IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

特許7009497変速機制御ユニット用電子モジュール及び変速機制御ユニット
<>
  • 特許-変速機制御ユニット用電子モジュール及び変速機制御ユニット 図1
  • 特許-変速機制御ユニット用電子モジュール及び変速機制御ユニット 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】変速機制御ユニット用電子モジュール及び変速機制御ユニット
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/00 20060101AFI20220118BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20220118BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20220118BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20220118BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20220118BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20220118BHJP
   H01L 25/04 20140101ALI20220118BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20220118BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20220118BHJP
   H01L 23/08 20060101ALI20220118BHJP
   H01L 23/40 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
F16H61/00
H05K3/28 C
H05K1/18 Z
H05K1/02 F
H05K1/02 D
H05K3/46 L
H01L25/04 Z
H01L23/30 R
H01L23/08 A
H01L23/40 F
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019553209
(86)(22)【出願日】2018-02-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-28
(86)【国際出願番号】 EP2018052864
(87)【国際公開番号】W WO2018177632
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2020-12-15
(31)【優先権主張番号】102017205216.3
(32)【優先日】2017-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【弁理士】
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ロイブル
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマン ジョセフ ロビン
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0314878(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102015205051(DE,A1)
【文献】国際公開第2016/030067(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102014223835(DE,A1)
【文献】特開2004-111435(JP,A)
【文献】特開2007-329311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 59/00- 61/12
F16H 61/16- 61/24
F16H 61/66- 61/70
F16H 63/40- 63/50
H05K 3/28
H05K 1/18
H05K 1/02
H05K 3/46
H01L 25/18
H01L 23/29
H01L 23/08
H01L 23/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速機制御ユニット用電子モジュール(1)であって、
回路基板(2)を備え、前記回路基板(2)が電子部品(5)を備え、前記電子部品(5)が、前記回路基板の表面(3、3a)に固定され、それと電気的に接続され、
前記電子部品(5)及び前記電子部品(5)の前記回路基板(2)との接続点は、保護層(6)で覆われ、
前記保護層(6)が媒体密の保護ラッカーであり、前記電子部品(5)がパッケージングされた半導体部品(5)であり、
前記保護ラッカーは、前記電子部品(5)を完全に覆うことを特徴とする、電子モジュール(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の電子モジュールであって、前記電子部品(5)を覆うために、保護キャップ(12)を備え、前記保護キャップ(12)が前記回路基板(2)上に固定されていることを特徴とする、電子モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載の電子モジュールであって、前記保護キャップ(12)が、前記回路基板(2)に接着、はんだ付けされている、またはラッチ接続若しくはクリップ接続を用いて前記回路基板(2)と接続されていることを特徴とする、電子モジュール。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の電子モジュールであって、前記保護キャップ(12)の前記回路基板(2)上の固定は、媒体密ではないことを特徴とする、電子モジュール。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の電子モジュールであって、前記回路基板(2)を強化するために、機械的なキャリア素子(14)が、前記回路基板(2)内又は前記回路基板(2)の表面(3、3a)上に備えられていることを特徴とする、電子モジュール。
