(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】エラストマー体および締め付けボルトを有する加圧シール
(51)【国際特許分類】
F16J 13/12 20060101AFI20220118BHJP
F16B 2/14 20060101ALI20220118BHJP
E04B 1/66 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
F16J13/12 Z
F16B2/14 A
E04B1/66 Z
(21)【出願番号】P 2019520580
(86)(22)【出願日】2017-10-27
(86)【国際出願番号】 EP2017025320
(87)【国際公開番号】W WO2018077480
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-10-05
(32)【優先日】2016-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510321413
【氏名又は名称】ハウフ テヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニ コマンディートゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】クルツ,ラルフ
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-100694(JP,U)
【文献】仏国特許発明第01070690(FR,A)
【文献】国際公開第2016/097442(WO,A1)
【文献】仏国特許発明第01064565(FR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 12/00-13/24
F16B 2/14
E04B 1/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧シール(1)の利用方法であって、
1つのエラストマー体(5)と、
1つの締め付けボルト(7)と、
を備え、
前記エラストマー体(5)が、前記締め付けボルト(7)の引っ張りによって変形可能であり、これにより前記締め付けボルト(7)の長手軸(14)に対して垂直な方向にシールするように押圧可能である加圧シール(1)において、
前記加圧シール(1)は、互いに傾斜した傾斜面(9a,9b)を有する1つの締め付け部材(8)を備え、
前記傾斜面(9a,9b)がそれに沿って互いに向かうように走っている前記締め付け部材(8)のテーパー方向
(11)が、前記締め付けボルトの長手軸(14)に対して角度を持つように、前記締め付け部材
(8)が、前記締め付けボルト(7)に配設されているかまたは配設可能であり、
前記締め付け部材(8)が、楔部材であり、そして前記傾斜面(9a,9b)が前記楔部材の楔外面であり、
かつ前記締め付け部材(8)が、前記テーパー方向(11)の方向における移動によって、締め付け状態となることができ、これにより前記締め付けボルト(7)が引っ張ることが可能となり、前記エラストマー体(5)が変形可能となるように、前記締め付け部材(8)が、前記締め付けボルト(7)および前記エラストマー体(5)に対して支持されており、
前記加圧シール(1)が、壁または床エレメント(3)内の開口部(2)に挿入され、前記開口部(2)をシール
し、
前記締め付けボルト(7)は、前記エラストマー体(5)の中へ延伸し、これにより、前記エラストマー体(5)が前記締め付けボルト(7)を前記締め付けボルトの長手軸(14)の方向に引っ張る際に圧縮され、その結果これと垂直な方向にシールするように押圧されるように構成されている、
利用方法。
【請求項2】
請求項1に記載の利用方法において、
前記締め付けボルト(7)を、1つの陥凹部(10)が貫通しており、前記陥凹部(10)に前記楔部材が、互いに傾斜した前記楔外面(9a,9b)の1つ(9a)で前記締め付けボルト(7)の当接面(13)に支持されるように配設され、あるいは配設可能であり、前記当接面(13)が、前記締め付けボルトの長手軸(14)に対して平行な、前記エラストマー体(5)とは反対側の方向に関して、前記陥凹部(10)の境界となっていることを特徴とする利用方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の利用方法において、
前記締め付けボルト(7)は、扁平体であることを特徴とする利用方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の利用方法において、
前記締め付け部材(8)の互いに傾斜した前記傾斜面(9a,9b)の間に、少なくとも2°および最大で45°の角度がなされていることを特徴とする利用方法。
【請求項5】
請求項
1乃至4のいずれか1項に記載の利用方法において、
前記楔部材は、前記加圧シール(1)の第1の加圧体(6a)と共に前記エラストマー体(5)の第1の端面に配設されており、前記第1の加圧体(6a)は、前記締め付けボルトの長手軸(14)に対して平行な方向で前記楔部材と前記エラストマー体(5)との間に配設されており、前記楔部材の前記テーパー方向(11)における移動の際に、前記楔部材によって前記エラストマー体(5)に押圧されることを特徴とする利用方法。
