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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】電話制御装置
(51)【国際特許分類】
   H04Q 3/58 20060101AFI20220118BHJP
   H04M 3/42 20060101ALI20220118BHJP
   H04M 3/50 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
H04Q3/58 106
H04M3/42 Z
H04M3/50 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018080457
(22)【出願日】2018-04-19
(65)【公開番号】P2019192973
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-01-08
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591207574
【氏名又は名称】サクサシステムエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】伊橋 真吾
(72)【発明者】
【氏名】西村 聡
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 慎太朗
(72)【発明者】
【氏名】加賀谷 舞子
【審査官】西巻 正臣
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-244863(JP,A)
【文献】米国特許第05668860(US,A)
【文献】特開2015-015530(JP,A)
【文献】特開平09-284401(JP,A)
【文献】特開2012-151665(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1622573(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F13/00
H04L12/00-12/26
12/50-12/955
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
H04Q3/58-3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電話端末を収容し、着信の際、前記着信で指定された着信電話番号と対応する着信者の電話端末または前記着信者が携帯する携帯端末を呼び出す電話制御装置であって、
前記複数の電話端末を利用する利用者の所在を示す所在情報を記憶する所在データベースと、
予め前記利用者の所在ごとに登録された、着信時の呼出可否を判定するための呼出条件を記憶する記憶部と、
前記着信に応答し着信者に代わって自動応対する自動応対処理部と、
前記着信の着信電話番号と対応する着信者の所在情報を前記所在データベースから取得し、前記所在情報に含まれる前記着信者の所在と対応する呼出条件の成否に基づいて、前記着信に応じた前記着信者に対する呼出可否を判定する呼制御部と
前記利用者および通話相手に関する所属グループを含む利用者情報を記憶する電話帳データベースとを備え、
前記所在データベースは、前記利用者と同席している同席者を記憶し、
前記記憶部は、前記呼出条件として、前記着信の発信者と前記同席者との所属グループの一致を条件とする第2の呼出条件を含み、
前記呼制御部は、前記着信者に対する呼び出し可の判定に応じて、前記着信者が携帯する携帯端末または前記着信者の所在と対応する電話端末を呼び出し、呼び出し不可の判定に応じて前記着信を前記自動応対処理部に接続し、前記着信者の所在と対応する呼出条件が前記第2の呼出条件である場合、前記着信の発信電話番号と対応する発信者情報を前記電話帳データベースから取得するとともに、前記所在情報に含まれる前記着信者の同席者に関する同席者情報を前記電話帳データベースから取得し、前記発信者情報に含まれる前記発信者の所属グループと前記同席者情報に含まれる前記同席者の所属グループとの比較結果に応じて、前記着信者に対する呼出可否を判定する
ことを特徴とする電話制御装置。
【請求項2】
複数の電話端末を収容し、着信の際、前記着信で指定された着信電話番号と対応する着信者の電話端末または前記着信者が携帯する携帯端末を呼び出す電話制御装置であって、
前記複数の電話端末を利用する利用者の所在を示す所在情報を記憶する所在データベースと、
予め前記利用者の所在ごとに登録された、着信時の呼出可否を判定するための呼出条件を記憶する記憶部と、
