(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】調圧弁
(51)【国際特許分類】
G05D 16/10 20060101AFI20220118BHJP
F16K 17/30 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
G05D16/10 Z
F16K17/30 A
(21)【出願番号】P 2020014305
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2021-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000152996
【氏名又は名称】株式会社日本ピスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】北澤 達也
【審査官】稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-49310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 16/10
F16K 17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部空圧機器に供給する気体の圧力を所定値に調整する調圧弁であって、
筒状の本体ケースと、
前記本体ケースの第1端部に設けられて外部気体供給源に接続される吸気口を有する1次ポートと、
前記本体ケースの第2端部に設けられて前記外部空圧機器に接続される排気口を有する2次ポートと、
前記吸気口と前記排気口との間を連通して流体を通過させる第1流路と、
前記第1流路の途中に設けられて流路を開閉する開閉弁と、
前記本体ケースの内部に設けられて、前記本体ケースの内径よりも外径が小さい筒状のガイド部材と、
前記ガイド部材の内部に設けられて、前記ガイド部材の内径よりも外径が小さい筒状の流路構成部材と、を備え、
前記1次ポートおよび前記2次ポートは、前記吸気口の中心軸と前記排気口の中心軸とが同軸上となるように配設されており、
前記流路構成部材は、径方向中心に前記第1流路を構成する第1空間と、前記第1空間の内部と外部とを連通する第1貫通孔と、前記2次ポート寄りの端部に前記開閉弁の弁座を構成する座面とを有し、
前記開閉弁は、前記1次ポート寄りに相対的に外径の小さい小径部が形成されると共に前記2次ポート寄りに相対的に外径の大きい大径部とが形成され、且つ、前記小径部に第1シールが外嵌されると共に前記大径部に第2シールが外嵌された弁体を有し、
前記弁体は、径方向中心に前記第1流路を構成する第2空間と、前記第2空間の内部と外部とを連通する第2貫通孔とを有し、前記小径部が前記ガイド部材に往復動可能に内嵌されると共に前記大径部が前記本体ケースに往復動可能に内嵌されるように配設されており、前記1次ポート側の受圧面積が、前記第1シールが当接する位置における前記座面の内径で規定され、前記2次ポート側の受圧面積が、前記第2シールが当接する位置における前記本体ケースの内径で規定されており、
前記弁体を、前記吸気口の中心軸および前記排気口の中心軸と平行に、前記1次ポートから前記2次ポートへ向かう方向に付勢する付勢部材をさらに備え、
前記ガイド部材の周壁部内面と前記流路構成部材の周壁部外面との間の第3空間が第2流路として構成されており、
前記第2流路は、前記流路構成部材の前記第1貫通孔および前記弁体の前記第2貫通孔を介して前記第1流路に連通するように構成されていると共に、途中に前記2次ポートから前記1次ポートへ向かう方向の通流のみを許容するチェック弁が設けられていること
を特徴とする調圧弁。
【請求項2】
前記弁体は、前記1次ポート側の受圧面積と、前記2次ポート側の受圧面積との比が、1:10以上となるように構成されていること
を特徴とする請求項1記載の調圧弁。
【請求項3】
前記付勢部材は、前記本体ケースの周壁部内面と前記ガイド部材の周壁部外面との間の第4空間に配設されていること
を特徴とする請求項1または請求項2記載の調圧弁。
【請求項4】
前記外部空圧機器は、前記1次ポート側の減圧により内部圧力が減圧されるアクチュエータ、真空発生器、エアブローであること
を特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の調圧弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調圧弁に関し、さらに詳細には、外部の空圧機器に供給する気体の圧力を所定値に調整する調圧弁に関する。
【背景技術】
【0002】
機械装置や電子機器等の組立を行う自動設備ライン等において、エアシリンダ等に例示される空圧機器を用いた装置が多用されている。これらの空圧機器はそれぞれに作動圧力が設定されているため、供給する気体の圧力を所定値に調整する調圧弁が従来より用いられている。
