(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】診断的ドレナージ用カテーテルアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20220118BHJP
A61M 1/00 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
A61B5/00 101M
A61M1/00 160
(21)【出願番号】P 2019520448
(86)(22)【出願日】2017-10-17
(86)【国際出願番号】 US2017056905
(87)【国際公開番号】W WO2018075468
(87)【国際公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-09-24
(32)【優先日】2016-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519130834
【氏名又は名称】エスアールエス メディカル システムズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】SRS MEDICAL SYSTEMS,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ブロディ、リー
【審査官】高松 大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0221933(US,A1)
【文献】米国特許第05100394(US,A)
【文献】特開昭59-177056(JP,A)
【文献】特開2015-159884(JP,A)
【文献】特開2014-030540(JP,A)
【文献】特開2008-206592(JP,A)
【文献】特表2005-507279(JP,A)
【文献】国際公開第2014/115566(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0114316(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00
A61M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
留置カテーテルの抜去条件を決定するためのプロトコールを実行するための膀胱内圧計測システムであって、システムの1以上の要素は、事前に展開配置された留置尿路カテーテルと作動可能に結合可能であり、システムは:
a.膀胱の充満又は排尿のいずれかの事象の際の膀胱内圧計測のための圧力センサと、感知/モニタリングされた圧力データを含んでなる患者の選出された尿流動態パラメータの、受信、処理及び表示のうち少なくともいずれかを行うためのプロセッサ/制御器とを特徴とする、尿流動態データシステム;並びに、
b.前記尿流動態データシステムの前記圧力センサを留置尿路カテーテルのバルーン膨張バルブに作動可能に結合するためのカテーテルバルーンアダプタであって、前記カテーテルバルーンアダプタは、バルーン膨張バルブへの接続のための非活性化ステム部を備えたアダプタバルブと、ハウジングであって、前記ハウジングはバルーン膨張バルブ部分及びアダプタバルブ部分を具備し、ハウジング部分のうち1つのハウジング部分は、前記バルーン膨張バルブと前記アダプタバルブとの間の確実で作動可能な接合部分の確立及び維持を促進するために、ハウジング部分のうち別のハウジング部分に関して強制的に前進可能であるハウジングと、を具備しているカテーテルバルーンアダプタ、を具備し
、
前記尿流動態データシステムは、流体流量の測定を促進するためにカテーテルの尿導路から吐出している収集流体の質量を測定するための、前記プロセッサ/制御器に作動可能に連結可能である計量機をさらに具備している、システム。
【請求項2】
カテーテルの尿導路と作動可能に組み合わせるための流体流調節器をさらに具備している、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記流体流調節器はクランプを具備している、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記流体流調節器は、処理された患者の尿流動態パラメータに応じた前記尿流動態データシステムの前記プロセッサ/制御器による選択的駆動のためのバルブを具備している、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記カテーテルバルーンアダプタはさらに隔離チュービングアセンブリを具備し、前記隔離チュービングアセンブリは前記尿流動態データシステムの前記圧力センサとの結合のために前記アダプタバルブから伸びている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
隔離チュービングアセンブリをさらに具備しており、前記隔離チュービングアセンブリは、前記カテーテルバルーンアダプタと前記尿流動態データシステムの前記圧力センサとの間に延在する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
留置カテーテルの抜去条件を決定するためのプロトコールを実行するための膀胱内圧計測システムであって、システムの1以上の要素は、事前に展開配置された留置尿路カテーテルと作動可能に結合可能であり、システムは:
a.膀胱の充満又は排尿のいずれかの事象の際の膀胱内圧計測のための圧力センサと、感知/モニタリングされた圧力データを含んでなる患者の選出された尿流動態パラメータの、受信、処理及び表示のうち少なくともいずれかを行うためのプロセッサ/制御器とを特徴とする、尿流動態データシステム;並びに、
b.前記尿流動態データシステムの前記圧力センサを留置尿路カテーテルのバルーン膨張バルブに作動可能に結合するためのカテーテルバルーンアダプタであって、前記カテーテルバルーンアダプタは、バルーン膨張バルブへの接続のための非活性化ステム部を備えたアダプタバルブと、ハウジングであって、前記ハウジングはバルーン膨張バルブ部分及びアダプタバルブ部分を具備し、ハウジング部分のうち1つのハウジング部分は、前記バルーン膨張バルブと前記アダプタバルブとの間の確実で作動可能な接合部分の確立及び維持を促進するために、ハウジング部分のうち別のハウジング部分に関して強制的に前進可能であるハウジングと、を具備しているカテーテルバルーンアダプタ、を具備し、
前記尿流動態データシステムは、患者の腹部及び肛門周囲のうち少なくともいずれか一方の活動の確認を促進するための、前記プロセッサ/制御器に作動可能に連結可能である筋電図検査電極をさらに具備している
、システム。
【請求項8】
留置カテーテルの抜去条件を決定するためのプロトコールを実行するための膀胱内圧計測システムであって、システムの1以上の要素は、事前に展開配置された留置尿路カテーテルと作動可能に結合可能であり、システムは:
a.膀胱の充満又は排尿のいずれかの事象の際の膀胱内圧計測のための圧力センサと、感知/モニタリングされた圧力データを含んでなる患者の選出された尿流動態パラメータの、受信、処理及び表示のうち少なくともいずれかを行うためのプロセッサ/制御器とを特徴とする、尿流動態データシステム;並びに、
b.前記尿流動態データシステムの前記圧力センサを留置尿路カテーテルのバルーン膨張バルブに作動可能に結合するためのカテーテルバルーンアダプタであって、前記カテーテルバルーンアダプタは、バルーン膨張バルブへの接続のための非活性化ステム部を備えたアダプタバルブと、ハウジングであって、前記ハウジングはバルーン膨張バルブ部分及びアダプタバルブ部分を具備し、ハウジング部分のうち1つのハウジング部分は、前記バルーン膨張バルブと前記アダプタバルブとの間の確実で作動可能な接合部分の確立及び維持を促進するために、ハウジング部分のうち別のハウジング部分に関して強制的に前進可能であるハウジングと、を具備しているカテーテルバルーンアダプタ、を具備し、
前記カテーテルバルーンアダプタの前記ハウジング部分は不可逆的に相互連動する部分である
、システム。
【請求項9】
前記カテーテルバルーンアダプタの前記ハウジング部分は平行移動により一方から他方に向かって強制的に前進可能である、請求項
8に記載のシステム。
【請求項10】
前記カテーテルバルーンアダプタの前記ハウジング部分は回転により一方から他方に向かって強制的に前進可能である、請求項
8に記載のシステム。
【請求項11】
アダプタバルブハウス部分はバルーン膨張バルブハウジング部分に対して強制的に前進可能である、請求項
8に記載のシステム。
【請求項12】
診断的ドレナージ用カテーテルアセンブリであって:
a.尿ドレナージルーメン、膀胱固定化バルーン、バルーン膨張バルブ、及び前記バルーン膨張バルブを前記膀胱固定化バルーンと作動可能に連結しているバルーン充填ルーメンを特徴とする、尿路カテーテル;
b.選出された尿流動態パラメータを感知、計測、又はモニタリングするための装置;並びに、
c.前記装置を前記尿路カテーテルの前記膀胱固定化バルーンと作動可能に結合するためのアセンブリであって、前記アセンブリは、バルーン膨張バルブを前記装置と作動可能に連結するためのアセンブリバルブ、並びに、アセンブリハウジングであって、前記アセンブリハウジングはバルーン膨張バルブ部分とアセンブリバルブ部分とを具備しており、ハウジング部分は、前記バルーン膨張バルブと前記アセンブリバルブとの間の確実な接合部分の確立及び維持を促進するために強制的に引き合わされるようになされている、アセンブリハウジング、を特徴とするアセンブリを具備し
、
前記アセンブリハウジングの前記バルーン膨張バルブ部分は対をなした保持部を備え、前記アセンブリハウジングの前記アセンブリバルブ部分はそこから伸びる対をなしたアームを備え、前記対をなしたアームは前記対をなした保持部によって添着可能に受承されている、診断的ドレナージ用カテーテルアセンブリ。
【請求項13】
隔離チュービングアセンブリをさらに具備しており、前記隔離チュービングアセンブリは前記アセンブリバルブと前記装置との間に延在する、請求項
12に記載の診断的ドレナージ用カテーテルアセンブリ。
【請求項14】
前記装置は圧力センサを具備している、請求項
12に記載の診断的ドレナージ用カテーテルアセンブリ。
【請求項15】
前記装置は、圧力センサ
、及び該圧力センサに作動可能に連結された圧力センサモニタを具備している、請求項
12に記載の診断的ドレナージ用カテーテルアセンブリ。
【請求項16】
前記装置は尿流動態データシステムを具備している、請求項
12に記載の診断的ドレナージ用カテーテルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、尿路ドレナージカテーテルを使用して膀胱内圧の計測/取得を行うための、1又は複数の、キット、システム、アセンブリ、サブアセンブリ、装置、デバイスのうち少なくともいずれかに関し、より詳しくはさらに、そのような品物のうち少なくともいずれかであって、同様に提示される尿流動態測定の方法論及び付随する好都合で非限定的なシステムを用いて、膀胱内圧などを確認するための、尿路ドレナージカテーテルのバルーン流体注入ポートの使用を特徴とするものに関し、かつさらには、留置尿路カテーテル抜去のパラメータ及び条件のうち少なくともいずれかを決定するためのプロトコールに関する。
【背景技術】
【0002】
尿路カテーテルは、ドレナージバッグなどによる体外収集のために膀胱からの尿の自由通過又はドレナージを可能にする、中空で部分的に可撓性のチューブである。該カテーテルは尿道を介して個体の膀胱に挿入されて、下部尿路の解剖学的構造/生理機能を効果的に短絡させる(すなわち、膀胱の中身を多くの場合は外部採尿デバイスへと受動的に排出させるための低抵抗性チャネルを作出する)。該カテーテルは、1日中定位置にとどまるもの(すなわち、膀胱固定具構造体、例えば膨張可能なバルーンを一般に特徴とする留置尿路カテーテル)であってもよいし、膀胱からの排出のたびに挿入及び抜去される間欠式カテーテルであってもよい。
【0003】
カテーテルは、尿失禁(すなわち、尿漏れ若しくはいつ排尿するかを制御できないこと)、又は下部尿路手術であって、医療処置の直後の膀胱の充満及び尿の尿道との接触のうち少なくともいずれか一方を外科医が回避しようとする手術の後、のようないくつかの様々な臨床上の理由で利用される。より一般的には、尿路カテーテルは、患者が尿貯留(すなわち、その必要があるときに排尿することができないこと)の症状を有するか、内科的疾患を有するか、又は外科手術を受ける場合に利用される。膀胱内の過度の尿蓄積は、疼痛、膀胱損傷、及び尿管を通した腎臓内への尿の還流のうち少なくともいずれかを引き起こしうる。
【0004】
ほとんどのカテーテルは短期固定(すなわち一時的)であって、自己排尿する能力が確実かつ安全に実証可能になるまでしか必要とされないが、長期にわたる展開配置を必要とする(すなわち慢性である)状況は数多くある。
【0005】
米国では毎年、100万人を超える患者が尿貯留により留置尿路カテーテルを挿入される。尿貯留は多くの場合、膀胱内圧が膀胱出口部抵抗を十分には乗り越えず、その結果膀胱を十分に空にすることができないときに生じる。これらの症状発現は多くの場合一時的であり、ドレナージカテーテルを最終的に抜去することが可能である。これらの貯留事象の多くは膀胱内圧の一時的な障害の結果として入院中に生じる。
【0006】
病院及び泌尿器学の実務は、個体が自身の膀胱を空にするためにもはや尿路カテーテルを必要としないのはいつであるかを予測するのに苦労している。尿路カテーテルの使用には、最も一般的なタイプの医療関連感染である、カテーテル関連尿路感染(CAUTI)として知られる尿路感染など、高い発生率の医学的合併症を伴う。従来、介護者はカテーテルを長く入れたままにしすぎて失敗する場合があったが、その結果CAUTIの高い発生率をもたらしてきた。疾病管理予防センター(CDC)は、CAUTIによる毎年13,000人の米国患者死亡数、2~4日の在院期間の超過、不必要な抗微生物剤の使用、及び国民全体で1年当たり4~5億ドルのコスト増大を推定している(「カテーテル関連尿路感染(CAUTI)ツールキット(Catheter-associated Urinary Tract Infection (CAUTI) Toolkit )」、キャロリン・グールド(Carolyn Gould )、MD MSCR)。
【0007】
カテーテル関連の医学的合併症、及びCAUTIの発生率と直接結び付いた財政的不利益を含む様々な新たな医療経済的インセンティブについての認識の高まりにより、尿路カテーテルの抜去のためのプロトコールはより積極的になってきており、かつ尿路カテーテルの早すぎる抜去の後の貯留事象に起因する膀胱損傷の発生率増大をもたらしてきた。
【0008】
カテーテルを抜去可能であるかどうかを判断するための多種多様な臨床プロトコールが存在し、多くの場合は使用場所及び泌尿器科医が該プロトコールに関与しているかどうかに左右されている。これらの様々なプロトコールは共通して、膀胱内圧の評価を伴わないカテーテルの抜去を含んでおり;膀胱は単に、自然にであるか人為的であるかを問わず充満できるようになされ、かつ患者が依然として尿貯留のままであるかどうかに関する経時的な観察が、膀胱に残っている排尿後残留尿を計測するために使用されることの多い膀胱超音波検査を用いて、行われる。患者が十分に排尿することが可能でない場合は、カテーテルが再び膀胱内に設置される。これは、カテーテルを元に戻す必要があるかどうかを判断するために極めて組織的で冗長な臨床監督を必要とする、費用のかかるプロトコールである。このプロトコールに伴う困った問題には、貯留事象の際の膀胱の不本意な過剰充満(すなわち、膀胱膨満)、及び周知の、時期尚早に抜去されたカテーテルを再挿入する過程に起因するCAUTIリスクの増大、が挙げられる。
【0009】
先に言及したように、膀胱内圧の測定値及び評価は、下部尿路機能性の重要な指標であり、かつ尿流動態研究の重要な構成要素である。その目的のために展開配置された標準的な留置(フォーリー)ドレナージカテーテルを使用する膀胱内圧の計測は現在のところ、腹腔内圧上昇(IAH)及び腹部コンパートメント症候群(ACS)の診断のためのゴールドスタンダードである。歴史的には、フォーリーカテーテルは、膀胱機能不全の様々な評価のための尿流動態検査法の一部として膀胱内圧を計測するために、特別に展開配置されて利用されてきた。
【0010】
その設計者であるボストンの外科医フレデリック・フォーリー(Frederic Foley)にちなんで名付けられたフォーリーカテーテルは、群を抜いて最もよくみられる種類の留置尿路カテーテルである。事実上、フォーリーカテーテルは貯留に対処するための標準的治療デバイスである。
【0011】
図1を参照すると、フォーリーカテーテル10は概して、基端部分14及び先端部分16、並びに2つの個別のチャネル又はルーメン、すなわち排出ルーメン18及び膨張ルーメン20(
図1A)、を特徴とする本体12(例えばチューブ)を具備している。
【0012】
チューブ12の基端部分14は、ルーメン18を特徴とする排出セグメント12Aと、ルーメン20を特徴とする膨張セグメント12Bとの境界を定める分岐を特徴とする。排出セグメント12Aは、採尿システム、一般には採尿デバイス及び排尿/採尿を調節するためのバルブ、との作動可能な結合に適合している。膨張セグメント12Bは、膨張バルブ22を備えるようになされている。