前記着信に応答し着信者に代わって自動応対する自動応対処理部と、
前記着信の着信電話番号と対応する着信者の所在情報を前記所在データベースから取得し、前記所在情報に含まれる前記着信者の所在と対応する呼出条件の成否に基づいて、前記着信に応じた前記着信者に対する呼出可否を判定する呼制御部と、
前記利用者および通話相手に関する所属グループを含む利用者情報を記憶する電話帳データベースとを備え、
前記所在データベースは、前記利用者と同席している同席者を記憶し、
前記記憶部は、前記呼出条件として、前記着信者と前記同席者との所属グループの一致を条件とする第3の呼出条件を含み、
前記呼制御部は、前記着信者に対する呼び出し可の判定に応じて、前記着信者が携帯する携帯端末または前記着信者の所在と対応する電話端末を呼び出し、呼び出し不可の判定に応じて前記着信を前記自動応対処理部に接続し、前記着信者の所在と対応する呼出条件が前記第3の呼出条件である場合、前記着信の着信電話番号と対応する着信者情報を前記電話帳データベースから取得するとともに、前記所在情報に含まれる前記着信者の同席者に関する同席者情報を前記電話帳データベースから取得し、前記着信者情報に含まれる前記着信者の所属グループと前記同席者情報に含まれる前記同席者の所属グループとの比較結果に応じて、前記着信者に対する呼出可否を判定する
ことを特徴とする電話制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項に記載の電話制御装置において、
前記記憶部は、前記呼出条件として、前記着信の発信者が登録者であることを条件とする第4の呼出条件を含み、
前記呼制御部は、前記着信者の所在と対応する呼出条件が前記第4の呼出条件である場合、前記発信者に関する発信者情報が前記電話帳データベースに登録されているか否かに応じて、前記着信者に対する呼出可否を判定する
ことを特徴とする電話制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着信者の所在に応じて着信に対する呼制御を切り替える着信制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ビジネスホンシステムやPBXシステムなどの電話システムでは、利用者管理システムや入退室管理システムなどの在席管理システムと連携することにより、各利用者に関する在席状況を取得し、着信があった場合、移動先の着信者を呼び出す機能を有するものがある(例えば、特許文献1など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-18194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来技術では、着信者の所在にかかわらず着信に応じて着信者が呼び出されるため、場合によっては、着信者が発信者と自由に会話ができず適切に応対できないという問題点があった。
例えば、着信者が会議室で会議を行っている場合、会議に参加している同席者が着信者と同じ部署の人であれば、外部からの着信であって会話の内容が同席者に聞こえても問題ない状況であるため、着信者は発信者と自由に会話して適切に応対することができる。
【0005】
しかしながら、同席者が別の会社の社員であった場合、会話の内容が同席者に聞こえてしまうと差し障りがある場合もあるため、着信者は着信に応答しても、発信者と自由に会話ができず適切に応対することができない。
したがって、このような場合は、音声録音機能で自動応対して発信者の要件を録音したり、ガイダンス機能で自動応対して電話に出れない旨を発信者にアナウンスするほうが相応しい。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、着信者の所在に応じて着信者に対する呼出可否を適切に判定できる着信制御技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明にかかる電話制御装置は、複数の電話端末を収容し、着信の際、前記着信で指定された着信電話番号と対応する着信者の電話端末または前記着信者が携帯する携帯端末を呼び出す電話制御装置であって、前記複数の電話端末を利用する利用者の所在を示す所在情報を記憶する所在データベースと、予め前記利用者の所在ごとに登録された、着信時の呼出可否を判定するための呼出条件を記憶する記憶部と、前記着信に応答し着信者に代わって自動応対する自動応対処理部と、前記着信の着信電話番号と対応する着信者の所在情報を前記所在データベースから取得し、前記所在情報に含まれる前記着信者の所在と対応する呼出条件の成否に基づいて、前記着信に応じた前記着信者に対する呼出可否を判定する呼制御部と、前記利用者および通話相手に関する所属グループを含む利用者情報を記憶