(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】出口流量可変加圧システム用の電子圧力ゲージ
(51)【国際特許分類】
F17C 13/02 20060101AFI20220118BHJP
F17C 13/00 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
F17C13/02 301Z
F17C13/00 301Z
F17C13/02 301A
(21)【出願番号】P 2018550371
(86)(22)【出願日】2017-03-21
(86)【国際出願番号】 US2017023406
(87)【国際公開番号】W WO2017165414
(87)【国際公開日】2017-09-28
【審査請求日】2020-03-09
(32)【優先日】2016-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513079797
【氏名又は名称】エセックス インダストリーズ, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【氏名又は名称】水野 祐啓
(74)【代理人】
【識別番号】100201514
【氏名又は名称】玉井 悦
(72)【発明者】
【氏名】ディーン, ウィリアム, シー.
(72)【発明者】
【氏名】ザイド, マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブスメイヤー, ラッセル
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/110717(WO,A1)
【文献】特開2000-136954(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0151589(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0180892(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/00-13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスシリンダ内のガスの利用可能な持続時間を求めるためのシステムであって、
ガスを収容した
ガスシリンダと、
ガス出口コネクタと、
前記ガスシリンダ及び前記ガス出口コネクタと流体連通しているレギュレータであって、前記ガスが前記ガスシリンダから前記ガス出口コネクタへと流れる速度を制御するレギュレータと、
複数の流量から1つの流量を選択するためのセレクタノブと、
前記セレクタノブと接続されており、前記選択された流量に対応する位置を有する、スプリングプランジャと、
前記スプリングプランジャの位置を検出するポテンショメータと、
前記ガスシリンダ内の前記ガスの圧力を検出する圧力センサと、
プロセッサであって、
前記ポテンショメータから前記スプリングプランジャの前記位置を表す信号を受信し、前記選択された流量を検出し、前記検出された流量をディスプレイ上に表示させ、
前記検出されたガス圧を前記圧力センサから受信して、前記受信されたガス圧を前記ディスプレイ上に表示させ、
前記検出されたガス圧及び前記選択された流量に少なくとも部分的に基づき、前記ガスシリンダ内に残っているガスの供給の推定持続時間を算出し、
前記算出された推定持続時間を前記ディスプレイ上に表示させ、
前記算出されたガス供給持続時間が第1の予め設定された持続時間未満である場合に、第1の可聴アラームを開始させ、
前記算出されたガス供給持続時間が第2の予め設定された持続時間未満である場合に、第2の可聴アラームを開始させる、
ように構成されたプロセッサと、
を備えたシステム。
【請求項2】
前記ガスシリンダが高圧の医療用シリンダである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記算出された推定持続時間が更に、前記ガスシリンダの容積に少なくとも部分的に基づいている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記算出された推定持続時間が更に、前記ガスシリンダ内の前記ガスの種類に少なくとも部分的に基づいている、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
シリンダ内のガスの利用可能な持続時間を求めるためのシステムであって、
ガスシリンダと、
前記ガスシリンダに取外し可能に取り付けられたゲージシステムであって、
内部空間を有するレギュレータ本体と、
前記レギュレータ本体の壁に設けられたガス出口コネクタであって、外部ホースとの接続が可能であり、前記内部空間を介して前記ガスシリンダと連通している、ガス出口コネクタと、
前記本体内に配置されたガス流選択サブシステムであって、ガスが選択されたガス流量で前記ガスシリンダから前記ガス出口コネクタへ流れることを可能とする、ガス流選択サブシステムと、
前記レギュレータ本体内に配置されたロータリー型皮膜ポテンショメータであって、線形に変化する抵抗をその周囲に有する導電性の環状の表面を有し、前記線形に変化する抵抗が、前記選択されたガス流量に対応する抵抗範囲を含む、ロータリー型皮膜ポテンショメータと、
前記レギュレータ本体内に、選択された位置で前記導電性の環状の表面と機械的に接触して配置されているスプリングプランジャであって、前記選択された位置における前記線形に変化する抵抗が、前記抵抗範囲内である、スプリングプランジャと、
前記レギュレータ本体の外側に回転可能に配置され、ユーザによって複数の流量位置に調節可能なセレクタノブであって、前記セレクタノブが前記複数の流量位置のうちの選択された一流量位置にある時に、
前記ガス流選択サブシステムが、ガスが前記選択されたガス流量で前記ガスシリンダから前記ガス出口コネクタへと流れることを可能とし、
前記スプリングプランジャが前記選択された位置で前記環状の表面に接触する
ように、前記ガス流選択サブシステムに機械的に接続されている、
セレクタノブと、
前記レギュレータ本体内に配置された圧力センサと、
前記レギュレータ本体内に配置され、前記ポテンショメータと電気的に連通している制御装置であって、
前記選択された位置を示す電気信号を前記ロータリー型皮膜ポテンショメータから受信するステップと、
前記受信された電気信号を前記流量へと変換するステップであって、前記変換が、前記受信された電気信号が前記抵抗範囲内にあることに基づいているステップと、
前記流量の表示をディスプレイ上に表示させるステップと、
前記ガスシリンダ内のガス圧を示す第2の電気信号を前記圧力センサから受信するステップと、
前記受信された第2の電気信号によって示される前記ガス圧の表示を前記ディスプレイ上に表示させるステップと、
前記表示されたガス圧及び前記変換された流量に少なくとも部分的に基づき、前記ガスシリンダ内のガスの供給の推定持続時間を算出するステップと、
前記算出されたガス供給持続時間を前記ディスプレイ上に表示させるステップと、
前記算出されたガス供給持続時間が第1の予め設定された持続時間未満である場合に、第1の可聴アラームを開始させるステップと、
前記算出されたガス供給持続時間が第2の予め設定された持続時間未満である場合に、第2の可聴アラームを開始させるステップと、
を実行するように構成されたプロセッサを備えた制御装置と、
を備えたゲージシステムと、
を備えたシステム。
【請求項6】
前記ガスシリンダが高圧の医療用シリンダである、
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記ガス流選択サブシステムがレギュレータを備えている、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記ガス流選択サブシステムが、前記ガスシリンダと前記ガス出口コネクタとの間の流路内に回転可能に少なくとも部分的に配置されたプレートを更に備えており、前記プレートがオリフィスを有し、前記オリフィスが、ガスが前記選択されたガス流量で前記オリフィスを通って流れることを可能とするように構成されており、
