(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】自律式コンベヤシステム
(51)【国際特許分類】
B65G 37/02 20060101AFI20220118BHJP
B65G 43/08 20060101ALI20220118BHJP
B65G 47/49 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
B65G37/02
B65G43/08 A
B65G47/49
(21)【出願番号】P 2018565458
(86)(22)【出願日】2017-02-27
(86)【国際出願番号】 EP2017054506
(87)【国際公開番号】W WO2017148863
(87)【国際公開日】2017-09-08
【審査請求日】2020-02-05
(32)【優先日】2016-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518311625
【氏名又は名称】エワブ エンジニアリング アーベー
【氏名又は名称原語表記】EWAB Engineering AB
【住所又は居所原語表記】Kungs Starbyvaegen 8, 592 91 Vadstena Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【氏名又は名称】木内 光春
(72)【発明者】
【氏名】ウォーレン マッツ
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-001422(JP,A)
【文献】特開昭60-234686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 37/00ー 37/02
B65G 47/49
B65G 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のワークピースキャリアであって、それぞれ機械読み取り及び書き込み可能なタグを備え、搬送の間に少なくとも1つのワークピースを支持するように適用されたワークピースキャリアと、
それぞれが前記ワークピースキャリアを搬送及び循環するように適用されたエンドレスコンベヤの形態を有する少なくとも2つの分配ハイウェイコンベヤと、
前記ワークピースキャリアを搬送するように構成されたエンドレスコンベヤの形態を有する少なくとも1つのフローバランシングコンベヤと、
を備え、
前記分配ハイウェイコンベヤは、前記フローバランシングコンベヤを介して連結され、前記ワークピースキャリアは、1つの前記分配ハイウェイコンベヤから前記フローバランシングコンベヤを介して他の前記分配ハイウェイコンベヤへと通過可能であり、
それぞれが前記ワークピースキャリア(WPC)を搬送するように適用されたエンドレスコンベヤの形態を有する少なくとも2つのオペレーションユニットコンベヤを備え、
前記オペレーションユニットコンベヤは、対応する前記分配ハイウェイ
コンベヤからワークピースキャリアを受け取り、オペレーションステーションへと移動させ、前記オペレーションステーションにおける処理の後に前記ワークピースキャリアを前記分配ハイウェイ
コンベヤに戻すように配置され、
各タグ書き込み装置は、次のオペレーションステーションアドレスを導出し、当該アドレスを、前記オペレーションステーションにおける処理の後に前記ワークピースキャリアの前記タグに書き込むように構成され、
コンベヤ間の各交差点に配置され、前記各交差点での前記ワークピースキャリアのフローを制御する自律式切り替え制御装置を備える
、
ことを特徴とするコンベヤシステム。
【請求項2】
自律式オペレーションステーション制御装置(12a、12b、12c、12d)が、各オペレーションステーション(OS1、OS2、OS3、OS4)に、各前記オペレーションステーションでの前記ワークピースキャリアのフローを制御するように配置される、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記オペレーションステーション制御装置は、
前記タグを読み取り、前記ワークピースへのオペレーションを開始するように、対応する前記オペレーションステーションへ指令を提供するように構成される、ことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記オペレーションステーション制御装置は、前記タグ書き込み装置を備え、前記オペレーションステーションで行われたオペレーションの終了に応じて次のオペレーションステーションアドレスを導出し、次のオペレーションステーションアドレスを
前記タグに書き込むように構成される、ことを特徴とする請求項2または3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ワークピースキャリアは、前記コンベヤに対して、自重による摩擦によって取り外し可能に係合される、ことを特徴とする
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
第1及び第2のフローバランシング切り替え制御装置が、前記フローバランシングコンベヤと各分配ハイウェイコンベヤとの間の交差点に配置される、ことを特徴とする
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1のフローバランシング切り替え制御装置は、前記フローバランシングコンベヤと第1の分配ハイウェイコンベヤとの上流側の交差点に配置され、
積載されたワークピースキャリアが、前記フローバランシングコンベヤ上の積載されたワークピースキャリアが所定の数になるまで、前記フローバランシングコンベヤへと移動することを許容し、
所定の数のみの空のワークピースキャリアが、前記第1の分配ハイウェイコンベヤから前記フローバランシングコンベヤへと移動が許容された積載されたワークピースキャリアに対応する数に応じて、前記第1のフローバランシングコンベヤから前記第1の分配ハイウェイコンベヤへと移動すること、あるいはその逆を許容する、
ように構成される、ことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2のフローバランシング切り替え制御装置は、前記フローバランシングコンベヤと第2の分配ハイウェイコンベヤとの下流側の交差点に配置され、