【0013】
チューブ12の先端部分16、挿入端部は、膨張可能なバルーン24の形態の固定用構造物を備えている。バルーン24は、ひとたび先端部分14が膀胱内に適切に配置されたら、一般に滅菌水を用いて、膨張可能なバルーンの選んだとおりの(select)膨張(すなわち拡張)を促進するために、ルーメン20を介して膨張バルブ22に作動可能に連結される。さらに、チューブ14の先端部分16は、膀胱から外部の収集バッグまで及び該バッグ内へと尿を排出する尿導路を画定しかつ尿導路として機能するように、チューブ12の側壁の開口部26の形態の尿進入ポートを備え、排出ルーメン18は該開口部を終端とするか又は該開口部につながっている。
【0014】
膀胱内圧に関連する評価の用途では、標準的な2ウェイ型又は3ウェイ型フォーリーカテーテルが膀胱内に設置されるが、前者は1つのバルーン充填ポート及び1つの尿排出ポートを、後者は1つのバルーン充填ポート及び2つの尿排出ポートを特徴とする。流体(一般に滅菌水)は、流体充填バルーンと膀胱出口/膀胱頚部との協調的係合によってデバイスの保持を可能にするために、固定用バルーン内へと導入される。
【0015】
臨床適用に応じて、膀胱は、カテーテルのドレナージラインを通して、流体(多くの場合は滅菌水)で人為的に満たされてもよい。圧変換器が、膀胱内圧を表示/計測するために尿ドレナージラインに接続される。圧変換器は、尿が尿ドレナージラインを通して流出するのを防止するように設計される場合もあり、よって、主要ドレナージラインを通してドレナージを継続することが可能なままで連続的にモニタリングするために、3ウェイ型カテーテルが選ばれることが多い。
【0016】
IAH又はACSの診断の用途では、膀胱内圧の連続的なモニタリングは、腹腔内圧の状態を知る手がかりを提供する。典型的な臨床適用には、IAH及びその結果生じた臓器機能不全のリスクがある緊急外傷及びアキュートケアサージャリーの患者が含まれる。膀胱機能不全の評価の用途では、膀胱内圧は、膀胱が充満している間、及び膀胱がカテーテルによって空にされているときに、モニタリングされることが多い。
【0017】
基本的なフォーリー型に優る多数のカテーテル、及びそれらの改作物、例えば多機能の作動を可能にする付随デバイス/システムを備えているものが、膀胱の蓄尿異常(すなわち失禁)の評価のために現われてきた。より具体的には、機能的に特有な特殊カテーテルが、尿流動態評価を実施するために利用可能である。
【0018】
例えば、レア・ジュニア(Rhea, Jr. )(特許文献1)は概して、多機能性カテーテル、より具体的にはその挿入端部の近くに一体型圧力センサを備えるようになされたフォーリーカテーテルを提供する。該センサはカテーテル壁の中に埋設されるか又はモールド成形され、カテーテル構造体に埋め込まれた該センサから伸びる関連ワイヤリングを備えている。
【0019】
ニール(Neal)ら(特許文献2)は、レア・ジュニア(Rhea, Jr. )のように、同様に多機能性カテーテル、より具体的には子宮内圧及び胎児心拍数を計測するための改変型フォーリーカテーテルを提供する。この特殊カテーテルの3つの実施形態がニールらによって開示され、該実施形態はそれぞれ、挿入端部より基端側の(proximal an insertion end )胎児心拍数電極(ニールらの文献、
図2を参照)、挿入端部より基端側の(proximal an insertion end )圧力センサ(
図5(ニールらの文献))、又は挿入端部より基端側の(proximal an insertion end )マイクロホン(
図7(ニールらの文献))のうち1つ以上を特徴とする。圧変換器及び出力デバイスは、固定具バルーン及びその関連ルーメンを介して(
図1(ニールらの文献))、又は専用圧力センサを介して(
図5若しくは
図7(ニールらの文献))膀胱内圧を感知するために、カテーテルに作動可能に連結される。
【0020】
ウォーレス(Wallace )ら(特許文献3)は、カテーテル固定化バルーンを遠隔の変換器アセンブリと作動可能に連結する小容量の閉じた気柱を特徴とする、尿流動態カテーテルシステムを提供する。液体を満たした液柱に依存せず、かつ自動参照圧力を提供する、患者の体外の変換器を使用するカテーテルの提供が、明示された目的である。
【0021】
トレーシー(Tracy )(特許文献4)は、レア・ジュニア(Rhea, Jr. )及びニール(Neal)らのうち少なくともいずれか一方に即して、特別に装備されたフォーリーカテーテルを利用すると同時に、複数の試験モジュールを受承するようになされた制御デバイスを特徴とする排尿機能を評価するための携帯型自立診断システムを概ね提供する(
図5を参照、かつ
図1及び2を比較されたい)。圧変換器128を特徴とする膀胱内圧曲線(CMG)モジュール1400が企図され(
図14)、チュービングアセンブリのチューブは特殊カテーテルと/特殊カテーテルに結合又は溶接されて、膀胱を変換器に連結しているドレナージ導路内の逆圧のモニタリング、又はカテーテルチップに担持された圧力センサを特徴とする改造フォーリーカテーテルを用いた膀胱圧力の感知が行われる。
【0022】
ウッドラフ(Woodruff)ら(特許文献5)は、閉じたプレフィル式の流体(すなわち液体)システムを特徴とする特殊な圧力感知用カテーテルを提供する。より具体的には、変換器アセンブリは尿路カテーテルに恒久的に添着され、所定のあらかじめ導入された流体装入物は、変換器アセンブリの変換器からルーメンを通して感知用バルーンの内部体積まで広がる。感知の正確度の改善及び最小限の準備時間が、明示された利点である。
【0023】
最後に、バーネット(Burnett )ら(特許文献6)は、特別な装備が施された感知用カテーテルを提供する。より具体的には、バルーン38(
図5A)又はメンブレン39(
図5B)のような専用感圧デバイスが、保持バルーン36に加えてカテーテルシステムの一部として供給される。専用感圧要素は、分析物及び温度のうち少なくともいずれか一方のセンサ50、32のようなさらなる感知要素と組み合わせて企図される。
【0024】
特殊カテーテルが受け入れられてはきたが、圧力データを確保するために既に展開配置されたフォーリーカテーテルを活用するという認識は一般的かつ継続的に存在する。例えばゲージェ(Goedje)ら(特許文献7)は概して、尿路カテーテルとともに使用するための圧力計測ユニットを開示する。該ユニットは、圧力センサと、本質的には配管であって、該配管のバルブ操作選択によって、バルーンルーメンを介したバルーン中の気体圧力の感知、又は膀胱ルーメンを介した膀胱内圧の感知、のいずれかを選択的に可能にする配管とを備える。圧力計測ユニットに作動可能に連結された制御器は、圧力センサから圧力計測信号を受け取り、かつ尿圧/膀胱圧に対するバルーン内圧の基準目盛を較正するようになされている。
【0025】
ニシュタラ(Nishtala)ら(特許文献8)は、既に特別にではなく展開配置済みの尿路カテーテルを利用して腹腔内圧(IAP)を計測するための、クランプ又はバルブと組み合わせて使用するための様々なバイパスデバイスを開示する。バイパスデバイスは、カテーテルシステムのサンプリングポートに(例えば
図1Aを参照)、又はそのようなシステムの膨張ポートに(例えば
図31Aを参照)、接続するように企図される。
【0026】
最終的に、ニシュタラ(Nishtala)(特許文献9)は、自身の初期の研究に即して、標準的なフォーリーカテーテルとの作動可能な接合のためのバイパスデバイス(
図3)を提供する。該デバイスは、数あるなかでも特に、バルブ、プランジャ付きシリンジ、及び圧縮チャンバを特徴として、企図された腹腔内圧モニタリングシステムのプライミング及び該システムのバランス維持/平衡化を助けている。
【0027】
デバイスの特殊化には優れたところもある一方、尿流動態データの確保を促進するために標準的な留置尿路カテーテルの単純明快性を活用することが依然として望ましい。さらに、ステイクホルダー、例えば何よりも先に患者、加えて介護担当者、保険業者などは、適正規模となる治療を望んでいる。さらになお、特にこの文脈においては、技術的進歩は、それが改善された留置デバイス若しくは同デバイスを支援するための付属の最新式エレクトロニクスを介した、より強健な感知であるか、又は感知精度の強化であるかにかかわらず、基礎データ収集の話であれば歓迎されるという一方で、少数要素の使い易いシステム又はキットを特徴とする小規模にして効果大の手法は、依然として望ましくかつ好都合であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【文献】米国特許第5,916,153号明細書
【文献】米国特許第6,434,418号明細書
