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特許7009620物品の自動分配のための装置、システム、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】物品の自動分配のための装置、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20220118BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20220118BHJP
   B65G 47/91 20060101ALI20220118BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
B65G1/04 555Z
B65G1/137
B65G47/91 A
B25J13/08 A
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020517987
(86)(22)【出願日】2018-09-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 US2018049588
(87)【国際公開番号】W WO2019067174
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-03-26
(31)【優先権主張番号】15/719,671
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505411125
【氏名又は名称】オムニセル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】グレイショック ショーン ティー
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン パトリック ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】パティソン ウィリアム ビー
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-133220(JP,A)
【文献】特開2001-054886(JP,A)
【文献】特開2003-305676(JP,A)
【文献】特開平05-208716(JP,A)
【文献】実開平05-019213(JP,U)
【文献】特開2015-039767(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0166407(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
B65G 1/137
B65G 47/91
B25J 13/00
B25J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動分配システムであって、
物品を分配する要求を受け取るよう構成されたコントローラと、
第1貯蔵モジュール及び第2貯蔵モジュールであって、前記第1貯蔵モジュール及び前記第2貯蔵モジュールの各々が、貯蔵位置と取り出し位置との間で移動可能な複数のトレイを含み、前記複数のトレイの各トレイが複数の貯蔵位置を含む、第1貯蔵モジュール及び第2貯蔵モジュールと、
前記トレイが前記取り出し位置に移動されるのに応答して、トレイの複数の貯蔵位置にアクセスするよう構成されたロボットと、
前記ロボットに取り付けられ、前記コントローラにて受け取られた前記物品に対する要求に応答して、前記トレイの貯蔵位置から前記物品を取り出すよう構成されたアームエンドツールと、
を備え、
前記アームエンドツールが、
本体と、
前記本体から延びて前記アームエンドツールの本体に向かって及び該本体から離れるように移動可能である2又は3以上の真空カップと、
前記2又は3以上の真空カップの各々に吸引力を提供するよう構成された真空源と、
を含み、
前記コントローラは、前記2又は3以上の真空カップの各々の延長及び収縮を独立して起こすように構成されるとともに、どの真空カップに吸引力が提供されるかを選択的に決定するよう構成され、
前記コントローラは、前記物品の形状を識別し、識別された前記物品の形状に基づいて前記2又は3以上の真空カップのうちの前記物品の取り出しのための真空カップを決定し、決定された前記真空カップの延長を起こして前記物品を取り出すように構成される、自動分配システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記アームエンドツールを前記2又は3以上の真空カップのうちの少なくとも1つを用いて前記物品に取り付けさせる、請求項1に記載の自動分配システム。
【請求項3】
前記コントローラによって制御されるバルブを更に備え、前記バルブは、前記2又は3以上の真空カップの各々への吸引力の提供を許可及び拒否するのに用いられる、請求項2に記載の自動分配システム。
【請求項4】
前記コントローラと通信する真空ゲージを更に備え、前記コントローラは、前記真空ゲージが比較的高い真空読取値を記録したことに応答して、真空カップが前記物品に取り付けられることを確立し、前記コントローラは、前記真空ゲージが比較的低い読取値を記録したことに応答して、真空カップが前記物品に取り付けられないことを確立する、請求項2に記載の自動分配システム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記真空カップが前記物品に取り付けられていると予想されるときに、前記真空カップが前記物品に取り付けられていないという確立に応答して警報を生成する、請求項4に記載の自動分配システム。
【請求項6】
前記アームエンドツールに取り付けられた識別装置を更に備え、前記識別装置は、前記物品の1又は2以上の特徴に基づいて前記物品を視覚的に区別及び識別するよう構成される、請求項1に記載の自動分配システム。
【請求項7】
前記アームエンドツールは、前記識別装置によって、前記貯蔵位置に関連付けられる一意の識別子を決定するよう構成される、請求項6に記載の自動分配システム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記貯蔵位置に関連付けられる一意の識別子が前記要求された物品に関連付けられるかどうかを決定する、請求項7に記載の自動分配システム。
【請求項9】
各貯蔵モジュールは、トレイエレベータを含み、前記トレイエレベータは、取り出し位置からアクセス位置に前記トレイを移動させるよう構成され、前記アクセス位置は、前記トレイの取り出し位置よりも前記ロボットに近接している、請求項1に記載の自動分配システム。
【請求項10】
メモリを更に備え、前記メモリは、前記複数のトレイの各々についての前記複数の貯蔵位置の各々に対する一意の識別情報と、前記複数の貯蔵位置の各々に貯蔵された前記物品の識別情報を格納するよう構成される、請求項1に記載の自動分配システム。
【請求項11】
自動分配システムを動作する方法であって、
貯蔵モジュールに垂直スタックの複数のトレイの貯蔵を提供するステップであって、前記トレイの各々が、貯蔵位置と取り出し位置との間で個々に移動可能であり、前記各トレイが、複数の一意の貯蔵位置と、前記一意の貯蔵位置に配置された物品とを含むようにするステップと、
コントローラにて第1物品の要求を受け取るステップと、
前記第1物品を有する一意の貯蔵位置を含むトレイを前記貯蔵位置から前記取り出し位置に移動させるステップと、
前記コントローラによって、アームエンドツール本体を備えるアームエンドツールを用いて前記一意の貯蔵位置から前記物品を取り出すようロボットに命令するステップであって、前記物品を取り出すよう前記ロボットに命令するステップは、前記アームエンドツール本体からの2又は3以上の真空カップの独立した延長を命令するステップと、前記物品と前記2又は3以上の真空カップのうちの少なくとも1つとを係合させるステップと、を含み、前記物品と係合するために前記アームエンドツール本体から延長される前記2又は3以上の真空カップは、前記物品の形状に基づいて選択される、ステップと、
前記第1物品を分配位置に分配するステップであって、前記分配位置は、複数の貯蔵ロッカーのうちの1つの貯蔵ロッカーであり、各貯蔵ロッカーは、許可されていないアクセスを阻止するようにロックされるドアを有する、ステップと、
を含む方法。
【請求項12】
前記一意の貯蔵位置を含む前記トレイをトレイエレベータによって前記取り出し位置からアクセス位置に移動させるステップを更に含み、前記貯蔵位置から前記取り出し位置への移動が第1軸に沿っており、前記取り出し位置から前記アクセス位置への移動は、前記第1軸に垂直な第2軸に沿っている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記物品を取り出すよう前記ロボットに命令するステップは、前記ロボットに対して、アームエンドツールを用いて前記第1物品に取り付けさせ、前記一意の貯蔵位置から前記第1物品を取り除くよう命令するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記アームエンドツールに取り付けられたバーコードスキャナ又は無線周波個体識別リーダのうちの少なくとも1つを用いて、前記第1物品を取り出す前に前記一意の貯蔵位置の識別情報を読み取るステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記アームエンドツールに取り付けられたバーコードスキャナ又は無線周波個体識別リーダのうちの少なくとも1つを用いて前記物品の識別情報を読み取るステップと、
前記要求に対応する前記物品の識別情報に応答して前記分配位置に前記第1物品を分配するステップと、
を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
自動分配システムであって、
物品を分配する要求を受け取るよう構成されたコントローラと、
貯蔵位置と取り出し位置との間で移動可能な複数のトレイを含む貯蔵モジュールであって、前記複数のトレイの各トレイが複数の貯蔵位置を含む、貯蔵モジュールと、
取り出し位置からアクセス位置に前記トレイを移動するよう構成されたトレイエレベータであって、前記貯蔵位置から前記取り出し位置への移動が第1軸に沿っており、前記取り出し位置から前記アクセス位置への移動は、前記第1軸に垂直な第2軸に沿っている、トレイエレベータと、
前記トレイが前記アクセス位置に移動されるのに応答して、前記トレイの複数の貯蔵位置にアクセスするよう構成されたロボットであって、前記アクセス位置が、前記取り出し位置より前記ロボットに近接しているロボットと、
前記ロボットに取り付けられ、前記コントローラにて受け取られた前記物品の要求に応答して前記トレイの貯蔵位置から前記物品を取り出すよう構成されたアームエンドツールと、
を備え、
前記アームエンドツールは、
アームエンドツール本体と、
前記アームエンドツール本体から延びる2又は3以上の真空カップであって、前記2又は3以上の真空カップが、前記アームエンドツール本体に向かって及び該アームエンドツール本体から離れるように独立して移動可能である2又は3以上の真空カップと、
前記2又は3以上の真空カップの各々に吸引力を提供するよう構成された真空源と、を備え、
前記コントローラは、前記物品の形状を識別し、識別された前記物品の形状に基づいて前記2又は3以上の真空カップのうち前記物品の取り出しのための真空カップを決定し、決定された前記真空カップの延長を起こして前記物品を取り出すように構成される、自動分配システム。
【請求項17】
前記アームエンドツールは、バーコードスキャナ又は無線周波個体識別リーダのうちの少なくとも1つを含み、前記バーコードスキャナ又は前記無線周波個体識別リーダのうちの少なくとも1つが、前記物品の取り出しの前に前記物品の識別子を読み取るよう構成される、請求項16に記載の自動分配システム。
【請求項18】
前記コントローラは、前記2又は3以上の真空カップの各々を独立して延長及び収縮させるように構成され、前記コントローラは、どの真空カップに吸引力が提供されるかを選択的に決定するよう構成される、請求項16に記載の自動分配システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般に、物品の自動分配に関し、詳細には、薬剤貯蔵ユニットにおける薬剤の自動分配に関する。実施形態は、処理の全体的又は部分的な自動化を含むことができ、薬剤分配の効率及び精度を改善する機構を含むことができる。
【背景技術】
【0002】
物品の分配は、特に手動で実行される場合に時間がかかり間違いを生じる可能性が高い一般的な業務である。分配の自動化は、分配動作の効率及び精度の両方を改善することができるが、物品の様々なタイプは、必然的に様々なタイプの分配を必要とする。更に、自動分配はコストがかかる可能性があり、分配動作があまり頻繁ではない場合、又は間違いに関連するリスクが低い場合には、自動化のコストは受け入れられないことがある。
【0003】
分配精度が重要である1つの特定の分野は、薬剤分配の分野である。ヘルスケア施設などにおける薬剤の分配は、複雑で時間がかかるプロセスである可能性がある。薬剤のオーダーの変更に伴って、及び患者に間違った薬剤を分配する潜在的に可能性がある重大な悪影響に伴って、中央薬局から患者に薬剤を送達するプロセスは、ヘルスケア設定におけるハイリスクなプロセスになる可能性がある。
【0004】
ヘルスケア施設は、一般的には、薬剤が正しい種類及び投与量であること、並びに薬剤を適切な患者が受け取っていることを保証するために、ここに至るまでに複数の確認ステップが実行されて中央薬局から患者に薬剤を分配している。この確認ステップは、プロセスに複雑さと時間を追加し、これにより効率が低下する可能性がある。従って、プロセスの一部又は全てを自動化することができ、薬剤が患者に送達される効率を向上させることができる装置、システム、及び方法を実現することが望ましいとすることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、物品の自動分配を容易にする装置を提供することができる。本装置の実施形態は、本体を有するアームエンドツールと、本体から延びる2又は3以上の真空カップであって、2又は3以上の真空カップが、アームエンドツールの本体に向かって及び該本体から離れるように移動可能である2又は3以上の真空カップと、2又は3以上の真空カップの各々に吸引力を提供するよう構成された真空源と、2又は3以上の真空カップの各々の延長及び収縮を独立して起こすよう構成されたコントローラと、を含むことができ、該コントローラは、どの真空カップに吸引力が加えられるかを選択的に決定するよう構成される。コントローラは、2又は3以上の真空カップのうちの少なくとも1つを用いてアームエンドツールが物品に取り付けられるようにすることができる。例示的な実施形態の装置は、コントローラによって制御されるバルブを含むことができ、2又は3以上の真空カップの各々に吸引力が提供されるのを許可及び拒否するためにバルブが用いられる。
【0006】
実施形態は、コントローラと通信する真空ゲージを含むことができ、コントローラは、真空ゲージが相対的に高い真空読取値を記録することに応答して、真空カップが物品に取り付けられたことを決定し、コントローラは、相対的に低い真空読取値を記録する真空ゲージに応答して真空カップが物品に取り付けられていないことを確立する。コントローラは、真空カップが物品に取り付けられていると予想されるときに、真空カップが物品に取り付けられていないという決定に応答して警報を生成することができる。コントローラは、取り出される物品のサイズ及び形状に基づいて、2又は3以上の真空カップのどれが延長されるのかを決定することができる。コントローラは、2又は3以上の真空カップのうちの延長される真空カップだけに吸引力を提供することができる。