【請求項6】
請求項
5に記載の利用方法において、
前記楔部材は、互いに傾斜した前記楔外面(9a、9b)のうちの前記エラストマー体(5)側の楔外面(9b)で、前記第1の加圧体(
6a)の第1の当接面(12)に直接当接していることを特徴とする利用方法。
【請求項7】
請求項
1乃至
6のいずれか1項に記載の利用方法において、
前記楔部材が配設されている前記エラストマー体(5)の第1の端面に対向する、前記エラストマー体(5)の第2の端面に、1つの第2の加圧体(6b)が配設されており、前記第2の加圧体
(6b)と前記締め付けボルト(7)とが前記エラストマー体(5)を圧縮するために協働することを特徴とする利用方法。
【請求項8】
請求項
2に記載の利用方法において、
前記締め付けボルト(7)における前記陥凹部(10)は、前記締め付けボルトの長手軸(14)に対して平行な方向において、少なくとも前記締め付けボルト(7)が締め付けられていない状態においては、前記エラストマー体(5)の中へ延伸していることを特徴とする利用方法。
【請求項9】
請求項1乃至
8のいずれか1項に記載の利用方法において、
前記締め付け部材(8)は、紛失しないように残りの加圧シール(1)に保持されていることを特徴とする利用方法。
【請求項10】
請求項1乃至
9のいずれか1項に記載の利用方法において、
前記加圧シール(1)がロッキング手段を有し、
前記ロッキング手段を用いて、前記締め付け部材(8)は、締め付け状態でロック可能で
あることを特徴とする利用方法。
【請求項11】
請求項1乃至
10のいずれか1項に記載の利用方法において、
前記エラストマー体(5)が、めくら栓として形成されていることを特徴とする利用方法。
【請求項12】
請求項1乃至
11のいずれか1項に記載の利用方法であって、
前記加圧シールを1つの開口部(2)に挿入し、前記締め付けボルト(7)に配設された前記締め付け部材(8)を前記テーパー方向(11)に移動することにより前記締め付けボルト(7)を引っ張
り、前記開口部が前記加圧シール(1)でシールされる利用方法。
【請求項13】
請求項1乃至
12のいずれか1項に記載の利用方法であって、
前記締め付け部材(8)が、打撃により加えられる力を用いて、締め付け状態に移動されることを特徴とする利用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの開口部に挿入してこの開口部をシールするための、エラストマー体および締め付けボルトを有する加圧シールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、1つのエラストマー体と、このエラストマー体を締め付ける、すなわち変形するための1つのねじ付きボルトと、を有する加圧シールが知られている。視覚的に説明すれば、このエラストマー体は、この際たとえば万力におけるように1つの方向に圧縮され、この方向に対して垂直な方向に当接してシールするように、たとえば1つの壁開口部の内枠(Laibung)に取り付けられる。この際ここで必要な締め付け力は、ねじ付きボルトの回転によって加えられ、このボルト頭部には、通常はねじ頭部の駆動部として外側または内側の多角形が設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、エラストマー体および締め付けボルトを有するとりわけ有利な加圧シールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によればこの課題は、請求項1に示す加圧シールが解決し、すなわちこの加圧シールは、締め付けボルトを引っ張るための1つの締め付け部材を備える。この締め付け部材は、互いに傾斜した傾斜面(複数)を有し、この締め付けボルトに配設されて、ここで支持される。この締め付け部材を移動することにより、これらの傾斜面の1つでガイドされる締め付けボルトは少し移動され、すなわち引っ張られ、そしてこれによって上記のエラストマー体は、変形される。この際この締め付けボルトは、ねじでガイドされる回転運動によって引っ張られるのではなく、この締め付け部材が移動することでその傾斜面を介して加えられる力によって引っ張られる。このためこの締め付け部材は、この締め付けボルトおよびこのエラストマー体に対して支持されており、すなわちその傾斜面の1つでこの締め付けボルトに付設された当接面に、そしてもう1つの傾斜面でこのエラストマー体に付設された当接面に支持されている。
【0005】
以下に詳細に説明するように、上記の締め付け部材は、好ましくは楔部材であり、上記の傾斜面(複数)はこの楔の楔外面(複数)である。次にこの楔部材は、そのテーパー方向で締め付け位置に移動され、ここでこの楔部材は上記の当接面(複数)を互いに押し離す(そしてこうして上記の締め付けボルトを引っ張られる)。しかしながら一般的には、力学的な反転も可能であり、すなわち上記の傾斜面は互いに反対側にある、それぞれ内向きに向かう面とすることができ、すなわち上記の締め付け部材は蟻継ぎの収容部に似たように形成することができる。次にこのような締め付け部材は、テーパー方向とは反対側の方向への移動によって、締め付け位置へ運ばれ、ここで上記の両方の当接面(上記の締め付けボルトに付設された当接面および上記のエラストマー体に付設された当接面)が互いに引っ張られる。
