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特許7009453生体内デバイス用のコンパクトヘリカルアンテナ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】生体内デバイス用のコンパクトヘリカルアンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 11/08 20060101AFI20220118BHJP
   H01Q 9/27 20060101ALI20220118BHJP
   H01Q 1/24 20060101ALI20220118BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
H01Q11/08
H01Q9/27
H01Q1/24 Z
A61B1/00 C
A61B1/00 682
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019513941
(86)(22)【出願日】2017-08-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 IL2017050938
(87)【国際公開番号】W WO2018051328
(87)【国際公開日】2018-03-22
【審査請求日】2020-06-29
(31)【優先権主張番号】62/393,877
(32)【優先日】2016-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/521,739
(32)【優先日】2017-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506203914
【氏名又は名称】ギブン イメージング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GIVEN IMAGING LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハイト,セミオン
(72)【発明者】
【氏名】ディウクマン,イド
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-268692(JP,A)
【文献】特開2006-280940(JP,A)
【文献】特開2008-135808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00- 1/32
H01Q 1/24
H01Q 9/04
H01Q 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のループアンテナと、
複数の印刷回路基板層を含む多層印刷回路基板であって、各印刷回路基板層は周辺ループアンテナを含み、前記多層印刷回路基板は複数の接続ブリッジを含み、各接続ブリッジは2つの周辺ループアンテナを電気的に接続してモノポールアンテナとして機能する、前記多層印刷回路基板と
を含み、
前記印刷回路基板層の選択された1つは、前記選択された印刷回路基板層の前記周辺ループアンテナの内部に物理的に、そして電気的に送信器を収容するように構成され、前記選択された印刷回路基板層は第1のアンテナ給電線を含み、前記第1のアンテナ給電線は前記選択された印刷回路基板層の前記周辺ループアンテナから分離して前記送信器の第1の出力端子に電気的に接続するように構成され、
前記複数のループアンテナの少なくとも一部は、周辺ループアンテナとして使用され、前記周辺ループアンテナは、前記印刷回路基板層の周辺に、または前記印刷回路基板層の周辺に隣接して配置され、前記送信器は、電源から、前記選択された印刷回路基板層を介して給電される、
ヘリカルアンテナ構造。
【請求項2】
前記多層印刷回路基板が、第2の周辺ループアンテナから分離する第2のアンテナ給電線をさらに含み、そして前記送信器の第2の出力端子に電気的に接続するように構成される、請求項1に記載のヘリカルアンテナ構造
【請求項3】
前記第2のアンテナ給電線が、前記選択された印刷回路基板層に部分的に配置され、非選択印刷回路基板層に部分的に配置される、請求項2に記載のヘリカルアンテナ構造
【請求項4】
前記第2のアンテナ給電線全体が非選択印刷回路基板層に配置される、請求項2に記載のヘリカルアンテナ構造
【請求項5】
前記多層印刷回路基板が、折り畳み可能であり、それにより前記折り畳み状態で、前記複数の印刷回路基板層が長手方向に縦軸に沿って積み重なって、第1の周辺ループアンテナを含む第1の印刷回路基板層から最後の周辺ループアンテナを含む最後の印刷回路基板層まで順になり、そして前記第1のアンテナ給電線および前記第2のアンテナ給電線が前記縦軸に対して垂直な平面内にある、請求項2に記載のヘリカルアンテナ構造
【請求項6】
前記選択された印刷回路基板層が前記多層印刷回路基板の中間のセクションに長手方向に置かれる、請求項5に記載のヘリカルアンテナ構造
【請求項7】
アンテナ拡張部をさらに含み、前記アンテナ拡張部は前記最後の周辺ループアンテナに電気的に接続されて前記複数の印刷回路基板層から離れて軸方向に伸びる、請求項5に記載のヘリカルアンテナ構造
【請求項8】
前記第1の周辺ループアンテナに電気的に接続する第1のヘリカル導体と、
前記最後の周辺ループアンテナに電気的に接続する第2のヘリカル導体と
をさらに含む、請求項5に記載のヘリカルアンテナ構造
【請求項9】
前記第1のヘリカル導体、前記第2のヘリカル導体および前記周辺ループアンテナが直径D2の円型であり、条件
【数1】
を満たし、
ここで、
C=πD2=前記ターンの周長(D2=前記ターンの直径)、
S=ターン間の間隔、
λ=前記使用されるRF放射の波長、
である、請求項8に記載のヘリカルアンテナ構造。
【請求項10】
各回路基板層がSに等しいか、または、範囲S±5%以内である厚さWを有する、請求項9に記載のヘリカルアンテナ構造。
【請求項11】
D2=9.5ミリメートル、λ=69センチメートルおよびS=0.635ミリメートルである、請求項9に記載のヘリカルアンテナ構造。
【請求項12】
前記選択された印刷回路基板層が前記送信器をさらに含む、請求項1に記載のヘリカルアンテナ構造
【請求項13】
前記接続ブリッジが、印刷回路基板ビア、印刷回路基板ブラインドビアおよび印刷回路基板導電トレースからなるグループから選択される、請求項1に記載のヘリカルアンテナ構造
【請求項14】
前記回路基板層が直径D1の円形であり、D1≦15ミリメートルである、請求項1に記載のヘリカルアンテナ構造
【請求項15】
複数の印刷回路基板層であって、各印刷回路基板層は周辺ループアンテナおよび複数の接続ブリッジを含み、各接続ブリッジは2つの周辺ループアンテナを電気的に接続してモノポールアンテナとして機能し、前記印刷回路基板層の選択された1つは、前記選択された印刷回路基板層に関連する前記周辺ループアンテナの内部に物理的に、そして電気的に送信器を収容するように構成される、前記複数の印刷回路基板層と、
前記選択された印刷回路基板層上に配置されて前記選択された印刷回路基板層の前記周辺ループアンテナからおよび分離し、前記送信器の第1の出力端子に電気的に接続するように構成される第1のアンテナ給電線と、
別の周辺ループアンテナから分離して前記送信器の第2の出力端子に電気的に接続可能な第2のアンテナ給電線と
を含
前記周辺ループアンテナは、前記印刷回路基板層の周辺に、または前記印刷回路基板層の周辺に隣接して配置され、前記送信器は、電源から、前記選択された印刷回路基板層を介して給電される、ヘリカルアンテナ構造のための印刷回路基板。
【請求項16】
前記第2のアンテナ給電線が前記選択された印刷回路基板層に部分的に配置され、そして非選択印刷回路基板層に部分的に配置される、請求項15に記載の印刷回路基板。
【請求項17】
前記第2のアンテナ給電線が非選択印刷回路基板層上に全体として配置される、請求項15に記載の印刷回路基板。
【請求項18】
前記印刷回路基板が、折り畳み可能であり、それにより前記折り畳み状態で、前記複数の印刷回路基板層が長手方向に縦軸に沿って積み重なって、第1の周辺ループアンテナを含む第1の印刷回路基板層から最後の周辺ループアンテナを含む最後の印刷回路基板層まで順になり、そして前記第1のアンテナ給電線および前記第2のアンテナ給電線が前記縦軸に対して垂直な平面内にあり、前記選択された印刷回路基板層が前記多層印刷回路基板の中間のセクションに長手方向に置かれる、請求項15に記載の印刷回路基板。
【請求項19】
アンテナ拡張部をさらに含み、前記アンテナ拡張部は、前記最後の周辺ループアンテナに電気的に接続して、前記印刷回路基板層から離れて軸方向に伸びる、請求項15に記載の印刷回路基板。
【請求項20】
前記周辺ループアンテナが直径D2の円形であって、条件
【数2】
を満たし、
ここで、
C=πD2=ターンの周長(D2=ターンの直径)、
S=ターン間の間隔、
λ=使用されるRF放射の波長
である、請求項15に記載の印刷回路基板
【請求項21】
生体内デバイスのためのヘリカルアンテナを設計する方法であって、
生体内デバイスに含まれるRF電力送信器のための求められる伝送電力を決定することと、
前記決定された伝送電力を用いることによって前記生体内デバイスのヘリカルアンテナのためのインピーダンスを算出することと、
前記RF電力送信器を収容することを目的とする基板上の第1のアンテナ給電線および第2のアンテナ給電線の位置を決定して、前記算出したインピーダンスを前記ヘリカルアンテナに与えるように前記基板上の電気トレースを設計することと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してアンテナに関し、そして、より詳しくは、例えば、移植可能デバイスに、そして、飲み込み可能な生体内デバイスに、そして、小さい制御可能デバイス(例えば、ミニチュアの制御可能なツール、ミニチュア玩具など)に埋め込むのに適切な、コンパクトヘリカルアンテナ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
生体内撮像システムは、「カプセル内視鏡検査」システムとして医療分野において知られている。例えば、消化管を横断するカプセル状の生体内デバイスは、例えば、消化管の内部を撮像する(例えば、画像をキャプチャするかまたは写真を撮る)ための画像センサまたはイメージャ、他のタイプのセンサ、例えば消化(「GI」)管の内部を照らすための発光ダイオード(「LED」)、バッテリおよびデータフレーム(例えば、画像フレーム)を外部受信機(例えば、ウェアラブルデータレコーダ)に送信する送信器を含むことができる。
【0003】
従来の飲み込み可能なカプセルは、直線偏波アンテナを使用してデータフレームを例えば、外部または遠隔受信機に送信する。直線アンテナは、直線偏波を用いて信号を送信するアンテナである。飲み込み可能なカプセルの直線偏波アンテナを使用することは、カプセルが作動する環境に関連した欠点がある。例えば、消化管はしばしば方向が変わるので、カプセルが追従しなければならない多くの方向転換があり、それは、それはカプセルの移動方向およびそれ故、カプセルの空間(3D)配向は、カプセルが消化管を横断するにつれて、常に変化することを意味する。カプセル配向の頻繁な変化の結果は、カプセル(または別の生体内デバイス)と外部または遠隔受信機間の通信チャネルの性能の劣化であり(カプセルのアンテナと受信機のアンテナの間に時々の位置合せ不良のため時折の通信劣化を引き起こすことがあり得る)、それは、外部受信機が時としてカプセルからのデータフレームの受信に失敗することを意味する。加えて、飲み込み可能なカプセルの小さいサイズのためにより大きなアンテナ用の多くのスペースは残っておらず、またカプセルのバッテリは、長い時間の間(例えば、7~10時間の医療手順をサポートするために)カプセル全体を動かすことが可能でなければならないかもしれない。したがって、カプセルの伝送電力を増加させて通信ギャップを減らすことは、カプセルの操作時間を縮める結果になり得る。
(カプセルの他のコンポーネントの消費電力が変わらないと仮定する)。
【0004】