空のワークピースキャリアが、前記フローバランシングコンベヤ上の空のワークピースキャリアが所定の数になるまで、前記第2の分配ハイウェイコンベヤから前記フローバランシングコンベヤへと移動することを許容し、
所定の数のみの積載されたワークピースキャリアが、前記第2の分配ハイウェイコンベヤから前記フローバランシングコンベヤへと移動が許容された空のワークピースキャリアの対応する数に応じて、前記フローバランシングコンベヤから前記第2の分配ハイウェイコンベヤへと移動すること、あるいはその逆を許容する、
ように構成される、ことを特徴とする請求項6または7に記載のシステム。
【請求項9】
前記フローバランシング切り替え制御装置は、
前記タグを読み取り、前記フローバランシングコンベヤへのフロー及び/または前記フローバランシングコンベヤからのフローを、
前記タグに含まれるデータに基づいて制御するように構成される、ことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記フローバランシング切り替え制御装置は、タグ書き込み部を備え、どのフローバランシングコンベヤ及び分配ハイウェイコンベヤに前記ワークピースキャリアが配置されるかを示すように
前記タグを更新するように構成される、ことを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
オペレーションユニットコンベヤ切り替え制御装置が、オペレーションユニットコンベヤと対応する前記分配ハイウェイコンベヤとの間の交差点に配置される、ことを特徴とする
請求項1乃至10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記オペレーションユニット切り替え制御装置(11、11a、11b、11c、11d)は、前記分配ハイウェイコンベヤに到達するワークピースキャリアの
前記タグ(T)を読み取り、
前記タグに含まれるデータが前記オペレーションユニットコンベヤ(OUC、OUC1、OUC2、OUC3、OUC4)に対応するアドレスを示す場合、前記ワークピースキャリアが当該オペレーションユニットコンベヤへ移動することを許容するように構成される、ことを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記オペレーションユニット切り替え制御部は、ワークピースキャリアが、前記オペレーションユニットコンベヤ上のワークピースキャリアが所定の数になるまで、前記オペレーションユニットコンベヤに移動することを許容するように構成される、ことを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記オペレーションユニット切り替え制御装置は、
前記オペレーションユニットコンベヤに到達するワークピースキャリアを検出し、
前記分配ハイウェイコンベヤに到達するワークピースキャリアを検出し、
衝突のリスクがない場合、前記オペレーションユニットコンベヤに到達するワークピースが、前記分配ハイウェイ
コンベヤに移動することを許容する、
ように構成される、ことを特徴とする請求項12または13に記載のシステム。
【請求項15】
前記オペレーションユニット切り替え制御装置は、前記オペレーションユニットコンベヤに到達するワークピースキャリアの
前記タグを読み取り、
前記タグに含まれるデータが、当該オペレーションユニットコンベヤに対応しないアドレスを示す場合、前記ワークピースキャリアが前記分配ハイウェイコンベヤへ移動することを許容するように構成される、ことを特徴とする請求項11乃至14のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、オペレーティングステーションのセット間でワークピースを移動させるためのコンベヤシステムに関する。
【0002】
コンベヤシステムは、自律式製造システム、つまり、人間の介在なしにオペレーションステーション間でワークピースを搬送するシステムを提供することに好適である。
【背景技術】
【0003】
コンベヤシステムは、異なる種類のオペレーションステーション間でワークピースを移動させるために多様な製造産業において使用される。
【0004】
このようなコンベヤシステムのセットアップは、通常、多大なプログラミングを含み、制御ソフトウェアは、各ワークピース及び各オペレーションステーションを追跡し続けるとともに、各センサ及び各アクチュエータを制御する必要がある。
【0005】
製造システムを変更する場合、意図しないバッファが形成されないように、オペレーションステーションを設置あるいは撤去し、システムをリバランスすることは、通常非常に困難な課題である。これは、さらに制御ソフトウェアを変更することを含み、通常多大な労力を要する。
【0006】
また、損耗や停止は、時間と共にシステム上の偏流を生じさせ、リバランスの必要を生じさせ、ひいては、制御ソフトウェアの再プログラミングを要する。
【0007】
従って、インストールがより簡単でコストを低減し、変更がより簡単でコストを低減し、ロバストなコンベヤシステムが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、全体の目的は、改良された自律式コンベヤシステム、特に、より低コストでインストール及びメンテナンスが可能で、よりロバストなシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は付属する独立請求項、従属請求項に記載される実施の形態、以下の詳細な説明、ならびに図面によって定義される。
【0010】