【0003】
例えば、従来の調圧弁として、特許文献1(特開2004-192462号公報)に記載の構成が知られている。この調圧弁は、操作ダイヤルを操作することによって高圧領域と低圧領域との間で任意の圧力設定が可能なように構成されている。
【0004】
なお、「調圧弁」は、何らかの異常によって供給される気体の圧力が所定値を超えてしまった場合に圧力を解放して機器の保護を行う「安全弁(リリーフ弁)」とは、その目的や構成において相違するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1に例示されるような従来の調圧弁においては、操作ダイヤルの操作によって任意の圧力調整が可能となる反面、調整する工数が必要となり、また、わずかに操作ダイヤルに触れてしまっただけでも意図しない設定圧力の変化が生じてしまうおそれがある。さらに、調整機構を備えることによって、部品点数の増加や構造の複雑化を招いてしまう。
【0007】
また、接続される空圧機器は正確な作動を得るために供給気体の作動圧力が所定値に設定されている。したがって、調圧弁に対しては、供給する気体の圧力をできる限り変動の無い所定値となるように高精度に調整可能であることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、供給する気体の圧力変動を抑えて高精度の調整が可能であると共に、調整工数の削減、および意図しない設定圧力の変化が生じてしまうことの防止が可能な調圧弁を提供することを目的とする。
【0009】
一実施形態として、以下に開示するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0010】
開示の調圧弁は、外部空圧機器に供給する気体の圧力を所定値に調整する調圧弁であって、筒状の本体ケースと、前記本体ケースの第1端部に設けられて外部気体供給源に接続される吸気口を有する1次ポートと、前記本体ケースの第2端部に設けられて前記外部空圧機器に接続される排気口を有する2次ポートと、前記吸気口と前記排気口との間を連通して流体を通過させる第1流路と、前記第1流路の途中に設けられて流路を開閉する開閉弁と前記本体ケースの内部に設けられて、前記本体ケースの内径よりも外径が小さい筒状のガイド部材と、前記ガイド部材の内部に設けられて、前記ガイド部材の内径よりも外径が小さい筒状の流路構成部材と、を備え、前記1次ポートおよび前記2次ポートは、前記吸気口の中心軸と前記排気口の中心軸とが同軸上となるように配設されており、前記流路構成部材は、径方向中心に前記第1流路を構成する第1空間と、前記第1空間の内部と外部とを連通する第1貫通孔と、前記2次ポート寄りの端部に前記開閉弁の弁座を構成する座面とを有し、前記開閉弁は、前記1次ポート寄りに相対的に外径の小さい小径部が形成されると共に前記2次ポート寄りに相対的に外径の大きい大径部とが形成され、且つ、前記小径部に第1シールが外嵌されると共に前記大径部に第2シールが外嵌された弁体を有し、前記弁体は、径方向中心に前記第1流路を構成する第2空間と、前記第2空間の内部と外部とを連通する第2貫通孔とを有し、前記小径部が前記ガイド部材に往復動可能に内嵌されると共に前記大径部が前記本体ケースに往復動可能に内嵌されるように配設されており、前記1次ポート側の受圧面積が、前記第1シールが当接する位置における前記座面の内径で規定され、前記2次ポート側の受圧面積が、前記第2シールが当接する位置における前記本体ケースの内径で規定されており、前記弁体を、前記吸気口の中心軸および前記排気口の中心軸と平行に、前記1次ポートから前記2次ポートへ向かう方向に付勢する付勢部材をさらに備え、前記ガイド部材の周壁部内面と前記流路構成部材の周壁部外面との間の第3空間が第2流路として構成されており、前記第2流路は、前記流路構成部材の前記第1貫通孔および前記弁体の前記第2貫通孔を介して前記第1流路に連通するように構成されていると共に、途中に前記2次ポートから前記1次ポートへ向かう方向の通流のみを許容するチェック弁が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
開示の調圧弁によれば、外部の空圧機器に対して供給する気体の圧力変動を抑えて高精度の調整が可能となる。また、操作ダイヤルを設けない構成が実現されるため、調整工数の削減、および意図しない設定圧力の変化が生じてしまうことの防止が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る調圧弁の例を示す概略図(正面断面図)である。
【
図2】本発明の実施形態に係る調圧弁の例を示す概略図(正面断面図)である。
【
図3】
図1、
図2に示す調圧弁の流路構成部材の拡大図である。
【
図4】
図1、
