(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】生産計画作成装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20220118BHJP
G06Q 10/06 20120101ALI20220118BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q10/06 302
(21)【出願番号】P 2018231637
(22)【出願日】2018-12-11
【審査請求日】2020-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】堀尾 明久
(72)【発明者】
【氏名】梅田 豊裕
【審査官】藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-046308(JP,A)
【文献】特開2006-260294(JP,A)
【文献】特開2010-181941(JP,A)
【文献】特開2014-197320(JP,A)
【文献】特開平11-077492(JP,A)
【文献】特開平09-160967(JP,A)
【文献】特開平11-161707(JP,A)
【文献】米国特許第05586021(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06Q 10/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の製造品目が、単一の初期工程において処理された後、前記製造品目毎に予め定められた後工程で処理されるジョブショップ型生産工程において、所定期間において前記複数の製造品目を前記初期工程で処理する計画を作成する生産計画作成装置であって、
サイクル期間、単位期間最大数、サイクル毎投入数、及び滞留時間を前記複数の製造品目毎に記憶する記憶部と、
第1のルール、第2のルール、第3のルール、及び第4のルールを満たすように、前記初期工程における前記複数の製造品目の処理を割り付ける割付け部と、
前記サイクル期間を開始する時点であるサイクル開始時点を前記複数の製造品目毎に決定する決定部と、を備え、
前記サイクル期間は、所定の単位期間の整数倍で規定された、前記初期工程における前記製造品目の処理開始から処理終了までのサイクルを表す期間であり、
前記単位期間最大数は、前記単位期間に前記製造品目を前記初期工程に投入可能な最大数であり、
前記サイクル毎投入数は、前記サイクル期間毎に前記製造品目を前記初期工程に投入する数であり、
前記滞留時間は、前記初期工程での前記製造品目の処理開始時点から処理終了時点までの処理時間及び所定の段取り替え時間を含む、前記製造品目が前記初期工程に滞留する時間であり、
前記第1のルールは、前記単位期間最大数を遵守しつつ、前記サイクル毎投入数の前記製造品目を前記サイクル期間内の最小の単位期間数で前記初期工程に投入するというルールであり、
前記第2のルールは、前記サイクル期間内で複数の単位期間に亘って前記製造品目を前記初期工程に投入する場合、前記サイクル期間内で最初の単位期間から連続した単位期間に前記製造品目を前記初期工程に投入するというルールであり、
前記第3のルールは、前記サイクル期間内で複数の単位期間に亘って前記製造品目を前記初期工程に投入する場合、単位期間当りの投入数の差を最小にするというルールであり、
前記第4のルールは、前記サイクル期間毎に、同じ単位期間に同じ数の前記製造品目を前記初期工程に投入するというルールであり、
前記サイクル開始時点は、前記所定期間の開始時点から、前記サイクル期間から所定の単位期間を減算した上限期間までの範囲内で、前記所定期間の開始時点からゼロ又は前記単位期間の整数倍の時点であり、
前記決定部は、前記単位期間毎の、前記複数の製造品目の前記滞留時間を合計した滞留時間が、前記所定期間において平準化されるように、前記サイクル開始時点を前記複数の製造品目毎に決定する、
生産計画作成装置。
【請求項2】
前記決定部は、前記複数の製造品目毎に、
前記サイクル開始時点を、前記単位期間の整数倍で規定された複数の仮開始時点にそれぞれ仮決定し、
前記仮決定したそれぞれの前記仮開始時点のときの、前記単位期間毎に前記製造品目の前記滞留時間を合計した合計滞留時間についての前記所定期間における分散をそれぞれ求め、
仮決定したそれぞれの前記仮開始時点のうち、前記分散が最小になる前記仮開始時点を前記サイクル開始時点に正式決定する、
請求項1に記載の生産計画作成装置。
【請求項3】
前記決定部は、
前記最小になった分散である第1最小分散のときの前記単位期間毎の前記合計滞留時間が最大となる単位期間から、前記合計滞留時間の大きい順に所定数の単位期間を選択し、
前記所定数の単位期間に、前記初期工程で処理される前記製造品目の集合をそれぞれ取得し、
前記集合に含まれる製造品目毎に、前記サイクル開始時点を、前記単位期間の整数倍で規定された複数の改善用仮開始時点にそれぞれ仮決定し、
仮決定したそれぞれの前記改善用仮開始時点のときの、前記単位期間毎の前記合計滞留時間についての前記所定期間における分散をそれぞれ求め、
求められた前記分散のうち最小の分散である第2最小分散が前記第1最小分散以下であるか否かを判定し、
前記第2最小分散が前記第1最小分散以下であれば、前記集合に含まれる製造品目毎に、前記サイクル開始時点を前記第2最小分散となる前記改善用仮開始時点に更新する、
請求項2に記載の生産計画作成装置。
【請求項4】
複数の製造品目が、単一の初期工程において処理された後、前記製造品目毎に予め定められた後工程で処理されるジョブショップ型生産工程において、所定期間において前記複数の製造品目を前記初期工程で処理する計画を作成する、
コンピュータによって実行される生産計画作成方法であって、
第1のルール、第2のルール、第3のルール、及び第4のルールを満たすように、前記初期工程における前記複数の製造品目の処理を割り付ける割付けステップと、
所定のサイクル期間を開始する時点であるサイクル開始時点を前記複数の製造品目毎に決定する決定ステップと、を備え、
前記サイクル期間は、所定の単位期間の整数倍で規定された、前記初期工程における前記製造品目の処理開始から処理終了までのサイクルを表す期間であり、
単位期間最大数は、前記単位期間に前記製造品目を前記初期工程に投入可能な最大数であり、
サイクル毎投入数は、前記サイクル期間毎に前記製造品目を前記初期工程に投入する数であり、
滞留時間は、前記初期工程での前記製造品目の処理開始時点から処理終了時点までの処理時間及び所定の段取り替え時間を含む、前記製造品目が前記初期工程に滞留する時間であり、
前記第1のルールは、前記単位期間最大数を遵守しつつ、前記サイクル毎投入数の前記製造品目を前記サイクル期間内の最小の単位期間数で前記初期工程に投入するというルールであり、
前記第2のルールは、前記サイクル期間内で複数の単位期間に亘って前記製造品目を前記初期工程に投入する場合、前記サイクル期間内で最初の単位期間から連続した単位期間に前記製造品目を前記初期工程に投入するというルールであり、
前記第3のルールは、前記サイクル期間内で複数の単位期間に亘って前記製造品目を前記初期工程に投入する場合、単位期間当りの投入数の差を最小にするというルールであり、
前記第4のルールは、前記サイクル期間毎に、同じ単位期間に同じ数の前記製造品目を前記初期工程に投入するというルールであり、
前記サイクル開始時点は、前記所定期間の開始時点から、前記サイクル期間から所定の単位期間を減算した上限期間までの範囲内で、前記所定期間の開始時点から前記単位期間の整数倍の時点であり、
