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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】エレベータの利用者検知システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20220118BHJP
   B66B 13/26 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
B66B3/00 L
B66B3/00 M
B66B13/26 F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019086118
(22)【出願日】2019-04-26
(65)【公開番号】P2020179995
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2019-04-26
【審判番号】
【審判請求日】2020-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野田 周平
(72)【発明者】
【氏名】横井 謙太朗
(72)【発明者】
【氏名】木村 紗由美
(72)【発明者】
【氏名】田村 聡
【合議体】
【審判長】間中 耕治
【審判官】中村 大輔
【審判官】内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-255404(JP,A)
【文献】特開2018-158842(JP,A)
【文献】特開2012-20823(JP,A)
【文献】特開2016-102023(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00
B66B 13/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかご内に設置され、超広角レンズを有し、上記乗りかご内と上記乗りかごの出入口付近の乗場を撮影可能な撮像手段と、
この撮像手段によって撮影された画像上で上記乗りかご内と上記乗場のそれぞれに少なくとも2つ以上の検知エリアを上記乗りかご内と上記乗場とで重ならないように設定する検知エリア設定手段と、
この検知エリア設定手段によって設定された検知エリア毎に上記検知エリア内の画像を解析処理し、上記乗りかごの運転動作に関連した検知処理を実行する検知処理手段と、
この検知処理手段の検知結果に基づいて、上記検知エリア毎に異なる対応処理を実行し、上記対応処理として、少なくとも上記乗りかごの運転制御と上記乗りかごのドアの開閉制御を含む制御手段と
を具備したことを特徴とするエレベータの利用者検知システム。
【請求項2】
上記乗りかごの運転動作に関連した検知処理には、上記乗りかごの戸開動作中あるいは戸閉動作中における利用者または物の検知処理が含まれることを特徴とする請求項1記載のエレベータの利用者検知システム。
【請求項3】
上記乗りかごの運転動作に関連した検知処理には、上記乗りかごの昇降動作中における利用者または物の検知処理が含まれることを特徴とする請求項1記載のエレベータの利用者検知システム。
【請求項4】
上記乗りかごの運転動作に関連した検知処理には、上記乗りかごの停止中における利用者または物の検知処理が含まれることを特徴とする請求項1記載のエレベータの利用者検知システム。
【請求項5】
上記検知エリア設定手段は、
少なくとも、上記乗りかごの床面に第1の検知エリアと上記乗りかごのドア近傍に第2の検知エリアを設定し、
上記検知処理手段は、
上記第1の検知エリアの画像に基づいて、上記乗りかご内の利用者の乗車状況を検知し、
上記第2の検知エリアの画像に基づいて、上記乗りかごのドアへの利用者の挟まれを事前に検知することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のエレベータの利用者検知システム。
【請求項6】
上記検知エリア設定手段は、
少なくとも、上記乗りかごの出入口周辺の乗場に第3の検知エリアと上記乗場の上記乗りかごの出入口近傍に第4の検知エリアを設定し、
上記検知処理手段は、
上記第3の検知エリアの画像に基づいて、上記乗場の利用者の待ち状況を検知し、
上記第4の検知エリアの画像に基づいて、上記乗りかごの出入口に接近する利用者を検知することを特徴とする請求項1または2に記載のエレベータの利用者検知システム。
【請求項7】
上記撮像手段は、
上記乗りかごの出入口上部に設置されることを特徴とする請求項1記載のエレベータの利用者検知システム。
【請求項8】
