IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オムニセル, インコーポレイテッドの特許一覧

特許7009584単位用量ディスペンスシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】単位用量ディスペンスシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20220203BHJP
   B65G 17/16 20060101ALI20220203BHJP
   B65G 1/133 20060101ALI20220203BHJP
   B65G 1/137 20060101ALN20220203BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
B65G17/16 Z
B65G1/133 J
B65G1/137 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020155034
(22)【出願日】2020-09-16
(62)【分割の表示】P 2017540595の分割
【原出願日】2016-02-23
(65)【公開番号】P2021003570
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2020-09-16
(31)【優先権主張番号】14/634,063
(32)【優先日】2015-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505411125
【氏名又は名称】オムニセル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン、エディス
(72)【発明者】
【氏名】モレノ、ジェラード
(72)【発明者】
【氏名】トレホ、ギレルモ
(72)【発明者】
【氏名】メータ、ビクラム
(72)【発明者】
【氏名】ベルケン、ロイド
【審査官】菊地 牧子
(56)【参考文献】
【文献】特許第3362225(JP,B2)
【文献】特開平05-229660(JP,A)
【文献】特開2007-007101(JP,A)
【文献】特表2012-500672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
B65G 17/16
B65G 1/133
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスペンス機構において、
1組のT字状の鉛直溝であって、複数のバイアルの円筒状頂部を受け入れるとともに鉛直方向に積み重ねて前記バイアルを保持する形状およびサイズを有する、1組のT字状の鉛直溝と、
キャビネットから電気信号を受信するためのコネクタであって、前記ディスペンス機構は前記キャビネット内に設置されている、コネクタと、
前記電気信号に応答して動くアクチュエータと、
前記アクチュエータによって駆動される複数のスロット付きギヤであって、前記スロット付きギヤの各々は、前記T字状の鉛直溝のそれぞれ1つの下に位置決めされるとともに、バイアルの前記円筒状頂部を受け入れる形状およびサイズを有するT字状ブラインドスロットを形成する、複数のスロット付きギヤと、
前記ディスペンス機構の底部に開口部を形成するハウジングと、を備え、
前記スロット付きギヤが駆動されるとき、前記ギヤのそれぞれのT字状ブラインドスロットは前記T字状の鉛直溝に順次整合し、その結果、整合時に、前記円筒状頂部のうちの1つは、それぞれの前記バイアルを捕捉するそれぞれの前記T字状ブラインドスロット内に落下し、バイアルを保持する前記T字状ブラインドスロットのうちの1つが鉛直下向き配向に近づくとき、1つのバイアルは、下向きに配向された前記T字状ブラインドスロットから前記開口部を通って落下する、ディスペンス機構。
【請求項2】
前記アクチュエータは、モータ、ソレノイド、または形状記憶金属を含む、請求項1に記載のディスペンス機構。
【請求項3】
スロット付きギヤを3つ以上備え、前記スロット付きギヤのうちの1つは残りのスロット付きギヤを駆動し、前記スロット付きギヤは、前記スロット付きギヤのT字状ブラインドスロットが駆動する前記ギヤに対して等角度間隔で前記鉛直下向きに達するように噛み合わされている、請求項1に記載のディスペンス機構。
【請求項4】
前記開口部を横切る方向に向けられた光発光器と、
前記開口部の奥壁から反射される前記光発光器からの光を検出する1つまたは複数の受光器と、を更に備え、前記光発光器および前記1つまたは複数の受光器は、前記1つまたは複数の受光器のうちの1つ以上によって検出される前記光が前記開口部を通して供給されるバイアルの通過によって遮断されるように位置決めされる、請求項1に記載のディスペンス機構。
【請求項5】
前記T字状の鉛直溝はカセットに備えられ、前記コネクタ、前記アクチュエータ、および前記スロット付きギヤはディスペンサに備えられ、
前記カセットおよび前記ディスペンサは分離可能であり、
前記カセットは能動電気構成要素を備えていない、請求項1に記載のディスペンス機構。
【請求項6】
前記カセットは無線読出可能なメモリを備え、
前記ディスペンサは、前記無線読出可能なメモリを読み出すためのリーダを備える、請求項5に記載のディスペンス機構。
【請求項7】
前記カセットはラッチを備え、前記ラッチは、前記カセットが前記ディスペンサから分離されるときに前記カセット内にバイアルを保持するとともに、前記カセットが前記ディスペンサに対し組み付けられるときに前記バイアルが前記スロット付きギヤの前記T字状ブラインドスロットに到達することを可能とする前記ラッチを更に備える、請求項5に記載のディスペンス機構。
【請求項8】
前記カセット最大容量であるときに前記カセット内に収納された各バイアルのためのカセットの体積は、30立方センチメートル未満である、請求項5に記載のディスペンス機構。
【請求項9】
前記スロット付きギヤの運動を直接測定する光学センサを更に備える、請求項1に記載のディスペンス機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、単位用量ディスペンスシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの産業は、正確な在庫管理および安全な製品の供給に依存している。例えば、病院環境では、患者に正しい薬剤を正しい用量で投与することが最も重要である。加えて、規制物質が厳重に保管され正確に追跡されることが法的に義務付けられており、また、適切な業務管理を実行できるように薬剤および用品の在庫が追跡されることも重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
薬剤および他の製品の管理を補助するために、種々のディスペンスキャビネットおよびディスペンスカートが開発されている。しかしながら、依然として、製品の供給と追跡との信頼性における改善が望まれており、また、製品の収納および供給に必要とされる空間量を低減することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様によれば、ディスペンス機構は、キャビネットから電気信号を受信するためのコネクタであって、ディスペンス機構がキャビネット内に設置されている、コネクタと、電気信号に応答して動作するアクチュエータと、アクチュエータによって駆動されるベルトと、複数の離間したパドルであって、供給される製品をそのパドル間に受け入れるための複数の離間したパドルとを備える。そのパドルは、チャンバ内を循環するようにベルトによって動かされる。ディスペンス機構は、チャンバを形成するとともにチャンバの底部に開口部を形成するハウジングを更に備え、その結果、セグメント化されたベルトが徐々に前進し、1つの製品を支持するパドルがベルトの前進によって鉛直な配向に近づくと、その製品はそのそれぞれのパドル間から開口部を通って落下する。いくつかの実施形態において、アクチュエータは、モータ、ソレノイド、または形状記憶金属を含む。いくつかの実施形態において、コネクタおよびアクチュエータはディスペンサに備えられ、ベルト、パドル、およびハウジングはカセットに備えられ、ディスペンス機構は、アクチュエータによって回転させられるディスペンサの駆動ギヤと、カセットにおける被駆動ギヤであって、アクチュエータによって駆動されるとともにベルトを駆動させる被駆動ギヤとを更に備える。いくつかの実施形態において、ディスペンサおよびカセットは分離可能であり、カセットは能動電気構成要素を備えていない。いくつかの実施形態において、ディスペンサは、チャンバの底部における開口部を横切る方向に向けられた光発光器と、開口部の奥壁から反射される光発光器からの光を検出する1つまたは複数の受光器とを更に備え、光発光器および1つまたは複数の受光器は、1つまたは複数の受光器のうちの1つ以上によって検出される光が開口部を通して供給される製品の通過によって遮断されるように位置決めされる。いくつかの実施形態において、複数のパドルは32個以上のパドルを含み、カセットは900立方センチメートル未満の総容積を占める。いくつかの実施形態において、カセットは、最大容量までカセット内に収納された各製品について30立方センチメートル未満を占める。いくつかの実施形態において、カセットは無線読出可能なメモリを備え、ディスペンサは、無線読出可能なメモリを読み出すためのリーダを備える。いくつかの実施形態において、ベルトはセグメント化されており、複数のパドルの各々は、ベルトのそれぞれのセグメントと一体に形成されている。いくつかの実施形態において、複数のパドルは32個以上のパドルを含む。いくつかの実施形態において、ディスペンス機構は、ディスペンス機構の機械構成要素の運動を直接測定するセンサを更に備える。