従来のカプセルは、最小偏移変調「(MSK」)」として知られる変調技術を用いて、データフレームを送信するMSK通信が特定のデータビット伝送速度をサポートする一方で、カプセルが通信性能を損なわずに送信するデータのデータ伝送速度を上昇させる必要がある。(データ伝送速度を上昇させることにより、例えば画像キャプチャ速度を上昇させる(もしくは、上昇した画像キャプチャ速度を使用する)か、または低いデータ伝送速度と比較してより短時間でデータメモリバッファを空にすることを可能にする。)データ伝送速度および電磁障害に対する免疫性は、例えば、より高度な通信方式(例えば直交周波数分割多重(「OFDM」)通信方式)を用いることによって改善することができる。しかしながら、OFDM信号を送信するには、RFパワーアンプ(「PA」)を必要とする。PAを使用してOFDM信号を送信することは、加えて、例えば伝送電力管理および制御性に関して有益でもあり得る。しかしながら、現在カプセルにより用いられるアンテナは、インピーダンス不整合問題のためPAと相互運用することができない。(カプセルの送信器は、従来、単純タイプのLC発振器(例えば、コルピッツ発振器)として実装されているものであり、それが送信器というより発振器であるので、より質の悪い「タイプ」の送信器である。)したがって、飲み込み可能なカプセルにおける(OFDM通信を容易にするための)PAの取り込みは、新規なアンテナ設計を必要とする一方で、それはカプセルの多くのスペースを取らず、同時に、PAと相互運用して、OFDM通信をサポートすることが可能である。
【0005】
米国特許第7,801,586号(’586)は、従来の送信アンテナを有するカプセル(生体内デバイス)を開示する。例えば、図1(先行技術)に示すように、ハウジング205を有するカプセルは支持板204に取り付けられて示される垂直アンテナ226を含み、垂直に配向されたエアコイルを含む。アンテナ226はデバイスのハウジング205の軸「A」に沿って(かつそれに垂直に)回り、そして軸Bに沿って垂直に延びる。米国特許’586によれば、図2(先行技術)に示すように、代わりに生体内デバイスがアンテナ327を含むことができる。アンテナ226および327には欠点があり、その欠点とは、それらが、カプセルが特定の配向(受信アンテナに関して)を有する場合にしか最適通信を可能とせず、一方でカプセルの多くの他の配向で通信が著しく劣化する、というものである。その問題を解決するために、’586は、図3A(先行技術)に示すようなアンテナ993を開示する。アンテナ226および327とは異なり、アンテナ993はコイルアンテナでなく異なる形状を有する。アンテナ993は、3Dアンテナの「ダイバーシティ分極場」(分極場998、図3B)を提供する。(’586は、以下のように示している。「アンテナ993などのアンテナを、例えばデバイス40の中に折り畳むことによって、導体を3次元に含むアンテナが形成され、そこにおいて、各導体は異なる方向に放射する。この結果、ダイバーシティ分極場998などの一様な場は、アンテナ周辺および/またはデバイス40周辺で発生する。」)
【0006】
図4Aは従来のヘリカルアンテナ410を示し、図4Bはヘリカルアンテナ(430)を使用する例示デバイス(携帯電話420)を表す。ヘリカルアンテナが円偏波モードで有益に作動することができる一方で、米国特許公開第2010/0019987号(’987)は、タップ給電を有する超小型ノーマルモードヘリカルアンテナ(’987の図7Aに対応する本出願の図5を参照))を示し、移植可能デバイスまたは飲み込み可能な生体内デバイス(例えば、飲み込み可能なカプセル)などの小さい装置のこのようなアンテナの統合化を妨げるいくつかの欠点を記載している:「図1のヘリカル構造200でタップ給電が行われる構造を図7Bに示す。ここでは、L1=20mmおよびL2=20mmとしている。ここでは、L1=20mmおよびL2=20mmとしている。入力インピーダンスは、タップ給電によってわずかに増加している。しかしながら、タップ給電のない場合の値が2.146オームしかないので、タップ給電によって増加した後の入力インピーダンスは50オーム程度にとどまる。L1およびL2を増加させれば、入力インピーダンスはそれに応じて増加する。しかしながら、その場合、タップ部のサイズは、50mmのアンテナ長に対して過大となり得る。加えて、50オームのフィーダインピーダンスまで入力インピーダンスを上昇させることは、非常に困難である。したがって、既存のタップ給電構造によれば、0.05波長(λ)以下の超小型ノーマルモードヘリカルアンテナの入力インピーダンスを上昇させることは非常に困難であり、したがってフィーダと整合するインピーダンスはそれらのアンテナに対して効果的に実施することができない。上述の通り、長さが約0.2波長のノーマルモードヘリカルアンテナにおいては、タップ部の長さを実質的に長くすることができるので、入力インピーダンスを50オームのフィーダインピーダンスと整合させることは比較的容易である。しかしながら、長さは0.05波長以下であるノーマルモードヘリカルアンテナにおいては、タップ部に十分な長さを与えることは困難であるため、その抵抗値は十分に増加することができず、したがって、50オームのフィーダと整合することは達成できない。前述のように、ノーマルモードヘリカルアンテナにおいては、アンテナサイズに対する制約のため必要な入力インピーダンスを実現することが困難な場合がある。」
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第7,801,586号明細書
【文献】米国特許公開第2010/0019987号明細書
【発明の概要】
【0008】
ヘリカルアンテナの特定の特性が生体内デバイスまたは移植可能デバイスに対して有益な一方で、例えばすでに述べたように、それを移植可能デバイスまたは飲み込み可能なデバイスに取り入込むために克服されることを必要とするこのようなアンテナと関連したいくつかの欠点がある。したがって、上記の欠点を解決する、(例えば、消費電力、サイズ、インピーダンス整合に関して)単純で、それでも、効率的な、アンテナ構造を有することは有益である。
【0009】
印刷回路基板(「PCB」)を有するヘリカルアンテナを組み込み、そして、ヘリカルアンテナに接続されてそれとともに作動する送信器を、(アンテナ電気ターンによって囲まれるかまたは画定されるスペース内に)含むように設計される、ヘリカルアンテナ構造を開示する。本発明の一態様において、ヘリカルアンテナの中央の部分またはセクションは、PCBに埋め込むことができる。この態様によれば、ヘリカルアンテナ構造は、各部品がヘリカル導体であるかそれを含む2つの(別々の)パーツ、および他の2つのパーツの間に配置されて、電気的に、そして、機能的に2つのヘリカル導体に接続している第3の中央のパーツまたはセクションを含むことができる3パーツヘリカルアンテナでもよい。ヘリカルアンテナ構造の中央のパーツまたはセクションは、アンテナの中央(導電性)ターンとして1つ以上のPCB導電トレースを含む多層PCB(または1枚層)を含むことができて、さらに異なるPCB層のPCBトレースを電気的に接続(「ブリッジ」)する「ブリッジング」導電セクション(例えば、PCBビアまたは可撓性PCBトレース)を含む。ヘリカルアンテナで作動している送信器は、送信器がヘリカルアンテナによって完全に囲まれるように、加えて、送信器がヘリカルアンテナの縦軸に直交する2つのアンテナ給電線によってヘリカルアンテナの中央部に電気的に接続するように、PCBに取り付けることができる。
【0010】
ヘリカルアンテナ構造は、いくつかの実施形態に従って、前記第1のヘリカル導体の縦軸に沿って配置されるn1個のターン(n1≧1)を有する第1のヘリカル導体、第2のヘリカル導体の縦軸に沿って配置されるn2個のターン(n2≧1)を有する第2のヘリカル導体および縦軸を有する層をなしたPCBを含むことができる。回路基板は、回路基板の縦軸に沿って規則的に積み重ねられたp個の回路基板層L1、L2、...、Lp(p≧1)を含むことができる。回路基板は、n3個のターン(1≦n3≦p+1)を含むかまたはそれらからできているアンテナの第3の導体をさらに含むことができる。第3の導体の各ターンは、回路基板層Liの誘電層上またはその中に配置される導電性トレースであるか、あるいはそれを含む。各導電トレースは、1つの導電トレースとそれに続くかまたは次の(例えば、隣接した)導電トレースの間に配置される回路基板層Liの回路ビアまたはブラインド(埋込み型)ビアを通して、それに続く導電トレースに電気的に接続することができる。(「それに続く導電トレース」とは、第1の導電トレースが配置されている同じ誘電層の反対側に配置される第2の電気トレースまたは順序づけられた回路基板層の次の(例えば隣接した)誘電層に配置される第2の電気トレースである。)
【0011】
第1のヘリカル導体は、例えば第1の取付け部材によって、導電トレースに取り付けて電気的接続することができる接続端を含むことができ、そして第2のヘリカル導体は、例えば第2の取付け部材を介して、別の導電トレースに取り付けて電気的接続することができる接続端を含むことができる。回路基板は、第1のヘリカル導体の縦軸、第2のヘリカル導体の縦軸および回路基板の縦軸が一致することができるように、第1のヘリカル導体と第2のヘリカル導体の間に構造的に(かつ機能的に)配置することができる。
【0012】
ヘリカルアンテナ構造は、回路基板の第1の側に置くかまたは配置することができる第1のアンテナ給電点および、回路基板の第2の側に置くかまたは配置することができる第2のアンテナ給電点をさらに含むことができる。第1のアンテナ給電点および第2のアンテナ給電点は、それぞれが第1の取付け部材および第2の取付け部材と一致することができるまたはそれら自体が取付け部材であってもよい。第1のアンテナ給電点は第1のヘリカル導体および第3の導体を接続する接続点でもよく、第2のアンテナ給電点は第3の導体および第2のヘリカル導体を接続する接続点でもよい。
【0013】
2つのアンテナ給電点のいずれか1つは、回路基板の内部、例えば回路基板の誘電層の1つの内部にあってもよく、または回路基板の隣接する2つの誘電層の間に「はさまれて」いてもよい。一般に、ヘリカルアンテナ上の2つのアンテナ給電点は、第1のヘリカル導体(第1のヘリカル導体がアンテナの第3の導体に接続する位置)の接続端と第2のヘリカル導体(第2のヘリカル導体がアンテナの第3の導体に接続する位置)の接続端の間のどこにあってもよい。2つのアンテナ給電点の実寸、形状および位置、ならびにそれらが送信器に接続する方法は、アンテナインピーダンス、送信器の出力パワー、円偏波の取得、アンテナの放射パターンにおける放射ヌル最小化などに関してヘリカルアンテナの性能が最適化されるように選択することができる。例えば、ヘリカルアンテナのこれらの特性(および、一般の伝送)を促進するために、そしてヘリカルアンテナの性能を最適化するために、送信器の出力に接続している2本のPCB導電トレースであるアンテナの2本の給電線は、一実施形態において、90度の角度でアンテナの縦軸を横断しなければならない。すなわち、ヘリカルアンテナの最適性能のために、アンテナの2本の給電線は、一実施形態において、ヘリカルアンテナの縦軸に対して垂直である平面内になければならない。
【0014】
回路基板は、導電性トレースを介して、そして、ビアおよび/またはブラインドビアを通して第1のアンテナ給電点に、そして、第2のアンテナ給電点にそれぞれ電気的に接続している第1の出力端子および第2の出力端子を含むことができる送信器をさらに含むことができる。送信器の第2の出力端子は、ビアおよび/またはブラインド(埋込み型)ビアを介するか、または、それを使用して、第2のアンテナ給電点に、電気的に接続することができる。回路基板は回路基板層L1、L2、…、Lpの中に、または、それを通って通過することができるスルーホールを含むことができて、送信器の第2の出力端子はスルーホールを介して、またはそれを使用して、第2のアンテナ給電点に電気的に接続することができる。送信器は、回路基板の縦軸に関して、中心を離れていることができる。回路基板は、送信器としてRFパワーアンプを含むことができる。送信器は、パワーアンプでもよい。
【0015】
n3個のターンの第3の導体を形成している導電性トレースは、平坦でもよくて、縦軸に対して垂直でもよい。n3-1個のターンの第3の導体の中の各ターンまたは選択されたターンは、ビアをさらに含むことができる。回路基板は直径D1の円形であってもよく、ここで、例えば、D1≦15ミリメートルである。
【0016】
第1のヘリカル導体、第2のヘリカル導体および第3の導体は、直径D2(ここでD2≦D1)の円形であってもよく、それらが「偏波」条件
【数1】
を満たすことができ、ここで、
C=πD2=ターンの周長(D2=ターンの直径)、
S=ターン間の間隔(ねじのピッチと同様)、そして
λ=使用されるRF放射の波長である。
【0017】
回路基板層L1、L2、…、Lpの各々は、Sに等しいものであり得るか、または範囲S±5%以内にあることができる幅Wを有することができる。例として(例えば、飲み込み可能なカプセルにおいて、例えば、生体内デバイスにおいて使われるときに)、アンテナターンの直径D2はD2=9.5ミリメートル(または約9.5mm)でもよく、波長はλ=69センチメートル(または約69cm)(434MHzの無線周波数に対応する)でもよく、そしてターン間隔はS=0.635ミリメートル(または約0.635mm)でもよい。
【0018】
ヘリカルアンテナまたはその一部を含む回路基板は、1つの回路基板層だけ(この場合p=1)を含むことができる。ターンの数は、以下の通り、n1≧1、n2≧1およびn3≧1であってもよい。