【0006】
上記の締め付け部材の締め付け位置への移動のために必要な力は、たとえばハンマーのような打撃工具を用いて加えることができる。このことはねじ付きボルトのねじ込みに対して、たとえば組立時間に関してだけでも利点を提供する。さらに建築現場においては、特に基礎工事段階においては、工具としてハンマーを使用することができ、こうしてたとえばねじ付きボルトのねじ頭部の駆動のための特別に整合するレンチを保持する必要はない。同時に、大きな締め付け力を発生することができ、こうしてマッシブなエラストマー体を変形することができる。
【0007】
本発明による加圧シールは、特にめくら栓として利用することができ、これを用いて壁部材または床部材、特にコンクリート構造部材における開口部を、一時的または持続的に封止することができる。こうしてこの未確定の開口部を通って、場合によっては後になって配線を通すことができる。このために、このめくら栓は取り除かれ、そして配線を通した後、配線用の貫通孔を有する他の加圧シールが使用されるか、あるいはこのめくら栓自体の相応の適合処理(エラストマー体からのめくら栓の除去)の後に、再びこのめくら栓自身が使用される。
【0008】
とりわけ有利な応用領域は、いわゆる浸水開口部(Flutoffnungen)とすることができ、この浸水開口部は、地下水位が大きく上昇した際に地下槽(Kellerwanne)が浮き上がることを防止するために、特に大きな建物あるいは地下室の建築中あるいは建築後においても必要となりえる(建築途中段階では、このために、建物の固有質量がまだ小さすぎることがあり得る)。このような場合は、この地下槽を、たとえば地下室の床スラブ(Bodenplatte)に配設された浸水開口部を通して、上昇する地下水で浸水するほうが、浮き上がって建築本体の永続的な損傷の虞を引き起こすよりも好ましい。他方、既に地下水位がほんの僅かのみ床スラブのレベルの上となっている場合(これは建築材料に対しては不利であり得る)には、この地下室を毎回浸水させる必要はない。
【0009】
したがって浸水開口部を、加圧シールをめくら栓として用いて封止することが有利である(これは汚物侵入を防ぐことの助けにもなり得る)。ここで本発明は、上記の締め付け部材が単に容易かつ速やかに締め付け状態となるだけでなく、むしろ同様に再び締め付けられていない状態とすることができるという格別な利点も有する。さらにはハンマーさえ必要とすることなく、石またはこれと等価な打撃工具を利用することができる。たとえば豪雨のような場合には、短い時間の間に地下水位の急激な上昇が起こり得、これは非常に素早い浸水開口部の開放を必要とし、浸水開口部はこのような状況で、この具体的な例だけでなく、一般的に重要な役割を果たす。こうして本発明による加圧シールの素早くかつ容易な取り外しあるいは取り付けは、浸水開口部でとりわけ有利であり、すなわちこうして緊急事態において、適合したレンチを探す必要がなく、あるいは時間のかかる回転によってねじ付きボルトを緩めるあるいは締め付ける必要がない(浸水開口部の封止も緊急を要する)。
【0010】
さらに上記の締め付け部材を有する加圧シールの取り外しは、ねじ付きボルトを緩めることに対して、この加圧シールに既に所定の圧力の水が押し寄せている場合にも有利である。作業者は、上記の打撃工具によって、すなわちこの開口部から明らかに離れて位置することができ、すなわち大きな安全距離を維持することができる(圧力下でこの開口部から押し出される加圧シールは既に危険の源となり、レンチを用いてこの加圧シールを扱うことはこの状況を悪化させる)。
【0011】
これらの利用の可能性とは別に、個別的には上記の締め付け部材および残りの加圧シールは、上記の開口部での取り付けまで別々の部品として取り扱うことができ、場合によっては、むしろ応用領域あるいは加える締め付け力によっては、(伝達率に影響する)上記の傾斜面(複数)の間の角度に関して適合した締め付け部材を選択することができる。「配設可能」とは、すなわち上記の締め付け部材も、一連の取り付け作業において漸く締め付けボルトに配設することができることを意味する。好ましくはこの締め付け部材は締め付けボルトに配設されており、そしてこれはたとえば締め付けられていない状態においても、残りの加圧シールを一緒に保持することができる。
【0012】
「締め付けボルトの長手軸」は、たとえば、少なくともいずれのねじ山および/または以下に説明する陥凹部を除いて、この締め付けボルトの旋回対称あるいは回転対称の軸とすることができる。一般的にはこの締め付けボルトは、たとえば締付け部材とは反対側の端部にねじが設けられており、このねじで1つの加圧体(以下に現れる用語では、「第2の加圧体」)に固定することができる。しかしながら好ましくは上記の締め付けボルトには、ねじ山が無い。この「締め付けボルトの長手軸」に沿って、この締め付けボルトは、好ましくはこの軸に対して垂直なあらゆる方向よりも少なくとも5倍あるいは10倍大きく延伸している(上限はたとえば100倍、あるいは50倍、または30倍であってよい)。