第1の様態によれば、複数のワークピースキャリアであって、それぞれ機械読み取り及び書き込み可能なタグを備え、搬送の間に少なくとも1つのワークピースを支持するように適用されたワークピースキャリアと、それぞれが前記ワークピースキャリアを搬送及び循環するように適用されたエンドレスコンベヤの形態を有する少なくとも2つの分配ハイウェイコンベヤと、前記ワークピースキャリアを搬送するように適用されたエンドレスコンベヤの形態を有する少なくとも1つのフローバランシングコンベヤと、を備えるコンベヤシステムが提供される。前記分配ハイウェイコンベヤは、前記フローバランシングコンベヤを介して連結され、前記ワークピースキャリアは、1つの前記分配ハイウェイコンベヤから前記フローバランシングコンベヤを介して他の前記分配ハイウェイコンベヤへと通過可能である。このシステムは、さらに、それぞれが前記ワークピースキャリアを搬送するように適用されたエンドレスコンベヤの形態を有する少なくとも2つのオペレーションユニットコンベヤを備える。前記オペレーションユニットコンベヤは、対応する分配ハイウェイからワークピースキャリアを受け取り、オペレーションステーションへと移動させ、前記オペレーションステーションにおける処理後に前記ワークピースキャリアを前記分配ハイウェイに戻すように構成される。各タグ書き込み装置は、次のオペレーションステーションアドレスを導出し、当該アドレスを、前記オペレーションステーションにおける処理後に前記ワークピースキャリアの前記タグに書き込むように構成される。前記システムは、コンベヤ間の各交差点に配置され、前記各交差点での前記ワークピースキャリアのフローを制御する自律式切り替え制御装置を備える。
【0011】
ワークピースキャリアは、コンベヤ上で搬送され、単一あるいは複数の処理中のワークピースを搬送するように適用される任意の種類のキャリアであってよい。キャリアの例は、例えば集積回路や回路基板用のキャリアである比較的小型のキャリア、あるいは例えばエンジン、ギアボックス、機械もしくは自動車のシャーシ用のキャリアである比較的大型のキャリア、またはその他のキャリアであってよい。キャリアは、例えば塗装用途において一般的であるように、コンベヤ下につるされたワークピースを保持するよう配置されてもよい。
【0012】
タグは、機械で読み取り可能な任意の種類のタグである。好ましくは、タグは、書き込み可能及び/または消去可能なメモリである。タグは、任意のインターフェイス、例えば、これらに限定されないが、wifi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、RFIDもしくはNFC等の無線インターフェイス、あるいは、電気式もしくは光学式インターフェイスを介して通信してよい。任意の種類のメモリ技術を採用可能である。
【0013】
コンベヤは、チェーン式コンベヤであってよい。このようなコンベヤは、公知であり、多数の幅が利用可能である。各コンベヤの長さ及び経路は、必要に応じて、また利用可能なスペースに応じて、任意に決定可能である。
【0014】
「循環」の語は、コンベヤがエンドレスであり、ワークピースキャリアが、コンベヤのトラックに沿って流れることを許容するように適用されることを意味する。エンドレスコンベヤは、真に単一のエンドレスコンベヤチェーン、あるいは、一体となってエンドレスな経路を形成し、それに沿ってワークピースキャリアが循環する複数のコンベヤチェーンあるいはベルトによって形成され得る。
【0015】
「自律」の語は、制御装置が、その通常動作を外部あるいは中央装置なしで実行することを意味する。つまり、通常動作において、制御装置はいかなる中央制御部からも制御信号を受信しない。
【0016】
例えば、制御装置は、停止制御機能あるいは切り替え制御機能等の単一の機能のみを提供するようにハードコード化される。
【0017】
任意に、制御装置は、限られた数の所定の機能のいずれか、例えば、停止制御機能あるいは切り替え制御機能等、に対して選択的に設定されてよい。当該選択は、制御装置自体のユーザインターフェイスを介して行われる。代替として、機能の選択は、無線等の遠隔によって行われる、あるいは、有線インターフェイスを介して行われてよい。
【0018】
プログラミングされた機能が選択されると、制御装置には、機能を他のプログラミングされた機能へ切り替えることを除いて、さらなる調整を行う、あるいは、影響を与えることが出来なくなる。複数の制御装置は、同一のハードウェアによって形成されてよく、両方の機能を提供するコンピュータコードが不揮発性メモリに記憶され、機能は選択可能であり、各制御装置は切り替え制御装置あるいは停止制御装置として設定可能である。
【0019】
オペレーティングステーションは、例えば機械加工(例えば、ラス張り、切断、フライス削り、ドリル加工、研削)、接着(溶接、半田付け、ろう付け、接着剤による接着、溶融接着等)、検査(例えば、測定、スキャン)、表面処理(例えば、塗装、ブラスティング、ポリッシュ、電気めっき、PVDあるいは他の種の材料堆積)、アセンブリング、テストあるいはパッケージング等、の任意の種類の製造関連オペレーションを提供するように配置される。オペレーションは、完全あるいは部分的に自動化されていてもよいし、完全に手動であってもよい。
【0020】
上記のコンベヤシステムは、それぞれが自立的に動作する限られた数のスタンダードな構成要素によって形成されるので、全体的あるいは部分的に上記の目的を達成する。ただ一つ必要とされるプログラミング/制御は、タグ書き込み部であり、ワークピースの種類及び実行されたオペレーションに基づいて次のオペレーションを決定するためのルールのセットを含む。
【0021】
システムは、さらに、各オペレーションステーションに配置された自律式オペレーションステーション制御装置を備えてもよく、当該装置は、各前記オペレーションステーションでの前記ワークピースキャリアのフローを制御するように配置されてもよい。
【0022】
前記(あるいは各)オペレーションステーション制御装置は、前記メモリタグを読み取り、前記ワークピースへのオペレーションを開始するように対応する前記オペレーションステーションへ指示を提供するように構成されてよい。
【0023】
前記(あるいは各)オペレーションステーション制御装置は、前記タグ書き込み装置を備えてもよく、前記オペレーションステーションで行われたオペレーションの終了に応じて次のオペレーションステーションアドレスを導出し、次のオペレーションステーションアドレスを前記メモリタグに書き込むように構成されてもよい。
【0024】
システムにおいて、前記タグは、ワークピースの次の行き先および任意のワークピースに関する情報を記憶するように構成され得る。前記アドレスは、どのコンベヤにワークピースキャリアが移動すべきかを導出可能に構成される。
【0025】
