(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】PEGを介した核酸分子のアセンブリ
(51)【国際特許分類】
C12N 15/10 20060101AFI20220118BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20220118BHJP
【FI】
C12N15/10 Z
C12Q1/686 Z
(21)【出願番号】P 2018175502
(22)【出願日】2018-09-20
(62)【分割の表示】P 2015547515の分割
【原出願日】2013-12-11
【審査請求日】2018-10-19
【審判番号】
【審判請求日】2021-01-05
(32)【優先日】2012-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509262736
【氏名又は名称】シンセティック ジェノミクス インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ウラノ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ギブソン ダニエル ジー.
(72)【発明者】
【氏名】カイアッツァ ニッキー シー.
(72)【発明者】
【氏名】キ ジーチン
【合議体】
【審判長】長井 啓子
【審判官】中島 庸子
【審判官】松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】LEE W H,GENE SYNTHESIS FROM OLIGONUCLEOTIDE MIXTURES BY SOLID PHASE PCR AND ASEMBLY PCR IN A MICROFLUIDIC CHIP SYSTEM,THE UNIVERSITY OF MICHIGAN,2010年,p.1-8,28-30,38,53-54,76-104
【文献】Mol.BioSyst.,2009年,Vol.5,pp.714-722
【文献】Journal of Biotechnology,2006年,Vol.124,pp.469-503
【文献】Journal of Microbiological Methods,2009年,Vol.79,pp.295-300
【文献】FastStart High Fidelity PCR System,シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社,2003年,バージョン1
【文献】SeqTarget LongRange PCR プロトコールとトラブルシューティング,株式会社キアゲン,2010年 1月
【文献】METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY,2003年,V226,P89-100
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC C12N 15/00-15/90
CAplus/MEDLINE/BIOSIS/EMBASE/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重複オリゴヌクレオチドのセットから単一工程で1kb長よりも大きい核酸分子をアセンブルする方法
(ただし、固相上に反応成分は含まれない)であって、
(a)重複オリゴヌクレオチドのセットを、DNAポリメラーゼ;dNTPの混合物;およびポリエチレングリコールと接触させて、溶液として存在するアセンブリ混合物を形成すること;
(b)前記溶液として存在するアセンブリ混合物を、各サイクルがアニーリング段階、伸長段階、変性段階のうちの一つまたは複数を含む複数回のサイクルにかけること;
(c)それによって、単一工程で重複オリゴヌクレオチドのセットから前記1kb長よりも大きい核酸分子をアセンブルすること、
を含み、
前記(b)における伸長段階が、時間に変動がある段階であって、1サイクル毎に少なくとも10秒間増加する前記伸長段階である、
方法。
【請求項2】
前記オリゴヌクレオチドのセットが末端オリゴヌクレオチドおよび非末端オリゴヌクレオチドを含み、該末端オリゴヌクレオチドが該非末端オリゴヌクレオチドよりも高い濃度でアセンブリ混合物中に与えられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1回のアニーリング段階が50℃~77℃の温度で起こる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
あるサイクルの伸長段階の時間がその前のサイクルの伸長段階と比較して延長されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記DNAポリメラーゼがパイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)由来の改変DNAポリメラーゼである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記オリゴヌクレオチドのセットが1つの遺伝子にアセンブルされる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリエチレングリコールがPEG8000である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
PEGの濃度が0.025%以上である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
PEGの濃度が0.375%以上である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記アニーリング段階が67℃で起こる、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記アニーリング段階および前記伸長段階が67℃で起こる、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記核酸分子が2kb長よりも大きい、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記核酸分子が3kb長よりも大きい、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記重複オリゴヌクレオチドのセットが少なくとも5種類のオリゴヌクレオチドを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記重複オリゴヌクレオチドのセットが少なくとも60種類のオリゴヌクレオチドを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記重複オリゴヌクレオチドのセットが少なくとも75種類のオリゴヌクレオチドを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
アセンブルされた前記核酸分子が2kb長よりも大きく、第一伸長段階が5分間~7分間であり、その後の複数の伸長段階が時間に変動がある段階である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
アセンブルされた前記核酸分子が3kb長より大きく、第一伸長段階が5分間~7分間であり、その後の複数の伸長段階の時間が第一伸長段階に対して漸増する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記重複ヌクレオチドのセットが100種類超のオリゴヌクレオチドを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記伸長段階が1サイクル毎に15秒だけ累積的に延長される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記複数回のサイクルが少なくとも25回のサイクルを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
アセンブルされた前記核酸分子が一つまたは複数のATリッチ配列を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2012年12月13日に出願された米国仮特許出願第61/736,946号の利益を主張するものであり、該米国仮特許出願は、表、図、および特許請求の範囲を全て含むその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は核酸分子のアセンブリに関する。本発明は、特に、多様な合成代謝経路の構築、自動DNAアセンブリ、および大きなDNA断片のロバストエンジニアリング等の多様な領域に応用される。
【背景技術】
【0003】
背景
以下の背景の記述は、本発明の理解の補助のために提供されるものであるが、本発明に対する先行技術であること、またはそれの記述であることを認めるものではない。
【0004】
合成遺伝子の構築は分子生物学の多くの領域に応用される。DNA配列は種々の方法を用いてアセンブルされることができる。これらの方法は一般的に、合成および増幅という二工程の過程を含み、第一工程では、重複オリゴヌクレオチドのセットが、標準的なオリゴヌクレオチド合成技術を用いて合成され、重複領域間の相同性によるオリゴヌクレオチドのセルフプライミングに基づいてアセンブルされる。第二工程では、アセンブルされた核酸が増幅のために追加のプライマー対を用いたPCRにかけられ、完全長の遺伝子産物が増幅される。いくつかの利用可能な方法は、アセンブリ過程の間に次第により長いDNA断片を構築するものとして、DNAポリメラーゼに頼ってきた。