上記対応処理には、上記乗りかご内の利用者に注意を喚起する通知処理が含まれることを特徴とする請求項1記載のエレベータの利用者検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータの利用者検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータの乗りかご内や乗場にカメラを設置しておき、これらのカメラで撮影した画像に基づいて利用者の乗降動作や乗場の待ち人数を検知してエレベータの運転制御に反映させるシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許5274386号公報
【文献】特開2002-293484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したシステムの多くは、カメラの撮影画像を用いて単一の検知機能を実現するものであり、複数の異なる検知機能を実現するためには、センシング対象となるエリア毎にカメラを必要とする。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、1台のカメラで複数の検知機能を実現することのできるエレベータの利用者検知システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係るエレベータの利用者検知システムは、撮像手段と、検知エリア設定手段と、検知処理手段と、制御手段とを備える。上記撮像手段は、乗りかご内に設置され、超広角レンズを有し、上記乗りかご内と上記乗りかごの出入口付近の乗場を撮影する。上記検知エリア設定手段は、この撮像手段によって撮影された画像上で上記乗りかご内と上記乗場のそれぞれに少なくとも2つ以上の検知エリアを上記乗りかご内と上記乗場とで重ならないように設定する。上記検知処理手段は、この検知エリア設定手段によって設定された検知エリア毎に上記検知エリア内の画像を解析処理し、上記乗りかごの運転動作に関連した検知処理を実行する。上記制御手段は、この検知処理手段の検知結果に基づいて、上記検知エリア毎に異なる対応処理を実行し、上記対応処理として、少なくとも上記乗りかごの運転制御と上記乗りかごのドアの開閉制御を含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は一実施形態に係るエレベータの利用者検知システムの構成を示す図である。
図2図2は同実施形態における乗りかご内の出入口周辺部分の構成を示す図である。
図3図3は同実施形態におけるカメラの撮影画像の一例を示す図である。
図4図4は上記撮影画像に設定される複数の検知エリアを説明するための図である。
図5図5は同実施形態における実空間での座標系を説明するための図である。
図6図6は同実施形態における利用者検知システムの全体の処理の流れを示すフローチャートである。
図7図7図6のステップS15で実行される検知処理の動作を示すフローチャートである。
図8図8は同実施形態における検知エリアE1に応じた検知処理を説明するための図である。
図9図9は同実施形態における検知エリアE2に応じた検知処理を説明するための図である。
図10図10は同実施形態における片開きタイプのかごドアが用いられた乗りかご内の出入口周辺部分の構成を示す図である。
図11図11は上記片開きタイプのかごドアの開閉動作を説明するための図である。
図12図12は同実施形態における検知エリアE3に応じた検知処理を説明するための図である。
図13図13は同実施形態における検知エリアE4に応じた検知処理を説明するための図である。
図14図14図6のステップS17で実行される対応処理の動作を示すフローチャートである。
図15図15は応用例としてエレベータの群管理システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
【0009】
図1は一実施形態に係るエレベータの利用者検知システムの構成を示す図である。なお、ここでは、1台の乗りかごを例にして説明するが、複数台の乗りかごでも同様の構成である。
【0010】
乗りかご11の出入口上部にカメラ12が設置されている。具体的には、カメラ12は、乗りかご11の出入口上部を覆う幕板11aの中にレンズ部分を直下方向に向けて設置される。カメラ12は、例えば魚眼レンズ等の超広角レンズを有し、180度以上の視野角で乗りかご11内を含む撮影対象を広範囲に撮影する。カメラ12は、1秒間に数コマ(例えば30コマ/秒)の画像を連続的に撮影可能である。
【0011】
なお、カメラ12の設置場所は、かごドア13付近であれば、乗りかご11の出入口上部でなくても良い。例えば、乗りかご11の出入口に近い天井面など、乗りかご11内の床面全域を含むかご室内全体と戸開時に出入口付近の乗場15を撮影可能な場所であれば良い。
【0012】
各階の乗場15において、乗りかご11の到着口には乗場ドア14が開閉自在に設置されている。乗場ドア14は、乗りかご11の到着時にかごドア13に係合して開閉動作する。なお、動力源(ドアモータ)は乗りかご11側にあり、乗場ドア14はかごドア13に追従して開閉するだけである。以下の説明においては、かごドア13を戸開している時には乗場ドア14も戸開しており、かごドア13が戸閉している時には乗場ドア14も戸閉しているものとする。