【0019】
第1の取付け部材および第2の取付け部材は、それぞれ、第1のヘリカル導体および第2のヘリカル導体の(一体化した)一部でもよく、またはその拡張部でもよい。あるいは、第1の取付け部材および第2の取付け部材は、回路基板自体に取り付けることができるか、またはその一体化された一部であることができる。回路基板は、例えば、印刷回路基板技術または他のいかなる技術も使用して製造することができる。この態様によるヘリカルアンテナ構造のタイプは、PCB中間部ベースのヘリカルアンテナ構造として、または、3パーツヘリカルアンテナ、つまり、略して「TPHA」(three-part helix antenna)として考えることができる。
【0020】
本発明の別の態様において、ヘリカルアンテナ全体は、多層PCBに、完全に埋め込む(例えば、上か中に完全に取り付けるか、上に置くか印刷するか、または、中に「組入れる」かもしくは形成する)ことができる。この態様によれば、ヘリカルアンテナのターンのすべてがPCB導電トレースであるようにPCB構造に完全に埋め込まれるヘリカルアンテナが開示される。この種のヘリカルアンテナ構造は、完全なPCBヘリカルアンテナ構造(「FPHA」)と考えることができる。
【0021】
FPHAによって作動している送信器は、送信器がFPHAによって完全に含まれるように、加えて、送信器がヘリカルアンテナの縦軸に直交である2つのアンテナ給電線によってFPHAに電気的に接続するように、PCBに取り付けることができる。
【0022】
本明細書において、ヘリカルアンテナ構造を含むかまたは組み込む生体内デバイスも開示するが、他のデバイスもヘリカルアンテナ構造から恩恵を受けることができる。ヘリカルアンテナに加えて、生体内デバイスは、コントローラ、バッテリ、生理学的パラメータ(例えば、温度、圧力、pHなど)を検出するためのセンサ回路および/または画像センサ、トランスデューサ、光源ならびにヘリカルアンテナを用いてセンシングしたデータを送信するための送信器を含むことができる。
【0023】
ヘリカルアンテナが(部分的にまたは完全に)取り付けられるPCBは、例えば、センサ回路、トランスデューサ、クロックジェネレータ、メモリ、光源およびコントローラを加えて含むことができるPCBの、一部またはその中のサブ回路であることができる、生体内デバイスは、飲み込み可能なデバイス(例えば、例えば、カプセル内視鏡検査において用いられる飲み込み可能な撮像カプセル)および移植可能デバイス(例えば、心臓ペースメーカ)からなるグループから選択することができる。
【0024】
本発明の別の態様において、ヘリカルアンテナ構造は、複数のループアンテナおよび複数のPCB層(例えば、6つのPCB層)を含むことができる多層PCBでもよい。各PCB層は周辺ループアンテナを含むことができて、各2つの隣接するループアンテナはモノポールアンテナとして機能している接続ブリッジによって電気的に接続することができる。PCB層の選択された1つは、送信器を、選択されたPCB層の、またはそれに関連した、またはその中か上に取り付けられる、周辺ループアンテナ内部に、物理的にそして電気的に収容するように構成することができる。選択されたPCB層は、第1のアンテナ給電線を含むことができる。第1のアンテナ給電線は、選択されたPCB層の周辺ループアンテナを送信器の第1の出力端子に、電気的に接続することができる。(第1のアンテナ給電線は、周辺ループアンテナから分離することができて、送信器の第1の出力端子に接続されるように、または接続可能であるように構成することができる。)
【0025】
選択された印刷回路基板層は、第2のアンテナ給電線を含むこともできる。第2のアンテナ給電線は、第2の周辺ループアンテナを送信器の第2の出力端子に、電気的に接続することができる。(第2のアンテナ給電線は、第2の周辺ループアンテナから分離することができて、送信器の第2の出力端子に接続されるように、または接続可能であるように構成することができる。)第2のアンテナ給電線は、選択されたPCB層に部分的に配置されていてもよく、そして非選択PCB層に部分的に配置されていてもよい。あるいは、第2のアンテナ給電線は、非選択PCBに完全に配置されていてもよく、PCBビアを通して送信器に接続していてもよい。
【0026】
PCBは、折り畳み状態で、複数のPCB層が長手方向に縦軸に沿って積み重なって、第1のループアンテナを含む第1のPCB層から最後のループアンテナを含む最後のPCB層まで順になるように、そして第1のアンテナ給電線および第2のアンテナ給電線が縦軸に対して垂直な平面内にあるように、折り畳み可能でもよい。選択されたPCB層は、多層PCBの中間のセクションに、長手方向に置くことができる。
【0027】
ヘリカルアンテナは、加えて、順に積み重ねられたPCB層の第1のループアンテナに電気的に接続することができる第1のヘリカル導体、および順に積み重ねられたPCB層の最後のループアンテナに電気的に接続することができる第2のヘリカル導体を含むことができる。
【0028】
ヘリカルアンテナは、アンテナ拡張部(例えば、「テール」)を含むこともできる。アンテナの拡張部は、PCB層の順になったスタックの最後の周辺ループアンテナに(例えば、直接、または、PCBビアを通して)電気的に接続することができて、それは軸方向に(例えば、縦軸と平行して)、延長部から離れて、PCB層のスタックから離れて、そして送信器から離れて伸びることができる。周辺ループアンテナは円形で、直径D2を有してもよく、周辺ループアンテナは円偏波条件
【数2】
を満たすことができ、ここでC(C=πD2)はターンの周長であり、Sはループアンテナ間の間隔であり、λはヘリカルアンテナが設計される無線周波数の波長である。
【0029】
各回路基板層は、(円偏波モードでアンテナを作動することを可能にするために)Sに等しくてもよい厚さWを有することができ、すなわち、厚さWはS±5%の範囲の中とすることができる。ループアンテナの直径D2は、例えば、9.5ミリメートルであってもよく、飲み込み可能な生体内カプセルへの挿入に適するようにできる。使用するRFの波長λは、例えば、(434.78MHzの周波数に対応する)69センチメートルでもよく、ループアンテナ間の間隔)は、例えば、0.635ミリメートルでもよい。
【0030】
本発明の別の態様において、ヘリカルアンテナ構造用のPCBは、複数のPCB層を含むことができる。各PCB層は少なくとも1つの周辺ループアンテナを含むことができ、各2つの隣接するループアンテナはモノポールアンテナとして機能する接続ブリッジによって電気的に接続することができる。PCB層の選択された1つは、送信器を、選択された印刷回路基板層の、またはそれに関連した、またはその中か上に配置される、周辺ループアンテナ内部に、物理的にそして電気的に収容するように構成することができる。PCBは、選択されたPCB層に配置されていて、選択されたPCB層のループアンテナに電気的に接続されるかまたはそれから分離されて、送信器の第1の出力端子に電気的に接続されるかまたは接続可能であるように構成することができる、第1のアンテナ給電線をさらに含むことができる。PCBは、別のループアンテナに電気的に接続されるかまたはそれから分離されて、送信器の第2の出力端子に電気的に接続されるかまたは接続可能であるように構成することができる、第2のアンテナ給電線をさらに含むことができる。
【0031】
第2のアンテナ給電線は、選択された印刷回路基板層に部分的に配置されて、かつ非選択印刷回路基板層に部分的に配置されてもよく、または、それは非選択印刷回路基板層に完全に配置されてもよい。
【0032】
PCBは、折り畳み状態で、複数のPCB層が長手方向に縦軸に沿って積み重なって、第1のループアンテナを含む第1のPCB層から最後のループアンテナを含む最後のPCB層まで順になるように、折り畳み可能でもよい。複数のPCB層は、第1のアンテナ給電線および第2のアンテナ給電線が縦軸に対して垂直な平面にあるように、長手方向に積み重なる。選択されたPCB層は、多層PCBの中間のセクションに、長手方向に置くことができる。PCBは、最後のループアンテナに電気的に接続しており、PCB層のスタックから離れ、そして、ループアンテナからおよび送信器から離れて軸方向に伸びている、アンテナ拡張部(例えば、「テール」)をさらに含むことができる。
【0033】
本発明の別の態様において、生体内デバイスは、本明細書において開示される実施形態または態様のいずれかに従って構築されるヘリカルアンテナを含むことができる。
【0034】
種々の例示的実施形態は、これらの例が制限的ではないという意図のもとで添付図面に図示される。説明の単純性および明快さのために、下記で参照される図面に示される要素が、必ずしも一定の比率で描かれているというわけではないことが理解されよう。また、適切であるとみなされる場合、参照数字は、同様であるか、対応するかまたは類似の要素を示すために、図の中で繰り返されることがある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1(従来技術)は、例示的な従来のアンテナを示す。
図2図2(従来技術)は、例示的な従来のアンテナを示す。
図3A図3A(従来技術)は、例示的な従来のアンテナを示す。
図3B図3B(従来技術)は、例示的な従来のアンテナを示す。
図4A図4A(従来技術)は、例示的な従来のアンテナを示す。
図4B図4B(従来技術)は、例示的な従来のアンテナを示す。
図5図5(従来技術)は、例示的な従来のアンテナを示す。
図6図6(従来技術)は、例示的な従来のアンテナを示す。
図7A図7A(従来技術)は、例示的な従来のアンテナを示す。
図7B図7B(従来技術)は、例示的な従来のアンテナを示す。
図8図8は、例示の実施形態によるTPHA(3パーツヘリカルアンテナ)の一般の構造を概略的に示す。
図9A図9Aは、例示の実施形態による、PCB中間部ベースのヘリカルアンテナのためのヘリカルアンテナの1枚回路基板層を概略的に示す。
図9B図9Bは、例示の実施形態による、PCB中間部ベースのヘリカルアンテナのためのヘリカルアンテナの1枚基板層を概略的に示す。
図9C図9Cは、例示の実施形態による、PCB中間部ベースのヘリカルアンテナのためのヘリカル導体を表す。
図9D図9Dは、例示の実施形態による、PCB中間部ベースのヘリカルアンテナのためのヘリカル導体を表す。
図10図10は、例示の実施形態による、PCB中間部ベースのヘリカルアンテナのための分解されたヘリカルアンテナを表す。
図11A図11Aは、異なる観点からの図10のヘリカルアンテナ構造を表す。
図11B図11Bは、異なる観点からの図10のヘリカルアンテナ構造を表す。
図11C図11Cは、異なる観点からの図10のヘリカルアンテナ構造を表す。
図11D図11Dは、異なる観点からの図10のヘリカルアンテナ構造を表す。
図11E図11Eは、異なる観点からの図10のヘリカルアンテナ構造を表す。
図12図12は、例示の実施形態による、ヘリカルアンテナ用の例示的なスイッチトキャパシタンスパワーアンプ(「SCPA」)を概略的に示す。
図13図13は、例示の実施形態による、例示的生体内デバイスを概略的に示す。
図14図14は、例示の実施形態による、生体内デバイス用のヘリカルアンテナを設計するための例示的方法を示す。
図15図15は、例示の実施形態による、FPHAのための例示的ヘリカルアンテナターンを示す。
図16図16は、例示の実施形態による、多層PCBに組み込まれる図15のヘリカルアンテナターンを示す。
図17A図17Aは、例示の実施形態による、FPHAのための例示的な展開したPCBを表す。
図17B図17Bは、例示の実施形態による、FPHAのための例示的な展開したPCBを表す。
図18A図18Aは、例示の実施形態による、FPHAのための別の例示的な展開したPCBを表す。
図18B図18Bは、例示の実施形態による、FPHAのための別の例示的な展開したPCBを表す。
図19A図19Aは、図17A~17Bおよび図18A~18BのFPHAと類似のFPHAを含む生体内デバイスの光ヘッドを表す。
図19B図19Bは、図17A~17Bおよび図18A~18BのFPHAと類似のFPHAを含む生体内デバイスの光ヘッドを表す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下の記述は、例示的実施形態の種々の詳細を提供する。しかしながら、この記述は、請求項の範囲を制限することを目的とするものではなく、その代わりに、種々の発明の原理およびそれを実施する方法を説明するためのものである。
【0037】
以下の記述では、本発明の種々の態様が記載される。説明の目的のために、特定の構成および詳細は、本発明の完全な理解を容易にするために記載される。しかしながら、本発明が本明細書において示される具体的な詳細無しで実施できることも、当業者にとって明らかであろう。さらに、周知の機能は、本発明を不明確にしないために省略するかまたは単純化することがある。