前記決定ステップは、前記単位期間毎の、前記複数の製造品目の前記滞留時間を合計した滞留時間が、前記所定期間において平準化されるように、前記サイクル開始時点を前記複数の製造品目毎に決定する、
生産計画作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の工程を経て素材又は製品を生産する場合の所定の工程における生産計画を作成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
素材又は製品を生産する工場では、半製品が製造品目毎に予め定められた複数の工程を通過し、各工程において各設備により半製品が処理されて、所望の製造品目の素材又は製品が生産される。このような生産工程において、半製品を工程に投入する計画を作成する技術として、例えば特許文献1で提案されている技術がある。この特許文献1に記載の技術では、中間製品、製品の在庫状況等を踏まえて板状鉄鋼製品の工程への投入計画が策定され、中間製品や製品の在庫増加を抑制するような投入計画が作成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術は、フローショップ型生産工程を対象としている。フローショップ型生産工程では、生産する製造品目が異なる場合、工程での処理時間が異なることはあっても、工程の順序は同一になっている。一方、ジョブショップ型生産工程では、生産する製造品目毎に、工程の順序が異なっている。このため、上記特許文献1に記載の技術を、ジョブショップ型生産工程によって多品種の生産を行う工場における生産計画の作成に適用することは困難である。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するもので、ジョブショップ型生産工程において、より適切な生産計画を作成する生産計画作成装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る生産計画作成装置は、
複数の製造品目が、単一の初期工程において処理された後、前記製造品目毎に予め定められた後工程で処理されるジョブショップ型生産工程において、所定期間において前記複数の製造品目を前記初期工程で処理する計画を作成する生産計画作成装置であって、
サイクル期間、単位期間最大数、サイクル毎投入数、及び滞留時間を前記複数の製造品目毎に記憶する記憶部と、
第1のルール、第2のルール、第3のルール、及び第4のルールを満たすように、前記初期工程における前記複数の製造品目の処理を割り付ける割付け部と、
前記サイクル期間を開始する時点であるサイクル開始時点を前記複数の製造品目毎に決定する決定部と、を備え、
前記サイクル期間は、所定の単位期間の整数倍で規定された、前記初期工程における前記製造品目の処理開始から処理終了までのサイクルを表す期間であり、
前記単位期間最大数は、前記単位期間に前記製造品目を前記初期工程に投入可能な最大数であり、
前記サイクル毎投入数は、前記サイクル期間毎に前記製造品目を前記初期工程に投入する数であり、
前記滞留時間は、前記初期工程での前記製造品目の処理開始時点から処理終了時点までの処理時間及び所定の段取り替え時間を含む、前記製造品目が前記初期工程に滞留する時間であり、
前記第1のルールは、前記単位期間最大数を遵守しつつ、前記サイクル毎投入数の前記製造品目を前記サイクル期間内の最小の単位期間数で前記初期工程に投入するというルールであり、
前記第2のルールは、前記サイクル期間内で複数の単位期間に亘って前記製造品目を前記初期工程に投入する場合、前記サイクル期間内で最初の単位期間から連続した単位期間に前記製造品目を前記初期工程に投入するというルールであり、
前記第3のルールは、前記サイクル期間内で複数の単位期間に亘って前記製造品目を前記初期工程に投入する場合、単位期間当りの投入数の差を最小にするというルールであり、
前記第4のルールは、前記サイクル期間毎に、同じ単位期間に同じ数の前記製造品目を前記初期工程に投入するというルールであり、
前記サイクル開始時点は、前記所定期間の開始時点から、前記サイクル期間から所定の単位期間を減算した上限期間までの範囲内で、前記所定期間の開始時点からゼロ又は前記単位期間の整数倍の時点であり、
前記決定部は、前記単位期間毎の、前記複数の製造品目の前記滞留時間を合計した滞留時間が、前記所定期間において平準化されるように、前記サイクル開始時点を前記複数の製造品目毎に決定するものである。
【0007】
本発明の第2態様に係る生産計画作成方法は、
複数の製造品目が、単一の初期工程において処理された後、前記製造品目毎に予め定められた後工程で処理されるジョブショップ型生産工程において、所定期間において前記複数の製造品目を前記初期工程で処理する計画を作成する、コンピュータによって実行される生産計画作成方法であって、
第1のルール、第2のルール、第3のルール、及び第4のルールを満たすように、前記初期工程における前記複数の製造品目の処理を割り付ける割付けステップと、
所定のサイクル期間を開始する時点であるサイクル開始時点を前記複数の製造品目毎に決定する決定ステップと、を備え、
前記サイクル期間は、所定の単位期間の整数倍で規定された、前記初期工程における前記製造品目の処理開始から処理終了までのサイクルを表す期間であり、
単位期間最大数は、前記単位期間に前記製造品目を前記初期工程に投入可能な最大数であり、
サイクル毎投入数は、前記サイクル期間毎に前記製造品目を前記初期工程に投入する数であり、
滞留時間は、前記初期工程での前記製造品目の処理開始時点から処理終了時点までの処理時間及び所定の段取り替え時間を含む、前記製造品目が前記初期工程に滞留する時間であり、
前記第1のルールは、前記単位期間最大数を遵守しつつ、前記サイクル毎投入数の前記製造品目を前記サイクル期間内の最小の単位期間数で前記初期工程に投入するというルールであり、
前記第2のルールは、前記サイクル期間内で複数の単位期間に亘って前記製造品目を前記初期工程に投入する場合、前記サイクル期間内で最初の単位期間から連続した単位期間に前記製造品目を前記初期工程に投入するというルールであり、
前記第3のルールは、前記サイクル期間内で複数の単位期間に亘って前記製造品目を前記初期工程に投入する場合、単位期間当りの投入数の差を最小にするというルールであり、
前記第4のルールは、前記サイクル期間毎に、同じ単位期間に同じ数の前記製造品目を前記初期工程に投入するというルールであり、
前記サイクル開始時点は、前記所定期間の開始時点から、前記サイクル期間から所定の単位期間を減算した上限期間までの範囲内で、前記所定期間の開始時点から前記単位期間の整数倍の時点であり、
前記決定ステップは、前記単位期間毎の、前記複数の製造品目の前記滞留時間を合計した滞留時間が、前記所定期間において平準化されるように、前記サイクル開始時点を前記複数の製造品目毎に決定するものである。
【0008】
第1態様又は第2態様によれば、第1~第4のルールを満たすように、初期工程における複数の製造品目の処理が割り付けられると、サイクル期間内の単位期間毎に初期工程に投入される複数の製造品目の数が、一意に決まる。このため、サイクル期間を開始する時点であるサイクル開始時点が、複数の製造品目毎に決定されると、所定期間において複数の製造品目を初期工程で処理する計画が確定されることとなる。よって、サイクル開始時点を複数の製造品目毎に決定するだけで、所定期間において複数の製造品目を初期工程で処理する計画を容易に作成することができる。また、単位期間毎の、複数の製造品目の滞留時間を合計した滞留時間が、所定期間において平準化されるように、サイクル開始時点が複数の製造品目毎に決定される。したがって、複数の製造品目を偏ることなく初期工程で処理する計画を作成することが可能となる。その結果、ジョブショップ型生産工程において、より適切な生産計画を作成することができる。