【0007】
一部の実施形態によれば、コントローラは、取り出される物品の決定されたサイズ及び重量に応じて吸引力のレベルを決定し、真空源に吸引力の決定されたレベルを提供させることができる。取り出される物品のサイズ、形状、及び重量は、取り出される物品の識別に基づいて決定することができる。本発明の装置は、任意選択的に、取り出される物品を走査するよう構成された走査デバイスを含むことができ、コントローラは、取り出される物品を走査デバイスが走査することに応答して、取り出される物品の識別情報を決定する。走査は、2次元(2D)又は3次元(3D)バーコード走査、光学文字認識(OCR)、又は同様のものを含むことができる。物品の識別は、薬剤のタイプ及び単位投与量を一意的に識別する全米薬剤コード(NDC)識別子又は類似の一意の識別子を含むことができる。
【0008】
本発明の実施形態は、物品の自動分配のためのシステムを提供することができる。一部の実施形態によれば、本発明のシステムは、ロボットアームと、ロボットアームに取り付けられたアームエンドツールと、アームエンドツールに近似した走査デバイスと、ロボットアーム及びアームエンドツールを制御するためのコントローラと、を含むことができる。アームエンドツールは、本体と、該本体から延びる2又は3以上の真空カップとを含むことができ、コントローラは、2又は3以上の真空カップの各々に個々に提供される吸引力のレベルを制御する。本体から延びる2又は3以上の真空カップの各々は、コントローラからの命令に応答して、本体に近接した収縮位置と、アームエンドツールの本体から離れた延長位置との間で移動可能とすることができる。吸引力は、2又は3以上の真空カップのうちの延長位置又は収縮位置に配置された真空カップだけに提供することができる。任意選択的に、パッケージ構成に応じて、延長及び収縮真空カップの組み合わせに吸引力を提供することができ、延長及び収縮真空カップの別の組み合わせには提供されない。
【0009】
一部の実施形態によれば、コントローラは、取り出される物品のサイズ及び形状の決定に応答して、2又は3以上の真空カップのどれが延長位置に位置付けられるか、及び2又は3以上のカップのどれが収縮位置に位置付けられるかを決定することができる。コントローラは、取り出される物品の重量の決定に応答して2又は3以上の真空カップのうちの延長位置にある真空カップに提供される吸引力のレベルを決定することができる。取り出される物品のサイズ、形状、及び重量の決定は、取り出される物品を走査デバイスが走査すること、及び走査に基づいて取り出される物品をコントローラが識別することに応答して実行することができる。
【0010】
本発明の実施形態は、本体から延びる2又は3以上の真空カップであって、の2又は3以上の真空カップの各々は、本体に対する収縮位置と本体に対する延長位置の間で別々に移動可能である真空カップと、収縮位置と延長位置の間で2又は3以上の真空カップの動きを制御し、且つ各真空カップに別々に提供される吸引力の量を制御するよう構成されたコントローラと、を含む装置を提供することができる。コントローラは、取り出される物品のサイズ及び形状の決定に応答して、2又は3以上の真空カップのどれが延長位置に移動するか、及び2又は3以上の真空カップのどれが収縮位置に移動するかを決定することができる。コントローラは、係合する延長真空カップの各々に対して取り出される物品上の位置を決定するよう構成できる。コントローラは、取り出される物品の重量の決定に応答して、延長真空カップの各々に提供される吸引力の量を制御することができる。
【0011】
本発明の実施形態は、物品を分配するための自動分配システムを提供することができる。例示的な実施形態は、物品を分配する要求を受け取るよう構成されたコントローラと、第1貯蔵モジュール及び第2貯蔵モジュールであって、第1貯蔵モジュール及び第2貯蔵モジュールの各々は、貯蔵位置と取り出し位置との間で移動可能な複数のトレイを含み、複数のトレイの各トレイが複数の貯蔵位置を含む、第1貯蔵モジュール及び第2貯蔵モジュールと、トレイが取り出し位置に移動するのに応答して、トレイの複数の貯蔵位置にアクセスするよう構成されたロボットと、ロボットに取り付けられ、前記コントローラにて受け取られた前記物品に対する要求に応答してトレイの貯蔵位置から物品を取り出すよう構成されたアームエンドツールと、を含むことができる。システムは、アームエンドツールに取り付けられたバーコードスキャナを含むことができ、このバーコードスキャナが、前記物品の取り出しの前に貯蔵位置の物品の識別情報を走査するよう構成される。アームエンドツールは、スキャナによって、物品の貯蔵位置に関連付けられる一意の識別子を走査するよう構成することができる。コントローラは、貯蔵位置に関連付けられる一意の識別子が要求される物品に関連付けられるかどうかを決定することができる。
【0012】
一部の実施形態によれば、各貯蔵モジュールはトレイエレベータを含むことができ、このトレイエレベータは、取り出し位置からアクセス位置にトレイを移動させるよう構成され、アクセス位置は、取り出し位置よりもロボットに近接している。一部の実施形態によれば、システムは、冷蔵保管貯蔵モジュールを含むことができ、冷蔵保管貯蔵モジュールが複数のトレイを含み、複数のトレイの各トレイが複数の貯蔵位置を含む。冷蔵保管貯蔵モジュールは、少なくとも1つのドアクロージャを含むことができ、少なくとも1つのドアクロージャが冷蔵保管貯蔵モジュールを実質的に封入する。少なくとも1つのドアクロージャは、貯蔵位置の残りの複数のトレイを実質的に封入しながら、複数のトレイのうちの1つのトレイを貯蔵位置から取り出し位置に移動させることができる。
【0013】
冷蔵保管貯蔵モジュールの実施形態はトレイエレベータを含むことができ、トレイエレベータは、取り出し位置からアクセス位置にトレイを移動させるよう構成することができ、アクセス位置は、トレイの取り出し位置よりもロボットに近接しており、少なくとも1つのドアクロージャは、トレイエレベータに取り付けられてトレイエレベータと共に移動することができる。実施形態はメモリを含むことができ、メモリが、複数のトレイの各々について複数の位置の各々に対する一意の識別情報と、複数の貯蔵位置の各々に貯蔵された物品の識別情報とを格納するよう構成することができる。実施形態は、任意選択的にトラックシステムを含むことができ、ロボットは、第1貯蔵モジュールと第2貯蔵モジュールの間をトラックシステムに沿って進むことができる。
【0014】
実施形態は、自動分配システムを動作する方法を提供することができる。方法は、貯蔵モジュールの垂直スタックの複数のトレイの貯蔵を提供するステップであって、各トレイが、貯蔵位置と取り出し位置との間で個々に移動可能であり、各トレイは、複数の一意的に識別された貯蔵位置と、一意的に識別された貯蔵位置に分配される物品とを含むことができる、ステップと、コントローラにて第1物品の要求を受け取るステップと、第1物品を有する固有の貯蔵位置を含むトレイを貯蔵位置から取り出し位置に移動させるステップと、固有の貯蔵位置から物品を取り出すようロボットに命令するステップと、物品を分配位置に分配するステップと、を含むことができる。物品を取り出すようロボットに命令するステップは、アームエンドツールを用いて第1物品に取り付けさせ、固有の貯蔵位置から第1物品を取り除くようにロボットに命令するステップを含むことができる。
【0015】
一部の実施形態によれば、本方法は、アームエンドツールに取り付けられたバーコードスキャナ又は無線周波個体識別リーダのうちの少なくとも1つを用いて、第1物品を取り出す前に固有の貯蔵位置の識別情報を読み取るステップを含むことができる。本方法は、アームエンドツールに取り付けられた少なくとも1つのバーコードスキャナ又は無線周波個体識別リーダを用いて物品の識別情報を読み取るステップと、要求に対応する物品の識別情報に応答して分配位置に第1物品を分配するステップと、を任意選択的に含むことができる。本方法は、固有の貯蔵位置を含むトレイを取り出し位置からトレイエレベータによってアクセス位置まで移動させるステップを含むことができる。
【0016】
本発明の実施形態は、物品分配に対する要求を受け取るよう構成されたコントローラと、貯蔵位置と取り出し位置との間で移動可能な複数のトレイを含む貯蔵モジュールであって、複数のトレイの各トレイが複数の貯蔵位置を含む貯蔵モジュールと、取り出し位置からアクセス位置にトレイを移動させるよう構成されたトレイエレベータと、トレイがアクセス位置に移動されるのに応答して、トレイの複数の貯蔵位置にアクセスするよう構成されたロボットであって、アクセス位置が取り出し位置よりもロボットに近接しているロボットと、ロボットに取り付けられ且つ前記コントローラにて受け取られた物品の要求に応答してトレイの貯蔵位置から物品を取り出すよう構成されたアームエンドツールと、を含む自動分配システムを提供することができる。
【0017】
一部の実施形態によれば、アームエンドツールは、バーコードスキャナ又は無線周波個体識別リーダのうちの少なくとも1つを含むことができ、バーコードスキャナ又は無線周波個体識別リーダのうちの少なくとも1つが、物品の取り出しの前に物品の識別子を読み取るよう構成される。例示的な実施形態の自動分配システムは、アームエンドツール本体と、本体から延びる2又は3以上の真空カップであって、2又は3以上の真空カップが、アームエンドツールの本体に向かって及び該本体から離れるように移動可能である、2又は3以上の真空カップと、2又は3以上の真空カップの各々に吸引力を提供する真空源と、を含む。一部の実施形態によれば、2又は3以上の真空カップの各々を独立して延長及び収縮できるようにコントローラを構成することができ、コントローラは、どの真空カップに吸引力が与えられるかを選択的に決定するように構成することができる。
【0018】
ここで、必ずしも縮尺通りではない添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】共通プロファイルの複数のサイズのビンを用いる本明細書で記載されるオーバーパックの例示的な実施形態を示す図である。
図2】共通プロファイルを各々が有する複数のサイズの蓋付きコンテナを含むオーバーパックの別の例示的な実施形態を示す図である。
図3】把持ループの付いたフレキシブルフィルムパウチを含むオーバーパックの別の例示的な実施形態を示す図である。
図4】オーバーパックとして用いられるバッグの例示的な実施形態を示す図である。
図5】複数のキャビティを定めた単位投与量キャリアを示す図である。
図6】キャビティ内に受け入れられた2つの単位投与量ブリスターパックを含む図5のキャリアを示す別の図である。
図7】オーバーパックとしての複数のサイズのボックスを示す図である。
図8】本発明の例示的な実施形態によるオーバーパックの自動ローディングを示す図である。
図9】袋詰めステーションのバッグローディング動作の例示的な実施形態を示す図である。
図10】カードストックバッキングを含むオーバーパックの別の例示的な実施形態を示す図である。
図11】本発明の例示的な実施形態によるオーバーパックの貯蔵を示す図である。
図12】本発明の例示的な実施形態によるコントローラとして実施することができる例示的な装置を示すブロック図である。
図13】本発明の例示的な実施形態による自動分配システムの例示的な実施形態を示す図である。
図14】本発明によるトレイ構成の複数の例示的な実施形態を示す図である。
図15】本発明の例示的な実施形態による物品の識別の走査ステーションの例示的な表現の図である。
図16】本発明の例示的な実施形態によるバイアルローラーを示す図である。
図17】本発明の例示的な実施形態によるモジュラー式自動分配システムを示す平面図である。
図18】本発明の例示的な実施形態によるモジュラー式自動分配システムを示す別の平面図である。
図19】本発明の例示的な実施形態による2つのロボット有するモジュラー式自動分配システムを示す平面図である。
図20】本発明の例示的な実施形態による貯蔵モジュールを示す図である。
図21】本発明の例示的な実施形態による移動可能なクロージャを有する貯蔵モジュールを示す図である。
図22】本発明の例示的な実施形態による冷蔵保管貯蔵モジュールを有するモジュラー式自動分配システムを示す平面図である。
図23】本発明の例示的な実施形態によるセキュア貯蔵モジュールを有するモジュラー式自動分配システムを示す平面図である。
図24】本発明の例示的な実施形態による自動シンギュレータモジュールを有するモジュラー式自動分配システムを示す平面図である。
図25】複数のブリスターパックを含むブリスターパックカードの例示的な実施形態を示す図である。
図26】本発明の例示的な実施形態による自動パッケージングモジュールを有するモジュラー式自動分配システムを示す平面図である。
図27】本発明の例示的な実施形態によるアームエンドツールを示す図である。
図28】本発明の例示的な実施形態によるアームエンドツールを示す別の図である。
図29】セキュア取り出しキャビネットと共にグリッパーで構成された例示的なアームエンドツールを示す図である。
図30】本発明の例示的な実施形態による自動分配システムの動作方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態は、ヘルスケア施設内の薬剤分配の効率を改善する様々な装置、システム、及び方法を提供することができる。ここで、本発明の一部の実施形態及び構成要素について、本発明の全てではなく一部の実施形態が示されている添付図面を参照しながら以下で詳細に説明する。実際に、本発明の様々な実施形態は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されるものと解釈すべきではなく、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。
【0021】
本発明の例示的な実施形態は、ヘルスケア施設内の薬剤の分配などの物品の自動分配を容易にすることができる方法、装置、及びコンピュータプログラム製品を提供することができる。特にこれらの物品が、サイズ、形状、重量で異なるときに、本実施形態は、物品の分配を自動化する際のかなりのハードルとして出願人によって識別されている問題を解決できる機構を組み入れて、物品分配の効率及び精度を改善することができる。
【0022】
本発明の実施形態は主として、病院及び長期ケア施設などのヘルスケア施設での薬剤及び医療用品の分配に関して記載することができるが、例えば、本明細書に記載される本発明の実施形態は、多種多様なタイプの施設で実施することができ、本明細書に明示的に記述されるものに限定されない。例えば、本実施形態は、物品が注文を履行するために分配できる分配倉庫環境で実施することができる。本明細書で記載される実施形態の特定の態様は、薬剤分配及びこれに関連する必要される精度に特有のものとすることができ、同様の実施構成は、当業者には明らかであろう特定の特徴を省略することができ、又は当業者には明らかな他の特徴を含むことがある。
【0023】
ヘルスケア施設は、薬剤が貯蔵されてヘルスケア施設全体のエリアに分配される中央薬局を含むことができる。一部のヘルスケア施設は、薬剤を貯蔵し遠隔位置に供給して、必要に応じて薬剤及び医療用品を送達するサプライヤー、分配センター、又は遠隔中央薬局に依存する可能性がある。このような実施形態では、サプライヤー、分配センター、又は遠隔中央薬局からの薬剤を受け取りエリアにてヘルスケア施設によって受け取ることができる。本発明の実施形態は、中央薬局から薬剤を分配するものとして説明できるが、中央薬局が遠隔に位置する実施形態、又は分配センターを使用した実施形態は、薬剤及び医療用品が中央薬局又は分配センターから受け取られるエリアから本発明の実施形態を実施することができる。必要とされる薬剤の指示は、中央薬局又は分配センターに十分なリードタイムで提供することができ、これによってヘルスケア施設は、必要とされる時点より前に薬剤を受け取ることができるようになる。
