へ入力される。ここで前述のとおりパラメータ設定信号は、外部からの入力信号を入力信号変調回路12の内部で変換(変調)して得られる照明用電源装置のパラメータ設定変更に必要な情報の信号である。
【0049】
電力増幅回路24では、入力された振動電圧(振動電力)とパラメータ設定信号とを合成することで合成変調電力が得られ、該合成変調電力は磁場アンテナ18へ出力される。そして磁場アンテナ18は、誘導性の特性を有するLC並列回路(L1、C2a、C2b)と主コンデンサC1との直列共振回路による強磁界を利用して電力および信号を同時に非接触で照明用電源装置へと伝送する。
【0050】
このように、磁場コイル周辺に発生した強磁界を利用することで、照明用電源装置に対して非接触で電力伝送(パラメータ設定に必要な電力の伝送)および信号伝送(パラメータ設定信号の伝送)を同時に行うことができ、その結果、照明用電源装置に電力が供給できない環境においても、誰でも簡単に照明ランプに適合させたパラメータ設定変更が実現できる。
【符号の説明】
【0051】
10 設定変更器
12 入力信号変調回路
14 発振回路
16 増幅変調回路
18 磁場アンテナ
20 水晶発振回路
22 電流増幅回路
24 電力増幅回路
100 照明用電源装置
E 直流電源
X 水晶振動子
C10 C20 C30 コンデンサ
C11 C12 コンデンサ
Q1 Q2 トランジスタ
Q3 Q4 FET
L10 L20 L30 インダクタ
R10 R20 R30 抵抗器
R60 R61 抵抗器
L1 磁場コイル
C1 主コンデンサ
C2 補助コンデンサ
図1
図2
図3
図4
図5