【0013】
カメラ12によって連続的に撮影された各画像(映像)は、画像処理装置20によってリアルタイムに解析処理される。なお、図1では、便宜的に画像処理装置20を乗りかご11から取り出して示しているが、実際には、画像処理装置20はカメラ12と共に幕板11aの中に収納されている。
【0014】
画像処理装置20には、記憶部21と検知部22とが備えられている。記憶部21は、カメラ12によって撮影された画像を逐次保存すると共に、検知部22の処理に必要なデータを一時的に保存しておくためのバッファエリアを有する。なお、記憶部21には、撮影画像に対する前処理として、歪み補正や拡大縮小、一部切り取り等の処理が施された画像が保存されるとしても良い。
【0015】
検知部22は、カメラ12の撮影画像を用いて乗りかご11内や乗場15にいる利用者を検知する。この検知部22を機能的に分けると、検知エリア設定部22a、検知処理部22bで構成される。
【0016】
検知エリア設定部22aは、カメラ12の撮影画像上で、利用者(エレベータを利用する人)または物を検知するための少なくとも2つ以上の検知エリアを設定する。ここで言う「物」とは、例えば利用者の衣服や荷物、さらに車椅子等の移動体を含む。さらに、例えばかご内の操作ボタンやランプ、表示機器等、エレベータ設備に関係する機器類も含まれる。なお、検知エリアの設定方法については、後に図3および図4を参照して詳しく説明する。
【0017】
検知処理部22bは、この検知エリア設定部22aによって設定された検知エリア毎に乗りかご11の運転動作に関連した検知処理を実行する。「乗りかご11の運転動作に関連した検知処理」とは、乗りかご11の戸開閉などの運転状態に応じて、利用者や物を検知する処理のことであり、乗りかご11の戸開動作中あるいは戸閉動作中、昇降動作中、運転停止中のいずれか少なくとも1つ以上の運転状態が含まれる。この検知処理についても、後に図3および図4を参照して詳しく説明する。
【0018】
なお、画像処理装置20の一部あるいは全部の機能をエレベータ制御装置30に持たせることでも良い。
【0019】
エレベータ制御装置30は、乗りかご11に設置される各種機器類(行先階ボタンや照明等)の動作を制御する。また、エレベータ制御装置30は、運転制御部31と戸開閉制御部32と通知部33とを備える。運転制御部31は、乗りかご11の運転制御を行う。戸開閉制御部32は、乗りかご11が乗場15に到着したときのかごドア13の戸開閉を制御する。詳しくは、戸開閉制御部32は、乗りかご11が乗場15に到着したときにかごドア13を戸開し、所定時間経過後に戸閉する。
【0020】
ここで、例えばかごドア13の戸開動作中に検知処理部22bによって利用者または物が検知された場合には、戸開閉制御部32は、ドア事故(戸袋への引き込まれ事故)を回避するための戸開閉制御を行う。具体的には、戸開閉制御部32は、かごドア13の戸開動作を一時停止するか、逆方向(戸閉方向)に動かす、あるいは、かごドア13の戸開速度を遅くする。通知部33は、検知処理部22bによって検知結果に基づいて、乗りかご11内の利用者に注意を喚起する。
【0021】
図2は乗りかご11内の出入口周辺部分の構成を示す図である。
乗りかご11の出入口にかごドア13が開閉自在に設けられている。図2の例では2枚戸両開きタイプのかごドア13が示されており、かごドア13を構成する2枚のドアパネル13a,13bが間口方向(水平方向)に沿って互いに逆方向に開閉動作する。なお、「間口」とは、乗りかご11の出入口と同じである。
【0022】
乗りかご11の出入口の両側に正面柱41a,41bが設けられており、幕板11aと共に乗りかご11の出入口を囲っている。「正面柱」は、出入口柱あるいは出入口枠とも言い、裏側にはかごドア13を収納するための戸袋が設けられているのが一般的である。図2の例では、かごドア13が戸開したときに、一方のドアパネル13aが正面柱41aの裏側に設けられた戸袋42aに収納され、他方のドアパネル13bが正面柱41bの裏側に設けられた戸袋42bに収納される。
【0023】
正面柱41a,41bの一方あるいは両方に表示器43や、行先階ボタン44などが配設された操作盤45、スピーカ46が設置されている。図2の例では、正面柱41aにスピーカ46、正面柱41bに表示器43、操作盤45が設置されている。
【0024】
ここで、乗りかご11の出入口上部の幕板11aの中央部に、魚眼レンズ等の超広角レンズを有するカメラ12が設置されている。
【0025】
図3はカメラ12の撮影画像の一例を示す図である。かごドア13(ドアパネル13a,13b)と乗場ドア14(ドアパネル14a,14b)が全開した状態で、乗りかご11の出入口上部から180度以上の視野角でかご室内全体と出入口付近の乗場15を撮影した場合を示している。上側は乗場15、下側は乗りかご11内である。