前記セレクタノブの前記ガス流選択サブシステムへの機械的な接続が、前記ノブが前記選択された流量位置にある時に、前記ガスシリンダから前記ガスコネクタへと流れるガスが前記選択されたガス流量で前記オリフィスを通過するように、前記オリフィスを前記流路内に配置可能である、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記算出された推定持続時間が更に、前記ガスシリンダの容積に少なくとも部分的に基づいている、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記算出された推定持続時間が更に、前記ガスシリンダ内のガスの種類に少なくとも部分的に基づいている、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記算出された推定持続時間が、前記ガスシリンダ内に残留しているガスの質量を少なくとも部分的に用いて算出され、前記質量が、前記ガスシリンダ内に残留しているガスのモル数を、統合された理想気体の状態方程式pV=nRTを用いて求めることによって少なくとも部分的に求められ、式中:
pは前記表示された圧力であり、
Vは前記ガスシリンダの容積であり、
nは前記ガスシリンダ内のガスのモル数であり、
Rは普遍気体定数であり、
Tは温度である、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記温度が想定される一定温度である、
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記システムが、前記レギュレータ本体内に配置され、前記制御装置と電気的に連通している温度センサを更に備え、
前記制御装置のプロセッサが、前記ガスシリンダ内の温度を示す第3の電気信号を前記温度センサから受信するステップを実行するように更に構成されており、
前記温度が、前記示される温度である、
請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記レギュレータ本体の壁に設けられた第2のガス出口コネクタであって、外部ホースとの接続が可能であり、前記内部空間を介して前記ガスシリンダと連通している第2のガス出口コネクタを更に備え、
前記ガス流選択サブシステムが、ガスがより高い選択されたガス流量で前記ガスシリンダから前記第2のガス出口コネクタへ流れることを可能とする、
請求項5に記載のシステム。
【請求項15】
ガスシリンダ内のガスの利用可能な持続時間を求めるための方法であって、
ある量のガスを収容した
ガスシリンダと、
複数のガス流量に設定可能な可変ガス流量レギュレータを介して前記ガスシリンダと流体連通しているガス出口コネクタと、
可変抵抗ポテンショメータと、
圧力センサと、
プロセッサと、
ディスプレイと、
を備えたシステムを設けることと、
前記ガスシリンダ内の前記量のガスのガス圧を、前記圧力センサを使用して測定することと、
前記可変ガス流量レギュレータを前記複数のガス流量の中から選択されたガス流量に設定することと、
前記選択されたガス流量を前記可変抵抗ポテンショメータによって検出することと、
前記制御装置で、
前記検出ステップで検出された前記選択されたガス流量の表示と、
前記測定ステップで測定された前記ガス圧の表示と、
を受信することと、
前記プロセッサを使用して、前記ガスシリンダ内の前記量のガスの推定持続時間を、前記選択されたガス流量の表示及び前記受信ステップで受信された前記感知されたガス圧の表示に少なくとも部分的に基づいて算出することと、
前記量のガスの前記算出された推定持続時間を、前記ディスプレイ上に表示することと、
前記算出されたガス供給持続時間が第1の予め設定された持続時間未満である場合に、第1の可聴アラームを開始させることと、
前記算出されたガス供給持続時間が第2の予め設定された持続時間未満である場合に、第2の可聴アラームを開始させることと、
を含む方法。
【請求項16】
前記量のガスの前記算出された推定持続時間及び前記選択されたガス流量を記録することと、
前記記録を、前記記録が行われた時点と関連付けることと、
前記記録及び関連付けを、複数の異なる時点で繰り返すことと、
を更に含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の記録を後の時点で取得することと、
前記取得された複数の記録を、前記ガスシリンダの使用寿命の予測に利用することと、
を更に含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記方法がリアルタイムで発生する、
請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の流量位置は、連続的に変化可能な流量に対応する位置を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記複数の流量位置は、連続的に変化可能な流量に対応する位置を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項21】
前記複数の流量位置は、連続的に変化可能な流量に対応する位置を含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年3月21日に出願された米国特許仮出願第62/311,189号の利益を主張する、2016年12月14日に出願された米国実用特許出願第15/378,824号の継続出願であり、これに基づく優先権を主張する。本出願は更に、2016年3月21日に出願された米国特許仮出願第62/311,189号の利益及びこれに基づく優先権を主張する。これら全ての文書の開示は、その全体が本願中に引用をもって援用されている。
【0002】
発明の分野
本開示は、貯蔵容器内に残留しているガスの量を表示するためのレギュレータシステムに関する。詳細には、本開示は、加圧貯蔵タンク内のガスが前記容器から所定の流量で継続的に流出する時間量を表示するための電子レギュレータシステム及びゲージに関する。
【背景技術】
【0003】
先行技術の記載
酸素は、世界中で最も広範に生産されているガスである。酸素は、溶接及びプラズマ化学、レーザ切断及び養魚場などの産業プロセスにおいて使用される。また、酸素は、民間及び軍事双方の環境下の病院において医療用に用いられる。大多数の病院及び医療施設においては、酸素を2つの供給源から患者に供給することが可能である。第1の供給源は、患者の病室の配管設備から直接に供給を行う。このことにより、狭い場所(通常は病院のベッド)にいる患者が、基本的に一定な酸素供給源を確保することが可能である。室内配管は通常、施設全体にわたる非常に大きな酸素貯蔵システム又は発生装置に接続されているので、一人の患者の酸素の使用によって供給源が枯渇してしまうことは殆どない。従って、一般には、病院職員が個々の患者の酸素使用状況を監視して、使用量が使用可能量を上回っていないかどうかを確認する必要はない。
【0004】
しかし、別の医療状況においては、患者専用であり、患者と共に容易に物理的に搬送可能な酸素供給源を用意することが必要となる。典型的には、そのような酸素供給源は、患者が携帯するか又は持ち運ぶことが可能であるか、或いは車輪付きの病院ベッド又は車椅子上の患者と共に搬送可能な、比較的小型の加圧酸素タンクである。そのようなタンクは、短期間の使用及び特定のニーズ向けであるために、通常は利用できるガスの体積が(より少なく)限定されており、その使用を監視する必要がある。そのようなタンクは、ビルトイン式の供給が可能なインフラが得られないおそれのある救急車や、老人ホーム、個人宅などでも広く使用されている。
【0005】
患者搬送時に用いられる移動可能な酸素タンクは、殆どの患者は地点間の移動中の比較的短い時間だけタンクを必要とすることから、一般には複数の患者を搬送するのに十分なガスを貯蔵している。各タンクは通常、ベッド又は車椅子(或いはその他の救急車などの搬送方法)で搬送される最初の患者の搬送に使用された後に、そのベッド又は車椅子で次に搬送される患者への使用に備えて、ベッド又は車椅子と共に留められる。このような方法で、必要とする患者がタンクを利用することが常に可能となる。しかし、そのようなタンクには、患者による緊急の使用に常に備えておかなければならないという問題がある。従って、タンク内の酸素圧が次の患者のニーズに応えることができない程度にまで低くなると、通常はそのタンクを満タンのタンクと交換する必要がある。低圧のタンクは、その後補充又は交換に出される。
【0006】
流量が患者ごとに異なりうるために、タンク内の酸素を使い切るのにかかる時間は一定ではない。従って、タンク内にどれだけの酸素が残っているのかを推定するのが困難な場合がある。この問題に対処するために、タンク内にどれだけの酸素が残っているのかを表示するゲージシステムが一般的に使用されている。酸素タンクは加圧下で保管されるため、測定値は通常、タンク内部の圧力と連関している。