【0005】
他の核酸アセンブリ技術では、元の遺伝子アセンブリ混合物中に増幅プライマーが含まれていた。これらの方法は、不充分であるか、より小さな遺伝子しかアセンブルすることができないか、または、難しいヌクレオチド内容物を有する核酸(例えば、AT配列またはGC配列に富んだ核酸)をアセンブルすることができなかった。
【0006】
通常、核酸構築物のアセンブリは少なくとも2つの工程、すなわちオリゴヌクレオチドの予備アセンブリのための第一工程、並びに予備アセンブリの産物を別々のPCR工程で増幅およびアセンブルするための第二工程、を必要とする。
【0007】
所望の核酸または遺伝子のアセンブリおよび増幅を単一工程で達成可能であり、かつ以前に入手可能であったものよりも大きなサイズの核酸および遺伝子の合成も可能である、核酸または遺伝子をアセンブルするための方法を有することは有利であるだろう。該アセンブリを単一工程で実行することが可能な方法を有することは有利であるだろう。
【発明の概要】
【0008】
概要
本発明では、重複オリゴヌクレオチドのセットから核酸分子を単一工程でアセンブルする方法が開示される。該方法は、重複オリゴヌクレオチドのセットを、DNAポリメラーゼ、dNTP混合物、および密集化剤(crowding agent)と接触させることによりアセンブリ混合物を形成することを含む。一実施形態では、密集化剤はポリエチレングリコール(PEG)である。密集化剤の存在により、本発明の核酸アセンブリ過程が促進される。アセンブリ混合物は次に、複数回のサイクルにかけられ、各サイクルは変性段階、アニーリング段階、および伸長段階を含み、所望の核酸分子がこれによりアセンブルされる。いくつかの実施形態において、該段階のうちの一つまたは複数は時間に変動がある。該方法は単一工程で実行することができる。
【0009】
一態様において、本発明は、重複オリゴヌクレオチドのセットから核酸分子を単一工程でアセンブルする方法を提供する。該方法は、(a)重複オリゴヌクレオチドのセットを、DNAポリメラーゼ、dNTP混合物、およびポリエチレングリコールと接触させて、アセンブリ混合物を形成すること;(b)該アセンブリ混合物を、各サイクルが変性段階、アニーリング段階、および伸長段階を含む複数回のサイクルにかけること、(c)これにより単一工程で重複オリゴヌクレオチドのセットから核酸分子をアセンブルすること、を含む。
【0010】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドのセットは、末端オリゴヌクレオチドおよび非末端オリゴヌクレオチドを含有し、末端オリゴヌクレオチドは非末端オリゴヌクレオチドよりも高い濃度でアセンブリ混合物中に与えられる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのアニーリング段階は、57℃~77℃の温度で起こる。各サイクルの伸長段階の時間は、その前のサイクルの伸長段階と比較して延長され得る。DNAポリメラーゼは、PHUSION(登録商標)DNAポリメラーゼ(Finnzymes, Oy、フィンランド)等の熱安定性(heat-stabile)DNAポリメラーゼであり得る。オリゴヌクレオチドのセットは1つの遺伝子にアセンブルされ得る。いくつかの実施形態において、ポリエチレングリコールはPEG8000である。PEGの濃度は0.025%(w/v)以上、または0.375%(w/v)以上であり得る。アニーリング段階は67℃で起こり得、アニーリング段階および伸長段階は単一の段階に組み合わされ得る。種々の実施形態において、核酸分子は1kb長より大きい、または2kb長より大きい、または3kb長より大きい場合がある。重複オリゴヌクレオチドのセットは、少なくとも5種類のオリゴヌクレオチド、または少なくとも60種類のオリゴヌクレオチド、または少なくとも75種類のオリゴヌクレオチドを有し得る。
【0011】
一実施形態では、核酸分子は2kb長より大きく、第一伸長段階は5分間~7分間であり、その後の複数の伸長段階は時間に変動がある段階である。別の実施形態では、核酸分子は3kbより大きく、第一伸長段階は5分間~7分間であり、その後の複数の伸長段階の時間は第一伸長段階に対して漸増する。オリゴヌクレオチドのセットは100種類超のオリゴヌクレオチドを含有し得る。前記段階のうちの一つまたは複数は時間に変動のある段階であり得る。特定の実施形態では、伸長段階は時間に変動のある段階である。伸長段階は1サイクル毎に約15秒だけ累積的に延長され得、複数回のサイクルは少なくとも25回のサイクルであり得る。核酸分子は一つまたは複数のATリッチ配列を有し得る。
【0012】
以下に、本発明の基本的な諸特徴および種々の態様を列挙する。
[1]
重複オリゴヌクレオチドのセットから単一工程で核酸分子をアセンブルする方法であって、
(a)重複オリゴヌクレオチドのセットを、DNAポリメラーゼ;dNTPの混合物;およびポリエチレングリコールと接触させて、アセンブリ混合物を形成すること;
(b)前記アセンブリ混合物を、各サイクルがアニーリング段階、伸長段階、変性段階のうちの一つまたは複数を含む複数回のサイクルにかけること;
(c)それによって、単一工程で重複オリゴヌクレオチドのセットから前記核酸分子をアセンブルすること、
を含む、方法。
[2]
前記オリゴヌクレオチドのセットが末端オリゴヌクレオチドおよび非末端オリゴヌクレオチドを含み、該末端オリゴヌクレオチドが該非末端オリゴヌクレオチドよりも高い濃度でアセンブリ混合物中に与えられる、[1]に記載の方法。
[3]
少なくとも1回のアニーリング段階が50℃~77℃の温度で起こる、[1]に記載の方法。
[4]
あるサイクルの伸長段階の時間がその前のサイクルの伸長段階と比較して延長されている、[1]に記載の方法。
[5]
前記DNAポリメラーゼがパイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)由来の改変DNAポリメラーゼである、[1]に記載の方法。
[6]
前記オリゴヌクレオチドのセットが1つの遺伝子にアセンブルされる、[1]に記載の方法。
[7]
前記ポリエチレングリコールがPEG8000である、[1]に記載の方法。
[8]
PEGの濃度が0.025%以上である、[7]に記載の方法。
[9]
PEGの濃度が0.375%以上である、[7]に記載の方法。
[10]
前記アニーリング段階が67℃で起こる、[1]に記載の方法。
[11]
前記アニーリング段階および前記伸長段階が67℃で起こる、[1]に記載の方法。
[12]
前記核酸分子が1kb長よりも大きい、[9]に記載の方法。
[13]
前記核酸分子が2kb長よりも大きい、[12]に記載の方法。
[14]
前記核酸分子が3kb長よりも大きい、[12]に記載の方法。
[15]
前記重複オリゴヌクレオチドのセットが少なくとも5種類のオリゴヌクレオチドを含む、[1]に記載の方法。
[16]
前記重複オリゴヌクレオチドのセットが少なくとも60種類のオリゴヌクレオチドを含む、[15]に記載の方法。
[17]
前記重複オリゴヌクレオチドのセットが少なくとも75種類のオリゴヌクレオチドを含む、[16]に記載の方法。
[18]
アセンブルされた前記核酸分子が2kbよりも大きく、第一伸長段階が5分間~7分間であり、その後の複数の伸長段階が時間に変動がある段階である、[17]に記載の方法。
[19]
アセンブルされた前記核酸分子が3kbより大きく、第一伸長段階が5分間~7分間であり、その後の複数の伸長段階の時間が第一伸長段階に対して漸増する、[18]に記載の方法。
[20]
前記重複ヌクレオチドのセットが100種類超のオリゴヌクレオチドを含む、[19]に記載の方法。
[21]
一つまたは複数の段階が時間に変動がある段階である、[1]に記載の方法。
[22]
前記伸長段階が時間に変動がある段階である、[21]に記載の方法。
[23]
前記伸長段階が1サイクル毎に約15秒だけ累積的に延長される、[22]に記載の方法。
[24]
前記複数回のサイクルが少なくとも25回のサイクルを含む、[1]に記載の方法。
[25]
アセンブルされた前記核酸分子が一つまたは複数のATリッチ配列を含む、[1]に記載の方法。
上記の発明の概要は限定するものではなく、本発明の他の特徴および利点は、下記の発明の詳細な説明、および特許請求の範囲から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1Aは、重複オリゴヌクレオチドの図を示し、オリゴヌクレオチドAおよびB、BおよびC、CおよびD、DおよびE、並びにEおよびFは、重複オリゴヌクレオチドであり、向かい合う隣接オリゴヌクレオチドである。
図1Bは、二本鎖(ds)DNA断片間の相同配列または重複配列を示す。
【
図2】遺伝子Aに関する、ギャップ有りオリゴヌクレオチドのセットおよびギャップ無しオリゴヌクレオチドのセットの図が示される。
【
図3】本発明の方法による、オリゴヌクレオチドからの2.3kbの遺伝子(mutS)のアセンブリを示すゲルが図示される。
【
図4】本発明の方法による、オリゴヌクレオチドからの3.7kbの遺伝子のアセンブリを示すゲルが図示される。
【
図5】本発明の方法による、オリゴヌクレオチドからのATリッチDNAのアセンブリを示すゲルが図示される。
【
図6】本発明の方法により7kbの分子を作製するための7つのDNA断片のアセンブリを示すゲルが図示される。
【
図7】本発明の方法による、86種類のオリゴヌクレオチドからのmutS遺伝子のアセンブリを示すゲルが図示される。
【
図8】