【文献】米国特許第6,447,462号明細書
【文献】米国特許第7,004,899号明細書
【文献】米国特許第8,192,368号明細書
【文献】米国特許出願第2016/0183819号明細書
【文献】米国特許出願第2012/0041334号明細書
【文献】米国特許第8,337,411号明細書
【文献】米国特許第8,535,237号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
よって、理想的にはキット形式で使用可能なシステムであって、事前に展開配置された留置尿路カテーテルとの、迅速で信頼できる確実な一体化のためのシステム、かつさらになお、留置カテーテル抜去条件を決定するための関連プロトコールが、求められている。
【課題を解決するための手段】
【0030】
発明の概要
膀胱内圧計測のシステム及びキットのうち少なくともいずれか一方であって、数ある中でも特に留置カテーテル抜去条件を決定するためのプロトコールを実行するためのものが、概論的に提供される。該キットの1以上の要素は、事前に展開配置された留置尿路カテーテルと作動可能に結合可能である。該キットは、尿流動態データシステム、及びカテーテルバルーンアダプタを備える。尿流動態データシステムは、膀胱内圧計測のための圧力センサと、感知/モニタリングされた圧力データを含んでなる患者の選出された尿流動態パラメータの、受信、処理及び表示のうち少なくともいずれかを行うためのプロセッサ/制御器とを特徴とする。尿流動態データシステムの圧力センサを留置尿路カテーテルのバルーン膨張バルブへと作動可能に結合するための、カテーテルバルーンアダプタは、バルーン膨張バルブへの接続用のアダプタバルブと、ハウジングとを備えている。該ハウジングは、バルーン膨張バルブ部分と、アダプタバルブ部分とを備え、該ハウジング部分のうち1つのハウジング部分は、バルーン膨張バルブとアダプタバルブとの間の確実な接合部分の確立及び維持を促進するために、ハウジング部分のうち別のハウジング部分に関して強制的に前進可能である。
【0031】
診断的ドレナージ用カテーテルアセンブリがさらに企図される。該アセンブリは概して、留置尿路カテーテル、患者の選出された尿流動態パラメータを感知、計測、又はモニタリングするための装置、及び該装置を留置尿路カテーテルの膀胱固定化バルーンと作動可能に結合するためのアセンブリを特徴とする。留置尿路カテーテルは、尿ドレナージルーメン、膀胱固定化バルーン、バルーン膨張バルブ、及びバルーン膨張バルブを膀胱固定化バルーンと作動可能に連結するバルーン充填ルーメンを特徴とする。装置を尿路カテーテルの膀胱固定化バルーンに/膀胱固定化バルーンと作動可能に結合するためのアセンブリは、バルーン膨張バルブを装置と作動可能に連結するためのアセンブリバルブと、アセンブリハウジングとを特徴とする。アセンブリハウジングはバルーン膨張バルブ部分とアセンブリバルブ部分とを備え、これらのハウジング部分は、バルーン膨張バルブとアセンブリバルブとの間の確実な接合部分の確立及び維持を促進するために、強制的に引き合わされるようになされている。
【0032】
カテーテルバルーンアダプタアセンブリがさらにかつ同様に企図される。該アセンブリは、尿流動態データシステムなどを、尿路カテーテルの膀胱固定化バルーンに/膀胱固定化バルーンと作動可能に結合する。これは一般に、バルーン膨張バルブをシステムに/システムと作動可能に連結するためのアセンブリバルブと、アセンブリハウジングとを特徴とする。アセンブリハウジングはバルーン膨張バルブ部分とアセンブリバルブ部分とを備え、これらのハウジング部分は、バルーン膨張バルブとアセンブリバルブとの間の確実な接合部分の確立及び維持を促進するために、強制的に引き合わされるようになされている。該アダプタアセンブリは、さらにかつ任意選択で、隔離チュービングアセンブリであって、該チュービングアセンブリを介してアダプタアセンブリがシステムに間接的に連結される、チュービングアセンブリを備えてもよい。
【0033】
最後に、患者が自己排尿し、かつその結果として留置尿路カテーテルを使用して該留置尿路カテーテルの抜去の時期を決定する能力を、評価するための方法が提供される。該方法は、展開配置された留置尿路カテーテルのバルーン充填ラインを介して膀胱内圧を感知/モニタリングするために、該留置尿路カテーテルに容易かつ確実に固定可能な、好都合な膀胱内圧計測システムを作動可能に組み合わせることを企図する。該システムは、圧力センサ、圧力センサからの感知された圧力の受信、処理及び表示のうち少なくともいずれかを行うためのプロセッサ/制御器、並びに、圧力センサを留置尿路カテーテルのバルーン膨張バルブに/バルーン膨張バルブと作動可能に結合するためのカテーテルバルーンアダプタ、を特徴とする。圧力は、膀胱の排尿及び充満の事象の際にシステムの圧力センサによって感知及びモニタリングされる。膀胱の排尿事象の際に、尿流量が確認される。最終的に、膀胱の排尿事象の際の、確認された尿流量に関連する感知/モニタリングされた圧力データが、留置尿路カテーテルの抜去時期の決定を促進するために、審査される。これらの概説した特徴を考慮して得られるより具体的な特徴及び利点は、図面及び「発明の詳細な説明」を参照すれば明白となろう。
【0034】
図面はすべて準備済みであり、かつ企図された実施形態の基本的教示及び同教示の基礎となる概念のうち少なくともいずれか一方についての理解を容易にする/増強するために具備され、また本明細書中に組み込まれて本明細書の一部を構成する。図面は、実施形態及び該実施形態に関する状況を例証し、かつ説明に合わせて実施形態の原理について解説する役割を果たす一方、他の実施形態及び開示されたシステム、サブシステム、アセンブリ、サブアセンブリ、装置、デバイス、メカニズムなどの意図された利点のうちの多くは、それらが以降の詳細な説明及び図面の参照により一層十分に理解されるようになるにつれ、容易に認識されるであろう。注意すべきなのは、図面の要素が必ずしも互いに一定の縮尺ではなく、同様の参照数字は対応する類似の部品/構造体を指している、ということである。
【0035】
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】留置尿路ドレナージカテーテル、すなわちフォーリーカテーテルを示す図。
図1Aは
図1のカテーテルの断面図、より具体的には線1Aについての断面図である。
【
図2】
図1のカテーテルと一緒に使用するための好都合な診断的ドレナージ用カテーテルシステムの、好ましく非限定的な構成要素を、作動可能な組み合わせとして示す図。
【
図3】圧力を感知するサブアセンブリをカテーテルに作動可能に結合するための、
図2のシステムの企図されたアセンブリを示す側面図。
【
図5】圧力を感知するサブアセンブリをカテーテルに作動可能に結合するためのさらに企図されたアセンブリであって、その要素が内在する細部を明らかにするために透けて見えており、留置尿路ドレナージカテーテルのバルーン膨張バルブと作動可能に組み合わされているアセンブリを示す、左からの斜視俯瞰図。
【
図6】圧力を感知するサブアセンブリをカテーテルに作動可能に結合するためのさらに企図されたアセンブリであって、その要素が内在する細部を明らかにするために透けて見えており、留置尿路ドレナージカテーテルのバルーン膨張バルブと作動可能に組み合わされているアセンブリを示す、右からの斜視俯瞰図。
【
図8】
図6の組み合わせ体のアセンブリのハウジングの第1のハウジング部分を示す、右からの斜視俯瞰図。
【
図9】
図6の組み合わせ体のアセンブリのハウジングの第2のハウジング部分を示す、左からの斜視俯瞰図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
発明の詳細な説明
患者の尿流動態の評価に関係し、かつ患者の尿流動態の評価を可能にする、好ましい非限定的なシステム、キット、アセンブリ、構造体及びメカニズムのうち少なくともいずれかが、主題開示の図面全体にわたって概論的に開示、提示、かつ/又は描写される。好都合で非限定的なシステムは、
図1の留置尿路カテーテルとの作動可能な組み合わせについて
図2に概論的に示されている。企図されたシステムのいくつかの好都合で非限定的なアダプタアセンブリは、
図3、5及び6の各々に概論的に示されており、残りの図面は、より抜きの図示されたアセンブリに関する/該アセンブリの細部に関するものである。企図及び開示のうち少なくともいずれか一方がなされた全ての形態における、この診断的ドレナージ用カテーテルシステムについての細部又は該システムに関連する細部に先立ち、出願人の診断的手法に関するいくつかの予備的な観察及び注釈のうち少なくともいずれか一方について述べる。
【0038】