【0026】
乗場15において、乗りかご11の到着口の両側に三方枠17a,17bが設けられており、その三方枠17a,17bの間の床面16に所定の幅を有する帯状の乗場シル18が乗場ドア14の開閉方向に沿って配設されている。また、乗りかご11の床面19の出入口側に所定の幅を有する帯状のかごシル47がかごドア13の開閉方向に沿って配設されている。
【0027】
ここで、撮影画像に写されている乗りかご11内と乗場15に対して、利用者または物は物を検知するための検知エリアE1~E4が設定される。
【0028】
・検知エリアE1は、乗りかご11内における利用者の乗車状態(利用者の乗車位置、乗車人数等)を検知するためのエリア(乗車検知エリア)であり、少なくとも床面19の全域に設定される。なお、この検知エリアE1に、かご室内を囲む正面柱41a,41b、側面48a,48b、背面49を含めることでも良い。
【0029】
具体的には、図4に示すように、検知エリアE1は、床面19の横幅W1,縦幅W2に合わせて設定される。また、検知エリアE1は、正面柱41a,41b、側面48a,48b、背面49に対して、床面19から高さh1の位置まで設定される。高さh1は、任意である。
【0030】
・検知エリアE2-1,E2-2は、戸開動作中における利用者のドア挟まれを事前に検知するためのエリア(ドア挟まれ検知エリア)であり、正面柱41a,41bの内側側面41a-1,41b-1に設定される。
【0031】
具体的には、図4に示すように、検知エリアE2-1,E2-2は、正面柱41a,41bの内側側面41a-1,41b-1の幅方向に所定の幅D1,D2を有して帯状に設定される。上記幅D1,D2は、例えば内側側面41a-1,41b-1の横幅(短手方向の幅)と同じか、あるいは、若干小さく設定される。上記幅D1,D2と同じ値でも、異なる値でも良い。また、検知エリアE2-1,E2-2は、床面19から高さh2の位置まで設定される。高さh2は、任意であり、h1と同じ値でも、異なる値でも良い。
【0032】
・検知エリアE3は、乗場15の状況(利用者の待ち位置、待ち人数等)を検知するためのエリア(乗場状況検知エリア)であり、乗りかご11の出入口周辺に設定される。
【0033】
具体的には、図4に示すように、検知エリアE3は、乗りかご11の出入口から乗場15の方向に所定の距離L1を有して設定される。図中のW0は出入口の横幅である。なお、検知エリアE3の形状はW0と同等あるいはW0以上の横方向(X方向)のサイズを有する矩形であっても良いし、三方枠17a,17bの死角を除いた台形であっても良い。また、検知エリアE3の縦方向(Y方向)および横方向(X方向)のサイズは、固定であっても良いし、かごドア13の開閉動作に合わせて動的に変更されるものであっても良い。
【0034】
・検知エリアE4は、乗場15から乗りかご11に接近中の利用者または物を検知するためのエリア(接近検知エリア)であり、乗場15の乗りかご11の出入口近くに設定される。
【0035】
具体的には、図4に示すように、検知エリアE4は、乗りかご11の出入口から乗場15の方向に所定の距離L2を有して設定される(L1>L2)。検知エリアE3の形状はW0と同等あるいはW0以上の横方向(X方向)のサイズを有する矩形であっても良いし、三方枠17a,17bの死角を除いた台形であっても良い。検知エリアE4は、検知エリアE3に含まれ、かごドア13の開閉動作に合わせて、検知エリアE3と連動して動的に変更されるものであっても良い。
【0036】
なお、図3では、撮影画像上で4つの検知エリアE1~E4を設定した例を示したが、さらに細かく検知エリアを設定することでも良い。例えば、かごシル47に沿って検知エリアを設定しておくでも良い。この検知エリアは、かごドア13が2枚戸両開きタイプの場合に、戸閉動作中におけるドア間挟まれを事前に検知するためのエリアとして用いられる。また、例えば図2に示した乗りかご11内の操作盤45に検知エリアを設定しておき、操作盤45上の各種ボタンの状態を検知する構成としても良い。
【0037】
検知エリア設定部22aは、乗りかご11の各構成部の設計値やカメラ12に固有のパラメータ値に基づいて撮影画像の3次元座標計算を行い、撮影画像上のどこに何が映っているのかを判定して、検知対象とする場所に検知エリアを設定する。
【0038】
3次元座標とは、図5に示すように、かごドア13と水平の方向をX軸とし、かごドア13の中心から乗場15の方向(かごドア13に対して垂直の方向)をY軸とし、乗りかご11の高さ方向をZ軸とした場合の座標である。
【0039】
次に、本システムの動作について詳しく説明する。
図6は本システムにおける全体の処理の流れを示すフローチャートである。
【0040】
まず、初期設定として、画像処理装置20に備えられた検知部22の検知エリア設定部22aによって検知エリア設定処理が実行される(ステップS11)。この検知エリア設定処理は、例えばカメラ12を設置したとき、あるいは、カメラ12の設置位置を調整したときに、以下のようにして実行される。