【0007】
詳細には、従来のゲージは、ポインタが端部に取り付けられた、らせん状に巻かれたばねゲージからの圧力の観察を含んでいた。タンクが最初に加圧されると、コイルばねが所定の量だけ伸びる。この結果、取り付けられているポインタが、印刷されている圧力目盛り上を移動する。酸素の排出に従って圧力が低下し、コイルばねが最初の形状へと戻ろうとすることによってポインタが動き、低下した残圧を表示する。
【0008】
これらのシステムには、第1に、どれだけの酸素がタンク内に残っているのかを非常に概略的にしか判定できないという問題がある。一般に、アナログ式のダイヤル及びポインタは、大多数の意図された用途のための十分な酸素がタンクに入っているか、又はタンクが実質的に満タンであることを示す第1の(多くの場合、緑色で示される)領域、タンクが幾分か使用されており、全ての状況に使用可能ではないが、補充に出すほどではない程度に十分な酸素が残っていることを示す第2の(多くの場合、白色で示される)領域及び、タンクが大方空であり、限られた状況においては使用可能であるが、補充に出すことが望ましいと考えられ、使用中に酸素切れとなってしまうおそれがあることから更なる使用はすべきではないことを示す第3の(多くの場合、赤色で示される)領域の3つの領域のみを有する。この種類のインジケータは、大まかな状態を示すためには有効であろうが、これらのシステムには、タンクが特定の意図された用途に適しているのかどうかを把握することができないという問題がある。タンクが様々な患者、目的及び流量で使用されるために、タンク圧が同じであっても、タンク残量が一人の患者向けには十分であり、別の患者向けには不十分である場合がある。
【0009】
このことが、従来のゲージの別の問題にもつながる。体積が圧力で表示されるために、使用者がこれを利用可能な持続時間又は実際に使用可能なガス量に換算することが非常に困難である。変換は、多くの場合、単純計算ではない。計算の難しさは、ディスプレイの精度が、正確な圧力を把握するためには不十分でありうるという事実によって倍増される。このために、タンクは常に効率的に使用されているわけではなく、また、使用者が、意図する用途のためにはタンク残量が十分でないことに気付かずに、使用すべきではないタンクを使おうとしてしまうおそれがある。
【0010】
発明の概要
以下は、本発明の幾つかの局面の基本的な理解を提供するための、本発明の概要である。この概要は、本発明の重要な又は不可欠な要素を特定すること、或いは本発明の範囲を限定することを意図するものではない。この項は、本発明の幾つかの概念を、後述するより詳細な説明の前置きとして、より簡略な形で述べることのみを目的としている。
【0011】
当業におけるこれらの及びその他の問題を解決するために、本明細書に、ガスを収容したシリンダと;ガス出口コネクタと;前記ガスシリンダ及び前記ガス出口コネクタと流体連通しているレギュレータであって、前記ガスが前記ガスシリンダから前記ガス出口コネクタへと流れる速度を制御するレギュレータと;複数の流量から1つの流量を選択するためのセレクタノブと;前記セレクタノブと接続されており、前記選択された流量に対応する位置を有する、スプリングプランジャと;前記スプリングプランジャの前記位置を検出するポテンショメータと;前記ポテンショメータから前記スプリングプランジャの位置を表す信号を受信し、前記選択された流量を検出し、前記検出された流量をディスプレイ上に表示させるように構成されたプロセッサと、を備えた、ガスシリンダ内のガスの利用可能な持続時間を求めるためのシステムを記載する。
【0012】
本システムの一実施形態においては、前記ガスシリンダが高圧の医療用シリンダである。
【0013】
本システムの一実施形態においては、本システムが、前記ガスシリンダ内の前記ガスの圧力を検出する圧力センサを更に備えている。
【0014】
本システムの一実施形態においては、本システムが、前記検出されたガス圧を前記圧力センサから受信し、前記受信されたガス圧を前記ディスプレイ上に表示するように更に構成されている。
【0015】
本システムの一実施形態においては、前記プロセッサが:前記検出されたガス圧及び前記選択された流量に少なくとも部分的に基づき、前記ガスシリンダ内に残っているガスの推定持続時間を算出し;前記算出された推定持続時間を前記ディスプレイ上に表示させるように更に構成されている。
【0016】
本システムの一実施形態においては、前記算出された推定持続時間が更に、前記ガスシリンダの容積に少なくとも部分的に基づいている。
【0017】
本システムの一実施形態においては、前記算出された推定持続時間が更に、前記ガスシリンダ内のガスの種類に少なくとも部分的に基づいている。
【0018】
本明細書に更に、ガスシリンダと;前記ガスシリンダに取外し可能に取り付けられたゲージシステムであって、内部空間を有するレギュレータ本体と;前記レギュレータ本体の壁に設けられたガス出口コネクタであって、外部ホースとの接続が可能であり、前記内部空間を介して前記ガスシリンダと連通している、ガス出口コネクタと;前記本体内に配置されたガス流選択サブシステムであって、ガスが選択されたガス流量で前記ガスシリンダから前記ガス出口コネクタへ流れることを可能とする、ガス流選択サブシステムと;前記レギュレータ本体内に配置されたロータリー型皮膜ポテンショメータであって、線形に変化する抵抗をその周囲に有する導電性の環状の表面を有し、前記線形に変化する抵抗が、前記選択されたガス流量に対応する抵抗範囲を含む、ロータリー型皮膜ポテンショメータと;前記レギュレータ本体内に、選択された位置で前記導電性の環状の表面と導電接触して配置されているプリングプランジャであって、前記選択された位置における前記線形に変化する抵抗が、前記抵抗範囲内である、スプリングプランジャと;前記レギュレータ本体の外側に回転可能に配置され、ユーザによって複数の流量位置に調節可能なセレクタノブであって、前記セレクタノブが前記複数の流量位置のうちの選択された一流量位置にある時に:前記ガス流選択サブシステムが、ガスが前記選択されたガス流量で前記ガスシリンダから前記ガス出口コネクタへ流れることを可能とし;前記スプリングプランジャが前記選択された位置で前記環状の表面に接触するように、前記ガス流選択サブシステムに機械的に接続されている、セレクタノブと;前記レギュレータ本体内に配置され、前記ポテンショメータと電気的に連通している制御装置であって:前記選択された位置を示す電気信号を前記ロータリー型皮膜ポテンショメータから受信するステップと;前記受信された電気信号を前記流量へと変換するステップであって、前記変換が、前記受信された電気信号が前記抵抗範囲内にあることに基づいているステップと;前記流量の表示をディスプレイ上に表示させるステップと;を実行するように構成されたプロセッサを備えた制御装置と;を備えたゲージシステムと;を備えた、シリンダ内のガスの利用可能な持続時間を求めるためのシステムも記載する。
【0019】
本システムの一実施形態においては、前記ガスシリンダが高圧の医療用シリンダである。
【0020】
本システムの一実施形態においては、前記ガス流選択サブシステムがレギュレータを備えている。
【0021】
本システムの一実施形態においては、前記ガス流選択サブシステムが、前記ガスシリンダと前記ガス出口コネクタとの間の流路内に回転可能に少なくとも部分的に配置されたプレートを更に備えており、前記プレートがオリフィスを有し、前記オリフィスが、ガスが前記選択されたガス流量で前記オリフィスを通って流れることを可能とするように構成されており、前記セレクタノブの前記ガス流選択サブシステムへの機械的な接続が、前記ノブが前記選択された流量位置にある時に、前記ガスシリンダから前記ガスコネクタへと流れるガスが前記選択されたガス流量で前記オリフィスを通過するように、前記オリフィスを前記流路内に配置可能である。
【0022】
本システムの一実施形態においては、本システムが、前記レギュレータ本体内に配置され、前記制御装置と電気的に連通している圧力センサを更に備えている。
【0023】
本システムの一実施形態においては、前記制御装置のプロセッサが:前記ガスシリンダ内のガス圧を示す第2の電気信号を前記圧力センサから受信するステップと;前記受信された第2の電気信号によって示される前記ガス圧の表示を前記ディスプレイ上に表示させるステップと;を実行するように更に構成されている。
【0024】