図8A~Bは、種々のインフルエンザウイルス株からの核酸構築物HA(H)およびNA(N)のアセンブリを示す0.8%プレキャストアガロースゲルを示し、核酸構築物HA(H)およびNA(N)はそれぞれ、本発明の方法を用い、本発明の系において、96種類のプールされたオリゴヌクレオチドからアセンブルされる。構築物HAおよびNAは共におよそ3kbである。
図8A - レーン1:A/Brisbane/10/2010(H1N1)_HA;レーン2:A/Brisbane/10/2010(H1N1)_NA;レーン3:X179A_TD(H1N1)_HA;レーン4:X179A(H1N1)_NA;レーン5:A/Victoria/361/2011_CDC/E3(H3N2)_HA;レーン6:A/Victoria/361/2011(H3N2)_NA;レーン7:A/Brisbane/256/2011_P2/E3(H3N2)_HA;レーン8:A/Brisbane/256/2011_P2/E3(H3N2)_NA;スタンダードレーン。
図8B - スタンダードレーン;レーン1:B/Texas/06/2011_BX-45_HA;レーン2:B/Texas/06/2011_BX-49_NA;レーン3:B/New_Hampshire/l/2012_HA;レーン4:B/New_Hampshire/l/2012_NA;レーン5:B/Brisbane/60/08_HA;レーン6:B/Brisbane/60/08_NA;レーン7:B/Nevada/03/2011_v2_HA;レーン8:B/Nevada/03/2011_v2_NA。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
本発明の方法を利用することで、所望の核酸分子のアセンブリを単一工程で達成することができる。従って、本発明により、数百種類のオリゴヌクレオチドをアセンブルする所要時間および費用の両方が減少する。従って、本発明は、多様な合成代謝経路の構築、自動DNAアセンブリ、および大きなDNA断片のロバストエンジニアリングに関する目標を容易なものにする。本発明は、アセンブリ混合物中の密集化剤の包含が核酸分子のアセンブリに有利な特性を与えるという発見に部分的に基づいている。一実施形態では、密集化剤はポリエチレングリコールである。いかなる特定の理論にも制限されることを望むものではないが、本発明者らは、アセンブリ混合物中の密集化剤の包含が、相補的オリゴヌクレオチドがそれぞれの他のオリゴヌクレオチドにより高い特異性でアニーリングすることを助長することによって、核酸アセンブリ反応のロバスト性を増加させると考えている。
【0015】
本発明は、アセンブリ混合物中に密集化剤が包含されることの利点を利用しているが、核酸アセンブリにおけるアニーリングおよび伸長の反応温度および反応時間の最適化の利点も利用している。アニーリングおよび伸長を単一工程に組み合わせることによって、オリゴヌクレオチドのセットにおけるオリゴヌクレオチド配列は、特異的にアニーリングし核酸伸長の鋳型として機能することが可能になる。該方法は、以前に可能であったよりも長い核酸断片のアセンブリをより低コストで可能にする。いくつかの実施形態において、1kb超かつ7kb以下およびそれより長い核酸断片がアセンブルおよび増幅され得る。本発明の方法は、高AT含量または高GC含量を有する核酸分子のアセンブリおよび/または増幅も可能にする。さらに、本発明の方法は、核酸アセンブリ工程の排除、および反応混合物に含まれるある種の酵素の除去を可能にする。本方法は、以前に可能であったよりも有意により大きな数のオリゴヌクレオチドのアセンブリも可能にする。百を超える一本鎖DNAオリゴヌクレオチドが、本方法によって混合物からアセンブルされ得、数十の二本鎖DNA断片が本方法を用いてアセンブルされ得る。ATまたはGCリッチ配列を有する核酸をアセンブルするために要する時間および労力は、本発明の方法を用いることで劇的に減少している。
【0016】
一実施形態では、本発明は、アセンブリが所望される長さの核酸またはその断片を含む一本鎖重複オリゴヌクレオチドのセットを、該セットとDNAポリメラーゼ、dNTP混合物、および密集化剤とを接触させることによりアセンブルするための、単一工程または一工程法である。「単一工程」または「一工程」とは、反応成分が反応器に入れられた後、該容器を再び開く必要無しに、所望の核酸分子のアセンブリおよび増幅が達成されることを意味する。従って、本発明の方法は、核酸構築物のアセンブリを単一工程に統合し、それにより予備アセンブリ工程およびPCR増幅およびアセンブリ工程を単一の反応工程に組み合わせる機会を与える。一本鎖の重複オリゴヌクレオチドは同時にアセンブルされ得る。
【0017】
方法
本発明は、重複オリゴヌクレオチド断片のセットから核酸分子をアセンブルするための方法を提供する。重複オリゴヌクレオチドのセットは少なくとも2種類の重複オリゴヌクレオチドを意味するが、他の実施形態では、オリゴヌクレオチドのセットは、本明細書で説明されるようないかなる数のオリゴヌクレオチドも含有し得、例えば、少なくとも50種類または少なくとも70種類または少なくとも100種類または少なくとも150種類のオリゴヌクレオチドを含有し得る。重複オリゴヌクレオチドのセットは、各オリゴヌクレオチドの配列の少なくとも一部が該セットの少なくとも1種類の他のオリゴヌクレオチド(アンチセンスオリゴヌクレオチド)に対して相補的でありかつオリゴヌクレオチドのアニーリングを可能にする配列を有するオリゴヌクレオチドを含有する。種々の実施形態において、該セットのオリゴヌクレオチドは、約60塩基長~約70塩基長であり得る。60塩基のオリゴヌクレオチドは、向かい合う隣接する(アンチセンス)オリゴヌクレオチドと約30bp重複し得る。70塩基のオリゴヌクレオチドは、その向かい合う隣接する(アンチセンス)オリゴヌクレオチドと約35bp重複し得る(
図1a参照)。アセンブルされる核酸分子の各鎖は、適切なオリゴヌクレオチド断片に分割され得る。いくつかの実施形態において、これは、配列を本明細書に記載されるような適切な長さの適切な数の重複断片に分割する適切なソフトウェアを用いて行われるが、他の実施形態では、単に適切な分割点を特定することによって行われる。重複オリゴヌクレオチドのセットは、DNA合成機またはオリゴヌクレオチド合成機で合成され得る。種々の実施形態において、該セットの重複オリゴヌクレオチドは、向かい合う隣接する(アンチセンス)オリゴヌクレオチドと、少なくとも10ヌクレオチドまたは少なくとも20ヌクレオチドまたは少なくとも30ヌクレオチドまたは少なくとも40ヌクレオチドまたは50超のヌクレオチドまたは60超のヌクレオチドが重複する。アセンブルされるオリゴヌクレオチドのセットは、適切な容器中に適切な緩衝液を用いてプールされ得る。アセンブリ混合物は、本明細書に記載されるようなDNAポリメラーゼ、dNTP、および密集化剤も含有する。次に、アセンブリ混合物は、アニーリング段階、伸長段階、および変性段階のうちの一つまたは複数を含む、一回または複数回の核酸アセンブリ段階のサイクルにかけられる。該段階は記載の順で行われ得るが、いくつかの実施形態ではいかなる順序でも行われ得る。各段階の条件は本明細書に記載される。結果として、重複オリゴヌクレオチドのセットから所望の核酸分子がアセンブルされ、これは一実施形態では単一工程で行われる。
【0018】
重複(一本鎖)オリゴヌクレオチドは、重複(二本鎖)核酸断片とは区別される。いくつかの実施形態において、一本鎖オリゴヌクレオチドは、それらの向かい合う隣接する(またはアンチセンス)オリゴヌクレオチドと相補的配列において重複しており、これにより、これらのオリゴヌクレオチドがそれぞれの他のオリゴヌクレオチドとアニーリングすることが可能となり、結果として生じるギャップはDNAポリメラーゼによって埋められ得、その実施形態は
図1aに示される。一本鎖オリゴヌクレオチドが核酸断片にアセンブルされる場合、複数の核酸断片がアセンブルされることで、より大きなDNA構築物に達し得る。核酸断片(二本鎖)はまた、
図1bに示されるように、例えばそれら各々の末端において、断片間または重複配列間で相同性を有し得る。断片上の重複配列は、例えば「チューバック(chew back)」および修復法または本明細書に記載の他の方法によって断片をより大きな構築物にアセンブルするのに利用され得る。dsDNA断片のセットをアセンブルすることが所望される場合、これらの重複核酸断片は、本方法のサイクルの変性、アニーリング、および伸長段階にかけられる際、重複オリゴヌクレオチドとなる。従って本方法は、重複一本鎖オリゴヌクレオチドから核酸断片をアセンブルするのに有用であり、その一例は
図1aに示され、さらに、本方法は、重複配列(または断片間の相同性)を有する複数の二本鎖核酸断片をアセンブルするのにも有用であり、その一例は
図1bに示されている。別の実施形態では、核酸断片は一本鎖オーバーハングを有し、これは、dsDNAの一方または両方の鎖がdsDNAの二本鎖領域を超えて伸長し一本鎖オーバーハングを残すことを意味している。本発明の方法は、一本鎖オリゴヌクレオチドおよび二本鎖DNA断片の混合物のアセンブリにも有用であり、該混合物中で、オリゴヌクレオチドはdsDNAからのオーバーハングにアニーリングし得、これにより、一本鎖オリゴヌクレオチドおよびdsDNA断片を架橋または連結する方法が得られる。
【0019】
本発明は、アセンブリ法におけるアニーリング段階および伸長段階のために最適化された温度および/または時間も提供する。一実施形態では、本発明はアニーリングおよび伸長を単一の段階に組み合わせ、それにより、相補DNA配列が特異的にアニーリングしPCR伸長の鋳型として機能することを可能にしている。いかなる特定の理論にも制限されるものではないが、本発明者らは、密集化剤の添加が、相補的オリゴヌクレオチドのさらに高度に特異的なアニーリングを促進し、これによりPCR反応および核酸アセンブリのロバスト性が増加すると考える。
