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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】密閉電池の製造方法及び密閉電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/536 20210101AFI20220118BHJP
   H01M 50/107 20210101ALI20220118BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20220118BHJP
   H01M 50/124 20210101ALI20220118BHJP
【FI】
H01M50/536
H01M50/107
H01M50/119
H01M50/124
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018050014
(22)【出願日】2018-03-16
(65)【公開番号】P2019160751
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 信也
(72)【発明者】
【氏名】池田 翔太
(72)【発明者】
【氏名】清水 一路
(72)【発明者】
【氏名】船見 浩司
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-217422(JP,A)
【文献】特開2016-173972(JP,A)
【文献】特開2016-207412(JP,A)
【文献】国際公開第2019/044265(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50
H01M 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの正極と少なくとも1つの負極とがセパレータを介して巻回または積層された電極体と、前記電極体を収容する有底筒状の外装缶とを含む密閉電池の製造方法であって、
前記外装缶の外部からエネルギービームを照射して、前記正極及び前記負極の一方に接続されたリードを前記外装缶に溶接する溶接工程を備え、
前記溶接工程は、
前記外装缶の外側表面のうち、前記外装缶の内側表面を介して前記リードが対向する部分に、前記外装缶の内部に溶融痕である第1溶融部が留まるように制御された第1エネルギービームを照射する第1照射工程と、
前記第1照射工程後に、前記外装缶の外側表面のうち前記第1溶融部が露出している部分の内側に、前記外装缶の外側表面から前記リードの内部にかけて溶融痕である第2溶融部が形成されるように制御された第2エネルギービームを照射する第2照射工程と、を有する、
密閉電池の製造方法。
【請求項2】
前記第1照射工程において、前記リードと前記外装缶の間に隙間が設けられた状態で前記第1エネルギービームを照射する、請求項1に記載の密閉電池の製造方法。
【請求項3】
前記第1エネルギービームのビームスポット径は、前記第2エネルギービームのビームスポット径より大きい、請求項1または請求項2に記載の密閉電池の製造方法。
【請求項4】
少なくとも1つの正極と少なくとも1つの負極とがセパレータを介して巻回または積層された電極体と、前記電極体を収容する有底筒状の外装缶とを備える密閉電池であって、
前記外装缶は、ニッケルめっきされた鉄により形成され、
前記正極及び前記負極の一方に接続されたリードと前記外装缶とが、前記外装缶の外側表面から前記リードに向けて形成された溶接部で溶接されており、
前記溶接部は、溶融痕である第1溶融部及び第2溶融部を含み、
前記第1溶融部が、前記外装缶の外側表面から前記外装缶の厚みの50~99%の範囲に形成され、
前記第2溶融部が、前記外装缶の外側表面から前記リードの内部にかけて形成され、前記外装缶の外側から前記溶接部を見た場合に、前記第1溶融部の内側にある、密閉電池。
【請求項5】
前記第2溶融部のニッケル濃度(質量%)が前記第1溶融部より高い、請求項4に記載の密閉電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、密閉電池の製造方法及び密閉電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の二次電池は、パソコン等の電子機器に組み込んで用いるだけでなく、車両の走行用のモータに電力を供給する電力源として期待されている。非水電解質二次電池は、高いエネルギーを得られる代わりに、電池内への金属異物などの混入による内部短絡が発生すると、電池自体の発熱等の問題が発生する可能性がある。
【0003】
従来、外装缶と、電極体の正極及び負極の一方に接続されたリードとは、主に抵抗溶接によって接続されている。しかしながらこの抵抗溶接は、溶接過程で電池内部でスパッタが発生し、金属異物が電池内に混入することで、電圧不良による電池の製造品質、安全性、及び信頼性が悪化する課題があった。そのため近年では、外装缶の外側からエネルギービーム、例えばレーザ光を照射して、外装缶とリードとを溶接させて、スパッタの発生を防止しているものがある(例えば特許文献1~3参照)。