好都合なことに、出願人の診断的手法は、カテーテルを挿入済みであり、かつ評価の時点において留置尿路カテーテル挿入の対象である個体(すなわち患者)を対象とする。侵襲性がより低い/最小限の手法が、すべてのステイクホルダーによって歓迎かつ重視される。
【0039】
さらに、小規模にして効果大のシステム又はキットの手法が企図され、同時に、これまでに知られた複雑さはほとんど無くかつ特に使い勝手の良いシステム又はキットも同様に全てのステイクホルダーによって歓迎及び評価されるとみなされる。さらになお、企図される診断法の範囲が、強健/多様でありうるかぎり、企図される診断システム又はキットの重要で包括的な目的は、確かな情報に基づいた1回で正確に行われる留置デバイスの、患者からの抜去である。カテーテル抜去に関する予測的プロトコールは、留置カテーテルが適所にある間の膀胱内圧の計測及び評価によって可能になり、かつ本明細書中以下に開示されるが、そのような手法は全てのステイクホルダーによって歓迎され評価されるものである。
【0040】
最終的に、留置尿路カテーテルを、該カテーテルのバルーン膨張バルブを介して、圧力感知要素に/圧力感知要素と作動可能に結合するための、使いやすく確実な連結アセンブリが提供される。概念的には、「クランプ」であって、該クランプのクランプバルブを介してカテーテルのバルーン充填ラインの重要部分であるカテーテルのルアー駆動型バリュー(value )を効果的に非活性化する、カテーテル/カテーテルルアー駆動型バルーン膨張バルブに対して錠止可能であるクランプが提供される。さらに、任意選択のバルブ付き拡張アセンブリであって、その第1のバルブはクランプバルブを効果的に無効化し、第2の下流のバルブは尿流動態データシステムの入力部/流入部(例えば圧力センサ)との作動可能な結合のためのバルブである、アセンブリが提供される。さらになお、好都合には、ただし限定するものではないが圧変換器を特徴とする、企図される尿流動態データシステムの入力部/流入部は、連結アセンブリバルブ、例えばクランプバルブ又はバルブ付き拡張アセンブリの第2のバルブを非活性化するために、同バルブに接続しており、このようにバルーン充填ラインからの圧力は、同圧力の検知、モニタリング、記録などを促進するために、圧変換器と直接接触している。
【0041】
最初に
図1及び2を参照すると、好都合な診断的ドレナージ用カテーテルアセンブリの要素、すなわち、かつ概括的には、留置尿路ドレナージ(フォーリー)カテーテル10(
図1)及び膀胱内圧計測のシステム又はキット40(
図2)が概論的かつ集合的に示されている。後に取り上げるように、
図2のシステム又はその変形物は、そのバルーンアダプタを介して、膀胱からの尿の選択的ドレナージのために事前に展開配置された留置尿路ドレナージカテーテルと/留置尿路ドレナージカテーテルに、迅速かつ確実に作動可能に添着可能である。好都合には、該カテーテルバルーンカテーテルは留置カテーテルと簡単に結合され;手袋を装着した臨床医は、一方の手が並行して作業している場合でも、かつ明言すればハードウェアなどを当てにすることなく、容易に素早くかつ確実にアダプタを取り付けることができる。さらに、不正開封防止機能付きであるか又は少なくとも開封明示機構付きである接合部分を確立するか又は他の方法で提供することが、望ましくかつ好都合であると考えられる。標準的な2ウェイ型フォーリーが示されているが、システム/キットの使用はそのように限定されるものではなく、標準的な3ウェイ型フォーリーカテーテル及び別例の留置カテーテル(例えば米国フロリダ州のポイエシス・メディカル(Poiesis Medical )のDuette(商標))が同様に企図され、かつ適切である。
【0042】
システム又はキット40は、好都合かつ望ましくは、膀胱の充満状態及び排尿状態の両方の際の膀胱内圧計測のための圧力センサ52と、プログラム可能であるかどうかは別として、感知/モニタリングされた圧力データを含んでなる患者の選出された尿流動態パラメータの、受信、モニタリング、処理、及び表示のうち少なくともいずれかを行うためのプロセッサ/制御器54とを特徴とする尿流動態データシステム50、並びに、尿流動態データシステムの圧力センサをカテーテルのバルーン膨張バルブに作動可能に結合するためのカテーテルバルーンアダプタ70を備えている。システムは数多くの形態をとりうる一方、その全ての形態において、多重使用及び、カテーテルそのもののように使用が限定された品物又はデバイスであるカテーテルバルーンアダプタとは異なり、状況から正当となりうるときには他の用途までもが意図された、携帯型で、持ち運び可能である等々のシステムであることが企図される。
【0043】
好ましくは、しかし任意選択で、該システム又はキットはさらに、図のようにバルーンアダプタ70と圧力センサ52との間に挟装される隔離チュービングアセンブリ90、及びカテーテル10の尿導路18(
図1/1A)と作動可能に組み合わせるための流体流調節器(図示せず)を備える。好都合には、しかし必ずではなく、隔離チュービングアセンブリは、カテーテルバルーンアダプタと一体的(すなわちアダプタアセンブリに組み込まれた機構)であってもよい。流体流調節器は、カニンガムのクランプ又は米国ジョージア州コヴィントンのバード・メディカル(Bard Medical)のFlip Flo(登録商標)カテーテルバルブの形態をとってもよいが、尿流動態データシステムへの/尿流動態データシステムとの作動可能な連結のための選択駆動型バルブを提供することが望ましいと考えられる。
【0044】
好ましくは、しかし任意選択で、尿流動態データシステム50は、後で取り上げるように数ある中でもとくに、プロセッサ54に作動可能に連結可能である出力デバイス56(例えば電話、タブレット、PCなど)、プロセッサ54によりアクセス可能なデータベース58、流体流量の決定を促進するためにフォーリーカテーテルの尿導路から吐出している収集流体の重量を測定するための、プロセッサ/制御器54と作動可能に連結可能であるか若しくはプロセッサ/制御器54と一体化するようになされた計量機60(例えば、出願人のEasyFlo(商標)独立型尿流量システムを参照)、並びに、患者の腹部及び肛門周囲のうち少なくともいずれか一方の活動の確認を促進するための、プロセッサ/制御器54と作動可能に連結可能である筋電図検査(EMG)電極62、のうち少なくともいずれかであるか、又はこれらを特徴とすることができる。
【0045】
ここで
図3及び5のそれぞれのカテーテルバルーンアダプタを特に参照し、また
図7の別例のアダプタ実施形態を一通り参照すると、アダプタ又はアセンブリ70は好都合には、バルーン膨張バルブ22を選出された尿流動態パラメータの感知、計測、又はモニタリングのための装置(例えば尿流動態データシステム50)と作動可能に連結するためのアダプタバルブ72と、ハウジング76とを備えている。アダプタのハウジング76は、バルーン膨張バルブ部分78と、アダプタバルブ部分80とを備え、これらの部分はバルーン膨張バルブ22とアダプタバルブ72との間の確実な接合部分を確立及び維持するのを促進するために作動可能に結合可能である(例えば、選択的に添着可能である)。より具体的には、該ハウジング部分のうち1つのハウジング部分が、アダプタ又はアダプタアセンブリのカテーテルへの/カテーテルとの迅速で確実な結合を確立するのを促進するために、別のハウジング部分に対して強制的に前進可能である。後に議論されるように、ハウジング部分は、例えば1つのハウジング要素の別のハウジング要素に対する平行移動(
図3若しくは
図5)又は回転(
図7)により、強制的に引き合わされるようになされている。
【0046】
バルーンアダプタ70のアダプタバルブ72は、カテーテル膨張バルブ22とかみ合い、かつ好都合にはルアー作動型バルブを構成する。アダプタバルブは、カテーテルのバルーン充填ラインの該ルアー作動型バルブを非活性化するステム部を特徴とする。例えば、また図のように、好ましいアダプタバルブはメス‐オスルアー(コシナ(Qosina)のPN QOS5401036SN)である。
【0047】
バルーンアダプタ70のハウジング76は、好都合には、しかし必ずではないが、図のような二部品型ハウジングである。後に説明される好ましい非限定的な構造体によって、ハウジングは、カテーテルと、選出された尿流動態パラメータの感知、計測、又はモニタリングのための装置との間、該カテーテル及び装置の中での、並びに該カテーテル及び装置についての、バルブ付き結合体の周りで組み立て可能であってよい。これに反して、かつ好都合には、アダプタアセンブリは予め装着された状態で提供される(すなわち、ハウジング部分が、間隔を空けた状態で、協調的接合部分を介して作動可能に連結されており、該アセンブリは、カテーテル膨張バルブの周りで張力を生じるようにして受承又は操作され、アダプタバルブハウジング部分はそこに、アダプタバルブハウジング部分を膨張バルブハウジング部分に向かって強制的に前進させた後に、平行移動により強制的に作動可能に係合せしめられる)。