【0020】
一実施形態では、本発明の方法では、PCRのアニーリングおよび伸長に単一工程および単一温度(すなわち、等温)が利用される。一実施形態では、アニーリング段階および伸長段階は組み合わされ、等温で、例えば約67℃の温度で行われる。他の実施形態では、少なくともアニーリング段階は、57℃~77℃または50℃~77℃の温度で起こり、あるいは、アニーリング段階および伸長段階は組み合わされ、57℃~77℃または50℃~77℃の温度で起こる。異なる実施形態において、約50℃±2℃のアニーリングおよび伸長の温度は、ATリッチDNA配列のアセンブリに有用であり得る。約67℃±2℃のアニーリングおよび伸長の温度は、GCリッチDNA配列のアセンブリに有用であり得る。
【0021】
本方法により、以前の方法を用いて可能であったよりも極めて長いDNA分子のアセンブリが可能となる。予想外にも、本発明の方法を利用することで、以前にアセンブリ可能であったよりも約4倍長いDNA分子がアセンブリ可能であることが発見された。本方法を用いることで、約1kbサイズの、または1kbよりも大きなDNA断片をアセンブルすることができる。他の実施形態では、2kb超または3kb超または約3.5kb超または4kb超または5kb超または6kb超または約7kbまたは7kb超のDNA分子がアセンブリ可能である。さらに別の実施形態において、本方法は、1~4kbまたは1~5kbまたは1~6kbまたは1~7kbまたは1~8kbまたは1~9kbまたは1~10kbまたは2~5kbまたは2~7kbまたは2~8kbまたは2~10kbのDNA分子のアセンブリを可能にする。
【0022】
本発明の方法は、非常に多くの一本鎖(ss)オリゴヌクレオチドを核酸断片にアセンブルするのにも有用である。種々の実施形態において、本方法を用いることで、オリゴヌクレオチドが60種類超のセットまたはオリゴヌクレオチドが80種類超もしくは100種類超もしくは120種類超もしくは140種類超もしくは160種類超もしくは180種類超もしくは200種類超のセットまたはオリゴヌクレオチドが60~200種類もしくは60~300種類のセットを二本鎖核酸断片にアセンブルすることができる。
【0023】
密集化剤
密集化剤は、分子密集を起こす、増強する、または促進する作用剤である。密集化剤は水分子と結合し得る。一実施形態では、密集化剤は水分子と結合し、タンパク質または核酸分子には結合しない。分子密集は、溶液中の他の分子が利用可能な溶媒の体積を高分子が減少させることによって起こり得る。いくつかの実施形態において、密集化剤はポリエチレングリコール(PEG)である。いかなる適切なPEGも本発明の組成物および方法においても使用可能である。種々の実施形態において、PEGは、PEG12000またはPEG10000またはPEG8000またはPEG4000またはPEG2000またはPEG1000である。他の実施形態では、PEGは、4000超、または6000超または8000超または10000超または12000超の分子量を有する。他の実施形態では、PEGは4000未満、または6000未満または8000未満または10000未満または12000未満の分子量を有する。さらに他の実施形態では、PEGは、様々なサイズのPEG分子の混合物(例えば、上記PEG分子のあらゆる組み合わせ)として与えられる。PEGは、本発明の方法において、例えば、0.0188%または0.0375%または0.075%または0.3%または0.45%または0.6%または0.75%または1.0%(全てw/v)等のあらゆる適切な濃度で与えられ得る。本発明の方法の他の実施形態では、PEGは、0.0188%超または0.0375%超または0.075%超または0.3%超または0.45%超または0.6%超または0.75%超または1.0%超(全てw/v)の濃度で与えられる。さらに別の実施形態では、PEGは、本発明の方法において、0.0188%未満または0.0375%未満または0.075%未満または0.3%未満または0.45%未満または0.6%未満または0.75%未満または1.0%未満の濃度で与えられる。PEGは有用な密集化剤であるが、例えば、アルブミン、フィコール(例えば、フィコール70)および他の高質量分岐多糖類(例えば、デキストラン)等のさらなる密集化剤も本方法において使用可能である。当業者は本開示を参照することで本発明において有用なさらなる密集化剤を理解するであろう。
【0024】
アセンブリ混合物
一実施形態では、アセンブリ混合物は、重複オリゴヌクレオチドのセット、DNAポリメラーゼ、dNTP混合物、および密集化剤の組み合わせである。アセンブリ混合物は、実行される方法に望ましい追加成分を含有してもよい。いくつかの実施形態において、密集化剤はポリエチレングリコール(PEG)である。特定の実施形態では、PEGはPEG8000であるが、当業者は本明細書によって、他の密集化剤も本発明に有用であることを理解するだろう。密集化剤がPEGである場合、様々な分子量が用いられ得、または本明細書で開示されるあらゆるサイズのPEGの混合物等の様々なサイズのPEGの混合物が用いられ得る。アセンブリ混合物は通常は溶液として存在するが、いくつかの実施形態では、乾燥混合物であり得る。一実施形態では、DNAポリメラーゼおよびdNTPは、本方法に供される場合、重複オリゴヌクレオチドがアニーリングして二本鎖DNA分子を生成する際に該重複オリゴヌクレオチドを重合するのに充分な量で存在する。密集化剤はいかなる密集化剤でもよく、いかなる有用な濃度でも存在していてもよい。
【0025】
本方法は、アセンブリ混合物を複数回のサイクル(すなわち、一回または複数回のサイクル)にかけることを含む。一サイクルは、アニーリング段階、伸長段階、および変性段階のうちの一つまたは複数を含み得る。一サイクルは、これらの種類の段階のいずれかのうち2つ以上を含んでいてもよい。アニーリングは、あるオリゴヌクレオチドを別のオリゴヌクレオチド上の相補的な配列へ水素結合によって対合させ、二本鎖核酸を形成することを含む。アニーリングはいかなる有効な方法によっても起こってもよく、1つの方法は、アセンブリ混合物の温度を下げて相補的な配列同士のアニーリングを可能にすることである。従って、アニーリング段階中、重複オリゴヌクレオチドのセットはアニーリングして、アセンブルされる核酸分子の長さの一部分または全部を形成し、ヌクレオチドが存在しないギャップを残すが、これは、このような領域が重複配列の間に存在しているためである。伸長段階中、アニーリングされたオリゴヌクレオチドのセットはDNAポリメラーゼによる作用を受け、DNAポリメラーゼは、アニーリングして塩基対を形成するための相補的な塩基が存在しなかった、領域に残されたギャップを埋める。このように、伸長段階(複数可)は部分的または完全な二本鎖核酸分子を形成する。リガーゼは、アニーリングしたオリゴヌクレオチド鎖を連結するのに適した濃度でアセンブリ混合物中に任意選択的に存在する。しかし、多くの実施形態では、リガーゼは必要ではなく、ライゲーションは自発的に起こる。変性段階中、二本鎖核酸分子は一本鎖オリゴヌクレオチドに変性される。変性は熱変性によって行われ得る。一つまたは複数のこのような段階の複数回のサイクルを通じて、所望の核酸分子は重複オリゴヌクレオチドのセットからアセンブルされる。一実施形態では、本方法は単一工程で実行される。
【0026】
プライマー
いくつかの実施形態において、アセンブリ混合物はプライマーをさらに含む。一実施形態では、プライマーは末端オリゴヌクレオチドにそれらの5'末端においてアニーリングする。末端オリゴヌクレオチドは、アセンブルされる核酸分子を形成するオリゴヌクレオチド鎖の5'末端を形成するオリゴヌクレオチド断片である(一例は、
図1中のオリゴヌクレオチドAおよびF)。本明細書に記載されるように、アセンブルされる核酸分子は、重複オリゴヌクレオチド断片のセットからアセンブルされる。オリゴヌクレオチド断片がアニーリングし、DNAポリメラーゼがギャップを埋めると、所望の核酸分子がアセンブルされる。プライマーは、本方法において機能するいかなる好都合なサイズのものであってもよい。種々の実施形態において、プライマーは、約10ヌクレオチド、もしくは約15ヌクレオチド、もしくは約18ヌクレオチドもしくは約20ヌクレオチドもしくは約25ヌクレオチドもしくは約30ヌクレオチドもしくは約35ヌクレオチドもしくはそれ以上、または、10~20ヌクレオチドもしくは5~15ヌクレオチドもしくは15~25ヌクレオチドもしくは20~40ヌクレオチドもしくは30~50ヌクレオチドもしくは40~60ヌクレオチドもしくは50~70ヌクレオチドであり得る。一実施形態では、プライマーは約60ヌクレオチドである。
【0027】
別の実施形態では、プライマーはアセンブリ混合物中に存在しないが、末端オリゴヌクレオチドはその他の(非末端)オリゴヌクレオチドより高い濃度で存在する。末端オリゴヌクレオチドは、本明細書に記載されるようないかなる適切な長さのものであってもよいが、一実施形態では、末端オリゴヌクレオチドは約60ヌクレオチド長である。また、末端オリゴヌクレオチドは特定の適用に応じて様々な濃度で存在していてもよいが、一実施形態では約500nMの濃度で存在する。末端オリゴヌクレオチドの1例は、
図1中のオリゴヌクレオチドAおよびFである。別の実施形態では、プライマーおよび末端オリゴヌクレオチドの混合物が利用される。非末端オリゴヌクレオチドは末端オリゴヌクレオチドではないオリゴヌクレオチドである。
【0028】
オリゴヌクレオチド