【0005】
別の態様によれば、ディスペンス機構は、1組のT字状の鉛直溝であって、複数のバイアルの円筒状頂部を受け入れるとともに鉛直方向に積み重ねてバイアルを保持する形状およびサイズを有する、1組のT字状の鉛直溝と、キャビネットから電気信号を受信するためのコネクタであって、ディスペンス機構はキャビネット内に設置されている、コネクタと、電気信号に応答して動くアクチュエータと、アクチュエータによって駆動される複数のスロット付きギヤとを備える。スロット付きギヤの各々は、T字状の鉛直溝のそれぞれ1つの下に位置決めされるとともに、バイアルの円筒状頂部を受け入れる形状およびサイズを有するT字状ブラインドスロットを形成する。ディスペンス機構は、ディスペンス機構の底部に開口部を形成するハウジングを更に備える。スロット付きギヤが駆動されるとき、これらギヤのそれぞれのT字状ブラインドスロットはT字状の鉛直溝に順次整合し、その結果、整合時に、円筒状頂部のうちの1つは、それぞれのバイアルを捕捉するそれぞれのT字状ブラインドスロット内に落下する。バイアルを保持するT字状ブラインドスロットのうちの1つが鉛直下向き配向に近づくとき、1つのバイアルは、下向きに配向されたT字状ブラインドスロットから開口部を通って落下する。いくつかの実施形態において、アクチュエータは、モータ、ソレノイド、または形状記憶金属を含む。いくつかの実施形態において、ディスペンス機構は、スロット付きギヤを3つ以上備え、それらのスロット付きギヤのうちの1つは残りのスロット付きギヤを駆動し、それらのスロット付きギヤは、スロット付きギヤのT字状ブラインドスロットが駆動するギヤに対して等角度間隔で鉛直下向きに達するように噛み合わされている。いくつかの実施形態において、ディスペンス機構は、開口部を横切る方向に向けられた光発光器と、開口部の奥壁から反射される光発光器からの光を検出する1つまたは複数の受光器とを更に備え、光発光器および1つまたは複数の受光器は、1つまたは複数の受光器のうちの1つ以上によって検出される光が開口部を通して供給されるバイアルの通過によって遮断されるように位置決めされる。いくつかの実施形態において、T字状の鉛直溝はカセットに備えられ、コネクタ、アクチュエータ、およびスロット付きギヤはディスペンサに備えられ、カセットおよびディスペンサは分離可能であり、カセットは能動電気構成要素を備えていない。いくつかの実施形態において、カセットは無線読出可能なメモリを備え、ディスペンサは、無線読出可能なメモリを読み出すためのリーダを備える。いくつかの実施形態において、カセットはラッチを備え、ラッチは、カセットがディスペンサから分離されるときにカセット内にバイアルを保持するとともに、カセットがディスペンサに対し組み付けられるときにバイアルがスロット付きギヤのT字状ブラインドスロットに到達することを可能とする。いくつかの実施形態において、カセットは、最大容量までカセット内に収納された各バイアルについて30立方センチメートル未満を占める。いくつかの実施形態において、ディスペンス機構は、ディスペンス機構の機械構成要素の運動を直接測定するセンサを更に備える。
【0006】
別の態様によれば、ディスペンス機構は、キャビネットから電気信号を受信するためのコネクタであって、ディスペンス機構はキャビネット内に設置されている、コネクタと、電気信号に応答して動くアクチュエータと、それを通じて製品が供給される開口部を有するトレイと、アクチュエータによって駆動される可動スライドとを備える。この可動スライドは、可動スライドを通じるスロットを有し、供給される製品はこのスロット内に1個ずつ落下する。このディスペンス機構は、可動スライドのスロットがトレイにおける開口部に整合しない初期位置にスライドを付勢するばねを更に備える。アクチュエータによってスライドが動かされるとき、スライドは、スライドのスロットがトレイの開口部に整合する位置までばねの作用に抗して並進して、スロット内の1つの製品が供給されるように開口部を通って落下することを可能にする。いくつかの実施形態において、アクチュエータは、モータ、ソレノイド、または形状記憶金属を含む。いくつかの実施形態において、ディスペンス機構は可動ガイドを更に備え、この可動ガイドは、回転するようにスライドに係合されており、別の製品がスライドのスロットに到達することを可能とする。また、いくつかの実施形態において、ガイドの運動によって、所定量の供給される製品が揺らされる。いくつかの実施形態において、ディスペンス機構は、開口部の下方に光のカーテンを形成するように位置決めされた光発光器と、光発光器とは反対側の面から反射される光発光器からの光を検出する1つまたは複数の受光器とを更に備え、光発光器および1つまたは複数の受光器は、1つまたは複数の受光器のうちの1つ以上によって検出される光が開口部を通して供給される製品の通過によって遮断されるように位置決めされる。いくつかの実施形態において、コネクタ、アクチュエータ、およびカムがディスペンサに備えられ、トレイ、スライド、およびばねは、所定量の供給される製品を収納するカセットに備えられ、ディスペンサおよびカセットは分離可能であり、カセットは能動電気構成要素を備えていない。いくつかの実施形態において、カセットは無線読出可能なメモリを備え、ディスペンサは、無線読出可能なメモリを読み出すためのリーダを備える。いくつかの実施形態において、カセットは、10~12mmの直径と145~150mmの長さとを各々有する100個以上の注射器を保持する容量を有し、カセットは、2600立方センチメートル未満の総容積を占める。いくつかの実施形態において、カセットは、最大容量までカセット内に収納された各製品について25立方センチメートル未満を占める。いくつかの実施形態において、ディスペンス機構は、ディスペンス機構の機械構成要素の運動を直接測定するセンサを更に備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明が具体化され得る例示的なキャビネットを示す図。
図2】本発明の実施形態に係るディスペンスユニットを示す図。
図3図2の一部分の詳細図。
図4A】ディスペンス機構によって完全充填された図2のディスペンスユニットを示す図。
図4B】異なる組み合わせのディスペンス機構によって完全充填された図2のディスペンスユニットを示す図。
図5図4Aの完全充填されたディスペンスユニットの一部分の逆の角度から見た図。
図6A】本発明の実施形態に係る第1のディスペンス機構の上面視を示す図。
図6B】本発明の実施形態に係る第1のディスペンス機構の下面視を示す図。
図7A図6Aのディスペンス機構の部分分解図を示す図。
図7B図6Bのディスペンス機構の部分分解図を示す図。
図8図6Aおよび図6Bのディスペンス機構の部分切欠斜視図。
図9図6Aおよび図6Bのディスペンス機構により供給され得る典型的なブリスターパックを示す図。
図10】カセットのいくつかの内部仕組みを示すために背面カバーが取り除かれた状態にある、図6Aおよび図6Bのディスペンス機構のカセット部分の正面図。
図11】カセットの構造についてより多くの詳細を提供する、図10のカセットの上部分の詳細斜視図。
図12A】本発明の実施形態に係る第2のディスペンス機構の部分分解上面斜視図。
図12B】本発明の実施形態に係る第2のディスペンス機構の部分分解下面斜視図。
図13図12Aおよび図12Bのディスペンス機構により供給され得るバイアルを示す図。
図14】バイアルで部分的に満たされた、図12Aおよび図12Bのディスペンス機構のカセット部分の切欠斜視図。
図15図14のカセット部分の下面斜視図。
図16図12Aおよび図12Bのディスペンス機構のディスペンサ部分の下部分の部分切欠後面図。
図17】ディスペンサの動作の更なる詳細を示す、図16のディスペンサの下部分の前面図。
図18A】本発明の実施形態に係る第3のディスペンス機構の上面視示す図。
図18B】本発明の実施形態に係る第3のディスペンス機構の下面視示す図。
図19】ディスペンサ部分の動作の内部詳細を明らかにする、いくつかの部品が取り外された状態の図18Aおよび図18Bのディスペンス機構のディスペンサ部分の斜視図。
