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特許7009578角度付き回転外科手術用器具のための内側管状部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】角度付き回転外科手術用器具のための内側管状部材
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/3205 20060101AFI20220118BHJP
   A61B 17/3209 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
A61B17/3205
A61B17/3209
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020147307
(22)【出願日】2020-09-02
(62)【分割の表示】P 2017558394の分割
【原出願日】2016-04-28
(65)【公開番号】P2020203108
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2020-10-02
(31)【優先権主張番号】14/725,824
(32)【優先日】2015-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504101304
【氏名又は名称】メドトロニック・ゾーメド・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】グエン,トアイ
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0071303(US,A1)
【文献】特表2012-527916(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0090848(US,A1)
【文献】米国特許第04646738(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/3205
A61B 17/3209
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転外科用切除器具の角度付き外側管状部材内で回転可能な内側部材であって、
剛性の遠位部と剛性の近位部との間で軸方向に配置された柔軟性のある中間部を含む第1の管状部材であって、前記遠位部及び近位部は、第1の素材から構成され、前記中間部は、前記第1の素材とは異なる第2の素材から構成される、第1の管状部材と、
前記第1の管状部材の周囲に同軸に配置され、剛性の遠位部分と剛性の近位部分との間に配置された柔軟性のある中央部分を有する第2の管状部材であって、前記中間部の周囲に配置された前記中央部分が、前記外側管状部材に対して回転する際に前記第1の管状部材が曲がることを可能にするように柔軟性がある、第2の管状部材と、
を備え、
前記第1の管状部材の前記中間部の長さは、前記第2の管状部材の前記中央部分の長さよりも大きい、
内側部材。
【請求項2】
前記第2の管状部材の前記遠位部分、中央部分、及び、近位部分は、同じ素材から構成される、請求項1に記載の内側部材。
【請求項3】
前記第2の管状部材は、前記第1の管状部材の前記近位部及び前記遠位部に固定式に取り付けられる、請求項1に記載の内側部材。
【請求項4】
前記第1の管状部材の前記遠位部は、切除先端部に結合されるように構成される、請求項1に記載の内側部材。
【請求項5】
前記第1の管状部材は、前記遠位部、前記中間部、及び、前記近位部に沿って実質的に一致した外径を含む、請求項1に記載の内側部材。
【請求項6】
前記第2の管状部材は、前記中央部分に沿って第1の方向にらせん状にカットされる、請求項1に記載の内側部材。
【請求項7】
前記第2の管状部材の周囲に同軸に配置された第3の管状部材を更に含み、
前記第3の管状部材は、柔軟性のある中央部分を含み、
前記第3の管状部材の前記柔軟性のある中央部分は、前記第2の管状部材の前記中央部分の上に配置される、請求項1に記載の内側部材。
【請求項8】
前記外側管状部材は、切除窓を含み、
前記内側部材は、前記切除窓に配置された切除先端部を含み、
前記回転外科用切除器具は、前記内側部材を前記外側管状部材内で回転させるために、及び、前記切除先端部を前記切除窓内で選択的に露出させるために、前記内側部材に結合されたハンドピースを含む、請求項1に記載の内側部材。