本発明で利用されるオリゴヌクレオチドはいかなる適切な長さであってもよい。種々の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、40~80個のヌクレオチド、または40~60個のヌクレオチド、または50~70個のヌクレオチド、または約60個のヌクレオチドを含む。しかし、他の実施形態では、本発明で利用されるオリゴヌクレオチドは、本方法で機能するいかなる長さのものであってもよい。さらなる例としては、限定はされないが、20~40個のヌクレオチド、30~50個のヌクレオチド、40~60個のヌクレオチド、または50~70個のヌクレオチド、または60~80個のヌクレオチド、または約20個のヌクレオチド、または約30個のヌクレオチド、または約40個のヌクレオチド、または約50個のヌクレオチド、または約60個のヌクレオチド、または約70個のヌクレオチド、または約80個のヌクレオチド、または80超個のヌクレオチドが挙げられる。
【0029】
本発明の一実施形態において、オリゴヌクレオチドのセット中のオリゴヌクレオチドは、ギャップが存在しない、すなわち、ギャップが存在しないアライメントを利用する。ギャップが存在しないアライメントとは、該セットのオリゴヌクレオチドがアライメントされた場合に、アセンブルされる遺伝子の全てのヌクレオチドおよび/または配列が少なくとも該セットの2種類のオリゴヌクレオチド中に示されることを意味する。他の実施形態では、ギャップが存在するオリゴヌクレオチドのセットが用いられる。ギャップが存在するオリゴヌクレオチドおよびギャップが存在しないオリゴヌクレオチドの1例が
図2に示される。
【0030】
異なる実施形態において、アセンブリ混合物は、オリゴヌクレオチドが少なくとも5種類もしくは少なくとも10種類もしくは少なくとも25種類のセット、またはオリゴヌクレオチドが少なくとも50種類のセット、またはオリゴヌクレオチドが少なくとも60種類のセット、またはオリゴヌクレオチドが少なくとも70種類のセット、またはオリゴヌクレオチドが少なくとも80種類のセット、またはオリゴヌクレオチドが少なくとも90種類のセット、またはオリゴヌクレオチドが少なくとも100種類のセット、またはオリゴヌクレオチドが少なくとも110種類のセット、またはオリゴヌクレオチドが少なくとも120種類のセット、またはオリゴヌクレオチドが少なくとも150種類のセットを含有する。オリゴヌクレオチドのセットは本発明による一工程反応でアセンブルされる。他の実施形態では、アセンブリ混合物は、50~100種類のオリゴヌクレオチド、または75~125種類のオリゴヌクレオチド、または100~150種類のオリゴヌクレオチドを含有する。
【0031】
異なる実施形態において、アセンブリ混合物中のオリゴヌクレオチドは約2.5nMまたは2.0nM~3.0nMの濃度で存在する。末端プライマーを用いる実施形態において、末端プライマーは約500nMまたは約400nM~約600nMの濃度で存在し得る。当業者は本明細書を参照して、オリゴヌクレオチドおよび/または末端プライマーの特定の濃度が、選択される反応条件に応じて変化し得ることを理解するであろう。
【0032】
DNAポリメラーゼ
本方法で用いられるDNAポリメラーゼは、いかなる適切なDNAポリメラーゼであってもよい。特定の実施形態では、処理能力の増加を可能にするために処理能力が増強されたドメインを含有する酵素であるパイロコッカス様酵素も適切である。いかなるDNAポリメラーゼも用いられ得るが、高精度および高処理能力を与えるDNAポリメラーゼが最も効果的である。いくつかの実施形態において、DNAポリメラーゼは5'→3'DNAポリメラーゼ活性または3'→5'エキソヌクレアーゼ活性も有し得る。一実施形態では、DNAポリメラーゼはDNA増幅反応における産物の増幅中に平滑末端を生成する。本発明で用いられ得るDNAポリメラーゼのさらなる非限定例としては、パイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)由来のDNAポリメラーゼが挙げられ、これは、天然の酵素よりも優れた活性および/またはより高い精度を与えるために一つまたは複数のドメインで修飾されていてもよい。修飾には、DNAアセンブリ手順におけるより有利な特性を酵素に与えるための、酵素の核酸配列における変化が含まれ得る。DNAポリメラーゼは熱安定性であり得る。DNAポリメラーゼはこれら特性の全てまたは一部のみを有し得、当業者は本明細書により、どの特性が本方法の特定の適用において有利に用いられ得るか、並びにどの反応条件およびどの緩衝液成分が特定のDNAポリメラーゼに適しているかを理解するであろう。本発明の方法に適した1つのDNAポリメラーゼは、市販のPHUSION(登録商標)High Fidelity DNAポリメラーゼ(Finnzymes, Oy、フィンランド)である。他のDNAポリメラーゼも適切であり得る。一実施形態では、マスターミックスは、100%DMSO中に、適切な濃度(例えば、1.5mM)のMgCl2、および適切な濃度(例えば、最終反応濃度において各dNTPが200μM)のdNTP混合物と一緒に、DNAポリメラーゼを含有し得る。
【0033】
例えば、ISO緩衝液等の、いかなる適切な反応緩衝液をも本発明のアセンブリ反応に用いてもよい。当業者は、本明細書で開示される本方法を行うのに適したさらなる緩衝液および条件を理解するであろう。
【0034】
サイクルおよび段階
本方法の一サイクルは、一回または複数回のアニーリング段階、一回または複数回の伸長段階、および一回または複数回の変性段階等の、一つまたは複数の段階から成る。一実施形態では、一サイクルはアニーリング段階、伸長段階、および変性段階を有するが、いくつかの実施形態では、一サイクルは各種類の段階の2つ以上を有し得る。本方法は、アセンブリを実行するのに必要ないかなる好都合な数のサイクルも利用することができる。種々の実施形態において、約25サイクルまたは約30サイクルまたは約35サイクルが本方法に含まれる。他の実施形態では、20超のサイクルまたは25超のサイクルまたは30超のサイクルまたは35超のサイクルが方法に含まれる。さらに別の実施形態では、25未満のサイクルまたは30未満のサイクルまたは35未満のサイクルが本方法に含まれる。
【0035】
本方法のいくつかの実施形態において、前記段階の一つまたは複数は、時間に変動がある段階であり得る。該段階のいずれか1つが時間に変動がある段階であってもよいし、あるいは該段階の全てまたはあらゆる組み合わせの段階が時間に変動がある段階であってもよく;従って、時間に変動があるアニーリング段階および/または時間に変動がある伸長段階および/または時間に変動がある変性段階が存在し得る。時間に変動がある段階は、サイクル間で変動するまたは変化する時間、実行される段階である。あるサイクルの、時間に変動がある段階(例えば、時間に変動がある伸長段階)の長さは、その前のサイクルの同じ段階と比較して、または該サイクルの最初のそのような段階と比較して、または本方法の最初のサイクルの該段階と比較して、増加または減少し得る。例えば、一実施形態では、各サイクルの伸長段階は時間に変動がある段階である。従って、一実施形態では、サイクルの最初の伸長段階は約67℃で約6分間実行され、一回または複数回のその後のサイクルにおいて、伸長段階は約15秒ずつ増加し得る。別の実施形態では、時間に変動がある段階の時間は、本方法の第二のサイクルと比較して増加または減少し得る。時間の伸びは累積的であり得るため、サイクル1が6分間の伸長段階を有する場合、サイクル2の伸長段階は約6分15秒間(1:15)であり得、サイクル3は約6:30(すなわち、1サイクル毎に約15秒間累積的に増加する)、等であり得る。種々の実施形態において、時間に変動がある段階における時間増加は、約5秒間、または約10秒間、または約15秒間、または約20秒間または約25秒間または約30秒間または約45秒間または約1分間の増加であり得る。該段階のいずれかにおける増加は、あるサイクルから次のサイクルに対して、時間に変動があり、かつ/または累積的もしくは非累積的であり得る。いくつかの実施形態において、一つまたは複数のアニーリング段階および/または変性段階は、例えば、段階の時間を累積的か非累積的かにかかわらず上記のいずれかの時間だけ延長することによって、時間に変動がある。組み合わされたアニーリング/伸長段階は、本明細書に記載されるように、時間に変動があり得る。異なる実施形態において、少なくとも2回のサイクルまたは少なくとも3回のサイクルが、時間に変動がある段階を利用し得る。
【0036】
サイクルの第一伸長段階(または任意のサイクルの任意の伸長段階)は、伸長段階のみであってもよいし、あるいはアニーリングおよび伸長の両方が同じ段階で起こる組み合わされたアニーリング/伸長段階であってもよい。異なる実施形態において、サイクルの第一の組み合わされたアニーリング/伸長段階(またはその後の組み合わされたアニーリング/伸長段階)は、アセンブルされる核酸1キロベース当たり少なくとも30秒、またはアセンブルされる核酸1kb当たり少なくとも1分、またはアセンブルされる核酸1kb当たり少なくとも1.5分、またはアセンブルされる核酸1kb当たり少なくとも2分、またはアセンブルされる核酸1kb当たり少なくとも2.5分、またはアセンブルされる核酸1kb当たり少なくとも3分の時間起こり得る。異なる実施形態において、サイクルの第一伸長段階または組み合わされたアニーリング/伸長段階は、約15秒間、または約30秒間、または約45秒間、または約1分間、または約2分間、または約3分間、または約4分間、または約5分間、または約6分間、または約7分間、または約8分間、または約9分間、または約10分間であり得る。本明細書に記載されるように、その後の伸長段階または組み合わされたアニーリング/伸長段階は、本明細書に記載されるように、時間に変動があり得、および累積的に増加し得、または同じ時間のものであり得る。