図20図18Aおよび図18Bのディスペンス機構により供給され得る注射器示す図。
図21A】ある特定の外側パネルが取り外された状態の、およびカセット部分の内部詳細を明らかにする、図18Aおよび図18Bのディスペンス機構のカセット部分示す図。
図21B】ある特定の外側パネルが取り外された状態の、およびカセット部分の内部詳細を明らかにする、図18Aおよび図18Bのディスペンス機構のカセット部分示す図。
図22A図18Aおよび図18Bのディスペンス機構の一部分の切欠図および注射器を供給するディスペンス機構の動作を示す図。
図22B図18Aおよび図18Bのディスペンス機構の一部分の切欠図および注射器を供給するディスペンス機構の動作を示す図。
図22C図18Aおよび図18Bのディスペンス機構の一部分の切欠図および注射器を供給するディスペンス機構の動作を示す図。
図23】本発明の実施形態に係る、図2のディスペンスユニットの電気ブロック図。
図24】本発明の実施形態に係る、図2の補充用引出のプリント回路基板の電気ブロック図。
図25】本発明の実施形態に係る、図6A図12A、および図18Aのディスペンス機構において使用され得るディスペンサの電気ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明が具体化され得る例示的なキャビネット100を図示している。キャビネット100は、医療用品または薬剤などの製品を収納するための区画へのアクセスを提供する種々のドア101および引出102を含む。例えば、包帯、綿棒、およびその他などの用品は、ドア101の1つを通じてアクセスされ得るような、ロックされていない区画内に収納されてもよい。薬剤は、引出102などの引出内のロック可能な区画内に個々に収納されてもよい。コンピュータ103は、キャビネット100の内容物の記録を維持し、個々の区画へのアクセスを制御してもよい。例えば、入院患者のために薬剤の1回分の用量を得る必要がある病棟看護師は、自分の識別情報および必要な薬剤をコンピュータ103に入力してもよい。コンピュータ103は、看護師に薬剤を取り出す権限があることを確認して、特定の引出102と必要な薬剤を収容する引出内の特定の区画とをロック解除する。コンピュータ103はまた、正しい薬剤が供給されることを確実にする助けになるように、看護師を正しい引出および区画へと導く光を制御してもよい。加えて、コンピュータ103は、キャビネット100などの多くの収納およびディスペンス装置からの情報を調整する中央コンピュータシステムと通信してもよい。
【0009】
本発明の実施形態は固定式キャビネット100の文脈で説明されているが、本発明が他の種類の収納装置、例えば、可動キャビネット、カート、収納室、およびその他において具体化され得ることが認識されるであろう。例示的なディスペンス装置は、以下の同一出願人が所有する米国特許および特許出願、すなわち、リップス(Lipps)に対して2001年8月7日に発行された米国特許第6272394号明細書、リップスに対して2002年5月7日に発行された米国特許第6385505号明細書、リップスに対して2004年7月6日に発行された米国特許第6760643号明細書、リップスに対して1998年9月8日に発行された米国特許第5805455号明細書、リップスに対して2003年8月19日に発行された米国特許第6609047号明細書、ハイアム(Higham)らに対して1998年9月8日に発行された米国特許第5805456号明細書、ハイアムらに対して1998年4月28日に発行された米国特許第5745366号明細書、ハイアムらに対して1999年5月18日に発行された米国特許第5905653号明細書、ゴドレウスキ(Godlewski)に対して1999年7月27日に発行された米国特許第5927540号明細書、ホームズ(Holmes)に対して2000年3月21日に発行された米国特許第6039467号明細書、ホームズらに対して2003年10月28日に発行された米国特許第6640159号明細書、アーノルド(Arnold)らに対して2000年11月21日に発行された米国特許第6151536号明細書、ブレッチェル(Blechl)らに対して1995年1月3日に発行された米国特許第5377864号明細書、ブレッチェルに対して1993年3月2日に発行された米国特許第5190185号明細書、ダンカン(Duncan)らに対して2005年12月13日に発行された米国特許第6975922号明細書、ダンカンらに対して2009年8月4日に発行された米国特許第7571024号明細書、ダンカンらに対して2010年11月16日に発行された米国特許第7835819号明細書、ホームズに対して2000年1月4日に発行された米国特許第6011999号明細書、ハイアムに対して2008年3月25日に発行された米国特許第7348884号明細書、ハイアムに対して2010年3月9日に発行された米国特許第7675421号明細書、ウィルソン(Wilson)らに対して2001年1月9日に発行された米国特許第6170929号明細書、2012年4月10日に発行された、ファールベルク(Vahlberg)らに対する米国特許第8155786号明細書、2011年12月6日に発行された、ファールベルクらに対する米国特許第8073563号明細書、2008年12月25日に公開された、ファールベルクらの米国特許出願公開第2008/0319577号明細書、2012年3月20日に発行された、ファールベルクらに対する米国特許第8140186号明細書、2012年2月28日に発行された、ファールベルクらに対する米国特許第8126590号明細書、2011年9月27日に発行された、ファールベルクらに対する米国特許第8027749号明細書、2008年12月25日に公開された、ファールベルクらの米国特許出願公開第2008/0319790号明細書、2008年12月25日に公開された、ファールベルクらの米国特許出願公開第2008/0319789号明細書、2012年3月6日に発行された、ファールベルクらに対する米国特許第8131397号明細書、2008年12月25日に公開された、ファールベルクらの米国特許出願公開第2008/0319579号明細書、および2010年2月18日に公開された、レビー(Levy)らの米国特許出願公開第2010/0042437号明細書において説明されており、これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。本発明の実施形態は、これらの文献で説明されている装置の特徴を任意の実現可能な組み合わせで組み込んでもよい。
【0010】
上記の状況において、看護師には、多用量の薬剤を有する区画へのアクセスが与えられてもよく、看護師は直ぐに必要な数だけを取り出してもよい。
キャビネット100はまた、返却箱104を備え、後に薬局の担当者が在庫に戻すために、この返却箱に未使用の製品が入れられることができる。
【0011】
制御および追跡の更なる精度が要求される場合には、薬剤がディスペンスユニット105などのディスペンスユニット内に配置されてもよい。ディスペンスユニット105は、補充用引出106と供給用引出107とを含む。そして、補充用引出は、コンピュータ103の制御下で単一の製品を供給用引出107内に供給できる複数のディスペンス機構(図1では視認できない)を含む。それから、供給された製品を回収するために、供給用引出107を開放することができる。補充用引出106は、特別な権限のある者のみが(例えば、薬局の担当者が補充のために)アクセス可能である。
【0012】
図2は、補充用引出106と供給用引出107とを含むディスペンスユニット105を、より詳細に図示している。複数のディスペンス機構は、これらディスペンス機構をレール201に取り付けることにより補充用引出106内に設置されてもよい。図2には、少数のディスペンス機構202、203、204のみが示されている。以下により詳細に述べるように、供給される製品の種類に応じて、異なるタイプのディスペンス機構が存在してもよい。異なる種類のディスペンサは、異なるサイズを有してもよく、レール201は、レール201を異なる組のハンガー205に固定することにより、特定の組み合わせのディスペンス機構を必要に応じて収容するように構成されてもよい。
【0013】
例えば、ディスペンス機構203は、ベイ2つの幅であるレール間に配置される、2倍幅の機構である一方、ディスペンス機構202および204は、隣接する組のハンガー205に対して接続されるレール201間に配置される、1倍幅の機構である。他のサイズのディスペンサ、例えば、3倍および4倍の幅も可能である。
【0014】
図2はまた、供給用引出107と補充用引出106とが入れ子状の1対の引出を形成することを示している。換言すれば、補充用引出106は、補充用引出106と共に供給用引出107を支えるガイド206を用いて、補充、保守管理、およびその他のために、キャビネット100の外に出るように摺動することができる。同様に、供給用引出107は、図2では容易に視認できない同様のガイド上で補充用引出106に出入りするように摺動することができる。