図2に示す調圧弁の開閉弁の弁体の拡大図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る調圧弁および従来の実施形態に係る調圧弁の圧力特性の測定データである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1、
図2は、いずれも本実施形態に係る調圧弁1の例を示す正面断面図(概略図)であって、
図1は開閉弁30が「開」の状態であり、
図2は開閉弁30が「閉」の状態である。また、
図3は、調圧弁1における流路構成部材50の拡大図であり、
図4は、調圧弁1における開閉弁30の弁体31の拡大図である。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0014】
本実施形態に係る調圧弁1は、機械装置や電子機器等の組立を行う自動設備ライン等において設けられる空圧機器に対して、圧力を所定値に調整した気体(空気)の供給を行うものである。当該空圧機器の具体例としては、エアシリンダ等のアクチュエータ、真空発生器、エアブロー等が挙げられる。いずれも、正確な作動を行うために供給を受ける気体の圧力(作動圧力)が所定値として設定されている。また、これらの空圧機器に共通の特性として、調圧弁1の1次側の減圧によって2次側すなわち当該空圧機器の内部圧力(作動圧力)が減圧される作動が行われる。
【0015】
図1、2に示すように、調圧弁1は、筒状(一例として、全体の概略形状が円筒状)の本体ケース10を備えて、一方の第1端部10aに1次ポート12が設けられ、他方の第2端部10bに2次ポート14が設けられている。一例として、1次ポート12は第1端部10aに第1管継手16が嵌設されて構成されており、当該第1管継手16の開口部は、エアコンプレッサ等の外部気体供給源(不図示)に対して直接もしくは配管を介して接続される吸気口16aとして構成されている(ただし、逆方向の気体通流時には排気口となる)。また、2次ポート14は第2端部10bに第2管継手18が嵌設されて構成されており、当該第2管継手18の開口部は、前述の外部空圧機器に対して直接もしくは配管を介して接続される排気口18aとして構成されている(ただし、逆方向の気体通流時には吸気口となる)。なお、製造工程において開閉弁30の弁体31(後述)を本体ケース10内に組み込む都合により、第2管継手18は、本体ケース10の第2端部10bに嵌設されるキャップ部材22に固定される構成となっている。また、第1管継手16および第2管継手18には公知の管継手が用いられており、その詳細構成については説明を省略する。
【0016】
この本体ケース10の内部には、吸気口16aと排気口18aとの間を連通して流体を通過させる第1流路20が設けられている。また、第1流路20の流路途中には弁体31が中心軸Cと平行方向に往復動して当該流路を開閉する開閉弁30が設けられている(詳細は後述する)。
【0017】
本実施形態に特徴的な構成として、1次ポート12および2次ポート14は、吸気口16aの中心軸と排気口18aの中心軸とが同軸上(ここでは、C軸上)となるように構成されている。これによれば、略筒状の本体ケース10の構成と相まって、調圧弁1をスリムでコンパクトな形状として実現することが可能となる。特に、径方向については本体ケース10の外径寸法内に全体を収めることができるため、従来装置と比べて狭い場所への設置が可能となる。
【0018】
上記構成を実現するために、調圧弁1は以下のような内部構成を有している。先ず、本体ケース10の内部に設けられて、本体ケース10の内径よりも外径が小さい所定部位を有し且つ本体ケース10の中心軸Cと同軸の中心軸を有する筒状(一例として、概略形状が円筒状)のガイド部材40を有している。本実施形態においては、ガイド部材40の1次ポート12側の端部が本体ケース10の内部と連続する一体の構成として設けられている。ただし、この構成に限定されるものではなく、ガイド部材40を本体ケース10とは別体の構成として設けてもよい。なお、本体ケース10、ガイド部材40を構成する材料は、金属材料もしくは樹脂材料から適宜、選定すればよい。
【0019】
また、ガイド部材40の内部に設けられて、ガイド部材40の内径よりも外径が小さい所定部位を有し且つ本体ケース10の中心軸Cと同軸の中心軸を有する筒状(一例として、概略形状が異径円筒状)の流路構成部材50を有している。ここで、径方向中心には第1流路20(20A)を構成する第1空間52が設けられており、さらに、後述のチェック弁60よりも1次ポート12寄りの位置には第1空間52の内部と外部とを連通する第1貫通孔54が設けられている。なお、本実施形態において、流路構成部材50はガイド部材40とは別体の構成として設けられている。また、流路構成部材50を構成する材料は、金属材料もしくは樹脂材料から適宜、選定すればよい。
【0020】