【0048】
ハウジング76のバルーン膨張バルブ部分78は、バルーン膨張バルブ22を囲むように構成されている。このハウジング部分(すなわちハウジング本体部分)は概して、バルーン膨張バルブを少なくとも部分的に囲む、周方向又は部分的に周方向に存在する側壁81から構成されたカフ又はスリーブであると見なされる。該側壁は、内部表面83及び外部表面85を備えている(
図4)。概念的には、このハウジング部分はバルーン膨張バルブの周囲での敏速な固定を促進するためのスプリングクリップとして機能しうる一方で、該部分は側壁溝部によってカテーテルの膨張セグメント本体の周囲に、そのように配置されたハウジング部分が膨張バルブの上を摺動する状態に、好都合に受承される。
【0049】
側壁の内部表面83又は部分的側壁81は、好都合には、バルーン膨張バルブの一部分を収容するか又は少なくとも協調的に受承するようになされて(例えば、形に合わせて作られて)いる。側壁又は部分的な側壁81の外部表面85は、ハウジング70のアダプタバルブ部分72と、協調的に係合、例えばかつ好都合には強制的に係合し、かつ該アダプタバルブ部分を不可逆的に受承するようになされている。より具体的には、バルーン膨張バルブのハウジング本体部分78は、好都合にはアダプタバルブハウジング本体部分80の1又は複数の部分を受承するためのガイド又は保持部を装備している、例えば相対して対をなすガイド79が図のようにその外部表面85から伸びている。ガイド又は保持部は好都合には、迅速で確実なハウジングの組立て(すなわちハウジング部分の位置合せ)を支援し、かつハウジング部分をアダプタバルブとバルーン膨張バルブとの作動可能な結合体の周りに固定することによりその接合部分、すなわちジップ又はラチェット留め接合部分を強化するように機能する。
【0050】
ハウジング76のアダプタバルブ部分80は概してアダプタバルブ72の周囲を囲む。このハウジング部分(すなわちハウジング本体部分)は概して、少なくとも部分的にアダプタバルブ72の周囲を囲む、周方向又は部分的に周方向に存在する側壁82と、アダプタバルブ72の一部分が通り抜け可能な突当壁88とを有するカフ又はスリーブであると見なされる。側壁82は内部表面84及び外部表面86を備えている(
図4)。好都合には、アダプタバルブハウジング部分及びアダプタバルブは、一体型サブアセンブリの形態で提供される(
図5)。
【0051】
側壁又は部分的側壁82の内部表面84は、好都合には、アダプタバルブ72の一部分を収容するか又は少なくとも協調的に受承するようになされて(例えば、形に合わせて作られて)いる。側壁又は部分的側壁82の外部表面86は、ハウジング76のバルーン膨張バルブ部分78と、協調的に係合するように、例えばかつ好都合には強制的に結合するようになされている。より具体的には、アダプタバルブハウジング本体部分80は好都合には、バルーン膨張バルブハウジング本体部分のガイド又は保持部に受承可能な1又は複数の付随要素、例えば図のような、相対して対をなすアーム89を、備えるか又は担持するようになされている。ハウジング部分について、及びハウジング部分の間での、確実な平行移動による係合の確立を促進するために、それぞれのハウジング部分80、78のアーム89及び保持部79のうち一方又は両方が締まりばめを形成するように適切に適合せしめられてもよく、例えば、アーム及び保持部の合わせ面の一部が歯状表面を備える(例えばアセンブリバルブハウジング本体部分80のアーム89の歯状表面87を参照のこと)。
この場合もまた、話のついでに言及したように、そのような接合部分であって特に予め装着されたアセンブリ構成におけるものは、カテーテルバルーンバルブに関してアセンブリを添着及び調整し(密着させ)、かつ、その言及した構造体を用いて、容易には外れたり覆されたりしない接合部分のものを確立するのを極めて簡単なものとする。
【0052】
ここで
図6のカテーテルアダプタアセンブリ及び
図7~9に示された該アセンブリの細部を参照すると、アダプタ又はアセンブリ70’は好都合には、バルーン膨張バルブ22を、選出された尿流動態パラメータの感知、計測、又はモニタリングのための装置(例えば尿流動態データシステム50(
図2))と作動可能に連結するためのアダプタバルブ72’と、ハウジング76’とを備えている。アダプタハウジング76’は、バルーン膨張バルブ部分78’(
図8)と、アダプタバルブ部分80’(
図9)とを備え、これらのハウジング部分のうち1つのハウジング部分は、バルーン膨張バルブ22とアダプタバルブ72’との間の確実な接合部分の確立及び維持(すなわち、カテーテルへの/カテーテルとのアダプタ又はアダプタアセンブリの迅速で確実な結合の確立)を促進するために、別のハウジング部分に関して強制的に前進可能である。続いて議論されるように、ハウジング部分は、1つのハウジング要素の、別のハウジング要素に対する回転によって、強制的に引き合わされるようになされている。
【0053】
始めに述べたように、ハウジング76’のバルーン膨張バルブ部分78’(
図8)はバルーン膨張バルブ22の周囲を囲むように構成される。このハウジング部分(すなわちハウジング本体部分)は概論的には、バルーン膨張バルブを少なくとも部分的に囲む、周方向又は部分的に周方向に存在する側壁81’から構成された、カフ又はスリーブであると特徴付けられる。側壁は内部表面83’及び外部表面85’を備える。概念的には、このハウジング部分はバルーン膨張バルブの周囲での敏速な固定を促進するためのスプリングクリップとして機能しうる一方で、該部分は側壁溝部によってカテーテルの膨張セグメント本体の周囲に、そのように配置されたハウジング部分が膨張バルブの上を摺動する状態に、好都合に受承される。
【0054】
側壁又は部分的側壁81’の内部表面83’は、好都合には、バルーン膨張バルブの一部分を収容するか又は少なくとも協調的に受承するようになされて(例えば、形に合わせて作られて)いる。側壁又は部分的側壁81’の外部表面85’は、ハウジング70’のアダプタバルブ部分72’と、協調的に係合、例えばかつ好都合には強制的に係合するようになされている。より具体的には、バルーン膨張バルブハウジング本体部分78は、好都合にはアダプタバルブハウジング部分の一部分によって作動可能に受承されるキー100(例えば図のような相対するキー)を装備している。キーは好都合には、迅速で確実なハウジングの組立て(すなわちハウジング部分の位置合せ)を支援し、かつハウジング部分をアダプタバルブとバルーン膨張バルブとの作動可能な結合体の周りに固定することによりその接合部分を、ハウジング部分についての、及びハウジング部分の間の、回転式の強制的な係合を介して強化するように機能する。
【0055】
ハウジング76’のアダプタバルブ部分80’は概してアダプタバルブ72の周囲を囲む。このハウジング部分(すなわちハウジング本体部分)は概して、アダプタバルブ72の周囲を囲む周方向に存在する側壁82’と、アダプタバルブ72の一部分が通り抜け可能な突当壁88’とを有するカフ又はスリーブであると特徴付けられる。側壁82’は、例えば緩衝域又は緩衝セグメントを備えることにより、ハウジング部分78のキー100を最初に受承するのに適している部分を有する、内部表面84’を備えている。側壁82’は、該側壁の内部表面の緩衝域を終端とする端部を有しているスロットなどの形態のキー溝102(例えば図のような相対するキー溝)を備えている。好都合には、キー溝は垂直方向からずれており、膨張バルブハウジング本体部分のキーとアダプタバルブハウジング部分のキー溝との、捻じれる動きによる一体化の結果、ハウジング部分の、ハウジング部分についての、及びハウジング部分の間の回転により促された係合と、かつそれによる、収容されたバルブ間の結合の強化とが、もたらされる。
【0056】
図2のシステムを改めて参照すると、バルーンの流体/液体(すなわちバルーン環境)を圧力感知要素から隔離する(すなわち、センサ/感知される媒体の直接的な接触/関わりを回避する)ことは好都合かつ望ましいと考えられる。その目的に向けて、企図されるシステムはさらに、しかし必ずではなく、ハウジング(より具体的にはそのアダプタバルブ)を介してカテーテルを圧力感知要素に及び圧力感知要素と作動可能に連結する、隔離チュービングアセンブリ又は拡張部90を備える。
【0057】