【0013】
上記の締め付け部材のテーパー方向に沿って、この締め付け部材の傾斜面(複数)が互いに向かって走っているが、これらは必ずしも出会う必要はない。すなわちたとえば楔は、その細くなった端部で必ずしも尖っている必要はなく、逆にたとえば打撃工具を用いた取り外しの観点では、鋭くない細い端部であることも好ましい。それぞれに上記の2つの傾斜面の1つが存在する2つの傾斜レベル面から、上記のテーパー方向は、これらの傾斜レベル面が交差する線に対して垂直方向となり、この際中央レベル面に平行になっている。上記の2つの傾斜面の間に挟まれた角を中央で同じ大きさで半分に分割している。
【0014】
上記の締め付けボルトに対して「角度が付けられている」上記のテーパー方向の向きは、ごく一般的な意味で、平行でない向きを意味する。好ましくは、このテーパー方向は上記の締め付けボルトの長手軸に対して、少なくとも45°、60°、あるいは75°で傾いており、この角度が大きくなるにしたがってより好ましくなっており、ここで可能な上限は、これとは無関係にたとえば最大85°とすることができる(2つの傾斜面の間に挟まれたより小さい方の角度と考える)。(楔部材の場合の)テーパー方向または(力学的に反転する場合の)この反対方向「へ」の移動は、移動方向が少なくとも対応する方向(テーパー方向または反対方向)に対して平行な成分を有することを意味しており、好ましくは、この平行な方向成分がその対応する方向に対して大きな割合(>50%)となっている。
【0015】
上記のエラストマー体をシールするように圧縮すること、あるいは「押圧可能であること」は、一般的には、たとえば1つまたは複数の他のエラストマー体への押圧にも適用することができる。好ましくは上記のエラストマー体は、上記の開口部の境界となっている内枠(Laibung)に押圧され、ここでこの内枠は、たとえばボアホールの場合では、上記の壁部材または床部材自体から形成されていてよい。しかしながら、この壁部材または床部材内に成型されたインナーチューブ(Futterrohr)、あるいはこの壁部材または床部材の表面に、またはこの壁部材または床部材の中に構築されたフレームが、上記の内枠を形成してもよく、すなわち上記の開口部を形成してもよい。好ましくは、上記の開口部は、上記の壁部材または床部材の1つの側面から反対側の側面に延伸する貫通開口部となっている。
【0016】
さらなる好ましい実施形態は、従属請求項および以下の説明に記載されており、ここで特徴の説明においては、装置、方法、および利用の態様の間で必ずしも個別的には区別されず、従って少なくとも本出願の開示内容は、暗黙的に特許請求の範囲全体に関すると理解される。すなわちたとえば加圧シールの特定の利用あるいは組立細部が記載されている場合、これは対応する利用に関するものとしても、また対応する利用の用途に開発された加圧シールとしても理解されるものである。
【0017】
既に示唆されているように、上記の締め付け部材は、好ましい実施形態においては、楔部材であり、その傾斜面(複数)は楔外面(複数)である。これらの面は、テーパー方向に対して垂直な方向で対向している(力学的な反転の場合のように反対側ではない)。こうして上記のエラストマー体とは反対側の楔外面で、上記の楔部材は上記の締め付けボルトに付設された当接面に当接し、この当接面は好ましくはこの締め付けボルト自体に形成されていてよく、ただし原則的にはこの締め付けボルトに固定結合された部品に形成されていてもよい(これに関係なく個別的には、この当接面は上記のエラストマー体に向いている)。この櫛部材のエラストマー体側の楔外面は、個別の他の1つの、すなわち上記のエラストマー体に付設された当接面に当接し、この当接面は一般的にこのエラストマー体自体にも形成されていてよいが、好ましくはこのエラストマー体に締め付け力を伝達する部品上に、特に加圧体に形成されていてもよい。これと関係なく具体的には、上記の締め付けボルトは、上記の楔部材の移動によって、好ましくはテーパー方向での直線的な動きにより締め付け可能である。
【0018】
それぞれの面の向きについて、上記のエラストマー体に対して「~の側の」かまたは「反対側である」ことに関しては、前記面から離れる方向を示す面法線が1つの方向成分を有することを意味し、好ましくは主に締め付けボルトの長手方向に平行であり、そしてこのエラストマー体に向かって指し示す(「~の側の」)か、あるいはこのエラストマー体から離れる方向を示す(「反対を向いている」)ことを意味する。こうしてたとえば上記のエラストマー体側の面は、このエラストマー体に対し必ずしも対向している必要はなく、特に、このエラストマー体に沿って側面側に配設されている締め付け装置(詳細以下参照)の場合には、むしろこのエラストマー体に対し横方向(締め付けボルトの長手軸に対し垂直な方向)にずれていてもよい。
【0019】