する電話帳データベースとを備え、前記所在データベースは、前記利用者と同席している同席者を記憶し、前記記憶部は、前記呼出条件として、前記着信の発信者と前記同席者との所属グループの一致を条件とする第2の呼出条件を含み、前記呼制御部は、前記着信者に対する呼び出し可の判定に応じて、前記着信者が携帯する携帯端末または前記着信者の所在と対応する電話端末を呼び出し、呼び出し不可の判定に応じて前記着信を前記自動応対処理部に接続し、前記着信者の所在と対応する呼出条件が前記第2の呼出条件である場合、前記着信の発信電話番号と対応する発信者情報を前記電話帳データベースから取得するとともに、前記所在情報に含まれる前記着信者の同席者に関する同席者情報を前記電話帳データベースから取得し、前記発信者情報に含まれる前記発信者の所属グループと前記同席者情報に含まれる前記同席者の所属グループとの比較結果に応じて、前記着信者に対する呼出可否を判定するようにしたものである。
【0008】
また、本発明にかかる他の電話制御装置は、複数の電話端末を収容し、着信の際、前記着信で指定された着信電話番号と対応する着信者の電話端末または前記着信者が携帯する携帯端末を呼び出す電話制御装置であって、前記複数の電話端末を利用する利用者の所在を示す所在情報を記憶する所在データベースと、予め前記利用者の所在ごとに登録された、着信時の呼出可否を判定するための呼出条件を記憶する記憶部と、前記着信に応答し着信者に代わって自動応対する自動応対処理部と、前記着信の着信電話番号と対応する着信者の所在情報を前記所在データベースから取得し、前記所在情報に含まれる前記着信者の所在と対応する呼出条件の成否に基づいて、前記着信に応じた前記着信者に対する呼出可否を判定する呼制御部と、前記利用者および通話相手に関する所属グループを含む利用者情報を記憶する電話帳データベースとを備え、前記所在データベースは、前記利用者と同席している同席者を記憶し、前記記憶部は、前記呼出条件として、前記着信者と前記同席者との所属グループの一致を条件とする第3の呼出条件を含み、前記呼制御部は、前記着信者に対する呼び出し可の判定に応じて、前記着信者が携帯する携帯端末または前記着信者の所在と対応する電話端末を呼び出し、呼び出し不可の判定に応じて前記着信を前記自動応対処理部に接続し、前記着信者の所在と対応する呼出条件が前記第3の呼出条件である場合、前記着信の着信電話番号と対応する着信者情報を前記電話帳データベースから取得するとともに、前記所在情報に含まれる前記着信者の同席者に関する同席者情報を前記電話帳データベースから取得し、前記着信者情報に含まれる前記着信者の所属グループと前記同席者情報に含まれる前記同席者の所属グループとの比較結果に応じて、前記着信者に対する呼出可否を判定するようにしたものである。
【0012】
また、本発明にかかる上記電話制御装置の一構成例は、前記記憶部が、前記呼出条件として、前記着信の発信者が登録者であることを条件とする第4の呼出条件を含み、前記呼制御部は、前記着信者の所在と対応する呼出条件が前記第4の呼出条件である場合、前記発信者に関する発信者情報が前記電話帳データベースに登録されているか否かに応じて、前記着信者に対する呼出可否を判定するようにしたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、着信者の所在に応じて呼出条件が切り替えられるため、着信者の状況に応じて呼出可否を適切に判定することが可能となり、着信者に対する負担を軽減でき、さらには発信者に対して適切な応対を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】電話システムの構成を示すブロック図である。
図2】電話帳DBの構成例である。
図3】所在DBの構成例である。
図4】呼出条件の登録例である。
図5】呼出可否判定処理を示すフローチャートである。
図6】着信制御動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
[電話システム]
まず、図1を参照して、本実施の形態にかかる電話システム1について説明する。図1は、電話システムの構成を示すブロック図である。
この電話システム1は、ビジネスホンシステムやPBXシステムなどの電話システムからなり、複数の電話端末20と、内線回線L2を介してこれら複数の電話端末20を内線収容し、外線回線L1を介して電話網NWへ交換接続する電話制御装置10とを備えている。以下では、電話システム1が、会社などのオフィスに設置されている場合を例として説明する。
【0016】
電話網NWは、次世代網(NGN:Next Generation Network)のほか、ISDN(Integrated Services Digital Network)、PSTN(Public Switched Telephone Network)、携帯電話網などの既存の電話網である。