【0015】
いくつかの実施形態において、供給用引出107は、便宜上、キャビネット100または同様の装置の使用者のための作業面としての役割を果たしてもよい。例えば、製品が供給用引出107内に供給されて、使用者が製品を回収するために供給用引出107を開放した時点で、使用者は、処理を文書化するかまたは処理に関するメモを作成するために使用者が使用し得るメモ帳、コンピュータ、または他の製品を載置するために、供給用引出107の平坦な底部を使用してもよい。ディスペンスユニット105は、作業面としての供給用引出107の使用を容易にするための特徴を含んでもよい。例えば、ガイドまたは他のスライド機構(これにより供給用引出107が開放する)は、供給用引出107が作業面として使用されている間に供給用引出107に安定性を与えるために、供給用引出107の最も開放した位置に戻り止めを備えてもよい。
【0016】
図3は、電気コネクタ301が各ハンガー205に位置することを示す、図2の一部分の詳細図である。各コネクタ301は、それぞれのハンガー205に位置決めされているレール201内の配線に取り付けられた相手側コネクタと接続し、キャビネット100内の他のシステムからの電力および信号を与える。他のコネクタ302は、ディスペンス機構202、203、204などのディスペンス機構との電気的接続を行うために、レールに沿って間隔をおいて配置される。必要な電気的接続を達成するために、各レール201は、配線用ハーネス、プリント回路基板アセンブリ(PCBA)、またはその他を収納してもよい。したがって、コンピュータ103は、補充用引出106内の任意のディスペンス機構と個別に通信することができる。全てのコネクタからの配線は、ディスペンスユニット105の背面にある回路基板(視認できない)に集まり、そして、この回路基板は、1つまたは複数のフレキシブルケーブル(図3では視認できない)を介してキャビネット100内の他のエレクトロニクスに接続し、このエレクトロニクスは、補充、保守管理、およびその他のためにディスペンスユニット105がキャビネット100の外に出るように摺動することを可能とする。
【0017】
図4Aは、レール201上の利用可能な空間を完全に満たす、7個のディスペンス機構202、14個のディスペンス機構203、および7個のディスペンス機構204によって完全に充填されているディスペンスユニット105を図示している。ディスペンスユニットのこの構成は利用できるディスペンスユニットの多くの構成の一例にすぎないことが認識されるであろう。例えば、補充用引出106は、ディスペンスユニットで完全に満たされていなくてもよい。1種類のみもしくは異なる2種類のディスペンス機構が存在してもよく、または4種類以上のディスペンスユニットが存在してもよい。異なる種類のディスペンスユニットは、任意の実現可能な比率で存在してもよく、類似のディスペンスユニットは互いに隣接して設置される必要はない。例示的なディスペンスユニット105は、(追加の2つのレール201が設置された状態で)1倍幅の42個ものディスペンス機構を保持することができる。この一例が図4Bに示されており、この図では、ディスペンスユニットに42個のディスペンサ202が充填されている。
【0018】
好ましくは、各ディスペンスユニットは、そのそれぞれのコネクタ302を通じて自己を識別することができ、コンピュータ103は、設置されるディスペンスユニットの特定の配置のマップを作成してもよい。コンピュータ103はまた、好ましくは、それぞれのコネクタ302を通じてまたは別個のセンサにより、ベイ位置の任意の1つにおいてディスペンスユニットの存在を検出することができる。加えて、各ディスペンスユニットは、好ましくは、ディスペンスユニットが収容し供給する準備の整った製品の種類および数量をコンピュータ103に伝えることもできる。
【0019】
図5は、補充用引出106の背面パネル501を示しており、図4Aの完全充填されたディスペンスユニット105の一部分の逆の角度から見た図である。好ましくは、補充用引出106と供給用引出107との両方は、不適切な時間帯における引出の開放を防止するために、コンピュータ103により操作可能なラッチ機構を含む。例えば、コンピュータ103は、コンピュータ103が補充担当者から適切なセキュリティコードを受け取った後にのみ補充用引出106が開放されることを可能としてもよく、製品がディスペンス機構202、203、204の1つから供給された後にのみ供給用引出107が開放されることを可能としてもよい。図5では、補充用引出106をロックおよびロック解除するためのラッチ機構502を視認できる。供給用引出107をロックおよびロック解除するための同様のラッチ機構が、補充用引出106の内側に設けられてもよい。図5では、1つもしくは複数のフレキシブルケーブル(図示せず)を通じて、キャビネット100内の他のエレクトロニクス、例えば、電源、コンピュータ103、または他の電気構成要素に接続するための種々のコネクタ503も視認できる。
【0020】
ディスペンス機構
ディスペンス機構202、203、204は、供給される製品のサイズおよびタイプに合わせて作られてもよく、従来のディスペンス機構と比較して改良点を提供してもよい。例えば、ある従来のタイプのディスペンス機構は、螺旋状コイルを使用しており、供給される製品は、螺旋状のコイル間に位置決めされている。製品がコイルの範囲を越えて前進させられ供給されるまで、コイルを回転させる。この種類のディスペンサは、広範かつ成功裏に使用されているが、製品がコイルのピッチおよびサイズに適合したものでなければならないので、供給できる製品の形状およびサイズがある程度制限される。
【0021】
ブリスターパック用および他の小さな製品用のディスペンス機構
図6Aは、ディスペンス機構202の上面視をより詳細に図示し、図6Bはディスペンス機構202の下面視をより詳細に図示している。ディスペンス機構202は、他の種類の製品を供給するのにも有用であり得るが、周知の「ブリスターパック」に包装された個々の薬剤用量などの小さな製品を供給するのに特に有用であり得る。
【0022】
図6Aで視認できるように、ディスペンス機構202の頂部におけるボタン601は、補充用引出106の内部にアクセスする権限がある使用者がコンピュータ103に信号を送ること、例えば、ディスペンス機構202が補充されていることを記録することを可能にする。光602は、コンピュータ103が使用者と通信できるようにし、例えば、この特定のディスペンス機構を補充するように使用者に指示するために光を点滅させる。
【0023】
図6Bで視認できるように、レール201におけるコネクタ302に適合するコネクタ603は、ディスペンス機構202が補充用引出106内に設置されたときにコネクタ302の1つに係合するように位置決めされる。ディスペンス機構202の種々の部品は全体として、ディスペンス機構202の底部に開口部604を形成するハウジングを構成し、この開口部604を通して製品が供給される。ディスペンス機構202は、スナップ機構、1つもしくは複数のねじ、または別の方法を使用して、レール201の1つに取り外し可能にしっかりと固定されてもよい。
【0024】
図7Aおよび図7Bに示すように、例示的なディスペンス機構202は、ディスペンサ701とカセット702とを含み、これらは分離可能である。例えば、ディスペンサ701およびカセット702は、スナップ結合してもよく、1つまたは少数のねじの取り外しにより分離可能であってもよく、またはディスペンサ701もしくはカセット702のいずれにも損傷を与えずに何か他の方法で適切に分離可能であってもよい。このように、空になったカセット702を満杯のカセット702と交換することにより補充が行われてもよい。ギヤ703は、カセット702がディスペンサ701に対し組み付けられたときに、ディスペンサ701内の駆動ギヤ(図7Aでは容易に視認できない)に係合する。
【0025】
好ましくは、以下により詳細に述べるように、カセット702は能動電気構成要素を備えていない。例示的なディスペンス機構202の全ての能動構成要素は、ディスペンサ701内に存在する。例えば、アンテナ704は、カセット702内のパッシブメモリチップ705を励起して、(遠隔地でカセット702に充填がなされたときにパッシブメモリチップ705に書き込まれた)カセット702の内容物を判別することができる。また、必要に応じて、パッシブメモリチップ705内のデータを更新するために、アンテナ704を使用することができる。この無線データ交換では、任意の好適な無線プロトコル、例えば、近距離無線通信(NFC)、無線周波数識別(RFID)、または別の無線プロトコルが使用されてもよい。
【0026】
ディスペンサ701は、好ましくは、カセット702の設置および取り外しを自動的に検出することができる。この自動検出は、製品の在庫管理および追跡を容易にし、また製品の不正流用を防止する助けになり得る。この検出は、任意の好適な方法、例えば、アンテナ704を使用した定期的なポーリング、カセット702の存在を電気機械的に検出できる接触センサ(図示せず)、または別の技術で行われてもよい。