【0004】
また、特許文献4には、外装缶の外部から二段階に分けてエネルギービームを照射して、外装缶とキャップ体との溶接を行う電池の製造方法が記載されている。この電池の製造方法では、パルスレーザ光として、第1のレーザ出力及び第2のレーザ出力で照射されるレーザ光を用いる。第1のレーザ出力は、重ね合わせ部材のレーザ照射側部材を加熱し重ね合わせ部材の間の有機物を排除する。第2のレーザ出力は、重ね合わせ部材のレーザ照射側部材を溶融させて複数の重ね合わせ部材を溶接する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-3686号公報
【文献】特開2015-162326号公報
【文献】特開2016-207412号公報
【文献】特開平11-245066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
外装缶の外部からエネルギービームを照射して、外装缶にリードを溶接する従来の電池の製造方法では、外装缶にエネルギービームを照射したときに、外装缶に内側から穴が形成される可能性がある。具体的には、外装缶にリードを溶接する直前の状態で、外装缶とリードの間に固体状または液状の樹脂が存在する場合がある。この樹脂は、潤滑油系樹脂、工程内での発塵樹脂、電池構成部材に付着した樹脂などに由来する。外装缶とリードの間に樹脂が存在する場合に、エネルギービームが外装缶に照射されると、その照射により発生した熱で、固体状の樹脂が昇華し、または液状の樹脂が気化する可能性がある。この樹脂の昇華、または気化によって、外装缶とリードとの間で気体の体積が一気に膨張し、エネルギービームにより溶融している外装缶の外側に向けて気体が抜ける可能性がある。これにより、外装缶に内側から外側に通じる穴が形成された状態となり、電池内部の密閉性が保てなくなる可能性がある。外装缶の外側まで穴が通じていない状態でも、外装缶の内面のうち、リードとの溶接面に凹部状の穴が形成される可能性もあり、この穴により外装缶とリードの溶接面積が減少することで、溶接強度が低下する可能性がある。
【0007】
特許文献4に記載された電池では、外装缶の外部から2段階の連続したエネルギービームを照射し、第1のレーザ出力により、重ね合わせ部材の間の有機物である電解液を排除している。一方、特許文献4には、電解液が外装缶に注入された後、重ね合わせ部材の間に電解液が入り込んだ場合の不都合をなくすことしか開示されていない。
【0008】
本開示は、密閉電池の製造方法及び密閉電池において、外装缶にリードを溶接する際の外装缶を貫通する穴の発生を防ぎ、かつ、安定した溶接強度を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る密閉電池の製造方法は、少なくとも1つの正極と少なくとも1つの負極とがセパレータを介して巻回または積層された電極体と、電極体を収容する有底筒状の外装缶とを含む密閉電池の製造方法であって、外装缶の外部からエネルギービームを照射して、正極及び負極の一方に接続されたリードを外装缶に溶接する溶接工程を備え、溶接工程は、外装缶の外側表面のうち、外装缶の内側表面を介してリードが対向する部分に、外装缶の内部に溶融痕である第1溶融部が留まるように制御された第1エネルギービームを照射する第1照射工程と、第1照射工程後に、外装缶の外側表面のうち第1溶融部が露出している部分の内側に外装缶の外側表面からリードの内部にかけて溶融痕である第2溶融部が形成されるように制御された第2エネルギービームを照射する第2照射工程と、を有する、密閉電池の製造方法である。
【0010】
本開示に係る密閉電池は、少なくとも1つの正極と少なくとも1つの負極とがセパレータを介して巻回又は積層された電極体と、電極体を収容する有底筒状の外装缶とを備える密閉電池であって、外装缶は、ニッケルめっきされた鉄により形成され、正極及び負極の一方に接続されたリードと外装缶とが、外装缶の外側表面からリードに向けて形成された溶接部で溶接されており、溶接部は、溶融痕である第1溶融部及び第2溶融部を含み、第1溶融部が、外装缶の外側表面から外装缶の厚みの50~99%の範囲に形成され、第2溶融部が、外装缶の外側表面からリードの内部にかけて形成され、外装缶の外側から溶接部を見た場合に、第1溶融部の内側にある、密閉電池である。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係る密閉電池の製造方法及び密閉電池によれば、外装缶にリードを溶接する際の外装缶を貫通する穴の発生を防ぎ、かつ、安定した溶接強度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態の一例の製造方法により製造された密閉電池の底面側半部の断面図である。
図2図1に示す密閉電池の底面部である。
図3図1のA部拡大図である。
図4図2のB部拡大図である。