【0009】
なお、第1態様に係る生産計画作成装置又は第2態様に係る生産計画作成方法は、前記段取り替え時間がゼロの場合を含む。前記滞留時間が、前記段取り替え時間及び前記処理時間のみを含み、かつ、前記段取り替え時間がゼロの場合には、前記滞留時間は、前記処理時間に等しくなる。
【0010】
上記第1態様において、例えば、
前記決定部は、前記複数の製造品目毎に、
前記サイクル開始時点を、前記単位期間の整数倍で規定された複数の仮開始時点にそれぞれ仮決定し、
前記仮決定したそれぞれの前記仮開始時点のときの、前記単位期間毎に前記製造品目の前記滞留時間を合計した合計滞留時間についての前記所定期間における分散をそれぞれ求め、
仮決定したそれぞれの前記仮開始時点のうち、前記分散が最小になる前記仮開始時点を前記サイクル開始時点に正式決定してもよい。
【0011】
この態様では、複数の製造品目毎に、サイクル開始時点が、単位期間の整数倍で規定された複数の仮開始時点にそれぞれ仮決定される。この整数倍はゼロ倍を含む。例えば、仮開始時点が、ゼロ、単位期間の1倍、単位期間の2倍、・・・、サイクル期間から単位期間を減算した上限期間、のように仮決定されると、仮開始時点は、サイクル期間を単位期間で除算した商に等しい個数だけ存在することとなる。仮決定されたそれぞれの仮開始時点のときの、単位期間毎に製造品目の滞留時間を合計した合計滞留時間についての所定期間における分散がそれぞれ求められる。仮決定されたそれぞれの仮開始時点のうち、分散が最小になる仮開始時点が、サイクル開始時点に正式決定される。したがって、この態様によれば、初期工程における負荷が平準化された生産計画を作成することができる。
【0012】
上記第1態様において、例えば、
前記決定部は、
前記最小になった分散である第1最小分散のときの前記単位期間毎の前記合計滞留時間が最大となる単位期間から、前記合計滞留時間の大きい順に所定数の単位期間を選択し、
前記所定数の単位期間に、前記初期工程で処理される前記製造品目の集合をそれぞれ取得し、
前記集合に含まれる製造品目毎に、前記サイクル開始時点を、前記単位期間の整数倍で規定された複数の改善用仮開始時点にそれぞれ仮決定し、
仮決定したそれぞれの前記改善用仮開始時点のときの、前記単位期間毎の前記合計滞留時間についての前記所定期間における分散をそれぞれ求め、
求められた前記分散のうち最小の分散である第2最小分散が前記第1最小分散以下であるか否かを判定し、
前記第2最小分散が前記第1最小分散以下であれば、前記集合に含まれる製造品目毎に、前記サイクル開始時点を前記第2最小分散となる前記改善用仮開始時点に更新してもよい。
【0013】
この態様では、最小になった分散である第1最小分散のときの単位期間毎の合計滞留時間が最大となる単位期間から、合計滞留時間の大きい順に所定数の単位期間が選択される。所定数の単位期間に、初期工程で処理される製造品目の集合がそれぞれ取得される。集合に含まれる製造品目毎に、サイクル開始時点が、単位期間の整数倍で規定された複数の改善用仮開始時点にそれぞれ仮決定される。この整数倍はゼロ倍を含む。例えば、改善用仮開始時点が、ゼロ、単位期間の1倍、単位期間の2倍、・・・、サイクル期間から単位期間を減算した上限期間、のように仮決定されると、改善用仮開始時点は、サイクル期間を単位期間で除算した商に等しい個数だけ存在することとなる。仮決定されたそれぞれの改善用仮開始時点のときの、単位期間毎の合計滞留時間についての所定期間における分散が、それぞれ求められる。求められた分散のうち最小の分散である第2最小分散が第1最小分散以下であれば、集合に含まれる製造品目毎に、サイクル開始時点が、第2最小分散となる改善用仮開始時点に更新される。したがって、この態様によれば、初期工程における負荷が、より平準化されたサイクル開始時点を、探索することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る生産計画作成装置及び方法によれば、ジョブショップ型生産工程において、より適切な生産計画を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態における生産計画作成装置の構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図3】熱延工程に対する製造品目の割付け例を概略的に示す図である。
【
図4】熱延工程における負荷の平準化を説明する図である。
【
図5】熱延工程における生産計画の作成手順例を概略的に示すフローチャートである。
【
図6】初期解決定の手順例を概略的に示すフローチャートである。
【
図7】サイクル開始日探索の手順例を概略的に示すフローチャートである。
【
図8】サイクル開始日探索の手順例を概略的に示すフローチャートである。
【
図9】入力情報を用いて、
図6の手順により初期解として決定された各製造品目のサイクル開始日を概略的に示す図である。
【
図10】
図9のサイクル開始日による熱延工程における日毎の合計滞留時間の推移を概略的に示す図である。
【
図11】
図7、
図8の手順によって
図9のサイクル開始日から探索されたサイクル開始日を概略的に示す図である。
【
図12】
図11のサイクル開始日による熱延工程における日毎の合計滞留時間の推移を概略的に示す図である。
【
図13】ジョブショップ型生産工程の一例を概略的に示す図である。
【
図14】フローショップ型生産工程の一例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(本発明の基礎となった知見)
図13は、ジョブショップ型生産工程の一例を概略的に示す図である。
図14は、フローショップ型生産工程の一例を概略的に示す図である。
図13、
図14を用いて、本発明の基礎となった知見が説明される。
【0017】
上述のように、ジョブショップ型生産工程では、生産する製造品目に応じて工程の順序が異なる。例えば
図13に示されるジョブショップ型生産工程では、製造品目A1,A2,A3,A4を生産するための工程は、最初の熱延工程P1は互いに同一であるが、その後に通過する後工程は、互いに異なっている。この場合、各々の後工程における日毎の負荷がばらつくと、定期的に生産する必要がある製造品目A1~A4の一部が生産できなくなってしまう。また、一部の後工程が動作せずに遊んでしまうため、生産性を向上することが期待できない。したがって、各々の後工程における日毎の負荷が平準化される(つまり熱延工程P1から各々の後工程へ均等に半製品を送る)必要がある。
【0018】
これに対して、フローショップ型生産工程では、
図14に示されるように、第1工程Q1で処理された半製品は、同じ工程を同じ順序で通過する。したがって、後工程における負荷のばらつきを考慮する必要がない。
【0019】
図13において、「製造品目」とは、製造する製品を大まかに分類するための名称を意味する。例えば、自動車用の自動車材、飲料缶用の缶材などのように、産業用途別に分けた名称が用いられる。
図13に示されるように、製造品目毎に通過工程が決まるため、熱延工程P1の処理を製造品目が可能な限りばらつくように実行すると、各々の後工程の負荷は大まかに平準化される。
【0020】
図13に示されるジョブショップ型生産工程では、最初の熱延工程P1が単一の設備で構成されている。言い換えると、全ての製造品目A1~A4が、熱延工程P1において単一の設備により処理される。例えば、熱延工程P1の前工程で製造されたスラブが熱延工程P1に投入されると、熱間圧延によって厚板又は薄板の板材が製造される。熱延工程P1の処理後に通過する後工程は、製造品目A1~A4毎に決まり、互いに異なる。