本システムの一実施形態においては、前記制御装置のプロセッサが:前記表示されたガス圧及び前記変換された流量に少なくとも部分的に基づき、前記ガスシリンダ内のガスの供給の推定持続時間を算出するステップと;前記算出されたガス供給持続時間を前記ディスプレイ上に表示させるステップと;を実行するように更に構成されている。
【0025】
本システムの一実施形態においては、前記算出された推定持続時間が更に、前記ガスシリンダの容積に少なくとも部分的に基づいている。
【0026】
本システムの一実施形態においては、前記算出された推定持続時間が更に、前記ガスシリンダ内のガスの種類に少なくとも部分的に基づいている。
【0027】
本システムの一実施形態においては、前記算出された推定持続時間が、前記ガスシリンダ内に残留しているガスの質量を少なくとも部分的に用いて算出され、前記質量が、前記ガスシリンダ内に残留しているガスのモル数を、統合された理想気体の状態方程式pV=nRTを用いて求めることによって少なくとも部分的に求められ、式中:pは前記表示された圧力であり;Vは前記ガスシリンダの容積であり;nは前記ガスシリンダ内のガスのモル数であり;Rは普遍気体定数であり;Tは温度である。
【0028】
本システムの一実施形態においては、前記温度が、想定される一定温度である。
【0029】
本システムの一実施形態においては、前記システムが、前記レギュレータ本体内に配置され、前記制御装置と電気的に連通している温度センサを更に備え;前記制御装置のプロセッサが、前記ガスシリンダ内の温度を示す第3の電気信号を前記温度センサから受信するステップを実行するように更に構成されており;前記温度が、前記示される温度である。
【0030】
本システムの一実施形態においては、前記プロセッサが:前記算出されたガス供給の持続時間が第1の予め設定された持続時間未満である場合に、第1の可聴アラームを開始させるステップと:前記算出されたガス供給の持続時間が第2の予め設定された持続時間未満である場合に、第2の可聴アラームを開始させるステップと;を実行するように更に構成されている。
【0031】
一実施形態においては、本システムが、前記レギュレータ本体の壁に設けられた第2のガス出口コネクタであって、外部ホースとの接続が可能であり、前記内部空間を介して前記ガスシリンダと連通している第2のガス出口コネクタを更に備え;前記ガス流選択サブシステムが、ガスがより高い選択されたガス流量で前記ガスシリンダから前記第2のガス出口コネクタへ流れることを可能とする。
【0032】
本明細書に更に、ガスシリンダ内のガスの利用可能な持続時間を求めるための方法であって:ある量のガスを収容したシリンダと;複数のガス流量に設定可能な可変ガス流量レギュレータを介して前記ガスシリンダと流体連通しているガス出口コネクタと;可変抵抗ポテンショメータと;圧力センサと;プロセッサと;ディスプレイと;を備えたシステムを設けることと;前記ガスシリンダ内の前記量のガスのガス圧を、前記圧力センサを使用して測定することと;前記可変ガス流量レギュレータを前記複数のガス流量の中から選択されたガス流量に設定することと;前記選択されたガス流量を前記可変抵抗ポテンショメータによって検出することと;前記検出ステップで検出された前記選択されたガス流量の表示及び前記測定ステップで測定された前記ガス圧の表示を前記制御装置で受信することと;前記プロセッサを使用して、前記ガスシリンダ内の前記量のガスの推定持続時間を、前記検出ステップで検出された前記選択されたガス流量の表示及び前記受信ステップで受信された前記感知されたガス圧の表示に少なくとも
部分的に基づいて算出することと;前記量のガスの前記算出された推定持続時間を、前記ディスプレイ上に表示することと;を含む方法を記載する。
【0033】
一実施形態においては、前記方法が、前記量のガスの前記算出された推定持続時間及び前記選択されたガス流量を記録することと、前記記録を、前記記録が行われた時点と関連付けることと、前記記録及び関連付けを、複数の異なる時点で繰り返すこととを更に含む。
【0034】
一実施形態においては、前記方法が、前記複数の記録を後の時点で取得することと、前記取得された複数の記録を、前記ガスシリンダの使用寿命の予測に利用することとを更に含む。
【0035】
一実施形態においては、前記方法がリアルタイムで発生する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1A-1Eは、タンク上に配設されたゲージシステムの一実施例の様々な図である。
【
図1A】
図1Aは、タンク上に配設されたゲージシステムの一実施例の右側面図である。
【
図1B】
図1Bは、タンク上に配設されたゲージシステムの一実施例の正面図である。
【
図1C】
図1Cは、タンク上に配設されたゲージシステムの一実施例の左側面図である。
【
図1D】
図1Dは、タンク上に配設されたゲージシステムの一実施例の左側からの断面図である。
【
図1E】
図1Eは、タンク上に配設されたゲージシステムの一実施例の背面からの断面図である。
【
図2】
図2は、
図1Dに参照番号「2」で図示されている、
図1Dのシステムのレギュレータ及びガス流選択サブシステムの主要な複数の要素の詳細図である。
【
図3】
図3は、
図1Dに参照番号「3」で図示されている、
図1Dのシステムの圧力感知サブシステム及び表示サブシステムの主要な複数の要素の詳細図である。
【
図4】
図4は、待機モードの満タンのタンクの画面表示の一実施例を図示したものである。
【
図5】
図5は、「空」(所定のしきい値未満の量しか入っていない)とみなされる可聴アラームなしの待機モードのタンクの画面表示の一実施例を図示したものである。
【
図6】
図6は、可聴アラームモードの空のタンクの画面表示の一実施例を図示したものである。
【
図7】
図7は、ガス排出中の空に近いタンクの画面表示の一実施例を図示したものであり、タンク内のガスの圧力、流量及び残り持続時間を表示している。
【
図8】
図8は、ガス排出中の満タンのタンクの画面表示の一実施例を図示したものであり、タンク内のガスの圧力、流量及び残り持続時間を表示している。
【
図9】
図9は、
図8よりも高い流量でガスを排出している満タンのタンクの画面表示の一実施例を図示したものである。
【
図10】
図10は、非常に高い流量の用途で別のコネクタを用いて排出中の満タンのタンクの画面表示の一実施例を図示したものである。
【
図11】
図11は、補充作業中のタンクの画面表示の一実施例を図示したものである。
【
図12】
図12は、点検モードのタンクの画面表示の一実施例を図示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本明細書に、流量が可変であるタンクのための圧力ゲージシステムであって、加圧ガスタンクの特定の選択された流量又は動作条件下での利用可能な残り時間及び、前記タンク内の残余ガスの圧力を使用者に表示する圧力ゲージシステムを記載する。この時間表示が、リアルタイムに行われても、又はほぼリアルタイムに行われてもよく、また、圧力ゲージシステムが、アセットトラッキング情報、使用履歴情報及び予測情報などの更なる情報をユーザに提供してもよい。この更なる情報も、リアルタイム又はほぼリアルタイムに提供されてもよい。
【0038】
本開示を通じ、「リアルタイム」という用語は、所与の事象が開始又は完了するか、或いは所与のモジュール、ソフトウェア又はシステムが応答する動作期限内でソフトウェア及び/又はハードウェアが動作することを指し、一般的には、通常のユーザの認識における、技術的状況を考慮した前記応答又は実行の時間が、対象の事象と有効にかつ全体として同時存在することを意味する。「リアルタイム」が、システムが入力の処理及び/又は応答を即時的に行うことを字義通りに意味するのではなく、処理又は応答の時間が、プログラムの動作コンテキストにおいて一般に人間に認識されるリアルタイムの時系列以内である程度に、システムの処理及び/又は応答が十分に迅速であることを意味することが当業者に理解されよう。動作コンテキストがグラフィカルなユーザインターフェースを更新している場合には、「リアルタイム」は通常、応答時間が実時間で1秒、好適にはミリ秒単位又はマイクロ秒単位未満であることを意味することが当業者に理解されよう。しかし、別の複数の動作コンテキスト、特にネットワーク動作が関与する場合においては、「リアルタイム」で動作しているシステムが1秒を超える遅延を呈してもよいことも当業者に理解されよう。
【0039】
図1A乃至