【0024】
分配される物品
本明細書で記載される例示的な実施形態の自動分配システムは、様々なタイプの物品を分配するのに用いることができるが、本明細書で記載される主な実施形態は、薬剤の分配に特に好適である。モジュラリティ及び貯蔵モジュールタイプは、医薬品貯蔵又は医療用品貯蔵の何れかの形態の必要性に対応するよう構成することができる。しかしながら、他の物品も同様に、自動分配システムについて本明細書に記載される様々な構成可能な貯蔵モジュールから利益が得られることを理解されたい。
【0025】
上述のように、例示的な実施形態による自動分配システムは、例えば、ヘルスケア施設の中央薬局で実施することができる。中央薬局から分配される薬剤は、個々の錠剤又はカプセルから1リットル又はそれよりも多くの容量の点滴静注バッグまでの多種多様なフォームファクターとすることができる。他のフォームファクターには、注射器、カープジェクト、バイアル、多投与薬剤コンテナなどが挙げられる。静脈内薬剤チューブ、空の注射器などの医療用品は、ヘルスケア施設内の別々の医療用品分配センターから分配することができ、或いは、場合によっては、中央薬局の作業と医療用品分配の作業を組み合わせることもできる。医療用品及び薬剤の両方は、多種多様なサイズ及び形状として供給される場合があり、従来の自動分配装置から容易且つ効率的に分配されないこともある。ブリスターパッケージに包含された単位投与量の薬剤は、以下で更に説明するように、真空カップの取り出しに利用可能な小サイズで実質的に平面であることに起因して容易に扱うことができるが、点滴静注バッグは、非剛性のパッケージング及び比較的高重量であることにより比較的扱い難い場合がある。更に、製品の扱いは、異なるケアレベルを必要とする可能性がある。例えば、カープジェクト、アンプル、又はバイアルは、比較的脆弱な可能性があるが、タブレットなどの単位投与量の薬剤は、比較的耐久性があるものとすることができる。タブレットは、輸送からの大がかりな保護なしで極めて小さなパッケージで貯蔵し分配することができるが、バイアル、カープジェクト、及びアンプルは、大型で耐久性のあるパッケージングを必要とする可能性がある。同様に、点滴静注薬剤バッグは、輸送に対しては耐久性があるが、簡単に破裂することがあるので、このような製品の貯蔵、取り扱い、及び分配の際には慎重になる必要になる。
【0026】
特定の薬剤は、注射器がバイアルを収容するのに必要な医療用品である場合にバイアルで分配されるように構成されるが、他の薬剤は、食物又は水以外の飲料を患者に摂取するよう要求することがある。このような場合、薬剤を伴う食物又は飲料もまた、医療用品として扱うことができ、このような医療用品は、本明細書で記載されるような他の医療用品を分配できるように分配することができる。
【0027】
本明細書で記載される一部の実施形態によれば、一部の製品は、より均一で、把持し易く、貯蔵し易いパッケージフォームファクターに薬剤又は医療用品を内包又は保持するオーバーパック又はパッケージングに再パッケージ化することができる。オーバーパックは、共通のパッケージングサイズ、プロファイル、形状、把持特徴、内容保護などを提供することができる。
【0028】
本明細書では、異なる形状、サイズ、及び取り扱い要件(例えば、脆弱、感温性、など)を有する多種多様な薬剤及び医療用品と共に用いるための均一又は準均一なオーバーパック又は二次パッケージングの様々な実施形態が提供される。本明細書で記載されるオーバーパックは、ほぼ不均一のフォームファクターに対して均一性の態様を提供することができる。均一性は、オーバーパックが均一なプロファイルを有する複数の様々なサイズのビンを含む場合などにオーバーパックのプロファイルの形とすることができ、又は均一性は、様々なフォームファクターを保持するように構成された複数の様々なサイズのバッグの配置/保持孔の形とすることができる。
【0029】
図1は、共通プロファイルを有する異なるサイズのビンを用いた本発明の例示的な実施形態によるオーバーパックの例示的な実施形態を示す。図示したビン102、104、106、及び108の各々は、異なるサイズであるが共通プロファイルを維持している。最も小さなビン102は、経口薬剤110の単位投与量(例えば、錠剤、カプセル、タブレットなど)などの小さな項目を保持するよう構成でき、最も大きなビン108は、各々が大きすぎて小さなビン102、104、又は106の何れにも合わない可能性がある1リットル点滴静注バッグ112及び/又は点滴チューブ114などの大きな項目を保持するよう構成することができる。最大のビンと最小のビンの間のビン(104、106)は、バイアル、注射器、100mL点滴静注バッグなどの薬剤及び/又は医療用品を保持するよう適切な大きさにすることができる。ビンの均一なプロファイルは、このようなプロファイルを収容するよう構成されたコンベヤラインに沿ってビンが処理されるようにできる。均一プロファイルのビンは、異なるサイズのビンの間で変化する占有棚の幅だけを有する共通棚に貯蔵することができる。変化するサイズのビンの一部の実施形態は可変長を含むことができ、他の実施形態は共通長及び可変深さを含むことができる。例えば各ビンは、棚の同じ幅を占めることができるが、ビンは、追加の容量を生成するために棚の後ろに延長することができる。
【0030】
一部の例示的な実施形態では、オーバーパックを密閉又は閉止して、オーバーパックの内容物を保護及び/又は固定することができる。例えば、図1の様々なサイズのビンは、フック・アンド・ループファスナーシステムによってビンに固定することができる蓋、スナップ式蓋、又は熱又は超音波溶接プラスチックフィルムシールを含むことができる。オーバーパックに用いられるクロージャのタイプは、オーバーパックの使用に応じて変えることができる。例えば、ヘルスケア施設内の手動分配のためのオーバーパック(例えば、看護師カートを介した)はクロージャを必要としないか、又は単純なスナップ式クロージャを用いることができる。ヘルスケア施設内の自動分配のためのオーバーパック、又は長距離輸送配送サービスを介した分配のためのオーバーパックは、熱封止フィルムクロージャなどの不注意に開くことのない安全なクロージャを要求することができる。
【0031】
クロージャは、オーバーパック内に包含される内容物のタイプに応じて変えることができる。例えばオーバーパックが、湿度又は湿り気に露出してはならない環境的に慎重を期する内容物を包含する場合、熱封止フィルムクロージャから利益を得ることができる。不活性ガスを満たしたオーバーパックに酸素に弱い内容物を入れる場合、オーバーパックには空気及び湿り気に影響されないクロージャを使用することができる。
【0032】
管理される物質の場合に、又は内容物が盗難の標的になる可能性が高い場合に、内容物が政府によって規制されるものであるかどうかに基づいてオーバーパックのクロージャを選択することができる。このような実施形態では、ロック可能なクロージャを用いてオーバーパックを封止することができる。図2は、ヒンジクロージャを備えたオーバーパックの例示的な実施形態を示す。図のように、図2のオーバーパック120は、共通プロファイルを含むことができるが、様々なサイズの薬剤及び医療用品に対応するための変化する幅を有する。オーバーパックベース122及びヒンジ付き蓋124が二枚貝方式で開き、薬剤又は医療用品を包含する内側キャビティへのアクセスを可能にすることができる。図のように、オーバーパックは分割器126を含むことができ、2つの物品が互いに干渉することなく1つのオーバーパック内に運ばれるようにできる。分割器によって作られた分離によって複数の薬剤が特定の患者のためのオーバーパックに包含されるときの混同又は誤りを低減するのに役立つ。図2のオーバーパックには、ラッチ128内に受け入れられるタブ130を含むクロージャ機構が示されている。クロージャ機構は、鍵、コード、又は生体識別子を必要とする施錠機構とすることができる。例えば、認証された医療スタッフが、その人物又はナースステーションに保持された磁気キーなどのキーへのアクセスを有することができ、ラッチ128を開錠することができる。任意選択的に、ラッチは、輸送中に閉止された位置に蓋124を維持するよう構成されるプッシュ‐ボタン開放とすることができる。
【0033】
クロージャ及びロックを用いて管理下の物質を保護することができるが、管理下の物質のセキュリティが、麻薬及び他の管理下物質が非管理下物質と区別されないような曖昧さによるセキュリティに頼ることがあり、これによって複数の薬剤オーバーパックの中で管理下物質を位置付けることが困難である場合がある。以下に説明するように、貯蔵位置は、麻薬又は高値の物品を保護するために必要なセキュリティ対策を含むことができ、これによってオーバーパックは、使用された場合に何れかの追加のセキュリティ対策を要求することがない。
【0034】
図3は、オーバーパックの別の例示的な実施形態を示す。図3に示した実施形態は、薬剤及び医療用品の複数のサイズを収容するための様々なサイズに適用できる再利用可能折り畳み式パウチスタイルオーバーパックである。パウチ132は、内容物が移動しないように保持できる伸縮性のある成形し易い材料134から作ることができる。この材料は、パウチの内容物を確認し易いようにほぼ透明とすることができる。材料134は、縁の周りに粘着性のストリップ136を有することができ、これによって材料のシート134が折りたたまれたときにパウチ132が形成される。粘着性ストリップ136は、フック・アンド・ループタイプのファスナー又は開放可能な粘着性材料とすることができ、再使用のためにパウチを開いて再度閉じるのを容易にできる。任意選択的に、パウチスタイルのオーバーパックは、使い捨て用に製作することができ、パウチ132が破って開かれるようにする非開放可能な粘着剤を含むことができる。このような使い捨てタイプのパウチは、異物混入の証拠を必要とする実施形態に有益とすることができる。パウチ132は、輸送及び分配ときにパウチを吊るすか又は把持するために使用できるループ138又はフックを含むこともできる。上記に概説したように、一部のオーバーパックは、ループ138などの共通サイズ及び/又は形状の把持特徴を含み、共通サイズ又はプロファイルとは対照的に、又はこれと組み合わせて自動又は効率的な処理を支援することができる。
【0035】
本発明によるオーバーパックは、エンベロープ又はバッグなどの他の形式で実施することができる。図4は、孔142を含むバッグ140の形式のオーバーパックの例示的な実施形態を示す。バッグタイプのオーバーパックは、中に薬剤又は医療用品を収容するための何れの必要なサイズにもすることができ、孔142は、バッグ140を保持し、貯蔵し、且つ把持するために用いることができる。バッグ又はエンベロープスタイルのオーバーパックは、薬剤又は医療用品がオーバーパックのコストとしてサプライヤーから受け取られる事例で助けとなり、中に用いられる材料は比較的最小である。自動分配システムなどの薬局自動化ツールは、このようなオーバーパックに薬剤及び医療用品をパッケージ及び分配するよう構成することができ、これによってオーバーパックへの薬剤又は医療用品の手動パッケージングが必要なくなり、これによって効率が向上しコストが下がる。一部の薬剤は、バッグスタイルオーバーパック140で供給される単位投与量ブリスター146の図示されたボックス144などのオーバーパックのバルク量でサプライヤーから利用可能とすることができる。
【0036】
単位投与量ブリスターは、その不規則なサイズ及び形状のせいで自動処理には厄介であるか又は問題が多いことがある。しかしながら、本明細書で記載される例示的な実施形態は、ブリスターパックの貯蔵、取り出し、及び識別を容易にする機構を提供することができる。図5は、中に複数のキャビティ151を定める単位投与量キャリア150を示す。各キャビティは、単位投与量ブリスターの薬剤の単位投与量を受け入れるよう構成することができる。キャビティ151は、薬剤単位投与量ブリスターバックの後ろから延長する薬剤ブリスター(すなわち、実際の薬剤単位投与量を包含する突起部)を受け入れるようなサイズにされた凹部152を含むことができる。ブリスターパックの裏側が、一般的には凹部152の中に受け入れられるブリスターの反対側に薬剤を識別する情報を包含するので、向かい合うブリスターパックの裏側からキャビティ内に薬剤単位投与量ブリスターパックを受け入れられるようにする。
【0037】
キャビティ151及び凹部152のサイズ、形状、及び深さは、様々な形状及びサイズの単位投与量ブリスターの大きなサンプリングに対応するよう構成することができる。図5のキャリア150によると、キャリアは、各キャビティ151に1つが入る2つの単位投与量ブリスターを保持するよう構成される。図のように、単位投与量ブリスターは、各キャビティ151の中に受け入れることができ、薬剤ブリスターの表面が下になり凹部152に受け入れられる。この向きは、キャリア150によって定められた平面にほぼフラットになるように単位投与量ブリスターを位置付け、識別情報及び他の印字薬剤情報(例えば、ブリスターの後ろ側のブリスターの側面に表示された情報)をキャリアの上から見えるようにする。これは、キャリア150内に包含された薬剤単位投与量に関する情報の走査を可能にする。
【0038】
薬剤単位投与量の均一の向きがキャリア150の中で容易に識別されることによって、キャリア構成は、取り出し及び配送処理中にピッキングシステムの信頼できる機構が単位投与量ブリスターを(例えば、ブリスター除去機構を用いて)真空でピックするのを可能にする。図5のキャリアは、自動ピッキングシステムがキャリア150を取り出し且つ掴む位置としてのタブ153を用いてキャリアを運ぶのを可能にできるタブ153を含む。図示したキャリ150は、複数のキャリアを運ぶハウジングなどのハウジングの内側にキャリア150を保持するよう構成することができるリテーナ154を含む。これは、例えばシステムの振動によって起こることがあるハウジングからのキャリアの不用意な動きを防止することができる。
【0039】
図6は、キャビティ151内に受け入れられた2つの単位投与量ブリスターパックを含むキャリア150の別の図を示す。図のように、ブリスターパックのブリスターは、表面を下に向けており、ブリスターが凹部152の中に受け入れられている。薬剤の名前155及び機械可読バーコード156などの単位投与量ブリスターパックの薬剤に関する識別情報を、上を向いた平面表面に見ることができる。ブリスターパックのほぼ平面の裏側が、吸引カップタイプの取り出しツールを用いて真空ピッキングデバイスによって係合できる平滑な表面を提供する。これによって残りの薬剤単位投与量ブリスターを邪魔することなくキャリア150から各薬剤投与量ブリスターを個々に持ち上げることができる。
【0040】
図7は、本発明の実施形態によるオーバーパックの別の例示的な実施形態を示す。図示した実施形態は、小さなボックス147から大きなボックス148に渡る様々なサイズのボックスを含む。小さなサイズ及び大きなサイズは、ヘルスケア施設内で取り扱われる薬剤及び医療用品のサイズによって規定することができる。図示の実施形態では、ボックス147、148は、ボックスの前面にヒンジ付きドアを含む。ドアは、前面の下部に近接してヒンジを付けることができ、外側に開く。これらのボックスは、ボックスが積み重ね構成149で並べられると同ときにボックスの各々とドアの各々がアクセス可能のままであるように共通の深さを含むことができる。
【0041】