前記タグは、どの種のワークピースが搬送されているか、あるいはキャリアが空の場合、どのステーションに次にワークピースが進むべきかを示す情報のみを要する。より簡略化されたシステムにおいては、1種の製品のみが扱われ、メモリ内でワークピースの種類を示す必要がない。
【0026】
前記ワークピースキャリアは、前記コンベヤに対して、自重による摩擦によって取り外し可能に係合されてもよい。
【0027】
従って、ワークピースキャリアのいずれかは、コンベヤの動作なし、ひいてはコンベヤによって現在搬送されている他のワークピースキャリアへの影響なしに停止され得る。
【0028】
少なくとも1つのオペレーションユニットコンベヤは、少なくとも1つのローディング及び/またはアンローディングステーションを備えてよい。
【0029】
ローディング及び/またはアンローディングステーションは、ワークピースがワークピースキャリアに積載される、あるいはワークピースがワークピースキャリアから荷下されるステーションを含んでよい。
【0030】
好ましくは、オペレーションユニットコンベヤのいずれか1つのみが1つ以上のローディングステーションを含み、オペレーションユニットコンベヤのいずれか1つのみが1つ以上のアンローディングステーションを含む。
【0031】
前記分配ハイウェイコンベヤは、オペレーションステーションから自由であってもよい。
【0032】
システムにおいて、第1及び第2のフローバランシング切り替え制御装置が、前記フローバランシングコンベヤと各分配ハイウェイコンベヤとの間の交差点に配置されてもよい。
【0033】
前記第1のフローバランシング切り替え制御装置は、前記フローバランシングコンベヤと第1の分配ハイウェイコンベヤとの上流側の交差点に配置され、積載されたワークピースキャリアが、前記フローバランシングコンベヤ上の積載されたワークピースキャリアが所定の数になるまで、前記フローバランシングコンベヤへと移動することを許容し、所定の数のみの空のワークピースキャリアが、前記第1の分配ハイウェイコンベヤから前記フローバランシングコンベヤへと移動が許容された積載されたワークピースキャリアに対応する数に応じて、前記第1のフローバランシングコンベヤから前記第1の分配ハイウェイコンベヤへと移動すること、あるいはその逆を許容するように構成されてもよい。
【0034】
従って、例えば、前記フローバランシングコンベヤは、積載されたワークピースキャリアが去った後に空のワークピースキャリアが入ることのみ、あるいはその逆のみを許容するように構成されてよい。
【0035】
別の選択肢として、前記フローバランシング切り替え制御装置は、特定の分配ハイウェイコンベヤに入る積載されたワークピースキャリア、及び特定の分配ハイウェイコンベヤから去る空のワークピースキャリアとの間に限られた差を許容してもよい。このような差は、1-5、好ましくは1-3に限定される。
【0036】
また、ワークピースキャリアが前記フローバランシングコンベヤに収容されたことに応じて、ワークピースキャリアを前記分配ハイウェイコンベヤにリリースする、あるいはワークピースキャリアが前記分配ハイウェイコンベヤにリリースされたことに応じて、ワークピースキャリアを前記フローバランシングコンベヤに収容することも可能である。
【0037】
前記第2のフローバランシング切り替え制御装置は、前記フローバランシングコンベヤと第2の分配ハイウェイコンベヤとの下流側の交差点に配置され、
空のワークピースキャリアが、前記フローバランシングコンベヤ上の空のワークピースキャリアが所定の数になるまで、前記第2の分配ハイウェイコンベヤから前記フローバランシングコンベヤへと移動することを許容し、
所定の数のみの積載されたワークピースキャリアが、前記第2の分配ハイウェイコンベヤから前記フローバランシングコンベヤへと移動が許容された空のワークピースキャリアの対応する数に応じて、前記フローバランシングコンベヤから前記第2の分配ハイウェイコンベヤへと移動すること、あるいはその逆を許容するように構成されてもよい。
【0038】
前記フローバランシング切り替え制御装置は、前記メモリタグを読み取り、前記フローバランシングコンベヤへのフロー及び/または前記フローバランシングコンベヤからのフローを、前記メモリタグに含まれるデータに基づいて制御するように構成されてもよい。
【0039】
別の選択肢として、前記フローバランシング切り替え制御装置は、タグ書き込み部を備え、どのフローバランシングコンベヤ及び分配ハイウェイコンベヤに前記ワークピースキャリアが配置されるかを示すように前記メモリタグを更新するように構成されてもよい。
【0040】
どのコンベヤにワークピースキャリアがあるかを示すことで、しばしば手動でワークピースキャリアを一つのコンベヤから他のコンベヤに移動させるオペレータの問題に対処できる。
【0041】
一つのフローバランシングコンベヤに対応する前記フローバランシング切り替え制御装置は、互いに一体化されてもよく、従ってフローバランシングコンベヤに関連する両スイッチとして機能し、また上記の機能を提供する単一の制御装置を効率よく提供できる。
【0042】
前記フローバランシングコンベヤは、オペレーションステーションから自由であってよい。
【0043】
前記フローバランシングコンベヤは、分配ハイウェイコンベヤの2つ以上のグループに接続されるコンベヤであってよい。しかしながら、前記フローバランシングコンベヤ自体は、いずれのオペレーションステーションあるいはいずれのオペレーションユニットコンベヤにも接続されない。
【0044】
オペレーションユニットコンベヤ切り替え制御装置は、オペレーションユニットコンベヤと、対応する前記分配ハイウェイコンベヤとの間の交差点に配置されてもよい。
【0045】
前記オペレーションユニット切り替え制御装置は、前記分配ハイウェイコンベヤに到達するワークピースキャリアの前記メモリタグを読み取り、前記メモリタグに含まれるデータが前記オペレーションユニットコンベヤに対応するアドレスを示す場合、前記ワークピースキャリアを当該オペレーションユニットコンベヤへ移動させることを許容するように構成されてもよい。
【0046】
前記オペレーションユニット切り替え制御装置は、ワークピースキャリアが、前記オペレーションユニットコンベヤ上のワークピースキャリアが所定の数になるまで、前記オペレーションユニットコンベヤに移動することを許容するように構成されてもよい。
【0047】