図13に示されるようなジョブショップ型生産工程では、熱延工程P1の処理の仕方として、以下のことを考慮する必要がある。
【0021】
第1に、可能な限りロットをまとめて処理して、熱延工程P1における生産性を向上することが望ましい。熱延工程P1では、多品種が処理されるため、処理対象の製造品目が変更されると、処理温度の変更、設備の清掃等のための段取り替え時間が発生する。そのため、必要な生産性を確保するためには、ロットにまとめて処理することが望ましい。
【0022】
第2に、熱延工程P1で処理される製造品目が、日毎に平準化されていることが望ましい。定期的な需要に対応するためには、一定間隔で同一の製造品目を処理することが必要となる。したがって、過度にロットまとめを行うと、同一の製造品目を連続して生産することになり、製造品目が偏るため、これに対応できない。
【0023】
第3に、熱延工程P1における日毎の負荷(つまり製造品目が熱延工程P1に滞留している時間)は、処理能力を超えない範囲で平準化していることが望ましい。日毎に熱延工程P1に向けて搬送される製造品目の合計の滞留時間が、熱延工程P1における1日の処理能力を超えると、その超えた分だけ仕掛品が発生することになる。このため、発生した仕掛品の量が熱延工程P1の置場の容量を超えると、外部置場を確保することが必要となる。この場合、外部置場を確保できなければ、熱延工程P1の前工程の処理を停止することが必要となる。これを避けるために、熱延工程P1における日毎の負荷を、処理能力を超えない範囲で平準化して、熱延工程P1の設備の余力を常時確保しておくことが望ましい。
【0024】
上記の3点を両立するために、全ての製造品目について、製造品目を熱延工程P1に投入するサイクルである熱延サイクル(サイクルの一例に相当)を設け、その熱延サイクルを満たした上で、熱延工程P1における負荷を平準化して、生産性を確保することが考えられる。工場における半製品の物流を精度良く予測するためには、この熱延サイクルを踏まえた生産計画が必要となる。そこで、本発明者は、シミュレーションによって、月次計画レベルの熱延工程P1における各製造品目に対する概略の計画生産量から、熱延サイクルの制約下で熱延工程P1の負荷を平準化し、必要な生産性を確保するようにした熱延工程P1における生産計画を作成する技術を想到した。
【0025】
(実施の形態)
以下、本発明の一実施の形態が、図面を参照しながら説明される。なお、各図面において、同じ構成要素については同じ符号が用いられ、適宜、詳細な説明は省略される。
【0026】
図1は、本実施形態における生産計画作成装置100の構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図2は、入力情報200の一例を概略的に示す図である。
【0027】
図1に示される生産計画作成装置100は、例えば、デスクトップ型、ノート型、タブレット型等のパーソナルコンピュータで構成される。生産計画作成装置100は、
図1に示されるように、ディスプレイ110、入力部120、記憶装置130、及び制御回路140を備える。制御回路140は、メモリ150、中央演算処理装置(CPU)160、及び周辺回路(図示省略)を含む。
【0028】
本実施形態の生産計画作成装置100は、
図13に示されるジョブショップ型生産工程に適用される。すなわち、本実施形態の生産計画作成装置100は、熱延工程P1(初期工程の一例に相当)における各製造品目の処理計画を作成する。
【0029】
ディスプレイ110は、例えば液晶ディスプレイパネルを含む。ディスプレイ110は、CPU160により制御されて、例えば、作成が完了した熱延工程P1の生産計画を表示する。なお、ディスプレイ110は、液晶ディスプレイパネルに限られない。ディスプレイ110は、有機エレクトロルミネセンス(EL)パネルなどの他のパネルを含んでもよい。
【0030】
入力部120は、例えばマウス又はキーボードを含む。入力部120は、ユーザにより操作されると、その操作内容を表す操作信号を制御回路140に出力する。なお、ディスプレイ110がタッチパネル式ディスプレイの場合には、マウス又はキーボードに代えて、タッチパネル式ディスプレイが入力部120を兼用してもよい。
【0031】
記憶装置130は、例えばハードディスク又は半導体不揮発性メモリ等により構成される。記憶装置130は、製造品目情報データベース(DB)131、熱延サイクル情報DB132、設備情報DB133を含む。製造品目情報DB131、熱延サイクル情報DB132、設備情報DB133は、互いに別の媒体で構成されてもよい。代替的に、製造品目情報DB131、熱延サイクル情報DB132、設備情報DB133は、記憶領域が分けられた一つの媒体で構成されてもよい。
【0032】
製造品目情報DB131は、熱延工程P1で処理される製造品目を特定する製造品目識別情報(製造品目ID)と、製造品目毎の、1サイクル当りに熱延工程P1に投入されるサイクル毎投入本数(サイクル毎投入数の一例に相当)と、を記憶する。製造品目IDは、例えば、生産計画作成装置100によって作成される生産計画のシミュレーション期間(所定期間の一例に相当)において、熱延工程P1で処理される製造品目を表す。製造品目IDは、入力部120を用いてユーザによって製造品目情報DB131に登録されてもよい。代替的に、製造品目IDは、生産計画作成装置100の外部に設けられた生産計画データベースからCPU160によって取得されて、製造品目情報DB131に登録されてもよい。サイクル毎投入本数は、後述される。
【0033】
熱延サイクル情報DB132は、それぞれ製造品目毎の、サイクル日数と一日最大本数とを記憶する。サイクル日数(サイクル期間の一例に相当)は、上述の「熱延サイクル」の日数、つまり対応する製造品目を熱延工程P1に投入する周期である。ユーザは、例えば、対応する製造品目の生産量、対応する製造品目が後工程で必要とされるタイミング、等を考慮して、入力部120を用いてサイクル日数を設定し、熱延サイクル情報DB132に登録する。
【0034】
一日最大本数(単位期間最大数の一例に相当)は、対応する製造品目を熱延工程P1に一日に投入することが可能な最大の本数を表す。ユーザは、例えば、熱延工程P1の設備能力、対応する製造品目が後工程で必要とされる本数、等を考慮して一日最大本数を設定し、入力部120を用いて、設定した一日最大本数を熱延サイクル情報DB132に登録する。
【0035】
設備情報DB133は、対応する製造品目が熱延工程P1に滞留している滞留時間を記憶する。滞留時間は、製造品目の処理開始時点から処理終了時点までの処理時間、熱延工程P1における段取り替え時間、等を含む。段取り替え時間及び他の時間がゼロの場合には、滞留時間は、処理時間に等しくなる。
【0036】
ユーザは、例えば、過去において、対応する製造品目を熱延工程P1で処理したときの滞留時間の実績データに基づき、設備情報DB133に滞留時間を登録する。ユーザは、例えば、過去の滞留時間の実績データの平均値又は中央値を、滞留時間として、設備情報DB133に登録してもよい。代替的に、CPU160は、過去の滞留時間の実績データの平均値又は中央値を算出し、算出値を、滞留時間として、設備情報DB133に登録してもよい。
【0037】