上述の一部のオーバーパックは中央薬局などの自動分配システムでの薬剤又は医療用品の貯蔵に用いることができ、他のオーバーパックは、自動分配デバイスから分配された状態の薬剤又は医療用品を受け入れるために用いることができる。例えば、本発明の実施形態によるオーバーパックは、薬剤注文履行の自動化を容易にすることもできる。例えば図8に示すように、様々なサイズであるが共通プロファイルのエンプティビン160を、コンベヤ162に沿って運ばれ且つロボット164又は自動化の他の形態によって充填されるよう構成することができる。ロボット164は、患者に分配するための薬剤又は医療用品166をビン160に入れることができる。本発明の実施形態は、在庫から患者に近い位置に運ぶためのオーバーパックに薬剤を分配できる既存の自動薬局分配システムと共に用いることもできる。従って、薬剤オーバーパックは、以下に説明する自動分配デバイス内の貯蔵に実施することができる、及び/又は分配された薬剤を受け入れるために実施することができる。一部の実施形態によれば、図4のオーバーパック140などの自動分配デバイス内で用いられるオーバーパックは、図8に示すように図1のビンなどの別のオーバーパックに自動分配装置によって分配することができる。
【0042】
オーバーパックは、単一の薬剤(すなわち、単位投与量)、薬剤及びこれに関する医療用品(例えば、薬剤のバイアル及び注射器)だけを包含するよう構成することができるか、又はオーバーパックを、同じ患者に対して定められた複数の薬剤を包含するよう構成することができる。例えば、患者が朝に5つの薬剤、昼間は3つ、及び夕方は4つの薬剤を必要とする場合、1つのオーバーパックに5つの朝の薬剤を入れることができ、2番目のオーバーパックに3つの昼間の薬剤を入れることができ、別のオーバーパックに4つの夕方の薬剤を入れることができる。このような実施形態では、単位投与量薬剤における個々の追跡及び制御が失われる可能性があるが、薬剤が患者に必要とされる各時間に単一のオーバーパックだけを用いることによって効率が得られることになる。
【0043】
以下に説明するように、例示的な実施形態のシステムは、1又は2以上の薬剤がバッグに入れられバッグがオーバーパックになる袋詰めステーションを含むことができる。このような実施形態では、最初に薬剤が取り出されビンに分配されて、ビンが袋詰め又はバッグローディングデバイスに移される。袋詰めステーションのバッグは繊維状のバッグ(例えば、ロール式又は糸巻き式のバッグ)になっており、バッグがミシン目によって分離される事前に定められた長さであり一方の端で封止されるか、又は繊維状のバッグを材料のチューブの連続した繊維とすることができ、袋詰めステーションが一方又は両方の端でバッグを封止し、必要に応じてバッグを互いに分離することができる。
【0044】
一部の実施形態によれば、袋詰めステーションで、バッグに入れられる内容物、バッグの宛先、バッグの内容物が処方される患者などの情報がバッグに印刷される。バッグには、機械認識を容易にするための固有の機械可読識別子を印刷することができる。バッグは1つの位置にインデックスすることができ、バッグに印刷された指示が適切であることを保証するために走査され、薬剤を受け取るために開かれる。
【0045】
図9は、袋詰めステーションのバッグローディング動作の例示的な実施形態を示す。Aに示すように、1又は2以上の薬剤を包含するローディングビン158が袋詰めステーションのオープンバッグ157に挿入される。ローディングビン158は、例えば159のアームエンドツールを用いるロボット204によって前進することができる。ローディングビンは、フロア161及びエンドパネル167を含む。図9Bに示すように、ローディングビン158がバッグ157に挿入された状態で、ギア駆動部168などの多種多様な機構によって使用可能になるフロア161が引っ込められる。ビン158の底部の下からフロア161をスライドさせて、バッグ157の内側にビンの内容物を残す。Cに示すように、エンドパネル167が上昇し、これによってビン158が矢印169に沿ってバッグから引き出されるようにする。従って薬剤163は、薬剤の何れかを損傷するリスクを最小にしてバッグ157内に残される。
【0046】
例示的な実施形態のバッグは、1又は2以上の物品の除去ときに封止及び再封止できる再封止可能な特徴を有することができる。特定の薬剤又は設備に対して、不正開封防止封止が望ましい。上述のように、弾帯のバッグを形成できるように、バッグは連続した繊維から形成することができ且つ分離されることなく充填することができ、複数のバッグが同じ位置に届けられるか又は同じ患者に処方される実施形態で有益とすることができる。任意選択的に、薬剤を薬剤キャビネットに補充するために分配することができ、これによって弾帯のバッグは同じキャビネット内の異なる薬剤を補充するのに有益になる。バッグは、バッグ内に閉じ込められる空気を最小にするために孔を付けることができ、バッグを開き易いようにクイックアクセスのミシン目を含むことができる。バッグの印刷部分又はバッグの一部を取り除き易いようにミシン目を介して取り付けることができる。患者情報又は健康情報保護法(HIPAA)の下で保護される情報は、このような保護に準拠するようバッグから取り除くことができる。バッグは任意選択的に透明ではなく不透明又は半透明にすることができ、患者のプライバシーを保護するか又は盗難の標的となることがある麻薬などの薬剤のタイプをマスクすることができる。
【0047】
本発明の一部の実施形態によれば、オーバーパックは、オーバーパックの内容物を識別するためにその上に添付された識別指示を含むこともできる。1つの実施形態では、オーバーパックは、オーバーパックに入れられる薬剤又は医療用品に相関付けられるオーバーパック識別番号を含むことができる。オーバーパック識別番号と内容物の間の相関付けは、オーバーパックに荷物を入れる自動システムによって実行することができる。このような相関付けによって、オーバーパックの走査を可能にし、オーバーパック識別番号を決定し、データベースで参照されたときにオーバーパックの内容物を人が精査する必要なくオーバーパックの内容物を決定することができる。データベースは、ヘルスケア施設内で分配される薬剤を追跡及びモニタするよう構成されたヘルスケア施設のサーバによって維持することができる。
【0048】
別の実施形態によれば、オーバーパックは、オーバーパックの内容物を示すために書かれたラベルを含むことができる。図10は、オーバーパック170に印刷及び添付される患者識別ラベル172の例示的な実施形態を示す。図示したオーバーパックは、薬剤単位投与量を受け入れるよう構成されたブリスターパック、バッグ、又はエンベロープとすることができる。オーバーパック170は、均一な貯蔵及び取り出しのための孔174を付けて構成することができる。患者識別ラベル172として示されているオーバーパックに添付されたラベルは、特定の患者に関わることなくオーバーパックの内容物を識別することができる。図示した実施形態では、患者識別ラベルは、患者を識別するバーコード又は他の指示を含むことができ、患者識別ラベル172をポケットに挿入することができるか又はオーバーパック170に添付することができる。この識別は、別々のラベルよりもオーバーパック材料に直接印刷することもできる。
【0049】
図11は、ロッド176で運ばれるオーバーパック170の例示的な実施形態を示す。オーバーパック170は、自動分配、輸送、又は貯蔵のためにロッド176で運ぶことができる。図示した患者識別ラベル172はバーコード及び名前を含むが、実施形態は、バーコード、テキスト、又は他の人間又は機械可読情報を含むことができる他の識別指示を除くか又はこれに加えたRFIDリーダによって読み取られるよう構成された無線周波個体識別(RFID)ラベルを含む患者又はオーバーパック内容物ラベルを含むことができる。一部の実施形態では、ラベル172は、許可された医療スタッフがオーバーパックの内容物が正しいことを目で確認できるようにするためにオーバーパック170内に包含されると想定される薬剤の画像を含むことができる。識別指示はラベルに印刷することができるが、本発明の実施形態は、電子インクラベルを用いるオーバーパックを含むことができる。電子インクラベルは、薬剤又は医療用品がオーバーパックに荷積みされたときに電子インクラベルがオーバーパック内に包含された薬剤又は医療用品に関する識別指示を表示するようプログラムされるようにプログラミングによって「印刷」することができる。電子インクラベルは、これらがユーザによって又は読取デバイスによって読み取られるように従来通り印刷されたラベル(例えば、感熱印刷、インクジェット印刷、レーザー印刷などによって)と同じ様式で機能することができる。
【0050】
加えて又は代替えとして、ブリスターパックなどの薬剤は、ブリスターパックに印刷された識別情報を含むことができる。薬剤パッケージングの識別指示がオーバーパックを通して読み取られるようにオーバーパックを構成することができる。例えば、識別情報を付帯されたブリスターパックを、バッグを通してブリスターパックを読めるようにできるバッグに入れることができる。しかしながら、以下に説明するようにブリスターパッケージがアームエンドツールによる貯蔵及び取り扱いに十分である場合に自動分配装置に貯蔵するときにブリスターパッケージはオーバーパックを必要としないことがある。
【0051】
自動分配システム
本明細書で記載される自動分配システムは、要求ときに分配される物品の在庫を必要とする。これらの分配システムは、受け取られた注文を履行するための必要な在庫を維持するために定期的に補充しなくてはならない。自動分配装置に貯蔵される物品の在庫は、上述したものなどのオーバーパックに、又は薬剤の単位投与量のブリスターパッケージ、アンプル、ボックス、バッグなどの物品の本来のパッケージングに貯蔵することができる。
【0052】
自動分配システムは、自動分配の機能を制御するよう構成されたコントローラを必要とすることがある。コントローラは、多種多様な方式で構成することができ、この例を図12に示している。例示的な実施形態のコントローラは処理回路を含むことができる。処理回路は、本明細書で開示する1又は2以上の例示的な実施形態による動作を実行するよう構成することができる。これに関して、処理回路は、様々な例示的な実施形態による薬剤及び/又は医療用品などの製品の取り扱い、貯蔵、又は分配の1又は2以上の機能の性能を実行及び/又は制御するよう構成することができる。処理回路は、1又は2以上の例示的な実施形態によるデータ処理、アプリケーション実行、及び/又は他の処理及び管理サービスを実行するよう構成することができる。一部の実施形態では、処理回路などのコンピュータデバイス又はその一部又は構成要素は、回路チップとして実施するか又はこれを含むことができる。回路チップは、本明細書で記載される機能を提供するための1又は2以上の動作を実行するための手段を構成することができる。
【0053】
自動分配システムのコントローラとして実施することができる装置の略図を図12に示している。図のように、一部の例示的な実施形態では、処理回路はプロセッサ230を含むことができ、一部の実施形態では、メモリ232を含むことができる。処理回路は、ユーザインタフェース234及び/又は通信インタフェース236と通信し、これを含むか又はそうでなければ制御することができる。このように、処理回路は、本明細書で記載される動作を実行するよう(例えば、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって)構成された回路チップ(例えば、集積回路チップ)として実施することができる。
【0054】
プロセッサ230は幾つかの異なる方法で実施することができる。例えばプロセッサを、マイクロプロセッサ又は他の処理要素、コプロセッサ、コントローラ、又は、例えばASIC(特定用途向け集積回路)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)などの集積回路を含む様々な他のコンピュータ又は処理デバイスの1又は2以上などの様々な処理手段として実施することができる。単一のプロセッサとして示されているが、プロセッサが複数のプロセッサを含むことができることが理解されるであろう。複数のプロセッサは互いに通信することができ、本明細書で記載されるように薬剤を取り扱い、貯蔵、輸送、又は分配するシステムの1又は2以上の機能を実行するよう共同で構成することができる。複数のプロセッサは、単一のコンピュータデバイスで実施するか又は複数のコンピュータデバイスに渡って分散させることができる。一部の例示的な実施形態では、メモリに格納された命令を実行するか又はそうでなければプロセッサにアクセスできるようプロセッサを構成することができる。このように、ハードウェアによって又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって構成されるかに関わらず、プロセッサは、本発明の実施形態に応じて構成された場合にこれに従って動作を実行することができるエンティティ(例えば、処理回路の形態の回路で物理的に実施される)を表すことができる。従って、例えばプロセッサが、ASIC、FPGAなどとして実施されたときに、プロセッサは、本明細書で記載される動作を行うよう具体的に構成されるハードウェアとすることができる。代替えとして、別の例として、プロセッサがソフトウェア命令の実行器として実施されるときに、命令は、本明細書で記載される1又は2以上の動作を実行するようプロセッサを具体的に構成することができる。
【0055】
一部の例示的な実施形態では、メモリ232は、例えば固定又は取り外し可能の何れにもすることができる揮発性及び/又は不揮発性メモリなどの1又は2以上の非一時的メモリデバイスを含むことができる。これに関して、メモリ232は、非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体を含むことができる。メモリ232が単一のメモリとして図示されているが、メモリは複数のメモリを含むことができることが理解されるであろう。複数のメモリは、単一のコンピュータデバイスで実施することができるか、又は複数のコンピュータに渡って分散させることができる。メモリは、1又は2以上の例示的な実施形態により様々な機能を本発明の実施形態が実行できるようにするための情報、データ、アプリケーション、命令などを格納するよう構成することができる。例えばメモリは、プロセッサによる処理のための入力データをバッファするよう構成することができる。加えて又は代わりに、メモリをプロセッサによって実行される命令を格納するよう構成することができる。更に別の代替えとして、メモリは、多種多様なファイル、コンテンツ、又はデータセットを格納することができる1又は2以上のデータベースを含むことができる。メモリのコンテンツの中では、各それぞれのアプリケーションに関連付けられる機能を実行するためにプロセッサにより実行されるアプリケーションを格納することができる。
【0056】
自動分配システムのユーザモジュールのユーザインタフェースなどの例示的な実施形態のユーザインタフェース234は、処理回路と通信して、ユーザインタフェースでユーザ入力の指示を受信する及び/又は聴覚、視覚、機械、又は他の出力をユーザに提供することができる。このように、ユーザインタフェースは、例えばキーボード、マウス、ジョイスティック、ディスプレイ、タッチ画面ディスプレイ、マイクロフォン、スピーカ、及び/又は他の入力/出力機構などのユーザ入力インタフェース234を含むことができる。従ってユーザインタフェース234は、一部の例示的な実施形態において本発明の実施形態のユーザ制御のための手段を提供することができる。本発明が、サーバ、クラウドコンピュータシステムなどとして実施される一部の例示的な実施形態では、ユーザインタフェースの態様が限定されることがあるか又はユーザインタフェースが存在しないこともある。一部の例示的な実施形態では、ユーザインタフェースの1又は2以上の態様をユーザ端末で実施することができる。従って、実施に関わらず、ユーザインタフェースは、1又は2以上の例示的な実施形態による薬剤の取り扱い、貯蔵、輸送、又は分配を容易にするための入力及び出力手段を提供することができる。