図5図3のC-C断面図である。
図6】実施形態の製造方法において第1エネルギービームを照射する図である。
図7】実施形態の製造方法において第2エネルギービームを照射する図である。
図8】実施形態の別例の製造方法において第1エネルギービームを照射する図である。
図9】実施形態の別例の密閉電池の底面側半部の断面図である。
図10図9に示す密閉電池の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本開示に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本開示の理解を容易にするための例示であって、密閉電池の仕様に合わせて適宜変更することができる。また、以下において「略」なる用語は、例えば、完全に同じである場合に加えて、実質的に同じとみなせる場合を含む意味で用いられる。さらに、以下において複数の実施形態、変形例が含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。
【0014】
また、以下では、密閉電池が円筒形の非水電解質二次電池である場合を説明するが、密閉電池は、円筒形電池に限定するものではなく、角形電池等であってもよい。また、密閉電池は、以下で説明するような非水電解質二次電池に限定するものではなく、ニッケル水素電池、ニッカド電池等の他の二次電池、または乾電池またはリチウム電池等の一次電池であってもよい。電池が有する電極体は、以下で説明するような巻回型に限定するものではなく、複数の正極と負極がセパレータを介して交互に積層された積層型としてもよい。
【0015】
図1は、実施形態の一例の製造方法により製造された密閉電池20の底面側半部の断面図である。図2は、密閉電池20の底面図である。図3は、図1のA部拡大図である。図4は、図2のB部拡大図である。図5は、図3のC-C断面図である。以下では、密閉電池20は、電池20と記載する。
【0016】
図1図2に例示するように、電池20は、巻回型の電極体22と、非水電解質(図示せず)と、外装缶50とを備える。巻回型の電極体22は、正極23と、負極24と、セパレータ25とを有し、正極23と負極24がセパレータ25を介して積層されるとともに、渦巻状に巻回されている。以下では、電極体22の軸方向一方側を「上」、軸方向他方側を「下」という場合がある。非水電解質は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解したリチウム塩等の電解質塩とを含む。非水電解質は、液体電解質に限定されず、ゲル状ポリマー等を用いた固体電解質であってもよい。
【0017】
正極23は、帯状の正極集電体23aを有し、正極集電体23aに正極リード(図示せず)が接続される。正極リードは、正極集電体23aを正極端子(図示せず)に電気的に接続するための導電部材であって、電極群の上端から電極体22の軸方向αの一方側(図1の上方)に延出している。ここで、電極群とは電極体22において各リードを除く部分を意味する。正極リードは、例えば電極体22の径方向βの略中央部に設けられている。
【0018】
負極24は、帯状の負極集電体24aを有し、負極集電体24aに負極リード26が接続される。負極リード26は、負極端子となる外装缶50に負極集電体24aを電気的に接続するための導電部材であって、電極群の巻き終わり側端部の下端から軸方向αの他方側(図1の下方)に延出している。
【0019】
各リードの構成材料は特に限定されない。正極リードはアルミニウムを主成分とする金属によって、負極リード26はニッケルまたは銅を主成分とする金属によって、または、ニッケル及び銅の両方を含む金属によって、それぞれ構成することができる。負極リード26は、ニッケルめっきされた鉄から形成されてもよい。
【0020】
負極リード26は、絶縁板30を介して電極体22の巻き芯部と対向するように略直角に曲げられて、底板部51の内面に接する。そして、この状態で、外装缶50の外部から底板部51に向けて第1レーザ光40及び第2レーザ光41を順に照射することで、外装缶50と負極リード26とを溶接部54により溶接する。溶接部54は、各レーザ光40、41が照射されて溶融、凝固した溶融痕により形成された部分をいう。溶接部54は、外装缶50の外側表面から負極リード26に向けて形成される。第1レーザ光40は第1エネルギービームに相当し、第2レーザ光41は第2エネルギービームに相当する。溶接部54及び溶接工程については後で詳しく説明する。
【0021】
外装缶50は、ニッケルめっきされた鉄からなる材料を有底円筒状に加工して形成された容器である。外装缶50に用いられる鉄は電池特性に悪影響を及ぼさない範囲で異種金属等を含むことができる。
【0022】
外装缶50の開口部は、封口体(図示せず)によって封止される。外装缶50は、電極体22及び非水電解質を収容する。電極体22の下部には、絶縁板30が配置される。負極リード26は絶縁板30の外側を通って、外装缶50の底部側に延び、外装缶50の底板部51の内面に溶接される。外装缶50の底部である底板部51の厚みは、例えば0.2~0.5mmである。