【0037】
変性段階中、核酸分子は変性される。一実施形態では熱変性が用いられる。熱変性は約98℃の温度で起こり得る。しかし、核酸分子を変性する働きをするいかなる温度を用いてもよく、例えば、70℃超もしくは70℃未満または80℃超もしくは80℃未満または90℃超もしくは90℃未満または98℃超等である。当業者は本開示を参照することで、正確な変性温度が核酸分子の正確な組成および長さに依存することを理解するであろう。変性段階の時間も、核酸分子の正確な組成および長さに依存して変動し得る。いくつかの実施形態において、変性段階は30秒間起こり得る。しかし他の実施形態では、変性段階の長さは30秒超または30秒未満であり得る。
【0038】
アニーリング段階中、オリゴヌクレオチドのセットのオリゴヌクレオチドはそれらの相補的な(アンチセンス)配列を見つけ出し、水素結合による二本鎖核酸の形成によってアニーリングする。該核酸配列はギャップが存在する領域を有する。アニーリング段階中、オリゴヌクレオチドのセットと共に他のアセンブリ混合物成分も存在し得、該成分としては、DNAポリメラーゼ、dNTP混合物、および密集化剤(例えば、ポリエチレングリコール)が含まれ得る。適切な緩衝液、緩衝液成分、所望により任意のリガーゼ、および追加成分等の、追加成分も存在し得る。
【0039】
伸長段階中、DNAポリメラーゼはdNTPを重合させ、オリゴヌクレオチドのセットのハイブリダイゼーションまたはアニーリングによって残されたギャップを埋める(例えば、
図1参照)。本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態において、伸長段階およびアニーリング段階は単一の段階に組み合わされ得る。種々の実施形態において、種々の実施形態におけるアニーリング段階または組み合わされたアニーリング/伸長段階で用いられる温度は、約65℃、または約66℃、約67℃、または約68℃、または約69℃、または約65~約69℃、または約66℃~約68℃であり得る。組み合わされたアニーリング/伸長段階の時間は、アセンブルされる核酸配列の長さに依存して変動し得る。種々の実施形態において、組み合わされたアニーリング/伸長段階は、約1分間、または約2分間、または約3分間、または約4分間、または約5分間、または約6分間、または約7分間、または約8分間、または約9分間、または約10分間であり得る。種々の実施形態において、組み合わされたアニーリング/伸長段階の時間および温度は、約1kb以下の核酸配列に対して67℃1分間であり得る。他の実施形態では、組み合わされたアニーリング/伸長段階は、約2kb~約3kb、または約2kb~約6kb、または約3kb~約4kb、または約3kb~約6kb、または約2kb~約7kb、または約2kb~約8kbの核酸配列に対して約67℃で約6分間行われ得る。時間に変動がある形式において、組み合わされたアニーリング/伸長段階は、各サイクル毎に適切な時間だけ累積的に増加し得る。例えば、いくつかの実施形態において、組み合わされたアニーリング/伸長段階の時間は、1サイクル毎に約15秒間または1サイクル毎に約10秒間または1サイクル毎に約20秒間、累積的に増加し得る。サイクルの数は特定の適用に応じて変化し得るが、種々の実施形態において、約30サイクルが用いられ得、あるいは約25サイクル、または約35サイクル、または約40サイクルが用いられ得る。いかなる適切な数のサイクルも用いることができる。さらなる例として、20超のサイクルまたは25超のサイクルまたは30超のサイクルまたは35超のサイクルが挙げられる。
【0040】
ATリッチ配列を有するDNA鎖は多くの場合アセンブルすることが難しい。本発明の方法は、ATリッチ配列を有するDNA分子を容易にアセンブルすることができる。種々の実施形態において、ATリッチ配列は60超%または65超%または70超%のAT含量を有し得る。本方法は、不適切な鎖の分離および二次構造形成のためにアセンブルすることが同じく多くの場合に難しい高GC含量を有する核酸もアセンブルすることができる。ATリッチ領域を有する核酸配列に対して、組み合わされたアニーリング/伸長段階を用いる実施形態においては、より低い温度を用いることが望ましい。このことから、ATリッチ核酸配列をアセンブルするための一実施形態では、アニーリング/伸長段階の温度は、約62℃、または約63℃、または約64℃、または約65℃、または約66℃または約67℃であり得る。一実施形態における該組み合わされた段階の時間は、約4分間である。しかし、他の実施形態では、該組み合わされた段階の時間は、約3分間または約5分間である。特定の実施形態では、組み合わされたアニーリング/伸長段階は、65℃で約4分間実行される。ATリッチ配列に対する該段階は、本明細書に記載されるように、時間に変動があり得る。
【0041】
キット
別の態様では、本発明は本発明の方法を実行するためのキットを提供する。一実施形態では、本発明のキットは、DNAポリメラーゼ、dNTP混合物、および密集化剤を含有する。キットは、本発明の方法を実行するための説明書および/または本方法の実行についての情報を提供するウェブサイトもしくは他のリソースに使用者を誘導する情報も含有し得る。キットに含有されるDNAポリメラーゼ、dNTP、および密集化剤は、別々の容器に提供されてもよいし、あるいは同じ容器に提供されてもよい。DNAポリメラーゼ、dNTP、および密集化剤は、本明細書に記載のいずれであってもよい。
【実施例】
【0042】
実施例1:1kb未満のPCR産物のアセンブリ
本実施例は、密集化剤(ここではPEG8000)の存在下および非存在下での1kb未満のPCR産物に対する一工程遺伝子アセンブリ法の比較を示すものである。
【0043】
以下の長さを有する3つの遺伝子を選択した:遺伝子1:32種類のオリゴヌクレオチド;遺伝子2:28種類のオリゴヌクレオチド;遺伝子3:30種類のオリゴヌクレオチド;遺伝子4:31種類のオリゴヌクレオチド。オリゴヌクレオチドは全て60~70塩基長であった。60塩基のオリゴヌクレオチドは、30塩基のオーバーハングを有し、70塩基のオリゴヌクレオチドは35塩基のオーバーハングを有していた。各遺伝子について、全てのオリゴヌクレオチドは、5μlの各オリゴ(100μMストック)を加えることにより、50mlチューブ中にプールした。1×TE緩衝液(pH8.0)を加えることで体積を20mlに調整して、25nM/オリゴの最終オリゴヌクレオチド濃度を得た。
【0044】
0.75%PEG8000を用いてISOストック緩衝液を調製した。ISO緩衝液はPEGをPCR反応に送達する手段として用いられる。ISO緩衝液は、所望の量のPEG-8000、600mMトリス塩酸(pH7.5)、40mM MgCl2、40mM DTT、それぞれ800μMの4種のdNTPおよび4mM NADを含有する。ストックを2×PHUSION(登録商標)Master Mix(Finnzymes, Oy、フィンランド)に添加して0.375%w/vの最終PEG濃度を得た。Master Mix緩衝液は、DNAポリメラーゼ、ヌクレオチド、およびMgCl2含有の反応緩衝液を含有する。当業者は、市販のミックスが大きな利便性を与えるが、他の適切な緩衝液を調製してもよいことを理解するであろう。
【0045】
PEG8000を用いずにオリゴヌクレオチドをアセンブルするため、0.5および1μlの上記25nM/オリゴ混合物を用いて反応をセットアップし、その後2×PHUSION(登録商標)Master Mix(Finnzymes, Oy、フィンランド)、水、並びにAおよびBプライマーをチューブに加えた。全PCR体積は20μlであった。
【0046】
PEG8000を用いてオリゴヌクレオチドをアセンブルするため、0.5および1μlの上記25nM/オリゴ混合物を用いて反応をセットアップし、その後2×PHUSION(登録商標)Master Mix(Finnzymes, Oy、フィンランド)を、0.0375% PEG8000、水、並びにAおよびBプライマーと一緒にチューブに加えた。総PCR体積は20μlであった。
【0047】
【表1】
以下のアセンブリプロトコルを用いた。
工程1:98℃30秒の変性段階
工程2:67℃1分間の組み合わされた第一アニーリング/伸長段階
工程3:アニーリング/伸長段階の時間を15秒/サイクル累積的に延長
工程1~3を合計30サイクル繰り返す
合計反応時間:約2.5時間
【0048】
1.2%DNAゲルに5μlの上記反応物を泳動した。ゲルは、アニーリングおよび伸長の温度を67℃で組み合わせることにより、ギャップが存在しないオリゴのロバストな増幅が達成され得ることを示した。PEG存在下でアセンブルされたオリゴヌクレオチド試料は、PEG非存在下でアセンブルされた試料よりも実質的により明確なゲルバンドをもたらした。
【0049】
実施例2:2.3kb遺伝子のアセンブリ
本実施例は、PEG8000の存在下および非存在下での、ギャップが存在しない86種類のオリゴヌクレオチドからの2.3kb遺伝子(mutS)の一工程PCRアセンブリを示すものである。
【0050】
5μlの各オリゴ(100μMストック)を加えることによりオリゴを50mlチューブ中にプールした。1×TE緩衝液(pH8.0)を加えることで体積を20mlに調整し、25nM/オリゴの最終オリゴ濃度を得た。0.75%PEG8000ストックを水中で調製した。ストックを2×PHUSION(登録商標)Master Mix(Finnzymes, Oy、フィンランド)に加えて0.0054%、0.0188%、0.0375%、0.075%、および0.15%の最終PEG濃度を得た。用いたオリゴヌクレオチドは全て60~70塩基長であった。60塩基オリゴヌクレオチドは30塩基のオーバーハングを有し、70塩基オリゴヌクレオチドは35塩基のオーバーハングを有していた。