【0057】
通信インタフェース236は、他のデバイス及び/又はネットワークとの通信を可能にする1又は2以上のインタフェース機構を含むことができる。一部のケースでは、通信インタフェースを、処理回路と通信するネットワーク及び/又は何れかの他のデバイス又はモジュールからデータを受信及び/又はデータを送信するよう構成されたハードウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせの何れかで実施されるデバイス又は回路などの何れかの手段とすることができる。例によって、通信インタフェース236は、本発明の実施形態がアプリケーションサーバ及び/又はネットワーク及び/又は情報データベースと通信するのを可能にするよう構成することができる。従って、通信インタフェースは、例えば、ケーブル、デジタル加入者回線(DSL)、ユニバーサルシリアルバス(USB)、イーサネット、又は他の方法を介して通信を可能にする支援ハードウェア及び/又はソフトウェアを含むことができる。
【0058】
図13は、図12に関して上述したコントローラによって制御できる本発明の例示的な実施形態による自動分配デバイスシステム200の実施形態を示す。図示した実施形態は、例えば以下に説明するように物品の取り出し及び分配のための6軸ロボットアームとすることができるロボット204に近くに並べられた複数の貯蔵モジュール202を含む。ロボット204はトラックシステム206に位置付けることができ、ロボットが貯蔵モジュールへのアクセスを提供するトラックに沿って移動できるようにし、自動分配システムの拡張性及びモジュラリティを可能にする。ロボット204は、必要に応じた取り出し、移動、及び配置のために物品に取り付けられるよう構成されたアームエンドツール208を含むことができる。
【0059】
一部の実施形態によれば、以下の開示により明らかになるように物品の分配及び物品の操作を容易にするために作業プラットフォーム210を提供することができる。作業プラットフォーム210は、ロボット204に有利に結合することができ、ロボット204によってトラックシステム206を横断することができる。ロボット及び作業プラットフォーム210は、ロボット204のベースに取り付けられたピニオンギア、トラックシステムに沿って延長するラックギアなどの何れかの従来の方式でトラックシステムに沿って移動することができる。任意選択的に、ロボット204をトラックシステム206に沿ったベルト駆動式とすることができる。トラックシステムに沿ったロボットの推進機構に関わらず、トラックシステムに沿ったロボットの位置は、トラックシステムの組み込み式センサ又はタグ、ロボット204の位置測定、又はトラックシステムに沿って正確に位置を測定する何れかの方法を介して精密にモニタすることができる。トラックシステム206に沿った位置の測定は、ロボット204アームの正確且つ繰り返し可能な動き及びエンド・オブ・ツール208の位置決めを容易にし、システム200全体を通した物品の取り出し及び移動の精度を拡張することができる。電力、水力(必要な場合)、空気伝達(例えば、真空又は圧力)、及びハードワイヤード通信は、全ての必要は配線、配管などを繋げることができるアンビリカル205を介してロボット204と通信することができ、例えば、コントローラ、水圧ポンプ、空気ポンプ、及び電源などの固定装置との電気及び流体通信を維持すると同ときにロボット204がトラック206を横断するのを可能にできる。
【0060】
貯蔵モジュール202は、複数の物品を貯蔵するよう構成することができ、各物品は、ロボット204のアームエンドツール208にアクセス可能である。垂直棚の配列は、貯蔵密度を上げるために複数の物品を貯蔵するのに十分であると同ときに、利用可能な貯蔵位置が横に伸びて貯蔵容量を大幅に上げることができる。増加貯蔵容量を達成するために、貯蔵モジュールは、貯蔵モジュール202内に受け入れることができる複数のトレイ212を含むことができ、トレイ202が貯蔵モジュール内に受け入れられる貯蔵位置と、トレイ212が貯蔵モジュールから滑り出てロボット204及びアームエンドツール208にアクセス可能である取り出し位置の間で移動するよう構成することができる。
【0061】
例示的な実施形態の自動分配デバイスシステム200は、図12のコントローラによって実施できるユーザモジュール214を含むことができるか、又はこれから分離することができる。例示的な実施形態の自動分配デバイスシステム200は、遠隔ワークステーション、コンピュータ、コントローラなどの遠隔インタフェース又は遠隔注文要求/履行装置を介して完全に制御できるが、図示した実施形態は自動分配デバイスシステムに統合されたユーザモジュール214を含む。ユーザモジュール214はユーザインタフェース216を含むことができる。ユーザインタフェース216は、ディスプレイ(例えば、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機LEDディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイなど)などのユーザに情報を提供するための手段、及びユーザが情報を入力する手段を含むことができる。情報を入力するための手段は、タッチスクリーンディスプレイ、キーボード、ポインティングデバイス(例えば、マウス)、走査デバイス(例えば、バーコードスキャナ又は無線周波個体識別(RFID)スキャナなど)を含むことができる。ユーザモジュール214を用いて、物品の分配を要求し、分配される物品の待ち行列を精査し、間違いを調べるするか又は問題などを訂正することができる。
【0062】
例示的な実施形態の自動分配デバイスシステム200は、自動方式で物品を分配することができ、分配デバイスにこれを行わせることができる。例えば自動分配デバイスシステム200は、トレイ212から物品、例えばビンを分配することができる。ヘルスケア施設の自動分配システムの例示的な実施形態によれば、本発明のシステムは、特定の患者に1又は2以上の薬剤を分配する要求を受け取ることができる。これに応じて、ロボット204がトラックシステム206に沿って、要求された薬剤の1又は2以上を包含するトレイにアクセスするための位置に進むことができる。トレイ212は、貯蔵モジュール202の機構を介して又はロボット204を用いるかの何れかで取り出し位置に進み、トレイを取り出し位置に動かすことができる。トレイが取り出し位置に来た状態で、ロボットアームエンドツール208が、要求された薬剤の1つが貯蔵されているトレイの位置の上の位置までロボット204によって移動できる。アームエンドツール208は、そこに貯蔵されている薬剤を取り出して、薬剤を分配位置に移すことができる。分配位置は、例えば、作業プラットフォーム210上に位置付けることができる患者固有のビンとすることができるか、又はシステム200のモジュールの分配エリアに位置付けることができる。患者の要求される薬剤の各々が取り出され患者固有のビンに分配された状態で、ビンを患者への輸送のための位置に動かすことができる。輸送デバイスの1つのこのような例は、ナースカートなどのカートである。
【0063】
図13に図示した実施形態は、カートモジュール218及びカート220を含む。カート220は、自動分配システム200の外側の位置からカートモジュール210内に受け入れることができ、これによってカートモジュールからのカートの出し入れがシステム内のロボット204の動作を妨げることはない。カートは、カートモジュール218内でロボット204にアクセス可能とすることができる。ロボットは、カートモジュール218のカート220に要求された薬剤を包含する患者固有のビンを動かすことができ、これによって患者固有のビンは、カート220による患者への輸送の準備ができる。任意選択的に、カートは、複数の貯蔵位置を含むことができ、ロボット204は、別々の患者固有のビンを必要とすることなくカートの貯蔵位置に患者に要求される薬剤を分配することができる。
【0064】
本明細書で記載される例示的な実施形態によれば、自動分配システム200は、マニュアル介入を必要とすることなく、薬剤などの複数の物品をカート202などの輸送デバイスに分配することができる。自動分配は、自動分配システム200に受け入れられた場合に且つ分配のためにシステム内で取り出される場合に、物品の適正な識別を介して達成することができる。
【0065】
各貯蔵モジュール202内の各トレイ212は、複数の位置を含むことができ、各位置は一意の識別情報を有する。位置は、位置のバーコード又はRFIDタグなどの識別子に基づいて一意的に識別することができるか、又は例えばトレイ内の座標(例えば、デカルト座標)によって一意的に識別することができる。トレイは、貯蔵されている異なるタイプの物品に対応するために様々な異なる構成を有することができる。図14は、本明細書で記載される例示的な実施形態によるトレイの幾つかの任意の構成を示す。トレイは、222で示される薬剤カップなどの複数のカップを保持するよう構成することができる。トレイは、224で示されるように薬剤単位投与量ブリスターパッケージなどの複数のブリスターを保持するよう構成することができる。トレイは、226で示されるように均一又は異なるサイズとすることができる複数のビンを保持するよう構成することができる。これらのビンは、以下に詳しく説明するように中に包含した物品の識別を容易にするために透明にすることができる。トレイは、228で示されるように複数の個々の単位投与量ブリスターパッケージを包含するカードなどの複数のカードを保持するよう構成することができる。トレイは、自動分配を必要とする物品の何れのタイプも保持するように多種多様な方式で構成することができる。トレイは、単一のトレイで実施される図14のトレイ構成の何れの組み合わせも含む多種多様な異なるフォームファクターを保持するよう構成することができる。トレイのポケットは、特に平滑なプラスチックトレイポケットの上に比較的摩擦の多い材料によって任意選択的に一直線に並べることができる。これは、例示的な実施形態がラベルを上にした位置の薬品バイアルなどのポケットに装填される物品の位置を維持し、ポケット内の物品の振動及び移動の影響を軽減してポケット内の物品の容易な識別を可能にすることができる。
【0066】
例示的な実施形態によれば、トレイの各位置は、トレイ内の位置の配置が公知であるように一意的に識別することができる。トレイの寸法及びこの配置は、図12に示したコントローラのメモリ232などのメモリ内に格納することができる。各トレイは、メモリ232が各トレイに対する位置識別子と共に固有のレイアウト及び寸法を含むよう固有とすることができる。このような実施形態では、各トレイは、バーコード、2次元バーコード、RFIDタグなどの一意の識別子を含むことができる。任意選択的に、トレイの特定の数の構成が存在でき、各構成は一意の識別情報を有することができる。このような実施形態では、トレイの識別は構成情報だけしか提供しないが、貯蔵モジュール内のトレイの位置をコントローラ232のメモリ内に格納してトレイからの物品の取り出しを容易にすることができる。
【0067】
例示的な実施形態のトレイ212は、特定の貯蔵モジュール内に維持するか又はこれに関連付けることができ、これによってトレイは、トレイからの物品の分配のために補充される。しかし一部の実施形態によれば、トレイを貯蔵モジュールから取り除くことができ、貯蔵モジュール内のトレイの交換を通して補充を発生させることができる。トレイが貯蔵モジュールから取り除けるケースでは、トレイ212の識別が、貯蔵モジュールへの受け入れときに走査デバイスなどのデバイスによって読み取られ、これによってコントローラが特定のトレイに自動貯蔵デバイス内の特定の位置を関連付けることができる。
【0068】
本明細書で記載されるように物品が自動分配システムから分配される場合、分配のための物品の在庫を維持するために物品の補充が必要である。補充は、分配動作間の休止時間に起こすことができる動作であり、例えばこれは、薬剤が分配されることが少ないヘルスケア施設で一晩中起こすことができる。補充の様々な方法を用いて、本明細書で記載される自動分配システムを補充することができ、高速及び効率的な方式での補充が、補充を行うことができる休止時間がほとんどない実施で重要になる。
【0069】
例示的な実施形態の自動分配システム200は、本明細書で記載されるようにロボット204及びアームエンドツール208を用いて自動補充を提供することもできる。補充は、全トレイ212、又は一部の交換を通して起こすことができる。例えば補充カートをカートモジュール218内に受け入れることができ、ここで補充カートは貯蔵されている複数のトレイを含む。これらのトレイは、図14に関して上述したように複数の貯蔵位置を含むことができる。トレイはカートから取り除くことができ、これによってトレイをロボット204によって取り出すことができる。補充カートのトレイは、貯蔵モジュール202のトレイ212と同じサイズにすることができ、貯蔵モジュールのトレイと取り替えることができる。このような実施形態では、補充は、補充カートからの補充トレイと貯蔵モジュール内のトレイとの交換を介して起こすことができる。しかし一部の実施形態によれば、補充カートは、貯蔵モジュールと同じサイズのトレイを保持するのに十分なサイズでなくてもよい。
【0070】
貯蔵モジュールのトレイは相対的に大きくすることができ、これによって補充を貯蔵モジュールのトレイの一部だけに起こすことができる。このような実施形態では、貯蔵モジュール202のトレイ212が挿入部を含むことができ、挿入部が複数の位置を含み、各トレイが幾つかの挿入部を含むことができる。このような実施形態では、トレイの挿入部を補充の間に交換することができる。例えば、貯蔵モジュールのトレイ212を3つの挿入部を保持するよう構成することができる。補充を予定されている挿入部(挿入部が空である、ほとんど空である、又は今のところ有効期限切れであるか又は間もなく有効期限切れになる物品を包含しているので)は、アームエンドツール208を用いるロボット204によって貯蔵モジュール202のトレイ212から取り除くことができる。カートモジュール218で受け入れられた補充カートは、取り除いた挿入部を交換するための挿入部を含むことができる。ロボット204は、補充挿入部を取り出して補充挿入部をトレイ212に入れることができる。このような実施形態では、公知である挿入部の位置及びコントローラのメモリ323内などのデータベースに格納された挿入部の内容物によって各挿入部を個々に識別することができる。このような挿入部は、物品のバルク補充を促進することができる。
【0071】
一部の実施形態によれば、物品の補充は単位毎に起こすことができる。補充カートをカートモジュール218に受け入れることができ、システム200の補充のための物品のトレイを含むことができる。トレイを補充カートから取り除いて、作業プラットフォーム210上などでロボット204及びアームエンドツール208によるアクセスのための自動分配システム200内の位置に入れることができる。ロボット204はアームエンドツール208を用いてトラックシステム206に沿って進み、補充トレイから物品を取り出してこれらを貯蔵ユニットのトレイ212の位置に入れることができる。これが行われた場合に、物品の位置及び識別をメモリ232内などにコントローラによって格納することができる。
【0072】