【0041】
すなわち、検知エリア設定部22aは、カメラ12によって撮像された画像上で、図3に示した複数の検知エリアE1~E4を設定する。上述したように、検知エリアE1は、「乗車状況検知エリア」として用いられ、少なくとも床面19の全域に設定され、かご室内を囲む正面柱41a,41b、側面48a,48b、背面49を含めて設定されることでも良い。
【0042】
検知エリアE2-1,E2-2は、「ドア挟まれ検知エリア」として用いられ、正面柱41a,41bの内側側面41a-1,41b-1に設定される。検知エリアE3は、「乗場状況検知エリア」として用いられ、乗りかご11の出入口から乗場15の方向に向けて設定される。検知エリアE4は、「接近検知エリア」として用いられ、乗りかご11の出入口近くに設定される。
【0043】
撮影画像上で床面19や正面柱41a,41b、さらに乗場15などが映る領域は、乗りかご11の各構成部の設計値や、カメラ12の固有値に基づいて算出される。
【0044】
・間口の幅(かごの出入口の横幅)
・ドアの高さ
・柱の幅
・ドアのタイプ(両開き/右側あるいは左側の片開き)
・床や壁の面積
・間口に対するカメラの相対位置(3次元)
・カメラの角度(3軸)
・カメラの画角(焦点距離)
検知エリア設定部22aは、これらの値に基づいて撮影画像上で検知対象が映る領域を算出する。例えば、正面柱41a,41bであれば、検知エリア設定部22aは、間口(出入口)の両端から垂直に正面柱41a,41bが立っていると仮定し、間口に対するカメラ12の相対位置・角度・画角を基に正面柱41a,41bの3次元座標を算出する。
【0045】
なお、例えば図4に示すように、かごシル47のかご内側の両端にマーカm1,m2をそれぞれに置いておき、そのマーカm1,m2の位置を基準にして正面柱41a,41bの3次元座標を求めても良い。あるいは、かごシル47のかご内側の両端部の位置を画像処理によって求め、その位置を基準にして正面柱41a,41bの3次元座標を求めても良い。
【0046】
検知エリア設定部22aは、正面柱41a,41bの3次元座標を撮影画像上の2次元座標に投影して、撮影画像上における正面柱41a,41bが映る領域を求め、当該領域内で検知エリアE2-1,E2-2を設定する。詳しくは、検知エリア設定部22aは、正面柱41a,41bの内側側面41a-1,41b-1の長手方向に沿って所定の幅D1,D2を有する検知エリアE2-1,E2-2を設定する。
【0047】
検知エリアE2-1,E2-2の設定処理は、かごドア13を戸開した状態で実行しても良いし、かごドア13を戸閉した状態で実行しても良い。かごドア13を戸閉した状態の方がカメラ12の撮影画像に乗場15が映り込まない分、検知エリアE2-1,E2-2を設定しやすい。
【0048】
なお、通常、かごシル47の横幅(短手方向の幅)はかごドア13の厚みよりも広い。このため、かごドア13が全閉状態にあっても、かごシル47の一端側が撮影画像に映り込んでいる。したがって、その一端側の位置を基準に正面柱41a,41bの位置を特定して、検知エリアE2-1,E2-2を設定することができる。
【0049】
その他の検知エリアE1,E3,E4についても同様であり、乗りかご11の各構成部の設計値や、カメラ12の固有値に基づいて撮影画像上で検知対象が映る各領域を求め、これらの領域内で検知エリアE1,E3,E4を設定する。
【0050】
続いて、乗りかご11の運転時の動作について説明する。
図6に示すように、乗りかご11が任意の階の乗場15に到着すると(ステップS12のYes)、エレベータ制御装置30は、かごドア13を戸開する(ステップS13)。
【0051】
このとき(かごドア13の戸開動作中)、超広角レンズを有するカメラ12によって乗りかご11内と乗場15が所定のフレームレート(例えば30コマ/秒)で撮影される。画像処理装置20は、カメラ12で撮影された画像を時系列で取得し、これらの画像を記憶部21に逐次保存しながら(ステップS14)、以下のような検知処理をリアルタイムで実行する(ステップS15)。なお、撮影画像に対する前処理として、歪み補正や、拡大縮小、画像の一部の切り取りなどを行っても良い。
【0052】
図7に上記ステップS15で実行される検知処理に関するフローチャートを示す。
検知処理は、画像処理装置20に備えられた検知部22の検知処理部22bによって検知エリア毎に実行される。すなわち、検知処理部22bは、カメラ12によって時系列で得られる複数の撮影画像から検知エリアE1~E4内の画像をそれぞれ抽出することにより、これらの画像を解析処理して各検知エリアE1~E4に応じた検知処理を行う。
【0053】
(a)検知エリアE1に応じた検知処理
図8に示すように、検知処理部22bは、乗りかご11の床面19に設定された検知エリアE1内の画像を解析処理して、乗りかご11内における利用者の乗車位置や乗車人数等を含む乗車状況を検知する(ステップS21)。