製造品目情報DB131に記憶されるサイクル毎投入本数は、入力部120を用いてユーザによって製造品目情報DB131に登録される。ユーザは、例えば、製造品目毎の1か月当りに必要とされる生産量[本/月]に基づき、各サイクルで投入される本数が均一になるように、サイクル毎投入本数を算出する。例えば、1か月(例えば30[日])をサイクル日数[日]で除算すると、サイクル数[サイクル/月]が求められる。生産量[本/月]をサイクル数[サイクル/月]で除算すると、1サイクル毎の投入本数[本/サイクル]が求められる。なお、生産量[本/月]をサイクル数[サイクル/月]で除算した商が小数になった場合には、四捨五入等によって、1サイクル毎の投入本数[本/サイクル]が整数として求められる。ユーザは、例えば、このようにして求められたサイクル毎の投入本数[本/サイクル]を、製造品目情報DB131に入力部120を用いて登録する。
【0038】
メモリ150は、例えば半導体メモリ等により構成される。メモリ150は、例えばリードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的に消去書き換え可能なROM(EEPROM)、ハードディスクドライブ(HDD)などを含む。メモリ150の例えばROM又はHDDは、本実施形態の制御プログラムを記憶する。制御プログラムは、例えば、入力情報200(
図2)を生成する入力情報生成プログラム、熱延工程P1における生産計画を作成する生産計画作成プログラムを含む。CPU160は、メモリ150に記憶された本実施形態の制御プログラムにしたがって動作することによって、入力情報生成部161、生産計画作成部162として機能する。生産計画作成部162は、割付け部171、決定部172を含む。
【0039】
入力情報生成部161は、記憶装置130から、製造品目情報、熱延サイクル情報、設備情報を取得して、入力情報200(
図2)を生成する。入力情報生成部161は、生成した入力情報200を、メモリ150の例えばRAMに保存する。入力情報200は、製造品目を熱延工程P1に割り付ける際に使用される。入力情報200は、
図2に示されるように、製造品目ID欄201、サイクル毎投入本数欄202、サイクル日数欄203、一日最大本数欄204、滞留時間欄205を含む。
【0040】
製造品目ID欄201、サイクル毎投入本数欄202には、それぞれ、製造品目情報DB131に記憶されている製造品目ID、サイクル毎投入本数が、入力情報生成部161によって登録される。本実施形態では、製造品目ID欄201には、
図2に示されるように、製造品目IDとして、「ID1」~「ID13」が登録されている。サイクル日数欄203、一日最大本数欄204には、それぞれ、熱延サイクル情報DB132に記憶されているサイクル日数、一日最大本数が、入力情報生成部161によって登録される。滞留時間欄205には、設備情報DB133に記憶されている滞留時間が、入力情報生成部161によって登録される。
【0041】
なお、入力情報200において、(サイクル毎投入本数)>(サイクル日数×一日最大本数)になった製造品目については、設定されたサイクル毎投入本数を、サイクル内で投入することはできない。このため、(サイクル毎投入本数)>(サイクル日数×一日最大本数)になると、入力情報生成部161は、ディスプレイ110にエラーを表示してもよい。
【0042】
図1に戻って、割付け部171は、入力情報200に基づき、予め定められた4個のルールに従って、製造品目を熱延工程P1に投入するタイミングを、製造品目毎に割り付ける割付け処理を行う。本実施形態では、上述のように、製造品目を熱延工程P1に投入する周期である熱延サイクルが、全ての製造品目について設けられている。割付け部171は、この熱延サイクルの制約の下で、製造品目を熱延工程P1に割り付ける。
【0043】
図3は、熱延工程P1に対する製造品目Aの割付け例を概略的に示す図である。
図3において、横軸は時間[日]を表し、縦軸は熱延工程P1への投入本数[本]を表す。
図3の例では、製造品目Aのサイクル日数Naが、Na=4[日]、一日最大本数Maが、Ma=8[本]、サイクル毎投入本数Laが、La=12[本]とされている。
図1~
図3を用いて、割付け部171による割付け処理が説明される。
【0044】
第1のルールは、「一日最大本数を遵守しつつ、サイクル毎投入本数の製造品目をサイクル日数内の最小日数(最小の単位期間数の一例に相当)で熱延工程P1に投入する」というルールである。
図3の例では、一日最大本数Ma=8[本]で、サイクル毎投入本数La=12[本]であるので、最小日数は2[日]になる。したがって、製造品目Aは、熱延工程P1に2[日]で投入される。第1のルールでは、熱延工程P1の生産性を向上させるために、「最小日数で」という限定が加えられている。
【0045】
第2のルールは、「サイクル日数内で複数日に亘って製造品目を熱延工程P1に投入する場合、サイクル日数内で初日から連続した日(単位期間の一例に相当)に製造品目を熱延工程P1に投入する」というルールである。この第2のルールは、例えばサイクル日数内で、1日目と3日目とに投入し、2日目には投入しない、というような割付け方はされない、ということを意味する。第1のルールにより製造品目Aが熱延工程P1に最小日数の2[日]で投入されるので、製造品目Aは、
図3に示されるように、熱延工程P1に、初日の1日目と、連続する2日目と、に投入される。
【0046】
第3のルールは、「サイクル日数内で複数日に亘って製造品目を熱延工程P1に投入する場合、1日当りの投入数の差を最小にする」というルールである。したがって、製造品目Aは、
図3に示されるように、1日目に6[本]、2日目に6[本]が投入される。すなわち、1日目に8[本]、2日目に4[本]という投入の仕方はされない。
【0047】
第4のルールは、「サイクル日数毎に、同じ日に同じ数の製造品目を熱延工程P1に投入する」というルールである。したがって、
図3に示されるように、第1サイクル、第2サイクル、第3サイクルにおいて、同じように、1日目及び2日目に、それぞれ6[本]が投入される。
【0048】
更に、
図2の例を用いて、上記4個のルールが説明される。サイクル毎投入本数が一日最大本数より少ない製造品目は、第1のルールに従って、最小日数が1[日]となる。このため、第2~第4のルールに従って、全てのサイクル日数内において、1日目にサイクル毎投入本数が投入される。例えば、製造品目IDが「ID1」では、全てのサイクル日数内において、サイクル日数7[日]のうち、1日目に2[本]が投入され、2~7日目には投入されない。同様に、製造品目IDが「ID7」では、サイクル日数4[日]のうち、1日目に32[本]が投入され、2~4日目には投入されない。
【0049】
一方、サイクル毎投入本数が一日最大本数より多い製造品目は、第1のルールに従って、まず、最小日数が決まる。例えば、製造品目IDが「ID8」では、サイクル毎投入本数が21[本]で、一日最大本数が15[本]であるので、最小日数は2[日]となる。このため、第2~第4のルールに従って、全てのサイクル日数内において、サイクル日数7[日]のうち、1日目に11[本]が投入され、2日目に10[本]が投入され、3~7日目には投入されない。
【0050】
例えば、製造品目IDが「ID9」では、サイクル毎投入本数が138[本]で、一日最大本数が25[本]であるので、最小日数は6[日]となる。このため、第2~第4のルールに従って、全てのサイクル日数内において、サイクル日数7[日]のうち、1~6日目に23[本]が投入され、7日目には投入されない。
【0051】
例えば、製造品目IDが「ID10」では、サイクル毎投入本数が44[本]で、一日最大本数が13[本]であるので、最小日数は4[日]となる。このため、第2~第4のルールに従って、全てのサイクル日数内において、サイクル日数7[日]のうち、1~4日目に11[本]が投入され、5~7日目には投入されない。
【0052】