【0038】
電磁波の円偏波は、通過する電波の電界が、強さを変えずに、回転する方法で方向を変えるだけである偏波である。無線伝送において、円偏波は、送信および受信アンテナの相対配向が容易に制御できないときに、または、信号の偏波が変化し得るときに、しばしば使われる。
【0039】
ヘリカルアンテナは、2つの主要な放射モードである、ノーマルモードおよび軸モードで作動することができる。非常に小さいヘリカルアンテナに対して(使用される無線周波数(「RF」)波長(λ)より非常に小さいサイズを有するヘリカルアンテナに対して)、最大RF放射がヘリカルアンテナの軸に垂直な平面で起こる。この動作モードは「ノーマルモード」と呼ばれる。一般に、ノーマルモードにおいてノーマルモードヘリカルアンテナアンテナ(「NMHA」)によって作られるRF放射線場は全方向に楕円形に偏向するが、特定の条件の下では、RF放射線場が円形に偏向され得る。RF波長と比較したそのサイズが小さいので、NMHAは通常、低効率および狭帯域幅を有すると考えられている。
【0040】
NMHAは、例えば図6に示されるように、モノポールおよびループアンテナの重ね合せとしてモデル化することができる。モノポール場およびループ場は、相互に垂直で、それらの間に90度の位相シフトがある。条件2Sλ=πを満たすNMHA(図7A~7Bを参照)は、したがって、円偏波を使用して信号を送ることができる。
【0041】
ヘリカルアンテナの周長がRF波長(λ)に近い動作のとき、ヘリカルアンテナは軸モードで作動する。これは、定在波の代わりに電流および電圧波が螺旋上で一方向へ進行する、非共振進行波モードである。特定の条件の下で、軸モードで作動するヘリカルアンテナは、アンテナの軸に沿ってアンテナの端を離れて、円偏波によるRF波を放射する。(指向性アンテナにおいては一方向への放射だけが求められているので、ヘリカルアンテナの他端は平坦な金属シートまたは金網反射器(図7Aの接地面を参照)において終端されて前方へ波を反射する。)しかしながら、比較的小さいNMHAとは対照的に、軸モードヘリカルアンテナ(「AMHA」)は、それらの比較的大きなサイズのため、飲み込み可能なデバイス(および、他の生体内デバイス)、移植可能デバイスなどのような小さいデバイスにおいて用いることができない。(「大きいサイズ」とは、アンテナが作動するように設計されている通信RFの波長に対する比較であり、それは、(例えば)飲み込み可能な生体内デバイスの場合には、およそ400メガヘルツ(MHz)~450MHzの範囲にあってもよい。)
【0042】
本発明の回路基板ベースのヘリカルアンテナの主題は、少なくとも以下の利点を有する:(1)そのサイズは非常に小さくなることができ(例えば、生体内デバイスに、例えば生体内撮像デバイスに、そして、移植可能デバイス、例えは心臓ペースメーカに組み込むのに十分小さい)、(2)ヘリカルアンテナのインピーダンスをRFパワーアンプ(PA)と整合するように増加でき、(3)PAを用いて使用される伝送電力の管理および制御を例えば通信チャネルの質の関数として行うことを可能にし、(4)従来の生体内デバイスの通信性能を、低下された伝送電力を用いて得ることができ、それは生体内装置を動かしているエネルギー源が非充電式電池であるときに、大きな利点である。(あるいは、新規なヘリカルアンテナを使用する生体内デバイスの通信性能は、例えば電磁障害がより強くなるときに、伝送電力をわずかに増加させることによって高めることができる。)
【0043】
本明細書において記載されるように、NMHAはモノポールおよびループアンテナの重ね合せとしてモデル化することができる(図6)。本発明のヘリカルアンテナ構造は、例えば、図8の実施形態で、アンテナの中間のセクション(例えば、アンテナ導線870、図8)は、それがモデルに構造的に似ているように、回路基板(例えば、PCB)に構築されるか、形成されるか、組み込まれるかまたは埋め込まれるという点で、ヘリカルアンテナモデルを使用する。すなわち、モデルにおけるように、導体870(図8)は、多層PCB830(図8)に、例えば、電気(PCB)トレース860の形で、周辺ループアンテナを含み、そして、(例えば、PCBビア890の例などの形の)ループアンテナの平面と垂直な直線またはブリッジは、種々のループアンテナ(860)を接続して、モノポールアンテナとして機能する。(周辺ループアンテナは、例えば、アンテナの一部であるPCBトレースであってもよく、PCB層の周辺に、または、それに隣接して置くことができる。)言い換えれば、本発明のヘリカルアンテナ対象は、2つの端ヘリカル状導体(例えば、図8のヘリカル導体810、820)および中間の導体(例えば、図8の870)を含むことができ、それは(構造的におよび、機能的に)2つのヘリカルセクションの間に配置されて、その構造はヘリカルアンテナのモデルに似ている。(ヘリカル導体810および820は任意選択でもよい。ヘリカル導体を含まないヘリカルアンテナ構造は図15~19Bに示され、それは後述する。)本明細書において記載される方法でヘリカルアンテナの中間の導体(またはセクション)を回路基板に埋め込むことは多くの利点があり、そのいくつかを本明細書において以下で説明する(例えば、インピーダンス整合の改善、従来のNMHAに対するインピーダンスの増加、アンテナの放射パターンにおけるヌル領域の除去、トレースレイアウトおよびビア/ブラインドビアの位置をアンテナの要求特性ごとに決定することができるアンテナ設計の柔軟性など)。
【0044】
本発明の一態様は、ヘリカルアンテナの性能が、例えば、アンテナインピーダンス、送信器の出力パワー、取得円偏波の取得、アンテナの放射パターンのヌルの最小化などに関して最適化されるように、2つのアンテナ給電点の正確な位置およびそれらを送信器に接続する方法が選択されるということである。例えば、ヘリカルアンテナのこれらの特性を促進するために(アンテナの最適性能を容易にするために)、送信器の出力に接続している2つのPCBトレースであるアンテナの2本の給電線は、アンテナの縦軸に対して垂直な平面に置く。PCBの中に、または、それの一部として、このようにアンテナ給電線を取り付けることは、アンテナの給電線による縦方向つまり軸方向のRF伝送の問題を緩和するが、その理由は、送信器を(PCB層上の)アンテナ構造に取り付けることによって、アンテナ給電線を送信器に、または、送信器に接続している送信器のPCB層上のPCBトレースに接続するブリッジング導体(例えば、PCBビア)の長さが最小化されて、このアンテナ導線からの不必要なまたは基準を外れたRF放射を最小化することができるからである。
【0045】
図8を再度参照すると、ヘリカルアンテナ構造800が、例示の実施形態に従って概略的に示される。ヘリカルアンテナ構造800は、第1のヘリカル導体810の縦軸841に沿って置くか配置することができるn1個のターン(n1≧1)を有する第1のヘリカル導体810、第2のヘリカル導体820の縦軸842に沿って置くか配置することができるn2個のターン(n2≧1)を有する第2のヘリカル導体820、および縦軸840を有する多層PCB830を含むことができる。基板830は、PCB構造830の縦軸840に沿って順に積み重ねられる、層L1、L2、…、Lp(p≧1)と称されるp個の回路基板層を含むことができる。印刷回路基板830は、n3個のターン(2≦n3≦p+1)を有する第3の導体870を含むこともできる。第3の導体870の各ターンは、回路基板層Liの誘電層850/i上かその中に置くか配置される導電性トレース860/iを含むことができ、各導電トレース860/iは、導電トレース860/iとそれに続く導電トレース860/i+1の間に配置される回路基板層Liのビア890/i(例えば、「トレースビア」)を通してそれに続く導電トレース860/i+1に電気的に接続することができる。(「それに続く導電トレース」とは、同じ誘電層850/iの他方の(対向する)側の中、もしくはその上に形成することができる導電トレース、または隣接する誘電層850/i+1中、もしくはその上に形成することができる導電トレースを意味する。)
【0046】
ヘリカル導体810は、第1の取付け部材882を用いて導電トレース860/1に取り付けることができ、そしてそれと電気的接続できる、接続端812を含むことができる。ヘリカル導体810は、電気的にも、また、機械的にも何に対しても接続されていない終端814を含むこともできる。ヘリカル導体820は、第2の取付け部材884を介して導電トレース860/p+1に取り付けることができ、そしてそれと電気的接続できる、接続端822を含むことができる。ヘリカル導体820は、電気的にも、また、機械的にも何に対しても接続されていない終端824も含む。取付け部材882および取付け部材884は、それぞれ、ヘリカル導体810およびヘリカル導体820の一部か、またはその拡張部であってもよい。
【0047】
多層PCB830は、ヘリカル導体810の軸、ヘリカル導体820の軸および多層PCB830の軸840が一致する(例えば、同じ線および配向を占める)ように、ヘリカル導体810とヘリカル導体820の間に構造的に(および、機能的に)配置することができる。取付け部材882は、例えば、回路基板層L1に取り付けられて(例えば、それから突出するかまたはその上に平坦に取り付けられて)、導電トレース860/1に電気的に接続している導電性ピンでもよく、ヘリカル導体810の接続端812は、例えば、取付け部材882にはんだ付けすることによって、取付け部材882に機械的にかつ電気的に接続することができる。同様に、取付け部材884は、例えば、回路基板層Lpに取り付けられて(例えば、それから突出するかまたはその上に平坦に取り付けられて)、導電トレース860/p+1に電気的に接続している導電性ピンでもよく、ヘリカル導体820の接続端822は、例えば、取付け部材884にはんだ付けすることによって、取付け部材884に機械的にかつ電気的に接続することができる。
【0048】
小型またはコンパクトな、植込み型または生体内デバイス(例えば、飲み込み可能なカプセル)は、通信アンテナを収容するために小さいスペースしかない。したがって、このような小さいデバイスに埋められるべきアンテナのサイズはおよそミリメートルのオーダーでなければならず、ヘリカルアンテナが用いられることになると、アンテナターンの数はごく少数のコイルターン(例えば、3ターン未満)に限られる。したがって、生体内デバイス(または移植可能デバイス)の厳しいスペースの制約の下で設計されるヘリカルアンテナは、超低インピーダンスZ(例えば、Z=1~4オーム)を有し得る。このような低インピーダンスを有するアンテナは、例えば電力損失の増加のため、RF電力送信器と効率的に相互運用することができない。この問題を緩和するために、ヘリカルアンテナ構造800は、アンテナのインピーダンスを上げて、アンテナがRF電力送信器を有する動作に適するようにするために、アンテナのインピーダンスを上昇させるタップを有するオートトランスとして構築される。この趣旨で、ヘリカルアンテナ構造800は、PCB構造830の第1の側832(図8で、「最上部」側)に配置されている第1のアンテナ給電(「タップ」)点802および、回路基板830の第1の側(832)の反対側の、PCB構造830の第2の側834(他方、あるいは、「最下部」側)に配置されている第2のアンテナ給電(タップ)点804を含むこともできる。アンテナ給電(タップ)点802および804は、それぞれ、取付け部材882および取付け部材884に重なる(または隣接している)ことができる。給電点802は電気的にヘリカル導体810および導体870を接続している接続点でもよく、アンテナ給電点804は電気的に導体870およびヘリカル導体820を接続している接続点でもよい。(アンテナ給電点802および804はトランシーバがRF信号を送信または受信するヘリカルアンテナ上の位置である。)
【0049】
2つのアンテナ給電点802および804のいずれか1つは、PCB構造830上かその中(例えばPCB構造830の誘電層(例えば、誘電層850/2)の1つの内部)にあるか、または、回路基板の2つの隣接する誘電層の間に(例えば誘電層850/2と850/3間に)「はさまれて」いてもよい。一般に、ヘリカルアンテナ800上の2つのアンテナ給電点は、ヘリカル導体810の接続端812(ヘリカル導体810がアンテナの第3の導体870につながる位置)とヘリカル導体820の接続端822(ヘリカル導体820がアンテナの第3の導体870につながる位置)の間のどこにでも置くことができる。2つのアンテナ給電点(および、アンテナ給電線)の正確な位置は、例えば、アンテナインピーダンスおよび/または送信器の出力パワーおよび/または円偏波放射生成および/またはアンテナの放射パターンの放射ヌルの最小化などに関してヘリカルアンテナの性能が最適化されるように選択することができる。
【0050】