【請求項9】
前記ハンドピースは、前記内側部材を振動させる、請求項に記載の内側部材。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
角度付き回転組織切除器具は、患者の体内における手術部位で解剖学的組織を切除するための様々な外科的処置での使用に広く認められてきた。角度付き回転組織切除器具は、一般的に細長い角度付き外側部材と、角度付き外側部材内に回転可能に配置された細長い柔軟性のある内側部材を備える。内側部材が外側部材内で回転する時、内側部材の遠位端部にある切除エレメントは、手術部位で解剖学的組織を切除するために、外側部材の遠位端部にある開口部から露出する。通常、内側部材は外側及び内側部材の近位端に連結された動力付き外科用ハンドピースを介して外側部材内で回転し、ハンドピースは患者の身体の外部に保持されたままである。器具が患者の体内に導入される際に、特に器具が細いかまたは小さいサイズの、自然なまたは人工的に作られた進入開口部を通じて患者の体内に導入される際に、手術部位で切除エレメントの配置を容易にする角度付き構成を提供するよう、外側部材はその長さに沿って1°以上の角度を付けられたか、湾曲されたかまたは曲げられた領域を有する。外側部材の角度付き構成に従いつつ切除エレメントを回転させるための力を伝えるために、内側部材は、外側部材の1°以上に角度を付けられたか、湾曲されたかまたは曲げられた領域内に収容するための1つ以上の柔軟性のある領域と共に提供される。外側部材の角度付き構成は、手術部位への進入開口部における切除エレメントの配置を容易にする際に特に利点がある。こういったケースでは、外側部材が縦方向に真っ直ぐな回転組織切除器具よりも、角度付き回転組織切除器具の方が、手術部位へより容易に、かつ迅速にアクセスし、さらに患者への外傷をより低減するのに適している。
【0002】
回転組織切除器具を用いて行われる多くの外科的処置では、内側部材の内腔は、内側部材を通じて解剖学的組織及び/または流体を吸引するために手術部位に吸引力を伝えるのに用いられる。さらに、外側部材の内径と内側部材の外径間の環状隙間または間隔は、手術部位に洗浄流体を供給するための洗浄経路として通常用いられる。湾曲したかまたは曲げられたシャフトを備えた回転組織切除器具がしばらくの間用いられてきた一方で、これらのシャフトは通常、力を伝えながら柔軟性を与えるために単一のらせん状に巻回した帯状材を採用する。残念ながら、らせん状に巻回したシャフト及び連結器は、巻き方向と逆に回転する時に巻き戻されやすいので、力が一方向に効率よく伝わるのみであり得る。内側部材が回転中に外側部材の角度付き構成に回転可能なように適合する際に、隙間を形成する柔軟性のある領域に沿う、らせん状カットまたはコイルを含む内側部材のせいで洗浄不足が起こり得る。洗浄不足は、多くの利用において致命的であり得る。例えば、神経的腫瘍切除装置においては、洗浄不足が装置の詰まりを引き起こし故障の原因となり得るような、微小電気機械(MEM)コンポーネントがしばしば利用されている。耳-鼻-喉(ENT)微小デブリーダのような他の装置では、装置は、切除先端部において十分な生理食塩水が行き届かないことによる洗浄不足での効果低減が起こり得る。
【0003】
角度付き回転組織切除器具は、極めて有用でありつつける。特に角度付き回転組織切除器具が高回転速度で動作するよう設計され、硬いかまたは粘性の高い解剖学的組織を切除する時に加えられた力に耐える必要があることを考慮すると、柔軟性のある領域を介して力を伝える時に十分な強度及び剛性を維持でき、かつ洗浄不足を防ぐ、細長い管状アセンブリが求められる。
【発明の概要】
【0004】
本開示の1つの態様は、回転外科用切除器具の角度付き外側管状部材内で回転可能な内側部材に関する。内側部材は、第1管状部材を含む。第1管状部材は、第1素材から構成される剛性の近位部を含む。近位部は、ハブを含む。柔軟性のある中間部は、第2素材から構成される。剛性の遠位部は、第1素材から構成される。遠位部は、切除先端部と連結
するよう構成された遠位端部で終結する。柔軟性のある中間部は、近位部と遠位部の間に延び、近位部と遠位部に固着される。
【0005】