前記オペレーションユニット切り替え制御装置は、前記オペレーションユニットコンベヤに到達するワークピースキャリアを検出し、前記分配ハイウェイコンベヤに到達するワークピースキャリアを検出し、衝突のリスクがない場合、前記オペレーションユニットコンベヤに到達するワークピースが、前記分配ハイウェイに移動することを許容するように構成されてもよい。
【0048】
前記オペレーションユニット切り替え制御装置は、前記オペレーションユニットコンベヤに到達するワークピースキャリアの前記メモリタグを読み取り、前記メモリタグに含まれるデータが、当該オペレーションユニットコンベヤに対応しないアドレスを示す場合、前記ワークピースキャリアが前記分配ハイウェイコンベヤへ移動することを許容するように構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】本開示に係るコンベヤシステムの概略図である。
【
図2】オペレーションユニット切り替え制御装置(OUCDX)の概略図である。
【
図3】オペレーションユニット停止制御装置(OUCDS)の概略図である。
【
図4】フローバランシング切り替え制御装置(FBCDX)の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本開示に係るシステムは、オペレーションステーション間でワークピースを搬送するためのシステムである。ワークピースは、ワークピースキャリア上で搬送される。分配ハイウェイコンベヤのそれぞれに対して、1つ以上のオペレーションユニットコンベヤが接続される。各オペレーションユニットコンベヤは、対応する分配ハイウェイコンベヤからオペレーションステーションへワークピースを運ぶように適用され、ここでワークピースに対してオペレーションが行われる。
【0051】
図1は、本開示に係るコンベヤシステムの概略図である。このコンベヤシステムは、フローバランシングコンベヤFBCによって分離される第1及び第2の分配ハイウェイコンベヤDHC1、DHC2を備える。
【0052】
第1の分配ハイウェイコンベヤDHC1は、ワークピースキャリアWPCをペアのオペレーションステーションOS1、OS2に運ぶよう適用され、各オペレーションステーションは、各オペレーションユニットコンベヤOUC1、OUC2によって第2の分配ハイウェイコンベヤに接続される。
【0053】
第2の分配ハイウェイコンベヤDHC2は、別のペアのオペレーションステーションOS3、OS4にワークピースキャリアWPCを運ぶように適用され、各オペレーションステーションは、各オペレーションユニットコンベヤOUC3、OUC4によって第2の分配ハイウェイコンベヤに接続される。
【0054】
第1及び第2の分配ハイウェイコンベヤDHC1、DHC2は、フローバランシングコンベヤFBCによって接続される(
図4参照)。
【0055】
コンベヤは、エンドレスコンベヤとして形成され、ワークピースキャリアを循環させることが可能であり、積載されたワークピースキャリアは、オペレーションステーション間を搬送され、空のワークピースキャリアは所定のポイント、例えばスタート点に戻される。
【0056】
コンベヤは、ワークピースキャリアが自重による摩擦係合のみで支持及び移動される状態となるチェーン式であってよい。好ましくは、そのような摩擦は、コンベヤの動作に影響を与えずにワークピースキャリアが停止できるように比較的低い。
【0057】
矢印は例示的なフロー方向を示す。
【0058】
各ワークピースキャリアWPCは、コンベヤ係合部及びワークピース支持部を備えてよい。当該ワークピース支持部は、単に水平面等であってよいが、さらに固定あるいは停止装置を備えてよく、ワークピースは所定の配列をも伴って、確実に循環移動され得る。
【0059】
各ワークピースキャリアは、1つのワークピースを運ぶよう適用される、あるいは2つ以上のワークピースを運ぶよう適用され得る。
【0060】
ワークピースキャリアWPCは、また、メモリタグTを備え、これは機械で読み取り及び書き込み可能である。前記タグは、ワークピースの種類及びワークピースの次の行き先のアドレスに関する情報のみを含むものであってよい。
【0061】
例えば、ワークピースの種類は、システムによって処理することが可能なワークピースの各種類についての所定の値の態様にあり、特定の値がワークピースキャリアが空であることを示すものであってよい。
【0062】
アドレスは、いくつかの部分を含んでよく、例えば一つの部分はどの分配ハイウェイへ進むのかを示し、他の部分はどのオペレーションステーションへ進むのかを示す。
【0063】
メモリタグは、任意の種類のコード、ストレージ及びインターフェイス技術を用いてよい。例えば、データストレージは、電子式、磁気式、機械式あるいは光学式であってよいが、これらに限定されない。
【0064】
インターフェイス技術は、RFID、NFC、wifi(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)、電気式、誘導式、磁気式、あるいは光学式であってよい。
【0065】
別の選択肢として、メモリタグは、ワークピース自体、例えばワークピースの認識可能な機能によって供されてもよい。例えば、ワークピースは、カメラ等を用いて視覚的に検査され、特定のオペレーションが行われたか否かが判別される。
【0066】
オペレーションユニットコンベヤOCU1、OCU2,OUC3、OCU4は、エンドレスチェーン式コンベヤとしても形成されてもよい。便利なことに、オペレーションユニットコンベヤは、分配ハイウェイコンベヤと同じ搬送技術及び設計を採用してもよい。
【0067】
オペレーションユニットコンベヤは、従って、対応する分配ハイウェイコンベヤとの交差点を備えるエンドレスループとして動作し、ワークピースキャリアは、オペレーションユニットコンベヤと分配ハイウェイコンベヤとの間を移動し得る。交差点は、オペレーションユニット切り替え制御装置によって制御されるが、これについては後述する。
【0068】
オペレーションユニットコンベヤ上には、少なくとも1つのオペレーションステーションがある。つまり、少なくとも1つのオペレーションがステーションにおいてワークピースに行われる。
【0069】