隔離チュービング拡張部90は、導路(すなわちチューブ90)のカテーテル端のオスルアー94(例えばコシナの71627型ルアー)を特徴とし、より具体的には、該ルアーはある長さ(例えば10.16センチメートル(4インチ)の長さ)の気密性チューブ材料(例えばコシナのT2005チューブ材料)の上に担持され、該チューブ材料は次に、圧力センサ52の作動可能な受承のためのバルブ付きメスルアーロックコネクタ96(例えばコシナのQOS5401036SN型ルアーロック)に接続される。カテーテル端のバルブは、カテーテルバルーンアダプタのバルブと係合し次第、該カテーテルバルーンアダプタのバルブを実質的に無効化する。企図される別例の好都合な手法には、隔離チュービング拡張部をハウジング又はその一部分と一体化し、よって拡張アセンブリのカテーテル端のバルブが余剰となることが含まれる。
【0058】
隔離チュービングの有益性は、バルーン中の液体を圧力感知要素から隔離して圧力感知要素が液体による異物混入を受けないことを可能にするために、該隔離チュービングを利用可能であるということである。隔離チュービングが無いと、圧変換器の感知要素はバルーン中の液体と直接接触する。隔離チュービングは一端が開であり、他端はバルブ付きである。隔離チュービングは、バルーン中の液体と圧変換器との間の緩衝剤として作用する、初期体積又は流体装填物(例えば空気)を包含する。
【0059】
引き続き
図2を参照すると、圧力センサ52は好都合には、しかし限定するものではないが、チップ式センサの形態で提供され、該センサは、隔離チュービング拡張部若しくはアセンブリ(
図2)の遊離端、又はアダプタバルブのいずれか一方との敏速な結合のための一体型ルアー式嵌合部品を有している。圧力センサの好ましい実施形態は、使い捨て圧力センサであってポリカーボネート製でルアー(無菌)付きである、米国ニュージャージー州プリンストンのペンドテック(PendoTECH )製のPN PRESS‐S‐000を具備している。
【0060】
尿流動態データシステム50のプロセッサ/制御器54は、好都合には、例えば少なくとも、圧力センサ52からの感知された圧力のモニタリング/モニタリング‐表示、及び送受信を行う機能を果たす。プロセッサ/制御器の好ましい実施形態は、ペンドテック製のPressureMAT(商標)Sensor Monitorを具備し、該ユニットはさらに信号伝達/アラームの機能性を提供する。さらに、プロセッサ/制御器の中に/プロセッサ/制御器用に、1以上のデータポートを備えることは、望ましくかつ好都合と考えられ、付随データの収集及び管理のうち少なくともいずれか一方のソフトウェアも同様に望ましい。その目標に向けて、好ましいプロセッサはさらに、ペンドテック製のPressureMATデータ収集ソフトウェアを特徴とする。後に示されるように、処理はさらに、受信した患者の尿流動態パラメータ値を時間の関数として比較すること、並びに、例えば様々な状態での膀胱内圧と排尿兆候との関係を表す標準的データベースの確立及び利用のうち少なくともいずれかを促進するために、尿流動態パラメータ値のデータベースと選択的に比較すること、のうち少なくともいずれかを企図している。
【0061】
バルーンラインによる圧力計測には潜在的な不都合がある、例えば、圧力センサへの結合のためのバルーン膨張バルブの適合は、不慮のバルーン漏れの発生率、及びあまり最善とはいえない位置決めがなされた固定具バルーンを前提とした計測値を、恐らくは増大させる一方で、そのような手法にはより大きな利点がある。例えば、バルーンチャンバ(すなわちバルーンによって画定された体積)は膀胱から完全に隔離され、したがって、圧力計測がラインのルーメンを通じて患者の膀胱へ/患者の膀胱の中まで移動する混入物質を生じるというリスクは無い。さらに、バルーンラインは、一定の柱の流体(すなわち液体又は気体(例えば水又は空気))で充填されて、圧変換器などによる計測精度の改善をもたらすことが可能である。さらになお、膀胱内圧の計測を膀胱内の尿の量を気にせずに行うことが可能であり、かつ圧力の計測は尿ドレナージラインの使用を導くものではなく、よって、留置尿路ドレナージカテーテルの/留置尿路ドレナージカテーテルに関する機能性が保存される。
【0062】
企図される膀胱内圧力測定は、単一バルーン又はバルーン二個の尿路ドレナージカテーテルのうちいずれかを用いて実施することが可能である。さらに、留置尿路ドレナージカテーテル(すなわちフォーリー型)、又は間欠式の尿路ドレナージカテーテルのうちいずれかを用いる実施が企図される。
【0063】
単一バルーンの実施形態では、バルーンは、圧変換器への接続を可能にするバルブを通して充填される。一定の柱(すなわち体積)の流体(すなわち液体又は気体)がラインの中に導入されることを可能にする圧変換器を利用可能である。別例として、従来のシリンジを、バルーンラインの充填に使用することも可能である。バルーンが充填されてしまえば、膀胱内の尿の量を心配することなく、かつカテーテルの尿ドレナージ特性/機能性に影響することなく、膀胱内圧を連続的に又は選択的にモニタリングすることが可能である。
【0064】
バルーン二個の実施形態では、膀胱内圧は、膀胱を保持する固定具ではない第2のバルーン(すなわち先端側のバルーン)において計測可能である。第1の保持用バルーンは、従来通りに充填(すなわち一方向バルブを使用して充填)かつ配置(すなわち膀胱頚部に配置)することが可能である。膀胱内圧センサとしてのみ働くか、又はさらに例えば、膀胱壁尖部がカテーテルの上に乗るのを防止するために働くこともできる、第2のバルーンは、液体又は気体の柱(すなわち流体の体積)で充填されることになり、かつ膀胱内圧は連続的、間欠的、及び/又は選択的に、モニタリングされることになる。
【0065】
バルーン二個の実施形態には2つの主な利点がある、すなわち:(a)膀胱内圧の計測は保持用バルーンの一方向バルブの設計を変化させず、保持用バルーンの収縮といういかなる新たなリスクも軽減されること;及び、(b)膀胱内圧を示しているバルーンの配置を、より正確に膀胱内圧を反映するために最適な場所に配置することが可能であること、である。例えば、第2のバルーンが保持用バルーンより上方に配置されれば、膀胱頚部に接触していないことを確実にすることができる。注意すべきなのは、上記の2つの利点は保持用バルーンを利用しない単一バルーンの設計を備えた間欠式カテーテルを用いても実現されうるということである。単一バルーンを、従来の尿流動態計測カテーテルを用いる配置の方法論と同じように、最良に配置することが考えられる。
【0066】
前述のシステム/アセンブリによって可能となった厳選の企図される操作手順、診断方法及び臨床プロトコールのうち少なくともいずれか(例えば、カテーテル留置の際の膀胱内圧のリアルタイムでの感知/モニタリング)に関連しているか又はそれについての詳細に先立ち、いくつかの当初の見解が保証される。
【0067】
留置尿路ドレナージカテーテルを介した膀胱内圧計測を活用するカテーテル管理は説得力がある。膀胱内圧、尿吐出速度、腹部EMG及び患者の膀胱知覚のリアルタイムでのモニタリングを、容易に確認可能である。留置尿路カテーテルの抜去は、所与の患者が排尿するのに十分な膀胱内圧の確立を前提としている。さらに、自動安全ドレナージ用クランプ/バルブシステムにより、患者はバイパスモードで排尿するように自己駆動することが可能であり、臨床医は過剰充満状態を防止するための選出された自動ドレナージをプログラムすることが可能であり、かつ、指定変更(override)により、選出された自動救済ドレナージが可能である。膀胱を訓練することにより、達成可能な予測抜去モデルの確立を含む、目標設定された膀胱内圧モニタリングによるカテーテル抜去の自動判定を用いて、カテーテルを必要とする期間が縮小される。最後に、企図される手法は、手術の候補者に関するベースライン計測(すなわち手術前ベンチマーキング)のための実用性を有する。
【0068】
カテーテル留置中の、そのバルーン充填ラインを使用する膀胱内圧の感知及び計測という発端の操作の範囲を越えて、いくつかの好都合で非限定的な操作又は操作手順が例証として示される。例えば、最初の操作手順は、カテーテル展開配置の時点及び患者が貯留状態にあることを確認次第、膀胱内圧のベースライン値を得ることを企図する。事前に配置されたカテーテルによる膀胱内圧の連続的又は周期的計測値がその後得られ、カテーテルを抜去可能であるという定型的な同定/予測(例えば膀胱内圧パターン識別の改善によるもの)が達成されて、恐らくは患者による排尿の成功という結果を伴う。
【0069】
さらなる第2の企図される操作手順では、様々な状態での膀胱内圧が、様々な状態での膀胱内圧と排尿兆候との間の関係を説明する標準的データベースと、比較される/比較可能である。
【0070】
さらなる第3の企図される操作手順では、膀胱内圧データは、患者が膀胱出口部閉塞のないかぎり排尿に成功するのに十分な膀胱内圧を有するという判定を通知する。患者がカテーテル抜去の後に十分に排尿することができなかった場合、膀胱出口部閉塞が診断されることが考えられ、また男性患者では、一時的前立腺ステント(例えば、米国マサチューセッツ州のエスアールエス・メディカル・システムズ社(SRS Medical Systems, LLC)製のSpanner(登録商標))を移植することも考えられる。膀胱内圧の計測は、患者が一時的前立腺ステントを伴って排尿に成功できるかどうかを予測することも考えられる。