【0054】
図8のP1~P5は利用者の画像を模擬的に表している。なお、乗車位置については、利用者一人一人の正確な位置でなく、例えば乗りかご11の床面19で利用者が集中している場所を検知することでも良い。また、乗車人数についても、正確な人数ではなく、例えば乗りかご11の床面19に対して利用者が占める割合をかご内の混雑度として検知することでも良い。
【0055】
このように、検知エリアE1内の画像を用いて乗車状況を検知することで、例えばかごドア13前に利用者が集中しているような場合に、乗りかご11内の利用者に対して奥に詰めるようにガイダンスすることができる。また、多数の利用者が乗車して混雑状況にある場合に、当該乗りかご11に対する乗場呼びの割り当てを抑制するなどの運転制御を行うことができる。
【0056】
また、図3に示したように、かご室内を囲む正面柱41a,41b、側面48a,48b、背面49を含めて検知エリアE1を設定しておくことで、例えば利用者が正面柱41a,41bに接触している状況など、乗りかご11内における利用者の乗車状況をより詳細に検知することができる。
【0057】
なお、画像を解析処理して利用者または物を検知する方法については、例えば基本画像と撮影画像とを比較する差分法の他、利用者または物の動きをブロック単位で追従していく動き検知方法などがある。その他の方法として、検知エリア内の画像からエレベータ構造物以外の物体を認識し、その認識結果に基づいて利用者または物の存在を判断することでも良い。物体認識の手法は一般に知られているもので良い。例えば、ディープラーニングやSVM(Support Vector Machine)、ランダムフォレストなどがある。
【0058】
(b)検知エリアE2に応じた検知処理
検知処理部22bは、正面柱41a,41bの内側側面41a-1,41b-1に設定された検知エリアE2-1,E2-2内の画像を解析処理して、戸開時にかごドア13への挟まれ検知を行う(ステップS22)。ここで言う「かごドア13への挟まれ検知」とは、2枚戸両開きタイプのかごドア13において、戸開時に利用者が戸袋42a,42bへの引き込まれることを事前に検知することである。すなわち、例えば図9に示すように、戸開時に利用者が正面柱41aの内側側面41a-1に手をついたときに、その手が戸袋42aに引き込まれる前に検知することである。
【0059】
なお、図10に示すような片開きタイプであっても同様である。
図10は2枚戸片開きタイプのかごドアが用いられた乗りかご内の出入口周辺部分の構成を示す図である。この例では、乗りかご11の出入口に2枚戸片開きタイプのかごドア13が開閉自在に設置されている。かごドア13は、図11に示すように2枚のドアパネル13a,13bを有し、これらが間口方向に沿って同じ方向に開閉動作する。
【0060】
かごドア13が片開きタイプの場合、戸袋42aが出入口の片側だけに設けられる。図10の例では、出入口の左側に戸袋42aが設けられており、戸開時に2枚のドアパネル13a,13bが戸袋42aの中に重なった状態で収納される。
【0061】
この場合、カメラ12は超広角レンズを有して広範囲に撮影できるため、戸袋42a側に寄せておく必要はなく、出入口の中央部で設置されていれば良い。このカメラ12で撮影された画像上で戸袋42a側の正面柱41aに対して検知エリアE2-1を設定しておく。これにより、例えば利用者の手が戸袋42aの近くにある場合に、検知エリアE2-1内の画像からその状態を検知できる。
【0062】
なお、図10において、他方の正面柱41bに対しても検知エリアE2-2を設定しておけば、戸閉時にかごドア13の側端部が当たる事故(戸当たり事故)を未然に防ぐことができる。
【0063】
(c)検知エリアE3に応じた検知処理
図12に示すように、検知処理部22bは、乗場15の周辺に設定された検知エリアE3内の画像を解析処理して、乗場15における利用者の待ち位置、待ち人数等を含む乗場状況を検知する(ステップS23)。
【0064】
図12のP1~P4は利用者の画像を模擬的に表している。なお、待ち位置については、利用者一人一人の正確な位置でなく、利用者が集中している場所を検知することでも良い。また、待ち人数についても、正確な人数ではなく、例えば検知エリアE3内で乗りかご11の床面19に対して利用者が占める割合を乗場15の混雑度として検知することでも良い。
【0065】
このように、検知エリアE3内の画像を用いて乗場状況を検知することで、例えば乗場15に多数の利用者が待っていた場合に、少しでも多くの利用者を乗車させるために、乗りかご11内の利用者に対して奥に詰めるようにガイダンスすることができる。
【0066】
(d)検知エリアE4に応じた検知処理
検知処理部22bは、乗場15の乗りかご11の出入口近くに設定された検知エリアE4内の画像を解析処理して、戸開時に乗場15から乗りかご11に接近中の利用者または物を検知する(ステップS24)。