【0027】
図7Aで視認できるように、光発光器706および2つの光受光器707は、ディスペンサ701の底部近傍に位置決めされる。動作時に、光発光器706からの光は、反射面708(図7Bで視認できる)から反射し、供給される製品であって開口部を横切るように形成された「光のカーテン」を通って落下する製品により光が遮断されない限り、光受光器707に戻る。製品が開口部604を通して供給されるときに、製品は光受光器707のいずれかまたは両方により受光される光を遮断し、ディスペンサ701は、製品が実際に供給されたことを知ることができる。製品を供給するコマンドにもかかわらず光の遮断が検出されない場合には、コンピュータ103は、給送ミス(ミスフィード)または他の問題が発生しているかまたはカセット702が空であると仮定してもよい。より精巧な監視戦略を用いることにより、複数の製品の偶発的な供給が検出されてもよい。例えば、光のカーテンの2回の遮断が短い時間間隔で検出された場合には、2重給送(ダブルフィード)が表示されてもよい。発光器706は、任意の好適なタイプの発光器であってもよく、任意の好適な波長または波長の組み合わせの光を放射してもよい。例えば、光発光器706は、発光ダイオード、垂直共振器半導体発光レーザ(VCSEL)などのレーザ、または別の種類の光源であってもよく、可視光、赤外光、または他の好適な波長帯域もしくは波長帯域の組み合わせの光を放射してもよい。
【0028】
図8は、ディスペンサ701の一部の内部詳細を明らかにする、ディスペンス機構202の部分切欠斜視図を示している。直角駆動部を有するモータ801が駆動ギヤ802を回転させ、この駆動ギヤ802が、カセット702上のギヤ703に係合して、カセット702を作動させる。モータ801は、例えば、ステッピングモータであってもよく、このステッピングモータの角度位置を徐々に動かすことと保持することとを容易に行うことができる。その場合、1回の供給動作に対応すると分かっているステップ数によってモータ801を前進させることにより、製品が供給されてもよい。製品の供給を光のカーテンが検出しない場合には、モータ801を更に前進させてもよく、そして、供給がまだ検出されない場合には、エラーメッセージを生成してもよく、またはカセット702が空であると仮定してもよい。代替的に、モータ801は、簡単な直流または交流モータであってもよく、この場合には、必要な場所までモータ801を徐々に前進させるために、製品の供給が検出されるまで単にモータ801を動かし、次いで、モータを停止することによって、供給が行われてもよい。制限時間が与えられてもよく、結果として、モータ801が動いている制限時間内に供給が検出されない場合には、モータが停止されエラーメッセージが生成されてもよい。
【0029】
他の実施形態では、モータ以外のアクチュエータが使用されてもよい。例えば、ソレノイドアクチュエータまたは形状記憶金属アクチュエータは、ラチェットまたはラチェット状の構成を使用してディスペンサ701内の駆動ギヤを駆動するために使用される往復運動をもたらしてもよい。他の種類のアクチュエータおよび駆動構成も可能である。
【0030】
マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または同様の制御回路がディスペンサ701内に存在してもよく、補充用引出106内の他の場所にある監視用コントローラからのまたはコンピュータ103からの高レベルコマンドに応答して、ディスペンサ701の種々の能動構成要素およびセンサを作動させてもよい。その場合、ディスペンサ701は、何らかの処理知能を含むので、「スマート」ディスペンサと見なされる。しかしながら、他のアーキテクチャも可能である。例えば、補充用引出106内の他の場所にある監視用コントローラからの論理信号が、ディスペンサ701を動作させてもよい。
【0031】
上で述べたように、ディスペンス機構202は、一般的にブリスターパックに包装されるものなどの個々の薬剤用量を供給するのに特に有用であり得る。図9は、典型的なブリスターパック901を図示している。平坦部分902は、ボール紙、硬質プラスチック、またはその他で作られてもよい。プラスチック製の泡状「ブリスター」903は、カプセルまたはその他(視認できない)がブリスター903内に密閉された状態で、平坦部分902に積層される。
【0032】
図10は、カセット702の背面カバーが取り除かれた状態の、およびカセットの内部仕組みを示す、カセット702の正面図を示している。セグメント化されたベルト1001は、駆動シャフト1002とアイドラシャフト1003との間に支持される。駆動シャフト1002はギヤ802に対して接続され、その結果、ベルト1001がギヤ802により、最終的にはモータ801により駆動される。モータ801(ひいてはベルト1001)は、いずれの方向に駆動されてもよい。パドル1004は、ベルト1001のセグメントと一体に形成されており、ベルトが動くときにチャンバ1005内を循環する。駆動シャフト1002とアイドラシャフト1003(視認できない)とにおける凹部は、ベルト1001の内面に形成された歯1006と係合して、駆動シャフト1002の角度位置とベルト1001の移動との間に正の関係をもたらす。
【0033】
他の構成も可能である。例えば、ベルト1001は、セグメント化されたベルトではなく連続ベルトとすることができ、パドル1004は、ベルトと一体に形成されるのではなくベルトに取り付けられることができる。
【0034】
パドル1004間の空間は、複数の収納区画を形成し、これら区画のいくつかはブリスターパック901で満たされる。製品を供給するために、パドル1007により示すように、製品を保持する最底部のパドル1004が鉛直な配向に近づき、製品が重力により開口部604を通って供給用引出107に落下するまで、ベルト1001を徐々に前進させる。
【0035】
チャンバ1005が(幅よりも高さの方が大きい)鉛直方向に向けられたものとして示されているが、これは必須ではない。本発明の実施形態によるディスペンス機構はまた、(高さよりも幅の方が大きい)水平な配向でチャンバを位置決めしてもよい。
【0036】
図11は、カセット702の構造についてより多くの詳細を提供する、カセット702の上部分の詳細斜視図である。
このようなパドル1004の使用は、従来のカセット設計、例えば従来の螺旋ねじ式ディスペンサと比較して、供給される多数の製品を収納する能力を備える。例示的なカセット702は、32個のパドル1004を使用して、パドル1004間に30個もの製品のための収納場所を提供する。カセット内に配置されかつカセットから供給される製品のサイズに基づいて、異なる数の収納空間をもたらす、より多くのまたはより少ないパドル1004を使用することができる。他の寸法も可能であるが、例示的なカセット702は、高さおよそ251mm、幅およそ72mm、および深さおよそ49mmであり、したがって、900立方センチメートル未満の容積、すなわち、カセット702内に収納できる各製品について約30立方センチメートルを占める。他の実施形態では、パドル1004を互いに近づけて配置すること、パドル1004を小型化すること、または他の小型化技術により、より多くの製品が収納されてもよい。例えば、種々の実施形態において、カセット702は、最大容量までカセット702内に収納された各製品について30立方センチメートル未満、25立方センチメートル未満、20立方センチメートル未満、15立方センチメートル未満、または10立方センチメートル未満を占め得る。
【0037】
いくつかの実施形態において、ディスペンス機構202は、ディスペンス機構202の機械構成要素の動きを直接検出するための1つまたは複数のセンサを含んでもよい。例えば、ディスペンサ701内の駆動ギヤは、その主要部分の周囲に孔を有してもよく、その結果、孔の間に残る材料が幅広スポークとして機能する。光(例えば、赤外光)を駆動ギヤに照射し、戻り反射が受光されるかどうかを検出することができる反射光学センサが、ディスペンサ701内に設けられてもよい。次いで、ギヤの回転により、反射性「スポーク」と非反射性の孔とがセンサを交互に通過するのでセンサから交互の信号が得られる。ディスペンサ701内のプロセッサまたは他の回路は、駆動ギヤの運動を確認するために、その信号を解読することができる。この直接測定は、ディスペンス機構202の動作に関する追加のフィードバックを提供する。例えば、ベルト1001は製品が供給されるのに十分に大きく動いたものの光のカーテンのセンサが製品の供給を検出していないことが追加のセンサを使用して確認された場合には、カセット702が空であると判定されても、またはエラーが発生していることが疑われてもよい。
【0038】