1つの好ましい実施形態においては、上記の締め付けボルトに付設された当接面は、この締め付けボルト自体に形成されており、これをすなわち1つの陥凹部が貫通しており、この陥凹部に上記の楔部材が配設されている。この楔部材が支持されるこの当接面は、上記の締め付けボルトの長手軸に対して平行な、上記のエラストマー体から離れる方向に関して、この陥凹部の境界となっている(この陥凹部は、このエラストマー体とは反対側の端部まで間隔をおいてこの締め付けボルトを貫通している)。この締め付けボルトの長手軸に対して垂直な方向において、上記の陥凹部は、この締め付けボルトを貫通して延伸し、こうして上記の楔部材は、この中で良好に移動可能にガイドされる。この楔部材は、上記のエラストマー体とは反対側の、この楔部材の楔外面で、上述の、この陥凹部の境界となっている当接面に支持されている。
【0020】
好ましい形態においては、上記の陥凹部は、上記の締め付けボルトを貫通する1つの貫通孔である。こうしてこの貫通孔は、つまりこの貫通孔が上記の締め付けボルトを貫通して延伸する貫通方向に対し全ての垂直方向において、締め付けボルト材料によって縁取りされることになる。この貫通方向の周囲に関しては、この貫通孔の周りは、完全に締め付けボルト材料によって縁取りされている。貫通孔を有する締め付けボルトと楔部材との組み合わせは、機械的に非常に丈夫であり、そしてこれに相当の大きな締め付け力をかけることができる。
【0021】
1つの好ましい実施形態においては、上記の締め付けボルトは、扁平体であり、好ましくは1つの扁平材料から切り出し加工されている。このような扁平材料は、たとえば板金とすることができ、好ましくは鋼板である。上記の締め付けボルトは、この扁平材料からレーザー光で、あるいは打ち抜き加工で、切り出し加工することができる。すなわち上記の締め付けボルトは、レーザー切断部品または打ち抜き加工部品である。この扁平材料は、その表面方向に対して垂直な厚さ方向において、たとえば少なくとも1mm、2mm、3mm、あるいは4mmの厚さを有し、ここで可能な上限は、(これらとは無関係に)たとえば最大で15mm、10mm、8mm、あるいは6mmとすることができる(それぞれここに列挙した降順で、より好ましいものである)。
【0022】
好ましくは、上記の1つまたは複数の加圧体(詳細以下参照)も、1つの扁平材料から切り出し加工された扁平体である。さらに好ましくは、この加圧体の扁平材料は、上記の締め付けボルトと同じ厚さを有している。これは、この加圧体およびこの締め付けボルトがこうして同じ加工工程で同じ扁平材料から切り出し加工することができ、資材管理コストの低減に役立つので、製造における利点を提供する。好ましくは上記の締め付け部材も、上記の締め付けボルトの扁平材料と同じ厚さを有し、そしてさらに好ましくは上記の加圧体の扁平材料と同じ厚さを有する1つの扁平材料から切り出し加工されている。一般的に、1つの扁平材料から切り出し加工される締め付けボルトの利点は、上記の加圧シールの設計の際の寸法が比較的容易に変更できることであり、そしてこうして実際の加圧シールに与えられる要件(加えられる締め付け力)に適合させることができることである。
【0023】
好ましい上記の楔部材にも、また一般的には力学的な反転にも関係する、1つの好ましい実施形態においては、上記の締め付け部材の傾斜面(複数)の間に挟まれる楔角は、少なくとも2°、4°、6°、8°、10°、12°、14°、16°、18°、あるいは20°であり、この列挙する降順でより好ましくなっている。可能な上限は、たとえば最大で45°、42°、40°、38°、36°、34°、32°、あるいは30°であって、この列挙する降順でより好ましくなっており、ここで上限は、一般的には下限の設定とは無関係に重要であり(そして開示されなければならない)、そして逆に下限は上限と無関係であってよい。上記の領域において、締め付けの際の力伝達と、上記の締め付け部材の締め付け状態への大き過ぎない移動距離との良好な妥協が得られる。後者は、たとえばねじ付きボルトを有する加圧シールと比較して、少なくともこのねじ付きボルトに適用されるレンチを考慮すれば、特に締め付けボルトの長手軸に対して垂直な方向に、比較的コンパクトに実現できることで、一般的に本発明による締め付けの原理の利点となる。これはたとえば手が届きにくい領域、たとえば、コーナーにおける取り付けで有利となり、ここでレンチを周回して回転する必要がなく、そしてこれに応じて繰り返して取り付けおよび取り外す必要がない。
【0024】
1つの好ましい実施形態では、上記の締め付けボルトは、上記のエラストマー体の中へ延伸しており、好ましくはこの締め付けボルトは、このエラストマー体を(上記の締め付け部材を有する端面から反対側の端面まで)貫通している。こうして上記の加圧シールは、上記のエラストマー体が上記の締め付けボルトの引っ張りによってこの締め付けボルトの長手軸の方向に圧縮され、そしてこの結果これと垂直な方向(複数)で当接してシールするように構成されている。この際シールするように押圧されるこのエラストマー体の部分、および軸方向に圧縮されるこのエラストマー体の部分は、好ましくは互いに一体に構成されており(互いに破損無しには分離可能ではない)、とりわけ好ましくは互いにモノリシックになっている(同じ連続した材料から形成されている)。この軸方向に圧縮されたエラストマー体は、好ましくは上記の締め付けボルト自体にも当接し、このことは上記の扁平体締め付けボルトの場合(上記参照)においては、たとえばこの形状に合わせたエラストマー体の貫通孔を用いて、または円形の貫通孔の場合には、このエラストマー体の十分に大きな変形を用いて実現することができる。
【0025】