本開示の他の態様は、回転外科用切除器具の角度付き外側管状部材内で回転可能な内側部材に関し、内側部材は第1管状部材を含む。第1管状部材は、近位部、遠位部及び近位部と遠位部の間に延びる中間部を有する。近位部及び遠位部は、剛性素材で構成される。中間部は、柔軟性のある熱可塑性素材から構成される。
【0006】
本開示の他の態様は、剛性の外側管状部材、内側管状部材、及びハンドピースを含む角度付き回転組織切除器具に関する。剛性の外側管状部材は、遠位端部、対向する近位端部、及び遠位端部と近位端部間の角度付き領域に形成された切除窓を有する。内側管状部材は、外側管状部材内で同軸上に配置される。内側管状部材は、第1管状部材を含む。第1管状部材は、近位部、切除端部で終結する遠位部、及び近位部と遠位部の間に延びる中間部を有する。中間部は柔軟性のある素材から構成され、近位端部及び遠位端部は剛性素材から構成される。切除窓で切除先端部が選択的に露出するように、ハンドピースは外側部材内で内側部材を回転させるよう構成される。内側管状部材の柔軟性のある領域は、外側管状部材内に回転する間、角度付き領域に適合する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の原理に従う、角度付き回転外科用切除器具の斜視図である。
図2】本開示の原理に従う、図1の外科用切除器具の内側部材の斜視図である。
図3】本開示の原理に従う、図2の内側部材アセンブリの曲げられていない構成での展開図である。
図4】本開示の原理に従う、図1の外科用切除器具のブレードアセンブリの領域Aにおける拡大部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示10の原理に従う外科用切除器具の1つの実施形態を、図1で説明する。外科用切除器具10は、切除ブレードアセンブリ12及びハンドピース14を含む(図1に概して参照される)。一般的には、切除ブレードアセンブリ12は、ハンドピース14に連結した近位端部及びカッター16で終結する遠位端部を有する。切除ブレードアセンブリ12は、細長い外側部材18及び近位端部と遠位端部の間に延びる細長い内側部材20を含む。内側部材20は、外側部材18内で同軸上に配置される。任意的に、切除ブレードアセンブリ12は、外側部材18と内側部材20の間で同軸上に配置された中間管状部材(図示せず)を含み得る。
【0009】
内側部材20は、外側部材18内で同軸上に配置され、それにより切除先端部がカッター16の切除窓で露出するようになる。切除窓及び切除先端部(図示せず)は、カッター16を形成するよう組み合わされ、所望の処置を実行するのに適したあらゆる切除窓及び切除先端部であり得る。ハブアセンブリ22は、外側部材18及び内側部材20をそれぞれハンドピース14に連結し、それにより管状部材18、20が互いに対して、かつハンドピース14に対して回転可能となる。切除ブレードアセンブリ12は、その長さに沿って、1つ以上の、湾曲したか、角度を付けられたか、または曲げられた領域を有し得る。湾曲したか、角度を付けられたかまたは曲げられたという用語は、本明細書においては区別なく同じ意味で用いられ得る。湾曲または曲げの位置及び角度は、望ましい外科的処置を適切に順応するようあらかじめ定められる。より詳細には、外側部材18は、近位端部と遠位端部の間に適切な角度(複数可)を厳密に画定する。
【0010】
図1をさらに参照すると、外側部材18は、遠位端部、近位端部、及び近位端部と遠位端部の間に延びる中央内腔を画定する細長い管状体である。中央内腔は概して均一な直径
を画定し、かつ概して均一に滑らかである。内側部材20は、外側部材18の中央内腔内に保持され、それにより内側部材20の外側表面と外側部材18の内側表面が、組み立てられた時にカッター16への洗浄経路を画定する。外側部材18の中央内腔は、その内部に内側部材20を同軸上に収容し、かつ内側部材20と外側部材18の両壁間に洗浄経路を保持するような寸法になっている。
【0011】
一般的に、ハンドピース14は、内側部材20の回転動作を駆動するためのモータ(図示せず)を収容する筐体を含む。内部洗浄経路及び吸引経路(それぞれ図示せず)をそれぞれハンドピース14に組み付けられた流体経路と流体的に連結するために、ハンドピース14は内側部材20と外側部材18の近位端部を受ける。いずれにしても、ハンドピース14内に形成された洗浄経路は、外側部材18を通じて切除窓へと延びる。同様に、ハンドピース14内に形成された吸引経路は、内側部材20を通じて切除先端部へと流体的に延び、かつ吸引経路へと、さらには内側部材20へと負圧、または真空を付与するための負圧源と流体連通する。