ヘリカルアンテナ構造800(例えば、回路基板830)は、RF伝送装置816およびすべての回路基板層L1、L2、…、Lpを通過することができるPCBビア892を含むこともできる。RF電力送信器816は、回路基板830の第1の側832に取り付けることができ、アンテナ給電点802に電気的に接続する第1の出力端子およびアンテナ給電点804に接続する第2の出力端子を含むことができる。RF電力送信器816の第2の出力端子は、ビア892によって、または、それを通してアンテナ給電点804に電気的に接続することができる。送信器816の第2の出力端子は、PCBビアおよび/またはブラインド(埋込み型)ビアを用いてアンテナ給電点804に電気的に接続することができる。送信器816は、パワーアンプでもよい。
【0051】
ビア892は、複数のビア(例えば、ビア892/1、892/2、…、892/p)、1本の連続ビアパスを形成するためにすべて整列配置される回路基板830のPCB層当たり1つ以上のビアを含む。あるいは、PCB構造830は、複数のビア、(層の表面に関して)横に位置がずれて(すなわち、ビアの少なくとも一部は、整列配置しないで)導電トレースによって相互接続される、PCB構造830の層当たり1つ以上のビアを含むことができる。例えば、ビア892/2および892/3は、他のビア892に関して(および、任意選択的に互いに関して)位置がずれることができて、電気(伝導)トレースによって、他のビアに(埋込みおよび非埋込みで)相互接続することができる。(位置がずれたビア892/2および892/3は位置892/2’および892/3’でそれぞれ示される。)
【0052】
RF電力送信器816は、PCB構造830上のどこにでも配置することができる(例えば、それは、回路基板830の中央に、または、回路基板830の縦軸840に関して中心から離れて配置することができる)。
【0053】
n1個およびn2個のターンの導体810および820が、それぞれ、各コイルターンは3次元曲線を個々に形成して、螺旋状である一方で、n3個のターンの導体870を形成している導電性トレース860は、平坦でかつPCB構造830の縦軸840に対して垂直でもよい。いくつかの実施形態では、PCB構造830は、1枚の層を含むことができる(すなわち、p=1)。n1、n2およびn3の値は、任意の数の回路基板層に対して、すなわち任意の値のpに対して、1以上であり得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、n3-1個のターンの第3の導体870の各ターンは、導電トレースに加えて導電トレースまたはビア890/iだけを含むことができる。いくつかの実施形態では、PCB構造830は、直径D1(例えばD≦15ミリメートル)を有する円形または円柱体である。いくつかの実施形態では、ヘリカル導体810、ヘリカル導体820および導体870は、直径D2(ここでD2<D1)の円形である。ヘリカルアンテナ800が円偏波モードで作動するために、条件
【数3】
が満たされねばならず、ここで、C(=πD2)はターンの周長であり(D2はターンの直径である)、Sは各2つのターン間の長さとしての間隔であり、λは使用されるRF放射の波長である。PCBビア890ならびに取付け部材882および884は、図6のヘリカルアンテナモデルについて、モノポールアンテナ素子として役立つ。
【0055】
いくつかの実施形態では、回路基板層L1、L2、…、Lpの各層は、Sに等しいものであり得るか、または、例えば、S±5%の範囲の中にあり得る厚さWを有することができる。例えば、D2=9.5ミリメートル、λ=69センチメートル(434MHzの無線周波数に対応する)およびS=W=0.635ミリメートルである。別の例では、Dは約9.5ミリメートルでもよく、λは約69センチメートル(約434MHzの無線周波数に対応する)でもよく、SはおよそW=0.635ミリメートルでもよく、ここで「およそ」とは、例えば、±5%である。他のパラメータおよび寸法も用いることができる。(上で使われるD2、λ、SおよびWの値の例は、円偏波モード条件
【数4】
を満たす。)
【0056】
送信器816はPCB層の選択された1つに(例えば、PCB層L1に)取り付けることができ、これは、選択されたPCB層L1に関連した周辺ループアンテナ860/1内部に送信器を物理的かつ電気的に収容するように構成される。(「収容する」とは、送信器を取り付けることに割り当てられるPCB層上の物理的スペースを有し、そして送信器を作動させるために必要とされるすべてのPCB導電トレースを備えることである。送信器816は異なるPCB層に取り付けることができ、すなわち、異なるPCB層が送信器を収容することができる。)選択されたPCB層(例えば、L1)は、電気的に選択されたPCB層(例えば、層L1)に配置されていて、送信器の第1の出力端子に電気的に接続されるかまたは接続可能であるように構成されるループアンテナ(例えば、860/1)に接続しているか、またはそれから分離されている、第1のアンテナ給電線(例えば、870)を含むことができる。選択された印刷回路基板層は非選択PCB層の第2のループアンテナに電気的に接続されており、送信器の第2の出力端子に電気的に接続されるかまたは接続可能であるように構成される、第2のアンテナ給電線を含むこともできる。
【0057】
図9Aは、別の例示の実施形態によるヘリカルアンテナ構造用の例示の回路基板900を表す。(回路基板900はp=1の場合の例示ケースである。)回路基板900は、1つの層Lおよび電気的導体970を含み、そして縦軸940を有する。(例えば、縦軸940は、それが同じスペースおよび配向を占めるという点で、Z軸と一致する。)導体970は、1つのアンテナターン(例えば、1つのループアンテナ)、または2つのループアンテナもしくはアンテナターン、あるいは1と2間の任意の数のターンを含むことができる。例えば、導体970は約1.5個のアンテナターンを含む。導体970の各アンテナターンは、回路基板層Lの誘電層950の異なる側の上または中に配置される導電性トレース(ループアンテナ)960/iを含む。導体970の1個のターンは基板900の層Lの「上部」側に配置されている導電性トレース960/1を含み、導体970の他のターンは基板900の層Lの「下部」側に配置されている導電性トレース960/2を含む。導電トレース960/1および導電トレース960/2は、導電トレース960/1と960/2の間に配置される回路基板層Lを通って、または、その中を通過する、ビア990(「トレースビア」)を通して相互接続する。ループアンテナに接続しているあらゆるPCBビア(例えば、2つのループアンテナまたは2つのアンテナターンを接続するPCBビア)は、図6に示されるヘリカルアンテナモデルに関して、モノポールアンテナとして機能する。
【0058】
回路基板900は、2つのヘリカル導体の軸および回路基板900の軸940が一致する(例えば、同じスペースおよび配向を占める)ように、2つのヘリカル導体(例えば、図10のヘリカル導体910および920を参照)の間に構造的に(および、機能的に)配置されるように構成することができる。回路基板900は、「上部」取付け部材982および「下部」取付け部材984を含むことができる。取付け部材982は回路基板層Lに取り付けられて(例えば、突出するかまたは平坦に取り付けられる)、導電トレース960/1に電気的に接続している導電性ピンでもよく、第1のヘリカル導体(例えば、図9Cのヘリカル導体910)の接続端は、例えば、取付け部材982にはんだ付けすることによって、取付け部材982に接続することができる。同様に、取付け部材984は回路基板層Lに取り付けられて(例えば、突出するかまたは平坦に取り付けられる)、導電トレース960/2に電気的に接続している導電性ピンでもよく、第2のヘリカル導体(例えば、図9Dのヘリカル導体920)の接続端は、例えば、取付け部材984にはんだ付けすることによって、取付け部材984に接続することができる。
【0059】
回路基板900は、回路基板900の第1の(上部)側に配置されている第1のアンテナ給電(「タップ」)点902、および回路基板900の第2の(下部、または対向する)側に配置されている第2のアンテナ給電(タップ)点904を含むこともできる。アンテナ給電(タップ)点902および904は、それぞれ、取付け部材982および984に重なる(または隣接している)ことができる。アンテナ給電点902は第1のヘリカル導体970を接続するための接続点として用いることができ、アンテナ給電点904はヘリカル導体970および別のヘリカル導体を接続する接続点として用いることができる。(アンテナ給電点902および904は、トランシーバがRF信号を送信または受信するヘリカルアンテナ上の位置である。)
【0060】
RF電力送信器916(またはトランシーバ)は、回路基板層Lの上部側に取り付けることができる。RF電力送信機916は、第1のアンテナ給電線(PCBトレース)994に電気的に接続している第1の出力端子および第2のアンテナ給電線(PCBトレース)996に電気的に接続している第2の出力端子を含むことができる。アンテナ給電線994は、(上部)アンテナ給電点902に電気的に接続することができる。アンテナ給電線(トレース)996は、回路基板層Lのビア992を通して、(下部)アンテナ給電点904に電気的に接続することができる。
【0061】
アンテナ給電線994は、ループアンテナ960/1に電気的に接続されるか、それからまたは分離されることができて、送信器916の第1の出力端子に電気的に接続されるかまたは接続可能であるように構成することができる。アンテナ給電線996は、ループアンテナ960/2に電気的に接続されるか、それからまたは分離されることができて、送信器916の第2の出力端子に電気的に接続されるかまたは接続可能であるように構成することができる。
【0062】
送信器916はまた、パワーアンプであるか、またはそれを含んでもよい。RF電力送信器916は、回路基板900内のどこにでも配置することができる(例えば、それは、回路基板900の中央に、または、回路基板900の縦軸940に関して中心から離して配置することができる)。ヘリカル導体970の導電性トレース960/1および960/2は、平坦でもよくて、回路基板830の縦軸940に対して垂直である平面にあってもよいかまたはその平面を定めてもよい。いくつかの実施形態では、ヘリカル導体970のアンテナターン(ループアンテナ)(例えば、導電トレース960/1を含むアンテナターン)は、導電トレースに加えてビア990を含むこともできる。
【0063】
図9Bは、図9Aの種々の要素を異なる観点から示している配向図である。図9Bの各参照数字は図9Aの対応参照数字および要素を指す。例えば、図9Bの参照数字916’は図9Aの送信器916を指し、図9Bの参照数字982’は図9Aの取付け部材982を指し、図9Bの参照数字990’は図9Aのトレースビア990を指し、図9Bの参照数字992’は図9Aの給電ビア992を指し、図9Bの参照数字996’は図9Aのアンテナ給電線(PCBトレース)996を指すなどである。
【0064】
図9Cは、例示の実施形態によるヘリカル導体910を示す。
例えば、ヘリカル導体910は、この例では、それらが同じ線および配向を占めるという点でZ軸と一致する、縦軸905に沿って長手方向に配置されている、2つのアンテナターン(n1=2)を含む(n1は2以外の値を有することができる)。ヘリカル導体910は、図9Aの取付け部材982と類似の取付け部材を用いて、図9Aの導電トレース960/1と類似の導電トレースに取り付ける(907)ことができ、かつそれと電気的に接続することができる接続端912を有する。ヘリカル導体910は、電気的にも、また機械的にも何に対しても接続のない端子(「自由」)端914も有する。
【0065】
図9Dは、例示の実施形態によるヘリカル導体920を示す。例えば、ヘリカル導体920は、この例では、Z軸と一致する縦軸905’に沿って長手方向に配置される2つのアンテナターン(n2=2)を含む。(n2は2以外の値を有することができる。)ヘリカル導体920は、図9Aの取付け部材984と類似の取付け部材を用いて、図9Aの導電トレース960/2と類似の導電トレースに取り付ける(907’)ことができ、かつそれと電気的に接続することができる接続端922を有する。ヘリカル導体920は、電気的にも、また機械的にも何に対しても接続のない端子(「自由」)端924も有する。
【0066】
図10は、例示の実施形態によるヘリカルアンテナ1000の組立図を示す。図10図9Aおよび図9C~9Dに関連して記載されている。ヘリカルアンテナ1000はヘリカル導体910(図9C)、ヘリカル導体920(図9D)および回路基板900(図9A)を含む。回路基板900は、構造的に、そして、機能的に、ヘリカル導体910とヘリカル導体920の間に配置される。ヘリカル導体910の縦軸905、ヘリカル導体920の縦軸905’および回路基板900の縦軸940は、いくつかの実施形態では、一致してもよい(例えば、同じ線および配向を占める)か、実質的に一致してもよい(例えば、同じ配向を有する異なる線を占める)か、または、まったく一致しなくてもよい(例えば、異なる配向を有する線を占める)。例えば、3本の縦軸のうちの2本だけが一致してもよい。例えば、ヘリカル導体910の縦軸905は、ヘリカル導体920の縦軸905’と一致するが、回路基板900の縦軸940とは一致しなくてもよい。