機械的運動を直接測定するために、他の種類のセンサを使用することもできる。例えば、パドル1004の通過は、チャンバ1005の壁の開口部を通して光を照射する反射光学センサにより検出されてもよい。好ましくは、検知システムの任意の能動部品がディスペンサ701に存在し、その結果、カセット702は能動電気構成要素を含まない。
【0039】
バイアル用および他の同形状の製品用のディスペンス機構
図12Aはディスペンス機構204の部分分解上面斜視図を図示し、図12Bはディスペンス機構204の部分分解下面斜視図を図示している。ディスペンス機構204は、突出した円筒状頂部1302を有する、図13に示すバイアル1301などのバイアルの供給において特に有用であり得る。バイアル1301は、例えば、患者への注射のための皮下注射器への充填のための流体を収納するために使用されてもよい。他の同形状の製品もまた、ディスペンス機構204により供給されてもよい。
【0040】
再び図12Aおよび図12Bを参照すると、例示的なディスペンス機構は、ディスペンサ1201とカセット1202とを含み、これらは、ディスペンス機構204を補充するために容易に分離可能であってもよい。
【0041】
好ましくは、カセット1202は能動電気構成要素を備えていない。ディスペンス機構204の全ての能動構成要素は、ディスペンサ1201内に存在する。例えば、アンテナ1203は、カセット1202内のパッシブメモリチップ1204を励起して、(遠隔地でカセット1202に充填がなされたときにパッシブメモリチップ1204に書き込まれた)カセット1202の内容物を判別することができる。また、必要に応じて、パッシブメモリチップ1204内のデータを更新するために、アンテナ1203を使用することができる。この無線データ交換では、任意の好適な無線プロトコル、例えば、近距離無線通信(NFC)、無線周波数識別(RFID)、または別の無線プロトコルが使用されてもよい。
【0042】
ディスペンサ1201は、好ましくは、カセット1202の設置および取り外しを自動的に検出することができる。この自動検出は、製品の在庫管理および追跡を容易にし、また製品の不正流用を防止する助けになり得る。この検出は、任意の好適な方法、例えば、アンテナ1203を使用した定期的なポーリング、カセット1202の存在を電気機械的に検出できる接触センサ(図示せず)、または別の技術で行われてもよい。ディスペンス機構204は、スナップ機構、1つもしくは複数のねじ、または別の方法を使用して、レール201の1つに取り外し可能にしっかりと固定されてもよい。
【0043】
図12Aおよび図12Bでは視認できないが、光発光器および光受光器は、ディスペンサ1201の底部近傍に位置決めされ、ディスペンス機構202に関連して上で説明した光発光器706および光受光器707と同様に動作する。動作時に、光発光器からの光は、反射面1205(図12Bで視認できる)から反射し、供給され開口部1206を横切るように形成された「光のカーテン」を通って落下する製品により光が遮断されない限り、光受光器に戻る。製品が開口部1206を通して供給されるときに、製品は光受光器のいずれかまたは両方により受光される光を遮断し、ディスペンサ1201は、製品が実際に供給されたことを知ることができる。製品を供給するコマンドにもかかわらず光の遮断が検出されない場合には、コンピュータ103は、給送ミスまたは他の問題が発生しているかまたはカセット1202が空であると仮定してもよい。より精巧な監視戦略を用いることにより、複数の製品の偶発的な供給が検出されてもよい。例えば、光のカーテンの2回の遮断が短い時間間隔で検出された場合には、2重給送が表示されてもよい。
【0044】
図12Bで視認できるように、レール201におけるコネクタ302に適合するコネクタ1207は、ディスペンス機構204が補充用引出106内に設置されたときにコネクタ302の1つに係合するように位置決めされる。図12Aおよび図12Bには示されていないが、ディスペンス機構204は、補充担当者または他の使用者とキャビネット100のコンピュータ103との間の通信のために、上で述べたボタン601および光602と同様のボタンおよび光を含んでもよい。
【0045】
図14は、バイアル1301で部分的に満たされ、カセット1202の頂部分が取り外された状態の、例示的なカセット1202の切欠斜視図である。図14で視認できるように、カセット1202は、複数のバイアル1301の円筒状頂部1302を受け入れるとともに鉛直方向に積み重ねてバイアルを保持する形状およびサイズを有する複数のT字状の鉛直溝1401を含む。バイアル1301は、例えば、約22mmの直径と約42.5mmの高さとを有する、5mlバイアルであってもよい。他の寸法を使用してもよいが、例示的なカセット1202は、高さ約212mm、幅約72mm、および深さ約49mmであり(約750立方センチメートルを占める)、ならびに27個の5mlサイズのバイアルを保持することができる。したがって、例示的なカセット1202は、カセット1202内に収納できる各バイアルについて28立方センチメートル未満を占める。他の用途では、約15mmの直径を有する1mlバイアルが使用されてもよく、この場合、カセット1202は、カセット1202内に収納できる各バイアルについて20立方センチメートル未満を占めるために、約39個の1mlバイアルを保持してもよい。他のバイアルサイズが使用されてもよい。種々のバイアルサイズの突出した円筒状頂部は、好ましくは、任意の適合サイズのバイアルを鉛直溝1401により保持できるほど十分に類似している。種々の実施形態において、カセット1202は、最大容量までカセット1202内に収納された各バイアルについて30立方センチメートル未満、25立方センチメートル未満、20立方センチメートル未満、または15立方センチメートル未満を占め得る。
【0046】
図15は、ばね荷重式ラッチ1501を示す、充填されたカセット1202の下面斜視図を図示している。カセット1202がディスペンサ1201から分離されている間、ラッチ1501は、T字状溝1401を部分的に閉塞して、バイアル1301がカセット1202から落下するのを防止する。ラッチ1501は、ラッチ解除部1502に対して接続され、このラッチ解除部1502は、図示の方向に作動させると、ラッチを溝1401の外へと動かす。カセット1202がディスペンサ1201内に設置されたときに、ラッチ解除部1502を動かして拘束することができ、その結果、以下により詳細に説明するように、バイアル1301がT字状溝1401を自由に下に移動する。
【0047】
図16は、ディスペンサ1201の下部分の部分切欠後面図を図示している。図16で視認できるように、モータ1601は、直角ギヤ1602を通してシャフトを回転させる。モータ1601は、例えば、ディスペンス機構202に関連して上で説明したように動作する、ステッピングモータまたは簡単な直流もしくは交流モータであってもよい。換言すれば、ステッピングモータのステップ制御により、または製品の供給が検出されるまで単にモータ1601を動かすことにより、モータ1601を徐々に前進させてもよい。
【0048】
他の実施形態では、モータ以外のアクチュエータが使用されてもよい。例えば、ソレノイドアクチュエータまたは形状記憶金属アクチュエータは、ラチェットまたはラチェット状の構成を使用してディスペンサ1201内のギヤを駆動するために使用される往復運動をもたらしてもよい。他の種類のアクチュエータおよび駆動構成も可能である。
【0049】
図17は、ディスペンサ1201の動作の更なる詳細を示す、ディスペンサ1201の下部分の前面図を図示している。中央のスロット付きギヤ1701は、直角ギヤ1602により直接駆動される。説明を容易にするために回転方向が示されているが、回転方向の選択は任意であり、いずれの方向を使用してもよい。スロット付きギヤ1701は、スロット付きギヤ1702および1703を駆動する。スロット付きギヤの各々は、バイアル1301の円筒状頂部を受け入れる形状およびサイズのT字状ブラインドスロット1704を有する。ここでは、「ブラインド」とは、スロットがスロット付きギヤを通じてずっと続いてはいないことを意味する。
【0050】
スロット付きギヤが回転すると、それぞれのスロット1704が、「順番に」鉛直上向きおよび鉛直下向きに達する。例えば、例示的なディスペンサ1201の3つのスロット付きギヤは、中央のスロット付きギヤ1701の120度の回転毎にT字状スロットの1つが鉛直上向きに達するように噛み合わされる。異なる数のスロット付きギヤが存在する場合には、ギヤ位置についての異なる角度分離を用いてもよいが、好ましくは、スロット1704は、駆動するギヤ1701に対して等角度間隔で鉛直下向きに達する。
【0051】