【0012】
外科用器具10における前述の一般構成を考慮して、切除ブレードアセンブリ12の内側部材20の態様が、図2により詳細に示される。内側部材20は、開口近位端部と遠位端部に内腔を画定する。内側部材20は、第1管状部材24及び第1管状部材24の周囲で同軸上に配置された第2管状部材26を含む。いくつかの実施形態では、以下により詳細に論じられるように、内側部材20は、第1管状部材24と第2管状部材26の周囲で同軸上に配置された第3管状部材28を含む。
【0013】
内側部材20の態様は、図3の展開図に説明される。第1管状部材24は、近位部30、遠位部32、及び近位部30と遠位部32の間に延びる中間部34を有する。近位部30及び遠位部32は、例えばステンレス鋼といったような剛性素材で形成される。中間部34は、例えばPebax(登録商標)といったような柔軟性のある熱可塑性素材で形成される。中間部34は、押圧変形への耐性がある。中間部34の内面及び外面は、概して滑らかであり、かつ溝、カット等によって乱されない。第1管状部材24は、内側部材20と外側部材18間の洗浄不足を防ぐために、管状表面に沿って流体バリアを維持する。
【0014】
図4の部分的展開断面図をさらに参照すると、中間部34の対向する第1端部36a及び第2端部36bは、近位部30及び遠位部32にそれぞれ連結される。近位部30及び遠位部32は、例えばLoctite(登録商標)といったような接着材を用いた誘導結合によって、または他の結合方法によって中間部34へと固着される。近位部30及び遠位部32は、中間部34と連結するための結合端部38、40を含み得る。結合端部38、40は、近位部30及び遠位部32の本体42、44の外径より小さいかまたはそれらからそれぞれはめ込まれるような外径を持ち得る。結合端部38、40の外径は中間部34の内径に正確に一致し、それにより結合端部38、40は中間部34内にスライド可能に嵌め合う。結合端部38、40は、中間部34と連結し、かつ結合するための表面を提供する。近位部30は、近位端部に外科用器具のハンドピース(図示せず)との接続のためのハブ46を含む。遠位部32の遠位端部48は、所望の処置を実行するのに適した性質の切除先端部(図示せず)と接続するのに適している。中間部34の外径は、本体42、44に沿う近位部30及び遠位部32の外径と実質的に等しい。本体42、44の外径は、実質的に等しい。組み立てられた時、第1管状部材24の外径は、近位部30、遠位部32、及び中間部34に沿って実質的に一定であり、ハブ46のみがより大きい外径を持つ。
【0015】
図3では直線状で示されるが、中間部34は柔軟性があり、かつ内側部材20が外側部材18内で同軸上に配置される時、外側部材18の、湾曲したかまたは角度の付いた領域(複数可)に適合するよう構成される。内側部材20が外側部材18内で同軸上に配置さ
れるので、内側部材20の中間部34は、外側部材18の曲げられたかまたは湾曲した部分に沿って配置される。中間部34は、あらゆる所望の角度で曲がり得る。例えば、中間部34は、20°、45°、90°、120°、または120°以上で曲がり得る。所望の適用及び処置のために提供するのに適切な他の角度も同様に適している。中間部34は、湾曲した外側部材18内で回転する時にねじれたり破損したりすることから防ぐのに十分な厚みを有する。
【0016】
図2から図4をさらに参照すると、第2管状部材26は、対向する近位部分50と遠位部分52、及び近位部分50と遠位部分52の間に延びる中央部分54を含む。図3では直線状で説明されるが、中央部分54は、中央部分54に沿って縦方向の柔軟性を提供するためにらせん状のカットパターンを含む。らせん状カットは、第2管状部材26の厚みを通して外側表面と内側表面の間に延びる。らせん状カットは、第2管状部材26の中央縦軸との角度を画定する。らせん状カットは、第2管状部材26の長さに沿って柔軟性のある領域を画定する。中央部分54は、内側部材20が曲げられたかまたは角度の付いた外側部材18の形状内で回転し、かつそこへ適合する際の、内側部材20の柔軟性のある領域に沿って柔軟性及び力の伝達を提供する。
【0017】