相手電話装置40は、電話網NWに接続された一般的な電話装置である。
【0017】
電話端末20は、ビジネスホンシステムやPBXシステムなどの電話システムで内線端末として用いられる一般的な電話端末である。携帯端末21は、利用者が携帯する携帯電話やスマートフォンなどの無線電話端末である。携帯端末21については、電話網NWを介して電話制御装置10と間接的に接続される形態を例として説明するが、ローカル基地局を介して電話制御装置10と直接接続される形態であっても同様である。
【0018】
所在管理システム30は、在席管理システムや入退室管理システムなどの管理システムであり、電話端末20を利用する利用者の所在や状況を管理する機能を有している。なお、電話システム1には、所在管理システム30と同等な機能を備えているものがある。例えば、利用者が所持するビーコンからの電波を電話端末20で受信した時点で、利用者が当該電話端末20の近傍に存在していると判定してもよい。このような場合には、所在管理システム30を電話システム1で代替することができる。
【0019】
[電話制御装置]
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかる電話制御装置10について詳細に説明する。
電話制御装置10は、全体として、ビジネスホンシステムの主装置やPBXシステムのPBX装置からなり、主な機能部として、網I/F部11、内線I/F部12、スイッチ部13、通信I/F部14、電話帳DB15A、所在DB15B、記憶部16、自動応対処理部17、および呼制御部18を備えており、これら機能部はバスBを介してデータ通信可能に接続されている。これら機能部のうち、自動応対処理部17および呼制御部18は、CPUと記憶部16のプログラムとが協働することにより構成されている。
【0020】
網I/F部11は、外線回線L1を介して電話網NWとの間で呼制御メッセージ(呼制御信号)や音声データ(音声信号)をやり取りする機能を有している。
内線I/F部12は、内線回線L2を介して電話端末20との間で、制御メッセージや音声データをやり取りする機能を有している。
【0021】
スイッチ部13は、呼制御部18からの指示に応じて、網I/F部11の通話路と内線I/F部12の通話路とを交換接続する機能を有している。
通信I/F部14は、通信回線L3を介して所在管理システム30との間でデータ通信を行うことにより、利用者の所在や同席者を取得する機能を有している。
【0022】
電話帳DB15Aは、電話網NWに対する発着信に用いる電話番号に関する電話帳データ、すなわち利用者および通話相手に関する利用者情報を記憶するデータベースである。図2は、電話帳DBの構成例である。ここでは、電話帳DB15Aにおいて、利用者IDごとに、氏名、所属グループ、電話番号(外線番号)、内線番号、および携帯電話番号がそれぞれ登録されている。電話帳DB15Aには、電話端末20を利用する社内の利用者に関する利用者情報のほか、社外の通話相手に関する利用者情報も登録されている。図2の例では、所属グループについて、詳細属性として所属会社と所属部署が設けられているが、所属会社だけでもよく、他の詳細属性を加えてもよい。
【0023】
所在DB15Bは、電話端末20を利用する利用者の所在さらには利用者と同席している同席者を記憶するデータベースである。図3は、所在DBの構成例である。ここでは、所在DB15Bにおいて、利用者を識別するための利用者IDごとに、電話番号および所在情報が登録されている。所在情報については、詳細属性として、所在と同席者が設けられている。所在としては、利用者が自己の電話端末20が設置されている自席に在席していることを示す「自席」のほか、利用者の移動先の部屋名を示す「会議室」、「応接室」、「実験室」などがある。また、利用者が施設以外の場所に出向いていることを示す「外出」や、行き先が不明である「不明」なども含まれる。
【0024】
利用者の所在については、通信I/F部14および通信回線L3を介して所在管理システム30から取得したデータが所在DB15Bに登録される。また、利用者の同席者については、同席者が利用者である場合、所在と同様に所在管理システム30から取得したデータが所在DB15Bに登録される。一方、同席者が利用者以外の来訪者である場合、利用者がスケジュール情報として所在DB15Bに登録したデータを用いてもよい。同席者については、名前のほか、利用者IDや電話番号であってもよい。
【0025】
記憶部16は、半導体メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、呼制御部18における呼制御に用いる処理データやプログラムを記憶する機能を有している。