一般的には上記の締め付けボルトは、しかしながら上記のエラストマー体に対して個別に設けられた締め付け装置に付設することができ、こうして対応する締め付け装置は、上記のエラストマー体(および場合によってはさらなるエラストマー体(複数))と共に上記の開口部の中に据えられ、これに応じてこの開口部を、このあるいはこれらのエラストマー体と共に満たし、こうしてこのような締め付け装置は、上記の締め付け力を上記の締め付けボルトの長手軸に対して垂直な方向に伝達し、すなわちこの締め付け装置は、この締め付けボルトの引っ張りによってこれに対して垂直な方向に拡がり、そしてこれに対応して、このあるいはこれらのエラストマー体をこの締め付けボルトの長手軸に対して垂直な方向にシールするように押圧する。この形態では、上記の壁の表面にあるいは壁の中に設置された、たとえばプラスチックまたは金属から成るフレームが、内枠を形成する。しかしながら以下ではこの変形例である「軸方向に圧縮され、これに対して垂直な方向に押圧されたエラストマー体」について集中して説明する。
【0026】
1つの好ましい実施形態は、1つの適合したエラストマー体および1つの楔部材を締め付け部材として有する加圧シールに関し、この締め付け部材は、1つの第1の加圧体と共にこのエラストマー体の第1の端面に配設されている。このエラストマー体の「第1の」端面としては、上記の楔部材が配設されている端面を意味するとして定義され、「第2の」端面は、上記の締め付けボルトの長手軸に対して平行な方向(「軸方向」)に関して、この第1の端面に対向している。軸方向においては、上記の第1の加圧体は、上記の締め付けボルトに対して自由に移動可能である。この第1の加圧体は、この軸方向に関して、上記の楔部材と上記のエラストマー体との間に配設されており、そしてこの楔部材が上記のテーパー方向に移動されると、このエラストマー体に押圧される。「押圧する」とは、一般的に本出願の範囲においては、たとえ直接的な当接が好ましいとしても、必ずしも直接的な当接、すなわち接触、を示唆するものではない(たとえば1つの中間層も可能である)。
【0027】
好ましい形態においては、上記の楔部材は、上記の第1の加圧体に直接当接しており、とりわけ好ましくはこの第1の加圧体は、上記のエラストマー体とは反対側の端面に、この楔部材に対する当接面を有し、そしてこの第1の加圧体は、このエラストマー体に向いた対向する端面で直接このエラストマー体に当接している。
【0028】
1つの好ましい実施形態においては、上記のエラストマー体の第2の端面に、1つの第2の加圧体が配設されており、上記の締め付けボルトは、このエラストマー体を圧縮するために、この第2の加圧体と協働する。締め付け状態においては、この締め付けボルトは、この第2の加圧体をこのエラストマー体の方向に引っ張り、すなわちこの第2の加圧体は押圧される(好ましくはこの第2の加圧体は直接このエラストマー体に当接する)。一般的に上記の締め付けボルトおよび上記の第2の加圧体は、一緒にモノリシックに形成することができ、すなわちこの第2の加圧体は、上記の締め付けボルトの長手軸に対して垂直な方向に突出する締め付けボルト頭部とすることができる。しかしながら、好ましくはこの締め付けボルトは、この第2の加圧体に固定されており、これら2つの部品は、たとえば一緒に溶接、摩擦接合(kraftschlussig)および/または形状接合(formschlussig)で結合されていてよく、好ましいのは形状接合のみの結合である。
【0029】
一般的に上記の加圧体は、上記の第1の加圧体であろうと、あるいは第2の加圧体であろうと、好ましくは加圧プレートとして形成されており、この加圧体は、こうして上記の締め付けボルトの長手軸に対して垂直な方向に、軸方向よりも少なくとも10倍あるいは20倍大きく延伸している。材料としては金属が好ましく、これは打撃工具を用いて可能な取り付けの観点から、機械的に丈夫な実施形態を可能とする。
【0030】
またこのあるいはこれらの加圧体の存在あるいは形態とは関係なく、一般的に上記の楔部材も好ましくは金属で設計されており、とりわけ好ましくはスチールで設計されている。また材料に関係なく、形状に関しては好ましくは楔部材であり、好ましくはその拡がった端部および/またはその狭まった端部が上記の楔外面(複数)の1つに対して、そしてなお好ましくは上記のエラストマー体側の楔外面に対して垂直な方向に延伸している。これは、取り付けの際に、上記のエラストマー体側のこの楔部材の楔外面が上記の締め付けボルトの長手軸に対してほぼ垂直な向きになり、これによって上記の拡がった側部および/または狭まった側部がこの締め付けボルトの長手軸に対してほぼ平行となり、そして打撃工具を用いた良好な力伝達が可能となるという点で、有利である。この楔部材はその拡がった端部で、狭まった端部におけるよりも大きく延伸している。
【0031】
しかしながら一般的には、他の楔部材の形状も考えられ、たとえばいわゆる二重楔も考えられる。これとは関係なく、具体的には上記の楔部材は好ましくは、1つの平坦な形状を有し、すなわちこれは上記の締め付けボルトの長手軸および上記のテーパー方向に対して垂直な方向で、各々の楔外面の最も小さな寸法よりも小さな厚さを有し、好ましくは上記の狭まった側部の延伸よりも小さくなっている。絶対値では、この厚さはたとえば最大で15mm、10mm、8mm、あるいは6mmとなっており(この列挙する降順でより好ましくなっている)、ここで可能な下限は(これとは無関係に)たとえば少なくとも4mmとすることができる。