【請求項6】
請求項5に記載の電子モジュールであって、前記キャリア素子(14)が、熱伝導性接着剤、熱伝導性ペースト、熱伝導性フィルム、又は熱伝導性接続手段を用いて、前記回路基板(2)と接続されていることを特徴とする、電子モジュール。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載の電子モジュールであって、前記回路基板(2)が、部分的に、リジッド回路基板要素及びフレキシブル回路基板要素(7a、7b)から構成されていることを特徴とする、電子モジュール。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載の電子モジュールであって、前記回路基板(2)が多層回路基板であることを特徴とする、電子モジュール。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載の電子モジュールと、キャリアプレートと、を備える変速機制御ユニットであって、前記電子モジュールの回路基板は前記キャリアプレート上に配置され、前記変速機制御ユニットが変速機用流体によって周囲を洗われるよう構成されている、変速機制御ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の変速機制御ユニット用電子モジュール、及びそうした電子モジュールを備えた変速機制御ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
電子制御装置は、同一の機能範囲でも、機能範囲が増大しても、より安価になる傾向に常にある。そのために、既存の解決策をさらに発展させること、又は新規のコンセプトを使用することが要求される。この場合、特に、個々の部品の間の接続技術について、関心が高まっている。それは、電子部品の小型化が進むにつれて、汚れ及び振動に対する脆弱性も増大するためである。これは、特に、最も厳しい動作条件下でさえ、高い信頼性を有してエラー無く動作する必要のある車両技術の領域に当てはまる。
【0003】
集積型変速機制御ユニットの電子回路及び/又は電子モジュールを、例えば、これらの周りを少なくとも部分的に洗う変速機用流体に対して保護するために、電子回路及び/又は電子モジュールは、保護材料又は成形材料によって保護される。
【0004】
そうした電子モジュールは、ドイツ特許出願公開第10 2015 205 051号に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】ドイツ特許出願公開第10 2015 205 051号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、コンパクトで省スペースに構成され、変速機制御ユニットの周りを洗う変速機用流体内での動作要件に対応する変速機制御ユニット用電子モジュール、及びそうした電子モジュールを備えた変速機制御ユニットを、提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1に記載の電子モジュール、及び請求項9に記載の変速機制御ユニットによって解決される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0008】
本発明の実施形態によって、有利にも、信頼性が高く、液密性で、費用対効果に優れて製造可能な変速機制御ユニット用電子モジュール、及びそうした電子モジュールを備えた変速機制御ユニットを提供することが可能である。
【0009】
本発明の第1態様により、自動車のための変速機制御ユニット用電子モジュールが提案される。変速機制御ユニット用電子モジュールが回路基板を備える。回路基板が電子部品を備える。電子部品が、回路基板の表面に固定され、それと電気的に接続されている。この場合、電子部品及び電子部品の回路基板との接続点は、保護層で覆われている。保護層が媒体密の保護ラッカーである。電子部品がパッケージングされた半導体部品である。
【0010】
以下において、パッケージングされた半導体部品、とは、1つ又は複数の複合半導体チップ、と理解される。複合半導体チップは、例えばプラスチックケーシングであるケーシングを用いて気密にカプセリングされている。例えば導体路である接続素子は、ケーシングから突出する。パーケージングされた半導体部品は、特に、THT(Through Hole Technology)による実装形態、又はSMD(Surface Mounted Device)による実装形態を備えた半導体部品とすることができる。
【0011】
この場合、ラッカー層は、変速機用流体にさらされる電子部品のケーシングの表面を完全に覆う。さらにラッカー層が、接続素子を完全に覆う。接続素子は、電子部品のケーシングから突出し、電子モジュールの回路基板上に設けられた接触点と接続されている。これにより、回路基板上に実装されてパッケージングされた半導体部品は、確実に、ラッカー層で完全にコーティングされる。
【0012】
本発明により、電子モジュールを、構造及び形状に関して最適化させて、設計することができる。さらに、部品、並びに実装プロセス及び製造プロセスの節約が達成される。それにより、より迅速な製造が可能になる。ラッカー層を使用することによって、従来技術で使用されるオーバーモールディング材料又は注入成形材料と比較して、材料が著しく節約される。
【0013】
本発明により、さらに、ラッカー層を部分的に除去することにより、簡単に分析することができる。さらに、電気部品、センサ素子又はアクチュエータを、回路基板に簡単に接続することができる。電気部品及び回路基板の放熱のための熱接続の改善に関しても、さらに利点が生じる。
【0014】
ラッカー層は、光硬化性及び/又は熱硬化性であってよい。ラッカー層を塗布した後、例えば紫外線、赤外線照射を使用する適切な硬化装置で、及び/又は加熱炉内で、少なくとも部分的にラッカー層を硬化させる。
【0015】