【0051】
PEG8000を用いずに86種類のオリゴをアセンブルするために、0.5、1.0、1.5、および2.5μl(
図3のレーン7~10に対応し、レーンMは標準マーカーレーンである)の上記25nMオリゴ混合物を、4つのPCRチューブに加え、次にMaster Mix、水、およびプライマーを総PCR体積が20μlになるように加えた。
【0052】
PEG8000を用いて86種類のオリゴをアセンブルするため、1μlの25nMオリゴ混合物を5つのPCRチューブに加え、次に0.0054%、0.0188%、0.0375%、0.075%、および0.15%(
図3のレーン1~5に対応)の最終PEG8000濃度を有するMaster Mix、水、並びにプライマーを総PCR体積が20μlとなるように加えた。
【0053】
【表2】
以下のアセンブリプロトコルを用いた。
工程1:98℃で30秒間
工程2:67℃で6分間
工程3:15秒/サイクルずつ時間を延長
工程1~3を合計30回繰り返す
合計反応時間:約6時間
【0054】
1.2%DNAゲルに5μlの上記反応混合物を泳動した。ゲルを
図3に示す。ゲルは、PCR条件のみでは大きなDNA断片をアセンブルするのに不充分であること、およびPEG8000のみ(他のISO成分無し)でアセンブリの成功が可能となることを示している。本実施例はまた、アセンブルされる核酸1kb当たり少なくとも2.5分間の組み合わされた第一サイクルアニーリング/伸長段階を与えることにより、2.3kb遺伝子(mutS)のアセンブリに成功したことを示している。
【0055】
実施例3:124種類のオリゴからの3.7kb遺伝子のアセンブリ
本実施例は、ギャップが存在しない124種類のオリゴからの、3.7kb遺伝子(MetH)の、PEG8000有りおよび無しの一工程PCRを示すものである。使用した全てのオリゴヌクレオチドは60~70塩基長であった。60塩基オリゴヌクレオチドは30塩基のオーバーハングを有し、70塩基オリゴヌクレオチドは35塩基のオーバーハングを有していた。
【0056】
5μlの各オリゴ(100μMストック)を加えることによりオリゴを15mlチューブ中にプールした。1×TE緩衝液(pH8.0)を加えることで体積を10mlに調整し、50nM/オリゴの最終オリゴ濃度を得た。ISOストック緩衝液を0.75%PEG8000を用いて調製した。ストックを2×PHUSION(登録商標)Master Mix(Finnzymes, Oy、フィンランド)に加えて0.0188%、0.0375%、0.075%、0.3%および0.45%の最終PEG8000濃度を得た。
【0057】
PEG8000を用いずにオリゴをアセンブルするために、0.5、1.0、1.5、2.0および3.0μl(それぞれ
図4のレーン1~5に示される)の上記50nM/オリゴ混合物を、5つのPCRチューブに加え、次にMaster Mix、水、およびプライマーを総PCR体積が20μlになるように加えた。
【0058】
PEG8000を用いてオリゴをアセンブルするため、1μlの50nMオリゴ混合物を5つのPCRチューブに加え、次にMaster Mixを、0.0188%、0.0375%、0.075%、0.3%、および0.45%のPEG8000(
図4のレーン6~10に示される)、水、並びにプライマーと一緒に、総PCR体積が20μlとなるように加えた。
【0059】
【表3】
以下のアセンブリプロトコルを用いた。
工程1:98℃で30秒間
工程2:67℃で6分間
工程3:15秒/サイクルずつ時間を延長
工程1~3を合計35回繰り返す
合計反応時間:約7時間
【0060】
1.2%DNAゲルに3μlの上記反応物を泳動した。ゲルを
図4として示す。結果は、3.7kb遺伝子が本発明によりオリゴからアセンブリ可能であることを示した。
【0061】
実施例4:ATリッチ遺伝子のアセンブリ
本実施例は、ギャップが存在しない70種類のオリゴヌクレオチドからの、ATリッチ2.1kb遺伝子(dhaB1)の、PEG8000有りおよび無しの一工程PCRアセンブリを示すものである。PEG8000有りおよび無しでの、ギャップが存在しない63種類のオリゴヌクレオチドからのATリッチ1.7kb遺伝子(dhaB)のアセンブリも示される。使用した全てのオリゴヌクレオチドは60~70塩基長であった。60塩基オリゴヌクレオチドは30塩基のオーバーハングを有し、70塩基オリゴヌクレオチドは35塩基のオーバーハングを有していた。
【0062】
5μlの各オリゴ(100μMストックから)を加えることによりオリゴを50mlチューブ中にプールした。1×TE緩衝液(pH8.0)を加えることで体積を20μlに調整し、25nM/オリゴの最終オリゴ濃度を得た。
【0063】
ISOストック緩衝液を0.75%PEG8000を用いて調製した。ISOストック緩衝液は実施例1に記載される成分を有する。ストックを2×PHUSION(登録商標)Master Mix(Finnzymes, Oy、フィンランド)に加えて0.0375%の最終PEG8000濃度を得た。
【0064】
PEG8000を用いずにオリゴをアセンブルするために、0.5、1.0、1.5、および2.0μl(
図5の「PEG無し」ゲルに、1.7kb遺伝子についてはそれぞれレーン1~4に示され、2.1kb遺伝子についてはそれぞれレーン5~8に示される)の上記20nMオリゴ混合物を、5つのPCRチューブに加え、次にMaster Mix、水、およびプライマーを総PCR体積が20μlになるように加えた。
【0065】
PEG8000を用いてオリゴをアセンブルするために、0.5、1.0、1.5、および2.0μl(
図5の「PEG有り」ゲルに、1.7kb遺伝子についてはそれぞれレーン1~4に示され、2.1kb遺伝子についてはそれぞれレーン5~8に示される)の25nMオリゴ混合物を、5つのPCRチューブに加え、次にMaster Mixを、0.0375%PEG8000、水、およびプライマーと一緒に、総PCR体積が20μlになるように加えた。
【0066】
【表4】
以下のアセンブリプロトコルを用いた。
工程1:98℃で30秒間
工程2:67℃で4分間
工程3:15秒/サイクルずつ時間を延長
工程1~3を合計30回繰り返す
合計反応時間:約5時間
【0067】
1.2%DNAゲルに3μlの上記反応物を泳動した。ゲルを
図5として示す。結果は、アセンブリ条件のみでは大きなATリッチ(70%)DNA断片をアセンブルするのに不充分であること、および密集化剤(PEG8000)の添加がアセンブリの成功を容易にすることを示している。また、組み合わされたアニーリング/伸長段階中に温度を下げることで、ATリッチDNAのアセンブリを促進することができることも示している。
【0068】
実施例5:7種類の重複dsDNA断片からの7kbDNA産物のアセンブリ
本実施例は、7kb分子を作製するための7種類のDNA断片の、PEG8000有りまたは無しでの、一工程PCRアセンブリを示すものである。各断片と30bpの相同性(重複)を有する7種類のDNA断片(50ng~100ng)をプールした。250bpの断片1;2,000bpの断片2;1,000bpの断片3;700bpの断片4;1,500bpの断片5;1,000bpの断片6;および1,800bpの断片7。
【0069】
0.75%PEG8000のストックを水中で調製した。ストックを2×PHUSION(登録商標)Master Mix(Finnzymes, Oy、フィンランド)に加えて0.0375%および0.075%の最終PEG8000濃度を得た。
【0070】
PEG8000無しで7種類のDNA断片をアセンブルするため、3.5μlの断片混合物をPCRチューブに加え、その後Master Mix、水、およびプライマーを加えた。
【0071】
PEG8000有りで7種類のDNA断片をアセンブルするため、3.5μlの断片混合物を2つのPCRチューブに加え、その後Master Mixを0.0375%および0.075%の最終PEG濃度で加え、次いで水、並びにプライマーAおよびBを加えた。
【0072】
【表5】
以下のアセンブリプロトコルを用いた。
工程1:98℃で30秒間
工程2:67℃で6分間
工程3:15秒/サイクルずつ時間を延長
工程1~3を合計30回繰り返す
合計反応時間:約7時間
【0073】
1.2%DNAゲルに3μlの上記反応物を泳動した。ゲルを
図6として示す。レーン1はPEGを含有せず、レーン2は0.0375%PEGを含有し、レーン3は0.075%PEGを含有し、レーンMはマーカーレーンである。結果は、アニーリングおよび伸長の温度を67℃で組み合わせることによって重複DNA断片のロバストな増幅が達成されることを示している。PEG8000は産物を増加させる。
【0074】
実施例6:mutS(86種類のオリゴ)のアセンブリ
本実施例は、PEGおよびISOを比較する、mutS(86種類のオリゴ)の一工程PCRアセンブリを示すものである。使用した全てのオリゴヌクレオチドは60~70塩基長であった。60塩基オリゴヌクレオチドは30塩基のオーバーハングを有し、70塩基オリゴヌクレオチドは35塩基のオーバーハングを有していた。
【0075】
5μlの各オリゴ(100μMストック)を加えることによりオリゴを50mlチューブ中にプールした。1×TE緩衝液(pH8.0)を加えることで体積を20mlに調整し、25nM/オリゴの最終オリゴ濃度を得た。
【0076】