【0032】
一般的に上記の締め付けボルトは、1つの金属で設計されており、とりわけ好ましくはスチールで設計されている。たとえば金属あるいはスチールの楔部材と組み合わせることで、こうして大きな締め付け力を生成することができる。
【0033】
上記の楔部材用の陥凹部を有する締め付けボルトに関する、1つの好ましい実施形態においては、少なくとも締め付けられていない状態においては、この締め付けボルトにおける陥凹部は、上記の軸方向において上記のエラストマー体の中へ延伸している。上記の楔部材側のエラストマー体の端面を含むレベル面は、こうしてすなわちこの陥凹部を横切っている。このような形態においては、上記の締め付けボルトは、比較的大きな距離に渡って動くことができ、すなわちこれに対応して上記のエラストマー体の大きな変形が可能である。
【0034】
1つの好ましい実施形態においては、上記の締め付け部材は、紛失しないように残りの加圧シールに保持されており、好ましくは上記の締め付けボルトに保持されている。上記の楔部材は、締め付け部材として、こうしてたとえばこの締め付けボルトの陥凹部あるいは貫通開口部にはまり込むことができ、そしてテーパー方向とは反対側に外れる、あるいは脱落しないように固定されており、たとえばこの楔部材を貫通する固定ピンを用いて固定されている。しかしながら一般的には、たとえば固定チェーンも可能であり、この固定チェーンを用いて、上記の締め付け部材を、残りの加圧シールに、特に上記の締め付けボルトに保持することができる。
【0035】
1つの好ましい実施形態においては、ロッキング手段が設けられており、このロッキング手段を用いて、上記の締め付け部材は、締め付け状態でロッキング可能であり、すなわちこのロッキング手段は、上記のテーパー方向の反対側(楔部材の場合)あるいはテーパー方向へ(力学的反転の場合)のこの締め付け部材のずれを阻止し、あるいは少なくともずれにくくなるようにする。このため好ましくはこの締め付け部材には、1つの穴が設けられており、とりわけ好ましくは1つの穴列(列になった複数の穴)が設けられており、ここで上記の締め付け状態からのずれは、ロッキングピンをこの穴あるいはこれらの穴の1つに挿入することによって阻止される(場合によっては僅かなずれの後でこのロッキングピンが上記の締め付けボルトに当接し、そしてさらなるずれを防止するであろう)。この場合1つの穴列は、上記のエラストマー体が異なる大きさで変形している、異なる締め付け状態でロッキング可能となっているので、有利である。
【0036】
1つの好ましい実施形態においては、上記のエラストマー体は、めくら栓として形成されており、すなわちこれは上記の開口部を通って通り抜ける配線を受容しない。ここで一般的にはこのエラストマー体は、後に配線を通すように考えられていてもよく、すなわち取り出し可能あるいは取り外し可能に構成することができるが、これは好適に永続的なめくら栓として考えられており、すなわちこの観点で分離線あるいは破断予定部の無いものとなっている。好ましくは上記のエラストマー体は、その中に締め付けボルトを有する貫通開口部を除けば(あるいは複数の締め付けボルトの場合には複数の貫通開口部を除けば)中断部のない1つの連続体の部品であり、これは機械的に丈夫な構造を可能とする。しかしながら、一般的には上記の加圧シールは、1つの配線が、あるいは複数の配線も通り抜けるように構成することができ、この場合にはこのエラストマー体は、その変形によって上記の内枠に対してだけでなく、通り抜ける配線に対しても押圧される。
【0037】
以上とは無関係に、個別的には上記の加圧シールは、好ましくはただ1つの単一の締め付けボルトを備え、この締め付けボルトは、さらに好ましくは、上記の締め付けボルトの長手軸に対して垂直な方向に関して、このエラストマー体の中央に位置している。この締め付けボルトの長手軸は、このエラストマー体に対しては、好ましくは旋回対称の軸であり、とりわけ好ましくは、回転対称の軸である。これは締め付け力の均等な分布を可能とする。
【0038】
また本発明は、ここで開示されている加圧シールの利用に関し、この加圧シールを1つの開口部に挿入し、そして上記の締め付けボルトを引っ張ることによって、すなわち上記の締め付け部材(楔部材)をテーパー方向にあるいはこれとは反対の方向(力学的反転)に移動することによって、この開口部をシールするための加圧シールの利用に関する。締め付けられていない状態から締め付けられた状態への移動に伴い、好ましくは上記の締め付けボルトの長手軸に対して角度を持った(これについての上記の定義を参照)直線状の移動距離で、上記の楔部材の重心点が移動される。このことは相応に構成された加圧シールに関して明確に開示されており、その他この利用に関しては上記の実施形態を参照されたい。
【0039】
好ましい形態においては、上記の締め付け部材を移動するための力は、打撃により加えられ、好ましくは打撃工具、とりわけ好ましくはハンマーによって加えられる。
【0040】