オペレーションは、例えば、これらに限定されないが、機械加工(例えば、ラス張り、切断、フライス削り、ドリル加工、研削)、接着(溶接、半田付け、ろう付け、接着剤による接着、溶融接着等)、検査(例えば、測定、スキャン)、表面処理(例えば、塗装、ブラスティング、ポリッシュ、電気めっき、PVDあるいは他の種の材料堆積)、アセンブリング、テストあるいはパッケージング等の1つ以上の製造関連動作である。オペレーションは、完全あるいは部分的に自動化されていてもよいし、完全に手動であってもよい。
【0070】
フローバランシングコンベヤFBCもまた、エンドレスチェーン式コンベヤとして形成されてもよい。便利なことに、フローバランシングコンベヤは、分配ハイウェイコンベヤと同じ搬送技術及び設計を採用してもよい。
【0071】
フローバランシングコンベヤは、従って、対応する分配ハイウェイコンベヤとの交差点を備えるエンドレスループとして動作し、ワークピースキャリアは、分配ハイウェイコンベヤとフローバランシングコンベヤとの間を移動し得る。交差点は、各フローバランシング切り替え制御装置によって制御されるが、これについては後述する。
【0072】
オペレーションユニット切り替え制御装置(OUCDX)11a、11b、11c、11dは、分配ハイウェイコンベヤとオペレーションユニットコンベヤとの間の各交差点に配置される。
【0073】
図2を参照すると、OUCDX11は、制御部111と、記憶部112と、切り替え機構Xを制御する切り替え作動部CDXと、分配ハイウェイコンベヤあるいはオペレーションユニットコンベヤに到達したワークピースを検出するワークピースキャリア検出部WDと、分配ハイウェイコンベヤ及びオペレーションユニットコンベヤ上の停止機構Sを制御する停止作動部CDSと、メモリタグ読み取り部TRとを備える。
【0074】
OUCDXは、また、対応するオペレーションステーションOS1、OS2、OS3、OS4(
図1)へのキューが満載であるかを検出するように構成されたキュー検出部QDを備える。
【0075】
制御部111は、自律式制御装置である。つまり、制御装置は、任意の外部ユニットからいかなる制御信号を受けることなくOUCDXとして動作するために必要な動作命令を含む。
【0076】
OUCDXは、以下のように機能し得る。
【0077】
分配ハイウェイコンベヤDHC上のワークピースキャリア検出部DWは、ワークピースキャリアWPCが分配ハイウェイコンベヤDHCに到達することを示す信号を制御部111に提供する。
【0078】
任意に、ワークピースキャリアは、停止機構Sによって停止されてもよい。
【0079】
停止機構は、好ましくは、電気的に作動する停止機構である。つまり、停止機構を駆動するアクチュエータは電動式である。アクチュエータの制御は、電気式、光学式、あるいは無線式である。
【0080】
ワークピースキャリアのメモリタグTは、タグ読み取り部TRによって読み取られる。ワークピースキャリアのメモリタグ上のアドレスが、現在のオペレーションステーションのものでなければ、次のステップが行なわれる。
【0081】
制御部111は、任意のワークピースキャリアWPCがオペレーションユニットコンベヤOUCに到達するか検出し、衝突のリスクがあるか判別し得る。
【0082】
この場合、制御部111は、どのワークピースキャリアを優先するか決定し、このワークピースキャリアの搬送を進める。
【0083】
ワークピースキャリアのメモリタグ上のアドレスが現在のオペレーションステーションのものである場合には、次のステップが行なわれる。
【0084】
制御部111は、キュー検出部QDを用いて、オペレーションステーションへのキューが満載か検出する。そうである場合、ワークピースキャリアの分配ハイウェイコンベヤへの搬送の継続が許容される。
【0085】
制御部111は、任意のワークピースキャリアがオペレーションユニットコンベヤに到達するか検出し、衝突のリスクがあるか判別する。
【0086】
オペレーションユニットコンベヤに到達するワークピースキャリアがなく、オペレーションステーションへのキューが満載でなければ、制御部は、切り替え機構Xを作動させ、ワークピースキャリアがオペレーションユニットコンベヤに入り、オペレーションステーションへと移動することを許容する。
【0087】
切り替え機構は、好ましくは、電気的に作動する切り替え機構である。つまり、切り替え機構を駆動するアクチュエータは電動式である。アクチュエータの制御は、電気式、光学式、あるいは無線式である。
【0088】
オペレーションステーションOS、OS1、OS2、OS3、OS4において、典型的には少なくとも1つのオペレーションステーション制御装置OSCD12が配置され、これについて
図3を参照して説明する。この制御装置は、オペレーションステーションへの及び/またはオペレーションステーションからのフローを制御するように構成される。
【0089】
例えば、制御装置12は、オペレーションステーションへのワークピースキャリアの到達を検出するように構成されてよい。そのような検出は、メモリタグ読み取り部あるいは任意の既存の検出器を介して行われる。任意に、既存の検出器による検出は、メモリタグ読み取り部による読み取りのトリガであってもよい。
【0090】
オペレーションユニット制御装置12、12a、12b、12c、12dは、制御部121と、記憶部122と、ワークピースキャリア検出部WDと、タグ書き込み部TWと、任意のワークピース存在検出部PDと、任意のタグ読み取り部TRとを備える。
【0091】
制御装置12は、停止アクチュエータCDS、つまり、ワークピースキャリアを停止することができる停止機構Sを駆動するアクチュエータを制御し得る。好ましくは、当該停止は、オペレーションユニットコンベヤの動作に影響を与えずに達成される。つまり、ワークピースキャリアの移動がブロックされている間に、コンベヤOUCは動き続ける。
【0092】
停止機構は、好ましくは、電気的に作動する停止機構である。つまり、停止機構を駆動するアクチュエータは電動式である。アクチュエータの制御は、電気式、光学式、あるいは無線式である。
【0093】
メモリタグ読み取り部TRは、ワークピースの種類及びオペレーションアドレスを識別してよい。オペレーションアドレスが現在のオペレーションステーションのものである場合、オペレーションを開始してもよい。ワークピースキャリアがオペレーションユニットコンベヤへ入ることでメモリタグを読まれた場所には、メモリタグ読み取り部は必須ではない。