図1Eは、レギュレータシステム(100)の第1の実施例を図示したものである。システム(100)は一般に、ある特定の用途における特定のガスシリンダの利用可能な持続時間を、付属している貯蔵用ガスシリンダ(200)内の圧力を求め、次にユーザによって選択された出力流量を判定することによって求める。これら2つの変数から、タンク(200)内に残っているガスのこの特定の流量における利用可能な時間量を算出することが可能である。前記流量は一般に、その主な要素が
図2に概略的に図示されている付属の位置検出器サブシステム(2)により、セレクタノブ(201)を介して決定される。前記圧力は一般に、その主な要素が
図3に概略的に図示されている圧力センササブシステム(3)によって求められる。サブシステム(2)及び(3)のセンサ出力は一般に、
図3に図示されている制御及び表示サブシステム(4)に供給される。
【0040】
安全性確認及び情報転送のために、システム(100)は、典型的には利用可能な時間、流(排出)量及びシリンダ圧を視覚的に表示するが、これらが厳密に必要であるわけではなく、別の複数の実施例がこれらのいかなる組み合わせを提供してもよい。システム(100)が、タンク(200)が所定の圧力レベルに達した場合、タンク(200)が所定の残留ガス時間に達した場合及び/又はシステム(100)のバッテリ(361)レベルが、システム(100)の電力不足による意図しないターンオフを回避するための交換を要する所定のレベルに達した場合に、警告信号を供給するための聴覚的及び/又は視覚的な警告を提供してもよい。
【0041】
図1A乃至
図1Eに、タンク(200)に取り付けられたレギュレータシステム(100)の一実施例の様々な図を示す。レギュレータ(100)は、当業者に周知の標準的な方法で、加圧ガスタンク(一般的には高圧の医療用シリンダ)(200)に取り付けられている。一般的には、この取り付けは、ねじ式の接続、永続的な接続又はその他の、タンク(200)からのレギュレータ(100)の意図しない分離を阻止する接続によってなされる。接続時には、ディスプレイ(401)は一般に、ユーザが利用可能であり、ユーザはここからタンク(200)、流量を選択するためのセレクタノブ(201)並びに1つ又は2つのガス出口コネクタ(303)及び(301)の詳細を見ることが可能である。これらのコネクタのうちの一方(303)は主に、比較的大きなガス流量を扱うことの可能な、ガス流量を内部制御する方式などの医療用の装置にタンクを接続するのに使用される。このコネクタは一般に、これらの装置専用の管材付属品と適合するように設計された専用コネクタである。他方は、典型的にはガスがここから患者により直接に供給されるゴム、シリコン、プラスチック又はその他の管材に接続される、より低圧の接続部品(301)である。
【0042】
図1A乃至
図1Eに示すように、システム(100)が、ガス流量とは直接には関連しない更なる便利な特徴を提供してもよい。これらの図面に、運搬用のハンドル(501)が図示されている。このハンドル(501)は一般に、湾曲しており、グリップ(503)がタンク(200)のネック(291)の真上かつタンク(200)システムの重心上に位置するように配置されている。このことにより、タンク(200)を直立した状態で運ぶことが可能であると同時に、手で運んでいる間にバランスを保つことが容易である。グリップ(503)は一般に、少なくとも1つの支持部(505)を介してシステム(100)のその他の部分に接続されている。
【0043】
図2は、システム(100)の流量調整サブシステム(2)に関する更なる詳細を図示している。詳細には、タンク(200)の開いたネック(291)は一般に、当業者に周知の設計であり、特定の種類のシリンダ(200)に適した圧力レギュレータ(203)に接続される。シリンダ(200)内に貯蔵されているガス(293)は、レギュレータの高圧側(295)に入って、レギュレータ(203)によってより低く管理しやすい圧力へと調整され、流量セレクタ(205)の中間流出経路(215)へと供給される。選択された流量がゼロである(システム(100)が閉じられ、タンク(200)が使用されていない)場合には、これが一般に、ガス(293)の通路の終端であり、システム(100)は、使用されていないが、使用を待機している「待機モード」であるとみなされる。
【0044】
ガス(293)をタンク(200)から流出させるために、ユーザがシステム(100)上部の手動セレクタノブ(201)を回すことにより、前記ノブ(201)がシャフト(211)を回転させて、シャフト(211)が直接又は間接にプレート(213)に接続される。プレート(213)は、中間流出経路(215)内に設けられた前記レギュレータの低圧側出口と合わせた又はずらせた位置に交換可能に配置された複数のオリフィス(217)を備えている。ガス(293)を所望の流量にまで調節するために、ユーザは手動セレクタノブ(201)を所望の流量が選択されるまで回す。このことが、ノブ(201)自体に施された印によって示されてもよいが、後述のディスプレイ(401)上の流量表示によって示されてもよい。ノブ(201)の回転に伴って、様々なオリフィス(217)が、一般に(例えばノブ(201)を回すほど大きくなるなどの)予想される方法で、中間流出経路(215)と合わせた位置へと出し入れされる。このようにして、ノブ(201)をある流量に対応する量だけ回すことにより、選択された流量を付与するオリフィス(217)が中間流出経路(215)と位置合わせされる。この選択は一般に、シャフト(211)に対するノブ(201)の動きを本体(214)及びプレート(214)に直接に機械的に置き換えることによって行われる。
【0045】
流量の選択方法が、プレート(213)が硬質材料からなる複数の部分が散在している複数の別個のオリフィス(217)を有する不連続的な方法であってもよいが、複数の様々なオリフィス(217)が相互に接続されている(事実上は単一のオリフィスである)が、中間流出経路(215)と位置合わせされるオフィリス(217)のサイズがノブ(201)の回転に伴って連続的に変化する連続的な方法であってもよいことが理解されるべきである。これに対応して、セレクタノブ(201)が、例えば複数のオリフィス(217)間の間隔を選択することができない、段階的なパターンなどの不連続的な「定位置」を有するように設計されていてもよいが、全ての位置にわたる自由な動きが可能であってもよい。
【0046】
オリフィス(217)がレギュレータの低圧出力から中間出力通路(215)へと位置合わせされると、流量を調節されたガス(293)が、選択されたオリフィス(217)を介してガス出口コネクタ(301)内へと送出される。この好適な実施例においては、一般に2つのコネクタが設けられている。第1のコネクタ(301)は、主に使用されることを意図されたコネクタであり、ゴム製、シリコン製又はプラスチック製の管材(311)を容易に取り付け、摩擦又はその他の方法によって固定することの可能なかかり付きの接続部品を有する。これらの種類の接続部品は、当業者に周知である。次に、ガス(293)が管材(311)を通って最終用途へと流れる。
【0047】
図示された実施例においては、システム(100)が更に第2の出口(303)を有する。この出口(303)は、別の用途向けのとりわけ大きなガス流量に対応可能であり、従って、別の形式のコネクタ(303)を備えている。このコネクタ(303)へのガス流量が、ノブ(201)の特定の位置に対応していてもよいが、別の方法による制御に対応していてもよい。例えば、このコネクタ(303)が、相手側コネクタを有する管材が接続された時に、レギュレータからのガス(293)の流れが中間流出経路(215)及びプレート(213)を迂回し、別の入り口を介して別の経路へと流入するように設計及び配置されていてもよい。
【0048】
この更なるコネクタ(303)を有することにより、タンク(200)を高流量の用途に使用することが可能となる。そのようなコネクタ(303)が、ベンチレータ又はインキュベータなどの機械にタンク(200)が接続されている場合に特に有用であってもよい。
【0049】
更に、コネクタ(302)及び(303)を有することが、補充前にタンクを空にするためのタンクからの排出を迅速に行うことを可能にしてもよい。コネクタ(302)を、空のタンク(200)への補充に使用してもよい。
【0050】
任意の時点でタンク流量を求めるために、