次に、本実施形態に係る開閉弁30について説明する。開閉弁30の弁体31は、1次ポート12寄りに相対的に外径の小さい小径部31aが形成されると共に、2次ポート14寄りに相対的に外径の大きい大径部31bとが形成されている。ここで、小径部31a(一例として、小径部31aの先端においてさらに小径に形成された先端小径部31c)に開閉弁30の弁座36(後述)と当接する第1シール34が外嵌されると共に、大径部31bに本体ケース10の周壁部11(内面11a)と当接(摺接)する第2シール35が外嵌されて構成されている。また、径方向中心には第1流路20(20B)を構成する第2空間32が設けられており、さらに、小径部31aの先端近傍位置には第2空間32の内部と外部とを連通する第2貫通孔33が設けられている。なお、弁体31を構成する材料は、金属材料もしくは樹脂材料から適宜、選定すればよい。
【0021】
上記の構成を備える弁体31は、小径部31aがガイド部材40の筒内に往復動可能に内嵌されると共に、大径部31bが本体ケース10の筒内に往復動可能に内嵌されるように配設されている。
【0022】
一方、開閉弁30の弁体31が接離する弁座36は流路構成部材50に設けられている。具体的には、流路構成部材50の2次ポート14寄りの端部50aに弁座36の座面36aが形成されている。この座面36aは、周壁部56の内面56aから端面58に向かって拡径する傾斜面として(面取り状に)形成されている。本実施形態においては、弁体31の小径部31aの1次ポート12寄りの端部に設けられた第1シール34と、流路構成部材50に設けられた座面36aとが接離することによって、第1流路20の開閉(すなわち第1流路20Aと第1流路20Bとの連通・非連通の切替)が行われる。
【0023】
さらに、本実施形態に係る調圧弁1は、開閉弁30の弁体31を、吸気口16aの中心軸および排気口18aの中心軸と平行に(すなわち、本体ケース10の中心軸Cと平行に)、1次ポート12から2次ポート14へ向かう方向に付勢する付勢部材62をさらに備えている。この付勢部材62は、本体ケース10の周壁部11の内面11aとガイド部材40の周壁部42の外面42bとの間の第4空間44内にその一部もしくは全部が収容されるように配設されている。ここで、本体ケース10の周壁部11の所定位置(第2シール35よりも1次ポート12寄りの位置)には内面11aと外面11bとを連通する第3貫通孔19が設けられている。この第3貫通孔19は、付勢部材62が収容される空間が密閉化されることよって弁体31が不動となることを防止するために設けられている。なお、一例として、付勢部材62には金属材料からなるコイルバネが用いられるが、これに限定されるものではない。
【0024】
これによれば、開閉弁30をいわゆるノーマルオープンの状態に設定することができる(
図1に示す状態)。そのうえで、付勢部材62(ここでは、コイルバネ)のバネレートの設定により、2次ポート14の排気口18aから送出される気体の圧力すなわち外部空圧機器の作動圧力を所定値に設定することができる。
【0025】
このように、本実施形態に係る調圧弁1においては、操作ダイヤルを設ける圧力調整機構を備えずに、製造時にあらかじめ組み込まれる付勢部材62(コイルバネ)の選定によって、2次ポート14側の圧力設定を行う機構となっている。したがって、特許文献1に例示されるような従来の調圧弁において、わずかに操作ダイヤルに触れてしまっただけでも意図しない設定圧力の変化が生じてしまうといった課題の解決が可能となる。さらに、調整工数の削減、部品点数の削減、および構造の簡素化も可能となる。
【0026】
ここで、圧力調整を行う調圧弁1の開閉弁30においては、1次ポート12側の受圧面積が、第1シール34が当接する位置における座面36aの内径で規定され、且つ、2次ポート14側の受圧面積が、第2シール35が当接する位置における本体ケース10の内径で規定される。
【0027】
上記構成について、本願発明者が鋭意研究を行った結果、弁体31における上記1次ポート12側の受圧面積と、上記2次ポート14側の受圧面積との比が、1:25以上(さらに好適には1:28以上)となるように構成することによって、1次ポート12側に流入する気体の圧力変動があった場合に、2次ポート14側から送出する気体の圧力変動を抑制することが可能となり、高精度の圧力調整が可能となることを究明した。ここで、従来の調圧弁に対する圧力特性の比較実験における測定データを
図5に示す(一例として、1:28の場合)。横軸は1次ポート12側に流入する気体の圧力であり、縦軸は2次ポート14側から送出する気体の圧力である。本実施形態に係る調圧弁1のデータを実線で示し、従来の調圧弁(出願人の従来製品RVU6-6型)のデータを破線で示す。同図に示すように、従来の調圧弁と比較して、1次ポート12側に流入する気体の圧力変動に対して、2次ポート14側から送出する気体の圧力変動をきわめて安定的に抑制できている結果が得られた。なお、上記の特性よりは若干劣るものの、接続される空圧機器の要求仕様によっては、当該受圧面積比を1:20以上となるように上記より比率を下げて構成しても圧力変動抑制効果が十分に得られ、且つ、さらなる小型化を図ることもできる。一方、圧力変動抑制効果よりも小型化(特に径方向の小型化)の実現を優先しようとする場合には、当該受圧面積比を1:10以上となるようにさらに上記より比率を下げて構成することによって、小型化の効果を顕著に得ることもできる。