例えば、製造品目IDが「ID11」では、サイクル毎投入本数が28[本]で、一日最大本数が13[本]であるので、最小日数は3[日]となる。このため、第2~第4のルールに従って、全てのサイクル日数内において、サイクル日数7[日]のうち、1日目に10[本]が投入され、2~3日目に9[本]が投入され、4~7日目には投入されない。
【0053】
例えば、製造品目IDが「ID12」では、サイクル毎投入本数が125[本]で、一日最大本数が25[本]であるので、最小日数は5[日]となる。このため、第2~第4のルールに従って、全てのサイクル日数内において、サイクル日数7[日]のうち、1~5日目に25[本]が投入され、6~7日目には投入されない。
【0054】
例えば、製造品目IDが「ID13」では、サイクル毎投入本数が17[本]で、一日最大本数が15[本]であるので、最小日数は2[日]となる。このため、第2~第4のルールに従って、全てのサイクル日数内において、サイクル日数7[日]のうち、1日目に9[本]が投入され、2日目に8[本]が投入され、3~7日目には投入されない。
【0055】
以上のように、割付け部171は、入力情報200に含まれる、製造品目毎の、サイクル毎投入本数、サイクル日数、一日最大本数を用いて、第1~第4のルールに従うことにより、熱延工程P1に対する各製造品目の処理の割付けを一意に決定する。
【0056】
図1に戻って、決定部172は、割付け部171によって熱延工程P1に対して割り付けられた製造品目毎に、サイクル開始日を決定する。サイクル開始日(サイクル開始時点の一例に相当)は、シミュレーション開始日(所定期間の開始時点の一例に相当)から熱延サイクルの開始日(つまり熱延工程P1への投入が開始される日)までに空ける日数を意味する。サイクル開始日Kは、サイクル日数Nを用いると、
0,1,・・・,(N-1)
のいずれかに決定される。K=Nになると、シミュレーション開始日からサイクル日数Nを空けることになり、K=0と同じことになる。このため、サイクル開始日Kは、サイクル日数Nより1日少ない日数(N-1)である上限日数(上限期間の一例に相当)までの範囲内で、シミュレーション開始日から1日の整数倍(ゼロ倍を含む)の時点に決定される。
【0057】
製造品目毎にサイクル開始日を変化させることによって、製造品目毎の熱延サイクルの位相を互いにずらせることができる。その結果、熱延工程P1における日毎の負荷を平準化させることが可能になる。
【0058】
図4は、熱延工程P1における負荷の平準化を説明する図である。
図4において、横軸は時間[日]を表し、縦軸は熱延工程P1における負荷[分]を表す。熱延工程P1における負荷は、熱延工程P1における各製造品目の合計の滞留時間である。
図4を用いて、サイクル開始日の変化による負荷の平準化が説明される。
【0059】
図4のセクション(A)は、製造品目Aの熱延工程P1への投入計画を表し、セクション(B)は、製造品目Bの熱延工程P1への投入計画を表し、セクション(C)は、製造品目Cの熱延工程P1への投入計画を表す。
図4の例では、製造品目A,B,Cのサイクル日数Na,Nb,Ncは、Na=Nb=Nc=4[日]とされている。
【0060】
最初に、製造品目Aのサイクル開始日Kaは、
図4のセクション(A)に示されるように、Ka=0にされている。したがって、製造品目Aの熱延工程P1への投入計画は、割付け部171によって割り付けられた状態のままになっている。すなわち、サイクル日数Naのうち1日目のみに、製造品目Aが投入される計画になっている。
【0061】
次に、製造品目Bのサイクル開始日Kbは、
図4のセクション(B)に示されるように、Kb=1にされている。したがって、製造品目Bの熱延工程P1への投入計画は、割付け部171によって割り付けられた状態から1日遅れている。すなわち、サイクル開始日Kbを1日空けた後、サイクル日数Nbのうち1日目及び2日目に、製造品目Bが投入される計画になっている。
【0062】
次に、製造品目Cのサイクル開始日Kcは、
図4のセクション(C)に示されるように、Kc=3にされている。したがって、製造品目Cの熱延工程P1への投入計画は、割付け部171によって割り付けられた状態から3日遅れている。すなわち、サイクル開始日Kcを3日空けた後、サイクル日数Ncのうち1日目に、製造品目Cが投入される計画になっている。
【0063】
このようにサイクル開始日Ka,Kb,Kcが決定されることによって、熱延工程P1に投入される製造品目は、セクション(D)に示されるように、1日目に製造品目A、2,3日目に製造品目B、4日目に製造品目Cとなり、以降、この順番に繰り返される。その結果、熱延工程P1の負荷(合計の滞留時間)は、平準化されることとなる。
【0064】
また、製造品目A,B,Cに加えて、他の製造品目が存在する場合には、セクション(D)における熱延工程P1の日毎の負荷が平準化されるように、サイクル開始日が決定部172により決定されて、セクション(D)の負荷(合計の滞留時間)に、他の製造品目の負荷(滞留時間)が積み上げられていくこととなる。
【0065】
図5は、熱延工程P1における生産計画の作成手順例を概略的に示すフローチャートである。ステップS500において、入力情報生成部161は、入力部120を用いてユーザにより入力された製造品目毎のサイクル毎投入本数を受け付ける。製造品目毎のサイクル毎投入本数は、上述のように、例えば、製造品目毎に、月毎の生産量をサイクル日数で除算することによって、ユーザにより決定される。
【0066】
ステップS505において、入力情報生成部161は、ステップS500で受け付けられた製造品目毎のサイクル毎投入本数と、製造品目情報DB131に保存されている製造品目IDと、熱延サイクル情報DB132に保存されているサイクル日数及び一日最大本数と、設備情報DB133に保存されている滞留時間と、を用いて、入力情報200(
図2)を生成して、メモリ150に保存する。
【0067】
ステップS510において、割付け部171は、入力情報200(
図2)から、第1~第4のルールに従って、製造品目毎に、熱延工程P1に割り付ける。上述のように、第1~第4のルールに従うことによって、熱延工程P1への割付けは、一意に決められる。ステップS515において、決定部172は、製造品目毎に、サイクル開始日を初期解として決定する。
【0068】
図6は、初期解決定(
図5のステップS515)の具体的な手順例を概略的に示すフローチャートである。
図6の手順において、製造品目IDは、ID1~IDPまでのP種類とする。各製造品目ID1~IDPについては、サイクル日数N1~NPであり、一日最大本数M1~MPであり、滞留時間T1~TPである。
【0069】
ステップS600において、決定部172は、サイクル開始日を決定する製造品目の順序を決定する。
図2の例では、決定部172は、例えば製造品目ID1~ID13の順に決定してもよい。代替的に、決定部172は、例えばサイクル日数が少ない(つまりサイクル開始日の選択肢が少ない)製造品目から、サイクル開始日を決定してもよい。
図2の例では製造品目ID3,ID7に相当する。さらに代替的に、決定部172は、例えばサイクル毎投入本数の多い製造品目から、サイクル開始日を決定してもよい。
図2の例では製造品目ID9に相当する。本実施形態では、決定された順序に並んだ製造品目は、製造品目HG(p)で表される。
図6の例では、p=1~Pである。すなわち、製造品目HG(p)は、製造品目ID1~IDPのいずれかに相当する。
【0070】