記憶部16で記憶する主な処理データとして、呼出条件情報16Aがある。呼出条件情報16Aは、予め利用者の所在ごとに登録された、着信時の呼出可否を判定するための条件である。図4は、呼出条件の登録例である。ここでは、所在ごとに、呼び出し可と判定される条件が呼出条件として登録されている。なお、呼出条件情報16Aが適用される着信には、相手電話装置40から電話網NWを介した着信者に対する外線個別着信だけでなく、電話端末20から着信者に対する内線個別着信も含まれている。
【0026】
例えば、「自席」および「実験室」という所在については、「発信者が登録者」であるという呼出条件(第4の呼出条件)が設定されている。これにより、着信の発信者が電話帳DB15Aに登録されているか否かに基づいて着信者への呼出可否が判定される。このため、「自席」または「実験室」にいる着信者に対して個別着信があった場合、その発信者が電話帳DB15Aに登録されている場合にのみ、着信者に対して呼び出しが行われることになる。したがって、電話帳DB15Aに登録されていないような、不明な発信者からの着信が、着信者に対して自動的に接続されることを回避できる。
【0027】
また、「会議室」および「応接室」という所在については、「発信者、着信者、同席者のいずれか二者の所属グループが一致」という呼出条件が設定されている。これにより、着信の発信者と着信者と同席者の所属グループの一致/不一致に基づいて着信者への呼出可否が判定される。このため、「会議室」または「応接室」にいる着信者に対して個別着信があった場合、発信者と着信者の所属グループが一致した場合、発信者とすべての同席者との所属グループが一致した場合、または、着信者とすべての同席者との所属グループが一致した場合に、着信者に対して呼び出しが行われることになる。
【0028】
したがって、このような呼出条件が成立した場合には、発信者と着信者との会話内容が同席者に聞こえたとしても大きな支障はないため、着信者は気兼ねなく自由に発信者と会話することができ、適切に応対することができる。
なお、以上では、「会議室」および「応接室」に対する呼出条件として、「発信者と着信者の所属グループが一致」(第1の呼出条件)、「発信者とすべての同席者の所属グループが一致」(第2の呼出条件)、「着信者とすべての同席者の所属グループが一致」(第3の呼出条件)という3つの呼出条件の論理和を用いる場合を例として説明したが、いずれか1つのみを用いてもよく、いずれか2つの論理和を用いてもよい。
【0029】
なお、図2に示したように、一般的な電話帳DBでは、所属グループの詳細属性として所属会社や所属部署が設けられている。このため、所属グループの一致/不一致については、これらすべての詳細属性の一致を条件としてもよいが、例えば所属会社など、いずれかの詳細項目の一致を条件としてもよい。また、判定に用いる詳細項目を予め設定できるようにしてもよい。また、着信が外線個別着信の場合には所属会社の一致のみを条件とし、着信が内線個別着信の場合には所属会社と所属部署の両方の一致を条件としてもよい。これにより、より柔軟に呼出可否を判定できる。
【0030】
また、「外出」および「不明」という所在については、「発信者と着信者との所属グループが一致」という呼出条件が設定されている。これにより、着信の発信者と着信者との所属グループの一致/不一致に基づいて着信者への呼出可否が判定される。このため、着信者が「外出」している場合や所在が「不明」である場合に、着信者に対して個別着信があった場合、発信者と着信者との所属グループが一致した場合にのみ、着信者に対して呼び出しが行われることになる。したがって、自席とは大きく異なる状況であっても、通話相手が同じ所属グループであるため、着信者は負担なく発信者と会話することができる。
【0031】
自動応対処理部17は、着信に応答し着信者に代わって自動応対する機能を有しており、主な処理部として、ガイダンス部17Aと音声録音部17Bを備えている。
ガイダンス部17Aは、発信者に対して、着信者が応答できない旨や、用件を音声録音する旨など、各種の音声ガイダンスを送出する機能を有している。
音声録音部17Bは、発信者からの用件を音声データに変換して録音する機能と、着信者からの要求に応じて録音した音声データを再生することにより発信者からの用件を着信者に送出する機能とを有している。
【0032】
呼制御部18は、電話網NWに対して電話端末20を交換接続するための一般的な呼制御を行う機能を有している。具体的には、電話網NWからの着信に応じて対応する電話端末20を呼び出す着信機能、呼出中の電話端末20での応答操作に応じて、スイッチ部13を制御して電話端末20と電話網NWとの通話路を接続することにより音声通話を実現する機能、電話端末20での発信操作に応じて電話網NWに対する指定相手先への発信を行う機能などがある。