一部の実施形態によれば、コントローラの命令で貯蔵モジュール202の1又は2以上のトレイ212内の異なる貯蔵位置の間で物品を移動させるようロボット204を構成することができる。これは、これらの物品と共に取り出される可能性のある他の物品に基づいて物品をまとめるか又は戦略的位置に物品を配置するために実行することができる。例えば、第1薬剤が第2薬剤と共に扱われる副作用を起こすことが多い場合、両方の薬剤を同ときに取り出す必要がある可能性があるので第1及び第2薬剤を貯蔵モジュール202のトレイ212内に互いに近付けて配置することができる。例示的な実施形態の自動貯蔵システムは、物品の取り出しが更に効率的であるトレイ又はゾーンを有することもできる。例えば、ロボット204の真ん中の高さと同じ高さにあるトレイは、ロボットの移動の上部又は下部にあるトレイよりも効率的にアクセスすることができる。高容量物品、又は頻繁に使用される物品を効率良くアクセスされるエリアに位置付けて自動分配システムの高速スループットを促進することができる。高容量物品は季節的に変わることがあり(例えば、アレルギー薬剤)、これによって薬剤の再位置付けをコントローラからの命令によってロボット204によって実行し貯蔵モジュールにおける物品の編成を最適化することができる。定期的にロボット204は、コントローラの命令で、物品を貯蔵の密度の高いエリアにまとめることによって貯蔵物品をデフラグメント又はデフラグすることができる。めったに分配されない物品は、物品の効率的な取り出し及び分配を促進するために一緒に運ばれる。
【0073】
ロボット204は、バーコードスキャナ、RFIDタグスキャナ/リーダなどのスキャナを含み、取り出される及び/又は貯蔵位置に配置される物品の識別情報を読み取ることができる。スキャナは、トレイ212、トレイ挿入部、及び/又はトレイ又は挿入部内の位置の識別情報を読み取ることができる。スキャナを用いて、貯蔵モジュールの特定の位置に貯蔵された物品が、予想される物品に一致する精度を保証するために分配又は補充される物品を識別することができる。
【0074】
一部の実施形態によれば、スキャナは、バーコード分析又は光学文字認識を介してバーコード又は識別子の画像を取り込み画像を用いる画像取り込みデバイスとすることができ、走査された画像のアイデンティティを推定する。このような実施形態では、ロボット204が、視覚ガイダンスシステムとして画像取り込みデバイスを用いて、トレイ内での物品の位置の学習を促進することができる。画像取り込みデバイスは、取り出す物品をうまく把持するためにロボットが物品の重心を決めるのを可能にできる。画像取り込みデバイスは、コントローラの使用を介してロボット204がトレイ内の物品の向きを決定できるようにし、これによってアームエンドツールを適正に位置付けて、決定された向きに基づいて物品を取り出すことができる。
【0075】
例示的な実施形態のスキャナ又は画像取り込みデバイスは物品の識別を決定するために用いることができるが、一部の物品は、容易に読み取られる識別指示を持たない可能性があり、このような場合には特に物品の向きが識別指示を曖昧にしていることがある。1つのこのような例示的な実施形態は薬剤バイアルを含むことができ、バーコードがほぼ円筒形のバイアルの1つの側面に配置されている。バイアルが貯蔵モジュール202のトレイ212の中にあるときにバーコードを読み取ることができる方式でバーコードが位置付けられていない場合、代わりの識別の方法が必要になる。
【0076】
本明細書で記載される一部の実施形態は、この向きに基づいて同一であることを確認できない可能性がある物品の識別を容易にするよう構成されたビンを含むことができる。トレイ212は、図14の226に図示したトレイのビンなどの複数のビンを包含することができる。ビンは、透明且つトレイから取り除くことができるようにされ、これによって取り出されたビンが識別の決定のための識別ステーションに提供される。図15は、トレイ212から取り出されたビン242の例示的な実施形態を示す。ビンを、幾つかの走査デバイス240が位置付けられるロボット204によって自動分配システム200の中のステーションに移動させることができる。走査デバイスは、例えばバーコードリーダ又は画像取り込みデバイスとすることができる。ロボット204がビン240を識別ステーションに挿入したら、走査デバイス240は、ビンの透明な材料を通してビンの中の内容物を走査することができる。バイアル244に配置されたバーコード又は他の指示を走査デバイス240のうちの少なくとも1つによって走査して、走査した情報を識別のためにコントローラに提供することができる。図示した実施形態のビン242は、従来型の長方形のビンの角のない長さに沿った曲線プロファイルを含む。曲線の透明なプロファイルは、長方形のビンの角を通して指示を走査する場合に存在するバイアルの周りの指示のほぼ歪みのない視界を提供することによってバイアル244上の指示の容易な走査を促進することができる。
【0077】
円筒形又はほぼ円筒形の形状の物品を均一に分配する自動分配システムの例示的な実施形態によれば、物品がトレイ内の位置に置かれている場合に識別指示がアームエンドツールのスキャナに見えない場合、ローラー機構を用いて円筒形物品244を回転させながら走査デバイス240に図16に示すように物品を走査させることができる。図16の物品ローラー250は、走査デバイス240が物品の全体の主表面を見ることができるようにその主軸に回りに物品244を回転させるよう構成された1対のローラー252を含む。これによって、走査デバイスは物品から識別指示を読み取ることができる。異なるサイズの円筒形物品が自動分配システムから分配される場合、他のサイズの物品を安全に回転させるためにローラー252間のサイズの変わるローラー又はギャップを備えた複数の物品ローラー250を用いることができる。任意選択的に物品ローラー250は、可変幅を有するローラーを含むことができ、これによってローラー間の距離をコントローラによって調節して取り出される物品に対応することができる。物品ローラーは、作業プラットフォーム210上などでロボット204及びアームエンドツール208に従来通り位置付けることができる。
【0078】
物品ローラー250を用いて円筒形物品がローラー252上で回転される場合にラベルを見えるように展開することができるが、例示的な実施形態は、物品から何れの指示も読み取るために取り出された物品の周りの3つの異なる位置から任意選択的に画像を取り込むことができる。第1画像取り込みデバイス又はカメラは、物品を取り出すために位置付けられた場合にアームエンドツールから取り込むことができる。画像は、物品の上面側の画像とすることができる。ロボット204は、トレイのポケットなどのポケットから物品を取り出して、2つの追加の画像取り込みデバイスが物品の下の2つの位置から画像を取り込むことができる位置に物品を進めることができる。画像取り込みデバイスは、ラベル上の何れの指示も取り込めるように物品の周りの360度を取り込むような向きに位置付けることができる。これは3又は4以上の画像取り込みデバイスを伴うことができ、画像取り込みデバイスは、物品の表面の最大120度を取り込む。物品の下側の画像は、画像取り込みエリアを物品が通過したときの取り出しの間の特定のポイントで取り込むことができるか、又は任意選択的に、ロボットが物品を保持するアームエンドツールを、図15に関して説明したのと類似の方式で物品を識別するために用いることができる画像を具体的に取り込むステーションに進めることができる。
【0079】
スケーラブルモジュラーアーキテクチャ
図13に示した実施形態は、3つの貯蔵モジュール202、カートモジュール218、及びユーザモジュール214を示している。カートモジュールは、本明細書で記載される一部の実施形態によるユーザモジュールを組み入れることができる。図17は、自動貯蔵システム200の図13に示した構成の平面図である。図17に図示したシステムは、3つの薬剤貯蔵モジュール202、ユーザモジュール216(カートモジュール218を含む)、トラックシステム206、ロボット204、及びアームエンドツール208を含む。図4は、モジュール、トラックシステム206、及びロボット204の間の空間的関係を示すために取り出し位置に延長した各モジュールからの引き出し部を備えた貯蔵モジュール202を示している。図のように、ロボット204及びアームエンドツール208は、各トレイ212内の各貯蔵区画にアクセスすることができる。
【0080】
図示した実施形態は、比較的小さなエリアに分配される多くの物品を格納できる自動分配システムの高密度ソリューションを提供できるが、一部の実施は追加の容量を要求する可能性がある。従って、本明細書で記載される実施形態は性質上はモジュラー式とすることができ且つ多種多様な環境での実施に対応するようスケーラブルとすることができる。図18は、本発明の実施形態の別の例示的実施を示す。図のように、4つの追加の貯蔵モジュールが図18の実施形態に含まれ、ロボット204が追加の貯蔵モジュールにアクセスできるように延長トラックシステム206を備えている。この実施は、全体のシステムのサイズを2倍にするだけで図17の実施形態の貯蔵容量の2倍以上を提供する。本明細書で記載される実施形態は、他の貯蔵及び自動分配選択肢に比べて高貯蔵密度を有し、これによって本明細書で記載される実施形態で分配するために貯蔵される製品は、多くのヘルスケア環境で限定されることがあるスペースの高効率的使用を示す。
【0081】
図19は、図18に示した自動分配システムを特徴付ける本発明の別の実施形態を示すが、第2ロボット205が追加されている。第2ロボット205は、第1ロボット204が動作している同じトラックシステム206に追加することができ、第2ロボットは、物品を取り出すことができる速度を2倍にすることによってスループットの増加を提供することができる。2つのロボットは両方とも、同じコントローラ又は互いに通信する別々のコントローラによって制御することができる。ロボットは、トラックシステム206に沿った位置で通信することができ、ロボットの両方のデューティサイクルを最大にするような方式で物品を取り出すよう命令することができ、これによって利用可能な資源の利用を最大にしスループットを増加させる。
【0082】
理解されるように、例示的な実施形態のモジュラー性質は、限定のない方式で自動分配システムの拡張及びスケーラビリティを可能にする。追加のカートモジュールは、分配及び/又はリストックのための選択肢の量を増加させるために実施することができる。例えば1つのロボットは第1カートモジュールからトレイをリストックすることができ、別のロボットは、第2カートモジュールに物品を分配する。
【0083】
図20は、本明細書で提供する例示的な実施形態による例示的貯蔵モジュールを示す。例示的貯蔵モジュールは、図示した取り出し位置に移動したときにトレイ212がそこから延長するキャビネット302を含むことができる。キャビネットは、多くの数のトレイを保持することができ、トレイに保持される物品のタイプに基づいてトレイの間のスペーシングを決めることができる。例えばトレイがブリスターパックの薬剤の単位投与量のみを保持するとする場合、トレイは、キャビネット302内のすき間に比較的小さな縦の高さしか必要としない可能性がある。しかしトレイが、点滴溶液の1,000mLバッグを保持する場合、隣接するトレイの間に必要な縦のすき間はかなり大きくなる可能性がある。貯蔵位置(トレイ304として図示)から取り出し位置(トレイ212として図示)にトレイ212を移動することで、ロボット204がトレイ212内の貯蔵位置にアクセスできるようになり、ロボット204及びアームエンドツール208に容易に且つ効率良くアクセス可能である位置にトレイが移動される場合により大きな貯蔵容量が達成できる。例えばトレイエレベータ300を用いて、トレイ212の取り出し位置にトレイが移動されたことに応じてキャビネット302の表面に沿った垂直方向にトレイを移動させることができる。この方式で、トレイエレベータ300は、上部又は下部のほとんどの位置から、ロボット204によって容易に且つ迅速に到達される位置であるアクセス位置にトレイを移動することができる。
【0084】
本明細書で記載されるこのようなトレイエレベータ300は、ロボット204にアクセス可能な貯蔵モジュール上の位置にトレイを動かすことができると同ときに、眼に見える何れの高さにもキャビネット302を構築できるようにする。これらのトレイエレベータは、キャビネット302の表面上又は中のトラックに沿って移動でき、例えば、トレイをトレイがキャビネット302に貯蔵される位置に又はこの位置からトレイを正確に移動させるためにケーブル又はギアによって駆動することができる。
【0085】
例示的な実施形態の貯蔵モジュールは、中に貯蔵されている物品に対して要求されるレベル内の温度又は湿度レベルを維持するためにトレイ全体のセキュアなクロージャを要求することができるか、又は貯蔵された物品のセキュリティを麻酔性薬剤などのように確実にすることができる。本明細書で記載される実施形態は、図20のトレイ304などの貯蔵位置にあるトレイを保護するドアを含むことができる。図21は、トレイエレベータ300によって今のところアクセスされていないトレイを囲う1対のドアクロージャ306及び308を示す。ドアクロージャは、ロールトップデスクに見られるクロージャと類似にすることができ、ドアは1つの軸に沿って柔軟性があり、上昇又は低下された場合にキャビネットに「巻き戻る」。図21は、上部ローラー310の上にキャビネット302によって受け入れられた上部ドアクロージャ306を示す貯蔵モジュールの断面図を示し、下部ドアクロージャ308は、下部ローラー312の上にキャビネット302によって受け入れられている。トレイエレベータ300が矢印314の方向に沿って上に移動した場合、上部クロージャ306の多くがローラー310の上にキャビネット312の中に巻き戻り、下部クロージャ308の多くが、キャビネットの中から移動してトレイエレベータ300の下のキャビネットの表面に現れる。同様に、トレイエレベータが矢印316に沿って下に移動したときに、下部クロージャ308はローラー312の上をキャビネット302の中に巻き戻り、上部クロージャ306はキャビネットの中から巻き戻され、トレイエレベータ300の上のキャビネットの表面に現れる。これらの上部及び下部クロージャは、今のところトレイエレベータ300によってアクセスされていないトレイが手動又はそれ以外でアクセスされないようにする。
【0086】
例示的な実施形態の貯蔵モジュールに、ロボット204又は複数のロボットが移動するエリアの外側へのアクセスを提供することができる。ロボットの動作中、ロボットが動作する貯蔵モジュール間のエリアを閉じて、オペレータがロボット又はトレイエレベータによって怪我しないようにできる。しかしながら、自動分配システムが能動的に物品を分配している間はトレイへのアクセスを可能にするのが望ましい。従って、自動分配システムの外側からトレイへのアクセスを提供することができる。トレイは、図20及び21に示したものとは反対側に滑り出ることができる。これにより、オペレータは物品を手動でチェック又は確認するか、又は緊急に必要な何れの物品も手動で補充することができる。貯蔵モジュールは、貯蔵モジュールの後ろにあるトレイエレベータを含み、自動分配システムの外側のユーザにもっと便利にトレイを提供することができる。図21に図示及び上述したクロージャは、セキュリティ及び/又は安全のためにキャビネットの後ろ側に実施することができる。クロージャをキャビネットの前面及び背面の両方に用いる場合、むしろクロージャを引っ込められるように、図21の上部クロージャ306が単一のローラー310の周りに受け入れられるロールアップドアに類似のクロージャを実施に用いることができる。
【0087】
分配システムの内容物へのアクセスは、システムがサービスを停止しているとき又は技術的な問題が発生した場合に望ましい。このような事例では、システムの外側からアクセス可能であるシステムのモジュールが、24時間などのある期間に必要とされることがある薬剤の一般的な医療用品を包含することができる。これにより、施設は分配システムが機能していないときに十分な動作を維持することができる。本発明のシステムはこのようなシナリオに自らを構成することができる。施設の患者が、一般的に使用されていない薬剤を処方されている場合、分配システムは、分配システムの外部からアクセス可能なユニットにこの薬剤タイプの医療用品を移動して、潜在的な予想されない停止時間に対処することができる。