【0067】
ヘリカルアンテナ1000を組立てるために、ヘリカル導体910は取付け部材982に取り付けることができ(907)、ヘリカル導体920は取付け部材984に取り付けることができる(907’)。ヘリカル導体(例えば、ヘリカル導体910、920または両方のヘリカル導体)は、(例えば、取付け部材982または984と類似の取付け部材を用いて)回路基板900の誘電層上に、または、それに取り付けることができ、回路基板900の電気トレースと電気的接触することができる。あるいは、ヘリカル導体(複数可)は、回路基板900の電気トレースにはんだ付けすることができる。図11A~11Eは、組立てられたヘリカルアンテナ1000を種々の視点から示す。
【0068】
ヘリカルアンテナの縦軸と平行であるアンテナ給電線(例えば、フィードトレースまたはワイヤ)は、その放射が破壊的にヘリックス放射線を妨げるモノポールアンテナとして作用することがあり得て、結果としてアンテナの放射パターンの放射線ヌル領域(「無効な」領域)を生じる。平坦で、平面がヘリカルアンテナの縦軸に対して垂直であるアンテナ給電線(伝導)トレース(例えば、アンテナ給電線またはトレース、994および996)を使用して、ヘリカルアンテナにRF信号を供給することは、著しくヌル領域を減らす。ヘリカルアンテナ給電線(アンテナ給電トレース)としてPCBトレースを使用することは、種々のPCBトレースおよびビアの、最高または、最適であるサイズ、形状および相対位置に関して、そして、一般に、ヘリカルアンテナの性能の態様を最適化するための、アンテナへの(アンテナをタップするための)アンテナ給電線接続に関して柔軟性を与える。
【0069】
本明細書において記載されるように、ヘリカルアンテナの(使用されるRF波長と比べた)小さなサイズのため、アンテナのインピーダンスは非常に低く(約1?2オーム)、パワーアンプ(「PA」)での用途には不適当なものとなっている。しかしながら、本明細書において記載されるように、2つのアンテナ給電(タップ)点(例えば、給電点802および804)の正確な位置は、ヘリカルアンテナの性能が、例えば、アンテナインピーダンスに関して最適化されるように、選択することができる。すなわち、アンテナの給電点(および、送信器を給電点に接続する電気トレース)の位置は、アンテナのインピーダンスが約20オームに増やされるように設計することができる。
【0070】
スイッチトキャパシタ送信器回路は、スイッチトキャパシタパワーアンプ(「SCPA」)回路と呼ばれることがある。SCPAは、キャリア周波数(例えば、434MHz)のレートで電源供給端子と基準電圧端子(例えば、Gnd.)の間で切換え可能に接続される複数のコンデンサを含む。求められるかまたは所望の伝送電力は生体内デバイスの中に含まれるRF電力送信器(例えば、SCPA回路)のために予め定めることができ、そして、式(1)を用いて、定められた伝送電力を使用することにより、または、それに基づいて、インピーダンスを、生体内デバイス中に埋め込まれるべきヘリカルアンテナのために算出することができる。一旦アンテナの、求められるかまたは所望のインピーダンスが算出されると、生体内デバイスの回路基板(例えば、回路基板830または回路基板900)上第1のRF給電点および第2のRF給電点の位置を決定することができて、回路基板上の電気トレースは求められるかまたは所望の算出インピーダンスをヘリカルアンテナに与えるように設計することができる。PAの出力パワー(Po)は、式(1)によって与えられる:
Po=2*V^2/(π^2*R_antenna)(1)
例えば、10mWのピーク電力を得るための1Vの電圧に対して、R_antennaは20Ωに等しく、それは約1Ωである通常小さなヘリックスインピーダンスを十分に上回り得る。(しかしながら、本発明のヘリカルアンテナは、適切に設計されると、20Ωに近いインピーダンスをもたらす。)例となるSCPAは、例えば、米国特許公開第2015/0381401号(表題「SWITCHED CAPACITOR TRANSMITTER CIRCUITS AND METHODS」)、そして、米国特許第6,566,933号(表題「Switched capacitor transmitter pre-driver」)において記載されている。例示の実施形態による、例示SCPAパワーアンプ1210およびヘリカルアンテナ1220(電気的に等価な回路)を含む回路基板が、図12に示される。
【0071】
図13は、例示の実施形態による生体内システム1300を示す。生体内システム1300は、例示のセンサとしてイメージャを有する生体内デバイス1310を含む。生体内デバイス1310によって、または、それから送信されるフレームは、「画像フレーム」と呼ばれてもよい(ただし、画像フレームは他のタイプのデータを含むこともできる)。生体内撮像システム1300はデータレコーダ1320およびユーザワークステーション1330も含み、それは、例えば、パーソナルコンピュータならびに、例えば、画像および/またはビデオクリップもしくは動画ストリームあるいは他のデータを表示するためのディスプレイ1302でもよい。
【0072】
生体内撮像デバイスは、1つ以上のイメージャを有することができる。例えば、生体内イメージャ1310は、1つのイメージャ(例えば、イメージャ1312)を含む。生体内イメージャ1310は、撮像される消化管部を照らすための光/照明光源1314、撮影画像ごとに画像フレームを作成するためのフレーム生成器1322、コントローラ1360、データ(例えば、画像)を格納するための記憶装置1340、ヘリカルアンテナ1305を使用して画像フレーム(および、おそらく他のタイプのデータ)を受信アンテナ1307に送信するための、そして、任意選択的に、データレコーダ1320からデータおよび/またはコマンドを受け取るための、RF電力送信器またはトランシーバ1350を含むこともできる。生体内イメージャ1310は、生体内デバイス1310に電力供給するための電源1303(例えば、バッテリ)を含むこともできる。
【0073】
撮像デバイス1310が飲み込まれるか挿入された時、もしくはその直後に、または、いくらかの所定時間(例えば、2分)だけ遅れて、イメージャ1312は胃腸系の領域の画像を捕え始めることができる。自然光が腸管には入らないので、イメージャ1312は、「通常の」(すなわち、飲み込み可能ではない)イメージャとは対照的に、光シャッタを必要としない。光シャッタの機能は、したがって、腸管内部の暗さによって、そして、イメージャ1312の視野(「FOV」)を断続的に照らすことによって実施される。イメージャ1312は、256×256、320×320、1メガピクセルなどの光センサ素子(例えば、ピクセル)の配列、または他の任意の適切な配列であるかまたはその配列を含むことのできる、画像センサを含むことができる。イメージャ1312は、使用されるピクセルに対応するピクセル形式を用いて、画像データを出力する。各画像データは、撮影画像および、任意選択的に、その追加の選択部分を表すことができる。
【0074】
フレーム生成器1322は、撮影画像を表す画像データを受信することができ、画像データを含む対応する画像フレーム(または略して「フレーム」)を作成することができる。フレームは、フレーム自体に関連した情報および/またはメタデータ(例えば、フレームを識別する情報、フレームの一連番号、フレームの時間、フレームのビット長、など)を含むヘッダーフィールド、およびペイロードフィールドを通常含む。ペイロードは、画像データの圧縮されていないバージョンおよび/またはその圧縮バージョンならびに間引きした画像を含むことができる。
【0075】
コントローラ1360は、とりわけ、照明/光源1314を制御可能に作動させて、生体内イメージャ1310によって横断される領域を照らすことができ、それに応じて画像を撮像する時間をスケジューリングすることができる。コントローラ1360はタイミングユニットを使用して、照明光源1314の照らす動作を時間調節して、例えば、秒4回のレートで1秒につき4つの画像を捕えることを可能にし、同じレートで、または、異なるレートで、並行して対応するフレームを送信するようにトランシーバ1350を動作させることができる。コントローラ1360はタイミングユニットを使用して、照明光源1314を作動させて、1秒につき、より多くの画像、例えば1秒につき17の画像を捕えることができ、そしてRFパワーアンプ1350を作動させて、同じレートまたは異なるレートで、並行して対応するフレームを送信することができる。コントローラ1360は、撮影画像および関連した画像フレームをデータ記憶装置1340に一時的に保存することができる。データレコーダ1320は、胃腸系が撮像されることになっている人の身に着けることができる。
【0076】
データレコーダ1320は、受信機またはトランシーバ1344、フレームパーサ(図13に示されない)および、それらを管理するためのプロセッサを含むこともできる。データレコーダ1320は、生体内イメージャ1310から出てくる画像および局所化データならびに関連データを処理するように構成することができる、処理および/または表示システムと通信する(例えば、データフレーム、データその他を転送する)ための、追加コンポーネント(例えば、USBインタフェース、Secure Digital(「SD」)カードドライバ/インタフェース、コントローラなど)、要素またはユニットを含むことができる。トランシーバ1344は特定の撮影画像に対応するデータフレームを受信することができ、フレームパーサはデータフレームを解析して、中に含まれる種々のデータ(例えば、画像データ、特定の撮影画像と関連した間引き画像など)を抽出することができる。
【0077】
ユーザワークステーション1330は、ディスプレイを含むことができるか、または1つ以上の外部ディスプレイに、例えばディスプレイ1302に機能的に接続することができる。ワークステーション1330は、データレコーダ1320からフレーム(例えば、画像フレーム、局所化フレームなど)または画像を受信することができ、それらをリアルタイムで(例えばライブビデオとして)表示することができ、またはさらに、例えば、ディスプレイ1302に表示することもできる位置および配向情報を含んだビデオストリームを作成することができる。ワークステーション1330は、データレコーダ1320から転送されるフレームおよびおそらく関連したメタデータを格納するためのメモリ(図9に示さず)ならびに、格納されたフレームおよび関係するデータを処理するためのプロセッサ(図13に示されない)を含むことができる。ワークステーション1330は、このような画像からコンパイルされる選択された画像またはビデオクリップ(例えば、動画ストリーム)を、例えば、人間のオペレータ、医療従事者、医師その他に示すことができる。LEDドライバは、1つのLEDを含んで、いかなる数のLEDにも適合することができる。
【0078】
図14は、例えば、例示の実施形態による生体内デバイス用のヘリカルアンテナを設計する方法を示す。本方法の実施形態は、例えば、RF電力送信器(例えば、送信器816、916、1210)およびヘリカルアンテナ構造(例えば、アンテナ構造800、1000)を含むことができる生体内デバイスに適用でき、そしてヘリカルアンテナ構造は、第1のヘリカル導体(例えば、導体810および910)、第2のヘリカル導体(例えば、導体820および920)および、構造的に、かつ機能的に第1のヘリカル導体と第2のヘリカル導体の間に配置される回路基板(例えば、回路基板830および900)を含むことができ、回路基板は、とりわけ、回路基板の縦軸(例えば、軸840、軸940)に沿って順に積み重ねられる(べき)p個の回路基板層を含むことができる。回路基板は、ターンを有する導体(例えば、導体870)をさらに含むことができ、そこでは各ターンが、回路基板層Liの誘電層(例えば、850)上またはその中に配置されている導電性トレース(例えば、電気トレース860および960)を含むかまたはそれそのものであり、各導電トレースは、導電トレースとそれに続く導電トレースの間に配置される(分かれる)回路基板層Liのビアおよび/またはブラインドビアを介してそれに続く導電トレースに電気的に接続される。回路基板は、回路基板層上、またはその中にあり、PCBに配置されているPCB電気トレースを介してRF電力送信器の第1の端子および第2の端子にそれぞれ接続可能な、第1のRF(アンテナ)給電点(例えば、点802および902)および第2のRF給電点(例えば、点804および点904)をさらに含むことができる。
【0079】