【0033】
また、呼制御部18は、着信の着信電話番号と対応する着信者の所在情報を所在DB15Bから取得する機能と、取得した所在情報に含まれる着信者の所在と対応する呼出条件の成否に基づいて、着信に応じた着信者に対する呼出可否を判定する機能と、着信者に対する呼び出し可の判定に応じて、着信者が携帯する携帯端末21または着信者の所在と対応する電話端末20を呼び出す機能と、呼び出し不可の判定に応じて着信を自動応対処理部17に接続する機能とを有している。
【0034】
より具体的には、呼制御部18は、着信者の所在と対応する呼出条件で指定された、着信の発信者、着信者、または着信者と同席している同席者の利用者情報を電話帳DB15Aから取得し、これら所属グループの比較結果に応じて、着信者に対する呼出可否を判定する機能を有している。
【0035】
[第1の実施の形態の動作]
次に、本実施の形態にかかる電話制御装置10の動作について説明する。
【0036】
[呼出可否判定動作]
図5を参照して、本実施の形態にかかる電話制御装置10の呼出可否判定動作について説明する。図5は、呼出可否判定処理を示すフローチャートである。
電話網NWを介して通知された相手電話装置40からの外線個別着信、あるいは電話端末20からの内線個別着信があった場合、呼制御部18は、図5の呼出可否判定処理を実行する。
【0037】
まず、呼制御部18は、受信した着信要求から発信電話番号と着信電話番号を取得し(ステップS100)、着信電話番号に基づいて所在DB15Bを検索することにより、着信者の所在情報を取得して(ステップS101)、記憶部16の呼出条件情報16Aから着信者の所在に対応する呼出条件を取得する(ステップS102)。
【0038】
次に、呼制御部18は、発信電話番号に基づいて電話帳DB15Aを検索することにより、発信電話番号に関する発信者情報の登録有無を確認する(ステップS103)。
ここで、電話帳DB15Aに発信者情報の登録がなく、発信者が登録者でない場合(ステップS103:NO)、呼制御部18は、呼び出し不可と判定し(ステップS110)、一連の呼出可否判定処理を終了する。これにより、着信者の呼び出しは行われず当該着信は自動応対処理部17に接続される。この際、発信者が未登録者であることから、発信者が用件を登録できる音声録音での自動応対とはせずに、音声ガイダンスのみの応対としてもよい。
【0039】
一方、電話帳DB15Aに発信者情報の登録があり、発信者が登録者である場合(ステップS103:YES)、呼制御部18は、電話帳DB15Aから発信者情報を取得するとともに(ステップS104)、電話帳DB15Aから着信電話番号に関する着信者情報を取得する(ステップS105)。
また、呼制御部18は、呼出条件で同席者情報が必要となるか確認し、必要な場合には、電話帳DB15Aから所在情報に含まれる同席者の同席者情報を取得する(ステップS106)。
【0040】
次に、呼制御部18は、呼出条件が成立するか否か確認する(ステップS107)。この際、図4の例では、前述したように、着信者の所在が「自席」または「実験室」である場合には、「発信者が登録者」であるか否かが確認される。また、着信者の所在が「会議室」または「応接室」である場合には、「発信者と着信者と同席者のいずれか二者の所属グループが一致」するか否かが確認される。また、着信者の所在が「外出」または「不明」である場合には、「発信者と着信者との所属グループが一致」するか否かが確認される。
【0041】
ステップS107において、呼出条件が成立した場合(ステップS107:YES)、呼制御部18は、呼び出し可と判定し(ステップS108)、一連の呼出可否判定処理を終了する。これにより、着信者の呼び出しが行われることになる。
【0042】
一方、呼出条件が成立しなかった場合(ステップS107:NO)、呼制御部18は、呼び出し不可と判定し(ステップS109)、一連の呼出可否判定処理を終了する。これにより、着信者の呼び出しは行われず当該着信は自動応対処理部17に接続されることになる。この際、発信者が登録者であることから、発信者が用件を登録できる音声録音での自動応対としてもよい。
【0043】
[着信制御動作]
次に、図6を参照して、本実施の形態にかかる電話制御装置10の着信制御動作について説明する。図6は、着信制御動作を示すシーケンス図である。
ここでは、電話網NWからの外線個別着信があった場合を例として説明するが、電話端末20からの内線個別着信があった場合も同様である。
【0044】
電話制御装置10は、電話網NWからの着信要求に応じて(ステップS150)、図5の呼出可否判定処理を実行する。ここで、例えば、着信者の所在が「自席」であった場合(ステップS151)、「自席」に関する呼出条件に基づいて、「発信者が登録者」であるか確認する(ステップS152)。