スロットの1つがその鉛直上向きに達しかつ1つ以上のバイアルがカセット1202(図示せず)の対応するT字状の鉛直溝内に存在するときに、バイアルは、それぞれのスロット付きギヤのT字状ブラインドスロット1704内に自由に落下する。図17において、スロット付きギヤ1701は、このようにちょうどバイアル1301を受け入れたところである。スロット付きギヤ1703は、バイアル1705を既に受け取っている。ギヤが回転し続けると、スロット付きギヤ1702におけるスロットがその鉛直下向き配向に近づく。鉛直下向きに達すると、バイアル1705が開口部1206を通って供給用引出107内に自由に落下する。スロット付きギヤ1703のスロット1704は、別のバイアルが存在する場合にそのバイアルを受け入れるために、スロット1704の鉛直上向き配向に近づく。したがって、カセット1202内のバイアルを1個ずつ供給することができる。
【0052】
いくつかの実施形態において、ディスペンス機構204は、ディスペンス機構204の機械構成要素の動きを直接検出するための1つまたは複数のセンサを含んでもよい。例えば、ディスペンサ1201内の被駆動ギヤは、その主要部分の周囲に孔を有してもよく、その結果、孔の間に残る材料が幅広スポークとして機能する。光(例えば、赤外光)を駆動ギヤに照射し、戻り反射が受光されるかどうかを検出することができる反射光学センサが、ディスペンサ1201内に設けられてもよい。次いで、ギヤの回転により、反射性「スポーク」と非反射性の孔とがセンサを交互に通過するのでセンサから交互の信号が得られる。ディスペンサ1201内のプロセッサまたは他の回路は、被駆動ギヤの運動を確認するために、その信号を解読することができる。この直接測定は、ディスペンス機構204の動作に関する追加のフィードバックを提供する。例えば、ギヤは製品が供給されるのに十分に大きく(例示的な実施形態では120度)動いたものの、光のカーテンのセンサが製品の供給を検出していないことが、追加のセンサを使用して確認された場合には、カセット1202が空であると判定されても、またはエラーが発生していることが疑われてもよい。
【0053】
機械的運動を直接測定するために、他の種類のセンサを使用することもできる。例えば、スロット付きギヤ1702または1703の歯がディスペンサ1201の壁の開口部を通して光を照射する反射光学センサで確認可能であってもよく、スロット付きギヤの回転が個々のギヤ歯の通過を監視することにより検出されてもよい。好ましくは、カセット1202が能動電気構成要素を含まないように、検知システムの能動部品はディスペンサ1201に存在する。
【0054】
注射器用および他の同形状の製品用のディスペンサ
図18Aは、ディスペンス機構203の上面視をより詳細に図示し、図18Bはディスペンス機構203の下面視をより詳細に図示している。ディスペンス機構203は、他の同形状の製品を供給するのにも有用であり得るが、注射器などの円筒状製品を供給するのに特に有用であり得る。
【0055】
例示的なディスペンス機構203は、ディスペンサ1801とカセット1802とを含み、これらは分離可能である。例えば、ディスペンサ1801およびカセット1802は、スナップ結合してもよく、1つまたは少数のねじの取り外しにより分離可能であってもよく、またはディスペンサ1801もしくはカセット1802のいずれにも損傷を与えずに何か他の方法で適切に分離可能であってもよい。このように、空になったカセット1802を満杯のカセット1802と交換することにより補充が行われてもよい。
【0056】
図18Bで視認できるように、レール201におけるコネクタ302に適合するコネクタ1803は、ディスペンス機構203が補充用引出106内に設置されたときにコネクタ302の1つに係合するように位置決めされる。ディスペンサ1801は、ディスペンス機構203の底部に開口部1804を形成し、この開口部1804を通して製品が供給される。ディスペンス機構203は、スナップ機構、1つもしくは複数のねじ、または別の方法を使用して、レール201の1つに取り外し可能にしっかりと固定されてもよい。
【0057】
好ましくは、カセット1802は能動電気構成要素を備えていない。ディスペンス機構203の全ての能動構成要素は、ディスペンサ1801内に存在する。例えば、アンテナ1805は、カセット1802内のパッシブメモリチップ1806を励起して、(遠隔地でカセット1802に充填がなされたときにパッシブメモリチップ1806に書き込まれた)カセット1802の内容物を判別することができる。また、必要に応じて、パッシブメモリチップ1806内のデータを更新するために、アンテナ1805を使用することができる。この無線データ交換では、任意の好適な無線プロトコル、例えば、近距離無線通信(NFC)、無線周波数識別(RFID)、または別の無線プロトコルが使用されてもよい。
【0058】
ディスペンサ1801は、好ましくは、カセット1802の設置および取り外しを自動的に検出することができる。この自動検出は、製品の在庫管理および追跡を容易にし、また製品の不正流用を防止する助けになり得る。この検出は、任意の好適な方法、例えば、アンテナ1805を使用した定期的なポーリング、カセット1802の存在を電気機械的に検出できる接触センサ(図示せず)、または別の技術で行われてもよい。
【0059】
光発光器1807および2つの光受光器1808は、ディスペンサ1801の底部近傍に位置決めされる。動作時に、光発光器1807からの光は、ディスペンサ1801の反射面(図18Aおよび図18Bでは視認できないが、反対側である光発光器1807および光受光器1808とは視認できる)から反射し、供給される製品であって開口部を横切るように形成された「光のカーテン」を通って落下する製品により光が遮断されない限り、光受光器1808に戻る。製品が開口部1804を通して供給されるときに、製品は光受光器1808のいずれかまたは両方により受光される光を遮断し、ディスペンサ1801は、製品が実際に供給されたことを知ることができる。製品を供給するコマンドにもかかわらず光の遮断が検出されない場合には、コンピュータ103は、給送ミスまたは他の問題が発生しているかまたはカセット1802が空であると仮定してもよい。より精巧な監視戦略を用いることにより、複数の製品の偶発的な供給が検出されてもよい。例えば、光のカーテンの2回の遮断が短い時間間隔で検出された場合には、2重給送が表示されてもよい。発光器1807は、任意の好適なタイプの発光器であってもよく、任意の好適な波長または波長の組み合わせの光を放射してもよい。例えば、光発光器1807は、発光ダイオード、垂直共振器半導体発光レーザ(VCSEL)などのレーザ、または別の種類の光源であってもよく、可視光、赤外光、または他の好適な波長帯域もしくは波長帯域の組み合わせの光を放射してもよい。
【0060】
使用者がカセット1802の内容物を確認できるように、透明な窓1809が設けられてもよい。
図18Aおよび図18Bには示されていないが、補充担当者または他の使用者とキャビネット100のコンピュータ103との間の通信のために、上で述べたボタン601および光602と同様のボタンとおよび光。
【0061】
図19は、ディスペンサ1801の動作の内部詳細を明らかにする、いくつかの部品が取り外された状態のディスペンサ1801の斜視図を示している。ケーブル1901は、第1の回路基板1902を第2の回路基板1903と接続し、この第2の回路基板1903にモータ1904が接続される。モータ1904は、例えば、ステッピングモータであってもよく、このステッピングモータの角度位置を徐々に動かすことと保持することとを容易に行うことができる。その場合、モータ1904を1回転分前進させることにより、製品が供給されてもよい。製品の供給を光のカーテンが検出しない場合には、モータ1904を更に前進させてもよく、そして、供給がまだ検出されない場合には、エラーメッセージを生成してもよく、またはカセット1802が空であると仮定してもよい。代替的に、モータ1904は、簡単な直流または交流モータであってもよく、この場合には、製品の供給が検出されるまで単にモータ1904を動かし、次いで、モータを停止することによって、供給が行われてもよい。制限時間が与えられてもよく、結果として、モータ1904が動いている制限時間内に供給が検出されない場合には、モータが停止されエラーメッセージが生成されてもよい。
【0062】
モータ1904は、カム1905を図示の方向に回転させる。このカム1905の機能を以下により詳細に説明する。
マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または同様の制御回路は、ディスペンサ1801内に存在してもよく、補充用引出106内の他の場所にある監視用コントローラからのまたはコンピュータ103からの高レベルコマンドに応答して、ディスペンサ1801の種々の能動構成要素およびセンサを作動させてもよい。その場合、ディスペンサ1801は、いくらかの処理知能を含むので、「スマート」ディスペンサと見なされる。しかしながら、他のアーキテクチャも可能である。例えば、補充用引出106内の他の場所にある監視用コントローラからの論理信号が、ディスペンサ1801を動作させてもよい。
【0063】