【0023】
電極体22は、正極23と負極24がセパレータ25を介して渦巻状に巻回されてなる巻回構造を有する。正極23、負極24、及びセパレータ25は、いずれも帯状に形成され、渦巻状に巻回されることで電極体22の径方向βに交互に積層された状態となる。本実施形態では、電極体22の巻中心軸Oを含む巻き芯部29は、円柱状の空間である。
【0024】
正極23は、正極集電体23a上に形成された正極活物質層を有する。例えば正極集電体23aの両面に正極活物質層が形成されている。正極集電体23aには、例えばアルミニウムなどの金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等が用いられる。好適な正極集電体23aは、アルミニウムまたはアルミニウム合金を主成分とする金属などの正極の電位範囲で安定な金属の箔である。
【0025】
正極活物質層は、正極活物質、導電剤、及び結着剤を含むことが好ましい。正極23は、例えば正極活物質、導電剤、結着剤、及びN-メチル-2-ピロリドン(NMP)等の溶剤を含む正極合剤スラリーを正極集電体23aの両面に塗布した後、乾燥及び圧延することにより作製される。
【0026】
正極活物質としては、Co、Mn、Ni等の遷移金属元素を含有するリチウム含有遷移金属酸化物が例示できる。リチウム含有遷移金属酸化物は、特に限定されないが、一般式Li1+xMO(式中、-0.2<x≦0.2、MはNi、Co、Mn、Alの少なくとも1種を含む)で表される複合酸化物であることが好ましい。
【0027】
上記導電剤の例としては、カーボンブラック(CB)、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック、黒鉛等の炭素材料などが挙げられる。上記結着剤の例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のフッ素系樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。また、これらの樹脂と、カルボキシメチルセルロース(CMC)またはその塩、ポリエチレンオキシド(PEO)等が併用されてもよい。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
負極24は、負極集電体24a上に形成された負極活物質層を有する。例えば負極集電体24aの両面に負極活物質層が形成されている。負極集電体24aには、例えばアルミニウムや銅などの負極の電位範囲で安定な金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等が用いられる。
【0029】
負極活物質層は、負極集電体24aの両面において、後述の無地部を除く全域に形成されることが好適である。負極活物質層は、負極活物質及び結着剤を含むことが好ましい。負極活物質層は、必要により導電剤を含んでいてもよい。負極24は、例えば負極活物質、結着剤、及び水等を含む負極合剤スラリーを負極集電体24aの両面に塗布した後、乾燥及び圧延することにより作製される。
【0030】
負極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に吸蔵、放出できるものであれば特に限定されず、例えば天然黒鉛、人造黒鉛等の炭素材料、Si、Sn等のリチウムと合金化する金属、またはこれらを含む合金、複合酸化物などを用いることができる。負極活物質層に含まれる結着剤には、例えば正極23の場合と同様の樹脂が用いられる。水系溶媒で負極合剤スラリーを調製する場合は、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、CMCまたはその塩、ポリアクリル酸またはその塩、ポリビニルアルコール等を用いることができる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
負極24には、負極集電体24aの表面が露出した無地部が設けられる。無地部は、負極リード26が接続される部分であって、負極集電体24aの表面が負極活物質層に覆われていない部分である。無地部は、負極24の幅方向である軸方向αに沿って長く延びた正面視略矩形形状であり、負極リード26よりも幅広に形成される。
【0032】
負極リード26は、負極集電体24aの表面に例えば超音波溶接等により接合されている。なお、負極24の巻き終わり側端部だけでなく、巻き方向中間部、及び巻き始め側端部等に、負極リード26とは別の負極リードを設けて、電極群から底板部51側に延出させ、その延出させた負極リードを巻き芯部で負極リード26に重ねて、レーザ光の照射により外装缶50と溶接することもできる。負極リードを負極24の複数位置に設けることで、集電性が向上する。無地部は、例えば負極集電体24aの一部に負極合剤スラリーを塗布しない間欠塗布により設けられる。
【0033】
正極リードは、正極集電体23aに形成された無地部に接合され、正極集電体23aから上方に突出した部分が正極端子または正極端子に接続された部分に接合される。