ラッカー層は、塗布、スプレー、及び/又は注入によって、配設することができる。さらに、回路基板をラッカーに浸漬することにより、ラッカー層を塗布することが可能である。さらに、配設する際にテンプレート又はマスクを設けて、回路基板の所定の部分をラッカー層から除外することができる。これらのテンプレート又はマスクを、ラッカー層を配設する前に回路基板上に固定し、配設した後に取り外すことができる。
【0016】
電子部品を覆うために、保護キャップを備えることができる。保護キャップが、例えばプラスチック製で、回路基板上に固定されている。保護キャップが、回路基板に接着、はんだ付けされてよい。または、保護キャップが、適切なラッチ接続若しくはクリップ接続を用いて回路基板と接続されてよい。特に、保護キャップの回路基板上の固定は、媒体密ではない。
【0017】
回路基板を強化するために、機械的なキャリア素子が、回路基板内又は回路基板の表面上に備えられてよい。この場合、キャリア素子は、回路基板の片方の表面又は両方の表面上に備えられてよい。特に、機械的なキャリア素子は、回路基板の表面上に部分的に備えられてよい。最後に、機械的なキャリア素子は、回路基板内に部分的に備えられてよい。この場合、キャリア素子は、少なくとも部分的に又は完全に、回路基板によって包囲されてよい。
【0018】
キャリア素子は、熱伝導性接着剤、熱伝導性ペースト、熱伝導性フィルム、又は熱伝導性接続手段を用いて、回路基板と接続されてよい。キャリア素子は、アルミニウムプレート又は熱伝導性材料製のプレートであってよい。
【0019】
回路基板は、部分的にリジッド回路基板要素から、また部分的にフレキシブル回路基板要素から構成されてよい。特に、回路基板は多層回路基板であってよい。有利には、フレキシブル回路基板要素は、フレキシブルフィルムから、又は深く平削りされた領域によって、構成されてよい。
【0020】
本発明の第2態様により、電子モジュールを備えた、自動車用変速機制御ユニットが提案される。変速機制御ユニットは、本発明の第1態様による電子モジュールと、キャリアプレートと、を備える。電子モジュールの回路基板は、キャリアプレート上に配置されている。変速機制御ユニットが、変速機用流体によって周囲を洗われるよう構成されている。
【0021】
本発明を添付の図面を参照して詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明による電子モジュールの例示的な第1実施形態の図である。
図2】本発明による電子モジュールの例示的な第2実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明による電子モジュールの第1実施形態を示す。電子モジュール1は回路基板2を備える。回路基板2は、上側3上に、複数のパッケージングされた電子部品5を備える。これらのパッケージングされた電子部品5は、接続素子(図示せず)を備える。これらの接続素子は、回路基板2の表面3上の接触面(図示せず)と接続されている。回路基板2の上側3の上には、ラッカー層6が部分的に配設されている。このラッカー層6は、パッケージングされた電子部品5を完全に覆う。特に、パッケージングされた電子部品5と回路基板2との間の移行部は、ラッカー層6で覆われている。そのため、電子モジュールを囲む変速機用流体が、接触面及び部品5のケーシングの両方を濡らし、それによってダメージが発生する可能性に対して確実を期す。
【0024】
回路基板2は、多層回路基板として構成されている。回路基板2は、リジッド回路基板部分7a及びフレキシブル回路基板部分7bを備えてよい。この部分7は、同様に、多層回路基板として構成されてよい。有利には、センサ素子8をフレキシブル部分7に配置可能とする。もちろん、そうしたセンサ素子8が回路基板2のリジッド部分に配置されてもよい。
【0025】
回路基板2には、下側3a又は上側3に、さらに、アクチュエータ10、例えば調整バルブ又はプラグ9が配置されている。これらの構成素子9、10は、電子モジュール1の取付け条件に応じて配置される。
【0026】
ラッカー層6を備えた2つの部分の間の領域で、回路基板2を例示的に強化するために、キャリア素子14が、リジッド部分7aの回路基板2内に備えられている。このキャリア素子14は、回路基板2に完全に包囲されている。有利には、キャリア素子14は熱伝導性材料で構成されている。例えば、キャリア素子14から回路基板2の表面3、3aに至り、そこでヒートシンク(図示せず)と接続されるビアである接続は、図示されていない。もちろん、キャリア素子14が回路基板2内の他の位置に配置されてもよい。
【0027】
部品5の下の領域を強化するために、部品5に対向する回路基板2の下側3aに、キャリア素子14が配置されている。この場合、キャリア素子14は、熱伝導性接着剤、熱伝導性ペースト、熱伝導性フィルム、又は熱伝導性接続手段(図示せず)を用いて、回路基板2と接続されている。有利には、キャリア素子14がヒートシンクとして機能する、又はヒートシンク(図示せず)がキャリア素子14に配置されている。
【0028】
図2は、本発明による電子モジュールの第2実施形態を示す。回路基板2上に、部品5用のケーシングとして機能するカバー12が配置されている。このカバー12は、ラッカー層6上に、又は直接回路基板2の表面3上に、配設することができる。カバー12は、回路基板2上に、例えば接着される。しかしながらカバー12は、回路基板2上に、クリップ接続(図示せず)又はラッチ接続(図示せず)又はねじ接続(図示せず)を用いて、固定されてもよい。この場合、カバー12は、回路基板2と媒体密には接続されていない。したがってカバー12は、実質的に、部品5を機械的作用に対して保護するよう機能する。しかしながら、適切なシール手段によって、カバー12と回路基板2との間に媒体密なシールを備えることも、もちろん可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 電子モジュール
2 回路基板
3 回路基板の上側(表面)
3a 回路基板の下側(表面)
5 パッケージングされた電子部品
6 ラッカー層
7a リジッド回路基板部分
7b フレキシブル回路基板部分
8 センサ
9 プラグ
10 アクチュエータ
11 部品と回路基板の移行部
12 カバー
13 カバーと回路基板/ラッカー層の移行部
14 キャリア素子
図1
図2