図2の実施例では手動セレクタノブ(201)の下に設けられたロータリー型皮膜ポテンショメータ(221)として図示されている連続的なアナログセンサが設けられていることが望ましい。一般に、ロータリー型皮膜ポテンショメータ(221)のプレートは、線形に変化する抵抗をその周囲に有する環状の領域を有する。流量セレクタノブ(201)内に収容されているスプリングプランジャ(223)が、設定範囲内の力を前記環状の領域上の特定の位置に加えると、ポテンショメータ(221)によって回路が閉じられる。流量位置が不連続的である場合には、流量位置は、プレート(213)の様々なオリフィス(217)に対応する前記環状領域の各抵抗範囲に対応する。例えば、ノブ(201)が第3の位置まで回されると、プレート(213)が前記第3の位置に対応する流量に対応するオリフィス(217)まで動き、スプリングプランジャ(223)が、ロータリー型皮膜ポテンショメータ(221)上で抵抗が前記第3の位置に対応している位置まで動く。連続的に変化可能なオリフィス(217)及びノブ(201)の動きは同様であるが、ポテンショメータ(221)は一般に、位置が不連続的である場合とは対照的に、連続的に変化可能な抵抗領域を有する。いずれの場合においても、任意の所与の位置におけるポテンショメータ(221)からの信号は、ノブ(201)及びプレート(213)の位置を示す。
【0051】
この信号が、次に、皮膜ポテンショメータ(221)から、
図3に示す制御装置(403)に接続している表示サブシステム(4)へと送信される。制御装置(403)は一般に、プリント回路基板(PCB)上に構成され、必要な計算を実行し、適切な信号を出力することの可能な、メモリに記憶された関連するソフトウェアを有する汎用の(マイクロ)プロセッサ(423)を有する、小型の特別に構築されたコンピュータ又は同様の装置である。或いは、制御装置(403)が、汎用の(マイクロ)プロセッサ(423)を使用せずに、適切な専用の電気回路を用いて実装されていてもよい。実装の如何にかかわらず、制御装置(403)はロータリー型皮膜ポテンショメータ(221)からの電子信号を複数の異なる設定のうちの1つへと変換する。具体的には、制御装置(403)は、前記信号を選択されたノブ(201)位置及びオリフィス(217)に対応する流量設定へと変換する。一実施例においては、この変換がリアルタイムに行われてもよい。また、流れが停止したことを示す信号が存在してもよい。この場合、ノブ(201)がオフ位置に配置され、プレート(213)が、どのオリフィス(217)も中間流出経路(215)と位置合わせされないことで中間流出経路(215)が遮断される位置へと配置される。
【0052】
本明細書で使用される「リアルタイム」という用語は、所与の事象が開始又は完了するか、或いは所与のモジュール、ソフトウェア又はシステムが応答する動作期限内で動作することを指し、一般的には、通常のユーザの認識における、技術的状況を考慮した前記応答又は実行の時間が、対象の事象と有効にかつ全体として同時存在することを意味する。「リアルタイム」が、システムが入力の処理及び/又は応答を即時的に行うことを意味するのではなく、処理又は応答の時間が、プログラムの動作コンテキストにおける時間の経過と比較して即時的であると一般に人間に認識される程度に、システムの処理及び/又は応答が十分に迅速であることを意味することが当業者に理解されよう。動作コンテキストがグラフィカルなユーザインターフェースである場合には、「リアルタイム」は通常、応答時間が実時間で1秒、好適にはミリ秒単位又はマイクロ秒単位未満であることを意味することが当業者に理解されよう。しかし、別の複数の動作コンテキスト、特にネットワーク動作が関与する場合においては、「リアルタイム」で動作しているシステムが1秒を超える遅延を呈してもよいことも当業者に理解されよう。
【0053】
制御装置(403)からの変換された信号は、次に、エラストマーストリップ(413)などの配線を通ってディスプレイ(401)へと送信される。本実施例においては、これがLCDディスプレイであるが、その他のディスプレイも使用可能であることが当業者に理解されよう。ディスプレイ(401)が前記信号を受信すると、ディスプレイ(401)が適切に通電され、ユーザによって選択された流量設定が表示される。ディスプレイ(401)及び制御装置(403)に、バッテリ(361)などの好適な電源が更に設けられていてもよい。
【0054】
制御装置(403)が、上記に加えて、システムに更なる特徴を付与する更なる機能を提供してもよい。例えば、制御装置(403)が、外部通信システム又はネットワークとの通信が可能な送受信装置又はその他のネットワーク通信アレイを有してもよい。このことが、タンクからの排出を行う者及びタンクの補充を行う者の双方によってタンクがどのように取り扱われているのかを含むタンク(200)の使用パターンなどの情報を制御装置(403)が送受信することを可能にしてもよい。通信が、代わりに又は加えて、資産所在位置特定又は同様のサービスを提供するために、タンク(200)の場所に関するものであってもよい。更に、通信が、セキュリティシステム、資産管理システム及びその他の、タンク(200)の場所、使用或いは現在、過去又は予測される未来の特性に関するシステムを含む既存のインフラストラクチャシステムとの通信を行うものであってもよい。
【0055】
「送受信装置」は、メッセージ、信号、データ又はその他の情報を搬送する電磁波を生成及び送信するハードウェア、回路及び/又はソフトウェアを有する機器又は複数の機器からなる組を指す。送受信装置が、これらのようなメッセージ、信号、データ又はその他の情報を含む電気信号を受信し、これらをそのような電磁波に変換するための構成部分を備えていてもよい。送受信装置が、これらのような送信された電磁波を受信し、これらを、前記メッセージ、信号、データ又はその他の情報がここから抽出される、通常は電気的な信号に変換するためのハードウェア、回路及び/又はソフトウェアを有する機器又は複数の機器からなる組を意味してもよい。
【0056】
本開示を通じ、「ネットワーク」又は「通信システム」という用語は、本開示のシステム及び方法において使用される、一般には無線のネットワークを指す。ネットワークが、一般的なネットワーキングプロトコル及び規格を使用してもよく、また、必須ではないが、特殊目的のネットワークであってもよい。即ち、ネットワーク内の複数のノードを、本システム専用のネットワークをセットアップする特定の目的のために配置することが可能であるが、これらは必須ではなく、また一般的ではない。別の目的のために構築された通常の無線ネットワークを、本明細書に記載のシステム及び方法を実施するために使用してもよい。
【0057】
図2及び
図3に詳細に図示するように、レギュレータ(203)の高圧側(293)は一般に、セラミック圧力センサ(305)又はその他の、変化するガス(293)圧を様々な抵抗へと変換する圧力センサを備えている。一実施例においては、この変換がホイートストンブリッジ型の回路を利用して行われるが、別の複数の実施例においては、その他のシステム、回路及びソフトウェア実装を利用してもよい。詳細には、図示された実施例においては、タンク内の高圧ガス(293)が前記回路の一方の側と(直接又は間接に)接触するような位置に、ホイートストンブリッジ回路が設けられている。この側におけるガス(293)の圧力が、反対の側における(周囲圧力であってもよいが、測定値又は値に特定の精度を付与する特定の予め選択された値であってもよい)予め選択された圧力よりも大きいと、ホイートストンブリッジ回路が変形する。変形量が前記回路によって電気信号へと変換され、この信号が、ケーブル(315)を介して制御装置(403)へと送信され、ここで(マイクロ)プロセッサ(423)又は専用の回路によって、適切な圧力単位へと変換される。このことにより、ユーザ(又は任意のその他の関係者)がタンク(200)の実際の圧力を把握することが可能となる。流量の場合と同様に、圧力を示す信号も、接続部(413)を経由してディスプレイ(401)へと送信され、適切なディスプレイ部分が通電されて、タンク(200)内の圧力を表示する。
【0058】
システム(100)が、流量及び残圧の表示に加えて、これらの情報を、シリンダ(200)内に残っているガス(293)の予測される持続時間の算出に利用してもよい。詳細には、シリンダ(200)内のガス(293)の量及び前記ガスの現在の流出速度を把握することで、タンク(200)が前記タンクを補充しなければならない所定の値に達する前に、時間量を求めることが可能である。一般には、これはタンク(200)が実質上空である旨の表示である。
【0059】