【0034】
セパレータ25には、イオン透過性及び絶縁性を有する多孔性シートが用いられる。多孔性シートの具体例としては、微多孔薄膜、織布、不織布などが挙げられる。セパレータ25の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン樹脂が好ましい。
【0035】
溶接部54は、上記のように溶融痕により形成される。外装缶50の底板部51の外側(図1の下側)から溶接部54を見た場合に、図4に示すように、第2溶融部58は、全周を囲まれるように第1溶融部56の内側にあり、かつ、外装缶50の外側表面に露出する。第2溶融部58は、この状態で、外装缶50と負極リード26(図3)とを溶接している。第2溶融部58は、第1溶融部56より深く形成される。
【0036】
第1溶融部56は、外装缶50の内部に留まるように形成されている。第1溶融部56は、後述の第1照射工程で、第1レーザ光40を外装缶50の外部から底板部51に向かって照射させることにより形成される。第2溶融部58は、後述のように第1照射工程の後の第2照射工程で第2レーザ光41を外装缶50の外部から底板部51に向かって照射させることにより形成される。
【0037】
図4に示すように、第1溶融部56は、外装缶50の底板部51の外側から見た場合の平面形状が直線状である。そして、第2溶融部58も、底板部51の外側から見た場合の平面形状が直線状であり、第2溶融部58の幅w2は第1溶融部56の幅w1より小さい。また、第2溶融部58は、第1溶融部56よりニッケルの含有濃度(質量%)が高い。なお、第1溶融部56及び第2溶融部58の存在は、例えば、外装缶50の外側から観察することにより確認できる。これに加えて、第1溶融部56及び第2溶融部58の存在は、例えば溶融痕の外装缶50の厚み方向における断面を光学顕微鏡等により観察することで確認することができる。
【0038】
各レーザ光としては、ファイバーレーザのレーザ光を用いることが好適である。ファイバーレーザのスポット径は、例えば直径が0.02mm~0.05mm程度と非常に小さくすることができるため、そのファイバーレーザにより形成される溶融痕の幅も約0.1mmと非常に小さくできる。このため、レーザ光の集光点のパワー密度を非常に高くできる。第2レーザ光41は、第2レーザ光41の照射により形成された溶融痕が外装缶50を貫通するが、負極リード26を貫通しないように照射する。
【0039】
第1溶融部56を形成する際の第1レーザ光40のスポット径は、第2レーザ光41のスポット径より大きくすることが好ましい。第1レーザ光40は、第1レーザ光40の照射により形成された溶融痕が外装缶50を貫通せず、負極リード26に達しないように照射する。このとき、例えば、直線方向に沿って一方側(例えば図1の右側)に向かって、第1レーザ光40の照射部を外装缶50の底板部51の外側表面において移動させて、第1溶融部56を形成する。第2レーザ光41によって形成される第2溶融部58は、第1レーザ光40の照射により形成された第1溶融部56の内側に形成される。
【0040】
また、電池20をレーザ光の照射方向に対し直交する方向に相対的に移動させることで、レーザ光による溶接部54が底板部51の外側から見た場合に線状となりやすい。このとき、電池20は底板部51を上にした状態で配置し、その底部に向けてレーザ光を照射させることができる。電池20を横に傾けた状態で配置し、底板部51に向けてレーザ光を照射させることもできる。
【0041】
次に、外装缶50の外部からエネルギービームの一例であるレーザ光を照射して、外装缶50と負極リード26とを溶接する溶接工程を含む実施形態の電池の製造方法を説明する。この製造方法において、溶接工程は、第1照射工程と、第2照射工程とを有する。第1照射工程及び第2照射工程は、外装缶50に電解質を注入する前に行う。図6は、実施形態の製造方法において、第1照射工程で第1レーザ光40を照射する図である。図7は、実施形態の製造方法において、第2照射工程で第2レーザ光41を照射する図である。
【0042】
第1照射工程を行う前には、外装缶50の底板部51の内面に負極リード26を対向させた状態で、外装缶50に電極体22を収容する。そして、この状態で、第1照射工程及び第2照射工程により、外装缶50の外部から底板部51に向けて2段階でレーザ光を照射する。具体的には、図6に示すように、第1溶融部56を形成する第1レーザ光40を照射する前に、外装缶50の内側に上から押さえ棒70を挿入し、押さえ棒70により絶縁板30を介して負極リード26を上側から押圧する。これにより、外装缶50と負極リード26を密着させた状態とし、その状態で、底板部51の外側表面のうち、底板部51の内側表面を介して負極リード26が対向する部分に、第1エネルギー量を有する第1レーザ光40を照射して、第1溶融部56を形成する。このとき、溶融痕である第1溶融部56が、第1レーザ光40の照射位置において外装缶50を貫通せず、外装缶50の内部に留まり、負極リード26に達しないように、第1レーザ光40が制御される。このとき、第1レーザ光40のスポット径は、後述の第2レーザ光41のスポット径より大きくすることが好ましい。また、直線方向に沿って一方側(例えば図6の右側)に向かって、第1レーザ光40の照射部を外装缶50の底板部51の外側表面において移動させる。このとき、電池20をレーザ光の照射方向に対し直交する方向に相対的に移動させるように、レーザ光の光源を移動させる。本実施形態では、押さえ棒70により絶縁板30を介して負極リード26を押圧したが、絶縁板30の中央部に穴を設けて、その穴を貫通した押さえ棒が直接負極リード26を押圧してもよい。