第1管状部材24と共に組み立てられる時、中央部分54は、第1管状部材24の柔軟性のある中間部34の周囲で同軸上に配置される。1つの実施形態では、中央部分54の長さLは、中間部34の長さLよりもわずかに短い。同軸上に配置される時、柔軟性のあるらせん状カットされた中央部分54は、第1端部36aと第2端部36b間の柔軟性のある中間部54に沿って終結する。近位部分50は、近位部30の周囲で同軸上に配置され、かつそこに固定され、遠位部分52は、遠位部32の周囲で同軸上に配置され、かつそこに固定される。第2管状部材26は、例えばステンレス鋼といったような剛性素材で形成され得る。近位部分50と遠位部分52の終結端部は、レーザー溶接または他の適切な結合方法によって近位部30と遠位部32にそれぞれ固着され得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、第3管状部材28が含まれ、かつ第1管状部材24と第2管状部材26の上で同軸上に配置される。第3管状部材28は第2管状部材26と類似しており、対向する近位部分60と遠位部分62、及び近位部分60と遠位部分62の間に延びる中央部分64を含む。1つの実施形態では、中央部分64は、中央部分64に沿って縦方向の柔軟性を提供するためにらせん状のカットパターンを含む。らせん状カットは、第3管状部材28の厚みを通して外側表面と内側表面の間に延びる。らせん状カットは、第3管状部材28の中央縦軸との角度を画定し、第2管状部材26の中央部分54におけるらせん状カットの角度から概して反対方向である。例えば、左のハンドレーザーカットが第2管状部材26に施される時、右のハンドレーザーカットが第3管状部材28に施される。らせん状カットは、第3管状部材28の長さに沿って柔軟性のある領域を画定する。第1管状部材24及び第2管状部材26と共に組み立てられる時、中央部分64は、柔軟性のある中間部34と中央部分54に沿って同軸上に配置される。中央部分54は、内側部材20が曲げられたかまたは角度の付いた外側部材18の形状内で回転し、かつそこへ適合する際の、第1管状部材24の柔軟性のある領域に沿って柔軟性及び力の伝達を提供する。
【0019】
1つの実施形態では、中央部分64は、中央部分54の長さLよりも短く、かつ中間部の長さLよりも短い長さLを有する。いずれにしても、第2管状部材26の全長は、第3管状部材28の全長よりも長く、それによって同軸上に配置された時に、近位部分60が近位部分50に固定され、かつ遠位部分62が遠位部分52へと固定される。1つの実施形態では、第3管状部材28は、例えばステンレス鋼といったような剛性素材で形成される。近位部分60と遠位部分62の終結端部は、レーザー溶接または他の適切な結合方法によって近位部分50と遠位部分52にそれぞれ固着され得る。
【0020】
他の実施形態では、第3管状部材28は、柔軟性のあるプラスチック素材で形成される。例えば、第3管状部材28は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはフッ化エチレンプロピレン(FEP)といったような熱可塑性素材で形成され得る。この実施形態における第3管状部材28の内面及び外面は、概して滑らかであり、かつ溝、カット等によって乱されない。この実施形態では、第3管状部材28は、内側管状部材20が外側管状部材18内で回転する際の内側管状部材20と外側管状部材18間の摩擦係数を低減する。組み立てられた時、第3管状部材28は、中央部分54の長さに沿って完全に延び、かつ第2管状部材26の対向する近位部分50と遠位部分52で終結する。第3管状部材28は、誘導結合または他の適切な方法で第2管状部材26へと固着される。
【0021】
第3管状部材28のない内側部材20は、単一方向へ回転する外科用器具に適している。第3管状部材28は、例えば振動外科用器具に含まれることが望まれ得る。らせん状カットされた中央部分64を有する第3管状部材28を含む実施形態では、第2管状部材26及び第3管状部材28における対向する方向でのらせん状カットを含むことによって、第2管状部材26のらせん状カットの反対方向に回転する時に振動中における中央部分54の望ましくない巻き戻しを防ぐ。熱可塑性物質で形成された第3管状部材28を含む実施形態では、第2管状部材26のらせん状カットの反対方向に回転する時、振動する際の中央部分54の望ましくない巻き戻しを同様に防ぐ。
【0022】
本開示が好適な実施形態を参照して記述されてきたが、方式及び詳細においては変更が本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく行われ得ることが当業者は認識するであろう。
図1
図2
図3
図4