【0088】
貯蔵モジュールタイプ
上述した貯蔵モジュールの例示的な実施形態は、物品の特定のカテゴリーの貯蔵に具体的に構成することができる。例えばヘルスケア環境での一部の薬剤は、冷蔵保管貯蔵が必要とされる可能性があるように室温より低く維持する必要がある。自動分配システムのモジュラリティは、図22に示すように冷蔵保管貯蔵モジュール260を受け入れるよう構成することができる。全体のモジュールが冷蔵保管として図22に示されているが、要求される冷蔵保管貯蔵容量に応じて貯蔵モジュールを部分的に冷蔵保管とすることができる。冷蔵保管貯蔵モジュールは、貯蔵モジュール202とほぼ同じ方式で機能することができる。しかしながら、冷蔵保管貯蔵モジュールは、残りの貯蔵モジュールがこのようなクロージャを使用しない場合でも図21に関して上述した上部クロージャ306及び下部クロージャ308の実施から利益を得ることができる。冷蔵保管貯蔵モジュール260の上部クロージャ306及び下部クロージャ308を絶縁することができるか又は冷蔵保管貯蔵モジュールの内容物に絶縁特性を与えることができる。このように、冷蔵保管貯蔵モジュールの内容物を効率良く且つ一定して適切な温度に維持することができ、これによって中に貯蔵される製品の寿命を長くする。
【0089】
他の製品タイプが特定の貯蔵の必要性を要求することがある。例えば麻酔薬などの在庫規制の下にある製品は、非麻酔性薬剤には必要とされないセキュリティプロトコルを必要とすることがある。図23は、冷蔵保管貯蔵モジュール260及びセキュア貯蔵モジュール262の両方を含む自動分配システムの例示的な実施形態を示す。セキュア貯蔵モジュールは、クロージャの後ろのトレイへのアクセスを阻止するために図21に示すように上部クロージャ306及び下部クロージャ308を含むことができる。任意選択的に、各トレイにロッキング機構を備えることができ、適正な許可なしにはセキュア貯蔵モジュール262からトレイを取り外せないようにする。セキュア貯蔵モジュールへの手動エントリは従って、技術者又は他の人員が自動分配システム内にいる(例えばシステム停止中)及び許可が与えられていないときに阻止することができる。セキュア貯蔵機構は、中に貯蔵されている物品のタイプに関する、地方、地域、又は国の規制に準拠するよう適応させることができる。ユーザモジュール216を介するか又はロボット204を用いたルーチン物品分配中にセキュア貯蔵モジュール262へのアクセスが許可される。
【0090】
図24は、自動シンギュレータデバイス268を含む自動分配システム200を示す。薬剤などの物品は、貯蔵モジュール202に貯蔵する前に操作又は分離を必要とするパッケージングで受け取ることができる。例えば薬剤は、ブリスターパッケージフォーマットで受け取ることができる。単位投与量薬剤がブリスターにパッケージされたときに、これらは一般的には1つのブリスターカードにつき幾つかの薬剤単位投与量を含んでパッケージ化され、これによって1つのブリスターカード当たり対応する数の等しくスペーシングされたビニール成形のキャビティができる。これらのキャビティは一般的にミシン目によって分離される。シンギュレートされたブリスターは、一般的にはそのミシン目に沿ってブリスターカードから分離されたブリスターである。図25は、例示的な実施形態によるブリスターカード270の図を示す。図のようにブリスターカード270は、ミシン目280によって分離される複数の単位投与量ブリスター275を含むことができる。本明細書で記載される例示的な実施形態の自動シンギュレータ268は、貯蔵モジュール内に貯蔵するための単一の単位投与量形式になるよう一般的にはそのミシン目に沿って単位投与量ブリスター275を分離するよう構成することができる。
【0091】
実際には、1又は2以上のブリスターカード270を例示的な実施形態の自動分配システム200の自動シンギュレータ268で受け取ることができる。ブリスターカード270は、オペレータ又は技術者から直接受け取ることができるか、又は代わりにブリスターカードをカートステーション218のリストックカート220を介して受け取ることができ、ここでブリスターカード270がロボット204を介して自動シンギュレータ268に運ばれる。シンギュレータ268で受け取られたら、シンギュレータはブリスターカード270を個々の単位投与量ブリスター275に分離することができる。単位投与量ブリスターは各々、薬剤識別を有することができ、そうでなければ単位投与量ブリスターをオーバーパックにリパッケージするか、又は単位投与量ブリスターの薬剤を識別するラベルを受け取ることができる。識別可能な単位投与量ブリスターをアームエンドツール208などのロボット204によって取り出すことができ、コントローラの貯蔵最適化ツールによって決定されたトレイ212内の貯蔵位置に移動させることができる。
【0092】
例示的な実施形態の自動分配システム200のモジュラー性質は、分配を容易にすることができる様々な他のモジュールを含むようシステムの拡張を可能にする。上述のモジュールを超えて、別のこのようなモジュールは、図26に示す自動袋詰め機又は自動パッケージ機269である。自動パッケージ機は、ロボット204のアームエンドツール208から分配のために取り出される物品を受け取りこれをパッケージの宛先及び内容物に適したオーバーパックにパッケージすることができる。例えば、ヘルスケア施設の患者が、ブリスターパックにパッケージされた薬剤の1又は2以上の単位投与量を受け取る場合、自動分配システム200は薬剤ブリスターパッケージを取り出し、これを自動パッケージ機269に進めることができる。薬剤ブリスターパックは、バッグの中で又はバッグに分配される自動パッケージ機のステージングエリア内で受け取ることができる。バッグには、患者の名前、患者の場所(例えば部屋番号)、又は他の識別情報を印刷することができる。バッグ又は他のパッケージには、中に包含された薬剤を患者に分配する時間を印刷することもできる。
【0093】
自動パッケージングモジュール269には、特定の注文の物品を分配する自動分配システムに応じたレベルを印刷するよう構成されたプリンタを備えることができる。分配処理の開始に応じて、又は自動パッケージングステーション269での物品の受け取りときにラベルを印刷することができる。分配処理は、取り出された物品を走査(例えば、バーコード又はRFIDタグを走査)するか又はそうでなければ識別するステップ及びこれらに取り出された物品に対する注文を相関付けるステップを伴うことができる。識別は、アームエンドツール208に取り付けられたスキャナ、上述のバイアルローラー、又は物品が識別のためにロボット204及びアームエンドツール208によって移動される識別ステーションによって実行することができる。このように、物品は、適切な物品が受け取られた各注文に分配されたことを保証するために分配処理中の1又は2以上の段階で積極的に識別することができる。注文は個々に順次、又は同ときに履行することができる。上述のコントローラは、同じ物品に対する複数の注文を同ときに履行するなどの分配処理を最適化することができる。これに関わらず、処理全体を通した物品の組織的識別を用いて、適切な物品が途中に沿った1又は2以上の確認ステップで自動パッケージングステーション269での適切なパッケージングに分配されることを確実にし精度を保証することができる。
【0094】
自動パッケージングモジュール269が分配物品をパッケージ又は袋詰めした状態で、物品の分配が準備できる。パッケージされた物品は、例えばオペレータによって自動パッケージングステーション269から直接取り出すことができる。又は自動パッケージングステーション269を、パッケージがアームエンドツール208を用いるロボット204によって取り出され、複数の履行注文によってオペレータによって取り出されるカートに入れるためのカートモジュールに移動されるように物品をパッケージするよう構成することができる。
【0095】
上記の例示的な実施形態は、組織的及び一般的には先出し先入れ注文/取り出しシーケンスのシステムで受け取られる注文による薬剤の分配に向けられるが、特定の薬剤注文は、薬剤注文を急送するステップを含むことがある特別な注意を必要とする可能性がある。例えば、薬剤の初回投与量又は患者にとって新しい薬剤の投与量は特別な注意を必要とする可能性がある。固有のキャリア又はキャリアホルダの薬剤が初回投与量であることをオペレータに警告するために固有のキャリア又はキャリアホルダを初回投与量を受け入れるよう設計することができ、関わる薬剤師、看護師、及び医師の適切なケア及び配慮によって相応に扱わなければならない。固有のキャリア又はキャリアホルダは、これらの固有のキャリア又はキャリアホルダに包含された薬剤が初回投与量であることをオペレータに警告するカラーコード又は幾つかの他の手段によって識別される。薬剤の初回投与量が患者の履行動作中の薬剤注文で遭遇された場合、ロボットは、初回投与量なしで薬剤注文を完了して、続いてその患者のための初回投与量を入れる固有のキャリアホルダの1つを取り出すことができる。任意選択的に、自動分配システムは、初回投与量であることを示すためにキャリア上の薬剤に隣接してキャリアに配置できるフラグを含むことができる。例えば、薬剤注文履行中に、薬剤が初回投与量であると決定された場合、キャリアへの薬剤のローディング後にロボットは、フラグの後ろの投与量が初回投与量であり相応に扱わなくてはならないことをオペレータに示す第1投与量フラグをキャリアにロードすることができる。
【0096】
アームエンドツール
上述のように、例示的な実施形態の自動分配システム200はロボット204を含むことができる。このロボットは広範囲の動き及び幾つかの自由度を有する多軸アームとすることができる。ロボット204は、図27に示す例示的な実施形態などのアームエンドツール208を備えることができる。図示した実施形態は、アームエンドツール本体400を含み、これから真空カップ405、410、415が延長部材407、412、及び417をそれぞれ延ばす。アームエンドツール本体400には、導管420を介した真空源を備えることができる。ロボット204に繋がれ且つトラックシステム206に沿ってロボットと共に移動するポンプによって真空が生成される。任意選択的に、ポンプをロボット及びトラックシステムから遠方に位置付けることができ、コントローラによってロボット204を給電及び制御するのに用いられるアンビリカルケーブルのケーブルを含んだ真空ホースを含むことができる。
【0097】
本明細書で記載される例示的な実施形態は真空を用いて物体を持ち上げるよう構成されたアームエンドツール208を含むが、アームエンドツールは、任意選択的には図29に示したグリッパーなどのグリッパーによって構成することができる。グリッパーは、図27及び28のアームエンドツール208に追加して、本明細書で記載されるシステムのロボット204の機能を向上させることができる。
【0098】
コントローラは、図12に示した分配システムのロボット204及び他の構成要素を制御するのに用いられるコントローラとすることができるか、又は自動分配システムのコントローラによって指示又は命じられるアームエンドツール208を制御するためにだけ用いられる別々のコントローラとすることができる。アームエンドツール208は、真空源420が取り付けられるマニホールドを本体400内に含むことができるか又は本体400に取り付けることができる。マニホールド422は、各真空カップ405のための真空チャネル424、426に通じることができる。バルブ428、430は、マニホールド422から各真空カップ405、410、及び415への真空の流れを制御することができる。このように、コントローラは、真空カップに真空を加えるか又は真空が真空カップに加えられないようにするためにバルブ428、430を独立して制御することができる。コントローラは、真空を供給する複数の真空カップの1又は2以上を選択して、他の真空カップの各々に関連付けられるバルブを閉じることができる。任意選択的に、バルブ428、430は、オン/オフの双対バルブでなくてもよく、部分的な開放/閉鎖を可能にし、必要に応じて特定の真空カップを通る真空の流れを低減することができる。
【0099】
例示的な実施形態の真空カップ405、410、415は、真空カップが製品に係合し製品に対する封止を生成できるようにする融通性のあるゴム製品又はプラスチックとすることができる。真空カップは、係合する様々な表面に対応するように様々なサイズにすることができる。例えば、大きな真空カップが比較的小さな直径のバイアルに十分な封止を生成できないので曲線長に沿って係合する円筒形バイアルは大きな真空カップに合わないことがある。逆に、比較的小さな真空カップは、アームエンドツール208がバイアルを持ち上げ移動させるのを可能にするのに十分なバイアルとの封止を作ることができる。
【0100】
真空カップ405、410、及び415の各々を延長部材407、412、及び417それぞれに取り付けることができる。これらの延長部材は、アームエンドツール400から延長することができる。ソレノイド(図示せず)をアームエンドツール本体400内の各々の延長部材に取り付けて、延長部材を動かして各延長部材を延長位置(延長部材407及び411によって図示)又は収縮位置(延長部材417によって図示)の間で独立して動かすことができる。延長部材の収縮/延長は、任意選択的に空気ソレノイドによって制御することができ、特定の延長部材の真空カップから真空が遮断されたことに応じて、代わりに真空が空気ソレノイドに迂回し延長部材を収縮位置に上昇させる。
【0101】
図28は、製品440に係合したロボット204(図示せず)のアームエンドツール208の例示的な実施形態を示す。図示した実施形態によれば、後ろの延長部材407及び関連付けられる真空カップ405は収縮状態にある。417を含む4つの延長部材は、物品440に係合する真空カップ(410、417を含む)によって延長位置に配置されている。物品が真空カップ405を必要とする又は係合するのに十分なサイズでない場合、真空カップ405は、物品を係合するのに必要でないと決定され、収縮位置に動く。使用する真空カップ及び収縮する延長部材の決定はコントローラによって行うことができる。コントローラは、取り出される物品の識別及び関連付けられパッケージングサイズに基づいて、例えばメモリ232に格納できるもの、物品を係合するのに必要な真空カップを決定することができる。例えば、物品の取り出しを要求することができ、コントローラは、プロセッサ230を用いてメモリ232の格納された物品構成のデータベースを参照することができる。コントローラは、格納された構成に基づいて用いる適切な真空カップを決定して、使用されないものを収縮させることができる。
【0102】
本明細書で提供する別の例示的な実施形態によれば、アームエンドツールに、図28の445として示すようなバーコードスキャナ又はRFIDリーダなどのスキャナ又はリーダを備えることができる。アームエンドツールは、走査に基づいて取り出される製品の識別を決定することができ、公知の識別及び構成(例えば、メモリ232に格納された)に基づいて、適切な真空カップを設定することができ、延長部材の適切な構成も設定することができる。
【0103】
変化する物品のサイズに、延長部材の延長及び収縮、及び真空カップの一部又は全部の使用を介して対処することができるが、重い物体は、物体とアームエンドツールの間の係合を維持するためにより高度の真空を必要とすることがある。物体の重量は、パッケージング構成又はフォームファクターと共にメモリに格納することができ、これによって延長部材及び真空カップの構成をその相対的な真空圧力と共に設定することができる。任意選択的に、メモリは、1又は2以上の物品に対する、延長部材、真空カップ及び真空圧力の構成を格納することができる。真空レベルは、アームエンドツールのバルブ(バルブ428、430など)によって制御、コントローラによって管理される圧力レギュレータによって制御、又は任意選択的に真空源(例えば、ポンプ)によって制御することができる。