【0094】
コンベヤOUC上にある間にワークピースにオペレーションが行われない場所に、ワークピース移動機構123を(任意で)設けても良い。当該機構はロボットを含んでもよい。あるいは、移動は手動で行われてもよい。
【0095】
従って、ワークピースがまだキャリア上にある間にオペレーションを行なってもよい。あるいは、ワークピース及び任意にワークピースキャリアを、オペレーションユニットコンベヤから、オペレーションが行われるオペレーションステーションOS、OS1、OS2、OS3、OS4に移動してもよい。
【0096】
制御装置121は、オペレーションが完了し、ワークピースを移動する準備ができていることを示す信号を受信するように構成されてよい。当該信号は、オペレーションステーション、移動機構123、あるいは手動で供給される。
【0097】
当該信号を受信することで、制御装置121は、次のオペレーションステーションのアドレスを供給し、タグ書き込み部TWによって当該アドレスをメモリタグに書き込む。次に、制御装置121は、停止アクチュエータCDSを作動させてワークピースキャリアをリリースする。続いて、ワークピースキャリアは、オペレーションユニット切り替え制御装置OUCDXに向かって移動することが許容される。
【0098】
任意に、同一のオペレーションユニットコンベヤ上に別のオペレーションステーションを設けてもよく、この場合、上記のオペレーションが繰り返される。
【0099】
フローバランシング切り替え制御装置(FBCDX)13、13a、13bについて、
図4を参照して説明する。各フローバランシングコンベヤに対して、少なくとも2つのFBCDXが、対応する分配ハイウェイコンベヤそれぞれに1つ配置される。従って、本開示の実施の形態において、2つのFBCDXが配置され、それぞれが自律動作する。代替的に、フローバランサ用の切り替え制御装置は、1つの自律式フローバランシング切り替え制御装置がフローバランシングコンベヤに対応した両スイッチを制御するように一体化されてもよい。
【0100】
FBCDXは、記憶部132を有する制御部131と、切り替え機構Xを制御する切り替えアクチュエータCDXと、分配ハイウェイコンベヤDHCあるいはフローバランシングコンベヤFBCにワークピースが到達することを検出するためのワークピースキャリア検出部WDと、タグ読み取り部TRとを備える。FBCDXは、さらに、各停止機構Sを制御する停止アクチュエータCDSを備える。FBCDX13、13a、13bは、さらに、フローバランシングコンベヤに対応した別のFBCDXへのキューが満載か検出するように構成されたキュー検出部QDを備えても良い。
【0101】
制御部131は、自律式制御装置である。つまり、制御装置は、任意の外部ユニットからいかなる制御信号を受信することなくFBCDXとして動作するのに必要な動作命令を含む。
【0102】
例示した例においては、2つのフローバランシング切り替え制御装置FBCDX1、FBCDX2が設けられる。
【0103】
FBCDX1は、以下のように動作する。
【0104】
分配ハイウェイコンベヤDHC上のワークピースキャリア検出部WDは、ワークピースキャリアが分配ハイウェイコンベヤDHCに到達することを示す信号を制御部131に供給する。
【0105】
任意に、ワークピースキャリアは、停止アクチュエータCDSによって制御される停止機構Sによって停止され得る。
【0106】
停止機構は、好ましくは、電気的に作動する停止機構であってよい。つまり、停止機構を駆動するアクチュエータは、電動式である。アクチュエータの制御は、電気式、光学式、あるいは無線式である。
【0107】
ワークピースキャリアのメモリタグTは、タグ読み取り部TRによって読み取られる。ワークピースキャリアのメモリタグのアドレスが、OS3またはOS4等のフローバランシングコンベヤの反対側に位置しているオペレーションステーションに対応する場合、次のステップが実行される。
【0108】
制御部131は、WPCが対応するFBC上にあることを示す更新済みのアドレスを提供し、このアドレスはメモリタグT書き込みされてよい。
【0109】
制御部131は、いずれかのワークピースキャリアがフローバランシングコンベヤに到達するか検出し、衝突のリスクがあるか判別してよい。
【0110】
フローバランシングコンベヤに到達するワークピースキャリアがなく、FBCDX2へのキューが満載でない場合、制御部131は、切り替え機構Xを作動させ、ワークピースキャリアがフローバランシングコンベヤに入り、FBCDX2に移動することを許容する。
【0111】
切り替え機構は、好ましくは、電気的に作動する切り替え機構であってよい。つまり、切り替え機構を駆動するアクチュエータは、電動式である。アクチュエータの制御は、電気式、光学式、あるいは無線式である。
【0112】
代替の一つとして、制御部131のカウンタは、ワークピースキャリアがフローバランシングコンベヤに入ることを許容されたことを示すようにインクリメントされる。
【0113】
カウンタの代替として、各キューにおけるあらゆるワークピースキャリア位置でのワークピースキャリアの存在/不存在を感知する検出部を、フローバランシングコンベヤ上に設けてもよく、物理的な位置あるいはキューの長さを、フローバランシングコンベヤへ/フローバランシングコンベヤからワークピースキャリアを受け取るかあるいはリリースすべきかについての基準として採用してもよい。
【0114】
アドレスが、フローバランシングコンベヤの反対側に位置するオペレーションステーションに対応しない場合、ワークピースは分配ハイウェイコンベヤ上で継続して搬送されることが許容される。
【0115】
ワークピースがフローバランシングコンベヤ上のFBCDX1に到達すると、制御部131は、以下のように動作する。
【0116】
制御部は、どのDHCへと進むべきかを示す更新済みのアドレスを提供し、このアドレスはタグ書き込み部によってメモリタグTに書き込みされてよい。
【0117】
制御部は、分配ハイウェイコンベヤDHC1に到達するワークピースキャリアに、衝突のリスクがないことを確認する。
【0118】
制御部は、フローバランシングコンベヤによってワークピースキャリアが受け取られたことを示すかどうか、カウンタの状態を確認する。そうでない場合には、ワークピースキャリアは、フローバランシングコンベヤを去ることが許容されない。