続くループLP1では、製造品目HG(p)がp=1~Pについて繰り返される。続くループLP2では、製造品目HG(p)のサイクル開始日Kが、K=0,1,・・・,(N(p)-1)に仮決定されて、繰り返される。サイクル日数N(p)は、製造品目HG(p)のサイクル日数である。上述のように、サイクル開始日Kがサイクル日数N(p)に等しくなると、K=0と同じことを意味するので、(N(p)-1)がサイクル開始日Kの上限日数になっている。なお、最初の製造品目HG(1)については、サイクル開始日KをK=0~(N(1)-1)に変化させても、算出される分散は同じ値になるので、決定部172は、製造品目HG(1)のサイクル開始日をK=0に固定してもよい。
【0071】
ステップS605において、決定部172は、シミュレーション期間(本実施形態では、例えば6か月)において、仮決定されたサイクル開始日K(仮開始時点の一例に相当)のときの、日毎の、製造品目HG(p)の滞留時間を合計した合計滞留時間についての分散をそれぞれ算出する。ループLP2が終了すると、製造品目HG(p)において、日毎の合計滞留時間についての分散が最小となるサイクル開始日Kを求めることができる。ステップS610において、決定部172は、分散が最小となったときのサイクル開始日Kを、製造品目HG(p)のサイクル開始日Kpに正式決定する。ステップS615において、決定部172は、サイクル開始日Kpのときの製造品目HG(p)の各サイクルの処理本数及び日毎の合計滞留時間をメモリ150に保存する。
【0072】
ループLP1が終了すると、全ての製造品目HG(p)について、すなわち全ての製造品目ID1~IDPについて、日毎の合計滞留時間の分散が最小となるサイクル開始日K1~KPが、それぞれ正式決定される。ステップS620において、決定部172は、正式決定された各製造品目ID1~IDPのサイクル開始日K1~KPを、初期解としてメモリ150に保存する。その後、
図6の処理(つまり
図5のステップS515)は終了する。
図5のステップS515に続くステップS520において、決定部172は、初期解としてメモリ150に保存された、正式決定された各製造品目ID1~IDPのサイクル開始日K1~KPに基づき、熱延工程P1における負荷(日毎の合計滞留時間)が、より平準化されるサイクル開始日を探索する。
【0073】
図7、
図8は、サイクル開始日探索(
図5のステップS520)の具体的な手順例を概略的に示すフローチャートである。
図7のステップS700において、決定部172は、初期解としてのP種類の製造品目ID1~IDPのサイクル開始日K1~KPをメモリ150から読み出す。続くループLP11では、処理が所定回数L回繰り返される。
【0074】
ステップS705において、決定部172は、現在のサイクル開始日による日毎の合計滞留時間TS及び分散D(第1最小分散の一例に相当)を求める。決定部172は、求めた日毎の合計滞留時間TS及び分散Dをメモリ150の例えばRAMに保存する。なお、1回目のステップS705では、現在のサイクル開始日は、初期解のサイクル開始日K1~KPであるため、決定部172は、
図6の最後のステップS615でメモリ150に保存された日毎の合計滞留時間をメモリ150から読み出して、日毎の合計滞留時間TSとしてもよい。
【0075】
ステップS710において、決定部172は、日毎の合計滞留時間TSが最大の日から、合計滞留時間TSの大きい順にQ個(所定数の一例に相当)の日を選択する。シミュレーション期間の全ての日を選択すると、計算量が膨大になって、適切な時間で計算が終了しない。そこで、初期解から製造品目のサイクル開始日を変更することにより、さらに負荷(合計滞留時間)を平準化できる可能性がある最も負荷の高い日(合計滞留時間が最大の日)を含む負荷の大きい順にQ個の日が選択されている。Qの値は、予め定められていてもよい。Qの値が大きすぎると、適切な時間で計算が終了しない。一方、Qの値が小さすぎると、探索範囲が小さくなって、初期解が改善される可能性も低くなる。そこで、CPU160は、計算時間と探索範囲とを考慮してユーザが入力部120を用いてQの値を決められるように、構成されていてもよい。
【0076】
ステップS715において、決定部172は、選択されたQ個の日Rに処理される製造品目の集合Hg(R)を、日R毎にそれぞれ取得する。すなわち、R=1~Qである。続くループLP12では、製造品目の集合Hg(R)が、Q個の日R=1~Qについて順に繰り返される。続くループLP13では、製造品目の集合Hg(R)に含まれる製造品目rの集合Hg(R,r)が、製造品目rについて繰り返される。続くループLP14では、集合Hg(R,r)の製造品目rのサイクル開始日Kkが、Kk=0,1,・・・,(Nn(r)-1)に仮決定されて、繰り返される。サイクル日数Nn(r)は、集合Hg(R,r)の製造品目rのサイクル日数である。
【0077】
ステップS720において、決定部172は、シミュレーション期間において(本実施形態では、上述のように、例えば6か月)、仮決定されたサイクル開始日Kk(仮開始時点の一例に相当)のときの集合Hg(R,r)の製造品目rにおける日毎の合計滞留時間の分散をそれぞれ算出する。ループLP14が終了すると、集合Hg(R,r)の製造品目rにおいて、日毎の合計滞留時間の分散が最小となるサイクル開始日Kkを求めることができる。ループLP13が終了すると、集合Hg(R,r)に含まれる全ての製造品目rにおいて、日毎の合計滞留時間の分散が最小となるサイクル開始日Kkを求めることができる。
【0078】
図8のステップS800において、決定部172は、分散が最小となった集合Hg(R,r)の各製造品目rのサイクル開始日Kkを求める。ステップS805において、決定部172は、最小の分散Dd(第2最小分散の一例に相当)と、求められたサイクル開始日Kkのときの各サイクルの処理本数及び日毎の合計滞留時間とを、メモリ150の例えばRAMに保存する。ステップS810において、決定部172は、最小の分散Ddが、メモリ150に既に保存されている分散D以下であるか否かを判定する。最小の分散Ddが、メモリ150に既に保存されている分散D以下であれば(ステップS810でYES)、処理はステップS815に進む。一方、最小の分散Ddが、メモリ150に既に保存されている分散Dより大きければ(ステップS810でNO)、処理はステップS825に進む。
【0079】
ステップS815において、決定部172は、集合Hg(R,r)の各製造品目rのサイクル開始日をKkに変更する。ステップS820において、決定部172は、既にメモリ150に保存されている各サイクルの処理本数、及び日毎の合計滞留時間を、ステップS805で保存された値に更新する。その後、ループLP11の繰返しに移行する。ループLP11が終了すると、処理はステップS830に進む。
【0080】
ステップS825において、決定部172は、R=Qであるか否か(すなわち、集合Hg(R)のR=1~Qについての繰返しであるループLP12が終了したか否か)を判定する。R=Qでなければ(ステップS825でNO)、ループLP12の繰返しに移行する。一方、R=Qであれば(ステップS825でYES)、ループLP11も終了して、処理はステップS830に進む。
【0081】
ステップS830において、決定部172は、P種類の製造品目ID1~IDPのうちで、各製造品目rのサイクル開始日を、最終的にステップS815において変更されたサイクル開始日Kkに変更して、P種類の製造品目ID1~IDPのサイクル開始日K1~KPを決定する。その後、
図7、
図8の処理(つまり
図5のステップS520)は終了する。
【0082】
図7、
図8の手順例では、最小の分散Ddが、メモリ150に既に保存されている分散D以下であれば(ステップS810でYES)、ループLP12から抜け出して、ループLP11に移行する。すなわち、Dd≦Dであることが続くと(ステップS810でYES)、集合Hg(R)のRが変更されずに、ループLP11が繰り返される。結果的に集合Hg(R)のRがR=1~Qの全てに変更されなくても、ループLP11がL回繰り返されると、ループLP12は終了して、処理はステップS830に進む。