【0067】
詳しくは、検知処理部22bは、カメラ12から時系列で得られる各画像について、検知エリアE4内の画像をブロック単位で比較することで、かごドア13の中心から乗場15の方向、つまりY軸方向に移動中の利用者の足元位置の動きを検知する。
【0068】
この様子を図13に示す。
図13は画像比較による動き検知を説明するための図である。図13(a)は時間tで撮影された画像の一部、同図(b)は時間tn+1で撮影された画像の一部を模式的に示している。図中のP1,P2は撮影画像上で動きありとして検知された利用者の画像部分であり、実際には画像比較によって動きありとして検知されたブロックの集合体である。
【0069】
画像部分P1,P2の中でかごドア13に最も近い動きありのブロックBxを抽出し、そのブロックBxのY座標を追うことで乗車意思の有無を判定する。この場合、Y軸方向に点線で示すような等距離線(かごドア13と平行な等間隔の水平線)を引けば、ブロックBxとかごドア13とのY軸方向の距離が分かる。
【0070】
図13の例では、かごドア13に最も近い動きありのブロックBxの検知位置がy→yn-1に変化しており、乗車意思を有する利用者がかごドア13に近づいてくることがわかる。
【0071】
その他、例えば検知エリア毎に利用者の移動軌跡や利用者の属性(車椅子、ベビーカー、高齢者等)を検知する処理を加えることでも良い。
【0072】
図6に戻って、検知エリア毎に検知処理が実行されると、これらの検知処理の結果が画像処理装置20からエレベータ制御装置30に対して出力される(ステップS16)。エレベータ制御装置30は、検知エリア毎の検知結果を受信することにより、それぞれの検知結果に応じた対応処理を実行する(ステップS17)。
【0073】
上記ステップS17で実行される対応処理は、検知エリア毎に異なり、例えば検知エリアE1であれば、乗りかご11内の乗車状況に応じた処理である。具体的には、例えばかごドア13前に利用者が集中しているような場合に、エレベータ制御装置30は、通知部33を通じて乗りかご11内の利用者に対して奥に詰めるようにガイダンスするなどである。また、多数の利用者が乗車して混雑状況にある場合に、エレベータ制御装置30は、運転制御部31を通じて当該乗りかご11に対する乗場呼びの割り当てを抑制するなどの運転制御を行う。
【0074】
一例として、検知エリアE2-1,E2-2内で利用者または物が検知された場合の対応処理について、図14を参照して説明する。
【0075】
かごドア13の戸開動作中に、正面柱41a,41bの内側側面41a-1,41b-1に設定された検知エリアE2-1,E2-2内で利用者または物の存在が検知されると(ステップS31のYes)、エレベータ制御装置30の戸開閉制御部32は、かごドア13の戸開動作を一時停止し、数秒後にその停止位置から戸開動作を再開する(ステップS32)。なお、かごドア13の戸開速度を通常より遅くすることや、あるいは、かごドア13を逆方向(戸閉方向)に若干移動させてから戸開動作を再開することでも良い。
【0076】
また、エレベータ制御装置30の通知部33は、乗りかご11内のスピーカ46を通じて音声アナウンスを行い、利用者に対して戸袋42a,42bから離れるように注意を喚起する(ステップS33)。なお、通知の方法は音声アナウンスに限らず、例えば「戸袋の近くは危険ですので、すぐに離れて下さい。」といったようなメッセージを表示することでも良いし、音声アナウンスとメッセージ表示を併用することでも良い。さらに、警告音を鳴らすことでも良い。
【0077】
検知エリアE2-1,E2-2内で利用者または物の存在が検知されている間、上記処理が繰り返される。これにより、例えば利用者が戸袋42aの近くに手を置いている場合に、戸袋42aに引き込まれることを未然に防ぐことができる。
【0078】
検知エリアE2-1,E2-2内で利用者または物の存在が検知されなかった場合には(ステップS31のNo)、エレベータ制御装置30はかごドア13の全戸開後に戸閉動作を行い、戸閉完了後に乗りかご11を目的階に向けて出発させる(ステップS34)。
【0079】
なお、検知エリアE2-1,E2-2内で利用者または物の存在が検知されなくても、例えば検知エリアE4で利用者の接近が検知されていれば、エレベータ制御装置30は、利用者が乗りかご11に乗車するまでの間、戸開状態を維持するか、あるいは、かごドア13の戸開速度を通常より遅くするなどの対応処理を実行する。つまり、エレベータ制御装置30は、各検知エリアE1~E4で得られる検知結果に基づいて、それぞれの検知結果に応じた対応処理を行う。
【0080】
さらに、乗りかご11が各階の乗場15に停止したときに、検知エリアE3,E4で利用者の移動を追跡することで、各階毎に乗りかご11に乗車する利用者の人数(乗車人数)や乗りかご11から降車する人数(降車人数)を検知することができ、その検知結果を乗りかご11の運転制御に反映させることができる。