シリンダ(200)内のガス(293)の予測される持続時間が、いかなる数の技術を用いて算出されてもよい。一実施例においては、ガス圧と流量とを、ガス圧及び流量の変化間の想定される線形関係に基づいて比較し、(現在の流量における時間量から)ガス残量の推定値を算出してもよい。これは、ガスが典型的には高圧に加圧されており、より低い流量と比較すると、放出されるガスの量がより小さくなるために、利用可能なガスの質量が実質上線形であるか、或いはその他の既知の又は予測可能な圧力挙動となるためである。把握又は測定されたこの流量を、タンクが、物理的には幾らかの量のガスが残っていても医療用には「空」であるとみなされるのに十分な程度に圧力が低くなるまでの、現在の流量での残り時間の推定に使用してもよい。
【0060】
或いは、タンク内の(ガスの体積ではなく)ガスの実際の質量を、公知の化学式を用いて推定してもよい。非限定的な例として、統合された理想気体の状態方程式を用いて残留ガスのモル数を推定し、これを用いて前記質量を推定してもよい。統合された理想気体の状態方程式がpV=nRTであり、式中:
pがガスシリンダ内のガスの圧力であり;
Vがガスシリンダの容積であり;
nがガスシリンダ内のガスのモル数であり;
Rが普遍気体定数であり;
Tがガスの温度である
ことが当業者に理解されよう。
【0061】
幾つかの実施例においては、温度Tが前記システム内に含まれる温度計を用いて検出される。しかし、ガスが高圧である実施例においては、Tがほとんど変化せず、予測される持続時間を推定するための質量算出のための定数として扱われてもよい。この場合、温度計が不要となることで、システムのコスト削減及び簡略化も図られる。統合された理想気体の状態方程式を用いた一実施例においては、ガスシリンダの容積が既知であり、ガス化合物の素性及びモル質量が既知である。これらの要素を検出された圧力と組み合わせると、残っているガスの質量が算出される。この質量を流量と組み合わせると、残り時間を推定することが可能である。非限定的な例として、ガスの流量が既知であることから、タンクから流出するガスの質量を残留している質量と比較して、持続時間を推定してもよい。
【0062】
これらの計算の実行にあたり、流量を保ちうる十分に高い圧力のガスがガスシリンダに十分に入っている限り、レギュレータが前記流量を実質的に一定に保つことが可能であることが当業者に理解されよう。タンクが「空」とみなされる圧力ポイントは、従って、レギュレータが一定の流量を保てなくなるポイントよりも高い圧力に設定される。このように、流量の点においては、流量は所与の設定では一定であるが、シリンダ圧が「空」しきい値に達すると、即座にゼロに低下する。
【0063】
タンク(200)が「空」であり補充が必要であるとして表示された時点でタンク(200)が実際に空である(ガス(293)が全く入っていない)必要はないことが理解されるべきである。流量及び残圧双方の測定値には常に誤差が生じうるために、若干量のガスがまだ残っていてもタンク(200)が「空」であるとシステム(100)が表示する場合が多いであろう。流量及び残圧と同様に、タンク内に残留しているガスの持続時間も一般に、(マイクロ)プロセッサ(423)又は適切な回路装置によって算出された後にディスプレイ(401)上に表示される。
【0064】
タンクが実際には空ではない時にユーザに対して「空」と表示することは、一般に2つの理由による。第1に、そのような表示は、タンク(200)が「空」であると表示されている場合に、ユーザは、大量のガスを必要としていなくても、少量のガスしか残っていない前記タンクを一般には使用しないことを意味する。そのような表示を行う第2の理由は、ユーザがタンク(200)を使用している最中に前記タンクが補充を必要とするポイント(「空」)に達しても、ガス流は、タンク(200)が実際に空である場合のように即座に停止するわけではないためである。このことにより、現在アラーム状態にあるタンク(200)を使用しているユーザが、タンク(200)からの酸素の流れが途絶えるか、又は低過ぎるレベルにまで減少する前に、代わりのタンクを探して、これを現在のタンク(200)と交換するのに十分な時間的余裕を得ることが可能である。
【0065】
更なる機能を付与するために、制御装置(403)には多くの場合、様々な付加的な部品が組み込まれている。これらの部品に、ブザー又は同様の、(例えばタンク(200)が空であると考えられる場合などの)何らかのアラーム条件に適合している場合に動作可能な可聴信号生成装置(405)が非限定的に含まれる。これらの信号が、タンクがどの程度空であるのかに応じて変化して、段階式のアラームの形をとってもよい。制御装置が、システム(100)を様々に異なるタンク(200)に組み込むことが可能となるように、使用中のシリンダ(200)のサイズを制御装置(403)に対して示すように設定可能なジャンパ又は同様の接続部を更に有してもよい。加えて、制御装置(403)が、ファームウェア更新の上書き、圧力センサの較正及び/又はシステム(100)の使用データのダウンロードのためのシリアルポートを、ネットワークとの無線通信用の送受信装置に代わるか又はこれを補足する方式として有してもよい。
【0066】
制御装置(403)が、経時的なデータの使用を可能にする機能を更に有してもよい。詳細には、制御装置(403)が、流量及び/又はタンク(200)内の利用可能なガスを任意の時点で記録可能であってもよい。複数の測定値の取得に伴って、制御装置(403)がこれらの記録された値のパターンを評価してもよい。例えば、タンク(200)が6日間連続で毎朝同じ時刻に同じ流量で使用されていることを、制御装置(403)が把握してもよい。このパターンに基づき、タンク(200)が翌朝の同時刻に使用されることを制御装置(403)が予測してもよいが、8日目の同時刻に同じ流量を供給できるだけの十分なガスがタンク(200)に入っていない場合がありうる。そのような場合には、ユーザに対して即座に又は7回目の使用の後にアラームを発してもよい。この情報が、ネットワークを介して中央監視機関へと送信されてもよい。中央監視機関が、この情報を、特定のタンク(200)がいつ補充を必要とするのかをより正確に予測するため、又は、この情報を他の複数のタンク(200)からの情報と総合して、これらのタンク(200)を使用している組織に対してより正確な補充サービスを提供するために使用してもよい。
【0067】
上記は一般には専門技術者のみによる使用向けであり、標準ユーザ向けではないが、これに加えて、ユーザがディスプレイ(401)を複数の異なる表示モード間で切り替える、システム(100)を必要に応じて複数の異なる動作モード間で切り替える、又は必要でなくなったアラームを停止させるなどの操作を行うことを可能にする、ユーザによって操作可能な1つ又は複数のスイッチ、ボタン、タッチスクリーン又は同様の操作可能な物体が設けられていてもよい。
【0068】
本システムは、一般には複数の異なるモードで動作することが期待される。これらのうちの1つは、全ての出口(301)及び(303)がオフ位置にあり、ガス(291)が中間流出経路(215)を越えて、或いはその他のいかなる方法でもコネクタ(303)又は(301)へと流れることのない「待機モード」である。この配置では、タンク(200)は使用待機中である。流量がないので、予想される使用寿命は表示されていない。代わりに、タンク(200)は単に使用可能な状態で置かれている。タンク(200)は、待機モードでは別の患者に使用可能な十分なガス(293)が入っていることを前提としているので、ディスプレイ(401)は通常、デジタル及びグラフィカルな形で圧力のみを表示している。
【0069】
この一実施例が
図4に図示され、実際のガス圧(601)が、アナログ式のゲージ又は何らかのその他のバーインジケータ(603)の形で用いられるような従来式の緑色、黄色及び赤色の領域を利用した視覚表示によって表示されている。後者が、タンク(200)の操作に慣れていないユーザに対して、タンク(200)がどの程度満たされているのかを簡潔に表示してもよい。
図4では、タンク(200)は満タンであるので、視覚表示(603)は全てのバーを緑色で表示し、ガス流圧(601)は2000psigである。
【0070】
システム(100)は一般に、少なくとも1つの「アラームモード」も有する。アラームは、圧力が所定のレベルに達した場合、所定の残留ガス流持続時間に達した場合及び/又はバッテリ(361)のレベルが交換を要するレベルにまで低下した場合に起動する。