【0045】
ここで、発信者が登録者であった場合(ステップS152:YES)、着信者の自席の電話端末20を呼び出す(ステップS153)。これにより、電話端末20での応答操作に応じて、発信者と着信者の音声通話が開始される。
一方、発信者が登録者ではなかった場合(ステップS152:NO)、電話制御装置10は、着信を自動応対処理部17のガイダンス部17Aに接続する(ステップS154)。これにより、発信者に対して音声ガイダンスが送出されることになる。
【0046】
また、電話制御装置10は、電話網NWからの着信要求に応じて(ステップS160)、図5の呼出可否判定処理を実行し、例えば、着信者の所在が「会議室」であって(ステップS161)、発信者が登録者であった場合(ステップS162)、「会議室」に関する呼出条件に基づいて、発信者、着信者、同席者の「いずれか二者の所属グループが一致」するか確認する(ステップS163)。
【0047】
ここで、いずれか二者の所属グループが一致した場合(ステップS163:YES)、着信者情報に基づいて着信者が携帯する携帯端末21を呼び出す(ステップS164)。これにより、携帯端末21での応答操作に応じて、発信者と着信者の音声通話が開始される。この際、着信者の所在と対応する電話端末20を呼び出すようにしてもよい。
一方、いずれか二者の所属グループがすべて一致しなかった場合(ステップS163:NO)、電話制御装置10は、着信を自動応対処理部17の音声録音部17Bに接続する(ステップS165)。これにより、発信者の用件が音声録音されることになる。
【0048】
また、電話制御装置10は、電話網NWからの着信要求に応じて(ステップS170)、図5の呼出可否判定処理を実行し、例えば、着信者の所在が「外出」であって(ステップS171)、発信者が登録者であった場合(ステップS172)、「外出」に関する呼出条件に基づいて、「発信者と着信者の所属グループが一致」するか確認する(ステップS173)。
【0049】
ここで、発信者と同席者の所属グループが一致した場合(ステップS173:YES)、着信者情報に基づいて着信者が携帯する携帯端末21を呼び出す(ステップS174)。これにより、携帯端末21での応答操作に応じて、発信者と着信者の音声通話が開始される。この際、着信者の所在と対応する電話端末20を呼び出すようにしてもよい。
一方、発信者と同席者の所属グループが一致しなかった場合(ステップS173:NO)、電話制御装置10は、着信を自動応対処理部17の音声録音部17Bに接続する(ステップS175)。これにより、発信者の用件が音声録音されることになる。
【0050】
[本実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、呼制御部18が、着信の着信電話番号と対応する着信者の所在情報を所在DB15Bから取得し、所在情報に含まれる着信者の所在と対応する呼出条件の成否に基づいて、着信に応じた着信者に対する呼出可否を判定し、着信者に対する呼び出し可の判定に応じて、着信者が携帯する携帯端末21または着信者の所在と対応する電話端末20を呼び出し、呼び出し不可の判定に応じて着信を自動応対処理部17に接続するようにしたものである。
【0051】
より具体的には、呼制御部18が、着信者の所在と対応する呼出条件で指定された、着信の発信者、着信者、または着信者と同席している同席者の利用者情報を電話帳DB15Aから取得し、これら所属グループの比較結果に応じて、着信者に対する呼出可否を判定するようにしたものである。
【0052】
これにより、着信者の所在に応じて呼出条件が切り替えられるため、発信者と着信者の会話内容が同席者に聞こえても差し障りがないような状況下については、着信者に対して呼び出しを行われ、差し障りがあるような状況下においては、着信者に対する呼び出しが行われず、音声録音やガイダンス送出などの自動応対が行われることになる。したがって、着信者の状況に応じて呼出可否を適切に判定することが可能となり、着信者に対する負担を軽減でき、さらには発信者に対して適切な応対を行うことが可能となる。
【0053】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0054】
1…電話システム、10…電話制御装置、11…網I/F部、12…内線I/F部、13…スイッチ部、14…通信I/F部、15A…電話帳DB、15B…所在DB、16…記憶部、17…自動応対処理部、17A…ガイダンス部、17B…音声録音部、18…呼制御部、20…電話端末、21…携帯端末、30…所在管理システム、40…相手電話装置、L1…外線回線、L2…内線回線、L3…通信回線、NW…電話網。
図1
図2
図3
図4
図5
図6