方法の実施形態は、ステップ1410で、生体内デバイス(例えば、生体内デバイス1310、図13)中に含まれるRF電力送信器(図8の送信器816および図9Aの送信器916参照)のための、求められるかまたは所望の伝送電力を決定することと、ステップ1420で、決定された伝送電力を取得するのに適しているアンテナインピーダンスを(例えば、式(1)を用いて)算出することと、ステップ1430で、生体内デバイスに埋め込まれるべきヘリカルアンテナに算出したインピーダンスを与えるように生体内デバイスの中にRF電力送信器を収容することを目的とする、回路基板(例えば、図8の回路基板830および図9Aの回路基板900参照)上の第1のアンテナ給電(タップ)点(例えば、図8の位置802および図9Aの位置902参照)ならびに第2のアンテナ給電(タップ)点(例えば、図8の位置804および図9Aの位置904参照)の位置を決定することとを含むことができる。任意選択的に、または、必要であれば、算出したインピーダンスを取得するために電気トレースは回路基板上に設計することができる。(すなわち、いくつかの実施形態によれば、第1および第2のアンテナ給電点の位置と、回路基板上に、および/またはその中に配置される電気トレース設計との間のトレードオフがあってもよい。)
【0080】
方法の実施形態は、図15のような電気伝導体を含み、そして後述する図16、17A~17B、18A~18Bおよび19A~19Bにおいて例証される多層PCBに完全に取り付けられるか組み込まれるかまたは埋め込まれるヘリカルアンテナにも適用できる。
【0081】
図15は、例示の実施形態によるFPHAのための例示のヘリカルループアンテナ(アンテナターン)1500を示す。本実施形態において、ループアンテナ1500のすべてが集合的に、図6に示されるNMHAモデルのループアンテナを実現し、それらの全部が多層PCBに組み込まれる。他の実施形態において、ヘリカルターン(ループアンテナ)のいくらか(例えば、中間部)だけがNMHAモデルを実現して多層PCBに組み込まれたが、他のヘリカルターン(ループアンテナ)はヘリカル導体の「規則的な」コイル状の(螺旋形になっている、ヘリカル)ターンである。
【0082】
アンテナターン1500の各アンテナターン(ループアンテナ)は平坦でもよく(例えば、それが平坦なPCBトレースとして実装されるので)、機能的にループアンテナに似ている。ループアンテナ1500は、導通「ブリッジ」を用いて互いに接続することができる。アンテナ「ブリッジ」は、例えば、PCBビアまたはPCB(電気伝導性)トレースなどとして実装されることができ、それはモノポールアンテナに似ている(モノポールアンテナとして機能する)。アンテナターンおよびアンテナターンを接続する接続ブリッジを含むループアンテナ1500の空間配置は、NMHAのモデルに似ているかまたは実現する。(NMHAモデルは、図6に関連して説明されて示されるように、モノポールおよびループアンテナの重ね合せである。)
【0083】
作動中に長手方向に積み重なっているPCB層は、ループアンテナ1500およびブリッジを収容する。(PCB層は、アンテナのターンおよび接続ブリッジを見にくくしないように、図15には示さない。)例えば、ループアンテナ1500は、順にn1、n2、n3、n4、n5およびn6と示されるアンテナターンとして(ループアンテナとして)6つのPCBトレースを含み、導電トレースn1は上部に示されて、上部アンテナターンを形成しており、「n1-s」はアンテナターンn1の「開始」点であり、「n2-s」はアンテナターンn2の開始点であり、「n3-s」はアンテナターンn3の開始点であり、「n4-s」はアンテナターンn4の開始点である。(アンテナターンn5およびn6の開始点は示されない。)FPHAのPCBトレース(ループアンテナ)の数は6未満でもよいが、これは結果としてアンテナの性能の劣化になる場合があり、または、スペースの制約によって許容可能である場合、6より大きくてもよい。
【0084】
導電トレースn1の下に次の導電トレースn2が示され、それは別のアンテナターンを形成する。導電トレースn2の下に次の導電トレースn3が示され、それは別のアンテナターンを形成する。導電トレースn3の下に次の導電トレースn4が示され、それは別のアンテナターンを形成する。導電トレースn4の下に次の導電トレースn5が示され、それは別のアンテナターンを形成し、導電トレースn5の下に次の導電トレースn6が示され、それが別のアンテナターンを形成する。(アンテナターンの数は、物理的および/または電気的(例えば、機能的)制約に従って、および/またはアプリケーションもしくは要件に従って変化し得る。)ループアンテナ1500は本明細書において「完全なPCBヘリカルアンテナ構造」(FPHA)と呼ばれ、その理由は、アンテナのあらゆる導体素子(例えば、ループアンテナ、ループアンテナを接続するブリッジ)がPCBの層の1つに印刷されるかまたは埋め込まれるか、または2つのPCB層を接続しているからである。アンテナ「テール」1560は、この点に関しては例外である。
【0085】
PCB導電トレースn1~n6は平行(または実質的に平行)であってもよく、それらは、この例では、b1、b2、b3、b4およびb5と示される5つのブリッジを用いて相互接続する。(「ブリッジ」はPCBビアとして、または柔軟なPCB導電トレースとして実装することができる。)各PCB導電トレースniは、PCBビア(例えば、ブリッジb3は「ビア」接続である)によって、または可撓性PCBトレース(例えばブリッジb1である、b2、b4およびb5は可撓性接続である)を介して、下部導電トレースni+1に、および/または上部導電トレースni-1に接続することができる。
【0086】
2つの「隣接する」ループアンテナ(PCB導電トレースである)は、同じPCB層(PCB層のそれぞれの側上の1つのループアンテナ)に、または、別々のPCB層に印刷されることができる。PCB層のいくつかは両側上にループアンテナを含むことができる一方で、他のPCB層は一方の側にだけループアンテナを含むことができる。PCB層の全部または一部は両側上にループアンテナを含むことができ、いくつかのPCB層はPCB層一方の側にだけループアンテナを含むことができる。アンテナターンのいくつかまたはすべては、(例えば、アンテナターンn1~n6)は、完全に、または、部分的に、PCB層に埋め込むことができる。PCB層のいくつかまたはすべては、可撓性でもよい。PCB層のいくつかまたはすべては、剛性でもよい。PCB層の剛性に関係なく、PCB層は可撓性セクションを使用して互いに接続することができる。
【0087】
ループアンテナ1500の内部には、ループアンテナ1500のうちの2つを送信器1530の出力端子に接続する2本のラジアル(または「セミラジアル」)アンテナ給電線1510および1520(トレース線1520の一部として、または、「拡張部」として考えることができる「ブリッジング」トレース線1522を含む)である。(送信器1530は選択されたPCB層によって(例えばその中に、またはその上に取り付けられて)収容されるが、選択されたPCB層自体は図15に示されない。)アンテナ給電線1510(第1のアンテナ給電線)は、選択された印刷回路基板層の中またはその上に取り付けられて、送信器(例えば、送信器1530)の第1の出力端子に電気的に接続可能なループアンテナ(例えば、ループアンテナn3)に、電気的に接続することができる。アンテナ給電線1520(第2のアンテナ給電線)は、送信器の第2の出力端子に、選択された印刷回路基板層で、または、それ上に取り付けられず、電気的に接続可能である第2のループアンテナ(例えば、ループアンテナn4)に、電気的に接続することができる(例えば、「中間」給電線1522を介して)。
【0088】
アンテナ給電線1510および1520は、PCBトレースでもよい。アンテナ給電線1510は1つのループアンテナを内向きに(例えば、放射状に、半放射状に、または、曲線状に)分離する(そしてそれに接続する)ことができて(この例では、それはループアンテナn3から分離される)、そしてPCB導電トレース1510の末端部部(最奥部)は送信器1530の出力端子に接続することができる。送信器1530は、送信器を収容しているPCB層に取り付けられるかまたは印刷されるループアンテナの内部にある。例えば、送信器1530はループアンテナに集中してもよく(例えば、それは、ループアンテナ1500の縦軸1502と一致することができる)、または、それはいくらかの範囲だけ縦軸から外れていてもよい。
【0089】
アンテナ給電線1520(PCBトレース1522はその一部である)は、異なるループアンテナから内向きに(例えば、放射状に、半放射状に、または、曲線状に)分離されるPCBトレースである(この例では、それはループアンテナn4から分離される)。PCB導電トレース1520の末端部(最奥部)は送信器1530の第2の出力端子に接続しているが、それは「ブリッジング」トレース1522を介してこの出力端子に接続している。(ブリッジングトレース1522およびPCBトレース1520は1540でPCBビアを通して接続される。)
【0090】
本発明によれば、アンテナ給電線1510および1520(ブリッジングトレース線1522を含む)は、Z座標に対して垂直であるX-Y平面に放射状にあるのが好ましい。(Z座標は、ループアンテナ1500の縦軸(1502)に対応するかまたはそれを表す。)加えて、アンテナターンの数は6よりより少なくても多くてもよく、送信器(例えば、送信器1530)はループアンテナ1500の内部スペース(ループアンテナ1500によって制限されるか、または限られるスペース)のどこにでも置くことができ、ただし、アンテナの給電線が、送信器に接続されるときに送信器の動作の間、それらをループアンテナ1500の(例えば、Z軸に対応する)縦軸1502に対して垂直にするために、X-Y平面にある、との条件である。(「アンテナターン」という用語がPCBの構造に関連して本明細書において言及されるときはいつでも、それは、図6についてのNMHAのモデルの前後関係の範囲内で「ループアンテナ」も意味する。)
【0091】
軸方向の、「テール」状のアンテナ拡張部1560は、長手方向に(軸方向に)ループアンテナ1500からそして、送信器1530から離れて、伸びることができ、例えば、ループアンテナ1500の縦軸1502と平行であり得る。アンテナ拡張部1560は、最後のアンテナターン(例えば、アンテナターンn6)の末端1550に接続することができる。あるいは、アンテナ拡張部1560と類似のアンテナ拡張部は、第1のアンテナターンの開始点に、例えば第1のアンテナターンn1の開始点n1-s(ターンの末端)に接続することができる。
【0092】
図16は、例示の実施形態による、多層PCBに組み込まれてFPHAを形成する図15のヘリカルループアンテナ1500を示す。図15において使われる参照数字が、参照の容易さのための図16において使われる。(同様の参照数字は図15および16の間で同様な要素を意味する。)(多層PCBは明確に図16に示されないが、類似の多層PCBの展開されたバージョンは、例えば、図17Aおよび17Bに明確に示される。)
【0093】
FPHAは、生体内デバイスに組み込むことができる。FPHAを組み込んだ生体内デバイスはイメージャ(撮像センサ)1610を含むこともできて、完全なPCBのために、ヘリカルアンテナ構造1500は追加コンポーネント、例えば光源(例えば、発光ダイオード(LED))、種々の電子チップ(例えば、プロセッサ、データ記憶装置、アナログデジタル変換器(「ADC」)、デジタルアナログ変換器(「DAC」)、トランシーバなど)を含むこともできるが、これらの回路素子は、FPHAをさらに見えなくしないために図16に示されない。
【0094】
図17A~17Bは、例示の実施形態によるFPHAのための多層PCB1700の展開図を表す。図17Aにおいて使われる参照数字が、参照の容易さのために同様に、図17Bにおいて使われる。(同様の参照数字は図17Aおよび17Bの間で同様な要素を意味する。)(PCB1700のレイアウトと異なるレイアウトを有するPCBも使うことができる。)
【0095】
多層PCB1700はいくつかのPCBインストールユニットを含み、それは、例えば、1730で示される。インストールユニットは、1740で示されるようなPCB接続セクションを用いて相互接続することができる。PCB1700は、1731、1732および1733で示される3つのPCB層またはインストールユニットを含む第1の「一体型」アンテナPCBセクション1750を含むことができる、その上に、またはその中に、アンテナターンn1、n2およびn3をそれぞれ取り付けることができるかまたは印刷することができる。(アンテナPCBセクション1750はPCB1700の一体化部分であり、なぜならそのPCB層またはインストールユニット、この例ではPCB層(インストールユニット)1733の1つが、PCB接続セクション(例えば、1740)によってPCBセクション1700の少なくとも1つのインストールユニットに接続しているからである。)