【0081】
なお、図6のフローチャートでは、乗りかご11の戸開動作中にエリア毎に検知処理を行う場合を想定して説明したが、乗りかご11の戸閉動作中でも同様である。すなわち、戸閉動作中に検知エリアE1~E4毎に検知処理を行い、その検知結果に応じた対応処理を実行する。これにより、例えばかごドア13が閉まりかけている途中で、検知エリアE3で利用者が検知された場合に、かごドア13をリオープンして利用者を乗車させることができる。
【0082】
また、乗りかご11の昇降動作中(移動中)でも適用可能である。この場合、乗りかご11内に設定された検知エリアE1,E2が検知対象となり、乗りかご11の昇降動作中(移動中)にこれらのエリア毎に検知処理を行い、その検知結果に応じた対応処理を実行すれば良い。
【0083】
さらに、何らかの原因で乗りかご11の運転が停止しているときでも適用可能である。この場合も乗りかご11内に設定された検知エリアE1,E2が検知対象となる。例えば地震により、乗りかご11が戸閉状態で緊急停止していたときに、乗りかご11の床面19に設定された検知エリアE1内の画像から利用者の乗車人数等を検知して、図示せぬ監視センターに発報すれば、かご内閉じ込め事故に対して迅速に対応することができる。
【0084】
このように本実施形態によれば、超広角レンズを有するカメラを用いて、そのカメラの撮影画像上で複数の検知エリアを設定し、それぞれに異なる検知処理を行う構成により、複数台のカメラを必要とせずに、1台のカメラだけで複数の検知機能を実現できる。これにより、安価で簡易な構成で、エレベータの安全性や利便性を高めることができる。
【0085】
(応用例)
上記実施形態では、1台の乗りかごを例にして説明したが、複数台の乗りかごを有するエレベータの群管理システムに対しても適用できる。
【0086】
図15はエレベータの群管理システムの構成を示す図であり、複数台(ここではA~D号機の4台)の乗りかごが群管理された構成が示されている。
【0087】
各号機の乗りかご51a~51dには、図1に示した乗りかご11と同様に、魚眼レンズ等の超広角レンズを有するカメラ12a~12dがそれぞれに設置されている。カメラ12aは、乗りかご51a内を撮影すると共に戸開時には乗りかご51aの出入口付近の乗場を撮影して、その撮影画像を画像処理装置20aに送る。カメラ12b~12dについても同様であり、それぞれに乗りかご51b~51d内を撮影すると共に戸開時には乗りかご51b~51dの出入口付近の乗場を撮影して、その撮影画像を画像処理装置20b~20dに送る。
【0088】
画像処理装置20a~20dは、図1に示した画像処理装置20と同様に、撮影画像上で複数の検知エリアを設定すると共に、これらの検知エリア毎に検知処理を実行する機能を備える。
【0089】
ここで、各号機のエレベータ制御装置30a~30dでは、それぞれに画像処理装置20a~20dから得られるエリア毎の検知結果に基づいて戸開閉制御を行うが、さらに上位装置である群管理制御装置50において、例えば下記のような制御を行うようにしても良い。
【0090】
(1)乗場呼びに対する割当制御
新たな乗場呼びが発生した際に、画像処理装置20a~20dから検知結果として出力される乗車人数(混雑度)に基づいて、各号機の乗りかご51a~51dの中で比較的空いている乗りかごに当該乗場呼びを割り当てる。
【0091】
(2)乗りかごの休止
画像処理装置20a~20dから検知結果として出力される乗りかごの状況に応じて、何らかの異常が発生している乗りかごの運転を休止制御する。
【0092】
(3)特定階での乗りかごの待機
画像処理装置20a~20dから検知結果として出力される利用者の有無に基づいて、利用者が乗車していない乗りかごを特定階に待機させておく。特定階とは、利用者の乗車頻度の高い基準階などが含まれる。
【0093】
以上述べた少なくとも1つの実施形態によれば、1台のカメラで複数の検知機能を実現することのできるエレベータの利用者検知システムを提供することができる。
【0094】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0095】
11…乗りかご51a…幕板、12…カメラ、13…かごドア、14…乗場ドア、15…乗場、16…乗場の床面、17a,17b…三方枠、18…乗場シル、19…乗りかごの床面、20…画像処理装置、21…記憶部、22…検知部、22a…検知エリア設定部、22b…検知処理部、30…エレベータ制御装置、31…運転制御部、32…戸開閉制御部、33…通知部、41a,41b…正面柱、41a-1,41b-1…正面柱の内側側面、42a,42b…戸袋、43…表示器、44…行先階ボタン、45…操作盤、46…スピーカ、47…かごシル、48a,48b…側面、49…背面、50…群管理制御装置、E1~E4…検知エリア。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15