【0028】
このように、2次ポート14側に接続される空圧機器は正確な作動を得るために供給気体の作動圧力が所定値に設定されているところ、本実施形態に係る調圧弁1によれば、2次ポート14から供給する気体の圧力をできる限り変動の無い所定値となるように高精度に調整可能であるため、接続される空圧機器の正確かつ安定的な動作が可能となる。
【0029】
一方、本実施形態に係る調圧弁1が気体を供給する空圧機器は、1次ポート12側における気体の圧力の減圧によって2次ポート14側における気体の圧力すなわち空圧機器の内部圧力(作動圧力)が減圧される作動が行われる特性を有するものである。当該作動を実現するための構成として、本実施形態においては、ガイド部材40の周壁部42の内面42aと流路構成部材50の周壁部56の外面56bとの間の第3空間46に第2流路48を備えている。より詳しくは、当該第2流路48は、開閉弁30が閉じた状態(すなわち、2次ポート14側における気体の圧力が所定値に達する等によって、1次ポート12側における気体の圧力が2次ポート14側における気体の圧力以下となった状態)のときに、流路構成部材50の第1貫通孔54および弁体31の第2貫通孔33を介して第1流路20に連通して流路となるように構成されていると共に、当該第2流路48の流路途中に2次ポート14から1次ポート12へ向かう方向の通流のみを許容するチェック弁60が設けられている。
【0030】
このような構成により、エアシリンダ等のアクチュエータ、真空発生器、エアブローといった空圧機器に供給する気体の圧力を所定値に調整する用途として、調圧弁1を用いることが可能となる。
【0031】
続いて、
図1、
図2を参照して、上記構成を備える調圧弁1の動作について説明する。
【0032】
先ず、使用開始時において、開閉弁30は
図1に示すように「開」の状態となっている。次に、1次ポート12の第1管継手16の吸気口16aに外部気体供給源(不図示)から気体(一例として圧縮空気)が送入され、当該気体は矢印Aで示すように流路構成部材50内の第1流路20A、弁体31内の第1流路20Bを通流して、2次ポート14の第2管継手18の排気口18aから外部空圧機器(不図示)へ供給される。
【0033】
さらに、排気口18aから外部空圧機器への気体供給が継続して行われて、当該外部空圧機器の内部圧力(作動圧力)が、付勢部材62によってあらかじめ設定された所定値まで上昇する。これにより、外部空圧機器が所定の内部圧力(作動圧力)で作動する工程が行われる。
【0034】
このとき、2次ポート14側における気体の圧力が所定値に達した状態となって、開閉弁30は
図2に示すように「閉」の状態へ移行する。この状態において、調圧弁1内での気体通流は生じていない。
【0035】
次に、1次ポート12側における気体の圧力が減圧される。これによって、外部空圧機器から2次ポート14の第2管継手18の排気口18aに気体が送入され、当該気体は矢印Bで示すように弁体31内の第1流路20Bを通流し、次いで第2貫通孔33から第2流路48へと通流し、次いで第1貫通孔54から流路構成部材50内の第1流路20Aへと通流して、1次ポート12の第1管継手16の吸気口16aから送出される。これにより、外部空圧機器の内部圧力(作動圧力)が減圧されて、次の作動に備える準備工程が行われる。
【0036】
以上説明した通り、開示の調圧弁によれば、外部の空圧機器に対して供給する気体の圧力変動を抑えて高精度の調整が可能となる。また、操作ダイヤルを設けない構成が実現されるため、調整工数の削減、および意図しない設定圧力の変化が生じてしまうことの防止が可能となる。
【0037】
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。特に、例示した空圧機器以外の機器への気体供給にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 調圧弁
10 本体ケース
12 1次ポート
14 2次ポート
16 第1管継手
16a 吸気口
18 第2管継手
18a 排気口
19 第3貫通孔
20 第1流路
30 開閉弁
31 弁体
31a 小径部
31b 大径部
32 第2空間
33 第2貫通孔
34 第1シール
35 第2シール
36 弁座
36a 座面
40 ガイド部材
44 第4空間
46 第3空間
48 第2流路
50 流路構成部材
52 第1空間
54 第1貫通孔
60 チェック弁
62 付勢部材
C 中心軸