上で述べたように、ディスペンス機構203は、注射器または他の同形状の製品の供給に特に有用であり得る。図20は、ディスペンス機構203により供給され得る種類の典型的な注射器2000を図示している。注射器2000は、ある量の血清または他の液体を保持するように構成された主胴部2001と、皮下注射針またはその他を受け入れるように構成された縮径部分2002とを有する。いくつかの実施形態において、主胴部分の外径は約11.2mmであってもよく、注射器2000の全長は、注射器2000の容量に合わせたものであってもよい。例えば、1mlの液体を保持するように構成された注射器2000は約115mmの全長を有してもよく、その一方で、2mlの液体を保持するように構成された注射器2000は約148mmの全長を有してもよい。これらの寸法は単に例として与えられるに過ぎず、サイズの異なる注射器または他の製品が本発明の実施形態において使用されてもよい。
【0064】
図21Aおよび図21Bは、ある特定の外側パネルが取り外された状態の、およびカセット1802の内部詳細を明らかにする、カセット1802を図示している。図21Aでは、カセット1802が空であり、図21Bでは、カセット1802が複数の注射器2000を収容する。カセット1802の傾斜床2101および傾斜可動ガイド2102は、以下に説明するように供給されるように、注射器2000をカセット1802の最下部2013に向けて狭い所に通す役割を果たす。他の寸法も可能であるが、例示的なカセット1802は、高さ約234mm、深さ約71mm、および幅約153mmであり、したがって、2600立方センチメートル未満の総容積を占め、120個以上もの注射器2000を保持することができる。したがって、カセット1802は、カセット1802内に収納できる各注射器について22立方センチメートル未満を占める。2mlの容量を有する注射器2000が示されているが、カセット1802は、カセット1802内にスペーサブロック(図示せず)を配置することにより全長のより短い注射器を供給するように構成されてもよい。種々の実施形態において、カセット1802は、最大容量までカセット1802内に収納された各製品について25立方センチメートル未満、20立方センチメートル未満、15立方センチメートル未満、または10立方センチメートル未満を占め得る。
【0065】
図22A図22Cは、ディスペンサ1801とカセット1802との一部分の切欠図、ならびに注射器を供給するディスペンサ1801とカセット1802との動作を図示している。カセット1802の底トレイ2201は、開口部2202および棚部2203を形成する。可動スライド2204はスロットを形成し、スロットの中には図22Aにおいて注射器2000aが位置決めされる。スライド2204は、ばね2205により左側に付勢され、その結果、注射器2000aは棚部2203により懸架されたままである。注射器2000aは供給される位置にあり、その一方で、カセット1802は注射器2000bなどの追加の注射器を収容する。ばね2205はまた、カセット1802がディスペンサ1801から分離されたときに、例えば、中央薬局からキャビネット100への輸送中に、カセット1802内の注射器が偶発的に供給されないことを確実にする。
【0066】
注射器を供給することが望ましいときに、モータ1904(図22A図22Cでは視認できない)は、図22Bに示すようにカム1905を回転させる。カム1905は、スライド2204の面2206に対して作用して、スライド2204を右側に動かし、スライド2204におけるスロットをカセット1802の底トレイ2201における開口部2202に整合させる。よって、注射器2000aは、開口部2202を通って供給用引出107内に落下することができる。注射器2000bは、スライド2204と傾斜床2101との間の位置へと傾斜床2010を転がり落ちる。ガイド2102は、スライド2204との相互作用による上方への力であり、カセット1802内の残りの注射器を押しのけて、以後の注射器の供給を容易にする。
【0067】
図22Cにおいて、カム1905は、回転してスライド2204との接触を終えており、ばね2205がスライド2204をその公称位置に強制的に戻すことを可能にする。センサエレクトロニクスが、注射器2000aの供給またはそのスライド2204がその公称位置に戻ったことを検知してもよく、モータ1904を停止して、カム1905を止めてもよい。注射器2000bは、スライド2204におけるスロット内に落下し、以後の供給に備えて、棚部2203上に載置される。
【0068】
他の実施形態では、モータ以外のアクチュエータが使用されてもよい。例えば、ソレノイドアクチュエータまたは形状記憶金属アクチュエータは、スライド2204をばね2205に抗して直接並進させるために使用される並進運動をもたらしてもよい。他の種類のアクチュエータおよび駆動構成も可能である。
【0069】
いくつかの実施形態において、ディスペンス機構203は、ディスペンス機構203の機械構成要素の動きを直接検出するための1つまたは複数のセンサを含んでもよい。例えば、スライド2204は一般に非反射性であってもよいが、スライド2204がカム1905の作用下で動くときの反射光学による検出のために配置された反射性ステッカを含んでもよい。センサにより検出される、反射性ステッカの通過により、スライド2204が実際に動いたことが確認される。スライド2204上に磁石を配置し、ホール効果センサの通過を検出することにより、同様の効果が達成されてもよい。同様に、カム1905の動きを直接検知することができる。ディスペンサ1801内のプロセッサまたは他の回路は、スライドまたはカムの運動を確認するために、センサにより生成された信号を解読することができる。この直接測定は、ディスペンス機構203の動作に関する追加のフィードバックを提供する。例えば、スライド2204は製品が供給されるのに十分に大きく動いたものの光のカーテンのセンサが製品の供給を検出していないことが、追加のセンサを使用して確認された場合には、カセット1802が空であると判定されても、またはエラーが発生していることが疑われてもよい。
【0070】
機械的運動を直接測定するために、他の種類のセンサを使用することもできる。例えば、パドル1004の通過は、チャンバ1005の壁の開口部を通して光を照射する反射光学センサにより検出されてもよい。好ましくは、検知システムの任意の能動部品がディスペンサ701に存在し、その結果、カセット702は能動電気構成要素を含まない。
【0071】
図23は、本発明の実施形態に係る、ディスペンスユニット105の電気ブロック図を図示している。様々な構成要素の中でも、ディスペンスユニット105は、主PCBA2301と、それぞれのPCBAを各々含む複数のレールアセンブリ201とを含む。1つの一般的なディスペンス機構2302のみが示されているが、ディスペンス機構202、203、204などの複数のディスペンス機構が存在し得ることが認識されるであろう。各ディスペンス機構は、それ自体のPCBA2303を有してもよい。
【0072】
図24は、本発明の実施形態に係る、補充用引出106の主PCBA2301のより詳細な電気ブロック図を図示している。主PCBA2301は、種々の検知および通信回路に加えて、マイクロコントローラ2401と、レールアセンブリ201への接続のための接続部2402とを含む。
【0073】
図25は、本発明の実施形態に係る、ディスペンサPCBA2303のより詳細な電気ブロック図を図示している。この例において、ディスペンサはマイクロコントローラ2501を含み、示されるディスペンサは「スマート」ディスペンサである。ディスペンサPCBA2303はまた、種々の電力および通信回路、モータ用のドライバ回路、無線通信インタフェースおよびアンテナ、他の種々のセンサ、ならびに他の構成要素を含み、これらの多くは、ディスペンサ701、1201、および1801に関連して上で説明され得る。
【0074】
本明細書に添付された特許請求の範囲において、「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、「1つまたは複数の」を意味することが意図される。「含む(comprise)」という用語、ならびに「含む(comprises)」および「含んでいる(comprising)」などのその変化形は、ステップまたは要素の列挙に先行する場合に、更なるステップまたは要素の追加が任意選択であり除外されないことを意味することが意図される。本明細書に開示した要素および特徴のいかなる実現可能な組み合わせも開示されるものとみなされることを理解されたい。
【0075】
これまでに、明確さおよび理解を目的として本発明を詳細に説明してきた。しかしながら、当業者であれば、ある特定の変更および修正が添付の特許請求の範囲内で実施され得ることを理解するであろう。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図19
図20
図21A
図21B
図22A
図22B
図22C
図23
図24
図25