【0096】
PCB1700は、1734、1735および1736で示される3つのPCB層またはインストールユニットも含む別個かまたは付加されたアンテナPCBセクション1780も含み、その上に、またはその中に、アンテナターンn4、n5およびn6は、それぞれ取り付けることができるかまたは印刷することができる。(アンテナPCBセクション1780が別々のPCB部品であるかまたはそのように製造されることができるので、アンテナPCBセクション1780はPCB1700の別々のPCB部品または「付加された」PCB部品であるが、それはPCB組み立て工程の間に「主」PCBに(例えば、より大きなPCBの他の部品(複数可)に)電気的に接続され、その間に、アンテナPCBセクション1750および1780は適所に(例えば、プラスチックスペーサを使用することにより)固定することができ、PCB「ブリッジ」(例えば、PCBビア、可撓性PCBトレース)を介して電気的に(機能的に)接続される。)アンテナターンn1~n6は、6つのPCB層にそれぞれ取り付けることができる周辺ループアンテナである。(「周辺ループアンテナ」は、PCB層の周辺上に、または、PCB層の周辺に隣接して取り付けられるループアンテナである。)
【0097】
また図17Aには、アンテナターンn1およびn2を接続する接続ブリッジb1、アンテナターンn2およびn3を接続する接続ブリッジb2、アンテナターンn4およびn5を接続する接続ブリッジb4、ならびにアンテナターンn5およびn6を接続する接続ブリッジb5が示される。アンテナPCBセクション1750および1780が(例えばそれらの組立工程の間、またはその一部で)組み立てられるときに、2つのアンテナPCBセクションは別の接続ブリッジ(図17Aには示されないが類似の接続ブリッジが例えば図15に示されている、接続ブリッジb3)によって接続される。
【0098】
PCB層(インストールユニット)1733は、図15のアンテナ給電線1510と類似のアンテナ給電線1710および図15のブリッジングトレース線1522と類似のブリッジングトレース線1722を含むことができる。PCB1700の組み立て工程の間、または、それの一部として、送信器(図17Aに示されないが、例えば、図15に示される、例えば、送信器1530)は、選択されたPCB層(インストールユニット)1733上に取り付けられて、アンテナ給電線1710に、そして、ブリッジングトレース線1722に電気的に(機能的に)接続される。インストールユニット1734は、図15のアンテナ給電線1520と類似のアンテナ給電線1720を含むことができる。(ブリッジングトレース線1722はアンテナ給電線1720の(一部である)拡張線である。)第1のアンテナ給電線(例えば、アンテナ給電線1710)は選択されたPCB層(例えば、PCB層1733)の中、またはその上に取り付けることができる一方で、第2のアンテナ給電線は非選択PCB層の中、またはその上に(例えば、PCB層1734上の給電線1720として)部分的に取り付けることができ、そして選択されたPCB層の中、または上に(例えば、PCB層1733上のブリッジング給電線1722として)部分的に取り付けることができるPCB層1733が送信器を収容するように設計されているので(例えばPCB層は、送信器ならびに送信器が接続されるべきアンテナ給電線1710および1722用のスペースを含むことができる)、PCB層1733は、「選択されたPCB層」と考えられる。
【0099】
PCB層またはインストールユニット1733に取り付けられて、アンテナ給電線1710に、そして、ブリッジングトレース線(アンテナ給電線)1722(これは、異なるPCB層にあるが、アンテナ給電線1720の一部である)に電気的に接続している送信器は、これらの給電線を介してRF電力をヘリカルアンテナへ転送することができる。(送信器を物理的に、そして、電気的に収容して、例えば、送信器に電力を供給して、それがデータおよび/または信号を転送するのを可能にするPCB層またはインストールユニットは、本明細書において「選択されたPCB層」と呼ばれる。)選択されたPCB層は、選択されたPCB層に関連した周辺ループアンテナ内部に物理的に、そして、電気的に送信器を収容するように構成される。例えば、PCB層1733は周辺ループアンテナn3を含み、PCB層1733が周辺ループアンテナn3内部に物理的に、そして、電気的に送信器を収容するように構成される。(送信器自体は図17A~17Bには示されない。しかしながら、それは例えば、図18A~18Bの1852に示される。)
【0100】
アンテナ給電線1710(第1のアンテナ給電線)は、選択された印刷回路基板層1733の中、またはその上に配置されているループアンテナ(例えば、ループアンテナn3)に電気的に接続されてもよく、送信器(図17Aに示されない)の第1の出力端子に電気的に接続可能でもよい。アンテナ給電線1720(第2のアンテナ給電線)は、選択された印刷回路基板層(1733)の中、または上ではなく、例えば、印刷回路基板層1732の中、または上に配置されている第2のループアンテナ(例えば、ループアンテナn4)に電気的に接続されてもよく、給電線1720は、「中間」給電線1722を介して、送信器の第2の出力端子に電気的に接続可能である。
【0101】
各アンテナ給電線1710および1720は、それぞれのPCB層(PCBインストールユニット)上かその中のアンテナターンから、放射状に、または、半放射状に伸びる。(「半放射状に」とは、「いくぶん」放射状に、例えばアンテナ給電線が、関連したPCB層または周辺ループアンテナの中央点の近くの位置から周辺ループアンテナ上の位置まで伸びることである。)2つのアンテナ給電線は、別々のPCB層の上に取り付けるか、中に形成するか、または中に埋め込んでもよく、それらは、例えば、(例えば、それらの間に配置される他のPCB層なしで)隣接するPCB層の上に取り付けるか、中に形成するか、または中に埋め込んでもよく、または、それらは(例えば、それらの間に配置される1つ以上のPCB層によって)離されているPCB層の上に取り付けるか、中に形成するか、または中に埋め込んでもよい。
【0102】
PCB構造内のそれらの位置に関係なく、2本のアンテナ給電線は、PCB層1733の中、またはその上に、または、PCB層1733および別の、それに、平行で、PCB1700の縦軸1702(図17B参照)に対して垂直であるPCB層の中、またはその上に存在する。PCB1700は、それを折り畳んだ後に(折り畳み状態で)、複数のPCB層が長手方向に縦軸1702に沿って積み重なって、第1のループアンテナn1を含む第1のPCB層(例えば、PCB層1731)から最後のループアンテナ(例えば、アンテナ給電線n6)を含む最後のPCB層(例えば、PCB層1736)まで順になるように、折り畳み可能であってもよい。
【0103】
ヘリカルアンテナは、第1のループアンテナに電気的に接続することができる(例えば、ヘリカル導体810と類似していてもよい)第1のヘリカル導体をさらに含むことができる。ヘリカルアンテナは、最後のループアンテナに電気的に接続することができる(例えば、ヘリカル導体820と類似していてもよい)第2のヘリカル導体をさらに含むことができる。
【0104】
PCB1700は、第1のアンテナ給電線(例えば、アンテナ給電線1710)および第2のアンテナ給電線(例えば、アンテナ給電線1720)がそれぞれ、PCB1700を組立てた後に、縦軸1702に対してすべて垂直である選択されたPCB層(例えば、PCB層1733)か、またはそれらのそれぞれのPCB層に(例えば、選択されたPCB層および、非選択PCB層に)存在するように、折り畳み可能であってもよい。(図17A~17BのPCB1700は、図18A~18Bおよび19A~19Bにおいて折り畳み状態で示される。)
選択されたPCB層は、多層PCBの中間のセクションに、長手方向に置くことができる。
【0105】
PCBセクション1750および1780に取り付けられるかまたは印刷されるヘリカルアンテナは、「テール」状のアンテナ拡張部1760を含むことができる。アンテナ拡張部1760は、最後のアンテナターン(例えば、アンテナターンn6)の末端1752に、電気的に接続することができる。PCB1700を折畳んだ後に、アンテナ拡張部1760は送信器から離れて軸方向に縦軸1702と平行して延長することができ、それは、PCB1700の動作の間、選択されたPCB層1733内にあるか、それによって収容される。縦軸1702は、折り畳まれたアンテナ構造(PCBセクション1750および1780)の縦軸であり、PCB1700が完全に折り畳まれた後は、PCB1700全体の縦軸である。
【0106】
図17Bは、別々のアンテナPCBセクション1780(図17A参照)が一体型アンテナPCBセクション1750(図17A参照)の下に存在しているPCB1700を示す。PCBの組立ては、アンテナターンn3の末端1771がアンテナターンn4の末端1772の上に空間的に配置されるように、例えば、プラスチックスペーサによって、アンテナPCBセクション1750にアンテナPCBセクション1780を接続する(1790)ことを含むことができ、その結果、2つの末端(1771、1772)は可撓性トレース(本明細書において、ブリッジb3と称される)を介して、または、それによってPCBを通して電気的に接続することができ、アンテナ給電線1720および1722はPCBビアを通して電気的に接続することができる。PCB構造の組立ての間、種々のPCB層(インストールユニット)は、それらが2つの長手方向に積み重った、反対方向の撮影をすることができる撮像「ヘッド」を形成するように、折り畳まれる。
【0107】
図18A~18Bは、例示の実施形態による、FPHAのための例示の展開されたPCB1800を表す。後述するように、図18Aは第1の組立状態の展開されたPCB構造1800を表し、図18B図18Aのより進行した組立状態の展開されたPCB構造1800を表す。
【0108】
図18Aを参照すると、展開されたPCB1800は、第1の光ヘッド1810および第2の光ヘッド1820を含むことができる。光ヘッド1810は展開して示されて、光ヘッド1820はより進行した組立状態において示される。光ヘッド1810は、3つのPCB層(インストールユニット)を含むことができるが、それらは例えば、1830に示すような、画像センサを収容する1つのPCB層およびハウジングに長手方向に積み重なるレンズ、1840に示すような、(画像センサ用の)光源を収容する別のPCB層ならびに、1870に示すような、第1のバッテリ接点コイルを収容する別のPCB層である。(画像センサおよびレンズは図18A~18Bに示されない。)光ヘッド1810は、そのPCB層が折り畳まれた後の光ヘッド1820に似ている。光ヘッド1820に関連した光源は、1842に示すように、別々のPCB層によって収容される。各光源は複数のLEDを含むことができ、そのいくつかは1844で示される。別々のアンテナPCBセクション1880は、図18Aにおいて「展開された」状態で示されて、図18Bでは組み立てられて、テール状のアンテナ拡張部1860が送信器1852から離れて軸方向に長手方向に、アンテナ構造の縦軸1802と平行して延長する。
【0109】
図19Aおよび19Bは、図17A~17B(FPHA1700)および図18A~18B(FPHA1800)のFPHAと類似のFPHAを含む生体内デバイスの光ヘッド1900を表す。(生体内デバイスは異なるレイアウトのFPHAを含むことができる。)図19Aにおいて用いられる参照数字、PCB層指定(n1、n2など)およびブリッジ(b1、b2など)は、図17A~17Bおよび図18A~18Bの同じ要素に対応する。図19B図19Aの撮像ヘッド1900を異なる視点から示す。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態によるデバイス、システムおよび方法は、例えば、移植することができるかまたは飲み込むことができるデバイスと連動して用いることができる。しかしながら、本発明の範囲は、この点に関して限定はされない。例えば、本明細書において開示されるヘリカルアンテナ構造は、小さいツールおよび小さい(例えば、ミニチュア)玩具からセンシングした情報を受信するため、ならびにこのようなデバイスに制御信号を送信するために用いることができる。
【0111】
特定の本発明の特徴が本明細書において例示され、記載されている一方で、多くの修正、置換、変更および等価物は今や当業者に見出される。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神の範囲内に含まれるこのようなすべての修正および変更を包含することを意図していることを理解すべきである。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B