【0119】
しかしながら、フローバランシングコンベヤでワークピースキャリアが受け取られている場合、そのワークピースキャリアは、分配ハイウェイコンベヤDHC1への移動が許容される。
【0120】
FBCDX2は、同様に動作する。
【0121】
従って、ワークピースキャリアは、それらが去ろうとする、FBCDXへのキューに空きがある限り、フローバランシングコンベヤへ進むことが許容される。しかしながら、別のワークピースキャリアが入る場合にのみ、ワークピースキャリアはフローバランシングコンベヤからリリースされる。
【0122】
積載されたワークピースキャリアは、典型的には、第1の分配ハイウェイコンベヤDHC1に到達し、空のワークピースキャリアは、第2の分配ハイウェイコンベヤDHC2に到達することが理解される。上記の方法によれば、積載されたワークピースキャリアは、同一の切り替え制御装置FBCDX2で受け取られた各空のワークピースキャリア毎に、第2の分配ハイウェイコンベヤDHC2へ入ることが許容される。
【0123】
同様に、空のワークピースキャリアは、同一の切り替え制御装置FBCDX1で受け取られた各積載されたワークピースキャリア毎に、第1の分配ハイウェイコンベヤDHC1へ入ることが許容される。
【0124】
上記のように、各制御部は、他のいかなる演算処理装置からも制御信号を受けず、自律式である。従って、正常運転中に、各制御部は、例えばワークピースキャリア検出部WD、タグ読み取り部TR、ワークピース存在検出部PD、あるいはキュー検出部QD等から検出部/センサ信号を受信し、それらの信号を処理して、例えば停止制御アクチュエータCDSあるいは切り替え制御アクチュエータCDX等のアクチュエータ、あるいはタグ書き込み部TWに制御信号を供給する。
【0125】
キュー検出部は、上記のように、フローバランシングコンベヤ上の、各キューにおける全ての各ワークピースキャリア位置における各ワークピースの存在/不存在を感知する検出器によって具現される点、理解されるところである。
【0126】
従って、各制御部は、少なくとも1セットの制御命令を含み、これは、例えばソフトウェアによって具現される。
【0127】
制御命令の各セット、つまり、各「プログラム」あるいは、「サブルーチン」は、1種以上のワークピースを扱うための命令を含んでよい。
【0128】
しかしながら、異なるセットの制御命令があってよく、それらは、コンフィグレーション処理を介して選択されてよく、選択はどのモードで制御装置を動作するかに基づいてなされる。当該選択は、各制御装置において手動で行われてもよく、あるいは以下に説明するフロー制御部を用いて行われてもよい。
【0129】
システムは、さらに、1つ以上のフロー制御部を備える。
【0130】
フロー制御部は、コンフィグレーションを提供するため、制御装置OUCDX、FBCDX、OSDCと通信可能な装置であり、どのオペレーションのセットを実行するかについての命令を制御装置へ送信する。
【0131】
従って、フロー制御部は、制御装置を制御せず、単にコンフィグレーションを提供するのみである。
【0132】
各制御装置は、動作の間にいかなる中央装置と制御データを送受信せずに、自律的に動作する。
【0133】
従って、プログラミングは、実際の制御ではなく、ネットワークを介してフロー制御部によって実行されてよい。
【0134】
これは、終了したオペレーション、エラー、警報等のオペレーションデータの通信を排除するものではない。
【0135】
フロー制御部は、従って、各制御部のどのコンフィギュレーションが達成されるかによって、ユーザインターフェイスを備えてもよい。
【0136】
システムは、さらに、フロー制御部及び/または制御装置からデータを集めるよう配置された1つ以上のネットワークゲートウエイを備えてよい。
【0137】
システムは、例えば第1のオペレーションユニットコンベヤOUC1において、1つ以上のローディングステーションを備え、ワークピースを形成する出発材料あるいは製品が、ワークピースをシステム内で搬送するワークピースキャリアに積載され得る。ローディングステーションは、自動式あるいは手動式のローディングステーションであってよい。従って、第1のオペレーションユニットコンベヤOUC1のオペレーションステーションOS1は、ローディングステーションであってよい。
【0138】
オペレーションステーションがローディングステーションを形成する場合、空のワークピースキャリアのアドレスは、ローディングステーションを形成する当該オペレーションステーションのアドレスであってよい。
【0139】
システムは、例えば最後のオペレーションユニットコンベヤOUC4において、1つ以上のアンローディングステーションを備えてよい。アンローディングステーションは、自動式あるいは手動式のアンローディングステーションであってよい。従って、最後のオペレーションユニットコンベヤOUC4におけるオペレーションステーションOS4は、ローディングステーションであってよい。
【0140】
オペレーションステーションがアンローディングステーションを形成する場合、ワークピースキャリアの最後のアドレス、つまり、ワークピースに作業を行う最後のオペレーションステーションに割り当てられるアドレスは、アンローディングステーションを形成する当該オペレーションステーションのアドレスであってよい。次に、アンローディングステーションは、空のワークピースキャリアに新たなアドレスを割り当ててよく、このアドレスは、ローディングステーションを形成するオペレーションステーションのアドレスであってもよい。
【0141】
ワークピース存在検出部は、ワークピースがワークピースキャリア上に実際に存在するかを検出するよう配置されたセンサであってよい。当該検出部は、ワークピースが存在しない状態でオペレーションが試みられた場合に生じ得るダメージを防止するために用いられる。
【0142】
ワークピース存在検出部は、特にオペレーションステーションにおいて有用である。
【0143】
検出は、重量センサ、光線、機械式切り替えあるいはカメラを用いるような任意の公知の検出機構であってよい。
【0144】
本明細書に開示した原理は、数百の機械、従って数百のOUC、DHC、及びFBCを備えるコンベヤシステムに適用可能である。