図5は、利用可能なガスが不十分な待機モードに対応する第1のアラームモードの一例を図示している。このモードでも、ディスプレイ(401)はタンク(200)内のガス圧(601)、即ち400psigを表示している。しかし、図示されるように、圧力が
図4に示す圧力の4分の1未満である。同様に、視覚表示(603)も、バーを「補充」セクション内に表示している。ディスプレイは、タンクを使用すべきではなく、補充が必要であることを明確に表示する特定目的の視覚インジケータ(605)も表示する。しかし、その他の点では、システム(100)の表示は受動的である。これは、このタンクが使用中ではなく、従って、補充を必要としてはいるが安定したモードにあるためである。
【0071】
図6は、より能動的なアラームモードのディスプレイの一例である。このモードでは、圧力及び/又は持続時間レベルが所定のレベルに達すると、可聴アラームが鳴る。このモードが、圧力が十分に低い場合に起動してもよく、また以下に記載する「治療モード」動作中に、ガスが上述のように患者に直接又は間接に供給されている時にのみ起動してもよい。更に又は代わりに、現在の充填量にかかわらず、タンク(200)からの流量が十分に高いためにタンクからの急速な排出が検出された場合に、このモードが用いられてもよい。後者は、誰かが実際にタンク(200)からの供給を要求しているのでない限りは妨げとなる騒音をシステム(100)が発生しないようにするので、多くの場合において好まれるであろう。タンク(200)からの供給が要求されても、タンク(200)を使用すべきではないことを表示しているインジケータ(601)、(603)及び/又は(605)をユーザが見落としていること場合が想定されることから、視覚インジケータでは不十分な場合がある。従って、一般には可聴インジケータも併用される。可聴インジケータを使用している場合に、タンク(200)を使用すべきではないことを更に表示するために、視覚インジケータ(607)を更に設けてもよい。
【0072】
図6は、視覚アラームと組み合わせた可聴アラームを図示しているが、触覚アラーム、異なる可聴又は視覚アラーム或いはその他のアラームを含む、その他の形のアラームを使用可能であることが理解されるべきである。一実施例においては、前記アラームも、通信ネットワーク又は同様の構造を介して遠隔の場所に表示されてもよい。例えば、タンク(200)の充填を担当している会社がタンクを回収及び補充しに来ることができるように、タンクが空であることを知らせる表示が前記会社に対してなされてもよい。そのような補充を支援するために、システムが前記ネットワークを介してタンク(200)の所在地を送信して、所在地の特定を支援してもよい。
【0073】
図5及び
図6は単に例示的なアラーム状態を示していることが理解されるべきである。その他のアラーム状態に、可聴アラーム及び(インジケータ(605)などの)特定の視覚インジケータの双方が含まれていてもよい。これらが、システム(100)内のバッテリ(361)の交換が必要である場合、不具合が発生し、システム(100)が点検を必要としている場合又は、システム(100)が旧式となり、正しく安全に機能させるためのソフトウェア更新を必要としている場合などに起動してもよい。同様に、特定ガス用接続部(303)が使用されている時には別のアラームモードが設定されていてもよい。この場合、タンク(200)からの流量が、タンク(200)からの排出が急速であるために通常のアラームであれば起動する程度に十分に高くてもよい。しかし、このモードでタンク(200)が使用されている時には、高流量が期待され、従ってタンクからの急速な排出は問題とならないことから、通常のアラームモードが無効とされていてもよい。
【0074】
上記はシステム(100)が使用されていない時、又は使用すべきではない時のディスプレイ(401)を企図したものであるが、
図7乃至
図9は、通常の動作におけるディスプレイ(401)を図示している。出口(301)を使用した標準動作である第1の「治療モード」では、出口(303)及び/又は特定ガス用補充接続部が閉じられており、かかり付きの出口用接続部品が、前述のようなカニューレを用いてエンドユーザにガス(293)を供給する。この場合、セレクタノブ(201)は特定の流量に合わされており、この流量のガス(293)が接続部(301)を通って流れることが想定されている。この場合におけるディスプレイ(401)は、タンク(200)内の圧力(601)をグラフィカルな表示(603)と共に示している。ここでは、選択された流量(611)及び残留ガスの持続時間も、時及び分(621)で示されている。図示されているように、
図8のより低い流量で動作している満タンのタンク(200)は、
図8のより高い流量の空に近いタンクよりも大幅に長い残り時間を有する。同様に、
図9に示される非常に高い流量で使用されている満タンのタンク(200)の持続時間は、
図8の満タンのタンクよりも大幅に短い。
【0075】
上述のモードに変更を加えたものに「治療モード」が含まれるが、これは特定ガス用出口接続部(303)向けであり、
図10に図示されている。この場合、ディスプレイ(401)は一般に、
図7乃至
図9のものと同一であってもよいが、特定ガス用接続部(303)が開いており、ノブ(201)が一般に、特定の位置となっている。この場合、特定ガス用出口(303)が使用中であることを示すインジケータ(623)をディスプレイ(401)が表示してもよい。
図10の実施例においては、空になるまでの時間は表示されず、残圧(601)が表示されているが、これは必須ではなく、動作時間が表示されていてもよい。更に、ディスプレイ(401)が、他方の出口(303)が使用中であることを示すか又は更なる情報を提供する、(メッセージ(623)などの)その他の特別なメッセージを含んでもよい。
【0076】
その他の動作モードが、排出及び補充モードであってもよい。このモードでは、タンク(200)が「空」であり、完全な補充のために全ての残留ガス(293)を排出中である。この状況においては、タンク(200)は、「空」であるにもかかわらずタンク(200)からガス(293)を排出しているために、技術的にはアラーム状況であるが、これはアラームモードであることが通常は望ましいとされる状況ではない。この場合、タンク(200)は補充の目的で意図的に排出されているのであり、患者によって使用されてはいない。排出及び補充モードは、一般に、このモードが有効であることを制御装置(403)に対して示すオーバライドボタンまたはスイッチによって起動される。オーバライドスイッチは多くの場合、補充専門技術者のみによって把握され、エンドユーザには一般に知られていない動作によって選択される。このような方法により、排出及び補充作業中にアラームを聞かなくてもよいように、タンク(200)からの排出及び補充中はアラームを鳴らなくすることが容易となる一方で、必要なアラームを知識の乏しいユーザが鳴らなくすることはできなくなる。
図11は、この状況における特別な充填の性質が表示(625)されてもよい排出/補充表示の一実施例を図示している。このことは、
図5の待機アラームモードでは、タンク(200)が現在必要とされていなければ、エンドユーザはタンク(200)上のノブ(201)を回すだけで、可聴アラームが鳴らない待機状態とすることができることから、特に有用であってもよい。
【0077】
図12に示すように、「点検モード」が更に設けられていてもよい。このモードは通常、システム(100)に関する様々な情報をユーザに示すために使用される。
図12の実施例においては、英数字コード(635)がシステム(100)の特定のシステム機能を示している。機能用の英数字コード(625)に加えて、この特定の機能に関する値(637)がある。この実施例では、英数字コード(635)はソフトウェア/ファームウェアバージョンの照会を表し、その値(637)はバージョン20である。英数字(635)及び値(637)が、バッテリ(361)残量、点検履歴及び部品の状態などの項目を非限定的に表してもよい。
【0078】
本発明を、好適な実施形態であると現在考えられているものを含む幾つかの実施形態の説明と組み合わせて開示してきたが、詳細な説明は例示的であることを意図されており、本開示の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。本明細書に詳細に記載されたもの以外の実施形態も本発明に包含されることが、当業者に理解されよう。記載された実施形態に、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく修正及び変更を加えることが可能である。