【0043】
次いで、第2照射工程では、図7に示すように、第2溶融部58を形成する第2レーザ光41を照射する前に、第1照射工程の場合と同様に、押さえ棒70により外装缶50と負極リード26を密着させた状態とする。そして、その状態で、底板部51に向けて外側から第2エネルギー量を有する第2レーザ光41を第1溶融部56が露出している部分の内側に照射して、第2溶融部58を形成する。このとき、底板部51の外側表面から負極リード26の内部にかけて溶融痕である第2溶融部が形成されるように第2レーザ光42が制御される。このとき、例えば、上記の直線方向に沿って一方側(例えば図7の右側)に向かって、第2レーザ光41の照射部を外装缶50の底板部51の外側表面において移動させて、第2溶融部58を形成する。第2溶融部58は、第1レーザ光40の照射により形成された溶融痕の内側の範囲で、外装缶50と負極リード26の一部を溶融するように形成される。第1溶融部56の一部は溶融、凝固して第2溶融部58に変化しており、第2溶融部58は、第1溶融部56のうち第2溶融部58に変化せずに残った部分に隣接するように形成される。第2照射工程においても、第1照射工程と同様に、電池20をレーザ光の照射方向に対し直交する方向に相対的に移動させるように、レーザ光の光源を移動させる。
【0044】
上記のように押さえ棒70により外装缶50と負極リード26を密着させた状態で、外装缶50の外側から第1レーザ光40を照射して、外装缶50と負極リード26を溶接するので、電池20の内部にスパッタが発生することを防止しやすい。
【0045】
第2溶融部58は、底板部51の外側表面の第1溶融部56の内側に形成され、底板部51の内側(図1の上側)方向に延びる第1溶融部56と第2溶融部58との境界は、底板部51の内部に位置する。上記のように第1レーザ光40及び第2レーザ光41は、照射部が底板部51の外側表面上を同一の直線方向に沿って移動するように照射する。これによって、第1溶融部56及び第2溶融部58の底板部51の外側から見た場合の平面形状が直線状に形成される。また、底板部51の外側から見た場合に、第2溶融部58の全部は第1溶融部56により囲まれることが好ましい。なお、レーザ光の照射部は外装缶50の外側表面に対して相対的に移動させればよく、レーザ光及び外装缶50のうち、実際に動かすのは外装缶50でもよい。
【0046】
上記の実施形態の電池の製造方法及び電池20によれば、外装缶50に電解質が注入される前の状態で、外装缶50に負極リード26を溶接する際の外装缶50を貫通する穴の発生を防ぎ、かつ、安定した溶接強度を得ることができる。具体的には、第1溶融部56を形成する第1レーザ光40を底板部51に照射することで外装缶50と負極リード26の間に樹脂が存在する場合に、その樹脂が昇華等で気化する。これにより、外装缶50と負極リード26の間に樹脂が存在しない状態で、第2溶融部58を形成する第2レーザ光41を第1溶融部56の内側に照射し、外装缶50と負極リード26を溶接することができる。このため、外装缶50を貫通する穴の発生を防ぐことができるとともに、外装缶50において貫通しない凹部の発生を抑制できるので、外装缶50の内面で負極リード26と対向する部分での凹部の発生を抑制でき、安定した溶接強度を得ることができる。
ことができる。
【0047】
さらに、上記の電池20は、溶接部54が図1図2に示す第1溶融部56と第2溶融部58を含むため、溶接部54に起因する底板部51での応力腐食割れが生じにくくなる。
【0048】
図8は、実施形態の別例の製造方法において第1レーザ光40を照射する図である。本例の製造方法では、第1照射工程で第1溶融部56を形成する第1レーザ光40を底板部51の外側表面に照射する際に、外装缶50と負極リード26との間に隙間S1をあけている。このときには、図6に示した製造方法の場合と異なり、第1レーザ光40を照射する際に、外装缶50の内側には、上から押さえ棒を挿入せず、負極リード26を上側から押圧することは行わない。
【0049】
外装缶50と負極リード26の間に形成する隙間S1は、0.005mm~0.2mm程度あればよい。隙間S1が存在することにより、第1レーザ光40が照射されたことで発せられた熱が外装缶50の中に留まり、負極リード26や、外装缶50と負極リード26を密着させる押さえ棒に熱が吸収されることがない。このため、外装缶50と負極リード26の間に存在する樹脂が効率よく気化する。その後、図7に示した製造方法と同様に、第2溶融部58を形成する第2レーザ光41を底板部51に照射する際には、押さえ棒70によって外装缶50と負極リード26を密着させ、その状態で外装缶50と負極リード26を溶接する。