以上とは関係なく、個別的には、次の利用が好適である。すなわち、1つの共通な構造体に配列されている複数の開口部、少なくとも10、20あるいは30個の開口部がそれぞれ1つのここで開示した楔部材を有する加圧シールを用いてシールされる。ここでは各々の加圧シールの比較的に素早くかつ容易な取り付けを、特に原理的には、それぞれ一撃で実施することができる。1つの応用例は、いわゆるケーブルダクトまたは変電所である。原理的には任意に多くの開口部をそれぞれ1つの対応する加圧シールによってシールすることができるが、上限(1つの単一の構造体での開口部の数)は、たとえば最大で1000、500、あるいは200個の開口部とすることができる。
【0041】
以下では、1つの実施例を参照して、本発明が詳細に説明され、ここで従属請求項の範囲の個々の特徴は、他の組み合わせにおいても特許性を有するものであり、さらに異なる請求のカテゴリーの間でも個々には異ならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
以下に図を具体的に説明する。
【
図1】本発明による加圧シールを、締め付けられていない状態の楔部材と共に示す。
【
図2】
図1による加圧シールを、締め付け状態の楔部材と共に示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、加圧シール1を示し、この加圧シールは、壁3における開口部2に挿入されており、ここでは壁3はコンクリートから成っている。この開口部2は、ボアホールとして取り付けられており、あるいは既に壁3のコンクリート打ちの際に開いたままとなっており、少なくともここでは壁3自体が開口部2を境界とする内枠4を形成する。加圧シール1は、めくら栓として構成されており、すなわちこうしてこの開口部2をそれ自身でシールする。
【0044】
さらに加圧シール1は、1つのエラストマー体5を備え、このエラストマー体はシールのために軸方向に圧縮され、そしてこの結果軸方向に対して垂直な方向に、内枠4に当接する。このためこのエラストマー体5の両方の端面には、それぞれ1つの加圧体6a,6bが、加圧プレートの形態で配設されており、ここでこれらの加圧体6a,6bは、これらの間でこのエラストマー体5を圧縮するために、1つの締め付けボルト7によって、軸方向で互いに向かって移動することができる。ここではその実質的な長さにわたって回転対称な締め付けボルト7が示されているが、この締め付けボルト7も同様に、扁平体として作られ、そして1つの扁平材料から切り出し加工することができる。
【0045】
本発明によれば、締め付けボルト7の締め付けのために、互いに傾斜した傾斜面9a,9bを有する締め付け部材8が設けられている。ここではこの締め付け部材8は、楔部材であり、そしてこれに対応してこれらの傾斜面9a,9bは、楔外面となっている。この楔部材は、締め付けボルト7における1つの陥凹部10に、ここでは貫通孔に、配設されている(側面図ではこの陥凹部10は認識できないが、この陥凹部は、図では垂直方向に締め付けボルト7を貫通して延伸している)。
【0046】
この楔部材8の2つの傾斜面9a,9bは、上記のテーパー方向11に沿って互いに向かって走っている。この楔部材として形成されている締め付け部材8は、テーパー方向11における移動により(主にテーパー方向に対して平行な主たる方向成分を有する)、締め付け状態とすることができる。以上により、図で左側の、上記の楔部材が上記のエラストマー体5側の傾斜面9bで当接する上記の第1の加圧体6aの当接面12と、上記の楔部材がその別の傾斜面9aで当接する上記の締め付けボルト7の当接面13とが、軸方向に互いに離れるように移動される。これに応じて2つの加圧体6a,6bは、軸方向に、すなわち締め付けボルトの長手軸14に沿って、互いに向かって移動し、そして上記のエラストマー体5は軸方向に圧縮される。
【0047】
図2は、締め付けられた状態での加圧シール1を示し、すなわちこの加圧シール8は、既にこれに応じて移動しており、そしてエラストマー体5は軸方向に圧縮され、そしてこの結果軸方向に対して垂直な方向に拡がっている。この締め付け状態において、上記の楔部材は、ロッキングピン(不図示)を用いて固定することができ、このロッキングピンは、
図2において締め付けボルト7の僅かに下側に配設された穴に差し込むことができる。ここに示す楔部材では、幅広側面21および狭小側面22は、エラストマー体5側の傾斜面9bに対して実質的に垂直な方向に延伸している。この楔部材を締め付け状態とするために、この幅広側面21が、ハンマーまたは他の打撃工具を用いて打撃される。この楔部材を
図2に示す締め付け状態から再び締め付けられていない状態とするためには、打撃的な力が狭小側面22に加えられる。
【0048】
締め付けボルト7そして楔部材もスチールで設計されている。これを用いて加えられる力は、同様に金属から出来ている加圧体6a,6bを介してエラストマー体5に伝達される。締め付けボルト6は、第2の加圧体6bに対応するその端部に、幅広の締め付けボルト頭部23を有し、この締め付けボルト頭部を用いてこの締め付けボルトは、第2の加圧体6bを軸方向に引き寄せる。第1の加圧体6aは、締め付けボルト7によって貫通され、そしてこの締め付けボルトで軸方向に移動可能にガイドされる。