【0071】
さらなる第4の企図される操作手順では、膀胱がカテーテルの尿ポートを通した排出を伴わずに自然に充満することを可能にするために、ピンチバルブ又はクランプが留置尿路カテーテルに適用される。このようにして、膀胱内圧を計測可能であると同時に患者の膀胱は自然に充満していく。クランプが除去されて患者が排尿するとき、膀胱内圧を排尿中に計測することが可能である。これらのデータは、カテーテルを抜去可能であるかどうかを予測するために定型的に分析することが可能であり、かつ恐らくは患者による排尿の成功をもたらすであろう。
【0072】
さらなる第5の企図される操作手順では、膀胱内圧の計測が行われ、かつ排尿筋圧を推定するために定型的に分析される。排尿筋圧は、腹圧から膀胱内圧を差し引いたものとして定義される(すなわち、腹圧は、排尿筋圧と膀胱内圧との組合せにより特徴付けられる)。患者が休息中の間、及び患者が身体活動(例えばバルサルバ試験)を行なうように依頼される場合のうち少なくともいずれか一方において、経時的に膀胱内圧をモニタリングすることにより、様々な時点での計測された膀胱内圧に対する排尿筋圧の寄与の予測を促進するために予測モデルが使用可能となる。
【0073】
さらなる第6の企図される操作手順では、腹部に設置された表面EMG電極を使用する腹部の活動の同時計測が探求される。電極からのデータは腹圧に対する洞察を提供し、よって計測された膀胱内圧への排尿筋圧の寄与の予測をさらに改善する。
【0074】
さらなる第7の企図される操作手順では、会陰に設置された表面EMG電極を使用する肛門周囲の活動の同時計測が探求される。電極からのデータは、括約筋‐排尿筋共同運動障害に対する洞察を提供し、かつ患者がカテーテルなしで排尿できるであろうかどうかをさらに予測するために利用されうる。
【0075】
さらなる第8の企図される操作手順では、留置尿路カテーテルの抜去を決定するための緻密な予測モデルが実現される。例えば、カテーテルが抜去されるべきか抜去されるべきでないかを予測するのではなく、企図されるシステムの好都合な実施形態は、患者が排尿に成功することができるであろう可能性を、例えばパーセンテージ方式で、予測することが考えられる。例えば、利用可能なデータ(例えば、収集データ及び参照データの組み合わせ)の分析により、患者が排尿に成功することができる見込みは82%であるという予測的判定が可能になるかもしれない。別例として、利用可能なデータの分析により、患者が予め指定された排尿後残量まで排尿することが可能である見込み、又は患者が急性尿貯留の状態になる見込みに関してのさらなる予測的判定が可能になるかもしれない。
【0076】
さらなる第9の企図される操作手順では、予測モデルには、膀胱内圧計測値及びEMG計測値の範囲を超えたデータが補足されてもよい。例えば、患者の人口統計データ(例えば年齢、性別)、患者の健康歴、及び患者の現在の症状のデータを予測モデルに組み入れることが考えられる。
【0077】
前述の例証の操作手法に加えて、自身の膀胱から(連続的に)収集容器へと排尿している留置カテーテル患者に関しての、望ましく、好都合であり、強健かつ非限定的な臨床プロトコールが提供され、該プロトコールが企図するのは:
1.バルーンラインに圧変換器のような圧力感知要素を作動可能に装備することを促進するために、尿流動態評価アセンブリ/キットのアダプタを留置尿路(例えばフォーリー)カテーテルのバルーン膨張ポートに取り付けること。
【0078】
2.任意選択で、バルーン流体を圧力感知要素から隔離するために隔離チュービング拡張部をアダプタに付加すること。
3.圧変換器を、例えばかみ合い式ルアー接続を使用して、アダプタ又はチュービング拡張部に固定すること。
【0079】
4.圧変換器をデータ記録/処理ユニットなどに作動可能に連結すること。
5.任意選択で、計量機に採尿容器を設置すること。
6.ベースラインの膀胱内圧及び空の尿ドレナージ容器の質量をそれぞれ確証すべく、膀胱内圧チャネル及び任意選択の尿の質量/体積チャネルを「ゼロに設定する」ために記録/処理ユニットを使用すること。
【0080】
7.留置尿路カテーテルの尿ラインを介した膀胱からの尿の放出を、該カテーテルに作動可能に連結されたクランプ又はバルブの駆動により停止させること。
8.膀胱が充満しているときの(例えば、連続的、半連続的、又は周期的な)膀胱内圧を選択的に計測すること。
【0081】
9.任意選択で、リアルタイムにて、データ記録/処理ユニットの、又はデータ記録/処理ユニットに関連付けられた、表示/出力デバイスを介して、格納されているか否かは別として膀胱内圧データを表示すること。
【0082】
10.任意選択で、腹筋の活動を計測するため、例えば、膀胱の充満時及び排尿時に連続的にモニタリングし、獲得したデータを膀胱内圧に対する腹圧の影響の定量化に使用するため、並びに排尿筋圧を確認するために、腹部にEMG電極を設置すること。
【0083】
11.任意選択で、患者の膀胱が充満しているときの患者の膀胱充満知覚の評価指標、例えば、「膀胱充満の第1の知覚」及び「第1の尿意」を、これらの事象を他の収集データと同時に印付けして(すなわち、相互に関連付けて)記録すること。
【0084】
12.患者の膀胱が一杯でありかつその患者が強い尿意を有するときに、膀胱内の尿をドレナージバッグへと流出させ、そのようにして膀胱内圧、腹部のEMG活動、尿流量及び合計排尿量を確認するために、尿流出ラインを開くこと、例えば、クランプの除去又はバルブの開口。
【0085】
13.患者の膀胱機能の状態を判定し、かつカテーテルを抜去すべきかどうかを判断するためにデータを分析することであって、そのような分析は有利に、最適な介護の道筋を決定するために膀胱のサイクルの間の一連の対象パラメータの重要部分を自動化した。
【0086】
尿流出ラインがクランプ締め及び開放される方式をカスタマイズすることにより、高度な診断情報を適切に得ることができる。上記のとおり、そのラインは、膀胱充満時に閉止されるか、排尿時に開放されるかのいずれかである。別例の手法は、バルブであって、充満時には閉止されるが、排尿時にはその有効抵抗が良性前立腺肥大症の患者に見られるもののような尿道抵抗の影響をシミュレートするために可変的であることも考えられるバルブ、を使用することであろう。出口抵抗性を調整することにより、膀胱内圧‐出口抵抗性‐尿流量の関係を、最適な介護の道筋をさらに決定するために確立させることが考えられる。
【0087】
一般に、感覚がないか又は認知障害のある患者は排出ラインを開いて膀胱を空にすることはないであろうという懸念がある。そのため(A such)、このことが膀胱の過剰充満、及び腎臓内への尿の逆流をもたらすことも考えられる。選択的に駆動可能なバルブであって、選出された時間間隔(例えば4時間ごと)に基づくか、又は他の条件、例えば膀胱内圧若しくはいくつかの条件の組み合わせに基づいて選択的に駆動可能、すなわち開放される、バルブが利用されてもよい。
【0088】
尿計量機に関しては、これは、バルブが開放されて尿が流出している時、又は尿が全く若しくは少量しかドレナージバッグに流れ込まない場合に表示するためのアラーム/アラームモードを備えるように、容易に適合させることができる。これらの状況は、カテーテルの閉塞によって、又は患者が尿を生産しないことによって引き起こされることが考えられるが、これらはいずれも介入を必要とする可能性のある臨床事象である。
【0089】
本明細書中で説明及び描写してきたものは、いくつかの適用事情と併せて、本出願人の主題の好適で非限定的な実施形態である。本明細書中に開示されるシステムの要素、並びに/又は、アセンブリ、サブアセンブリ、及びメカニズムのうち少なくともいずれかの構造体は、その思想又は一般的特徴から逸脱することなく他の特定の形態(それらのうちいくつかについては示してきた)で具体化されうるので、本明細書中に/本明細書を用いて説明及び描写された実施形態は、あらゆる点において例証であって限定的ではないと見なされるべきである。さらに、名目上の操作ステップ又は操作手順及びプロトコールのうち少なくともいずれかについて述べ、かつある程度まではそれに関連する別例の研究の部品及びシステム、アセンブリなどを参照してきたが、企図される手順/プロトコールはそのように限定されるものではない。従って、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲の言葉で定義される通りであり、かつその非現実的ではない等価物は含まない。