【0050】
また、第1溶融部56を形成する第1レーザ光40のレーザスポット径は、第2溶融部58を形成する第2レーザ光41のレーザスポット径より大きいほうが良い。第1レーザ光40は、外装缶50と負極リード26の間に存在する樹脂を熱によって気化させるために照射するので、第2溶融部58を形成する領域よりも広い領域で樹脂を気化し除去することが好ましい。言い換えると、第2レーザ光41は、第1レーザ光40によって外装缶50と負極リード26の間に存在する樹脂を除去された領域に照射されることで、第2溶融部58を形成し、外装缶50と負極リード26とを溶接する。これにより、外装缶50を貫通する穴の発生を防ぐことができ、かつ安定した溶接強度を得ることができる。
【0051】
また、各レーザ光としてファイバーレーザを用いた場合には、第1レーザ光40及び第2レーザ光41の照射深度と、第1レーザ光40の照射面積とを精度よく制御できる。これにより、第1溶融部56及び第2溶融部58の寸法(厚み、幅、長さ)を精度よく制御できるとともに、外装缶50と負極リード26の間に存在する樹脂を効率的に気化し除去できる。なお、外装缶50の外側から溶接部54を見た場合における第1溶融部56及び第2溶融部58の平面形状は線状であればよく、直線状に限定するものではない。例えば、第1溶融部56及び第2溶融部58の平面形状は、曲線状としてもよい。
【0052】
次に、上記の実施形態の効果を確認するために行った実験結果を説明する。実験には、以下の実施例1、2及び比較例の電池の製造方法のそれぞれで作製された電池を用いた。
【0053】
[実施例1]
実施例1の構成の寸法を例示するが、本開示は以下の寸法に限定されるものではない。図4を参照して、第1溶融部56を外装缶50の外側から見た場合の短尺方向の幅w1が、第2溶融部58を外装缶50の外側から見た場合の短尺方向の幅w2より大きく、かつ、幅w2の3倍以下である。また、第1溶融部56を外装缶50の外側から見た場合の長尺方向の長さL1は、第2溶融部58を外装缶50の外側から見た場合の長尺方向の長さL2より大きく、かつ、長さL2の2倍以下である。また、図3を参照して、第1溶融部56の厚みD1は、外装缶50の厚みDcの0.5~0.99倍である。
【0054】
より具体的な寸法として、外装缶50はニッケルめっきした鉄からなり、外側表面のニッケルめっき層は厚みが3.5μmである。また、外装缶50のニッケルめっき層を含む総厚みは、300μmである。さらに、溶接部54の第1溶融部56及び第2溶融部58の寸法は以下の通りである。
(第1溶融部56)
(1)外装缶50の外側から見た場合の短尺方向の幅w1:170μm
(2)外装缶50の外側から見た場合の長尺方向の長さL1:1600μm
(3)厚み(外装缶50の外側表面から第1溶融部56の形成された長さ)D1:270μm
(第2溶融部58)
(1)外装缶50の外側から見た場合の短尺方向の幅w2:80μm
(2)外装缶50の外側から見た場合の長尺方向の長さL2:1000μm
(3)厚み(外装缶50の外側表面から負極リード26の内部における末端までの長さ)D2:350μm
【0055】
実施例1の製造方法では、外装缶50と負極リード26の間には、実施形態の効果を確認するために、一般的な設備潤滑油を塗布した。その後、第1照射工程で、押さえ棒70(図6)によって外装缶50と負極リード26を密着させた状態で、第1溶融部56を形成する第1レーザ光40を外装缶50の外側から底板部51に照射した。その後に、第2照射工程で、押さえ棒70(図7)によって外装缶50と負極リード26を密着させた状態で、第2溶融部58を形成する第2レーザ光41を照射することにより、外装缶50と負極リード26を溶接した。
【0056】
第1レーザ光40及び第2レーザ光41の照射条件は以下の通りである。
(第1レーザ光40)
(1)エネルギー:1.44J
(2)レーザスポット径:170μm
(3)移動速度:470mm/sec
(第2レーザ光41)
(1)エネルギー:0.6J
(2)レーザスポット径:20μm
(3)移動速度:470mm/sec
【0057】
上記の条件で実施例1において、溶接部54を形成したところ、第1レーザ光40の照射によって、外装缶50内部に溶融痕が形成された。その溶融痕は、外装缶50の外側表面における短尺方向の幅が170μmで、長尺方向の長さが1600μmで、厚み(外装缶50の外側表面から第1溶融部56の形成された長さ)が270μmであった。続いて第2レーザ光41の照射によって、第1レーザ光40の照射で外装缶50に溶融痕の内側に、短尺方向の幅が80μmで、長尺方向の長さが1000μmで、厚み(外装缶50の外側表面から第2溶融部58の形成された長さ)350μmの溶融痕が形成された。
【0058】
[実施例2]