0.75%PEG8000のストックを水中で調製した。ストックを2×PHUSION(登録商標)Master Mix(Finnzymes, Oy、フィンランド)に加えて0.0188%、0.028%、0.0375%および0.075%の最終PEG8000濃度を得た。
【0077】
0.75%PEG8000のストックを、実施例1に記載される成分を有するISO緩衝液中で調製した。ストックを2×PHUSION(登録商標)Master Mix(Finnzymes, Oy、フィンランド)に加えて、それぞれ
図7のレーン1~4として示される0.0188%、0.028%、0.0375%および0.075%の最終PEG8000濃度を得た。レーン5~8はPEGを含有していなかった。Mはマーカーレーンである。
【0078】
【表6】
以下のアセンブリプロトコルを用いた。
工程1:98℃で30秒間
工程2:67℃で6分間
工程3:15秒/サイクルずつ時間を延長
工程1~3を合計30回繰り返す
合計反応時間:約6時間
【0079】
1.2%DNAゲルに3μlの上記反応物を泳動した。ゲルを
図7として示す。結果は、PEGがPCRを介したDNAアセンブリを向上させるISO中の成分であることを示している。
【0080】
実施例7:最小ゲノムの複数の部分アセンブリのアセンブリ
マイコプラズマ属由来の最小ゲノムを、ARCHETYPE(商標)(Synthetic Genomics, Inc.、サンディエゴ、カリフォルニア州)ソフトウェアプログラムを用いて、それぞれおよそ1.4kbの370個の提唱された断片に分割した。これらの370個の断片のそれぞれを、次に約44個の(ギャップが存在しない)オリゴヌクレオチドに分割し、それぞれのオリゴはおよそ70ヌクレオチド長であり、向かい合う隣接するオリゴと重複するおよそ35個のヌクレオチドを含有していた(すなわち、それぞれの隣接する二本鎖DNA上の反復配列のおよそ35個のヌクレオチド)。断片の隣接(または「末端」)オリゴヌクレオチド(例えば、オリゴ#1およびオリゴ#44)は、370個の断片全てに共通な配列である30個のヌクレオチド(PCR増幅用)およびインサートをベクターから放出させるための制限酵素認識部位(例えばNotI)を含有する配列である8個の塩基を含有していた。また、370個の断片のそれぞれは、その後のアセンブリ段階のため組み換えられるように、隣接する二本鎖核酸断片に対し60ヌクレオチドの重複配列を含有していた。
【0081】
370個の部分アセンブリのそれぞれを構成するオリゴヌクレオチドをプールした後、それらを1オリゴにつき200nMの濃度に希釈した。オリゴヌクレオチドのアセンブリおよび得られる産物の増幅を単一工程で両方行うアセンブリ反応を以下に示す。
50μl 2×Q5ポリメラーゼミックス(NEB)
0.8μl 5%PEG8000
0.5μl プライマー1[pUC19 インサート F]
0.5μl プライマー2[pUC19 インサート R]
1.25μl 200nMの上記オリゴプール
46.95μl 水
【0082】
これらの高A/T含量DNA試料について、60℃以下でアニーリング/伸長させることが有益であることが分かった。
【0083】
以下のサイクル条件を用い、広範囲のDNA配列にわたって作動させた。
サイクル条件:
1. 98℃で1分間
2. 98℃で10秒間
3. 57℃で30秒間
40Cにゆっくりと冷却(0.1C/秒)
4. 40℃で30秒間
3. 57℃で6分間
サイクル毎に15秒延長
4. 工程2にさらに29回移行
5. 72Cで5分間
6. 10℃---
【0084】
その後、複数のアセンブリはさらなるアセンブリ段階にかけることができ、そこで、1.4kbの構築物をそれぞれ6.7kbの74個の構築物にアセンブルした。その後、これらの6.7kbの構築物を、それぞれ50~75kbの8個の構築物にアセンブルし、これらを次に483kbの最小マイコプラズマゲノムにアセンブルした。
【0085】
実施例8:機能的HAおよびNA DNA分子およびタンパク質部分の合成
本実施例は、オリゴヌクレオチドプールからのHAおよびNA遺伝子のDNA構築物の自動アセンブリを示すものである。インフルエンザウイルスは、中央コアを包む糖タンパク質を含有するウイルス外被でできている。中央コアはウイルスRNAゲノムおよびRNAをパッケージングし保護する他のウイルスタンパク質を含有している。インフルエンザゲノムは典型的には、8個のRNA小片を含有しており、そのそれぞれはウイルスタンパク質をコードする1つまたは2つの遺伝子を含有している。インフルエンザAの場合、ゲノムは、赤血球凝集素(HA)およびノイラミニダーゼ(NA)を含む11種のタンパク質をコードする11個の遺伝子を8個のRNA小片上に含有している。他のタンパク質としては、核タンパク質(NP)、M1、M2、NS1、NS2、PA、PB1、PB1-F2およびPB2が挙げられる。
【0086】
赤血球凝集素(HA)およびノイラミニダーゼ(NA)はウイルス粒子の外側に存在する糖タンパク質である。これらの糖タンパク質は、宿主細胞への結合およびウイルス粒子の複製の補助を含む、ウイルスの生活環における重要な機能を有している。従って、これらのタンパク質を含有する構築されたウイルスは、ワクチンの作製において有用である。
【0087】
オリゴヌクレオチドの合成およびアセンブリ
HAおよびNA遺伝子のDNA構築物の配列を示す96種類のオリゴヌクレオチドのプールを本発明のアセンブリ装置に与えた。HAおよびNA構築物はおよそ3kb長であり、本方法において96種類のオリゴヌクレオチドからアセンブルした。最初および最後のオリゴヌクレオチドは、PCR増幅用のプライマー結合ドメイン、並びにDNAアセンブリのための、必要であれば大きな断片をアセンブルするための、増幅後にプライマー結合ドメインを放出し重複領域を露出させるNotI制限酵素認識部位を含有していた。
【0088】
アセンブル装置は、統合熱サイクル能を有するBIOMEK(登録商標)NXP、Span-8 laboratory automation workstation(Beckman Instruments Inc.、フラートン、カリフォルニア州)を利用した。
【0089】
アセンブリ装置は、過程中にいくつかの異なる工程、すなわち、1)オリゴヌクレオチドを増幅するためのPRC1増幅;2)PCR1増幅オリゴヌクレオチドに対するエラー補正工程;3)補正されたオリゴヌクレオチドを増幅するためのPCR2工程;4)純粋な増幅オリゴヌクレオチドを得るためのPCR産物精製工程;5)オリゴヌクレオチド産物を遺伝子にアセンブルするためのアセンブリ工程、を実行するようにプログラムした。各過程は反応容器(96ウェルプレート)の別々の反応域で実行することができ、反応域は96ウェルプレート上の一つまたは複数のカラムであってよい。アセンブリ反応は50℃で30~60分間であり、反応は温度変化しその後10℃に固定される。
【0090】
第一PCRおよびエラー補正
それぞれのアセンブルされた産物に対し、PCR反応を自動化した様式で実行した。
25μlの2×PHUSION(登録商標)Hot-Start Master Mix(Thermo Fisher Scientific Oy, Oy、フィンランド)
2μlの1%PEG8000
0.25μlの末端プライマー1(100μM)
0.25μlの末端プライマー2(100μM)
20μlのMBG水
PCR master mixを含有する反応容器の反応域に、2.5μlの上記オリゴプールを50nMで鋳型として移した(またはその後に混合する)。
2. 以下のパラメーターを用いて熱サイクルを生じさせた。
98℃で1分間
30回(98℃で30秒間、65Cで6分間、および15秒/サイクルずつそれを延長
72℃で5分間
10℃で最後まで(forever)
【0091】
PCR精製
PCR産物をAMPURE(登録商標)XP technology(Agencourt, Bioscience Corp.、ベバリー、マサチューセッツ州)を用いて精製した。
【0092】
複数の部分アセンブリを組み合わせてプラスミドベクター内のHAおよびNA遺伝子を作製するためのGIBSON ASSEMBLY(登録商標)(Synthetic Genomics、サンディエゴ、カリフォルニア州)
およそ3kbの核酸アセンブリを作製した。電気泳動ゲルを
図8に示す。これらの遺伝子には既に、哺乳類細胞へのトランスフェクション後の発現のためのプロモーター領域(polIおよびpolII)が含まれている。
【0093】
本明細書に例示的に記載される発明は、本明細書で特に開示されていない、いかなる、要素または複数の要素、制限または複数の制限の非存在下でも、適切に実行することができる。従って、例えば、本明細書におけるそれぞれの例において、用語「を含む」、「から本質的に成る」および「から成る」のいずれも、その他の2つの用語のいずれかと置き換えることができる。使用されている用語および表現は、説明のための用語として用いられており、限定のための用語ではなく、そのような用語および表現の使用において、示され記載される特徴またはその一部のいかなる等価物も除外するという意図はないが、特許請求される本発明の範囲内において種々の変更が可能であることは理解される。
【0094】
さらに、本発明の特徴または態様がマーカッシュ群によって記載されている場合、当業者は、本発明が、それによって、マーカッシュ群のいかなる個々の構成要素または構成要素の部分群によっても記載されることを理解するだろう。例えば、Xが臭素、塩素、およびヨウ素からなる群から選択されると記載されている場合、Xを臭素とする請求並びにXを臭素および塩素とする請求が、完全に記述されている。
【0095】
他の実施形態は以下の特許請求の範囲内である。