【0104】
例示的な実施形態のアームエンドツールは、コントローラと協調して機械学習動作を実行するよう備えることができる。例えば、物体を取り出すときに、表面からの物体の高さがアームエンドツールに公知でないことがあり、これによってツールは物体に向かって進み接触が起こった時間を決定しなくてはならない。この接触が起こった高さを特定の物品及びパッケージ構成に対して記録及び格納して、これによって物品の次の取り出しが、物体の格納された高さを用いて物体とアームエンドツールの係合の高さを推定することができる。
【0105】
本明細書で提供する一部の例示的な実施形態は、未知のパッケージング構成を有する物品を含むことができるか、又はパッケージング構成が類似の物品間で一致しなくてもよい。例えば、物品がオーバーパックに入っているときに、同じ識別の2つの物品が異なるフォームファクターを有することがある。従って、本明細書で提供する例示的な実施形態は、フォームファクターの形状及びサイズを決定するよう構成された視覚システムを有するアームエンドツールを含むことができる。この視覚システムを445に含むことができ、これによってアームエンドツールが物品に遭遇したときに物品の形状及びサイズを決定することができる。物品を走査する視覚システムに基づいて、真空カップ及び延長部材の適切な数及び構成が設定され、同ときに残りの真空カップ(あるとすれば)がそのそれぞれの延長部材によって収縮される。
【0106】
例示的な実施形態の視覚システムを用いて、取り出される物品の中心点又は重心を見付けることができる。これは、アームエンドツールが吸引カップなどの取り出し特徴を位置付ける場所を適切に設定し、物品が不均衡にならないように又は降下の可能性を軽減できるようにする。本明細書で記載される視覚システムは、引き出し位置を識別する、引き出しの中のポケットを識別する、これらのポケットに近い識別子を用いて特定のポケットを識別するよう構成することができる。これは、ポケットからの物品の持ち上げ及びポケットへの物品のストックを容易にすることができる。
【0107】
1つの例示的な実施形態によれば、視覚システムは、物品を検出してこれらの物品の向きを推定するアルゴリズムを用いることができる。透明な液体のバイアルなどの一部の製品は、識別及び位置付けが困難である可能性がある。視覚システムは、バイアルに対するカップを識別して、カップの平面を識別することができ、ラベルの何れかの部分を用いてバイアルがそれに沿って延長する軸を識別することができる。例示的な実施形態の視覚システムは、製品、特に透明な液体のバイアルなどの信頼性の検出が困難である製品の識別に適応するよう機械学習を構成することができる。機械学習技術は、任意選択的にユーザ教示を含むことができ、これによって公知の製品が本発明のシステムに導入され、本システムに公知の製品の識別が行われ、これによって視覚システムは、物品を見て各製品の固有の特徴、及び任意選択的には各製品の各ブランドを設定することができる。
【0108】
真空カップの1又は2以上及びそれぞれの真空カップから延長する真空ラインは真空ゲージを含むことができる。任意選択的に、1つの真空ゲージをアームエンドツールの真空カップの全てに用いることができる。真空ゲージは、構成に応じて、アームエンドツール及び1又は2以上の真空カップの真空レベルのフィードバックの通りにコントローラと通信することができる。真空ゲージを用いて、物品が真空カップによって係合された時間を決定することができる。例えば、物品に係合するのに用いられる真空カップは,物品に係合しなかったときに第1レベルの定常状態真空を有することができる。物品に係合及び取り付けられたときに、真空が、真空を引き込むための物品上の真空カップの十分な封止があることを示す第2レベルに上昇する。コントローラは、十分な真空が、物品を持ち上げ移動させるために物品に取り付けられた真空カップの全てに渡って引き込まれるかどうかを決定するために、1又は2以上の真空カップの真空レベルをモニタすることができる。真空レベルが低すぎる場合、真空カップの1又は2以上が物品に適切に係合していない指示である可能性があり、アームエンドツールは、物品上の再位置付けを試み、係合できる表面に真空カップを合わせることができる。
【0109】
真空ゲージは、任意選択的に降下状態又は切迫した降下状態を識別するよう構成することができる。物品がアームエンドツールによって拾い上げられた後に、アクティブ真空カップの真空レベルが係合を示すのに十分な真空である場合、低下する1又は2以上の真空カップの真空レベルに応じて、切迫した降下状態が認められ、ロボット204は、物品を再係合できる位置にアームエンドツール208を動かすことができる。ほぼ同ときに低下する真空カップの各々の真空レベルの各々に応じて、降下状態が検出されることがあり、ユーザモジュールで警報が生成され、物品が降下していることをユーザに指示できる。物品が宛先又はトレイの位置近くで(例えば宛先又は位置のすぐ上)で降下した場合、オペレータに警告する必要なく物品をアームエンドツールによって取り出すことができる。
【0110】
様々な物品の構成は、任意選択的に例示的な実施形態の自動分配システムのコントローラによって学習することができる。例えば、物品が識別され、適切な真空カップ及び延長部材構成、物品が移動される信頼性(例えば、降下する物品がない及び切迫した降下条件がない又は少ない)を決定するために視覚システムが用いられる場合、この構成をコントローラによって学習し、将来同じ識別の物品を取り出すときに用いるためにメモリに格納することができる。この方式の適応学習は、上述のような視覚システムを用いることができ、同ときに公知の物品及び公知の適切な構成のデータベースを構築する。本明細書で記載される分配システムの機械学習態様は、特定の製品識別子に、パッケージタイプ、パッケージ構成、パッケージサイズ、及びパッケージ重量を関連付けることができる。これは、物体が取り出されるときに参照されるコントローラ内に格納されたテーブルに保存することができる。物体を取り出すときに、このテーブルを参照して、パッケージの予想される詳細を定めることができる。この情報は本システム及びアームエンドツール208にとって有利とすることができるが、パッケージングタイプが定期的に変更される場合には以前に学習されたパッケージ情報は厳密には信頼できない。しかしながら、学習されたパッケージ情報は、一般的には正確とすることができるか、又は製品取り出しの効率が学習されたパッケージング構成によってかなり改善される十分なガイダンスを本システム及びロボット204に提供することができる。
【0111】
上述のように、特定の薬剤注文又は例外は固有の治療を必要とする。初回投与量注文又はクイックピック(又はオンデマンド、STATなど)である薬剤注文は、従来の薬剤ピック及び分配動作とは異なって扱われることがある。このような状況では、例示的な実施形態のロボット204及びシステム200は、このような初回投与又はクイックピック注文を容易にする特徴を含むことができる。図29は、アームエンドツール208を含むロボット204の例示的な実施形態を示す。ロボット204は、作業表面510及び作業表面に配置されたコンテナ512を含む。例示的な実施形態のシステム200は、初回投与/クイックピック取り出しエリアを含むことができ、図示した実施形態ではこれはキャビネット502である。キャビネット502は、ユーザモジュール216などにシステム200の上部に識別されるモジュールの何れかを含むことができる。図29のキャビネット502は、6つの貯蔵ロッカー504を含み、各々がハンドル508及びインジケータ506を含む。実際には、できる限り迅速に用意する必要がある初回投与又はクイックピック注文の注文が受け取られたときに、ロボット204は、前に実行している動作を中止して初回投与又はクイックピックに必要な薬剤を取り出すことができる。ロボット204は、必要な薬剤を取り出すことができ、単一の初回投与注文又はクイックピック注文に対して、作業表面510上のコンテナ512に薬剤を入れることができる。ロボット204は次にキャビネット502に進みコンテナ512をロッカーの1つに入れることができる。ロッカーは、モジュラーシステム200の中からロボット204にアクセス可能とすることができるが、システム200の外側からの許可されていないアクセスを阻止するようロックすることができる。
【0112】
初回投与又はクイックピック注文の薬剤を有するコンテナ512をキャビネットに入れた後に、注文を取り出す準備ができる。一部の状況では、注文を取り出す用意ができたという警告をシステムによって提供することができる。ユーザは、ユーザの識別をシステム200のユーザインタフェースに入力して取り出したい注文を指定することによって薬剤注文にアクセスすることができる。前述のように、キャビネットは各ドア504にインジケータ506を有することができ、取り出される薬剤に関連付けられるインジケータを照明して、注文が位置付けられるロッカーをユーザに警告する。ドア504は、許可されたユーザによる薬剤注文へのアクセスを可能にするためにロックを外すことができる。任意選択的に、ドア504に番号を付けるか又はそうでなければ識別することができ、システム200のユーザインタフェースが、インジケータ206を必要とすることなくその薬剤を取り出すための適切なドアにユーザを向けることができる。
【0113】
一部の実施形態によれば、ユーザ識別のエントリ及び取り出そうとする注文の識別に応じて、その注文に対するラベルをユーザモジュール216で印刷することができる。ユーザが取り出すことができる注文の数に関わらず、取り出される注文のラベル又は複数のラベルだけが印刷され、システム200は、キャビネット502から関連付けられる初回投与又はクイックピック薬剤の取り出しを待つことができる。それぞれのドア504のロック解除を含む取り出し処理は、印刷されたラベルの走査を待って、ユーザがラベルを取り出したことを確認することができ、ラベルと正しい薬剤を合わせるために関連付けられた薬剤だけしか必要としない。薬剤が取り出されそれぞれのドア504が閉じられた状態で、ユーザは、取り出す別の注文を入力することができ、この注文のラベルが印刷される。この注文の動作は、誤ってラベル付けされた薬剤の機会を増やす複数のラベル及び複数の注文が同ときに印刷され取り出されないようにする。
【0114】
図30は、本発明の例示的な実施形態による方法及びプログラム製品の流れ図である。流れ図の各ブロック及び流れ図のブロックの組み合わせを、ハードウェア、ファームウェア、プロセッサ、回路、及び/又は1又は2以上のコンピュータプログラム命令を含むソフトウェアの実行に関連付けられる他のデバイスなどの様々な手段によって実施できることが理解されるであろう。特定の方式で機能するようコンピュータ又は他のプログラマブル装置に指示できるこれらのコンピュータプログラム命令を非一時的コンピュータ可読メモリに格納することもでき、これによってコンピュータ可読メモリに格納された命令が、流れ図のブロックに指定された機能を実施する製造品を作製する。コンピュータプログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラマブル装置にロードすることもでき、一連の動作をコンピュータ又は他のプログラマブル装置で実行させて、コンピュータ又は他のプログラマブル装置で実行される命令が流れ図のブロックに指定された機能を実施するようにコンピュータ実施処理を生成できる。
【0115】
従って、流れ図のブロックは、指定された機能及び指定された機能を実行するための動作の組み合わせを実行するための手段の組み合わせを支援する。流れ図の1又は2以上のブロック、及び流れ図のブロックの組み合わせを、指定された機能を実行する専用ハードウェアベースのコンピュータシステム、又は専用ハードウェア及びコンピュータ命令の組み合わせによって実施できることも理解されるであろう。
【0116】
これに関して、図30に図示した本発明の1つの実施形態による方法は、510で示すように貯蔵モジュールの垂直スタックへの複数のトレイの貯蔵を提供するステップを含むことができる。第1物品の要求は、コントローラなどを介して520で受け取ることができる。この要求は、ヘルスケア施設患者管理システムなどのシステムによって生成され、通信ネットワークを通じてコントローラに伝送される。530で、第1物品を有する固有の貯蔵位置を含むトレイを貯蔵位置から取り出し位置に移動させることができる。この移動は、貯蔵モジュール内のソレノイド又は駆動モータによって起こすことができるか、又は代わりにロボットがトレイを移動させることができる。540で、ロボットに固有の貯蔵位置から物品を取り出させ、この物品を550で示すように分配位置に分配させることができる。
【0117】
一部の実施形態では、動作の特定のものを以下に説明するように修正又は更に展開することができる。一部の実施形態では追加の動作を含むこともできる。修正、任意的追加、又は以下の展開の各々を、単独で又は本明細書で記載される特徴の中の何れの他の特徴とも組み合わせて上記の動作と共に含めることができることを理解されたい。
【0118】
例示的な実施形態では、図28の方法を実行する装置が、上述の動作(510‐550)の一部又は全部を実行するよう構成されたプロセッサを含むことができる。このプロセッサは、例えば、格納された命令を実行するハードウェア実施論理機能を実行するか、又は動作の各々を実行するアルゴリズムを実行することによって、動作(510‐550)を実行するよう構成することができる。代わりに本装置は、上述の動作の各々を実行する手段を含むことができる。
【0119】
例示的な実施形態による装置の例は、少なくとも1つのプロセッサ及びコンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリを含むことができる。少なくとも1つのメモリ及びコンピュータプログラムコードは、少なくとも1つのプロセッサによって、本装置に動作510-550を実行させるよう構成することができる。
【0120】
例示的な実施形態によるコンピュータプログラム製品の例は、コンピュータ実行可能プログラムコード部分を格納している少なくとも1つのコンピュータ可読ストレージ媒体を含むことができる。コンピュータ実行可能プログラムコード部分は、動作510-550を実行するためのプログラムコード命令を含むことができる。
【0121】
本明細書に示す本発明の多くの修正及び他の実施形態は、これらの発明が関わる前述の説明及び関連する図面に示した教示の利益を有する当業者に想起されるであろう。従って、本発明は開示される特定の実施形態に限定されず、修正及び他の実施形態が添付の請求項の範囲内に含まれるものであることを理解されたい。前述の説明及び関連する図面は、要素及び/又は機能の特定の例示的組み合わせの概念における例示的な実施形態を表すが、要素及び/又は機能の異なる組み合わせを添付の請求項の範囲から逸脱することなく代替えの実施形態によって提供できることを理解されたい。これに関して、例えば、上記に明示的に示されたものとは異なる要素及び/又は機能の組み合わせは、添付の請求項の一部に示されるものと意図される。特定の語が本明細書で用いられるが、これらは一般的且つ説明的な意味でのみ用いられ限定の目的ではない。
【符号の説明】
【0122】
200 自動分配デバイスシステム
202 貯蔵モジュール
204 ロボット
205 アンビリカル
206 トラック
208 アームエンドツール
210 作業プラットフォーム
212 トレイ
214 ユーザモジュール
216 ユーザインタフェース
218 カートモジュール
220 カート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30