実施例2は、図8に示した実施形態の別例の製造方法に対応する。実施例2の電池の構成及び寸法は、実施例1と同様である。実施例2の製造方法では、実施例1と同様に、外装缶50と負極リード26の間に、一般的な設備潤滑油を塗布した。その後、実施例2では、第1照射工程で、図8に示したように、押さえ棒によって外装缶と負極リードを密着させることなく、外装缶と負極リードとの間に隙間が設けられた状態で、第1溶融部56を形成する第1レーザ光40を外装缶50の外側から底板部51に照射した。
【0059】
その後に、第2照射工程で、実施例1と同様に、押さえ棒70(図7)によって外装缶50と負極リード26を密着させた状態で、第2溶融部58を形成する第2レーザ光41を照射することにより、外装缶50と負極リード26を溶接した。第1レーザ光40及び第2レーザ光41の照射条件は、実施例1と同様である。
【0060】
[比較例]
また、比較例として、第1溶融部56(図6図8)を形成する第1レーザ光40を照射せずに、第2レーザ光41を照射して第2溶融部58を形成することにより、外装缶と負極リードを溶接した電池を作製した。これにより、比較例の電池の製造方法では、外装缶の底部に第1溶融部が形成されず、負極リードと外装缶とを溶接する第2溶融部58のみが形成された。その他の電池の構成及び寸法、第2レーザ光の照射条件は、実施例1と同様である。
【0061】
[実験結果]
表1は、上記の製造方法のそれぞれで作製された実施例1、2、比較例の電池を用いて、外装缶50を貫通する穴の発生確率を確認した結果を示している。実験では、実施例1、2、比較例のそれぞれで複数の電池を作製し、穴の発生確率を確認した。
【0062】
【表1】
【0063】
表1に示すように、比較例のように、第1溶融部を形成する第1レーザ光を照射せずに、第2レーザ光41を照射して第2溶融部58を形成した場合に、外装缶50を貫通する穴の発生確率は10%であった。
【0064】
一方、実施例1のように、第1溶融部56を形成する第1レーザ光40を照射した後に、第2レーザ光41を照射して第2溶融部58を形成した場合に、外装缶50を貫通する穴の発生確率は5%に減少することが確認できた。
【0065】
さらに、実施例2のように、外装缶50と負極リード26の間に隙間を設けて、互いに密着させない状態で第1溶融部56を形成する第1レーザ光40を照射した場合に、外装缶50を貫通する穴の発生確率は0%に減少することが確認できた。これにより、実施例2の場合には、実施例1のように、第1レーザ光の照射時に、外装缶50と負極リード26の間に隙間を形成せず互いに密着させた状態とした場合に比べて、外装缶50を貫通する穴の発生確率を減少できた。その理由は、実施例2では、第1レーザ光40が照射されたことで発せられた熱が外装缶50の中に留まり、負極リード26や、外装缶50と負極リード26を密着させる押さえ棒に熱が吸収されることがないためである。このため、実施例2では、外装缶50と負極リード26の間に存在する樹脂を効率よく気化させることができた。
【0066】
図9は、実施形態の別例の電池20aの底面側半部の断面図である。図10は、図9に示す電池20aの底面図である。
【0067】
図9図10に示す別例では、外装缶50と負極リード26とを溶接する3本の線状の平行な溶接部54a、54b、54cからなる溶接群60が形成される。3本の溶接部54a、54b、54cからなる溶接群60が形成されることで、外装缶50と負極リード26との溶接強度を確保しやすい。図9図10には、3本の平行な溶接部からなる溶接群60を図示しているが、勿論、溶接部は3本に限定するものではなく、2本、または4本以上の複数本の溶接部が形成されてもよい。局所的にこのような溶接部を形成する際には、ファイバーレーザのレーザ光を用いることが好適である。本例において、その他の構成及び作用は、図1図7の構成と同様である。
【0068】
上記の各例では、負極に接続された負極リードを外装缶に溶接する場合を説明したが、正極に接続された正極リードを外装缶に溶接する場合にも、本開示の構成を適用することができる。
【0069】
上記の各例では、負極の巻き終わり側端部に接続された負極リードを外装缶に溶接する場合を説明したが、負極の巻き始め側端部に接続された負極リードを外装缶に溶接する場合にも本開示の構成を適用することができる。
【0070】
上記の各例では、負極に接続された1本の負極リードを外装缶に溶接する場合を説明したが、負極に接続された複数本の負極リードを外装缶に溶接する場合にも、本開示の構成を適用することができる。
【符号の説明】
【0071】
20,20a 密閉電池(電池)、22 電極体、23 正極、23a 正極集電体、24 負極、24a 負極集電体、25 セパレータ、26 負極リード、29 巻き芯部、30 絶縁板、40 第1レーザ光、41 第2レーザ光、50 外装缶、51 底板部、54,54a,54b,54c 溶接部、56 第1溶融部、58 第2溶融部、60 溶接群、70 押さえ棒。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10