【0083】
一方、ループLP11がL回繰り返されるまでに、Dd>Dになると(ステップS810でNO)、ループLP12が終了していなければ(ステップS825でNO)、ループLP12に移行し、集合Hg(R)のRが、次のRに変更される。ループLP11がL回繰り返される前に、集合Hg(R)のRがR=1~Qの全てに変更されてループLP12が終了すると(ステップS825でYES)、ループLP11がL回繰り返されなくても、処理はステップS830に進む。すなわち、R=1~Qについての繰返しであるループLP12が終了すると、L回繰り返されていなくても、ループLP11が終了する。
【0084】
ループLP11のLの値は、予め定められていてもよい。Lの値が大きすぎると、適切な時間で計算が終了しない。一方、Lの値が小さすぎると、探索回数が少なくなって、初期解が改善される可能性も低くなる。そこで、CPU160は、計算時間と探索回数とを考慮してユーザが入力部120を用いてLの値を決められるように、構成されていてもよい。
【0085】
図5に戻って、ステップS525において、決定部172は、
図8のステップS830で決定されたサイクル開始日K1~KPに基づき、P種類の製造品目ID1~IDPの熱延工程P1における生産計画(つまり製造品目ID1~IDP毎の日毎の処理本数)を作成する。決定部172は、作成した生産計画を、例えばディスプレイ110に表示してもよい。その後、
図5の手順は終了する。
【0086】
図9は、入力情報200(
図2)を用いて、
図6の手順により初期解として決定された各製造品目のサイクル開始日を概略的に示す図である。
図10は、
図9のサイクル開始日による熱延工程P1における日毎の合計滞留時間の推移を概略的に示す図である。
図11は、
図7、
図8の手順によって
図9のサイクル開始日(初期解)から探索されたサイクル開始日を概略的に示す図である。
図12は、
図11のサイクル開始日による熱延工程P1における日毎の合計滞留時間の推移を概略的に示す図である。
図10、
図12に示されるように、シミュレーション期間は、2018年4月1日から9月30日までの6か月である。
【0087】
入力情報200(
図2)を用いて、
図6の手順が実行されると、各製造品目のサイクル開始日が、
図9に示されるように決定される。この場合の熱延工程P1における日毎の合計滞留時間のピーク値は、
図10に示されるように、1000[分/日]を超えている。
図10における日毎の合計滞留時間の標準偏差(分散の平方根)は、150.3[分/日]である。
【0088】
図9のサイクル開始日(初期解)から、
図7、
図8の手順が実行されると、
図11に示されるように、サイクル開始日が決定される。
図9と
図11とを比較すると、製造品目ID2,ID13以外のサイクル開始日が変更されていることが分かる。この場合の熱延工程P1における日毎の合計滞留時間のピーク値は、
図12に示されるように、約950[分/日]であり、
図10から低減されている。また、
図12における日毎の合計滞留時間の標準偏差(分散の平方根)は、140.1[分/日]であり、
図10に対して小さくなっている。これは、熱延工程P1における日毎の合計滞留時間が、初期解に比べて平準化されたことを表す。
【0089】
以上説明されたように、本実施形態では、割付け部171は、製造品目ID1~IDP毎に定められた、サイクル日数N1~NP、一日最大本数M1~MP、滞留時間T1~TPを用いて、第1~第4のルールを満たすように、製造品目ID1~IDPを熱延工程P1に割り付ける。したがって、サイクル日数内の日毎に熱延工程P1に投入される各製造品目ID1~IDPの本数が、一意に決まる。このため、本実施形態によれば、サイクル開始日K1~KPを製造品目ID1~IDP毎に決定するだけで、熱延工程P1における製造品目ID1~IDPの生産計画を容易に作成することができる。
【0090】
熱延工程P1におけるルールとして、複雑なルールを用いると、CPU160で計算するのが困難になる。一方、ルールを単純化し過ぎると、精度の良い生産計画を得ることができなくなる。そこで、本実施形態では、精度が極端に低下しない程度に単純化された第1~第4のルールを用いている。このため、本実施形態によれば、CPU160の計算によって、精度の良い生産計画を作成することが可能になる。その結果、熱延工程P1の後工程における各製造品目の物流を予測することが可能になっている。
【0091】
また、本実施形態では、決定部172は、製造品目HG(p)のサイクル開始日Kを、K=0,1,・・・,(N(p)-1)に仮決定する。決定部172は、シミュレーション期間において、仮決定されたサイクル開始日Kのときの日毎の製造品目HG(p)の合計滞留時間の分散を、それぞれ算出する。決定部172は、分散が最小となったときのサイクル開始日Kを、初期解として、製造品目HG(p)のサイクル開始日Kpに正式決定する。分散が最小ということは、熱延工程P1における負荷が最も平準化されていることを意味する。したがって、本実施形態によれば、熱延工程P1における負荷が平準化された、製造品目ID1~IDPの生産計画を作成することができる。
【0092】
また、本実施形態では、決定部172は、初期解として決定されたサイクル開始日に基づき、熱延工程P1における負荷が、より平準化されるサイクル開始日を探索する。したがって、本実施形態によれば、熱延工程P1における負荷を、より平準化した生産計画を作成することができる。
【0093】
(その他)
(1)上記実施形態では、まずサイクル開始日の初期解を求めて、さらに熱延工程P1における負荷が、より平準化されたサイクル開始日を探索する局所探索法を用いているが、これに限られない。例えば、タブーサーチ、遺伝的アルゴリズム等の手法を用いてもよい。
【0094】
(2)上記実施形態のループLP2では、製造品目HG(p)のサイクル開始日Kが、K=0,1,・・・,(N(p)-1)に仮決定されて、繰り返されている。また、ループLP14では、集合Hg(R,r)の製造品目rのサイクル開始日Kkが、Kk=0,1,・・・,(Nn(r)-1)に仮決定されて、繰り返されている。しかし、サイクル開始日の繰返し方は、これに限られない。
【0095】
例えば、サイクル開始日Kを、K=0,2,4,・・・,(N(p)-1)と繰り返してもよい。すなわち、サイクル開始日Kを、1日の偶数倍又は奇数倍に仮決定して、繰り返してもよい。要は、サイクル開始日Kが、上限期間(N(p)-1)の範囲内であればよい。同様に、例えば、サイクル開始日Kkを、Kk=0,2,4,・・・,(Nn(r)-1)と繰り返してもよい。すなわち、サイクル開始日Kkを、1日の偶数倍又は奇数倍に仮決定して、繰り返してもよい。要は、サイクル開始日Kkが、上限期間(Nn(r)-1)の範囲内であればよい。この場合でも、熱延工程P1における負荷の平準化を図ることができる。
【0096】
(3)
図1において、例えば、記憶装置130と制御回路140とが、イントラネット等のネットワークを介して接続されていてもよい。この場合には、制御回路140は、上記周辺回路として、記憶装置130と通信するための通信回路を備えてもよい。
【符号の説明】
【0097】
100 生産計画作成装置
110 ディスプレイ
120 入力部
130 記憶装置
131 製造品目情報DB
132 熱延サイクル情報DB
133 設備情報DB
161 入力情報生成部
162 生産計画作成部
171 割付け部
172 決定部